JP2010040336A - 電池および電極 - Google Patents

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Abstract

【課題】サイクル特性を低下することなく電池抵抗を抑制することが可能な電極および電池を提供すること。
【解決手段】電極集電体と電極活物質層とを有する電極であって、前記電極活物質層上に、下式(I)で表される塩を含有する被膜を有する、電極。
R1A ・・・(I)
R1は、硫黄原子を含む、n価の有機基である。
nは1〜4の整数である。
Aはアニオンである。
Mは金属イオンである。
xは1以上の整数である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電極活物質層上に被膜を有する電極、その電極正極を備えた電池に関する。
近年、カメラ一体型VTR(Video Tape Recorder )、携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が広く普及しており、その小型化、軽量化および長寿命化が強く求められている。これに伴い、電源として、電池、特に軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。
中でも、充放電反応にリチウム(Li)の吸蔵および放出を利用する二次電池(いわゆるリチウムイオン二次電池)は、鉛電池やニッケルカドミウム電池よりも高いエネルギー密度が得られるため、大いに期待されている。このリチウムイオン二次電池は、正極および負極と共に電解液を備えており、その負極は、負極集電体上に負極活物質層を有している。
負極活物質層に含まれる負極活物質としては、黒鉛などの炭素材料が広く用いられている。また、最近では、ポータブル電子機器の高性能化および多機能化に伴って電池容量のさらなる向上が求められていることから、炭素材料に代えてケイ素やスズなどを用いることが検討されている。ケイ素の理論容量(4199mAh/g)やスズの理論容量(994mAh/g)は黒鉛の理論容量(372mAh/g)よりも格段に大きいため、電池容量の大幅な向上を期待できるからである。
ところが、リチウムイオン二次電池では、充放電時にリチウムを吸蔵した負極活物質が高活性になり、電解液が分解されやすくなると共にリチウムが不活性化しやすくなるため、十分なサイクル特性を得ることが困難である。この問題は、負極活物質として高理論容量のケイ素等を用いた場合に顕著となる。また、サイクルが進むと電極上に電解液の分解物が堆積し、抵抗が増大するという問題も見られる。
そこで、リチウムイオン二次電池の諸問題を解決するために、さまざまな検討がなされている。具体的には、負荷特性および低温特性を向上させるために、電解液にフェニルスルホン酸金属塩を含有させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、電池特性を向上させるために、電解液に有機アルカリ金属塩を含有させる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、保存特性やサイクル特性を向上させるために、電解液にヒドロキシカルボン酸を含有させる技術が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。この他、電池容量の低下を抑制するために、負極活物質である炭素材料をリチウムアルコキシド化合物で被覆する技術が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。また、電極の密着性を高めるためにメルカプト基やスルフィドを添加する技術が提案されている(例えば、特許文献5〜6参照。)。
特開2002−056891号公報 特開2000−268863号公報 特開2003−092137号公報 特開平08−138745号公報 特開平09−82311号公報 特開平09−82330号公報
近年、ポータブル電子機器は益々高性能化および多機能化しており、その消費電力も増大する傾向にあるため、二次電池の充放電が頻繁に繰り返され、そのサイクル特性が低下しやすい状況にある。また、その際に電極上に電解液分解物が堆積するため電池の抵抗が増加しやすい状況にある。これらのことから、二次電池のサイクル特性および電池抵抗の抑制において、より一層の向上が望まれている。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、サイクル特性を低下することなく電池抵抗を抑制することが可能な電極および電池を提供することにある。
本発明は、下記電極および電池に関する。
[1]電極集電体と電極活物質層とを有する電極であって、前記電極活物質層上に、下式(I)で表される塩を含有する被膜を有する、電極。
R1A・・・(I)
R1は、硫黄原子を含む、n価の有機基である。
nは1〜4の整数である。
Aはアニオンである。
Mは金属イオンである。
xは1以上の整数である。
[2]正極集電体と正極活物質層とを有する正極、および負極集電体と負極活物質層とを有する負極と共に、電解液を備えた電池であって、前記正極活物質層および負極活物質層の少なくとも一方の上に被膜を有し、前記被膜は、下式(I)で表される塩を含有する、電池。
R1A ・・・(I)
R1は、硫黄原子を含む、n価の有機基である。
nは1〜4の整数である。
Aはアニオンである。
Mは金属イオンである。
xは1以上の整数である。
本発明の電極によれば、式(I)に示した化合物を含有する被膜を電極活物質層上に形成しているので、その被膜を形成しない場合と比較して、電極の化学的安定性が向上する。このため、電極が電池などの電気化学デバイスに用いられた場合に、電極において電極反応物質が効率よく吸蔵および放出されると共に、電極が電解液などの他の物質と反応しにくくなる。これにより、本発明の電極および電池によれば、サイクル特性を低下させることなく反応抵抗の増加を抑制することができる。この場合には、式(I)に示した化合物を含有する溶液を用いて被膜を形成しているので、減圧環境などの特殊な環境条件を要する方法を用いる場合と比較して、良好な被膜を簡単に形成することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の電極は、電極集電体と電極活物質層とを有し、電極活物質層上に、下式(I)で表される塩(以下「化合物(I)とも言う」)を含有する被膜を有する。
R1A ・・・(I)
R1は、硫黄原子を含む、n価の有機基である。
nは1〜4の整数である。
Aはアニオンである。
Mは金属イオンである。
xは1以上の整数である。
化合物(I)において、R1が硫黄原子を含むことにより、電気化学デバイスの電極の被膜として用いられた場合に、自身が分解することによって化学的安定性が向上する。かつ電解液に対する溶解性が低いため、電解液に溶解することなく電極上に留まって化学的安定性を向上させる効果を持続できる。より具体的には、この金属塩が電気化学デバイスとして二次電池に用いられた場合には、電極の反応抵抗の増加を抑制することができる。
化合物(I)において、R1は、硫黄原子を含む、n価の有機基であれば、全体としてはどのような構造を有していてもよい。また、アニオンAと硫黄原子は直接的に結合していてもよいし、何らかの基を介して間接的に結合していてもよい。R1は、好ましくは、HS−、―S―、―S−S―、−S−C(=S)−S−、−N−C(=S)−S−、―C(=O)―S―、―O―C(=O)―S―、−S−C(=O)―S−、および−S−(硫黄アニオン)からなる群より選ばれる少なくとも1つの構造を含む、n価の炭化水素基であることが好ましい。また、R1の炭素数は1〜10であることが好ましい。
化合物(I)において、Aで表されるアニオンがCO またはSO であることが好ましい。化合物(I)におけるアニオンの数は1〜4であり、好ましくは1〜2である。
化合物(I)において、Mで表される金属イオンがアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンであることが好ましい。具体的には、Li、Na、K、Mg2+およびCa2+が挙げられ、なかでも電解液に対する溶解性の観点からLi、Mg2+およびCa2+が好ましい。また、化合物(I)における金属イオンMの数xは、1以上であり、好ましくは1〜10である。
化合物(I)の具体例を、下記に示す。
Figure 2010040336
化合物(I)の含有量は活物質に対して好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%である。
次に、上記した化合物(I)の使用例について説明する。電気化学デバイスの一例として二次電池を挙げると、化合物(I)は以下のようにして二次電池に用いられる。
ここで説明する二次電池は、セパレータを介して対向された正極および負極と、電解液とを備え、例えば、負極の容量が電極反応物質であるリチウムの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池である。正極は、正極集電体上に正極活物質層を有しており、負極は、負極集電体上に負極活物質層を有している。電解液は、溶媒と、それに溶解された電解質塩とを含んでいる。
この二次電池では、正極または負極の少なくとも一方が、上記した化合物(I)を含有している。化合物(I)により電極の化学的安定性が向上するため、電解液の分解反応が抑制されるからである。
具体的には、正極活物質層上または負極活物質上の少なくとも一方に化合物(I)を含有する被膜が設けられる。
この二次電池の種類(電池構造)は、特に限定されない。以下では、電池構造として円筒型およびラミネートフィルム型を例に挙げ、負極が化合物(I)を含有する場合について、二次電池の詳細な構成を説明する。
(第1の二次電池)
図1は第1の二次電池の断面構成を表している。
この二次電池は、主に、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、セパレータ35を介して正極33と負極34とが巻回された巻回電極体30と、一対の絶縁板12,13とが収納されたものである。この円柱状の電池缶11を用いた電池構造は、円筒型と呼ばれている。
電池缶11は、例えば、一端部が閉鎖されると共に他端部が開放された中空構造を有しており、鉄、アルミニウムあるいはそれらの合金などの金属材料によって構成されている。なお、電池缶11が鉄によって構成される場合には、例えば、ニッケルなどの鍍金が施されてもよい。一対の絶縁板12,13は、巻回電極体30を上下から挟み、その巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、その内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient:PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめて取り付けられている。これにより、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の金属材料によって構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されている。この安全弁機構15では、内部短絡、あるいは外部からの加熱などに起因して内圧が一定以上となった場合に、ディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体30との間の電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度の上昇に応じて抵抗が増大することにより、電流を制限して大電流に起因する異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料によって構成されており、その表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体30の中心には、センターピン24が挿入されていてもよい。この巻回電極体30では、アルミニウムなどの金属材料によって構成された正極リード31が正極33に接続されていると共に、ニッケルなどの金属材料によって構成された負極リード32が負極34に接続されている。正極リード31は、安全弁機構15に溶接などされて電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード32は、電池缶11に溶接などされて電気的に接続されている。
図2は、図1に示した巻回電極体30の一部を拡大して表す断面図を示している。
正極33は、例えば、一対の面を有する正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bが設けられたものである。ただし、正極活物質層33Bは、正極集電体33Aの片面だけに設けられていてもよい。
正極集電体33Aは、例えば、アルミニウム、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によって構成されている。
正極活物質層33Bは、正極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種あるいは2種以上を含んでおり、必要に応じて、結着剤や導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム含有化合物が好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。このリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物や、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物などが挙げられる。中でも、遷移金属元素としてコバルト、ニッケル、マンガンおよび鉄からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。より高い電圧が得られるからである。その化学式は、例えば、Lix M1O あるいはLiy M2PO で表される。式中、M1およびM2は、1種類以上の遷移金属元素を表す。xおよびyの値は、充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(Lix CoO )、リチウムニッケル複合酸化物(Lix NiO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(Lix Ni1-z Coz (z<1))、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(Lix Ni(1-v-w) CovMnw (v+w<1))、あるいはスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn )などが挙げられる。中でも、コバルトを含む複合酸化物が好ましい。高い容量が得られると共に、優れたサイクル特性も得られるからである。また、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO)あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-u Mnu PO(u<1))などが挙げられる。
この他、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムあるいは二酸化マンガンなどの酸化物や、二硫化チタンあるいは硫化モリブデンなどの二硫化物や、セレン化ニオブなどのカルコゲン化物や、硫黄、ポリアニリンあるいはポリチオフェンなどの導電性高分子も挙げられる。
もちろん、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料は、上記以外のものであってもよい。また、上記した一連の正極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
そして、正極活物質は化合物(I)の被膜を設けられている。この被膜が正極活物質上に設けられているのは、正極の化学的安定性が向上し、それに伴って正極に隣接する電解液の化学的安定性も向上するからである。これにより、正極においてリチウムが効率よく吸蔵および放出されると共に、電解液の分解反応が抑制されるため、サイクル特性が向上する。
この被膜は、正極活物質の全面を覆うように設けられていてもよいし、その表面の一部を覆うように設けられていてもよい。
被膜を形成する方法としては、例えば、浸漬法などの液相法や、蒸着法、スパッタ法あるいはCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法などの気相法が挙げられる。これらの方法については、単独で用いてもよいし、2種以上の方法を併用してもよい。中でも、液相法として、上記した化合物(I)を含有する溶液を用いて被膜を形成するのが好ましい。具体的には、例えば、浸積法では、化合物(I)を含有する溶液中に、正極活物質を浸漬し、続いて乾燥させ、化合物(I)を正極活物質の表面に被覆させる。高い化学的安定性を有する良好な被膜が容易に形成されるからである。化合物(I)を溶解させる溶媒としては、例えば、水などの極性の高い溶媒が挙げられる。
導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックあるいはケチェンブラックなどの炭素材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。なお、導電剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料あるいは導電性高分子などであってもよい。
結着剤としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピレンジエンなどの合成ゴムや、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
図3に示すように、負極34は、例えば、一対の面を有する負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bよび被膜34Cが設けられたものである。ただし、負極活物質層34Bは、負極集電体34Aの片面だけに設けられていてもよい。被膜34Cについても、同様である。
負極集電体34Aは、例えば、銅、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によって構成されている。この負極集電体34Aの表面は、粗面化されているのが好ましい。いわゆるアンカー効果によって負極集電体34Aと負極活物質層34Bとの間の密着性が向上するからである。この場合には、少なくとも負極活物質層34Bと対向する領域において、負極集電体34Aの表面が粗面化されていればよい。粗面化の方法としては、例えば、電解処理によって微粒子を形成する方法などが挙げられる。この電解処理とは、電解槽中において電解法によって負極集電体34Aの表面に微粒子を形成して凹凸を設ける方法である。この電解処理が施された銅箔は、一般に「電解銅箔」と呼ばれている。
負極活物質層34Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種あるいは2種以上を含んでおり、必要に応じて、結着剤や導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。なお、結着剤および導電剤に関する詳細は、例えば、正極33について説明した場合と同様である。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能であると共に金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として有する材料が挙げられる。高いエネルギー密度が得られるからである。このような負極材料は、金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、それらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本発明における「合金」には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含まれる。また、「合金」は、非金属元素を含んでいてもよい。この組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物、あるいはそれらの2種以上が共存するものがある。
上記した金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、リチウムと合金を形成することが可能な金属元素あるいは半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム、ホウ素(B)、アルミニウム、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素、ゲルマニウム(Ge)、スズ、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)などである。中でも、ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種が好ましい。リチウムを吸蔵および放出する能力が大きいため、高いエネルギー密度が得られるからである。
ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種を有する負極材料としては、例えば、ケイ素の単体、合金あるいは化合物や、スズの単体、合金あるいは化合物や、それらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン(Sb)およびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を有するものが挙げられる。ケイ素の化合物としては、例えば、酸素あるいは炭素(C)を有するものが挙げられ、ケイ素に加えて、上記した第2の構成元素を有していてもよい。ケイ素の合金あるいは化合物の一例としては、SiB、SiB 、MgSi、NiSi、TiSi 、MoSi 、CoSi、NiSi、CaSi 、CrSi 、CuSi、FeSi、MnSi 、NbSi 、TaSi、VSi、WSi 、ZnSi 、SiC、Si 、SiO、SiOv(0<v≦2)、SnOw (0<w≦2)あるいはLiSiOなどが挙げられる。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を有するものが挙げられる。スズの化合物としては、例えば、酸素あるいは炭素を有するものが挙げられ、スズに加えて、上記した第2の構成元素を有していてもよい。スズの合金あるいは化合物の一例としては、SnSiO、LiSnO、MgSnなどが挙げられる。
特に、ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種を有する負極材料としては、例えば、スズを第1の構成元素とし、それに加えて第2および第3の構成元素を有するものが好ましい。第2の構成元素は、コバルト、鉄、マグネシウム、チタン、バナジウム(V)、クロム、マンガン、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ(Nb)、モリブデン、銀、インジウム、セリウム(Ce)、ハフニウム、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ビスマスおよびケイ素からなる群のうちの少なくとも1種である。第3の構成元素は、ホウ素、炭素、アルミニウムおよびリン(P)からなる群のうちの少なくとも1種である。第2および第3の構成元素を有することにより、サイクル特性が向上するからである。
中でも、スズ、コバルトおよび炭素を構成元素として有し、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下、スズおよびコバルトの合計に対するコバルトの割合(Co/(Sn+Co))が30質量%以上70質量%以下であるSnCoC含有材料が好ましい。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られるからである。
このSnCoC含有材料は、必要に応じて、さらに他の構成元素を有していてもよい。他の構成元素としては、例えば、ケイ素、鉄、ニッケル、クロム、インジウム、ニオブ、ゲルマニウム、チタン、モリブデン、アルミニウム、リン、ガリウムあるいはビスマスなどが好ましく、それらの2種以上を有していてもよい。より高い効果が得られるからである。
なお、SnCoC含有材料は、スズ、コバルトおよび炭素を含む相を有しており、その相は、低結晶性あるいは非晶質な相であるのが好ましい。この相は、リチウムと反応可能な反応相であり、これによって優れたサイクル特性が得られるようになっている。この相のX線回折によって得られる回折ピークの半値幅は、特定X線としてCuKα線を用い、挿引速度を1°/minとした場合に、回折角2θで1.0°以上であることが好ましい。リチウムがより円滑に吸蔵および放出されると共に、電解質との反応性が低減されるからである。
X線回折によって得られた回折ピークがリチウムと反応可能な反応相に対応するものであるか否かは、リチウムとの電気化学的反応の前後におけるX線回折チャートを比較することによって容易に判断することができる。例えば、リチウムとの電気化学的反応の前後において回折ピークの位置が変化すれば、リチウムと反応可能な反応相に対応するものである。この場合には、例えば、低結晶性あるいは非晶質な反応相の回折ピークが2θ=20°〜50°の間に見られる。この低結晶性あるいは非晶質な反応相は、例えば、上記した各構成元素を含んでおり、主に、炭素によって低結晶化あるいは非晶質化しているものと考えられる。
なお、SnCoC含有材料は、低結晶性あるいは非晶質な相に加えて、各構成元素の単体または一部を含む相を有している場合もある。
特に、SnCoC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素あるいは半金属元素と結合しているのが好ましい。スズなどの凝集あるいは結晶化が抑制されるからである。
元素の結合状態を調べる測定方法としては、例えばX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)が挙げられる。このXPSは、軟X線(市販の装置ではAl−Kα線か、Mg−Kα線を用いる)を試料表面に照射し、試料表面から飛び出してくる光電子の運動エネルギーを測定することによって、試料表面から数nmの領域の元素組成、および元素の結合状態を調べる方法である。
元素の内殻軌道電子の束縛エネルギーは、第1近似的には、元素上の電荷密度と相関して変化する。例えば、炭素元素の電荷密度が近傍に存在する元素との相互作用によって減少した場合には、2p電子などの外殻電子が減少しているので、炭素元素の1s電子は殻から強い束縛力を受けることになる。すなわち、元素の電荷密度が減少すると、束縛エネルギーは高くなる。XPSでは、束縛エネルギーが高くなると、高いエネルギー領域にピークはシフトするようになっている。
XPSにおいて、炭素の1s軌道(C1s)のピークは、グラファイトであれば、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正された装置において、284.5eVに現れる。また、表面汚染炭素であれば、284.8eVに現れる。これに対して、炭素元素の電荷密度が高くなる場合、例えば炭素よりも陽性な元素と結合している場合には、C1sのピークは、284.5eVよりも低い領域に現れる。すなわち、SnCoC含有材料に含まれる炭素の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素などと結合している場合には、SnCoC含有材料について得られるC1sの合成波のピークが284.5eVよりも低い領域に現れる。
なお、XPS測定を行う場合には、表面が表面汚染炭素で覆われている際に、XPS装置に付属のアルゴンイオン銃で表面を軽くスパッタするのが好ましい。また、測定対象のSnCoC含有材料が負極34中に存在する場合には、二次電池を解体して負極34を取り出したのち、炭酸ジメチルなどの揮発性溶媒で洗浄するとよい。負極34の表面に存在する揮発性の低い溶媒と電解質塩とを除去するためである。これらのサンプリングは、不活性雰囲気下で行うのが望ましい。
また、XPS測定では、スペクトルのエネルギー軸の補正に、例えばC1sのピークを用いる。通常、物質表面には表面汚染炭素が存在しているので、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、それをエネルギー基準とする。なお、XPS測定では、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形として得られるので、例えば市販のソフトウエアを用いて解析することにより、表面汚染炭素のピークと、SnCoC含有材料中の炭素のピークとを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
このSnCoC含有材料は、例えば、各構成元素の原料を混合した混合物を電気炉、高周波誘導炉あるいはアーク溶解炉などで溶解させたのち、凝固させることによって形成可能である。また、ガスアトマイズあるいは水アトマイズなどの各種アトマイズ法や、各種ロール法や、メカニカルアロイング法あるいはメカニカルミリング法などのメカノケミカル反応を利用した方法などを用いてもよい。中でも、メカノケミカル反応を利用した方法が好ましい。SnCoC含有材料が低結晶性あるいは非晶質な構造になるからである。メカノケミカル反応を利用した方法では、例えば、遊星ボールミル装置やアトライタなどの製造装置を用いることができる。
原料には、各構成元素の単体を混合して用いてもよいが、炭素以外の構成元素の一部については合金を用いるのが好ましい。このような合金に炭素を加えてメカニカルアロイング法を利用した方法によって合成することにより、低結晶化あるいは非晶質な構造が得られ、反応時間も短縮されるからである。なお、原料の形態は、粉体であってもよいし、塊状であってもよい。
このSnCoC含有材料の他、スズ、コバルト、鉄および炭素を構成元素として有するSnCoFeC含有材料も好ましい。このSnCoFeC含有材料の組成は、任意に設定可能である。例えば、鉄の含有量を少なめに設定する場合の組成としては、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下、鉄の含有量が0.3質量%以上5.9質量%以下、スズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合(Co/(Sn+Co))が30質量%以上70質量%以下であるのが好ましい。また、例えば、鉄の含有量を多めに設定する場合の組成としては、炭素の含有量が11.9質量%以上29.7質量%以下、スズとコバルトと鉄との合計に対するコバルトと鉄との合計の割合((Co+Fe)/(Sn+Co+Fe))が26.4質量%以上48.5質量%以下、コバルトと鉄との合計に対するコバルトの割合(Co/(Co+Fe))が9.9質量%以上79.5質量%以下であるのが好ましい。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られるからである。このSnCoFeC含有材料の結晶性、元素の結合状態の測定方法、および形成方法などについては、上記したSnCoC含有材料と同様である。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料として、ケイ素の単体、合金あるいは化合物や、スズの単体、合金あるいは化合物や、それらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有する材料を用いた負極活物質層34Bは、例えば、気相法、液相法、溶射法、塗布法あるいは焼成法、またはそれらの2種以上の方法を用いて形成される。この場合には、負極集電体34Aと負極活物質層34Bとが界面の少なくとも一部において合金化しているのが好ましい。詳細には、両者の界面において、負極集電体34Aの構成元素が負極活物質層34Bに拡散していてもよいし、負極活物質層34Bの構成元素が負極集電体34Aに拡散していてもよいし、それらの構成元素が互いに拡散し合っていてもよい。充放電時における負極活物質層34Bの膨張および収縮に起因する破壊が抑制されると共に、負極集電体34Aと負極活物質層34Bとの間の電子伝導性が向上するからである。
なお、気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法、具体的には真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長(Chemical Vapor Deposition :CVD)法あるいはプラズマ化学気相成長法などが挙げられる。液相法としては、電解鍍金あるいは無電解鍍金などの公知の手法を用いることができる。塗布法とは、例えば、粒子状の負極活物質を結着剤などと混合したのち、溶剤に分散させて塗布する方法である。焼成法とは、例えば、塗布法によって塗布したのち、結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。焼成法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法あるいはホットプレス焼成法が挙げられる。
上記した他、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、炭素材料が挙げられる。この炭素材料とは、例えば、易黒鉛化性炭素や、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化性炭素や、(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などである。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭あるいはカーボンブラック類などがある。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどが含まれる。有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。炭素材料は、リチウムの吸蔵および放出に伴う結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度が得られると共に優れたサイクル特性が得られ、さらに導電剤としても機能するので好ましい。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状あるいは鱗片状のいずれでもよい。
また、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な金属酸化物あるいは高分子化合物なども挙げられる。金属酸化物とは、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウムあるいは酸化モリブデンなどであり、高分子化合物とは、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンあるいはポリピロールなどである。
もちろん、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料は、上記以外のものであってもよい。また、上記した一連の負極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されもよい。
上記した負極材料からなる負極活物質は、複数の粒子状をなしている。すなわち、負極活物質層34Bは、複数の負極活物質粒子を有しており、その負極活物質粒子は、例えば、上記した気相法などによって形成されている。ただし、負極活物質粒子は、気相法以外の方法によって形成されていてもよい。
負極活物質粒子が気相法などの堆積法によって形成される場合には、その負極活物質粒子が単一の堆積工程を経て形成された単層構造を有していてもよいし、複数回の堆積工程を経て形成された多層構造を有していてもよい。ただし、堆積時に高熱を伴う蒸着法などによって負極活物質粒子を形成する場合には、その負極活物質粒子が多層構造を有しているのが好ましい。負極材料の堆積工程を複数回に分割して行う(負極材料を順次薄く形成して堆積させる)ことにより、その堆積工程を1回で行う場合と比較して負極集電体34Aが高熱に晒される時間が短くなり、熱的ダメージを受けにくくなるからである。
この負極活物質粒子は、例えば、負極集電体34Aの表面から負極活物質層34Bの厚さ方向に成長しており、その根本において負極集電体34Aに連結されている。この場合には、負極活物質粒子が気相法によって形成されており、上記したように、負極集電体34Aとの界面の少なくとも一部において合金化しているのが好ましい。詳細には、両者の界面において、負極集電体34Aの構成元素が負極活物質粒子に拡散していてもよいし、負極活物質粒子の構成元素が負極集電体34Aに拡散していてもよいし、両者の構成元素が互いに拡散しあっていてもよい。
特に、負極活物質層34Bは、必要に応じて、負極活物質粒子の表面(電解液と接する領域)を被覆する酸化物含有膜を有しているのが好ましい。酸化物含有膜が電解液に対する保護膜として機能し、充放電を繰り返しても電解液の分解反応が抑制されるため、サイクル特性が向上するからである。この酸化物含有膜は、負極活物質粒子の表面のうちの一部を被覆していてもよいし、全部を被覆していてもよい。
この酸化物含有膜は、例えば、ケイ素、ゲルマニウムおよびスズからなる群のうちの少なくとも1種の酸化物を含有しており、中でも、ケイ素の酸化物を含有しているのが好ましい。負極活物質粒子の表面を全体に渡って容易に被覆しやすいと共に、優れた保護作用が得られるからである。もちろん、酸化物含有膜は、上記以外の他の酸化物を含有していてもよい。この酸化物含有膜は、例えば、気相法あるいは液相法によって形成されており、中でも液相析出法、ゾルゲル法、塗布法あるいはディップコーティング法などの液相法が好ましく、液相析出法がより好ましい。負極活物質粒子の表面を広い範囲に渡って容易に被覆しやすいからである。
また、負極活物質層34Bは、必要に応じて、負極活物質粒子の粒子間の隙間や粒子内の隙間に、電極反応物質と合金化しない金属材料を有しているのが好ましい。金属材料を介して複数の負極活物質粒子が結着されると共に、上記した隙間に金属材料が存在することで負極活物質層34Bの膨張および収縮が抑制されるため、サイクル特性が向上するからである。
この金属材料は、例えば、リチウムと合金化しない金属元素を構成元素として有している。このような金属元素としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛および銅からなる群のうちの少なくとも1種が挙げられ、中でも、コバルトが好ましい。上記した隙間に金属材料が容易に入り込みやすいと共に、優れた結着作用が得られるからである。もちろん、金属材料は、上記以外の他の金属元素を有していてもよい。ただし、ここで言う「金属材料」とは、単体に限らず、合金や金属化合物まで含む広い概念である。この金属材料は、例えば、気相法あるいは液相法によって形成されており、中でも電解鍍金法あるいは無電解鍍金法などの液相法が好ましく、電解鍍金法がより好ましい。上記した隙間に金属材料が入り込みやすくなると共に、その形成時間が短くて済むからである。
なお、負極活物質層34Bは、上記した酸化物含有膜あるいは金属材料のいずれか一方だけを有していてもよいし、双方を有していてもよい。ただし、サイクル特性をより向上させるためには、双方を含んでいるのが好ましい。
ここで、図4および図5を参照して、負極34の詳細な構成について説明する。
まず、負極活物質層34Bが複数の負極活物質粒子と共に酸化物含有膜を有する場合について説明する。図4は本発明の負極34の断面構造を模式的に表しており、図5は参考例の負極の断面構造を模式的に表している。図4および図5では、負極活物質粒子が単層構造を有している場合を示している。
本発明の負極では、図4に示したように、例えば、蒸着法などの気相法によって負極集電体34A上に負極材料が堆積されると、その負極集電体34A上に複数の負極活物質粒子221が形成される。この場合には、負極集電体34Aの表面が粗面化され、その表面に複数の突起部(例えば、電解処理により形成された微粒子)が存在すると、負極活物質粒子221が上記した突起部ごとに厚さ方向に成長するため、複数の負極活物質粒子221が負極集電体34A上において配列されると共に根本において負極集電体34Aの表面に連結される。こののち、例えば、液相析出法などの液相法によって負極活物質粒子221の表面に酸化物含有膜222が形成されると、その酸化物含有膜222は負極活物質粒子221の表面をほぼ全体に渡って被覆し、特に、負極活物質粒子221の頭頂部から根本に至る広い範囲を被覆する。この酸化物含有膜222による広範囲な被覆状態は、その酸化物含有膜222が液相法によって形成された場合に得られる特徴である。すなわち、液相法によって酸化物含有膜222を形成すると、その被覆作用が負極活物質粒子221の頭頂部だけでなく根本まで広く及ぶため、その根本まで酸化物含有膜222によって被覆される。
これに対して、参考例の負極では、図5に示したように、例えば、気相法によって複数の負極活物質粒子221が形成されたのち、同様に気相法によって酸化物含有膜223が形成されると、その酸化物含有膜223は負極活物質粒子221の頭頂部だけを被覆する。この酸化物含有膜223による狭範囲な被覆状態は、その酸化物含有膜223が気相法によって形成された場合に得られる特徴である。すなわち、気相法によって酸化物含有膜223を形成すると、その被覆作用が負極活物質粒子221の頭頂部に及ぶものの根本まで及ばないため、その根本までは酸化物含有膜223によって被覆されない。
なお、図4では、気相法によって負極活物質層34Bが形成される場合について説明したが、焼結法などによって負極活物質層34Bが形成される場合においても同様に、複数の負極活物質粒子の表面をほぼ全体に渡って被覆するように酸化物含有膜が形成される。
次に、負極活物質層34Bが複数の負極活物質粒子と共に電極反応物質と合金化しない金属材料を有する場合について説明する。図6は負極34の断面構造を拡大して表しており、(A)は走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope:SEM)写真(二次電子像)、(B)は(A)に示したSEM像の模式絵である。図6では、複数の負極活物質粒子221が粒子内に多層構造を有している場合を示している。
負極活物質粒子221が多層構造を有する場合には、その複数の負極活物質粒子221の配列構造、多層構造および表面構造に起因して、負極活物質層34B中に複数の隙間224が生じている。この隙間224は、主に、発生原因に応じて分類された2種類の隙間224A,224Bを含んでいる。隙間224Aは、隣り合う負極活物質粒子221間に生じるものであり、隙間224Bは、負極活物質粒子221内の各階層間に生じるものである。
なお、負極活物質粒子221の露出面(最表面)には、空隙225が生じる場合がある。この空隙225は、負極活物質粒子221の表面にひげ状の微細な突起部(図示せず)が生じることに伴い、その突起部間に生じるものである。この空隙225は、負極活物質粒子221の露出面において、全体に渡って生じる場合もあれば、一部だけに生じる場合もある。ただし、上記したひげ状の突起部は、負極活物質粒子221の形成時ごとにその表面に生じるため、空隙225は、負極活物質粒子221の露出面だけでなく、各階層間にも生じる場合がある。
図7は負極34の他の断面構造を表しており、図6に対応している。負極活物質層34Bは、隙間224A,224Bに、電極反応物質と合金化しない金属材料226を有している。この場合には、隙間224A,224Bのうちのいずれか一方だけに金属材料226を有していてもよいが、双方に金属材料226を有しているのが好ましい。より高い効果が得られるからである。
この金属材料226は、隣り合う負極活物質粒子221間の隙間224Aに入り込んでいる。詳細には、気相法などによって負極活物質粒子221が形成される場合には、上記したように、負極集電体34Aの表面に存在する突起部ごとに負極活物質粒子221が成長するため、隣り合う負極活物質粒子221間に隙間224Aが生じる。この隙間224Aは、負極活物質層34Bの結着性を低下させる原因となるため、その結着性を高めるために、上記した隙間224Aに金属材料226が充填されている。この場合には、隙間224Aの一部でも充填されていればよいが、その充填量が多いほど好ましい。負極活物質層34Bの結着性がより向上するからである。金属材料226の充填量は、20%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。
また、金属材料226は、負極活物質粒子221内の隙間224Bに入り込んでいる。詳細には、負極活物質粒子221が多層構造を有する場合には、各階層間に隙間224Bが生じる。この隙間224Bは、上記した隙間224Aと同様に、負極活物質層34Bの結着性を低下させる原因となるため、その結着性を高めるために、上記した隙間224Bに金属材料226が充填されている。この場合には、隙間224Bの一部でも充填されていればよいが、その充填量が多いほど好ましい。負極活物質層34Bの結着性がより向上するからである。
なお、負極活物質層34Bは、最上層の負極活物質粒子221の露出面に生じるひげ状の微細な突起部(図示せず)が二次電池の性能に悪影響を及ぼすことを抑えるために、空隙225に金属材料226を有していてもよい。詳細には、気相法などによって負極活物質粒子221が形成される場合には、その表面にひげ状の微細な突起部が生じるため、その突起部間に空隙225が生じる。この空隙225は、負極活物質粒子221の表面積の増加を招き、その表面に形成される不可逆性の被膜の量も増加させるため、電極反応(充放電反応)の進行度を低下させる原因となる可能性がある。したがって、電極反応の進行度の低下を抑えるために、上記した空隙225に金属材料226が埋め込まれている。この場合には、空隙225の一部でも埋め込まれていればよいが、その埋め込む量が多いほど好ましい。電極反応の進行度の低下がより抑えられるからである。図6において、最上層の負極活物質粒子221の表面に金属材料226が点在していることは、その点在箇所に上記した微細な突起部が存在していること表している。もちろん、金属材料226は、必ずしも負極活物質粒子221の表面に点在していなければならないわけではなく、その表面全体を被覆していてもよい。
特に、隙間224Bに入り込んだ金属材料226は、各階層における空隙225を埋め込む機能も果たしている。詳細には、負極材料が複数回に渡って堆積される場合には、その堆積時ごとに負極活物質粒子221の表面に上記した微細な突起部が生じる。このことから、金属材料226は、各階層における隙間224Bに充填されているだけでなく、各階層における空隙225も埋め込んでいる。
なお、図6および図7では、負極活物質粒子221が多層構造を有しており、負極活物質層34B中に隙間224A,224Bの双方が存在している場合について説明したため、負極活物質層34Bが隙間224A,224Bに金属材料226を有している。これに対して、負極活物質粒子221が単層構造を有しており、負極活物質層34B中に隙間224Aだけが存在する場合には、負極活物質層34Bが隙間224Aだけに金属材料226を有することとなる。もちろん、空隙225は両者の場合において生じるため、いずれの場合においても空隙225に金属材料226を有することとなる。
セパレータ35は、正極33と負極34とを隔離し、両極の接触に起因する電流の短絡を防止しながらリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ35は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂からなる多孔質膜や、セラミックからなる多孔質膜などによって構成されており、これらの2種以上の多孔質膜が積層されたものであってもよい。
このセパレータ35には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、溶媒と、それに溶解された電解質塩とを含んでいる。
溶媒は、例えば、有機溶剤などの非水溶媒のいずれか1種あるいは2種以上を含有している。この非水溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸メチルプロピルなどの炭酸エステル系溶媒などが挙げられる。優れた容量特性、サイクル特性および保存特性が得られるからである。中でも、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの高粘度溶媒と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒とを混合したものが好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するため、より高い効果が得られるからである。
この溶媒は、下式(D)〜(F)で表される不飽和結合を有する環状炭酸エステルを含有しているのが好ましい。サイクル特性が向上するからである。これらは単独でも良いし、複数種が混合されてもよい。
Figure 2010040336
(式(D)において、R11およびR12は水素基あるいはアルキル基である。)
Figure 2010040336
式(E)において、R13〜R16は水素基、アルキル基、ビニル基あるいはアリル基であり、それらのうちの少なくとも1つはビニル基あるいはアリル基である。
Figure 2010040336
(式(F)において、R17はアルキレン基である。)
式(D)に示した不飽和結合を有する環状炭酸エステルは、炭酸ビニレン系化合物である。この炭酸ビニレン系化合物としては、例えば、炭酸ビニレン(1,3−ジオキソール−2−オン)、炭酸メチルビニレン(4−メチル−1,3−ジオキソール−2−オン)、炭酸エチルビニレン(4−エチル−1,3−ジオキソール−2−オン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4,5−ジエチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4−フルオロ−1,3−ジオキソール−2−オン、あるいは4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソール−2−オンなどが挙げられ、中でも炭酸ビニレンが好ましい。容易に入手可能であると共に、高い効果が得られるからである。
式(E)に示した不飽和結合を有する環状炭酸エステルは、炭酸ビニルエチレン系化合物である。炭酸ビニルエチレン系化合物としては、例えば、炭酸ビニルエチレン(4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン)、4−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−n−プロピル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、あるいは4,5−ジビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられ、中でも炭酸ビニルエチレンが好ましい。容易に入手可能であると共に、高い効果が得られるからである。もちろん、R13〜R16としては、全てがビニル基でもよいし、全てがアリル基でもよいし、ビニル基とアリル基とが混在していてもよい。
式(F)に示した不飽和結合を有する環状炭酸エステルは、炭酸メチレンエチレン系化合物である。炭酸メチレンエチレン系化合物としては、4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、あるいは4,4−ジエチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。この炭酸メチレンエチレン系化合物としては、1つのメチレン基を有するもの(式(F)に示した化合物)の他、2つのメチレン基を有するものであってもよい。
なお、不飽和結合を有する環状炭酸エステルとしては、式(D)〜(F)に示したものの他、ベンゼン環を有する炭酸カテコール(カテコールカーボネート)などであってもよい。
また、溶媒は、式(A)で表されるハロゲンを構成元素として有する鎖状炭酸エステルおよび式(B)で表されるハロゲンを構成元素として有する環状炭酸エステルのうちの少なくとも1種を含有しているのが好ましい。負極34の表面に安定な保護膜が形成されて電解液の分解反応が抑制されるため、サイクル特性が向上するからである。
Figure 2010040336
(式(A)において、R21〜R26は水素基、ハロゲン基、アルキル基あるいはハロゲン化アルキル基であり、それらのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。)
Figure 2010040336
(式(B)において、R27〜R30は水素基、ハロゲン基、アルキル基あるいはハロゲン化アルキル基であり、それらのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。)
なお、式(A)中のR21〜R26は、同一でもよいし、異なってもよい。このことは、式(B)中のR27〜30についても同様である。ハロゲンの種類は、特に限定されないが、例えば、フッ素、塩素および臭素からなる群のうちの少なくとも1種が挙げられ、中でも、フッ素が好ましい。高い効果が得られるからである。もちろん、他のハロゲンであってもよい。
ハロゲンの数は、1つよりも2つが好ましく、さらに3つ以上であってもよい。保護膜を形成する能力が高くなり、より強固で安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応がより抑制されるからである。
式(A)に示したハロゲンを有する鎖状炭酸エステルとしては、例えば、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)あるいは炭酸ジフルオロメチルメチルなどが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
式(B)に示したハロゲンを有する環状炭酸エステルとしては、例えば、下記式で表される一連の化合物が挙げられる。すなわち、式(B-1)群における式(1)の4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(2)の4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(3)の4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(4)のテトラフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(5)の4−フルオロ−5−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(6)の4,5−ジクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(7)のテトラクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(8)の4,5−ビストリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(9)の4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(10)の4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(11)の4−メチル−5,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(12)の4−エチル−5,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。
また、式(B-2)群における(1)の4−トリフルオロメチル−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(2)の4−トリフルオロメチル−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(3)の4−フルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(4)の4,4−ジフルオロ−5−(1,1−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、(5)の4,5−ジクロロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(6)の4−エチル−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(7)の4−エチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(8)の4−エチル−4,5,5−トリフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(9)の4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
Figure 2010040336
Figure 2010040336
中でも、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいは4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが好ましく、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンがより好ましい。特に、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとしては、シス異性体よりもトランス異性体が好ましい。容易に入手可能であると共に、高い効果が得られるからである。
電解質塩は、例えば、リチウム塩などの軽金属塩のいずれか1種あるいは2種以上を含んでいる。このリチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウムあるいは六フッ化ヒ酸リチウムなどが挙げられる。優れた容量特性、サイクル特性および保存特性が得られるからである。中でも、六フッ化リン酸リチウムが好ましい。内部抵抗が低下するため、より高い効果が得られるからである。
この電解質塩は、下記で表される化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含有しているのが好ましい。上記した六フッ化リン酸リチウム等と一緒に用いられた場合に、より高い効果が得られるからである。なお、R33は、同一でもよいし、異なってもよい。このことは、R41〜R43およびR51およびR52についても同様である。
Figure 2010040336
(X31は長周期型周期表における1族元素あるいは2族元素、またはアルミニウムである。M31は遷移金属、または長周期型周期表における13族元素、14族元素あるいは15族元素である。R31はハロゲン基である。Y31は−OC−R32−CO−、−OC−C(R33)2 −あるいは−OC−CO−である。ただし、R32はアルキレン基、ハロゲン化アルキレン基、アリーレン基あるいはハロゲン化アリーレン基である。R33はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基あるいはハロゲン化アリール基である。なお、a3は1〜4の整数であり、b3は0、2あるいは4の整数であり、c3、d3、m3およびn3は1〜3の整数である。)
Figure 2010040336
(X41は長周期型周期表における1族元素あるいは2族元素である。M41は遷移金属、または長周期型周期表における13族元素、14族元素あるいは15族元素である。Y41は−OC−(C(R41)2 )b4−CO−、−(R43)2 C−(C(R42)2 )c4−CO−、−(R43)2 C−(C(R42)2 )c4−C(R43)2 −、−(R43)2 C−(C(R42)2 )c4−SO2 −、−O2 S−(C(R42)2 )d4−SO2 −あるいは−OC−(C(R42)2 )d4−SO2 −である。ただし、R41およびR43は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基であり、それぞれのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。R42は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。なお、a4、e4およびn4は1あるいは2の整数であり、b4およびd4は1〜4の整数であり、c4は0〜4の整数であり、f4およびm4は1〜3の整数である。)
Figure 2010040336
(X51は長周期型周期表における1族元素あるいは2族元素である。M51は遷移金属、または長周期型周期表における13族元素、14族元素あるいは15族元素である。Rfはフッ素化アルキル基あるいはフッ素化アリール基であり、いずれの炭素数も1〜10である。Y51は−OC−(C(R51)2 )d5−CO−、−(R52)2 C−(C(R51)2 )d5−CO−、−(R52)2 C−(C(R51)2 )d5−C(R52)2 −、−(R52)2 C−(C(R51)2 )d5−SO2 −、−O2 S−(C(R51)2 )e5−SO2 −あるいは−OC−(C(R51)2 )e5−SO2 −である。ただし、R51は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。R52は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基であり、そのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。なお、a5、f5およびn5は1あるいは2の整数であり、b5、c5およびe5は1〜4の整数であり、d5は0〜4の整数であり、g5およびm5は1〜3の整数である。)
なお、長周期型周期表とは、IUPAC(国際純正・応用化学連合)が提唱する無機化学命名法改訂版によって表されるものである。具体的には、1族元素とは、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムおよびフランシウムである。2族元素とは、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムおよびラジウムである。13族元素とは、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびタリウムである。14族元素とは、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズおよび鉛である。15族元素とは、窒素、リン、ヒ素、アンチモンおよびビスマスである。
式(18)に示した化合物としては、例えば、式(21)の(1)〜(6)で表される化合物などが挙げられる。式(19)に示した化合物としては、例えば、式(22)の(1)〜(8)で表される化合物などが挙げられる。式(20)に示した化合物としては、例えば、式(23)で表される化合物などが挙げられる。なお、式(18)〜(20)に示した構造を有する化合物であれば、式(21)〜式(23)に示した化合物に限定されないことは言うまでもない。
Figure 2010040336
Figure 2010040336
Figure 2010040336
また、電解質塩は、式(24)〜(26)で表される化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含有していてもよい。上記した六フッ化リン酸リチウム等と一緒に用いられた場合に、より高い効果が得られるからである。なお、式(24)中のmおよびnは、同一でもよいし、異なってもよい。このことは、式(26)中のp、qおよびrについても同様である。
Figure 2010040336
(mおよびnは1以上の整数である。)
Figure 2010040336
(R61は炭素数が2以上4以下の直鎖状あるいは分岐状のパーフルオロアルキレン基である。)
Figure 2010040336
(p、qおよびrは1以上の整数である。)
式(24)に示した鎖状の化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )2 )、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(C2 F5 SO2 )2 )、(トリフルオロメタンスルホニル)(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C2 F5 SO2 ))、(トリフルオロメタンスルホニル)(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C3 F7 SO2 ))、あるいは(トリフルオロメタンスルホニル)(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C4 F9 SO2 ))などが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
式(25)に示した環状の化合物としては、例えば、式(27)で表される一連の化合物が挙げられる。すなわち、式(27)に示した(1)の1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミドリチウム、(2)の1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミドリチウム、(3)の1,3−パーフルオロブタンジスルホニルイミドリチウム、(4)の1,4−パーフルオロブタンジスルホニルイミドリチウムなどである。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミドリチウムが好ましい。高い効果が得られるからである。
Figure 2010040336
式(26)に示した鎖状の化合物としては、例えば、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(LiC(CF3 SO2 )3 )などが挙げられる。
電解質塩の含有量は、溶媒に対して0.3mol/kg以上3.0mol/kg以下であるのが好ましい。この範囲外では、イオン伝導性が極端に低下する可能性があるからである。
なお、電解液は、溶媒および電解質塩と共に、各種の添加剤を含んでいてもよい。電解液の化学的安定性がより向上するからである。
この添加剤としては、例えば、スルトン(環状スルホン酸エステル)が挙げられる。このスルトンは、例えば、プロパンスルトンあるいはプロペンスルトンなどであり、中でもプロペンスルトンが好ましい。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。電解液中におけるスルトンの含有量は、例えば、0.5重量%以上5重量%以下である。
また、添加剤としては、例えば、酸無水物が挙げられる。この酸無水物は、例えば、コハク酸無水物、グルタル酸無水物あるいはマレイン酸無水物などのカルボン酸無水物や、エタンジスルホン酸無水物あるいはプロパンジスルホン酸無水物などのジスルホン酸無水物や、スルホ安息香酸無水物、スルホプロピオン酸無水物あるいはスルホ酪酸無水物などのカルボン酸とスルホン酸との無水物などであり、中でも、コハク酸無水物あるいはスルホ安息香酸無水物が好ましい。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。電解液中における酸無水物の含有量は、例えば、0.5重量%以上5重量%以下である。
この二次電池は、例えば、以下の手順によって製造される。
まず、正極33を作製する。最初に、表面に化1で表される化合物の皮膜を形成させる場合は、正極活物質にこの化合物の水溶液を加え攪拌しながら乾燥して活物質表面に化合物1で表される皮膜を形成することができる。この正極活物質と、結着剤と、導電剤とを混合して正極合剤としたのち、有機溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、ドクタブレードあるいはバーコータなどによって正極集電体33Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させる。最後に、必要に応じて加熱しながらロールプレス機などによって塗膜を圧縮成型して正極活物質層33Bを形成する。この場合には、圧縮成型を複数回に渡って繰り返してもよい。 また、未処理の活物質を用い、圧縮形成して正極活物質層33Bを形成した後に、化合物(I)の水溶液に浸漬または水溶液を塗布し、乾燥させ電極上に皮膜を形成させることができる。
次に、負極34を作製する。最初に、電解銅箔などからなる負極集電体34Aを準備したのち、蒸着法などの気相法によって負極集電体34Aの両面に負極材料を堆積させて、複数の負極活物質粒子を形成する。続いて、必要に応じて、液相析出法などの液相法によって酸化物含有膜を形成し、あるいは電解鍍金法などの液相法によって金属材料を形成して、負極活物質層34Bを形成する。
次に、正極集電体33Aに正極リード31を溶接などして取り付けると共に、負極集電体34Aに負極リード32を溶接などして取り付けたのち、セパレータ35を介して正極33と負極34とを積層させてから、長手方向において巻回させて巻回電極体30を作製する。
二次電池の組み立ては、以下のようにして行う。最初に、正極リード31の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード32の先端部を電池缶11に溶接する。続いて、巻回電極体30を一対の絶縁板12,13で挟みながら電池缶11の内部に収納する。続いて、電池缶11の内部に電解液を注入してセパレータ35に含浸させる。最後に、電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1および図2に示した二次電池が完成する。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極33からリチウムイオンが放出され、セパレータ35に含浸された電解液を介して負極34に吸蔵される。一方、放電を行うと、例えば、負極34からリチウムイオンが放出され、セパレータ35に含浸された電解液を介して正極33に吸蔵される。
この円筒型の二次電池によれば、正極が上記した正極と同様の構成を有しているので、その正極の化学的安定性が向上する。これにより、正極においてリチウムイオンが吸蔵および放出されやすくなるため、電池抵抗を抑制させることができる。この場合には、上記した化合物を含有する溶液を用いて被膜を形成しており、具体的には浸積処理や塗布処理などの簡単な処理を用いているので、良好な被膜22Cを簡単に形成することができる。
(第2の二次電池)
図8は第2の二次電池の分解斜視構成を表している。
この二次電池は、例えば、上記した第1の二次電池と同様にリチウムイオン二次電池であり、主に、フィルム状の外装部材40の内部に、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30が収納されたものである。このフィルム状の外装部材40を用いた電池構造は、ラミネートフィルム型と呼ばれている。
正極リード31および負極リード32は、例えば、外装部材40の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード31は、例えば、アルミニウムなどの金属材料によって構成されており、負極リード32は、例えば、銅、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によって構成されている。これらの金属材料は、例えば、薄板状あるいは網目状になっている。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムがこの順に貼り合わされたアルミラミネートフィルムによって構成されている。この外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルムが巻回電極体30と対向するように、2枚の矩形型のアルミラミネートフィルムの外縁部同士が融着あるいは接着剤によって互いに接着された構造を有している。
外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するために密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料によって構成されている。このような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂が挙げられる。
なお、外装部材40は、上記したアルミラミネートフィルムに代えて、他の積層構造を有するラミネートフィルムによって構成されていてもよいし、ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムによって構成されていてもよい。
巻回電極体30は、セパレータ35および電解質36を介して正極33と負極34とが積層されたのちに巻回されたものであり、その最外周部は保護テープ37によって保護されている。
図8に示した巻回電極体30の一部を図3に拡大して表している。正極33は、例えば、一対の面を有する正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bが設けられたものである。負極34は、例えば、一対の面を有する負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bおよび被膜34Cが設けられたものである。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34A、負極活物質層34B、被膜34Cおよびセパレータ35の構成は、それぞれ上記した第1の二次電池における正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34A、負極活物質層34B、被膜22Cおよびセパレータ35の構成と同様である。
電解質36は、電解液と、それを保持する高分子化合物とを含んでおり、いわゆるゲル状の電解質である。ゲル状の電解質は、高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に漏液が防止されるので好ましい。
高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレン、あるいはポリカーボネートなどが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドが好ましい。電気化学的に安定だからである。
電解液の組成は、第1の二次電池における電解液の組成と同様である。ただし、この場合の溶媒とは、液状の溶媒だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有するものまで含む広い概念である。したがって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
なお、電解液を高分子化合物に保持させたゲル状の電解質36に代えて、電解液をそのまま用いてもよい。この場合には、電解液がセパレータ35に含浸される。
ゲル状の電解質36を備えた二次電池は、例えば、以下の3種類の方法によって製造される。
第1の製造方法では、最初に、例えば、上記した第1の二次電池における正極33および負極34の作製手順と同様の手順により、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを形成して正極33を作製すると共に、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bおよび被膜34Cを形成して負極34を作製する。続いて、電解液と、高分子化合物と、溶剤とを含む前駆溶液を調製して正極33および負極34に塗布したのち、溶剤を揮発させてゲル状の電解質36を形成する。続いて、正極集電体33Aに正極リード31を取り付けると共に、負極集電体34Aに負極リード32を取り付ける。続いて、電解質36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層させてから長手方向に巻回し、その最外周部に保護テープ37を接着させて巻回電極体30を作製する。最後に、例えば、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込んだのち、その外装部材40の外縁部同士を熱融着などで接着させて巻回電極体30を封入する。この際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間に、密着フィルム41を挿入する。これにより、図8に示した二次電池が完成する。
第2の製造方法では、最初に、正極33に正極リード31を取り付けると共に負極34に負極リード32を取り付けたのち、セパレータ35を介して正極33と負極34とを積層して巻回させると共に最外周部に保護テープ37を接着させて、巻回電極体30の前駆体である巻回体を作製する。続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回体を挟み込んだのち、一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を熱融着などで接着させて、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製して袋状の外装部材40の内部に注入したのち、外装部材40の開口部を熱融着などで密封する。最後に、モノマーを熱重合させて高分子化合物とすることにより、ゲル状の電解質36を形成する。これにより、二次電池が完成する。
第3の製造方法では、最初に、高分子化合物が両面に塗布されたセパレータ35を用いることを除き、上記した第2の製造方法と同様に、巻回体を形成して袋状の外装部材40の内部に収納する。このセパレータ35に塗布する高分子化合物としては、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体、すなわち単独重合体、共重合体あるいは多元共重合体などが挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデンや、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを成分とする二元系共重合体や、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンを成分とする三元系共重合体などである。なお、高分子化合物は、上記したフッ化ビニリデンを成分とする重合体と共に、他の1種あるいは2種以上の高分子化合物を含んでいてもよい。続いて、電解液を調製して外装部材40の内部に注入したのち、その外装部材40の開口部を熱融着などで密封する。最後に、外装部材40に加重をかけながら加熱し、高分子化合物を介してセパレータ35を正極33および負極34に密着させる。これにより、電解液が高分子化合物に含浸し、その高分子化合物がゲル化して電解質36が形成されるため、二次電池が完成する。
この第3の製造方法では、第1の製造方法と比較して、二次電池の膨れが抑制される。また、第3の製造方法では、第2の製造方法と比較して、高分子化合物の原料であるモノマーや溶媒などが電解質36中にほとんど残らず、しかも高分子化合物の形成工程が良好に制御されるため、正極33、負極34およびセパレータ35と電解質36との間において十分な密着性が得られる。
このラミネートフィルム型の二次電池によれば、正極が上記した正極と同様の構成を有しているので、サイクル特性を向上させることができる。この二次電池に関する上記以外の効果は、第1の二次電池と同様である。
実施例で使用した、化合物(I)を下記に示す。
Figure 2010040336
Figure 2010040336
Figure 2010040336
化合物(I)−1:チオジグリコール酸ジリチウム
化合物(I)−2:ジチオジグリコール酸ジリチウム
化合物(I)−3:メチレンビス(チオグリコール酸ジリチウム)
化合物(I)−4:エチレンビス(チオグリコール酸ジリチウム)
化合物(I)−5:チオジプロピオン酸ジリチウム
化合物(I)−6:ジチオジプロピオン酸ジリチウム
化合物(I)−7:チオジこはく酸テトラリチウム
化合物(I)−8:DL−α−リポ酸リチウム
化合物(I)−9:チオグリコール酸リチウム
化合物(I)−10:チオりんご酸リチウム
化合物(I)−11:2,3−ジメルカプトこはく酸ジリチウム
化合物(I)−12:トリチオ炭酸ビス(酢酸リチウム)
化合物(I)−13:チオグリコール酸カルシウム
化合物(I)−14:チオジグリコール酸カルシウム
化合物(I)−15:メルカプトエタンスルホン酸リチウム
化合物(I)−16:チオジエタンスルホン酸リチウム
化合物17:チオジグリコール酸 (比較例)
化合物18:こはく酸ジリチウム(比較例)
(実施例1−1〜1−16、比較例1−1〜1−2)
実施例1−1
以下の手順によりラミネートフィルム型の二次電池を作製した。
まず、正極33を作製した。最初に、炭酸リチウム(Li CO )と炭酸コバルト(CoCO )とを0.5:1のモル比で混合したのち、空気中において900℃×5時間の条件で焼成してリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO )を得た。続いて、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物91質量部と、導電剤としてグラファイト6質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して正極合剤としたのち、N−メチル−2−ピロリドンに分散させてペースト状の正極合剤スラリーとした。続いて、バーコータによって帯状のアルミニウム箔(厚さ=12μm)からなる正極集電体33Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させたのち、ロールプレス機によって圧縮成形して正極活物質層33Bを形成した。
次に、負極34を作製した。最初に、電解銅箔からなる負極集電体34A(厚さ=10μm)を準備したのち、電子ビーム蒸着法によって負極集電体34Aの両面に負極活物質としてケイ素を厚さが7μmになるように堆積させて複数の負極活物質粒子を形成することにより、負極活物質層34Bを形成した。この際、負極活物質による充電容量が正極の充電容量よりも大きくなるように調節し、充電の途中で負極にリチウム金属が析出しないようにした。続いて、化合物(I)−1に示した金属塩の3wt%水溶液を準備したのち、負極活物質層34Bが形成された負極集電体34Aを溶液中に数秒間浸漬させた。最後に、溶液中から負極集電体34Aを引き上げたのち、60℃の減圧環境中において乾燥させて負極活物質層34B上に被膜34Cを形成した。
次に、溶媒として炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを混合したのち、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を溶解させて、電解液を調製した。この際、溶媒の組成(EC:DEC)を重量比で30:70とし、電解液中における六フッ化リン酸リチウムの濃度を1mol/kgとした。
最後に、正極33および負極34と共に電解液を用いて二次電池を組み立てた。最初に、正極集電体33Aの一端にアルミニウム製の正極リード31を溶接すると共に、負極集電体34Aの一端にニッケル製の負極リード32を溶接した。続いて、正極33と、微多孔性ポリプロピレンフィルムからなるセパレータ35(厚さ=25μm)と、負極54とをこの順に積層してから長手方向に巻回させたのち、粘着テープからなる保護テープ37で巻き終わり部分を固定して、巻回電極体30の前駆体である巻回体を形成した。続いて、外側から、ナイロンフィルム(厚さ=30μm)と、アルミニウム箔(厚さ=40μm)と、無延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ=30μm)とが積層された3層構造のラミネートフィルム(総厚=100μm)からなる外装部材40の間に巻回体を挟み込んだのち、一辺を除く外縁部同士を熱融着して、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納した。続いて、外装部材40の開口部から電解液を注入してセパレータ35に含浸させて巻回電極体30を作製した。最後に、真空雰囲気中において外装部材40の開口部を熱融着して封止することにより、ラミネートフィルム型の二次電池が完成した。
サイクル特性を調べる際には、23℃の雰囲気中において2サイクル充放電させて放電容量を測定し、引き続き同雰囲気中においてサイクル数の合計が100サイクルとなるまで充放電させて放電容量を測定したのち、放電容量維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100を算出した。この際、1サイクルの充放電条件としては、1mA/cm の定電流密度で電池電圧が4.2Vに達するまで充電し、さらに4.2Vのまで定電圧で電流密度が0.02mA/cm に達するまで充電したのち、1mA/cm の定電流密度で電池電圧が2.5Vに達するまで放電した。
実施例1−2から1−16
化合物(I)−1に替えて化合物(I)−2から化合物(I)−16を被膜として設けた以外実施例1−1と同様に行なった。
比較例1−1
被膜を設けなかったこと以外実施例1−1と同様に行なった。
表1にサイクル特性の結果を示す。被膜を設けなかった比較例1−1と比較して、被膜を設けた実施例1−1から実施例1−16ではいずれの場合もサイクル特性が向上した。なかでも化合物(I)−1から化合物(I)−7、化合物(I)−10、化合物(I)−11、化合物(I)−13から化合物(I)−16が好ましく、特に化合物(I)−7、化合物(I)−13から化合物(I)−16が好ましい。これは被膜が電解液への溶解しにくいためと考えられる。
カルボン酸やスルホン酸塩の数が増えるほどサイクル特性が向上する傾向にある。
たとえば化合物(I)−9と化合物(I)−10を比較すると化合物(I)−10のほうが好ましくこれはカルボン酸塩の数が多くなることで溶解性が低下しているためと思われる。化合物(I)−1、化合物(I)−5、化合物(I)−7を比較しても同様のことがいえる。
また、カルボン酸よりスルホン酸のほうが好ましい。化合物(I)−9と化合物(I)−15を比較すると化合物(I)−15がよりサイクル特性が向上しておりカルボン酸塩よりもスルホン酸塩のほうが効果が高い。溶解性が低下するためと考えられる。
アルカリ金属の塩とアルカリ土類金属の塩を比較するとアルカリ土類金属の塩の方が好ましい。化合物(I)−1と化合物(I)−14を比較すると化合物(I)−14の方がサイクル特性が向上している。アルカリ土類金属の塩の方が溶解性が低くなるためであると考えられる。
Figure 2010040336
(実施例2−1〜2−16、比較例2−1〜2−2)
実施例2−1から2−8
電解液にFEC:DEC=3:7を用いたこと以外実施例1−1と同様に行なった。被膜の化合物としては化合物(I)−1、化合物(I)−2、化合物(I)−4、化合物(I)−5、化合物(I)−7、化合物(I)−9、化合物(I)−13、化合物(I)−16を被膜として設けた。
実施例2−9から2−16
電解液にC:FEC:DFEC:DEC=1:1:1:7を用いたこと以外実施例1−1と同様に行なった。被膜の化合物としては化合物(I)−1、化合物(I)−2、化合物(I)−4、化合物(I)−5、化合物(I)−7、化合物(I)−9、化合物(I)−13、化合物(I)−15を被膜として設けた。
比較例2−1、比較例2−2
被膜を設けなかったこと以外実施例2−1、2−9と同様に行なった。
サイクル特性の結果を表2に示す。電解液にFEC:DEC=3:7やPC:FEC:DFEC:DEC=1:1:1:7を用いた場合においても表1と同様の結果が得られた。被膜を設けない場合比較例2−1、2−2と比較してどちらの溶媒を用いた場合でもサイクル特性が向上した。
Figure 2010040336
(実施例3−1〜3−4、比較例3−1〜3−4)
実施例3−1〜3−4
電解液にさらに1wt%の他の添加剤(ビニレンカーボネート、プロペンスルトン、こはく酸無水物、2−スルホ安息香酸無水物)を加えたこと以外実施例2−4と同様に行なった。負極には化合物(I)−5を被膜として設けた。
比較例3−1から3−4
化合物(I)−5の被膜を設けなかったこと以外実施例3−1から3−4と同様に行なった。
結果を表3に示す。これより、電解液に他の添加剤を加えた場合においてもサイクル特性がさらに向上することがわかった。
Figure 2010040336
(実施例4−1〜4−4、比較例4−1〜4−4)
実施例4−1から4−4
電解質塩をLiPF0.9mol/Kgと0.1mol/Kgの他の添加剤(LiBF、LiBOB、LiTFSI、環状イミド)を加えたこと以外実施例2−4と同様に行なった。負極には化合物(I)−5を被膜として設けた。
比較例3−1から3−4
化合物(I)−5の被膜を設けなかったこと以外実施例3−1から3−4と同様に行なった。
結果を表4に示す。これより、電解液に他の電解質を加えた場合においてもサイクル特性がさらに向上することがわかった。
Figure 2010040336
(実施例5−1〜5−3、比較例5−1〜5−3)
実施例5−1
負極活物質層34Bを形成する場合に、複数の負極活物質粒子を形成したのち、液相析出法によって負極活物質粒子の表面に酸化物含有膜としてケイ素の酸化物(SiO )を析出させたことを除き、実施例2−4と同様の手順を経た。この酸化物含有膜を形成する場合には、ケイフッ化水素酸にアニオン補足剤としてホウ素を溶解させた溶液中に、負極活物質粒子が形成された負極集電体34Aを3時間浸積し、その負極活物質粒子の表面にケイ素の酸化物を析出させたのち、水洗して減圧乾燥した。こののち、化合物(I)−5の水溶液に浸漬することで被覆層を形成した。このように負極を作成した以外、実施例2−4同様に行なった。
実施例5−2
負極活物質層34Bを形成する場合に、複数の負極活物質粒子を形成したのち、電解鍍金法によって金属材料としてコバルト(Co)の鍍金膜を成長させたことを除き、実施例2−4と同様の手順を経た。この金属材料を形成する場合には、鍍金浴にエアーを供給しながら通電して負極集電体34Aの両面にコバルトを堆積させた。この際、鍍金液として日本高純度化学株式会社製のコバルト鍍金液を用い、電流密度を2A/dm2 〜5A/dm2 とし、鍍金速度を10nm/秒とした。こののち、化合物(I)−5の水溶液に浸漬することで被覆層を形成した。このように負極を作成した以外、実施例2−4と同様に行なった。
実施例5−3
負極活物質層34Bを形成する場合に、複数の負極活物質粒子を形成したのち、液相析出法によって負極活物質粒子の表面に酸化物含有膜としてケイ素の酸化物(SiO )を析出させたのち、電解鍍金法によって金属材料としてコバルト(Co)の鍍金膜を成長させたことを除き、実施例2−4と同様の手順を経た。酸化物被膜ならびに鍍金膜輪実施例5−1、5−2と同様に行なった。こののち、化合物(I)−5の水溶液に浸漬することで被覆層を形成した。このように負極を作成した以外、実施例2−4と同様に行なった。
比較例5−1〜5−3
被覆層を設けなかった以外は実施例5−1〜5−3と同様に行った。
結果を表5に示す。負極活物質層にあらかじめ他の膜を形成した後、化合物(I)−5の被膜を形成することでサイクル特性がさらに向上することがわかった。
Figure 2010040336
(実施例6−1〜6−8、比較例6−1)
実施例6−1から6−8
気相法(電子ビーム蒸着法)の代わりに焼結法によって負極活物質層34Bを形成したことを除き、実施例1−1、1−2、1−4、1−5、1−7、1−9、1−13、1−15と同様の手順を経た。焼結法によって負極活物質層34Bを形成する場合には、負極活物質としてケイ素(平均粒径=1μm)95質量部と、結着剤としてポリイミド5質量部とを混合した負極正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてペースト状の負極合剤スラリーとし、バーコータによって電解銅箔(厚さ=18μm)からなる負極集電体34Aの両面に均一に塗布して乾燥させたのち、ロールプレス機によって圧縮成形し、真空雰囲気中において400℃×12時間の条件で加熱した。
比較例6−1
被覆層を設けなかった以外実施例6−1と同様に行なった。
結果を表6に示す。負極活物質層を焼結法を用いて作成した場合においてもサイクル特性が向上することがわかった。
Figure 2010040336
(実施例7−1〜7−8、比較例7−1)
実施例7−1から7―8
負極にCoSnC合金を用いた以外実施例6−1から6−8と同様に行った。
スズ・コバルト・インジウム・チタン合金粉末と、炭素粉末とを混合したのち、メカノケミカル反応を利用してCoSnC含有材料を合成した。このCoSnC含有材料の組成を分析したところ、スズの含有量は48質量%、コバルトの含有量は23質量%、炭素の含有量は20質量%であり、スズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合Co/(Sn+Co)は32質量%であった。次に、負極活物質として、上述のCoSnC含有材料粉末80質量部と、導電剤として黒鉛12質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン8質量部とを混合し、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させた。最後に、銅箔(15μm厚)からなる負極集電体34Aに塗布して乾燥させたのちに圧縮成形することにより、負極活物質層34Bを形成した。
比較例7−1
被覆層を設けなかった以外実施例6−1と同様に行なった。
結果を表7に示す。負極活物質層にCoSnCを用いた場合においてもサイクル特性が向上することがわかった。
Figure 2010040336
(実施例8−1〜8−8、比較例8−1〜8−3)
実施例8−1から8−8
負極活物質として黒鉛を用いたこと以外実施例6−1と同様に行なった。負極活物質として黒鉛を用い、この黒鉛97質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンを添加して、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体34Aに均一に塗布し乾燥させることにより負極活物質層34Bを形成し、同様の方法で被膜層34Cを作成した。
比較例8−1
被覆層を設けなかった以外実施例6−1と同様に行なった。
比較例8−2、8−3
被覆層に化合物17と18それぞれ用いた以外は実施例6−1と同様に行った。
結果を表8に示す。負極活物質層に黒鉛を用いた場合においてもサイクル特性が向上することがわかった。
Figure 2010040336
(実施例9−1〜9−6、比較例9−1〜9−6)
実施例9−1から9−6
電解液にさらに1wt%の他の添加剤(ビニレンカーボネート、プロペンスルトン、こはく酸無水物、2−スルホ安息香酸無水物)を加えたこと以外実施例2−4と同様に行なった。負極には化合物(I)−5を被膜として設けた。
比較例9−1から9−6
化合物(I)−5の被膜を設けなかったこと以外実施例9−1から9−6と同様に行なった。
結果を表9に示す。電解液に他の添加剤を加えた場合においてもサイクル特性がさらに向上することがわかった。
Figure 2010040336
(実施例10−1〜10−4、比較例10−1〜10−3)
以下の手順により、コイン型の二次電池を作製した。この際、負極34の容量がリチウムの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池となるようにした。平均粒子径13μm(レーザー散乱法により測定)のリチウムコバルト複合酸化物(LiCo0.98Al0.01Mg0.01)100重量部に対して化aに示す化合物を1重量部になるよう秤量し、100mlの純水中で1h攪拌した。攪拌後、エバポレーターにより水分を除去した後オーブンで120℃-12h乾燥しコバルト酸リチウムに化合物(I)−15、化合物(I)−16、化合物(I)−11をそれぞれ被覆処理した正極活物質を得た。
以上で得られた正極活物質を用い、以下に記すようにコイン電池を作製し、サイクル特性および交流インピーダンス法による反応抵抗を評価した。
リチウムコバルト複合酸化物91質量部と、導電剤としてグラファイト6質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して正極合剤としたのち、N−メチル−2−ピロリドンに分散させてペースト状の正極合剤スラリーとした。続いて、バーコータによって帯状のアルミニウム箔(厚さ=12μm)からなる正極集電体33Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させたのち、ロールプレス機によって圧縮成形して正極活物質層33Bを形成した。そののち、直径15.5mmのペレットに打ち抜き、正極51を作製した。
負極は、最初に、電解銅箔からなる負極集電体34A(厚さ=10μm)を準備したのち、電子ビーム蒸着法によって負極集電体34Aの両面に負極活物質としてケイ素を片面側の厚さが5μmとなるように堆積させて複数の負極活物質粒子を形成することにより、負極活物質層34Bを形成した。
Figure 2010040336
次に、溶媒としフルオロエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを混合したのち、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を溶解させて、電解液を調製した。この際、溶媒の組成(FEC:DEC)を重量比で50:50とし、電解液中における六フッ化リン酸リチウムの濃度を1mol/kgとした。
最後に、正極33および負極34と共に電解液を用いて二次電池を組み立てた。
正極と、負極とを電解液を含浸させたセパレータを介して積層し、外装缶と外装カップとの間に挟み、ガスケットを介してかしめたものである。
この二次電池については、負極34の充放電容量が正極33の充放電容量よりも大きくなるように正極活物質層33Bの厚さを調節することにより、充放電の途中で負極34にリチウム金属が析出しないようにした。
100サイクル後に交流インピーダンス法にて反応抵抗を求めた。測定は温度23℃で、10-2 〜106Hzの周波数帯で複素インピーダンス測定を行ない、求められたコール・コール・プロットの負極抵抗成分の円弧を半円で近似して求めた。
Figure 2010040336
表10に示すように化合物(I)−15,16,11で示す化合物を正極に被覆することによってサイクル後の反応抵抗を抑制できることが判った。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記した実施の形態および実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本発明の正極および負極の使用用途は、必ずしも電池に限らず、電池以外の他の電気化学デバイスであっても良い。他の用途としては、例えば、キャパシタなどが挙げられる。
また、上記した実施の形態および実施例では、電池の種類として、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。本発明の電池は、負極がリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料を含む場合に、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の充電容量を正極の充電容量よりも小さくすることにより、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出に伴う容量とリチウムの析出および溶解に伴う容量とを含み、かつ、それらの容量の和によって表される二次電池についても同様に適用可能である。
また、上記した実施の形態および実施例では、本発明の電池の電解質として、液状の電解質を用いる場合について説明したが、他の種類の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、例えば、ゲル上電解質、イオン伝導性セラミックス、イオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などのイオン伝導性無機化合物と電解液とを混合したものや、他の無機化合物と電解液とを混合したものや、これらの無機化合物とゲル状電解質とを混合したものなどが挙げられる。
また、上記した実施の形態および実施例では、電池構造がコイン型構造を有する場合を例に挙げて説明したが、本発明の電池は、角型、ラミネート型、円筒型およびボタン型などの他の電池構造を有する場合や、電池素子が積層構造などの他の構造を有する場合についても同様に適用可能である。
また、上記した実施の形態および実施例では、電極反応物質としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウムあるいはカリウム(K)などの他の1A族元素や、マグネシウムあるいはカルシウムなどの2A族元素や、アルミニウムなどの他の軽金属を用いてもよい。これらの場合においても、負極活物質として、上記した実施の形態で説明した負極材料を用いることが可能である。
本発明の一実施の形態に係る第1の電池の構成を表す断面図である。 図1に示した巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 図1に示した負極の一部を拡大して表す断面図である。 図1に示した負極の一部を拡大して表す断面図である。 図4に示した負極に対する参考例の負極を表す断面図である。 図1に示した負極の断面構造を表すSEM写真(A)およびその模式図(B)である。 図1に示した負極の他の断面構造を表すSEM写真(A)およびその模式図(B)である。 本発明の一実施の形態に係る第2の電池の構成を表す分解斜視図である。
符号の説明
1,22A,34A…負極集電体、2,22B,34B…負極活物質層、3,22C,34C…被膜、11,31…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構、15A…ディスク板、16…熱感抵抗素子、17…ガスケット、20,30…巻回電極体、21,33…正極、21A,33A…正極集電体、21B,33B…正極活物質層、22,34…負極、23,35…セパレータ、24…センターピン、25,31…正極リード、26,32…負極リード、36…電解質、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム、221…負極活物質粒子、222、223…酸化物含有膜、224(224A,224B)…隙間、225…空隙、226…金属材料。

Claims (14)

  1. 電極集電体と電極活物質層とを有する電極であって、前記電極活物質層上に、下式(I)で表される塩を含有する被膜を有する、電極。
    R1A ・・・(I)
    R1は、硫黄原子を含む、n価の有機基である。
    nは1〜4の整数である。
    Aはアニオンである。
    Mは金属イオンである。
    xは1以上の整数である。
  2. R1は、HS−、―S―、―S−S―、−S−C(=S)−S−、−N−C(=S)−S−、―C(=O)―S―、―O―C(=O)―S―、−S−C(=O)―S−、および−S−からなる群より選ばれる少なくとも1つの構造を含む、n価の炭化水素基である、請求項1に記載の電極。
  3. Aで表されるアニオンがCO またはSO である、請求項1に記載の電極。
  4. Mで表される金属イオンがアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンである、請求項1に記載の電極。
  5. 正極集電体と正極活物質層とを有する正極、および負極集電体と負極活物質層とを有する負極と共に、電解液を備えた電池であって、前記正極活物質層および負極活物質層の少なくとも一方の上に被膜を有し、前記被膜は、下式(I)で表される塩を含有する、電池。
    R1A ・・・(I)
    R1は、硫黄原子を含む、n価の有機基である。
    nは1〜4の整数である。
    Aはアニオンである。
    Mは金属イオンである。
    xは1以上の整数である。
  6. R1は、HS−、―S―、―S−S―、−S−C(=S)−S−、−N−C(=S)−S−、―C(=O)―S―、―O―C(=O)―S―、−S−C(=O)―S−、および−S−からなる群より選ばれる少なくとも1つの構造を含む、n価の炭化水素基である、請求項5に記載の電池。
  7. Aで表されるアニオンがCO またはSO である、請求項5に記載の電池。
  8. Mで表される金属イオンがアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンである、請求項6に記載の電池。
  9. 前記負極活物質層は、ケイ素の単体、合金および化合物、ならびにスズの単体、合金および化合物のうちの少なくとも1種を含有する負極活物質を含む、請求項5に記載の電池。
  10. 前記負極活物質層は、複数の負極活物質粒子を有すると共に、前記負極活物質粒子の表面を被覆する酸化物含有膜を有する、請求項5に記載の電池。
  11. 前記負極活物質粒子は、その粒子内に多層構造を有し、前記負極活物質層は、前記負極活物質粒子内の隙間に前記金属材料を有することを特徴とする請求項5記載の電池。
  12. 前記金属材料は、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛および銅のうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項11記載の電池。
  13. 前記電解液は、下式(A)で表されるハロゲンを有する鎖状炭酸エステルおよび下式(B)で表されるハロゲンを有する環状炭酸エステルのうちの少なくとも1種を含有する溶媒を含むことを特徴とする請求項5記載の電池。
    Figure 2010040336
    (R11〜R16は水素基、ハロゲン基、アルキル基あるいはハロゲン化アルキル基であり、それらのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。)
    Figure 2010040336
    (R21〜R24は水素基、ハロゲン基、アルキル基あるいはハロゲン化アルキル基であり、それらのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。)
  14. 式(B)に示したハロゲンを有する鎖状炭酸エステルは、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ジフルオロメチルメチルおよび炭酸ビス(フルオロメチル)のうちの少なくとも1種であり、前記化13に示したハロゲンを有する環状炭酸エステルは、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンのうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項5に記載の電池。
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