JP2009268454A - 伸し乾燥畜肉製品(ジャーキー)の製造方法 - Google Patents

伸し乾燥畜肉製品(ジャーキー)の製造方法 Download PDF

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友昭 杉浦
Ryota Katahira
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Abstract

【課題】乾燥畜肉製品において見た目のボリューム感があり、ソフトで食べやすく、心地よい咀嚼感のある乾燥畜肉製品(ジャーキー)の製造方法を提供する。
【解決手段】生畜肉を一定の厚さにスライスした後、調味付けを行い、調味付け肉の繊維の束を乾燥する前に圧延などの操作で壊すことなく、乾燥した乾燥畜肉を通常の圧延ロールで圧延し伸すことにより乾燥した肉の繊維の束をほぐすことで得ることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、伸し乾燥畜肉製品(ジャーキー)の製造方法に関する。
おつまみ類の中で特に畜産加工品において、ジャーキーなど乾燥畜肉製品において、薄く乾燥されたものや乾燥後細く線切り状に切断し、食べやすくしたものはあるが、もっとソフトで見た目のボリューム感のあるような乾燥畜肉製品はない。
また、乾燥畜肉製品などにおいて乾燥前に生肉を圧延する方法(特許文献1)、加熱版の間に調理した肉を挟み加熱しながら薄い乾燥牛肉(ビーフジャーキー)を作る方法(特許文献2)、生肉を切断、冷却、成形、乾燥により柔らかい乾燥肉を作る方法(特許文献3)などが提案されているが、見た目のボリューム感やソフト感があり、食べやすく、心地よい咀嚼感のある乾燥畜肉製品(ジャーキー)を作ることはできない。
また、乾燥された魚介類(スルメなど)を伸した後、味付けをするおつまみ類は昔よりあり、更に干物魚介類(するめ、干だこ、干魚)をロール速度の異なるローラーで圧延した後に味付けをし、食べやすいするめなどの加工法(特許文献4)が提案されているが、畜肉などについては記載されたおらず、また製造方法においても複雑であるなどの問題がある。
特開2000−060433号公報 特開2002−262785号公報 特開2007−006797号公報 特開2006−050953号公報
特許文献1及び3の方法はその効果については見るべきものがあるが実用的には乾燥前に肉を圧延するなどして薄く成形した後乾燥するため、出来上がった乾燥肉は薄く硬いものであり、心地よい歯ごたえとソフト感を兼ね合わせた食感とはならない。また、特許文献2はペットを対照としたものであり、人が好むような食感とはならない。また、特許文献4は干物魚介類を対象としたものであり、乾燥畜肉についてはなんら行われてはおらず、速度の異なる圧延ロールを備えた装置を使用するなど特殊な装置が必要であるなどの問題がある。また、調味付けを行ったものを延ばす処理は出来ない。
本発明は乾燥畜肉製品においていたって簡単な方法で見た目のボリューム感とソフト感があり、食べやすく、心地よい咀嚼感のある乾燥畜肉製品(ジャーキー)を提供することを課題とする。
本発明者らは、乾燥畜肉製品に関し、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、畜肉を一定の厚さにスライスした後、調味付けを行い、調味付け肉の繊維の束を圧延などの操作で乾燥前に壊すことなく、乾燥した乾燥畜肉を通常の圧延ロールで圧延し伸すことにより乾燥した肉の繊維の束をほぐすことで本発明の乾燥畜肉製品を得るための方法を完成するに至った。
即ち、請求項1に係わる発明は、乾燥畜肉を圧延すことを特徴とする伸し乾燥畜肉製品の製造方法に関する。
また、請求項2に係わる発明は、圧延前の乾燥畜肉の水分活性が0.55以上0.80以下であって、厚さが2mm以上6mm以下であることを特徴とした伸し乾燥畜肉製品の製造方法に関する。
更に、請求項3に係わる発明は乾燥畜肉をもとの乾燥畜肉の厚さの20%以上60%以下の厚さに伸すことを特徴とする伸し乾燥畜肉製品の製造方法に関する。
更に、請求項4にかかわる発明は乾燥畜肉を肉の繊維方向に対し60度〜120度の角度で伸すことを特徴とする伸し乾燥畜肉製品の製造方法に関する。
更に、請求項5にかかわる発明は乾燥畜肉の伸しを複数回で伸すことを特徴とするの伸し乾燥畜肉製品の製造方法に関する。
本発明の伸し乾燥畜肉製品はその表面積は元の約倍以上になり、見た目にもボリューム感があり、圧延方向と水分活性をコントロールした乾燥肉の繊維の束をほぐすためソフトで、食べやすく、心地よい歯ごたえのある乾燥畜肉製品を提供することが出来る。
本発明により得られた伸し乾燥畜肉製品は伸し前の乾燥畜肉の約半分(約50%)の厚さとしても、肉の繊維をほぐすような圧延方法を行っているため、薄さを感じさせることがなく、見た目のボリューム感と共に食べたときにもボリューム感を感じさせることが出来る。
本発明に使用する畜肉には牛肉、豚肉、鶏肉、羊の肉、ダチョウ肉、鹿肉、馬肉などを挙げることが出来る、食用の畜産動物が対象となる。
本発明が対象とする乾燥畜肉は肉の部位に限定されるものではないが、好ましくは脂身の少ないもも肉の部位をスライサーで肉の繊維方向と平行になるように4〜7mmの厚さで、ほぼ10cm×10cm〜30cm×30cm程度の大きさにカットし、その後調味液に1時間程以上浸漬した後、調味付けした肉を網の上に広げ60〜100℃の熱風で水分活性が0.55〜0.80になるまで乾燥する。好ましくは乾燥畜肉の水分活性が0.55〜0.65で、乾燥畜肉の厚さが約2〜3mmである。また、あまり水分活性を低くすると乾燥畜肉製品が硬くなりすぎると共に圧延時の割れの原因となり、また水分活性が高すぎると乾燥畜肉製品の歯ごたえがなく、細菌的保存性やロールの汚れ又は付着などに影響し、乾燥畜肉の厚さが厚いと圧延回数が多くなる。
また、乾燥畜肉の調味液の配合や、調味後の燻煙などの調味条件には限定されないが、調味液の肉への浸透量によって乾燥畜肉の柔らかさや圧延時の肉の繊維のほぐれ方に影響が出る場合がある。すなわち、糖質の多い調味液が肉に多く付くと同一水分活性値にした乾燥畜肉でも糖質の少ないものよりは柔らかくなる傾向になり、圧延時のほぐれも多少異なってくる。
前記条件で得た乾燥畜肉は乾燥後、圧延する前に乾燥した乾燥畜肉の大きさのままでも適当にカットしたものでもよく、好ましくは肉繊維の方向に対し、繊維方向に並行に幅として0.3cm〜5cmで、肉繊維方向の長さに3〜10cmにカットしたもののほうが、圧延しやすく、圧延角度を変えることによって圧延品の形状がバラエティーにすることが出来る。
本発明での圧延方法は同一径の一対の直径10〜30cm、幅10〜30cm程度の金属製のロールであればよく、好ましくは直径15〜30cm、幅20〜25cmのステンレス製のロールで、小径ロール(15cm以下)の場合は乾燥畜肉がロールに食い込みやすくする目的でロールの表面に回転軸に対してほぼ平行のごく浅い溝があるものがよい。
また、ロールの回転数は一対のロールは同一回転で、小径では大径より早く10〜20r.p.m程度であり、大径では1〜10r.p.m程度であり、その速度には影響されない。また、圧延回数は小径ロール又は乾燥畜肉の厚さが厚い場合は複数回に間隙を変えて圧延することでよりスムースに圧延することができ、乾燥畜肉の厚さがあまり厚くないものであれば大径ロールでは1回で済ませることも出来る。
本発明での乾燥畜肉の肉の繊維方向に対する圧延方向については制限されないが、好ましくは肉繊維に対して図1の3に示すように肉繊維に直角に圧延することで乾燥畜肉の繊維がほぐれ好ましい食感となると同時に、図2(写真1)に示すように見た目のボリューム感を出すことが出来る。
また、肉繊維に平行の方向に圧延すると乾燥畜肉製品の両端に裂けを生じる場合があると同時にボリューム感が劣り、食感も直角方向に圧延したのものより硬くなる傾向になり、繊維の方向に対する角度を変えることで大きさ、食感などを色々と変えることが出来る。
本発明の乾燥畜肉の圧延比率(圧延比率:(圧延後の厚さ/圧延前の厚さ)×100)については限定されるものではないが、好ましくは圧延前の乾燥畜肉の厚さの20%〜60%であり、さらに好ましくは30%〜50%程度であり、例えば乾燥畜肉の厚さが3mmとすると約0.8〜1.5mm程度に圧延する方法であり、乾燥畜肉の圧延比率が約30%〜50%に圧延する方法である。
また、圧延が過度(20%以下)になるとボリューム感とソフト感はあるが、乾燥畜肉が切れたり食感に物足りなさを感じさせたりし、圧延が不足(60%以上)であると水分活性が低い乾燥畜肉においてはソフト感を与えることかは出来るが、見栄えのボリューム感も劣るものとなる傾向になる。
また、複数回で圧延する場合にはそれぞれの1回の圧延比率には制限されるものでなく、圧延前の乾燥畜肉の厚さと圧延最終の乾燥畜肉の厚さとから見る。
本発明の詳細を実施例で説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
参考例1
本発明に用いた乾燥牛肉(ビーフジャーキー)。
牛肉のもも肉のブロックをトリミングしスライサーで牛肉の繊維方向と平行になるように5〜6mmの厚さで、10cm×10cm〜20cm×20cm程度の大きさにカットし、その後調味液(醤油、水あめ、香辛料、油、ソルビット、調味料などからなる)に3時間程浸漬した後、調味付けした肉を網の上に広げ60〜100℃の熱風で水分活性が0.65になるまで乾燥した。また、乾燥牛肉は繊維方向に対して約5cm、繊維と直角方向に対して約3cmにカットした。また、厚さは約3mmであった。
参考例2
本発明に用いた乾燥豚肉(ポークジャーキー)。
豚肉のもも肉のブロックをトリミングしスライサーで豚肉の繊維方向と平行になるように4〜5mmの厚さで、10cm×10cm〜15cm×15cm程度の大きさにカットし、その後調味液(醤油、還元水あめ、砂糖、香辛料、調味料などからなる)に2時間程度浸漬した後、調味付けした肉を網の上に広げ60〜100℃の熱風で水分活性が0.6になるまで乾燥した。また、乾燥豚肉は繊維方向に対して約5cm、繊維と直角方向に対して約3cmにカットした。また、厚さは約2mmであった。
実施例1〜3、比較例1
参考例1の厚さ3mmの乾燥牛肉を用いて、一対の直径25cmのステンレス製のロールで、ロールの回転数を6r.p.mで乾燥牛肉の繊維方向に対して直各方向に乾燥牛肉を圧延し、圧延後の乾燥牛肉の厚さを約1.0mm(実施例1)、約1.5mm(実施例2)、約2.0mm(実施例3)とし、四角から台形に近い目的とする伸し乾燥牛肉製品を得た。
実施例1〜3の乾燥牛肉製品と圧延前の乾燥牛肉(比較例1)とを用意し、10人のパネラーに、各乾燥牛肉製品と乾燥牛肉の硬さ、ソフト感、食べやすさ、心地よい噛み応えについて試食評価を行った。
また、評価は5点満点で、5点は非常にある、4点はある、3点はまあまあある、2は点殆どない、1点はないで評価し、10人の平均点であらわした。
官能評価結果を表1に示す。表から分かるように実施例1〜3は全て比較例より、ソフトで、食べやすく、心地よい噛み応えのあるものであり、また見た目のボリューム感もあり、圧延比率が小さくなるほどその傾向は強くなった。(図2参照)
実施例4、比較例2
参考例1の厚さ3mmの乾燥牛肉を用いて、一対の直径10cmのステンレス製のロールで、ロールの回転数を14r.p.mで乾燥牛肉の繊維方向に対して直角方向に乾燥牛肉を圧延し、圧延後の乾燥牛肉の厚さを約1.5mmとし、更に同一のロールでロール間隙を狭め1.5mmとした乾燥牛肉を更に圧延し約0.8mm(実施例4)とし、四角から台形に近い目的とする伸し乾燥牛肉製品を得た。
実施例4の乾燥牛肉製品と圧延前の乾燥牛肉(比較例2)とを用意し、10人のパネラーに、乾燥牛肉製品と乾燥牛肉の硬さ、ソフト感、食べやすさ、心地よい噛み応えについて試食評価を行った。
また、評価は5点満点で、5点は非常にある、4点はある、3点はまあまあある、2は点殆どない、1点はないで評価し、10人の平均点であらわした。
官能評価結果を表2に示す。表から分かるように実施例4は比較例2より、ソフトで食べやすく、心地よい噛み応えのあるものであり、また見た目のボリューム感もあった。
実施例5、比較例3
参考例2の厚さ2mmの乾燥豚肉を用いて、一対の直径25cmのステンレス製のロールで、ロールの回転数を6r.p.mで乾燥豚肉の繊維方向に対して60°の方向に乾燥豚肉を圧延し、圧延後の乾燥豚肉の厚さを約0.7mm(実施例5)とし、菱形から台形に近い目的とする伸し乾燥豚肉製品を得た。
実施例5の乾燥豚肉と圧延前の乾燥豚肉(比較3)とを用意し、10人のパネラーに、乾燥豚肉製品の硬さ、ソフト感、食べやすさ、心地よい噛み応えについて試食評価を行った。
また、評価は5点満点で、5点は非常にある、4点はある、3点はまあまあある、2は点殆どない、1点はないで評価し、10人の平均点であらわした。
官能評価結果を表3に示す。表から分かるように実施例5は比較例3より、ソフトで、食べやすく、心地よい噛み応えのあるものであり、また見た目のボリューム感もあった。
本発明の実施形態を示し、乾燥畜肉の圧延方向をあらわした図である。 本発明の実施形態を示し、乾燥畜肉の実施例1〜3の圧延前後の写真である。
符号の説明
1 乾燥畜肉
2 乾燥畜肉の繊維
3 乾燥畜肉の繊維方向に対する圧延の直角方向
4 乾燥畜肉の繊維方向に対する圧延の平行方向

Claims (6)

  1. 乾燥畜肉を圧延すことを特徴とする伸し乾燥畜肉製品の製造方法。
  2. 請求項1記載の圧延前の乾燥畜肉の水分活性が0.55以上0.80以下であって、厚さが2mm以上6mm以下であることを特徴とした請求項1記載の伸し乾燥畜肉製品の製造方法。
  3. 請求項1及び2記載の乾燥畜肉をもとの乾燥畜肉の厚さの20%以上60%以下の厚さに伸すことを特徴とする請求項1及び2記載の伸し乾燥畜肉製品の製造方法。
  4. 請求項1〜3記載の乾燥畜肉を肉の繊維方向に対し60度〜120度の角度で伸すことを特徴とする請求項1〜3記載の伸し乾燥畜肉製品の製造方法。
  5. 請求項1〜4記載の乾燥畜肉の伸しを複数回で伸すことを特徴とする請求項1〜4記載の伸し乾燥畜肉製品の製造方法。
  6. 請求項1〜5記載の方法で製造されたことを特徴とする請求項1〜5記載の伸し乾燥畜肉製品。
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WO2023120133A1 (ja) * 2021-12-23 2023-06-29 不二製油グループ本社株式会社 乾燥肉様食品の製造方法

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