JP2010050321A - 半導体ウエハ保護用粘着シートの貼り合わせ方法 - Google Patents

半導体ウエハ保護用粘着シートの貼り合わせ方法 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体ウエハ保護用粘着シートの貼り合わせ方法であって、半導体ウエハを極薄にまで研削する場合や、大口径ウエハの研削を行う場合であっても、半導体ウエハに湾曲(反り)を生じさせずに作業を行うことが出来る半導体ウエハ保護用粘着シートの貼り合わせ方法を提供する。
【解決手段】基材と粘着剤層とを含む保護用粘着シートを半導体ウエハの表面に貼り合わせる方法において、基材製造時の基材巻き取り方向の初期弾性率が基材巻き取り方向に対して垂直に交差する方向である基材幅方向の初期弾性率よりも大きく、基材貼付方向の2%伸張10分後の引張強度が1.5N/15mm以下である基材を用いる保護用粘着シートを貼り合わせることを特徴とする半導体ウエハ保護用粘着シートの貼り合わせ方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体ウエハ保護用粘着シートの貼り合わせ方法に関し、半導体ウエハを極薄にまで研削する場合や、大口径ウエハの研削を行う場合に用いる半導体ウエハ保護用粘着シートの貼り合わせ方法に関する。
各種半導体を製造する際、半導体ウエハの表(おもて)面にパターンを形成した後、所定の厚さになるまでウエハの裏面をバックグラインダー等で研削するバックグラインド工程を経るのが一般的である。その際、ウエハの表面を保護する目的で、ウエハ表面に保護用粘着シートを貼り合わせた上で裏面研削することが一般的に行われている。
しかし、半導体ウエハの表面を粘着シートで保護した状態で裏面研削した場合、研削後のウエハに反りが生じやすい。特に、最近繁用されている直径8インチ又は12インチという大型ウエハやICカード用などの薄型ウエハを研削する場合において、上記反りの問題は重大である。
この研削後のウエハの反りは、ウエハ自体の反りよりも、粘着シートの残存応力による影響が大きいと考えられる。特に、貼り合わせ時の引張り応力、押し付け圧力による粘着シート内の歪はウエハが薄くなった後には大きな反りを引き起こす要因となる。それゆえ、この残存応力を低減させるために、粘着シートの構成にも種々改良が加えられ残存応力が発生しないような構成が提案されている(特許文献1)。
また、粘着シートの引張り試験において伸度10%における1分後の応力緩和率が40%以上であることを特徴とする保護シートも提案されている(特許文献2)。
しかし、これらの粘着シートの諸特性は、大口径半導体ウエハの裏面研削に用いる保護用粘着シートとして、必ずしも最適なものではない。このため、裏面研削後のウエハの反りをより一層抑制する方法の提供が望まれていた。
特開2000−212524号公報 特開2000−150432号公報
本発明は、半導体ウエハ保護用粘着シートの貼り合わせ方法であって、半導体ウエハを極薄にまで研削する場合や、大口径ウエハの研削を行う場合であっても、半導体ウエハに湾曲(反り)を生じさせずに作業を行うことが出来る半導体ウエハ保護用粘着シートの貼り合わせ方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、基材と粘着剤層とを含む保護用粘着シートを半導体ウエハの表面に貼り合わせる方法において、基材製造時の基材巻き取り方向の初期弾性率が基材巻き取り方向に対して垂直に交差する方向である基材幅方向の初期弾性率よりも大きく、基材貼付方向の2%伸張10分後の引張強度が1.5N/15mm以下である基材を用いる保護用粘着シートを貼り合わせることを特徴とする。
一般に、粘着シートをウエハの表面に貼り合わせる場合、貼り合わせ機を用い、テーブルの上にウエハの表面が上になるようにウエハを載置し、その上に粘着シートを粘着剤層が下になった状態で、貼り合わせ方向に沿ってたるまないように引っ張りながら供給する。こうして粘着シートの粘着剤層をウエハの表面と対向させ、圧着ロールなどの押圧手段により粘着シートの基材側から、貼り合わせ方向に沿って順次圧着し貼り合わせを行う。このとき、粘着シートには粘着シートを貼り合わせ方向に沿って引っ張る力と、粘着シートをウエハに圧着する力がかかり、粘着シートをウエハに貼り合わせるとこれらの力が残存応力となって粘着シート上に残る。この状態で、ウエハを薄く研削してウエハの強度が粘着シートの残存応力よりも小さくなると、粘着シートの残存応力に応じてウエハが反る。
ここで、ウエハを薄く研削した場合に特にウエハを反らす力となるのは、粘着シートを貼り合わせ方向に沿って引っ張ってウエハと貼り合わせた時に粘着シート上に生じる残存応力である。基材貼付方向の2.0%伸度10分後の引張強度が1.5N/15mm以下となる基材を用いた粘着シートを使用した場合、粘着シートを基材貼付方向に引っ張ってウエハと貼り合わせても生じる残存応力が小さい。このため、粘着シートを貼り合わせた状態でウエハを薄く研削しても、ウエハの強度が粘着シートの残存応力に抵抗できる。従って、ウエハの反りを低減することができる。
また、本発明は、基材と粘着剤層とを含む保護用粘着シートを半導体ウエハの表面に貼り合わせる方法において、基材製造時の基材巻き取り方向の初期弾性率が基材巻き取り方向に対して垂直に交差する方向である基材幅方向の初期弾性率よりも大きく、基材幅方向の初期弾性率が50MPa以下である基材を用いる保護用粘着シートを、半導体ウエハの表面に貼り合わせる際に、半導体ウエハに対する貼り合わせ方向と基材巻き取り方向を交差させて貼り合わせることを特徴とする。
粘着シートの基材は基材製造時の基材巻き取り方向に巻き取られて製造されるが、このときに、基材の幅方向の引張弾性率が基材巻き取り方向の引張弾性率以下となる傾向にある。このため、粘着シートをウエハの表面に貼り合わせる際に、粘着シートを基材巻き取り方向に引っ張りつつウエハと貼り合わせるよりも、ウエハに対する貼り合わせ方向と基材巻き取り方向を交差させた方が、粘着シートにかかる引張りの力を小さく抑えることができる。また、幅方向の初期弾性率が50MPa以下の基材を用いた保護用粘着シートを半導体ウエハに対する貼り合わせ方向と基材巻き取り方向を交差させて貼り合わせた場合、特にウエハの反りを抑制することができる。
また、本発明は、基材と粘着剤層とを含む保護用粘着シートを半導体ウエハの表面に貼り合わせる方法において、基材製造時の基材巻き取り方向の初期弾性率が基材巻き取り方向に対して垂直に交差する方向である基材幅方向の初期弾性率よりも大きく、基材幅方向の初期弾性率が50MPa以下である基材を用いる保護用粘着シートを、半導体ウエハの表面に貼り合わせる際に、半導体ウエハに対する貼り合わせ方向と基材幅方向が並行となるように貼り合わせることを特徴とする。
幅方向の初期弾性率が50MPa以下の基材を用いた保護用粘着シートを、半導体ウエハに対する貼り合わせ方向と基材幅方向が平行となるように貼り合わせた後にウエハの裏面を研削した場合、特にウエハの反りを抑制することができる。
また、本発明は、基材が、一層または多層で構成されていてもよい。
また、本発明の基材は、スチレン系エラストマー樹脂80重量%〜10重量%及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とジエン系単量体とスチレン系単量体との3元共重合樹脂20重量%〜90重量%からなる層(A)を含むことが好ましい。
また、本発明の基材は、スチレン系エラストマー樹脂80重量%〜10重量%及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とジエン系単量体とスチレン系単量体との3元共重合樹脂20重量%〜90重量%からなる層(A)と、スチレン系エラストマー樹脂100重量%〜80重量%及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とジエン系単量体とスチレン系単量体との3元共重合樹脂0重量%〜20重量%からなる層(B)とで構成され、上記層(A)と上記層(B)とが、(A)/(B)/(A)の順で積層されてなることが好ましい。
また、本発明の基材は、上記層(A)とポリエチレン系樹脂からなる層(C)とで構成され、上記層(A)と上記層(C)とが、(A)/(C)で積層されてなることが好ましい。
また、本発明の基材は、上記層(A)と上記層(B)と上記層(C)とが、(A)/(B)/(C)の順で積層されてなることが好ましい。
また、本発明の基材に含まれるスチレン系エラストマー樹脂が、スチレン系単量体とジエン系単量体とのランダム共重合樹脂の水添樹脂、及び/又は、スチレン系単量体とジエン系単量体とのブロック共重合樹脂の水添樹脂であることが好ましい。
また、本発明の上記層(C)を構成するポリエチレン系樹脂が、エチレンホモポリマー、エチレンと炭素数3〜8のオレフィン単量体との共重合体、又はエチレンと(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体との共重合体であることが好ましい。
また、本発明の粘着剤層が一層または中間層を含む多層から構成されていてもよい。
本発明の半導体ウエハ保護用粘着シートは、基材およびウエハへ接着するための粘着剤層を有する。粘着剤層は粘着剤層のみで構成されていてもよく、粘着剤層と中間層により構成されていてもよい。
粘着剤層は、基材の片面または両面に形成することができる。また、必要に応じて、粘着剤層上にはセパレータを設けることができる。
粘着剤層を構成する粘着剤は、粘着剤層の引張り弾性率が0.1GPa以下になるものであれば特に制限されない。粘着剤は、ベースポリマーの組成、架橋剤の種類、配合比などを適宜に組み合わせて調整する。たとえば、ベースポリマーのTg、架橋密度をコントロールすることで粘着剤層の引張り弾性率を制御することが可能である。
粘着剤としては、たとえば、一般的に使用されている感圧性粘着剤を使用でき、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の適宜な粘着剤を用いることができる。なかでも、半導体ウエハヘの接着性、剥離後の半導体ウエハの超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性などの点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステルなどのアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステルなど)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステルなど)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマーなどがあげられる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルをいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
アクリル系ポリマーは凝集力、耐熱性などの改質を目的として、必要に応じ、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。このようなモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリルなどがあげられる。これら共重合可能なのモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。
さらに、上記アクリル系ポリマーは、架橋させるため、多官能性モノマーなども、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。このような多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。
アクリル系ポリマーは、単一モノマー又は2種以上のモノマー混合物を重合に付すことにより得られる。重合は、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の何れの方式で行うこともできる。粘着剤層は半導体ウエハ等の汚染防止等の点から、低分子量物質の含有量が小さいのが好ましい。この点から、アクリル系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは30万以上、さらに好ましくは40万〜300万程度である。
粘着剤には、ベースポリマーであるアクリル系ポリマー等の数平均分子量を高めるため、外部架橋剤を適宜に採用することもできる。外部架橋方法の具体的手段としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤などのいわゆる架橋剤を添加し反応させる方法があげられる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、さらには、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、上記ベースポリマー100重量部に対して、1重量部〜5重量部程度配合するのが好ましい。さらに、粘着剤には、必要により、上記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤などの添加剤を用いてもよい。
また、上記粘着剤としては、放射線硬化型粘着剤を使用できる。放射線硬化型粘着剤は炭素−炭素二重結合等の放射線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを特に制限なく使用することができる。放射線硬化型粘着剤としては、放射線(特に紫外線)照射によって粘着力が低下するものが望ましい。かかる粘着剤層によれば、バックグラインド工程後に紫外線照射によって、保護シートの剥離を容易に行うことができる。
放射線硬化型粘着剤としては、たとえば、一般的な粘着剤に、放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した添加型の放射線硬化性粘着剤を例示できる。一般的な粘着剤としては、上記アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の感圧性粘着剤と同様のものがあげられる。
配合する放射線硬化性のモノマー成分としては、たとえば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートなどがあげられる。また放射線硬化性のオリゴマー成分はウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系など種々のオリゴマーがあげられ、その分子量が100〜30000程度の範囲のものが適当である。放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば5重量部〜500重量部、好ましくは40重量部〜150重量部程度である。
また、放射線硬化性の粘着剤としては、上記説明した添加型の放射線硬化性粘着剤のほかに、ベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖または主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型の放射線硬化性粘着剤があげられる。内在型の放射線硬化性粘着剤は、低分子成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、または多くは含まないため、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤中を移動することなく、安定した層構造の粘着剤層を形成することができるため好ましい。
上記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。このようなベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。アクリル系ポリマーの基本骨格としては、上記例示したアクリル系ポリマーがあげられる。
上記アクリル系ポリマーへの炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず、様々な方法を採用できるが、炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖に導入する方が分子設計は容易である。たとえば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基および炭素−炭素二重結合を有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合または付加反応させる方法があげられる。
これら官能基の組合せの例としては、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基などがあげられる。これら官能基の組み合わせのなかでも反応追跡の容易さから、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組み合わせが好適である。また、これら官能基の組み合わせにより、上記炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを生成するような組み合わせであれば、官能基はアクリル系ポリマーと上記化合物のいずれの側にあってもよいが、上記の好ましい組み合わせでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、上記化合物がイソシアネート基を有する場合が好適である。この場合、炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、たとえば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートなどがあげられる。また、アクリル系ポリマーとしては、上記例示のヒドロキシ基含有モノマーや2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテルのエーテル系化合物などを共重合したものが用いられる。
上記内在型の放射線硬化性粘着剤は、上記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)を単独で使用することができるが、特性を悪化させない程度に上記放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合することもできる。放射線硬化性のオリゴマー成分等は、通常ベースポリマー100重量部に対して30重量部以下が好ましく、より好ましくは10重量部以下である。
上記放射線硬化型粘着剤には、紫外線線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α´−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフエノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1―プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソンなどのチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナートなどがあげられる。光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば1重量部〜10重量部、好ましくは3重量部〜5重量部程度である。
また熱発泡型粘着剤を用いることができる。熱発泡型粘着剤は、上記一般的な感圧性粘着剤に熱膨張性微粒子が配合されたものである。熱発泡型粘着剤は、熱による熱膨張性微粒子の発泡により、接着面積が減少して剥離が容易になるものであり、熱膨張性微粒子の平均粒子径は1μm〜25μm程度のものが好ましい。より好ましくは5μm〜15μmであり、特に10μm程度のものが好ましい。熱膨張性微粒子としては、加熱下に膨張する素材を特に制限なく使用できるが、たとえば、ブタン、プロパン、ペンタンなどの如き低沸点の適宜のガス発泡性成分をインサイト重合法等により、塩化ビニリデン、アクリロニトリル等の共重合物の殻壁でカプセル化した熱膨張性マイクロカプセルを用いることができる。熱膨張性マイクロカプセルは、上記粘着剤との分散混合性に優れているなどの利点も有する。熱膨張性マイクロカプセルの市販品としては、たとえば、マイクロスフェアー(商品名:松本油脂社製)などがあげられる。
上記粘着剤に対する熱膨張性微粒子(熱膨張性マイクロカプセル)の配合量は、上記粘着剤層の種類に応じて、粘着剤層の粘着力を低下できる量を、適宜に決定することができるが、一般的には、ベースポリマー100重量部に対して、1重量部〜100重量部程度、好ましくは5重量部〜50重量部、更に好ましくは10重量部〜40重量部である。
粘着剤層の厚みは適宜決定することができるが他の特性との関係上、5μm〜100μm程度、好ましくは15μm〜50μm程度である。
中間層は0.1GPa以下の引張り弾性率であればその材料は特に制限されず、上記粘着剤層と同様の物質や、一般的に樹脂フィルムといわれるポリエチレン(PE)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)などの各種軟質樹脂、アクリルやウレタンなどを混合した混合樹脂を使用することができる。中間層の厚みは粘着剤層の厚さにもよるが、200μm以下が好ましく、さらに好ましくは50μm〜150μmである。
基材としては、半導体ウエハ保護用粘着シートに使用される各種の材料を特に制限なく使用することができる。その材料としては、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、セルロース系樹脂、及びこれらの架橋体などのポリマーがあげられる。これら材料は必要に応じて数種をブレンドしたものを用いることができる。
これら基材は、無延伸で用いてもよく、必要に応じて一軸または二軸の延伸処理を施したものを用いてもよい。上記基材は一層または多層のいずれでもよい。基材が多層の場合は、上記材料に加えて、アクリル系ポリマーやアクリル系とウレタン系の混合物から得られるフィルムを組み合わせることができる。またその表面には、必要に応じてマット処理、コロナ放電処理、プライマー処理、架橋処理(化学架橋(シラン))などの慣用の物理的または化学的処理を施すことができる。
上記基材は一層または多層のいずれでもよく、基材貼付方向の2.0%伸度10分後の引張強度が1.5N/15mm以下となる基材を使用することが好ましく、より好ましくは1.0N/15mm以下、さらに好ましくは0.5N/15mm以下である。
基材貼付方向の2.0%伸度10分後の引張強度が1.5N/15mm以下となる基材を用いた粘着シートを使用した場合、粘着シートを基材貼付方向に引っ張ってウエハと貼り合わせても生じる残存応力が小さい。このため、粘着シートを貼り合わせた状態でウエハを薄く研削しても、ウエハの強度が粘着シートの残存応力に抵抗できる。従って、ウエハの反りを低減することができる。
これら基材の厚み(多層の場合は総厚み)は、貼付時の伸度での引張強度を弱める点では薄い方が良いが、ウエハにかかる研削圧力の緩和や研削中のウエハエッジ部のバタつきを抑制するなどの研削性を考慮すると10μm〜300μmが好ましく、より好ましくは10μm〜250μm、さらに好ましくは50μm〜200μmである。
本発明に用いられる基材は、スチレン系エラストマー樹脂(以下、SE樹脂と呼ぶ)80重量%〜10重量%及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とジエン系単量体(特に、ブタジエン)とスチレン系単量体との3元共重合樹脂(以下、MBS3元樹脂と呼ぶ)20重量%〜90重量%からなるブレンド樹脂を含む基材であってもよい。つまり、本発明に用いられる基材は、上記のブレンド樹脂フィルムを含む単層或いは2層以上の基材であってもよい。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とは、メタアクリル酸アルキルエステル系単量体又はアクリル酸アルキルエステル系単量体を意味する。
(1)単層基材:(A)
本発明に用いられる基材の一態様として、SE樹脂80重量%〜10重量%及びMBS3元樹脂20重量%〜90重量%からなる層(A)の単層基材が挙げられる。
本発明の半導体ウエハ保護用粘着シートに用いるSE樹脂は、主にウエハ表面の凹凸追従性や研削時の応力による割れを防ぐために必要な柔軟性を付与する機能を有している。SE樹脂は、弾性を有する軟質の熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマー)であり、それ自身フィルム成形も可能である。
SE樹脂を構成するスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等があげられ、これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。特にスチレンが好適である。
また、SE樹脂を構成するジエン系単量体は、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。特にブタジエンが好適である。
SE樹脂におけるスチレン系単量体単位の含有量は、通常8重量%〜75重量%、好ましくは10重量%〜70重量%であり、また、ジエン系単量体単位の含有量は、通常25重量%〜92重量%、好ましくは20重量%〜90重量%である。スチレン系単量体単位の含有量は、紫外分光光度計又は核磁気共鳴装置(NMR)を用いて、ジエン系単量体単位の含有量は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定することができる。
SE樹脂の硬度(JIS K6253 デュロメータータイプA)は40〜90程度、好ましくは、50〜80程度である。その比重(ASTM D297)は0.85〜1.0程度であり、MFR(ASTM D1238:230℃、21.2N)は3g/10min〜6g/10min程度であり、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定法(DSC法)により測定した値で−50℃〜30℃程度、好ましくは、−40℃〜20℃程度である。
SE樹脂の重量平均分子量(Mw)は、例えば、10万〜50万程度、好ましくは15万〜30万程度であればよい。重量平均分子量は、市販の標準ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定できる。
SE樹脂はスチレン系単量体とジエン系単量体からなる共重合物を用いても良いが、ジエン系単量体由来の2重結合が残っているので、公知の方法により水素添加(例えば、ニッケル触媒等)して飽和にしておくのが良い。これにより、耐熱性、耐薬品性、耐久性等に優れたより安定な樹脂になるからである。そのSE樹脂の水添率は共重合体中の共役ジエン化合物に基づく二重結合の85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。この水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定できる。
SE樹脂としては、スチレン系単量体とジエン系単量体からなるランダム共重合体の水素添加物(以下、「水添ランダム共重合体」とも呼ぶ)、スチレン系単量体とジエン系単量体からなるブロック共重合体の水素添加物(以下、「水添ブロック共重合体」とも呼ぶ)、或いはそれらをブレンドしたもの等が挙げられる。
水添ランダム共重合体の具体例としては、式:−CH(C65)CH2−で示されるスチレン系単量体単位と、式:−CH2CH2CH2CH2−で示されるエチレン単位と、式:−CH(C25)CH2−で示されるブチレン単位とがランダムに結合している水添ランダム共重合体が挙げられる。
上記の水添ランダム共重合体において、スチレン系単量体単位の含有量は60重量%〜75重量%程度、好ましくは65重量%〜70重量%程度である。また、ガラス転移温度(Tg)は0℃〜30℃程度、好ましくは10℃〜20℃程度である。また、重量平均分子量は10万〜50万程度、好ましくは15万〜30万程度である。
上記の水添ランダム共重合体は、例えば、特開2004−59741号公報に記載の方法により、或いはこれに準じて製造することができる。
一方、水添ブロック共重合体としては、該共重合体の一端又は両末端にスチレン系単量体由来のブロックセグメントを有しさらにジエン系単量体由来のブロックセグメントを有するもの、或いはこれらをブレンドしたもの等が挙げられる。
水添ブロック共重合体としては、例えば、該共重合体の一端に、式:−CH(C65)CH2−で示されるスチレン系単量体由来のブロックセグメントを有し、その中程に、式:−CH2CH2CH2CH2−で示されるエチレン単位、及び/又は、式:−CH(C25)CH2−で示されるブチレン単位を含むブロックセグメントを有し、該共重合体の他端に、式:−CH2CH2CH2CH2−で示されるエチレン単位を含むセグメントを有する水添ブロック共重合体が挙げられる。
上記の水添ブロック共重合体において、スチレン系単量体単位の含有量は8重量%〜50重量%程度、好ましくは10重量%〜40重量%程度である。また、ガラス転移温度(Tg)は−50℃〜0℃程度、好ましくは−40℃〜−10℃程度である。また、重量平均分子量は10万〜50万程度、好ましくは15万〜30万程度である。上記の様な特性を有する水添ブロック共重合体の具体例としては、SEBCが例示される。
或いは、水添ブロック共重合体として、例えば、該共重合体の両末端に、式:−CH(C65)CH2−で示されるスチレン系単量体由来のブロックセグメントを有し、その中程に、式:−CH2CH2CH2CH2−で示されるエチレン単位、及び/又は、式:−CH(C25)CH2−で示されるブチレン単位を含むブロックセグメントを有する水添ブロック共重合体が挙げられる。
上記の水添ブロック共重合体において、スチレン系単量体単位の含有量は8重量%〜50重量%程度、好ましくは10重量%〜40重量%程度である。また、ガラス転移温度(Tg)は−50℃〜0℃程度、好ましくは−40℃〜−10℃程度である。また、重量平均分子量は10万〜50万程度、好ましくは15万〜30万程度である。上記の様な特性を有する水添ブロック共重合体の具体例としては、SEBSが例示される。
SE樹脂のうち、水添ランダム共重合体は、水添ブロック共重合体ほど弾性は高くないが、カッターでテープをカットする際に適切なカット性を有するという利点がある。一方で、フィルム同士のブロッキングの程度は、水添ランダム共重合体の方が水添ブロック共重合体より強くなる傾向がある。そのため、この適切なカット性と耐ブロッキング性の両方をあわせもつようにするためには、水添ランダム共重合体を主成分とし、これに水添ブロック共重合体をブレンドした、ブレンドSE樹脂を好適に使用することができる。
このブレンドSE樹脂における水添ランダム共重合体と水添ブロック共重合体の重量比は、例えば、水添ランダム共重合体が55重量%〜80重量%程度、水添ブロック共重合体が45重量%〜20重量%程度が好適である。
一方、MBS3元樹脂は、基材のブロッキングを抑制すると共に、カッターで基材をカットする際に適切なカット性を保ち、該基材に適正な腰の硬さを付与する役割を果たしている。
MBS3元樹脂は、上記したように(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とジエン系単量体(特に、ブタジエン)とスチレン系単量体との共重合体である。MBS3元樹脂は、具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(MAA)系単量体単位30重量%〜62重量%と、ジエン系単量体単位3重量%〜35重量%と、スチレン系単量体単位35重量%〜67重量%とからなる共重合体である。ここで、MAA系単量体単位のアルキルエステルのアルキルは、一般に炭素数1〜5のアルキル(特に、メチル、エチル等)であり、炭素数が大きくなる程該硬度は低下する傾向にある。MAA系単量体単位の具体例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル等が挙げられる。なお、ジエン系単量体及びスチレン系単量体は、上記のSE樹脂の原料として記載されたものを用いることができる。
MBS3元樹脂は硬質樹脂であり、その硬度(JIS K6253 デュロメータータイプD)は、20〜50程度、好ましくは、30〜40である。その比重(ASTM D297)は1.09〜1.11程度であり、MFR(ASTM D1238:230℃、21.2N)は2.0g/10min〜6.0g/10min程度であり、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定法(DSC法)により測定した値で80℃〜95℃程度、好ましくは、85℃〜90℃程度である。また、MBS3元樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10万〜40万程度、好ましくは10万〜20万程度である。測定は、GPC法による。
層(A)の基材は、上記軟質系のSE樹脂と硬質系のMBS3元樹脂が所定割合でブレンドされた樹脂であることを特徴とし、そのブレンド割合は、SE樹脂を80重量%〜10重量%、好ましくは70重量%〜45重量%、MBS3元樹脂を20重量%〜90重量%、好ましくは30重量%〜55重量%である。これにより、基材のブロッキングを抑制すると共に、カッターで基材をカットする際に適切なカット性を保ち、該基材に適正な腰の硬さを持つという顕著な作用効果が発揮される。SE樹脂が80重量%を超え、MBS3元樹脂が20重量%未満になると、特に基材のブロッキングの抑制効果が低下し、適正な腰の硬さが低下する傾向にある。逆にSE樹脂が10重量%を未満で、MBS3元樹脂が90重量%を超えると、カッターで基材をカットする際に適切なカット性が保ちにくくなり且つ腰の硬さが硬くなる傾向にある。
層(A)の基材の層厚は、容易にロ−ル状に巻くことができる程度であれば良く、80μm〜300μmが好ましく、より好ましくは80μm〜250μmである。
次に、単層(A)からなる基材の製造方法を説明する。SE樹脂80重量%〜10重量%及びMBS3元樹脂20重量%〜90重量%をドライブレンド又は溶融混練して均一に混合分散する。次に、得られた混合物をスクリュー式押出機に供給し、200℃〜225℃で単層Tダイからフィルム状に押出し、これを50℃〜70℃の冷却ロ−ルに通しながら冷却して実質的に無延伸で巻き取る。
ここで、実質的に無延伸とするのは、粘着シートを貼り合わせ方向に引っ張って半導体ウエハの表面に貼り合わせる際の、粘着シート上に残る残存応力を抑制するためである。この実質的に無延伸とは、無延伸、或いは、粘着シートを貼り合わせ方向に引っ張って半導体ウエハの表面に貼り合わせる際に悪影響を与えない程度の僅少の延伸を含むものである。通常、フィルム巻き取りの際に、たるみの生じない程度の引っ張りであればよい。
(2)3層基材:(A)/(B)/(A)
基材の他の態様として、前記層(A)と、前記SE樹脂100重量%〜80重量%及び前記MBS3元樹脂0重量%〜20重量%からなる層(B)とが、(A)/(B)/(A)の順で積層されてなる少なくとも3層からなる基材が挙げられる。
まず、層(A)を構成する樹脂組成については前記と同じである。
中間層にあたる層(B)は、SE樹脂を80重量%以上、好ましくは85重量%以上含有し、また、MBS3元樹脂を20重量%以下、好ましくは15重量%以下含有する。層(B)は、主にウエハ表面の凹凸追従性や研削時の応力による割れを防ぐために必要な柔軟性を付与するものであるが、SE樹脂自身の軟質さによって極薄研削されたウエハの搬送に必要なサポート性がなく、安定した搬送ができない事が懸念される。また後述する共押出し成形が円滑に行われない場合や、中間層の厚さを厚くする場合には全体のフィルム腰の硬さがより柔らかくなってしまう場合があるが、MBS3元樹脂を20重量%までブレンドすることによりこれらの問題が解決されるのである。
3層(A)/(B)/(A)からなる基材は、SE樹脂を主成分とする層(B)を2つの耐ブロッキング性の高い層(A)の間に積層することで、基材同士のブロッキングがなく、基材としての曲げ特性にも優れる。
3層(A)/(B)/(A)からなる基材の層厚は、80μm〜300μmが好ましく、より好ましくは80μm〜250μmである。この中で各層(A)の厚さはそれぞれ4μm〜135μmが好ましく、より好ましくは8μm〜115μmである。また、層(B)は30μm〜290μmが好ましく、より好ましくは65μm〜240μmである。
次に、3層(A)/(B)/(A)からなる基材の製造方法を説明する。この場合は3層共押出成形法が好ましく採用される。
具体的には、SE樹脂80重量%〜10重量%及びMBS3元樹脂20重量%〜90重量%をドライブレンド又は溶融混練して均一に混合分散して、層(A)用の樹脂混合物を得る。また、SE樹脂100重量%〜80重量%及びMBS3元樹脂0重量%〜20重量%をドライブレンド又は溶融混練して均一に混合分散して、層(B)用の樹脂混合物を得る。
次に、3台のスクリュー式押出機を使って、2台には層(A)用の樹脂を、1台には層(B)用の樹脂を供給し、200℃〜225℃で(A)/(B)/(A)の順で3層Tダイからフィルム状に同時押出しを行い、これを50℃〜70℃の冷却ロ−ルに通しながら冷却して実質的に無延伸で巻き取る。実質的に無延伸とは、上記(1)と同義である。
(3)2層基材:(A)/(C)
基材の他の態様として、前記層(A)と、ポリエチレン系樹脂からなる層(C)とが、(A)/(C)で積層されてなる少なくとも2層からなる基材が挙げられる。
まず、層(A)を構成する樹脂組成については前記と同じである。
ポリエチレン系樹脂層(C)を構成するポリエチレン系樹脂は、ポリエチレン単位を主成分としてなる高分子であれば良く、例えば、エチレン単独重合体(エチレンホモポリマー)、エチレンと炭素数3〜8のオレフィン単量体との共重合体、又はエチレンと(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体との共重合体等が好適である。該共重合体は、ポリエチレン単位を80重量%以上、好ましくは90重量%以上含有しているものが好ましい。
ポリエチレン系樹脂の中でも、共重合体が好ましいが、エチレンと(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体との共重合体がより好ましい。これは、層(A)との層間密着力に優れるからである。具体的には、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体(EBA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)等が例示される。このうち、特に、EMMAが好ましい。
ポリエチレン系樹脂のMFR(ASTM D1238:230℃、21.2N)は0.5g/10min〜10.0g/10min程度であり、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定法(DSC法)により測定した値で−130℃〜0℃程度、好ましくは、−120℃〜−10℃程度である。
また、ポリエチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10万〜30万程度、好ましくは15万〜20万程度である。測定は、GPC法による。
本発明の2層(A)/(C)からなる基材の層厚は、80μm〜300μmが好ましく、より好ましくは80μm〜250μmである。この中で層(A)の厚さは全厚の40%〜97%程度、層(C)の厚さは全厚の3%〜60%程度であれば良く、具体的には、層(A)の厚さは30m〜295mが好ましく、より好ましくは40μm〜240μmである。層(C)の厚さは5μm〜180μmが好ましく、より好ましくは10μm〜80μmである。
2層(A)/(C)からなる基材では、上記(1)に記載の単層(A)からなる基材と比べて、耐ブロッキング性の高いポリエチレン系樹脂層(C)を積層してなるため、耐ブロッキング性は格段に向上する。従って、基材を締め付け状態でロ−ル巻きにしようが、より大きな径でロ−ル巻きにしようが、保存場所が高温になろうが、問題になるブロッキングの懸念は完全に払拭される。なお、粘着剤層を設けるのは層(A)の上になる。
次に、2層(A)/(C)からなる基材の製造方法を説明する。この場合は2層共押出成形法が好ましく採用される。
具体的には、SE樹脂80重量%〜10重量%及びMBS3元樹脂20重量%〜90重量%をドライブレンド又は溶融混練して均一に混合分散して、層(A)用の樹脂混合物を得る。また、ポリエチレン系樹脂をドライブレンド又は溶融混練して、層(C)用の樹脂混合物を得る。
次に、それぞれの樹脂混合物を2台のスクリュー式押出機に供給し、200℃〜225℃で2層Tダイからフィルム状に共押出しを行い、これを50℃〜70℃の冷却ロ−ルに通しながら冷却して実質的に無延伸で巻き取る。実質的に無延伸とは、上記(1)と同義である。
(4)3層基材:(A)/(B)/(C)
基材の他の態様として、前記した層(A)、層(B)及び層(C)とが、(A)/(B)/(C)の順で積層されてなる少なくとも3層からなる基材が挙げられる。
層(A)、層(B)及び層(C)を構成する樹脂組成は前記と同じである。
本発明の3層(A)/(B)/(C)からなる基材の層厚は、70μm〜300μmが好ましく、より好ましくは80μm〜250μmである。この場合、層(A)と層(B)の合計厚さが全厚の40%〜97%程度に、層(C)が全厚の3%〜60%程度に設定するのが良い。例えば、層(A)と層(B)の合計厚さが30μm〜295μmが好ましく、より好ましくは40μm〜240μm程度である。また、層(C)の厚さが5μm〜180μmが好ましく、より好ましくは10μm〜150μmである。
3層(A)/(B)/(C)からなる基材では、上記(2)に記載の3層(A)/(B)/(A)からなる基材と比べて、層(A)が耐ブロッキング性の高いポリエチレン系樹脂層(C)となることによって耐ブロッキング性は格段に向上する。従って、基材を締め付け状態でロ−ル巻きにしようが、より大きな径でロ−ル巻きにしようが、保存場所が高温になろうが、問題になるブロッキングの懸念は完全に払拭される。なお、粘着剤層を設けるのは層(A)の上になる。
次に、3層(A)/(B)/(C)からなる基材の製造方法を説明する。この場合は3層共押出成形法が好ましく採用される。
具体的には、SE樹脂80重量%〜10重量%及びMBS3元樹脂20重量%〜90重量%をドライブレンド又は溶融混練して均一に混合分散して、層(A)用の樹脂混合物を得る。また、SE樹脂100重量%〜80重量%及びMBS3元樹脂0重量%〜20重量%をドライブレンド又は溶融混練して均一に混合分散して、層(B)用の樹脂混合物を得る。また、ポリエチレン系樹脂をドライブレンド又は溶融混練して、層(C)用の樹脂混合物を得る。
次に、3台のスクリュー式押出機を使って、1台は層(A)用の樹脂を、他の1台には層(B)用の樹脂を、さらに他の1台には層(C)用の樹脂を供給し、200℃〜225℃で(A)/(B)/(C)の順で3層Tダイからフィルム状に共押出しを行い、これを50℃〜70℃の冷却ロ−ルに通しながら冷却して実質的に無延伸で巻き取る。実質的に無延伸とは、上記(1)と同義である。
本発明の半導体ウエハ保護用粘着シートの作製は、たとえば、基材に、直接、中間層や粘着剤層を形成する方法、また、別途、セパレータ上に粘着剤層などを形成した後、それらを基材に貼り合せる方法等を採用することができる。
セパレータは、必要に応じて設けられる。セパレータの構成材料としては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム等があげられる。セパレータの表面には、粘着剤層からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の離型処理が施されていても良い。セパレータの厚みは、通常10μm〜200μm、好ましくは25μm〜100μm程度である。
本発明の粘着シートとウエハとの貼り合わせは、加圧可能な容器(例えばオートクレーブなど)中で、ウエハの表面と粘着シートの粘着剤層を重ね、容器内を加圧することによりウエハに貼り合わせることも出来る。この際、押圧手段により押圧しながら貼り合わせてもよい。また、真空チャンバー内で、上記と同様に貼り合わせることもできる。貼り合わせ時の条件はこれらに限定されるものではなく、貼り合わせる際に、加熱をすることもできる。
ウエハに対する粘着シートの貼り合わせ方向は、粘着シートの基材巻き取り方向と交差することが好ましい。通常、粘着シートの基材巻き取り方向は粘着シートの初期弾性率が最も高い方向であるので、貼り合わせ方向と粘着シートの基材巻き取り方向を交差することにより、粘着シートにかかる引張力を低く抑えることができる。粘着シートにかかる引張力を低く抑えることができると、貼り合わせ後の粘着シート上の残存応力も低く抑えることができる。
また、ウエハに対する粘着シートの貼り合わせ方向は、粘着シートの基材幅方向と平行にすることが好ましい。通常、粘着シートの基材幅方向は初期弾性率が最も低い方向であるので、貼り合わせ方向と粘着シートの基材幅方向を平行とすることにより、粘着シートにかかる引張力を低く抑えることができる。粘着シートにかかる引張力を低く抑えることができると、貼り合わせ後の粘着シート上の残存応力も低く抑えることができる。
本発明で基材製造時の基材巻き取り方向とは、シート状の基材を製造する際の基材の搬送方向で且つ基材のシート面に平行な方向である。一般的に、基材は基材巻き取り方向に延伸されつつ巻き取られていくので、基材幅方向よりも、初期弾性率が高くなる傾向がある。
また、基材幅方向とは、基材のシート面に平行で且つ基材巻き取り方向に対して垂直に交差する方向のことである。
本発明では、基材幅方向の初期弾性率が50MPa以下である基材を用いた粘着シートを使用することが好ましく、より好ましくは40MPa以下、さらに好ましくは35MPa以下である。粘着シートの基材の基材幅方向の初期弾性率が50MPa以下であると、貼り合わせ方向と基材巻き取り方向を交差し、または貼り合わせ方向と基材幅方向を平行にして、貼り合わせ方向に沿って粘着シートを引っ張りウエハと貼り合わせても生じる残存応力が小さい。このため、粘着シートを貼り合わせた状態でウエハを薄く研削しても、ウエハの強度が粘着シートの残存応力に抵抗できる。従って、ウエハの反りを低減することができる。
薄型加工は、半導体ウエハが所望の厚さになるまで行われる。半導体ウエハが所望の厚さは、薄型化が可能であり、半導体ウエハの直径をa(インチ)の場合には、研削後の半導体ウエハの厚みをb(μm)としたとき、b/a(μm/インチ)の値が27(μm/インチ)以下の薄型になるまで行うことができる。
実施例及び比較例で得られた半導体ウエハ保護用粘着シートをウエハの表面に貼り合わせた後のウエハの裏面研削、研削後の反りの評価は、次の様にして行った。
〔ウエハの裏面研削〕Disco製バックグラインダーDFG−8560にて8インチSiウエハを厚みが50μmとなるまで研削した。
〔研削後反り〕研削後のウエハの反り量は、研削1分後のウエハを粘着シートを貼ったままの状態で平坦な場所に置き、端部の浮いている距離(mm)を測定することにより求めた。
基材の諸性質についての測定方法は以下の通りとした。
〔2%伸度10分後の引張強度〕幅15mmの短冊状の基材を23℃において、200mm/minで2.0%引張り停止し、その応力緩和曲線から10分後の強度を読み取った値である。
〔初期弾性率〕本明細書において、初期弾性率とは、幅10mmの短冊状の基材を23℃においてチャック間50mm、速度300mm/minで引張った時に得られるS−S曲線から求められる初期弾性率を意味する。
実施例1
アクリル酸メチル70重量部、アクリル酸ブチル30重量部及びアクリル酸5重量部からなる配合組成物をトルエン中で共重合させて、数平均分子量300000のアクリル系共重合物を含む重合組成物を得た。この重合組成物に、上記アクリル系共重合物100重量部に対してウレタンオリゴマー70重量部、ポリイソシアネート化合物5重量部、光開始剤(イルガキュア184)5重量部を混合して粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を基材としてPO多層フィルム[商品名:KKD、グンゼ製、厚み150μm、基材幅方向の2%伸度10分後の引張強度1.0N/15mm、基材幅方向の初期弾性率35MPa]に、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工して粘着剤層を形成し、ウエハ固定用粘着シート(保護シート)を作製した。このようにして作製した粘着シートの基材幅方向とウエハに対する貼り合わせ方向を平行にして、ウエハの表面に貼り合わせた。粘着シートで固定されたウエハの裏面を研削した後、ウエハの反り量を測定した。結果を表1に示す。
なお、実施例1のPO多層基材は層(A)/(B)/(C)の順に積層されてなる基材である。各層に使用される樹脂は以下の通りである。
層(A)用樹脂:SE樹脂(スチレン/ブタジエン・ランダムエラストマ−の水添樹脂)(旭化成ケミカルズ株式会社製、品種SS9000、硬度JIS K6253 デュロメータータイプA:80、Tg:20℃、重量平均分子量:18万)70重量%と、MBS3元樹脂(MMA/スチレン/ブタジエン)(電気化学工業株式会社製、品種TH−23T、硬度JIS K6253 デュロメータータイプD:34、Tg:83℃、重量平均分子量:13万)30重量%とをドライブレンドしたもの。
層(B)用樹脂:SE樹脂100重量%(単独)
層(C)用樹脂:メチルメタアクリレ−ト約9.5重量%結合のポリエチレン系樹脂(アトフィナジャパン株式会社製、品種ロトリル9MA02、融点99℃、重量平均分子量:15万)
PO多層基材は前述の各層用樹脂を3台のスクリュー式押出機に供給して、3層Tダイから(A)/(B)/(C)となるように共押出しを行い、冷却して無延伸で巻き取った。尚、この時の各押出機のバレル温度は180〜220℃、3層Tダイ温度は220℃、冷却ロ−ル温度は60℃であった。得られたPO多層基材の全厚は150μmで、層(A)は60μm、層(B)は80μm、層(C)は10μmであった。
実施例2
PO多層フィルム[商品名:KKD、グンゼ製、厚み150μm、基材貼付方向の2%伸度10分後の引張強度1.2N/15mm、基材幅方向の初期弾性率35MPa]に、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工して粘着剤層を形成し、ウエハ固定用粘着シート(保護シート)を作製した。このように作製した粘着シートの基材巻き取り方向とウエハに対する貼り合わせ方向を60°に交差する形で、ウエハの表面に貼り合わせた。粘着シートで固定されたウエハの裏面を研削した後、ウエハの反り量を測定した。結果を表1に示す。
実施例3
PO多層フィルム[商品名:KKD、グンゼ製、厚み150μm、基材貼付方向の2%伸度10分後の引張強度1.3N/15mm、基材幅方向の初期弾性率35MPa]に、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工して粘着剤層を形成し、ウエハ固定用粘着シート(保護シート)を作製した。このように作製した粘着シートの基材巻き取り方向とウエハに対する貼り合わせ方向を30°に交差する形で、ウエハの表面に貼り合わせた。粘着シートで固定されたウエハの裏面を研削した後、ウエハの反り量を測定した。結果を表1に示す。
比較例1
基材としてEVAフィルム[厚み115μm、基材幅方向の2%伸度10分後の引張強度2.0N/15mm、基材幅方向の初期弾性率70MPa]を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、ウエハ固定用粘着シート(保護シート)を作製した。このようにして作製した粘着シートの基材幅方向とウエハに対する貼り合わせ方向を平行にして、ウエハの表面に貼り合わせた。粘着シートで固定されたウエハの裏面を研削した後、ウエハの反り量を測定した。結果を表2に示す。
比較例2
基材としてPVC[100μm、基材幅方向の2%伸度10分後の引張強度3.0N/15mm、基材幅方向の初期弾性率160MPa]を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、ウエハ固定用粘着シート(保護シート)を作成した。このようにして作製した粘着シートの基材幅方向とウエハに対する貼り合わせ方向を平行にして、ウエハの表面に貼り合わせた。粘着シートで固定されたウエハの裏面を研削した後、ウエハの反り量を測定した。結果を表2に示す。
比較例3
基材としてPO多層フィルム[商品名:KKD、グンゼ製、厚み150μm、基材巻き取り方向の2%伸度10分後の引張強度3.8N/15mm、基材幅方向の初期弾性率35MPa]に、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工して粘着剤層を形成し、ウエハ固定用粘着シート(保護シート)を作製した。このようにして作製した粘着シートの基材巻き取り方向とウエハに対する貼り合わせ方向を平行にして、ウエハの表面に貼り合わせた。粘着シートで固定されたウエハの裏面を研削した後、ウエハの反り量を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2010050321
Figure 2010050321
実施例1〜3の粘着シートの貼り合わせ方法は、基材貼付方向の2.0%伸度10分後の引張強度が1.5N/15mm以下であり、粘着シートを基材貼付方向に引っ張ってウエハと貼り合わせても生じる残存応力が小さい。このため、ウエハの裏面研削後のウエハ反り量が10mm以下を示し、ウエハの反りを抑制できることを確認できた。しかし、表2の比較例6の粘着シートの貼り合わせ方法では、基材貼付方向の2.0%伸度10分後の引張強度が1.5N/15mm以上であるため、ウエハの裏面研削後のウエハの反りは増大する。また、実施例1〜3の粘着シートの貼り合わせ方法では、粘着シートの基材幅方向の初期弾性率が50MPa以下であり、ウエハに対する貼り合わせ方向と基材巻き取り方向を交差し、または貼り合わせ方向と基材幅方向を平行にしているため、粘着シートにかかる引張りの力を小さく抑えることができる。このため、ウエハの裏面研削後のウエハ反り量が10mm以下を示し、ウエハの反りを抑制することが確認できた。しかし、比較例4〜5では基材の幅方向の初期弾性率が50MPa以上であるため、ウエハに対する貼り合わせ方向と基材幅方向を平行にしても、ウエハの裏面研削後のウエハの反りは増大した。また、比較例6では基材の幅方向の初期弾性率が50MPa以下であるが、ウエハに対する貼り合わせ方向と基材巻き取り方向が並行であるため、ウエハの裏面研削後のウエハの反りは増大する。
以上の説明で明らかなように、本発明の粘着シートのウエハに対する貼り合わせ方法は、半導体ウエハを極薄にまで研削する場合や、大口径ウエハの研削を行う場合であっても、半導体ウエハに湾曲(反り)を生じさせずに作業を行うことが出来る。

Claims (11)

  1. 基材と粘着剤層とを含む保護用粘着シートを半導体ウエハの表面に貼り合わせる方法において、基材製造時の基材巻き取り方向の初期弾性率が基材巻き取り方向に対して垂直に交差する方向である基材幅方向の初期弾性率よりも大きく、基材貼付方向の2%伸度10分後の引張強度が1.5N/15mm以下である基材を用いる保護用粘着シートを貼り合わせることを特徴とする半導体ウエハ保護用粘着シートの貼り合わせ方法。
  2. 基材と粘着剤層とを含む保護用粘着シートを半導体ウエハの表面に貼り合わせる方法において、基材製造時の基材巻き取り方向の初期弾性率が基材巻き取り方向に対して垂直に交差する方向である基材幅方向の初期弾性率よりも大きく、基材幅方向の初期弾性率が50MPa以下である基材を用いる保護用粘着シートを、半導体ウエハの表面に貼り合わせる際に、半導体ウエハに対する貼り合わせ方向と基材巻き取り方向を交差させて貼り合わせることを特徴とする半導体ウエハ保護用粘着シートの貼り合わせ方法。
  3. 基材と粘着剤層とを含む保護用粘着シートを半導体ウエハの表面に貼り合わせる方法において、基材製造時の基材巻き取り方向の初期弾性率が基材巻き取り方向に対して垂直に交差する方向である基材幅方向の初期弾性率よりも大きく、基材幅方向の初期弾性率が50MPa以下である基材を用いる保護用粘着シートを、半導体ウエハの表面に貼り合わせる際に、半導体ウエハに対する貼り合わせ方向と基材幅方向が並行となるように貼り合わせることを特徴とする半導体ウエハの保護用粘着シートの貼り合わせ方法。
  4. 前記基材が、一層または多層で構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の保護用粘着シートの貼り合わせ方法。
  5. 前記基材が、スチレン系エラストマー樹脂80重量%〜10重量%及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とジエン系単量体とスチレン系単量体との3元共重合樹脂20重量%〜90重量%からなる層(A)を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の保護用粘着シートの貼り合わせ方法。
  6. 前記基材が、スチレン系エラストマー樹脂80重量%〜10重量%及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とジエン系単量体とスチレン系単量体との3元共重合樹脂20重量%〜90重量%からなる層(A)と、スチレン系エラストマー樹脂100重量%〜80重量%及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とジエン系単量体とスチレン系単量体との3元共重合樹脂0重量%〜20重量%からなる層(B)とで構成され、前記層(A)と前記層(B)とが、(A)/(B)/(A)の順で積層されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の保護用粘着シートの貼り合わせ方法。
  7. 前記基材が、前記層(A)とポリエチレン系樹脂からなる層(C)とで構成され、前記層(A)と前記層(C)とが、(A)/(C)で積層されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の保護用粘着シートの貼り合わせ方法。
  8. 前記基材が、前記層(A)と前記層(B)と前記層(C)とが、(A)/(B)/(C)の順で積層されてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の保護用粘着シートの貼り合わせ方法。
  9. 前記基材の前記スチレン系エラストマー樹脂が、スチレン系単量体とジエン系単量体とのランダム共重合樹脂の水添樹脂及び/又はスチレン系単量体とジエン系単量体とのブロック共重合樹脂の水添樹脂であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の保護用粘着シートの貼り合わせ方法。
  10. 前記層(C)を構成するポリエチレン系樹脂が、エチレンホモポリマー、エチレンと炭素数3〜8のオレフィン単量体との共重合体、又はエチレンと(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体との共重合体であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の保護用粘着シートの貼り合わせ方法。
  11. 前記粘着剤層が一層または中間層を含む多層から構成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の保護用粘着シートの貼り合わせ方法。
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