JP2009170887A - 電磁波吸収体 - Google Patents

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Abstract

【課題】視認性に優れると共に厚みを薄くできて、広帯域の共振周波数を有する周波数選択型の電磁波吸収体を提供する。
【解決手段】透明基材2の片面に細線メッシュパターン3からなる反射層4が形成され、その上に透明な固体誘電体層6aが粘着剤層5aを介して積層され、その上には、透明基材8aの片面にFSS素子の細線パターン9aが形成されてなる周波数選択遮蔽層10aが粘着剤層7aを介して積層され、その上には透明な固体誘電体層6bが粘着剤層5bを介して積層され、その上には、透明基材8bの片面にFSS素子の細線パターン9bが形成されてなる周波数選択遮蔽層10bが粘着剤層7bを介して積層され、細線メッシュパターン3及び細線パターン9a,9bはいずれも線幅15〜80μmであり、細線パターン9a,9bの配列間隔が互いに略重なる位置に配設され、透視性を有する電磁波吸収体1。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波吸収体に関する。さらに詳細には、透視性に優れると共に厚みを薄くできて、広帯域の共振周波数を有する周波数選択型の電磁波吸収体に関する。
近年、各種の電子機器から発生する電磁波が人体に悪影響を与えたり、周囲の電子機器を誤動作させることが問題とされるようになり、さらには、無線LANの普及により通信データが建物の外部に漏洩して傍受されるのを防止する必要が生じている。
このため、所定の周波数の電磁波のみを選択的に遮蔽するという、周波数選択型の電磁波シールド対策がますます重要視されつつある。
具体的には、企業における業務上の無線LANによる通信データが建物の外部に、あるいは複数の企業が混在する複合ビルにあっては間仕切り壁の外部に、不必要に漏洩するのを防止するため、周波数2.4GHz帯、5.2GHz帯、あるいは周波数帯域3〜9GHzを利用するUWB(Ultra Wideband)などの、無線LANに使用される電磁波が透過漏洩するのを遮蔽する必要がある。
また、アルミ製などの金属製の間仕切り壁(パーテーション)やスチール製書棚などにより重複して反射された無線LANの電磁波が混信の原因となり通信速度が低下するという問題を引き起こしている。このため、単に無線LANに使用されている電磁波が外部へ漏洩するのを防止するだけでなく、電磁波の混信を防ぐためには、電磁波の反射を抑えることによって吸収遮蔽することが必要とされている。
また、波長30〜300GHzのミリ波帯域における電磁波の利用が検討されており、例えば、60〜80GHzの波長を用いた自動車の車間レーダや車間通信などの高度道路交通システム(ITS)では、特定波長の電磁波が反射するのを抑えて誤動作を防止することが課題となっている。
また、電磁波を発生する電子機器内部の素子やプリント基板から放射される不要電磁波が干渉や共振を起して、電子機器の誤操作や性能低下を誘発することを防ぐために、不要電磁波の低減対策が求められている。
このため、特定した複数の周波数帯域や広帯域の電磁波を選択的に吸収遮蔽し、反射を抑える周波数選択型の電磁波吸収体が求められている。
本発明は、このような無線LANシステム、高度道路交通システム(ITS)、さらには電子機器の筐体などにおいて利用できる、電磁波吸収体に関するものである。
従来、特定周波数の電磁波のみを選択的に吸収遮蔽する機能を持たせた、周波数選択型の電磁波吸収体としては、次のようなものが知られている。
(1)電磁波反射体からλ/4(λは吸収しようとする電磁波の波長)の距離に、誘電体を介して抵抗膜を設けた、いわゆるλ/4型の電磁波吸収体(特許文献1)。
(2)電磁波反射体から普通にはλ/4の距離に、誘電体を介してFSS素子(FSS:Frequency Selective Surface)からなる周波数選択性の遮蔽層を設けた、FSS素子を用いた電磁波吸収体(特許文献2〜5)。
特許文献1には、抵抗被膜塗料(抵抗膜)と、スペーサ(誘電体)と、反射体とからなる電磁波吸収体が開示されている。従来からのITO(酸化インジウム錫)を使用した抵抗膜では、ITOの酸化度合いに応じて抵抗値が異なり、電磁波吸収性能にバラツキが生じて歩留まりが低い。このためカーボン抵抗塗料を用いて抵抗膜を形成し、スペーサに樹脂、反射体にアルミ箔を用いた電磁波吸収体が示されている。
特許文献2には、抵抗膜と、FSS素子の一種であるパッチ及びスロットを用いた周波数選択板(周波数選択の遮蔽層)と、短絡面(反射層)と、誘電体とからなるλ/4型の電磁波吸収体の変形型が開示されている。
抵抗膜と周波数選択板との間隔、周波数選択板と反射層との間隔を調整することで、2つの周波数帯域での電磁波吸収が可能であることが示されている。また、周波数選択板が多層であっても良いとの記載がある。
特許文献3には、1層及び多層の、平面状に配設された複数の導電単位素子の集合である反射体層(周波数選択の遮蔽層)と、誘電体層と、金属等導電体層(反射層)とからなる電磁波吸収体が開示されている。導電単位素子もアルミ箔や銅線のような材料で実現できるので安価な電磁波吸収体が提供できるとしている。
特許文献4には、1層及び多層の導電性ループパターン層(周波数選択の遮蔽層)と、絶縁性中間層(誘電体)と、電磁波反射層とからなるFSS素子を用いた電磁波吸収体が開示されている。導電性ループが吸収する電磁波の波長の50%以下を下回る外周長さを有することを特徴としている。
特許文献5には、多層の、図形単位を複数個配列した模様に形成されたパターン塗膜層(周波数選択の遮蔽層)と、ファイライト、カーボンおよび導電性金属酸化物から選ばれた少なくとも1種の高誘電材を含有する樹脂層と、金属製電波反射体とからなるFSS素子を用いた電磁波吸収体が開示されている。
特開2001−196782号公報 特開2002−314284号公報 特開2006−128312号公報 特開平10−224075号公報 特開平6−152178号公報
従来技術による、上記(1)の、電磁波反射体からλ/4の距離に誘電体を介して抵抗膜を設けたλ/4型の電磁波吸収体、及び上記(2)の、電磁波反射体からλ/4の距離に誘電体を介してFSS素子からなる周波数選択性の遮蔽層を設けた、FSS素子を用いた電磁波吸収体においては、通常、FSS素子の共振周波数(吸収周波数)に対する吸収レベルの半値幅が狭く、結果として吸収周波数帯域のピークが鋭くて設計許容誤差が非常に狭くなっている。従って、製造した電磁波吸収体において、実際のFSS素子の寸法、誘電体の厚み、誘電体の比誘電率が、設計値から少しでもずれると電磁波吸収の性能が著しく低下するという問題があった。
特に、波長の短いミリ波帯域では、共振周波数の帯域幅が狭いと、FSS素子のパターン寸法、誘電体層の厚みなどを高精度に製造する必要があり、製造コストが上昇するという問題があった。
また、従来技術として、特許文献3〜5のように表面にFSS素子を形成した周波数選択性の遮蔽層を所定間隔で離して複数個数を設けることは知られているが、本発明のように、透視性に優れると共に厚みを薄くできて、広帯域の共振周波数を有する周波数選択型の電磁波吸収体とするため、透視性を有するように形成された多層の周波数選択性の遮蔽層と、透視性を有する誘電体と、金属薄膜層の細線メッシュパターンからなる透視性を有する反射層とを積層し、配設されたFSS素子の細線パターンが略重なるように所定の間隔で積層されたものは知られていない。
例えば、特許文献5に記載の電磁波吸収体においては、反射層に金属箔を用いていることから、透視性を有していない。又、一般的に、FSS素子のパターン線幅が約100μmを超えると、人間の目視でFSS素子の図形パターンが確認できる。ところが、特許文献5に記載のFSS素子のパターンは、線幅が100〜500μmであり、視る者に対して心理的な不快感を与えてしまうことから、仮に反射層として透視性を有する反射層に替えたとしても、室内用には透視性を有する電磁波吸収体として用いることができない。
また、電磁波反射層の形成方法としては、(イ)金属箔を用いて反射層を形成する金属箔法(特許文献3、5)、(ロ)カーボン入りの導電ゴムを用いた導電性粒子法(特許文献3)、(ハ)金網よる方法(特許文献2)、(ニ)金属の蒸着膜による蒸着法(特許文献2、4)などが開示されているが、本発明のように、透明基材の片面に導電性の金属薄膜層の細線メッシュパターンが形成されたメッシュパターンではない。
また、FSS素子を用いた電磁波吸収体の共振周波数に影響を及ぼす、FSS素子の細線パターンの図形形状、線幅、寸法(開放図形の場合には図形の長さを波長λの1/2とし、環状図形の場合には図形の全周長さを波長λと等しくする)、パターン間隔を試行錯誤にて設定するため、最終的に細線パターンの図形形状、配列を決定するまでに多くの煩雑な作業を必要としていた。
特に複数の共振周波数に対して遮蔽できるようにするためには、複数種類のFSS素子を配列させる必要があり、各FSS素子の図形配列の調整が複雑になるという問題があった。
上記のような問題を解決するためには、周波数選択型のFSS素子を用いた電磁波吸収体において、FSS素子パターンの形状寸法、配列間隔、誘電体の厚みなどにある程度の製作許容誤差を有しており、高い寸法精度で製造しなくても所定の共振周波数での電磁波吸収性能が得られようにして、視る者に対して心理的な不快感を与えないように視認性に優れると共に、厚みを薄くできて、広帯域の共振周波数を有する電磁波吸収体が求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、視認性に優れると共に厚みを薄くできて、広帯域の共振周波数を有する周波数選択型の電磁波吸収体を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、透明基材の片面に導電性薄膜の細線メッシュパターンからなる反射層が形成され、前記反射層の上には透明な第1の固体誘電体層が粘着剤層を介して積層され、前記第1の固体誘電体層の上には、透明基材の片面に導電性薄膜のFSS素子の細線パターンが形成されてなる第1の周波数選択遮蔽層が粘着剤層を介して積層され、前記第1の周波数選択遮蔽層の上には透明な第2の固体誘電体層が粘着剤層を介して積層され、前記第2の固体誘電体層の上には、透明基材の片面に導電性薄膜のFSS素子の細線パターンが形成されてなる第2の周波数選択遮蔽層が粘着剤層を介して積層されてなり、前記細線メッシュパターン及びFSS素子の細線パターンの線幅が、いずれも15〜80μmであり、第1及び第2の周波数選択遮蔽層の平面に対して垂直な方向から視て第1及び第2の周波数選択遮蔽層を成す細線パターンの配列間隔が互いに略重なる位置に配設されてなり、透視性を有することを特徴とする電磁波吸収体を提供する。
また、本発明は、金属板などの電磁波反射性能を有する物体の上に積層して用いられる電磁波吸収体であって、透明な第1の固体誘電体層の上には、透明基材の片面に導電性薄膜のFSS素子の細線パターンが形成されてなる第1の周波数選択遮蔽層が粘着剤層を介して積層され、前記第1の周波数選択遮蔽層の上には透明な第2の固体誘電体層が粘着剤層を介して積層され、前記第2の固体誘電体層の上には、透明基材の片面に導電性薄膜のFSS素子の細線パターンが形成されてなる第2の周波数選択遮蔽層が粘着剤層を介して積層されてなり、前記FSS素子の細線パターンの線幅が、15〜80μmであり、第1及び第2の周波数選択遮蔽層の平面に対して垂直な方向から視て第1及び第2の周波数選択遮蔽層を成す細線パターンの配列間隔が互いに略重なる位置に配設されてなり、透視性を有することを特徴とする電磁波吸収体を提供する。
本発明の電磁波吸収体においては、さらに、前記第1の周波数選択遮蔽層と第2の固体誘電体層との間には、透明な固体誘電体層と透明基材の片面に導電性薄膜のFSS素子の細線パターンが形成されてなる周波数選択遮蔽層とがこの順に粘着剤層を介して積層された積層体が1つ以上、配設されてなり、第1及び第2の周波数選択遮蔽層の平面に対して垂直な方向から視て前記積層体中の周波数選択遮蔽層を成す細線パターンのすべてが、第1及び第2の周波数選択遮蔽層を成す細線パターンの配列間隔と略重なる位置に配設されてなり、透視性を有することが好ましい。
前記第2の周波数選択遮蔽層の上に、さらに固体誘電体層が粘着剤層を介して積層されていることが好ましい。
前記細線メッシュパターン及びFSS素子の細線パターンは、写真製法により生成された現像銀層からなる金属層、導電性ペーストを印刷することにより生成された導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、のいずれかであることが好ましい。
前記細線メッシュパターン及びFSS素子の細線パターンは、写真製法により生成された現像銀層からなる金属層、導電性ペーストを印刷することにより生成された導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、のいずれかの導電性薄膜の上にメッキ層を積層した積層体であることが好ましい。
前記FSS素子の細線パターンの図形形状が開放図形の場合には、図形の両端間の長さを波長λの1/2とし、環状図形の場合には、図形の全周長さを波長λに等しくすることが好ましい。
前記細線メッシュパターン及びFSS素子の細線パターンの厚みが0.05〜15μmであることが好ましい。
前記反射層と第1の周波数選択遮蔽層との距離および各周波数選択遮蔽層間の距離が、それぞれ略λ/60〜λ/5(但し、λは誘電体層における電磁波の遮蔽しようとする所定周波数での波長を表す。)であることが好ましい。
前記細線パターンは、1つ又は複数の共振周波数に対して吸収遮蔽できるように、1種類又は複数種類の形状からなるFSS素子が配列されてなることが好ましい。
反射防止層、防眩層、ハードコート層、帯電防止層、赤外線反射層、紫外線吸収層、剥離粘着層からなる機能層群の中から選択された1つ以上の機能層を有することが好ましい。
本発明の電磁波吸収体によれば、共振周波数が広帯域化しているので、FSS素子パターンの形状寸法、配列間隔、誘電体の厚みなどにある程度の製作許容誤差を有しており、高い寸法精度で製造しなくても所定の共振周波数での電磁波吸収性能が得ることができる。逆に捉えると、許容される共振周波数帯域の上限側に吸収しようとする電磁波の周波数が来るように、透明な固体誘電体、ひいては電磁波吸収体の厚みを薄くして調整することができる。すなわち、厚みの薄い電磁波吸収体を得ることができる。
また、本発明の電磁波吸収体によれば、導電性薄膜もしくは導電性薄膜とその上に積層したメッキ層からなる、細線メッシュパターン及びFSS素子の細線パターンの線幅が、いずれも15〜80μmであり、かつ厚みが0.05〜15μmであり、視認性(目視されないこと)に優れ、視る者に対して心理的な不快感を与えることを防ぐことができる。
以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明に係る電磁波吸収体の概略構成例を示す部分拡大断面図である。図2は、本発明に係る電磁波吸収体の別の概略構成例を示す部分拡大断面図である。図3は、本発明に係る電磁波吸収体の別の概略構成例を示す部分拡大断面図である。図4(a)は、従来技術における共振周波数Pにおける減衰量αでの帯域幅wを示す概念図であり、図4(b)は、本発明における共振周波数Pにおける減衰量αでの帯域幅wを示す概念図である。
図5(a)は、本発明に係る細線メッシュパターンからなる反射層の部分平面図であり、図5(b)は、図5(a)におけるA−A矢視による部分断面図であり、図5(c)は、図5(b)におけるB部の拡大図の例を示す部分断面図であり、図5(d)は、図5(b)におけるB部の拡大図の別の例を示す部分断面図である。
図6(a)は、本発明に係るFSS素子の細線パターンからなる周波数選択遮蔽層の一例を示す部分平面図であり、図6(b)は、図6(a)におけるC−C矢視による部分断面図であり、図6(c)は、図6(b)におけるD部の拡大図の例を示す部分断面図であり、図6(d)は、図6(b)におけるD部の拡大図の別の例を示す部分断面図である。
図7(a)〜(k)は、それぞれFSS素子のパターンの例を示す部分拡大平面図である。
図4は、本発明の周波数選択遮蔽層の効果を概念的に示す図であって、図4(a)は、従来技術によるFSS素子からなる細線パターンを使用した周波数選択遮蔽層が1層の場合の共振周波数Pにおける減衰量αでの許容周波数の帯域幅wを示している。図4(b)は、本発明によるFSS素子からなる細線パターンを使用した周波数選択遮蔽層が一定の間隔をおいて重なる2層の場合の共振周波数Pにおける減衰量αでの許容周波数の帯域幅wを示している。
図4(a)と図4(b)とを比較すると、従来技術による減衰量αでの許容帯域幅wに比べて、本発明による減衰量αでの許容周波数の帯域幅wの方が広帯域である。従って、本発明による電磁波吸収体によれば、製作された電磁波吸収体における最大の共振周波数が目標とした共振周波数から少しずれていても一定の減衰量αが維持できる。
通常、電磁波吸収体の共振周波数(吸収波長)に対する減衰量の半値幅が狭く、結果として吸収周波数帯域のピークが鋭くて設計許容誤差が非常に狭くなっている。従って、製造した電磁波吸収体において、実際のFSS素子の寸法、誘電体の厚み、誘電体の比誘電率が、設計値から少しでもずれると電磁波吸収体の性能が著しく低下するという問題があった。
また、電磁波吸収体において複数の周波数帯域に対して吸収できるようにするために、複数種類のFSS素子を配列する場合には、各FSS素子の図形配列の調整が複雑になるという問題があった。
しかし、本発明の電磁波吸収体によれば、共振周波数が広帯域化しているので、FSS素子の図形配列の調整をより簡便化することができる。又、FSS素子パターンの形状寸法、配列間隔、誘電体の厚みなどにある程度の設計許容誤差を有しており、高い寸法精度で製造しなくても所定の共振周波数での電磁波吸収性能が得ることができる。
図1に示す電磁波吸収体1は、透明基材2の片面に導電性薄膜の細線メッシュパターン3からなる反射層4が形成され、この反射層4の上には透明な第1の固体誘電体層6aが粘着剤層5aを介して積層され、第1の固体誘電体層6aの上には、透明基材8aの片面に導電性薄膜のFSS素子の細線パターン9aが形成されてなる第1の周波数選択遮蔽層10aが粘着剤層7aを介して積層され、第1の周波数選択遮蔽層10aの上には透明な第2の固体誘電体層6bが粘着剤層5bを介して積層され、第2の固体誘電体層6bの上には、透明基材8bの片面に導電性薄膜のFSS素子の細線パターン9bが形成されてなる第2の周波数選択遮蔽層10bが粘着剤層7bを介して積層されてなる。細線メッシュパターン3及びFSS素子の細線パターン9a,9bの線幅が、いずれも15〜80μmであり、第1及び第2の周波数選択遮蔽層10a,10bの平面に対して垂直な方向から視て第1及び第2の周波数選択遮蔽層10a,10bを成す細線パターン9a,9bの配列間隔が互いに略重なる位置に配設されてなる。また、電磁波吸収体1は、全体として透視性を有する。
図1に示す電磁波吸収体1においては、透明基材2の片面に導電性薄膜の細線メッシュパターン3からなる反射層4が形成されており、到達した電磁波の全てを反射させる機能を持っている。
粘着剤層5a,7a及び透明基材8aの厚みは各々5〜50μm程度であり、第1の固体誘電体層6aの厚みに比べて無視できるので、反射層4と第1の周波数選択遮蔽層10aとの距離Lは、第1の固体誘電体層6aにて保持されている。
同様に、粘着剤層5b,7b及び透明基材8bの厚みは各々5〜50μm程度であり、第2の固体誘電体層6bの厚みに比べて無視できるので、第1の周波数選択遮蔽層10aと第2の周波数選択遮蔽層10bとの距離Lは、第2の固体誘電体層6bにて保持されている。
また、第1及び第2の周波数選択遮蔽層10a,10bの平面に対して垂直な方向から視て第1及び第2の周波数選択遮蔽層10a,10bを成す細線パターン9a,9bの配列間隔が互いに略重なる位置に配設されていて、共振周波数の帯域幅を広げる機能を有している。
また、第2の周波数選択遮蔽層10bの上には、反射防止層、防眩層、ハードコート層、帯電防止層、赤外線反射層、紫外線吸収層、剥離粘着層からなる機能層群の中から選択された1つ以上の機能層12が粘着剤層11を介して積層されている。
図1において、白抜き矢印で示すように、左方向から電磁波が入射するとして、周波数選択遮蔽層10a,10bのFSS素子からなる細線パターン9a,9bによって共振するように設定されている所定周波数の電磁波は、共振してエネルギーの一部を熱として消耗させ、共振周波数の電磁波を減衰させるが、共振周波数の電磁波の一部は、電磁波の入射側及びその反対側に再放出されて、見かけ上は細線パターンから入射側にわずかな部分は反射し、わずかな部分は透過したような現象を示す。また、共振現象を起さなかった他の周波数の電磁波は右方向に透過した後、導電性薄膜の細線メッシュパターン3からなる反射層4で反射され、再度、周波数選択遮蔽層10a,10bをそのまま通過して電磁波の入射側に戻される。
すなわち、第2の周波数選択遮蔽層10bの細線パターン9bで遮蔽されないで透過した所定周波数の電磁波の一部は、第1の周波数選択遮蔽層10aの細線パターン9aで再度、遮蔽される。さらに、第1の周波数選択遮蔽層10aの細線パターン9aで遮蔽されないで透過した所定周波数の電磁波の一部は、導電性薄膜の細線メッシュパターン3からなる反射層4で反射され、再度、周波数選択遮蔽層10a,10bで遮蔽される。
図1に示す本発明の実施形態を具体的に利用する方法としては、必要なサイズに裁断して、窓ガラスの代わりに窓枠に嵌め込んで使用しても良い。また、そのまま、必要なサイズに裁断して、室内の透明な間仕切り壁(パーテーション)の一部としても良い。
また、図1に示す電磁波吸収体1の電磁波の入射側から反対側の端に位置する、透明基材2の上に剥離性を有する剥離フィルム(図示せず)を粘着剤により貼り付けた製品とし、使用段階で、剥離フィルムを剥がして、例えば、アルミ製などの金属製の間仕切り壁(パーテーション)やスチール製書棚などの、無線LANの電磁波を反射する物体に粘着剤を用いて貼り付けることもできる。
同様に、高度道路交通システム(ITS)の誤動作を防止するため、金属製の道路標識や案内板に、図1に示す本発明の電磁波吸収体から、透明基材2と導電性薄膜の細線メッシュパターン3からなる反射層4を取り除いた電磁波吸収体をビス止メで固定して使用することもできる。
すなわち、この電磁波吸収体の構成は、透明な第1の固体誘電体層6aの上には、透明基材8aの片面に導電性薄膜のFSS素子の細線パターン9aが形成されてなる第1の周波数選択遮蔽層10aが粘着剤層7aを介して積層され、第1の周波数選択遮蔽層10aの上には透明な第2の固体誘電体層6bが粘着剤層5bを介して積層され、第2の固体誘電体層6bの上には、透明基材8bの片面に導電性薄膜のFSS素子の細線パターン9bが形成されてなる第2の周波数選択遮蔽層10bが粘着剤層7bを介して積層されてなり、FSS素子の細線パターン9a,9bの線幅が、15〜80μmであり、第1及び第2の周波数選択遮蔽層10a,10bの平面に対して垂直な方向から視て第1及び第2の周波数選択遮蔽層10a,10bを成す細線パターン9a,9bの配列間隔が互いに略重なる位置に配設されてなり、電磁波吸収体が全体として透視性を有するものであって、金属板などの電磁波反射性能を有する物体の上に積層して用いられる。ここで、第1の固体誘電体層6aの裏面に粘着剤層5aが積層され、金属板などの上に粘着剤層5aを介して貼着されるものでも良い。また、第2の周波数選択遮蔽層10bの上には、上述の機能層12が粘着剤層11を介して積層されたものでも良い。
さらには、本発明の電磁波吸収体を必要なサイズに裁断し、不要電磁波の低減対策が求められている電子回路部品の内部や、電子機器の筐体の内部に挿入して用いることもできる。
なお、透明基材8a,8bの細線パターン9a,9bが配設されていない方の表面には、特定の商号、商標、型番などのロゴマーク及び/又は位置合わせマークであって、2つの細線パターンの重なる位置を調整するのに利用できる、図形、文字、記号、符号などの群から選択された1種類以上が、目視可能な大きさによって、縦及び横方向にそれぞれ一定の間隔で配設しても良い。これらのロゴマーク及び/又は位置合わせマークを利用することによって、2つの細線パターン9a,9bを配列間隔が略重なる位置に調整して配設することが容易となる。
2つの細線パターン9a,9bの重なる位置を調整するのに利用できる、図形、文字、記号、符号などの図形類を配設するには、インキや塗料などを、公知の印刷方法、インクジェットプリンタを用いて印刷したり、レーザプリンタなどを用いて刻印してもよい。また、透明な樹脂フィルムの表面にこのような図形類を印刷した小片を、透明基材8a,8bの片面の縦及び横方向にそれぞれ一定の間隔で粘着剤を用いて貼り付けてもよい。
ところで、従来技術では1つの周波数選択遮蔽層に形成された細線パターンのみにより、1つの所定周波数の電磁波を吸収させている。
本発明では、図1に示すように2つの周波数選択遮蔽層10a,10bに形成された細線パターン9a,9bが、透明な固体誘電体層6bの厚みを隔てて略重なるように配置して所定周波数の電磁波を遮蔽している。従来技術に比べて、本発明による方が、共振周波数の設定値における減衰量の半値幅が広くてピークが鈍くなる。即ち、広帯域の共振周波数を有するので、共振周波数に影響を及ぼすFSS素子パターンの線幅、パターン寸法の許容誤差の範囲が広くなるので、パターン形状、配列間隔を決定し易くなる。
図2に示す本発明の別の実施形態は、図1に示した本発明の実施形態において、さらに周波数選択遮蔽層を1層増やし、周波数選択遮蔽層が3層の構造としたものである。すなわち、この電磁波吸収体1Aは、第1の周波数選択遮蔽層10aと第2の固体誘電体層6bとの間には、透明な固体誘電体層6cと透明基材8cの片面に導電性薄膜のFSS素子の細線パターン9cが形成されてなる周波数選択遮蔽層10cとがこの順に粘着剤層7cを介して積層された積層体13が1つ配設されてなり、第1及び第2の周波数選択遮蔽層10a,10bの平面に対して垂直な方向から視て前記積層体13中の周波数選択遮蔽層10cを成す細線パターン9cのすべてが、第1及び第2の周波数選択遮蔽層10a,10bを成す細線パターン9a,9bの配列間隔と略重なる位置に配設されてなり、電磁波吸収体1Aが透視性を有するものである。
具体的には、第3の固体誘電体層6cは第1の周波数選択遮蔽層10aの上に粘着剤層5cを介して積層され、第3の固体誘電体層6cの上には、第3の周波数選択遮蔽層10cが粘着剤層7cを介して積層され、第2の固体誘電体層6bは第3の周波数選択遮蔽層10cの上に粘着剤層5bを介して積層されている。
なお、本発明においては、第1の周波数選択遮蔽層10aと第2の固体誘電体層6bとの間に積層体13を2つ以上配設することで、周波数選択遮蔽層が4層以上の構造とすることができる。
例えば、室内の窓ガラスに、図2に示すような本発明に基づいた電磁波吸収体1Aを、意匠性を損なわないように貼り合せることを想定する。この場合、電磁波の入射側となる最表面は、ハードコート層12aとし、電波吸収体の表面を保護するような機能をもたせるのが好ましい。
また、電磁波の入射側から反対側の最表面には、剥離性を有する剥離フィルム17により保護された粘着剤層16が設けられていることにより、電磁波吸収体1Aの電磁波入射側と反対側の最表面に取り付けてある剥離フィルム17を剥がして粘着剤層16を剥き出し、窓ガラスに貼り付けることができる。
また、剥離フィルム17と反射層4の間には、必要に応じて、赤外線反射層、紫外線吸収層などの機能層15を1種または2種以上、設けても良い。赤外線反射層を設けることで外光に含まれる赤外線が室内に侵入するのを防止し、室温の上昇を低減することが可能となる。また、電磁波の入射側が室内側であるときに、屋外側となる反対側(図2の右側)に紫外線吸収層を設けることで、外光を通して照射される紫外線量を減らして、電磁波吸収体を構成する透明基材2,8a,8b,8cなどの樹脂が経年劣化するのを抑えることができる。反射層4の透明基材2に対して機能層15を貼着するため、この間に粘着剤層14を介しても良い。
図3に示す本発明の別の実施形態は、図1に示した本発明の実施形態において、さらに第2の周波数選択遮蔽層10bの上に透明な固体誘電体層6dが粘着剤層5dを介して積層することで、電磁波の入射側に、透明な固体誘電体層6dを1層増やし、固体誘電体層6a,6b,6dが3層の構造としたものである。
例えば、電子機器を収納した筐体内に、図3に示すような本発明に基づいた電磁波吸収体を貼り合せることを想定する。
電磁波の入射側となる最表面は、透明な固体誘電体層6dを配設し、第2の周波数選択遮蔽層10bに到達する電磁波の波長を、空気中の波長から固体誘電体層6d中での波長(空気中に比べて短波長)に変換させることにより、FSS素子の細線パターンの寸法を小さく設定することができる。このことにより、本発明の電磁波吸収体の製作寸法を小型化でき、設置スペースの限定される狭い筐体内への収納を容易にすることができる。
また、電磁波の入射側から反対側の最表面には、剥離性を有する剥離フィルム17により保護された粘着剤層16が設けられていることにより、電磁波吸収体1Bの電磁波入射側と反対側の最表面に取り付けてある剥離フィルム17を剥がして粘着剤層16を剥き出し、電子機器を収納した筐体内に貼り付けることができる。
図1〜3に示す、細線メッシュパターン3及びFSS素子の細線パターン9a,9b,9cは、透明基材2,8a,8b,8cの表面に、金属粒子、カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上を含有する導電性ペーストを印刷して形成した導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、のいずれかを形成して用いることができる。または写真製法により生成された現像銀層から生成する方法を用いて形成することができる。
さらに、図1〜3に示す、細線メッシュパターン3及びFSS素子の細線パターン9a,9b,9cは、必要に応じて、透明基材2,8a,8b,8cの表面に、金属粒子、カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上を含有する導電性ペーストを印刷して形成した導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、のいずれかを形成し、その上にメッキ層を積層して用いることができる。または写真製法により生成された現像銀層の上にメッキ層を積層する方法を用いて形成することができる。
(透明基材)
本発明に使用される誘電体からなる透明基材は、可視領域で透明性を有し、一般に全光線透過率が90%以上のものが好ましい。具体的には、透明ガラス、樹脂シート、樹脂フィルムなどを用いることができる。中でも、フレキシブル性を有する樹脂フィルムは、取扱い性に優れることから透明基材の材質として好ましい。透明基材に使用される樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等からなる厚さ50〜300μmの単層フィルム又は前記樹脂からなる複数層の複合フィルムが挙げられる。
(透明な固体誘電体層)
反射層4と周波数選択遮蔽層10aとの間または2つの周波数選択遮蔽層10a,10b,10cの間に配設される透明な固体誘電体層6a,6b,6cは、反射層4と周波数選択遮蔽層10aとの距離L、及び2つの周波数選択遮蔽層10a,10b,10cの間の距離L及びLを保持するために積層するものであって、上記に示された透明基材に使用される材料の中から選択して用いることができる。中でも透明ガラス、樹脂シート、樹脂フィルムの単層あるいは積層体を使用して必要とされる厚みとするのが好ましい。
図3に示すように、電磁波の入射側となる最表面に配設される透明な固体誘電体層6dは、周波数選択遮蔽層に到達する電磁波の波長を、空気中の波長から固体誘電体層中での波長(空気中に比べて短波長)に変換させるために積層するものであって、上記に示された透明基材に使用される材料の中から選択して用いることができる。
(FSS素子)
透明基材8a,8b,8cの一方の面には、所定周波数の電磁波を遮蔽するための周波数選択遮蔽層のFSS素子からなる細線パターン9a,9b,9cが、一定間隔で規則的に2次元的に配列されている。
一般に、所定周波数の電磁波吸収用のFSS素子からなる細線パターンは、所定周波数の電磁波に共振してエネルギーの一部を熱として消耗させ、共振周波数の電磁波を減衰させるが、共振周波数の電磁波の一部は、電磁波の入射側及びその反対側に再放出されて、見かけ上は細線パターンから入射側にわずかな部分は反射し、わずかな部分は透過したような現象を示す。
図1〜3において、電磁波が左方向から入射するものとすると、周波数選択遮蔽層のFSS素子からなる細線パターン9a,9b,9cは、基本的には共振する周波数の電磁波を遮蔽するものであって、共振周波数以外の電磁波は遮蔽されないで右方向に透過してしまう。
また、第2の周波数選択遮蔽層10bの透明基材8bの上には、所定周波数の電磁波を遮蔽するための細線パターン9bが一定間隔で規則的に2次元的に配列されている。第2の周波数選択遮蔽層10bの細線パターン9bと同様に、第1の周波数選択遮蔽層10aの細線パターン9aも、所定周波数の電磁波に共振してエネルギーの一部を熱として消耗させ、共振周波数の電磁波を減衰させる素子であるが、共振した所定周波数の電磁波の一部は、電磁波の入射側及びその反対側に再放出されて、見かけ上は細線パターン9aを反射し、わずかな部分は透過したような現象を示す。
また、細線パターン9a,9bは、基本的には共振する周波数の電磁波を遮蔽するものであって、共振周波数以外の電磁波は遮蔽されないで透過してしまう。
第1の周波数選択遮蔽層10aの細線パターン9bを透過した、所定周波数の電磁波は、反射層4により反射され位相を180度変えて、電磁波の入射側に戻る。
図1に示す本発明の透明電波吸収体のように、透明な固体誘電体層6bを挟んで、2つの周波数選択遮蔽層10a,10bを配設し、その周波数選択遮蔽層10a,10bの表面に配設されたFSS素子の細線パターン9a,9bが略重なるようにして透明基材8a,8bを一定間隔Lで配置すると、電磁波の吸収性能が高まる。さらに、理由は明確ではないが共振周波数が広帯域化する現象が見られた。
この現象を利用すると、実際に製造したFSS素子パターンの形状寸法、配列間隔、固体誘電体層の厚みなどにある程度の製作誤差が有っても、所定の共振周波数での電磁波吸収効果を得ることができる。
図1において、透明な固体誘電体層が1層の合成樹脂板からなるものとすると、誘電体である合成樹脂板の固有な誘電率から、固体誘電体層における吸収しようと意図する電磁波の周波数における波長λは、次の数式(1)で求められるように、空気中での波長に比べて短縮されることが知られている。
λ=λ(a)/√ε ・・・・・・ (1)
ここで、λ:固体誘電体層での波長[mm]であり、λ(a):空気中での波長[mm]であり、ε:固体誘電体の比誘電率[−]である。
このため、比誘電率の高い固体誘電体層とする程、固体誘電体層における吸収しようと意図する電磁波の周波数における波長λが短くなり、ひいては固体誘電体層の厚みを薄くすることができる。例えば、透明な合成樹脂として一般的なアクリル樹脂を誘電体として用いる場合では、アクリル樹脂の比誘電率が4.0であることから、固体誘電体層での波長λは空気中の波長λ(a)の1/2となる。
すなわち、固体誘電体層としてアクリル樹脂を用いた場合では、一般的には空気層を介してFSS素子の配線パターンを隔離する場合に比べて、誘電体層の厚みを1/2に薄くすることができる。
また、本発明の電磁波吸収体によると、許容される共振周波数帯域の上限側に遮蔽しようとする周波数が来るように、透明な固体誘電体層の厚みを薄くして調整することができる。すなわち、本発明では、上記の固体誘電体層の比誘電率の効果による厚みの低減に加えて、さらに、共振周波数が広帯域化することを利用して、固体誘電体層の厚みを薄くすることができ、ひいては電磁波シールド積層体の厚みを薄くすることができる。
本発明では、固体誘電体層の厚みは、略λ/60〜λ/5(但し、λは固体誘電体層における電磁波の遮蔽しようとする所定周波数での波長を表す。)とすることができる。固体誘電体層の厚みは、略λ/60よりも薄いと共振周波数が広帯域化する効果が少なく、また、略λ/5よりも厚いと重量が重くなり設置作業時の取扱いに不便を生じるという不都合がある。
なお、FSS素子パターンの図形寸法としては、固体誘電体層における選択遮蔽しようとする周波数での波長をλとすると、FSS素子の細線パターンの図形形状が開放図形の場合には、図形の両端間の長さを波長λの1/2とし、環状図形の場合には、図形の全周長さを波長λに等しくなるようにする。
ところで、本発明の周波数選択遮蔽型の電磁波吸収体の場合、透過性の観点からFSS素子からなる細線パターンが用いられる。細線パターンに用いるFSS素子の形状、寸法、配列間隔などは、遮蔽対象の周波数に応じて最適な値にされる。
また、図1〜3に示す細線パターン9a,9b,9cは、導電性薄膜からなる細線パターンであり、透明基材8a,8b,8cの一方の面に対して垂直な方向から視て、各電磁波選択遮蔽層の細線パターン9a,9b,9cは、配列間隔が略重なる位置に配設されている。
このため、従来技術によるFSS素子からなる細線パターンを使用した周波数選択遮蔽層が1層の場合に比べて、本発明によるFSS素子からなる細線パターンを使用した周波数選択遮蔽層が一定の間隔をおいて重なる2層または3層以上の場合の方が、共振周波数の設定値に遮蔽レベルの半値幅が広くてピークが鈍くなり、即ち、広帯域の共振周波数を有するので、共振周波数に影響を及ぼす、FSS素子パターンの線幅、パターン寸法の許容誤差の範囲が広くなるので、パターン形状、配列間隔を決定し易くなる。
本発明の周波数選択遮蔽型の電磁波吸収体におけるFSS素子からなる細線パターンの導電性薄膜は、金属粒子、カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上を含有する導電性ペーストを印刷して形成した導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、のいずれかであることが好ましい。または写真製法により生成された現像銀層から生成する金属層であるのが好ましい。
特に減衰量を高めた電磁波吸収を行う場合には、FSS素子の細線パターンの導電性薄膜の導電性を一層高めるため、金属粒子、カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上を含有する導電性ペーストを印刷して形成した導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、のいずれかにより目的とするFSS素子からなる細線パターンを形成しその上に金属メッキ層を形成するのが好ましい。または写真製法により目的とするFSS素子からなる細線パターンの現像銀層を生成しその上に金属メッキ層を形成するのが好ましい。
図5は、本発明に係る細線メッシュパターン3からなる反射層4の詳細を説明するための部分図であり、図5(a)は部分平面図、図5(b)は図5(a)におけるA−A矢視による部分断面図、図5(c)は図5(b)におけるB部の拡大図の例を示す部分断面図、図5(d)は、図5(b)におけるB部の拡大図の別の例を示す部分断面図である。
図5(c)の例では、細線メッシュパターン3は、導電性薄膜からなる細線メッシュパターンであり、導電性薄膜は、金属粒子、カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上を含有する導電性ペーストを印刷して形成した導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜のいずれかであることが好ましい。または写真製法により生成された現像銀層から生成する金属層であるのが好ましい。
図5(d)の例では、細線メッシュパターン3は、導電性薄膜からなる細線メッシュパターン3の上にメッキ層18が積層されたものであり、導電性薄膜は、金属粒子、カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上を含有する導電性ペーストを印刷して形成した導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜のいずれかであることが好ましい。または写真製法により生成された現像銀層の上にメッキを積層する方法で形成されたものであることが好ましい。
図5(c)及び(d)において、導電性薄膜からなる細線メッシュパターン3またはその上にメッキ層18が積層された細線メッシュパターンにおいて、細線の線幅は、いずれも15〜80μmが好ましく、さらには15〜50μmであることがより好ましい。線幅を15μm以下の微細線にすると、導電性薄膜の細線パターンを導電性のペーストを用いて印刷して形成するためのスクリーン印刷の原版や、導電性薄膜の細線パターンをリフトオフ法及び写真製法で形成するための露光マスクの製造コストが著しく上昇するので好ましくない。逆に線幅を太くして80μm以上にすると、導電性は高くなるが透視性は低下するので好ましくない。
また、細線メッシュパターン3の厚みは、所望とする特性により任意に変えることができるが、好ましくは0.05〜15μmの範囲であり、より好ましくは0.05〜10μmの範囲である。導電性薄膜の細線メッシュパターン3の膜厚が薄いと電磁波反射性能が低くなり過ぎてしまい、又、細線メッシュパターン3の膜厚が厚いとコスト高の要因となってしまう。
図6は、本発明に係るFSS素子の細線パターンからなる周波数選択遮蔽層の詳細を説明するための部分図であり、図6(a)は部分平面図、図6(b)は図6(a)におけるC−C矢視による部分断面図、図6(c)は図6(b)におけるD部の拡大図の例を示す部分断面図、図6(d)は図6(b)におけるD部の拡大図の別の例を示す部分断面図である。図6では、図1〜3における透明基材8a,8b,8c、FSS素子の細線パターン9a,9b,9c、周波数選択遮蔽層10a,10b,10cの符号を区別せずに、透明基材8、FSS素子の細線パターン9、周波数選択遮蔽層10という共通の符号を用いて説明する。
図6(c)の例では、細線パターン9は、導電性薄膜からなる細線パターンであり、導電性薄膜は、金属粒子、カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上を含有する導電性ペーストを印刷して形成した導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜のいずれかであることが好ましい。または写真製法により生成された現像銀層から生成する金属層が好ましい。
図6(d)の例では、細線パターン9は、導電性薄膜からなる細線パターン9の上にメッキ層19が積層されたものであり、導電性薄膜は、金属粒子、カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上を含有する導電性ペーストを印刷して形成した導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜のいずれかで形成されたものであることが好ましい。または写真製法により生成された現像銀層の上にメッキを積層する方法で形成されたものであることが好ましい。
図6(c)及び(d)において、導電性薄膜からなる細線パターン9またはその上にメッキ層19が積層された細線パターンにおいて、細線の線幅は、いずれも15〜80μmが好ましく、さらには15〜50μmであることがより好ましい。線幅を15μm以下の微細線にすると、導電性薄膜の細線パターンを導電性のペーストを用いて印刷して形成するためのスクリーン印刷の原版や、導電性薄膜の細線パターンをリフトオフ法及び写真製法で形成するための露光マスクの製造コストが著しく上昇するので好ましくない。逆に線幅を太くして80μm以上にすると、導電性は高くなるが透視性は低下するので好ましくない。
また、導電性薄膜の細線パターン9の厚みは、所望とする特性により任意に変えることができるが、好ましくは0.05〜15μmの範囲であり、より好ましくは0.05〜10μmの範囲である。導電性薄膜の細線パターン9の膜厚が薄いと電磁波吸収性能が低くなり過ぎてしまい、又、細線パターン9の膜厚が厚いとコスト高の要因となってしまう。
本発明の周波数選択遮蔽型の電磁波吸収体には、図7に示すような形状例をしたFSS素子の細線パターンが用いられる。
図7に示すFSS素子のうち、より好ましい形状は、図7の(b)、(c)に示すような末端を有する線分の組み合わせからなる開放図形、図7の(f)、(g)に示すような末端を有しない閉じた図形(環状図形)などであり、その他には、図7(d)に示すような開放図形と閉じた図形の組み合わせ、図7(h)に示すような大小2種類の閉じた図形の組み合わせなどがある。FSS素子の寸法は、末端を有する線分の組み合わせからなる開放図形の場合、線分の中心からの長さが遮蔽する電磁波の波長の約1/4である。また、末端を有しない閉じた図形(環状図形)の場合、周囲の長さが遮蔽する電磁波の波長と同程度とされる。
図7(a)に示すFSS素子は、導電性薄膜や金属層の細線により輪郭を形成した正方形(正方形ループ型)を4つ集合したものである。
図7(b)に示すFSS素子は、導電性薄膜や金属層の細線により逆Y字形(トリポール型)を形成したものである。この形状の素子によれば、三辺のそれぞれがダイポールアンテナとして機能し、どのような電磁波の傾きに対しても電磁波シールドを持たせることができる。
図7(c)に示すFSS素子は、導電性薄膜や金属層の細線により十字形(クロスダイポール型)を形成したものである。これにより、水平方向および垂直方向のいずれに対しても電磁波シールドを持たせることができる。
図7(d)に示すFSS素子は、導電性薄膜や金属層の細線により三角形の輪郭とその内部のY字形を形成したものであり、三角形の素子と逆Y字形の素子とのそれぞれで異なる波長の電磁波を遮蔽することができる。
図7(e)に示すFSS素子は、導電性薄膜や金属層の細線により正方形の輪郭を二重に形成したものである。
図7(f)に示すFSS素子は、導電性薄膜や金属層の細線により逆Y字形の輪郭を環状に形成したものである。
図7(g)に示すFSS素子は、導電性薄膜や金属層の細線により十字形の輪郭を環状に形成したものである。
図7(h)に示すFSS素子は、導電性薄膜や金属層の細線により十字形の輪郭とX字形の輪郭を環状に形成し、組み合わせたものである。
図7(i)に示すFSS素子は、導電性薄膜や金属層の細線によりH字形の輪郭を形成し、縦向きのH字形と横向きのH字形とを交互に配列して組み合わせたものである。
図7(j)に示すFSS素子は、導電性薄膜や金属層の細線により三角形の輪郭を形成したものであり、水平方向には正位置の三角形と逆位置の三角形とを交互に配列するとともに、垂直方向には正位置および逆位置の同じものを、それぞれ列を成して配列したものである。これにより、FSS素子の設置密度を高くすることができ、電磁波シールド効果を高めることができる。
図7(k)に示すFSS素子は、導電性薄膜や金属層の細線によりV字形の輪郭を形成し、正位置のV字形と逆位置のV字形とを交互に配列したものである。
この他、図示は省略するが、円形リング型やエルサレムクロス型、あるいは所望の基本形状に対して自己相似なフラクタル形状なども、本発明に適用することが可能なFSS素子形状として例示することができる。また、異なる2種類以上の形状、寸法が異なるFSS素子を組み合わせて用いることにより、2種類以上の周波数の電磁波を選択して遮蔽することが可能な電磁波シールド積層体を構成することも可能である。
本発明では、FSS素子の細線パターンである導電性薄膜の作製方法として、導電性ペーストを印刷することにより生成する方法、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷する方法、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成する方法、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成する方法、さらには、これらの方法で形成した導電性薄膜の上にめっきする方法、写真製法により生成された現像銀層から生成する方法、写真製法により生成された現像銀層とその上に積層された金属メッキ層とから生成する方法などを用いることができるが、以下にそれぞれの方法による導電性薄膜の細線パターンの作製方法と、併せて無電解メッキの方法を順に説明する。
(印刷による導電性薄膜の生成)
本発明に用いる導電性ペーストは、導電性薄膜からなる細線メッシュパターン及びFSS素子の細線パターンとなるものであるから、通常は金属粉末、カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上をバインダーとなる樹脂成分に混ぜ込んだ導電性ペーストが用いられる。前記の金属粉末としては、銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の金属粉が用いられるが、導電性、価格の点から銅または銀の微粉末を用いるのが好ましい。
印刷した細線メッシュパターン及びFSS素子の細線パターンに含まれる金属粉末に起因する金属光沢を消して外光の反射を抑え、窓ガラスに貼り付けた場合に視認性を高めるために、導電性ペーストの中にカーボンブラックなどの黒色顔料を混ぜ込むのが好ましい。黒色顔料は、導電性ペーストの中に0.1〜10重量%で含有させるのが好ましい。
印刷する細線メッシュパターン及びFSS素子の細線パターンの線幅は15〜80mm程度であることから、導電性ペーストに用いる金属粉末は、特別な超微粒子である必要性はなく、金属粉末の粒子径は0.1〜5μmであればよい。
導電性ペーストに用いられる樹脂成分としては、好ましくは、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられる。また、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂などの熱硬化型であってもよい。
導電性ペーストは、これらの樹脂成分に金属粉末、カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上及び黒色顔料を混ぜ込んだ後にアルコールやエーテルなどの有機溶剤を加えて粘度調整を行なう。
図1〜3の透明基材2及び透明基材8a,8b,8cの片面に、導電性ペーストを用いて細線メッシュパターン3及びFSS素子の細線パターン9a,9b,9cを印刷し、溶剤を乾燥除去して、細線メッシュパターン及び細線パターンを硬化させる。
導電性ペーストを塗布して細線メッシュパターン及びFSS素子の細線パターンを形成する方法は特に制限されないが、簡便さからスクリーン印刷、グラビヤ印刷、インクジェット方式などの方法で印刷するのが好ましい。
無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷する場合は、塩化パラジウムなどの公知の無電解メッキ触媒を含有するペーストを用いて、導電性ペーストと同様の方法で印刷することができる。
本発明に用いる無電解メッキ触媒を含有するペーストは、細線パターンを印刷し、硬化させた後に無電解メッキ及び/又は電解メッキ加工を施すことから、通常は金属粉末をバインダーとなる樹脂成分に混ぜ込んだ導電性ペーストが用いられる。導電性ペーストの中に無電解メッキの触媒核を含有させて細線パターンを印刷する場合は、電解メッキ加工に先立って、無電解メッキ加工を施すことにより、電解メッキ加工を容易に行なえるようになる。
前記の金属粉末としては、銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の金属粉が用いられるが、導電性、価格の点から銅または銀の微粉末を用いるのが好ましい。
(写真製法による現像銀層からの金属薄膜層の生成)
現像銀層を生成するための写真製法に基づく露光現像法には、(a)露光マスクに覆われていなくて露光された部分に現像銀が発現する、即ち、露光マスクと反対の形に現像銀が表れるいわゆるネガ型の露光現像方法と、(b)露光マスクに覆われて露光されなかった部分には現像銀が発現する、即ち、露光マスクと同じ形に現像銀が表れるいわゆるポジ型の露光現像方法の2通りがある。
本発明には、上記の2つの写真製法である(a)ネガ型の露光・現像方法と、(b)ポジ型の露光・現像方法のいずれでも適用できる。
(写真製法)
以下、ポジ型の露光・現像方法(DTR法)による現像銀メッシュパターンの作製方法について説明する。DTR法の場合、透明基材表面には、予め物理現像核層が設けられていることが好ましい。物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物等が挙げられる。これらの物理現像核の微粒子層は、真空蒸着法、カソードスパッタリング法、コーティング法等によって透明基材上に設けることができる。生産効率の面からコーティング法が好ましく用いられる。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で1平方メートル当たり0.1〜10mg程度が適当である。
図1〜3の透明基材2及び透明基材8a,8b,8cには、塩化ビニリデンやポリウレタン等のポリマーラテックス層の接着層を設けることができ、また接着層と物理現像核層との間にはゼラチン等の親水性バインダーからなる中間層を設けることもできる。
物理現像核層は、親水性バインダーを含有するのが好ましい。親水性バインダー量は物理現像核に対して10〜300質量%程度が好ましい。親水性バインダーとしては、ゼラチン、アラビアゴム、セルロース、アルブミン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、各種デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体等を用いることができる。物理現像核層には親水性バインダーの架橋剤を含有することもできる。
物理現像核層や前記中間層等の塗布には、例えばディップコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどの塗布方式で塗布することができる。本発明において物理現像核層は、上記したコーティング法によって、通常連続した均一な層として設けることが好ましい。
物理現像核層に金属銀を析出させるためのハロゲン化銀の供給は、基材上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に一体的に設ける方法、あるいは別の紙やプラスチック樹脂フィルム等の基材上に設けられたハロゲン化銀乳剤層から可溶性銀錯塩を供給する方法がある。コスト及び生産効率の面からは前者の物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を一体的に設けるのが好ましい。
前記ハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン化銀写真感光材料の一般的なハロゲン化銀乳剤の製造方法に従って製造することができる。ハロゲン化銀乳剤は、通常、硝酸銀水溶液、塩化ナトリウムや臭化ナトリウムのハロゲン水溶液をゼラチンの存在下で混合熟成することによって作られる。
前記ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀組成は、塩化銀を80モル%以上含有するのが好ましく、特に90モル%以上が塩化銀であることが好ましい。塩化銀含有率を高くすることによって形成された物理現像銀の導電性が向上する。
前記ハロゲン化銀乳剤層は、各種の光源に対して感光性を有している。本発明において物理現像銀によりFSS素子のパターンを形成する場合、ハロゲン化銀乳剤層の露光方法として、前記FSS素子パターンの透過原稿とハロゲン化銀乳剤層を密着して露光する方法、あるいは各種レーザー光を用いて走査露光する方法等がある。前者の密着露光は、ハロゲン化銀の感光性は比較的低くても可能であるが、レーザー光を用いた走査露光の場合は比較的高い感光性が要求される。従って、後者の露光方法を用いる場合は、ハロゲン化銀の感光性を高めるために、ハロゲン化銀は化学増感あるいは増感色素による分光増感を施してもよい。
化学増感としては、金化合物や銀化合物を用いた金属増感、硫黄化合物を用いた硫黄増感、あるいはこれらの併用が挙げられる。好ましくは、金化合物と硫黄化合物を併用した金−硫黄増感である。上記したレーザー光で露光する方法においては、450nm以下の発振波長の持つレーザー光、例えば400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザー(バイオレットレーザーダイオードともいう)を用いることによって、明室下(明るいイエロー蛍光灯下)でも取り扱いが可能となる。
物理現像核層が設けられる基材上の任意の位置、たとえば接着層、中間層、物理現像核層あるいはハロゲン化銀乳剤層、保護層、または支持体を挟んで設けられる裏塗り層にハレーションないしイラジエーション防止用の染料もしくは顔料を含有させてもよい。
物理現像核層の上に直接にあるいは中間層を介してハロゲン化銀乳剤層が塗設された感光材料を用いて現像銀を生成する場合は、FSS素子パターンの透過原稿と上記感光材料を密着して露光、あるいは、FSS素子パターンのデジタル画像を各種レーザー光の出力機で上記感光材料に走査露光した後、可溶性銀錯塩形成剤と還元剤の存在下でアルカリ液中で処理することにより銀錯塩拡散転写現像(DTR現像)が起こり、未露光部のハロゲン化銀が溶解されて銀錯塩となり、物理現像核上で還元されて金属銀が析出してFSS素子パターンの物理現像銀薄膜を得ることができる。露光された部分はハロゲン化銀乳剤層中で化学現像されて黒化銀となる。現像後、ハロゲン化銀乳剤層及び中間層、あるいは必要に応じて設けられた保護層は水洗除去されて、FSS素子パターンの物理現像銀薄膜が表面に露出する。
DTR現像後、物理現像核層の上に設けられたハロゲン化銀乳剤層等の除去方法は、水洗除去あるいは剥離紙等に転写剥離する方法がある。水洗除去は、スクラビングローラ等を用いて温水シャワーを噴射しながら除去する方法や温水をノズル等でジェット噴射しながら水の勢いで除去する方法がある。
一方、物理現像核層が塗布された基材とは別の基材上に設けたハロゲン化銀乳剤層から可溶性銀錯塩を供給する場合、前述と同様にハロゲン化銀乳剤層に露光を与えた後、物理現像核層が塗布された基材と、ハロゲン化銀乳剤層が塗布された別の感光材料とを、可溶性銀錯塩形成剤と還元剤の存在下でアルカリ液中で重ね合わせて密着し、アルカリ液中から取り出した後、数十秒〜数分間経過した後に、両者を剥がすことによって、物理現像核上に析出したFSS素子パターンの物理現像銀薄膜が得られる。
次に、銀錯塩拡散転写現像のために必要な可溶性銀錯塩形成剤、還元剤、及びアルカリ液について説明する。可溶性銀錯塩形成剤は、ハロゲン化銀を溶解し可溶性の銀錯塩を形成させる化合物であり、還元剤はこの可溶性銀錯塩を還元して物理現像核上に金属銀を析出させるための化合物であり、これらの作用はアルカリ液中で行われる。
本発明に用いられる可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、アルカノールアミン、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、T.H.ジェームス編のザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス4版の474〜475項(1977年)に記載されている化合物等が挙げられる。
前記還元剤としては、写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。
上記した可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤は、物理現像核層と一緒に基材に塗布してもよいし、ハロゲン化銀乳剤層中に添加してもよいし、またはアルカリ液中に含有させてもよく、更に複数の位置に含有してもよいが、少なくともアルカリ液中に含有させるのが好ましい。
アルカリ液中への可溶性銀錯塩形成剤の含有量は、現像液1リットル当たり、0.1〜5モルの範囲で用いるのが適当であり、還元剤は現像液1リットル当たり0.05〜1モルの範囲で用いるのが適当である。
アルカリ液のpHは10以上が好ましく、更に11〜14の範囲が好ましい。銀錯塩拡散転写現像を行うためのアルカリ液の適用は、浸漬方式であっても塗布方式であってもよい。浸漬方式は、例えば、タンクに大量に貯流されたアルカリ液中に、物理現像核層及びハロゲン化銀乳剤層が設けられた基材を浸漬しながら搬送するものであり、塗布方式は、例えばハロゲン化銀乳剤層上にアルカリ液を1平方メートル当たり40〜120ml程度塗布するものである。
透視性(目視されないこと)を確保するため、金属薄膜層からなる細線により細線メッシュパターン及びFSS素子の細線パターンを構成する。細線メッシュパターン及びFSS素子からなる細線パターンの金属薄膜層の線幅は、15〜80μmが好ましく、さらには15〜50μmであることがより好ましい。細線パターンの金属薄膜層の厚みは、所望とする特性により任意に変えることができるが、好ましくは0.05〜15μmの範囲であり、より好ましくは0.05〜10μmの範囲である。
前述したように、本発明の周波数選択遮蔽型の電磁波吸収体において、細線メッシュパターン及びFSS素子からなる細線パターンの線幅を細くして15μm以下にすると、透視性(目視されないこと)は上がるが導電性(及び遮蔽する波長の電磁波のシールド性)は低下し、逆に線幅を大きくして80μm以上にすると、透視性は低下するが導電性は高くなる。また、線幅を15μm以下の微細線にすると、金属層の細線パターンを写真製法で形成するための露光マスクの製造コストが著しく上昇するので好ましくない。
本発明に係る透明基材上に形成された任意の細線パターンの物理現像による現像銀層は、膜厚みが極めて薄いが導電性が高いので、細線化することが可能であり周波数選択遮蔽型の電磁波吸収体の透視性を高くすることができる。
また、この物理現像による現像銀層自身は、現像処理後に得られた現像銀層を形成する金属銀粒子が極めて小さく、かつ、現像銀層中に存在する親水性バインダー量が極めて少ないことにより、現像銀層を形成する金属銀粒子が最密充填状態に近い状態で現像銀層が形成されて通電性を有しているため、銅やニッケルなどの金属による鍍金(メッキ)を施すことが可能であり、必要に応じて、現像銀層の上に金属メッキ層を積層することができる。
(蒸着による導電性薄膜の生成)
本発明で使用される金属または金属酸化物の蒸着層からなる導電性薄膜の細線メッシュパターンは、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜のいずれかを用いることができる。
その中でも、簡便さの点から剥離(リフトオフ)法を用いて形成されるのが好ましい。剥離(リフトオフ)法では、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して、細線メッシュパターンの導電性薄膜が形成される。
フォトレジストパターンを遮蔽マスクとして用いて行なう、剥離(リフトオフ)法による細線メッシュパターンの形成方法は、次による。
まず、基材上にレジストを塗布した後、熱処理(プリベーク)を行い、レジストから溶媒を除去する。次に、フォトマスクを用いてレジストに所望のパターンを露光した後、レジストパターンを現像して遮蔽マスクとなるレジストパターンを形成する。次に、基材とレジストパターンからなる遮蔽マスクの上に、全面に渡って蒸着膜を形成した後、レジスト剥離剤を用いて遮蔽マスクとその上に乗っている蒸着膜とを同時に除去し、基材の上に残された蒸着膜からなる細線メッシュパターンの導電性薄膜を得る。
溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンを遮蔽マスクとして用いて行なう、剥離(リフトオフ)法による細線メッシュパターンの形成方法は、次による。
まず、基材上に溶剤溶解性の樹脂を主成分とする印刷材料で遮蔽マスクとなる部分を印刷する。次に、基材の上と印刷材料からなる遮蔽マスクの上に、全面に渡って蒸着膜を形成した後、溶剤を用いて遮蔽マスクとその上に乗っている蒸着膜とを同時に除去して、基材の上に残された蒸着膜からなる細線メッシュパターンの導電性薄膜を得る。
(金属メッキ層)
FSS素子からなる細線パターンの金属薄膜層である現像銀層の上に金属メッキ層を積層するときに用いるメッキ法は、無電解メッキ法による。FSS素子からなる細線パターンの基礎部分である現像銀層には導電性があるが、現像銀層からなるFSS素子パターンは、個々に独立して配置されていて、隣接するFSS素子パターン同士は電気的に絶縁している。したがって、多数のFSS素子のパターンを同時に一括して電解メッキすることができず、無電解メッキ法を適用してメッキせざるを得ない。
一方、細線メッシュパターンの金属薄膜層である現像銀層の上に金属メッキ層を積層するときに用いるメッキ法は、電解メッキ法によるのが好ましい。細線メッシュパターンの基礎部分である現像銀層には導電性があるが、現像銀層からなるFSS素子パターンは、2次元の格子状に連結して配置されている。したがって、多数のFSS素子のパターンを同時に一括して電解メッキすることができる。
本発明において、金属メッキ法は公知の方法で行うことができるが、例えば無電解メッキ法は、銅、ニッケル、銀、金、スズ、はんだ、あるいは銅/ニッケルの多層あるいは複合系などの従来公知の方法を使用でき、これらについては、「無電解めっき 基礎と応用;日刊工業新聞社、1994年5月30日初版」等の文献を参照することができる。
メッキが容易で、かつメッキ層の導電性が優れ、さらに厚膜にメッキでき、低コストであるなどの理由により、メッキに用いる金属としては、銅(Cu)および/またはニッケル(Ni)が好ましい。金属メッキ層は、メッキを複数回行うことにより、同種の金属または異種の金属を複数層積層することも好ましい。例えば、現像銀層の上に第1のメッキ層、さらにその上に第2のメッキ層を積層する場合に、一方のメッキ層が無電解ニッケルメッキ層であり、他方のメッキ層が無電解銅メッキ層である組み合わせが好ましい。
メッキに使用するメッキ槽の型式は、竪型、横型のいずれであっても構わないが、所定のメッキ滞留時間を確保できるように長さを決定する。
(金属箔のエッチングによる金属メッシュパターン)
本発明の周波数選択型の電磁波シールド材は、前述のとおり、導電性薄膜の細線メッシュパターン、または導電性薄膜の細線メッシュパターンの上にメッキ層を積層した金属メッシュパターンが用いられるが、透明基材に金属箔を接着剤により貼り合せた後、公知技術であるフォトリソ法によりエッチングして形成した、金属メッシュパターンを使用することもできる。導電性の金属箔であれば、材質は特に制限されなくて、銅、アルミ、錫などの箔を使用することができる。その中でも、価格が安価であり、エッチング処理の腐食速度が速い点から、銅箔が好適に使用される。
銅箔は、電解銅箔または圧延銅箔のいずれも用いることができる。本発明に使用できる、一般的な銅箔の厚みは6〜15μm程度である。厚みが6μmよりも薄い銅箔は、特殊な製品であって高価であることから、安価な電磁波シールド材の部材には、採用することが困難である。また、厚みが15μmを超える場合は、エッチングの処理費用および廃液の処理費用が嵩むことから好ましくない。
銅箔がエッチングされた箇所に露出される透明基材の表面は、銅箔の表面が有する凸凹が接着剤層に転写されていて、接着剤層の凸凹表面が露出するため透過光が散乱されることから光線透過率が低下してしまう問題を有する。この問題を解決するには、金属メッシュの凸凹面を、透明な樹脂や粘着剤で埋め、加圧しながら高温に保持して行なう透明化処理を施す必要がある。
また、銅箔を用いた場合は、金属素材の光沢色である茶色を目立たなくするために、表面を黒化処理するのが好ましい。
(黒化処理)
前記金属メッキ層の表面に黒化処理を施すことにより、反射率を低下させるための黒化層を形成してもよい。黒化層は、光を反射しにくい暗色の層であればよく、真黒だけでなく、例えば黒っぽい茶色や黒っぽい緑色等でもよい。黒化層の形成により、金属細線が一層目立ちにくくなり、例えば、窓ガラス等に電磁波シールド積層体を貼り付けて用いる場合に透明基材を通して向こう側が見やすくなるため、好ましい。
黒化層は、黒色インクの塗布によるインキ処理、ルテニウムやニッケル、スズなどの表面が黒色を呈する金属のメッキによる黒化メッキ処理、金属細線の化成処理(酸化処理等)などにより形成することができる。このうち化成処理では、金属層の表面に金属酸化物の薄膜が形成されることにより、黒色を呈するようになる。
(露光装置)
上記のハロゲン化銀乳剤層を露光する露光装置としては、枚葉式の露光マスク(フォトマスク)を用いる枚葉処理方式の露光装置と、連続したパターンが形成できる連続露光装置とがある。枚葉処理方式の露光装置は、所定のマスクパターンが形成された枚葉式の露光マスク(フォトマスク)を用いて、基材を間欠送りで露光装置に送り、装置内を真空排気して露光マスクと基材とを密着させて隙間を無くしてから、例えば紫外線で露光する。枚葉処理方式の露光装置では、真空排気、露光、大気開放を間欠的に行うので、連続的な生産ができず、処理速度は遅くなる。
これに対して、基材を連続的に露光できる連続露光装置を用いると、枚葉処理方式の露光装置に比較して処理速度が速く、連続的な生産が可能になるという長所がある。
連続露光装置の一例としては、写真製法における露光に用いられる光を透過する材質からなる円筒ドラムと、円筒ドラムの外周壁に設けられたFSS素子に対応したパターンが形成された露光マスクフィルムと、円筒ドラムの内部に配設された露光用光源とを備え、円筒ドラムの内側の光源から出射した光によって円筒ドラムに巻き付けられた基材を露光する装置である。
(粘着剤層)
本発明の電磁波吸収体においては、反射層4、透明な固体誘電体層6a,6b,6c,6d、周波数選択遮蔽層10a,10b,10c、機能層12,15、剥離フィルム17を積層するため、粘着剤層5a,5b,5c,5d,7a,7b,7c,11,14,16が設けられている。
使用される粘着剤層は透明であるものが好ましい。具体的には粘着剤層の全光線透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上がより好ましい。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等いずれのものでもよいが、中でもアクリル系粘着剤が特に好ましい。これにより、透明性に優れ、粘着剤層の耐候性を良好に維持することができる。
このような粘着剤成分の1つとして挙げられるアクリル系粘着剤としては、粘着性を与える低Tgの主モノマー、接着性や凝集力を与える高Tgのコモノマー、架橋や接着性改良のための官能基含有モノマー(モノエチレン性不飽和モノマー)等から成るものが用いられる。
主モノマーとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アルキルエステルが挙げられ、これらのものを1種または2種以上を混合して用いることができる。
コモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルエーテル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニル基含有化合物が挙げられる。
官能基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマー、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ−ト、N−メチロールアクリルアミド、アリルアルコール等のヒドロキシル基含有モノマー、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の三級アミノ基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有モノマー、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド等のN−置換アミド基含有モノマー、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマーが挙げられる。
このような材料を用いることにより、粘着性や凝集性、耐久性に優れ、また、モノマーの種類や組合せの選択により用途に応じた任意の品質、特性を得ることができる。
粘着剤成分の重量平均分子量は、30万〜300万が好ましく、50万〜200万がより好ましい。粘着剤成分の分子量が小さ過ぎると、粘着剤の粘着力や凝集力が劣り、耐ブリスター性が十分に得られず、分子量が大き過ぎると粘着剤が硬くなり、粘着性が不十分となって貼着の作業性が悪くなる。
また、粘着剤成分のガラス転移点(Tg)は、−20℃以下であるのが好ましい。ガラス転移点が−20℃を超える場合、使用温度によっては粘着剤が硬くなり、粘着性を維持できなくなることがある。
以上のような粘着剤は、架橋型、非架橋型のいずれのものも使用できる。架橋型の場合、エポキシ系化合物、イソシアナート系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩、アミン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド系化合物等の各種架橋剤を用いる方法等が挙げられ、これらは、それぞれの有する官能基により適宜選択される。
粘着剤層に含まれる硬化性成分は、特に限定されないがエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性を有するもの、または後述する放射線硬化性を有するもの等が挙げられるが、特に放射線硬化性を有するものが好ましい。これにより、硬化性成分を常温や低温下で、かつ非常に短時間で硬化を進行させることができ取扱性に優れる。
ここでいう、放射線硬化性とは、例えば、紫外線、レーザー光線、α線、β線、γ線、X線、電子線の照射により分子鎖の成長や架橋反応が誘起され、硬化性成分が硬化する性質のことを意味する。
このような放射線硬化性成分としては、特に限定されないが、例えばアクリル系モノマーまたはオリゴマーを有するものが好ましい。これにより耐候性の優れた粘着剤層を形成することができる。
このような放射線硬化性のアクリル系モノマーまたは/およびオリゴマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられ、これらを1種または2種以上を混合して用いてもよい。
さらに、上記アクリル系モノマーまたはオリゴマーは、アクリロイル基を有する反応性モノマーまたはオリゴマーを含むものが好ましく、アクリロイル基を2以上有するものがより好ましい。アクリロイル基を2以上含むことにより、網目構造の形成が十分に行われ、粘着剤の凝集性がさらに向上し、良好な粘着剤層が得られる。
上記放射線硬化性成分等の硬化性成分の含有量は、前記粘着剤成分100重量部に対し、0.05〜50重量部が好ましく、0.1〜20重量部がより好ましい。硬化性成分の量が少な過ぎると粘着剤の凝集力との関係で、発生したガスによる発泡や膨れの抑制効果が十分に得られない場合がある。一方、硬化性成分の量が多すぎると、粘着剤層が硬くなり過ぎて粘着力が低下するおそれが生じる。
硬化性成分は粘着剤成分とブレンドする場合、粘着剤成分との相溶性が良いものが好ましい。その他、硬化性成分を粘着剤成分の主ポリマーとの共重合体として用いることも可能である。
放射線硬化性成分を紫外線照射等により硬化させる場合、粘着剤層は光透過性を有するものが好ましく、例えば、実質的に透明または半透明(無色または有色)であるものがよく、これにより、粘着剤層の硬化を容易に行うことができる。
なお、本発明における粘着剤層は、通常、接着剤と称されるもので形成しても差し支えない。
透明性、無色性、ハンドリング性の観点から、粘着剤層の厚みは1〜100μm程度であることが好ましい。粘着剤層を接着剤で形成する場合は、粘着剤層の厚みは上記範囲で薄めにする。具体的には1〜20μm程度が好ましい。粘着剤層を粘着剤で形成する場合は、粘着剤層の厚みは上記範囲で厚めにする。具体的には5〜60μm程度が好ましい。
(反射防止層)
ここで、反射防止層は、電磁波吸収体の外側からの可視光線の反射を防ぐためのものであって、単層の場合は、透明基材に比べて屈折率の低い物質、例えば、ポリシロキサン構造を有するフッ素含有有機化合物、MgF、SiO等の薄膜を形成する。
反射防止層の膜厚は、光学的膜厚d(nm)を、d=λ/4(但し、λは設計波長で500〜580nm)と設定して単層の反射防止層を形成する。
また多層からなる場合は、透明基材に比べて高屈折率の物質、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ITOなどの薄膜と、透明基材に比べて低屈折率の物質、例えば酸化ケイ素の薄膜を交互に積層する。
このような金属酸化物薄膜の形成方法は特に限定されず、スパッタリング法、真空蒸着法、湿式塗布法などの公知の方法を用いて行なうことができる。
(防眩層)
機能層として表面に微細な凹凸を有する防眩層を設けることにより、外光を乱反射させることで蛍光灯などの映り込みを緩和することができる。防眩層は、後述のハードコート層の表面に設けるほか、他の機能層の表面に設けることもできる。
防眩層の表面に微細な凹凸を形成する方法には、表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムを用いて賦型を行なうか、樹脂粒子などのマット材をハードコート剤に添加することによって行なうことができる。防眩層中に、有機物あるいは無機物のフィラー(微粒子)を含有させ、表面に凹凸を付与することにより防眩層を形成することもできる。
賦型フィルムは、離型性のあるPETフィルム等の樹脂フィルム上に微細な凹凸を設けたもの、又はPETフィルム等の樹脂フィルム上に樹脂粒子、ガラス粒子を含有した樹脂を塗布して微細な凹凸層を設け、賦型層を形成したものを用いることができる。
前記マット材には、例えば、透明度が高い樹脂粒子が好適に用いられる。マット材の屈折率をできるだけハードコート剤の樹脂の屈折率に近いものにすると、塗膜の透明性が損なわれずに、しかも防眩性を増すことができる。
このような樹脂粒子としては、アクリル樹脂粒子、ポリカーボネート樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子などが挙げられる。これらの樹脂粒子の粒径は、1〜12μmが好適に使用される。
(ハードコート層)
透明基材フィルムに直接又は他の層を介して、公知の方法にてハードコート層用の樹脂組成物を塗布して形成することにより耐磨耗性、耐擦傷性を付与することができる。
ハードコート層は、ハードコート剤を必要に応じて溶剤に溶解した液を、基材に塗布、乾燥、硬化させることにより形成することができる。
ハードコート剤としては、特に制限されることなく、熱硬化型ハードコート剤、紫外線硬化型ハードコート剤などの公知の各種ハードコート剤を用いることができる。
熱硬化型ハードコート剤としては、例えば、シリコーン樹脂系、アクリル樹脂系、メラミン樹脂系等ハードコート剤を用いることができる。シリコーン樹脂系ハードコート剤は従来のアクリル樹脂系ハードコート剤と比べ硬度、耐候性、耐擦傷性の点で優れている。
また、紫外線硬化型ハードコート剤としては、不飽和ポリエステル樹脂系、アクリル樹脂系等のラジカル重合性ハードコート剤、エポキシ樹脂系、ビニルエーテル樹脂系等のカチオン重合性ハードコート剤等のハードコート剤を用いることができる。
紫外線硬化型ハードコート剤の場合には、紫外線照射を行い硬化させる。紫外線照射は、キセノンランプ、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等のランプを用いることができる。
ハードコート層には、さらに必要に応じて、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種の添加剤を含ませてもよい。各種添加剤は、ハードコート剤中に添加して塗布することができる。
ハードコート層の膜厚みは0.05〜5μm、好ましくは、0.5〜3μm程度の膜厚とすることにより、反射防止フィルムに耐磨耗性、耐擦傷性を付与することができる。
(防汚層)
反射防止層の上に最外層として防汚層をコートする場合は、反射防止層の表面にフッ素系、シリコーン系の防汚コート剤を塗布した後、余分な塗布液を拭き取ることで防汚層を形成させることができる。
防汚層は、反射防止層を保護し、かつ、防汚性能を高めるものである。
防汚コート剤としては、フッ素系樹脂あるいはシリコーン系樹脂を用いることができる。例えば、反射防止層の低屈折率層をSiOにより形成した場合には、フルオロアルキルシランなどのフルオロシリケート系撥水性塗料が好ましく用いられる。
防汚層は、防汚コート剤を溶剤によって希釈したものを、スクリーン印刷、マイクログラビアコーター等によって塗工することに形成することができる。
また、防汚層の厚さは反射防止層の機能を阻害しないように設定しなければならず、好ましくは1〜30nm、更に好ましくは5〜15nmであることが好ましい。
また、ハードコート層に防汚機能を持たせる方法としては、ハードコート層中のハードコート剤、例えば、紫外線硬化型のアクリル樹脂系ハードコート剤にフッ素系の紫外線硬化型防汚添加剤を少量添加することにより、表面機能材料としてフッ素系化合物の特長である撥水・撥油性に加え、優れた防汚性(指紋付着防止)をハードコート層の表面へ付与することができる。
(帯電防止層)
本発明においては、機能性層の表面または内部に帯電防止層を形成することが好ましい。これにより、電磁波吸収体の表面に静電気の作用で塵・埃が付着するのを防止することができる。
機能層の表面に塵・埃が付着するのを完全に防止するためには、表面抵抗率を1×1010(Ω/□)以下、更に好ましくは1×108(Ω/□)以下にする必要がある。
一般的には、機能性層の最外層である反射防止層に、帯電防止剤を含有させて帯電防止層を兼ねさせることができる。また、ハードコート層の上に帯電防止剤を塗布して帯電防止層を形成することができる。あるいは、ハードコート層に帯電防止剤を含有させて帯電防止機能を付与して帯電防止層を兼ねさせてもよい。
帯電防止剤としては、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物微粒子、導電性ポリマーの微粒子、界面活性剤などが挙げられる。
界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が例示される。
これらの界面活性剤を含む液を樹脂フィルムの上に直接塗布する方法等によって帯電防止層の薄膜を形成することができる。
この帯電防止層は、前記の導電性の金属酸化物微粒子を含有したハードコート層の上に形成することもできる。
帯電防止剤の塗工方法としては、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ダイコーター、ディップコーター、スクリーン印刷などの公知の方法を適宜選定して用いることができる。
(紫外線吸収層)
紫外線吸収層は、必要に応じて電磁波吸収体の適切な位置に一層または複数層設けることができる。紫外線吸収層を形成する方法としては、透明基材や透明樹脂層、粘着剤層の中に紫外線吸収剤を混入させる方法、紫外線吸収剤を含有する塗工液を透明基材上に直接または他の層を介して塗布する方法などが挙げられる。紫外線吸収層は、外部光により電磁波吸収体を構成する樹脂の経年劣化を抑えるため、外光が直接に降り注いで来る側に設けられる。紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤のいずれも使用可能であるが、50%透過率での波長が350〜420nmであるものが好ましく、より好ましくは同波長が360〜400nmのものである。同波長が350nmより低波長では紫外線遮断能が弱く、420nmより高波長では着色が強くなり、好ましくない。
有機系紫外線吸収剤としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、フェニルサリチレート、4−t−ブチルフェニルサリチレート、2,5−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸n−ヘキサデシルエステル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンゾエート等のヒドロキシベンゾエート系化合物等が挙げられる。無機系紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種類、または2種類以上複合して用いることができる。
(赤外線反射層)
赤外線反射層の機能としては、波長領域1100〜2000nmの赤外線透過率を20〜30%程度に、好ましくは10%程度に低下させるものであることが望ましい。
本発明は、赤外線反射層を設けることにより、可視光領域の光を比較的よく透過させ、赤外線領域の光を反射させるものである。
本発明で使用される赤外線反射剤は、可視光領域の光線透過率が高く、赤外線領域の光線透過率が低いことから、金属酸化物の微粒子であって、酸化ルテニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化チタンおよび/または酸化鉄によって10%以上の被覆率で被覆された天然雲母あるいは合成マイカ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、からなる金属酸化物群から選択された1種以上である。
近赤外線反射剤は、酸化チタンおよび/または酸化鉄によって10%以上の被覆率で被覆された天然雲母あるいは合成マイカ以外の、酸化ルテニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムからなる群から選択された金属酸化物の微粒子である場合、平均粒子径が0.01〜0.5μmであることが好ましい。より好ましくは0.02〜0.3μmである。この範囲の粒子径であれば、赤外線反射層を形成した時の可視光線の透過に優れ、かつ、赤外線の反射が良好であり、赤外線反射剤の分散性も良好である。
また、可視光領域の光線透過率が高く、赤外線領域の光線透過率が低いことから、酸化チタンおよび/または酸化鉄によって10%以上の被覆率で被覆された天然雲母あるいは合成マイカである(以下、被覆マイカと略称する)ことが好ましい。
この被覆マイカは、鱗片状の天然雲母あるいは合成マイカの表面に、酸化チタンおよび/または酸化鉄の微粒子層が形成されたものである。
被覆マイカが分散された赤外線反射剤分散層において、個々の被覆マイカの鱗片状粒子をとらえると、屈折率の高い酸化チタン層と、屈折率の低い天然雲母あるいは合成マイカ、および赤外線反射剤周りの透明樹脂層あるいは粘着剤層との境界では、可視光領域の光は比較的よく透過されるが、赤外線領域の光は反射されて、被覆マイカを透過する赤外線の量が減衰される。
赤外線反射剤分散層における赤外線反射性能の調整は、赤外線反射剤の添加量により行なわれるが、添加量は特に限定されるものではなく、赤外線反射剤の種類により適宜選択すればよい。
この被覆マイカは、形状が鱗片状であって、粒子径が5〜60μm程度で製造される。赤外線反射性能を高めるには、赤外線反射剤分散層の内部に分散された被覆マイカの反射表面をなるべく平滑にする必要があり、被覆マイカの粒子径は小さい方が好ましい。
赤外線反射剤が分散された赤外線反射剤分散層は、透明樹脂からなるバインダーまたは粘着剤に赤外線反射剤を分散して形成することができる。
本発明によれば、建物の窓や室内の透明な間仕切りに使用することができる。また、室内の金属製のロッカーや間仕切り、電子回路の筐体内、さらには屋外の金属製の標識板、公告掲示板などに貼り付けて、意匠性を損なうことなく特定波長帯域の電磁波を吸収し反射を抑えることができるので、無線通信の環境改善が容易となり益するところが大である。
本発明に係る電磁波吸収体の概略構成例を示す部分拡大断面図である。 本発明に係る電磁波吸収体の別の概略構成例を示す部分拡大断面図である。 本発明に係る電磁波吸収体の別の概略構成例を示す部分拡大断面図である。 (a)は、従来技術における共振周波数Pにおける減衰量αでの帯域幅wを示す概念図であり、(b)は、本発明における共振周波数Pにおける減衰量αでの帯域幅wを示す概念図である。 (a)は、本発明に係る細線メッシュパターンからなる反射層の部分平面図であり、(b)は、(a)におけるA−A矢視による部分断面図であり、(c)は、(b)におけるB部の拡大図の例を示す部分断面図であり、(d)は、(b)におけるB部の拡大図の別の例を示す部分断面図である。 (a)は、本発明に係るFSS素子の細線パターンからなる周波数選択遮蔽層の一例を示す部分平面図であり、(b)は、(a)におけるC−C矢視による部分断面図であり、(c)は、(b)におけるD部の拡大図の例を示す部分断面図であり、(d)は、(b)におけるD部の拡大図の別の例を示す部分断面図である。 (a)〜(k)は、それぞれFSS素子のパターンの例を示す部分拡大平面図である。
符号の説明
1,1A,1B…電磁波吸収体、2,8,8a,8b,8c…透明基材、3…細線メッシュパターン、4…反射層、5a,5b,5c,5d,7a,7b,7c,11,14,16…粘着剤層、6a,6b,6c,6d…固体誘電体層、9,9a,9b,9c…FSS素子の細線パターン、10,10a,10b,10c…周波数選択遮蔽層、12,15…機能層,12a…ハードコート層、13…積層体、17…剥離フィルム,18,19…メッキ層。

Claims (11)

  1. 透明基材の片面に導電性薄膜の細線メッシュパターンからなる反射層が形成され、前記反射層の上には透明な第1の固体誘電体層が粘着剤層を介して積層され、前記第1の固体誘電体層の上には、透明基材の片面に導電性薄膜のFSS素子の細線パターンが形成されてなる第1の周波数選択遮蔽層が粘着剤層を介して積層され、前記第1の周波数選択遮蔽層の上には透明な第2の固体誘電体層が粘着剤層を介して積層され、前記第2の固体誘電体層の上には、透明基材の片面に導電性薄膜のFSS素子の細線パターンが形成されてなる第2の周波数選択遮蔽層が粘着剤層を介して積層されてなり、
    前記細線メッシュパターン及びFSS素子の細線パターンの線幅が、いずれも15〜80μmであり、
    第1及び第2の周波数選択遮蔽層の平面に対して垂直な方向から視て第1及び第2の周波数選択遮蔽層を成す細線パターンの配列間隔が互いに略重なる位置に配設されてなり、透視性を有することを特徴とする電磁波吸収体。
  2. 金属板などの電磁波反射性能を有する物体の上に積層して用いられる電磁波吸収体であって、
    透明な第1の固体誘電体層の上には、透明基材の片面に導電性薄膜のFSS素子の細線パターンが形成されてなる第1の周波数選択遮蔽層が粘着剤層を介して積層され、前記第1の周波数選択遮蔽層の上には透明な第2の固体誘電体層が粘着剤層を介して積層され、前記第2の固体誘電体層の上には、透明基材の片面に導電性薄膜のFSS素子の細線パターンが形成されてなる第2の周波数選択遮蔽層が粘着剤層を介して積層されてなり、
    前記FSS素子の細線パターンの線幅が、15〜80μmであり、
    第1及び第2の周波数選択遮蔽層の平面に対して垂直な方向から視て第1及び第2の周波数選択遮蔽層を成す細線パターンの配列間隔が互いに略重なる位置に配設されてなり、透視性を有することを特徴とする電磁波吸収体。
  3. さらに、前記第1の周波数選択遮蔽層と第2の固体誘電体層との間には、透明な固体誘電体層と透明基材の片面に導電性薄膜のFSS素子の細線パターンが形成されてなる周波数選択遮蔽層とがこの順に粘着剤層を介して積層された積層体が1つ以上、配設されてなり、
    第1及び第2の周波数選択遮蔽層の平面に対して垂直な方向から視て前記積層体中の周波数選択遮蔽層を成す細線パターンのすべてが、第1及び第2の周波数選択遮蔽層を成す細線パターンの配列間隔と略重なる位置に配設されてなり、透視性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波吸収体。
  4. 前記第2の周波数選択遮蔽層の上に、さらに固体誘電体層が粘着剤層を介して積層されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電磁波吸収体。
  5. 前記細線メッシュパターン及びFSS素子の細線パターンは、写真製法により生成された現像銀層からなる金属層、導電性ペーストを印刷することにより生成された導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、のいずれかであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電磁波吸収体。
  6. 前記細線メッシュパターン及びFSS素子の細線パターンは、写真製法により生成された現像銀層からなる金属層、導電性ペーストを印刷することにより生成された導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、のいずれかの導電性薄膜の上にメッキ層を積層した積層体であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電磁波吸収体。
  7. 前記細線メッシュパターン及びFSS素子の細線パターンの厚みが0.05〜15μmであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の電磁波吸収体。
  8. 前記FSS素子の細線パターンの図形形状が開放図形の場合には、図形の両端間の長さを波長λの1/2とし、環状図形の場合には、図形の全周長さを波長λに等しくすることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の電磁波吸収体。
  9. 前記反射層と第1の周波数選択遮蔽層との距離および各周波数選択遮蔽層間の距離が、それぞれ略λ/60〜λ/5(但し、λは誘電体層における電磁波の遮蔽しようとする所定周波数での波長を表す。)であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の電磁波吸収体。
  10. 前記細線パターンは、1つ又は複数の共振周波数に対して吸収遮蔽できるように、1種類又は複数種類の形状からなるFSS素子が配列されてなることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の電磁波吸収体。
  11. 反射防止層、防眩層、ハードコート層、帯電防止層、赤外線反射層、紫外線吸収層、剥離粘着層からなる機能層群の中から選択された1つ以上の機能層を有することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の電磁波吸収体。
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