JP5353706B2 - 下型の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、上方より滴下した溶融ガラス滴を受けるための下型の製造方法に関する。
近年、デジタルカメラ用レンズ、DVD等の光ピックアップレンズ、携帯電話用カメラレンズ、光通信用のカップリングレンズ等として、ガラス製の光学素子が広範にわたって利用されている。このようなガラス製の光学素子として、ガラス素材を成形金型で加圧成形して製造したガラス成形体を用いることが多くなってきた。
このようなガラス成形体の製造方法の1つとして、予め所定質量及び形状を有するガラスプリフォームを作製し、該ガラスプリフォームを成形金型とともにガラスが変形可能な温度まで加熱して加圧成形する方法(以下、「リヒートプレス法」ともいう)が知られている。
従来、リヒートプレス法に用いるガラスプリフォームは、研削・研磨等の機械加工によって製造されることが多かったが、機械加工によるガラスプリフォームの作製には多大な労力と時間を要するという問題があった。そのため、下型に溶融ガラス滴を滴下させ、滴下した溶融ガラス滴を下型の上で冷却固化することにより、機械加工なしでガラスプリフォームを作製する方法の検討が進められている。
一方、ガラス成形体の別の製造方法として、所定温度に加熱した下型に溶融ガラス滴を滴下させ、滴下した溶融ガラス滴を、下型及び下型に対向する上型により加圧成形してガラス成形体を得る方法(以下、「液滴成形法」ともいう)が提案されている。この方法は、成形金型等の加熱と冷却を繰り返す必要がなく溶融ガラス滴から直接ガラス成形体を製造することができるので、1回の成形に要する時間を非常に短くできることから注目されている。
しかし、ガラスプリフォームやガラス成形体の製造のために、下型に溶融ガラス滴を滴下させると、下型との衝突によって溶融ガラス滴の下面(下型との接触面)の中央付近に微細な凹部が形成される。この凹部に入り込んだエアーは逃げ場が無く、溶融ガラス滴が冷却・固化するまで閉じこめられた状態となるため、製造されたガラスプリフォームやガラス成形体の下面に、凹部(エアー溜まり)が残存してしまうという問題があった。
この問題に対応するため、下型の表面を粗面化(Rmaxが0.05μm〜0.2μm)して、凹部に入り込んだ空気の流路を確保することでエアー溜まりが残存することを防止する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、粗面化した下地面(Raが0.005μm〜0.05μm)の上に、溶解層を含んだ被覆層を形成することで、エアー溜まりを防止すると共に再生を容易とした下型が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平3−137031号公報 特開2005−272187号公報
特許文献1や2に記載された方法によりエアー溜まりの発生を防止するためには、下型の表面が所定の表面粗さとなるよう、エッチング等によって表面の粗面化を行う必要がある。
一般に、ガラスを加圧成形するための成形金型として用いる材料には種々の制約条件があり、高温でガラスと反応しにくいこと、鏡面が得られること、加工性が良いこと、硬いこと、脆くないことなど、多くの条件を満足している必要がある。これらの諸条件を満足する材料は非常に限られており、例えば、タングステンカーバイドを主成分とする超硬材料、炭化珪素、窒化珪素等のセラミックス材料、カーボンを含んだ複合材料等が好ましく用いられている。
しかしながら、成形金型として好ましい性質を有するこれらの材料は、一般的なウェットエッチングやドライエッチングによっては、表面が所定の表面粗さになるよう均一に粗面化することは困難な場合が多い。また、タングステンカーバイドを主成分とする超硬材料などのように、エッチングによる粗面化は可能であるが、そのように粗面化された表面は非常に脆くなり、耐久性が著しく悪化してしまう材料もある。
そのため、下型にこれらの材料を用いた場合には、特許文献1や2に記載された方法を実施することができなかったり、あるいは、実施できても下型の耐久性が劣るため安定した製造ができないという問題があった。
本発明は上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、下型材料の選択肢を狭めることなくエアー溜まりの発生を良好に防止できると共に、耐久性に優れた下型の製造方法を提供することである
上記の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有するものである。
1. 上方より滴下した溶融ガラス滴を受けるための下型の製造方法において、基材の上に、阻止層及び該阻止層の上に形成される表面層を含む被覆層を成膜する成膜工程と、エッチングによって前記被覆層の表面を粗面化する粗面化工程と、を有し、前記表面層は、前記阻止層よりも前記粗面化工程の際のエッチングレートが大きいことを特徴とする下型の製造方法。
2. 前記粗面化工程において、前記表面層のエッチングレートは前記阻止層のエッチングレートの1.5倍以上、10倍以下であることを特徴とする前記1に記載の下型の製造方法。
3. 前記成膜工程は、スパッタ法によって前記被覆層を成膜する工程であって、前記表面層を成膜する際の成膜条件は、前記阻止層を成膜する際の成膜条件よりも、成膜面に到達するスパッタ粒子の有するエネルギーが小さくなる条件であることを特徴とする前記1または2に記載の下型の製造方法。
4. 前記表面層を成膜する際の成膜条件は、前記阻止層を成膜する際の成膜条件よりも、スパッタガスの圧力が高いことを特徴とする前記3に記載の下型の製造方法。
5. 前記阻止層と前記表面層とは、クロム、アルミニウム、及びチタンのうち少なくとも1つの元素を含むことを特徴とする前記1〜4のうちの何れか1項に記載の下型の製造方法。
6. 前記阻止層と前記表面層とは、同じ構成元素からなることを特徴とする前記1〜5のうちの何れか1項に記載の下型の製造方法。
7. 前記阻止層と前記表面層とは、成膜条件を連続的に変化させながら連続して成膜を行うことを特徴とする前記6に記載の下型の製造方法。
8. 前記粗面化工程は、前記被覆層の表面の算術平均粗さ(Ra)を0.01μm〜0.2μm、且つ、粗さ曲線要素の平均長(RSm)を0.5μm以下とする工程であることを特徴とする前記1〜7のうちの何れか1項に記載の下型の製造方法。
本発明によれば、下型の基材の上に設けた被覆層の表面を粗面化するため、基材の材質によらず、表面が所定の表面粗さになるよう均一に粗面化することができる。更に、表面層の下に粗面化処理の際のエッチングレートが小さい阻止層を有しているため、被覆層と基材の間の密着力が強く、エッチング処理によって基材に悪影響を与えることもない。従って、下型材料の選択肢を狭めることなくエアー溜まりの発生を良好に防止できると共に、耐久性に優れた下型を製造することができる
下型の製造方法の1例を示すフローチャートである。 各工程における下型の状態を示す断面図である。 エッチングレートの意味を説明するための模式図である。 本実施形態で用いるスパッタ装置の構成の1例を示す図である。 スパッタ装置内への下型の配置状態と膜厚分布の状態を示す模式図である。 下型10に滴下した溶融ガラス滴50の状態を示す図である。 図6(b)のC部の詳細を示した模式図である。 ガラスゴブの製造方法の1例を示すフローチャートである。 下型に溶融ガラス滴を滴下させる工程(S22)を示す図である。 滴下した溶融ガラス滴を下型の上で冷却・固化する工程(S23)を示す図である。 ガラス成形体の製造方法の1例を示すフローチャートである。 下型に溶融ガラス滴を滴下する工程(S33)を示す図である。 滴下した溶融ガラス滴を下型と上型とで加圧する工程(S35)を示す図である。
符号の説明
10 下型
11 基材
12 阻止層
13 表面層
14 被覆層
15 成形面
30 スパッタ装置
31 真空チャンバー
32 スパッタ電極
33 ターゲット
34 シャッター
35 回転軸
36 基材ホルダー
37 ヒーター
50 溶融ガラス滴
51 凹部
52 下面
53 隙間
54 ガラスゴブ
55 ガラス成形体
60 上型
63 ノズル
以下、本発明の実施の形態について図1〜図13を参照しつつ詳細に説明する。
始めに、図1〜図5を用いて、本実施形態における下型の製造方法について説明する。図1は本実施形態における下型の製造方法を示すフローチャートであり、図2は各工程における下型の状態を示す断面図である。図3は、エッチングレートの意味を説明するための模式図である。図4は本実施形態で用いるスパッタ装置の構成の1例を示す図であり、図5はスパッタ装置内への下型の配置状態と膜厚分布の状態を示す模式図である。
(基材)
下型の基材11には、予め、製造するガラス成形体等に応じた所定の形状の成形面15を加工しておく(図2(a))。本発明においては、基材11の上に成膜された被覆層14に対して粗面化処理を行うため、被覆層14の成膜前に基材11を粗面化しておく必要はない。そのため、基材11の材料は、粗面化の容易性や、粗面化した場合の耐久性等を考慮することなく選択することができる。
そのため、基材11の材料は、溶融ガラス滴を受けるための下型の材料として公知の材料の中から、条件に応じて適宜選択して用いることができる。好ましく用いることができる材料として、例えば、各種耐熱合金(ステンレス等)、タングステンカーバイドを主成分とする超硬材料、各種セラミックス(炭化珪素、窒化珪素等)、カーボンを含んだ複合材料等が挙げられる。
(成膜工程)
次に、基材11の上に被覆層14を成膜する(成膜工程)。被覆層14は、阻止層12及び表面層13からなり、基材11の上に阻止層12を成膜(S11:図2(b))した後、阻止層12の上に更に表面層13を成膜する(S12:図2(c))。
一般に、基材の上に成膜された層に対してエッチングによって粗面化処理を行う場合、表面が所定の表面粗さになるよう均一に粗面化するためには、エッチングレートが比較的大きく、エッチングによって容易に微小な凹凸が形成される層である必要がある。しかし、基材の上に直接エッチングレートの大きい層を設けてエッチングを行うと、粗面化された層の耐久性が非常に悪く、容易に剥離が発生するという問題があった。これは、エッチングレートの大きい層は基材との間の密着力が十分でない場合が多い上に、エッチングの影響が基材にまで及ぶことによって、更に密着力が低下することが原因ではないかと考えられる。
そのため、本発明においては、被覆層14をエッチングレートの異なる2つの層に分け、エッチングレートの小さい層を阻止層12として基材11の上に成膜した後、阻止層12よりもエッチングレートの大きい表面層13を成膜する。
このような構成にすれば、表面層13のエッチングレートが大きいため、エッチングによって容易に微小な凹凸を形成でき、均一な粗面化が可能となる。また、エッチングレートが小さい阻止層12はもともと基材との間の密着力が大きい上に、阻止層12の存在によってエッチングの影響が基材11にまで及ぶことを防止できるため、耐久性に優れた下型10を製造することができる。
また表面層13と阻止層12とのエッチングレート差の程度については、表面層13のエッチングレートが阻止層12のエッチングレートの1.5倍以上、10倍以下であることが特に好ましい。その範囲を外れると、表面層13のエッチングと阻止層12のエッチングのバランスが取りにくくなり、エッチングの影響が基材11にまで及ぶ可能性が生じたり、エッチングによる凹凸が最適な粗さに維持しにくくなったりする。
ここで、図3を用いて、本明細書におけるエッチングレートの意味を説明する。図3の左側の図は、エッチング前の初期状態を示す図であり、基板21の上に膜22が形成されている。右側の図は、これに処理時間tだけエッチングを行った後の状態を示している。このとき、エッチング量A(膜22の厚みの減少量)を処理時間tで除したものがエッチングレートである。なお、エッチングによって膜22の表面は微細な凹凸が形成されるが、エッチングレートの算出にあたっては、凹凸の平均線23を用いることとする。
阻止層12及び表面層13としては種々の材料を利用することができる。例えば、種々の金属(クロム、アルミニウム、チタン等)、窒化物(窒化クロム、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化硼素等)、酸化物(酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化チタン等)等を用いることができる。
中でも、クロム、アルミニウム、及びチタンのうち少なくとも1つの元素を含むことが特に好ましい。これらの元素を含んだ膜は、いずれも容易に成膜でき、エッチングによって容易に粗面化できるという利点があるばかりでなく、大気中での加熱によって表面が酸化し、安定な酸化物の層が形成されるという特徴がある。クロム、アルミニウム、チタンの酸化物は、いずれも標準生成自由エネルギー(標準生成ギブスエネルギー)が小さく、非常に安定であるため、高温の溶融ガラス滴と接触しても容易に反応することがないという大きな利点を有している。
また、阻止層12と表面層13とは、同じ構成元素からなることが特に好ましい。そうすることによって、成膜が容易になるばかりでなく、阻止層12と表面層13の間の密着力を非常に強くすることができ、耐久性に優れた下型を製造することができる。
阻止層12と表面層13の成膜方法に制限はなく、公知の成膜方法の中から適宜選択して用いればよい。例えば、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法等が挙げられる。中でも、スパッタ法は、成膜条件を変更することによって、エッチングレートの小さい阻止層12とエッチングレートの大きい表面層13とを連続して成膜することが容易であるため、特に好ましい方法である。
図4は本実施形態で用いるスパッタ装置の構成の1例を示す図であり、平行平板型のスパッタ装置30の構成を示している。
基材11は、真空チャンバー31の上部にある基材ホルダー36に、成膜面を下向きにして保持する。また、阻止層12及び表面層13の材料であるターゲット33を、電源38に接続されたスパッタ電極32に取り付け、バルブ41を介して真空チャンバー31に接続された排気ポンプ42によって、真空チャンバー31内を所定の真空度まで排気する。このとき、基材ホルダー36に設けられたヒーター37によって、基材11を所定の温度に加熱しておく。真空チャンバー31内が所定の真空度まで排気された後、流量調整バルブ43を介してガスボンベ44よりスパッタガスを導入して真空チャンバー31内を所定の圧力とし、電源38によってスパッタ電極32に所定の電圧を印加してターゲット33の上面付近にプラズマを発生させる。これにより、スパッタガスのイオンがターゲット33に衝突し、ターゲットの構成元素がスパッタ粒子としてはじき飛ばされる。そして、回転軸35を回転させて、シャッター34をターゲット33の上方から退避させると、イオンの衝突によってはじき飛ばされたスパッタ粒子が上方の基材11に到達して堆積し、成膜面に膜が形成される。
なお、スパッタ電極32及びターゲット33をそれぞれ複数個備え、異なる種類の材料を順番に、あるいは同時に成膜することができる装置を用いることもできる。
本発明者は、成膜面に到達するスパッタ粒子の有するエネルギーの大きさによって、形成される膜のエッチングレートが変化することを見いだした。つまり、成膜面に到達するスパッタ粒子の有するエネルギーが小さいほどエッチングレートは大きくなり、スパッタ粒子の有するエネルギーが大きいほどエッチングレートは小さくなる。従って、成膜工程において、先ず、成膜面に到達するスパッタ粒子の有するエネルギーが大きい条件で成膜した後、成膜条件を変更して、スパッタ粒子の有するエネルギーが小さい条件で成膜を行うことにより、阻止層12と表面層13とを形成することができる。この方法によれば、材料や設備を変更することなく、成膜条件を変更するだけで、エッチングレートの小さい阻止層12とエッチングレートの大きい表面層13を成膜することができる。
成膜面に到達するスパッタ粒子の有するエネルギーに影響する成膜条件としては、成膜中のスパッタガスの圧力、ターゲット33と成膜面の間の距離、スパッタ電極32に印加する電力等が挙げられる。
スパッタガスの圧力Pが大きくなるとスパッタ粒子のミーンフリーパスが短くなり、スパッタ粒子が成膜面に到達するまでにスパッタガスの粒子と衝突する平均回数が増えるため、成膜面に到達するスパッタ粒子の有するエネルギーは小さくなる。従って、形成される膜のエッチングレートは大きくなる。逆に、スパッタガスの圧力Pが小さくなると、成膜面に到達するスパッタ粒子の有するエネルギーは大きくなり、形成される膜のエッチングレートは小さくなる。表面層13を成膜する際のスパッタガスの圧力Pは、0.5Pa以上が好ましく、1Pa以上がより好ましい。
ターゲット33と成膜面の間の距離(図4のD)が長くなると、スパッタ粒子が成膜面に到達するまでにスパッタガスの粒子と衝突する平均回数が増えるため、成膜面に到達するスパッタ粒子の有するエネルギーは小さくなる。従って、形成される膜のエッチングレートは大きくなる。逆に、ターゲット33と成膜面の間の距離(D)が短くなると、成膜面に到達するスパッタ粒子の有するエネルギーは大きくなり、形成される膜のエッチングレートは小さくなる。
また、一般的に、ターゲット33と成膜面の間の距離(D)が短い方が密着性のよい膜が得られるが、距離Dが短すぎると成膜面における膜厚の分布が大きくなってくる。このため、ターゲット33と成膜面の間の距離(D)は50mm〜200mmが好ましい。
スパッタ電極32に印加する電力が小さくなると、ターゲット33に衝突するイオンのエネルギーが小さくなるため、衝突によってはじき飛ばされるスパッタ粒子のエネルギーも小さくなる。従って、形成される膜のエッチングレートは大きくなる。逆に、スパッタ電極32に印加する電力が大きくなると、スパッタ粒子のエネルギーは大きくなり、形成される膜のエッチングレートは小さくなる。
これらの成膜条件の中で、条件を容易に変更することができ、また、エッチングレートに差をつける効果が大きいことから、スパッタガスの圧力を変化させる方法が特に好ましい。
また、阻止層12と表面層13とは、成膜条件を連続的に変化させながら連続して成膜を行うことがより好ましい。それにより、阻止層12と表面層13の間の密着力が特に強く、耐久性に優れた下型10を製造することができる。
表面層13の厚みは、エッチングによって微小な凹凸を形成できるだけの厚みを有していればよく、通常は、0.05μm以上が好ましい。また、阻止層12の厚みは、エッチングの影響が基材にまで及ぶことを効果的に防止するため、0.05μm以上であることが好ましい。逆に、阻止層12や表面層13が厚すぎると、膜はがれ等の欠陥が発生しやすくなる場合がある。そのため、被覆層14の全体の厚みは、0.05μm〜5μmが好ましく、0.1μm〜1μmが特に好ましい。
なお、複数の基材11を基材ホルダー36に配置して同時に成膜する場合、被覆層14の膜厚分布が問題となる場合がある。例えば、図5(a)に示すように基材11a、11b、11cを配置した場合、ターゲット33の中心部の鉛直上方に配置された基材11aに成膜される被覆層14の膜厚分布に問題はない。しかし、ターゲット33の中心部の鉛直上方からはずれた位置に配置された基材11b、11cに成膜される被覆層14には偏りが生じ、精密に加工された成形面15の形状を崩してしまう虞がある。
このような被覆層14の膜厚の偏りを防止するため、ターゲット33の中心部の鉛直上方からはずれた位置に基材11b、11cを配置する場合には、図5(b)に示すように、ターゲット33の中心部の方向に傾けて配置することが好ましい。ターゲット33と成膜面の間の距離をD、基材11bのターゲット33の中心部からの水平方向のずれ量をBとしたとき、基材11bの傾斜角度θは、tan-1(B/D)とするのが特に好ましい。
更に、本実施形態においては、被覆層14が阻止層12及び表面層13の2層のみからなる場合を例に挙げて説明したが、被覆層14が3種以上の層からなる多層構造を有していてもよい。例えば、被覆層14の密着性を高めるため、阻止層12の下に更に別の層(下地層)を設けてもよいし、粗面化処理によって凹凸が形成された被覆層14の上に、表面を保護するための保護層を更に設けてもよい。
(粗面化工程)
次に、エッチングによって被覆層14の表面の粗面化を行う(粗面化工程S13)(図2(d))。上述の通り、本発明においては、エッチングレートの大きい表面層13の下にエッチングレートの小さい阻止層12が設けられているため、エッチングによって容易に微小な凹凸を形成できると共に、エッチングの影響が基材11にまで及ぶことを防止することができる。
エッチングは、液体を用いるウェットエッチングでもよいし、反応性のガス等を用いるドライエッチングでもよい。中でも、液体を用いるウェットエッチングは、高価な設備を必要とせず、また容易に均一な凹凸を形成できるため好ましい。
ウェットエッチングは、反応性のエッチング液を被覆層14に接触させて反応させ、凹凸を形成する方法である。貯留したエッチング液に被覆層14を浸漬させてもよいし、被覆層14の上に所定量のエッチング液を供給してもよい。また、エッチング液をスプレー状に吹き付ける方法でもよい。
エッチング液は、被覆層14の材質に応じた公知のエッチング液を適宜選択すればよい。被覆層14がアルミニウムの場合、各種の酸性溶液等、アルミニウム用として好ましく用いることができるエッチング液が市販されている。被覆層14がチタンの場合にも、チタン用として好ましく用いることができるエッチング液が市販されている。例えば、塩酸や硫酸などの還元性の酸を主成分としたエッチング液等が挙げられる。
また、被覆層14がクロムの場合も、同様に、クロム用として好ましく用いることができるエッチング液が市販されている。例えば、硝酸第二セリウムアンモンを含有する酸性溶液等が挙げられる。また、フェリシアン化カリウム及び水酸化カリウムを含むアルカリ性溶液を用いることもできる。
エッチングは、被覆層14の表面の算術平均粗さ(Ra)が0.01μm〜0.2μm、且つ、粗さ曲線要素の平均長(RSm)が0.5μm以下となるように行うことが好ましい。算術平均粗さ(Ra)及び粗さ曲線要素の平均長(RSm)をこのような範囲とすることにより、製造したガラスゴブやガラス成形体にエアー溜まりが発生することをより効果的に防止することができる。
なお、算術平均粗さ(Ra)、及び、粗さ曲線要素の平均長(RSm)は、JIS B 0601:2001において定義される粗さパラメータである。本発明において、これらのパラメータの測定は、AFM(原子間力顕微鏡)のように、空間解像度が0.1μ以下の測定機を用いて行う。一般的な触針式の粗さ測定機は、触針先端の曲率半径が数μm以上と大きいため好ましくない。
ここで、エッチングによって被覆層14を粗面化することによって、ガラスゴブやガラス成形体にエアー溜まりが発生することを防止できる理由を、図6、図7を用いて説明する。
図6は下型10に滴下した溶融ガラス滴50の状態を示す図である。図6(a)は、溶融ガラス滴50が下型10に衝突した瞬間の状態を、図6(b)は、その後、溶融ガラス滴50が表面張力によって丸まった状態を示している。
図6(a)に示すように、下型10に衝突した瞬間の溶融ガラス滴50は、衝突の衝撃によって平たく伸ばされる。この時、溶融ガラス滴50には、下面(被覆層14と接触している面)の中心付近に、直径数十μm〜数百μm程度の微小な凹部51が生じる。凹部51が発生するメカニズムは必ずしも明らかではないが、シミュレーション等を用いた解析によれば、溶融ガラス滴50が下型10に衝突する際、最初に下型10に衝突する部分のガラスが反動で上方に跳ね返ることによって凹部51が生じるのではないかと考えられる。
溶融ガラス滴50は、その後、図6(b)に示すように、表面張力の働きによって丸く変形する。この際、被覆層14に粗面化処理が施されていない場合には、溶融ガラス滴50の下面と被覆層14とが密着して、凹部51の中に溜まったエアーの逃げ道が無くなるため、凹部51は消滅することなくエアー溜まりとして残存してしまう。
しかし、本実施形態における下型10の被覆層14は、被覆層14が成膜された後にエッチングによって粗面化されている。そのため、溶融ガラス滴50の下面と被覆層14との間に隙間が残り、溶融ガラス滴50が表面張力の働きによって丸く変形する際、その隙間を通って凹部51の中に溜まったエアーが逃げて凹部51が消滅するのである。
溶融ガラス滴50の下面と被覆層14との間に生じる隙間の状態について、図7を用いて更に詳細に説明する。図7は、図6(b)のC部の詳細を示した模式図である。図7(a)に示すように、被覆層14の表面には、エッチングによって凹凸が形成されている。滴下した溶融ガラス滴50の下面52は、表面張力の働きによって、被覆層14の表面の凹凸の谷部に完全に入り込まずに隙間53が残る。この隙間53が凹部51に溜まったエアーの逃げ道になり、凹部51は消滅する。
図7(b)は、図7(a)と比較して、被覆層14の凹凸の周期は同じであるが、凹凸の高さが高い場合を示している。このように凹凸が高い場合は、十分な大きさの隙間53が形成され凹部51は容易に消滅するものの、溶融ガラス滴50の下面52にも大きな凹凸が形成され、得られるガラスゴブやガラス成形体の表面粗さが大きくなりすぎてしまう場合がある。逆に被覆層14の凹凸の高さが低すぎると、凹凸の谷のかなりの部分にまでガラスが入り込んでしまい、十分な大きさの隙間53が形成されずに、凹部51が完全に消滅せずに残ってしまう場合がある。そのため、被覆層14の表面は、算術平均粗さ(Ra)が0.01μm〜0.2μmとすることが好ましい。
また、凹凸の周期もエアー溜まりの発生に影響する。図7(c)は、図7(a)と比較して、被覆層14の表面の凹凸の高さは同じであるが、凹凸の周期が長い場合を示している。このように、凹凸の高さが同じであっても、周期が長くなると凹凸の谷の底の方までガラスが入り込んでしまうため、十分な大きさの隙間53が形成されず、凹部51が完全に消滅せずに残ってしまう場合がある。そのため、被覆層14の表面の粗さ曲線要素の平均長(RSm)は0.5μm以下であることが好ましい。
なお、被覆層14の表面の全面が、エッチングによって粗面化されている必要はなく、少なくとも溶融ガラス滴50と接触する領域が粗面化されていればよい。
(ガラスゴブの製造方法)
ラスゴブの製造方法について図8〜図10を参照しながら説明する。図8は、ガラスゴブの製造方法の1例を示すフローチャートである。また、図9、図10は本実施形態におけるガラスゴブの製造方法を説明するための模式図である。図9は下型に溶融ガラス滴を滴下させる工程(S22)における状態を、図10は、滴下した溶融ガラス滴を下型の上で冷却・固化する工程(S23)における状態を、それぞれ示している。
上述のように、下型10は、基材11の上に阻止層12及び表面層13からなる被覆層14が設けられており、被覆層14の表面はエッチングによって粗面化されている。
また、下型10は、図示しない加熱手段によって所定温度に加熱できるように構成されている。加熱手段は、公知の加熱手段を適宜選択して用いることができる。例えば、被加熱部材の内部に埋め込んで使用するカートリッジヒーターや、被加熱部材の外側に接触させて使用するシート状のヒーター、赤外線加熱装置、高周波誘導加熱装置等を用いることができる。
以下、図8に示すフローチャートに従い、順を追って各工程について説明する。
先ず、下型10を予め所定温度に加熱しておく(工程S21)。下型10の温度が低すぎると、ガラスゴブの下面(下型10との接触面)に大きなしわが発生したり、急速に冷却されることによってワレやカンが発生する場合がある。逆に、必要以上に温度を高くしすぎると、ガラスと下型10との間に融着が発生したり、成形金型の寿命が短くなるおそれがあるばかりか、ガラスと下型10が密着することでガラスゴブにエアー溜まりが残ってしまう場合もある。実際には、ガラスの種類や、形状、大きさ、成形金型の材質、大きさ、ヒーターや温度センサーの位置等種々の条件によって適正な温度が異なるため、実験的に適正な温度を求めておくことが好ましい。通常は、ガラスのTg(ガラス転移温度)−100℃からTg+100℃程度の温度に設定することが好ましい。
次に、下型10に溶融ガラス滴50を滴下させる(工程S22)。下型10の上方に設けられた溶融槽62は図示しないヒーターによって加熱され、内部に溶融状態のガラス61が貯留されている。溶融槽62の下部にはノズル63が設けられており、溶融状態のガラス61が自重によってノズル63の内部に設けられた流路を通過し、表面張力によって先端部に溜まる。ノズル63の先端部に一定質量の溶融ガラスが溜まると、ノズル63の先端部から自然に分離し、一定質量の溶融ガラス滴50が下方に滴下される(図9参照)。
一般的には、滴下する溶融ガラス滴50の質量はノズル63の先端部の外径によって調整可能であり、ガラスの種類等によるが、0.1gから2g程度の溶融ガラス滴を滴下させることができる。また、ノズル63の内径、長さ、加熱温度などによってガラス滴の滴下間隔を調整することができる。従って、これらの条件を適切に設定することで、所望の質量の溶融ガラス滴を所望の間隔で滴下させることが可能である。
使用できるガラスの種類に特に制限はなく、公知のガラスを用途に応じて選択して用いることができる。例えば、ホウケイ酸塩ガラス、ケイ酸塩ガラス、リン酸ガラス、ランタン系ガラス等の光学ガラスが挙げられる。
更に、溶融ガラス滴をノズルから下型に直接滴下させるのではなく、ノズルから滴下させた溶融ガラス滴を、貫通細孔を設けた部材に衝突させ、衝突した溶融ガラス滴の一部を微小滴として貫通細孔を通過させて下型に滴下させてもよい。それにより、更に微小なガラスゴブの製造が可能となる。この方法は、特開2002−154834号公報に詳細に記載されている。
次に、滴下した溶融ガラス滴50を、下型10の上で冷却・固化する(工程S23)(図10参照)。下型10の上で所定時間放置することによって、溶融ガラス滴50は下型10や周囲のエアーへの放熱によって冷却され、固化する。下型10の被覆層14の表面は、所定の粗面化処理が施されているため、固化したガラスゴブ54にエアー溜まりは発生しない。
その後、固化したガラスゴブ54を回収し(工程S24)、ガラスゴブ製造が完成する。ガラスゴブ54の回収は、例えば、真空吸着を利用した公知の回収装置等を用いて行うことができる。更に引き続いてガラスゴブの製造を行う場合は、工程S22以降の工程を繰り返せばよい。
なお、本実施形態の製造方法により製造されたガラスゴブは、リヒートプレス法による各種精密光学素子の製造に用いることができる。
(ガラス成形体の製造方法)
ラス成形体の製造方法について図11〜図13を参照しながら説明する。図11は、ガラス成形体の製造方法の1例を示すフローチャートである。また、図12、図13は本実施形態におけるガラス成形体の製造方法を説明するための模式図である。図12は下型に溶融ガラス滴を滴下する工程(S33)における状態を、図13は、滴下した溶融ガラス滴を下型と上型とで加圧する工程(S35)における状態を、それぞれ示している。
下型10は、図9〜図10で説明した物と同じである。上型60は、下型10の基材11と同様の材質からなり、溶融ガラス滴50を加圧するための成形面64を有している。但し、下型10とは異なり、成形面64に被覆層を設けて粗面化処理を行う必要はない。
下型10は、図示しない駆動手段により、ノズル63の下方で溶融ガラス滴50を受けるための位置(滴下位置P1)と、上型60と対向して溶融ガラス滴50を加圧するための位置(加圧位置P2)との間で移動可能に構成されている。また上型60は、図示しない駆動手段により、下型10との間で溶融ガラス滴を加圧する方向(図の上下方向)に移動可能に構成されている。
以下、図11に示すフローチャートに従い、順を追って各工程について説明する。
先ず、下型10及び上型60を予め所定温度に加熱しておく(工程S31)。下型10及び上型60は、図示しない加熱手段によって所定温度に加熱できるように構成されている。下型10と上型60とをそれぞれ独立して温度制御することができる構成とすることが好ましい。所定温度とは、上述のガラスゴブの製造方法における工程S21の場合と同様であり、加圧成形によってガラス成形体に良好な転写面を形成できる温度を適宜選択すればよい。下型10と上型60の加熱温度は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
次に、下型10を滴下位置P1に移動し(工程S32)、ノズル63から溶融ガラス滴50を滴下させる(工程S33)(図12参照)。溶融ガラス滴50を滴下させる際の条件等については、上述のガラスゴブの製造方法における工程S22の場合と同様である。
次に、下型10を加圧位置P2に移動し(工程S34)、上型60を下方に移動して、下型10と上型60とで溶融ガラス滴50を加圧する(工程S35)(図13参照)。
溶融ガラス滴50は、加圧されている間に下型10や上型60との接触面からの放熱によって冷却し、固化する。加圧を解除してもガラス成形体に形成された転写面の形状が崩れない温度にまで冷却された後、加圧を解除する。ガラスの種類や、ガラス成形体の大きさや形状、必要な精度等によるが、通常はガラスのTg近傍の温度まで冷却されていればよい。
溶融ガラス滴50を加圧するために負荷する荷重は、常に一定であってもよいし、時間的に変化させてもよい。負荷する荷重の大きさは、製造するガラス成形体のサイズ等に応じて適宜設定すればよい。また、上型60を上下移動させる駆動手段に特に制限はなく、エアシリンダ、油圧シリンダ、サーボモータを用いた電動シリンダ等の公知の駆動手段を適宜選択して用いることができる。
その後、上型60を上方に移動して退避させ、固化したガラス成形体55を回収し(工程S36)、ガラス成形体の製造が完成する。下型10の被覆層14の表面は、所定の粗面化処理が施されているため、得られたガラス成形体にエアー溜まりは発生しない。その後、引き続いてガラス成形体の製造を行う場合は、下型10を再度滴下位置P1に移動し(工程S32)、以降の工程を繰り返せばよい。
なお、上述のガラス成形体の製造方法は、ここで説明した以外の別の工程を含んでいてもよい。例えば、ガラス成形体を回収する前にガラス成形体の形状を検査する工程や、ガラス成形体を回収した後に下型10や上型60をクリーニングする工程等を設けてもよい。
上述の製造方法により製造されたガラス成形体は、デジタルカメラ等の撮像レンズ、DVD等の光ピックアップレンズ、光通信用のカップリングレンズ等の各種光学素子として用いることができる。また、ガラス成形体を再度加熱してリヒートプレス法により加圧成形することにより各種光学素子を製造することもできる。
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(下型:実施例1)
図1に示すフローチャートに従って下型の製造を行った。基材11の材質は炭化珪素(SiC)、阻止層12及び表面層13の材質はクロム(Cr)とした。阻止層12及び表面層13の成膜はスパッタ法により行った。スパッタ装置は、図4に示した平行平板型のスパッタ装置を使用した。ターゲット33は直径152mm(6インチ)のクロムターゲットを用い、ターゲット33と成膜面の間の距離(D)は65mmとした。
基材ホルダー36に基材11をセットし、ヒーター37によって基材を350℃に加熱しながら、真空チャンバー31を10-3Pa台の高真空まで排気した。その後、スパッタガスとしてアルゴンガスを0.33Paまで導入し、500Wの高周波電力を印加して、0.35μmのクロム膜(阻止層12)を成膜した。高周波電力を印加したままアルゴンガスの圧力を0.33Paから0.99Paまで約1分間かけて徐々に変化させた後、更に0.35μmのクロム膜(表面層13)を成膜した。
次に、被覆層14の表面をエッチング液に浸漬して粗面化処理を行った。エッチング液には硝酸第二セリウムアンモンを含んだ市販のクロムエッチング液(ナカライテスク株式会社製 ECR−2)を用いた。エッチング後の被覆層14の表面の算術平均粗さ(Ra)は0.01μm、粗さ曲線要素の平均長(RSm)は0.03μmであった。なお、算術平均粗さ(Ra)と粗さ曲線要素の平均長(RSm)はAFM(デジタルインスツルメント社製D3100)により測定した。
また、上記阻止層12の成膜条件で作製したクロム膜と、上記表面層13の成膜条件で作製したクロム膜のエッチングレートの測定を行った。上記阻止層12の成膜条件で作製したクロム膜のエッチングレートは1nm/min、上記表面層13の成膜条件で作製したクロム膜のエッチングレートは7.5nm/minであった。
(下型:比較例1)
実施例1と同じ基材を用い、同様の条件でクロム膜の成膜を行った。但し、クロム膜の成膜の途中で成膜条件の変更は行わず、アルゴンガスの圧力は0.33Paで固定したまま、500Wの高周波電力を印加して、0.7μmのクロム膜を成膜した。
その後、実施例1と同じ条件でエッチングを行った。しかし、クロム膜のエッチングレートが小さいため、十分な高さの凹凸を形成することはできず、算術平均粗さ(Ra)は0.002μm、粗さ曲線要素の平均長(RSm)は1μmであった。
(下型:比較例2)
実施例1と同じ基材を用い、比較例1と同様に0.7μmのクロム膜を成膜した。但し、アルゴンガスの圧力は0.99Paで固定とした。その後、実施例1と同じ条件でエッチングを行った。算術平均粗さ(Ra)は0.01μm、粗さ曲線要素の平均長(RSm)は0.03μmであった。
(下型:実施例2)
実施例1と同様、図1に示すフローチャートに従って下型の製造を行った。基材11の材質はタングステンカーバイド(WC)、阻止層12及び表面層13の材質はクロム(Cr)とした。また、基材11と阻止層12の間に下地層として窒化チタン(TiN)膜を成膜し、被覆層14の密着性を向上させた。スパッタ装置は、スパッタ電極32及びターゲット33をそれぞれ2つずつ備え、2元同時スパッタが可能な装置を使用した。一方のターゲット33には直径152mm(6インチ)の窒化チタンターゲット、他方のターゲット33には直径152mm(6インチ)のクロムターゲットを用いた。ターゲット33と成膜面の間の距離(D)は100mmとした。
基材ホルダー36に基材11をセットし、ヒーター37によって基材を300℃に加熱しながら、真空チャンバー31を10-3Pa台の高真空まで排気した。その後、スパッタガスとしてArガスを0.33Paまで導入し、窒化チタンターゲットに500Wの高周波電力を印加して、0.2μmの窒化チタン膜(下地層)を成膜した。その後、クロムターゲットに切り替えて500Wの高周波電力を印加して、0.2μmのクロム膜(阻止層12)を成膜した。高周波電力を印加したままスパッタガスの圧力を0.33Paから2.4Paまで約1分間かけて徐々に変化させた後、更に0.5μmのクロム膜(表面層13)を成膜した。
次に、被覆層14の表面をエッチング液に浸漬して粗面化処理を行った。エッチング液にはフェリシアン化カリウム及び水酸化カリウムを含むアルカリ性溶液を用いた。エッチング後の被覆層14の表面の算術平均粗さ(Ra)は0.2μm、粗さ曲線要素の平均長(RSm)は0.5μmであった。
また、上記阻止層12の成膜条件で作製したクロム膜と、上記表面層13の成膜条件で作製したクロム膜のエッチングレートの測定を行った。上記阻止層12の成膜条件で作製したクロム膜のエッチングレートは24nm/min、上記表面層13の成膜条件で作製したクロム膜のエッチングレートは80nm/minであった。
(下型:実施例3)
実施例1、2と同様、図1に示すフローチャートに従って下型の製造を行った。基材11の材質はタングステンカーバイド(WC)、阻止層12及び表面層13の材質はクロム(Cr)とした。また、基材11と阻止層12の間に下地層としてチタン(Ti)膜を成膜し、被覆層14の密着性を向上させた。スパッタ装置は、パッタ電極32及びターゲット33をそれぞれ2つずつ備え、2元同時スパッタが可能な装置を使用した。一方のターゲット33には直径152mm(6インチ)のチタンターゲット、他方のターゲット33には直径152mm(6インチ)のクロムターゲットを用いた。ターゲット33と成膜面の間の距離(D)は165mmとした。
基材ホルダー36に基材11をセットし、ヒーター37によって基材を350℃に加熱しながら、真空チャンバー31を10-3Pa台の高真空まで排気した。その後、スパッタガスとしてArガスを0.06Paまで導入し、チタンターゲットに800Wの高周波電力を印加して、0.2μmのチタン膜(下地層)を成膜した。チタン膜の成膜終了直前に、クロムターゲットに2.15kWの直流電力を印加して放電を開始し、シャッター34を開けてチタンとクロムの同時スパッタを10秒間行った。その後、チタンターゲット側のシャッター34を閉じて、0.25μmのクロム膜(阻止層12)を成膜した。阻止層12の成膜後、約1分間かけてスパッタガスの圧力を0.06Paから0.5Paまで、直流電力を2.15kWから1.5kWまで、それぞれ徐々に変化させ、その後、更に0.5μmのクロム膜(表面層13)を成膜した。
次に、被覆層14の表面をエッチング液に浸漬して粗面化処理を行った。エッチング液にはフェリシアン化カリウム及び水酸化カリウムを含むアルカリ性溶液を用いた。エッチング後の被覆層14の表面の算術平均粗さ(Ra)は0.1μm、粗さ曲線要素の平均長(RSm)は0.25μmであった。
また、上記阻止層12の成膜条件で作製したクロム膜と、上記表面層13の成膜条件で作製したクロム膜のエッチングレートの測定を行った。上記阻止層12の成膜条件で作製したクロム膜のエッチングレートは15nm/min、上記表面層13の成膜条件で作製したクロム膜のエッチングレートは40nm/minであった。
(下型:実施例4)
実施例1と同様、図1に示すフローチャートに従って下型の製造を行った。基材11の材質はタングステンカーバイド(WC)、阻止層12及び表面層13の材質はクロム(Cr)とした。また、基材11と阻止層12の間に下地層として窒化チタン(TiN)膜を成膜し、被覆層14の密着性を向上させた。スパッタ装置は、スパッタ電極32及びターゲット33をそれぞれ2つずつ備え、2元同時スパッタが可能な装置を使用した。一方のターゲット33には直径152mm(6インチ)の窒化チタンターゲット、他方のターゲット33には直径152mm(6インチ)のクロムターゲットを用いた。ターゲット33と成膜面の間の距離(D)は100mmとした。
基材ホルダー36に基材11をセットし、ヒーター37によって基材を300℃に加熱しながら、真空チャンバー31を10-3Pa台の高真空まで排気した。その後、スパッタガスとしてArガスを0.33Paまで導入し、窒化チタンターゲットに500Wの高周波電力を印加して、0.2μmの窒化チタン膜(下地層)を成膜した。その後、クロムターゲットに切り替えて500Wの高周波電力を印加して、0.2μmのクロム膜(阻止層12)を成膜した。高周波電力を印加したままスパッタガスの圧力を0.33Paから0.5Paまで約1分間かけて徐々に変化させた後、更に0.5μmのクロム膜(表面層13)を成膜した。
次に、被覆層14の表面をエッチング液に浸漬して粗面化処理を行った。エッチング液にはフェリシアン化カリウム及び水酸化カリウムを含むアルカリ性溶液を用いた。エッチング後の被覆層14の表面の算術平均粗さ(Ra)は0.1μm、粗さ曲線要素の平均長(RSm)は0.2μmであった。
また、上記阻止層12の成膜条件で作製したクロム膜と、上記表面層13の成膜条件で作製したクロム膜のエッチングレートの測定を行った。上記阻止層12の成膜条件で作製したクロム膜のエッチングレートは24nm/min、上記表面層13の成膜条件で作製したクロム膜のエッチングレートは32nm/minであった。
(下型:実施例5)
実施例1と同様、図1に示すフローチャートに従って下型の製造を行った。基材11の材質はタングステンカーバイド(WC)、阻止層12及び表面層13の材質はクロム(Cr)とした。また、基材11と阻止層12の間に下地層として窒化チタン(TiN)膜を成膜し、被覆層14の密着性を向上させた。スパッタ装置は、スパッタ電極32及びターゲット33をそれぞれ2つずつ備え、2元同時スパッタが可能な装置を使用した。一方のターゲット33には直径152mm(6インチ)の窒化チタンターゲット、他方のターゲット33には直径152mm(6インチ)のクロムターゲットを用いた。ターゲット33と成膜面の間の距離(D)は100mmとした。
基材ホルダー36に基材11をセットし、ヒーター37によって基材を300℃に加熱しながら、真空チャンバー31を10-3Pa台の高真空まで排気した。その後、スパッタガスとしてArガスを0.05Paまで導入し、窒化チタンターゲットに500Wの高周波電力を印加して、0.2μmの窒化チタン膜(下地層)を成膜した。その後、クロムターゲットに切り替えて500Wの高周波電力を印加して、0.2μmのクロム膜(阻止層12)を成膜した。高周波電力を印加したままスパッタガスの圧力を0.05Paから3Paまで約1分間かけて徐々に変化させた後、更に0.5μmのクロム膜(表面層13)を成膜した。
次に、被覆層14の表面をエッチング液に浸漬して粗面化処理を行った。エッチング液にはフェリシアン化カリウム及び水酸化カリウムを含むアルカリ性溶液を用いた。エッチング後の被覆層14の表面の算術平均粗さ(Ra)は0.2μm、粗さ曲線要素の平均長(RSm)は0.5μmであった。
また、上記阻止層12の成膜条件で作製したクロム膜と、上記表面層13の成膜条件で作製したクロム膜のエッチングレートの測定を行った。上記阻止層12の成膜条件で作製したクロム膜のエッチングレートは10nm/min、上記表面層13の成膜条件で作製したクロム膜のエッチングレートは120nm/minであった。
(下型:比較例3)
実施例2〜5と同じ基材(WC)を用い、下型の製造を行った。但し、下地層、阻止層、表面層の成膜は行わず、基材面を直接エッチングした。しかし、エッチングレートを適切に制御できず、粗面の算術平均粗さ(Ra)は0.4μm、粗さ曲線要素の平均長(RSm)は0.6μmであった。
(下型:比較例4)
比較例3と同じ基材を用い、クロム膜の成膜を行った。スパッタ装置のターゲット33には直径152mm(6インチ)のクロムターゲットを用いた。ターゲット33と成膜面の間の距離(D)は65mmとした。
基材ホルダー36に基材11をセットし、ヒーター37によって基材を350℃に加熱しながら、真空チャンバー31を10-3Pa台の高真空まで排気した。その後、スパッタガスとしてArガスを0.5Paまで導入し、クロムターゲットに500Wの高周波電力を印加して、0.5μmのクロム膜(阻止層12)を成膜した。高周波電力を印加したままスパッタガスの圧力を0.5Paから0.33Paまで約1分間かけて徐々に変化させた後、更に0.7μmのクロム膜(表面層13)を成膜した。
次に、被覆層14の表面をエッチング液に浸漬して粗面化処理を行った。エッチング液にはフェリシアン化カリウム及び水酸化カリウムを含むアルカリ性溶液を用いた。エッチング処理を終了して所望の凹凸を得るまでに、阻止層より膜剥がれが発生し、被覆層14の表面の算術平均粗さ(Ra)、粗さ曲線要素の平均長(RSm)は測定できなかった。
また、上記阻止層12の成膜条件で作製したクロム膜と、上記表面層13の成膜条件で作製したクロム膜のエッチングレートの測定を行った。上記阻止層12の成膜条件で作製したクロム膜のエッチングレートは32nm/min、上記表面層13の成膜条件で作製したクロム膜のエッチングレートは24nm/minであった。
実施例1〜5の作製条件と測定結果をまとめて表1に、比較例1〜4の作製条件と測定結果をまとめて表2に示す。
(ガラス成形体の製造)
上記実施例1〜5及び比較例1〜3の合計8種類の条件で作製した下型10を用いて、図11に示すフローチャートに従ってガラス成形体の製造を行った。ガラス材料はTgが480℃のリン酸系ガラスを用いた。工程S31における加熱温度は、下型10が500℃、上型60が450℃とした。ノズル63の先端付近の温度は1000℃とし、約190mgの溶融ガラス滴50が滴下するように設定した。加圧の際の荷重は1800Nとした。
それぞれの下型で製造したガラス成形体について、エアー溜まりの有無を顕微鏡観察により評価した。評価は、1000ショット目と5000ショット目及び10000ショット目に製造したサンプルにより行い、すべてのサンプルでエアー溜まりが観察されなかった場合を優秀(◎)、始めてエアー溜まりが観察されたショットが10000ショット目の場合を特に良好(○)、5000ショット目の場合を良好(△)、1000ショット目の場合を不可(×)とした。
また、それぞれの下型で製造したガラス成形体について、既述した下型被覆層の表面粗さ測定と同様に、表面の算術平均粗さ(Ra)を測定した。評価は、表面の算術平均粗さ(Ra)の測定値が0.01μm以下の場合を優秀(◎)、それを上回り0.05μm以下の場合を特に良好(○)、またそれを上回り0.2μm以下の場合を良好(△)、0.2μmを上回る場合を不可(×)とした。
エアー溜まりと成型品の算術平均粗さ(Ra)の評価結果を表1及び表2に併せて示す。
実施例1〜5の何れの場合も、ガラス成形体におけるエアー溜まりの発生も、また算術平均粗さ(Ra)も良好(△)以上であり、本発明の効果が発揮されていることが確認された。しかし、比較例1の下型は表面に十分な凹凸が形成できていないため、成型品の算術平均粗さ(Ra)は優秀(◎)であったものの、エアー溜まりについては不可(×)であった。比較例2の下型は逆に凹凸が大きすぎ、エアー溜まりについては良好(△)であったものの、成型品の算術平均粗さ(Ra)は不可(×)であった。
比較例3の下型は、被覆層を設けずに基材をエッチング処理したため、凹凸を適切に調整できず大きくなりすぎ、成型品の算術平均粗さ(Ra)が不可(×)になっている。また比較例4の下型は、表面層が阻止層よりもエッチングレートが大きくなっており、阻止層が阻止層として機能せず、処理中に被覆層の膜剥がれが生じて、不可である。
実施例4の下型は、表面層のエッチングレートが阻止層のエッチングレートの約1.3倍である。また実施例5の下型は、表面層のエッチングレートが阻止層のエッチングレートの約12倍である。何れにおいても、ガラス成形体におけるエアー溜まりの発生も、また算術平均粗さ(Ra)も良好(△)以上であり、本発明の効果が発揮されていることが確認された。しかし、何れの下型においても、表面層と阻止層のエッチングのバランスが取りにくくなり、エッチングの影響が基材に及ばない範囲で凹凸を最適な粗さに維持しにくく、実施例1〜3に比べるとエアー溜まりの評価が良好(△)に留まっている。

Claims (8)

  1. 上方より滴下した溶融ガラス滴を受けるための下型の製造方法において、
    基材の上に、阻止層及び該阻止層の上に形成される表面層を含む被覆層を成膜する成膜工程と、
    エッチングによって前記被覆層の表面を粗面化する粗面化工程と、を有し、
    前記表面層は、前記阻止層よりも前記粗面化工程の際のエッチングレートが大きいことを特徴とする下型の製造方法。
  2. 前記粗面化工程において、前記表面層のエッチングレートは前記阻止層のエッチングレートの1.5倍以上、10倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の下型の製造方法。
  3. 前記成膜工程は、スパッタ法によって前記被覆層を成膜する工程であって、
    前記表面層を成膜する際の成膜条件は、前記阻止層を成膜する際の成膜条件よりも、成膜面に到達するスパッタ粒子の有するエネルギーが小さくなる条件であることを特徴とする請求項1または2に記載の下型の製造方法。
  4. 前記表面層を成膜する際の成膜条件は、前記阻止層を成膜する際の成膜条件よりも、スパッタガスの圧力が高いことを特徴とする請求項3に記載の下型の製造方法。
  5. 前記阻止層と前記表面層とは、クロム、アルミニウム、及びチタンのうち少なくとも1つの元素を含むことを特徴とする請求項1から4のうちの何れか1項に記載の下型の製造方法。
  6. 前記阻止層と前記表面層とは、同じ構成元素からなることを特徴とする請求項1から5のうちの何れか1項に記載の下型の製造方法。
  7. 前記阻止層と前記表面層とは、成膜条件を連続的に変化させながら連続して成膜を行うことを特徴とする請求項6に記載の下型の製造方法。
  8. 前記粗面化工程は、前記被覆層の表面の算術平均粗さ(Ra)を0.01μm〜0.2μm、且つ、粗さ曲線要素の平均長(RSm)を0.5μm以下とする工程であることを特徴とする請求項1から7のうちの何れか1項に記載の下型の製造方法。
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