JP2009277837A - 破断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】短時間で、かつ、より確実にフィルム状接着剤の破断を達成できる技術を提供すること。
【解決手段】ウエハ10よりも大径のフィルム状接着剤11を、環状フレーム12の開口部12aに装着された伸縮性を有する保護テープ13上に貼着した状態で、デバイスを区画するストリート15に沿って破断する破断装置であり、前記環状フレーム12を所定箇所に保持するフレーム保持手段2(21,22)と、前記保護テープ13を拡張する保護テープ拡張手段3と、前記破断を行う空間に冷気Aを送り込む冷気導入手段5と、前記ウエハ10が存在する前記フィルム状接着剤11領域に、前記保護テープ13を介して接触可能とされた冷却用プレートPと、を少なくとも備える破断装置を提供する。
【選択図】図5

Description

本発明は、半導体ウエハをチップ化する際に使用される破断装置に関する。より詳しくは、半導体ウエハを支持しているフィルム状接着剤を、伸縮性の保護テープを介して環状フレームの開口部に保持させておき、該保護テープを拡張させるときの力を利用して、前記フィルム状接着剤を格子状に破断する装置に関する。
半導体デバイス製造工程では、略円板形状の半導体ウエハ(以下、「ウエハ」と略称。)の表面に、IC(integrated circuit:集積回路)又はLSI(large-scale integration:大規模集積回路)などの回路を多数形成し、これらの回路が形成された各領域を、所定のストリート(切断ライン)に沿って、格子状にダイシングすることにより、個々の半導体チップ(デバイス)を製造している。
そして、分割された半導体チップは、その裏面にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂からなり、厚さが例えば20〜100μmのフィルム状接着剤が貼付され、このフィルム状接着剤を介してダイボンディングフレームなどに実装される。
ここで、ウエハを支持した状態の上記フィルム状接着剤を、伸縮性の保護テープを介して環状フレームの開口部に保持させた状態としておき、前記保護テープを外方向に拡張させたときの力を利用して、前記フィルム状接着剤を格子状に破断する技術が提案されている。
しかしながら、フィルム状接着剤が非常に柔軟な糊状物質によって形成されているため、このフィルム状接着剤を保持している上記保護テープを拡張させた際に、このフィルム状接着剤が保護テープと一緒に伸びてしまうことが、該フィルム状接着剤を確実に破断するときの障害となることが明らかになった。そのため、冷却流体をウエハ上方から噴射して、フィルム状接着剤を冷却しながら破断を行うことでフィルム状接着剤の伸びを抑止することで、該フィルム状接着剤を確実に破断しようとする技術が提案されている(特許文献1参照)
特開2007−27250号公報
フィルム状接着剤を冷却しながら破断を行う上記従来技術によって、一定の成果を収めることができたが、さらに、短時間で、かつ、より確実にフィルム状接着剤の破断を達成できる技術の開発が要望されていた。
そこで、本発明は、前記要望に応える改良技術を提供することを主な目的とする。
本発明は、複数のデバイスがマトリクス状に形成されているウエハの裏面に貼付された、前記ウエハよりも大径のフィルム状接着剤を、環状フレームの開口部に装着された伸縮性を有する保護テープ上に貼着した状態で、前記デバイスを区画するストリートに沿って破断する破断装置であって、前記環状フレームを所定箇所に保持するフレーム保持手段と、前記保護テープを拡張する保護テープ拡張手段と、前記破断を行う空間に冷気を送り込む冷気導入手段と、前記ウエハが存在する前記フィルム状接着剤領域に、前記保護テープを介して接触可能とされた冷却用プレートと、を少なくとも備える破断装置を提供する。
この破断装置を構成する前記冷却用プレートは、例えば、冷気をプレート内部に導入可能な構造を備える通気性プレートを採用できる。具体例の一つは、通気プレートの外周側面又は/及び外周近傍領域から冷気を該プレート内部に取り込むことができる多孔構造を備えるものである。そして、通気性プレートの裏面側に冷気吸引手段を配置しておいて、その吸引採用により冷気を該プレート内に導入する構成を採用してもよい。
本発明によれば、破断加工を行う空間に冷気を送り込むとともに、破断対象のフィルム状接着剤に冷却用プレートを接触させて冷すことにより、該フィルム状接着剤の柔軟性(伸縮性)を一層低減させ、それにより該フィルム状接着剤の伸びをより抑止することが可能となる。その結果、このフィルム状接着剤を支持している保護テープを拡張させたときの力を利用して、従来よりも短時間内で、より一層確実に、フィルム状接着剤の破断を行うことが可能となる。
以下、本発明に係る実施形態の一例について、添付図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態例に狭く限定されない。
図1は、本実施形態例の破断装置の構成を示す分解斜視図であり、図2は、その全体外観を示す斜視図である。また、図3は、破断対象であるフィルム状接着剤の状態を示す斜視図である。
まず、図1及び図2に示すように、本実施形態例の破断装置1(以下、装置1と略称する。)は、ウエハ10の裏面に貼着されたフィルム状接着剤11を予め想定されている所定箇所にて破断するための装置である。より具体的には、ウエハ10を支持しているフィルム状接着剤11を、伸縮性の保護テープ13を介して環状フレーム12の開口部121に保持させておき、前記保護テープ13を拡張させるときの力を利用して、保護テープ13上のフィルム状接着剤11を格子状のに破断するときなどに使用される装置である。
この装置1は、少なくとも、環状フレーム12を保持するフレーム保持手段2と、保護テープ13を拡張するための拡張手段3と、フィルム状接着剤11を冷却するために、外部から冷気Aを装置1内部に導入する冷気導入手段5と、ウエハ10が存在しているフィルム状接着剤11領域に対して保護テープ13を介して接触可能に構成された冷却用プレートPと、を備えている。
なお、装置1の破断対象となるフィルム状接着剤11は、半導体チップを実装又は積層する際に使用されるものであって、例えば、ダイボンディングフィルム及びダイアタッチフィルムなどを挙げることができる。
ここで、図3に示すように、これらのフィルム状接着剤11は、通常、ウエハ10よりも外径が大きくなるように設計されており、その外周部がウエハ10からはみ出している。一方、ウエハ10の表面には、複数のデバイス14がマトリクス状に形成されており、フィルム状接着剤11は、これらデバイス14を区画する格子状のストリート15に沿って破断されることになる。
また、本実施形態例である装置1を構成するフレーム保持手段2(図1参照)は、例えば、SUSなどの金属材料からなるプレート状の保持部材21、22を備えている。この一対の保持部材21,22は、上下に対向した状態で配置されており、その中央部には、環状フレーム12の開口部121と略同径の開口部211,221がそれぞれ形成されている(とくに、図1参照)。
そして、環状フレーム12は、保持部材21と保持部材22との間に、(1)開口部12a、(2)保持部材21の開口部211、(3)保持部材22の開口部221、以上(1)から(3)がそれぞれ重なって整合するように配置され、保持部材21,22によって環状フレーム12は挟持されて保持される。この場合、保持部材21,22それぞれの開口部211、221を取り囲む面が、環状フレーム12の保持面として機能する。
なお、図1に示す装置1では、保持部材21と保持部材22とで環状フレーム12を挟持する構成としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、クランプなどの固定部材によって環状フレーム12を保持部材21に固定する構成にすることも可能である。その場合は、保持部材21の開口の周囲の面が保持面として機能する。
次に、保護テープ拡張手段3は、前述したフレーム保持手段2(21,22)に保持された環状フレーム12に装着されている保護テープ13のウエハ貼付領域に作用して、伸縮性の保護テープ13を拡張させる役割を果たし、上方から視たときに円形(リング状)をなす押圧部31(特に、図1参照)を少なくとも備えている。この押圧部31は、保持部材21,22の開口部211,221よりもやや小径のサイズに設計されており、これらの開口部211,221内を通り抜け可能とされている。
また、この保護テープ拡張手段3は、保護テープ13に作用しない待機状態のときには、例えば、保持部材21の保持面よりも下方位置に、保護テープ13に接触しない相対的位置(以下、待機位置という。)に配置されている(図4参照)。
更に、この保護テープ拡張手段3には、押圧部31の外周部に環状溝を形成し、この環状溝に沿って複数の拡張補助ローラー(特に、詳しく図示せず)を回転自在に配設しておく構成を採用してもよい。このような拡張補助ローラーを設けると、保護テープ13を押圧して拡張する際に生じる摩擦抵抗を軽減し、引張力を均等に作用させることができるからである。
次に、進退手段4は、保護テープ拡張手段3を所定の待機位置から保護テープ13を物理的に拡張可能な位置へと位置付けるための手段であり、一例を挙げるならば、サーボモータなどを用いて実施することができる。図1に示す装置1においては、この進退手段4は、保護テープ拡張手段3の下部に配置されており、この保護テープ拡張手段3を、保持部材21の保持面よりも下方の待機位置から、該保持面よりも相対的に上方の拡張位置へ移動させることが可能な構成となっている。
なお、本発明に係わる装置1は、図1に示されているような保護テープ拡張手段3の移動構成に限定されるものではなく、例えば、エアーピストン機構などからなる進退手段4をフレーム保持手段2に連結しておいて、保護テープ拡張手段3の位置は固定しておいてフレーム保持手段2を移動させることにより、拡張手段3を待機位置及び拡張位置に位置づける構成にしてもよい。
更に、本実施形態例である装置1は、図2に示すように、上述したフレーム保持手段2、保護テープ拡張手段3、進退手段4などが筐体7によって囲繞された構成であってもよい。この場合、冷気Aを閉塞された筐体7内に導入することにより、該冷気Aを周囲に放散させずに、フィルム状接着剤11を効果的に冷却することができる。
その際、筐体7は、例えば、上方開口の直方体状のハウジング7aと、このハウジング7aの上方開口部をヒンジによって開閉自在に閉塞する箱状の蓋体7bとからなり、ハウジング7aの一部には、環状フレーム12などを出し入れするためのシャッター機構7cが開閉自在に設けられている構成とすることができる。
また、冷気導入手段5は、例えば、筐体7内の温度を−10〜0℃程度に冷却できるものであればよく、例えば、クーラーユニットなどの冷却気体供給装置(図示せず。)から通気配管を介して筐体7内に冷気Aを導入するとともに、筐体7に設けられた排気口から内部の冷気Aを排気する構成を採用することができる(図2参照)。
次に、上述した装置1の諸動作、即ち、この装置1を使用してフィルム状接着剤11を破断するときの主要工程に係わる動作について、具体的に説明する。なお、図4〜図8は、フィルム状接着剤11を破断する方法に係わる主要な工程段階の装置1の状態を示す図(一部断面図)である。
本実施形態例の装置1によってフィルム状接着剤11を破断する場合は、まず、図4に示すように、その裏面にフィルム状接着剤11が貼付されているウエハ10が保護テープ13を介して開口部12a(図3参照)に支持されている環状フレーム12を、フレーム保持手段2の保持部材22上に位置決めして載置する工程(以下、載置工程)を行う。なお、このときのウエハ10は、ダイシング後で個々のチップに分割された状態でもよく、また、レーザによりストリートに変質層が形成された状態であってもよい。
次に、前記載置工程後に、図4に示すように、閉塞された筐体7内に冷気Aを外部から導入する。冷気Aを導入する理由は、フィルム状接着剤11を所定の温度域まで冷却して破断し易い物性条件とするためである。冷気Aを筺体7内に導入するタイミングは、フィルム状接着剤11の破断を行う際に、該接着フィルム状接着剤11が破断され易くなる適切な温度に冷却された状態を形成できるように実施すればよいのであり、特に限定されない。例えば、冷気Aの導入を上記載置工程の前に行っておいてもよい。なお、筺体7内部の温度状況は、種々の温度センサー等によってリアルタイムで監視し、これを目的の所定温度範囲内に制御することが可能である。
次に、図5には、例えば、エアーピストン機構などの進退手段4によって、上方から視たときにリング状を呈する保護テープ拡張手段3(押圧部31のリング形状については図1も参照)を、保護テープ13側へ上昇させた工程段階が示されている。
このときの保護テープ拡張手段3の上昇距離は、例えば、図4に示された待機位置から、保護テープ拡張手段3の押圧部31が保護テープ11の裏面に接触し得る位置に到達するまでの距離D(図4を再参照)とする。なお、この図5に例示された装置状態では、冷却用プレートPについても、上記進退手段4とは別に駆動する進退手段8によって保護テープ11の裏面に接触する位まで上昇している状態が示されている。
ここで、円盤状をなす冷却用プレートPの口径サイズは、その最外周が最も外側のストリート151の位置を越えないことが望ましい(なお、ストリート151については図6を参照)。図3を再び参照して説明すると、ウエハ10の外側へはみ出しているフィルム状接着剤11領域(図3の斜線領域参照)に対して過剰に、冷却用プレートPが接触しないようにすることが望ましい。ウエハ10からはみ出しているフィルム状接着剤11領域(図3の斜線領域参照)において、目的外の破断(即ち、ストリート15以外の部分での破断)が起こらないようにするためである。
次に、冷却用プレートPを冷却するための手段については、フィルム状接着剤11の破断作用を向上し得る温度条件を制御できる手段であれば、特に限定されることなく、自由に採用可能である。例えば、冷却用流体をプレートP内部に通流させるようにしてもよい。具体的には、フィルム状接着剤11の破断作用を向上し得る温度条件の「冷却液」をプレートP内部に通流させる手段を採用してもよい。
あるいは、冷却用プレートPを冷却するための一手段として、装置1内に導入された冷気Aを有効に活用してもよい。即ち、冷却用プレートPを通気性のプレート構造としておき、このプレートPの裏面(特に、裏面中央部)に冷気吸引機能を有する冷気吸引手段6を配置しておくようにする。そして、この冷気吸引手段6を作動させることにより、通気性の冷却用プレートPの周辺空間に導入されている冷気Aを通気性プレート6の内部に取り入れるようにする。
このような方法によって、冷却用プレートPが接触している保護テープ13上に存在するフィルム状接着剤11の冷却効果を一層高めることができる。即ち、雰囲気中の冷気Aにフィルム状接着剤11を曝しただけのときと比較して、冷却された状態の冷却用プレートPを保護テープ13に直に接触させることによって、この保護テープ13上に存在しているフィルム状接着剤11の冷却効果を一層高めることができる。なお、通気性を有する冷却用プレートPの具体的な形態例については、後述する。
続いて、保持部材21から離れて対向している保持部材22を保持部材21側に向けて上昇させることにより、環状フレーム12を保持部材21と保持部材22との間に挟持させる。この保持部材22の上昇距離は、図5に示す符号Dである。
このときの保持部材22の上昇動作の際に、該上昇動作のタイミングに連動させて、保護テープ拡張手段3(押圧部31)についても距離Dをやや上回る距離だけ上昇動作を行ってもよい。あるいは、この保護テープ拡張手段3の上昇動作については、一旦そのまま図5に示された位置で待機させておき、保持部材22が上昇動作を行った後に行ってもよい。
ここで、図5では、フレーム保持手段2を構成する保持部材22を上昇させることによって環状フレーム12を挟持状態とする直前の様子が示されている。しかし、環状フレーム12を挟持状態とする方法は、これに限定されるものではなく、例えば、保持部材22に対向するもう他方側の保持部材21を下降させることによって、環状フレーム12を挟持させる動作を採用してもよい。
なお、保持部材22を上昇させることによって、環状フレーム12を保持部材21と22によって挟持された状態とする工程は、環状フレーム12を載置させる段階(図4参照)の後に実施するようにしてもよい。そして、それに続いて、冷却用プレートPを保護テープ13に向けて上昇させ、該プレートPによるフィルム状接着剤11の冷却工程(図5に示す段階参照)に移行するようにしてもよい。
即ち、環状フレーム12を挟持状態でその位置を固定させた後に、冷却用プレートPを上昇させて、図5に示す状態(即ち、通気性プレートPが保護テープ13に接触した状態)とした方が、プレートPによって加えられる下方からの外力により環状プレート12の載置位置のズレが発生してしまうことを心配する必要がなくなるので、より好適である。
次に、図6には、環状フレーム12が保持部材21、22によって挟持状態とされている状況で、該環状フレーム12が挟持された位置よりもさらに相対的に保護テープ拡張手段3を上昇させた結果、冷気A導入後の温度条件下でも依然として伸縮性を維持している保護テープ13が、押圧部31の作用により上方に押し上げられて拡張している工程段階が示されている。
なお、このように保護テープ13を拡張させる工程段階においては、冷気吸引手段6の冷気吸引を停止させておいた方が望ましい。その理由は、冷気吸引によって冷却用プレートPに保護テープ13が吸い付いてしまうことがないため、保護テープ13が自由に拡張し、ひいては、フィルム状接着剤11の破断が円滑に進むからである。
ここで、保護テープ13は、凝固点が低いため、例えば、−10〜0℃程度の温度条件下でも硬化せずに、保護テープ拡張手段3による下方から外力を受けて外周方向に均等に拡張している。一方、保護テープ13上に存在しているフィルム状接着剤11にも保護テープ13から伝えられる引張力が作用しているが、このフィルム状接着剤11は、既に、冷却用プレートPによって効果的に冷却されて硬化している状態にある。このために、フィルム状接着剤11の柔軟性(伸縮性)が抑制されており、その結果、破断予定線であるストリート15(図3参照)に沿う破断現象が容易に起こる状態となっている。このように保護テープ13の拡張は、冷却用プレートPの冷却作用によってフィルム状接着剤11の柔軟性(伸縮性)が抑制された状態の下で行われる。
なお、ウエハ10が未分割であり、レーザなどによってストリート15に変質層が形成された状態である場合では、保護テープ13が拡張されると、ウエハ10にも引張力が作用する。これにより、フィルム状接着剤11と共に、ウエハ10も変質層が形成されている位置、即ち、ストリート15に沿って破断する。
次に、フィルム状接着剤11の破断作業が完了した後は、図7に示すように、エアーピストン機構などの昇降機構などによって保持部材21を所定の位置まで下降させるようにする。そして、その後に、環状フレーム12を、ウエハ10等を保持した状態のままで筺体7から取り出す(取り出し口は、図1のシャッター機構7cも参照)。なお、保護テープ拡張手段3を所定位置まで下降させた後、保持部材21を下降させるというステップを採用することも可能である。
ここで、図8には、保護テープ13を拡張する工程に対応する別の装置状態例が示されている。例えば、図5に示されているような装置状態で、冷却用プレートPによってフィルム状接着剤11を所定時間冷却した後、保持部材21,22で環状プレート12を挟持させる。続いて、冷却用プレートPの位置を維持したままで、保護テープ拡張手段3を構成する押圧部31を上昇させると、図8の装置状態となる。
この図8に示すような装置状態では、冷却用プレートPが保護テープPに接触していない状態で保護テープ13を拡張させることができるという利点がる。この利点により、保護テープ13の拡張が、冷却用プレートPとの摩擦によって妨げられることがなく、ひいては、フィルム状接着剤11の破断も円滑に進むことである。
次に、図9、図10に基づいて、通気性を有する冷却用プレートPの代表的な実施形態例について説明する。
本発明に係わる冷却用プレートPは、上述したように、保護テープ13の裏面に対して接触可能に設けられた円盤状の部材である。この冷却用プレートPは、前記保護テープ13の表面に貼着されているフィルム状接着剤11を効果的に冷却するという役割を果たす部材である。
冷却用プレートPにこのような役割を発揮させるために、該プレートPは、例えば、ステンレスやアルミニウムなどの材料によって、全体にわたって多孔な(ポーラスな)構造に形成する。加えて、このプレートPの裏面(特に、裏面中央部)に配置されている冷気吸引手段6の冷気吸引作用によって、筺体7に導入されている冷気Aを通気性の冷却用プレートPの全体にわたって取り入れるとともに、この冷気Aを該プレートP内部から装置1の外部へ連続的に排出可能とする。
一例を挙げると、図9に示すような通気性の冷却用プレートPでは、該プレートPの裏面外周領域に冷気取り入れ口Qが所定数設けられている構成が採用されている。即ち、この冷却用プレートPは、該プレートPの裏面中央部に冷気吸引手段6を配置しておくことで、前記冷気取り入れ口Qを通じて、筺体7内に導入されている冷気AがプレートPの中心方向に向けて取り入れられるようになっている。これにより、このプレートPの全体が、短時間の内に均等に温度が低下する。
他の実施形態例を挙げると、図10に示す通気性の冷却用プレートPでは、該プレートPの外周壁面に開口する冷気取り入れ口Rが所定数設けられている構成が採用されている。即ち、プレートPは、該プレートPの裏面中央部に冷気吸引手段6を配置しておくことで、前記この冷気取り入れ口Rを通じて、筺体7内に導入されている冷気AがプレートPの中心方向に取り入れられる構造となっている。これにより、プレートPの全体が、短時間の内に、均等に温度が低下する。
なお、外周壁面部位に開口する冷気取り入れ口Rが所定数設けられている構成のプレートPの方が、プレートPに比較して、プレート外周端部領域にまで冷気を取り込むことが可能であるので、プレート面をより広範にわたって冷却し得るという点において有利である。
このようなプレートの通気性構造を採用することによって、プレートP,Pは、その円盤形態の全体にわたって冷気Aが急速に取り込まれ、その結果、該プレートP,Pの上方に、保護テープ13が介在して位置しているフィルム状接着剤11の全体を、短時間の内に、均等に冷却することが可能となる。なお、冷気取り入れ口Q又はRの数は、適宜選定可能である。
また、冷気取り入れ口QとRの両方を備える構造(図示せず。)を採用することによって、通気性の冷却用プレートPの冷気Aの取り込み効率をさらに高め、該冷却用プレートPの表面全域にわたる冷却効果をより一層高めることも可能である。
また、上記したような通気性の冷却用プレートP(例えば、P又はP)によれば、冷気を負圧吸引する作用を利用して、該冷却用プレートPと該プレートPが接触している保護テープ13の間の密着性を向上させることができるという利点も生まれる。冷却用プレートPと保護テープ13が密着した状態で該プレートPを冷すことができると、保護テープ3上に存在するフィルム状接着剤11の冷却効果がより一層高まる。
本発明は、半導体ウエハをチップ化する際に使用される破断装置として利用できる。具体的には、半導体ウエハを支持しているフィルム状接着剤を、伸縮性の保護テープを介して環状フレームの開口部に保持させておき、該保護テープを拡張させるときの力を利用して、前記フィルム状接着剤を格子状に破断する装置として利用することができる。なお、本発明は、フィルム状接着剤のみの破断に加え、フィルム状接着剤とウエハの両方をストリートに沿って分断するような場合でも利用することができる。
本実施形態例の破断装置の構成を示す分解斜視図である。 同破談装置の全体外観を示す斜視図である。 破断対象であるフィルム状接着剤の状態を示す斜視図である。 フィルム状接着剤を破断する方法に関する主要ステップにおける装置の状態を示す図(一部断面図)である(環状フレームをセットした段階)。 フィルム状接着剤を破断する方法に関する主要ステップにおける装置の状態を示す図(一部断面図)である(フィルム状接着剤冷却段階)。 フィルム状接着剤を破断する方法に関する主要ステップにおける装置の状態を示す図(一部断面図)である(保護テープ拡張段階)。 フィルム状接着剤を破断する方法に関する主要ステップにおける装置の状態を示す図(一部断面図)である(破断完了段階)。 フィルム状接着剤を破断する方法に関する主要ステップにおける装置の状態を示す図(一部断面図)であって、保護テープを拡張する工程に対応する別の装置状態例を示す図である。 通気性を備える冷却用プレートの一構造例を示す図である。 通気性を備える冷却用プレートの他の構造例を示す図である。
符号の説明
1 判断装置(略称、装置)
2 フレーム保持手段
3 保護テープ拡張手段
5 冷気導入手段
6 冷気吸引手段
10 ウエハ
11 フィルム状接着剤
12 環状フレーム
12a (環状フレーム12の)開口部
13 保護テープ
15 (デバイスを区画する)ストリート
21 (フレーム保持手段2を構成する)保持部材
22 (フレーム保持手段2を構成する)保持部材
A 冷気
P 冷却用プレート
,P 通気性構造を有する冷却用プレート

Claims (4)

  1. 複数のデバイスがマトリクス状に形成されているウエハの裏面に貼付された、前記ウエハよりも大径のフィルム状接着剤を、環状フレームの開口部に装着された伸縮性を有する保護テープ上に貼着した状態で、前記デバイスを区画するストリートに沿って破断する破断装置であって、
    前記環状フレームを所定箇所に保持するフレーム保持手段と、
    前記保護テープを拡張する保護テープ拡張手段と、
    前記破断を行う空間に冷気を送り込む冷気導入手段と、
    前記ウエハが存在する前記フィルム状接着剤領域に、前記保護テープを介して接触可能とされた冷却用プレートと、
    を少なくとも備える破断装置。
  2. 前記冷却用プレートは、前記冷気をプレート内部に導入可能な通気性プレートであることを特徴とする請求項1記載の破断装置。
  3. 前記通気性プレートは、該プレートの外周側面又は/及び外周近傍領域から前記冷気を該プレート内部に取り込むことができる多孔構造を備えることを特徴とする請求項2記載の破断装置。
  4. 前記通気性プレートの裏面側に配置された冷気吸引手段を用いて、前記冷気を該プレート内に導入することを特徴とする請求項2又は3に記載の破断装置。
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