JP2009191748A - 内燃機関の動弁構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】デコンプ装置を備えたカムシャフトにウォータポンプをコンパクトに配設してシリンダヘッドの小型化を図ることができる内燃機関の動弁構造。
【解決手段】カムシャフト53と、該カムシャフトに設けられた動弁カムにより開閉作動される機関弁56eと、デコンプ装置100とを備える内燃機関の動弁構造において、動弁カム53eのカム面に出没自在のデコンプカム105を作動するデコンプウエイト101が、カムシャフト53の一端部または一端部近傍に遠心力により揺動可能に軸支され、デコンプウエイト101と軸方向反対側のカムシャフト53の端部にウォータポンプ120が配設される内燃機関の動弁構造。
【選択図】図8

Description

本発明は、内燃機関のデコンプ装置を備える動弁構造に関する。
吸気バルブや排気バルブを開閉作動するカムシャフトにデコンプ装置が取り付けられるとともに、内燃機関の所要部に冷却水を循環させるウォータポンプが、そのポンプ駆動軸をカムシャフトと同軸にしてともに回転するように配置される例がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−307840号公報
同特許文献1に開示された動弁構造は、カムシャフトの端部にカムチェーンスプロケットが固着されており、クランク軸の回転がカムチェーンを介してカムチェーンスプロケットに伝達されてカムシャフトが回転する。
そして、カムシャフトを軸方向カムチェーンスプロケット側に延長した位置にデコンプ装置のデコンプウエイトとウォータポンプが順に配列されている。
このように、カムシャフトの軸方向でカムチェーンスプロケットに関して同じ側にデコンプウエイトとウォータポンプが順に並んで配設されるので、揺動するデコンプウエイトとウォータポンプが隣り合うため、互いの干渉を避けるべく軸方向の互いの間隔を空ける必要があり、よってカムシャフトを収容するシリンダヘッドの軸方向の幅が広くなり、シリンダヘッドが大型化していた。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、デコンプ装置を備えたカムシャフトにウォータポンプをコンパクトに配設してシリンダヘッドの小型化を図ることができる内燃機関の動弁構造を供する点にある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、クランク軸の回転がカムチェーンを介して伝達されて回転駆動されるカムシャフトと、該カムシャフトに設けられた動弁カムにより開閉作動される機関弁と、始動時の圧縮行程時に前記機関弁を開弁するデコンプ装置とを備える内燃機関の動弁構造において、前記動弁カムのカム面に出没自在のデコンプカムを作動するデコンプウエイトが、前記カムシャフトの一端部または一端部近傍に遠心力により揺動可能に軸支され、前記デコンプウエイトと軸方向反対側の前記カムシャフトの端部にウォータポンプが配設される内燃機関の動弁構造とした。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の動弁構造において、前記デコンプウエイトは、前記動弁カムのうち排気カムの側面に沿って揺動可能に支軸により片持ち軸支され、前記デコンプウエイトが前記カムシャフトの支持ベアリングに当接するワッシャと前記排気カムとの間に挟まれて位置決めされることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の内燃機関の動弁構造において、前記デコンプウエイトが、前記カムシャフトの軸方向におけるシリンダボアの幅内に配置されることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の内燃機関の動弁構造において、前記デコンプウエイトが、シリンダ軸線を挟んでカムチェーンスプロケットの反対側で、かつ前記カムシャフトの挿通方向の先端に配置される。
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の内燃機関の動弁構造において、前記ウォータポンプのポンプ駆動軸をベアリングを介装して回転自在に軸支する円筒形状をしたポンプボディが、シリンダヘッドの側壁に嵌入されて支持されることを特徴とする。
請求項1記載の内燃機関の動弁構造によれば、デコンプウエイトと軸方向反対側のカムシャフトの端部にウォータポンプが配設されるので、揺動するデコンプウエイトとウォータポンプが軸方向互いに反対側に位置して互いの干渉を考慮して間隔を空ける必要がなく、よってカムシャフトにウォータポンプをコンパクトに配設してシリンダヘッドの小型化を図ることができる。
請求項2記載の内燃機関の動弁構造によれば、排気カムの側面に沿って揺動可能にデコンプウエイトが支軸により片持ち軸支されるので、両持ちで軸支する場合の一方の軸支持部材が必要なく、軸方向幅をコンパクト化することができるとともに、デコンプウエイトはカムシャフトの支持ベアリングに当接するワッシャと排気カムとの間に挟まれて位置決めされるので、デコンプウエイトのガタつきを防止してデコンプ装置の作動性を良好に維持することができる。
請求項3記載の内燃機関の動弁構造によれば、デコンプウエイトが、カムシャフトの軸方向におけるシリンダボアの幅内に配置されるので、シリンダヘッドの小型化を図ることができる。
請求項4記載の内燃機関の動弁構造によれば、デコンプウエイトが、シリンダ軸線を挟んでカムチェーンスプロケットの反対側で、かつ前記カムシャフトの挿通方向の先端に配置されるので、カムシャフトの組付性を向上させることができる。
請求項5記載の内燃機関の動弁構造によれば、ウォータポンプのポンプボディが、ポンプ駆動軸をベアリングを介装して回転自在に軸支すべく円筒形状をして小型化することができ、この円筒形状のポンプボディが、シリンダヘッドの側壁に嵌入されて支持されるので、ウォータポンプをシリンダヘッドにコンパクトに取り付けることができる。
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図12に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した一実施の形態に係るスクータ型自動二輪車1の側面図である。
車体前部1fと車体後部1rとが、低いフロア部1cを介して連結されており、車体の骨格をなす車体フレームは、概ねダウンチューブ3とメインパイプ4とからなる。
すなわち車体前部1fのヘッドパイプ2からダウンチューブ3が下方へ延出し、同ダウンチューブ3は下端で水平に屈曲してフロア部1cの下方を後方へ延び、その後端において左右一対のメインパイプ4が連結され、メインパイプ4は該連結部から斜め後方に立ち上がって所定高さで水平に屈曲して後方に延びている。
同メインパイプ4により燃料タンク5等が支持され、その上方にシート6が配置されている。
一方車体前部1fにおいては、ヘッドパイプ2に軸支されて上方にハンドル11が設けられ、下方にフロントフォーク12が延びてその下端に前輪13が軸支されている。
メインパイプ4の傾斜部の中央付近にブラケット15が突設され、同ブラケット15にリンク部材16を介してパワーユニット20が揺動可能に連結支持されている。
パワーユニット20は、その前部が単気筒4ストロークの水冷式内燃機関30であり、シリンダブロック32を略水平に近い状態にまで大きく前傾した姿勢にあって、そのクランクケース31の上端から前方に突出したハンガーブラケット18の端部が前記リンク部材16にピボット軸(枢支)19を介して連結されている。
パワーユニット20は該内燃機関30から後方にかけてベルト式無段変速機46が構成され、その後部に設けられた減速機構38の出力軸である後車軸21aに後輪21が設けられている。
この減速機構38のあるパワーユニット20の後部に立設されたブラケット39と前記メインパイプ4の後部間にリヤクッション22が介装されている。
パワーユニット20の側面図である図2および同上面図である図3を参照して、パワーユニット20の上部では、内燃機関30の大きく前傾したシリンダヘッド33の上部から吸気管23が延出して後方に湾曲し、同吸気管23に接続されたスロットルボディ25がシリンダブロック32の上方に位置し、同スロットルボディ25に連結管23cを介して連結されるエアクリーナ26がベルト式無段変速機46の上方に配設されている。
なお、吸気管23には吸気ポートに向けて燃料を噴射するインジェクタ24が装着されている。
一方、シリンダヘッド33の下部から下方に延出した排気管27は、後方へ屈曲し右側に偏って後方に延びて後輪21の右側のマフラ(図示せず)に接続される。
車体前部1fは、フロントカバー9aとレッグシールド9bにより前後から覆われフロントロアカバー9cにより下部を前方から左右側方にかけて覆われ、ハンドル11の中央部はハンドルカバー9dによって覆われる。
フロア部1cはサイドカバー9eにより覆われ、また車体後部1rは左右側方からボデイカバー10によって覆われる。
図4は内燃機関30の断面図(図3のIV−IV線断面図)であり、図5はパワーユニット20の断面図(図2のV−V線断面図)である。
内燃機関30は、シリンダブロック32のシリンダライナ44内を往復動するピストン42とクランク軸40のクランクピン40aとをコネクティングロッド43が連結している。
クランクケース31は、左右割りの左クランクケース31Lと右クランクケース31Rとを合体して構成されるもので、右クランクケース31Rは、クランクケース部の半体をなし、左クランクケース31Lは、前部がクランクケース部の半体をなすとともに、後方に膨出して前後に長尺のベルト式無段変速機46を収容する伝動ケースを兼ねる。
この左クランクケース(伝動ケース)31Lの前後長尺の左側開放面は、伝動ケースカバー36により覆われ、内部にベルト式無段変速機46が収納される変速室46Cが形成され、後部の右側開放面は減速機ケース37により覆われ、内部に減速機構38が収納される。
図5および図6を参照して、左クランクケース31Lの前部と右クランクケース31Rとの合体による所謂クランクケース内には、クランク軸40が左右の主ベアリング41,41に回転自在に支持されて、左右水平方向に延びた延出部のうち右延出部にはカムチェーン駆動スプロケット55aとオイルポンプ駆動ギヤ55bおよびACジェネレータ72が設けられ、左延出部にはベルト式無段変速機46の遠心ウエイト47と駆動プーリ48aが設けられる。
ベルト式無段変速機46は、駆動プーリ48aと減速機構38の入力軸38aに設けられる被動プーリ48bとにVベルト49が掛け渡されて動力が伝達されるもので、変速比は機関回転数に応じて移動する遠心ウエイト47により駆動プーリ48aにおけるVベルト49の巻掛け径が変化し、同時に被動プーリ48bにおける巻掛け径が変化することにより自動的に変更され、無段変速する。
被動プーリ48bの回転は、遠心クラッチ35を介して減速機構38の入力軸38aに伝達される。
減速機構38はギア機構で入力軸38aと中間軸38bとの間および中間軸38bと後車軸21aとの間にそれぞれギアの噛合が構成されて、入力軸38aの回転を減速して後車軸21aに伝え後輪21を回転駆動する。
図5および図6を参照して、伝動ケースカバー36の前部は、内側に凹んだ前平坦部36afを形成しており、同前平坦部36afの駆動プーリ48aに対向する部分は冷却風導入口36iが形成されて、駆動プーリ48aの左側の固定プーリ半体の左側面に設けられた冷却ファン48Fの回転により冷却風導入口36iから空気を変速室46Cに導入することができる。
この伝動ケースカバー36の凹んだ前平坦部36afにダクトカバー91が嵌装され、同ダクトカバー91を外側から覆うようにサイドカバー92が装着される。
ダクトカバー91には伝動ケースカバー36の冷却風導入口36iと連結する冷却風導入口91iが形成されるとともに、上部にルーバ91Lが形成されている。
ダクトカバー91の上部後方のルーバ91Lと伝動ケースカバー36の前平坦部36afとの間には、図6に示すように空隙96が形成されており、同空隙96は上方が図3の上面図に示すようにサイドカバー92の周壁92bの端面が長尺矩形に切り欠かれたように形成された外気導入口95となって外部と連通している。
内燃機関30が稼動されてクランク軸40とともに駆動プーリ48aに設けられた冷却ファン48Fが回転すると、図6に冷却風の流れを破線矢印で示すように、まず冷却風は外気導入口95から空隙96に導入され、空隙96からダクトカバー91のルーバ91Lを通過してダクトカバー91とサイドカバー92の間の外気導入空間97に流入し、導風壁91dに導かれて冷却風導入口36i,91iから変速室46Cに円滑に導入されベルト式無段変速機46を冷却する。
図5および図6を参照して、右クランクケース31Rのカムチェーン室52を構成する側壁には大きな開口を有し、同開口は右方からボルト71により取り付けられる隔壁70により閉塞され、隔壁70の円筒部70aをクランク軸40が貫通している。
ACジェネレータ72は、隔壁70の円筒部70aを貫通したクランク軸40の右端部にACGボス73を介して碗状のアウタロータ74が固着され、その内周面に周方向に亘って配設される磁石75の内側にステータコイル77の巻回されたインナステータ76が隔壁70の円筒部70aに固定されている。
アウタロータ74の右側面には中央が膨出して円板状をしたファン基板78aが取り付けられており、ファン基板78aには右方に突出して複数のラジエータファン78が形成されている。
ACジェネレータ72のアウタロータ74の外周は、右クランクケース31Rの側壁から右方に延出した周壁31Rsに概ね囲繞され、ラジエータファン78の外周はシュラウド90により囲繞され、ラジエータファン78の右方にはラジエータ80が近接して設けられ、ラジエータ80はルーバ付きのラジエータカバー81で覆われている。
図6を参照して、右クランクケース31Rと隔壁70との間にポンプ駆動軸62を回転自在に架設してオイルポンプ61が設けられており、ポンプ駆動軸62に嵌着された被動ギヤ63が、前記カムチェーン駆動スプロケット55aと一体に形成されたオイルポンプ駆動ギヤ55bと噛合している。
右クランクケース31Rには、オイルポンプ61から下方にオイル通路64aが延出しており、同オイル通路64aの途中から左方に水平オイル通路64bが左クランクケース31Lまで水平に延びてオイルフィルタ65が嵌挿される径が拡大した嵌挿孔64cに至っている。
オイルフィルタ65は、有底円筒状をしたメッシュフィルタであり、左クランクケース31Lの左外側面に開口した嵌挿孔64cに嵌挿され、左右水平方向に指向する水平オイル通路64bの左端を蓋するようにして水平オイル通路64bを外部と仕切っている。
水平オイル通路64bの下方は、オイル溜まり64eとなっており、オイル溜まり64eの天井壁に嵌挿孔64cに連通する切欠き64dが形成されている。
嵌挿孔64cの開口には、給油筒66がその端部開口を連結して設けられる。
給油筒66は、有底円筒状のオイルフィルタ65の外径より小さい内径の給油通路67が形成された水平筒部66aと水平筒部66aから屈曲して斜め上方に延びる傾斜筒部66bとからなり、水平筒部66aを左右方向に指向させてオイル通路64bの端部の嵌挿孔64cに端部を嵌合している。
給油筒66の水平筒部66aが嵌挿孔64cの開口に嵌合することで、オイルフィルタ65の外周に周設されたコイルスプリング65sがその一端を規制されて他端がオイルフィルタ65の開口端部のフランジを水平オイル通路64bの開口端面に押し付け固定し、隙間が生じるのを防止している。
給油筒66の傾斜筒部66bの若干径が大きく拡大した上端開口部66cが給油口となっており、その上端開口部66cにオイルフィラーキャップ68がねじ嵌合して給油通路67を液密に閉塞することができる。
オイルフィラーキャップ68には、給油通路67内に延びるディップスティックゲージ69が突設されており、ディップスティックゲージ69の先端のゲージ部がオイルの油面下に没してゲージ部に油量を印す。
オイルフィラーキャップ68を外せば給油筒66の給油口からクランクケース31内に潤滑オイルを給油することができる。
クランク軸40の回転により駆動ギヤ55bと被動ギヤ63の噛合を介してオイルポンプ61が駆動されると、オイル溜まり65eに溜まったオイルは、オイルフィルタ65を通って浄化されて汲み上げられ、オイルポンプ61から内燃機関30の所要箇所に供給される。
本4サイクル内燃機関30は、SOHC型式のバルブシステムを採用しており、シリンダヘッドカバー34内には動弁機構50が設けられ、同動弁機構50に動力伝達を行うカムチェーン51がカムシャフト53とクランク軸40との間に架設されており、そのためのカムチェーン室52が、右クランクケース31R,シリンダブロック32,シリンダヘッド33に連通して設けられている(図5参照)。
すなわち左右水平方向に指向したカムシャフト53の右端に嵌着された被動カムチェーンスプロケット54と、クランク軸40に嵌着された前記駆動カムチェーンスプロケット55aとの間にカムチェーン51がカムチェーン室52内を通って架渡されている。
一方、シリンダヘッド33においてカムチェーン室52と反対側(左側)から燃焼室33aに向かって点火プラグ45が嵌挿されている(図2,図5参照)。
また、シリンダブロック32の同じ左側側面には支持ブラケット28を介して点火コイル29が取り付けられている(図2,図3参照)。
図4を参照して、大きく前傾したシリンダヘッド33の燃焼室33aから吸気ポート33iが上方に湾曲して延出し前記吸気管23に連結され、燃焼室33aから排気ポート33eが下方に湾曲して延出し前記排気管26に連結される。
図4に示すように、シリンダヘッドカバー34内の動弁機構50は、シリンダが水平に近い状態にまで大きく前傾しているので、吸気ポート33iの燃焼室33aへの開口を開閉する吸気バルブ56iがカムシャフト53の上方に配設され、排気ポート33eの燃焼室33aへの開口を開閉する排気バルブ56eがカムシャフト53の下方に配設されている。
カムシャフト53は、シリンダヘッド33の左側壁とカムチェーン室52を構成する内側壁33cにベアリング53b,53bを介してカムシャフトホルダ53hl,53hrに挟まれて回転自在に軸支され、右側のベアリング53bより突出した右端に被動カムチェーンスプロケット54が嵌着されている。
図4に示すように、カムシャフト53の前方の斜め上下位置にそれぞれ配置される吸気用ロッカシャフト57と排気用ロッカシャフト59が、図7および図8に示すように左右のカムシャフトホルダ53hl,53hr間に架設されている。
カムシャフトホルダ53hl,53hrはシリンダヘッド33,シリンダブロック32とともにクランクケース31に4本のスタッドボルト110への各ナット111の螺着により一体に締結される(図7参照)。
吸気用ロッカシャフト57と排気用ロッカシャフト59は、互いに上下位置にあり、上側の吸気用ロッカシャフト57に揺動自在に枢着された吸気ロッカアーム58の一端に軸支されたローラ58rがカムシャフト53の吸気カム53iに接し、他端に螺合された調整ねじ58sが吸気バルブ56iのバルブステムの端部に接する(図4参照)。
同様に、下側の排気用ロッカシャフト59に揺動自在に枢着された排気ロッカアーム60の一端に軸支されたローラ60rがカムシャフト53の排気カム53eに接し、他端に螺合された調整ねじ60sが排気バルブ56eのバルブステムの端部に接する(図4参照)。
したがって、カムシャフト53の回転により吸気カム53iと排気カム53eがそれぞれ吸気ロッカアーム58と排気ロッカアーム60を揺動して所定のタイミングで吸気バルブ56iと排気バルブ56eの開閉動作を行わせる。
このような動弁機構50には、デコンプ装置100がカムシャフト53に設けられている。
図8を参照して、デコンプ装置100はカムシャフト53の左端部を軸支する左側ベアリング53bとカムシャフト53の排気カム53eとの間において、排気カム53eの側面と左側ベアリング53bに当接したワッシャ108との間に挟まれて位置決めされたデコンプウエイト101が、排気カム53eに突設された支軸102に片持ちで軸支されて排気カム53eの側面に沿って揺動自在に設けられており、排気カム53eのカム面に出没自在に回動するデコンプカム105がデコンプウエイト101に突設された作動ピン104により作動される。
図9および図10は、デコンプ装置100の動作を説明するために要部を抽出して示した左側面図であり、図9はカムシャフト53が停止または低速回転しているときを示しており、図10はカムシャフト53が所定回転速度を超えているときの状態を示している。
デコンプウエイト101は、C字形状をしてカムシャフト53を囲み、排気カム53eの側面に突設された支軸102に基端が軸支されて排気カム53eの側面に沿って揺動可能である。
デコンプウエイト101は、支軸102よりも先端と反対側に若干延びた延出部101aを有し、カムシャフト53に出没自在に嵌合された押圧部材107aをスプリング107sにより突出方向に付勢する付勢手段107が設けられ、同付勢手段107の押圧部材107aがデコンプウエイト101の延出部101aに当接して押圧しデコンプウエイト101をカムシャフト53に近づける方向に付勢している。
デコンプウエイト101の先端側所定位置には排気カム53eに向けて作動ピン104が突設されている。
また、排気カム53eの側面にはカム小径部の所定箇所に円孔が掘削されて円柱状のデコンプカム105が回動自在に嵌合しており、それも同デコンプカム105の一部が排気カム53eのカム小径部のカム面から突出可能に嵌合している。
同デコンプカム105はデコンプウエイト101側の左側面に径方向に長い長溝105が形成されており、前記デコンプウエイト101に突設された作動ピン104が同長溝105に挿入されて係合しており、したがってデコンプウエイト101の揺動によりデコンプウエイト101と一体の作動ピン104が長溝105との係合を介してデコンプカム105を回動させる。
また、同デコンプカム105の右側面には、切欠き105bが形成されており、デコンプカム105の回動により、切欠き105bがカム面に向いていないときはデコンプカム105は排気カム53eのカム面から突出しており(図9参照)、切欠き105bがカム面に向いているときはデコンプカム105は切欠き105bによりカム面から突出していない(図10参照)。
いま、内燃機関30の始動時の機関回転速度が低速のとき、カムシャフト53も低速回転で、図9に示すように、デコンプウエイト101の遠心力による揺動が小さく、付勢手段107により付勢されたデコンプウエイト101はカムシャフト53の近くにあって、デコンプウエイト101に突設された作動ピン104は、デコンプカム105を切欠き105bがカム面に向かない位置にしているので、デコンプカム105は排気カム53eのカム面から突出した状態にあり、よって圧縮行程時にカム面から突出したデコンプカム105が排気ロッカアーム60のローラ60rを押し上げ(図9に示す状態)、排気バルブ56eを開弁し圧縮圧力を低減して始動を容易にすることができる。
内燃機関30が始動した後、機関回転数が上昇すると、カムシャフト53も所定回転速度を超え、図10に示すように、デコンプウエイト101の遠心力による揺動が大きく、付勢手段107に抗してデコンプウエイト101はカムシャフト53から離れる方向に揺動し、作動ピン104は、デコンプカム105を切欠き105bがカム面に向かう位置に回動し、デコンプカム105は切欠き105bにより排気カム53eのカム面から突出していない状態となり、よって圧縮行程時にも排気ロッカアーム60のローラ60rを押し上げず(図10に示す状態)、排気バルブ56eは閉弁でき、デコンプ解除状態とする。
本デコンプ装置は、排気カム53eの側面に沿って揺動可能にデコンプウエイト101が支軸102により片持ち軸支されるので、両持ちで軸支する場合の一方の軸支持部材が必要なく、軸方向幅をコンパクト化することができるとともに、デコンプウエイト101はカムシャフト53の支持ベアリング53bに当接するワッシャ108と排気カム53eとの間に挟まれて位置決めされるので、デコンプウエイト101のガタつきを防止してデコンプ装置100の作動性を良好に維持することができる。
図8を参照して、デコンプウエイト100は、左側カムシャフトホルダ53hlの直下に配設され、カムシャフト53の軸方向である左右方向におけるシリンダボアの左右幅内に配置される。
したがって、シリンダヘッド33の左右幅を抑えて小型化を図ることができる。
以上のデコンプ装置100が、カムシャフト53の左端近傍に設けられているのに対して、カムシャフト53の右端部には、被動カムチェーンスプロケット54がボルト109により固着され、カムシャフト53のさらに右側延長部にウォータポンプ120が設けられている(図7、図8参照)。
図8を参照して、カムシャフト53は、矢印で示すように右側から左方に向かって挿通されるもので、このカムシャフト挿通方向の先端側からデコンプウエイト100,排気カム53e,吸気カム53i,被動カムチェーンスプロケット54の順に配列される。
デコンプウエイト100は、シリンダ軸線Lcを挟んでカムチェーンスプロケット54の反対側で、かつカムシャフト53の挿通方向の先端に配置されるので、カムシャフト53の組付性を向上させることができる。
シリンダヘッド33の右側面には円開口が形成され、同円開口に環状のシールリング部材128が嵌着されており、ウォータポンプ120の円筒形状をしたウォータポンプボディ121が同シールリング部材128に水密に嵌入されて支持されている。
図8および図11、図12を参照して、ウォータポンプ120のウォータポンプボディ121は、ポンプ駆動軸123をベアリング125を介して回転自在に軸支する軸方向に長尺の長尺円筒部121aと、その一方の開口端を径方向に延出しウォータポンプ駆動軸123に嵌着されるインペラ124を部分的に収容する径方向に拡大し軸方向に短尺の短尺円筒部121bとからなり、長尺円筒部121aがウォータポンプ駆動軸123を前記カムシャフト53と同軸にしてシリンダヘッド33の右側壁にシールリング部材128を介して嵌入されて固着され、ポンプ駆動軸123の左端はカムシャフト53の右端面に穿設された嵌合穴に嵌入されて直結され同軸一体に回転するように構成される。
ウォータポンプボディ121の短尺円筒部121bの右開口を覆い短尺円筒部121bとともにインペラ124を収容するウォータポンプカバー122が、短尺円筒部121bの開口端面に重ね合わされる。
ウォータポンプボディ121の短尺円筒部121bの外周に4か所ボルト孔121hが形成され、ウォータポンプカバー122にもウォータポンプボディ121のボルト孔121hに対応して4か所ボルト孔122hが形成されている。
図8に示すように、シリンダヘッドカバー34の上部近くに位置するウォータポンプボディ121のボルト孔121hは雌ねじが刻設されており、対応するウォータポンプカバー122のボルト孔122hを貫通したボルト129aがボルト孔121hに螺合して両者を締結する。
そして、他の3か所のボルト孔121h,122hは、図7に示すように、シリンダヘッド33に対応して形成された取付ボス部33bに重ねられ、ボルト129bがボルト孔122h,121hを貫通して取付ボス部33bの雌ねじ孔に螺合し、シリンダヘッド33にウォータポンプボディ121とウォータポンプカバー122とを共に締結してウォータポンプ120がシリンダヘッド33に取付けられる。
なお、ウォータポンプカバー122は、ウォータポンプ駆動軸123の右方に膨出した吸入ポート部122aからシリンダヘッド33の右側面に沿ってクランク軸40の方向に水吸込み筒部122bが延出するとともに、インペラ124の外周囲の下部から接線方向で斜め後下方に吐出ポート部122cが延出し、図11および図12に示すように、吐出ポート部122cからさらに吐出接続管126が突設されている。
また、インペラ124の外周囲の上部にエア抜き部122dが形成されて、エア抜き部122dから斜め後上方にエア抜き接続管127が突設されている。
以上のように、シリンダヘッド33にデコンプ装置100とウォータポンプ120が設けられる。
カムシャフト53に固着されるカムチェーンスプロケット54に関してデコンプウエイト101と軸方向反対側のカムシャフト53の端部にポンプ駆動軸123を連結してウォータポンプ120が配設されるので、揺動するデコンプウエイト101とウォータポンプ120がカムチェーンスプロケット54に関して軸方向互いに反対側に位置して互いの干渉を考慮して間隔を空ける必要がなく、よってカムシャフト53にウォータポンプ120をコンパクトに配設してシリンダヘッド33の小型化を図ることができる。
本デコンプ装置100は、排気カム53eの側面に沿って揺動可能にデコンプウエイト101が支軸により片持ち軸支されるので、両持ちで軸支する場合の一方の軸支持部材が必要なく、軸方向幅をコンパクト化することができるとともに、デコンプウエイト101はカムシャフト53の支持ベアリング53bに当接するワッシャ108と排気カム53eとの間に挟まれて位置決めされるので、デコンプウエイト101のガタつきを防止してデコンプ装置100の作動性を良好に維持することができる。
本ウォータポンプ120は、ポンプボディ121が、ポンプ駆動軸123をベアリング125を介装して回転自在に軸支すべく円筒形状をして小型化することができ、この円筒形状のポンプボディ121が、シリンダヘッド33の側壁に嵌入されて支持されるので、ウォータポンプ120をシリンダヘッド33にコンパクトに取り付けることができる。
本発明の一実施の形態に係るスクータ型自動二輪車の全体側面図である。 パワーユニットの全体側面図である。 同パワーユニットの全体上面図である。 内燃機関の断面図(図3のIV−IV線断面図)である。 パワーユニットの断面図(図2のV−V線断面図)である。 同パワーユニットの断面図(図2のVI−VI線断面図)である。 シリンダヘッド内の動弁機構およびウォータポンプの上面図である。 同断面図である。 デコンプ装置の側面図である。 別の状態における同デコンプ装置の左側面図である。 ウォータポンプの左側面図である。 同ウォータポンプの右側面図である。
符号の説明
20…パワーユニット、30…内燃機関、31…クランクケース、32…シリンダブロック、33…シリンダヘッド、34…シリンダヘッドカバー、40…クランク軸、
50…動弁機構、51…カムチェーン、52…カムチェーン室、53…カムシャフト、54…被動カムチェーンスプロケット、55a…カムチェーン駆動スプロケット、56e…排気バルブ、56i…吸気バルブ、58…吸気ロッカアーム、58r…ローラ、60…排気ロッカアーム、60r…ローラ、
100…デコンプ装置、101…デコンプウエイト、102…支軸、104…作動ピン、105…デコンプカム、107…付勢手段、108…ワッシャ、
120…ウォータポンプ、121…ウォータポンプボディ、121a…長尺円筒部、121b…短尺円筒部、122…ウォータポンプカバー、123…ウォータポンプ駆動軸、124…インペラ、125…ベアリング、128…シールリング部材。

Claims (5)

  1. クランク軸の回転がカムチェーンを介して伝達されて回転駆動されるカムシャフトと、該カムシャフトに設けられた動弁カムにより開閉作動される機関弁と、始動時の圧縮行程時に前記機関弁を開弁するデコンプ装置とを備える内燃機関の動弁構造において、
    前記動弁カムのカム面に出没自在のデコンプカムを作動するデコンプウエイトが、前記カムシャフトの一端部または一端部近傍に遠心力により揺動可能に軸支され、
    前記デコンプウエイトと軸方向反対側の前記カムシャフトの端部にウォータポンプが配設されることを特徴とする内燃機関の動弁構造。
  2. 前記デコンプウエイトは、前記動弁カムのうち排気カムの側面に沿って揺動可能に支軸により片持ち軸支され、
    前記デコンプウエイトが前記カムシャフトの支持ベアリングに当接するワッシャと前記排気カムとの間に挟まれて位置決めされることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の動弁構造。
  3. 前記デコンプウエイトは、前記カムシャフトの軸方向におけるシリンダボアの幅内に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の内燃機関の動弁構造。
  4. 前記デコンプウエイトは、シリンダ軸線を挟んでカムチェーンスプロケットの反対側で、かつ前記カムシャフトの挿通方向の先端に配置される請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の内燃機関の動弁構造。
  5. 前記ウォータポンプのポンプ駆動軸をベアリングを介装して回転自在に軸支する円筒形状をしたポンプボディが、シリンダヘッドの側壁に嵌入されて支持されることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の内燃機関の動弁構造。
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