JP5371206B2 - 保護フィルム - Google Patents
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Description
(1)表面の粘着力が0.015N/25mm以上、0.5N/25mm以下である弱粘着性フィルムからなり、
前記弱粘着性フィルムは、非晶性ポリプロピレン系樹脂を少なくとも含有する組成物Aと、結晶性ポリプロピレン系樹脂を少なくとも含有する組成物Bとを用いて成形されるフィルムであり、
前記組成物AのMFRと前記組成物BのMFRを、JIS K7210に準拠して温度230℃、荷重21.2Nの条件で測定した場合に、前記組成物AのMFRと前記組成物BのMFRとの差が10以下である、ことを特徴とする保護フィルム、
(2)前記弱粘着性フィルムにおいて、前記非晶性ポリプロピレン系樹脂が7.5重量%以上、50.0重量%以下及び前記結晶性ポリプロピレン系樹脂が50.0重量%以上、92.5重量%以下の割合で含有されていることを特徴とする前記(1)に記載の保護フィルム、
(3)前記(1)または(2)に記載の弱粘着性フィルムに基材層が積層されていることを特徴とする保護フィルム、を要旨とするものである。
即ち、アクリル樹脂板を試験板として用い、該試験板の表面の汚れ(油、ホコリ、粉等)をとるため乾布で充分に清掃した後、測定に付されるフィルムをフィルム幅方向に幅25mm、長さ100mmのサイズにカットした試験片を用い、該試験片を上記試験板に圧力5880N/m2のかかったゴムロール(ゴム硬度80度;ショアーゴム硬度計にて測定)間を2m/分の速度で圧着し貼付け、その状態で30分放置後、試験片と水平方向(180度剥離)に200mm/分の速度で剥離した時の剥離力を6回測定し、その平均値を粘着力とする。
本発明の保護フィルムは、上述のとおり弱粘着性フィルム単層から構成することができる。本発明における弱粘着性フィルムであれば、粘着力が非常に小さい範囲に抑えられているので、自己内で接着して剥がれ難い状況になることがなく、セパレータあるいはこれにかわる基材層を設けずとも、スムーズにロール状に巻取ることができ、一定時間経過後のロール解反性も良好である。したがって、取扱いも容易であって、基材層やセパレータの費用を削減することもできる。但し、上記記載は本願発明を何等制限するものではなく、弱粘着性フィルム面にセパレータが用いられて形成された保護フィルムを本発明から除外する意味ではない。後述する積層構造の保護フィルムについても同様である。
一方、本発明における弱粘着性フィルムにさらに基材層を積層させて、積層構造の保護フィルムとすることもできる。基材層を積層させるか否かは、用途などによって適宜決定することができる。従来の保護フィルムでは、粘着層と基材層とを積層させる場合であっても、粘着層と基材層の材質によっては、ロール状に巻き取った場合に当接する粘着層表面と基材層表面とが接着して離れがたい状態になってしまうので粘着層の上面にセパレータを設けなければならない場合があった。しかしながら、本発明における弱粘着性フィルムの粘着力は非常に小さいので、ロール状に巻き取った場合に、弱粘着性フィルムと基材層とが接着してロール解反性が不良となることがなく、セパレータの存在を必須としない。
本発明において用いられる非晶性ポリプロピレン系樹脂とは、主としてアタクチックな立体規則性を有するポリプロピレンポリマーが主成分である樹脂をいい、具体的には、ホモポリマーあるいは、α―オレフィンとのコポリマーが挙げられる。特に後者、即ち、非晶性ポリプロピレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。
またこのようなα−オレフィンを用いた非晶性ポリプロピレン−α−オレフィン共重合体としては、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・環状オレフィン共重合体、プロピレン・エチレン・ブタジエン共重合体などが挙げられる。
本発明に用いられる結晶性プロピレン系樹脂とは、アタクチックな立体規則性を有するポリプロピレンポリマーが主成分のもの以外のプロピレン系樹脂であれば、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、3元共重合ポリプロピレン等のいずれのものを用いてもよい。特に、アイソタクチック及び/またはシンジオタクチックな立体規則性を有するポリプロピレンを主成分とするポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられるが、ここに数重量%のアタクチックポリプロピレン系樹脂が含まれていてもよい。また本発明において用いられる結晶性プロピレン系樹脂は1種だけでもよく、あるいは2種以上の組み合わせで用いることもできる。
本発明における基材層は、従来から各種フィルムあるいはシートなどの基材層を構成する材料として知られる公知の材料を適宜選択して用いることができる。ここで、従来の保護フィルムでは、ポリプロピレン系樹脂を主たる樹脂として構成される粘着層に、ポリプロピレン系樹脂より構成される基材層を用いて粘着面を有する保護フィルムを形成すると、該フィルムをロール状に成形した際に、必要以上に粘着層表面とこれに重なる基材層とが接着してしまいロール解反性が不良となる虞があった。そこで基材層と粘着層とを同系統の樹脂で構成する場合には、通常、粘着層面にセパレータを設けることでロール解反性が不良となることを防止することが一般的であった。
これに対し、本発明における弱粘着性フィルムは粘着力が非常に小さいため、ロール状に巻き取られた場合に、セパレータを用いずとも弱粘着性フィルム面とこれに重なる基材層とが離れ難い程度に接着してしまう虞がない。したがって、積層構造を有する本発明の保護フィルムは、従来の保護フィルムに比べて基材層の材料の選択範囲が広いというメリットを有する。
また本発明における基材層を構成する別の材料の例としては、エチレン単独重合体、あるいはエチレンを主成分とし、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等のオレフィンとの共重合体又は多元重合体、あるいはエチレンと(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等との共重合体又は多元重合体が挙げられ、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。尚、上記(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及び/またはメタクリル酸を意味する。
本発明の保護フィルムの製造方法としては、基板上、あるいは予め成形した基材層上に、弱粘着性フィルム材料を塗布して乾燥させることにより、弱粘着性フィルム単層よるなり保護フィルム、あるいは基材層と弱粘着性フィルムとが積層された積層構造の保護フィルムを成形することができる。
また別の製造方法としては、溶融押出成形法が採用される。溶融押出成形方法としては、所謂インフレーション法、Tダイ法などがあり、弱粘着フィルム単層を押出成形することによって単層の保護フィルムを形成することもできるし、基材層構成材料をさらに用いて、共押出積層方法により積層構造の保護フィルムを成形することができる。あるいはまた、所謂カレンダー法によって製造してもよい。
本発明は、任意の被保護面の保護を目的として、自己粘着性により該被保護面に貼り付けられ、且つ、保護が必要となくなった後、剥離されることを予定するものである。したがって、弱粘着性フィルム面が被保護面に当接されて自己粘着性により貼り付けられることによって保護が達成されるのであれば、いずれの方法によって本発明の保護フィルムを被保護面に貼り付けてもよい。
弱粘着性フィルムを構成する樹脂材料として、下記に示す、非晶性プロピレン系樹脂を含有する樹脂組成物Aと、結晶性ポリプロピレン系樹脂を含有する樹脂組成物Bとを、表1に示す割合にて混合し、温度200℃にて押出機(サーモプラスチックス工業(株)製 商品名“テストφ40mm押出機”)を用いて、幅寸法30cm、厚さ50μmの単層の粘着フィルムのみからなる保護フィルムを成形し、実施例1〜6、12、13とした。次いで、テスト押出機より押出された保護フィルムの一部を、後述する評価(1)、(2)及び(6)に供するための試料として適当な大きさに採取し、続いて、評価(3)及び(4)のためにフィルムをロール状に巻き取った。尚、表1中の数字はいずれも重量%を示す。後述する表2についても同様である。
弱粘着性フィルムを構成する樹脂材料として、下記に示す、非晶性プロピレン系樹脂を含有する樹脂組成物Aと、結晶性ポリプロピレン系樹脂を含有する組成物Bとを、表1に示す割合にて調整した。また、基材層を構成する樹脂材料として下記に示す基材層構成樹脂を表1の割合で用いた。そして、これらの樹脂材料をそれぞれ表1に示す組み合わせ及び割合で用い、温度200℃にて、テスト押出機(サーモプラスチックス工業(株)製 商品名“テストφ40mm押出機”)により、厚さ20μmの粘着性フィルムと、厚さ30μmの基材層とを共押出成形によって積層させ、幅寸法30cm、厚さ50μmの2層構造の保護フィルムを成形し、実施例7〜11とした。次いで、テスト押出機より押出された保護フィルムの一部を、後述する評価(1)、(2)及び(6)に供するための試料として採取し、続いて評価(3)及び(4)のために、フィルムをロール状に巻き取った。
実施例1の方法と同様に、表2に示す樹脂材料の組み合わせ及び割合にて、粘着性フィルムを成形し比較例1とした。
比較例1と同様に粘着性フィルムを成形し、押出成形機により押出されたフィルムの片側一面に、厚さ25μmPETセパレーターを設けラミネートする事によりフィルムを成形し比較例2とした。
表2に示す組み合わせ及び割合にしたがって、組成物A及びBのかわりに樹脂組成物Cを用いたこと以外は、実施例7と同様に、2層構造の保護フィルムを成形し、比較例3及び比較例4とした。
表2に示す組み合わせ及び割合にしたがって、組成物A及び組成物Bに加えて、第三成分として樹脂組成物Cを用いること以外は、実施例7と同様に、粘着性フィルムと基材層とよりなる2層構造の保護フィルムを成形し比較例5とした。
表1及び表2に記載の使用材料について、以下に詳細を記載する。
非晶性プロピレン系樹脂を含有する組成物(表中では「非晶性PP」と略して記載する)として以下の化合物を使用した。
・非晶性PP1:タフセレンT3712 、MFR=3、非晶性PP:結晶性PP=85:15(重量%)(住友化学(株)社製)
・非晶性PP2:タフセレンT3732、MFR=3、非晶性PP:結晶性PP=50:50(重量%)(住友学(株)社製)
・非晶性PP3:タフセレンT5222 、MFR=10、非晶性PP:結晶性PP=70:30(重量%)(住友化学(株)社製)
・非晶性PP4:VISTMAXX VM1100、MFR=3、非晶性PP:結晶性PP=80:20(重量%)(エクソンモービル社製)
結晶性プリプロピレン系樹脂を含有する組成物(表中では「結晶性PP」と略して記載する)として以下の化合物を使用した。
・結晶性PP1:WINTEC WFX6、MFR=2 (日本ポリプロ(株)社製)
・結晶性PP2:WINTEC WFX4、MFR=7 (日本ポリプロ(株)社製)
・結晶性PP3:S131、MFR=1.2(住友化学(株)社製)
・結晶性PP4:ノバテック FL02A、MFR=20(日本ポリプロ(株)社製)
・結晶性PP5:ノバテックFL03H、MFR=25(日本ポリプロ(株)社製)
比較例における粘着フィルムを構成するための樹脂組成物Cとして、以下に示す化合物を使用した。
・EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体):エバフレックスEV450「酢酸ビニル含有量19%」(三井デュポンポリケミカル(株)社製)
・スチレン系ブロック共重合体:タフテックH1221「スチレン含有量13%」(旭化成ケミカルズ(株))
積層構造の保護フィルムにおける基材層を成形するために、基材層構成樹脂として以下に示すポリエチレン(表中、「PE」と略)またはポリプロピレン(表中、「PP」と略)の化合物を使用した。
・PE1:ペトロセン180(東ソー(株)社製)
・PE2:エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル(株)社製)
・PP1:WINTEC WFX6、MFR=2 (日本ポリプロ(株)社製)
・PP2:WINTEC WFX4、MFR=7 (日本ポリプロ(株)社製)
・PP3:S131、MFR=1.2(住友化学(株)社製)
実施例1〜13及び比較例1〜5について、(1)粘着力、(2)剥離時のフィルム伸び、(3)ロール解反性、(4)成形性、(5)酢酸臭気の有無、(6)フィルム外観を下記の方法で評価した。
アクリル樹脂板を被保護面として用い、以下のとおり試験を行った。アクリル樹脂板の試験面は、油、誇り、粉などの表面の汚れをとるため乾布で充分に清掃した後使用した。試験片は、テスト押出機より押出されたフィルムを、幅方向に25mm、長さ方向に100mmの寸法でカットして作成した。試験片の貼付けは、水平姿勢に配置したアクリル樹脂板の上面に粘着フィルムと該アクリル樹脂板とが対面する向きで試験片を重ね、該試験片の上面において、5880N/m2の圧力のかかったゴムロール(ゴム硬度80度;ショアーゴム硬度計にて測定)を当て、2m/分の速度で移動させて圧着させることにより行った。貼付けた試験片を30分放置後、試験片をアクリル樹脂板に対して水平方向(180度剥離)に200mm/分の速度で剥離した時の剥離力を6回測定し、その平均値を粘着力とした。
上記(1)と同様にアクリル樹脂板に試験片を貼り付け、30分放置後、試験片の長手方向の向きであってアクリル樹脂板に対し水平方向(180度剥離)に200mm/分の速度で剥離した後、剥離後の試験片の長手方向の寸法を測定し、試験前の長手方向の寸法(100mm)に対するフィルムの伸び率(%)を算出した。
テスト押出機から押出されたフィルムを、ロール状に巻き取り、室温において放置し、24時間経過後に、ロール状のフィルムを手で解反した際の解反性を、以下のとおり評価した。
力を入れることなく容易に解反でき、解反後のフィルム表面の外観が良好であった・・・・・○
力を入れても剥がせない、もしくは剥がれるがフィルム同士に接着が認められ剥がされたフィルム表面の外観が不良であった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・×
テスト押出機で押出されたフィルムをロールで巻き取る巻取り工程において、巻取りロールの手前に設置されるキャストロールに保護フィルムをキャストした際、保護フィルムの弱粘着性フィルム面が該キャストロール表面に接着する、所謂「とられ」の発生の有無を目視で確認し、以下のとおり評価を行った。
キャストロールへのとられが発生しなかった・・・・・○
キャストロールへのとられが発生した・・・・・・・・×
フィルム成形工程中に、酢酸臭気を感じるか否かを確認し、以下のとおり評価した。
酢酸臭気が確認されなかった・・・・・○
酢酸臭気が確認された・・・・・・・・×
テスト押出機で押出されたフィルムについて、20cm×20cmの試料についてその表面(保護フィルムが粘着フィルムと基材層との積層構造の場合には、粘着フィルムの表面)外観を目視で観察し以下のとおり評価した。
均一に製膜されており表面外観が良好であった・・・・・・・・・○
流れムラが確認され、外観上、不良な箇所が確認された・・・・・×
上記評価(1)の結果、実施例はいずれも粘着力が0.015N/25mm〜0.5N/25mmの範囲内の非常に弱い粘着力を示した。一方、比較例は、粘着フィルムを構成する樹脂としてEVAを用いた比較例3以外は、いずれも2N/25mm以上の高い粘着力を示した。そして、粘着フィルムの粘着力が起因すると思われる剥離時のフィルム伸び評価(評価2)において、上記粘着力の高かった比較例はいずれも有意なフィルムの伸びが確認され、被保護面への糊残りによる汚染が示唆された。
尚、評価6としてフィルム外観(粘着フィルム表面の外観)を評価した結果、実施例12、13において不良な箇所が見られた。これは、粘着フィルムを構成する樹脂組成物として用いた組成物A及び組成物BのMFR値の差が10を超えていたため、粘着フィルムを押出し成形する際に、組成物の流れムラが発生し均一な製膜が困難となり、その結果、外観上不良部位が形成されたものと推察される。
Claims (3)
- 表面の粘着力が0.015N/25mm以上、0.5N/25mm以下である弱粘着性フィルムからなり、
前記弱粘着性フィルムは、非晶性ポリプロピレン系樹脂を少なくとも含有する組成物Aと、結晶性ポリプロピレン系樹脂を少なくとも含有する組成物Bとを用いて成形されるフィルムであり、
前記組成物AのMFRと前記組成物BのMFRを、JIS K7210に準拠して温度230℃、荷重21.2Nの条件で測定した場合に、前記組成物AのMFRと前記組成物BのMFRとの差が10以下である、ことを特徴とする保護フィルム。 - 前記弱粘着性フィルムにおいて、前記非晶性ポリプロピレン系樹脂が7.5重量%以上、50.0重量%以下及び前記結晶性ポリプロピレン系樹脂が50.0重量%以上、92.5重量%以下の割合で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の保護フィルム。
- 請求項1または2に記載の弱粘着性フィルムに基材層が積層されていることを特徴とする保護フィルム。
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