JP4037102B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケチミン誘導体を含有するウレタン系硬化性樹脂組成物に関し、より詳しくは、特定構造のケトンから得られるケチミン誘導体を潜在性硬化剤として含有する、優れた貯蔵安定性および強力な接着強度等を保持したまま、夏季においても十分な可使時間を確保し優れた硬化性を有する(可使時間と硬化性のバランスに優れた)硬化性樹脂組成物に関する。
本発明で「可使時間」とは「作業可能時間」であり決められた温度(作業環境温度)で十分に目地に施工することができる時間をいい、具体的には硬化が始まるまでの時間の0.8倍相当の時間をいう。
【0002】
【従来の技術】
1液型または2液型のポリウレタン系硬化性樹脂組成物は数多く知られている。ポリウレタン系硬化性樹脂組成物は密閉容器内での貯蔵安定性は比較的良好であるが、施工に際し硬化性が著しく劣り(硬化時間が非常に長く)、発泡するという欠点がある。これらの欠点を改良したポリウレタン系硬化性樹脂組成物として、例えば、ウレタンプレポリマーとケチミン、アルジミン等の潜在性硬化剤とを含有する組成物が挙げられる(特開平5−310879号公報、特開昭61−126177号公報等)。これらの組成物は、大気中の水分により潜在性硬化剤が加水分解して再生されたアミンがウレタンプレポリマーと反応して硬化するものである。
【0003】
しかし、特開平5−310879号公報に記載の組成物は、密閉容器中での貯蔵安定性は優れているものの、一旦開封すると急速に硬化するものであり、可使時間が確保できないという問題がある。
また、特開昭61−126177号公報に記載の組成物は、第3成分としてオルソエステル類を含有する点に特徴を有し、これにより通常の条件下における可使時間を確保している。そのため、特に夏季の40℃以上の高温多湿下では適度な可使時間が確保できないという問題がある。
【0004】
一方、本出願人は、立体障害の大きいケチミン誘導体を用いると優れた貯蔵安定性、硬化性等を有するウレタン系組成物を、WO99/50328号公報、特開2001−81307号公報に記載している。
しかし、近年の技術革新等によりこれらの組成物の使用条件、施工法等が多岐にわたり、硬化性を損ねることなく、特に夏季の40℃以上の高温多湿下における可使時間の十分な確保が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた貯蔵安定性および強力な接着強度等を保持したまま、夏季、特に40℃以上の高温多湿下においても十分な可使時間を確保し優れた硬化性を有する(可使時間と硬化性のバランスに優れた)硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、特定構造のケトンから得られるケチミン誘導体が潜在性硬化剤として従来にない耐水性(空気中の水分によるケチミン誘導体の分解が起こりにくい性質)を有すること、および、活性イソシアネート基(保護およびブロックしていないイソシアネート基)を有する特定のウレタンプレポリマーと、該ケチミン誘導体とを含有するウレタン組成物が、優れた貯蔵安定性および強力な接着強度等を保持したまま、夏季の過酷な条件下での可使時間が十分確保でき優れた硬化性を有する(可使時間と硬化性のバランスに優れる)ことを知見し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(11)を提供する。
(1) 2級または3級炭素原子であって、芳香環を構成しない炭素原子に結合したイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、
潜在性硬化剤として、ポリアミンと下記一般式(1)で表されるケトンとから得られるケチミン誘導体(A)と、ポリアミンと下記一般式(2)で表されるケトンとから得られるケチミン誘導体(B)とを含有し、
前記ケチミン誘導体(B)に対する、前記ケチミン誘導体(A)のモル比((A)/(B))が、0.01〜99であり、
前記ケチミン誘導体(A)と前記ケチミン誘導体(B)との合計配合量が、前記ケチミン誘導体(A)および前記ケチミン誘導体(B)の加水分解後のポリアミンに含まれるアミノ基(NH 2 )に対する、前記ウレタンプレポリマー中の全イソシアネート基(NCO)の比(NCO/(NH 2 ))が、0.5〜5である硬化性樹脂組成物。
【化1】
(式中、R1は炭素数1〜6の炭化水素基、R2は水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基であり、R3は、水素原子またはメチル基であり、R4、R5およびR6は、相互に無関係に炭素数1〜6の炭化水素基である。)
(2) 前記ウレタンプレポリマーを製造する際に使用されるポリイソシアネートが、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H12MDI(水添MDI)、前記ポリイソシアネートのイソシアヌレート体、前記ポリイソシアネートのビューレット体および前記ポリイソシアネートと多価アルコール類との付加体からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)に記載の硬化性樹脂組成物。
(3) 前記一般式(1)で表されるケトンが、アセトフェノン、1’または2’−アセトナフトン、1’または2’−アセトナフトンのアルキル基置換体、バレロフェノン、イソバレロフェノン、n−ヘキサノフェノン、n−ヘプタノフェノン、2’−エチルプロピオフェノン、4’−エチルプロピオフェノン、4’−n−ブチルアセトフェノン、4’−イソブチルアセトフェノン、4’−t−ブチルプロピオフェノンおよび4’−n−ペンチルアセトフェノンからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)または(2)に記載の硬化性樹脂組成物。
(4) 前記ケチミン誘導体(A)の製造の際に使用される前記ポリアミンが、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン、メタキシリレンジアミン(MXDA)、H2N(CH2CH2O)2(CH2)2NH2、プロピレン骨格のジアミン、プロピレン骨格のトリアミンおよびポリアミドアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
(5) 前記ケチミン誘導体(A)が、アセトフェノンまたはプロピオフェノンと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの、アセトフェノンまたはプロピオフェノンとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるもの、および、アセトフェノンまたはプロピオフェノンとメタキシリレンジアミンとから得られるものからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)または(2)に記載の硬化性樹脂組成物。
(6) 前記一般式(2)で表されるケトンが、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、メチルt−ブチルケトン(MTBK)、メチルシクロヘキシルケトンおよびメチルシクロヘキサノンからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
(7) 前記ケチミン誘導体(B)の製造の際に使用される前記ポリアミンが、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン、メタキシリレンジアミン(MXDA)、H2N(CH2CH2O)2(CH2)2NH2、プロピレン骨格のジアミン、プロピレン骨格のトリアミンおよびポリアミドアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
(8) 前記ケチミン誘導体(B)が、MIPKまたはMTBKとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるもの、MIPKまたはMTBKと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの、および、MIPKまたはMTBKとMXDAとから得られるものからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
(9) 前記ケチミン誘導体(A)と前記ケチミン誘導体(B)との組合せが、アセトフェノンまたはプロピオフェノンと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの、およびアセトフェノンまたはプロピオフェノンとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるものからなる群から選ばれる少なくとも1種のケチミン誘導体(A)と、
MIPKまたはMTBKとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるもの、MIPKまたはMTBKと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの、MIPKまたはMTBKとMXDAとから得られるもの、および、MIPKまたはMTBKとポリアミドアミンとから得られるものからなる群から選ばれる少なくとも1種のケチミン誘導体(B)との組合せである上記(1)に記載の硬化性樹脂組成物。
(10) さらに、エポキシ樹脂を含有する上記(1)〜(9)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
(11) 前記エポキシ樹脂の含有量が、前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して、1〜200質量部である上記(10)に記載の硬化性樹脂組成物。
ここで、「2級または3級炭素原子であって、芳香環を構成しない炭素原子」とは、2級または3級炭素原子であって、ヘテロ原子を含んでもよい脂肪族炭素原子、脂肪族環を構成する炭素原子、または、ヘテロ原子を含む脂肪族環を構成する炭素原子をいう。したがって、本発明のウレタンプレポリマーは、例えば、芳香族環を構成するフェニル基の炭素原子に、イソシアネート基の窒素原子が直接結合したジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)等のフェニルイソシアネート系化合物は含まない。
前記組成物中の潜在性硬化剤の含有量は、潜在性硬化剤の加水分解後のポリアミンに含まれるアミノ基(NH2)に対する、ウレタンプレポリマー中の全イソシアネート基(NCO)の比(NCO/(NH2))が、0.5〜5であり、好ましくは0.8〜2.0、さらに好ましくは0.9〜1.5である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明は、
2級または3級炭素原子であって、芳香環を構成しない炭素原子に結合したイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、
潜在性硬化剤として、ポリアミンと下記一般式(1)で表されるケトンとから得られるケチミン誘導体(A)と、ポリアミンと下記一般式(2)で表されるケトンとから得られるケチミン誘導体(B)とを含有し、
前記ケチミン誘導体(B)に対する、前記ケチミン誘導体(A)のモル比((A)/(B))が、0.01〜99であり、
前記ケチミン誘導体(A)と前記ケチミン誘導体(B)との合計配合量が、前記ケチミン誘導体(A)および前記ケチミン誘導体(B)の加水分解後のポリアミンに含まれるアミノ基(NH 2 )に対する、前記ウレタンプレポリマー中の全イソシアネート基(NCO)の比(NCO/(NH 2 ))が、0.5〜5である硬化性樹脂組成物である。
【化3】
(式中、R1は炭素数1〜6の炭化水素基、R2は水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基であり、R3は、水素原子またはメチル基であり、R4、R5およびR6は、相互に無関係に炭素数1〜6の炭化水素基である。)
以下、本発明の硬化性樹脂組成物を「本発明の組成物」ということがある。
【0011】
本発明で用いるウレタンプレポリマーは、2級または3級炭素原子であって、芳香環を構成しない炭素原子に結合したイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであり、より具体的には、分子内に2級炭素原子であって芳香環を構成しない炭素原子に結合したイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、3級炭素原子であって芳香環を構成しない炭素原子に結合したイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、2級炭素原子であって芳香環を構成しない炭素原子に結合したイソシアネート基と3級炭素原子であって芳香環を構成しない炭素原子に結合したイソシアネート基とを有するウレタンプレポリマーである。
ここで、「2級または3級炭素原子であって、芳香環を構成しない炭素原子」とは、2級または3級炭素原子であって、ヘテロ原子を含んでもよい脂肪族炭素原子、脂肪族環を構成する炭素原子、または、ヘテロ原子を含む脂肪族環を構成する炭素原子をいう。したがって、本発明のウレタンプレポリマーは、例えば、芳香族環を構成するフェニル基の炭素原子に、イソシアネート基の窒素原子が直接結合したジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)等のフェニルイソシアネート系化合物は含まない。
イソシアネート基が、2級または3級炭素原子であって、芳香環を構成しない炭素原子に結合したウレタンプレポリマーを用いると、貯蔵安定性が向上する。
このようなウレタンプレポリマーは、特に制限されず、2級または3級炭素原子であって、芳香環を構成しない炭素原子に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネートと、ポリオールとを反応させることにより得られる。
【0012】
ポリイソシアネートとしては、2級または3級炭素原子であって、芳香環を構成しない炭素原子に結合したイソシアネート基を少なくとも1個有する化合物であれば特に制限されず、このようなポリイソシアネートであれば、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
具体的には、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;
イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H12MDI(水添MDI)等の脂環式ポリイソシアネート;
またはこれらのポリイソシアネートのイソシアヌレート体、ビューレット体、多価アルコール類との付加体等が挙げられる。
【0013】
ポリイソシアネートのイソシアヌレート体としては、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等のイソシアヌレート体が好ましく挙げられる。
ポリイソシアネートと多価アルコール類との付加体としては、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP)とテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)とから導かれるTMXDI・TMP付加体(式(3))等が好ましく挙げられる。
【0014】
【化5】
上記のような付加体は、例えばサイセン3160(三井サイテック社)等の商品名で市販されているものを用いることもできる。
このような付加体は、必ずしもOH:NCO完全付加体でなくても、未反応原料を含んでいてもよい。
【0015】
ウレタンプレポリマーの合成に用いられるポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールその他のポリオールおよびこれらの混合ポリオール等を使用することができる。
ポリエーテルポリオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタン、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールの1種または2種以上に、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等の1種または2種以上を付加して得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。具体的には、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、テトラヒドロフランの開環重合によって得られるポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0016】
ポリエステルポリオールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパンその他の低分子ポリオールの1種または2種以上と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸その他の低分子カルボン酸やオリゴマー酸の1種または2種以上との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン等の開環重合体が挙げられる。
【0017】
その他のポリオールとしては、ポリマーポリオール;ポリカーボネートポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の低分子ポリオールが挙げられる。
【0018】
これらのなかでも、硬化後の物性が特に優れることから、数平均分子量500〜15000のポリエーテルポリオール、特には1000〜10000のポリエーテルポリオールが好ましい。
これらのポリオールは、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0019】
ウレタンプレポリマーは、ポリオールと過剰のポリイソシアネートとを反応させることにより得られる。ポリオールとポリイソシアネートとの混合比は、ポリオール中の水酸基に対するポリイソシアネート中のイソシアネート基の比(NCO/OH)が1.3〜2.5であるのが好ましく、1.5〜2.0であるのがより好ましい。この範囲であると、ウレタンプレポリマーの粘度が適度であり、硬化物の伸びが優れている。
【0020】
ウレタンプレポリマーの製造方法は、通常のウレタンプレポリマーと同様の方法を用いることができる。例えば、上述の量比のポリオールとポリイソシアネートを、50〜100℃で加熱撹拌することにより得られる。必要に応じて、有機スズ化合物、有機ビスマス、アミン等のウレタン化触媒を用いてもよい。
【0021】
このようにして、分子内に2級炭素原子であって芳香環を構成しない炭素原子に結合したイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、3級炭素原子であって芳香環を構成しない炭素原子に結合したイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、2級炭素原子であって芳香環を構成しない炭素原子に結合したイソシアネート基と3級炭素原子であって芳香環を構成しない炭素原子に結合したイソシアネート基とを有するウレタンプレポリマーが得られる。これらのウレタンプレポリマーは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0022】
なお、本発明では、2級または3級炭素原子であって、芳香環を構成しない炭素原子に結合したイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを用いるが、ウレタンプレポリマーに含有するイソシアネート基は、そのすべてが2級または3級炭素原子であって、芳香環を構成しない炭素原子に結合していなくてもよい。
好ましくは、ウレタンプレポリマーに含有する全イソシアネート基に対して、20モル%以下のイソシアネート基が1級炭素原子または芳香族炭素原子に結合していてもよい。
なお、本発明においては、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基を保護(ブロック)しなくてもよいが、必要に応じて保護することもできる。この場合の保護は、通常用いられるアミン類、フェノール類、オキシム類等を用いることができる。
【0023】
本発明に用いられるケチミン誘導体は、ポリアミンと下記一般式(1)で表されるケトンとから得られるケチミン誘導体(A)、およびポリアミンと下記一般式(2)で表されるケトンとから得られるケチミン誘導体(B)である。
【化4】
(式中、R 1 は炭素数1〜6の炭化水素基、R 2 は水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基であり、R 3 は、水素原子またはメチル基であり、R 4 、R 5 およびR 6 は、相互に無関係に炭素数1〜6の炭化水素基である。)
ここで、R1およびR2の炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロヘキシル基が挙げられる。なお炭素数3〜6のアルキル基は、直鎖構造のほかに分枝構造のアルキル基(例えば、イソプロピル基等)を含む。
該ケチミン誘導体(A)、およびケチミン誘導体(B)は、水による加水分解反応でアミンが再生されるまでの間は硬化剤として機能せず、空気中の水分や組成物に含有される水により加水分解され、アミンを再生する潜在性硬化剤である。
【0024】
特に、カルボニル基のα位の一方に芳香族基を有する本発明のケチミン誘導体(A)は通常の条件では容易に加水分解されず、ウレタンプレポリマー等との組成物としたときに、優れた貯蔵安定性および強力な接着強度等を保持したまま、過酷な条件下(例えば夏季等)においても、イソシアネート基を保護することなく十分な可使時間を確保でき優れた硬化性を有する(可使時間と硬化性のバランスに優れる)。
本発明で「可使時間」とは、「作業可能時間」であり決められた温度(作業環境温度)で十分に目地に施工することができる時間をいい、具体的には硬化が始まるまでの時間の0.8倍相当の時間をいう。該0.8倍相当の時間近傍における本発明の組成物の硬化特性が従来のものと異なるため、可使時間が長くなる。
なお通常用いられる「硬化時間」とは、硬化性樹脂組成物等が液状またはペースト状からゲル状に移る非可逆的な変化が完了するまでの時間をいい、タックフリータイム(シーリング剤が指先に付着しなくなるまでの時間)であり、通常は「可使時間」よりも長く「可使時間」と異なる。
【0025】
ケチミン誘導体(A)の原料である上記一般式(1)で表されるケトンは、カルボニル基のα位に芳香族基と脂肪族基を有するケトンであれば、特に限定されず、例えば、アセトフェノン、1’または2’−アセトナフトンおよびこれらのアルキル基置換体が挙げられる。このようなケトンを用いると、特に高温多湿下でのケチミン誘導体の安定性が向上(本発明の組成物の可使時間を十分確保可能)する。
【0026】
これらのケトンのうち、バレロフェノン、イソバレロフェノン、n−ヘキサノフェノン、n−ヘプタノフェノン、2’−エチルプロピオフェノン、4’−エチルプロピオフェノン、4’−n−ブチルアセトフェノン、4’−イソブチルアセトフェノン、4’−t−ブチルプロピオフェノン、4’−n−ペンチルアセトフェノンが、入手が容易で、ケチミン誘導体の安定性に優れるため好ましい。特に、アセトフェノン、プロピオフェノンが汎用品として好ましい。
【0027】
ケチミン誘導体(A)の合成に用いられるアミンは、1級アミノ基を2個以上有するポリアミンであれば特に制限なく使用することができるが、硬化速度が優れる点から、芳香環に直接結合していない1級アミノ基を2個以上有するポリアミンである脂肪族系ポリアミン(その骨格に芳香環を含んでも良い)が好ましい。
脂肪族系ポリアミンとしては、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メンセンジアミン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、分子両末端のプロピレン分岐炭素にアミノ基が結合したポリプロピレングリコール(プロピレン骨格のジアミン、例えば、サンテクノケミカル社製「ジェファーミンD230」、「ジェファーミンD400」等、プロピレン骨格のトリアミン、例えば、「ジェファーミンT403」等)、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、1,2−ジアミノプロパン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、H2 N(CH2 CH2 O)2 (CH2 )2 NH2 (サンテクノケミカル社製「ジェファーミンEDR148」(エチレングリコール骨格のジアミン))等のアミン窒素にメチレン基が結合したポリエーテル骨格のジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(デュポン・ジャパン社製「MPMD」)、メタキシリレンジアミン(MXDA)、ポリアミドアミン(三和化学社製「X2000」)、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(三菱ガス化学社製「1,3BAC」)、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルアミン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン(三井化学社製「NBDA」)等を挙げることができる。これらの中でも、特に硬化速度が高いことから、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン、メタキシリレンジアミン、H2 N(CH2 CH2 O)2 (CH2 )2 NH2 (エチレングリコール骨格のジアミン)、プロピレン骨格のジアミン、プロピレン骨格のトリアミン、ポリアミドアミンが好ましい。
【0028】
ポリアミンとケトンとの反応物であるケチミン誘導体(A)として好適に用いられるのは、貯蔵安定性、可使時間と硬化性の優れたバランスおよび安定性の観点から、アセトフェノンまたはプロピオフェノンと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの;アセトフェノンまたはプロピオフェノンとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるもの;アセトフェノンまたはプロピオフェノンとメタキシリレンジアミンとから得られるもの;アセトフェノンまたはプロピオフェノンと、エチレングリコール骨格またはプロピレン骨格のジアミンであるジェファーミンEDR148、ジェファーミンD230、ジェファーミンD400等またはプロピレン骨格のトリアミンであるジェファーミンT403等とから得られるもの;等が挙げられる。
これらのなかでも、安定性が特に優れていることから、アセトフェノンまたはプロピオフェノンと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの、アセトフェノンまたはプロピオフェノンとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるもの、および、アセトフェノンまたはプロピオフェノンとメタキシリレンジアミンとから得られるものが好ましい。
【0029】
このようなケチミン誘導体(A)は、ケトンとポリアミンとを無溶媒下またはベンゼン、トルエン、キシレン等の溶媒存在下で加熱還流させ、脱離してくる水を共沸により除きながら反応させることにより得られる。
【0030】
第1の態様の組成物におけるケチミン誘導体(A)の配合量は、ケチミン誘導体(A)の加水分解後のポリアミンに含まれるアミノ基(NH2)に対する、ウレタンプレポリマー中の全イソシアネート基(NCO)の比(NCO/(NH2))が、0.5〜5であり、好ましくは0.8〜2.0、さらに好ましくは0.9〜1.5である。
ケチミン誘導体(A)は1種単独でも2種以上を併用してもよい。
【0038】
特定構造を有するケチミン誘導体(A)と、特定のウレタンプレポリマーとを含有する組成物は、優れた貯蔵安定性および強力な接着強度等を保持したまま、夏季の過酷な条件下でも十分な可使時間を確保し優れた硬化性を有する(可使時間と硬化性のバランスに優れる)。
【0041】
本発明の組成物に用いられるケチミン誘導体の1つは、ポリアミンと下記一般式(2)で表されるケトンとから得られる、潜在性硬化剤としての性質を有するケチミン誘導体(B)である。
【化5】
式中、R3は、水素原子またはメチル基;R4、R5およびR6は、相互に無関係に炭素数1〜6の炭化水素基である。
ここで、R4〜R6の炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基が挙げられる。なお炭素数3〜6のアルキル基は、直鎖構造のほかに分枝構造のアルキル基(例えば、イソプロピル基等)を含む。
また、R4とR5とが結合して、シクロ環を形成してもよい。さらに、R5とR6とが結合して、シクロ環を形成してもよい。
このような化合物としては、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、メチルt−ブチルケトン(MTBK)、メチルシクロヘキシルケトン、メチルシクロヘキサノン等が好ましい。
【0042】
ケチミン誘導体(B)のもう一方の原料であるポリアミンは、ケチミン誘導体(A)のポリアミンと同様のものを使用することができる。
なお、ケチミン誘導体(B)の製法はケチミン誘導体(A)と同様である。
【0043】
ケチミン誘導体(B)として好適に用いられるのは、貯蔵安定性および可使時間と硬化性のバランスの観点から、MIPKまたはMTBKとH2 N(CH2 CH2 O)2 (CH2 )2 NH2 とから得られるもの、MIPKまたはMTBKと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの、MIPKまたはMTBKとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるもの、MIPKまたはMTBKとMXDAとから得られるもの、MIPKまたはMTBKとポリアミドアミンとから得られるものなどが挙げられる。
これらのなかでも、可使時間と硬化性のバランスが特に優れていることから、MIPKまたはMTBKとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるもの、MIPKまたはMTBKと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの、MIPKまたはMTBKとMXDAとから得られるものが好ましく、湿潤面に対し接着性が特に優れていることから、MIPKまたはMTBKとポリアミドアミンとから得られるものが好ましい。
【0044】
ケチミン誘導体(A)と(B)との組合わせは特に限定されず、何れのケチミン誘導体どうしを併用してもよい。
ケチミン誘導体(A)として好ましいケチミン誘導体の1種以上と、ケチミン誘導体(B)として好ましいケチミン誘導体の1種以上とを任意に組合わせて、潜在性硬化剤(以下「混合系潜在性硬化剤」ということがある。)とすることができる。
【0045】
例えば、アセトフェノンまたはプロピオフェノンと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの、アセトフェノンまたはプロピオフェノンとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるものからなる群より選択される1種以上のケチミン誘導体(A)と;MIPKまたはMTBKとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるもの、MIPKまたはMTBKと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの、MIPKまたはMTBKとMXDAとから得られるもの、およびMIPKまたはMTBKとポリアミドアミンとから得られるものからなる群より選択される1種以上のケチミン誘導体(B)とを組合わせて用いるのが特に好ましい。
【0046】
該混合系潜在性硬化剤において、ケチミン誘導体(B)に対する、ケチミン誘導体(A)のモル比((A)/(B))は0.01〜99であり、0.05〜60であるのが好ましく、0.1〜30であるのがより好ましく、0.2〜10であるのが特に好ましい。この範囲であれば、ケチミン誘導体(A)の安定性を損ねることなく使用可能条件が広範となるからである。また、ケチミン誘導体(A)と(B)の比率を適宜調整することにより施工状況(可使時間、硬化時間、使用条件等)に応じた組成物を提供できる。
該混合系潜在性硬化剤の配合量(ケチミン誘導体(A)と(B)の合計配合量)は、第1態様のケチミン誘導体(A)の配合量と同じである。
【0047】
本発明の組成物は、上記ウレタンプレポリマーとケチミン誘導体(A)とケチミン誘導体(B)のほかに、本発明の目的を損わない範囲で、必要に応じて、補強剤(充填剤)、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、防錆剤、接着付与剤、帯電防止剤、フィラー(充填剤)、チクソトロピー付与剤等を添加することができる。
補強剤(フィラーを含む)としては、例えば、カーボンブラック;ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ;けいそう土;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;およびこれらの脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステル、ウレタン化合物等での表面処理品等が挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系;脂肪族および芳香族のヒンダードアミン系;ベンゾトリアゾール系等の化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、亜リン酸トリフェニル等を使用することができる。
顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノナフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料、カーボンブラック等の有機顔料等が挙げられる。
可塑剤としては、ジイソノニルアジペートジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸イソノニル、コハク酸イソデシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル等;安息香酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバチン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クエン酸等の誘導体をはじめ、ポリエステル、ポリエーテル、エポキシ系等のものが挙げられる。
揺変性付与剤としては、ベントン、無水ケイ酸、ケイ酸誘導体、尿素誘導体等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾル系、サリチル酸エステル系等が挙げられる。
難燃剤としては、TCP等のリン系、塩素化パラフィン、パークロルペンタシクロデカン等のハロゲン系、酸化アンチモン等のアンチモン系、水酸化アルミニウム等が挙げられる。例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ジエチル・ビスヒドロキシエチル・アミノエチルホスフェート、ネオペンチルブロマイドーポリエーテル、臭素化ポリエーテル等が挙げられる。
溶剤としては、ヘキサン、トルエン等の炭化水素系;テトラクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系;酢酸エチル等のエステル系等が挙げられる。
脱水剤としては、アシロキシシリル基含有ポリシロキサン、ビニルシラン等を用いることができる。
接着付与剤としては、公知のシランカップリング剤、アルコキシシリル基を有するシラン化合物、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等を挙げることができる。例えば、トリメトキシビニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グ リシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0048】
本発明の組成物は、上述の各成分を減圧下あるいは窒素存在下に、混合ミキサー等の撹拌装置を用いて十分に混練し、均一に分散させることにより製造される。
【0049】
本発明の組成物は、シーリング材、接着剤、コーティング材、プライマー、塗料等に好適であり、特に接着剤に好適に用いられる。
【0050】
本発明の組成物は、特定構造を有するケチミン誘導体(A)および(B)と、特定のウレタンプレポリマーとを含有し、優れた貯蔵安定性および強力な接着強度等を損ねることなく、夏季の過酷な条件下での十分な可使時間を確保し優れた硬化性を有する(可使時間と硬化性のバランスに優れる)。また、ケチミン誘導体(A)と(B)の比率を適宜調整することにより施工状況(可使時間、硬化時間、使用条件等)に応じた組成物を提供できる。
【0051】
本発明の組成物は、さらに、エポキシ樹脂を含有することができる。
エポキシ樹脂を含有することにより、優れた貯蔵安定性および可使時間と硬化性の優れたバランスを確保したまま、さらに強力な接着強度が得られる。
【0052】
エポキシ樹脂を含有する場合におけるケチミン誘導体(ケチミン誘導体(A)と(B)の合計量)の配合量は、ケチミン誘導体(A)と(B)の加水分解後のポリアミンに含まれるアミノ基(NH2)に対する、ウレタンプレポリマー中の全イソシアネート基(NCO)およびエポキシ樹脂中の全エポキシ基(E)の合計量の比((NCO+E)/(NH2))が、0.5〜10であり、好ましくは0.8〜5、さらに好ましくは0.9〜3である。
ケチミン誘導体(A)は1種単独でも2種以上を併用してもよい。
【0053】
本発明の組成物が含有することができるエポキシ樹脂は、特に限定されず、具体的には、エポキシ樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヘキサヒドロビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ピロカテコール、レソルシノール、クレゾールノボラック、テトラブロモビスフェノールA、トリヒドロキシビフェニル、ビスレソルシノール、ビスフェノールヘキサフルオロアセトン、テトラメチルビスフェノールF、ビキシレノール等の多価フェノールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル型;グリセリン、ネオペンチルグリール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジルエーテル型;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテルエステル型;フタル酸、メチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、エンドメチレンテトラハイドロフタル酸、エンドメチレンヘキサハイドロフタル酸、トリメリット酸、重合脂肪酸等のポリカルボン酸から誘導されるポリグリシジルエステル型;アミノフェノール、アミノアルキルフェノール等から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエーテル型;アミノ安息香酸から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエステル型;アニリン、トルイジン、トリブロムアニリン、キシリレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等から誘導されるグリシジルアミン型;さらにエポキシ化ポリオレフィン、グリシジルヒダントイン、グリシジルアルキルヒダントイン、トリグリシジルシアヌレート等;ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル、スチレンオキサイド等のモノエポキシ化合物等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物を用いることができる。
【0054】
このなかでも、ビスフェノールA、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が、入手の容易さおよび硬化物の性質 (性能) のバランスが良好であることから好ましい。
該エポキシ樹脂またはそのプレポリマーは市販品を用いてもよく製造してもよい。製造条件は特に限定されず、通常用いられる条件で行いことができる。
【0055】
エポキシ樹脂の含有量は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して、1〜200質量部であり、2〜100質量部が好ましく、3〜50質量部が特に好ましい。
【0056】
本発明の組成物がエポキシ樹脂を含有する場合、上述の各成分を減圧下あるいは窒素存在下に、混合ミキサー等の撹拌装置を用いて十分に混練し、均一に分散させることにより製造される。
【0057】
本発明の組成物がエポキシ樹脂を含有する場合、耐候性、耐熱性等が要求されるシーリング材、接着剤、コーティング材、プライマー、塗料等に好適であり、特に該接着剤に好適に用いられる。
【0058】
本発明の組成物がエポキシ樹脂を含有する場合、優れた貯蔵安定性および可使時間と硬化性の優れたバランスを確保したまま、さらに強力な接着強度が得られ、その使用範囲が広い。また、ケチミン誘導体(A)と(B)の比率を適宜調整することにより施工状況(可使時間、硬化時間、使用条件等)に応じた組成物を提供できる。
【0059】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に制限されるものではない。
【0060】
実施例1〜6の各組成物の原料となる、ウレタンプレポリマー、ケチミン誘導体は、下記のようにして合成した。
なお、合成に用いる化合物は市販品を用いた。
(1)ウレタンプレポリマーの合成
テトラメチルキシリレンジイソシアネート(三井サイテック社製)と、3官能ポリプロピレングリコール(旭硝子社製「エクセノール5030」)とをNCO/OHが2.0の割合で混合し、80℃で一晩加熱撹拌することにより、目的のウレタンプレポリマーを得た。
(2)エポキシ樹脂は、旭電化製(EP−4100E、エポキシ当量190)のビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた。
【0061】
(3)ケチミン誘導体(A)の合成
ノルボルナン骨格のジメチレンジアミン(三井化学社製「NBDA」)100gおよびアセトフェノン187gを、トルエン100gとともにフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら24時間反応させた後、トルエンおよび過剰アセトフェノンを蒸留により除去して、目的のケチミン誘導体(A−I)を得た。
1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(三菱ガス化学社製「1,3BAC」)100gおよびプロピオフェノン226gを、トルエン100gとともにフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら30時間反応させた後、トルエンおよび過剰プロピオフェノンを蒸留により除去して、目的のケチミン誘導体(A−II)を得た。
【0062】
(4)ケチミン誘導体(B)の合成
ノルボルナン骨格のジメチレンジアミン(三井化学社製「NBDA」)100gおよびメチルイソプロピルケトン(MIPK、クラレ社製)167gを、トルエン200gとともにフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら20時間反応させた後、トルエンおよび過剰MIPKを蒸留により除去して、目的のケチミン誘導体(B−I)を得た。
メタキシリレンジアミン(MXDA、三菱ガス化学社製)100gおよびMIPK190gを、トルエン200gとともにフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら20時間反応させた後、トルエンおよび過剰MIPKを蒸留により除去して、目的のケチミン誘導体(B−II)を得た。
【0063】
(5)ケチミン誘導体(C)の合成
メタキシリレンジアミン(MXDA)100gおよびジイソプロピルケトン335gを、トルエン400gとともにフラスコに入れ、生成する水を共沸により除きながら5日間反応させた後、トルエンおよび過剰のケトンを蒸留により除去して、目的のケチミン誘導体(C)を得た。
【0064】
実施例1〜6、比較例1〜3の1液硬化性樹脂組成物を製造し、可使時間、硬化性および貯蔵安定性を評価した。
(実施例1)
ウレタンプレポリマー100質量部、潜在性硬化剤として、ケチミン誘導体(A−I)5.7質量部とケチミン誘導体(B−I)1.2質量部との混合系潜在性硬化剤(ケチミン誘導体(B)に対する、ケチミン誘導体(A)のモル比(以下「(A)/(B)」という。)3.85)と、可塑剤としてジイソノニルアジペート(三菱化学社製)50質量部および炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製)150質量部を、減圧下、混合ミキサーを用いて十分に混練し、均一に分散させて組成物を得た。この組成物において、ケチミン誘導体の加水分解後のポリアミンに含まれるアミノ基(NH2 )に対する、ウレタンプレポリマー中の全イソシアネート基(NCO)の比(以下「NCO/NH2 」という。)は1.0であった。
(実施例2)
ケチミン誘導体(A−I)5.7質量部とケチミン誘導体(B−I)1.2質量部との混合系潜在性硬化剤の代わりに、ケチミン誘導体(A−I)6.9質量部とケチミン誘導体(B−I)0.1質量部との混合系潜在性硬化剤((A)/(B)は55.9)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして組成物を得た。この組成物において、NCO/NH2は1.0であった。
【0065】
(実施例3)
ケチミン誘導体(A−I)5.7質量部とケチミン誘導体(B−I)1.2質量部との混合系潜在性硬化剤の代わりに、ケチミン誘導体(A−I)2.2質量部とケチミン誘導体(B−I)4.1質量部との混合系潜在性硬化剤((A)/(B)は0.435)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして組成物を得た。この組成物において、NCO/NH2は1.0であった。
(実施例4)
ケチミン誘導体(A−I)5.7質量部とケチミン誘導体(B−I)1.2質量部との混合系潜在性硬化剤の代わりに、ケチミン誘導体(A−II)2.3質量部とケチミン誘導体(B−I)4.1質量部との混合系潜在性硬化剤((A)/(B)は0.435)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして組成物を得た。この組成物において、NCO/NH2は1.0であった。
【0066】
(実施例5)
ウレタンプレポリマー100質量部の替わりに、ウレタンプレポリマー90質量部およびエポキシ樹脂10質量部を、また、ケチミン誘導体(A−I)5.7質量部とケチミン誘導体(B−I)1.2質量部との混合系潜在性硬化剤の代わりに、ケチミン誘導体(A−I)7.7質量部とケチミン誘導体(B−I)2.9質量部との混合系潜在性硬化剤((A)/(B)は2.15)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして組成物を得た。この組成物のウレタンプレポリマーおよびエポキシ樹脂とケチミン誘導体との比(以下「(NCO+E)/NH2」という。)は1.4であった。
(実施例6)
ウレタンプレポリマー100質量部の替わりに、ウレタンプレポリマー90質量部およびエポキシ樹脂10質量部を、また、ケチミン誘導体(A−I)5.7質量部とケチミン誘導体(B−I)1.2質量部との混合系潜在性硬化剤の代わりに、ケチミン誘導体(A−I)7.7質量部とケチミン誘導体(B−II)2.8質量部との混合系潜在性硬化剤((A)/(B)は2.09)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして組成物を得た。この組成物において、(NCO+E)/NH2は1.4であった。
【0067】
(比較例1)
ケチミン誘導体(A−I)5.7質量部とケチミン誘導体(B−I)1.2質量部との混合系潜在性硬化剤の代わりに、ケチミン誘導体(B−I)5.8質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして組成物を得た。この組成物において、NCO/NH2は1.0であった。
(比較例2)
ウレタンプレポリマー100質量部の替わりに、ウレタンプレポリマー90質量部およびエポキシ樹脂10質量部を、また、ケチミン誘導体(A−I)5.7質量部とケチミン誘導体(B−I)1.2質量部との混合系潜在性硬化剤の代わりに、ケチミン誘導体(B−II)9.2質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして組成物を得た。この組成物において、(NCO+E)/NH2は1.4であった。
(比較例3)
ケチミン誘導体(A−I)5.7質量部とケチミン誘導体(B−I)1.2質量部との混合系潜在性硬化剤の代わりに、ケチミン誘導体(C)6.5質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして組成物を得た。この組成物において、NCO/NH2は1.0であった。
【0068】
可使時間、硬化性および貯蔵安定性は以下の方法で評価した。結果は第1表に示すとおりである。
<可使時間>
得られた各組成物を、40℃で相対湿度70%の条件で放置し、十分に目地に施工することができる時間を測定した。具体的には、表面硬化時間(タックフリータイム)を上記条件で測定し、その0.8倍の時間を算出した。
【0069】
<硬化性試験>
得られた組成物をそれぞれ、20℃で相対湿度55%の条件で12時間放置し、表面が硬化し、タックがなくなっていたものを「○」、表面が硬化せずタックがあったものを「×」とした。
<貯蔵安定性試験>
得られた組成物の調製直後の粘度と、70℃で1日間養生後の粘度をE型粘度計で測定し、70℃で1日間養生後の粘度の、調製直後の粘度に対する上昇率(倍)を比較することによって、貯蔵安定性を評価した。
【0070】
【表1】
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた貯蔵安定性および強力な接着強度等を保持したまま、夏季、特に40℃以上の高温多湿下においても十分な可使時間を確保し優れた硬化性を有する(可使時間と硬化性のバランスに優れた)硬化性樹脂組成物を得ることができる。
特に、可使時間が1時間以上あるので、近年の技術革新等により使用条件、施工法等が多岐にわたっても、十分に対応できる。
また、ケチミン誘導体(A)と(B)の比率を適宜調整することにより施工状況(可使時間、硬化時間、使用条件等)に応じた組成物を提供できる。
さらに、エポキシ樹脂を含有することにより、優れた貯蔵安定性および可使時間と硬化性の優れたバランスを確保したまま、さらに強力な接着強度が得られ、その使用範囲が広い。
Claims (11)
- 2級または3級炭素原子であって、芳香環を構成しない炭素原子に結合したイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと;
潜在性硬化剤として、ポリアミンと下記一般式(1)で表されるケトンとから得られるケチミン誘導体(A)と、ポリアミンと下記一般式(2)で表されるケトンとから得られるケチミン誘導体(B)とを含有し、
前記ケチミン誘導体(B)に対する、前記ケチミン誘導体(A)のモル比((A)/(B))が、0.01〜99であり、
前記ケチミン誘導体(A)と前記ケチミン誘導体(B)との合計配合量が、前記ケチミン誘導体(A)および前記ケチミン誘導体(B)の加水分解後のポリアミンに含まれるアミノ基(NH 2 )に対する、前記ウレタンプレポリマー中の全イソシアネート基(NCO)の比(NCO/(NH 2 ))が、0.5〜5である硬化性樹脂組成物。
- 前記ウレタンプレポリマーを製造する際に使用されるポリイソシアネートが、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H12MDI(水添MDI)、前記ポリイソシアネートのイソシアヌレート体、前記ポリイソシアネートのビューレット体および前記ポリイソシアネートと多価アルコール類との付加体からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記一般式(1)で表されるケトンが、アセトフェノン、1’または2’−アセトナフトン、1’または2’−アセトナフトンのアルキル基置換体、バレロフェノン、イソバレロフェノン、n−ヘキサノフェノン、n−ヘプタノフェノン、2’−エチルプロピオフェノン、4’−エチルプロピオフェノン、4’−n−ブチルアセトフェノン、4’−イソブチルアセトフェノン、4’−t−ブチルプロピオフェノンおよび4’−n−ペンチルアセトフェノンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ケチミン誘導体(A)の製造の際に使用される前記ポリアミンが、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン、メタキシリレンジアミン(MXDA)、H2N(CH2CH2O)2(CH2)2NH2、プロピレン骨格のジアミン、プロピレン骨格のトリアミンおよびポリアミドアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ケチミン誘導体(A)が、アセトフェノンまたはプロピオフェノンと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの、アセトフェノンまたはプロピオフェノンとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるもの、および、アセトフェノンまたはプロピオフェノンとメタキシリレンジアミンとから得られるものからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記一般式(2)で表されるケトンが、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、メチルt−ブチルケトン(MTBK)、メチルシクロヘキシルケトンおよびメチルシクロヘキサノンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ケチミン誘導体(B)の製造の際に使用される前記ポリアミンが、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン、メタキシリレンジアミン(MXDA)、H2N(CH2CH2O)2(CH2)2NH2、プロピレン骨格のジアミン、プロピレン骨格のトリアミンおよびポリアミドアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ケチミン誘導体(B)が、MIPKまたはMTBKとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるもの、MIPKまたはMTBKと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの、および、MIPKまたはMTBKとMXDAとから得られるものからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ケチミン誘導体(A)と前記ケチミン誘導体(B)との組合せが、アセトフェノンまたはプロピオフェノンと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの、およびアセトフェノンまたはプロピオフェノンとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるものからなる群から選ばれる少なくとも1種のケチミン誘導体(A)と、
MIPKまたはMTBKとノルボルナン骨格のジメチレンアミン(NBDA)とから得られるもの、MIPKまたはMTBKと1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとから得られるもの、MIPKまたはMTBKとMXDAとから得られるもの、および、MIPKまたはMTBKとポリアミドアミンとから得られるものからなる群から選ばれる少なくとも1種のケチミン誘導体(B)との組合せである請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。 - さらに、エポキシ樹脂を含有する請求項1〜9のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂の含有量が、前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して、1〜200質量部である請求項10に記載の硬化性樹脂組成物。
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