JP5544821B2 - 粘着フィルムロール - Google Patents

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Description

本発明は粘着フィルムロールに関する。本発明の粘着フィルムロールは、合成樹脂版、化粧合板、金属板および塗装鋼板のような物品の表面にこれを貼ることによって、物品の表面を埃の付着や傷つきのような好ましくない影響から保護するための表面保護フィルムとして、またプリント基板のハンダ浸漬時の表面保護フィルムとして、特に好ましく用いることが出来る。本発明における「粘着フィルム」という用語は、粘着シートや粘着テープをも意味する。
従来から、被被覆体の表面保護を目的とした粘着フィルムは、建築資材や電気、電子製品、自動車等の加工、保管、輸送等に用いられており、このような粘着フィルムは良好な粘着性を有するとともに、使用後は非被覆体の表面を粘着剤で汚染することなく容易に引き剥がすことができなくてはならない。近年、可塑化塩化ビニル樹脂を基材とした粘着フィルムに替わってポリオレフィン系樹脂を基材とした粘着フィルムが使用されるようになってきた。粘着層の樹脂としてはEVAや低密度ポリエチレンやSIS,SEBS等のエラストマーを使用するのもが多かったが、耐熱性に劣るため、加熱処理を行った後に粘着力が増大して剥離が困難となったり、粘着剤が残存するなどの問題があった。
この問題に対して、高温環境下でも極端な粘着力の経時変化することなく、好適な粘着力を維持する粘着剤として、非晶性オレフィン重合体を配合した組成物が記載されている。(例えば、特許文献1,2等参照)
しかしながら、これらの粘着フィルムにおいては離形層については言及されていない。
また、粘着層の反対面に特定の表面粗さを有する表面層を設け、対ブロッキング性を向上させたフィルムが開示されている(例えば特許文献3参照)。
しかしながら、このフィルムも性能面では十分ではなかった。
また、フィッシュアイによる外観の問題や、粘着層と基材層の耐ブロッキング性が不十分であり、ロール状態での保管状態によっては、ブロッキングが生じることが予想される。
また、粘着層に粘着付与剤を添加した粘着フィルムについて開示されている(例えば、特許文献4参照)が、高温環境下での被着体汚れ、粘着力昂進などの問題が認められる。
特開2006−63123号公報 特開2006−257247号公報 特開2008−68564号公報 特開2006−335989公報
本発明が解決しようとする課題は、ロール状態で保管される場合にブロッキングが生じにくく、被着体に貼り合せた直後と経時後で粘着力の変化が少なく、しかも粘着フィルムをロール状態で保管する際に保管状態の影響を受けることがなく、ロールの長尺方向で粘着力が安定している粘着フィルムロールを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討の結果、粘着フィルムをロール状態で保管する場合に、粘着層表面はその反対面の影響を受けやすく、粘着力の低下や、被着体に貼り合せた後に粘着力が変化したり、ロールの長尺方向で粘着力が不安定になることがあることも見出し、本発明に到着したものである。
即ち、本発明はポリプロピレン系樹脂からなる基材層の表面に粘着層と離形層を有する積層体からなる無延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムを、長さ200m以上、幅500mm以上の寸法で巻き取ったことを特徴とする粘着フィルムロールであって、
前記フィルムロールの巻き芯における離形層の平均表面粗さSRaとロール表面における離型層表面の平均表面粗さSRaが0.200μm以下であり、前記フィルムロールの巻き芯における粘着層の平均表面粗さSRaとロール表面における粘着層の平均表面粗さSRaが0.030μm以下であり、かつ前記フィルムロールの巻き芯における粘着層の平均表面粗さSRaとロール表面における粘着層の平均表面粗さSRaの差の絶対値が0.010μm以下であることを特徴とする粘着フィルムロールである。
本発明によれば、ロール状態で保管される場合にブロッキングが生じにくく、被着体に貼り合せた直後と経時後で粘着力の変化が少なく、しかも粘着フィルムをロール状態で保管する際に保管状態の影響を受けることがなく、ロールの長尺状態で粘着力が安定している粘着フィルムロールを得ることができる。しかも、加工適性に優れている。
この場合において、前記フィルムロールの巻き芯における粘着力とロール表面における粘着力の差が7cN/25mm以下であることが好適である。
さらにまた、この場合において、前記フィルムの離型層がプロピレンを主体とする樹脂からなり、その平均表面粗さSRaが0.08〜0.20μmであることが好適である。
さらにまた、この場合において、前記フィルムの粘着層がポリオレフィン系エラストマーを含有し、その平均表面粗さSRaが0.005〜0.020μmであることが好適である。
さらにまた、この場合において、前記フィルムロールの巻き芯における粘着層の表面粗さSRa(1)とロール表層における粘着層の表面粗さSRa(2)の差の絶対値が0.007μm以下であることが好適である。
本発明によれば、ロール状態で保管される場合にブロッキングが生じにくく、被着体に貼り合せた直後と経時後で粘着力の変化が少なく、しかも粘着フィルムをロール状態で保管する際に保管状態の影響を受けることがなく、ロールの長尺方向で粘着力が安定している粘着フィルムロールを得ることができる。しかも加工適性に優れるという利点を有する。
測定試料の模式図である。
以下、本発明の粘着フィルムの実施の形態を説明する。
(基材層)
本発明の粘着フィルムロールは、ポリプロピレン系樹脂からなる基材層を必要とし、こ
こで用いるポリプロピレン系樹脂としては、結晶性ポリプロピレン、プロピレンと少量のαオレフィンとのランダム共重合またはブロック共重合体等を挙げることができ、さらに詳しくは、結晶性ポリプロピレン樹脂として、通常の押出成形などで使用するn−へプタン不溶性のアイソタクチックのプロピレン単独重合体又はプロピレンを60重量%以上含有するポリプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができ、このプロピレン単独重合体あるいはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体を、単独又は混合して使用することができる。
ここで、n−ヘプタン不溶性とは、ポリプロピレンの結晶性の指標である同時に安全性を示すものであり、本発明では、昭和57年2月厚生省告示第20号によるn−ヘプタン不溶性(25℃、60分抽出した際の溶出分が150pPm以下〔使用温度が100℃を超えるものは30PPm以下〕)に適合するものを使用することが好ましい態様である。
プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体のα−オレフィン共重合成分としては、炭素数が2〜8のα−オレフィン、例えば、エチレンあるいは1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどのC4以上のα−オレフィンが好ましい。
ここで共重合体とは、プロピレンに上記に例示されるα−オレフィンを1種又は2種以上重合して得られたランダム又はブロック共重合体であることが好ましい。
また、メルトフローレート(MFR)は、0.1〜100g/10min、好ましくは0.5〜20g/10min、さらに好ましくは、1.0〜10g/10minの範囲のものを例示することができる。特に好ましくは3.0〜8.0g/10minの範囲が好ましい。
本発明の基材層の厚さは、5μm以上、100μm以下であることが好ましく、15μm以上、50μm以下であることがさらに好ましい。
被着体への貼り合わせ、剥離等の作業性を考慮した場合、粘着フィルムにはある程度の腰感が必要となる。基材層の厚さが5μm未満であると、腰感が弱くなり、シワになったり、取扱い性が悪化するという問題がある。100μm以上であるとコストの点で問題がある。
低コストで良好な取扱い性を得るためには、室温での粘着フィルム全体の弾性率が300MPa以上であること好ましい。
これらの物性を満足させるために、基材層にはホモポリプロピレンを使用することが好ましい。ホモポリプロピレンを使用することにより、耐熱性も向上して高温条件下での腰感も良好なものを得ることができる。
基材層に使用する結晶性ポリプロピレンは、市販されているものを使用することで充分な特性を得ることができる。物性としては、融点150〜165℃、密度0.88〜0.92、弾性率1000〜1800MPaの範囲のものである。具体的な例としては、住友化学(株)製FLX80E4、WF836DG3などがあげられる。
(粘着層)
また、本発明の要件である粘着層に用いる樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂からなる層に粘着層を積層する関係上、オレフィン系重合体を用いることが、層間強度を高めたり、剥離後の被着体への粘着層の残存を防ぐ意味から望ましい。
さらに、本発明要件のフィルム特性を満たすためには、粘着層がポリオレフィン系エラストマーを含有することが好ましい。
前記ポリオレフィン系エラストマーを含有させる方法としては、下記(1)あるいは(2)が挙げた樹脂を使用するのが好ましい。
(1)プロピレン単独重合体もしくは少量のエチレンを含むプロピレン−エチレンランダム共重合体のマトリックスにオレフィン系ゴムを微分散させたプロピレン系ブロック共重合体樹脂。オレフィン系ゴムとしては、エチレン−プロピレンランダム共重合体エラストマーが好ましい。このプロピレン系ブロック共重合体樹脂としては、三菱化学(株)製「ゼラスMC707」を例示することができる。
(2)プロピレン単独重合体樹脂もしくは少量のエチレンを含むプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂に、オレフィン系エラストマー樹脂を層総重量に対して15重量%以上、50重量%以下となるように混合したもの。オレフィン系エラストマー樹脂としては、エチレン−プロピレンランダム共重合体が好ましく、またメルトフローレートは1〜10g/10分の範囲のものが好ましい。
また粘着層には、SBS、SEBS等のスチレン系エラストマーを、被着体への粘着層の残存が問題とならない程度少量添加しても良い。
本発明の粘着フィルムの粘着層の表面の平均粗さSRaは0.010μm以上0.030μm以下である必要がある。好ましくは、0.025μm以下であり、さらに好ましくは、0.020μm以下であり、特に0.015μm以下であることが好ましい。
ここで、粘着層の表面の平均粗さSRaが0.030μmを超える場合は、被着体と貼りあわせの際に接触面積が減る為、粘着力を下げる原因となり、好ましくない。粘着力を決める要因の一つに、貼り合わされたフィルムの接触しているそれぞれの表面では、物質同士が引き合う力、すなわちファンデルワールス力が働いており、この力が粘着力の源となっている。ここで、接触面積が少ないということは、貼り合わされたフィルム表面と被着体表面の間での引き合う力が少なくなる事を意味し、粘着力を下げることとなるので好ましくないというものである。
また、粘着層表面を出来る限り平面にする必要があり、表面凹凸を形成する様な添加剤は、添加しない様にするのが好ましいといえる。
一方、粘着層の表面の平均粗さSRaを0.010μm未満とする事は、添加剤無添加の無延伸フィルムにおいても事実上困難といえる。
粘着層表面の平滑性を向上させる方法としては、前述のように添加剤を使用しないことの他に、樹脂の相溶性向上、フィルム製造時のロール表面、とくに溶融樹脂を冷却・固化する冷却ロール表面の平滑化、冷却ロール表面温度を下げることなどが挙げられる。
本発明の粘着層の厚さは、1μm以上、30μm未満であることが好ましい。
粘着フィルムの厚さが1μm未満であると粘着の安定性、強度不足の問題があり、30μm以上であると、フイルムの腰感、ロール状態でのブロッキング等の問題がある。
このとき、粘着力を大きくする場合は、その粘性を考慮し、厚みを大きくするのが好ましい。粘着層の厚みが大きいと、被着体表面の形状に追従しやすくなり、接触面積が大きくしやすく、特に硬めの樹脂を粘着層に用いたときに有効である。
粘着層の厚さは、ブロッキングの点では、2μm以上、20μm以下であることが好ましく、さらに2μm以上、15μm以下が好ましく、特に2μm以上、10μm以下が好ましい。
(離形層)
本発明の粘着フィルムは、粘着層の反対面に離形層を形成するが、こうすることよって粘着フィルム同士を重ねても粘着フィルム同士のブロッキングが少なく、特に粘着フィルムをロール状態で保管した後にもブロッキングが少なく、加工適性に優れる。
この場合、その平均表面粗さSRaを0.050μm以上とするのが好まししい。
しかしながら、単に離形層の粗さを大きくするだけるだけでは、離形層の表面凹凸が粘着層の表面に転写し、粘着力や上述した接着面積が低下したり、被着体に貼り合せた直後と経時後で粘着力の変化が生じさせることから、その平均表面粗さSRaを0.200μm以下とするのが好ましい。そうすることで耐ブロッキング性と被着体の保護性能を向上させることができ、且つ透明性の悪化を抑制することが可能となる。
このとき、離形層の表面凹凸は、平均粗さSRaで0.150μm以下となる様な表面にすることが好ましく、さらに0.060μm以上、0.130μm以下が好ましく、0.080μm以上、0.130μm以下が最も好ましい。
上記のような表面凹凸を形成するには、例えば、シリコーン樹脂やフッ素樹脂からなる層や、ポリプロピレン系樹脂にポリエチレン樹脂やEMMA樹脂をブレンドする方法や、シリカ、PMMA等の粒子を混合する方法、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体、またはこれらの共重合体とプロピレン樹脂とを混合することにより表面凹凸のある層を形成することが出来る。
これらの表面凹凸を形成する方法の中で、シリコーンやEMAAなどはオレフィン系樹脂との相溶性不良による層間強度不足や、外観異常などの問題がある。また、プロピレン系樹脂に粒子を分散させる方法では、ハンドリング時の粒子の脱落による性能低下や汚れの問題、溶融押出し時の押出機内のフィルター昇圧等の操業面での問題がある。対して、共押出しで他層プロピレンと他のα−オレフィンと共重合体を使用する方法は、前記の問題が無く、品質面、操業面ともに良好なフィルムを得ることが可能である。
この場合、ブロック共重合体を用いることが好ましい。ブロック共重合体を用いることでプロピレンのマトリックスに、共重合体のドメインとの海島構造となり、表面に微細な凹凸が形成される。
離型層に用いる樹脂としては、サンアロマー(株)製「PC480A」、「PC523A」や日本ポリプロ(株)製「BC3HF」などのプロピレン−エチレンブロックコポリマーを例示することが出来る。また、これらのプロピレン−エチレンブロックコポリマーに、適量のホモプロピレンポリマーやプロピレン−エチレンランダムコポリマーをブレンドすることで、望ましい表面粗さを得ることができる。
(粘着フィルムロール)
本発明の粘着フィルムロールは、粘着層表面の50℃における初期の粘着力と23℃における初期の粘着力の差が10cN/25mm以下であることが好ましく、特に5cN/25mm未満であることが好ましく、このように高温での粘着力が常温の場合に比べて変化が小さいと、経時での粘着力の変化が少ない。
本願の粘着フィルムロールの粘着力は23℃において、3〜50cN/25cmの範囲であることが、被着体の保護性能及び剥離性の点から好ましい。粘着力は粘着層の樹脂の非晶性などの制御により、適宜設定可能である、
本発明の粘着フィルムロールは、フィルム製造時の巻き取り方向に対して直行する方向である横方向の厚み変動率が、2.0%以上10.0%以下の範囲であることが必要であり、好ましくは、7.0%以下であり、さらに好ましくは、5.0%以下である。厚み変動率が10.0%を超える場合は、被着体に粘着フィルムを加圧貼り付けする際に、場所による圧力のムラが生じ、粘着力を低下させる原因となるので、好ましくない。一方、厚み変動率を2.0%未満に抑えることは、製膜技術的に困難といえる。
本発明の粘着フィルムは、例えば滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃改良剤などの公知の添加剤を必要に応じて含有させたりすることが出来るが、ブリードによる粘着力の阻害を生じるので、極力少ない方が好ましい。
この場合、粘着層表面の低分子量物質を1mg/m未満にすることが好ましい。
1mg/m2以上存在すると粘着層表面と被被着体表面の間に異物が存在する事となり、接触面積を減らし、ファンデルワールス力を低下させる原因となる為、粘着力が低下し好ましくない。添加剤を添加する場合は、高分子型等の添加剤を選択したり、添加方法を検討するなどして、粘着層への移行、転写がない様にすることが必要である。
本願発明の粘着フィルムロールは、上記要件に加えて、その粘着層の樹脂の非晶性などの制御により、粘着力を適宜設定することにより、粘着フィルムロールの巻き芯における粘着力とロール表面における粘着力の差が例えば、初期において7cN/25mm以下であることが好ましく、特に5cN/25mm未満であることが好ましい。
また、本発明の粘着フィルムのヘイズ値は35%以下の範囲であることが、特に光学用の被着体に使用する場合には好ましい。さらに好ましくは25%以下である。
本願発明の粘着フィルムの引張り弾性率は、被着体への貼り合せ工程での作業性を考えると縦横両方向とも300MPa以上が好ましく、被着体表面への追従性を考慮すると、800MPa以下が好ましい。より好ましくは400から700MPaである。
本発明の粘着フィルムロールの製造方法は、特に限定されるものではないが、インフレーションフィルム製造装置やTダイフィルム製造装置を用いて基材層、粘着層をそれぞれ成形後、押出しラミネート法により貼り合せたり、最初から共押し出しにより、多層フィルムを形成しても良い。ここで、好ましい厚み変動率の範囲を得るには、共押出し法により多層フィルムを成形する方法が好ましい。
冷却固化して得られた粘着フィルムロールは、スリット工程を経て所定の幅のロールに下降されるが、そのスリットされたロールの表面硬度は、400以上700以下が好ましい。400未満のでは巻ズレの懸念があり、700を超えると離形層表面の形状が粘着層表面に転写しやすくなる。また経時での巻姿の安定性の面から500以上650以下がより好ましい。
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない限り下記の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例における物性の評価方法は以下の通りである。
(1)引張弾性率
JIS K 7162試験方法に準拠して下記の条件にて測定した。
試験片:1A型
つかみ間:115mm
標線間距離:50mm
速度:1mm/min
測定温度:30℃,100℃
(2)表面粗さの測定
(株)小坂研究所製型式ET−30HK、解析装置TDA−21を用いて、離型面、粘着面の次元中心面平均粗さ(SRa)を次の条件で触針法により測定した。
触針先端曲率半径:0.5μm
針圧:20mg
測定長:1000μm
縦倍率:5000倍
測定速度:100μm/s
測定間隔:2μm
カットオフ:80μm
(3)粘着性の評価
JIS−Z−0237(2000)粘着テープ・粘着シート試験方法に準拠して下記の方法にて測定した。
被着体として、アクリル板(三菱レイヨン(株)製:アクリライト3mm厚)50mm×150mmを準備し、試験片として、フィルム製造時の巻き取り方向に25mm、それとは直交する方向に180mmの試験片を切り出し、質量2000gのゴムロール(ローラ表面のスプリング硬さ80Hs、厚さ6mmのゴム層で被覆された、幅45mm、直径(ゴム層を含む)95mmのもの)を用いて、被着体と試験片を5mm/秒の速さで、1往復させて圧着した。圧着後、温度23℃、相対湿度65%の環境下で30分放置したものを初期とし、24時間放置したものを経時として、東洋精機社製「テンシロン」(UTM−IIIL)を用いて、300mm/分の速度で180度の角度を保持しながら剥離した際の抵抗値を粘着力[cN/25mm]とした。測定の際は測定試料のつかみ代として厚み190μmサイズ25mm×170mmのポリエステルシートを準備し、上記、粘着フィルムとアクリル板を圧着した測定試料の粘着フィルム側の端に、のり代15mmの幅でセロハンテープにて貼り付けて、測定の際のつかみ代とした。測定試料の模式図を図1に示す。測定は一つのサンプルに関して3回実施し、その平均値をそのサンプルの粘着力とした。
(4)フィルムヘイズ
JIS−K−7105プラスチックの光学的特性試験方法に準拠して日本電色工業(株)ヘイズメーターNDH−2000を用いて測定した。
(5)耐ブロッキング性の評価
粘着フイルムを縦150mm×横50mmのサイズに切り出し、粘着面と離型面を対向させて重ね合わせた後、20kgの荷重をかけて40℃環境下で7日間静置した。その後、処理した粘着フイルムを25mm巾×100mm長に切り出し、東洋精機製 引張り試験機テンシロンUT−IIILを用いて、速度300mm/分の速度で粘着面と離型面間を180°剥離した際の抵抗値[cN/25mm]を測定した。
(6)高温ハンドリング性
粘着フィルムを被着体に貼りつけ・剥離するラインを想定した、作業性の評価を下記の方法で実施した。
前述の粘着性評価方法で、サンプルサイズのみA4版に変更して、粘着フィルムとアクリル板を貼り合わせた後、100℃で熱処理を行い、その後に手による剥離性の評価を実施した。
・ 貼り合わせ易さ
アクリル板との貼り合わせ時の作業性を評価
○:フィルムに充分な腰があり、容易に貼り合わせが可能。貼り合わせ時にシワや浮きが発生しない。
×:フィルムの腰が弱く、貼り合わせ時にシワ・浮きが発生しやすい。
・ 剥離性
○:容易に剥離可能
△:剥離時に僅かにフィルムが変形するが、実用上は問題無い
×:剥離時にフィルムが伸びて剥離が困難。剥離に時間がかかる
(7)フィルムロールの表面硬度
パロテスター(proceq製 形式:parotester2)にてフィルムロールの幅方向で5点巻硬度を測定し、その平均値を求めた。
実施例および比較例より得られた結果は表1に示す。
[実施例1]
(基材層の作成)
ホモポリプロピレン樹脂(住友化学社製:FLX80E4、引張弾性率:1500MPa)100wt%を60mmφ単軸押出し機(L/D:22.4)にて溶融押出しして基層とした。
(粘着層の作成)
ポリオレフィン系エラストマー(三菱化学製:ゼラスMC707)100wt%を45mmφ2軸押出し機(L/D:19)にて溶融押出しして粘着層とした。
(離型層の作成)
プロピレン−エチレンブロック共重合体(日本ポリプロ製:BC3HF)50wt%とホモプロピレンポリマー(住友化学製:WF836DG3)50wt%を45mmφ単軸押出し機(L/D:25)にて溶融押出しして離型層とした。
(フィルムの作成)
基材層、粘着層、離型層それぞれが各押出し機にて溶融された状態のまま、250℃の3層Tダイ(マルチマニホールド型、リップ幅1250mm、リップギャップ1mm)内で積層押出しを行った。押出したフィルムを温度20℃のキャスティングロールへエアーナイフで吹きつけ、10m/min速度で引取り、冷却固化して基材層40μm、粘着層5μm、離型層5μmの3種3層未延伸フィルムを得た。
得られたフイルムを、500mm幅、500m、巻き硬度600のロール状態とした。
ロール巻き芯のフィルム試料は、実施例で得られたフィルムロールを巻き戻し、フィルムロール巻き芯の端部から10m、フィルム両端部からフィルム幅の1/2の距離を中心に長さ250mm、幅350mmのサンプルを長尺方向に連続して3つ切り取り上記のとおり測定する。
ロール表面のフィルム試料は、実施例で得られたフィルムロールを巻き戻し、フィルムロール表面の端部から10m、フィルム両端部からフィルム幅の1/2の距離を中心に長さ250mm、幅350mmのサンプルを長尺方向に連続して3つ切り取り上記のとおり測定し、その平均を求める。
得られたフィルムロールの物性を表1に示す。
このフイルムロールの特性を評価した結果、常温での粘着性を有し、離型層と粘着層間のブロッキングが無く、高温処理時の取扱い性の良好なものであった。
[実施例2]
粘着層の樹脂を、非晶性PP(住友化学製:タフセレンH3522A、結晶融解熱量及び結晶化熱量が28J/g)50wt%とホモポリプロピレン樹脂(住友化学社製:FLX80E4、引張弾性率:1500MPa)50wt%とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムロールを作製した。フィルムロールの巻硬度は590であった。このフイルムロールも、常温での粘着性を有し、離型層と粘着層間のブロッキングが無く、高温処理時の取扱い性の良好なものであった。
[実施例3]
粘着層の樹脂を、ポリオレフィン系エラストマー(三菱化学製:ゼラスMC707)75wt%と離形層の樹脂を、プロピレン−エチレンブロック共重合体(日本ポリプロスチレン系エラストマー(JSR製:DYNARON1320P)25wt%とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムロールを作製した。フィルムロールの巻硬度は600であった。このフイルムロールも、常温での粘着性を有し、離型層と粘着層間のブロッキングが無く、高温処理時の取扱い性の良好なものであった。
[比較例1]
離形層の樹脂を、プロピレン−エチレンブロック共重合体(日本ポリプロ製:BC3HF)10wt%とプロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学製:WF836DG3)90wt%とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムロールを作製した。フィルムロールの巻硬度は590であった。得られたフィルムロールは、巻芯付近でブロッキングを生じた。
[比較例2]
離形層の樹脂を、プロピレン−エチレンブロック共重合体(日本ポリプロ製:BC3HF)100wt%とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムロールを作製した。フィルムロールの巻硬度は580であった。得られたフィルムロールの巻芯側では粘着面の表面粗さが高くなり、粘着力が低くなっていた。
[比較例3]
実施例1と同様に未延伸フィルムを得た後に500mm幅、500mのフィルムロールとする際、巻張力を高くすることでフィルムロールの巻硬度を730とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムロールを作製した。得られたフィルムロールの巻芯側では粘着面の表面粗さが高くなり、粘着力が低くなっていた。
本発明の粘着フィルムは、粘着フィルム同士のブロッキングが少なく、特に粘着フィルムをロール状態で保管した後にもブロッキングが少なく、加工適性に優れ、ロール全長に亘って粘着力が安定しているので、合成樹脂板、化粧合板、金属板および塗装鋼板、また、自動車の焼付け塗装時やプリント基板などの幅広い用途分野に利用することができ、産業界への寄与が大きいものである。

Claims (5)

  1. ポリプロピレン系樹脂からなる基材層の表面に粘着層と離形層を有する積層体からなる無延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムを、長さ200m以上、幅500mm以上の寸法で巻き取ったことを特徴とする粘着フィルムロールであって、前記フィルムロールの巻き芯における離形層の平均表面粗さSRaとロール表面における離形層表面の平均表面粗さSRaが0.200μm以下であり、前記フィルムロールの巻き芯における粘着層の平均表面粗さSRaとロール表面における粘着層の平均表面粗さSRaが0.030μm以下であり、かつ前記フィルムロールの巻き芯における粘着層の平均表面粗さSRaとロール表面における粘着層の平均表面粗さSRaの差の絶対値が0.010μm以下であり、
    粘着層は、プロピレン−エチレンランダム共重合体のマトリックスにオレフィン系ゴムを微分散させたポリオレフィン系エラストマー又はプロピレン単独重合体樹脂と非晶性ポリプロピレンとからなるポリオレフィン系エラストマーを含む樹脂を含有し、
    離形層は、プロピレン−エチレンブロック共重合体とプロピレン−エチレンランダム共重合体又はホモプロピレンポリマーとからなる樹脂を含有し、離形層の表面凹凸が平均粗さSRaで0.060μm以上0.150μm以下であり、
    前記フィルムロールの表面硬度が400以上700以下である
    ことを特徴とする粘着フィルムロール。
  2. 請求項1に記載のフィルムロールであって、前記フィルムロールの巻き芯における粘着力とロール表面における粘着力の差が7cN/25mm以下であることを特徴とする粘着フィルムロール。
  3. 前記フィルムの離型層がプロピレンを主体とする樹脂からなり、その平均表面粗さSRaが0.08〜0.20μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粘着フィルムロール。
  4. 前記フィルムの粘着層がポリオレフィン系エラストマーを含有し、その平均表面粗さSRaが0.005〜0.020μmであることを特徴とする請求項1から3に記載の粘着フィルムロール。
  5. 前記フィルムロールの巻き芯における粘着層の表面粗さSRaとロール表層における粘着層の表面粗さSRaの差の絶対値が0.007μm以下であることを特徴とする請求項1から4に記載のフィルムロール。
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