JP2003020233A - 光学素子成形用型及びその製造方法及び再生方法 - Google Patents
光学素子成形用型及びその製造方法及び再生方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】耐久性と離型性を両立させることができる光学
素子成形用型の製造方法を提供する。 【解決手段】光学素子を成形するための成形面が加工さ
れた型母材11の成形面に皮膜13を形成することによ
り、光学素子成形用型を製造するための、光学素子成形
用型の製造方法であって、成形面に、ビッカース硬度が
2000kg/mm2以上の硬質膜を形成する硬質膜形成
工程と、この硬質膜の上に、炭化物形成可能で、ビッカ
ース硬度が600から1000kg/mm2の軟質膜を1
0〜100nmの厚さで形成する軟質膜形成工程と、こ
の軟質膜の上に、最終表面層としての硬質炭素膜を形成
する硬質炭素膜形成工程とを具備する。
素子成形用型の製造方法を提供する。 【解決手段】光学素子を成形するための成形面が加工さ
れた型母材11の成形面に皮膜13を形成することによ
り、光学素子成形用型を製造するための、光学素子成形
用型の製造方法であって、成形面に、ビッカース硬度が
2000kg/mm2以上の硬質膜を形成する硬質膜形成
工程と、この硬質膜の上に、炭化物形成可能で、ビッカ
ース硬度が600から1000kg/mm2の軟質膜を1
0〜100nmの厚さで形成する軟質膜形成工程と、こ
の軟質膜の上に、最終表面層としての硬質炭素膜を形成
する硬質炭素膜形成工程とを具備する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、ガラス
素材のプレス成形により、レンズ、プリズムなどのガラ
スよりなる光学素子を製造する際に使用される光学素子
成形用型及びその製造方法及び再生方法に関するもので
ある。
素材のプレス成形により、レンズ、プリズムなどのガラ
スよりなる光学素子を製造する際に使用される光学素子
成形用型及びその製造方法及び再生方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】研磨工程を必要としないで、ガラス素材
のプレス成形によってレンズを製造する技術は、従来の
製造方法において必要とされた複雑な工程をなくし、簡
単かつ安価にレンズを製造することを可能とし、近年レ
ンズのみならず、プリズム、その他のガラスよりなる光
学素子の製造に使用されるようになってきた。
のプレス成形によってレンズを製造する技術は、従来の
製造方法において必要とされた複雑な工程をなくし、簡
単かつ安価にレンズを製造することを可能とし、近年レ
ンズのみならず、プリズム、その他のガラスよりなる光
学素子の製造に使用されるようになってきた。
【0003】このような、ガラスの光学素子のプレス成
形に使用される型材に要求される性質としては、硬度、
耐熱性、離型性、鏡面加工性などに優れていることが挙
げられる。従来、この種の型材として、金属、セラミッ
クス、および、それらをコーティングした材料など、数
多くの提案がなされている。
形に使用される型材に要求される性質としては、硬度、
耐熱性、離型性、鏡面加工性などに優れていることが挙
げられる。従来、この種の型材として、金属、セラミッ
クス、および、それらをコーティングした材料など、数
多くの提案がなされている。
【0004】幾つかの例を挙げるならば、特開昭49−
51112号公報には、13Crマルテンサイト鋼が、
特開昭52−45613号公報には、SiC及びSi3
N4が、特開昭60−246230号公報には、超硬合
金に貴金属をコーティングした材料が、また、特開昭6
1−183134号公報、特開昭61−281030号
公報、特開平1−301864号公報には、それぞれ、
ダイヤモンド薄膜もしくはダイヤモンド状炭素膜が、特
開昭64−83529号公報には、硬質炭素膜をコーテ
ィングした材料が提案されている。
51112号公報には、13Crマルテンサイト鋼が、
特開昭52−45613号公報には、SiC及びSi3
N4が、特開昭60−246230号公報には、超硬合
金に貴金属をコーティングした材料が、また、特開昭6
1−183134号公報、特開昭61−281030号
公報、特開平1−301864号公報には、それぞれ、
ダイヤモンド薄膜もしくはダイヤモンド状炭素膜が、特
開昭64−83529号公報には、硬質炭素膜をコーテ
ィングした材料が提案されている。
【0005】また、特公平2−31012号公報には、
レンズまたは型のどちらか一方に5〜500nmの炭素
膜を形成することが提案されている。更に、本願出願人
が既に出願している特開平6−72728号公報によれ
ば、高イオンエネルギーの炭素イオンビームを用いて、
炭素と型母材もしくは母材表面に形成した中間層を構成
する、少なくとも一種類以上の元素よりなるミキシング
層を形成することにより、膜の剥離およびクラックの発
生を生じない型を製造する方法が記載されている。
レンズまたは型のどちらか一方に5〜500nmの炭素
膜を形成することが提案されている。更に、本願出願人
が既に出願している特開平6−72728号公報によれ
ば、高イオンエネルギーの炭素イオンビームを用いて、
炭素と型母材もしくは母材表面に形成した中間層を構成
する、少なくとも一種類以上の元素よりなるミキシング
層を形成することにより、膜の剥離およびクラックの発
生を生じない型を製造する方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、13C
rマルテンサイト鋼は酸化し易く、更に、高温でFeが
ガラス中に拡散して、ガラスが着色される欠点を持つ。
SiC及びSi3N4は、一般的に酸化されにくいとされ
ているが、高温では酸化が起こり、表面にSiO 2 が形
成され、ガラスの融着を生じる。貴金属をコーティング
した材料は、融着を起こしにくいが、極めて柔らかいた
めに、傷がつき易く、変形し易いという欠点をもってい
る。
rマルテンサイト鋼は酸化し易く、更に、高温でFeが
ガラス中に拡散して、ガラスが着色される欠点を持つ。
SiC及びSi3N4は、一般的に酸化されにくいとされ
ているが、高温では酸化が起こり、表面にSiO 2 が形
成され、ガラスの融着を生じる。貴金属をコーティング
した材料は、融着を起こしにくいが、極めて柔らかいた
めに、傷がつき易く、変形し易いという欠点をもってい
る。
【0007】また、一般的にダイヤモンド状炭素膜、a
−C:H膜、硬質炭素膜を用いた型は、型とガラスとの
離型性が良く、ガラスとの融着を起こしにくいが、型と
膜の密着性が一般に低く、成形操作を、数百回以上繰り
返して行うと、前記膜が部分的に剥離し、成形品におい
て、十分な成形性能が得られないことがあるなど、耐久
性に問題があった。また、ダイヤモンド薄膜は、高硬度
で、熱的安定性にも優れているが、ダイヤモンド状炭素
膜、a−C:H膜、硬質炭素膜など、非晶質の炭素膜に
比べると、型とガラスとの離型性が悪く、更なる離型性
の向上が望まれていた。
−C:H膜、硬質炭素膜を用いた型は、型とガラスとの
離型性が良く、ガラスとの融着を起こしにくいが、型と
膜の密着性が一般に低く、成形操作を、数百回以上繰り
返して行うと、前記膜が部分的に剥離し、成形品におい
て、十分な成形性能が得られないことがあるなど、耐久
性に問題があった。また、ダイヤモンド薄膜は、高硬度
で、熱的安定性にも優れているが、ダイヤモンド状炭素
膜、a−C:H膜、硬質炭素膜など、非晶質の炭素膜に
比べると、型とガラスとの離型性が悪く、更なる離型性
の向上が望まれていた。
【0008】また、特開平1−301864号公報にお
いて、炭素源ガス濃度を3%以上として、ダイヤモンド
結晶、グラファイト結晶、アモルファス状カーボンより
なる膜を形成し、最大面粗さ20nm以下とすることが
提案されているが、膜中のグラファイト結晶の存在は、
硬度と耐酸化性の劣化を生じ、型の耐久性を劣化させる
原因となる。
いて、炭素源ガス濃度を3%以上として、ダイヤモンド
結晶、グラファイト結晶、アモルファス状カーボンより
なる膜を形成し、最大面粗さ20nm以下とすることが
提案されているが、膜中のグラファイト結晶の存在は、
硬度と耐酸化性の劣化を生じ、型の耐久性を劣化させる
原因となる。
【0009】また、特公平2−31012号公報の実施
例で用いられている形成方法(真空蒸着法)で得られる
炭素膜は、一般的には、膜と基板との密着力が弱く、成
形中に膜が剥離するなどの耐久性に問題がある場合があ
る。
例で用いられている形成方法(真空蒸着法)で得られる
炭素膜は、一般的には、膜と基板との密着力が弱く、成
形中に膜が剥離するなどの耐久性に問題がある場合があ
る。
【0010】また、特開平6−72728号公報に記載
の方法は、他の光学素子成形用型の製造方法に比べて好
適な方法であるが、高いイオンエネルギーの炭素イオン
を用いるため、型材表面の荒れが生じる場合がある。こ
れは、一般的用途の光学素子の場合大きな問題とならな
いが、高性能レンズの場合や、これらの光学素子を多数
枚用いる場合に、レンズの透過率が低下したり、ハロー
などが生じる場合がある。
の方法は、他の光学素子成形用型の製造方法に比べて好
適な方法であるが、高いイオンエネルギーの炭素イオン
を用いるため、型材表面の荒れが生じる場合がある。こ
れは、一般的用途の光学素子の場合大きな問題とならな
いが、高性能レンズの場合や、これらの光学素子を多数
枚用いる場合に、レンズの透過率が低下したり、ハロー
などが生じる場合がある。
【0011】したがって、本発明は上述した課題に鑑み
てなされたものであり、その目的は、耐久性と離型性を
両立させることができる光学素子成形用型及びその製造
方法及び再生方法を提供することである。
てなされたものであり、その目的は、耐久性と離型性を
両立させることができる光学素子成形用型及びその製造
方法及び再生方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決し、
目的を達成するために、本発明に係わる光学素子成形用
型の製造方法は、光学素子を成形するための成形面が加
工された型母材の前記成形面に皮膜を形成することによ
り、光学素子成形用型を製造するための、光学素子成形
用型の製造方法であって、前記成形面に、ビッカース硬
度が2000kg/mm2以上の硬質膜を形成する硬質膜
形成工程と、前記硬質膜の上に、炭化物形成可能で、ビ
ッカース硬度が600から1000kg/mm2の軟質膜
を10〜100nmの厚さで形成する軟質膜形成工程
と、前記軟質膜の上に、最終表面層としての硬質炭素膜
を形成する硬質炭素膜形成工程とを具備することを特徴
としている。
目的を達成するために、本発明に係わる光学素子成形用
型の製造方法は、光学素子を成形するための成形面が加
工された型母材の前記成形面に皮膜を形成することによ
り、光学素子成形用型を製造するための、光学素子成形
用型の製造方法であって、前記成形面に、ビッカース硬
度が2000kg/mm2以上の硬質膜を形成する硬質膜
形成工程と、前記硬質膜の上に、炭化物形成可能で、ビ
ッカース硬度が600から1000kg/mm2の軟質膜
を10〜100nmの厚さで形成する軟質膜形成工程
と、前記軟質膜の上に、最終表面層としての硬質炭素膜
を形成する硬質炭素膜形成工程とを具備することを特徴
としている。
【0013】また、この発明に係わる光学素子成形用型
の製造方法において、前記硬質炭素膜形成工程では、
0.5〜4.5kVのイオンエネルギーを有する炭素含有
イオンを前記軟質膜に照射して、平均表面粗さRaが2
nm以下の硬質炭素膜を形成することを特徴としてい
る。
の製造方法において、前記硬質炭素膜形成工程では、
0.5〜4.5kVのイオンエネルギーを有する炭素含有
イオンを前記軟質膜に照射して、平均表面粗さRaが2
nm以下の硬質炭素膜を形成することを特徴としてい
る。
【0014】また、この発明に係わる光学素子成形用型
の製造方法において、前記軟質膜が、シリコン膜である
ことを特徴としている。
の製造方法において、前記軟質膜が、シリコン膜である
ことを特徴としている。
【0015】また、本発明に係わる光学素子成形用型の
再生方法は、上記の方法で製造した型を用いて光学素子
を成形した後に、前記型を再生するための光学素子成形
用型の再生方法であって、少なくとも研磨剤を用いた研
磨工程で、前記硬質炭素膜及び軟質膜を除去する除去工
程と、前記硬質炭素膜及び軟質膜が除去された前記硬質
膜の上に、炭化物形成可能で、ビッカース硬度が600
から1000kg/mm2の軟質膜を10〜100nmの
厚さで再度形成する軟質膜再形成工程と、前記軟質膜の
上に、最終表面層としての硬質炭素膜を再度形成する硬
質炭素膜再形成工程とを具備することを特徴としてい
る。
再生方法は、上記の方法で製造した型を用いて光学素子
を成形した後に、前記型を再生するための光学素子成形
用型の再生方法であって、少なくとも研磨剤を用いた研
磨工程で、前記硬質炭素膜及び軟質膜を除去する除去工
程と、前記硬質炭素膜及び軟質膜が除去された前記硬質
膜の上に、炭化物形成可能で、ビッカース硬度が600
から1000kg/mm2の軟質膜を10〜100nmの
厚さで再度形成する軟質膜再形成工程と、前記軟質膜の
上に、最終表面層としての硬質炭素膜を再度形成する硬
質炭素膜再形成工程とを具備することを特徴としてい
る。
【0016】また、本発明に係わる光学素子成形用型
は、上記の製造方法によって製造されたことを特徴とし
ている。
は、上記の製造方法によって製造されたことを特徴とし
ている。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な一実施形態
について説明する。
について説明する。
【0018】まず、一実施形態の概要について説明す
る。
る。
【0019】本実施形態では、型母材の表面に、ビッカ
ース硬度で2000kg/mm2以上の硬質膜を形成した
後、炭化物形成可能で、ビッカース硬度が600から1
000kg/mm2の軟質膜を10〜100nm形成し、
その後、最終表面層として硬質炭素膜を形成して光学素
子成形用型材の製造を行う。
ース硬度で2000kg/mm2以上の硬質膜を形成した
後、炭化物形成可能で、ビッカース硬度が600から1
000kg/mm2の軟質膜を10〜100nm形成し、
その後、最終表面層として硬質炭素膜を形成して光学素
子成形用型材の製造を行う。
【0020】更に、上記の光学素子成形用型材の製造方
法で製造した型材を用いて、光学素子を製造した後、少
なくとも研磨剤を用いた研磨工程で硬質炭素膜及び軟質
膜を除去する工程と、再度、炭化物形成可能で、ビッカ
ース硬度で600から1000kg/mm2の軟質膜を1
0〜100nm形成し、その後、最終表面層として硬質
炭素膜を形成する工程とを行い、光学素子成形用型材の
再生を行う。
法で製造した型材を用いて、光学素子を製造した後、少
なくとも研磨剤を用いた研磨工程で硬質炭素膜及び軟質
膜を除去する工程と、再度、炭化物形成可能で、ビッカ
ース硬度で600から1000kg/mm2の軟質膜を1
0〜100nm形成し、その後、最終表面層として硬質
炭素膜を形成する工程とを行い、光学素子成形用型材の
再生を行う。
【0021】また、本実施形態は、光学素子成形用型材
の製造方法において、型母材の表面に、ビッカース硬度
で2000kg/mm2以上で、かつ平均表面粗さ(R
a)が2nm以下の硬質膜を形成した後、炭化物形成可
能でビッカース硬度で600から1000kg/mm2以
下の軟質膜を10〜100nm形成し、その後、最終表
面層として0.5〜4.5kVのイオンエネルギーを有す
る炭素含有イオンを基体に照射して、平均表面粗さ(R
a)が2nm以下の硬質炭素膜を形成して光学素子成形
用型材の製造を行う。
の製造方法において、型母材の表面に、ビッカース硬度
で2000kg/mm2以上で、かつ平均表面粗さ(R
a)が2nm以下の硬質膜を形成した後、炭化物形成可
能でビッカース硬度で600から1000kg/mm2以
下の軟質膜を10〜100nm形成し、その後、最終表
面層として0.5〜4.5kVのイオンエネルギーを有す
る炭素含有イオンを基体に照射して、平均表面粗さ(R
a)が2nm以下の硬質炭素膜を形成して光学素子成形
用型材の製造を行う。
【0022】また、更に本実施形態は上記の軟質膜が、
シリコン膜である光学素子成形用型材の製造方法であ
る。
シリコン膜である光学素子成形用型材の製造方法であ
る。
【0023】以上のように構成される本実施形態の作用
について説明する。
について説明する。
【0024】本願発明者は、従来の光学素子成形用型の
問題点に鑑み、離型層として形成される硬質炭素膜を型
材に密着力良く形成し、更に表面粗さを改善し、平滑性
良く形成する膜構成について、詳細な実験を続けた結
果、中間層及び成膜条件の関与を明らかにすることがで
きた。
問題点に鑑み、離型層として形成される硬質炭素膜を型
材に密着力良く形成し、更に表面粗さを改善し、平滑性
良く形成する膜構成について、詳細な実験を続けた結
果、中間層及び成膜条件の関与を明らかにすることがで
きた。
【0025】つまり、型母材の表面に、ビッカース硬度
で2000kg/mm2以上の硬質膜を形成した後、炭化
物形成可能で、ビッカース硬度が600から1000k
g/mm2の軟質膜を10〜100nm形成し、その後、
最終表面層として硬質炭素膜を形成して光学素子成形用
型材の製造を行うことにより、型母材に密着性良く硬質
炭素膜を形成することが可能となった。
で2000kg/mm2以上の硬質膜を形成した後、炭化
物形成可能で、ビッカース硬度が600から1000k
g/mm2の軟質膜を10〜100nm形成し、その後、
最終表面層として硬質炭素膜を形成して光学素子成形用
型材の製造を行うことにより、型母材に密着性良く硬質
炭素膜を形成することが可能となった。
【0026】更に、上記の光学素子成形用型材の製造方
法で製造した型材を用いることにより、硬質炭素膜及び
軟質膜を研磨工程で簡単に除去することができるため、
再度、軟質膜及び硬質炭素膜を形成する工程とを行い、
光学素子成形用型材の再生を行うことが可能となった。
法で製造した型材を用いることにより、硬質炭素膜及び
軟質膜を研磨工程で簡単に除去することができるため、
再度、軟質膜及び硬質炭素膜を形成する工程とを行い、
光学素子成形用型材の再生を行うことが可能となった。
【0027】また、光学素子成形用型材の製造方法にお
いて、型母材の表面に、ビッカース硬度で2000kg
/mm2以上で、かつ平均表面粗さ(Ra)が2nm以下
の硬質膜を形成した後、炭化物形成可能でビッカース硬
度で600から1000kg/mm2以下の軟質膜を10
〜100nm形成し、その後、最終表面層として0.5
〜4.5kVのイオンエネルギーを有する炭素含有イオ
ンを基体に照射して、平均表面粗さ(Ra)が2nm以
下の非常に平滑性の良好な硬質炭素膜を形成することが
可能となった。
いて、型母材の表面に、ビッカース硬度で2000kg
/mm2以上で、かつ平均表面粗さ(Ra)が2nm以下
の硬質膜を形成した後、炭化物形成可能でビッカース硬
度で600から1000kg/mm2以下の軟質膜を10
〜100nm形成し、その後、最終表面層として0.5
〜4.5kVのイオンエネルギーを有する炭素含有イオ
ンを基体に照射して、平均表面粗さ(Ra)が2nm以
下の非常に平滑性の良好な硬質炭素膜を形成することが
可能となった。
【0028】また、更に本実施形態は上記の軟質膜とし
て、シリコン膜を用いることで硬質炭素膜を型母材に密
着性良く形成し、また、容易に型再生を行うことが可能
となった。
て、シリコン膜を用いることで硬質炭素膜を型母材に密
着性良く形成し、また、容易に型再生を行うことが可能
となった。
【0029】従来の、非晶質を主成分とする硬質炭素膜
は、他のセラミックスおよび金属薄膜よりは、ガラスと
の密着力が小さく、離型性に優れているが、型母材と膜
の密着力が弱く、膜の応力や、熱膨張係数の差、更に、
成形時の圧力により、膜の剥離が生じることがあった。
これは、硬質炭素膜のような炭素材料は、ガラスとの離
型性が良好であるが、これらの膜は一般的に大きな膜応
力があり、熱や成形時の力により、容易に剥離が生じる
ためと考えられる。
は、他のセラミックスおよび金属薄膜よりは、ガラスと
の密着力が小さく、離型性に優れているが、型母材と膜
の密着力が弱く、膜の応力や、熱膨張係数の差、更に、
成形時の圧力により、膜の剥離が生じることがあった。
これは、硬質炭素膜のような炭素材料は、ガラスとの離
型性が良好であるが、これらの膜は一般的に大きな膜応
力があり、熱や成形時の力により、容易に剥離が生じる
ためと考えられる。
【0030】また、特開平6−72728号公報に記載
の、炭素イオンをイオン注入する方法により、膜と型母
材との密着力を上げることができるが、非常に高い電圧
を印加する必要があるため製造装置が非常に高価となり
やすと言う欠点があった。更に、高い加速電圧のイオン
を基体表面に照射するため、基体表面の荒れが発生する
ことがあった。
の、炭素イオンをイオン注入する方法により、膜と型母
材との密着力を上げることができるが、非常に高い電圧
を印加する必要があるため製造装置が非常に高価となり
やすと言う欠点があった。更に、高い加速電圧のイオン
を基体表面に照射するため、基体表面の荒れが発生する
ことがあった。
【0031】この表面の荒れは、平均荒さ(Ra)で、
5nm以上で一般的に7〜8nm程度となる。この程度
の粗さであれば、一般的な用途の光学素子として使用可
能であるが、特殊用途の光学素子や、これらの光学素子
を多数枚用いるレンズなどでは、透過率低下やハローが
問題となる場合がある。
5nm以上で一般的に7〜8nm程度となる。この程度
の粗さであれば、一般的な用途の光学素子として使用可
能であるが、特殊用途の光学素子や、これらの光学素子
を多数枚用いるレンズなどでは、透過率低下やハローが
問題となる場合がある。
【0032】そこで、本願発明者は、硬質炭素膜の密着
力向上のための中間層を得るため、多数の材料を検討
し、炭化物形成可能で、ビッカース硬度で600から1
000kg/mm2以下の軟質膜が硬質炭素膜の密着力向
上に効果があることを見出した。ここで、炭化物形成可
能で、ビッカース硬度で600から1000kg/mm2
以下の軟質膜とは、種々の金属膜、合金膜が上げられる
が、代表的にはスパッタ法で形成されるアモルファスS
i膜及びアモルファスSiCx膜、などが上げられ、特
にアモルファスSi膜は密着力向上の効果が高い。
力向上のための中間層を得るため、多数の材料を検討
し、炭化物形成可能で、ビッカース硬度で600から1
000kg/mm2以下の軟質膜が硬質炭素膜の密着力向
上に効果があることを見出した。ここで、炭化物形成可
能で、ビッカース硬度で600から1000kg/mm2
以下の軟質膜とは、種々の金属膜、合金膜が上げられる
が、代表的にはスパッタ法で形成されるアモルファスS
i膜及びアモルファスSiCx膜、などが上げられ、特
にアモルファスSi膜は密着力向上の効果が高い。
【0033】これらの、軟質膜は光学素子成形用型に用
いるには硬度が低く、傷や剥離の原因になりやすいと考
えられるが、本実施形態のように下地にビッカース硬度
で2000kg/mm2以上の硬質膜を用い、更に膜厚を
10〜100nmと薄くすることで十分な耐久性も有す
ることができる。
いるには硬度が低く、傷や剥離の原因になりやすいと考
えられるが、本実施形態のように下地にビッカース硬度
で2000kg/mm2以上の硬質膜を用い、更に膜厚を
10〜100nmと薄くすることで十分な耐久性も有す
ることができる。
【0034】また、硬質炭素膜は成形を続けるうちに劣
化(詳細は不明だが、熱によるグラファイト化により膜
が脆くなるためと考えられる)するが、劣化した硬質炭
素膜と軟質膜はダイヤモンドペーストやカーボランダム
などの砥粒を用いた研磨で除去することが可能で、その
後、再度、軟質膜と硬質炭素膜を形成して光学素子成形
用型材を再生することができる。この時、硬質膜は研磨
が型母材まで及ばないようなブロック層の役割もはた
す。
化(詳細は不明だが、熱によるグラファイト化により膜
が脆くなるためと考えられる)するが、劣化した硬質炭
素膜と軟質膜はダイヤモンドペーストやカーボランダム
などの砥粒を用いた研磨で除去することが可能で、その
後、再度、軟質膜と硬質炭素膜を形成して光学素子成形
用型材を再生することができる。この時、硬質膜は研磨
が型母材まで及ばないようなブロック層の役割もはた
す。
【0035】また、軟質膜の硬度がビッカース硬度で6
00kg/mm2より小さいと、傷や剥離の原因となるこ
とがあり、更に1000kg/mm2より大きいと砥粒を
用いた研磨で完全に除去できない、または完全に除去し
ようとすると硬質膜や型母材まで傷つけてしまう、とい
う問題が発生する。このように、軟質膜は硬質炭素膜の
再生を容易にする作用もある。
00kg/mm2より小さいと、傷や剥離の原因となるこ
とがあり、更に1000kg/mm2より大きいと砥粒を
用いた研磨で完全に除去できない、または完全に除去し
ようとすると硬質膜や型母材まで傷つけてしまう、とい
う問題が発生する。このように、軟質膜は硬質炭素膜の
再生を容易にする作用もある。
【0036】本願発明者はまた、平滑な表面を有する光
学素子成形用型材を得るために検討した結果、型母材の
表面に、ビッカース硬度で2000kg/mm2以上で、
かつ平均表面粗さ(Ra)が2nm以下の硬質膜を形成
した後、炭化物形成可能でビッカース硬度で600から
1000kg/mm2以下の軟質膜を10〜100nm形
成し、その後、最終表面層として0.5〜4.5kVのイ
オンエネルギーを有する炭素含有イオンを基体に照射し
て硬質炭素膜を形成することで、平均表面粗さ(Ra)
が2nm以下の非常に平滑性の良好な光学素子成形用型
材が得られることを見出した。
学素子成形用型材を得るために検討した結果、型母材の
表面に、ビッカース硬度で2000kg/mm2以上で、
かつ平均表面粗さ(Ra)が2nm以下の硬質膜を形成
した後、炭化物形成可能でビッカース硬度で600から
1000kg/mm2以下の軟質膜を10〜100nm形
成し、その後、最終表面層として0.5〜4.5kVのイ
オンエネルギーを有する炭素含有イオンを基体に照射し
て硬質炭素膜を形成することで、平均表面粗さ(Ra)
が2nm以下の非常に平滑性の良好な光学素子成形用型
材が得られることを見出した。
【0037】平均表面粗さ(Ra)が2nm以下であれ
ば、可視光領域の光学素子の場合では、表面の荒れによ
る透過率の低下及びハロー発生はほとんど影響が無いレ
ベルとなる。このレベルの平均表面粗さ(Ra)の光学
素子成形用型材を得るには、硬質膜の平均表面粗さ(R
a)も2nm以下とする必要がある。軟質膜については
膜厚が薄いのでほぼ硬質膜と同一の平均表面粗さ(R
a)となる。さらに硬質炭素膜の成膜条件として、イオ
ンエネルギーが高いと表面粗さが悪化するため、0.5
〜4.5kVとする。4.5kVより大きいと、表面粗さ
2nm以下を実現することができず、0.5kV未満だ
と型母材との密着力の低下が生じ、硬質炭素膜の剥離な
どが生じることがある。
ば、可視光領域の光学素子の場合では、表面の荒れによ
る透過率の低下及びハロー発生はほとんど影響が無いレ
ベルとなる。このレベルの平均表面粗さ(Ra)の光学
素子成形用型材を得るには、硬質膜の平均表面粗さ(R
a)も2nm以下とする必要がある。軟質膜については
膜厚が薄いのでほぼ硬質膜と同一の平均表面粗さ(R
a)となる。さらに硬質炭素膜の成膜条件として、イオ
ンエネルギーが高いと表面粗さが悪化するため、0.5
〜4.5kVとする。4.5kVより大きいと、表面粗さ
2nm以下を実現することができず、0.5kV未満だ
と型母材との密着力の低下が生じ、硬質炭素膜の剥離な
どが生じることがある。
【0038】上述した本実施形態により、特に、大口径
ガラスレンズ、肉厚の薄いガラスレンズ、肉厚比の大き
いガラスレンズなど、従来、耐久性に問題のあったレン
ズの成形に効果があり、更に透過率が高くハローの発生
の無い光学素子を作製することが可能となる。
ガラスレンズ、肉厚の薄いガラスレンズ、肉厚比の大き
いガラスレンズなど、従来、耐久性に問題のあったレン
ズの成形に効果があり、更に透過率が高くハローの発生
の無い光学素子を作製することが可能となる。
【0039】以下、本発明の一実施形態について、図面
を参照しながら、具体的に説明する。
を参照しながら、具体的に説明する。
【0040】図1は、本発明の光学素子成形用型の一実
施形態の模式的断面図である。図1において、11は成
形面に本実施形態の方法により硬質炭素膜13を形成し
た型である。なお、図1では、凸面レンズ成形用型を示
したが、本発明は、凸面レンズ成形用型に限定されるも
のでなく、凹面レンズ成形用型、非球面レンズ成形用
型、シリンドリカルレンズ成形用型などにも適用可能で
ある。
施形態の模式的断面図である。図1において、11は成
形面に本実施形態の方法により硬質炭素膜13を形成し
た型である。なお、図1では、凸面レンズ成形用型を示
したが、本発明は、凸面レンズ成形用型に限定されるも
のでなく、凹面レンズ成形用型、非球面レンズ成形用
型、シリンドリカルレンズ成形用型などにも適用可能で
ある。
【0041】本実施形態で言う、硬質炭素膜とは、基本
的には非晶質であり、硬度が高く、赤外領域で透明性が
高いことから、ダイヤモンド状炭素膜とも呼ばれている
ものである。この硬質炭素膜は、非晶質であるため、非
常に平滑な表面を有しており、型母材表面に形成するこ
とにより、型母材の表面の平滑性と同様、あるいは、そ
れ以上の平滑性を得ることができる。
的には非晶質であり、硬度が高く、赤外領域で透明性が
高いことから、ダイヤモンド状炭素膜とも呼ばれている
ものである。この硬質炭素膜は、非晶質であるため、非
常に平滑な表面を有しており、型母材表面に形成するこ
とにより、型母材の表面の平滑性と同様、あるいは、そ
れ以上の平滑性を得ることができる。
【0042】また、硬質炭素膜は、通常、いかなる結晶
性も有していないが、電子顕微鏡などで、微小領域(n
mオーダー)を詳細に観察すると、数nm程度の大きさ
の、微結晶のダイヤモンドまたはグラファイトが観察さ
れることがある。これらの微結晶の量も、見積もるのは
非常に困難であるが、全体積のせいぜい数%以下であろ
うと思われる。
性も有していないが、電子顕微鏡などで、微小領域(n
mオーダー)を詳細に観察すると、数nm程度の大きさ
の、微結晶のダイヤモンドまたはグラファイトが観察さ
れることがある。これらの微結晶の量も、見積もるのは
非常に困難であるが、全体積のせいぜい数%以下であろ
うと思われる。
【0043】なお、本実施形態で言うところの「硬質炭
素膜」とは、ほとんど無視できる量以下の炭素結晶相
(ダイヤモンド、グラファイト)のみを含有する炭素膜
である。この硬質炭素膜の形成には、イオンビーム蒸着
法及びイオンプレーティング法などと呼ばれる方法を用
いる。上記成膜方法は、炭素源ガス、および、水素、酸
素、塩素、フッ素、希ガスなどの希釈ガスを、熱フィラ
メントまたは高周波、更には、磁場などを印加しするこ
とで、プラズマ化し、このプラズマから、電界を用いて
イオンを加速して引出し、このイオンを型母材上に照射
して、その成形面に硬質炭素膜を形成する方法である。
素膜」とは、ほとんど無視できる量以下の炭素結晶相
(ダイヤモンド、グラファイト)のみを含有する炭素膜
である。この硬質炭素膜の形成には、イオンビーム蒸着
法及びイオンプレーティング法などと呼ばれる方法を用
いる。上記成膜方法は、炭素源ガス、および、水素、酸
素、塩素、フッ素、希ガスなどの希釈ガスを、熱フィラ
メントまたは高周波、更には、磁場などを印加しするこ
とで、プラズマ化し、このプラズマから、電界を用いて
イオンを加速して引出し、このイオンを型母材上に照射
して、その成形面に硬質炭素膜を形成する方法である。
【0044】本実施形態のイオンビーム蒸着法による硬
質炭素膜の形成では、炭素源として、種々の炭素含有ガ
スや液体有機化合物を気化して用いることができる。液
体有機化合物としては、メタノール、エタノールなどの
アルコール類、アセトンなどのケトン類、ベンゼン、ト
ルエンなどの芳香族炭化水素、ジメチルエーテルなどの
エーテル類、ギ酸、酢酸などの有機酸を用いることがで
きる。炭素含有ガスとしては、メタン、エタン、エチレ
ン、アセチレン、シクロヘキサンなどの炭化水素ガス、
一酸化炭素、または、ハロゲン化炭素などを用いること
ができる。
質炭素膜の形成では、炭素源として、種々の炭素含有ガ
スや液体有機化合物を気化して用いることができる。液
体有機化合物としては、メタノール、エタノールなどの
アルコール類、アセトンなどのケトン類、ベンゼン、ト
ルエンなどの芳香族炭化水素、ジメチルエーテルなどの
エーテル類、ギ酸、酢酸などの有機酸を用いることがで
きる。炭素含有ガスとしては、メタン、エタン、エチレ
ン、アセチレン、シクロヘキサンなどの炭化水素ガス、
一酸化炭素、または、ハロゲン化炭素などを用いること
ができる。
【0045】本実施形態で用いられる型母材は、アルミ
ナ・ジルコニアのような酸化物系セラミックス、炭化珪
素・窒化珪素・炭化チタン・窒化チタン・炭化タングス
テンなどの炭化物・窒化物系セラミックス、更に、WC
系の超硬合金、モリブデン・タングステン・タンタルな
どの金属を用いることができる。型母材(基体)の形状
は、成形装置や成形レンズの形状により任意に決めるこ
とができるが、例えば、レンズを成形する場合、成形面
を、そのレンズの曲率に合わせて、曲面形状にし、イオ
ンビーム蒸着法を用いて、その曲面上に前記硬質炭素膜
を形成する。
ナ・ジルコニアのような酸化物系セラミックス、炭化珪
素・窒化珪素・炭化チタン・窒化チタン・炭化タングス
テンなどの炭化物・窒化物系セラミックス、更に、WC
系の超硬合金、モリブデン・タングステン・タンタルな
どの金属を用いることができる。型母材(基体)の形状
は、成形装置や成形レンズの形状により任意に決めるこ
とができるが、例えば、レンズを成形する場合、成形面
を、そのレンズの曲率に合わせて、曲面形状にし、イオ
ンビーム蒸着法を用いて、その曲面上に前記硬質炭素膜
を形成する。
【0046】また、本実施形態では硬質炭素膜は、型母
材上に直接形成するのではなく、型母材上に中間層を2
層形成した上に形成する。即ち、ビッカース硬度で20
00kg/mm2以上の硬質膜を形成し、更に、炭化物形
成可能でビッカース硬度で600から1000kg/m
m2以下の軟質膜を10〜100nm形成し、その上に
硬質炭素膜を形成する。
材上に直接形成するのではなく、型母材上に中間層を2
層形成した上に形成する。即ち、ビッカース硬度で20
00kg/mm2以上の硬質膜を形成し、更に、炭化物形
成可能でビッカース硬度で600から1000kg/m
m2以下の軟質膜を10〜100nm形成し、その上に
硬質炭素膜を形成する。
【0047】ここで言う「ビッカース硬度で2000k
g/mm2以上の硬質膜」としては、Ti,Ta,Si等
の炭化物、窒化物、炭窒化物の、少なくとも一種類以上
の化合物、混合物をあげることができる。この硬質膜の
最適な厚さは、一般的には0.5μm以上、望ましくは
0.8μm以上である。上記硬質層は公知のイオンプレ
ーティング法、スパッタリング法、CVD法(化学的気
相成長法)などにより形成することができる。これらの
膜は硬度が高く、化学的安定性にも優れているので中間
層として最適である。
g/mm2以上の硬質膜」としては、Ti,Ta,Si等
の炭化物、窒化物、炭窒化物の、少なくとも一種類以上
の化合物、混合物をあげることができる。この硬質膜の
最適な厚さは、一般的には0.5μm以上、望ましくは
0.8μm以上である。上記硬質層は公知のイオンプレ
ーティング法、スパッタリング法、CVD法(化学的気
相成長法)などにより形成することができる。これらの
膜は硬度が高く、化学的安定性にも優れているので中間
層として最適である。
【0048】また、ここで言う「炭化物形成可能でビッ
カース硬度で600から1000kg/mm2以下の軟質
膜」としては、種々の金属膜、合金膜が挙げられるが、
代表的には公知のスパッタ法で形成されるアモルファス
Si膜及びアモルファスSiCx膜、などが挙げられ、
特にアモルファスSi膜は密着力向上の効果が高い。
カース硬度で600から1000kg/mm2以下の軟質
膜」としては、種々の金属膜、合金膜が挙げられるが、
代表的には公知のスパッタ法で形成されるアモルファス
Si膜及びアモルファスSiCx膜、などが挙げられ、
特にアモルファスSi膜は密着力向上の効果が高い。
【0049】次に、具体的な実施例について説明する。
【0050】(実施例1)図1及び図2は、本発明に係
る光学素子成形用型の一つの実施様態を示すものであ
る。なお、図1は光学素子のプレス成形前の状態を示
し、図2は光学素子成形後の状態を示す。ここで、符号
11は型、12はガラス素材、13は本実施例の硬質炭
素膜よりなる離型膜であり、また、図2での、符号21
は光学素子である。図1に示すように、型11の間に置
かれたガラス素材12をプレス成形することにより、レ
ンズなどの光学素子21が形成される。
る光学素子成形用型の一つの実施様態を示すものであ
る。なお、図1は光学素子のプレス成形前の状態を示
し、図2は光学素子成形後の状態を示す。ここで、符号
11は型、12はガラス素材、13は本実施例の硬質炭
素膜よりなる離型膜であり、また、図2での、符号21
は光学素子である。図1に示すように、型11の間に置
かれたガラス素材12をプレス成形することにより、レ
ンズなどの光学素子21が形成される。
【0051】次に、本実施例の光学素子成形用型につい
て詳細に説明する。
て詳細に説明する。
【0052】本実施例では、イオンビーム蒸着法を用い
て、硬質炭素膜を形成した。図3は軟質膜と硬質炭素膜
を形成する成膜装置を示す模式図であり、31は真空チ
ャンバー、32はイオン源、33は加速用グリッド、3
4はイオンビームを模式的に示したもの、更に、35は
型母材である。また、36はガス排気口で、バルブ、油
拡散ポンプ、ロータリーポンプ(何れも図示せず)が接
続されている。また、イオン源32には不図示のバル
ブ、ガス流量調整器、圧力調整器、ガスボンベが接続さ
れている。37は、スパッタターゲットであり、不図示
の高周波電源、高周波整合器が接続されている。38は
基体ホルダーで型材を固定することができ、モーター3
9を用いて回転することができる。この成膜装置を用い
て、スパッタターゲットで軟質膜を、イオン源を用いて
硬質炭素膜を形成する。
て、硬質炭素膜を形成した。図3は軟質膜と硬質炭素膜
を形成する成膜装置を示す模式図であり、31は真空チ
ャンバー、32はイオン源、33は加速用グリッド、3
4はイオンビームを模式的に示したもの、更に、35は
型母材である。また、36はガス排気口で、バルブ、油
拡散ポンプ、ロータリーポンプ(何れも図示せず)が接
続されている。また、イオン源32には不図示のバル
ブ、ガス流量調整器、圧力調整器、ガスボンベが接続さ
れている。37は、スパッタターゲットであり、不図示
の高周波電源、高周波整合器が接続されている。38は
基体ホルダーで型材を固定することができ、モーター3
9を用いて回転することができる。この成膜装置を用い
て、スパッタターゲットで軟質膜を、イオン源を用いて
硬質炭素膜を形成する。
【0053】型母材として、バインダーレスWC系超硬
合金焼結体(フジダイス製、商品名TJ−05)を所定
の形状に加工した後、成形面をRmax=0.04μm
に鏡面研磨し、その後、硬質膜として公知のイオンプレ
ーティング法で、窒化チタン膜を形成したものを用い
た。
合金焼結体(フジダイス製、商品名TJ−05)を所定
の形状に加工した後、成形面をRmax=0.04μm
に鏡面研磨し、その後、硬質膜として公知のイオンプレ
ーティング法で、窒化チタン膜を形成したものを用い
た。
【0054】なお、この窒化チタン膜を別途測定用基板
上に作製してその硬さを測定した所、ビッカース硬度で
2400kg/mm2であった。
上に作製してその硬さを測定した所、ビッカース硬度で
2400kg/mm2であった。
【0055】この型母材を良く洗浄した後、図3に示す
成膜装置に設置した。まず、Siのスパッタターゲット
を用いて、アモルファスシリコン膜を形成する。ガス流
量をアルゴンガス:40ml/minとして、圧力:
0.5Pa、高周波出力:500Wとして、約50nm
のアモルファスシリコン膜を形成した。なお。このアモ
ルファスシリコン膜を別途、測定用基板に成膜し、その
硬さを測定した所、ビッカース硬度で約820kg/m
m2であった。
成膜装置に設置した。まず、Siのスパッタターゲット
を用いて、アモルファスシリコン膜を形成する。ガス流
量をアルゴンガス:40ml/minとして、圧力:
0.5Pa、高周波出力:500Wとして、約50nm
のアモルファスシリコン膜を形成した。なお。このアモ
ルファスシリコン膜を別途、測定用基板に成膜し、その
硬さを測定した所、ビッカース硬度で約820kg/m
m2であった。
【0056】次に、イオンビーム源を用いて硬質炭素膜
を形成する。ガス流量はアセチレン:20ml/mi
n、水素:20ml/minとし、基板温度は加熱無し
で、圧力:5×10-2Paとした。また、加速電圧を、
2.5kVとして、約100nmの硬質炭素膜の成膜を
行った。
を形成する。ガス流量はアセチレン:20ml/mi
n、水素:20ml/minとし、基板温度は加熱無し
で、圧力:5×10-2Paとした。また、加速電圧を、
2.5kVとして、約100nmの硬質炭素膜の成膜を
行った。
【0057】次に、この光学素子成形用型材を用いて光
学レンズの成形を行った。
学レンズの成形を行った。
【0058】成形ガラスは、クラウン系光学ガラスSK
12(軟化点Sp=672℃、転移点Tg=550℃)
で、直径:φ32mmで、中心部:2.5mmの厚さ、
最外周:1.4mmの厚さの、極薄の凸レンズを成形す
る。成形条件は、窒素雰囲気下、プレス温度620℃で
行った。成形中、型と成形された光学素子との離型性は
良好であった。また、成形後の型表面を走査型電子顕微
鏡で観察した所、膜剥離、クラックの発生、更には、ガ
ラスの融着が認められず、良好な型表面性を有してい
た。また、成形ガラスレンズも、ガラスの割れが見られ
ず、良好な表面粗さであった。
12(軟化点Sp=672℃、転移点Tg=550℃)
で、直径:φ32mmで、中心部:2.5mmの厚さ、
最外周:1.4mmの厚さの、極薄の凸レンズを成形す
る。成形条件は、窒素雰囲気下、プレス温度620℃で
行った。成形中、型と成形された光学素子との離型性は
良好であった。また、成形後の型表面を走査型電子顕微
鏡で観察した所、膜剥離、クラックの発生、更には、ガ
ラスの融着が認められず、良好な型表面性を有してい
た。また、成形ガラスレンズも、ガラスの割れが見られ
ず、良好な表面粗さであった。
【0059】なお、アモルファスシリコン膜を形成しな
い以外は、上記と同様にして、光学素子成形用型を作成
し、同一のガラス素材および形状でガラス成形を行った
ところ、型母材と硬質炭素膜の密着力が弱く、型の外周
部付近で膜の剥離が見られ、成形を続けるとその部分で
型とガラスの融着が認められた。
い以外は、上記と同様にして、光学素子成形用型を作成
し、同一のガラス素材および形状でガラス成形を行った
ところ、型母材と硬質炭素膜の密着力が弱く、型の外周
部付近で膜の剥離が見られ、成形を続けるとその部分で
型とガラスの融着が認められた。
【0060】また、アモルファスシリコン膜の代わりに
ニッケル膜(ビッカース硬度200kg/mm2)を用い
て上記と同様にして、光学素子成形用型を作成し、同一
のガラス素材および形状でガラス成形を行ったところ、
型母材と硬質炭素膜の密着力が弱く、型の全面で膜の剥
離が見られ、型と硝子の融着が認められた。
ニッケル膜(ビッカース硬度200kg/mm2)を用い
て上記と同様にして、光学素子成形用型を作成し、同一
のガラス素材および形状でガラス成形を行ったところ、
型母材と硬質炭素膜の密着力が弱く、型の全面で膜の剥
離が見られ、型と硝子の融着が認められた。
【0061】(実施例2)実施例1で作製した光学素子
成形用型材を用いて、500ショット成形した後、この
型材の成形面を、ダイヤモンドペースト(粒径0.5μ
m以下)で擦り研磨を行い、硬質炭素膜及び軟質膜(ア
モルファスシリコン膜)を除去した。その後、型材を洗
浄の後、再度、図3に示す成膜装置に設置してアモルフ
ァスシリコン膜及び硬質炭素膜を形成した。次にこの光
学素子成形用型材を用いて、実施例1と同様にして光学
レンズを成形した所、成形中、型と成形された光学素子
との離型性は良好であった。また、成形後の型表面を走
査型電子顕微鏡で観察した所、膜剥離、クラックの発
生、更には、ガラスの融着が認められず、良好な型表面
性を有していた。また、成形ガラスレンズも、ガラスの
割れが見られず、良好な表面粗さであった。
成形用型材を用いて、500ショット成形した後、この
型材の成形面を、ダイヤモンドペースト(粒径0.5μ
m以下)で擦り研磨を行い、硬質炭素膜及び軟質膜(ア
モルファスシリコン膜)を除去した。その後、型材を洗
浄の後、再度、図3に示す成膜装置に設置してアモルフ
ァスシリコン膜及び硬質炭素膜を形成した。次にこの光
学素子成形用型材を用いて、実施例1と同様にして光学
レンズを成形した所、成形中、型と成形された光学素子
との離型性は良好であった。また、成形後の型表面を走
査型電子顕微鏡で観察した所、膜剥離、クラックの発
生、更には、ガラスの融着が認められず、良好な型表面
性を有していた。また、成形ガラスレンズも、ガラスの
割れが見られず、良好な表面粗さであった。
【0062】なお、硬質層(窒化チタン膜)を形成しな
い以外は、実施例1と同様にして、光学素子成形用型材
を作製して、500ショットの成形を行った後、この型
材の成形面を、ダイヤモンドペースト(粒径0.5μm
以下)で擦り研磨を行い、硬質炭素膜及び軟質膜(アモ
ルファスシリコン膜)を除去した所、型母材にダイヤモ
ンドペーストによる傷がつき、光学素子成形用型材とし
て再度使用することができなかった。
い以外は、実施例1と同様にして、光学素子成形用型材
を作製して、500ショットの成形を行った後、この型
材の成形面を、ダイヤモンドペースト(粒径0.5μm
以下)で擦り研磨を行い、硬質炭素膜及び軟質膜(アモ
ルファスシリコン膜)を除去した所、型母材にダイヤモ
ンドペーストによる傷がつき、光学素子成形用型材とし
て再度使用することができなかった。
【0063】また更に、アモルファスシリコン膜の代わ
りに、SiNx膜(窒素雰囲気中でシリコンターゲット
をスパッタすることにより作製。別途測定したビッカー
ス硬度測定で1200kg/mm2)を使用する以外は、
実施例1と同様にして、光学素子成形用型材を作製し
て、500ショットの成形を行った後、この型材の成形
面を、ダイヤモンドペースト(粒径0.5μm以下)で
擦り研磨を行い、硬質炭素膜及び軟質膜(アモルファス
シリコン膜)を除去した所、SiNx膜を完全に除去す
ることができず、型表面の荒れが発生してしまい、光学
素子成形用型材として再度使用することができなかっ
た。
りに、SiNx膜(窒素雰囲気中でシリコンターゲット
をスパッタすることにより作製。別途測定したビッカー
ス硬度測定で1200kg/mm2)を使用する以外は、
実施例1と同様にして、光学素子成形用型材を作製し
て、500ショットの成形を行った後、この型材の成形
面を、ダイヤモンドペースト(粒径0.5μm以下)で
擦り研磨を行い、硬質炭素膜及び軟質膜(アモルファス
シリコン膜)を除去した所、SiNx膜を完全に除去す
ることができず、型表面の荒れが発生してしまい、光学
素子成形用型材として再度使用することができなかっ
た。
【0064】(実施例3)型母材として、WC系超硬合
金を所定の形状に加工した後、成形面をRmax=0.
04μmに鏡面研磨し、その後、公知のイオンプレーテ
ィング法により、中間層として、窒化タンタル(Ta
N)膜を1μm厚さで形成した。この窒化タンタル膜の
平均表面粗さ(Ra)は、7.5nmであった。この窒
化タンタル膜を研磨により、Ra=1.6nmとなるよ
うに加工した。
金を所定の形状に加工した後、成形面をRmax=0.
04μmに鏡面研磨し、その後、公知のイオンプレーテ
ィング法により、中間層として、窒化タンタル(Ta
N)膜を1μm厚さで形成した。この窒化タンタル膜の
平均表面粗さ(Ra)は、7.5nmであった。この窒
化タンタル膜を研磨により、Ra=1.6nmとなるよ
うに加工した。
【0065】この型母材を良く洗浄した後、図3に示す
成膜装置に設置した。まず、Siのスパッタターゲット
を用いて、アモルファスシリコン膜を形成する。ガス流
量をアルゴンガス:40ml/minとして、圧力:
0.5Pa、高周波出力:500Wとして、約80nm
のアモルファスシリコン膜を形成した。なお。このアモ
ルファスシリコン膜を別途、測定用基板に成膜し、その
硬さを測定した所、ビッカース硬度で約900kg/m
m2であった。
成膜装置に設置した。まず、Siのスパッタターゲット
を用いて、アモルファスシリコン膜を形成する。ガス流
量をアルゴンガス:40ml/minとして、圧力:
0.5Pa、高周波出力:500Wとして、約80nm
のアモルファスシリコン膜を形成した。なお。このアモ
ルファスシリコン膜を別途、測定用基板に成膜し、その
硬さを測定した所、ビッカース硬度で約900kg/m
m2であった。
【0066】次に、イオンビーム源を用いて硬質炭素膜
を形成する。ガス流量はアセチレン:30ml/mi
n、水素:20ml/minとし、基板温度は加熱無し
で、圧力:7×10-2Paとした。また、加速電圧を、
4kVとして、約100nmの硬質炭素膜の成膜を行っ
た。
を形成する。ガス流量はアセチレン:30ml/mi
n、水素:20ml/minとし、基板温度は加熱無し
で、圧力:7×10-2Paとした。また、加速電圧を、
4kVとして、約100nmの硬質炭素膜の成膜を行っ
た。
【0067】なお、この硬質炭素膜の平均表面粗さを測
定した所、1.7nmであった。
定した所、1.7nmであった。
【0068】次に、この光学素子成形用型材を用いて光
学レンズの成形を行った。
学レンズの成形を行った。
【0069】成形ガラスは、クラウン系光学ガラスSK
12(軟化点Sp=672℃、転移点Tg=550℃)
で、直径:φ32mmで、中心部:2.5mmの厚さ、
最外周:1.4mmの厚さの、極薄の凸レンズを成形す
る。成形条件は、窒素雰囲気下、プレス温度620℃で
行った。成形中、型と成形された光学素子との離型性は
良好であった。また、成形後の型表面を走査型電子顕微
鏡で観察した所、膜剥離、クラックの発生、更には、ガ
ラスの融着が認められず、良好な型表面性を有してい
た。また、成形ガラスレンズも、ガラスの割れが見られ
ず、非常に良好な表面粗さであり、透過率も非常に良好
であった。
12(軟化点Sp=672℃、転移点Tg=550℃)
で、直径:φ32mmで、中心部:2.5mmの厚さ、
最外周:1.4mmの厚さの、極薄の凸レンズを成形す
る。成形条件は、窒素雰囲気下、プレス温度620℃で
行った。成形中、型と成形された光学素子との離型性は
良好であった。また、成形後の型表面を走査型電子顕微
鏡で観察した所、膜剥離、クラックの発生、更には、ガ
ラスの融着が認められず、良好な型表面性を有してい
た。また、成形ガラスレンズも、ガラスの割れが見られ
ず、非常に良好な表面粗さであり、透過率も非常に良好
であった。
【0070】窒化タンタル膜の研磨を行わない以外は、
上記と同様にして光学素子成形用型材を製造した所、硬
質炭素膜の平均表面粗さは、7.2nmとなり、成形レ
ンズも上記のものと比べ透過率が劣るものであった。
上記と同様にして光学素子成形用型材を製造した所、硬
質炭素膜の平均表面粗さは、7.2nmとなり、成形レ
ンズも上記のものと比べ透過率が劣るものであった。
【0071】更に、硬質炭素膜の成膜条件で、加速電圧
を5.5kVとする以外は上記と同様にして光学素子成
形用型材を製造した所、硬質炭素膜の平均表面粗さは
3.2nmとなり、成形レンズも上記のものと比べ透過
率が劣るものであった。
を5.5kVとする以外は上記と同様にして光学素子成
形用型材を製造した所、硬質炭素膜の平均表面粗さは
3.2nmとなり、成形レンズも上記のものと比べ透過
率が劣るものであった。
【0072】以上説明した様に、上記の実施形態によれ
ば、離型層として形成される硬質炭素膜を型材に密着力
良く形成し、更に表面粗さを改善し平滑性の高い光学素
子成形用型材を提供することができる。
ば、離型層として形成される硬質炭素膜を型材に密着力
良く形成し、更に表面粗さを改善し平滑性の高い光学素
子成形用型材を提供することができる。
【0073】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、耐
久性と離型性を両立させた光学素子成形用型を得ること
ができる。
久性と離型性を両立させた光学素子成形用型を得ること
ができる。
【図1】本発明の光学素子成形用型の一実施形態の模式
的断面図であり、光学素子の成形前の状態を示す図であ
る。
的断面図であり、光学素子の成形前の状態を示す図であ
る。
【図2】本発明の光学素子成形用型の一実施形態の模式
的断面図であり、光学素子の成形後の状態を示す図であ
る。
的断面図であり、光学素子の成形後の状態を示す図であ
る。
【図3】軟質膜と硬質炭素膜を形成する成膜装置を示す
模式図である。
模式図である。
11 型
12 ガラス素材
13 離型膜
31 真空チャンバー
32 イオン源
33 加速用グリッド
34 イオンビーム
35 型母材
36 ガス排気口で
37 スパッタターゲット
38 基体ホルダー
39 モーター
Claims (5)
- 【請求項1】 光学素子を成形するための成形面が加工
された型母材の前記成形面に皮膜を形成することによ
り、光学素子成形用型を製造するための、光学素子成形
用型の製造方法であって、 前記成形面に、ビッカース硬度が2000kg/mm2以
上の硬質膜を形成する硬質膜形成工程と、 前記硬質膜の上に、炭化物形成可能で、ビッカース硬度
が600から1000kg/mm2の軟質膜を10〜10
0nmの厚さで形成する軟質膜形成工程と、 前記軟質膜の上に、最終表面層としての硬質炭素膜を形
成する硬質炭素膜形成工程とを具備することを特徴とす
る光学素子成形用型の製造方法。 - 【請求項2】 前記硬質炭素膜形成工程では、0.5〜
4.5kVのイオンエネルギーを有する炭素含有イオン
を前記軟質膜に照射して、平均表面粗さRaが2nm以
下の硬質炭素膜を形成することを特徴とする請求項1に
記載の光学素子成形用型の製造方法。 - 【請求項3】 前記軟質膜が、シリコン膜であることを
特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用型の製造方
法。 - 【請求項4】 請求項1記載の方法で製造した型を用い
て光学素子を成形した後に、前記型を再生するための光
学素子成形用型の再生方法であって、 少なくとも研磨剤を用いた研磨工程で、前記硬質炭素膜
及び軟質膜を除去する除去工程と、 前記硬質炭素膜及び軟質膜が除去された前記硬質膜の上
に、炭化物形成可能で、ビッカース硬度が600から1
000kg/mm2の軟質膜を10〜100nmの厚さで
再度形成する軟質膜再形成工程と、 前記軟質膜の上に、最終表面層としての硬質炭素膜を再
度形成する硬質炭素膜再形成工程とを具備することを特
徴とする光学素子成形用型の再生方法。 - 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
製造方法によって製造されたことを特徴とする光学素子
成形用型。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001208154A JP2003020233A (ja) | 2001-07-09 | 2001-07-09 | 光学素子成形用型及びその製造方法及び再生方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001208154A JP2003020233A (ja) | 2001-07-09 | 2001-07-09 | 光学素子成形用型及びその製造方法及び再生方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003020233A true JP2003020233A (ja) | 2003-01-24 |
Family
ID=19044030
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001208154A Withdrawn JP2003020233A (ja) | 2001-07-09 | 2001-07-09 | 光学素子成形用型及びその製造方法及び再生方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003020233A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016068297A1 (ja) * | 2014-10-30 | 2016-05-06 | 住友電気工業株式会社 | レンズおよび光学部品 |
-
2001
- 2001-07-09 JP JP2001208154A patent/JP2003020233A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016068297A1 (ja) * | 2014-10-30 | 2016-05-06 | 住友電気工業株式会社 | レンズおよび光学部品 |
JPWO2016068297A1 (ja) * | 2014-10-30 | 2017-08-17 | 住友電気工業株式会社 | レンズおよび光学部品 |
CN107111005A (zh) * | 2014-10-30 | 2017-08-29 | 住友电气工业株式会社 | 透镜和光学部件 |
US12111481B2 (en) | 2014-10-30 | 2024-10-08 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Lens and optical component |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20081007 |