JP2008081709A - 表面保護フィルム - Google Patents

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【課題】粘着特性、透明性、巻き戻し性および耐熱性に優れた表面保護フィルムを提供する。
【解決手段】表面層(A)および粘着層(X)の少なくとも2層からなる表面保護フィルムであり、表面層(A)が、プロピレン系(共)重合体(a)0〜98重量%および炭素数4以上のα−オレフィンを主成分とするオレフィン(共)重合体(b)2〜100重量%からなる組成物から形成されることを特徴とする表面保護フィルムであり、好ましくは、該多層フィルムはT−ダイから押出成形する方法で得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学製品、建材、自動車部品等に使用される表面保護フィルムに関する。詳しくは、粘着特性、透明性、耐熱性に優れ、被着体等への汚染が少なく、さらにロール状から繰出す際の繰出し性が容易である表面保護フィルムに関する。
表面保護フィルムは、主として建材用や光学用途用の樹脂製品、金属製品、ガラス製品等の被着体に貼付して使用し、これらの輸送、保管や加工時の傷付きまたは異物混入を防ぐ役割を果たしている。これらの表面保護フィルムは、一般には粘着性の無い表面層と、前記被着体と粘着させるための粘着層とからなる。表面層は通常、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニルなどのビニル重合体から形成される。
近年、液晶画面、プラズマディスプレイ(PDP)やリアプロジェクション画面等に用いる部材、いわゆる光学製品の開発が進んでいる。これら光学製品を保護するための表面保護フィルムに対し、傷付きや異物混入のみならず、表面保護フィルムを貼付した状態で製品検査ができる様な透明性や、高温状態で貼付しても適度な粘着力が発現する等の特性が所望されている。
一方、表面保護フィルムを建材や自動車部品用途に使用した場合、表面保護フィルムを貼付した状態で熱成形される場合があり、高い耐熱性が要求されている。
また、比較的粘着力の高い表面保護フィルムでは、ロール状の製品から繰出すことが困難なため、粘着層に離型フィルムを貼り合わせた状態でロール状とし、被着体への貼付の際にこの離型フィルムを剥がして使用している。このような工程を採用すると、大量の廃棄物が発生することから、離型フィルムが無くても容易にロールから繰出すことのできる表面保護フィルムが求められている。
特開2006−116769号公報には、ポリエチレン成分を主体とした表面保護フィルムが開示されている。しかしながら、同公報による方法では、一部用途部材に対しては適用可能であるが、粘着力が低く、また透明性も不充分で、被着体の用途には限りがあった。
特開2006−116769号公報
本発明は、光学製品、建材製品や自動車部品の保管、輸送、加工、検査時に保護するための表面保護フィルムとして要求される特性、特には、粘着特性、透明性、耐熱性およびロールからの繰出し性に優れた表面保護フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を鑑み、鋭意検討した結果、ある特定の樹脂組成物からなる表面層を有する表面保護フィルムにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1.表面層(A)および粘着層(X)の少なくとも2層から表面保護フィルムであり、表面層(A)が、プロピレン系(共)重合体(a)0〜98重量%および炭素数4以上のα−オレフィンを主成分とするオレフィン(共)重合体(b)2〜100重量%からなる組成物から形成されることを特徴とする表面保護フィルム、
2.オレフィン(共)重合体(b)が、4−メチルペンテン−1系(共)重合体である1項記載の表面保護フィルム、
3.粘着層(X)が、オレフィン系エラストマーおよび/またはスチレン系エラストマーから形成される1または2項記載の表面保護フィルム、
4.表面層(A)および粘着層(X)の少なくとも2層をT−ダイから押出成形して得られる多層フィルムである1ないし3項のいずれかに記載の表面保護フィルム、
5.50μm厚みで測定したヘイズが20%以下である1ないし4項のいずれかに記載の表面保護フィルム、である。
本発明の表面保護フィルムは、粘着特性、透明性、巻き戻し力および耐熱性に優れ、光学用途、建材用途、自動車部品用途との保護フィルムとして産業上の利用価値は極めて高い。
次に本発明について詳細に説明する。
本発明の表面保護フィルムは、表面層(A)および粘着層(X)の少なくとも2層からなる。
表面層(A)は、プロピレン系(共)重合体(a)、および炭素数4以上のα−オレフィンを主成分とするオレフィン(共)重合体(b)からなる組成物から形成される。
プロピレン系(共)重合体(a)は、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンまたは炭素数4〜20のα−オレフィンとのランダムまたはブロック共重合体を挙げることができる。
ランダムまたはブロック共重合体において、炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテン等を挙げることができる。
プロピレン系(共)重合体(a)は、融点が、50〜170℃、好ましくは70〜170℃、より好ましくは100〜165℃、さらに好ましくは130〜165℃である。融点が、このような好ましい範囲にあることで、耐熱性が向上する。ここで、融点は、示差走査熱量計(DSC)により、昇温および降温速度10℃/minにて測定した値である。
また、プロピレン系(共)重合体(a)は、230℃で測定したメルトフローレート(以下、MFRと略記)が、0.01〜500g/10分、好ましくは0.1〜100g/10分、より好ましくは0.3〜50g/10分の範囲にある。
前記プロピレン系(共)重合体(a)は、固体状チタン化合物およびアルキルアルミニウム化合物を主成分とした固体状チタン触媒のみならず、メタロセン化合物を主成分としてメタロセン触媒の存在下に、プロピレンの単独重合またはプロピレンとエチレンまたは炭素数4〜20のα−オレフィンとを共重合することによって得られる。
オレフィン(共)重合体(b)は、炭素数4以上のα−オレフィンを50〜100モル%、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%含有する。炭素数4以上のα−オレフィンとしては、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられるが、好ましくは4−メチルペンテン−1である。
好ましいオレフィン(共)重合体(b)としては、4−メチルペンテン−1単独重合体、4−メチルペンテン−1と炭素数6〜20のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。炭素数6〜20のα−オレフィンとしては、例えば、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ドデセン等である。
オレフィン(共)重合体(b)は、融点が、150〜300℃、好ましくは180〜280℃、より好ましくは200〜250℃の範囲にある。融点がこのような好ましい範囲にあると、成形性が良好で、耐熱性に優れた表面保護フィルムが得られる。
また、オレフィン(共)重合体(b)は、230℃で測定したMFRが、0.1〜500g/10分、好ましくは0.5〜200g/10分、より好ましくは1〜100g/10分の範囲にある。
本発明の表面保護フィルムにおける表面層(A)は、前記プロピレン系(共)重合体(a)およびオレフィン(共)重合体(b)からなる組成物から形成される。
該組成物中のプロピレン系(共)重合体(a)の割合は、0〜98重量%、好ましくは0〜95重量%、より好ましくは5〜90重量%、オレフィン(共)重合体(b)の割合は、2〜100重量%、好ましくは5〜100重量%、より好ましくは10〜95重量%である。
該組成物中には、本発明の表面保護フィルムとしての特性を損なわない範囲で、帯電防止剤、離型剤、酸化防止剤、耐候剤、結晶核剤などの各種添加剤や、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、エラストマー等の樹脂改質剤を添加することも可能である。
前記プロピレン系(共)重合体(a)とオレフィン(共)重合体(b)、必要に応じて添加剤や改質剤は、例えば単軸または二軸押出機やフィーダールーダー等により混錬した上で、さらにフィルム状に加工しても良いが、押出機を兼ね備えたT−ダイ成形機に直接投入し、本発明の表面保護フィルムの表面層とすることもできる。
本発明の表面保護フィルムの粘着層(X)としては、表面保護フィルムの粘着層として使用されている公知の粘着剤であれば使用することが可能であるが、フィッシュアイの発生による被着体損傷や、粘着剤の被着体への移行、いわゆる糊残りの観点から、オレフィン系エラストマーおよび/またはスチレン系エラストマーであることが好ましい。より好ましくは、オレフィン系エラストマー、またはオレフィン系エラストマーとスチレン系エラストマーからなる組成物である。
オレフィン系エラストマーとしては、融点が110℃以下、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下または融点が観測されない炭素数2〜20のα−オレフィン重合体または共重合体、ないしはエチレンと不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸エステルとの共重合体である。具体的には、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、プロピレン単独共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、1−ブテン単独重合体、1−ブテン・エチレン共重合体、1−ブテン・プロピレン共重合体、4−メチルペンテン−1単独重合体、4−メチルペンテン−1・プロピレン共重合体、4−メチルペンテン−1・1−ブテン共重合体、4−メチルペンテン−1・プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体等を挙げることができる。粘着力の経時安定性の点から、好ましくは、プロピレン単独共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体である。
スチレン系エラストマーとしては、ポリスチレン相をハードセグメントとして有する公知のスチレン系エラストマーが使用できる。具体的には、スチレン・ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SEBS)、およびこれらの水素化物を挙げることができる。
上記オレフィン系エラストマーおよび/またはスチレン系エラストマーを、単独または各々異なる組成の成分をブレンド使用することで、本発明の表面保護フィルムにおける粘着層(X)を形成することができる。また、本発明においては、粘着力の制御を目的として、さらには本発明の特性を損なわない範囲で、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の樹脂改質剤や、帯電防止剤、結晶核剤、酸化防止剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
上記オレフィン系エラストマーおよび/またはスチレン系エラストマー、および必要に応じて樹脂改質剤または添加剤は、前記表面層(A)と積層することにより、本発明の表面保護フィルムとすることができる。
表面層(A)と粘着層(X)を積層する方法については特に制限は無いが、あらかじめT−ダイ成形またはインフレーション成形にて得られた表面層フィルム上に、押出ラミネーション、押出コーティング等の公知の積層法により積層する方法や、表面層および粘着層を独立してフィルムとした後、各々のフィルムをドライラミネーションにより積層する方法等が挙げられるが、生産性の点から、表面層、粘着層の各成分を多層の押出機に供して成形する共押出成形が好ましい。
本発明においては、表面層(A)と粘着層(X)との間に少なくとも1層の中間層を設けることも可能である。また、表面層(A)および粘着層(X)との接着力が不足する場合には、中間層として接着剤または接着層を使用しても良い。
中間層としては特に制限はないが、一般には、融点が100℃以上のポリプロピレンやポリエチレンなどの結晶性ポリオレフィンや、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン系エラストマーなどが使用できる。中間層を接着層として使用する場合には、変性ポリオレフィンや、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステルエラストマーなどが用いられる。これらの中で、生産性および透明性の点から、ポリプロピレンやポリオレフィンエラストマーを中間層として使用するのが好ましい。
本発明の表面保護フィルムにおける表面層(A)の厚みは、0.05〜200μm、好ましくは0.5〜100μm、より好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは1〜15μmである。粘着層(X)の厚みは、0.05〜50μm、好ましくは0.3〜40μm、より好ましくは0.5〜30μmである。
したがって、本発明の表面保護フィルムの厚みは、必要により設けることもある中間層を含め、0.1〜500μm、好ましくは0.5〜400μm、より好ましくは3〜300μmである。
上記好ましい形態の表面層(A)、粘着層(X)および中間層を使用することで、透明性に優れた表面保護フィルムが得られ、特には光学用途に対して好適に利用できる。
本発明の表面保護フィルムの好ましい透明性としては、50μmの厚みで測定したヘイズが20%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下となる。
以下、本発明を実施例により詳細説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[評価法]
粘着力:アクリル板を幅50mm、長さ125mmに切断し、この試験板に加圧式ロールラミネーターを用いて貼り付ける。次いで、300mm/分の速度で剥離(180度剥離)した時の剥離力を測定し、25mm幅あたりの剥離力を粘着力(N/25mm)とする。ここで、貼付けおよび剥離力の測定は23℃の条件下で行なった。
巻き戻し力:ロール状サンプルを用い、300mm/分の速度でロールから引き剥がす時の剥離力(N/25mm)を測定し、巻き戻し力とする。
ヘイズ:JIS K7105に準拠し、厚み50μmのフィルムにて測定した。
実施例1
表面層および粘着層用に30mmφの単軸押出機および中間層に40mmφ単軸押出機を兼ね備えたダイ幅500mmの3種3層T−ダイ成形機に以下樹脂組成物を供給し、表面層厚み10μm、粘着層厚み10μ、中間層厚み30μm、トータル厚み50μmの表面保護フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表−1に示す。
表面層:
ホモポリプロピレン(銘柄名:F107BV、融点=160℃、MFR=7g/10分、プライムポリプロ社製)70重量%、
ポリ4−メチルペンテン−1(商品名:TPX、銘柄名:RT18、融点=237℃、MFR=26g/10分、三井化学社製)30重量%。
中間層:
ランダムポリプロピレン(銘柄名:F327、融点=138℃、MFR=7g/10分、プライムポリプロ社製)100重量%
粘着層:
プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体(エチレン含量13モル%、ブテン含量19モル%、融点は観測されない、MFR=7g/10分)80重量%
ランダムポリプロピレン(銘柄名:F327、融点=138℃、MFR=7g/10分、プライムポリプロ社製)20重量%
実施例2、3、比較例1
各種層の樹脂組成を表−1記載の樹脂組成とした以外は、実施例1と同様にして表面保護フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表−1に示す。
Figure 2008081709
h−PP;
ホモポリプロピレン(銘柄名:F107BV、融点=160℃、MFR=7g/10分、プライムポリプロ社製)
r−PP;
ランダムポリプロピレン(銘柄名:F327、融点=138℃、MFR=7g/10分、プライムポリプロ社製)
TPX;
ポリ4−メチルペンテン−1(商品名:TPX、銘柄名:RT−18、融点=237℃、MFR=26g/10分、三井化学社製)
PEBR−1;
プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体(エチレン含有量13モル%、ブテン含有量19モル%、融点は観測されず、MFR=7g/10分)
PEBR−2;
プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体(エチレン含有量12モル%、ブテン含有量19モル%、50〜60℃にブロードな融点ピークが観測、MFR=7g/10分)
HSBR;
スチレン系エラストマー(水添SBR、JSR製ダイナロン1320P)
本発明の表面保護フィルムは、粘着特性、透明性、巻き戻し力および耐熱性に優れ、光学用途、建材用途、自動車部品用途との保護フィルムとして産業上の利用価値は極めて高い。

Claims (5)

  1. 表面層(A)および粘着層(X)の少なくとも2層からなる表面保護フィルムであり、表面層(A)が、プロピレン系(共)重合体(a)0〜98重量%および炭素数4以上のα−オレフィンを主成分とするオレフィン(共)重合体(b)2〜100重量%からなる組成物から形成されることを特徴とする表面保護フィルム。
  2. オレフィン(共)重合体(b)が、4−メチルペンテン−1系(共)重合体であることを特徴とする請求項1記載の表面保護フィルム。
  3. 粘着層(X)が、オレフィン系エラストマーおよび/またはスチレン系エラストマーから形成されることを特徴とする請求項1または2記載の表面保護フィルム。
  4. 表面層(A)および粘着層(X)の少なくとも2層をT−ダイから押出成形して得られる多層フィルムである請求項1ないし3のいずれかに記載の表面保護フィルム。
  5. 50μm厚みで測定したヘイズが20%以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の表面保護フィルム。
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