JP2010037654A - 電解銅箔および銅張積層板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電解銅箔に式1に示すLMP値が9000以上となる加熱処理を施した後の結晶構造がEBSPの分析で面に対する赤系・青系のいずれかの色調が80%以上を占める電解銅箔。式1:LMP=(T+273)*(20+Logt)ここで、20は銅の材料定数、Tは温度(℃)、tは時間(Hr)。また、該加熱処理を施した後のX線回析における(111)面の強度に対し、(331)面の相対強度が15以上である電解銅箔。
【選択図】図1
Description
また、本発明は前記銅箔を使用した銅張積層板(以下CCLということがある)に関するもので、特に高密度・高機能用途に適した銅張積層板に関するものである。
屈曲特性を向上させる上で重要な銅箔の特性としては、厚さ・表面平滑性・結晶粒の大きさ・結晶方位の同一性などが上げられる。また、電気製品の小型化に対し、高密度配線化が図られるために、できるだけスペースを有効活用することが重要な課題であり、CCLの変形が容易に可能なポリイミドフィルムの採用が不可欠となってきている。しかし、銅箔とポリイミドフィルムとの接着(積層)はなかなか難しく、ポリイミドフィルムに貼り付ける銅箔の接着強度・柔軟性は必要不可欠な特性になってきている。
しかしながら、屈曲性の特性を向上させる要因は(200)面がいいというよりむしろ同一な結晶方位の結晶が多く存在することに要因があると考えられる。
現状では、上記したように圧延箔では(200)面の多く存在した銅箔がすべてであり、また電解銅箔にいたってはそれぞれの結晶方位が乱雑に存在する結晶構成になっており、従って圧延銅箔のような柔軟性・屈曲性を有する電解銅箔はなく、上記したように圧延銅箔と同等またはそれ以上の柔軟性・屈曲性を有する電解銅箔の出現が要望されていた。
このような要望に応えるためには電解銅箔の結晶配向が同一系のものが望ましいが、そのような銅箔は現状では開発されていないのが現状である。
式1:LMP=(T+273)*(20+Logt)
ここで、20は銅の材料定数、Tは温度(℃)、tは時間(Hr)
また、前記電解銅箔の少なくとも片方の面に密着性・耐熱性・耐薬品性・防錆を目的とした表面処理層が設けられていることが好ましい。
特に、電解銅箔においては、該電解銅箔とポリイミドフィルムとを貼り付ける際にかかる熱履歴において、機械的特性、柔軟性が改良され、電気機器の小型化に対し対応できるCCL用の電解銅箔を、圧延銅箔に比べて安価に提供することができる。
電解銅箔の表面粗さRzを0.1μm以下の粗さとすることは、カソードの研磨技術などを考えると製造が難しく、また量産製造するには不可能であると考えられる。また、Rzを2.0μm以上の表面粗さとすると屈曲特性が非常に悪くなり、本発明が求める特性が得られなくなると同時にマット面の粗さを1.5μm以下にすることが難しくなるためである。
電解銅箔のマット面の粗さは、Rz:0.1〜1.5μmである。0.1μm以下の粗さは光沢めっきを行ったとしても非常に難しく現実的に製造は不可能である。また、上記したように電解銅箔の表面が粗いと屈曲特性が悪くなることから粗さの上限は1.5μmとすることが好ましい。
また、上記電解銅箔の厚みは、3μm〜210μmであることが望ましい。厚さが2μm以下の銅箔はハンドリング技術などの関係上うまく製造することができず、現実的ではないからである。厚さの上限は現在の回路基板の使用状況からして210μm程度である。厚さが210μm以上の電解銅箔が回路基板用銅箔として使用されることは考え難く、また電解銅箔を使用するコストメリットもなくなるからである。
硫酸濃度が20g/l未満となると電流が流れにくくなるので現実的な操業が困難となり、さらにめっきの均一性、電着性も悪くなる。硫酸濃度が150g/lを超えると銅の溶解度が下がるので十分な銅濃度が得られなくなり現実的な操業が困難となる。また、設備の腐食も促進される。
銅濃度が40g/l未満となると電解銅箔の製造において現実的な操業が可能な電流密度を確保することが難しくなる。銅濃度を150g/lより上げるのは相当な高温が必要となり現実的ではない。
塩素濃度は1〜100ppm、特に10〜50ppmが好ましい。塩素濃度が1ppm未満となると後述する添加剤の効果を出すことが困難となり、100ppmを超えると正常なめっきが困難となる。
上記の電解条件は、それぞれの範囲から、銅の析出、めっきのヤケ等の不具合が起きないような条件に便宜調整して行う。
本発明では、ジ又はポリハロゲン化鎖式脂肪族飽和炭化水素化合物と1又は2以上のエーテル結合を有するジ又はポリハロゲン化鎖式脂肪族飽和炭化水素化合物を組み合わせたものと2個の窒素原子を有するヘテロ環式化合物の反応生成物を用いることも出来る。さらには、上記の原料化合物にジメチルアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、等の脂肪族アミノ化合物、フェニレンジアミン等の芳香族アミノ化合物、スクシニルクロリド、グルタリルクロリド、フマリルクロリド、ジクロロキシリレン、フタロイルクロリド等の複数の反応性基を有する化合物を第三原料として加えて反応した生成物を用いることもできる。但し、エピクロロヒドリン等のエピハロヒドリンを第三反応成分に用いることは反応生成物の所期の効果が得られないという点で好ましくない。
電解めっき液に添加する上記添加剤、特に上記レベラーは銅箔中に不純物として取り込まれない特性を有している。
前記色調が80%未満であると結晶は再結晶し難い状況となり、熱処理を行った際結晶が大きくならず、また結晶方位の違う結晶がランダムに存在することとなり、その結果、結晶すべりなどが悪くなり屈曲性も悪くなる傾向を示すからである。
式1:LMP=(T+273)*(20+Logt)
ここで、20は銅の材料定数、Tは温度(℃)、tは時間(Hr)
この加熱後に、前記したX線回析にて測定した(111)面に対し(331)面の相対強度が15以上となることが好ましい。
また、上記加熱処理を行った時、引張強さ20KN/cm2以下であり、0.2%耐力は10KN/cm2以下であることが好ましい。なお、耐力は8KN/cm2以下であることが最適である。
〔Niめっき〕
NiSO4・6H2O 10〜500g/l
H3BO3 1〜50g/l
電流密度 1〜50A/dm2
浴温 10〜70℃
処理時間 1秒〜2分
PH 2.0〜4.0
NiSO4・6H2O 10〜500g/l
Na2Mo04・2H2O 1〜50g/l
クエン酸3ナトリム2水和物 30〜200g/l
電流密度 1〜50A/dm2
浴温 10〜70℃
処理時間 1秒〜2分
PH 1.0〜4.0
Na2Mo04・2H2O 1〜 30g/l
CoSO4・7H2O 1〜 50g/l
クエン酸3ナトリム2水和物 30〜200g/l
電流密度 1〜50A/dm2
浴温 10〜70℃
処理時間 1秒〜2分
PH 1.0〜4.0
酸化亜鉛 2〜40g/dm3
水酸化ナトリウム 10〜300g/dm3
温度 5〜60℃
電流密度 0.1〜10A/dm2
処理時間 1秒〜2分
PH 1.0〜4.0
CrO3 0.5〜40g/l
PH 3.0以下
液温 20〜70℃
処理時間 1秒〜2分
電流密度 0.1〜10A/dm2
PH 1.0〜4.0
実施例1〜5、比較例1〜3
電解液組成等の製造条件を表1に示す。表1に示す組成の硫酸銅めっき液を活性炭フィルターに通して清浄処理し、同じく表1に示す添加剤を添加し所定の濃度とした後、表1に示す電流密度で回転ドラム式製箔装置により電解製箔し、厚さ18μmの未処理電解銅箔を製造した。
実施例1〜5、比較例1〜3の未処理電解銅箔の内部の不純物元素量をSIMS分析において深さ方向に掘って測定した。測定元素は酸素(O)、炭素(C)、塩素(Cl),窒素(N)、硫黄(S)である。SIMS分析の測定条件は
1次イオン ::Cs+(5kV,100nA)
2次イオン :銅(Cu)63Cu−・塩素(Cl)35Cl−・窒素(N)14N+63Cu−・硫黄(S)34S−・酸素(O)16O−・炭素(C)12C−
スパッタ領域 :200μm×400μm
で行った。未処理電解銅箔の表面は汚れや酸化被膜の影響があるので表面から深さ方向2μmまでスパッタ除去した後に測定を開始し、深さ4μmまで分析を行った。各測定元素の強度の平均値と銅の強度の平均値から強度比を算出した。強度比の算出結果を表2に示す。
各実施例及び各比較例の未処理電解銅箔の表面粗さRz、Raを接触式表面粗さ計を用いて測定した。表面粗さRz、RaとはJIS B 0601-1994「表面粗さの定義と表示」に規定されものでありRzは「十点平均粗さ」、Raは「算術平均粗さ」である。基準長さは0.8mmで行った。測定結果を表2に示す。
各実施例及び各比較例の未処理電解銅箔を前記式1のLMP値が9000以上となる、320℃、1時間、窒素雰囲気中で加熱処理を行った。
各実施例及び各比較例の未処理電解銅箔を前記加熱条件で加熱処理した後、銅箔の断面を電子顕微鏡で撮影し、50μm×50μmの範囲内で結晶粒の最大長さが5μm以上の結晶が占める割合を測定・算出した。断面結晶粒の観察結果を表3に記載する。
前記したとおりである。EBSP分析結果を表3に記載する。
前記したとおりである。X線回析による相対強度の算出結果を表3に記載する。
各実施例及び各比較例の未処理電解銅箔を前記加熱条件で加熱処理した後、長さ6インチ×幅0.5インチの試験片に裁断し引張試験機を用いて0.2%耐力、及びヤング率を測定した。なお、引張速度は50mm/minとした。引張試験結果を表4に記載する。
0.2%耐力とは、歪と応力の関係曲線において、歪が0%の点において曲線に接線を引き、その接線と平行に歪が0.2%の点に直線を引いたその直線と曲線が交った点の応力を断面積で割ったものである。引張試験結果を表4に記載する。
各実施例及び各比較例の未処理電解銅箔と厚さ25μmのポリイミドフィルムを330℃、20分間の加熱条件でプレス圧着してポリイミドフィルム貼付電解銅箔を作成した。得られたポリイミドフィルム貼付電解銅箔を回路パターンにエッチングし、通電部を残して回路形成面に厚さ25μmのポリイミドカバーフィルムを300℃、20分間の加熱条件でプレス圧着してMIT屈曲試験サンプルを得た。得られたサンプルについて下記の条件にて回路が破断するまで屈曲試験を行った。
屈曲性の評価は、最低屈曲回数を示した比較例1の銅箔に屈曲回数を1としたときの倍数にて相対評価とした。屈曲試験結果を表4に記載する。
屈曲半径R :0.8mm
屈曲角度 :±135°
屈曲速度 :175回/分
荷重 :500g
本実施例では、不純物の分布割合、結晶粒径、同一結晶方位系などの因果関係において多少屈曲特性の状態等は変わってはいるが、比較例の銅箔と比較すると明らかに屈曲特性が向上していることがわかる。
特に、耐力と屈曲性との間には相関関係が明らかにあり、不純物または結晶粒径の大きさが耐力を下げる原因となっていることが推定できる。
また、本発明は該電解銅箔を用いた柔軟性・屈曲性を有するCCLに対応することができる。
特に、電解銅箔においては、該電解銅箔とポリイミドフィルムとを貼り付ける際にかかる熱履歴において、機械的特性、柔軟性が改良され、電気機器の小型化に対し対応できるCCL用の電解銅箔を、圧延銅箔に比べて安価に提供することができる。
Claims (8)
- 電解銅箔に式1に示すLMP(Larson-Miller parameter)値が9000以上となる加熱処理を施した後の結晶構造がEBSP(Electron Backscatter Diffraction Pattern)の分析で面に対する赤系・青系のいずれかの色調が80%以上を占める電解銅箔。
式1:LMP=(T+273)*(20+Logt)
ここで、20は銅の材料定数、Tは温度(℃)、tは時間(Hr) - 前記加熱処理を施した電解銅箔の、X線回析における(111)面に対し(331)面の相対強度が15以上であることを特徴とする請求項1に記載の電解銅箔。
- 前記加熱処理を施した後の結晶構造が、結晶粒径5μm以上の結晶粒が70%以上で、X線回析において(111)面に対し(331)面の相対強度が15以上である請求項1に記載の電解銅箔。
- 前記加熱処理を施した前記電解銅箔が、引張強さ20KN/cm2以下であり、0.2%耐力が10KN/cm2以下である請求項1〜3のいずれかに記載の電解銅箔。
- 前記電解銅箔の断面に含まれる不純物は、銅箔断面の深さ方向のSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析における銅(Cu)との強度比で少なくとも塩素(Cl)は0.5%未満、窒素(N)は0.005%未満、硫黄(S)は0.005%未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電解銅箔。
- 前記電解銅箔の少なくとも片方の表面粗さが、Rz=1.5μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の電解銅箔。
- 前記電解銅箔の少なくとも片方の面に密着性・耐熱性・耐薬品性・防錆を目的とした表面処理層が設けられている請求項1〜6のいずれかに記載の電解銅箔。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の前記電解銅箔を絶縁基板に積層したことを特徴とする銅張積層板。
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