JP2009191135A - インク組成物、インクセット、及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
再生紙に対しても滲みが少ない印字が可能で、目詰まりしにくいインクであるとして、糖アルキレンオキシ誘導体またはそれらの集合体を含有するインクが開示されている(例えば、特許文献1。)。
また、SP値が16.5以上24.6未満の水溶性溶剤を全インクの30質量%以上含有し、水の量が10質量%以上50質量%未満含有し、顔料がアルカリ可溶性の高分子分散剤によって分散されているインクジェットインクが開示されている(例えば、特許文献2。)。
また、少なくとも一部が塩基で中和された酸基を有する皮膜形成性樹脂によって、顔料粒子が被覆された着色樹脂粒子の水性分散体からなるインクにおいて、アセチレン結合を有する界面活性剤を含有するインク組成物が開示されている(例えば、特許文献3)。
上記課題に鑑みて、本発明は、液安定性及び吐出性が良好であり、かつ、インク付与後の被記録媒体のカールが抑制され得るインク組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、液安定性及び吐出性が良好であり、かつ、インク付与後の被記録媒体のカールが抑制され得る、複数の異なる色のインク組成物からなるインクセットの提供を目的とする。
さらに、本発明は、前記インク組成物又はインクセットインクセットを用いて、インク付与後の被記録媒体のカールが抑制される画像形成方法を提供することを目的とする。
<3> 前記構造式(1)の化合物の含有量が、前記(a)水溶性溶剤の50質量%以上を占めることを特徴とする上記<1>又は<2>に記載のインク組成物。
<4> 前記(l+m+n)の値が3〜10の範囲であることを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインク組成物。
<5> 前記水溶性溶剤の量が、インク組成物全質量の10〜30質量%であることを特徴とする上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインク組成物。
<7> 前記転相乳化法で用いた分散剤が樹脂(A)であり、
前記樹脂(A)が疎水性構造単位(a)と親水性構造単位(b)とを有し、前記疎水性構造単位(a)は、前記樹脂(A)の主鎖を形成する原子と直接に結合していない芳香環を有する疎水性構造単位(a1)を40質量%以上と、アクリル酸またはメタクリル酸の、炭素数1〜4のアルキルエステルに由来する疎水性構造単位(a2)を15質量%以上含み、前記親水性構造単位(b)は、アクリル酸及び/またはメタクリル酸に由来する構造単位(b1)を有し、かつ親水性構造単位(b)が15質量%以下である上記<6>に記載のインク組成物。
<8> ラテックスを含むことを特徴とする上記<1>〜<7>のいずれか1項に記載のインク組成物。
<9> 上記<1>〜<8>のいずれか1項に記載のインク組成物を含むことを特徴とするインクセット。
<10> 複数の異なる色のインク組成物を含むインクセットであり、前記全てのインク組成物が上記<1>〜<8>のいずれか1項に記載のインク組成物からなることを特徴とする上記<9>に記載のインクセット。
<11> 上記<1>〜<8>のいずれか1項に記載のインク組成物と、前記インク組成物中の顔料の凝集促進剤を含む第2のインク組成物を有することを特徴とする上記<9>に記載のインクセット。
<13> 上記<1>〜<8>のいずれか1項に記載のインク組成物、又は、上記<9>〜<12>のいずれか1項に記載のインクセットを用いて、被記録媒体上に、前記インク組成物を付与するインク付与工程を含むことを特徴とする画像形成方法。
<14> インク付与後に加熱を行うことを特徴とする上記<13>に記載の画像形成方法。
また、本発明は、液安定性及び吐出性が良好であり、かつ、インク付与後の被記録媒体のカールが抑制され得る、複数の異なる色のインク組成物からなるインクセットを提供することができる。
さらに、本発明は、前記インク組成物又はインクセットを用いて、インク付与後の被記録媒体のカールが抑制される画像形成方法を提供することができる。
本発明のインク組成物は、(a)水溶性溶剤、(b)顔料、及び(c)水とを含み、前記(a)水溶性溶剤は、SP値27.5以下の水溶性溶剤を90質量%以上含み、かつ下記構造式(1)の化合物を含むことを特徴とする。
前記構成とすることにより、インク組成物の液安定性及び吐出安定性が優れ、インク付与した後のカールを効果的に抑制することができる。
また、インク組成物は、フルカラーの画像形成に用いることができ、フルカラー画像を形成するためには、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクとして用いることが好ましく、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクとして用いてもよい。また、イエロー、マゼンタ、シアン色調インク以外のレッド、グリーン、ブルー、白色インクやいわゆる印刷分野における特色インク等として用いることができる。
以下、インク組成物の構成成分について詳述する。
インク組成物は、乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤の目的のために、水溶性溶剤を用いる。
特に、インクジェット記録方式の水系インク組成物として用いる場合は、乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤の目的で、水溶性有機溶剤が好ましく使用される。
ノズルのインク噴射口において該インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で乾燥防止剤や湿潤剤が用いられ、乾燥防止剤や湿潤剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。
また、インク組成物(特に、インクジェット用インク組成物)を紙により良く浸透させる目的で、浸透促進剤として水溶性有機溶剤が好適に使用される。
ここで、「SP値27.5以下の水溶性溶剤」と「構造式(1)で表される化合物」とが同一であっても、異なるものであってもよい。
本発明でいう水溶性溶剤の溶解度パラメーター(SP値)とは、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147(1967)に記載の方法で計算することができ、本発明においてはこの数値を採用する。
l+m+nが3未満だとカール抑制力が小さく、また15を超えると吐出性が悪化する。
上記の中でも、l+m+nが3〜12が好ましく、3〜10がより好ましい。
上記構造式(1)中、AOは、エチレンオキシ及び/又はプロピレンオキシを表すが、中でも、プロピレンオキシ基が好ましい。
前記(AO)l、(AO)m、及び(AO)nの各AOはそれぞれ同一でも異なってもよい。
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(21.5)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(21.1)
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(21.3)
ジプロピレングリコール(27.2)
・nC4H9O(AO)10−H (AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1) (18.8)
・HO(A’O)40−H (A’O=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:3) (18.7)
・HO(A’’O)55−H (A’’O=EO又はPOで、比率はEO:PO=5:6) (18.8)
・HO(PO)3−H (24.7)
・HO(PO)7−H (21.2)
・1,2−ヘキサンジオール (27.4)
本発明において、EO、POはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基を表す。
上記範囲とすることにより、インクの安定性や吐出性を悪化させずにカールを抑制することができ好ましい。
併用できる水溶性有機溶媒の例として、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等のアルカンジオール(多価アルコール類);ヴルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の糖類;糖アルコール類;ピアルロン酸類;尿素類等のいわゆる固体湿潤剤;エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;
(a)水溶性溶剤の含有量としては、全インク組成物中、安定性および吐出信頼性確保の点から、1質量%以上60質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましく、10質量%以上30質量%以下が特に好ましく使用される。
本発明において用いられる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
上記の顔料は、単独種で使用してもよく、また上記した各群内もしくは各群間より複数種選択してこれらを組み合わせて使用してもよい。
<水分散性顔料>
水分散性顔料の具体例として、下記(1)〜(4)の顔料を挙げることができる。
(1)カプセル化顔料、即ち、ポリマー微粒子に顔料を含有させてなるポリマーエマルジョンであり、より詳しくは、親水性水不溶性の樹脂で顔料を被覆し顔料表面の樹脂層にて親水化することで顔料を水に分散したものである。
(2)自己分散顔料、即ち、表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性及びd水溶性の少なくともいずれかを示す顔料、より詳しくは、主にカーボンブラックなどを表面酸化処理して親水化し、顔料単体が水に分散するようにしたものである。
(3)樹脂分散顔料、即ち、質量平均分子量50,000以下の水溶性高分子化合物により分散された顔料
(4)界面活性剤分散顔料、即ち、界面活性剤により分散された顔料。
好ましい例として、(1)カプセル化顔料と(2)自己分散顔料を挙げることができ、特に好ましい例として、(1)カプセル化顔料を挙げることができる。
マイクロカプセル化顔料の樹脂は、限定されるものではないが、水と水溶性有機の混合溶媒中で自己分散能または溶解能を有し、かつアニオン性基(酸性)を有する高分子の化合物であるのが好ましい。この樹脂は、通常、数平均分子量が1、000〜100、000範囲程度のものが好ましく、3、000〜50、000範囲程度のものが特に好ましい。また、この樹脂は有機溶剤に溶解して溶液となるものが好ましい。樹脂の数平均分子量がこの範囲であることにより、顔料における被覆膜として、またはインク組成物における塗膜としての機能を十分に発揮することができる。樹脂は、アルカリ金属や有機アミンの塩の形で使用されることが好ましい。
マイクロカプセル化顔料の樹脂の具体例としては、熱可塑性、熱硬化性あるいは変性のアクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリアミド系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、シリコーン系、フッ素系高分子化合物、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニル系、アルキド樹脂、フタル酸樹脂等のポリエステル系、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等のアミノ系の材料、あるいはそれらの共重合体または混合物などのアニオン性基を有する材料などが挙げられる。
上記樹脂の中、アニオン性アクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(以下、アニオン性基含有アクリルモノマーという)と、更に必要に応じてこれらのモノマーと共重合し得る他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン基からなる群から選ばれる1個以上のアニオン性基を有するアクリルモノマーが挙げられ、これらの中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマーが特に好ましい。
マイクロカプセル化顔料は、上記した成分を用いて、従来の物理的、化学的方法によって製造することができる。本発明の好ましい態様によれば、特開平9−151342号、特開平10−140065号、特開平11−209672号、特開平11−172180号、特開平10−25440号、または特開平11−43636号に開示されている方法によって製造することができる。
自己分散型顔料を着色剤として含有するインクは、通常の顔料を分散させるために含有させる前述のような分散剤を含む必要が無いため、分散剤に起因する消泡性の低下による発泡がほとんど無く吐出安定性に優れるインクが調製しやすい。
自己分散型顔料の表面に結合される分散性付与基としては、−COOH、−CO、−OH、−SO3H、−PO3H2及び第4級アンモニウム並びにそれらの塩が例示でき、これらは、原料となる顔料に物理的処理または化学的処理を施すことで、分散性付与基または分散性付与基を有する活性種を顔料の表面に結合(グラフト)させることによって製造される。前記物理的処理としては、例えば真空プラズマ処理等が例示できる。また前記化学的処理としては、例えば水中で酸化剤により顔料表面を酸化する湿式酸化法や、p−アミノ安息香酸を顔料表面に結合させることによりフェニル基を介してカルボキシル基を結合させる方法等が例示できる。
本発明においては、次亜ハロゲン酸及び/または次亜ハロゲン酸塩による酸化処理、またはオゾンによる酸化処理により表面処理される自己分散型顔料を好ましい例として挙げることができる。自己分散型顔料としては市販品を利用することも可能であり、マイクロジェットCW−1(商品名;オリヱント化学工業(株)製)、CAB−O−JET200、CAB−O−JET300(以上商品名;キャボット社製)等が例示できる。
本発明において、カプセル化顔料あるいは樹脂分散顔料で用いられる分散剤としては、ノニオン性化合物、アニオン性化合物、カチオン性化合物、両性化合物等が使用できる。
例えば、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの共重合体等が挙げられる。α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、酢酸ビニル、酢酸アリル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、クロトン酸エステル、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、芳香族基を置換してもよいアクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、芳香族基を置換してもよいメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、ビニルアルコール、並びに上記化合物の誘導体等が挙げられる。
具体的には、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
前記樹脂(A)は、水性液媒体中での前記顔料(B)の分散剤として用いる。
前記樹脂(A)の構造は、疎水性構造単位(a)と、親水性構造単位(b)とを有する。必要に応じて、前記樹脂(A)は、前記疎水性構造単位(a)及び前記親水性構造単位(b)とは異なる構造単位(c)を含むことができる。
前記親水性構造単位(b)及び疎水性構造単位(a)の組成としては、それぞれの親水性、疎水性の程度にもよるが、疎水性構造単位(a)が樹脂(A)全体の質量に対して80質量%を超えて含有されることが好ましく、85質量%以上がより好ましい。すなわち、親水性構造単位(b)は15質量%以下にする必要があり、親水性構造単位(b)が15質量%よりも多い場合には、顔料の分散に寄与せず単独で水性液媒体中に溶解する成分が増加し、顔料(B)の分散性等の諸性能を悪化させ、インクジェット記録用インクの吐出性を悪化させる原因となる。
本発明における樹脂(A)は、疎水性構造単位(a)のうち、前記樹脂(A)の主鎖を形成する原子と直接に結合していない芳香環を有する疎水性構造単位(a1)を少なくとも含む。
ここでいう「直接に結合していない」とは、芳香環と樹脂の主鎖構造を形成する原子とが、連結基を介して結合した構造となっていることを表す。このような形態を有することで、樹脂(A)中の親水性構造単位と疎水性の芳香環との間に適切な距離が維持されるため、樹脂(A)と顔料(B)とに相互作用が生じやすくなり、強固に吸着し、結果分散性が向上する。
前記樹脂(A)の主鎖を形成する原子と直接に結合していない芳香環を有する疎水性構造単位(a1)は、顔料の分散安定性、吐出安定性、洗浄性の観点から、前記樹脂(A)の全質量のうち40質量%以上75質量%未満であることが好ましく、40質量%以上70質量%未満であることがより好ましく、40質量%以上60質量%未満であることが特に好ましい。
前記樹脂(A)の主鎖を形成する原子と直接に結合していない芳香環が、耐擦過性向上の点で、樹脂(A)中15質量%以上27質量%以下であることが好ましく、15質量%以上25質量%以下がより好ましく、15質量%以上20質量%以下が特に好ましい。
上記範囲とすることにより、耐擦過性、インク安定性、吐出信頼性を向上することができる。
上記一般式(1)の中でも、R1が水素原子またはメチル基であり、L1が(主鎖側)−COO−であり、L2がアルキレンオキシ基および/またはアルキレン基を含む炭素数1〜25の2価の連結基である構造単位の組合せが好ましく、より好ましくは、R1が水素原子またはメチル基であり、L1が(主鎖側)−COO−であり、L2が(主鎖側)−(CH2−CH2−O)n−である(nは平均の繰り返し単位数をあらわし、n=1〜6である)構造単位の組合せである。
前記芳香環が縮環したヘテロ環とは、ヘテロ原子を含まない芳香族化合物(好ましくはベンゼン環)と、ヘテロ原子を有する環状化合物とが少なくとも縮環した化合物である。ここで、ヘテロ原子を有する環状化合物は5員環または6員環であることが好ましい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子が好ましい。ヘテロ原子を有する環状化合物は複数のヘテロ原子を有していても良く、この場合、ヘテロ原子は互いに同じでも異なっていてもよい。芳香環が縮環したヘテロ環の具体例としては、フタルイミド、アクリドン、カルバゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
前記樹脂(A)に含まれるアクリル酸またはメタクリル酸の、炭素数1〜4のアルキルエステルに由来する疎水性構造単位(a2)は、樹脂(A)中に少なくとも15質量%以上であることが必要であり、好ましくは20質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは、20質量%以上50質量%以下である。
これら(メタ)アクリレート類の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
前記アルキル基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがさらに好ましい。
本発明における樹脂(A)を構成する親水性構造単位(b)について説明する。
該親水性構造単位(b)は、前記樹脂(A)の全質量に対して、0質量%超15質量%以下含有され、2質量%以上15質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下が好ましく、8質量%以上12質量%以下がより好ましい。
前記樹脂(A)は、親水性構造単位(b)としてアクリル酸及び/またはメタクリル酸(b1)を少なくとも含む。
前記親水性構造単位(b1)の含有量は、後述の構造単位(b2)の量または疎水性構造単位(a)の量か、あるいはその両方により変更する必要がある。
即ち、本発明における樹脂(A)は、疎水性構造単位(a)として80質量%を超える量を含み、かつ親水性構造単位(b)を15質量%以下とする量とすればよく、前記疎水性構造単位(a1)と(a2)、親水性構造単位(b1)と(b2)及び構造単位(c)により決定されるものである。
また、樹脂(A)が疎水性構造単位(a1)、(a2)と、親水性構造単位(b1)と、構造単位(c)とからなるとき、親水性構造単位(b1)の含有量は、「100−(疎水性構造単位(a1)・(a2)の質量%)−(構造単位(c)の質量%)」で求めることができる。
なお、アクリル酸またはメタクリル酸は、単独で又は混合して用いることができる。
なお、ここでいう酸価とは、樹脂(A)の1gを完全に中和するのに要するKOHの質量(mg)で定義され、JIS規格(JISK0070、1992)記載の方法により測定することができる。
前記構造単位(b2)は非イオン性の親水性基を含有して成ることが好ましい。また、構造単位(b2)は、これに対応するモノマーを重合することにより形成することができるが、ポリマーの重合後、ポリマー鎖に親水性官能基を導入してもよい。
親水性の官能基としては、水酸基、アミノ基、(窒素原子が無置換の)アミド基及び、後述するようなポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のアルキレンオキシド重合体が挙げられる。
これらのうち、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、アミノプロピルアクリレート、アルキレンオキシド重合体を含有する(メタ)アクリレートが特に好ましい。
前記アルキレンオキシド重合体のアルキレンとしては、親水性の観点から炭素数1〜6が好ましく、炭素数2〜6がより好ましく、炭素数2〜4が特に好ましい。
また、前記アルキレンオキシド重合体の重合度としては、1〜120が好ましく、1〜60がより好ましく、1〜30が特に好ましい。
前記構造単位(b2)中の水酸基数としては、特に限定されず、樹脂(A)の親水性、重合時の溶媒や他のモノマーとの相溶性の観点から、1〜4が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2が特に好ましい。
本発明における樹脂(A)は、前述の通り、前記疎水性構造単位(a1)、前記疎水性構造単位(a2)及び前記親水性構造単位(b)とは異なる構造を有する構造単位(c)(以下、単に「構造単位(c)」という。)を含有することもできる。
前記疎水性構造単位(a1)、疎水性構造単位(a2)及び親水性構造単位(b)とは異なる構造単位(c)とは、前記(a1)、(a2)又は(b)とは異なる構造を有する構造単位(c)を言い、該構造単位(c)は疎水性の構造単位であることが好ましい。
前記構造単位(c)は、前記樹脂(A)に全質量中35質量%以下とすることが好ましく、20質量%以下とすることがより好ましく、15質量%以下とすることが更に好ましい。
前記疎水性の構造単位を形成しうるモノマーとしては、入手性、取り扱い性、汎用性の観点から、ビニルモノマー類、((メタ)アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエステル類等)が好ましい。
これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記分子量を上記範囲とすることにより、分散剤としての立体反発効果が良好な傾向となり、また立体効果により顔料への吸着に時間がかからなくなる傾向の観点から好ましい。
また、本発明で用いる樹脂の分子量分布(重量平均分子量値/数平均分子量値で表される)は、1〜6であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
前記分子量分布を上記範囲とすることは、インクの分散安定性、吐出安定性の観点から好ましい。ここで数平均分子量及び、重量平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用い換算して表した分子量である。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり、通常、0℃〜100℃程度であるが、50〜100℃の範囲で重合を行うことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm2、特に、1〜30kg/cm2程度が好ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。得られた樹脂は再沈殿などの精製を行っても良い。
顔料と樹脂分散剤の比率は、重量比で100:25〜100:140が好ましく、さらに好ましくは100:25〜100:50である。樹脂分散剤が100:25以上の場合は分散安定性と耐擦性が良化する傾向となる。樹脂分散剤が100:140以下の場合も、分散安定性が良化する傾向となる。
本発明において、定着性、耐擦過性、打滴干渉回避のための凝集性付与の観点から、樹脂微粒子のラテックス(以下、ポリマーラテックスともいう。)を含むことが好ましい。
本発明に用いることができるポリマーラテックスとしては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素系樹脂等のラテックスを挙げることができる。中でも、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂のラテックスを好ましい例として挙げることができる。
ポリマーラテックス中の樹脂の重量平均分子量は、インク組成物の安定性の観点から、1万以上、20万以下が好ましく、より好ましくは10万以上、20万以下である。
樹脂微粒子の平均粒径は、10nm〜1μmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、20〜100nmの範囲が更に好ましく、20〜50nmの範囲が特に好ましい。
ポリマーラテックスの添加量は、定着性、耐擦過性、インク組成物の粘度の観点から、インク組成物に対して、固形分で、0.5〜20質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
樹脂微粒子のガラス転移温度Tgは、インク組成物の保存安定性の観点から、30℃以上であることが好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。
また、ポリマーラテックスの粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つポリマーラテックスを、2種以上混合して使用してもよい。
表面張力調整剤としてはノニオン、カチオン、アニオン、ベタイン界面活性剤が挙げられる。表面張力の調整剤の添加量は、インクジェットで良好に打滴するために、本発明のインクの表面張力を20〜60mN/mに調整する量が好ましく、より好ましくは20〜45mN/m、更に好ましくは25〜40mN/mに調整できる量である。
本発明における界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれも使用することができる。更には、上記高分子物質(高分子分散剤)を界面活性剤としても使用することもできる。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、アセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物等のアセチレンジオール誘導体、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、t−オクチルフェノキシエチルポリエトキシエタノール、ノニルフェノキシエチルポリエトキシエタノール等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。
カチオン性界面活性剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられ、具体的には、例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド等が挙げられる。
インクの打滴干渉回避の観点からは、ノニオン性界面活性剤が好ましく、中でもアセチレンジオール誘導体がもっとも好ましい。
本発明におけるインク組成物に添加する界面活性剤の量は、特に限定されるものではないが、0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜3質量%である。
その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
本発明のインクセットは、本発明の前記インク組成物の少なくとも1種を含んで構成される。
本発明のインクセットは、前記インク組成物を用いる記録方法に用いられ、特にインクジェット記録方法に用いるインクセットとして好ましい。また、本発明のインクセットはこれらを一体的に若しくは独立に収容したインクカートリッジとして用いることができ、取り扱いが便利である点等からも好ましい。インクセットを含んで構成されるインクカートリッジは当技術分野において公知であり、公知の方法を適宜用いてインクカートリッジにすることができる。
また、本発明のインクセットは、本発明の前記インク組成物(以下、「第1のインク組成物」ともいう。)と、前記インク組成物中の顔料が凝集する際の凝集を促進する凝集促進剤を含む第2のインク組成物を有する態様も好ましい(第2の態様)。
フルカラー画像を形成するために、前記複数の異なる色のインク組成物は、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクとしてを用いることが好ましく、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクとして用いることが好ましい。また、イエロー、マゼンタ、シアン色調インク以外のレッド、グリーン、ブルー、白色インクやいわゆる印刷分野における特色インク等としてを用いることができる。
前記第2の態様のインクセットを用いて画像を形成する場合において、第1及び第2のインク組成物の被記録媒体への付与の方法は、特に限定されず、第1のインク組成物を被記録媒体へ付与した後、第2のインク組成物を付与しても、その逆であってもよい。
前記第2のインク組成物の構成成分としては、前述の本発明のインク組成物(第1のインク組成物)において、顔料を用いる代わりに、顔料の凝集促進剤を含有する。
前記酸として、無機酸、有機酸のいずれであってもよいが、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等の中から選ばれることが好ましい。これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
本発明のインク組成物の表面張力は、インクジェット記録方法に用いられた場合、吐出安定性の点で、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上40mN/m以下である。
本発明のインク組成物の20℃での粘度は、1.2mPa・s以上15.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2mPa・s以上13mPa・s未満、更に好ましくは2.5mPa・s以上10mPa・s未満である。
本発明の画像形成方法は、本発明の前記インク組成物又は前記インクセットを用いて、前記インク組成物を、被記録媒体上に、付与するインク付与工程を含むものである。
本発明のインク組成物及びインクセットは、一般の筆記具用、記録計用、ペンプロッター用等に使用することができるが、インクジェット記録方法に用いることが特に好ましい。
本発明に好ましいインクジェット記録方法として、インクジェット記録用インク(インク組成物)にエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。なお、本発明に好ましいインクジェット記録方法として特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105の記載が適用できる。
第一の工程:被記録媒体にインク組成物を付与する工程(インク付与工程)。
第二の工程:インク付与後に、加熱を行い定着する工程(加熱定着工程)。
を有する方法である。
また、画像形成方法は、その他の工程を加えることができ、その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて、乾燥除去工程等を適宜選択することができる。
前記加熱定着工程としては、前記インクジェット記録方法で用いられるインク中に含まれるラテックス粒子を溶融定着する以外は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる
前記乾燥除去工程としては、被記録媒体に付与されたインク組成物におけるインク溶媒を乾燥除去する以外は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明における被記録媒体としては特に制限は無く、例えば、普通紙、上質紙、塗工紙等を挙げることができる。
下記スキームに従って合成した。
得られた樹脂の組成は1H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)記載の方法により、このポリマーの酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
<合成例1>
水120gに、ラテムルASK((株)花王製、カルボン酸塩系乳化剤)19.8g、5mol/L水酸化ナトリウム水溶液6g、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.3gを加え、均一に溶解させた。70℃に加熱し、窒素気流下に、スチレン25.9gとブチルアクリレート26.3gとアクリル酸5.1gのモノマー混合物を2時間かけて添加した。その後、70℃で2時間、80℃で3時間加熱した。室温に冷却後、pHが9前後になるように、攪拌しながら1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加えて、ラテックスPL−01を得た。得られたラテックスの体積平均粒子径は115nmであった。またラテックス分散液の固形分は33質量%であった。
(顔料含有樹脂粒子の分散物)
ピグメントブルー15:3(大日精化株式会社製 フタロシアニンブル−A220) 10質量部と、表1に記載のP−1樹脂分散剤5質量部と、メチルエチルケトン42質量部と、1規定 NaOH水溶液 5.5質量部と、イオン交換水87.2質量部を混合し、ビーズミルで0.1mmΦジルコニアビーズを使い、2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%の顔料含有樹脂粒子の分散物を得た。
次に、得られた顔料含有樹脂粒子の分散物を使い、以下の組成でインク組成物を調製した。
(1)上記顔料含有樹脂粒子の分散物 30部
(2)ラテックスPL−01 18.2部
(3)ソルビトールにエチレンオキシ基が3モル付加された化合物
(SP値35.1) 5部
(4)DPGmBE(SP値20.5) 4部
(5)DEGmBE(SP値23.7) 8部
(6)グリセリン(SP値41.0) 15部
(7)チオジグリコール(SP値31.2) 2部
(8)1,5−ペンタンジオール(SP値29.0) 1部
(9)オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) 1部
(10)イオン交換水 総量が100部となるようにするための残量
<分散安定性>
上記で得られたインク組成物について、60℃の恒温槽中で14日間保存後の粒子径、粘度を測定し、下記の合否を判定した。結果は表1に示す。
(1)粒子径変化が10nm以内
(2)粘度変化が10%以内
−評価基準−
○・・・2項目とも合格の場合
△・・・1項目のみ合格の場合
×・・・2項目とも不合格の場合
ナノトラック粒度分布測定装置 UPA−EX150(日機装(株)製)を用い、動的光散乱法により得られた顔料分散物の体積平均粒径を測定した。測定条件:水性インク10μlに対しイオン交換水10ccを加え、測定用溶液を調整し、25℃で測定した。
VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、水性インクを25℃の条件下で測定した。
インク塗設量が5g/m2となる量でベタ印画後した後のインクジェット記録媒体を、カール方向に5×50mmに裁断し、温度25℃、湿度50%の条件下で24時間放置して、カール挙動(カール値)を確認した。評価結果は表1に示す。
○:曲率Cが20を超えない
×:曲率Cが20を超える
カール方向に5×50mmに裁断したサンプルをカール測定板にあててカール値(C)を読み取る。カールを半径Rの円の弧とみなして次のように表す。 C=1/R(m)
インクジェット記録装置を用いた印刷の際に、下記の合否を判定した。画像ムラは目視観察した。
(1)60分連続吐出試験後の吐出率が90%以上。
(2)1分間吐出後、30分休止した後の吐出率が90%以上。
(3)画像ムラが見られない。
○・・・3項目とも合格の場合
×・・・1項目でも不合格の場合
比較例1で調製したインク組成物において、(3)〜(8)の溶剤の代わりに、表1に記載の溶剤を用いた以外は、比較例1と同様にして、インク組成物を得て、評価を行った。
化合物1:AO、l+m+nが表1に記載で定義される構造式(1)で表される化合物
DPGmBE:ジプロピレングリコールモノブチルエーテル
DEGmBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
DPGmME:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
PGmBE:プロピレングリコールモノブチルエーテル
Claims (14)
- 前記構造式(1)の化合物のAOがプロピレンオキシであることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
- 前記構造式(1)の化合物の含有量が、前記(a)水溶性溶剤の50質量%以上を占めることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインク組成物。
- 前記(l+m+n)の値が3〜10の範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記水溶性溶剤の量が、インク組成物全質量の10〜30質量%であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記顔料が転相乳化法によりポリマー被覆された顔料であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載ののインク組成物。
- 前記転相乳化法で用いた分散剤が樹脂(A)であり、
前記樹脂(A)が疎水性構造単位(a)と親水性構造単位(b)とを有し、前記疎水性構造単位(a)は、前記樹脂(A)の主鎖を形成する原子と直接に結合していない芳香環を有する疎水性構造単位(a1)を40質量%以上と、アクリル酸またはメタクリル酸の、炭素数1〜4のアルキルエステルに由来する疎水性構造単位(a2)を15質量%以上含み、前記親水性構造単位(b)は、アクリル酸及び/またはメタクリル酸に由来する構造単位(b1)を有し、かつ親水性構造単位(b)が15質量%以下である請求項6に記載のインク組成物。 - ラテックスを含むことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインク組成物を含むことを特徴とするインクセット。
- 複数の異なる色のインク組成物を含むインクセットであり、前記全てのインク組成物が請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインク組成物からなることを特徴とする請求項9に記載のインクセット。
- 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインク組成物と、前記インク組成物中の顔料の凝集促進剤を含む第2のインク組成物を有することを特徴とする請求項9に記載のインクセット。
- 請求項11に記載の凝集促進剤が酸であることを特徴とするインクセット。
- 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインク組成物、又は、請求項9〜請求項12のいずれか1項に記載のインクセットを用いて、被記録媒体上に、前記インク組成物を付与するインク付与工程を含むことを特徴とする画像形成方法。
- インク付与後に加熱を行うことを特徴とする請求項13記載の画像形成方法。
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