JP2009161402A - 光学素子成形用金型および光学素子の製造方法 - Google Patents

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真 奥村
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稔 一條
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Abstract

【課題】金型の母材に含まれる軽元素の成形面への拡散を抑制し、長期にわたり使用可能な光学素子成形用金型等を提供する。
【解決手段】母材11と、母材11の成形面に形成され下記(a)式により表される組成のアモルファス構造を含む被覆膜12と、被覆膜12の上にDLC等からなる離型膜13を有することを特徴とする光学素子成形用金型10。
Ta1−x …(a)
(但し、x、yは、0.05≦x≦0.4、0.3≦y≦1である。)
【選択図】図1

Description

本発明は、光学素子成形用金型等に係り、特に、長期にわたり使用可能な光学素子成形用金型等に関する。
光通信等に用いられるレンズや、DVDのピックアップヘッドに搭載されるレンズおよびデジタルカメラに用いられるレンズなどの光学素子は、高屈折率、低複屈折、低色収差及び耐高温性の観点からガラスレンズが用いられる。また、このガラスレンズの表面を非球面とすることで、単一レンズで収差を無くすこともでき、デバイスの軽量化が可能である。この非球面ガラスレンズの製造方法には、従来の研磨方法では加工精度および量産性に劣ることから、モールド成形法が用いられる。このモールド成形法は、プリフォームと呼ばれる加熱軟化させたガラスを、所望の精度に仕上げられた非球面成形表面を有する金型でプレスすることで、金型の形状を転写する成形法である。
従って、金型表面は、耐熱性に優れ、ガラスとの反応性が低く、膜硬度が大きいことが要求される。このため、貴金属合金膜(PtIr、PtRh等)やカーボン膜のような離型膜を金型の母材に成膜し、これらの条件を満たす光学素子製造用の金型を実現しようとする試みがなされている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−226221号公報
しかしながら、これらの貴金属合金膜(PtIr、PtRh等)やカーボン膜のような離型膜を単に成膜するだけでは、金型の母材に含まれる軽元素の成形表面への拡散を防止することができない。その結果、金型の成形面におけるガラスとの反応性が不均一となり、製造した光学素子に亀裂が発生するといった問題が生じる。また、カーボン膜の場合、金型の母材に含まれる軽元素が表面に拡散することにより、成形表面に凹凸が生じるため、製造された光学素子表面に凹凸が転写し、曇りが発生するといった問題があった。
これらの問題を解決するために、離型膜と母材との間に無機物のバリア層を設ける手法もあるが、従来用いられてきたバリア層は光学素子の成形による長時間の熱サイクルを経ると粒成長し、バリア性を失う。また、この粒成長は、金型の成形面を荒らすため、金型の寿命を縮め、その結果、光学素子の生産性を悪くする原因にもなる。
上記課題に鑑み、本発明の目的は、金型の母材に含まれる軽元素の成形面への拡散を抑制し、長期にわたり使用可能な光学素子成形用金型を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、生産性よく光学素子を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、バリア層としてアモルファス構造を含む膜を使用することで軽元素の金型成形面への拡散を抑制できることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成した。即ち、本発明は以下を要旨とするものである。
かかる目的のもと、本発明の光学素子成形用金型は、母材と、母材の成形面に形成され、Ta1−x(但し、x、yは、0.05≦x≦0.4、0.3≦y≦1である。)により表される組成の被覆膜とを有することを特徴とする。
ここで、被覆膜は、アモルファス構造を含むことが好ましく、被覆膜は、ガラスまたは結晶化ガラスからなることが好ましく、被覆膜は、Cu−Kα線を用いたX線回折測定で、θ−2θ法により2θを55°〜65°の範囲で測定することによって得られるX線回折スペクトルのTaNのピークの半値幅が8°以上、またはピークが検出できないことが更に好ましい。
また、被覆膜は、BNを更に含むことが好ましく、被覆膜の上に離型膜を更に有することが更に好ましい。
また、本発明の光学素子の製造方法は、母材の成形面に、Ta1−x(但し、x、yは、0.05≦x≦0.4、0.3≦y≦1である。)により表される組成の被覆膜が形成された金型を用いて、モールド成形により製造されることを特徴とする。
ここで、モールド成形を行う際の成形温度は、500℃以上であることが好ましい。
本発明によれば、金型の母材に含まれる軽元素の成形面への拡散を抑制し、長期にわたり使用可能な光学素子成形用金型等を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態にかかる光学素子成形用金型の概略構成を示す図である。
図1に示した光学素子成形用金型10は、母材11と、母材11に含まれる軽元素の拡散防止のための被覆膜12と、成形されて固化した光学素子と光学素子成形用金型10との離型を容易にするための離型膜13とを有して構成される。
母材11は、例えば、タングステンカーバイト(WC)を主成分とし他の軽金属元素をバインダ成分として含んだ超硬合金により形成される。母材11は、他の軽金属元素として、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)を含む。母材11は、ガラスレンズの成形に足るだけの強度を有し、モールド成形を行う面側は、成形する光学素子の形状に応じた球面、非球面、もしくは自由曲面形状に加工されている。また、母材11は、平均表面粗さRaが例えば2nm以下に研削され研磨されている。なお、母材11は、タンタルカーバイト(TaC)、チタンカーバイト(TiC)、タンタルナイトライド(TaN)、及びチタンナイトライド(TiN)のうちいずれかひとつを主成分とするサーメットで構成されてもよい。
また、離型膜13は、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属またはその合金や、DLC(Diamond like Carbon)などによる膜である。この膜厚は、例えば0.05μm〜3μmであり、平均表面粗さRaは、例えば4nm以下である。
被覆膜12は、タンタル(Ta)、ホウ素(B)、窒素(N)からなる膜であり、その組成をTa1−xで表したとき、0.05≦x≦0.4、0.3≦y≦1としたものである。
このとき、Bは少量であれば、TaNの硬度を低下させることなく、TaNの格子間に侵入し、TaNをアモルファス化させる。格子間に侵入したBは加熱後も格子間に留まり、アモルファス化により被覆膜12を構成する成分が粒成長するのを抑制することができる。
ここで、Bの組成はx≦0.4であればTaNの格子間に侵入でき、Ta1−xの組成を有する化合物となるが、それ以上ではTa1−xとはならず過剰なBが生じる。しかし、過剰なBを窒化物とすると、BNからなる組成物が生じ、被腹膜12自身にこのBNによる潤滑性を持たすことが可能である。そのため、BNが生じる範囲である限り不都合は生じない。なおBの含有量の下限としては、TaNをアモルファス化する効果が生じる範囲として、x≧0.05であることが好ましい。
NはTaおよびBと結合して硬質な窒化物を形成する。また、上記で述べたように、過剰なBをドープすると遊離のBができ、熱的に不安定になるので、窒化度は高いほうが良い。この観点からNは、0.3≦y≦1の範囲が好ましく、0.5≦y≦1の範囲がより好ましい。
被覆膜12の粒成長抑制にかかわる因子となるアモルファス化の度合いについては、θ−2θ法によるXRD(X-Ray Diffraction:X線回折)測定で特定することができる。すなわちCu−Kα線を用いたとき、Bを添加しない場合にはX線回折スペクトルにTaNによる回折ピークが現れるが、Bを添加することにより、この回折ピークがブロード化し、さらに添加するとピークが検出されなくなる。TaNの回折ピークは2θ=55°〜65°の範囲にあり、B添加により半値幅が8°以上になるか、またはピークが検出できなければアモルファス化を確認できる。
また、被覆膜12は、その全てがアモルファス化している必要はなく、アモルファス構造を一部に含む形態であればよい。また、結晶化ガラスとなっていてもよい。
被覆膜12の膜厚は、バリア性、耐久性の確保の点から50nm以上とすることが好ましい。しかし、膜厚が過度に厚い場合、応力により剥離しやすくなる。このため、膜厚の上限は2000nm以下、より好ましくは1000nm以下とすることが好ましい。
本実施の形態による被覆膜12を形成することにより、長期にわたる高温状態においても粒成長を抑制し、光学素子成形用金型10の成形面における平滑性を維持することができる。また、粒成長を抑制することにより、長期にわたり高温状態でモールド成形を行っても、母材11中に含有する軽元素成分の染み出しを抑制することを可能とする。モールド成形を行う際の成形温度は、500℃以上である場合に軽元素の染み出しを抑制する効果が得られやすい。
次に、以上説明した光学素子成形用金型10を製造する装置と方法について説明する。
図2は、本実施の形態にかかる光学素子成形用金型10を製造する際に使用される成膜装置30の構成を示した図である。
図2に示されているように、成膜装置30は、母材11が搭載される金型保持台32と、前述した被覆膜12や離型膜13の素材となるターゲット34と、母材11の成膜環境を制御するガス流量調整器36とを備えている。
また、成膜装置30は、母材11とターゲット34の周囲を真空環境にする真空排気装置38と、ターゲット34上の磁場を水平にするマグネット40と、母材11とターゲット34の周囲環境の真空度を測定する真空度測定装置42とを備えている。更に、成膜装置30は、ターゲット34を真空槽48と絶縁する絶縁体44と、ターゲット34に高周波電圧を印加する高周波電源46とを備えている。更にまた、成膜装置30は、母材11とターゲット34とを収容し真空環境を維持する真空槽48と、ターゲット34が載置されるカソード50とを有して構成される。
図2に示した成膜装置30を用いて、金型形状に加工された母材11に対して、最初に被覆膜12をスパッタ法により成膜する。
まず、成膜対象である母材11とターゲット34とを対向して配置し、真空排気装置38により周囲環境を真空状態にする。ここで用いられるターゲット34は、Ta、Bを含む混合物である。
次に、ガス流量調整器36により真空槽48内に、ArとNからなる混合ガスを導入する。
混合ガスが所定の圧力に達した後、高周波電源46を用いて母材11とターゲット34との間に高周波電圧を印加する。高周波電圧を印加するとターゲット34からは電子が飛び出す。飛び出した電子は、真空環境を高速移動し、真空環境中にわずかにある気体分子に衝突し、気体分子の電子をはじき飛ばし、イオンを生成する。この際、高速移動する電子やイオンは、マグネット40により作られた磁場の影響を受けて、ターゲット34に衝突する。そして、ターゲット34に衝突したイオンは、ターゲット34の粒子をはじき飛ばす(スパッタリング現象)。はじき飛ばされたターゲット34の粒子が母材11に衝突、付着することで、Ta1−xの組成からなる被覆膜12が成膜される。
被覆膜12が形成された後、カソード50に載置された被覆膜12作成用のターゲット34は離型膜13用のターゲットである白金(Pt)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属やその合金等からなるターゲット34に置き換えられた後、同じくスパッタ法により、被覆膜12上に離型膜13用が成膜され、本実施の形態の光学素子成形用金型10が製造される。
なお、母材11上に被覆膜12や離型膜13を成膜する方法は、以上のようなスパッタ方に限られるわけではない。例えば、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法などの各種の物理的蒸着、化学的蒸着を適用することができる。
以上で説明した製造方法により製造された光学素子成形用金型10を用いて、光学素子をモールド成形する装置および方法を以下に説明する。
図3は、本実施の形態により製造された光学素子成形用金型10を用いた、モールド成形装置100を示す構成図である。
モールド成形装置100は、光学素子をモールド成形する下金型10a及び上金型10bと、下金型10a及び上金型10bを所定の温度に維持する下均熱プレート114及び上均熱プレート116と、下金型10a及び上金型10bを昇温する下加熱ヒーター118及び上加熱ヒーター120とを有して構成される。また、モールド成形装置100は、上金型10bを可動させる加圧シリンダー124と、光学素子の成形環境を制御する窒素導入口126及び窒素排気口128と、下金型10a及び上金型10b等を収容するガラスレンズ成形器130と、上金型10bの動作を規制するスリーブ132とを有して構成される。
下金型10aと上金型10bとは共に、上述した光学素子成形用金型10である。下金型10aと上金型10bとが、載置されて軟化された光学素子母材122をモールド成形法により成形してガラスレンズを製作する。
下均熱プレート114と上均熱プレート116は、それぞれ下加熱ヒーター118と上加熱ヒーター120に搭載される。下均熱プレート114と上均熱プレート116は、サーマルバッファ(熱的緩衝体)の役割を果たし、下加熱ヒーター118と上加熱ヒーター120から受ける熱を、光学素子の製作に支障がない程度に均一な状態にして下金型10aと上金型10bとに伝える。ここで、下加熱ヒーター118と上加熱ヒーター120とは、図示しない制御手段を用いて、下金型10aと上金型10bの表面がモールド成形に適した温度になるように制御されている。
光学素子母材122は、例えば、シリカを主成分とし、アルミナ、ナトリウム、フッ化ランタン等が添加された低融点ガラスにより構成される。光学素子母材122は、例えば、軟化温度が約600℃以下の低融点ガラスであっても、軟化温度が約400℃以下の超低融点ガラスであってもよい。
加圧シリンダー124は、上加熱ヒーター120及び上均熱プレート116に固定された上金型10bを上下動させる駆動系である。図示しない制御手段により動作が制御される。
窒素導入口126及び窒素排気口128は、成形時の金型の雰囲気を窒素として、高温下での酸化を防止している。
以上の構成を有するモールド成形装置100が光学素子母材122をモールド成形して光学素子を製造する製造工程を以下に説明する。
まず、光学素子母材122を、下金型10aと上金型10bとの間に光学素子母材122を投入し、光学素子母材122をモールド成形装置100に配置する。
次に、図示しない排気ポンプ及び処理ガス導入ポンプを使って、窒素導入口126から窒素を導入し、モールド成形装置100内部の空気を窒素ガスに置換する。そして、下加熱ヒーター118及び上加熱ヒーター120を昇温し、窒素雰囲気下で光学素子母材122の転移点(転移温度)Tgまで光学素子母材122を充分に加熱し、更に、屈伏点(屈伏温度)Atまで昇温して光学素子母材122を軟化させる。
そして、屈伏温度At付近になったとき、加圧シリンダー124により上金型10bを可動させ、下金型10aと上金型10bとにより光学素子母材122をプレスする。
光学素子母材122は、プレスの際に下金型10a及び上金型10bにより加えられる圧力により外側に広がり、下金型10aと上金型10bとの間にできる空隙に収容され、モールド成形される。
その後、圧力を加えたままモールド成形装置100を転移温度Tgまで冷却し、更に上金型10bの圧力を開放し、例えば常温まで冷却して、光学素子を取り出す。
〔光学素子成形用金型の作成装置、作成条件〕
(実施例1〜5)
光学素子成形用金型10の作成装置として、図2に示した成膜装置30を使用した。
実施例1〜5では、母材11上に被覆膜12を構成するTa1−xの1−x、x、yとして下記の表1で示す組成のものを成膜した。処理ガスとしてAr、Nの混合ガスを使用し、圧力は0.54Paとした。このとき、Nの分圧を調整することでTa1−x中のNの量を調整した。その結果、200nmの膜厚を有する被覆膜12が成膜された。
被覆膜12の上に、DLCからなる離型膜13の成膜を行った。膜厚は、50nmとした。
(実施例6〜10)
実施例6〜10では、被覆膜12を構成するTa1−xの1−x、x、yとして下記の表1で示す組成のものを成膜した。それぞれの組成は、実施例1〜5と同様であるが、被覆膜12上に成膜する離型膜13として、実施例1〜5で使用したDLCではなく、Pt0.4Ir0.6の組成からなる膜を成膜した。
その他の条件は、実施例1〜5と同様の条件で光学素子成形用金型10を作成した。
(比較例1〜3)
被覆膜12を構成するTa1−xの1−x、x、yとして下記の表1で示す組成のものを使用した以外は、実施例1〜5と同様の条件で、光学素子成形用金型10を作成した。
(比較例4〜6)
被覆膜12を構成するTa1−xの1−x、x、yとして下記の表1で示す組成のものを使用した以外は、実施例6〜10と同様の条件で、光学素子成形用金型10を作成した。
(比較例7〜8)
比較例7〜8では、被覆膜12の成膜を行わず、母材11上に直接離型膜13を成膜した。このとき離型膜13として、比較例7では、DLCを、また比較例8では、Pt0.4Ir0.6の組成からなる膜を使用した。
〔評価方法〕
以上のようにして得られた実施例1〜10および比較例1〜8の光学素子成形用金型10を用い、図3で示したモールド成形装置100を用いて両凸レンズの連続成形を実施した。
下金型10a上に、球状加工した硼珪酸光学ガラスVC80(住田光学ガラス社製)を光学素子母材122として設置し、下金型10aおよび上金型10bを窒素雰囲気中で600℃に加熱した。光学素子母材122を加熱、軟化させるため均熱時間60秒を設け、その後、上金型10bを駆動して、30kgf/cmのプレス圧で60秒間保持した。そして、10kgf/cmで保圧したまま540℃まで冷却し、それ以後の冷却では上金型10bを離型させて200℃において成形された光学素子を取り出した。
以上の成形工程を合計200回繰り返し、連続成形試験とした。連続成形試験前後の光学素子成形用金型10の平均表面粗さRaをAFM(Atomic Force Microscope:原子間力顕微鏡)で測定し、また、試験終了後の光学素子成形用金型10表面への軽元素の表面拡散状態をAES(Auger Electron Spectroscopy:オージェ電子分光分析法)を用いてNi量を測定することで行った。
この際に、連続成形試験後の光学素子成形用金型10の平均表面粗さRaは、3.0nm未満であれば良好と判断した。また、光学素子成形用金型10表面のNi量は検出限界以下であれば良好と判断した。
〔評価結果〕
評価結果を、表1に示す。
表1では、実施例1〜10および比較例1〜8で使用した離型膜13の種類、被覆膜12の組成、連続成形試験の前後における平均表面粗さRa、および連続成形試験後の光学素子成形用金型10表面のNi量(at%)をそれぞれ示した。
表1で示した結果によれば、実施例1〜10において離型膜13の組成にかかわらず、
被覆膜12を構成するTa1−xが、0.05≦x≦0.4、0.3≦y≦1の範囲内のものは、平均表面粗さRa、光学素子成形用金型10表面のNi量共に良好な結果を得た。
一方、比較例1〜6で示したように、被覆膜12を成膜してもその組成が、0.05≦x≦0.4、0.3≦y≦1の範囲外であると、平均表面粗さRaについては良好なものもあったが、光学素子成形用金型10表面のNi量については、全て不合格であった。
また比較例7〜8で示したように、被覆膜12を成膜せず、離型膜13のみを成膜したものについては、平均表面粗さRa、光学素子成形用金型10表面のNi量共に不合格となった。
Figure 2009161402
本実施の形態にかかる光学素子成形用金型の概略構成を示す図である。 本実施の形態にかかる光学素子成形用金型を製造する際に使用される成膜装置の構成を示した図である。 本実施の形態により製造された光学素子成形用金型を用いた、モールド成形装置を示す構成図である。
符号の説明
10…光学素子成形用金型、10a…下金型、10b…上金型、11…母材、12…被覆膜、13…離型膜、30…成膜装置、100…モールド成形装置

Claims (8)

  1. 母材と、
    前記母材の成形面に形成され、下記(a)式により表される組成の被覆膜と、
    を有することを特徴とする光学素子成形用金型。
    Ta1−x …(a)
    (但し、x、yは、0.05≦x≦0.4、0.3≦y≦1である。)
  2. 前記被覆膜は、アモルファス構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用金型。
  3. 前記被覆膜は、ガラスまたは結晶化ガラスからなることを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用金型。
  4. 前記被覆膜は、Cu−Kα線を用いたX線回折測定で、θ−2θ法により2θを55°〜65°の範囲で測定することによって得られるX線回折スペクトルのTaNのピークの半値幅が8°以上、または当該ピークが検出できないことを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用金型。
  5. 前記被覆膜は、BNを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用金型。
  6. 前記被覆膜の上に離型膜を更に有することを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用金型。
  7. 母材の成形面に下記(a)式により表される組成の被覆膜が形成された金型を用いて、モールド成形により製造されることを特徴とする光学素子の製造方法。
    Ta1−x …(a)
    (但し、x、yは、0.05≦x≦0.4、0.3≦y≦1である。)
  8. 前記モールド成形を行う際の成形温度は、500℃以上であることを特徴とする請求項7に記載の光学素子の製造方法。
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