JP2009203402A - 2液型硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract


【課題】 硬化後における接着剤被膜に、ブロッキングが生じにくい2液型接着剤組成物を提供する。
【解決手段】 この2液型接着剤組成物は、主剤と硬化剤とよりなる。主剤は、分子中にイソシアネート基を少なくとも2個以上有するポリイソシアネート化合物(A)を含有している。硬化剤は、分子中に水酸基を少なくとも2個以上有するポリオール化合物(B)及び分子中にケチミン基を少なくとも2個以上有するポリケチミン化合物(C)を含有している。主剤又は硬化剤中には、下記式(I)で表されるエポキシ化合物(D)が含有されている。
【化1】
Figure 2009203402

(式中、nは0〜5である。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、接着剤やコーティング剤として用いるのに適した2液型硬化性組成物に関し、特に、硬化後の接着剤被膜やコーティング剤被膜にブロッキングの生じにくい2液型硬化性組成物に関するものである。
従来より、分子中にイソシアネート基を少なくとも2個以上有するポリイソシアネート化合物(A)を含有する主剤と、分子中に水酸基を少なくとも2個以上有するポリオール化合物(B)及び分子中にケチミン基を少なくとも2個以上有するポリケチミン化合物(C)を含有する硬化剤とからなる2液型硬化性組成物が、接着剤や塗料として用いられている(特許文献1)。具体的には、ポリイソシアネート化合物(A)としてウレタンプレポリマーを使用し、ポリオール化合物としてN,N,N’,N’−テトラキス[2−ヒドロキシエチル]エチレンジアミンを使用し、ケチミン化合物(C)としてヘキサメチレンジアミンとメチルイソブチルケトンとを縮重合させた化合物を使用したものが用いられている。
特許文献1に記載された2液型硬化性組成物は、接着剤や塗料として好適に使用しうるものであるが、使用後に以下のような現象が見られることがあった。たとえば、金属板又はプラスチックシート同士を、当該2液型硬化性組成物で接着して積層体を得た後、この積層体に穿孔加工や研削加工を施したとき、接着剤被膜の屑が発生し、積層体表面に付着して、除去しにくいということがあった。また、各種シート等の素材表面に当該2液型硬化性組成物を塗布してコーティング剤被膜(塗装膜)を形成して製品を得たとき、コーティング剤被膜表面に塵埃が付着して、除去しにくいということがあった。さらに、製品を得た後に、コーティング剤被膜同士が当接する状態、又はコーティング剤被膜とシート等の素材が当接する状態で、製品を積み重ねておくと、製品間でブロッキングを生じて、剥離しにくいということがあった。
特開平5−295065号公報(特許請求の範囲の項)
本発明の課題は、2液型硬化性組成物の硬化後における接着剤被膜やコーティング剤被膜に、ブロッキングが生じにくいようにすることである。
この課題を解決するため、本発明は、特許文献1に記載された2液型硬化性組成物に、特定の化合物を配合したものである。すなわち、本発明は、分子中にイソシアネート基を少なくとも2個以上有するポリイソシアネート化合物(A)を含有する主剤と、分子中に水酸基を少なくとも2個以上有するポリオール化合物(B)及び分子中にケチミン基を少なくとも2個以上有するポリケチミン化合物(C)を含有する硬化剤とからなる2液型硬化性組成物において、主剤又は硬化剤中には、下記式(I)で表されるエポキシ化合物(D)が含有されていることを特徴とする2液型硬化性組成物に関するものである。なお、ポリイソシアネート化合物(A)、ポリオール化合物(B)、ポリケチミン化合物(C)及びエポキシ化合物(D)は、各々、異なる化合物である。
Figure 2009203402
(式中、nは0〜5である。)
本発明に係る2液型硬化性組成物は、主剤と硬化剤との組み合わせ(キット)として提供されるものである。そして、使用に当たって、主剤と硬化剤を混合させることにより、硬化反応を生じさせ、接着剤やコーティング剤として機能するものである。本発明における硬化反応は、主剤と硬化剤とを混合させて生じるものであり、湿気の存在下でも不存在下でも生じるし、常温下でも加温下でも生じるものである。また、この硬化反応は、特に湿気の不存在下では、ポリイソシアネート化合物(A)、ポリオール化合物(B)、ポリケチミン化合物(C)及びエポキシ化合物(D)が、確実に四元共重合するものである。すなわち、ポリイソシアネート化合物(A)に対して、ポリオール化合物(B)及びポリケチミン化合物(C)が重合し、この重合反応が契機となって、エポキシ化合物(D)は主としてポリケチミン化合物(C)と重合すると共に、一部がポリイソシアネート化合物(A)と重合して、四元共重合するのである。そして、この四元共重合によって、各化合物(A)〜(D)の官能基が十分に結合し、残存する官能基が少なくなり、架橋密度が上がるのである。この結果、四元共重合体には、高分子鎖に剛直性を与えるビスフェノールA骨格が導入されると共に、架橋密度が上がるため、硬化物にブロッキングが生じにくくなると推定されるのである。
本発明で用いる分子中にイソシアネート基を少なくとも2個以上有するポリイソシアネート化合物(A)としては、従来公知のポリイソシアネート化合物を用いることができる。たとえば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等が用いられる。本発明では、芳香族ポリイソシアネート化合物を用いるのが好ましく、具体的には、ジフェニルメタンジイソシアネートやポリフェニルポリイソシアネート等を用いるのが好ましい。また、ポリオールの両末端にイソシアネート基を結合させた公知のウレタンプレポリマーを用いるのも好ましい。
本発明で用いる分子中に水酸基を少なくとも2個以上有するポリオール化合物(B)としては、従来公知のポリオール化合物を用いることができる。たとえば、重量平均分子量が50〜10000のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール又はヒマシ油系ポリオール等が用いられる。特に、本発明においては、ヒマシ油系ポリオール又はエポキシ化合物(D)を溶解しやすいポリエステルポリオールを使用するのが好ましい。ヒマシ油系ポリオールは疎水性が高く、ポリイソシアネート化合物( A) と混合した際に発泡しにくいからである。また、ポリエステルポリオールを使用すると、ポリオール化合物(B)とエポキシ化合物(D)が均一に混合配合された硬化剤を得ることができるからである。なお、ポリオール化合物(B)の水酸基の数は2〜3であるのが好ましい。
本発明で用いる分子中にケチミン基を少なくとも2個以上有するポリケチミン化合物(C)としては、従来公知のケチミン化合物を用いることができる。ケチミン基とは、以下の一般式で表されるものである。
Figure 2009203402
(式中、Rは水素又は炭化水素基である。)
このようなケチミン基は、アミノ基とケトン類とを反応させて得ることができる。そして、このケチミン基が、アルキレン基やオキシアルキレン基を介して、2個以上結合しているケチミン化合物(C)が用いられるのである。たとえば、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンやイソホロンジアミン等と、ジエチルケトンやメチルイソブチルケトン等とを反応させて得られるケチミン化合物を用いることができる。
本発明で用いるエポキシ化合物(D)としては、下記式(I)で表される化合物を用いる。
Figure 2009203402
(式中、nは0〜5である。)
このようなエポキシ化合物(D)はジャパンエポキシレジン株式会社やダウ・ケミカル日本株式会社等から市販されているものである。このエポキシ化合物(D)は、nが0乃至2未満であると液状又は半固形状となっている。また、nが2以上5以下であると常温で固形状として販売されていることが多いので、本発明においては、ポリオール化合物(B)に溶解させて用いるのが好ましい。したがって、本発明において、エポキシ化合物(D)は硬化剤中に配合する方が得策である。また、本発明においては、nが2以上5以下である方が、ビスフェノールA骨格を多く導入でき、架橋密度も上げられるため、硬化後の耐ブロッキング性が向上する傾向が生じる。なお、式(I)中のnは平均値の数を意味している。たとえば、n=0のものとn=2のものが等モルで存在する場合には、n=1となる。
主剤と硬化剤との重量割合は任意であるが、各化合物(A)〜(D)の官能基のモル比は、以下のとおりであるのが好ましい。すなわち、ポリイソシアネート化合物(A)のイソシアネート基1モルに対して、ポリオール化合物(B)の水酸基のモル数とポリケチミン化合物(C)のケチミン基のモル数との合計モル数が、0.5〜1.5モル程度であるのが好ましく、特に0.8〜1.3モル程度であるのが最も好ましい。また、ポリケチミン化合物(C)のケチミン基のモル数は、ポリオール化合物(B)の水酸基1モルに対して、0.1〜2モル程度が好ましく、特に0.2〜1.2モル程度が最も好ましい。エポキシ化合物(D)のグリシジル基のモル数は、ポリイソシアネート化合物(A)のイソシアネート基1モルに対して、0.01〜0.1モル程度が好ましく、特に0.02〜0.09モル程度が最も好ましい。また、エポキシ化合物(D)のグリシジル基のモル数は、ポリケチミン化合物(C)のケチミン基1モルに対して、0.03〜0.3モル程度が好ましく、特に0.04〜0.2モル程度が好ましい。
主剤又は硬化剤中には、各化合物(A)〜(D)の他に、本発明の目的を阻害しない範囲内で、種々の添加剤を添加することができる。たとえば、染顔料、充填材、可塑剤、帯電防止剤、脱水剤、接着付与剤等を添加することができる。
本発明に係る2液型硬化性組成物は、種々の用途に用いることができる。具体的には、接着剤組成物として好適である。本発明に係る2液型硬化性組成物は、主剤と硬化剤とを混合することによって、硬化反応を起こし、どのような被着体であっても、接着接合することができる。すなわち、硬化させるために湿気等の触媒を必要とせずに、被着体を接着接合しうるものである。もちろん、硬化をより促進させるために、錫等の金属、リン酸若しくはその塩又はカルボン酸若しくはその塩等の触媒を、主剤又は硬化剤中に添加しておいてもよい。また、本発明に係る2液型硬化性組成物は、湿気を必要とせずに硬化反応を起こすので、被着体として非通気性材料同士を接着接合するのに適している。非通気性材料としては、プラスチック板、金属板、プラスチックシート、金属箔又はプラスチックフィルム等を用いることができ、これらの非通気性材料同士を接着することができる。
また、本発明に係る2液型硬化性組成物は、硬化被膜が良好な耐ブロッキング性能を持っているため、コーティング剤や塗料等として好適である。塗料として使用するときは、主剤又は硬化剤中に染顔料を添加すればよい。コーティング剤や塗料を塗布する基材としても、どのようなものでも使用できる。本発明に係る2液型硬化性組成物は、湿気を必要とせずに硬化するため、基材として前記した種々の非通気性材料を用いることができる。
本発明に係る2液型硬化性組成物は、主剤と硬化剤とを混合させることにより、硬化反応が生じ、ポリイソシアネート化合物(A)、ポリオール化合物(B)、ポリケチミン化合物(C)及びエポキシ化合物(D)の四元共重合体からなる硬化物が得られる。そして、この硬化物は、高分子鎖に剛直性を与えるビスフェノールA骨格が導入されると共に、架橋密度が上がるため、ブロッキングが生じにくいという効果を奏する。
したがって、本発明に係る2液型硬化性組成物を接着剤組成物として使用した場合において、被着体を接着接合して得られた製品に、穿孔加工や研削加工を施したときに生じる接着剤被膜の塵埃が、製品に付着しにくいという効果を奏する。また仮に、製品に接着剤被膜が付着しても、容易に払い落とすことができるという効果を奏する。さらに、本発明に係る2液型硬化性組成物をコーティング剤や塗料として使用した場合において、基材にコーティング剤や塗料を塗布してコーティング膜や塗装膜を形成した後、コーティング膜同士や塗装膜同士を当接して保管しておいても、又はコーティング膜や塗装膜と他の材料とを当接して保管しておいても、膜同士が自着したり、膜と他の材料とが接着して、ブロッキングを起こすことを防止しうるという効果を奏する。
また、本発明に係る2液型硬化性組成物を接着剤組成物として使用した場合、湿気の不存在下でも硬化反応を起こすため、プラスチック板や金属板等の非通気性材料同士を容易に接着接合しうるという効果を奏する。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明に実施例に限定されるものではない。本発明は、特定の化合物(A)〜(D)を組み合わせてなる2液型硬化性組成物は、それを硬化させると、四元共重合体からなる耐ブロッキング性の良好な硬化物が得られるとの知見に基づくものであるとして、解釈されるべきである。
[ポリイソシアネート化合物(A)について]
(ポリイソシアネート1)
ジフェニルメタンジイソシアネート(住化バイエルウレタン株式会社製、商標「スミジュールG412」)59gと、ヒマシ油系ポリオール(豊国製油株式会社製、品番「TML」、数平均分子量約900、一分子中の平均水酸基数2.7)41gを、不活性雰囲気下で23℃で混合した後、50℃で3時間攪拌して反応物を得た。この反応物は、ヒマシ油系ポリオールの水酸基にジフェニルメタンジイソシアネートが結合したウレタンプレポリマーと、未反応のジフェニルメタンジイソシアネートを含んでいるものであり、これをポリイソシアネート1として準備した。ポリイソシアネート1のNCO含有率が15重量%である。また、ウレタンプレポリマーの分子中には、イソシアネート基が平均して2.7個結合しているので、このポリイソシアネート1は、分子中に少なくとも2個以上のイソシアネート基を持つものである。
(ポリイソシアネート2)
ジフェニルメタンジイソシアネート(住化バイエルウレタン株式会社製、商標「スミジュールG412」)48gと、ヒマシ油系ポリオール(豊国製油株式会社製、品番「TML」、数平均分子量約900、一分子中の平均水酸基数2.7)52gを、不活性雰囲気下で23℃で混合した後、50℃で3時間攪拌して反応物を得た。この反応物も、ヒマシ油系ポリオールの水酸基にジフェニルメタンジイソシアネートが結合したウレタンプレポリマーと、未反応のジフェニルメタンジイソシアネートを含んでいるものであり、これをポリイソシアネート2として準備した。ポリイソシアネート2のNCO含有率が10重量%である。また、ウレタンプレポリマーの分子中には、イソシアネート基が平均して2.7個結合しているので、このポリイソシアネート2は、分子中に少なくとも2個以上のイソシアネート基を持つものである。
(ポリイソシアネート3)
ポリイソシアネート3として、ポリフェニルポリイソシアネート(住化バイエルウレタン株式会社製、商標「スミジュール44V20」)を準備した。ポリイソシアネート3は、NCO含有率が31.5%である。また、これはポリメリックMDIであり、分子中に少なくとも2個以上のイソシアネート基を持つものである。
[ポリオール化合物(B)について]
(ポリオール1)
ポリオール1は、ポリエステルポリオール(株式会社ADEKA製、品番「NS2400」、数平均分子量2000、一分子中の平均水酸基数2個)を準備した。
(ポリオール2)
ポリオール2は、ヒマシ油系ポリオール(豊国製油株式会社製、品番「TLM」、数平均分子量約900、一分子中の平均水酸基数2.7)を準備した。
[ポリケチミン化合物(C)について]
(ポリケチミン1)
1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン1モルとジエチルケトン4モルを、フラスコに投入し、生成する水をディンスタークトラップで除去しながら、120〜150℃でケトンを還流させて反応を行った。そして、ガスクロマトグラフィーで反応が終了していることを確認した後、エバポレータを用いて減圧蒸留によりケトンを除去して反応生成物(以下、「ポリケチミン1」という。)を得た。得られたポリケチミン1は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン1モルに対して、ジエチルケトン2モルが縮合付加したものを主体とし、ジエチルケトン1モルが縮合付加したもの及び未反応の1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを極少量含んでなるものである。ポリケチミン1において、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの全アミノ基に対するケトン基の縮合付加率(以下、「ケチミン化率」という。)は、95%以上であった。したがって、ポリケチミン1は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン1モルに対して、ジエチルケトン2モルが縮合付加したもの、すなわち、分子中にケチミン基を2個有しているポリケチミン化合物を主体としていることが分かる。なお、ケチミン化率は後述する方法で測定されるものである。
(ポリケチミン2)
1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン1モルとメチルイソブチルケトン4モルを用いる他は、ポリケチミン1と同様の方法でポリケチミン2を得た。得られたポリケチミン2は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン1モルにメチルイソブチルケトン2モルが縮合付加したものを主体とするものである。なお、ケチミン化率は95%以上であった。
(ポリケチミン3)
イソホロンジアミン1モルとジエチルケトン4モルを用いる他は、ポリケチミン1と同様の方法でポリケチミン3を得た。得られたポリケチミン3は、イソホロンジアミン1モルにジエチルケトン2モルが縮合付加したものを主体とするものである。なお、ケチミン化率は95%以上であった。
(ポリケチミン4)
ポリケチミン4は、ジェファーミン型ケチミン(株式会社ADEKA製、品番「EH235R−2S」)を準備した。なお、ケチミン化率は95%以上であった。
ポリケチミン1〜4のケチミン化率は、以下の方法により測定したものである。すなわち、ポリケチミン1〜4をトルエンに溶解させて、ガスクロマトグラフィー測定法により、ピーク面積の総和と、原料となる1級アミン化合物の1級アミノ基n個のうちx個がケチミン化した化合物のピーク面積Axとを求め、次の数1を利用して、ケチミン化率を算出した。
Figure 2009203402
また、ガスクロマトグラフィー測定における測定条件は下記の通りである。
(ガスクロマトグラフィーの測定条件)
(1)測定方法:FID法
(2)カラム温度:80℃で1分間保持した後、10℃/minの温度上昇比率で温度を280℃まで上昇させ、280℃で1分間保持した。
(3)温度:280℃(Injection)、280℃(Detector)
(4)キャリアガス:ヘリウム(He)(流量:30ml/min)、水素(流量:30ml/min)、空気(流量:400ml/min)
[エポキシ化合物(D)について]
(エポキシ化合物1)
エポキシ化合物1は、式(I)中のnが5のもの(ジャパンエボキシレジン株式会社製、品番「E1004」)を準備した。
(エポキシ化合物2)
エポキシ化合物2は、式(I)中のnが2のもの(ジャパンエボキシレジン株式会社製、品番「E1001」)を準備した。
(エポキシ化合物3)
エポキシ化合物3は、式(I)中のnが0のもの(ダウ・ケミカル日本株式会社製、品番「DER332」)を準備した。
[2液型硬化性組成物の調製方法]
硬化剤はいずれの実施例も以下のようにして調製した。まずポリオール1とエポキシ化合物とを、120℃の減圧下で2時間加熱し、エポキシ化合物を溶解させると共に脱水した後、ポリケチミンとポリオール2とを添加混合し、硬化剤を得た。
比較例ではエポキシ化合物を抜き、ポリオール1のみ、あるいはポリオール1とビスフェノールA・POの混合物を120℃の減圧下で2時間加熱した後、ポリケチミンとポリオール2を添加混合して硬化剤を得た。
これら硬化剤に、ポリイソシアネート1あるいは2あるいは3からなる主剤を、組み合わせて2液型硬化性組成物とした。
その後、主剤及び硬化剤を23℃に調温した後混合して混合物を得、以下の試験に供した。
なお、各化合物の使用量に関しては実施例、比較例にて示す。
[2液型硬化性組成物の試験方法]
(ブロッキング試験)
主剤と硬化剤とを均一に混合した混合物を、重さ31gの鋼板(幅25mm×長さ100mm)の片面に、幅10mm×長さ100mmとなるように当該混合物を塗布して、23℃で1時間静置後、70℃のオーブンで1時間養生し、鋼板の片面に厚さ0.25mmの塗装膜を形成した。このような塗装膜が形成された鋼板に、何も塗布されていない同種の鋼板(幅25mm×長さ100mm)を、23℃の雰囲気下で、塗装膜を介して十の字の形状になるように重ね合わせた。そして、鋼板の上に125gの重りを載せて、所定時間圧締した。なお、所定時間の圧締を、以下では「圧締時間」という。その後何も塗布されていない鋼板を手で持ち上げ、ブロッキングの有無を確認した。評価基準は以下の通りとした。
○:鋼板同士が接着しておらず、自重で鋼板同士が剥がれる。
×:鋼板同士がブロッキングしており、持ち上げても一体化している。
(ショアD硬度試験)
主剤と硬化剤とを均一に混合して硬化物を得た。そして、硬化後70℃で15時間養生し、養生後に23℃に調温して、硬化物の23℃におけるショアD硬度を測定した。
例A
例Aのグループは、ポリイソシアネート化合物(A)、ポリオール化合物(B)及びポリケチミン化合物(C)の使用量を一定とし、エポキシ化合物(D)の種類及び使用量(使用しない場合を含む。)を変更した場合の実施例及び比較例を示したものである。
実施例A−1
[2液型硬化性組成物]
主剤:ポリイソシアネート1(100g, イソシアネート基モル数0.357モル)
硬化剤:ポリオール1(16g, 水酸基モル数0.016モル)
エポキシ化合物2(5g, グリシジル基モル数0.011モル)
ポリケチミン1(16g, ケチミン基モル数0.109モル)
ポリケチミン3(16g, ケチミン基モル数0.099モル)
ポリオール2(63g, 水酸基モル数0.179モル)
実施例A−2
エポキシ化合物2の量(10g, グリシジル基モル数0.021モル)を変更した他は、実施例A−1と同様の組成の2液型硬化性組成物を得た。
実施例A−3
エポキシ化合物2に代えて、エポキシ化合物1(5g, グリシジル基モル数0.005モル)を使用した他は、実施例A−1と同様の組成の2液型硬化性組成物を得た。
実施例A−4
エポキシ化合物2に代えて、エポキシ化合物2とエポキシ化合物3の等モル混合物(10g, グリシジル基モル数0.031モル)を使用した他は、実施例A−1と同様の組成の2液型硬化性組成物を得た。
実施例A−5
エポキシ化合物2に代えて、エポキシ化合物2:エポキシ化合物3=1:3(モル比) の混合物(5g, グリシジル基モル数0.018モル)を使用他は、実施例A−1と同様の組成の2液型硬化性組成物を得た。
実施例A−6
エポキシ化合物2に代えて、エポキシ化合物3(5g, グリシジル基モル数0.029モル)を使用した他は、実施例A−1と同様の組成の2液型硬化性組成物を得た。
比較例A−1
エポキシ化合物2を使用しない他は、実施例A−1と同様の組成の2液型硬化性組成物を得た。
比較例A−2
エポキシ化合物2に代えて、ビスフェノールA・PO(10g、株式会社ADEKA製、品番「BPX11」、一分子中の平均水酸基数2個)を使用した他は、実施例A−1と同様の組成の2液型硬化性組成物を得た。
なお、ビスフェノールA・POは、以下のような構造式を持つものである。
Figure 2009203402
実施例A−1〜A−6、比較例A−1及び比較例A−2で得られた2液型硬化性組成物を、前記したブロッキング試験及びショアD硬度試験に供した。その結果は、以下のとおりであった。
実施例A−1;ショアD硬度:64、ブロッキング性(圧締時間:30分):○
実施例A−2;ショアD硬度:65、ブロッキング性(圧締時間:30分):○
実施例A−3;ショアD硬度:70、ブロッキング性(圧締時間:30分):○
実施例A−4;ショアD硬度:59、ブロッキング性(圧締時間:30分):○
実施例A−5;ショアD硬度:53、ブロッキング性(圧締時間:30分):○
実施例A−6;ショアD硬度:45、ブロッキング性(圧締時間:30分):○
比較例A−1;ショアD硬度:53、ブロッキング性(圧締時間:30分):×
比較例A−2;ショアD硬度:45、ブロッキング性(圧締時間:30分):×
実施例A−1乃至A−6と、比較例A−1及びA−2とを対比すれば明らかなように、エポキシ化合物(D)を添加配合した実施例は、それを添加配合しない比較例に比べて、硬化後の塗装膜がブロッキングしにくくなっていることが分かる。また、実施例は比較例に比べて硬化物のショア硬度Dが高い場合が多い。しかし、実施例A−6と比較例A−1の対比から分かるように、ショア硬度Dが高いためにブロッキングが生じにくくなっているわけでもない。
例B
例Bのグループは、ポリオール化合物(B)及びポリケチミン化合物(C)の使用量を、例Aのグループのものに比べて増減させると共に、エポキシ化合物(D)を実施例A−1と同種同量とした場合の実施例、及びエポキシ化合物(D)を使用しない比較例を示したものである。
実施例B−1
[2液型硬化性組成物]
主剤:ポリイソシアネート1(100g, イソシアネート基モル数0.357モル)
硬化剤:ポリオール1(16g, 水酸基モル数0.016モル)
エポキシ化合物2(5g, グリシジル基モル数0.011モル)
ポリケチミン1(17g, ケチミン基モル数0.116モル)
ポリケチミン3(18g, ケチミン基モル数0.112モル)
ポリオール2(69g, 水酸基モル数0.196モル)
比較例B−1
エポキシ化合物2を使用しない他は、実施例B−1と同様の組成の2液型硬化性組成物を得た。
実施例B−1及び比較例B−1で得られた2液型硬化性組成物を、前記したブロッキング試験及びショアD硬度試験に供した。その結果は、以下のとおりであった。
実施例B−1;ショアD硬度:57、ブロッキング性(圧締時間:15分):○
比較例B−1;ショアD硬度:48、ブロッキング性(圧締時間:15分):×
実施例B−2
[2液型硬化性組成物]
主剤:ポリイソシアネート1(100g, イソシアネート基モル数0.357モル)
硬化剤:ポリオール1(16g, 水酸基モル数0.016モル)
エポキシ化合物2(5g, グリシジル基モル数0.011モル)
ポリケチミン1(11g, ケチミン基モル数0.075モル)
ポリケチミン3(112g, ケチミン基モル数0.075モル)
ポリオール2(45g, 水酸基モル数0.128モル)
比較例B−2
エポキシ化合物2を使用しない他は、実施例B−2と同様の組成の2液型硬化性組成物を得た。
実施例B−2及び比較例B−2で得られた2液型硬化性組成物を、前記したブロッキング試験及びショアD硬度試験に供した。その結果は、以下のとおりであった。
実施例B−2;ショアD硬度:72、ブロッキング性(圧締時間:2時間):○
比較例B−2;ショアD硬度:65、ブロッキング性(圧締時間:2時間):×
実施例B−3
[2液型硬化性組成物]
主剤:ポリイソシアネート1(100g, イソシアネート基モル数0.357モル)
硬化剤:ポリオール1(16g, 水酸基モル数0.016モル)
エポキシ化合物2(5g, グリシジル基モル数0.011モル)
ポリケチミン1(5g, ケチミン基モル数0.034モル)
ポリケチミン3(6g, ケチミン基モル数0.037モル)
ポリオール2(113g, 水酸基モル数0.321モル)
比較例B−3
エポキシ化合物2を使用しない他は、実施例B−3と同様の組成の2液型硬化性組成物を得た。
実施例B−3及び比較例B−3で得られた2液型硬化性組成物を、前記したブロッキング試験及びショアD硬度試験に供した。その結果は、以下のとおりであった。
実施例B−3;ショアD硬度:25、ブロッキング性(圧締時間:5分):○
比較例B−3;ショアD硬度:14、ブロッキング性(圧締時間:5分):×
実施例B−4
[2液型硬化性組成物]
主剤:ポリイソシアネート1(100g, イソシアネート基モル数0.357モル)
硬化剤:ポリオール1(16g, 水酸基モル数0.016モル)
エポキシ化合物2(5g, グリシジル基モル数0.011モル)
ポリケチミン1(32g, ケチミン基モル数0.219モル)
ポリオール2(63g, 水酸基モル数0.179モル)
比較例B−4
エポキシ化合物2を使用しない他は、実施例B−4と同様の組成の2液型硬化性組成物を得た。
実施例B−4及び比較例B−4で得られた2液型硬化性組成物を、前記したブロッキング試験及びショアD硬度試験に供した。その結果は、以下のとおりであった。
実施例B−4;ショアD硬度:57、ブロッキング性(圧締時間:15分):○
比較例B−4;ショアD硬度:50、ブロッキング性(圧締時間:15分):×
実施例B−5
[2液型硬化性組成物]
主剤:ポリイソシアネート1(100g, イソシアネート基モル数0.357モル)
硬化剤:ポリオール1(16g, 水酸基モル数0.016モル)
エポキシ化合物2(5g, グリシジル基モル数0.011モル)
ポリケチミン2(35g, ケチミン基モル数0.217モル)
ポリオール2(63g, 水酸基モル数0.179モル)
比較例B−5
エポキシ化合物2を使用しない他は、実施例B−5と同様の組成の2液型硬化性組成物を得た。
実施例B−5及び比較例B−5で得られた2液型硬化性組成物を、前記したブロッキング試験及びショアD硬度試験に供した。その結果は、以下のとおりであった。
実施例B−5;ショアD硬度:57、ブロッキング性(圧締時間:15分):○
比較例B−5;ショアD硬度:48、ブロッキング性(圧締時間:15分):×
実施例B−6
[2液型硬化性組成物]
主剤:ポリイソシアネート1(100g, イソシアネート基モル数0.357モル)
硬化剤:ポリオール1(16g, 水酸基モル数0.016モル)
エポキシ化合物2(5g, グリシジル基モル数0.011モル)
ポリケチミン3(33g, ケチミン基モル数0.205モル)
ポリオール2(63g, 水酸基モル数0.179モル)
比較例B−6
エポキシ化合物2を使用しない他は、実施例B−6と同様の組成の2液型硬化性組成物を得た。
実施例B−6及び比較例B−6で得られた2液型硬化性組成物を、前記したブロッキング試験及びショアD硬度試験に供した。その結果は、以下のとおりであった。
実施例B−6;ショアD硬度:65、ブロッキング性(圧締時間:2時間):○
比較例B−6;ショアD硬度:56、ブロッキング性(圧締時間:2時間):×
実施例B−7
[2液型硬化性組成物]
主剤:ポリイソシアネート1(100g, イソシアネート基モル数0.357モル)
硬化剤:ポリオール1(16g, 水酸基モル数0.016モル)
エポキシ化合物2(5g, グリシジル基モル数0.011モル)
ポリケチミン4(44g, ケチミン基モル数0.209モル)
ポリオール2(63g, 水酸基モル数0.179モル)
比較例B−7
エポキシ化合物2を使用しない他は、実施例B−7と同様の組成の2液型硬化性組成物を得た。
実施例B−7及び比較例B−7で得られた2液型硬化性組成物を、前記したブロッキング試験及びショアD硬度試験に供した。その結果は、以下のとおりであった。
実施例B−7;ショアD硬度:45、ブロッキング性(圧締時間:15分):○
比較例B−7;ショアD硬度:38、ブロッキング性(圧締時間:15分):×
実施例B−1と比較例B−1、実施例B−2と比較例B−2、実施例B−3と比較例B−3、実施例B−4と比較例B−4、実施例B−5と比較例B−5、実施例B−6と比較例B−6及び実施例B−7と比較例B−7を対比すれば明らかなように、エポキシ化合物(D)を添加配合した実施例は、それを添加配合しない比較例に比べて、硬化後の塗装膜がブロッキングしにくくなっていることが分かる。
例C
例Cのグループは、例A及び例Bのグループのものに比べて、ポリイソシアネート化合物(A)のNCO含有率を増減させたものである。そして、ポリイソシアネート化合物(A)のNCO含有率に対応させて、ポリオール化合物(B)の使用量も増減させたものである。
実施例C−1
[2液型硬化性組成物]
主剤:ポリイソシアネート2(100g, イソシアネート基モル数0.238モル)
硬化剤:ポリオール1(16g, 水酸基モル数0.016モル)
エポキシ化合物2(5g, グリシジル基モル数0.011モル)
ポリケチミン1(10g, ケチミン基モル数0.068モル)
ポリケチミン3(11g, ケチミン基モル数0.068モル)
ポリオール2(69g, 水酸基モル数0.119モル)
比較例C−1
エポキシ化合物2を使用しない他は、実施例C−1と同様の組成の2液型硬化性組成物を得た。
実施例C−1及び比較例C−1で得られた2液型硬化性組成物を、前記したブロッキング試験及びショアD硬度試験に供した。その結果は、以下のとおりであった。
実施例C−1;ショアD硬度:50、ブロッキング性(圧締時間:5分):○
比較例C−1;ショアD硬度:40、ブロッキング性(圧締時間:5分):×
実施例C−2
[2液型硬化性組成物]
主剤:ポリイソシアネート3(100g, イソシアネート基モル数0.750モル)
硬化剤:ポリオール1(16g, 水酸基モル数0.016モル)
エポキシ化合物2(5g, グリシジル基モル数0.011モル)
ポリケチミン1(11g, ケチミン基モル数0.075モル)
ポリケチミン3(11g, ケチミン基モル数0.068モル)
ポリオール2(237g, 水酸基モル数0.673モル)
比較例C−2
エポキシ化合物2を使用しない他は、実施例C−2と同様の組成の2液型硬化性組成物を得た。
実施例C−2及び比較例C−2で得られた2液型硬化性組成物を、前記したブロッキング試験及びショアD硬度試験に供した。その結果は、以下のとおりであった。
実施例C−2;ショアD硬度:80、ブロッキング性(圧締時間:15分):○
比較例C−2;ショアD硬度:70、ブロッキング性(圧締時間:15分):×
実施例C−1と比較例C−1及び実施例C−2と比較例C−2を対比すれば明らかなように、エポキシ化合物(D)を添加配合した実施例は、それを添加配合しない比較例に比べて、硬化後の塗装膜がブロッキングしにくくなっていることが分かる。
例A〜例Cの結果から、各種条件を種々に変更しても、エポキシ化合物(D)を用い四元共重合によって硬化させた塗装膜は、エポキシ化合物(D)を用いずに三元共重合によって硬化させた塗装膜に比べて、ブロッキングが生じにくいという効果を奏する。

Claims (6)

  1. 分子中にイソシアネート基を少なくとも2個以上有するポリイソシアネート化合物(A)を含有する主剤と、分子中に水酸基を少なくとも2個以上有するポリオール化合物(B)及び分子中にケチミン基を少なくとも2個以上有するポリケチミン化合物(C)を含有する硬化剤とからなる2液型硬化性組成物において、
    主剤又は硬化剤中には、下記式(I)で表されるエポキシ化合物(D)が含有されていることを特徴とする2液型硬化性組成物。
    ただし、ポリイソシアネート化合物(A)、ポリオール化合物(B)、ポリケチミン化合物(C)及びエポキシ化合物(D)は、各々、異なる化合物である。
    Figure 2009203402
    (式中、nは0〜5である。)
  2. nが2〜5である請求項1記載の2液型硬化性組成物。
  3. ポリイソシアネート化合物(A)、ポリオール化合物(B)、ポリケチミン化合物(C)及びエポキシ化合物(D)が四元共重合することによって、硬化反応が生じる請求項1記載の2液型硬化性組成物。
  4. 請求項1記載の2液型硬化性組成物よりなる接着剤組成物。
  5. 請求項4記載の接着剤組成物を用いて、非通気性材料同士を接着することを特徴とする接着方法。
  6. 非通気性材料が金属板又はプラスチックシートである請求項5記載の接着方法。
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