JP2009270067A - 光硬化型組成物、硬化物および光硬化型樹脂フィルム - Google Patents

光硬化型組成物、硬化物および光硬化型樹脂フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】反応制御が容易で、しかも低温で高速硬化反応が可能な光硬化型組成物およびそれにより得られる耐熱性硬化物を提供する。
【解決手段】1分子中に2個以上のSiH基を含有する化合物、1分子中に2個以上の炭素−炭素不飽和結合基を含有する化合物、ヒドロシリル化触媒、および光重合開始剤の4成分以上の化合物を含有し、混合状態において液体状であり、塗布膜を基板上に形成することができる組成物を調製する。これによって、光重合開始剤による炭素−炭素不飽和結合基間の光架橋反応、および、ハイドロシリル化触媒によるSiH基と炭素−炭素不飽和結合基との間のヒドロシリル化反応の2つの硬化反応の組み合わせにより、反応制御が容易でありながら低温で高速な硬化反応性を有する光硬化型組成物、およびそれを用いた300℃以上の熱分解温度を有する耐熱性硬化物が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、紫外線、可視光線、電子線などの電磁波を照射することにより耐熱性樹脂を製造できる光硬化型組成物、ならびに、硬化によって得られる硬化物および光硬化型樹脂フィルムなどの耐熱性硬化物に関するものである。
近年、液晶ディスプレイ(LCD)に代表される薄型ディスプレイの市場が急速に拡大している。今後、ディスプレイに要求される特性としては、更なる薄膜化、軽量化、フレキシブル化が考えられる(例えば、非特許文献1または2参照)。
また、加工コストの低減を目指して、ロール to ロールプロセスによる大面積フレキシブルディスプレイの開発が検討されている(例えば、非特許文献3参照)。
このようなロール to ロールプロセスによる大面積フレキシブルディスプレイの実現には、無機ガラス材料に代わり得る耐熱性・透明・フレキシブル樹脂基板用材料が求められている(例えば、非特許文献4参照)。
耐熱性・透明・フレキシブル樹脂の開発を目指した研究としては、ポリイミドのような芳香族系高耐熱性樹脂の透明性の改善による検討がある(例えば、非特許文献5参照)。
また、有機無機ハイブリッド型樹脂の開発により、耐熱性・透明・フレキシブル樹脂を得ようとする研究も行われている。Si−O−Si構造からなる無機骨格と有機側鎖を有する樹脂は、Si−O−Si構造による透明性・耐熱性と有機側鎖による柔軟性とを有しており、耐熱性・透明・フレキシブル樹脂としての可能性を有するものである。有機無機ハイブリッド型樹脂の合成法の一つとして、ヒドロシリル化重合が用いられている。この重合反応は、ヒドロシリル触媒下でのSiH基と炭素-炭素不飽和結合とのヒドロシリル化反応を用いるものであり、副生成物が生じず、温和な条件下で重合反応が進行する(例えば、特許文献1または2参照)。
このようなヒドロシリル化反応は古くから知られているものであり、これまでに様々な樹脂の合成に用いられている(例えば、非特許文献6または7参照)。
ヒドロシリル化重合においては、1分子中にSiH基を2個以上含有するモノマーと1分子中に炭素-炭素不飽和結合基を2個以上含有するモノマーとの組み合わせによって、硬化性樹脂組成物を得ることができることが知られている。これは、ヒドロシリル化重合過程で架橋構造が形成されるためである(例えば、非特許文献8参照)。
このような硬化性組成物においては、操作中ゲル化が進行しやすく、硬化性と成形性とのバランスを取ることが難しいという問題がある。この問題の解決を目的として、硬化性組成物におけるモノマーの化学構造や組成比の最適化に関する研究が行われている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、その硬化性組成物においては、少なくとも100℃前後で数時間の加熱による硬化プロセスが必要となっている。ロール to ロールプロセスで有機無機ハイブリッド型樹脂基板を得ようとした場合には、より低温でより高速に硬化反応を行い得る組成物が必要となる(例えば、特許文献3参照)。
さらに、硬化物の耐熱性においても300℃前後の金属配線形成や半田プロセスに耐えうるようなものは得られていない(例えば、特許文献3参照)。
国際公開第WO2005/010077号パンフレット 特開平7−309879号公報 特開2002−241614号公報 小原直人、渡部善全、牧田健一、藤井靖芳、岡田久則、土井亨、「フレキシブルディスプレイ用透明プラスチック基板材料の開発」、TOSOH Research & Technology Review、2006、Vol.50、p.45-48 特許庁総務部企画調査課技術動向班、「電子ペーパー及びフレキシブルディスプレイ」、標準技術集、2005 田邊裕史ら、「ロール to ロール要素技術と可能」、情報機構、2008年3月 坂本正典、「有機基板上の電子デバイス 〜 低温プロセスと応用展開〜」、(株)シーエムシー出版、2006年4月 岩井善弘、「液晶・PDP・有機ELの材料技術」、(株)シーエムシー出版、2005年10月 L. H. Sommer,E. W. Pietrusza and F. Z. Whitmore,"Peroxide-CatalyzedAddition of Trichlorosilane to 1-Octene",J. Am. Chem. Soc.,1947,69,p.188 J. L. Speier,R.Zimmermann and J. A. Webster,"The Additionof Silicon Hydrides to Olefinic Double Bonds. Part I. The Use ofPhenylsilane,Diphenylsilane, Phenylmethylsilane, Amylsilane and Tribromosilane",J. Am. Chem.Soc.,1956,78,p.2278 G. Friedmann and J. Brossas,"Synthesis ofStatistical Networks from Liquid Polybutadiene IV Influence of CrosslinkingAgent",Eur. Polvm. J.,1984,20,p.1151
上述のように、ヒドロシリル化重合による硬化性組成物においては、少なくとも100℃前後で数時間の加熱による硬化プロセスが必要であり、また、操作中のヒドロシリル化反応の進行によるゲル化によって反応制御が難しいといった改善すべき課題があった。
本発明は、上記の従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、ロール to ロールプロセスに対応可能な反応制御が容易で、しかも低温での高速硬化反応を有する光硬化型組成物、ならびに、それにより得られる硬化物および光硬化型樹脂フィルムなどの耐熱性硬化物を提供することにある。
かかる課題を解決するために本発明者らは、ヒドロシリル化重合組成物に光硬化特性を付与することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
本発明に係る光硬化型組成物は、1分子中に2個以上のSiH基を含有する化合物、1分子中に2個以上の炭素−炭素不飽和結合基を含有する化合物、ヒドロシリル化触媒、および光重合開始剤を含む4成分以上の化合物を含有することを、特徴とする組成物である。
上記の光硬化型組成物は、混合状態で液体状であり、塗布膜を基板上に形成することができる。基板としては、無機ガラス基板、樹脂基板、金属基板などを用いることができる。
本発明に係る光硬化型組成物は、前記光重合開始剤による前記炭素−炭素不飽和結合基間の光架橋反応、および、前記ヒドロシリル化触媒による前記SiH基と前記炭素−炭素不飽和結合基との間のヒドロシリル化反応の2つの硬化反応形態の組み合わせにより反応制御が容易であることが好ましい。
本発明に係る光硬化型組成物は、紫外線、可視光線、電子線等の電磁波の照射によって硬化し、熱分解温度が300℃以上の耐熱性硬化物が得られることが好ましい。
本発明に係る硬化物および光硬化型樹脂フィルムは、本発明に係る光硬化型組成物を硬化させて得られることを、特徴とする。上記の硬化物は、基板から剥離することによって自立性の樹脂フィルムとすることができる。また、上記の硬化物は、300℃以上の熱分解温度を示す有機無機ハイブリッド型の耐熱性樹脂である。
本発明に係る光硬化型組成物は、混合状態で液体状であり、塗布膜を種々の基板上に形成することができ、紫外線などの電磁波の照射による光硬化反応によって自立性の硬化物を得ることができる。この硬化物は、300℃以上の熱分解温度を有する耐熱性の有機無機ハイブリッド型樹脂である。本発明に係る光硬化型組成物は、2つの硬化反応の形態を有している。一つは、光重合開始剤による炭素−炭素不飽和結合基間の光架橋反応であり、もう一つは、ハイドロシリル化触媒によるSiH基と炭素−炭素不飽和結合基との間のヒドロシリル化反応であり、この反応は加熱により促進される。前者は、低温での高速な反応であり、これは迅速に自立性の樹脂を製造するために効果的な反応である。後者は、樹脂の耐熱性を上げるために効果的な反応である。これら2つの反応の組み合わせによって、ロール to ロールプロセスに対応可能な反応制御が容易で、しかも低温での高速硬化反応を有する光硬化型組成物、ならびに、それにより得られる硬化物および光硬化型樹脂フィルムなどの耐熱性硬化物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の実施の形態の組成物は、以下の化合物を含む少なくとも4種類の化合物の組成物となっている。
(A)1分子中に2個以上のSiH基を含有する化合物。
(B)1分子中に2個以上の炭素−炭素不飽和結合基を含有する化合物。
(C)ヒドロシリル化触媒。
(D)光重合開始剤。
A分子の化学構造の一例を式(1)に示す。式(1)において、R、R、R、およびRは、水素、ハロゲン、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基からなる群からそれぞれ独立して選択される基である。式(1)には2個のSiH基を含有する化合物を示したが、1分子中に2個以上のSiH基が含まれればよく、式(1)の化学構造には限定されない。硬化物の樹脂の透明性や耐熱性の観点からは、式(1)のRAの化学構造としては、Si−O−Siのシロキサン結合を含むものが好ましい。それらの例としては、鎖状、環状、およびカゴ状のポリオルガノシロキサンで2個以上のSiH基を含むものが挙げられる。
B分子の化学構造の一例を式(2)に示す。式(2)において、R、R、R、R、R、およびR10は、水素、ハロゲン、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基からなる群からそれぞれ独立して選択される基である。式(2)には2個のビニル基を含有する化合物を示したが、1分子中に2個以上の炭素−炭素不飽和結合を有する置換基が含まれればよく、式(2)の化学構造には限定されない。式(2)のRBの化学構造としては、高分子鎖間の分子間相互作用により耐熱性を向上させる観点から、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレンなどの芳香族炭化水素系、ポリアミド系、ポリイミド系の骨格を有するものが好ましい。
ヒドロシリル化触媒としては、カールステッド型の白金触媒を用いることができるが、A分子とB分子とのヒドロシリル化反応を起こすことができれば、これに限定されるものではない。
光重合開始剤としては、ラジカル型光重合開始剤であるアルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤などや、カチオン系光重合開始剤、アニオン系光重合開始剤を用いることができるが、紫外線、可視光線、電子線等の電磁波の照射によって光重合反応や光架橋反応を起こすものであれば、これに限定されるものではない。
光重合開始剤の吸収特性としては、A分子およびB分子よりも長波長側に吸収を有するものであることが好ましい。これは、塗布膜の内部の光重合開始剤へも、電磁波の照射を十分に行うためである。
電磁波としては、α線、β線、γ線、中性子線、電子線、紫外線、可視光線などがあるが、特に紫外線あるいは可視光線が好ましい。これは、紫外線あるいは可視光線では照射装置を小型化でき、またフィルムの劣化が起こりにくいなどの利点があることによる。紫外線あるいは可視光線の波長は、光重合開始剤の吸収帯に対応し、光重合反応を起こすことのできる波長であれば、特に限定されることなく設定可能である。具体的には、A分子、B分子、および光重合開始剤の吸収特性で一概には決められないが、好ましくは200〜450nmの範囲である。
紫外線の光源は、照射する波長を考慮して適宜選択される。具体例として、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、メタルハライドランプ、紫外線レーザー光源などを挙げることができる。また、照射するに当たり、波長フィルタを用いることによって特定の波長の光を照射することができる。
本発明の実施の形態の光硬化型組成物は、耐熱性樹脂製造以外にも種々の樹脂薄膜製造へ応用することができる。例えば、A分子およびB分子の化学構造を変えることによって、得られる樹脂薄膜の屈折率を制御することができるので、反射防止膜を製造するためのコーティング膜に利用できる。
実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の調製例および実施例に限定されるものではない。
<感光性耐熱性組成物の調製例1>
A分子として1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシラン(以下略号をTMCS)を0.25
mmol、B分子として3,3'-ジビニルビフェニル(以下略号をDVBP)を1 mmol、ヒドロシリル化触媒として白金(0)-1,3-ジビニル-1,1,3,3,-テトラメチルジシロキサン錯体キシレン溶液(以下Pt触媒,白金
2%)をSiH基に対して5 ppm、および光重合開始剤として2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(以下略号をHMPP)を0.1 mmolを、室温で混合して液状の組成物を調製し、これを、TMCS-DVBP-HMPP組成物1と名付けて、以下の実験に使用した。この組成物は、暗下室温保存の条件で2週間後も流動性の液状組成物であった。
<感光性耐熱性組成物の調製例2>
A分子としてTMCS(0.5 mmol)、B分子としてDVBP(0.5 mmol)、ヒドロシリル化触媒としてPt触媒(白金 2%)をSiH基に対して1 ppm、および光重合開始剤としてHMPP(0.05 mmol)を、室温で混合して液状の組成物を調製し、これを、TMCS-DVBP-HMPP組成物2と名付けて、以下の実験に使用した。この組成物は、暗下室温保存の条件で1時間以上経過後も流動性の液状組成物であった。
<非感光性組成物の調製例1>
A分子としてTMCS(0.25 mmol)、B分子としてDVBP(1 mmol)、ヒドロシリル化触媒としてPt触媒(白金 2%)をSiH基に対して5 ppmを、室温で混合して液状の組成物を調製し、これを、TMCS-DVBP組成物1と名付けて、以下の実験に使用した。
<非感光性組成物の調製例2>
A分子としてTMCS(0.5 mmol)、B分子としてDVBP(0.5 mmol)、ヒドロシリル化触媒としてPt触媒(白金 2%)をSiH基に対して1 ppmを、室温で混合して液状の組成物を調製し、これを、TMCS-DVBP組成物2と名付けて、以下の実験に使用した。この組成物は、反応性の制御が難しく、暗下室温保存の条件でも10分前後で硬化して成形性が無くなった。
以下に、実施例における試験方法を説明する。
(1)FT−IRスペクトルの測定
FT−IRスペクトルの測定には、日本分光株式会社製の「FT/IR−4200」を使用した。
(2)熱重量分析(TGA)の測定
TGAの測定には、株式会社島津製作所製の「TGA−50」を使用した。
(3)紫外線照射
水銀キセノンランプ(浜松ホトニクス株式会社製「C4263」)および高圧水銀ランプ(株式会社オーク製作所製「OHD−500M」)を用いて紫外線照射を行った。照射パワー密度は、それぞれ200および488mW/cmであった。
FT−IRスペクトルの測定においてはシリコンを基板として、スピンコート法により組成物の塗布膜を形成した。TGA測定および自立性フィルムの作成においては、テフロン(登録商標)やポリイミド等の樹脂基板を用いて、組成物の塗布膜を形成した。
(4)光硬化性の確認
シリコン基板上に組成物のスピンコート膜を形成し、その上に銅メッシュグリッドをフォトマスクとして乗せて高圧水銀ランプを5分間照射した後、トルエンを用いた現像処理を行い、光学顕微鏡(オリンパス株式会社製「BX51M」)による観察によって光硬化の有無を確認した。
図1には、紫外線照射によるTMCS-DVBP-HMPP組成物1の塗布膜のFT−IRスペクトルの変化を示す。光照射時間が、2、10、20分と増加するにつれて、波数990cm-1のビニル基に帰属されるバンド(図1中の矢印)の吸光度が減少していることが確認された。
図2には、光重合開始剤を含むTMCS-DVBP-HMPP組成物1(図2中の実線)、および光重合開始剤を含まないTMCS-DVBP組成物1(図2中の破線)に対して、990cm-1のビニル基の吸光度の紫外線照射による変化を比較して示す。図2では、紫外線照射前の吸光度を1として、紫外線照射に伴う吸光度の減少を照射時間に対して示している。光重合開始剤を含むTMCS-DVBP-HMPP組成物1における、より早い990cm-1のビニル基の吸光度の減少から、紫外線照射による光重合開始剤とビニル基との反応が示された。
図3には、光重合開始剤を含むTMCS-DVBP-HMPP組成物1の塗布膜において、フォトマスクを介して紫外線照射した後に現像処理を行って得た光硬化膜の光学顕微鏡写真を示す。未照射部の塗布膜はトルエン現像によって除去されているのに対して、照射部の塗布膜は現像後も残存しており、これよりTMCS-DVBP-HMPP組成物1の光硬化性が示された。
これに対して、光重合開始剤を含まないTMCS-DVBP組成物1の塗布膜においては、紫外線照射後のトルエン現像処理によってほとんどの塗布膜の除去が観察された。
図4には、光重合開始剤を含むTMCS-DVBP-HMPP組成物1に紫外線を照射して得たフィルム状光硬化物のTGA曲線(図4中のaの実線)を示す。TGA曲線の低温側の平坦部に対する接線と高温側の重量減少部に対する接線との交点を熱分解温度として求めたところ、448℃であった。これは、TMCS-DVBP-HMPP組成物1の光硬化によって得た有機無機ハイブリッド型樹脂が、金属配線形成や半田プロセスで要求される耐熱性を有していることを示すものである。
これに対して、光重合開始剤を含まないTMCS-DVBP組成物1の液状混合物のTGA曲線(図4中のbの破線)においては、二段階の熱分解挙動が観測され、最初の熱分解温度は、153℃であった。この結果より、光重合開始剤を含むTMCS-DVBP-HMPP組成物1においては、光硬化反応により耐熱性を改善できることが示された。
TMCS-DVBP-HMPP組成物1において、光硬化物を250℃で熱処理した試料のFT−IRスペクトルを測定したところ、ビニル基およびSiH基の吸収が完全に消失していた。これは光硬化物において、熱反応により固相でのヒドロシリル化反応が進行したことを示すものである。
図5には、TMCS-DVBP-HMPP組成物1の紫外線照射後の試料の蛍光スペクトルを示した。400nm付近から長波長側に現われているブロードな発光バンドは、ビフェニル環の励起状態での2量体構造に帰属されるものである。これは、ビフェニル環が、耐熱性の向上に寄与し得る分子間相互作用を有する距離にあることを示すものである。
TMCS-DVBP-HMPP組成物1の塗布膜を樹脂基板上に形成し、紫外線を照射後に基板から剥離することによって膜厚約200μmの自立性のフィルムを得た。円筒形マンドレル法(JIS K 5600-5-1)によってこの樹脂フィルムの耐屈曲性を試験したところ、屈曲によって割れが生じるマンドレルの直径は8mmであった。
図6には、光重合開始剤を含むTMCS-DVBP-HMPP組成物2の塗布膜において、フォトマスクを介して紫外線照射した後に現像処理を行って得た光硬化膜の光学顕微鏡写真を示す。未照射部の塗布膜はトルエン現像によって除去されているのに対して、照射部の塗布膜は現像後も残存しており、これよりTMCS-DVBP-HMPP組成物2の光硬化性が示された。
これに対して、光重合開始剤を含まないTMCS-DVBP組成物2の塗布膜においては、紫外線照射後のトルエン現像処理によってほとんどの塗布膜の除去が観察された。
図7には、光重合開始剤を含むTMCS-DVBP-HMPP組成物2に紫外線を照射して得たフィルム状光硬化物のTGA曲線(図7中のaの実線)を示す。TGA曲線の低温側の平坦部に対する接線と高温側の重量減少部に対する接線との交点を熱分解温度として求めたところ、451℃であった。これは、TMCS-DVBP-HMPP組成物2の光硬化によって得た有機無機ハイブリッド型樹脂が、金属配線形成や半田プロセスで要求される耐熱性を有していることを示すものである。
また、図7に、光重合開始剤を含まないTMCS-DVBP組成物2のTGA曲線(図7中のbの破線)を示す。試料としては、混合後に硬化してしまい成形性を失ったゲル状物質を用いた。TGA曲線の低温側の平坦部に対する接線と高温側の重量減少部に対する接線との交点を熱分解温度として求めたところ、517℃であった。
TMCS-DVBP-HMPP組成物2の塗布膜を樹脂基板上に形成し、紫外線を照射後に基板から剥離することによって膜厚約200μmの自立性のフィルムを得た。円筒形マンドレル法(JIS K 5600-5-1)によってこの樹脂フィルムの耐屈曲性を試験したところ、屈曲によって割れが生じるマンドレルの直径は10mmであった。
本発明の実施の形態の光硬化型組成物の、紫外線照射によるTMCS-DVBP-HMPP組成物1の塗布膜のFT−IRスペクトルの変化を示すグラフである。 本発明の実施の形態の光硬化型組成物の、光重合開始剤を含むTMCS-DVBP-HMPP組成物1の塗布膜(実線)、および比較例の光重合開始剤を含まないTMCS-DVBP組成物1の塗布膜(破線)に対して、990cm-1のビニル基の吸光度の紫外線照射による変化を比較したグラフである。 本発明の実施の形態の光硬化型組成物の、光重合開始剤を含むTMCS-DVBP-HMPP組成物1の塗布膜において、フォトマスクを介して紫外線照射した後に現像処理を行って得た光硬化膜を示す光学顕微鏡写真である。 本発明の実施の形態の光硬化型組成物の、光重合開始剤を含むTMCS-DVBP-HMPP組成物1の塗布膜に紫外線を照射して得たフィルム状光硬化物のTGA曲線(aの実線)、および比較例の光重合開始剤を含まないTMCS-DVBP組成物1の液状混合物のTGA曲線(bの破線)を示すグラフである。 本発明の実施の形態の光硬化型組成物の、TMCS-DVBP-HMPP組成物1の紫外線照射後の試料の蛍光スペクトルを示すグラフである。 本発明の実施の形態の光硬化型組成物の、光重合開始剤を含むTMCS-DVBP-HMPP組成物2の塗布膜において、フォトマスクを介して紫外線照射した後に現像処理を行って得た光硬化膜を示す光学顕微鏡写真である。 本発明の実施の形態の光硬化型組成物の、光重合開始剤を含むTMCS-DVBP-HMPP組成物2の塗布膜に紫外線を照射して得たフィルム状光硬化物のTGA曲線(aの実線)、および比較例の光重合開始剤を含まないTMCS-DVBP組成物2のTGA曲線(bの破線)を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 1分子中に2個以上のSiH基を含有する化合物、1分子中に2個以上の炭素−炭素不飽和結合基を含有する化合物、ヒドロシリル化触媒、および光重合開始剤の4成分以上の化合物を含有することを、特徴とする光硬化型組成物。
  2. 混合状態で液体状であり塗布膜を形成可能であることを、特徴とする請求項1記載の光硬化型組成物。
  3. 前記光重合開始剤による前記炭素−炭素不飽和結合基間の光架橋反応、および、前記ヒドロシリル化触媒による前記SiH基と前記炭素−炭素不飽和結合基との間のヒドロシリル化反応の2つの硬化反応形態の組み合わせにより反応制御が容易であることを、特徴とする請求項1または2記載の光硬化型組成物。
  4. 紫外線、可視光線、電子線等の電磁波の照射によって硬化し、熱分解温度が300℃以上の耐熱性硬化物が得られることを、特徴とする請求項1、2または3記載の光硬化型組成物。
  5. 請求項1、2、3または4記載の光硬化型組成物を硬化させて得られることを、特徴とする硬化物。
  6. 請求項1、2、3または4記載の光硬化型組成物を硬化させて得られることを、特徴とする光硬化型樹脂フィルム。

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