JP2003020232A - 回折光学素子成形用型及びその製造方法 - Google Patents

回折光学素子成形用型及びその製造方法

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JP2003020232A
JP2003020232A JP2001208153A JP2001208153A JP2003020232A JP 2003020232 A JP2003020232 A JP 2003020232A JP 2001208153 A JP2001208153 A JP 2001208153A JP 2001208153 A JP2001208153 A JP 2001208153A JP 2003020232 A JP2003020232 A JP 2003020232A
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Keiji Hirabayashi
敬二 平林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】離型性と耐久性を十分に確保することができる
回折光学素子成形用型の製造方法を提供する。 【解決手段】 回折光学素子成形用型の製造方法であっ
て、回折光学素子成形用型の母材35を、少なくとも炭
素原子を含むプラズマ中に置き、母材に1kV以上4k
V以下の直流パルス電圧を印加して、母材の成形面に硬
質炭素膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、ガラス
素材のプレス成形により、回折型光学素子を製造する際
に使用される光学素子成形用型及びその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】研磨工程を必要としないで、ガラス素材
のプレス成形によってレンズを製造する技術は、従来の
製造方法において必要とされた複雑な工程をなくし、簡
単かつ安価にレンズを製造することを可能とし、近年レ
ンズのみならず、プリズム、その他のガラスよりなる光
学素子の製造に使用されるようになってきた。
【0003】このような、ガラス製光学素子のプレス成
形に使用される型材に要求される性質としては、硬度、
耐熱性、離型性、鏡面加工性などに優れていることが挙
げられる。従来、この種の型材として、金属、セラミッ
クス、および、それらをコーティングした材料など、数
多くの提案がなされている。
【0004】幾つかの例を挙げるならば、特開昭49−
51112号公報には、13Crマルテンサイト鋼が、
特開昭52−45613号公報には、SiC及びSi3
4が、特開昭60−246230号公報には、超硬合
金に貴金属をコーティングした材料が、また、特開昭6
1−183134号公報、特開昭61−281030号
公報、特開平1−301864号公報には、それぞれ、
ダイヤモンド薄膜もしくはダイヤモンド状炭素膜が、特
開昭64−83529号公報には、硬質炭素膜をコーテ
ィングした材料が提案されている。
【0005】また、特公平2−31012号公報には、
レンズまたは型のどちらか一方に5〜500nmの炭素
膜を形成することが提案されている。更に、本願出願人
が既に出願している特開平6−72728号公報には、
高イオンエネルギーの炭素イオンビームを用いて、炭素
と型母材もしくは母材表面に形成した中間層を構成す
る、少なくとも一種類以上の元素よりなるミキシング層
を形成することにより、膜の剥離およびクラックの発生
を生じない型を製造する方法が記載されている。
【0006】また、近年、回折光学素子と呼ばれる光学
素子もプレス成形で製造されている。回折光学素子は、
色分解効果を持つ回折格子や、色収差を補正するバイナ
リーレンズや、微細フレネルレンズなどのように、表面
に微細なパターンが形成されることで特有の効果を発揮
する光学素子である。この微細パターンは、通常深さが
数μm以下となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、13C
rマルテンサイト鋼は酸化し易く、更に、高温でFeが
ガラス中に拡散して、ガラスが着色される欠点を持つ。
SiC及びSi34 は、一般的に酸化されにくいとさ
れているが、高温では酸化が起こり、表面にSiO2
形成され、ガラスの融着を生じる。貴金属をコーティン
グした材料は、融着を起こしにくいが、極めて柔らかい
ために、傷がつき易く、変形し易いという欠点をもって
いる。
【0008】また、一般的にダイヤモンド状炭素膜、a
−C:H膜、硬質炭素膜を用いた型は、型とガラスとの
離型性が良く、ガラスとの融着を起こしにくいが、型と
膜の密着性が一般に低く、成形操作を、数百回以上繰り
返して行うと、前記膜が部分的に剥離し、成形品におい
て、十分な成形性能が得られないことがあるなど、耐久
性に問題があった。また、ダイヤモンド薄膜は、高硬度
で、熱的安定性にも優れているが、ダイヤモンド状炭素
膜、a−C:H膜、硬質炭素膜など、非晶質の炭素膜に
比べると、型とガラスとの離型性が悪く、更なる離型性
の向上が望まれていた。
【0009】また、特開平1−301864号公報にお
いて、炭素源ガス濃度を3%以上として、ダイヤモンド
結晶、グラファイト結晶、アモルファス状カーボンより
なる膜を形成し、最大面粗さ20nm以下とすることが
提案されているが、膜中のグラファイト結晶の存在は、
硬度と耐酸化性の劣化を生じ、型の耐久性を劣化させる
原因となる。
【0010】また、特公平2−31012号公報の実施
例で用いられている形成方法(真空蒸着法)で得られる
炭素膜は、一般的には、膜と基板との密着力が弱く、成
形中に膜が剥離するなどの耐久性に問題がある場合があ
る。
【0011】また、特開平6−72728号公報に記載
の方法は、他の光学素子成型用型の製造方法に比べて好
適な方法であるが、高いイオンエネルギーの炭素イオン
を用いるため、型材表面の荒れが生じる場合があり、レ
ンズの透過率が低下したり、ハローなどが生じる場合が
ある。
【0012】また、回折光学素子用の成形用型材に硬質
炭素膜を形成しようとすると、例えば、図4(微細パタ
ーンを模式的に示したもので実際の高さや幅とは異な
る)のように、型母材41上に硬質炭素膜42が均一に
成膜されるのが理想であるが、通常の成膜方法で硬質炭
素膜を形成すると、図5のように微細パターンの先端で
硬質炭素膜の膜厚が厚くなり、更に微細パターン側面や
下部で膜厚が薄くなる傾向が見られる。このような型材
でガラスを成形しようとすると、微細パターン先端の膨
らんだ部分がガラスに食い込み、離型する時にガラスが
割れる等の問題点があった。また、高いイオンエネルギ
ーの炭素イオンを用いる成膜方法では、微細パターンの
先端部がエッチングされ、所望の形状からずれ、光学的
性能が損なわれる場合もあった。
【0013】したがって、本発明は上述した課題に鑑み
てなされたものであり、その目的は、離型性と耐久性を
十分に確保することができる回折光学素子成形用型及び
その製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決し、
目的を達成するために、本発明に係わる回折光学素子成
形用型の製造方法は、回折光学素子成形用型の製造方法
であって、前記回折光学素子成形用型の母材を、少なく
とも炭素原子を含むプラズマ中に置き、前記母材に1k
V以上4kV以下の直流パルス電圧を印加して、前記母
材の成形面に硬質炭素膜を形成することを特徴としてい
る。
【0015】また、本発明に係わる回折光学素子成形用
型は、上記の製造方法によって製造されたことを特徴と
している。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な一実施形態
について説明するが、まず、一実施形態の概要について
説明する。
【0017】本実施形態では、回折光学素子成形用型材
の製造方法において、少なくとも炭素原子を含むプラズ
マ中で、前記型材に1kV以上で4kV以下の直流パル
ス電圧を印加して硬質炭素膜を形成する。
【0018】次に、本実施形態の作用を、以下に説明す
る。
【0019】本願発明者は、従来の光学素子成形用型の
問題点に鑑み、離型層として形成される硬質炭素膜を型
材に密着力良く形成し、更に所望の形状を損なわずに均
一に成膜する成膜方法及び条件について、詳細な実験を
続けた結果、以下の結論を見出した。
【0020】つまり、回折光学素子成形用型材の製造方
法において、少なくとも炭素原子を含むプラズマ中で、
前記型材に1kV以上で4kV以下の直流パルス電圧を
印加して硬質炭素膜を形成することにより、型材に密着
力良く形成し、更に所望の形状を損なわずに均一に成膜
することが可能となった。
【0021】従来の、非晶質を主成分とする硬質炭素膜
は、他のセラミックスおよび金属薄膜よりは、ガラスと
の密着力が小さく、離型性に優れているが、型母材と膜
の密着力が弱く、膜の応力や、熱膨張係数の差、更に、
成形時の圧力により、膜の剥離が生じることがあった。
これは、硬質炭素膜のような炭素材料は、ガラスとの離
型性が良好であるが、これらの膜は一般的に大きな膜応
力があり、熱や成形時の力により、容易に剥離が生じる
ためと考えられる。また、成膜方法及び条件によって
は、微細パターン形状どおりに均一に成膜されず、パタ
ーン先端が厚くなったり、パターンの側面や下部が薄く
なったりすることがあった。
【0022】また、特開平6−72728号公報に記載
の、炭素イオンをイオン注入する方法により、膜と型母
材との密着力を上げることができるが、非常に高い電圧
を印加する必要があるため製造装置が非常に高価となり
やすいと言う欠点があった。更に、高い加速電圧のイオ
ンを基体表面に照射するため、特にパターンの先端部が
エッチングされてしまうと言う問題点があった。
【0023】このため、本実施形態ではパルス放電型成
膜法により硬質炭素膜を形成する。このパルス放電型の
成膜方法は特開2000−243221号公報に記載が
あるように、基体に直流のパルスバイアスを印加して硬
質炭素膜を作製するものであるが、これにより、基体と
密着性良く硬質炭素膜を形成することができる。
【0024】さらに、本願発明者の実験及び評価によれ
ば、パルス放電型成膜装置で型材に1kV以上で4kV
以下の直流パルス電圧を印加して成膜を行うことで、微
細なパターン形状に沿って非常に均一に硬質炭素膜が形
成されることが明らかになった。
【0025】通常の硬質炭素膜を密着性良く形成しよう
とすると、非常に高いイオンエネルギー(例えば、5k
V以上)でイオンを打ち込まなければならなかったが、
パルス放電型の成膜装置を用いれば、比較的低加速電圧
で密着力が高い硬質炭素膜が形成できるため、基体の損
傷が少なく、所望のパターン形状を損なわずに成膜する
ことができる。
【0026】また、硬質炭素膜の密着力向上のために、
型母材と硬質炭素膜の間に中間層を形成することもでき
る。また、更なる硬質炭素膜の密着力向上のために、型
母材と硬質炭素膜の間に中間層を形成したのち、アモル
ファスSi膜及びアモルファス炭化シリコン(a-SiCx)膜
などを形成すると更に密着力向上の効果が高い。
【0027】このアモルファスSi膜及びアモルファス炭
化シリコン膜の膜厚は、10nm以上で、200nm以
下とする。10nm未満では効果がなく、200nmよ
り厚い場合は、膜の硬度が比較的低いため、傷が付きや
すくなることがある。なお、このアモルファスSi膜及び
アモルファス炭化シリコン膜の膜厚は、このように10
〜200nm程度と薄いが、十分な耐久性と密着力向上
の効果を得ることができる。
【0028】さらに硬質炭素膜の成膜条件として、イオ
ンエネルギーが高いと表面粗さが悪化するため、直流パ
ルス電圧は1kV以上で、4kV以下とする。4kVよ
り大きいと、イオンの衝撃で微細なパターン形状を損な
う場合があり、1kV未満だと型母材との密着力の低下
が生じ、硬質炭素膜の剥離などが生じることがある。
【0029】また、、直流パルス電圧の繰り返し周波数
やデューティー比は、印加電圧や成膜する膜厚などの条
件により最適条件は異なるが、代表的には500〜20
kHzの繰り返し周波数で、かつデューティー比2〜4
0%で行う。
【0030】上述した本実施形態により、色分解効果を
持つ回折格子や、色収差を補正するバイナリーレンズ
や、微細フレネルレンズなどのように、表面に微細なパ
ターンが形成されることで特有の効果を発揮する光学素
子など、従来、パターン形状の不均一やガラスの割れな
どの問題のあったレンズの成形に効果がある。
【0031】以下、本発明の一実施形態について、図面
を参照しながら、具体的に説明する。
【0032】図1は、本発明の光学素子成形用型の模式
的断面図である。図1において、11は成形面に硬質炭
素膜がある型母材である。なお、図1では、上型が球
面、下型が微細な回折格子形状の回折光学素子を示した
が、本発明は、この形状に限定されるものではなく、種
々の形状の回折光学素子の成形用型に適用可能である。
【0033】本実施形態で言う、硬質炭素膜とは、基本
的には非晶質であり、硬度が高く、赤外領域で透明性が
高いことから、ダイヤモンド状炭素膜とも呼ばれている
ものである。この硬質炭素膜は、非晶質であるため、非
常に平滑な表面を有しており、型母材表面に形成するこ
とにより、型母材の表面の平滑性と同様、あるいは、そ
れ以上の平滑性を得ることができる。
【0034】また、硬質炭素膜は、通常、いかなる結晶
性も有していないが、電子顕微鏡などで、微小領域(n
mオーダー)を詳細に観察すると、数nm程度の大きさ
の、微結晶のダイヤモンドまたはグラファイトが観察さ
れることがある。これらの微結晶の量も、見積もるのは
非常に困難であるが、全体積のせいぜい数%以下であろ
うと思われる。
【0035】なお、本実施形態で言うところの「硬質炭
素膜」とは、ほとんど無視できる量以下の炭素結晶相
(ダイヤモンド、グラファイト)のみを含有する炭素膜
である。この硬質炭素膜の形成には、イオンビーム蒸着
法及びイオンプレーティング法などと呼ばれる方法を用
いる。上記成膜方法は、炭素源ガス、および、水素、酸
素、塩素、フッ素、希ガスなどの希釈ガスを、熱フィラ
メントまたは高周波、更には、磁場などを印加すること
で、プラズマ化し、このプラズマから、電界を用いてイ
オンを加速して引出し、このイオンを型母材上に照射し
て、その成形面に硬質炭素膜を形成する方法である。
【0036】本実施形態の硬質炭素膜の形成方法では、
炭素源として、種々の炭素含有ガスや液体有機化合物を
気化して用いることができる。液体有機化合物として
は、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセ
トンなどのケトン類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族
炭化水素、ジメチルエーテルなどのエーテル類、ギ酸、
酢酸などの有機酸を用いることができる。炭素含有ガス
としては、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、シ
クロヘキサンなどの炭化水素ガス、一酸化炭素、また
は、ハロゲン化炭素などを用いることができる。
【0037】本実施形態で用いられる型母材としては、
アルミナ・ジルコニアのような酸化物系セラミックス、
炭化珪素・窒化珪素・炭化チタン・窒化チタン・炭化タ
ングステンなどの炭化物・窒化物系セラミックス、更
に、WC系の超硬合金、モリブデン・タングステン・タ
ンタルなどの金属を用いることができる。型母材(基
体)の形状は、成形装置や成形レンズの形状により任意
に決めることができるが、例えば、レンズを成形する場
合、成形面を、そのレンズの曲率に合わせて、曲面形状
にし、その曲面上に硬質炭素膜を形成する。
【0038】また、本実施形態では硬質炭素膜は、型母
材上に直接形成しても良いが、中間層を介して形成する
こともできる。中間層としては、Ti,Ta,Si等の
炭化物、窒化物、炭窒化物の、少なくとも一種類以上の
化合物、混合物などを用いることができる。これらの膜
は硬度が高く、化学的安定性にも優れているので中間層
として最適である。また、型母材として超硬材料などの
焼結体を用いた場合、粒子の脱落、ポアなどにより表面
の平滑性が十分に上がらない場合があるが、これらの中
間層は、表面の平滑性を向上させるのに有効である。こ
の中間層の最適な厚さは、一般的には0.5μm以上、
望ましくは0.8μm以上である。上記中間層は公知の
イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法
(化学的気相成長法)などにより形成することができ
る。
【0039】また、中間層の表面にアモルファスSi膜及
びアモルファス炭化シリコン(SiCx)膜を形成すると、
型母材と硬質炭素膜の密着力の向上に、更に好適であ
る。これらの膜は、代表的には公知のスパッタ法やプラ
ズマCVD法で形成される。
【0040】図3は、本実施形態で用いることができる
アモルファスシリコン膜と硬質炭素膜を形成する成膜装
置を示す模式図である。
【0041】図3において、31は真空チャンバー、3
2はイオン源で、加熱されたフィラメントと電場を用い
て炭素含有ガスをイオン化することができる。33は直
流パルス発生源で型材35及び基板ホルダー38に直流
パルスバイアスを印加することができる。34はイオン
ビームを模式的に示したもの、更に、35は型材であ
る。また、36はガス排気口で、バルブ、ターボ分子ポ
ンプ、ロータリーポンプ(何れも図示せず)が接続され
ている。また、イオン源32には不図示のバルブ、ガス
流量調整器、圧力調整器、ガスボンベが接続されてい
る。37は、スパッタターゲットであり、不図示の高周
波電源、高周波整合器が接続されている。38は基体ホ
ルダーで型材を固定することができ、モーター39を用
いて回転することができる。この成膜装置を用いて、ス
パッタターゲット37でアモルファスシリコン膜を、イ
オン源を用いて硬質炭素膜を形成する。なお。本発明で
用いられる成膜装置は、上記装置に限定されるものでは
ない。
【0042】以下、本実施形態の具体的な実施例につい
て説明する。
【0043】(実施例1)図1および図2は、本発明に
係る光学素子成形用型の一つの実施様態を示す図であ
る。なお、図1は光学素子のプレス成形前の状態を示
し、図2は光学素子成形後の状態を示す。ここで、符号
11は型母材で、成形表面には本実施例の硬質炭素膜よ
りなる離型膜が形成されている。12はガラス素材であ
る。また、図2における、符号21は光学素子である。
図1に示すように、型の間に置かれたガラス素材12を
プレス成形することにより、レンズなどの光学素子21
が形成される。
【0044】次に、本実施例の光学素子成形用型につい
て詳細に説明する。型母材として、バインダーレスWC
系超硬合金焼結体(フジダイス製、商品名TJ−05)
を所定の形状に加工した後、成形面に公知のイオンプレ
ーティング法により、中間層として、窒化タンタル(Ta
N)膜を1μmの厚さで形成した。
【0045】次に、型母材を図3の成膜装置に配置し、
イオン源を用いて硬質炭素膜を形成する。ガス流量はア
セチレン:20ml/min、水素:5ml/minと
し、基板温度:200℃で、圧力:4×10-2Paとし
た。また、型母材へ直流パルス電源を用いて直流パルス
バイアスを印加した。電圧は、−3.5kVとして、繰
り返し周波数:2kHz、デューティー比:25%とし
て、約120nmの硬質炭素膜の成膜を行った。
【0046】次に、この光学素子成形用型材を用いて光
学レンズの成形を行った。
【0047】成形ガラスは、クラウン系光学ガラスSK
12(軟化点Sp=672℃、転移点Tg=550℃)
で、直径:φ32mmで、上面が凸面(球面)で、下面が
微細パタ−ン形状を有する回折光学素子を成形する。成
形条件は、窒素雰囲気下、プレス温度620℃で行っ
た。成形中、型と成形された光学素子との離型性は良好
であった。また、成形後の型表面を走査型電子顕微鏡で
観察した所、微細パターン形状に沿って均一に硬質炭素
膜が形成されているのが確認された。また、膜剥離、ク
ラックの発生、更には、ガラスの融着が認められず、良
好な型表面性を有していた。また、成形ガラスレンズ
も、ガラスの割れが見られず、良好な表面粗さであり、
良好な光学特性を有していた。
【0048】なお、直流パルス電圧を通常の直流電圧と
する以外は、上記と同様にして光学素子成形用型材を製
造し、成形を行った。成形中、型と成形された光学素子
との離型性に問題があり、微細パタ−ン形状の上部での
ガラスの割れが認められ、成形された光学素子は所望の
光学性能を得ることができなかった。また、成形後の型
表面を走査型電子顕微鏡で観察した所、硬質炭素膜の形
成が不均一で微細パターン形状の上部で膜厚が厚くな
り、微細パターン側面で膜厚が薄くなっているのが確認
された。
【0049】(実施例2)型母材として、WC系超硬合
金を所定の形状に加工した後、公知のイオンプレーティ
ング法により、中間層として、窒化チタン(TiN)膜を
1.2μm厚さで形成した。
【0050】この型母材を良く洗浄した後、図3に示す
成膜装置に設置した。まず、Siのスパッタターゲットを
用いて、アモルファスシリコン膜を形成する。ガス流量
をアルゴンガス:40ml/minとして、圧力:0.
5Pa、高周波出力:500Wとして、約80nmのア
モルファスシリコン膜を形成した。
【0051】次に、イオンビーム源を用いて硬質炭素膜
を形成する。ガス流量はベンゼン:30ml/min、
水素:10ml/minとし、基板温度:300℃で、
圧力:7×10-2Paとした。また、加速電圧を、−3
kV、繰り返し周波数:4kHz、デューティー比:5
%とした。この成膜により約100nmの硬質炭素膜の
成膜を行った。
【0052】次に、この光学素子成形用型材を用いて光
学レンズの成形を行った。
【0053】成形ガラスは、クラウン系光学ガラスSK
12(軟化点Sp=672℃、転移点Tg=550℃)
で、直径:φ32mmの色収差補正用のバイナリーレン
ズを成形する。成形条件は、窒素雰囲気下、プレス温度
620℃で行った。成形中、型と成形された光学素子と
の離型性は良好であった。また、成形後の型表面を走査
型電子顕微鏡で観察した所、微細パターン形状に沿って
均一に硬質炭素膜が形成されているのが確認された。ま
た、膜剥離、クラックの発生、更には、ガラスの融着が
認められず、良好な型表面性を有していた。また、成形
ガラスレンズも、ガラスの割れが見られず、光学特性も
良好であった。
【0054】(実施例3〜5、比較例1〜2)直流パル
スバイアス電圧を種々変更する以外は、実施例2と同様
にして、光学素子成形用型材を形成し、光学素子を成形
した。その結果を以下に示す。
【0055】 直流パルス電圧 光学素子の光学特性 型の耐久性 実施例3 −1.2kV ◎ △ 実施例4 −2.5kV ○ ○ 実施例5 −3.8kV △ ◎ 比較例1 −4.5kV × ◎ 比較例2 −0.75kV ◎ × 但し、◎:非常に良好、○:良好、△:実用上可、×:不可である。
【0056】硬質炭素膜の成膜条件で、直流パルス電圧
を本実施形態の範囲内とすることで、光学素子の光学特
性及び型の耐久性は良好となる。これに対して、直流パ
ルス電圧を本実施形態の範囲以下とすると、型母材と硬
質炭素膜の密着力が低下し、硬質炭素膜の剥離が生じ、
型の耐久性が悪化する。更に、直流パルス電圧を本実施
形態の範囲以上にすると、型母材の微細パターン先端部
でのエッチングが生じ、所望の形状が損なわれる。この
ため、成形した光学素子の形状も所望の形状からずれる
ことになり、光学性能が悪化する。
【0057】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、離
型層として形成される硬質炭素膜を型材に密着力良く形
成し、更に微細パターン形状に沿って均一に成膜された
光学素子成形用型材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子成形用型の模式的断面図であ
り、光学素子を成形する前の状態を示す図である。
【図2】本発明の光学素子成形用型の模式的断面図であ
り、光学素子を成形した後の状態を示す図である。
【図3】アモルファスシリコン膜と硬質炭素膜を形成す
る成膜装置を示す模式図である。
【図4】硬質炭素膜が理想的に成膜されている状態を示
す図である。
【図5】硬質炭素膜が不均一に成膜されている状態を示
す図である。
【符号の説明】
11 型母材 12 ガラス素材 21 光学素子 31 真空チャンバー 32 イオン源 33 直流パルス発生源 34 イオンビーム 35 型材 36 ガス排気口 37 スパッタターゲット 38 基板ホルダー 39 モーター 41 型母材 42 硬質炭素膜

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回折光学素子成形用型の製造方法であっ
    て、 前記回折光学素子成形用型の母材を、少なくとも炭素原
    子を含むプラズマ中に置き、前記母材に1kV以上4k
    V以下の直流パルス電圧を印加して、前記母材の成形面
    に硬質炭素膜を形成することを特徴とする回折光学素子
    成形用型の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の製造方法によって製造
    されたことを特徴とする回折光学素子成形用型。
JP2001208153A 2001-07-09 2001-07-09 回折光学素子成形用型及びその製造方法 Withdrawn JP2003020232A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006188416A (ja) * 2004-12-07 2006-07-20 Pentax Corp ガラス光学素子用成形型の製造方法

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