JP2010018453A - 光学素子成形用の金型、光学素子成形用の金型の再生方法および光学素子の製造方法 - Google Patents

光学素子成形用の金型、光学素子成形用の金型の再生方法および光学素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】成形面の修復を容易に行うことができる光学素子成形用の金型等を提供する。
【解決手段】光学素子をプレス成形により製造するために用いられる光学素子成形用の金型であって、母材11と、母材11に接触して形成され、W、Ta、Mo、Tiから選ばれる少なくとも一種の元素を含む第1被膜層12と、第1被膜層12に接触して形成され、CおよびSiを含む第2被膜層13と、を有することを特徴とする光学素子成形用の金型10。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学素子成形用の金型等に係り、特に、プレス成形により光学素子を製造するために適した光学素子成形用の金型等に関する。
光通信等に用いられるレンズや、DVD(Digital Versatile Disk)のピックアップヘッドに搭載されるレンズ(光ピックアップ)及びデジタルカメラに用いられるレンズなどの光学素子は、高屈折率、低複屈折、低色収差及び耐高温性の観点からガラスレンズが用いられる。このガラスレンズの表面を非球面とすれば、単一レンズで収差をなくすことができるので、レンズを含むデバイスの軽量化が可能となる。
非球面ガラスレンズの製造は、従来の研磨による方法では加工精度および量産性に劣ることから、プレス成形による製造方法が用いられる。プレス成形による製造方法は、所望の精度に仕上げられた非球面成形表面を有する金型の上で加熱され軟化されたガラスをプレスすることにより光学素子を得る製造方法である。従って、プレス成形に用いられる金型の表面は、耐熱性に優れ、ガラスとの反応性が低く、膜硬度が高いことが要求される。
このような要求を満たす公報開示の技術として、例えば、特許文献1には、白金イリジウム(Pt−Ir)合金、白金ロジウム(Pt−Rh)合金のコーティング膜を形成したガラスレンズのプレス成形用型が開示されている。
特開昭60−176930号公報
しかしながら、プレス成形によりガラス等よりなる光学素子を作成する場合、金型の成形面は軟化されたガラス(軟化温度のガラス)に曝されるので、金型を長期間使用すれば金型の成形面の平滑性を維持することが困難になる場合がある。このような状態でそのまま金型の使用を続けると、製造される光学素子表面の平滑性が損なわれることになる。また更に金型の母材が痛むことになる。よって、この場合は金型の成形面を修復し、金型の再生をする必要性が生じる。
本発明の目的は、成形面の修復を容易に行うことができる光学素子成形用の金型を提供することである。
また、本発明の他の目的は、母材を痛めずに成形面の修復を容易に、また安全に行うことができる光学素子成形用の金型の再生方法を提供することである。
また更に、本発明の他の目的は、光学素子を大量、安価に製造する方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、光学素子をプレス成形するための金型の成形面に、CおよびSiを含む被膜層を設けることで、成形面の修復が容易な光学素子成形用の金型を作成可能であることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成した。即ち、本発明は以下を要旨とするものである。
本発明にかかる光学素子成形用の金型は、光学素子をプレス成形により製造するために用いられる光学素子成形用の金型であって、母材と、母材に接触して形成され、W、Ta、Mo、Tiから選ばれる少なくとも一種の元素を含む第1被膜層と、第1被膜層に接触して形成され、CおよびSiを含む第2被膜層と、を有することを特徴とする。
ここで、母材は、タングステンカーバイト(WC)を主成分とする超硬合金、またはタンタルカーバイト(TaC)、チタンカーバイト(TiC)、タンタルナイトライド(TaN)、チタンナイトライド(TiN)から選ばれるいずれかひとつを主成分とするサーメットからなることが好ましく、第2被膜層は、Cが主成分であることが更に好ましく、第2被膜層は、Cの含有量が、50at%以上であることが更に好ましい。
また、本発明にかかる光学素子成形用の金型の再生方法は、光学素子をプレス成形により製造するために用いられる光学素子成形用の金型の成形面を修復することで、光学素子成形用の金型を再生する方法であって、成形面にCおよびSiを含む被膜層を有する光学素子成形用の金型の被膜層をプラズマエッチングにより除去する工程と、被膜層を再び成膜する工程と、を含むことを特徴とする。
ここで、光学素子成形用の金型は、母材と、母材と被膜層との間に形成され、W、Ta、Mo、Tiから選ばれる少なくとも一種の元素を含む層からなることが好ましく、被膜層は、Cが主成分であることが更に好ましい。
また、プラズマエッチングは、処理ガスとして、酸素ガスおよびアルゴンガスの組み合わせと、水素ガスおよびアルゴンガスの組み合わせとを交互に供給することにより行うことが好ましく、酸素ガスは、10ml/min〜200ml/minで供給することが更に好ましい。
また更に、本発明にかかる光学素子の製造方法は、金型を用いてプレス成形により光学素子を製造する方法であって、母材と、母材に接触して形成されW、Ta、Mo、Tiから選ばれる少なくとも一種の元素を含む第1被膜層と、第1被膜層に接触して形成されCおよびSiを含む第2被膜層とを有する金型を用いて、プレス成形により製造することを特徴とする。
ここで、プレス成形は、600℃以下の軟化温度を有するガラスをプレスすることにより行うことが好ましい。
本発明によれば、成形面の修復を容易に行うことができる光学素子成形用の金型等を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(実施の形態)について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される光学素子成形用の金型の概略構成を示す図である。
図1に示した光学素子成形用の金型である金型10は、母材11と、母材11に接触して形成され、母材11に含まれる軽元素の拡散防止のための第1被膜層12と、第1被膜層12に接触して形成され、成形されて固化した光学素子と金型10との離型を容易にするための第2被膜層13とを有して構成される。
母材11は、例えば、タングステンカーバイト(WC)を主成分とし他の軽金属元素をバインダ成分として含んだ超硬合金により形成される。母材11は、他の軽金属元素として、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)を含む。母材11は、光学素子の成形に足るだけの強度を有する。母材11は、ガラスレンズ等の光学素子の形状に合わせた形状を有し、プレス成形を行う面側は、成形する光学素子の形状に応じた球面、非球面、もしくは自由曲面形状に加工されている。母材11は、平均表面粗さRaが例えば2nm以下に研削され研磨されている。なお、母材11は、タンタルカーバイト(TaC)、チタンカーバイト(TiC)、タンタルナイトライド(TaN)、チタンナイトライド(TiN)のうちいずれかひとつを主成分とするサーメットを主成分として構成されてもよい。
第1被膜層12は、例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)のうちの少なくとも一種の元素を含む層である。第1被膜層12は、母材11に接触して、耐熱性に優れた緻密な膜を形成する。そして、第1被膜層12は、母材11に含まれるバインダ成分を構成する軽金属元素の拡散を防止する機能を果たしている。第1被膜層12は、膜厚が例えば0.05μm〜3μmであり、平均表面粗さRaが、例えば4nm以下に製作されている。
第2被膜層13は、C(炭素)およびSi(珪素)を含む膜である。より具体的には、Cが主成分である膜であり、Cの含有量は、50at%以上であることが好ましい。この組成で構成することにより、後述する金型10の再生において、第2被膜層13をプラズマエッチングを用いて除去する際に、より適度なエッチング速度で行うことができる。そのため、母材11や第1被膜層12を痛めずに第2被膜層13だけを除去しやすくなる。また、後述するプレス成形装置で光学素子母材をプレス成形してガラスレンズを製造するときに、光学素子母材が下金型や上金型にはりつくことで離型を阻害するのを防止しやすくなる。
第2被膜層13は、膜厚が例えば0.05μm〜3μmであり、平均表面粗さRaが例えば4nm以下に製作されている。これにより、成形されて固化した光学素子と金型10との離型を容易にしている。
以上説明した金型10を製作する際に使用される成膜装置30と、この成膜装置30を用いた金型10の製造方法について説明する。
(成膜装置)
図2は、本実施の形態にかかる金型10を製作する際に使用される成膜装置30の構成の一例を示した図である。
図2に示したように、成膜装置30は、前述した母材11が搭載される金型保持台32と、前述した第1被膜層12(図1参照)又は第2被膜層13(図1参照)の素材となるターゲット34と、金型10の成膜環境を制御するアルゴンガス流量調整器36とを備えている。
また、成膜装置30は、母材11とターゲット34の周囲を真空環境にする真空排気装置38と、ターゲット34上の磁場を水平にするマグネット40と、母材11とターゲット34の周囲環境の真空度を測定する真空度測定装置42とを備えている。更に、成膜装置30は、ターゲット34を真空槽48と絶縁する絶縁体44と、ターゲット34に高周波電圧を印加する高周波電源46とを備えている。更にまた、成膜装置30は、母材11とターゲット34とを収容し真空環境を維持する真空槽48と、ターゲット34が載置されるカソード49とを有して構成される。
図2に示した成膜装置30を用いて、金型10の形状に加工された母材11に対して、第1被膜層12がスパッタ法により成膜される。
より詳しく述べれば、成膜対象である母材11とターゲット34とを対向して配置し、真空排気装置38により周囲環境を真空状態にする。そして、アルゴンガス流量調整器36からアルゴンガスを導入し、高周波電源46を用いて母材11とターゲット34との間に高周波電圧を印加する。
高周波電圧が印加されてターゲット34から飛び出した電子が真空環境を高速移動し、真空環境中にわずかにある気体分子に衝突し、気体分子の電子をはじき飛ばし、イオンを生成する。高速移動する電子やイオンは、マグネット40により作られた磁場の影響を受けて、ターゲット34に衝突する。そして、ターゲット34に衝突したイオンは、ターゲット34の粒子をはじき飛ばす(スパッタリング現象)。はじき飛ばされたターゲット34の粒子が母材11に衝突、付着し、第1被膜層12を形成する。
第1被膜層12が形成された後、カソード49に載置された第1被膜層12用のターゲット34は第2被膜層13用のターゲット34に置き換えられた後、同じくスパッタ法により、第1被膜層12上に第2被膜層13が成膜される。
次に、上述の金型10を再生する方法について説明する。
金型10を再生するには、成形面にCおよびSiを含む被膜層である第2被膜層13(図1参照)を有する金型10の第2被膜層13をプラズマエッチングにより除去する工程と、第2被膜層13を再び成膜する工程とからなる。
まず、第2被膜層13をプラズマエッチングにより除去する工程として、プラズマエッチングを行う処理装置、エッチング条件等について詳しく説明を行う。
(プラズマエッチング装置)
図3は、容量結合型のRFプラズマによってプラズマエッチングを行う処理装置の一例を説明した図である。
図3で示したプラズマエッチングを行う処理装置50は、金型10が設置される金型設置台52と、金型設置台52に対向して配置される対向電極53とを有する。また、処理装置50は、金型10の周囲環境に所定の処理ガスを導入する処理ガス導入バルブ54と、金型設置台52と対向電極53との間に高周波電圧を印加する高周波電源55と、周囲環境から空気又は処理ガスを排気する排気バルブ56及び排気ポンプ57とを有して構成される。
金型設置台52は、金型10を搭載できる強度を有した、例えば、ステンレス等の導電体で構成される。そして、金型設置台52は、対向電極53と共に、高周波電源55に接続される。
対向電極53は、例えば、ステンレス等の導電体で構成される。対向電極53は、金型10が搭載された金型設置台52に対してほぼ平行になるように、対向電極53は金型設置台52に対して対向配置される。
処理ガス導入バルブ54は、後述する排気バルブ56及び排気ポンプ57とが、金型設置台52と対向電極53との間に形成される金型10の周囲環境から空気を排出して所定の真空度に達した後に、処理ガスを導入する。
高周波電源55は、金型設置台52と対向電極53との間に高周波電圧を印加する。印加される高周波は、処理ガス導入バルブ54によって導入される処理ガスが励起されてプラズマを生起させる程度の周波数及び電圧を有する。
ここで、高周波電圧の印加方法として、RFプラズマ、マイクロ波プラズマ、DCプラズマ等がいずれも使用可能であるが、放電のし易さからRFプラズマ又はマイクロ波プラズマが好適である。更に、処理装置50の構成の簡便さから、RFプラズマが好適である。
高周波放電に使用されるいわゆるRFプラズマの場合、金型設置台52を接地して対向電極53に高周波電圧を印加する図3に示すグラウンドモード、金型設置台52に高周波電圧を印加して対向電極53を接地する図4に示すRFモード、および金型設置台52にDC電源58を印加し金型設置台52と対向電極53に高周波電圧を印加する図5に示すDCバイアスモード、更に金型設置台52と対向電極53共にラジオ波を印加するRFバイアスモード(図示省略)があるが、いずれの方式でも使用可能である。
排気バルブ56及び排気ポンプ57は、金型設置台52と対向電極53との間に形成される金型10の周囲環境から、所定の真空度に達するまで空気を排出する。また、排気バルブ56及び排気ポンプ57は、処理が終了した後に、処理ガスを排気する際に使用される。
以上の構成を有する処理装置50を使用してプラズマエッチングを行う方法を以下に説明する。
まず、金型10が金型設置台52上の所定位置に搭載された後、排気バルブ56及び排気ポンプ57が協働して、所定の真空度に達するまで金型10の周囲環境から空気を排出する。所定の真空度に達した後、処理ガス導入バルブ54から、処理ガスが導入される。
そして、金型設置台52と対向電極53との間に、高周波電源55によって高周波電圧が印加される。印加された高周波電圧により処理ガスが分解されて、ラジカルやイオンが生成される。生成されたラジカルやイオンは、金型10に衝突し、第2被膜層13(図1参照)を形成するCやSiと化学反応を起こして気化させ除去することでエッチングが行われる。
本実施の形態では、処理ガスとして、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O)ガス、水素(H)ガスを用いるのが好ましい。
これらのガスを処理ガスとして用いることで、第2被膜層13を形成する成分であるCはイオン化された酸素と反応し、炭素系のガス(例えば、CO)となって除去することができる。また、第2被膜層13を形成する成分であるSiは、イオン化された酸素と反応しシリコン系酸化物(例えば、SiO)となるが、このシリコン系酸化物は、イオン化された水素と反応し、シラン系のガス(例えば、SiH)および水(HO)となって除去することが可能である。そして、この際にSiとイオン化された酸素とが反応することにより生成するシリコン系酸化物は、バリヤとなり、エッチングの進行を抑制するため、適度なエッチング速度で、エッチングが可能となる。そのため、第1被膜層12(図1参照)および母材11(図1参照)を痛めずに第2被膜層13を除去しやすくなる。
ここで、安全性の観点から、酸素ガスと水素ガスとは、同時に供給することはせず、酸素ガスおよびアルゴンガスの組み合わせと、水素ガスおよびアルゴンガスの組み合わせとで交互に供給することが好ましい。
図6は、アルゴンガス、酸素ガス、水素ガスのそれぞれの処理ガスの時間の経過に対する供給量について説明した図である。
図6においては、上からアルゴンガス、酸素ガス、水素ガスの時間と供給量との関係を示している。ここでアルゴンガスは、いったん供給を開始すると、プラズマエッチングを終了させるまで供給を止めることはない。一方、酸素ガスと水素ガスは、それぞれ15分と10分の時間で交互に供給を行っている。このパターンでアルゴンガス、酸素ガス、水素ガスを供給することにより、処理ガスを、酸素ガスおよびアルゴンガスの組み合わせと、水素ガスおよびアルゴンガスの組み合わせとで交互に供給することになる。なお処理ガスの供給量としては、アルゴンガスは、10ml/min〜200ml/minで供給することが好ましい。また、酸素ガスは、10ml/min〜200ml/minで供給することが好ましく、また更に、水素ガスは、10ml/min〜200ml/minで供給することが好ましい。
酸素ガスの供給量を10ml/minより少なくすると、処理装置50(図3参照)内部でのプラズマ密度が高くなり、金型10(図3参照)にダメージを与えやすくなる。また酸素ガスの供給量を200ml/minより多くすると、処理装置50内部でのプラズマ密度が低くなり、エッチングを行いにくくなる。
なお、上述した処理ガスの供給のパターンはあくまで一例である。他の方法としては、例えば、酸素ガスと水素ガスとを供給する間に全ての処理ガスを供給しない時間帯を設け、この時間帯において処理ガスをいったん排気する作業を行い、それから次の処理ガスを供給するパターンを採用してもよい。これにより酸素ガスを供給するときは水素ガスが残留せず、また水素ガスを供給するときは酸素ガスが残留しないため、安全性を更に高めることができる。
このようにして、第2被膜層13を除去した後は、図2において説明を行った成膜装置30により再び第2被膜層13を成膜することにより、金型10の成形面の修復を行うことができ、金型10の再生が可能である。そして、この方法を用いることで金型10の再生を容易に行うことができ、更に安全に、そして安価に行うことができる。
なお、第2被膜層13を再び成膜する前に、アルゴンガス等によるボンバード処理を行うと、第2被膜層13の付着強度が高まるためより好ましい。
次に、以上説明した金型10を用いて、光学素子をプレス成形する装置および方法を以下に説明する。
(プレス成形装置)
図7は、本実施の形態が適用される金型10を用いた、プレス成形装置の一例を示す構成図である。
図7に示したプレス成形装置100は、光学素子の一例としてガラスレンズを、一対の金型を用いてプレス成形により製造する装置である。プレス成形装置100は、下金型10a及び上金型10bと、下金型10a及び上金型10bを所定の温度に維持する下均熱プレート114及び上均熱プレート116と、下金型10a及び上金型10bを昇温する下加熱ヒーター118及び上加熱ヒーター120とを有して構成される。また、プレス成形装置100は、上金型10bを可動させる加圧シリンダー124と、光ガラスレンズの成形環境を制御する窒素導入口126及び窒素排気口128と、下金型10a及び上金型10b等を収容するガラスレンズ成形器130と、上金型10bの動作を規制するスリーブ132とを有して構成される。
下金型10aと上金型10bとは共に、上述した第1被膜層12(図1参照)および第2被膜層13(図1参照)を成形面に有する金型10である。下金型10aと上金型10bとが、載置されて軟化された光学素子母材122をプレス成形法により成形してガラスレンズを製作する。
下均熱プレート114と上均熱プレート116は、それぞれ下加熱ヒーター118と上加熱ヒーター120に搭載される。下均熱プレート114と上均熱プレート116は、サーマルバッファ(熱的緩衝体)の役割を果たし、下加熱ヒーター118と上加熱ヒーター120から受ける熱を、ガラスレンズの製作に支障がない程度に均一な状態にして下金型10aと上金型10bとに伝える。ここで、下加熱ヒーター118と上加熱ヒーター120とは、図示しない制御手段を用いて、下金型10aと上金型10bの表面がプレス成形に適した温度になるように制御されている。
光学素子母材122は、例えば、シリカを主成分とし、アルミナ、酸化ナトリウム、酸化ランタン等が添加された低融点ガラスにより構成される。光学素子母材122は、例えば、600℃以下の軟化温度を有するガラスである低融点ガラスであっても、400℃以下の軟化温度を有するガラスである超低融点ガラスであってもよい。
加圧シリンダー124は、上加熱ヒーター120及び上均熱プレート116に固定された上金型10bを上下動させる駆動系である。そして、図示しない制御手段により動作が制御される。
窒素導入口126及び窒素排気口128は、成形時の金型の雰囲気を窒素として、高温下での酸化を防止している。
以上の構成を有するプレス成形装置100が光学素子母材122をプレス成形してガラスレンズを製造する製造工程を以下に説明する。
まず、光学素子母材122を、下金型10aと上金型10bとの間に光学素子母材122を投入し、光学素子母材122をプレス成形装置100に配置する。
次に、図示しない排気ポンプ及び処理ガス導入ポンプを使って、窒素導入口126から窒素を導入し、プレス成形装置100内部の空気を窒素ガスに置換する。そして、下加熱ヒーター118及び上加熱ヒーター120を昇温し、窒素雰囲気下で光学素子母材122の転移点(転移温度)Tgまで光学素子母材122を充分に加熱し、更に、屈伏点(屈伏温度)Atまで昇温して光学素子母材122を軟化させる。
そして、屈伏温度At付近になったとき、加圧シリンダー124により上金型10bを可動させ、下金型10aと上金型10bとにより光学素子母材122をプレスする。
光学素子母材122は、プレスの際に下金型10a及び上金型10bにより加えられる圧力により外側に広がり、下金型10aと上金型10bとの間にできる空隙に収容され、プレス成形される。
その後、圧力を加えたままプレス成形装置100を転移温度Tg付近まで冷却し、次に上金型10bの圧力を開放し、例えば常温まで冷却して、ガラスレンズを取り出す。
この一連の工程により、光学素子としてのガラスレンズが製造される。
〔成形試験〕
(実施例1)
図2に示す成膜装置30を用いて、タングステンカーバイトを主成分とする超硬合金からなる母材11の上に第1被膜層12(図1参照)としてWNを成膜し、更に第1被膜層12の上に第2被膜層13として、Cを85at%、Siを15at%含む膜を成膜して、金型10を製作した。第2被膜層13の膜厚は約600nmであった。
この金型10を使用し、ホウケイ酸塩クラウンガラスの一種で、光学ガラスの中で最も一般的なガラスのBK7を窒素雰囲気下で1000ショット成形し、光学素子としてガラスレンズを製造した。この金型10を顕微鏡により観察したところ第2被膜層13が部分的に剥がれていることを確認した。
そして、この時点で、後述する評価方法により評価を行った(トータル1000ショット)。
第2被膜層13が剥がれた状態で成形を続けると第1被膜層12も剥がれてしまうため、この時点で、金型10を再生することにした。
ここで、図4で示したRFモードで、プラズマエッチングを行う処理装置50を用いて、第2被膜層13の除去を行った。第2被膜層13を除去する条件としては、処理ガスとして酸素ガスおよびアルゴンガスの組み合わせと、水素ガスおよびアルゴンガスの組み合わせとを交互に供給することにより行った。処理ガスとして酸素ガスおよびアルゴンガスの組み合わせで供給したときのアルゴンガスの供給量は、10ml/minであり、酸素ガスの供給量は、40ml/minとした。このとき13.56MHzの高周波電圧を200W印加し、6分間処理を行った。また、処理ガスとして水素ガスおよびアルゴンガスの組み合わせで供給したときのアルゴンガスの供給量は、35ml/minであり、水素ガスの供給量は、20ml/minとした。このとき13.56MHzの高周波電圧を500W印加し、10分間処理を行った。これらを繰り返し、トータルで75分間処理を行った。
その後、アルゴンガスによるボンバード処理を3分間行った後、図2に示す成膜装置30を用いて、第2被膜層13として、Cを85at%、Siを15at%含む膜を成膜し、金型10を再生した。
このようにして再生した金型10を使用し、再び、BK7を窒素雰囲気下で1000ショット成形し(トータル2000ショット)、後述する評価方法により評価を行った。
更に、この金型10を上述した方法と同様の方法で2度目の再生を行い、再び、BK7を窒素雰囲気下で1000ショット成形し(トータル3000ショット)、後述する評価方法により評価を行った。
(比較例1)
母材11は実施例1と同様のものを用い、母材11上に離型膜として、PtRu合金膜を膜厚200nmで成膜した。その後、実施例1と同様の成形試験を行い、BK7を窒素雰囲気下で1000ショット成形し、後述する評価方法により評価を行った。
そして、更に成形試験を継続し、1500ショット目で後述する評価方法により評価を行った。
〔評価方法〕
金型の表面状態を評価するため平均表面粗さRaをAFM(Atomic Force Microscope:原子間力顕微鏡)で測定した。また製造されたガラスレンズのクラック発生率を評価した。また更に、製造されたガラスレンズの曇りの有無を透過光により目視で判定を行った。
この際に、金型10の平均表面粗さRaは、5.0nmを基準値とし、5.0nm未満であれば良好と判断した。
〔評価結果〕
評価結果を、表1に示す。
表1では、実施例1におけるトータル1000ショット目、トータル2000ショット目、トータル3000ショット目、および比較例1におけるトータル1000ショット目、トータル1500ショット目での平均表面粗さRa、クラック発生率、曇りの有無をそれぞれ示した。
表1で示した結果によれば、クラック発生率はそれぞれについて大きな差は生じなかったものの、平均表面粗さRaについては、実施例1におけるトータル1000ショット目、トータル2000ショット目、トータル3000ショット目のいずれにおいても、良好であったのに対し、比較例1におけるトータル1000ショット目、トータル1500ショット目では平均表面粗さRaが基準値より大きくなった。更に、曇りの有無については、実施例1におけるトータル1000ショット目、トータル2000ショット目、トータル3000ショット目のいずれにおいても、曇りは発生せず、良好であったのに対し、比較例1におけるトータル1500ショット目では曇りの発生が認められた。
この結果から比較例1の金型に対し、実施例1の金型は、耐久性において優れ、また良好に再生可能であることがわかる。
Figure 2010018453
本実施の形態が適用される光学素子成形用の金型の概略構成を示す図である。 本実施の形態にかかる金型を製作する際に使用される成膜装置の構成の一例を示した図である。 容量結合型のRFプラズマによってプラズマエッチングを行う処理装置の一例を説明した図である。 RFモードでプラズマエッチングを行う処理装置の一例を説明した図である。 DCバイアスモードでプラズマエッチングを行う処理装置の一例を説明した図である。 アルゴンガス、酸素ガス、水素ガスのそれぞれの処理ガスの時間の経過に対する供給量について説明した図である。 本実施の形態が適用される金型を用いた、プレス成形装置の一例を示す構成図である。
符号の説明
10…金型、11…母材、12…第1被膜層、13…第2被膜層、30…成膜装置、50…処理装置、100…プレス成形装置

Claims (11)

  1. 光学素子をプレス成形により製造するために用いられる光学素子成形用の金型であって、
    母材と、
    前記母材に接触して形成され、W、Ta、Mo、Tiから選ばれる少なくとも一種の元素を含む第1被膜層と、
    前記第1被膜層に接触して形成され、CおよびSiを含む第2被膜層と、
    を有することを特徴とする光学素子成形用の金型。
  2. 前記母材は、タングステンカーバイト(WC)を主成分とする超硬合金、またはタンタルカーバイト(TaC)、チタンカーバイト(TiC)、タンタルナイトライド(TaN)、チタンナイトライド(TiN)から選ばれるいずれかひとつを主成分とするサーメットからなることを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用の金型。
  3. 前記第2被膜層は、Cが主成分であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用の金型。
  4. 前記第2被膜層は、Cの含有量が、50at%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用の金型。
  5. 光学素子をプレス成形により製造するために用いられる光学素子成形用の金型の成形面を修復することで、当該光学素子成形用の金型を再生する方法であって、
    前記成形面にCおよびSiを含む被膜層を有する前記光学素子成形用の金型の当該被膜層をプラズマエッチングにより除去する工程と、
    前記被膜層を再び成膜する工程と、
    を含むことを特徴とする光学素子成形用の金型の再生方法。
  6. 前記光学素子成形用の金型は、
    母材と、
    前記母材と前記被膜層との間に形成され、W、Ta、Mo、Tiから選ばれる少なくとも一種の元素を含む層からなることを特徴とする請求項5に記載の光学素子成形用の金型の再生方法。
  7. 前記被膜層は、Cが主成分であることを特徴とする請求項5に記載の光学素子成形用の金型の再生方法。
  8. 前記プラズマエッチングは、処理ガスとして、酸素ガスおよびアルゴンガスの組み合わせと、水素ガスおよびアルゴンガスの組み合わせとを交互に供給することにより行うことを特徴とする請求項5に記載の光学素子成形用の金型の再生方法。
  9. 前記酸素ガスは、10ml/min〜200ml/minで供給することを特徴とする請求項5に記載の光学素子成形用の金型の再生方法。
  10. 金型を用いてプレス成形により光学素子を製造する方法であって、
    母材と、当該母材に接触して形成されW、Ta、Mo、Tiから選ばれる少なくとも一種の元素を含む第1被膜層と、当該第1被膜層に接触して形成されCおよびSiを含む第2被膜層とを有する金型を用いて、プレス成形により製造することを特徴とする光学素子の製造方法。
  11. 前記プレス成形は、600℃以下の軟化温度を有するガラスをプレスすることにより行うことを特徴とする請求項10に記載の光学素子の製造方法。
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JP2011162371A (ja) * 2010-02-05 2011-08-25 Fujifilm Corp 光学素子成形用型、並びに光学素子、及び該光学素子の製造方法

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