JP7144998B2 - 回転装置 - Google Patents

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Description

本発明は、回転装置に関する。
本出願人は、特許文献1により、振動や騒音を低減することが可能な遊星歯車構造として、互いに噛合う外歯歯車と内歯歯車を備え、各構成要素を樹脂にて製造する内接噛合遊星歯車に関する構造を開示した。
特開平7-243486号公報
減速装置など相対回転する複数の部材を有する回転装置では、回転体の回転に伴い、機械的な損失や電磁気学的な損失などにより、内部温度が上昇する。内部温度が過度に高くなると構成部品によってはその強度が急激に低下し、この状態でさらに運転を継続すると構成部品が破損し、回転装置が故障する懸念がある。したがって、構成部品が破損しないように対策を講じることが望ましい。しかし、この問題に対する対策を講じた回転装置は未だ提案されておらず、その提案が望まれる。このような問題は、減速装置に限らず他の種類の回転装置についても生じうる。
本発明の目的は、このような課題に鑑みてなされたもので、過度な内部温度上昇を抑制することが可能な回転装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の回転装置は、第1部材と、第1部材との間に隙間を設けて対向して配置され第1部材と相対回転する第2部材と、を有する回転装置であって、第1部材と第2部材とは互いに熱膨張率の異なる素材で構成され、第1部材と第2部材との間の隙間は、第1部材の温度が所定温度に達したときに、第1部材と第2部材とが接触するように設定されている。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、過度な内部温度上昇を抑制することが可能な回転装置を提供することができる。
第1実施形態の回転装置を示す側面断面図である。 図1の回転装置の外歯歯車と起振体軸受を示す正面図である。 第2実施形態の偏心揺動型減速装置を示す側面断面図である。 図3の偏心揺動型減速装置の外歯歯車の周辺を示す正面図である。 図3の偏心揺動型減速装置の外歯歯車の周辺を示す別の正面図である。
まず、本発明の概要を説明する。本発明の一の態様は回転装置である。この回転装置は、相対回転する複数部材を有するものであればよく、例えば歯車を用いた減速装置やモータなどであってもよい。ここでは、減速装置を例に説明する。減速装置では、高速回転する入力軸軸受や歯車の噛合箇所での発熱などにより内部温度が上昇した場合に、高温による構成部材の強度低下が懸念される。特に、軽量化のために樹脂部材を用いると、高温時に樹脂部材の強度は急激に低下する。この状態で運転を継続すると樹脂部材が破損して減速装置が故障するという問題がある。減速装置の過度な温度上昇を抑えるために、減速装置の表面温度から内部温度を間接的に推定し、その推定結果に基づいて、減速装置の運転を調整することも考えられるが、推定精度が低いという問題がある。
これらから、本発明者らは、複数の部材間の対向隙間を所定の温度で積極的に接触するように構成し、その接触の有無に基づいて回転を調整する回転装置を創案した。この構成により、対向隙間の接触の有無により内部温度の過度な上昇を検知することができる。この回転装置は、第1部材と、第1部材との間に対向隙間を設けて対向して配置され第1部材と相対回転する第2部材と、を有する。この対向隙間は、径方向隙間であってもよいし、軸方向隙間であってもよいし、軸方向や径方向に対して傾斜した隙間であってもよい。第1部材と第2部材とは互いに熱膨張率の異なる素材で構成される。熱膨張率は線膨張係数であってもよい。例えば、径方向に対向する隙間であれば、内周側の部材の熱膨張率を外周側の部材より大きくすることにより、対向隙間は温度上昇に伴って減少し、一定の温度に達したら接触する。相対回転する部材同士が接触することで負荷が大きく変化するので、回転装置の負荷をモニタすることにより、接触の有無を検知することができる。
また、第1部材と第2部材が接触するときにブレーキトルクが発生するように構成し、このトルクによって回転の上昇が抑制され、内部の過度な温度上昇が抑えられることも期待できる。また、接触時に音が出るように構成することも可能で、この場合、周囲に異常状態を報知できる。また、この接触音により内部温度の過度な上昇を検知することもできる。
また、第1部材の温度が所定温度に達したときに、第1部材と第2部材とが接触するように、第1部材と第2部材との間の対向隙間を設定する。このように設定し、回転装置の負荷をモニタすることにより、内部温度が所定温度に達したか否かを検知することができる。対向隙間が接触する温度は、第1、第2部材の形状および熱膨張率から算出可能であり、これらの形状や熱膨張率により、所定温度を任意に設定することができる。
所定温度が高すぎると故障予防効果を十分に発揮することができず、所定温度が低すぎると回転装置の使用可能温度範囲が狭くなる。この観点から、所定温度は、第1部材および第2部材の少なくとも一方が溶融する温度よりも低く設定されてもよい。この場合、内部温度上昇により構成部材が破損する可能性を低くすることができる。
第1部材と第2部材は径方向に隙間を設けて対向してもよい。径方向の形状は加工精度を確保し易いので、対向隙間のバラツキを小さくして、所定温度を所望の値に近づけることができる。
上述の考え方は軸受にも適用することができる。例えば、第1部材は軸受の転動体を保持するリテーナであり、第2部材は転動体の転動面を構成する部材であってもよい。ここでいう第2部材は、外輪側の部材であってもよいし、内輪側の部材であってもよい。
上述のリテーナと転動体は減速装置に備えられてもよい。例えば、回転装置は、カムと当該カムにより揺動する外歯歯車とを有する減速装置であってもよく、上述の転動体は、カムと外歯歯車との間に配置されてもよい。この減速装置は、偏心体をカムとして外歯歯車を偏心揺動させる偏心揺動型の減速装置であってもよいし、起振体をカムとして外歯歯車を撓み揺動させる撓み噛合い式の減速装置であってもよい。
上述のリテーナは樹脂で形成され、上述の外歯歯車は鉄系素材で形成されてもよい。つまり、この外歯歯車は、その内周面がリテーナと径方向に対向しており第2部材として機能する。リテーナを構成する樹脂の熱膨張率は、外歯歯車の鉄系素材の熱膨張率よりも大きい。このため、リテーナの外周面と外歯歯車の内周面とは、リテーナが所定温度未満では非接触状態を維持し、リテーナが所定温度に達すると接触する。これらが接触すると、その回転時の摩擦により負荷が増加するので、負荷をモニタすることにより、リテーナが所定温度に達したことを検知することができる。
上述の回転装置は、この回転装置の負荷を検出する負荷検出器と、この負荷検出器の検出結果に基づいて異常判定する異常判定部と、を有してもよい。負荷検出器は、回転装置のトルクを検出可能なものであれば特に限定されない。異常判定部は、負荷検出器の検出結果に基づいて異常判定可能なものであれば特に限定されない。例えば、検出結果が閾値を超えたときに、第1部材と第2部材が接触したものとして異常と判定してもよい。異常と判定されてとき、回転装置は、その回転を停止させたり速度を低下させたりするように構成されてもよい。
上述の回転装置は、モータを有し、上述の負荷検出器はこのモータ電流を検出するように構成されてもよい。モータ電流は様々な手段によって検出することができる。一例として、負荷検出器は、モータの電機子コイルに直列に接続された抵抗器の電圧降下を検出してもよい。
以上が、本発明の概要の説明である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施の形態、比較例および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、共通点のある別々の構成要素には、名称の冒頭に「第1、第2」等と付し、符号の末尾に「-A、-B」等と付すことで区別し、総称するときはこれらを省略する。
[第1実施形態]
図1、図2を参照して、第1実施形態に係る回転装置100の構成について説明する。図1は、第1実施形態の回転装置100を示す側面断面図である。図2は、回転装置100の減速装置10の外歯歯車14と起振体軸受15-Aを示す正面図である。この図では、内歯歯車18は、その内歯部18aの歯面のみを示している。図1は、図2に示すA-O-B線に沿った断面を示している。回転装置100は、入力回転を減速して出力する減速装置10と、減速装置10に回転を入力するモータ50と、モータ50を駆動する駆動装置60と、を含む。
(減速装置)
減速装置10は、内歯歯車18-A、18-Bと噛み合う外歯歯車14を撓み変形させつつ回転させることで外歯歯車14を自転させ、その自転成分を出力する撓み噛み合い式減速装置である。本実施形態の減速装置は、減速用内歯歯車18-Aと出力用内歯歯車18-Bを用いて起振体を有する入力軸12の回転を減速して出力する、いわゆる筒型の撓み噛み合い式減速装置である。
減速装置10は、主に、入力軸12と、外歯歯車14と、起振体軸受15と、内歯歯車18と、軸受支持部23と、第1軸受ハウジング22-A、第2軸受ハウジング22-Bと、入力軸軸受26と、を備える。起振体軸受15は、転動体16と、リテーナ20と、を含む。以下、入力軸12の回転中心線Laに沿う方向を単に「軸方向X」といい、その回転中心線La周りの周方向、径方向に関して、単に「周方向」、「径方向」ということがある。
(入力軸)
入力軸12は、剛性を持つ筒状部材である。入力軸12は、モータ50の出力軸に連結される。図1に示すように、本実施形態の入力軸12は、モータ50側に延長され、その延長部12eがモータ50の出力軸として用いられる。つまり、入力軸12は、モータ50の出力軸と一体的に形成されている。本実施形態の入力軸12は、軸孔12aを有する中空軸であり、軸孔12aには配線等が挿通される。入力軸12は、モータ50によって、自らの軸芯を回転中心として回転させられる。モータ50は、入力軸12より軸方向Xの一方側(図中右側)に配置される。以下、軸方向Xの一方側を入力側といい、他方側(図中左側)を反入力側という。
入力軸12は、起振部12bと、起振部12bより入力側にある入力側軸部12cと、入力側軸部12cより入力側にある延長部12eと、起振部12bより反入力側にある反入力側軸部12dとを有する。つまり、起振部12bは、入力軸12の入力側軸部12cと反入力側軸部12dとの中間部分である。起振部12bは、その軸方向Xに直交する断面の外周形状が楕円状をなし起振体として作用する。入力側軸部12c、反入力側軸部12d及び延長部12eは、その軸方向Xに直交する断面の外周形状が円状をなす。本明細書での「楕円」とは、幾何学的に厳密な楕円に限定されず、略楕円も含まれる。
入力軸12は、後述する起振体軸受15の転動体16を介して外歯歯車14を撓み揺動させるカムとして機能する。転動体16は、入力軸12と外歯歯車14との間に配置される。
(外歯歯車)
本実施形態では、第2部材として外歯歯車14を例示する。外歯歯車14は、入力軸12の起振部12bの外周側に配置される。外歯歯車14は、可撓性を持つ筒状部材である。外歯歯車14は、筒状の基部14cと、基部14cの外周側に基部14cと一体的に形成された第1外歯部14a及び第2外歯部14bとを有する。第1外歯部14aは軸方向Xの入力側に配置され、後述する減速用内歯歯車18-Aと噛み合う。第2外歯部14bは、軸方向Xの反入力側に配置され、後述する出力用内歯歯車18-Bと噛み合う。第1外歯部14aと第2外歯部14bは、入力軸12の起振部12bの長軸方向の両側部分が内歯歯車18と噛み合う。外歯歯車14は、金属材料や非金属材料など種々の材料で構成してもよい。本実施形態の外歯歯車14は、鉄系金属で構成されている。
外歯歯車14は、入力軸12が回転したとき、起振体軸受15を介して入力軸12の起振部12bにより楕円状に撓み変形させられる。このとき、外歯歯車14は、内歯歯車18-Aとの噛合位置を周方向に変えつつ、入力軸12の起振部12bの形状に合うように撓み変形させられる。
(起振体軸軸受)
起振体軸受15は、入力軸12の起振部12bと外歯歯車14の間に配置される。起振体軸受15には、外歯歯車14の第1外歯部14aと入力軸12の間に配置される第1起振体軸受15-Aと、外歯歯車14の第2外歯部14bと入力軸12の間に配置される第2起振体軸受15-Bとが含まれる。入力軸12は、起振体軸受15を介して外歯歯車14を回転自在に支持する。
起振体軸受15のそれぞれは、複数(この例では23個)の転動体16と、リテーナ20とを有する。リテーナ20は、起振体軸受15の転動体16を回転自在に保持するものである。リテーナ20は、金属材料や非金属材料など種々の材料で構成してもよい。本実施形態のリテーナ20はPOM(polyacetal:ポリアセタール)により構成されている。リテーナ20は、PEEK(polyetheretherketone:ポリエーテルエーテルケトン)などPOMとは異なる樹脂により構成されてもよい。
本実施形態では、第1部材としてリテーナ20を例示する。図2に示すように、リテーナ20は、円環部材で、転動体16を保持するためのポケット20pが周方向に複数形成されている。リテーナ20の外周面20jは、外歯歯車14の内周面14jと径方向の隙間Gsを介して対向する。本実施形態では、樹脂により構成されたリテーナ20の熱膨張率が鉄系金属により構成された外歯歯車14の熱膨張率より大きいため、リテーナ20の温度が高くなると、リテーナ20の熱膨張により隙間Gsは小さくなる。
図1および図2は、リテーナ20の温度が後述する所定の温度に達した状態を示している。この図において、入力軸12の起振部12bの短軸方向側(以下、単に「短軸側」という)における隙間Gsを隙間Gs1と表記し、長軸方向側(以下、単に「長軸側」という)における隙間Gsを隙間Gs2と表記する。ここで、起振体軸受15を起振部12bの外周に配置し、起振体軸受15の外側に外歯歯車14を外嵌すると、長軸側では転動体16が外歯歯車14に強く押し付けられるので、外歯歯車14とリテーナ20との間の隙間Gs2は大きくなる。一方、短軸側では転動体16が外歯歯車14に強く押し付けられないので、外歯歯車14とリテーナ20との間の隙間Gs1は、隙間Gs2よりも小さくなる。そのため、リテーナ20の温度が上昇し後述する所定の温度に達した場合、図1に示すように、短軸側ではリテーナ20の外周面20jと外歯歯車14の内周面14jとは接触しており、隙間Gs1はゼロになる。このとき長軸側ではリテーナ20の外周面20jと外歯歯車14の内周面14jとは接触しておらず、隙間Gs2は当初よりは狭くなるもののゼロではない。
本実施形態の転動体16は円筒体であるが、球体等でもよい。本実施形態では、転動体16の内側の転動面は入力軸12の起振部12bの外周面に形成されている。つまり、入力軸12は、転動体16の転動面を構成する部材である。転動体16の内周側の転動面は入力軸12とは別の部材(例えば、内輪)に形成されてもよい。本実施形態では、転動体16の外周側の転動面は外歯歯車14の内周面14jに形成されている。つまり、外歯歯車14は、転動体16の転動面を構成する部材である。転動体16の外周側の転動面は外歯歯車14とは別の部材(例えば、外輪)に形成されてもよい。
(内歯歯車)
内歯歯車18は、剛性を持つ環状部材である。内歯歯車18は、外歯歯車14の第1外歯部14aや第2外歯部14bの外周側に配置される。本実施形態の内歯歯車18には、軸方向Xの入力側に配置される減速用内歯歯車18-A(第1内歯歯車)と、軸方向Xの反入力側に配置される出力用内歯歯車18-B(第2内歯歯車)とが含まれる。
減速用内歯歯車18-Aは、外歯歯車14の第1外歯部14aが噛み合う第1内歯部18aを有する。第1内歯部18aの内歯数は第1外歯部14aの外歯数より2i(iは1以上の自然数)だけ多い。これにより、入力軸12が回転したとき、第1内歯部18aと第1外歯部14aの歯数差に応じた減速比で入力軸12の回転が減速されて外歯歯車14が自転する。減速用内歯歯車18-Aは、入力側の第1軸受ハウジング22-Aと一体的に形成されている。
出力用内歯歯車18-Bは、外歯歯車14の第2外歯部14bが噛み合う第2内歯部18bを有する。第2内歯部18bの内歯数は第2外歯部14bの外歯数と同数である。これにより、入力軸12が回転したとき、出力用内歯歯車18-Bには、外歯歯車14の自転成分と同じ大きさの回転が出力される。
軸受支持部23は、略円筒状の部材で内周側に主軸受24の外輪24cを支持する。軸受支持部23は、減速用内歯歯車18-Aの第1内歯部18aより径方向外側に配置される。軸受支持部23には、回転装置100を支持するための外部部材(不図示)との連結に用いる連結孔23bが形成される。
主軸受24は出力用内歯歯車18-Bを回転自在に支持する。主軸受24は、複数の転動体24aと、内輪24bと、外輪24cとを有する。本実施形態の転動体24aは球体であるが、円筒体等でもよい。本実施形態の内輪24bは出力用内歯歯車18-Bとは別の部材により構成されているが、内輪24bは出力用内歯歯車18-Bの外周面に形成されてもよい。外輪24cは軸受支持部23とは別の部材により構成されているが、外輪24cは軸受支持部23の軸受支持部23の内周面に形成されてもよい。
軸受ハウジング22は、入力軸軸受26の第3外輪26cの外周面と端面の一部とを支持する。軸受ハウジング22は、入力軸12の軸方向Xに間隔を空けて配置される第1軸受ハウジング22-Aと、第2軸受ハウジング22-Bを含む。軸方向Xにおいて、第1軸受ハウジング22-Aは、第2軸受ハウジング22-Bの入力側に配置される。
入力側の第1軸受ハウジング22-Aと、減速用内歯歯車18-Aとは一体的に形成される。これらは別々に形成されて連結されてもよい。第1軸受ハウジング22-Aは、入力側の第1ワッシャ28aを介して外歯歯車14の入力側端面に当接する。
反入力側の第2軸受ハウジング22-Bは、出力用内歯歯車18-BにボルトB2により連結されることで一体化される。第2軸受ハウジング22-Bは、反入力側の第2ワッシャ28bを介して外歯歯車14の反入力側端面に当接する。第2軸受ハウジング22-Bの反入力側には、被駆動部材(不図示)がボルトなどを用いて連結される。被駆動部材は、入力軸12より軸方向Xの反入力側に配置される。
第1軸受ハウジング22-Aと入力軸12の入力側軸部12cとの間や、第2軸受ハウジング22-Bと入力軸12の反入力側軸部12dとの間には入力軸軸受26が配置される。一対の第1軸受ハウジング22-A、第2軸受ハウジング22-Bは、入力軸12を入力軸軸受26を介して回転自在に両持ち支持する。入力側および反入力側の一対の入力軸軸受26は、複数の第3転動体26aと、第3内輪26bと、第3外輪26cを有する。
(モータ)
モータ50は、マグネット56と、ステータコア58と、電機子コイル58cと、モータハウジング52と、モータカバー54と、を含む。マグネット56は、延長部12eの外周に固定される環状の磁石であって回転子を構成する。マグネット56は、その外周面に磁極が設けられる。ステータコア58は、マグネット56の外周面と磁気的空隙を介して径方向に対向する複数のティースを有する。電機子コイル58cは、ステータコア58の複数のティースに巻装される。
モータハウジング52は、ステータコア58を環囲し、ステータコア58の外周を支持する筒状の部材である。ステータコア58は、その外周部がモータハウジング52の内周に形成された凹部に嵌め込まれ、例えば接着によって固定される。モータカバー54は、モータ50の入力側を覆うために、モータハウジング52に固定される略中空円板状の部材である。図1の例では、モータカバー54およびモータハウジング52は、ボルトB1により第1軸受ハウジング22-Aに固定される。モータ50は、駆動装置60から駆動電力が供給されることにより、公知の原理に基づいて回転駆動力を発生する。モータ50は、発生させた回転駆動力によって入力軸12を回転駆動する。
(駆動装置)
駆動装置60は、駆動回路62と、負荷検出器64と、異常判定部66と、を含む。駆動回路62は、モータ50に駆動電力を供給する。負荷検出器64は、減速装置10の負荷を検出する。異常判定部66は、負荷検出器64の検出結果に基づいて異常判定をする。
本実施形態の負荷検出器64は、減速装置10の負荷の代用としてモータ50の電機子コイル58cに流れる電流を検出する。減速装置10の負荷はモータ50の負荷トルクであり、負荷トルクは電機子コイル58cの電流に略比例するからである。電機子コイル58cの電流は、電機子コイル58cに直列に接続された抵抗器の電圧降下により検出することができる。
本実施形態の異常判定部66は、電機子コイル58cの電流を検出した結果が閾値を超えたときに、異常と判定する。本実施形態の駆動回路62は、異常判定部66が異常と判定したとき、モータ50の回転速度を低下させ、またはモータ50を停止させる。異常の判定については後述する。
図1に示す駆動装置60の各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
回転装置100を構成する各部材は、比重、機械的強度、熱伝導率、熱膨張率、放熱性などの所望の特性に基づいて、鉄系金属などの金属材料や樹脂などの非金属材料から選択された材料で構成されてもよい。本実施形態では、入力軸12、外歯歯車14、転動体16、主軸受24および入力軸軸受26は、鉄系金属で構成されている。この鉄系金属としては、所望の特性に応じて炭素鋼、軸受鋼、ステンレス鋼などを用いることができる。
本実施形態では、内歯歯車18、軸受ハウジング22、軸受支持部23およびリテーナ20は、POM、PEEK、PA(polyamide:ポリアミド)などの樹脂で構成されている。この樹脂は、ガラス繊維、炭素繊維などの強化用繊維を含む樹脂であってもよいし、強化用繊維を含まない樹脂であってもよいし、紙や布などの基材に樹脂を含浸して積層したものであってもよい。
以上のように構成された本実施形態の減速装置10の動作を説明する。
モータ50が回転すると、延長部12eを介して入力軸12が回転する。入力軸12が回転すると、内歯歯車18との噛合位置を周方向に変えつつ、入力軸12の起振部12bの形状に合うように外歯歯車14が連続的に撓み変形させられる。第1外歯部14aは、入力軸12が一回転するごとに、減速用内歯歯車18-Aの第1内歯部18aとの歯数差に相当する分、減速用内歯歯車18-Aに対して相対回転(自転)する。このとき、入力軸12の回転は、第1内歯部18aとの歯数差に応じた減速比で減速されて外歯歯車14が自転する。
出力用内歯歯車18-Bの第2内歯部18bは、第2外歯部14bと歯数が同じである。よって、出力用内歯歯車18-Bは、入力軸12が一回転した前後で第2外歯部14bとの相対的な噛合位置が変わらないまま、第2外歯部14bと同じ自転成分で同期して回転する。この出力用内歯歯車18-Bの回転は出力用内歯歯車18-Bから第2軸受ハウジング22-Bを介して被駆動部材に伝達される。この結果、モータ50が入力軸12を回転させると、その入力軸12の回転が減速されて出力用内歯歯車18-Bから被駆動部材に出力される。
ここで、本実施形態の回転装置100では、第1部材として例示されるリテーナ20と、第2部材として例示される外歯歯車14とは熱膨張率の異なる素材で構成される。具体的には、リテーナ20の方が外歯歯車14よりも熱膨張率の大きい素材で構成され、リテーナ20と外歯歯車14との間の径方向の隙間Gsは、リテーナ20の温度が所定温度Tsに達したときに、リテーナ20と外歯歯車14とが接触するように設定されている点に特徴がある。
本実施形態では、リテーナ20と外歯歯車14とが接触したときに、これらの摩擦により減速装置10の負荷が増大して電機子コイル58cの電流が異常判定部66の閾値を超えるように構成されている。この結果、リテーナ20と外歯歯車14とが接触したとき異常判定部66は異常と判定する。そして、異常判定部66により異常と判定されると、モータ50の回転速度を低下させたり、停止させたりする。このように構成されたことにより、内部温度の過度な上昇を抑制し、内部温度上昇により構成部材が熱劣化して破損し回転装置100が故障する可能性を小さくすることができる。なお、異常と判定された場合に、音やランプなど所定の報知出力するようにしてもよい。
リテーナ20と外歯歯車14とが接触する温度は、これらの形状と熱膨張率からシミュレーションまたは計算により求めることが可能である。逆にいえば、これらの形状や熱膨張率を調整することにより、所定温度Tsを任意に設定することができる。
本実施形態では、所定温度Tsは、リテーナ20と外歯歯車14の少なくとも一方が溶融する温度より低く設定されている。所定温度Tsが高すぎる場合に比べて、回転装置100の故障予防効果を高めることができる。この例の所定温度Tsは、リテーナ20を構成する樹脂(POM)の融点175°以下に設定されている。このように構成されることによって、リテーナ20だけでなく、その他の樹脂部材の損傷を防止することができる。
[第2実施形態]
図3~図5を参照して、第2実施形態に係る回転装置200の構成について説明する。第2実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。図3は、第2実施形態の回転装置200を示す側面断面図である。図4、図5は、回転装置200の減速装置10の外歯歯車14と偏心軸受30を示す正面図である。この図では、理解を容易にするため、2枚の外歯歯車14の一方を表示し、他方は表示していない。他方の外歯歯車14は、一方の外歯歯車14と180度の位相差を有する点で相違し、その他の構成は同様である。
回転装置200は、入力回転を減速して出力する減速装置10と、減速装置10に回転を入力するモータ50と、モータ50を駆動する駆動装置60と、を含む。図3のモータ50は、減速装置10の入力側に一体的に設けられている。本実施形態の駆動装置60の構成と動作は、第1実施形態と同様であり説明を省く。
本実施形態の減速装置10は、入力軸12の偏心部12mをカムとして外歯歯車14を偏心揺動させるいわゆるセンタークランクタイプの減速装置である。本実施形態の減速装置10では、内歯歯車18は固定されており、外歯歯車14を偏心揺動させることで外歯歯車14に自転を生じさせ、その生じた自転成分を出力軸44から出力する偏心揺動型の減速装置である。
減速装置10は、主に、入力軸12と、偏心軸受30と、外歯歯車14と、内歯歯車18と、キャリヤ32と、内ピン40と、出力軸44と、第1、第2主軸受24、34と、第1ケーシング36と、第2ケーシング38と、を主に備える。
入力軸12は、モータ50から回転力が入力される。偏心軸受30は、入力軸12の偏心部12mの回転を外歯歯車14に伝達する。外歯歯車14は、入力軸12の偏心部12mの回転により揺動回転する。内歯歯車18は、外歯歯車14と噛み合う。キャリヤ32は、内ピン40を介して外歯歯車14の自転成分により回転する。出力軸44は、キャリヤ32の回転を被駆動装置に伝達する。第1、第2主軸受24、34は、キャリヤ32および出力軸44を回転自在に支持する。第1ケーシング36は、第1、第2主軸受24、34を支持するとともに、第1、第2主軸受24、34と、キャリヤ32と、出力軸44とを径方向外側からカバーする。第2ケーシング38は、減速装置10の入力側をカバーする。
(入力軸)
入力軸12は、モータ50の出力軸50sと一体的に形成され、モータ50に設けられた軸受(不図示)によって出力軸50sと共に回転自在に支持され、モータ50からの回転動力によって回転させられる。入力軸12の回転中心線は、内歯歯車18の中心軸線Laと同軸線上に設けられる。入力軸12には、外歯歯車14を揺動させるための複数の偏心部12mが設けられる。偏心部12mの軸芯は、中心軸線Laに対して偏心している。本実施形態では2個の偏心部12mが設けられ、隣り合う偏心部12mの偏心位相は180°ずれている。
(偏心軸受)
偏心軸受30は、入力軸12の偏心部12mの径方向外側に配置される。偏心軸受30は、内輪30mと、複数(この例では12個)の転動体16と、リテーナ20とを有する。内輪30mは、偏心部12mの径方向外側であって転動体16の内周側に配置される。内輪30mには、転動体16の内周側の転動面が形成される。本実施形態の転動体16は、円筒体であるが、球体など別形状を有するものであってもよい。
リテーナ20は、転動体16を回転自在に保持するものである。図4、図5に示すように、リテーナ20は、円環部材で、転動体16を保持するためのポケット20pが周方向に複数形成されている。リテーナ20の外周面20jは、外歯歯車14の内周面14jと径方向の隙間Gsを介して対向する部分を有する。
本実施形態では、第1部材としてリテーナ20を例示する。リテーナ20は、金属材料や非金属材料など種々の材料で構成してもよいが、本実施形態のリテーナ20はPOMにより構成されている。リテーナ20は、PEEKなどPOMとは異なる樹脂により構成されてもよい。リテーナ20を構成する樹脂は、ガラス繊維、炭素繊維などの強化用繊維を含む樹脂であってもよいし、強化用繊維を含まない樹脂であってもよいし、紙や布などの基材に樹脂を含浸して積層したものであってもよい。
(外歯歯車)
外歯歯車14は、偏心軸受30の転動体16の運動によって、外歯歯車14の軸芯が入力軸12の回転中心線周りを回転するように揺動する歯車である。外歯歯車14は、その内周面14jが転動体16に接し、径方向に駆動される。外歯歯車14は、複数の偏心部12mのそれぞれに対応して個別に設けられる。外歯歯車14は、偏心軸受30を介して対応する偏心部12mに回転自在に支持される。図4に示すように、外歯歯車14には、その軸心からオフセットされた位置に軸方向に貫通する12個の内ピン孔41が等間隔に形成されている。外歯歯車14の外周には波形の歯が形成されており、この歯が内歯歯車18と接触しつつ移動することで、中心軸を法線とする面内で外歯歯車14が揺動できるようになっている。内ピン孔41は、円形の孔で、後述する内ピン40との間には外歯歯車14の揺動成分を吸収するための遊びとなる隙間が設けられる。
本実施形態では、第2部材として外歯歯車14を例示する。本実施形態の外歯歯車14は、リテーナ20を構成するPOMより熱膨張率が小さい鉄系金属で構成されている。このため、リテーナ20の温度が高くなると、リテーナ20の熱膨張により、隙間Gsは小さくなる。
(内歯歯車)
内歯歯車18は、外歯歯車14の径方向外側に配置される。本実施形態の内歯歯車18は、環状の内歯歯車本体18hと、当該内歯歯車本体18hに形成されたピン溝に配置された外ピン18pと、を有している。外ピン18pは、内歯歯車本体18hに回転自在に支持される円筒状のピン部材である。外ピン18pは、内歯歯車18の内歯を構成している。図4、図5に示しように、外ピン18pは、外歯歯車14の外歯部14aと噛合う。内歯歯車18の外ピン18pの数(内歯の数)は、外歯歯車14の外歯数よりもわずかだけ(この例では1だけ)多い。内歯歯車18は、外ピン18pの代わりに、内歯歯車本体18hと一体的に形成された波状の内歯を備えてもよい。
(キャリヤ)
キャリヤ32は、外歯歯車14の反入力側に配置される。キャリヤ32は、出力軸44と一体的に形成され、出力軸44を介して回転動力を出力する出力部材として機能する。本実施形態の出力軸44は、キャリヤ32の反入力側から軸方向に延びる棒状の部材である。キャリヤ32および出力軸44は、第1主軸受24、第2主軸受34によって第1ケーシング36に回転自在に支持されている。キャリヤ32には軸心からオフセットされた位置に設けられた複数(この例では12個)の嵌入孔32hにそれぞれ内ピン40が嵌入固定されている。
(内ピン)
内ピン40は円筒部材40sに環囲される。円筒部材40sは内ピン40に対して回転可能に設けられる。内ピン40は、反入力側の一端がキャリヤ32に固定され、他端が入力側に延びて複数の外歯歯車14の内ピン孔41を軸方向に貫通する。図3の円筒部材40sは、内ピン40の内ピン孔41を貫通する部分全体を概ね環囲する。円筒部材40sは、外歯歯車14に形成された内ピン孔41の一部と当接しており、外歯歯車14の自転を拘束しその揺動のみを許容している。内ピン40は、キャリヤ32と外歯歯車14との間の動力の伝達に寄与する連結部材として機能する。
(主軸受)
第1、第2主軸受24、34は、出力軸44と第1ケーシング36の間に配置され、出力軸44およびキャリヤ32を回転自在に支持する。第1主軸受24は、キャリヤ32の反入力側に配置され、第1ケーシング36の第2環囲部36bに支持される。第2主軸受34は、第1主軸受24から反入力側に離れて配置され、第1ケーシング36の第3環囲部36cに支持される。第2主軸受34の反入力側には、第2主軸受34の反入力側を覆う環状の軸受キャップ36dが設けられる。軸受キャップ36dの中心部には出力軸44の外周を囲むオイルシール36sが設けられる。図3の軸受キャップ36dは、ボルトB5によって第1ケーシング36の第3環囲部36cに固定されている。第1、第2主軸受24、34の構成に限定はないが、本実施形態の第1、第2主軸受24、34は球体の転動体を有する。第1、第2主軸受24、34の転動体は、円筒体など球体とは別形状のものであってもよい。出力軸44は、第2主軸受34から反入力側へ突出する。
(第1ケーシング)
第1ケーシング36は、全体として中空の筒状をなす部材である。第1ケーシング36は、キャリヤ32と、出力軸44と、第1、第2主軸受24、34の径方向外側を環囲する外殻として機能する。特に、第1ケーシング36は、内歯歯車18の反入力側をカバーする。第1ケーシング36は、主にキャリヤ32を環囲する第1環囲部36aと、第1主軸受24を環囲する第2環囲部36bと、第2主軸受34を環囲する第3環囲部36cと、がこの順で一体に形成されている。第2環囲部36b、第3環囲部36cには、それぞれ第1主軸受24、第2主軸受34を支持する軸受支持部が設けられる。
(第2ケーシング)
第2ケーシング38は、内歯歯車18の入力側をカバーする外殻として機能する。本実施形態の第2ケーシング38は、モータ50のモータハウジング52の反入力側に一体的に形成された略円盤状の部材である。第1ケーシング36および第2ケーシング38は、内歯歯車18を軸方向に挟んで配置され、互いに接続される。図3に示すように、第1ケーシング36および第2ケーシング38は、ボルトB4およびナットN4によって基台42上に固定される。
回転装置200を構成する各部材は、比重、機械的強度、熱伝導率、熱膨張率、放熱性などの所望の特性に基づいて、鉄系金属などの金属材料や、樹脂などの非金属材料から選択された材料で構成されてもよい。本実施形態では、入力軸12、偏心部12m、外歯歯車14、内輪30m、転動体16、内歯歯車本体18h、外ピン18p、第1、第2主軸受24、34、キャリヤ32、内ピン40、円筒部材40s、出力軸44、第1ケーシング36および第2ケーシング38は、鉄系金属で構成されている。この鉄系金属としては、所望の特性に応じて炭素鋼、軸受鋼、ステンレス鋼などを用いることができる。これらの部材の一部は、POM、PEEK、PAなどの樹脂で構成されてもよい。
以上のように構成された本実施形態の減速装置10の動作を説明する。モータ50から入力軸12に回転動力が伝達されると、入力軸12の偏心部12mが入力軸12を通る回転中心線周りに回転し、その偏心部12mをカムとして偏心軸受30を介して外歯歯車14が揺動する。このとき、外歯歯車14は、自らの軸芯が入力軸12の回転中心線周りを回転するように揺動する。外歯歯車14が揺動すると、外歯歯車14の外歯部14aと内歯歯車18の外ピン18pの噛合位置が順次ずれる。この結果、入力軸12が一回転する毎に、外歯歯車14の歯数と内歯歯車18の外ピン18pの数との差に相当する分、外歯歯車14および内歯歯車18の一方の自転が発生する。本実施形態においては、外歯歯車14が自転し、キャリヤ32から減速回転が出力される。キャリヤ32が減速回転することにより、出力軸44を介して被駆動部材が回転する。
ここで、本実施形態の回転装置200は、以下のように構成されている点に特徴がある。まず、第1部材として例示されるリテーナ20と、第2部材として例示される外歯歯車14とは、熱膨張率の異なる素材で構成されている。具体的には、リテーナ20の方が外歯歯車14よりも熱膨張率の大きい素材で構成されている。そして、リテーナ20と外歯歯車14との間の径方向の隙間Gsは、リテーナ20の温度が所定温度Tsに達したときに、リテーナ20と外歯歯車14とが接触するように設定されている点である。図4は、リテーナ20の温度が所定温度Tsに達した状態を示しており、リテーナ20は外歯歯車14と接触しており、隙間Gsはゼロである。図5は、リテーナ20の温度が所定温度Ts未満の状態を示しており、リテーナ20は外歯歯車14と接触しておらず、隙間Gsはゼロでない。このリテーナ20と外歯歯車14とに係る特徴は、第1実施形態の回転装置100と同様であり、重複する説明を省く。
第2実施形態の回転装置200は、第1実施形態の回転装置100と同様の作用・効果を奏する。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。また、図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
以下、変形例を説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、第2実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
[変形例]
実施形態においては、回転装置として減速装置を例に説明したが、これに限定されるものではなく、第1部材と、第1部材との間に隙間を設けて対向して配置され第1部材と相対回転する第2部材と、を有する回転装置であれば、種々の回転装置に適用可能である。また、第1部材および第2部材も、リテーナと転動面を構成する部材に限られるものではなく、隙間を設けて対向配置されかつ相対回転する部材であれば、種々の部材に適用可能である。
第1、第2実施形態の説明では、第1部材がリテーナ20であり、第2部材が外歯歯車14であり、これらが径方向に対向する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、リテーナ20と空隙を挟んで軸方向に対向する対向部材を設け、リテーナ20を第1部材として、対向部材を第2部材としてもよい。また、径方向外側の転動面を構成する部材を第2部材とするのではなく、径方向内側の転動面を構成する部材を第2部材としてもよい。
第1実施形態の説明では、減速装置が筒型の外歯歯車を有する撓み噛み合い式減速装置(波動歯車装置と称されることがある)である例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、減速装置は、カップ型やシルクハット型の撓み噛み合い式減速装置であってもよい。
第2実施形態の説明では、減速装置がいわゆるセンタークランクタイプの偏心揺動型歯車装置である例を示したが、本実施形態の減速装置はこれに限定されない。減速装置は、内歯歯車の軸心からオフセットした位置に複数のクランク軸が配置されるいわゆる振り分けタイプの偏心揺動型歯車装置であってもよい。
第2実施形態の説明では、外歯歯車14を2枚備える例を示したが、本発明はこれに限定されない。3枚以上の外歯歯車14を備えてもよい。例えば、入力軸には、それぞれ120°ずつ位相がずれた3つの偏心部12mを設け、この3つの偏心部12mに揺動される3枚の外歯歯車14を備えてもよい。また、外歯歯車14は1枚であってもよい。
第2実施形態の説明では、偏心軸受30が、内輪30mを有する例を示したが、本発明はこれに限定されない。偏心軸受30は内輪30mを備えず、転動体16の転動面が偏心部12mに形成されてもよい。
第2実施形態の説明では、偏心軸受30が、外輪を有しない例を示したが、本発明はこれに限定されない。偏心軸受30は外輪を備え、当該外輪に転動体16の転動面が形成されてもよい。
第2実施形態の説明では、キャリヤ32から減速回転を出力する例を示したが、本発明はこれに限定されない。キャリヤ32を固定して、内歯歯車から減速回転を出力するようにしてもよい。
上述の各変形例は上述の実施形態と同様の作用・効果を奏する。
上述した各実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる各実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
10・・減速装置、 12・・入力軸、 12b・・起振部、 12h・・偏心部、 14・・外歯歯車、 15・・起振体軸受、 16・・転動体、 18・・内歯歯車、 20・・リテーナ、 22・・軸受ハウジング、 24、34・・主軸受、 26・・入力軸軸受、 30・・偏心軸受、 30m・・内輪、 32・・キャリヤ、 36・・第1ケーシング、 38・・第2ケーシング、 50・・モータ、 64・・負荷検出器、 66・・異常判定部、 100、200・・回転装置。

Claims (8)

  1. 第1部材と、前記第1部材との間に隙間を設けて対向して配置され前記第1部材と相対回転する第2部材と、を有する回転装置であって、
    前記第1部材と前記第2部材とは互いに熱膨張率の異なる素材で構成され、
    前記第1部材と前記第2部材との間の隙間は、前記第1部材の温度が所定温度に達したときに、前記第1部材と前記第2部材とを接触させることを目的として設定され
    前記第1部材と前記第2部材との接触を検知するための接触検知部を有することを特徴とする回転装置。
  2. 前記所定温度は、前記第1部材および前記第2部材の少なくとも一方が溶融する温度よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の回転装置。
  3. 前記第1部材と前記第2部材は径方向に隙間を設けて対向することを特徴とする請求項1または2に記載の回転装置。
  4. 前記第1部材は軸受の転動体を保持するリテーナであり、前記第2部材は前記転動体の転動面を構成する部材であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の回転装置。
  5. 本回転装置は、カムと当該カムにより揺動する外歯歯車とを有する減速装置であって、
    前記転動体は、前記カムと外歯歯車との間に配置されることを特徴とする請求項4に記載の回転装置。
  6. 前記リテーナは樹脂で構成され、前記外歯歯車は鉄系素材で構成されることを特徴とする請求項5に記載の回転装置。
  7. 前記接触検知部は、
    本回転装置の負荷を検出する負荷検出器と、
    前記負荷検出器の検出結果に基づいて異常判定する異常判定部と、
    を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の回転装置。
  8. 本回転装置は、モータによって回転駆動され、
    前記負荷検出器は前記モータの電流を検出することを特徴とする請求項7に記載の回転装置。
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