JP2009197819A - 減速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】特に軸方向長を短縮できる減速機を得る。
【解決手段】第1、第2偏心体54A、54Bの外周に直接転接可能に配置された複数の第1、第2ころ55A、55Bと、該第1、第2ころ55A、55Bの第1、第2偏心体円周方向の間隔を保持する第1、第2リテーナ94A、94Bと、軸方向に移動規制されると共に第1、第2ころ55A、55Bの軸方向端部に直接当接することにより該第1、第2ころ55A、55Bの軸方向の移動規制を行う第1、第2ガイド体96A、96Bを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、減速機、特に、産業用ロボットの関節を駆動する装置に用いるのに好適な減速機に関する。
例えば、特許文献1において、図6に示されるような減速機が開示されている。この減速機10は、入力軸12、第1、第2偏心体14、16、第1、第2外歯歯車18、20、内歯歯車22、及び出力要素として第1、第2支持フランジ24、26を備える。
前記第1、第2偏心体14、16は、入力軸12の軸心Oiに対して偏心した(非同軸の)外周を有し、該入力軸12に一体的に形成されている。第1、第2偏心体14、16は、その偏心位相が互いに180度ずれている。第1、第2偏心体14、16の外周には第1、第2外歯歯車18、20が組み込まれている。
第1、第2外歯歯車18、20には第1、第2内ピン孔40、42が形成されている。該内ピン孔40、42を内ピン44及び内ローラ43が貫通し、第1、第2外歯歯車18、20の自転成分を第1、第2支持フランジに伝達可能である。
図示せぬモータによって入力軸12が回転されると、第1、第2偏心体14、16が該入力軸12と一体的に偏心回転する。そのため、入力軸12が1回回転すると該偏心体14、16の外周に組み込まれている外歯歯車18、20が1回揺動する。この結果、停止状態にある内歯歯車22に対して、第1、第2外歯歯車18、20が内歯歯車22との歯数差に相当する分だけそれぞれ相対回転する。この相対回転が、内ローラ43及び内ピン44を介して第1、第2支持フランジ24、26のいずれか側から減速出力として取り出される。
前記第1、第2偏心体14、16の外周と第1、第2外歯歯車18、20の間には、内外輪のない(或いは第1、第2偏心体14、16を内輪、第1、第2外歯歯車18、20を外輪とする)ころ34N、36Nが介在されている。また、入力軸12も、同一仕様のころ38N、39Nによって支持されている。
ころ34N、36N、38N、39Nは、それぞれリテーナ42、44、46、48の図示せぬ爪付きのポケットに1個ずつ嵌め込まれることにより、円周方向の間隔が保持されると共に、該リテーナ42、44、46、48に対する軸方向の移動が規制されるようになっている。
リテーナ42、44、46、48は、スラストワッシャ60、62によって軸方向の移動が規制されている。スラストワッシャ60、62によって、リテーナ42、44、46、48の軸方向の移動が規制されることにより、結果として該リテーナ42、44、46、48のポケットに保持されているころ34N、36N、38N、39Nの円周方向の間隔の保持及び軸方向の移動規制が同時に行われる。
特開2007−285396号公報
従来は、軸受の転動体である「ころ」の位置規制をするに当たっては、該ころの円周方向の間隔保持及び軸方向の移動規制の双方を役割を担うリテーナを介して行うようにしていた。しかしながら、例えば、産業用ロボットの関節を駆動する装置に用いる減速機の場合、特に減速機の軸方向の長さがわずかでも短いことが要求される。リテーナの軸方向の移動規制のために、例えば上記従来例のようにスラストワッシャを配置するようにした場合、当然に該スラストワッシャの分だけ減速機の軸方向の長さが長くなってしまう。
本発明は、このような従来の問題を解消するためになされたものであって、減速機の軸方向の長さをより短縮することができる減速機を提供することをその課題としている。
本発明は、外歯歯車及び内歯歯車を備え、入力軸に設けられ該入力軸の軸心と非同軸の外周を有する筒体を用いて前記外歯歯車を前記内歯歯車に内接噛合させる減速機において、前記筒体の外周に直接転接可能に配置された複数のころと、該複数のころの筒体円周方向の間隔を保持するリテーナと、自身が軸方向に移動規制されると共に、前記ころの軸方向端部に直接当接することにより該ころの軸方向の移動規制を行うガイド体と、を備えたことにより、上記課題を解決したものである。
本発明においては、筒体の外周に複数のころを直接転接させるようにしているため、(同一の軸受スペースにおいて)最大限大きな転動体(ころ)を組み込むことができる。
ここで、従来は、ころを一括保持しているリテーナを介して該「ころ群」の円周方向の間隔保持と軸方向の移動規制を行うようにしていたが、本発明では、円周方向の間隔保持については、リテーナに行わせるものの、軸方向の移動規制については、ガイド体を「ころの軸方向端部」に直接当接させることによって行うようにしている。
この結果、後述する実施形態からも明らかなように、従来、リテーナの軸方向端部から更に該リテーナの軸方向の移動規制を行うために配置していた部材(上記従来で言うならばスラストワッシャ)を軸方向においてリテーナと重なる位置に配置することができるようになり、その分軸方向の短縮が可能となる。
また、リテーナの熱負荷をより軽減することも可能であり、この効果は、特にリテーナが樹脂にて形成されているような場合に有益である。
本発明によれば、減速機の軸方向の長さをより短縮することができるようになる。
以下図面に基づいて、本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
図4は、本発明の実施形態の一例に係る減速機(38)がロボットの腕の関節駆動装置に適用されている様子を示す概略平面図及び側面図である。
このロボット関節駆動装置30は、減速機38及び扁平モータ40を備え、ロボット(全体は図示略)の腕32の第1部材34と、第2部材36とを相対的に回転駆動させる。第1部材34は減速機38の出力フランジ(出力軸:出力部材)44に固定されている。減速機ケーシング42はモータケーシング43を介して第2部材36に固定されている。減速機38の出力フランジ44は、減速機ケーシング42に対して回転軸R1の周りで相対回転可能である。したがって、結局、減速機38の出力フランジ44に固定された第1部材34は、減速機ケーシング42が固定された第2部材36に対して回転軸R1の周りで相対回転可能である。なお、このロボット関節駆動装置30は、当該ロボット関節駆動装置30と全く同様の構成に係るロボット関節駆動装置46を、先の第2部材36を第1部材48、符号50に係る部材を第2部材と捉えた位置に配置することにより、第1部材48、第2部材50を回転軸R2の周りで相対的に回転駆動させるためのロボット関節駆動装置として適用することができる。
図1は、該ロボット関節駆動装置30の減速機38及び扁平モータ40付近の全体断面図、図2は、図1の主要部を示す拡大断面図、図3は、図1のIII−III 線に沿う(縮小)断面図である。
前記減速機38の減速機ケーシング42は、第1、第2減速機ケーシング体42A、42Bからなる。この実施形態に係る減速機38は、第1、第2外歯歯車58A、58B及び内歯歯車60を備え、第1、第2偏心体(筒体)54A、54Bを用いて第1、第2外歯歯車58A、58Bを内歯歯車60に内接噛合させる偏心揺動型の減速機である。以下詳述する。
入力軸52は、減速機ケーシング42内において、一対の第1、第2玉軸受56A、56Bによって支持されている。入力軸52は、片持ち状態で減速機ケーシング42(具体的にはその第2減速機ケーシング体42B)から突出された片持ち突出部52Aを有し、この片持ち突出部52Aにキー76を介して前記扁平モータ40のロータ80が固定されている。
図2に拡大図示するように、入力軸52の外周の一部には、前記第1、第2偏心体(筒体)54A、54Bが一体的に形成されている。第1、第2偏心体54A、54Bは、入力軸52の軸心(回転軸)R1と非同軸の外周、具体的には所定量だけ偏心した外周54A1、54B1を有する。第1、第2偏心体54A、54Bの外周には、第1、第2ころ55A、55Bが直接転接可能に複数配置されている。第1、第2ころ55A、55Bの位置決め等に関する構成については、後に詳述する。第1、第2ころ55A、55Bの外周には第1、第2外歯歯車58A、58Bが揺動回転自在に組み込まれている。第1、第2外歯歯車58A、58Bはそれぞれ内歯歯車60に内接噛合している。
内歯歯車60の内歯は回転可能な外ピン60Aで構成されている。図3(A)では略示表記されているが、図3(B)で部分拡大図示されているように、内歯歯車60の本体60B側には外ピン溝60Cが形成されており、外ピン60Aは、この外ピン溝60Cに1個おきに組み込まれている。第1、第2外歯歯車58A、58Bの外歯58A1、58B1(図3では第1外歯歯車58Aの外歯58A1のみが図示されている)の歯数は、外ピン溝60Cの数(の実質的な内歯の数に相当)に対して僅かだけ(図示の例では1だけ)少ない。外ピン60Aは、全ての外ピン溝60Cに組み込むのが好ましいが、この例では、コストと組付け工数の低減を意図して、半数のみ組み込むようにしている。
第1、第2外歯歯車58A、58Bは、第1、第2偏心体54A、54Bにより、偏心方向が互いに円周方向に180°ずらされている。これにより、入力軸52の回転に伴って第1、第2外歯歯車58A、58Bはそれぞれ180°の位相差を保ちながら偏心揺動可能である。
図1に戻って、この減速機38においては、第1減速機ケーシング体42Aと内歯歯車60との間に、オイルシール64とクロスローラ66が配置されている。また、第1減速機ケーシング体42Aと隣接して配置されている第2減速機ケーシング体42Bには、内ピン68が一体的に突出形成されている。内ピン68は、第1、第2外歯歯車58A、58Bの第1、第2内ピン孔58A2、58B2を軸方向に貫通し、第1、第2外歯歯車58A、58Bの自転を拘束している。内ピン68の外周には、内ローラ70が装着されている。内ローラ70は、該内ピン68と第1、第2外歯歯車58A、58Bの内ピン孔58A2、58B2との間の摺動抵抗を軽減する。
内歯歯車60の反扁平モータ側には、前記出力フランジ(出力部材)44が配置されている。出力フランジ44は、ボルト62によって内歯歯車60と一体化されると共に、更に、ボルト孔65に螺合されるボルト(図示略)によって、前記ロボットの第1部材34と共に該内歯歯車60と一体化されている。即ち、第1部材34は出力フランジ44と一体化されており、該出力フランジ44と共に回転可能である。
また、この実施形態においては、図2に示されるように、内歯歯車60の外ピン60Aの反扁平モータ側端面60Aa、第1外歯歯車58Aの反扁平モータ側端面58Aa、及び内ローラ70の反扁平モータ側端面70aがほぼ同一平面P1上に配置されている。また、これら3つの端面60Aa、58Aa、70aと出力フランジ44との間に平面状の滑りプレート73が配置されている。滑りプレート73は、前記外ピン60A、第1、第2外歯歯車58A、58B、及び内ローラ70の軸方向の移動を同時に規制している。
減速機38と扁平モータ40は、減速機ケーシング42及びモータケーシング43が前記ロボットの腕32の第2部材36にボルト72(図1)によって固定されることによって連結されている。この構成により、結局、減速機ケーシング42は、第2部材36と固定されることになり、出力フランジ44側に固定されている第1部材34が第2部材36に対して回転軸R1周りで相対回転が可能となる。
ここで、第1、第2ころ55A、55Bの位置決め構造について詳細に説明する。
図2を参照して、第1、第2偏心体54A、54Bの外周54A1、54B1には、第1、第2ころ55A、55Bが直接転接可能に複数配置されている。第1、第2ころ55A、55Bは、第1、第2外歯歯車58A、58Bの中心孔58A1、58B1とも直接当接している。すなわち、第1、第2ころ55A、55Bには、いわゆる内輪も外輪も設けられていない。見方を変えるならば、第1、第2偏心体54A、54Bが内輪、第1、第2外歯歯車58A、58Bが外輪として機能することにより、大きな軸受機構が形成されていると見ることもできる。
図の符号94A、94Bは第1、第2リテーナである。第1、第2リテーナ94A、94Bは、それぞれ全体が幅L1のリング状を呈しており、爪付きのポケット(図示略)を備えている。それぞれの第1、第2ころ55A、55Bは、この第1、第2リテーナ94A、94Bのポケットに1個ずつ収容されることにより、偏心体円周方向の間隔が保持されると共に、第1、第2リテーナ94A、94Bに対する軸方向位置が規定されている。また、図の符号L2は、第1、第2リテーナ94A、94Bの第1、第2ころ55A、55Bのポケットの端部よりも、軸方向外周側の部分の長さに相当している。この実施形態では第1、第2リテーナ94A、94Bは、軸方向において互いに接触している。
この実施形態においても、第1、第2ころ55A、55Bの円周方向の間隔保持については、従来と同様に第1、第2リテーナ94A、94Bに行わせている。しかし、第1、第2ころ55A、55Bの軸方向の移動規制については、第1、第2ガイド体96A、96Bを第1、第2ころ55A、55Bの軸方向端部55A1、55B1に直接当接させ、これと第1、第2リテーナ94A、94Bの保持機能を融合させることによって行うようにしている。
第1ガイド体96Aは、独立した単品部材で構成され、第1玉軸受56Aの内輪56A1の軸方向端部56A2と第1偏心体54Aの軸方向端部54A2との間に挟まれることによりその軸方向の移動が規制されている。また、第2ガイド体96Bも独立した単品部材で構成され、第2玉軸受56Bの内輪56B1の軸方向端部56B2と第2偏心体54Bの軸方向端部54B2との間に挟まれることによりその軸方向の移動が規制されている。但し、第1、第2ガイド体96A、96Bは、第1、第2偏心体54A、54Bの軸方向端部54A2、54B2とも、また、第1、第2玉軸受56A、56Bの内輪56A1、56B1の軸方向端部56A2、56B2とも固定されておらず、互いに摺動が可能である。第1、第2玉軸受56A、56Bは、出力フランジ44及び第2減速機ケーシング体42Bによってそれぞれ軸方向の位置決めがなされているため、以上の構成により、第1、第2ころ55A、55Bの軸方向の移動規制が、有効に実現されることになる。
再び図1に戻って、扁平モータ40は、モータケーシング43内に収容されている。モータケーシング43は第1、第2モータケーシング体43A、43Bからなる。この扁平モータ40は、入力軸52に固定された前記ロータ80及び磁石81のほか、第1モータケーシング体43Aに固定されたステータ82及びコイルエンド84を備える。前述したように、減速機ケーシング42を構成する第1、第2減速機ケーシング体42A、42B、モータケーシング43を構成する第1、第2モータケーシング体43A、43B及びロボットの腕32の第2部材36は、ボルト72により一体化されている。
このうち第2減速機ケーシング体42Bは、減速機フロントカバーとモータエンドカバーの機能を兼ねる。扁平モータ40のコイルエンド84は軸方向にスペースを多く占有するため、この第2減速機ケーシング体42Bの扁平モータ40が接続される側の側面には、扁平モータ40が接続されたときに該コイルエンド84を収容可能な凹部42B1が形成されている。
なお、図1の符号63は、減速機を単体で構成するときに使用するボルト、符号90は、ボルト72を挿通するための貫通孔、符号92は、扁平モータ40の回転を検出するためのエンコーダである。
次に、このロボットの関節駆動装置30、特にその減速機38の作用を説明する。
扁平モータ40の通電によってロータ80が回転すると、キー76を介して(モータ軸でもある)減速機38の入力軸52が回転する。入力軸52が回転すると該入力軸52と一体的に形成されている第1、第2偏心体54A、54Bがそれぞれ180度の位相差を持って回転する。第1、第2偏心体54A、54Bが回転すると、第1、第2外歯歯車58A、58Bが円周方向に当該180度の位相差を維持しながら偏心回転する。
この位相差の存在のために入力軸52に掛かるラジアル方向のトルクが相殺され、トルクの作用点の軸方向位置のずれによって発生するモーメントのみが第1、第2玉軸受56A、56Bに掛かることになる。
第1、第2外歯歯車58A、58Bの第1、第2内ピン孔58A1、58B1には、内ピン68が貫通されており、且つこの内ピン68は、第2減速機ケーシング体42Bと一体である。そのため、第1、第2外歯歯車58A、58Bは、該内ピン68によってその自転が拘束されるため、(回転することなく)揺動のみを行う。この揺動によって内歯歯車60と第1、第2外歯歯車58A、58Bとの噛合位置が順次ずれる現象が起こる。内歯歯車60の歯数(外ピン溝40Cの数に相当)と第1、第2外歯歯車58A、58Bの歯数は「1」だけ異なっているため、内歯歯車60と第1、第2外歯歯車58A、58Bの噛合位置が順次ずれて1周するごとに(入力軸52が1回転するごとに)内歯歯車60は第1、第2外歯歯車58A、58Bとの歯数差に相当する角度だけ自転することになる。この結果、結局、入力軸52の1回転に対して、内歯歯車60は1/(内歯歯車60の歯数)だけ回転する。
このときの内歯歯車60の回転は、クロスローラ66を介して減速機ケーシング42によって支持される。内歯歯車60の回転は、該内歯歯車60とボルト62等を介して一体化されている出力フランジ44に伝達され、該出力フランジ44に固定されているロボットの腕32の第1部材34の回転として出力される。
この実施形態に係る関節駆動装置30は、扁平モータ40側に軸受やオイルシールがない分、軸方向長Xを短くすることができ、第2減速機ケーシング体42Bがいわゆる減速機カバー及びモータカバーの機能を兼用するため、この点でも軸方向長Xが短くすることができる。更に、この実施形態では、第1、第2ころ55A、55Bの位置決めの工夫により、軸方向長Xを一層短くできている。
ここで、第1、第2ころ55A、55Bの位置決め等に関する作用について説明する。
第1、第2リテーナ94A、94Bは、前述したように、第1、第2ころ55A、55Bの偏心体円周方向の間隔を保持する機能を有すると共に、該第1、第2ころ55A、55Bの自身(第1、第2リテーナ94A、94B)に対する軸方向位置を規制する機能も合わせて有している。そのため、従来は、この第1、第2リテーナ94A、94Bの軸方向位置を規制することにより、結果として第1、第2ころ55A、55Bの偏心体円周方向の間隔の保持と軸方向の移動規制(軸方向の位置決め)を行ってきていた。
しかし、本実施形態においては、第1、第2ころ55A、55Bの軸方向の移動規制については、第1、第2ガイド体96A、96Bを(第1、第2リテーナ94A、94Bに対してではなく)第1、第2ころ55A、55Bの(それぞれ一方側の)軸方向端部55A1、55B1に対して直接当接させることによって行うようにしている。これは、第1、第2リテーナ94A、94Bと第1、第2ころ55A、55Bの規制関係を巧みに利用したものである。
より具体的に説明するならば、この実施形態では、第1、第2玉軸受56A、56Bは、出力フランジ44及び第2減速機ケーシング体42Bによってそれぞれ軸方向の位置が規定されている。
第1ガイド体96A、第1、第2偏心体54A、54B、及び第2ガイド体96Bは、この第1、第2玉軸受56A、56Bの各内輪56A1、56B1の間に、互いに当接した状態で組み込まれている。即ち、第1ガイド体96Aは、2つの部材(第1玉軸受56Aの内輪56A1及び第1偏心体54A)の間に挟まれることによってその軸方向の移動が規制されている。また、第2ガイド体96Bも、2つの部材(第2玉軸受56Bの内輪56B1及び第2偏心体54B)の間に挟まれることによってその軸方向の移動が規制されている。この結果、該第1、第2ガイド体96A、96Bによって第1、第2ころ55A、55Bの一方側の軸方向端部55A1、55B1の軸方向(離反方向)の移動が規制されている。
更に、第1、第2ころ55A、55Bと第1、第2リテーナ94A、94Bは、ポケットを介して互いに軸方向の移動が規制されている。この結果、第1、第2ころ55A、55Bは、第1、第2リテーナ94A、94Bのポケットを介して第1、第2ころ55A、55Bの偏心体円周方向の間隔の保持と軸方向の移動規制が同時に実現できることになる。
この結果、第1、第2リテーナ94A、94Bの軸方向の移動規制を行うために、第1、第2リテーナ94A、94Bと軸方向に並んだ状態で位置決め部材を配置するのではなく、第1、第2リテーナ94A、94Bと軸方向において重なる位置(図2の符号L2で示した軸方向長さの領域)に位置決め部材(第1、第2ガイド体96A、96B)を配置することができるようになり、その分減速機38の軸方向長Xの短縮が可能となる。
また、前述したように、第1、第2ガイド体96A、96Bは、独立した単品部材で構成され、第1、第2偏心体54A、54Bとも、また、第1、第2玉軸受56A、56Bの内輪56A1、56B1とも固定されておらず、互いに摺動が可能である。この結果、第1、第2ガイド体96A、96Bが第1、第2ころ55A、55Bと接触していることと相まって、第1、第2リテーナ94A、94Bの熱負荷は従来に比して大きく低減する。この効果は、特に第1、第2リテーナ94A、94Bの素材が樹脂である場合に益が大きい。
次に、本発明の他の実施形態の例について説明する。
ガイド体は、上記実施形態では、第1、第2玉軸受56A、56Bと第1、第2偏心体54A、54Bとの間に配置するようにしていたが、本発明におけるガイド体の配置位置は、この例に限定されるものではなく、要は、自身が軸方向に移動規制されると共に、ころの軸方向端部に直接当接することにより該ころの軸方向の移動規制を行うことができる構成であればよい。
例えば、図5の(A)で示されるように、上記実施形態における第2ガイド体196Bを、単独の部材によってではなく、軸方向の移動が規制されている第2偏心体154Bと一体的に形成するようにしてもよい。
このように、第1、第2ガイド体196A、196Bのうち、一方の第2ガイド体196Bのみを他の部材(この例では第2偏心体154B)と一体的に形成するようにした場合には、それだけ部品点数を減少させることができるほか、第1、第2ころ155A、155Bの組み込みを、別体とされている側(この例では第1ガイド体194Aの側)から極めて容易に行うことができるという効果が得られる。
ただ、例えば、図5(B)で示されるように、第1ガイド体296Aの側についても、単独の部材によってではなく、軸方向の移動が規制されている第1偏心体254Bと一体的に形成するようにしてもよい。この場合は、さらに部品点数を低減することができる。
なお、この例では、第1、第2ころ255A、255Bのそれぞれの両端を、直接第1〜第4ガイド体296A〜296Dにて位置決めするようにしている。この構成を採用した場合には、第1、第2リテーナ294A、294B同士を非接触状態に維持できるため、第1、第2リテーナ294A、294Bの熱負荷を更に低減することができる。
更には、図5(C)で示されるように、第1、第2ころ355A、355Bの半径方向外側部分を、第1、第2外歯歯車358A、358Bと一体化された第1、第2ガイド体396A、396Bによって押さえるような構成としてもよい。即ち、第1、第2外歯歯車358A、358Bは、第2減速機ケーシング342Bと前記位置決めプレート373との間に挟まれてそれぞれの軸方向の位置が規制されている。このため、これら第1、第2外歯歯車358A、358BAから第1、第2ガイド体396A、396B一体的に突出形成させるようにしても良い。
更には、図5(D)に示されるように、出力部材(図示の例では出力フランジ444)の一部を変形させて、第1ガイド体496Aを一体的に形成してもよいし、あるいは、減速機ケーシングの一部である第2減速機ケーシング体442Bを変形させて第2ガイド体496Bを一体的に形成してもよい。
いずれの場合においても、第1、第2リテーナ194A、194B、294A、194B、394A、394B、或いは494A、494Bの軸方向端部と並んで配置していた位置決め部材の配置を省略することができ(軸方向においてリテーナと重なる位置に位置決め部材を配置することができるようになることから)、その分、軸方向の短縮が可能となる。
なお、図5(A)〜図5(D)に示した他の実施形態の例におけるその他の部分は、基本的に最初の実施形態と同一であるため、図5(A)〜図5(D)中で下2桁が同一の符号を付すにとどめ、重複説明を省略する。
上記実施形態においては、「筒体」が入力軸に設けられ該入力軸の軸心と偏心した(非同軸の)外周を有する偏心体で構成され、外歯歯車が偏心揺動することによって内歯歯車に内接噛合する例が示されていた。しかし、本発明は、この例に限定されず、例えば、「筒体」が(入力軸の軸心と非同軸の)楕円の外周を有するカム体によって構成され、このカム体の外周によって外歯歯車が半径方向に変形することによって内歯歯車に内接噛合する、いわゆる撓み噛み合い式の減速機にも適用することができる。
本発明は、例えばロボットの関節駆動装置のように、特に減速機の軸方向長の短縮が要請される用途に有効に利用できる。
本発明の実施形態の一例に係る減速機が適用されたロボットの関節駆動装置の断面図 図1の要部拡大図 図1の矢示III−III 線に沿う(縮小)断面図 上記関節駆動装置がロボットの腕に適用されている様子を示す概略平面図 本発明の他の実施形態の例を示す部分断面図 従来の減速機の一例を示す断面図
符号の説明
30、46…ロボット関節駆動装置
32…腕
34…第1部材
36…第2部材
38…減速機
40…扁平モータ
42…減速機ケーシング
42A…第1減速機ケーシング体
42B…第2減速機ケーシング体
44…出力フランジ(出力軸)
48…第1部材
50…第2部材
R1、R2…回転軸
52…入力軸
52A…片持ち突出部
54A、54B…第1、第2偏心体
55A、55B…第1、第2ころ
56A、56B…第1、第2玉軸受
58A、58B…第1、第2外歯歯車
60…内歯歯車
94A、94B…第1、第2リテーナ
96A、96B…第1、第2ガイド体

Claims (5)

  1. ケーシング内に外歯歯車及び内歯歯車を備え、入力軸に設けられ該入力軸の軸心と非同軸の外周を有する筒体を用いて前記外歯歯車を前記内歯歯車に内接噛合させる減速機において、
    前記筒体の外周に直接転接可能に配置された複数のころと、
    該複数のころの円周方向の間隔を保持するリテーナと、
    自身が軸方向に移動規制されると共に、前記ころの軸方向端部に直接当接することにより該ころの軸方向の移動規制を行うガイド体と、を備えた
    ことを特徴とする減速機。
  2. 請求項1において、
    前記ガイド体が、前記ケーシング内の2つの部材間に挟まれることによって自身の軸方向の移動が規制されると共に、該2つの部材と相対回転可能な部材によって構成されていることを特徴とする減速機。
  3. 請求項2において、
    前記ガイド体が、前記筒体の軸方向端部と前記入力軸を支持している軸受との間に挟まれることによって自身の軸方向の移動が規制されていることを特徴とする減速機。
  4. 請求項1において、
    前記ガイド体が、前記ケーシング内において軸方向の移動が規制されている部材と一体的に形成されていることを特徴とする減速機。
  5. 請求項4において、
    前記軸方向の移動が規制されている部材が、前記ケーシング、前記外歯歯車、前記筒体、前記減速機の出力部材、または該出力部材と共に回転する部材のいずれかであることを特徴とする減速機。
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