JP2005139319A - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1級炭素原子、2級炭素原子または芳香環を構成する炭素原子に結合したイソシアネート基のみを1分子中に平均2個以上有するポリイソシアネート化合物と、2級アミノ基またはメルカプト基および加水分解性シリル基を有するシラン化合物とを付加させて得られる、イソシアネート基および加水分解性シリル基をそれぞれ1分子当たり平均1個以上有するイソシアネートシラン化合物(A)と;エポキシ樹脂(B)および/または3級炭素原子に結合したイソシアネート基を1分子中に平均2個以上有するウレタンプレポリマー(C)と;湿気潜在性硬化剤(D)とを含有する硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
また、(1)末端にイソシアネート基を有するウレタンポリマー、(2)アミノシラン化合物またはメルカプトシラン化合物と有機ポリイソシアネートとの付加物、(3)エポキシシラン化合物、並びに場合により(4)添加剤よりなる接着性を付与した一液型ウレタン樹脂組成物が提案されている(特許文献2参照。)。
さらにまた、(1)イソシアネート官能価が少なくとも2.0であり、分子量が少なくとも2,000であるウレタンプレポリマー;および(2)ポリイソシアネートと特定の化合物との反応生成物であり、1分子当りに平均して少なくとも1個のシラン基および少なくとも1個のイソシアネート基を有し、分子量が2,000未満である反応生成物を含むことを特徴とする組成物が提案されている(特許文献4参照。)。
特に、硬質ポリ塩化ビニルは、パイプ、継手、成形品、フィルム、シート、電線、ガラス(例えば、車輛用ガラス等)のコーティング等に使用されている。
また、一般に、1液型の湿気硬化性樹脂組成物には、ガラス、金属(例えば、アルミニウム、銅等)、モルタル等の各種被着体に対する優れた接着性と良好な貯蔵安定性が求められている。
しかし、これらの特性を満たす組成物であっても、塩化ビニル、特に硬質塩化ビニルに対する接着性は満足できるものではないのが現状である。
また、本発明者らは、上記樹脂組成物に含有する樹脂成分をエポキシ樹脂または3級炭素原子に結合したイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーとすることにより、上記イソシアネートシラン化合物のイソシアネート基の級数にかかわらず組成物としての貯蔵安定性を保持でき、また湿気潜在性硬化剤を用いることにより、さらに貯蔵安定性を向上でき、組成物の硬化性をも保持できることを知見した。一方、これらにより各種の被着体に対する接着性を損なわないことも知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。
(I)1級炭素原子、2級炭素原子または芳香環を構成する炭素原子に結合したイソシアネート基のみを1分子中に平均2個以上有するポリイソシアネート化合物と、2級アミノ基またはメルカプト基および加水分解性シリル基を有するシラン化合物とを付加させて得られる、イソシアネート基および加水分解性シリル基をそれぞれ1分子当たり平均1個以上有するイソシアネートシラン化合物(A)と;エポキシ樹脂(B)と;湿気潜在性硬化剤(D)とを含有する硬化性樹脂組成物。
すなわち、本発明により、1液型の湿気硬化性樹脂組成物として、優れた硬化性、各種の被着体に対する接着性および貯蔵安定性を損なうことなく、ポリ塩化ビニル、特に硬質ポリ塩化ビニルに対する接着性に優れる硬化性樹脂組成物を提供できる。
本発明の組成物は、1級炭素原子、2級炭素原子または芳香環を構成する炭素原子に結合したイソシアネート基のみを1分子中に平均2個以上有するポリイソシアネート化合物と、2級アミノ基またはメルカプト基および加水分解性シリル基を有するシラン化合物とを付加させて得られる、イソシアネート基および加水分解性シリル基をそれぞれ1分子当たり平均1個以上有するイソシアネートシラン化合物(A)と;エポキシ樹脂(B)および/または3級炭素原子に結合したイソシアネート基を1分子中に平均2個以上有するウレタンプレポリマー(C)と;湿気潜在性硬化剤(D)とを含有する硬化性樹脂組成物である。
イソシアネート基が結合する炭素原子を上記に限定したイソシアネートシラン化合物(A)を樹脂組成物の接着付与剤として用いることにより、ポリ塩化ビニル、特に硬質ポリ塩化ビニルに対する該組成物の接着性が改善される。
該イソシアネート基のうち、少なくとも1つは、それぞれ組成物の硬化反応および後述するシラン化合物のアミノ基またはメルカプト基との反応に使用されるため、該イソシアネート基は、ポリイソシアネート化合物1分子中に平均2個以上有すればポリ塩化ビニルに対する接着性に優れるが、該接着性をより向上させるには2.5個以上とするのが好ましく、3個以上とするのが特に好ましい。
このなかでも、ポリ塩化ビニルに対する接着性に優れる点で、トリイソシアネートであるのが好ましく、例えば、リジントリイソシアネート、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート、ビウレット変性ポリイソシアネートが好ましい。
上記したポリイソシアネートは、1種単独でも2種以上を併用することもできる。
上記プレポリマーは、市販品を用いることもできる。
これらのプレポリマーは、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
加水分解性シリル基中の加水分解可能な置換基は、従来公知の加水分解性基であればよく、具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらのうち、アルコキシ基が好ましく、加水分解反応が穏やかに進行し取扱い性に優れる点でメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基が特に好ましい。
加水分解可能な置換基は、加水分解性シリル基中に少なくとも1つあればよく、接着性、硬化性に優れる点で、2つ以上が好ましく、3つであるのが好ましい。
一般式(1)〜(3)中のR2 およびR3 の炭素数1〜8の分岐していてもよいアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、これらの基が二重結合または三重結合を含んでいてもよい。この中でも、メチル基、エチル基が好ましい。 なお、R2 およびR3 は、同一でも異なっていてもよい。
nは、0または1であるのが好ましい。
また、該R4 はそのアルキル基の水素原子の1つ以上が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、特に限定されないが、アミノ基、アミノアルキル基(炭素数1〜8)であるのが好ましく、アミノ基、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノブチル基がより好ましい。
R4 の炭素数7〜18の分岐していてもよいアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等を挙げることができる。
またR4 の炭素数6〜18のアリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基(トルイル基)、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基等を挙げることができる。また、アリール基の置換基としては、上記したアルキル基の他に、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子からなる基等が挙げられる。これらの置換基は1または2以上を有してもよく、それらの置換位置も限定されない。
一般式(2)で表される2級アミノ基を有するシラン化合物としては、例えば、3−(n−ブチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(Dynasilane1189(デグサヒュルス社製))、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー社製)等が好適に挙げられる。
また、一般式(3)で表されるメルカプトを有するシラン化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー社製)等が好適に挙げられる。
これらのシラン化合物は市販品を用いることもできる。
上記シラン化合物は、1種単独でも2種以上を併用することもできる。
これらの基をそれぞれ1分子当たり平均1個以上有するイソシアネートシラン化合物(A)を組成物に含有させることにより、硬化性に優れ、ポリ塩化ビニルに対する接着性を改善できる。
これらの特性により優れる点で、これらの基をそれぞれ1分子当たり平均1.5個以上有するのが好ましい。
本発明では、上記イソシアネートシラン化合物(A)の官能基数を上記範囲内に調整できるように、上記ポリイソシアネート化合物、活性水素を有する化合物および上記シラン化合物の官能基数を任意に選択できる。
この反応比で反応させてなる本発明のイソシアネートシラン化合物(A)は、特定のNCO基と加水分解性シリル基をそれぞれ分子内に平均して1つ以上有しており、分子内にこれらの反応性官能基を有することにより、特に塩化ビニルに対する接着付与効果が高められる。
具体的には、例えば、TMPとTDIとの付加物およびTMPとXDIとの付加物からなる群から選択される1種以上のポリイソシアネート化合物と、N,N−ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[(3−トリエトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[(3−トリプロポキシシリル)プロピル]アミン、3−(n−ブチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよび3−ロピルトリメトキシシランからなる群から選択される1種以上のシラン化合物とを付加させて得られる化合物が好適に挙げられる。
該エポキシ樹脂は市販品を用いてもよく製造してもよい。製造条件は特に限定されず、通常用いられる条件で行いことができる。
該ウレタンプレポリマー(C)1分子中には、平均2個以上の上記イソシアネート基を有する。該ウレタンプレポリマーを用いると、イソシアネートシラン化合物(A)のイソシアネート基の反応性に関わらず、組成物としたときの貯蔵安定性に優れる。
具体的には、例えば、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、そのイソシアヌレート体、そのビウレット体、それと多価アルコール類との付加体等が挙げられる。
このような付加体は、必ずしもOH:NCO完全付加体でなくても、未反応原料を含んでいてもよい。
組成物および硬化物の物性に優れる点で、両者を併用するのが好ましく、この場合の混合比は、組成物および硬化物に要求される物性または特性等に応じて任意に調整できるが、好ましくは、ウレタンプレポリマー(C)100質量部に対して、エポキシ樹脂(B)が0.5〜20質量部であり、より好ましくは、2〜10質量部である。
本発明では、これらのうちでも、湿分の非存在下では実質的に不活性であるが、湿分との接触(加水分解)により第1級または第2級アミノ基を生成する湿気潜在性硬化剤が好ましく、特に組成物の貯蔵安定性を改善でき、硬化性にも優れる点で、ケチミン、エナミンまたはオキサゾリジン構造を有する化合物であるのが好ましい。
以下、本発明の組成物に好適なケチミン、エナミンまたはオキサゾリジン構造を有する化合物について説明する。
なお、R6 の置換位置は特に限定されない。
脂肪族系ポリアミンとしては、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メンセンジアミン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、分子両末端のプロピレン分岐炭素にアミノ基が結合したポリプロピレングリコール(プロピレン骨格のジアミン、例えば、サンテクノケミカル社製「ジェファーミンD230」、「ジェファーミンD400」等、プロピレン骨格のトリアミン、例えば、「ジェファーミンT403」等)、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、1,2−ジアミノプロパン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、H2 N(CH2 CH2 O)2 (CH2 )2 NH2 (サンテクノケミカル社製「ジェファーミンEDR148」(エチレングリコール骨格のジアミン))等のアミン窒素にメチレン基が結合したポリエーテル骨格のジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(デュポン・ジャパン社製「MPMD」)、メタキシリレンジアミン(MXDA)、ポリアミドアミン(三和化学社製「X2000」)、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(三菱ガス化学社製「1,3BAC」)、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルアミン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン(三井化学社製「NBDA」)等を挙げることができる。これらの中でも、特に硬化速度が高いことから、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン、メタキシリレンジアミン、H2 N(CH2 CH2 O)2 (CH2 )2 NH2 (エチレングリコール骨格のジアミン)、プロピレン骨格のジアミン、プロピレン骨格のトリアミン、ポリアミドアミン(商品名:X2000)が好ましい。
これらのなかでも、安定性が特に優れることから、アセトフェノンまたはプロピオフェノンと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの、アセトフェノンまたはプロピオフェノンとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるもの、および、アセトフェノンまたはプロピオフェノンとメタキシリレンジアミンとから得られるものが好ましい。
このようなケチミン構造を有する化合物(D−1)は、ケトンとポリアミンとを無溶媒下またはベンゼン、トルエン、キシレン等の溶媒存在下で加熱還流させ、脱離してくる水を共沸により除きながら反応させることにより得られる。
カルボニル基のα位の一方に立体障害の大きい置換基を有するケトン(6)からなるケチミン構造を有する化合物(D−2)は、安定であり、ウレタンプレポリマー等との組成物としたときに、優れた貯蔵安定性を有し、硬化性を維持できる。
ここで、R8 〜R10の炭素数1〜6の炭化水素基としては、上記一般式(5)で表されるケトンのR5 、R6 で説明したのと基本的に同様でありそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
また、R8 とR9 とが結合して環を形成してもよく、さらに、R9 とR10とが結合して、環を形成してもよい。
このような化合物としては、例えば、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、メチルt−ブチルケトン(MTBK)、メチルシクロヘキシルケトン、メチルシクロヘキサノン等が好ましい。
これらのなかでも、MIPKまたはMTBKとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるもの、MIPKまたはMTBKと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの、MIPKまたはMTBKとMXDAとから得られるものが好ましく、接着性が特に優れていることから、MIPKまたはMTBKとポリアミドアミンとから得られるものが好ましい。
ケチミン構造を有する化合物(D−2)は1種単独でも2種以上を併用してもよい。
なお、ケチミン構造を有する化合物(D−2)の製法はケチミン構造を有する化合物(D−1)と同様である。
アルジミン構造を有する化合物(D−3)は、基本的に上記ケチミン構造を有する化合物(D−1)および(D−2)と同様であり、上記一般式(5)のR5 または上記一般式(6)のR10が水素原子であるアルデヒドと、ケチミン構造を有する化合物で説明したポリアミンとを反応させて得られる。
アルデヒドとしては、例えば、ベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド(一般式(5)に対応するアルデヒド);アセトアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ピバルアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド等の脂肪族アルデヒド(一般式(6)に対応するアルデヒド)等が挙げられる。
アルジミン構造を有する化合物は、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
本発明において、オキサゾリジン構造を有する化合物とは、後述するオキサゾリジン構造を有し、ポリイソシアネート化合物に付加させた化合物である。
ポリイソシアネート化合物として、上記イソシアネートシラン化合物(A)で説明したポリイソシアネート化合物、または、ウレタンプレポリマーを用いることができ、それらの一部または全部のイソシアネート基に、後述するオキサゾリジンを付加した化合物が挙げられる。
本発明のオキサゾリジン構造を有する化合物(D−4)は、下記一般式(8)で示される水酸基含有オキサゾリジンと、ポリイソシアネート化合物とからなる。
オキサゾリジン構造を有する化合物(D−4)は1種単独でも2種以上を併用してもよい。
オキサゾリジン構造を有する化合物(D−4)は、例えば、上記ケトン(6)と上記ジエタノールアミン(9)を無溶媒下、あるいはベンゼン、トルエン、キシレン等の溶媒存在下で、加熱還流させ、脱離してくる水を共沸により取り除きながら反応させることで得ることができる。
通常のウレタンプレポリマーの製造に用いられるポリイソシアネートとしては、上記ポリイソシアネート化合物で例示したポリイソシアネートが挙げられる。
ウレタンプレポリマー製造における反応条件等は、上記したとおりである。
ポリイソシアネート化合物は、1種単独でも2種以上を併用することもできる。
反応は、通常のウレタンを製造する条件を選択できるが、室温〜150℃、特に50〜90℃で、1〜20時間行うのが好ましい。
オキサゾリジン残基(オキサゾリジン環部分)を2つ以上有すれば、オキサゾリジンとポリイソシアネート化合物との反応率、導入率は特に限定されない。
また、本発明のオキサゾリジン構造を有する化合物(D−4)を湿気潜在性硬化剤として使用する組成物は、いわゆるタックフリータイムが長く、オキサゾリジンの加水分解に必要な水を塗面内部に浸透させる時間を長くすることができる。このため、深部硬化性に非常に優れており、硬化膜厚を容易に厚くすることができる。
本発明のオキサゾリジン構造を有する化合物(D−5)は、下記一般式(10)で示される水酸基含有オキサゾリジンと、ポリイソシアネート化合物とからなる。
それらの中でも、R13がメチル基、エチル基であるのが、組成物の表面硬化性が特に優れるので好ましい。
炭素数1〜15の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜15の直鎖状または分枝状のアルキル基、アルケニル基、1または2の置換基で置換されていてもよいアリール基、アラルキル(アリールアルキル)基、1または2の置換基で置換されていてもよいシクロアルキル基等が挙げられる。
具体的には、アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクチル基、ドデシル基、ラウリル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec- ブチル基、tert- ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基等;アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、2−メチルアリル基等;アリール基としては、例えば、トリル基(o−、m−、p−)、ジメチルフェニル基、メシチル基等;アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基等;シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
これらの中でも、R11としては、特にイソプロピル基、2−ペンチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基が、原料入手の容易さ及び合成が容易であるという点で好ましい。
オキサゾリジン構造を有する化合物(D−5)は、湿気(水分)の存在下で加水分解により開環し湿気潜在性硬化剤として働く。オキサゾリジン構造を有する化合物を含有することにより、いわゆるタックフリータイムが適度に長く、オキサゾリジン化合物の加水分解に必要な水を組成物内部に浸透させる時間を長くすることができる。
さらに、オキサゾリジン構造を有する化合物(D−4)と(D−5)とを併合してもよく、その組合わせは特に限定されず、何れのオキサゾリジン化合物どうしを併用してもよい。
この場合、オキサゾリジン構造を有する化合物(D−4)として好ましい化合物の1種以上と、オキサゾリジン構造を有する化合物(D−5)として好ましい化合物の1種以上とを任意に組合わせて、湿気潜在性硬化剤(以下「オキサゾリジン混合系湿気潜在性硬化剤」ということがある。)とするのが好ましい。
ケトン、アルデヒドとしては、上記したケトン、アルデヒドと基本的に同様のものが例示される。
第2級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジアリルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジフェニルアミン等が例示される。
また、これらを任意に組合せて併用してもよく、この場合の混合比率(モル比)は、特に限定されず、目的、用途、要求される物性等に応じて適宜調製することができる。
添加剤、配合剤としては、例えば、補強剤(充填剤)、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変成付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、防錆剤、接着付与剤、帯電防止剤、チクソトロピー付与剤等が挙げられる。
これらの添加剤、配合剤およびポリマー等は、シーリング剤、接着剤等の硬化性樹脂組成物に通常用いられるものを、通常の含量で本発明の組成物に配合することができ、目的、用途、要求される性能等に応じて適宜変更することができる。
本発明の組成物(I)は、イソシアネートシラン化合物(A)、エポキシ樹脂(B)および湿気潜在性硬化剤(D)を含有する硬化性樹脂組成物であり、イソシアネートシラン化合物(A)の含量は、上記エポキシ樹脂(B)100質量部に対して、0.2〜10質量部であるのが好ましく、1.0〜5.0質量部であるのが好ましい。
具体的には、湿気潜在性硬化剤(D)が、上記したケチミン(アルジミン)またはエナミン構造を有する化合物の場合は、これらの加水分解後のポリアミンに含まれるアミノ基(NH2 )に対する、ウレタンプレポリマー(C)中の全イソシアネート基(NCO)およびエポキシ樹脂(B)中の全エポキシ基(Ep)の合計量のモル比((NCO+Ep)/(NH2 ))が、0.5〜10であり、好ましくは0.8〜5.0、さらに好ましくは0.9〜3.0である。
湿気潜在性硬化剤の含量が上記の範囲であれば、組成物の貯蔵安定性をより向上でき、組成物の硬化性をも維持できる。
したがって、本発明の組成物は、被着体として、ガラス、アルミニウムはもとより、モルタルや石材等の多孔質部材やアクリル電着等の難接着部材、ポリ塩化ビニル、特に硬質ポリ塩化ビニルを用いた各種建築用および各種自動車用部材のシーリング材、接着剤、コーティング材、プライマー、塗料等に好適に使用することができる。
<イソシアネートシラン化合物(A)の合成>
(イソシアネートシラン化合物(A−1))
1,1,1−トリメチロールプロパンのTDI3モル付加体(L−75、住友バイエルウレタン社製、NCO13.0%)100gと酢酸エチル76gとを4口フラスコに入れ、N2 気流中で撹拌しながら、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(Y−9669、日本ユニカー社製)26.3g(NCO/NH=3/1)を滴下して、40℃で4時間反応させることでイソシアネートシラン化合物(A−1)を得た。
イソシアネートシラン化合物(A−1)は、1分子中にイソシアネート基を平均で2個含有し、トリメトキシシリル基を平均で1個含有するものであった。
NCO/NHを3/2とした以外は、イソシアネートシラン化合物(A−1)と同様にしてイソシアネートシラン化合物(A−2)を得た。
イソシアネートシラン化合物(A−2)は、1分子中にイソシアネート基を平均で1個含有し、トリメトキシシリル基を平均で2個含有するものであった。
N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランの代わりに、N,N−ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル]アミン(A1170、日本ユニカー社製)を用いた以外は、イソシアネートシラン化合物(A−1)と同様にしてイソシアネートシラン化合物(A−3)を得た。
イソシアネートシラン化合物(A−3)は、1分子中にイソシアネート基を平均で2個含有し、トリメトキシシリル基を平均で2個含有するものであった。
NCO/NHを3/2とした以外は、イソシアネートシラン化合物(A−3)と同様にしてイソシアネートシラン化合物(A−4)を得た。
イソシアネートシラン化合物(A−4)は、1分子中にイソシアネート基を平均で1個含有し、トリメトキシシリル基を平均で4個含有するものであった。
1,1,1−トリメチロールプロパンのTDI3モル付加体(L−75、住友バイエルウレタン社製、NCO13.0%)100gと酢酸エチル70gとを4口フラスコに入れ、N2 気流中で撹拌しながら、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(A189、日本ユニカー社製)20.2g(NCO/SH=3/1)と1%オクチル酸第一スズの酢酸エチル溶液0.1gとを加えて、50℃で12時間反応させることでイソシアネートシラン化合物(A−5)を得た。
イソシアネートシラン化合物(A−5)は、1分子中にイソシアネート基を平均で2個含有し、トリメトキシシリル基を平均で1個含有するものであった。
NCO/SHを3/2とした以外は、イソシアネートシラン化合物(A−5)と同様にしてイソシアネートシラン化合物(A−6)を得た。
トリメチロールプロパンのTDI3モル付加体の代わりに、トリメチロールプロパンのXDI3モル付加体(D−110N、武田薬品工業社製、NCO11.7%)を用いた以外は、イソシアネートシラン化合物(A−1)と同様にしてイソシアネートシラン化合物(A−7)を得た。
NCO/NHを3/2とした以外は、イソシアネートシラン化合物(A−7)と同様にしてイソシアネートシラン化合物(A−8)を得た。
トリメチロールプロパンのTDI3モル付加体の代わりに、トリメチロールプロパンのTMXDI3モル付加体(サイセン3160、三井サイテック社製)を用いた以外は、イソシアネートシラン化合物(A−1)と同様にしてイソシアネートシラン化合物(A−9)を得た。
NCO/NHを3/2とした以外は、イソシアネートシラン化合物(A−9)と同様にしてイソシアネートシラン化合物(A−10)を得た。
旭電化製(EP−4100E、エポキシ当量190)のビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた。
テトラメチルキシリレンジイソシアネート(三井サイテック社製)と、3官能ポリオキシプロピレントリオール(エクセノール5030、旭硝子社製)とをNCO/OHが2.0の割合で混合し、80℃で一晩加熱撹拌することにより、ウレタンプレポリマー(C)を得た。
ノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA、三井化学社製)100g、メチルイソプロピルケトン(MIPK、クラレ社製)167gおよびトルエン100gをフラスコに投入し、生成する水を共沸により取り除きながら10時間反応させた。トルエンと過剰のMIPKを減圧蒸留により取り除いて、湿気潜在性硬化剤を得た。
炭酸カルシウムはシーレッツ200(丸尾カルシウム社製)、溶剤はミネラルスピリット、老化防止剤はチヌビンB−75(チバスペシャルティケミカルズ社製)を用いた。
第1表に示す配合量(質量部、湿気潜在性硬化剤(D)はモル比)で、各組成物を定法により調製し、硬質ポリ塩化ビニルに対する接着性(初期および耐水)を評価し、その結果を第1表に示した。また、硬化性、各種被着体に対する接着性および貯蔵安定性の評価も行った。
湿気潜在性硬化剤(D)のモル比は、該湿気潜在性硬化剤の加水分解後のポリアミンに含まれるアミノ基(NH2 )に対する、ウレタンプレポリマー(C)中の全イソシアネート基(NCO)およびエポキシ樹脂(B)中の全エポキシ基(Ep)の合計量のモル比((NCO+Ep)/(NH2 ))である。
なお、実施例1〜11において、エポキシ樹脂(B)およびウレタンプレポリマー(C)の合計100質量部に対する、湿気潜在性硬化剤(D)の質量比は、5.3質量部であった。
第1表中、「−」は、該当する成分を配合していないことを示す。
得られた組成物を硬質ポリ塩化ビニル板の表面に塗布し、20℃、相対湿度(RH)55%の条件下に7日間さらして試験片とした。
この試験片を用いて以下の条件で養生した後、該組成物部分をナイフでカットし該カット部を手剥離して(手で摘んで引張り)、硬質ポリ塩化ビニル板と組成物との接着界面の状態を観察した(ナイフカットによる手剥離試験)。
温度20℃、相対湿度65%の環境下72時間養生
(2)耐水接着性
温度20℃、相対湿度65%の環境下72時間養生後、40℃の温水に240時間浸漬
上記硬質ポリ塩化ビニル板に対する接着性試験において得られた試験片について、硬化性を評価した。
その結果、いずれにおいても、試験片の組成物は、タックが認められず、十分な硬化性を有していた。
得られた各組成物の調製直後の粘度と、60℃で3日間養生後の粘度をE型粘度計で測定し、60℃で3日間養生後の粘度の、調製直後の粘度に対する上昇率(倍)を比較例1の組成物の値と比較して評価した。
その結果、実施例1〜17の各組成物において、比較例1の値と遜色ない値が得られ、優れた貯蔵安定性を維持していた。
上記硬質ポリ塩化ビニル板の代わりに、ガラス、金属(アルミニウム板)およびモルタルを用いて、上記<硬質ポリ塩化ビニル板に対する接着性>と同様にして接着性の評価を行った。
いずれの被着体においても、硬化性樹脂組成物の塗布面積すべてが凝集破壊であり、これらの被着体に対する優れた接着性を保持していた。
Claims (4)
- 1級炭素原子、2級炭素原子または芳香環を構成する炭素原子に結合したイソシアネート基のみを1分子中に平均2個以上有するポリイソシアネート化合物と、2級アミノ基またはメルカプト基および加水分解性シリル基を有するシラン化合物とを付加させて得られる、イソシアネート基および加水分解性シリル基をそれぞれ1分子当たり平均1個以上有するイソシアネートシラン化合物(A)と;
エポキシ樹脂(B)および/または3級炭素原子に結合したイソシアネート基を1分子中に平均2個以上有するウレタンプレポリマー(C)と;
湿気潜在性硬化剤(D)と;
を含有する硬化性樹脂組成物。 - 前記ウレタンプレポリマー(C)が、そのポリイソシアネート成分としてテトラメチルキシリレンジイソシアネートを用いる請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記湿気潜在性硬化剤(D)が、ケチミン、エナミンまたはオキサゾリジン構造を有する化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
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