JP2010278156A - 電子部品のダイシング用粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体パッケージ等の配線基板を有する電子部品のダイシングの際に、糸状屑の発生を低減することのできる電子部品のダイシング用粘着シートを提供すること。
【解決手段】配線基板を有する電子部品をダイシングする際に用いられる電子部品のダイシング用粘着シートであって、少なくとも片面に粘着剤層を有する基材の120℃でのMFRが0g/10minであり、120℃での裂け性が5%〜300%であることを特徴とする電子部品のダイシング用粘着シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体パッケージ等の配線基板を有する電子部品のダイシングに用いられる電子部品のダイシング用粘着シートに関する。
従来、シリコン、ガリウム、砒素などを材料とする半導体ウエハは、大径の状態で製造された後、素子小片に切断分離(ダイシング)され、更にマウントされた後、パッケージングされる。このパッケージングでは、通常、複数個のチップが一度にパッケージングされ、更にこの半導体パッケージをダイシング、ピックアップして個々の半導体チップにする。半導体パッケージは、粘着シートに貼り付け固定された状態で、ダイシング工程、洗浄工程、エキスパンド工程、ピックアップ工程の各工程が施される。粘着シートとしては、プラスチックフィルムからなる基材上にアクリル系粘着剤が1μm〜200μm程度設けられてなるものが一般的に用いられている。
半導体パッケージのダイシング工程は、通常、回転しながら移動する丸刃(以下、ダイシングブレードと示す)を用いて行なわれる。その際、ダイシングブレードの切り込みは、半導体パッケージを保持するダイシング用粘着シートの基材内部に到達する様に行われる。このとき粘着シートの基材内部まで切り込みが行なわれると、基材であるプラスチックフィルム自身が糸状となった切断屑が発生する。近年、半導体パッケージの薄型が進んできており、従来なら問題にならなかった糸状屑が半導体パッケージ表面の電極に付着し、実装不良の原因となることが増えてきた。このため、糸状屑の発生をより抑制した電子部品のダイシング用粘着シートの開発が望まれている。
なお、糸状屑の発生メカニズムは、次の通りである。即ち、特開2001−72947号公報(特許文献1)にもある通り、ダイシングブレードが被切断体を切断する際の摩擦で熱せられ、それが基材に切込むことにより基材を構成する樹脂が溶融する。溶融した樹脂は、ダイシングブレードの回転により巻き上げられた後、切削冷却水で冷却固化し糸状屑となる。
従来行なわれていたシリコンウエハのダイシングにおいては、例えば特開平11−43656号公報(特許文献2)及び特開2003−7654号公報(特許文献3)等にあるようなポリプロピレンを主たる構成成分とする基材が糸状屑発生の抑制に有効であった。これはポリプロピレンの融点が高く、熱せられたダイシングブレードによって溶融することが少ない為であったと推定される。しかしながら、このような基材の粘着シートを半導体パッケージのダイシングに用いても、基材由来の糸状屑の発生が依然として起こっていた。
また、特開2006−342330号公報(特許文献4)には、基材の融点が95℃以下のエチレン系樹脂を含有する層を有する多層構造であり、かつ、粘着剤層と接する側に架橋構造を有する層を備えるダイシング用粘着シートが提案されており、ダイシング時に積極的に基材を溶融させて基材を液体のように飛散させることで糸状屑の発生を抑制している。しかしながら、ダイシング条件によっては多量の糸状屑が発生してしまうという問題があるため、より糸状屑の発生を抑えることのできるダイシング用粘着シートが求められている。
特開2001−72947号公報 特開平11−43656号公報 特開2003−7654号公報 特開2006−342330号公報
本発明は、半導体パッケージ等の配線基板を有する電子部品のダイシングの際に、糸状屑の発生を低減することのできる電子部品のダイシング用粘着シートを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、配線基板を有する電子部品をダイシングする際に用いられる電子部品のダイシング用粘着シートであって、少なくとも片面に粘着剤層を有する基材の120℃でのMFRが0g/10minであり、120℃での裂け性が5%〜300%であることを特徴とする電子部品のダイシング用粘着シートに関する。
本発明において基材の120℃での物性を特定するのは、半導体パッケージのダイシングにおいて、高速で回転するダイシングブレードが基材に切り込みを入れる時の温度が90度以上であることが確認されたためである。また、基材の融点をダイシング時の温度よりも低くすることで、ダイシング時に基材を積極的に溶融させると、溶融した基材が切削冷却水により冷却固化して糸状屑が発生することも確認されたため、基材としてはダイシング時に溶融しないものを用いることにした。
すなわち、本発明の電子部品のダイシング用粘着シートの基材の120℃でのMFRを10minとすることで、ダイシングブレードが基材に切り込みを入れる際の基材の溶融を抑え、糸状屑の発生を抑制できる。
また、電子部品のダイシング用粘着シートの基材の120℃での裂け性が5%〜300%であることが好ましく、より好ましくは10%〜200%、さらに好ましくは10%〜100%であり、基材の120℃での裂け性がこの範囲にある場合、ダイシングブレードにより基材が引き伸ばされる前に、基材の切削屑が基材から分離していくので、糸状屑の発生を抑制することができる。一方、基材の120℃での裂け性が300%を超える場合は基材が裂けにくいために、ダイシングブレードによって引き伸ばされた基材が、切削冷却水により冷却固化した糸状屑が基材から分離しないまま半導体パッケージ表面に露出するおそれがある。また、基材の120℃での裂け性が5%未満の場合は基材が裂けやすいために、ダイシングラインの壁面がダイシング時のストレスで割れやすく、糸状屑が発生するおそれがある。
また、本発明は、基材が少なくとも2層以上から構成されており、前記電子部品を貼着保持する粘着剤層に接する側の基材の120℃でのMFRが0g/10minであり、120℃での裂け性が5%〜300%であることを特徴とする電子部品のダイシング用粘着シートに関する。
本発明の電子部品のダイシング用粘着シートの基材は多層構造であってもよく、粘着剤層に接する側の基材の120℃でのMFRが0g/10minであり、120℃での裂け性が5%〜300%であることが好ましく、より好ましくは10%〜200%、さらに好ましくは10%〜100%であり、粘着剤層に接する側の基材がこのような範囲である場合に、糸状屑の発生を抑制することができる。また、基材の各層はそれぞれ同一の基材で構成されていてもよく、異なる基材で構成された層を積層していてもよい。基材を多層構造として、粘着剤層に接する側の基材はダイシング時の糸状屑の発生を抑制するものを用い、その他の層には延伸性の高い基材を用いることにより、ダイシング工程の糸状屑発生を抑制するだけでなく、ダイシング後の粘着テープのエキスパンド工程でも有用な粘着テープを作製することができる。
本発明の電子部品のダイシング用粘着シートは、基材の片面に粘着剤層を設けた構成をとる。
本発明の電子部品のダイシング用粘着シートに用いられる基材は、120℃でのMFRが0g/10minであり、120℃での裂け性が5%〜300%であることが好ましい。
前記基材としては、請求項の範囲の力学的物性を持つものであれば特に限定されず、どのような、材質、分子量分布、分子構造、製法、添加剤種、の基材を用いても問題なく、具体的にはポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン;低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、フッ素樹脂、セルロース系樹脂及びこれらの架橋体などのポリマー等により形成されたものを挙げることができる。これらは、単層であっても多層構造であってもよい。なお、基材の厚みは、少なくともダイサーの切り込み深さよりも厚くし、且つ容易にロ−ル状に巻くことができる程度であれば良く、基材の厚みは、80μm〜300μmが好ましく、より好ましくは80μm〜250μmである。
本発明の電子部品のダイシング用粘着シートに用いられる基材は、スチレン系エラストマー樹脂(以下、SE樹脂と呼ぶ)80重量%〜10重量%及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とジエン系単量体(特に、ブタジエン)とスチレン系単量体との3元共重合樹脂(以下、MBS3元樹脂と呼ぶ)20重量%〜90重量%からなるブレンド樹脂を含むフィルムを用いることが好ましい。つまり、本発明の基材は、上記のブレンド樹脂フィルムを含む単層或いは2層以上のフィルムであることが好ましい。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とは、メタアクリル酸アルキルエステル系単量体又はアクリル酸アルキルエステル系単量体を意味する。
(1)単層フィルム:(A)
本発明の電子部品のダイシング用粘着シートに用いられる基材の一態様として、SE樹脂80重量%〜10重量%及びMBS3元樹脂20重量%〜90重量%からなる層(A)の単層フィルムが挙げられる。
本発明の電子部品のダイシング用粘着シートに用いられる基材で使用するSE樹脂は、主に基材に必要な拡張性(弾性)を付与する機能を有している。SE樹脂は、スチレン系単量体とジエン系単量体からなる共重合体、或いはその水素添加物である。SE樹脂は、弾性を有する軟質の熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマー)であり、それ自身フィルム成形も可能である。
SE樹脂を構成するスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等があげられ、これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。特にスチレンが好適である。
また、SE樹脂を構成するジエン系単量体は、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。特にブタジエンが好適である。
SE樹脂におけるスチレン系単量体単位の含有量は、通常8重量%〜75重量%、好ましくは10重量%〜70重量%であり、また、ジエン系単量体単位の含有量は、通常25重量%〜92重量%、好ましくは20重量%〜90重量%である。スチレン系単量体単位の含有量は、紫外分光光度計又は核磁気共鳴装置(NMR)を用いて、ジエン系単量体単位の含有量は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定することができる。
SE樹脂の硬度(JIS K6253 デュロメータータイプA)は40〜90程度、好ましくは、50〜80程度である。その比重(ASTM D297)は0.85〜1.0程度であり、MFR(ASTM D1238:230℃、21.2N)は3g/10min〜6g/10min程度であり、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定法(DSC法)により測定した値で−50℃〜30℃程度、好ましくは、−40℃〜20℃程度である。
SE樹脂の重量平均分子量(Mw)は、例えば、10万〜50万程度、好ましくは15万〜30万程度であればよい。重量平均分子量は、市販の標準ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定できる。
本発明で使用するSE樹脂は、スチレン系単量体とジエン系単量体からなる共重合物を用いても良いが、ジエン系単量体由来の2重結合が残っているので、公知の方法により水素添加(例えば、ニッケル触媒等)して飽和にしておくのが良い。これにより、耐熱性、耐薬品性、耐久性等に優れたより安定な樹脂になるからである。そのSE樹脂の水添率は、共重合体中の共役ジエン化合物に基づく二重結合の85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。この水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定できる。
本発明で使用するSE樹脂としては、スチレン系単量体とジエン系単量体からなるランダム共重合体の水素添加物(以下、「水添ランダム共重合体」とも呼ぶ)、スチレン系単量体とジエン系単量体からなるブロック共重合体の水素添加物(以下、「水添ブロック共重合体」とも呼ぶ)、或いはそれらをブレンドしたもの等が挙げられる。
水添ランダム共重合体の具体例としては、式:−CH(C65)CH2−で示されるスチレン系単量体単位と、式:−CH2CH2CH2CH2−で示されるエチレン単位と、式:−CH(C25)CH2−で示されるブチレン単位とがランダムに結合している水添ランダム共重合体が挙げられる。
上記の水添ランダム共重合体において、スチレン系単量体単位の含有量は60重量%〜75重量%程度、好ましくは65重量%〜70重量%程度である。また、ガラス転移温度(Tg)は0℃〜30℃程度、好ましくは10℃〜20℃程度である。また、重量平均分子量は10万〜50万程度、好ましくは15万〜30万程度である。
この様な水添ランダム共重合体は、例えば、特開2004−59741号公報に記載の方法により、或いはこれに準じて製造することができる。
一方、水添ブロック共重合体としては、該共重合体の一端又は両末端にスチレン系単量体由来のブロックセグメントを有しさらにジエン系単量体由来のブロックセグメントを有するもの、或いはこれらをブレンドしたもの等が挙げられる。
水添ブロック共重合体としては、例えば、該共重合体の一端に、式:−CH(C65)CH2−で示されるスチレン系単量体由来のブロックセグメントを有し、その中程に、式:−CH2CH2CH2CH2−で示されるエチレン単位、及び/又は、式:−CH(C25)CH2−で示されるブチレン単位を含むブロックセグメントを有し、該共重合体の他端に、式:−CH2CH2CH2CH2−で示されるエチレン単位を含むセグメントを有する水添ブロック共重合体が挙げられる。
上記の水添ブロック共重合体において、スチレン系単量体単位の含有量は8重量%〜50重量%程度、好ましくは10重量%〜40重量%程度である。また、ガラス転移温度(Tg)は−50℃〜0℃程度、好ましくは−40℃〜−10℃程度である。また、重量平均分子量は10万〜50万程度、好ましくは15万〜30万程度である。上記の様な特性を有する水添ブロック共重合体の具体例としては、SEBCが例示される。
或いは、水添ブロック共重合体として、例えば、該共重合体の両末端に、式:−CH(C65)CH2−で示されるスチレン系単量体由来のブロックセグメントを有し、その中程に、式:−CH2CH2CH2CH2−で示されるエチレン単位、及び/又は、式:−CH(C25)CH2−で示されるブチレン単位を含むブロックセグメントを有する水添ブロック共重合体が挙げられる。
上記の水添ブロック共重合体において、スチレン系単量体単位の含有量は8重量%〜50重量%程度、好ましくは10重量%〜40重量%程度である。また、ガラス転移温度(Tg)は−50℃〜0℃程度、好ましくは−40℃〜−10℃程度である。また、重量平均分子量は10万〜50万程度、好ましくは15万〜30万程度である。上記の様な特性を有する水添ブロック共重合体の具体例としては、SEBSが例示される。
SE樹脂のうち、水添ランダム共重合体は、水添ブロック共重合体ほど弾性は高くないが、ダイサーによるダイシングの切り込みが容易であるという利点がある。一方で、フィルム同士のブロッキングの程度は、水添ランダム共重合体の方が水添ブロック共重合体より強くなる傾向がある。そのため、この切り込みの容易さと耐ブロッキング性の両方をあわせもつようにするためには、水添ランダム共重合体を主成分とし、これに水添ブロック共重合体をブレンドした、ブレンドSE樹脂を好適に使用することができる。
このブレンドSE樹脂における水添ランダム共重合体と水添ブロック共重合体の重量比は、例えば、水添ランダム共重合体が55重量%〜80重量%程度、水添ブロック共重合体が45重量%〜20重量%程度が好適である。
本発明の基材で使用するMBS3元樹脂は、該フィルムのブロッキングを抑制すると共に、ダイシング屑(糸状屑)を抑制し、該フィルムに適正な腰の硬さを付与する役割を果たしている。
MBS3元樹脂は、上記したように(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とジエン系単量体(特に、ブタジエン)とスチレン系単量体との共重合体である。MBS3元樹脂は、具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(MAA)系単量体単位30重量%〜62重量%と、ジエン系単量体単位3重量%〜35重量%と、スチレン系単量体単位35重量%〜67重量%とからなる共重合体である。ここで、MAA系単量体単位のアルキルエステルのアルキルは、一般に炭素数1〜5のアルキル(特に、メチル、エチル等)であり、炭素数が大きくなる程該硬度は低下する傾向にある。MAA系単量体単位の具体例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル等が挙げられる。なお、ジエン系単量体及びスチレン系単量体は、上記のSE樹脂の原料として記載されたものを用いることができる。
MBS3元樹脂は硬質樹脂であり、その硬度(JIS K6253 デュロメータータイプD)は、20〜50程度、好ましくは、30〜40である。その比重(ASTM D297)は1.09〜1.11程度であり、MFR(ASTM D1238:230℃、21.2N)は2.0g/10min〜6.0g/10min程度であり、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定法(DSC法)により測定した値で80℃〜95℃程度、好ましくは、85℃〜90℃程度である。また、MBS3元樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10万〜40万程度、好ましくは10万〜20万程度である。測定は、GPC法による。
本発明の単層(A)からなる基材は、上記軟質系のSE樹脂と硬質系のMBS3元樹脂が所定割合でブレンドされた樹脂であることを特徴とし、そのブレンド割合は、SE樹脂を80重量%〜10重量%、好ましくは70重量%〜45重量%、MBS3元樹脂を20重量%〜90重量%、好ましくは30重量%〜55重量%である。これにより、ダイシング屑が発生せず、均一かつ適度な拡張性を有し、フィルム同士の耐ブロッキング性に優れるという顕著な作用効果が発揮される。SE樹脂が80重量%を超え、MBS3元樹脂が20重量%未満になると、特にブロッキングの抑制効果が低下し、適正な腰の硬さが低下する傾向にある。逆にSE樹脂が10重量%を未満で、MBS3元樹脂が90重量%を超えると、フィルムの均一な拡張が困難となり、且つ腰の硬さが硬くなる傾向にある。
本発明の単層(A)からなる基材の厚みは、少なくともダイサーの切り込み深さよりも厚くし、且つ容易にロ−ル状に巻くことができる程度であれば良く、基材の厚みは、80μm〜300μmが好ましく、より好ましくは80μm〜250μmである。
次に、本発明の単層基材の製造方法を説明する。SE樹脂80重量%〜10重量%及びMBS3元樹脂20重量%〜90重量%をドライブレンド又は溶融混練して均一に混合分散する。次に、得られた混合物をスクリュー式押出機に供給し、200℃〜225℃で単層Tダイからフィルム状に押出し、これを50℃〜70℃の冷却ロ−ルに通しながら冷却して実質的に無延伸で引き取る。
ここで、実質的に無延伸とするのは、ダイシング後に行うフィルムの拡張を有効に行うためである。この実質的に無延伸とは、無延伸、或いは、ダイシングフィルムの拡張に悪影響を与えない程度の僅少の延伸を含むものである。通常、フィルム引き取りの際に、たるみの生じない程度の引っ張りであればよい。
(2)3層フィルム:(A)/(B)/(A)
本発明の基材の他の態様として、前記層(A)と、前記SE樹脂100重量%〜80重量%及び前記MBS3元樹脂0重量%〜20重量%からなる層(B)とが、(A)/(B)/(A)の順で積層されてなる少なくとも3層からなるダイシング用基材が挙げられる。
まず、層(A)を構成する樹脂組成については前記と同じである。
中間層にあたる層(B)は、SE樹脂を80重量%以上、好ましくは85重量%以上含有し、また、MBS3元樹脂を20重量%以下、好ましくは15重量%以下含有する。層(B)は、基材に、拡張性(弾性)を付与するものであるが、SE樹脂自身の軟質さによって後述する共押出し成形が円滑に行われない場合や、中間層の厚みを厚くする場合には全体のフィルム腰の硬さがより柔らかくなってしまう場合がある。MBS3元樹脂を20重量%までブレンドすることによりこれらの問題が解決されるのである。
本発明の基材は、SE樹脂を主成分とする層(B)を2つの耐ブロッキング性の高い層(A)の間に積層することで、フィルム同士のブロッキングもなく、均一拡張性に優れ、ダイシング屑の発生もより一層抑制することができる。
本発明の3層(A)/(B)/(A)からなる基材の厚みは、少なくともダイサーの切り込み深さよりも厚くし、且つ容易にロ−ル状に巻くことができる程度であれば良く、80μm〜300μmが好ましく、より好ましくは80μm〜250μmである。
次に、本発明の3層基材の製造方法を説明する。この場合は3層共押出成形法が好ましく採用される。
具体的には、SE樹脂80重量%〜10重量%及びMBS3元樹脂20重量%〜90重量%をドライブレンド又は溶融混練して均一に混合分散して、層(A)用の樹脂混合物を得る。また、SE樹脂100重量%〜80重量%及びMBS3元樹脂0重量%〜20重量%をドライブレンド又は溶融混練して均一に混合分散して、層(B)用の樹脂混合物を得る。
次に、3台のスクリ−式押出機を使って、2台には層(A)用の樹脂を、1台には層(A)用の樹脂を供給し、200℃〜225℃で(A)/(B)/(A)の順で3層Tダイからフィルム状に同時押出しを行い、これを50℃〜70℃の冷却ロ−ルに通しながら冷却して実質的に無延伸で引き取る。実質的に無延伸とは、上記(1)と同義である。
(3)2層フィルム:(A)/(C)
本発明の基材の他の態様として、前記層(A)と、ポリエチレン系樹脂からなる層(C)とが、(A)/(C)で積層されてなる少なくとも2層からなる基材が挙げられる。
まず、層(A)を構成する樹脂組成については前記と同じである。
ポリエチレン系樹脂層(C)を構成するポリエチレン系樹脂は、ポリエチレン単位を主成分としてなる高分子であれば良く、例えば、エチレン単独重合体(エチレンホモポリマー)、エチレンと炭素数3〜8のオレフィン単量体との共重合体、又はエチレンと(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体との共重合体等が好適である。該共重合体は、ポリエチレン単位を80重量%以上、好ましくは90重量%以上含有しているものが好ましい。
ポリエチレン系樹脂の中でも、共重合体が好ましいが、エチレンと(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体との共重合体がより好ましい。これは、層(A)との層間密着力に優れるからである。具体的には、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体(EBA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)等が例示される。このうち、特に、EMMAが好ましい。
ポリエチレン系樹脂のMFR(ASTM D1238:230℃、21.2N)は0.5g/10min〜10.0g/10min程度であり、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定法(DSC法)により測定した値で−130℃〜0℃程度、好ましくは、−120℃〜−10℃程度である。
また、ポリエチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10万〜30万程度、好ましくは15万〜20万程度である。測定は、GPC法による。
本発明の2層(A)/(C)からなる基材の厚みは、少なくともダイサーの切り込み深さよりも厚くし、且つ容易にロ−ル状に巻かれることも考慮して決めることができる。特に、ダイサーがフィルムC層にまで到達するとダイシング屑の発生につながることから、これを抑制するために層(A)の厚みをダイサーの切り込み深さ以上に厚くすることが好ましい。本発明の2層(A)/(C)からなる基材の厚みは、少なくともダイサーの切り込み深さよりも厚くし、且つ容易にロ−ル状に巻くことができる程度であれば良く、好ましくは80μm〜300μm、より好ましくは80μm〜250μmである。この中で層(A)の厚みは基材の厚みの20%〜90%、より好ましくは25%〜80%、さらに好ましくは30%〜70%であれば良い。
本発明の2層からなる基材では、耐ブロッキング性の高いポリエチレン系樹脂層(C)を積層してなるため、上記(1)に記載の単層ダイシング用基材や、上記(2)に記載の3層基材と比べて、耐ブロッキング性は格段に向上する。従って、フィルムを締め付け状態でロ−ル巻きにしようが、より大きな径でロ−ル巻きにしようが、保存場所が高温になろうが、問題になるブロッキングの懸念は完全に払拭される。
次に、本発明の2層基材の製造方法を説明する。この場合は2層共押出成形法が好ましく採用される。
具体的には、SE樹脂80重量%〜10重量%及びMBS3元樹脂20重量%〜90重量%をドライブレンド又は溶融混練して均一に混合分散して、層(A)用の樹脂混合物を得る。また、ポリエチレン系樹脂をドライブレンド又は溶融混練して、層(C)用の樹脂混合物を得る。
次に、それぞれの樹脂混合物を2台のスクリ−式押出機に供給し、200℃〜225℃で2層Tダイからフィルム状に共押出しを行い、これを50℃〜70℃の冷却ロ−ルに通しながら冷却して実質的に無延伸で引き取る。実質的に無延伸とは、上記(1)と同義である。
(4)3層フィルム:(A)/(B)/(C)
本発明の基材の他の態様として、前記した層(A)、層(B)及び層(C)とが、(A)/(B)/(C)の順で積層されてなる少なくとも3層からなる基材が挙げられる。
層(A)、層(B)及び層(C)を構成する樹脂組成は前記と同じである。
本発明の3層(A)/(B)/(C)からなる基材の厚みは、少なくともダイサーの切り込み深さよりも厚くし、且つ容易にロ−ル状に巻かれることも考慮して決めることができる。特に、ダイサーがフィルムC層にまで到達するとダイシング屑の発生につながることから、これを抑制するために層(A)の厚みをダイサーの切り込み深さ以上に厚くすることが好ましい。本発明の3層(A)/(B)/(C)からなる基材の厚みは、少なくともダイサーの切り込み深さよりも厚くし、且つ容易にロ−ル状に巻くことができる程度であれば良く、好ましくは80μm〜300μm、より好ましくは80μm〜250μmである。この場合、層(A)の厚みは基材の厚みの20%〜90%、より好ましくは25%〜80%、さらに好ましくは30%〜70%であれば良い。
本発明の3層からなる基材では、耐ブロッキング性の高いポリエチレン系樹脂層(C)を積層してなるため、上記(1)に記載の単層ダイシング用基材や、上記(2)に記載の3層基材と比べて、耐ブロッキング性は格段に向上する。従って、フィルムを締め付け状態でロ−ル巻きにしようが、より大きな径でロ−ル巻きにしようが、保存場所が高温になろうが、問題になるブロッキングの懸念は完全に払拭される。
次に、本発明の3層基材の製造方法を説明する。この場合は3層共押出成形法が好ましく採用される。
具体的には、SE樹脂80重量%〜10重量%及びMBS3元樹脂20重量%〜90重量%をドライブレンド又は溶融混練して均一に混合分散して、層(A)用の樹脂混合物を得る。また、SE樹脂100重量%〜80重量%及びMBS3元樹脂0重量%〜20重量%をドライブレンド又は溶融混練して均一に混合分散して、層(B)用の樹脂混合物を得る。また、ポリエチレン系樹脂をドライブレンド又は溶融混練して、層(C)用の樹脂混合物を得る。
次に、3台のスクリュー式押出機を使って、1台は層(A)用の樹脂を、他の1台には層(B)用の樹脂を、さらに他の1台には層(C)用の樹脂を供給し、200℃〜225℃で(A)/(B)/(C)の順で3層Tダイからフィルム状に共押出しを行い、これを50℃〜70℃の冷却ロ−ルに通しながら冷却して実質的に無延伸で引き取る。実質的に無延伸とは、上記(1)と同義である。
上記により得られる基材は、その層(A)上に公知の粘着剤をコートして粘着剤層(D)が形成され、さらに該粘着剤層(D)上に離型層(E)が形成されて、本発明のダイシングフィルムが製造される。このフィルムは、通常テープ状にカットされたロール巻き状態で取得される。
本発明の電子部品のダイシング用粘着シートに用いられる粘着剤層を構成する粘着剤としては、一般的に使用されている感圧性の粘着剤を使用できる。具体的には、例えばアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリビニルエーテル等の各種粘着剤が挙げられる。なかでも、被切断体としての半導体ウエハや半導体パッケージに対する接着性、剥離後の半導体ウエハ等の超純水やアルコール等の有機溶剤による洗浄性などの点から、(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとする(メタ)アクリル系粘着剤が好ましい。
前記(メタ)アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、イソノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステルなどの炭素数1〜30のアルキル基、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステルなど)、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステルなど)、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル(例えば、ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシブチルエステル、ヒドロキシヘキシルエステル等)、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N−ヒドロキシメチルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルエステル(例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート等)、酢酸ビニル、スチレンの1種又は2種以上を単量体成分として用いた(メタ)アクリル系ポリマーなどが挙げられる。
前記(メタ)アクリル系ポリマーは凝集力、接着性などの改質を目的として、必要に応じ、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。このようなモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリルなどが挙げられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の30重量%以下が好ましく、さらに好ましくは15重量%以下である。
さらに、前記(メタ)アクリル系ポリマーは、これを架橋させるため、多官能性モノマーなども必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。ベースポリマーを架橋させることにより、粘着剤層の自己保持性が向上するので粘着シートの大きな変形を防止でき、粘着シートの平板状態を維持しやすくなる。
多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。
前記(メタ)アクリル系ポリマーは、単一モノマー又は二種以上のモノマー混合物を重合することにより得られる。重合は、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、光重合等の何れの方式で行うこともできる。特に、紫外線や電子線などの放射線を照射して重合する場合には、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーにモノマー成分と光重合開始剤とを配合して得られる液状組成物をキャストして光重合させることにより(メタ)アクリル系ポリマーを合成することが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、数平均分子量が500〜10万程度、好ましくは1000〜3万のものであり、かつエステル・ジオールを主骨格とする2官能化合物である。また、モノマー成分としては、モルホリン(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート等が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーとモノマー成分との混合比は、オリゴマー:モノマー成分=95〜5:5〜95(重量%)であることが好ましく、さらに好ましくは50〜70:50〜30(重量%)である。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量が多いと液状組成物の粘度が高くなって重合が困難となる傾向にある。
粘着剤層は被切断体等の汚染防止等の点から、低分子量物質の含有量が小さいのが好ましい。この点から、(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量は、20万〜300万程度が好ましく、さらに好ましくは25万〜150万程度である。
また、前記粘着剤には、ベースポリマーである(メタ)アクリル系ポリマー等の数平均分子量を高めるため、外部架橋剤を適宜に採用することもできる。外部架橋方法の具体的手段としては、ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミン、カルボキシル基含有ポリマーなどのいわゆる架橋剤を添加し反応させる方法が挙げられる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、さらには、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、上記ベースポリマー100重量部に対して、1重量部〜5重量部程度配合するのが好ましい。さらに、粘着剤には、必要により前記成分の他に従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤などの添加剤を用いてもよい。
また、前記粘着剤としては、放射線硬化型粘着剤を使用できる。放射線硬化型粘着剤は炭素−炭素二重結合等の放射線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを特に制限なく使用することができる。放射線硬化型粘着剤としては、紫外線照射によって粘着力が低下する紫外線硬化型粘着剤が望ましい。かかる粘着剤層によれば、バックグラインド(研削)工程後またはダイシング工程後に紫外線照射によって、粘着シートの剥離を容易に行うことができる。
紫外線硬化型粘着剤としては、例えば、前記(メタ)アクリル酸エステルの単独重合又は共重合性コモノマーとの共重合体(アクリル系ポリマー)と紫外線硬化成分(前記アクリルポリマーの側鎖に炭素−炭素二重結合を付加させたものでもよい)と、光重合開始剤と、必要に応じて、架橋剤、粘着付与剤、充填剤、老化防止剤、着色剤等の慣用の添加剤とにより構成できる。
前記紫外線硬化性の成分としては、分子中に炭素−炭素二重結合を有し、ラジカル重合により硬化可能なモノマー、オリゴマー、またはポリマーであればよい。具体的には、例えば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル;エステルアクリレートオリゴマー;2−プロペニルジ−3−ブテニルシアヌレート、2−ヒドロキシエチルビス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロキシエチル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレート又はイソシアヌレート化合物などが挙げられる。なお、アクリル系ポリマーとして、ポリマー側鎖に炭素−炭素二重結合を有する紫外線硬化型ポリマーを使用する場合においては、特に上記紫外線硬化成分を加える必要はない。紫外線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、粘着剤を構成する(メタ)アクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば20重量部〜200重量部、好ましくは50重量部〜150重量部程度である。
また、放射線硬化性の粘着剤としては、上記説明した添加型の放射線硬化型粘着剤のほかに、ベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖または主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型の放射線硬化型粘着剤が挙げられる。内在型の放射線硬化型粘着剤は、低分子成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、或いは多くを含まない為、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤中を移動することがない。これにより、安定した層構造の粘着剤層を形成することができる。
前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。このようなベースポリマーとしては、(メタ)アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。(メタ)アクリル系ポリマーの基本骨格としては、前記例示した(メタ)アクリル系ポリマーが挙げられる。
前記(メタ)アクリル系ポリマーに於けるポリマー側鎖に炭素−炭素二重結合を導入すると、分子設計が容易となる。炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず、様々な方法を採用できる。例えば、予め(メタ)アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基および炭素−炭素二重結合を有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合または付加反応させる方法が挙げられる。
これらの官能基の組合せ例としては、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基などが挙げられる。これら官能基の組合せのなかでも反応追跡の容易さの観点から、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組合せにより、上記炭素−炭素二重結合を有する(メタ)アクリル系ポリマーを生成するような組合せであれば、官能基は(メタ)アクリル系ポリマーと前記化合物のいずれの側にあってもよいが、前記の好ましい組合せでは、(メタ)アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、前記化合物がイソシアネート基を有する場合が好適である。この場合、炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートなどが挙げられる。また、(メタ)アクリル系ポリマーとしては、前記例示のヒドロキシ基含有モノマーや、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、またはジエチレングルコールモノビニルエーテルなどのエーテル系化合物を共重合したものが挙げられる。
前記内在型の放射線硬化型粘着剤としては、前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(特に(メタ)アクリル系ポリマー)を単独で使用することができる。また、特性を悪化させない程度に前記放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合することもできる。放射線硬化性のオリゴマー成分等の配合量は、通常ベースポリマー100重量部に対して30重量部以下であり、好ましくは10重量部以下である。
前記重合開始剤としては、その重合反応の引き金となり得る適当な波長の紫外線を照射することにより開裂しラジカルを生成する物質であれば良い。具体的には、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ペンゾインイソブチルエーテル等のペンゾインアルキルエーテル類;ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の芳香族ケトン類;ベンジルジメチルケタール等の芳香族ケタール類;ポリビニルベンゾフェノン;クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン類などが挙げられる。重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成する(メタ)アクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、0.1重量部〜20重量部程度であり、好ましくは1重量部〜10重量部である。
一方、前記加熱剥離型粘着剤としては、前記一般的な感圧性粘着剤に熱膨張性微粒子が配合された熱発泡型粘着剤が挙げられる。物品の接着目的を達成したのち熱膨張性微粒子を含有する感圧接着剤を加熱することで粘着剤層が発泡もしくは膨張して粘着剤層表面が凹凸に変化し、被着体との接着面積の減少により接着力低減し、物品を容易に分離できるようにしたものであり、電子物品やその材料等の加工時における固定や、搬送等の物流など、多種多様な目的で用いられている。
熱膨張性微粒子については特に限定はなく、剥離開始温度が低いものと剥離開始温度が高いものの異なる剥離開始温度を持つ組み合わせになるように種々の無機系や有機系の熱膨張性微小球を選択使用することができる。この2種類の熱膨張性微小球の剥離開始温度差は、熱膨張性微小球の感温特性等の処理精度に応じて適宜に決定されるが、一般には20℃〜70℃、好ましくは30℃〜50℃の温度差とされる。
熱発泡型粘着剤は、熱による熱膨張性微粒子の発泡により接着面積が減少して剥離が容易になるものであり、熱膨張性微粒子の平均粒子径は1μm〜25μm程度のものが好ましい。より好ましくは5μm〜15μmであり、特に10μm程度のものが好ましい。
熱膨張性微粒子としては、加熱下に膨張する素材を特に制限なく使用できるが、熱膨張性物質をマイクロカプセル化してなる膨張性微粒子は、混合操作が容易であるなどの点から好ましく用いられる。例えば、イソブタン、プロパン、ペンタンなどの加熱により容易にガス化して膨張する物質を、弾性を有する殻内に内包させた微小球であればよい。前記殻は、通常、熱可塑性物質、熱溶融性物質、熱膨張により破裂する物質などで形成される。前記殻を形成する物質としては、例えば、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホンなどが挙げられる。熱膨張性マイクロカプセルは、前記粘着剤との分散混合性に優れているなどの利点も有する。熱膨張性マイクロカプセルの市販品としては、例えばマイクロスフェアー(松本油脂社製)などが挙げられる。尚、必要に応じて熱膨張助剤を添加してもよい。
前記粘着剤に対する熱膨張性微粒子(熱膨張性マイクロカプセル)の配合量は、前記粘着剤層の種類に応じて、その粘着力を低下できる量を適宜に決定することができる一般には、熱膨張性微粒子を含む粘着剤層の厚みを加熱膨張直後の厚みの60%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上を維持できる配合量が好ましい。またベースポリマー100重量部に対して、1重量部〜100重量部程度、好ましくは5重量部〜40重量部、より好ましくは10重量部〜20重量部である。
粘着剤層の厚みは、接着固定性と剥離性を両立する観点から、1μm〜100μmが好ましく、5μm〜50μm程度がより好ましい。また、粘着剤層の接着力は、支持ウエハから最終的に容易に剥離できる範囲内のものであれば良く、特に限定はされない。例えば、半導体ウエハに対する180度ピール接着力の値が、1N/10mm〜30N/10mmの範囲内であることが好ましく、5N/10mm〜20N/10mmの範囲内であることがより好ましい。
セパレータは、ラベル加工のため、又は粘着剤層の表面を平滑にする目的の為に必要に応じて設けられる。セパレータの構成材料としては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムなどが挙げられる。セパレータの表面には粘着剤層からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理が施されていても良い。また、必要に応じて、粘着シートが環境紫外線によって反応してしまわぬように、紫外線防止処理が施されていても良い。セパレータの厚みは、通常10μm〜200μm、好ましくは25μm〜100μm程度である。
なお、粘着剤層が紫外線等の放射線硬化型粘着剤からなる場合には、ダイシングの前又は後に粘着剤層に放射線を照射する為、基材は十分な放射線透過性を有している必要がある。
粘着シートの製造後、該粘着シートを一旦ロール状に巻き取るなどした場合に、ブロッキング(基材フィルムの背面(外層)と粘着剤層との融着)を引き起こすことがあるため、このようなブロッキングを防止する目的で、外層の外側にブロッキングの発生を抑制する層を数μm〜数十μm設けても良い。当該ブロッキングの発生を抑制する層としては特に限定されるものではなく、例えば、エンボス処理が施された層等が例示できる。また、前記と同様の目的又はエキスパンド性向上の目的で、基材の粘着剤層が設けられている側とは反対側に他の層を設けても良い。
本発明の電子部品のダイシング用粘着シートは、通常、用いられている方法で使用することができる。例えば、半導体基板を貼り付けて固定した後、回転丸刃で半導体基板を素子小片(チップ)に切断する。その後、粘着シートの基材側から紫外線及び/又は放射線を照射し、次いで、専用治具を用いて粘着シートを放射状にエキスパンディグ(拡張)し、素子小片間隔を一定間隔に広げ、その後、素子小片をニードル等で突き上げると共に、エアピンセット等で吸着すること等によりピックアップするか、同時にマウンティングする方法が挙げられる。なお、本発明の電子部品のダイシング用粘着シートは、半導体基板、単数又は複数のチップ等をリード及び封止樹脂等で個々に又は一体的に封止した封止樹脂基板などの被着体に対して用いることができる。また、被着体の貼り付け面は、半導体に限らず、金属、プラスチック、ガラス、セラミック等の無機物など、種々の材料とすることができる。本発明の粘着シートは、特に表面に、リン化合物、シアン化合物、その他の反応基を有する材料に対して良好に利用することができる。
以下に、本発明の電子部品のダイシング用粘着シートの実施例及び比較例を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
アクリル酸メチル20重量部とアクリル酸10重量部とアクリル酸2エチルヘキシル80重量部を共重合して得られた重量平均分子量80万の共重合体(固形分35%)100重量部、多官能アクリレート系オリゴマー(日本合成化学工業(株)製、UV−1700)100重量部、粘着付与剤としてヒドロキシル価が160 KOH mg/g〜170 KOH mg/gのテルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル(株)製、YSポリスターN125)15重量部、界面活性剤としてリン酸エステル系界面活性剤(東邦化学工業(株)製、フォスファノールRL−210、アルキル基の炭素数18)0.4重量部(50℃に加熱したトルエンに固形分濃度が2%となるように溶解した溶液を配合)、架橋剤としてポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートL)1重量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア(登録商標)651)3重量部配合した粘着剤層となる樹脂溶液を配合・調整し、シリコーン剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルムに乾燥後の厚みが20μmになるように塗工し、120℃で5分間乾燥した。その後、基材としてアクリルフィルム(ロンシール工業製、ACF−550、厚み150μm、120℃でのMFR=0g/10min、120℃での裂け性40%)にラミネートすることで、粘着シートを作製した。
実施例2
実施例1において、基材としてSEBS樹脂(スチレン−ブタジエンブロック共重合体水素添加物(クレイトンポリマー社製、MD6945)70重量%とアクリル系樹脂((株)クラレ製、SA−1000−FR201)30重量%を使用して作製したフィルム(厚み150μm、120℃でのMFR=0g/10min、120℃での裂け性=120%)を使用した以外は実施例1と同様の操作にて粘着シートを作製した。
実施例3
実施例1において、基材としてSEBS樹脂(スチレン−ブタジエンブロック共重合体水素添加物(クレイトンポリマー社製、MD6945)20重量%とアクリル系樹脂((株)クラレ製、SA−1000−FR201)80重量%を使用して作製したフィルム(厚み150μm、120℃でのMFR=0g/10min、120℃での裂け性40%)を使用した以外は実施例1と同様の操作にて粘着シートを作製した。
実施例4
実施例1において、基材として、A層のアクリルフィルム(ロンシール工業(株)製、ACF−550、厚み50μm、120℃でのMFR=0g/10min、120℃での裂け性40%)と、B層のEVA樹脂(三井・デュポンケミカル(株)製、エバフレックスP1007)を使用して作製したフィルム(厚み100μm、120℃でのMFR=3g/10min、120℃での裂け性=流動状態のため測定不能)を貼り合わせた総厚150μmの基材を使用し、A層の上に粘着剤層を設けたこと以外は実施例1と同様の操作にて粘着シートを作製した。
比較例1
実施例1において、基材としてEVA樹脂(三井・デュポンケミカル(株)製、エバフレックスP1007)を使用して作製したフィルム150μm(120℃でのMFR=3g/10min、120℃での裂け性=流動状態のため測定不能)を使用した以外は実施例1と同様の操作にて粘着シートを作製した。
比較例2
実施例1において、基材としてPVCフィルム150μm(アキレス(株)製、アキレスタイプC+、120℃でのMFR=0g/10min、120℃での裂け性400%)を用いた以外は実施例1と同様の操作にて粘着シートを作製した。
比較例3
実施例1において、基材としてPETフィルム150μm(東レ(株)製、ルミラー(登録商標)S10、120℃でのMFR=0mg/10min、120℃での裂け性2%)を使用した以外は実施例1と同様の操作にて粘着シートを作製した。
実施例1〜4、及び比較例1〜3で得られた粘着シートを50℃加温にて、4日以上熟成した後、以下の測定を行った。結果を表1に示す。
〔MFRの測定方法〕
本発明の基材のMFRは、ASTM D1238にて測定したメジャリングフローレイトのことを示す。測定条件を下記に示す。
測定装置:メルトインデクサーII型(テスター産業(株)製)
測定温度:120℃
溶出加重:5kg
溶出口径:2.0955mm
溶出口長さ:8mm
〔基材の裂け性の測定方法〕
本発明の基材の裂け性は、切り込みを入れた試験片を測定温度下にて一定の引張速度で引っ張り、完全に破断したときの伸度を指標として用いた。この場合の破断伸度は、試験片の破断長さ(全長)/試験片初期長さ×100により計算した。破断伸度が小さいほど、裂けやすいことを示し、破断伸度が大きいほど裂けにくいことを示す。測定条件を下記に示す。
測定装置:万能引張試験機((株)島津製作所製)
引張速度:50mm/min
測定温度:120℃
放置時間:測定前に測定温度下で30分静置した。
試験片サイズ:幅10mm×長さ100mm×厚み150μm
切り込み:試験片の長さ方向中央部、幅方向端部に長さ1mmの切り込みを、長さ方向に垂直に入れた。
〔ダイシング条件〕
半導体パッケージの封止樹脂面にテープ貼り付け装置(日東精機(株)製、M−286N)を用いて、速度60mm/sec、テーブル温度45℃にて粘着シートを貼り付けた後に、ダイシング装置((株)DISCO製、DFG−651)を用いて半導体パッケージ上からダイシングを行った。ダイシング条件を下記に示す。
ブレード回転数:38000rpm
ダイシング速度:100mm/sec
切り込み深さ:70μm(基材への切り込み深さ)
ブレード:レジンブレード((株)DISCO製、外形:580mm、刃厚:300μm)
半導体パッケージ:LGAパッケージ(サイズ横5cm×縦5cm×厚み0.4mm)
ダイシングサイズ:1mm×1mm
切削冷却水の水量:1.5L/min
〔糸状屑の測定方法〕
ダイシングした半導体パッケージの全ダイシングラインを光学顕微鏡を用いて観察し、半導体パッケージ表面に露出している糸状屑の本数を測定した。











Figure 2010278156
表1より実施例1〜3は基材の120℃でのMFRが0g/10minであり、120℃での裂け性が5%〜300%であるため、糸状屑の発生が抑制できた。また、実施例4では基材が2層構造であり、粘着剤層に接する側の基材の120℃でのMFRが0g/10minであり、120℃での裂け性が5%〜300%であるため、糸状屑の発生を抑制できた。一方、比較例1では、基材の120℃でのMFRが0g/10minより大きいため、切断の際に溶融した基材が冷却切削により冷却固化し、糸状屑が大量に発生した。また、比較例2では基材の120℃でのMFRが0g/10minであったが、120℃での裂け性が300%より大きく、基材が裂けにくいために、ブレードにより基材が引き伸ばされた際に発生した糸状屑が基材から離れないまま半導体パッケージ表面に露出した。また、比較例3では基材の120℃でのMFRが0g/10minであったが、120℃での裂け性が5%より小さく、基材が裂けやすいため、ダイシングラインの壁面がダイシング時のストレスで割れ、糸状屑が発生した。

Claims (2)

  1. 配線基板を有する電子部品をダイシングする際に用いられる電子部品のダイシング用粘着シートであって、
    少なくとも片面に粘着剤層を有する基材の120℃でのMFRが0g/10minであり、120℃での裂け性が5%〜300%であることを特徴とする電子部品のダイシング用粘着シート。
  2. 前記基材が少なくとも2層以上から構成されており、前記電子部品を貼着保持する粘着剤層に接する側の基材の120℃でのMFRが0g/10minであり、120℃での裂け性が5%〜300%であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品のダイシング用粘着シート。
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