JP5238370B2 - ディスプレイ用前面板および前面板用の積層フィルムの製造方法 - Google Patents

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本発明は、CRT、PDP(プラズマディスプレイ)、液晶パネル(LCD)、有機ELパネルなどの各種ディスプレイに使用されるディスプレイ用前面板に関する。さらに詳細には、薄型で軽量化が図られていると共に、生産性が高くて安価に製造されるディスプレイ用前面板および前面板用の積層フィルムの製造方法に関する。
近年、CRT、PDP(プラズマディスプレイ)、液晶パネル、有機ELパネルなどの各種ディスプレイにおいては、ディスプレイ前面から発生する電磁波が人体に悪影響を与えたり、周囲の電子機器を誤動作させることが問題とされるようになり、ディスプレイの画像の鮮明さと共に、ディスプレイが周囲へ与える影響への対策が益々重要視されつつある。
特に、大型の薄型ディスプレイとして需要の増大しているPDPにおいては、電磁波のシールドフィルム以外に、近赤外線の波長領域を使用している各種のリモコンスイッチの誤作動を防ぐための近赤外線吸収フィルム、その近赤外線吸収フィルムに使用されている近赤外線吸収剤の経時劣化を防ぐための紫外線吸収フィルム、さらには可視光領域の色調調整のためのネオン光カットフィルム、光学フィルターの表面に外光が映り込むのを防ぐための反射防止フィルム等が、必要とされる機能に応じて組み合わせて構成されている。これらのフィルムをディスプレイ用光学フィルターとして用いることにより画像の映り具合の改善を図ると共に、周囲へ与える影響を低減する対策が採られている。
例えば、特許文献1には、色補正のためのネオン光カット層(吸収波長580〜620nm)と、外部光の反射を防止する反射防止フィルムと、外部光によるネオン光カット色素の劣化を防ぐための紫外線吸収剤を含有する粘着剤層と、電磁波遮蔽能を有するスパッタガラスとを有するプラズマディスプレイ用フィルターが開示されている。
特許文献2には、金属薄膜層と高屈折率透明薄膜層とを交互に積層した構造の透明導電膜により、電磁波シールド性と近赤外線カット性とを有する光学フィルターが開示されている。
特許文献3には、電磁波遮蔽性を有する金属メッシュと、赤外線吸収能を有する赤外線吸収剤含有接着層と、反射防止層と、ネオン光吸収層とを積層したプラズマディスプレイ用光学フィルターが開示されている。
一方、プラズマディスプレイ用光学フィルターとして用いられるプラズマディスプレイ用前面板の基板には、厚みのあるガラス基板やプラスチック基板が用いられるのが一般的である(例えば、特許文献4〜8)。
特開2004−325532号公報 特開平10−217380号公報 特開2004−333743号公報 特開平11−052875号公報 特開2000−167969号公報 特開2001−356699号公報 特開2004−165237号公報 特開2007−173566号公報
近年、各種ディスプレイ、特にPDPや液晶パネルにおいては、画面の大型化に伴い重量、設置スペースが著しく増大して、ディスプレイの適切な配置場所を確保するのが困難な状況になっている。この問題を解決するために、各種部材に工夫を図ることにより全体の重量を低減させることによる軽量化、及びディスプレイの奥行き寸法を低減することによるディスプレイの薄型化が強く求められている。
こうした状況において、例えば、PDPに関して、ディスプレイの前面に空気層を隔てて設けられる光学フィルター機能を有する前面板も、必要とされている光学機能層を備えていると共に、薄型化、軽量化を図ることが求められている。さらには、使用している部材の寸法及び重量を削減すると共に、生産性を高めて製造コストの低減を図り、安価に製造された前面板が必要とされている。
しかし、従来技術によるディスプレイ用前面板(前面フィルターとも呼ばれる)では、外部から受ける可能性のある衝撃力に耐えるだけの剛性を持たせて安全性を確保するために、基板には厚みのあるガラス板やプラスチック板が採用されている。
例えば、特許文献4には、透明基材の上に金属および/または金属酸化物からなる導電層が設けられた前面板が開示されている。導電層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法または塗布法などにより、透明基材の上に直接に、またはフィルム表面に形成して透明基板の上に貼合して設けるとしている。
実施例には、銀層を含む多層導電層が形成された導電性フィルムを厚み4mmのアクリル樹脂板に貼合して作製した前面板が記載されている。
また、特許文献5には、透明基体の表面に、高屈折率誘電体膜と銀系透明導電体層とを多層に順次積層した透明積層体及びそれに反射防止層などの光学機能層を積層したPDP用フィルター、さらにそのPDP用フィルターを用いたPDP用前面板が開示されている。実施例によると、作製したPDP用フィルターを、ロールラミネータにて厚さ3mmのPMMA板に貼り合せることが記載されている。
また、特許文献6には、透明基板の両面に、それぞれ蒸着などにより形成された導電膜と酸化物膜とからなるシールド機能膜を備えた電磁波シールド板が開示されている。透明基板の材料としては、例えば、アクリル樹脂、ガラス、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂等があげられる。アクリル樹脂により形成されている場合、より優れた電磁波シールド性が得られるとしている。
実施例によると、厚みが5mmまたは3mmのアクリル板に、シールド機能膜付透明フィルムを貼り合せてなる電磁波シールド板が記載されている。
また、特許文献7には、PDP用の前面フィルターであって、銅箔をエッチングして形成した金属メッシュパターンからなる電磁波シールド材を、1.1mm厚さのセミ強化ガラスからなる透明基板に貼り合わされた前面フィルターが開示されている。現在、実際に製品として使用されているPDP用の前面フィルターでは、取扱い上の安全性の面から厚みが2.8mmの強化ガラスが用いられている。
また、特許文献8には、PDP等のディスプレイに用いられる電磁波シールド性フィルム及びそれを用いたディスプレイ用構成体が開示されている。具体的には、熱可塑性の透明樹脂フィルムの表面に金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性メッシュが圧着された電磁波シールドフィルムが、プラスチック基板又はガラス基板に積層してなる電磁波シールド用ディスプレイ構成体が開示されている。特許文献8の段落0078には、「プラスチック基板としては、例えばポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等からなる、厚み0.5〜5mm程度の透明性プラスチック板が用いられる」と記載されている。
このように、従来技術におけるPDP用の前面板においては、主として厚みが3〜5mm程度のアクリル板からなる樹脂基板、または厚みが2.8mm程度のセミ強化ガラスが使用されている。従って、従来技術においては、可撓性を有していない厚みからなる樹脂基板、またはガラス基板の上に光学機能層および電磁波シールド層を積層してなるPDPしか知られていなかった。
このため、厚みのある樹脂基板、またはガラス基板を用いているため、重量及び厚みが嵩張るという問題があった。例えば、厚みが3mm×50インチのアクリル板の重量は、約2.8kgであり、厚みが2.8mm×50インチの強化ガラスの重量は、約5.6kgである。
また、一定の寸法に裁断された樹脂基板、またはガラス基板の上に光学機能層、及び電磁波シールド層を積層するため、生産性が低くコストの低減が困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、薄型で軽量化が図られていると共に、生産性が高くて安価に製造されるディスプレイ用前面板を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、ディスプレイの前面に空気層を隔てて設けられる光学フィルター機能を有する前面板であって、枠体と、前記枠体内に収納された積層フィルムとからなり、前記積層フィルムは、1層の厚みが100μm以上である透明樹脂層の単層または複数層を有し全体でも可撓性を有する透明樹脂基材と、複数の光学機能層と、電磁波シールド層とが積層されてなり、前記光学機能層は、近赤外線吸収層、紫外線吸収層、ネオン光吸収層、可視光波長選択吸収層、反射防止層の群から選択された1つ以上の層を有しており、前記透明樹脂基材に含まれる前記透明樹脂層の厚みの合計が150μm〜500μmであり、さらに、前記積層フィルムは、第1の透明基材の片面に反射防止層が形成され、他方の面に紫外線吸収剤を含有する粘着剤層を有する反射防止フィルムと、第2の透明基材の片面に電磁波シールド層が形成された電磁波シールド材フィルムと、バインダー樹脂の中に近赤外線吸収剤を含有した近赤外線吸収層、バインダー樹脂の中にネオン光吸収剤を含有したネオン光吸収層、バインダー樹脂の中に可視光波長選択吸収剤を含有した可視光波長選択吸収層の中から選択された1つ以上の光吸収層が積層され両面に粘着剤層を積層してなる光吸収用の両面粘着フィルムとを備え、前記反射防止フィルムは、前記紫外線吸収剤を含有する粘着剤層を用いて、前記透明樹脂基材の視認側の面に貼り合わされており、前記電磁波シールド材フィルムは、前記光吸収用の両面粘着フィルムを用いて、前記透明樹脂基材のディスプレイ側の面に貼り合せてなり、前記積層フィルムが前記枠体内に固定されてなることを特徴とするディスプレイ用前面板を提供する。
また、本発明は、ディスプレイの前面に粘着剤層を介して貼合される光学フィルター機能を有する前面板であって、1層の厚みが100μm以上である透明樹脂層の単層または複数層を有し全体でも可撓性を有する透明樹脂基材と、複数の光学機能層と、電磁波シールド層とが積層された積層フィルムからなり、前記光学機能層は、近赤外線吸収層、紫外線吸収層、ネオン光吸収層、可視光波長選択吸収層、反射防止層の群から選択された1つ以上の層を有しており、前記透明樹脂基材に含まれる前記透明樹脂層の厚みの合計が150μm〜500μmであり、さらに、前記積層フィルムは、第1の透明基材の片面に反射防止層が形成され、他方の面に紫外線吸収剤を含有する粘着剤層を有する反射防止フィルムと、第2の透明基材の片面に電磁波シールド層が形成された電磁波シールド材フィルムと、バインダー樹脂の中に近赤外線吸収剤を含有した近赤外線吸収層、バインダー樹脂の中にネオン光吸収剤を含有したネオン光吸収層、バインダー樹脂の中に可視光波長選択吸収剤を含有した可視光波長選択吸収層の中から選択された1つ以上の光吸収層が積層され両面に粘着剤層を積層してなる光吸収用の両面粘着フィルムとを備え、前記反射防止フィルムは、前記紫外線吸収剤を含有する粘着剤層を用いて、前記透明樹脂基材の視認側の面に貼り合わされており、前記電磁波シールド材フィルムは、前記光吸収用の両面粘着フィルムを用いて、前記透明樹脂基材のディスプレイ側の面に貼り合せてなることを特徴とするディスプレイ用前面板を提供する。
また、前記電磁波シールド層は、導電性薄膜の細線メッシュパターン、または導電性薄膜の細線メッシュパターンの上にメッキ層を積層した金属メッシュパターンからなり、前記導電性薄膜は、写真製法により生成された現像銀層からなる金属薄膜、金属粒子、カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上を含有する導電性ペーストを印刷して形成した導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、のいずれかであることが好ましい。
また、前記導電性薄膜の細線メッシュパターン、または前記金属メッシュパターンは、0.5〜15μmの厚みおよび10〜80μmの線幅を有し、細線の間隔が200〜350μmであることが好ましい。
また、本発明は、光学フィルター機能を有するディスプレイの前面板に用いられる積層フィルムの製造方法であって、少なくとも、
(1)長尺の第1の透明基材の片面に反射防止層が形成され、他方の面に紫外線吸収剤を含有する粘着剤層を有する長尺の反射防止フィルムを準備する工程と、
(2)前記粘着剤層を用いて、前記長尺の反射防止フィルムを、1層の厚みが100μm以上である透明樹脂層の単層または複数層を有し、前記透明樹脂層の厚みの合計が150μm〜500μmで、全体でも可撓性を有する長尺の透明樹脂基材の視認側の面に貼り合わせる工程と、
(3)長尺の第2の透明基材の片面に、切れ目の無い連続したメッシュパターンからなる電磁波シールド層が形成され、所定のバイアス角度を持たせるために所定間隔を隔てて印刷による画面枠が形成された長尺の電磁波シールド材フィルムを準備する工程と、
(4)バインダー樹脂の中に近赤外線吸収剤を含有した近赤外線吸収層、バインダー樹脂の中にネオン光吸収剤を含有したネオン光吸収層、バインダー樹脂の中に可視光波長選択吸収剤を含有した可視光波長選択吸収層の中から選択された1つ以上の光吸収層が積層され両面に粘着剤層を積層してなる、長尺の光吸収用の両面粘着フィルムを準備する工程と、
(5)前記電磁波シールド材フィルムを、前記光吸収用の両面粘着フィルムを介して、前記透明樹脂基材に貼り合わせて、長尺の積層フィルムを作製する工程と、
(6)前記長尺の積層フィルムを、ディスプレイの画面枠のサイズに合わせて裁断する工程を含むことを特徴とする、前面板用の積層フィルムの製造方法を提供する。
本発明のディスプレイ用前面板に使用する基板である透明樹脂基材は、単層または複数層からなる全体の厚みが150μm〜500μmの可撓性を有する樹脂基材である。そのため、長尺の透明樹脂基材と、ディスプレイ用前面板の積層フィルムを構成する、長尺の各部材フィルムとを、ロールtoロールで貼合して行うことができるので生産性を高めることができる。したがって、安価に前面板用の積層フィルムを製造することが可能である。
また、本発明では、従来の基板に比べて約1/10の厚みの樹脂フィルムを用いているので、大幅に軽量化することが可能となった。例えば、画面サイズが50インチの基板の重量を、厚みが2.8mmの強化ガラスの重量である約5.6kgから、本発明の樹脂フィルムでは約0.6kgに低減できる。
よって、薄型で軽量化が図られていると共に、生産性が高くて安価に製造されるディスプレイ用前面板を提供することができる。
以下、最良の形態に基づいて本発明のディスプレイ用前面板について詳しく説明する。
図1は、本発明のディスプレイ用前面板の一例を示す模式的断面図である。図2は、本発明に使用される導電性薄膜からなる細線メッシュパターンが形成された電磁波シールド材フィルムの部分断面図である。図3は、本発明に使用される導電性薄膜の上にメッキされた金属メッシュパターンが形成された電磁波シールド材フィルムの部分断面図である。
このディスプレイ用前面板は、図1に示すようなディスプレイの前面に空気層Sを隔てて設けられる枠体21内に収納された光学フィルター機能を有する前面板22として使用することができる。また、枠体に収納しないで、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイの前面パネルPに、積層フィルム20を直貼りで取り付けて使用することができる。
図4は、本発明に使用される反射防止フィルムの一例を示す模式的断面図である。図5は、本発明に使用される光吸収用の両面粘着フィルムの一例を示す模式的断面図である。図6は、本発明のディスプレイ用前面板に使用される積層フィルムの一例を示す模式的断面図である。
図7は、本発明のディスプレイ用前面板に使用される積層フィルムの別の例を示す模式的断面図である。
図8は、本発明に使用される導電性薄膜からなる細線メッシュパターンが形成され、粘着剤層を有する電磁波シールド材フィルムの部分断面図である。図9は、本発明に使用される導電性薄膜の上にメッキされた金属メッシュパターンが形成され、粘着剤層を有する電磁波シールド材フィルムの部分断面図である。図10は、本発明のディスプレイ用前面板の別の例を示す模式的断面図である。
図11は、本発明のディスプレイ用前面板に使用される積層フィルムの製造工程を示す概略の概念図である。
図1に示すディスプレイ用前面板22は、ディスプレイ用前面板の枠体21に、透明樹脂基材に複数の光学機能層と電磁波シールド層とが積層された積層フィルム20が固定されている。
図2は、第2の透明基材2の片面に、導電性薄膜3の細線メッシュパターンからなる電磁波シールド層1が形成された電磁波シールド材フィルム7の部分断面図を示す。
また、図3は、第2の透明基材2の片面に、導電性薄膜3の細線メッシュパターンの上にメッキ層4が積層されてなる金属メッシュパターン5からなる電磁波シールド層1が形成された電磁波シールド材フィルム7の部分断面図を示す。
導電性薄膜は、写真製法により生成された現像銀層からなる金属薄膜、金属粒子、カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上を含有する導電性ペーストを印刷して形成した導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、のいずれかであることが好ましい。
図4は、本発明に使用される反射防止フィルムの一例であって、第1の透明基材8の片面に反射防止層9が形成されている。また、第1の透明基材8の他方の面には、粘着剤層10を介して、剥離処理された剥離フィルム11が積層され、剥離フィルム付きの反射防止フィルム13を構成している。
剥離フィルム11は、粘着剤層10を保護するために構成されていて、粘着剤層10を用いて反射防止フィルム12を必要な箇所に貼り合せる時には、剥がして使用する。
図5は、本発明に使用される光吸収用の両面粘着フィルムの一例であって、バインダー樹脂の中に近赤外線吸収剤を含有した近赤外線吸収層、バインダー樹脂の中にネオン光吸収剤を含有したネオン光吸収層、バインダー樹脂の中に可視光波長選択吸収剤を含有した可視光波長選択吸収層の中から選択された1つ以上の光吸収層14が積層され、両面に、粘着剤層15、15を積層してなる光吸収用の両面粘着フィルム16に、剥離処理された剥離フィルム17、17を貼り合わされている。
剥離フィルム17、17は、粘着剤層15、15を保護するために構成されていて、粘着剤層15、15を用いて光吸収用の両面粘着フィルム16を必要な箇所に貼り合せる時には、剥がして使用する。
図6は、本発明のディスプレイ用前面板に使用される積層フィルム20の一例であって、図4に示すような第1の透明基材8の片面に反射防止層9が形成され、他方の面に紫外線吸収剤を含有する粘着剤層10を有する反射防止フィルム12が、該粘着剤層10を用いて透明樹脂基材19の視認側の面に貼り合わされており、図3に示すような第2の透明基材2の片面に電磁波シールド層1が形成された電磁波シールド材フィルム7が、バインダー樹脂の中に近赤外線吸収剤を含有した近赤外線吸収層、バインダー樹脂の中にネオン光吸収剤を含有したネオン光吸収層、バインダー樹脂の中に可視光波長選択吸収剤を含有した可視光波長選択吸収層の中から選択された1つ以上の光吸収層14が積層され、両面に粘着剤層15、15を積層してなる光吸収用の両面粘着フィルム16を用いて、前記透明樹脂基材19のディスプレイ側の面に貼り合せてなる積層フィルム20である。
(反射防止層)
ここで、反射防止層9は、積層フィルム20の外側からの可視光線の反射を防ぐためのものであって、単層の場合は、透明基材8に比べて屈折率の低い物質、例えばポリシロキサン構造を有するフッ素含有有機化合物等の薄膜を形成する。また多層からなる場合は、透明基材8に比べて高屈折率の物質、例えば酸化チタンの蒸着薄膜と、透明基材に比べて低屈折率の物質、例えば酸化ケイ素の薄膜を交互に積層する。このような金属酸化物薄膜の形成方法は特に限定されず、スパッタリング法、真空蒸着法、湿式塗布法により、酸化ジルコニウム、ITO、酸化ケイ素等の薄膜を形成することができる。
しかしながら、ディスプレイ用の光学フィルターの場合、複数のフィルムを積層していることから、その積層しているフィルム界面で反射が発生してしまう。そのため、光学フィルター全体では反射率が上昇してしまうことから、最外層の反射防止層9のみでは、外部光の反射による画像の白色化および白黒のコントラストの低下を防止して画像を鮮明にするという課題を十分に解決することができていないのが現状である。
(透明基材)
各透明基材2,8を構成する透明材料としては、可視領域で透明であり、またフレキシブル性を有し、好ましくは耐熱性の良好な樹脂からなるプラスチックフィルムである。そのようなフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等からなる厚さが10〜200μmの単層または複合フィルムが挙げられる。それぞれの透明基材は、反射防止層、電磁波シールド層、近赤外線吸収層、紫外線吸収層、ネオン光吸収層などの機能層が塗布され、そのまま積層されるためにフィルターの構成中に存在する。全光線透過率の低下を抑える観点からは、極力、兼用して透明基材層の数を少なくすることが好ましい。そのような兼用の方法としては、1枚の透明基材の上に複数の機能層を順次形成したり、剥離紙の上に形成した機能層を転写する方法を挙げることができる。
(透明樹脂層)
本発明に使用される透明樹脂層19を構成する透明材料としては、可視領域で透明であり、またフレキシブル性を有し、好ましくは耐熱性の良好な樹脂からなるプラスチックフィルムである。そのようなフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等からなる厚さが150〜500μmの単層または複合フィルムが挙げられる。このような厚み範囲であれば、可撓性を有する樹脂基材であることから好適に使用できる。
本発明に使用される透明樹脂層19の厚みが150μm以下であると、画面サイズを大きくしたときに、積層フィルムの皺が起こり易くなり好ましくない。また、透明樹脂層19の厚みが500μmを越えると、透明樹脂層19の腰が強すぎて、ロールtoロールによる生産方法を採用することができないため、安価に製造することができないという問題が発生するので好ましくない。
図7に示すように、複数層の透明樹脂層24,26を積層して透明樹脂基材23を構成することもできる。この積層フィルム27の場合、透明樹脂基材23は、1層の厚みが100μm以上の透明樹脂層24,26が粘着剤層25を介して積層された構成を有する。また、透明樹脂層24,26の厚みの合計が150μm〜500μmで、透明樹脂基材23全体でも可撓性を有する。
透明樹脂基材23が2層の透明樹脂層24,26を有し、透明樹脂層24の厚みと透明樹脂層26の厚みが等しい場合は、透明樹脂層24,26の厚みが1層あたり100μm〜250μmで、透明樹脂層24,26の厚みの合計が200μm〜500μmであることが好ましい。
(粘着剤層)
各粘着剤層10,15を構成する粘着剤としては、可視領域で透明であれば(すなわち、十分な透過率を有すれば)特に限定されず、上記の黒色顔料の分散した透明樹脂と同様な硬化型樹脂でも良いし、熱可塑性樹脂でも良い。透明性の観点からは、アクリル系樹脂が好適に用いられる。
(光吸収層)
本発明では、バインダー樹脂の中に近赤外線吸収剤を含有した近赤外線吸収層、バインダー樹脂の中にネオン光吸収剤を含有したネオン光吸収層、バインダー樹脂の中に可視光波長選択吸収剤を含有した可視光波長選択吸収層の中から選択された1つ以上の光吸収層を積層して用いることができる。光吸収用の両面粘着フィルム16は、両面に粘着剤層15,15が積層され、その内部に1つ以上の光吸収層14が積層されたものである。
1層の光吸収層14を有する両面粘着フィルム16は、光吸収層14の両面に粘着剤層15,15が積層された構成とすることもできる。また、複数層の光吸収層14を有する両面粘着フィルム16は、複数の光吸収層14を粘着剤等で積層した積層体の両面に粘着剤層15,15が積層された構成とすることもできる。
光吸収層14は、バインダー樹脂の中に近赤外線吸収剤を含有した近赤外線吸収層、バインダー樹脂の中にネオン光吸収剤を含有したネオン光吸収層、バインダー樹脂の中に可視光波長選択吸収剤を含有した可視光波長選択吸収層の中から1つ以上が選択して用いることができる。すなわち、1つの光吸収層14は、光吸収剤として、近赤外線吸収剤、ネオン光吸収剤、可視光波長選択吸収剤の3つの中から1つを選択して、バインダー樹脂の中に混入、分散させたものが好ましい。この場合、近赤外線吸収層が2種以上の近赤外線吸収剤を含有したり、ネオン光吸収層が2種以上のネオン光吸収剤を含有したり、可視光波長選択吸収層が2種以上可視光波長選択吸収剤を含有したりしてもよい。
バインダー樹脂の中に光吸収剤を直接混入、分散させる場合においては、使用される熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等が好適に用いられる。熱可塑性樹脂を用いて透明樹脂に光吸収剤の分散した光線吸収材剤分散層を形成するには、次のようにして行う。まず、主体となる適切に選定された熱可塑性の透明樹脂と、前記透明樹脂に相溶性のある樹脂に光吸収剤を混練したマスターバッチとを、最終的に光吸収剤が規定の濃度となるように配合し、公知のTダイやIダイを使用したキャスト成形法などにより、溶融樹脂をフィルム状に押し出して、基材を兼ねた光吸収剤分散層を作製することができる。
本発明における光吸収層は、透明樹脂に光吸収剤を混入、分散して形成することができる。光吸収剤は透明基材に直接混入されても良いが、任意の量を均一に分散できることから、次のような方法で混入することが好ましい。すなわち、光吸収剤が分散された透明樹脂層は、上記の透明基材の片面に、上述の光吸収剤を分散させた透明で溶剤に可溶な樹脂、例えば、バインダーなどを塗布して形成される。透明樹脂に光吸収剤を分散して形成される光吸収剤分散層の塗布厚みは、2〜50μmであるのが好ましい。光吸収剤分散層を形成する透明樹脂に制限はないが、透明基材の上に塗布して光吸収剤分散層を形成する場合は、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂などの硬化型樹脂が好適に用いられる。これらの硬化型樹脂のうち、樹脂硬化のための設備が簡易で作業性に優れることから、紫外線硬化型樹脂が好ましい。
また、透明基材の中に光吸収剤を直接混入させる場合には、熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
透明基材の上に塗布して光吸収剤分散層を形成する場合においては、使用される紫外線硬化型樹脂としては、光重合性を有するプレポリマーおよび/またはモノマーに、必要に応じて他の単官能または多官能性モノマー、各種ポリマー、光重合剤開始剤(アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール類、チオキサントン類など)、増感剤(アミン類、ジエチルアミノエチルメタクリレートなど)を配合したものである。ここで、光重合性プレポリマーとしては、ポリエステルアクリレート、ポリエステルウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリオールアクリレートなどが例示される。光重合性モノマーとしては、単官能アクリレート、2官能アクリレート、3官能以上のアクリレートなどが例示される。光重合性を有するプレポリマーまたはモノマーとしては、上記の他にホスファゼン系樹脂も好適に用いられる。
熱硬化型樹脂および電子線硬化型樹脂は、上記の紫外線硬化型樹脂と同様なものが用いられる。ただし、電子線硬化型樹脂は重合開始剤を添加する必要が無い。
適切に選定された透明樹脂に、上記の黒色顔料を均一に混合、分散させて光吸収材分散層組成物を調製し、得られた光吸収材分散層組成物を、透明基材の上に、バーコーティング方法、ロールコーティング方法、グラビアリバースコーティング方法等の公知の塗布方法で塗布して光吸収材分散層を形成することができる。前記光吸収剤分散層組成物には、塗工性を向上させるため、必要に応じて前記透明樹脂(バインダー等)を溶解する溶剤を添加し、塗布後に前記溶剤を乾燥により除去することが好ましい。前記溶剤は、特に限定されるものではなく、公知慣用の溶剤を用いることができる。
(近赤外線吸収層)
近赤外線吸収層は、必要に応じて積層フィルムの適切な位置に一層または複数層設けることができる。近赤外線吸収層を形成する方法としては、透明基材や透明樹脂層、粘着剤層の中に近赤外線吸収剤を混入させる方法、近赤外線吸収剤を含有する塗工液を透明基材上に直接または他の層を介して塗布する方法などが挙げられる。近赤外線吸収剤としては、波長領域800〜1100nmの近赤外線透過率が15%以下、好ましくは10%以下であることが望ましい。具体例としては、イモニウム塩系化合物、ジイモニウム塩系化合物、アミニウム塩系化合物、ニトロソ化合物及びその金属錯塩、シアニン系化合物、スクワリリウム系化合物、チオールニッケル錯塩系化合物、アミノチオールニッケル錯塩系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、トリアリールメタン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アミノ化合物、カーボンブラック、酸化アンチモン、酸化インジウムをドープした酸化錫、周期表の4、5または6族に属する金属の酸化物若しくは炭化物若しくはホウ化物等が挙げられる。これらの近赤外線吸収剤は、1種類、または2種類以上複合して用いることができる。近赤外線吸収層を設けることにより、ディスプレイが発する近赤外線を吸収することができる。
(可視光波長選択吸収層)
本発明における可視光波長選択吸収層は、可視光波長選択吸収剤を含有する透明樹脂層と粘着剤層とを分離することにより、粘着剤に添加できなかった色素も使用することが可能となる。すなわちシアニン色素の様に吸光係数の大きい特徴を有するが、粘着剤と反応して劣化してしまうために使用できなかった色素が使用可能となるといった利点が現れる。
前記の可視光波長選択吸収剤がスクアリリウム系、シアニン系、テトラアザポルフィリン系の化合物等の中から選択された1種または2種類以上の色素であることが好ましい。
可視光波長選択吸収剤を含有する透明樹脂層は、透明樹脂からなるバインダーに可視光波長選択吸収剤を分散して形成することができる。本色素のバインダーとして用いる透明な高分子樹脂としては、共重合ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、アモルファスポリオレフィン、ポリイソシアネート、ポリアリレート、トリアセチルセルロース等の公知の透明プラスチックを用いることができる。
(紫外線吸収層)
紫外線吸収層は、必要に応じて積層フィルムの適切な位置に一層または複数層設けることができる。紫外線吸収層を形成する方法としては、透明基材や透明樹脂層、粘着剤層の中に紫外線吸収剤を混入させる方法、紫外線吸収剤を含有する塗工液を透明基材上に直接または他の層を介して塗布する方法などが挙げられる。紫外線吸収層は、外部光による近赤外線吸収層の劣化を防ぐため、近赤外線吸収層よりも視認側に設けられる。紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤のいずれも使用可能であるが、50%透過率での波長が350〜420nmが好ましく、より好ましくは360nm〜400nmである。350nmより低波長では、紫外線遮断能が弱く、420nmより高波長では着色が強くなり好ましくない。
有機系紫外線吸収剤としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、フェニルサリチレート、4−t−ブチルフェニルサリチレート、2,5−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸n−ヘキサデシルエステル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンゾエート等のヒドロキシベンゾエート系化合物等が挙げられる。無機系紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種類、または2種類以上複合して用いることができる。
粘着剤層10に紫外線吸収剤を配合すると、透明樹脂層に紫外線吸収剤を分散させた場合に比べて、透明樹脂層を一層減らすことができるので、全光線透過率の低下を抑えることができる。なお、ひとつの粘着剤層に多量の紫外線吸収剤を配合すると粘着剤の機能が低下して好ましくない場合は、複数の粘着剤層に分散して配合しても良い。また、粘着剤層と透明樹脂層の両方に紫外線吸収剤を配合しても良い。
(ネオン光吸収層)
ネオン光吸収層は、必要に応じて積層フィルムの適切な位置に一層または複数層設けることができる。ネオン光吸収層は、PDPの発光するネオン光(吸収波長580〜620nm)を、ネオン光吸収剤を用いて除去することにより画像の赤色をより鮮明にするためのものである。ネオン光吸収層を形成する方法としては、透明基材や透明樹脂層、粘着剤層の中にネオン光吸収剤を混入させる方法、ネオン光吸収剤を含有する塗工液を透明基材上に直接または他の層を介して塗布する方法などが挙げられる。前記ネオン光吸収剤としては、例えば、シアニン系、スクアリリウム系、アゾメチン系、キサンテン系、オキソノール系、アゾ系等の色素のうち、波長580〜620nmの範囲に極大吸収波長を有する適当な色素が挙げられる。これらのネオン光吸収剤は、1種類、または2種類以上複合して用いることができる。
(電磁波シールド層)
従来、ディスプレイから発生する電磁波が外部に漏洩して人体への悪影響を防ぐという要求に対して、種々の透明導電性フィルムおよび電磁波シールドフィルムが開発されている。公知の電磁波シールド層は、大きくは、透明導電膜による電磁波シールド層と、導電性の金属メッシュによる電磁波シールド層の2つに区分される。透明導電膜による電磁波シールド層は金属メッシュによる電磁波シールド層に比べて、透明性に優れる反面、表面抵抗率が大きく、電磁波シールド性能に劣る。プラズマディスプレイは強い電磁波を発生させるので、金属メッシュによる電磁波シールド層が好ましい。
さらに、導電性の金属メッシュの作製方法としては、下記の(1)〜(3)に示す方法が挙げられる。
(1)透明基材に金属箔を貼り合わせ、または透明基材に金属の薄膜を蒸着した後、フォトリソグラフ法により導電性金属パターンを形成するエッチング方法。
(2)透明基材の上に導電性の金属ペーストをメッシュパターンに印刷した後にメッキして導電性金属パターンを形成する印刷−メッキ法。
(3)細線パターンを露光現像された金属銀で形成した後、この金属銀を物理現像および/またはメッキすることにより導電性金属パターンを形成する露光現像法。
そして、露光現像法には、特開2004−221564号公報に記載された方法、すなわち、支持体上に設けられた銀塩を含有する銀塩含有層を露光し、現像処理することにより金属銀部と光透過性部とを形成し、さらに前記金属銀部を物理現像及び/又はメッキ処理することにより前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させた導電性金属部を形成する方法と、WO2004/007810に記載された方法(ここでは、DTR−メッキ法と称する)とがある。
本発明に適用できる電磁波シールド層の構成および作製方法は特に限定されないが、導電性薄膜の細線メッシュパターン、または導電性薄膜の細線メッシュパターンの上にメッキ層を積層した金属メッシュパターンにより作製する方法が好適である。
図2および図3は、本発明に使用される電磁波シールド材フィルムの部分断面図であり、図2は、導電性薄膜からなる細線メッシュパターンが形成された電磁波シールド材フィルムの部分断面図、図3は、導電性薄膜の上にメッキされた細線メッシュパターンが形成された電磁波シールド材フィルムの部分断面図である。
図2の例では、電磁波シールド層1は、導電性薄膜からなる細線メッシュパターン3である。導電性薄膜は、写真製法により生成された現像銀層からなる金属薄膜、金属粒子、カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上を含有する導電性ペーストを印刷して形成した導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、のいずれかであることが好ましい。
図3の例では、電磁波シールド層1は、導電性薄膜からなる細線メッシュパターン3の上にメッキ層4が積層された金属メッシュパターン5である。導電性薄膜は、写真製法により生成された現像銀層からなる金属薄膜、金属粒子、カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上を含有する導電性ペーストを印刷して形成した導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、のいずれかであることが好ましい。
図2及び図3において、導電性薄膜からなる細線メッシュパターン3またはその上にメッキ層4が積層された金属メッシュパターン5において、メッシュパターン(3または5)の線幅は、いずれも10〜80μmが好ましく、さらには15〜50μmであることがより好ましい。線幅を10μm未満の微細線にすると、導電性薄膜の細線パターンを導電性のペーストを用いて印刷して形成するためのスクリーン印刷の原版や、導電性薄膜の細線パターンを写真製法で形成するための露光マスクの製造コストが著しく上昇するので好ましくない。逆に線幅を太くして80μmを超えると、導電性は高くなるが透視性は低下するので好ましくない。
また、導電性薄膜のメッシュパターン3またはその上にメッキ層4が積層された金属メッシュパターン5の厚みは、所望とする特性により任意に変えることができるが、好ましくは0.05〜15μmの範囲であり、より好ましくは0.05〜10μmの範囲である。メッシュパターン(3または5)の膜厚が薄いと電磁波遮蔽性能が低くなり過ぎてしまう。また、メッシュパターン(3または5)の膜厚が厚いとコスト高の要因となってしまう。
本発明では、メッシュパターンの導電性薄膜の作製方法として、導電性薄膜は、写真製法により生成された現像銀層からなる金属薄膜、金属粒子、カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上を含有する導電性ペーストを印刷して形成した導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、のいずれかを用いることができる。
以下にそれぞれの方法による導電性薄膜による細線パターンの作製方法と、併せて金属メッキ層について順に説明する。
(印刷による導電性薄膜の生成)
本発明に用いる導電性ペーストは、導電性薄膜からなるメッシュパターンとなるものであるから、金属粒子、カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上を含有する導電性ペーストを用いることができる。
通常は金属粉末をバインダーとなる樹脂成分に混ぜ込んだ導電性ペーストが用いられる。前記の金属粉末としては、銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の金属粉が用いられるが、導電性、価格の点から銅または銀の微粉末を用いるのが好ましい。
印刷したメッシュパターンに含まれる金属粉末に起因する金属光沢を消して外光の反射を抑え、視認性を高めるために、導電性ペーストの中にカーボンブラックなどの黒色顔料を混ぜ込むのが好ましい。黒色顔料は、導電性ペーストの中に0.1〜10重量%で含有させるのが好ましい。
印刷するメッシュパターンの線幅は15〜80μm程度であることから、導電性ペーストに用いる金属粉末は、特別な超微粒子である必要性はなく、金属粉末の粒子径は0.1〜5μmであればよい。
導電性ペーストに用いられる樹脂成分としては、好ましくは、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、熱可塑性樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられる。また、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂などの熱硬化型であってもよい。
導電性ペーストは、これらの樹脂成分に金属粉末、及び黒色顔料を混ぜ込んだ後にアルコールやエーテルなどの有機溶剤を加えて粘度調整を行なう。
図2及び図3の透明基材2の片面に、導電性ペーストを用いてメッシュパターン3を印刷し、溶剤を乾燥除去して、細線メッシュパターン3を硬化させる。
導電性ペーストを塗布して細線メッシュパターンを形成する方法は特に制限されないが、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット方式などの方法で印刷するのが好ましい。
(写真製法による現像銀層からの金属薄膜層の生成)
現像銀層を生成するための写真製法に基づく露光現像法には、(a)露光マスクに覆われていなくて露光された部分に現像銀が発現する、即ち、露光マスクと反対の形に現像銀が表れるいわゆるネガ型の露光現像方法と、(b)露光マスクに覆われて露光されなかった部分には現像銀が発現する、即ち、露光マスクと同じ形に現像銀が表れるいわゆるポジ型の露光現像方法の2通りがある。
本発明には、上記の2つの写真製法である(a)ネガ型の露光・現像方法と、(b)ポジ型の露光・現像方法のいずれでも適用できる。
(写真製法)
以下、ポジ型の露光・現像方法(DTR法)による現像銀メッシュパターンの作製方法について説明する。DTR法の場合、透明基材表面には、予め物理現像核層が設けられていることが好ましい。物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物等が挙げられる。これらの物理現像核の微粒子層は、真空蒸着法、カソードスパッタリング法、コーティング法等によって透明基材上に設けることができる。生産効率の面からコーティング法が好ましく用いられる。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で1平方メートル当たり0.1〜10mg程度が適当である。
図2及び図3の透明基材2には、塩化ビニリデンやポリウレタン等のポリマーラテックス層の接着層を設けることができ、また接着層と物理現像核層との間にはゼラチン等の親水性バインダーからなる中間層を設けることもできる。
物理現像核層は、親水性バインダーを含有するのが好ましい。親水性バインダー量は物理現像核に対して10〜300質量%程度が好ましい。親水性バインダーとしては、ゼラチン、アラビアゴム、セルロース、アルブミン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、各種デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体等を用いることができる。物理現像核層には親水性バインダーの架橋剤を含有することもできる。
物理現像核層や前記中間層等の塗布には、例えばディップコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどの塗布方式で塗布することができる。本発明において物理現像核層は、上記したコーティング法によって、通常連続した均一な層として設けることが好ましい。
物理現像核層に金属銀を析出させるためのハロゲン化銀の供給は、基材上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に一体的に設ける方法、あるいは別の紙やプラスチック樹脂フィルム等の基材上に設けられたハロゲン化銀乳剤層から可溶性銀錯塩を供給する方法がある。コスト及び生産効率の面からは前者の物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を一体的に設けるのが好ましい。
前記ハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン化銀写真感光材料の一般的なハロゲン化銀乳剤の製造方法に従って製造することができる。ハロゲン化銀乳剤は、通常、硝酸銀水溶液、塩化ナトリウムや臭化ナトリウムのハロゲン水溶液をゼラチンの存在下で混合熟成することによって作られる。
前記ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀組成は、塩化銀を80モル%以上含有するのが好ましく、特に90モル%以上が塩化銀であることが好ましい。塩化銀含有率を高くすることによって形成された物理現像銀の導電性が向上する。
前記ハロゲン化銀乳剤層は、各種の光源に対して感光性を有している。本発明において物理現像銀により現像銀メッシュパターンを形成する場合、ハロゲン化銀乳剤層の露光方法として、現像銀メッシュパターンの透過原稿とハロゲン化銀乳剤層を密着して露光する方法、あるいは各種レーザー光を用いて走査露光する方法等がある。前者の密着露光は、ハロゲン化銀の感光性は比較的低くても可能であるが、レーザー光を用いた走査露光の場合は比較的高い感光性が要求される。従って、後者の露光方法を用いる場合は、ハロゲン化銀の感光性を高めるために、ハロゲン化銀は化学増感あるいは増感色素による分光増感を施してもよい。
化学増感としては、金化合物や銀化合物を用いた金属増感、硫黄化合物を用いた硫黄増感、あるいはこれらの併用が挙げられる。好ましくは、金化合物と硫黄化合物を併用した金−硫黄増感である。上記したレーザー光で露光する方法においては、450nm以下の発振波長の持つレーザー光、例えば400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザー(バイオレットレーザーダイオードともいう)を用いることによって、明室下(明るいイエロー蛍光灯下)でも取り扱いが可能となる。
物理現像核層が設けられる基材上の任意の位置、たとえば接着層、中間層、物理現像核層あるいはハロゲン化銀乳剤層、保護層、または支持体を挟んで設けられる裏塗り層にハレーションないしイラジエーション防止用の染料もしくは顔料を含有させてもよい。
物理現像核層の上に直接にあるいは中間層を介してハロゲン化銀乳剤層が塗設された感光材料を用いて現像銀を生成する場合は、現像銀メッシュパターンの透過原稿と上記感光材料を密着して露光、あるいは、現像銀メッシュパターンのデジタル画像を各種レーザー光の出力機で上記感光材料に走査露光した後、可溶性銀錯塩形成剤と還元剤の存在下でアルカリ液中で処理することにより銀錯塩拡散転写現像(DTR現像)が起こり、未露光部のハロゲン化銀が溶解されて銀錯塩となり、物理現像核上で還元されて金属銀が析出して現像銀メッシュパターンの物理現像銀薄膜を得ることができる。露光された部分はハロゲン化銀乳剤層中で化学現像されて黒化銀となる。現像後、ハロゲン化銀乳剤層及び中間層、あるいは必要に応じて設けられた保護層は水洗除去されて、現像銀メッシュパターンの物理現像銀薄膜が表面に露出する。
DTR現像後、物理現像核層の上に設けられたハロゲン化銀乳剤層等の除去方法は、水洗除去あるいは剥離紙等に転写剥離する方法がある。水洗除去は、スクラビングローラ等を用いて温水シャワーを噴射しながら除去する方法や温水をノズル等でジェット噴射しながら水の勢いで除去する方法がある。
一方、物理現像核層が塗布された基材とは別の基材上に設けたハロゲン化銀乳剤層から可溶性銀錯塩を供給する場合、前述と同様にハロゲン化銀乳剤層に露光を与えた後、物理現像核層が塗布された基材と、ハロゲン化銀乳剤層が塗布された別の感光材料とを、可溶性銀錯塩形成剤と還元剤の存在下でアルカリ液中で重ね合わせて密着し、アルカリ液中から取り出した後、数十秒〜数分間経過した後に、両者を剥がすことによって、物理現像核上に析出した現像銀メッシュパターンの物理現像銀薄膜が得られる。
次に、銀錯塩拡散転写現像のために必要な可溶性銀錯塩形成剤、還元剤、及びアルカリ液について説明する。可溶性銀錯塩形成剤は、ハロゲン化銀を溶解し可溶性の銀錯塩を形成させる化合物であり、還元剤はこの可溶性銀錯塩を還元して物理現像核上に金属銀を析出させるための化合物であり、これらの作用はアルカリ液中で行われる。
本発明に用いられる可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、アルカノールアミン、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、T.H.ジェームス編のザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス4版の474〜475項(1977年)に記載されている化合物等が挙げられる。
前記還元剤としては、写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。
上記した可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤は、物理現像核層と一緒に基材に塗布してもよいし、ハロゲン化銀乳剤層中に添加してもよいし、またはアルカリ液中に含有させてもよく、更に複数の位置に含有してもよいが、少なくともアルカリ液中に含有させるのが好ましい。
アルカリ液中への可溶性銀錯塩形成剤の含有量は、現像液1リットル当たり、0.1〜5モルの範囲で用いるのが適当であり、還元剤は現像液1リットル当たり0.05〜1モルの範囲で用いるのが適当である。
アルカリ液のpHは10以上が好ましく、更に11〜14の範囲が好ましい。銀錯塩拡散転写現像を行うためのアルカリ液の適用は、浸漬方式であっても塗布方式であってもよい。浸漬方式は、例えば、タンクに大量に貯流されたアルカリ液中に、物理現像核層及びハロゲン化銀乳剤層が設けられた基材を浸漬しながら搬送するものであり、塗布方式は、例えばハロゲン化銀乳剤層上にアルカリ液を1平方メートル当たり40〜120ml程度塗布するものである。
透視性(目視されないこと)を確保するため、金属薄膜層からなる細線により細線メッシュパターンを構成する。細線メッシュパターンの金属薄膜層の線幅は、10〜80μmが好ましく、さらには15〜50μmであることがより好ましい。細線メッシュパターンの金属薄膜層の厚みは、所望とする特性により任意に変えることができるが、好ましくは0.05〜15μmの範囲であり、より好ましくは0.05〜10μmの範囲である。
前述したように、本発明の細線メッシュパターンの線幅を細くして10μm未満にすると、透視性(目視されないこと)は上がるが導電性(及び遮蔽する波長の電磁波の遮蔽性)は低下し、逆に線幅を大きくして80μmを超えると、透視性は低下するが導電性は高くなる。また、線幅を10μm未満の微細線にすると、金属層の細線パターンを写真製法で形成するための露光マスクの製造コストが著しく上昇するので好ましくない。
本発明に係る透明基材上に形成された任意の細線パターンの物理現像による現像銀層は、膜厚みが極めて薄いが導電性が高いので、細線化することが可能であり電磁波シールド材の透視性を高くすることができる。
また、この物理現像による現像銀層自身は、現像処理後に得られた現像銀層を形成する金属銀粒子が極めて小さく、かつ、現像銀層中に存在する親水性バインダー量が極めて少ないことにより、現像銀層を形成する金属銀粒子が最密充填状態に近い状態で現像銀層が形成されて通電性を有しているため、銅やニッケルなどの金属による鍍金(メッキ)を施すことが可能であり、必要に応じて、現像銀層の上に金属メッキ層を積層することができる。
(露光装置)
上記のハロゲン化銀乳剤層を露光する露光装置としては、枚葉式の露光マスク(フォトマスク)を用いる枚葉処理方式の露光装置と、連続したパターンが形成できる連続露光装置とがある。枚葉処理方式の露光装置は、所定のマスクパターンが形成された枚葉式の露光マスク(フォトマスク)を用いて、基材を間欠送りで露光装置に送り、装置内を真空排気して露光マスクと基材とを密着させて隙間を無くしてから、例えば紫外線で露光する。枚葉処理方式の露光装置では、真空排気、露光、大気開放を間欠的に行うので、連続的な生産ができず、処理速度は遅くなる。
これに対して、基材を連続的に露光できる連続露光装置を用いると、枚葉処理方式の露光装置に比較して処理速度が速く、連続的な生産が可能になるという長所がある。
連続露光装置の一例としては、写真製法における露光に用いられる光を透過する材質からなる円筒ドラムと、円筒ドラムの外周壁に設けられたメッシュパターンが形成された露光マスクフィルムと、円筒ドラムの内部に配設された露光用光源とを備え、円筒ドラムの内側の光源から出射した光によって円筒ドラムに巻き付けられた基材を露光する装置である。
(金属または金属酸化物の蒸着による導電性薄膜の生成)
本発明で使用される蒸着層からなる導電性薄膜の細線メッシュパターンは、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜のいずれかを用いることができる。
その中でも、簡便さの点から剥離(リフトオフ)法を用いて形成されるのが好ましい。剥離(リフトオフ)法では、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して、細線メッシュパターンの導電性薄膜が形成される。
フォトレジストパターンを遮蔽マスクとして用いて行なう、剥離(リフトオフ)法による細線メッシュパターンの形成方法は、次による。
まず、基材上にレジストを塗布した後、熱処理(プリベーク)を行い、レジストから溶媒を除去する。次に、フォトマスクを用いてレジストに所望のパターンを露光した後、レジストパターンを現像して遮蔽マスクとなるレジストパターンを形成する。次に、基材とレジストパターンからなる遮蔽マスクの上に、全面に渡って蒸着膜を形成した後、レジスト剥離剤を用いて遮蔽マスクとその上に乗っている蒸着膜とを同時に除去し、基材の上に残された蒸着膜からなる細線メッシュパターンの導電性薄膜を得る。
溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンを遮蔽マスクとして用いて行なう、剥離(リフトオフ)法による細線メッシュパターンの形成方法は、次による。
まず、基材上に溶剤溶解性の樹脂を主成分とする印刷材料で遮蔽マスクとなる部分を印刷する。次に、基材の上と印刷材料からなる遮蔽マスクの上に、全面に渡って蒸着膜を形成した後、溶剤を用いて遮蔽マスクとその上に乗っている蒸着膜とを同時に除去して、基材の上に残された蒸着膜からなる細線メッシュパターンの導電性薄膜を得る。
(金属メッキ層)
細線メッシュパターンの導電性薄膜である現像銀層などの導電性薄膜の上に金属メッキ層を積層するときに用いるメッキ法は、無電解メッキ法、電解メッキ法あるいは両者を組み合わせたメッキ法のいずれでも可能である。
本発明において、金属メッキ法は公知の方法で行うことができるが、例えば無電解メッキ法は、銅、ニッケル、銀、金、スズ、はんだ、あるいは銅/ニッケルの多層あるいは複合系などの従来公知の方法を使用でき、これらについては、「無電解めっき 基礎と応用;日刊工業新聞社、1994年5月30日初版」等の文献を参照することができる。
メッキが容易で、かつメッキ層の導電性が優れ、さらに厚膜にメッキでき、低コストであるなどの理由により、メッキに用いる金属としては、銅(Cu)および/またはニッケル(Ni)が好ましい。金属メッキ層は、メッキを複数回行うことにより、同種の金属または異種の金属を複数層積層することも好ましい。例えば、現像銀層の上に第1のメッキ層、さらにその上に第2のメッキ層を積層する場合に、一方のメッキ層が無電解ニッケルメッキ層であり、他方のメッキ層が無電解銅メッキ層である組み合わせが好ましい。
メッキに使用するメッキ槽の型式は、竪型、横型のいずれであっても構わないが、所定のメッキ滞留時間を確保できるように長さを決定する。
(金属箔のエッチングによる金属メッシュパターン)
本発明の電磁波シールド層は、前述のとおり、導電性薄膜の細線メッシュパターン、または導電性薄膜の細線メッシュパターンの上にメッキ層を積層した金属メッシュパターンが用いられるが、図2の透明基材2に金属箔を接着剤により貼り合せた後、公知技術であるフォトリソ法によりエッチングして形成した、金属メッシュパターンを使用することもできる。導電性の金属箔であれば、材質は特に制限されなくて、銅、アルミ、錫などの箔を使用することができる。その中でも、価格が安価であり、エッチング処理の腐食速度が速い点から、銅箔が好適に使用される。
銅箔は、電解銅箔は圧延銅箔のいずれも用いることができる。本発明に使用できる、一般的な銅箔の厚みは6〜15μm程度である。厚みが6μmよりも薄い銅箔は、特殊な製品であって高価であることから、使用することが困難である。また、厚みが15μmを超える場合は、エッチングの処理費用および廃液の処理費用が嵩むことから好ましくない。
銅箔がエッチングされた箇所に露出される透明基材2の表面は、銅箔の表面が有する凸凹が接着剤層に転写されていて、接着剤層の凸凹表面が露出するため透過光が散乱されることから光線透過率が低下してしまう問題を有する。この問題を解決するには、金属メッシュの凸凹面を、透明な樹脂や粘着剤で埋め、加圧しながら高温に保持して行なう透明化処理を施す必要がある。
また、銅箔を用いた場合は、金属色である茶色を目立たなくするために、表面を黒化処理するのが好ましい。
(黒化処理)
前記金属メッキ層の表面に黒化処理を施すことにより、反射率を低下させるための黒化層を形成してもよい。黒化層は、光を反射しにくい暗色の層であればよく、真黒だけでなく、例えば黒っぽい茶色や黒っぽい緑色等でもよい。黒化層の形成により、金属細線が一層目立ちにくくなり、電磁波シールド材を有する前面板を前面パネルに貼り付けて用いる場合にディスプレイの画面が見やすくなるため、好ましい。
黒化層は、黒色インクの塗布によるインキ処理、ルテニウムやニッケル、スズなどの表面が黒色を呈する金属のメッキによる黒化メッキ処理、金属細線の化成処理(酸化処理等)などにより形成することができる。このうち化成処理では、金属層の表面に金属酸化物の薄膜が形成されることにより、黒色を呈するようになる。
上記方法によって得られる電磁波シールド材は、金属メッシュパターンが0.5〜15μmの厚み及び10〜80μmの線幅であるとき、全光線透過率50%以上、かつ表面抵抗率が10オーム/□以下という優れた透光性能と導電性能を持ち、30MHz〜1,000MHzのような広い周波数帯に亘って30dB以上の遮蔽効果を発揮することができる。
(透明樹脂層)
本発明で用いる電磁波シールド材は、図8に示すように、透明基材2の片面に導電性薄膜からなる細線メッシュパターン3および透明樹脂層6が設けられたものや、図9に示すように、透明基材2の片面に導電性薄膜3の上にメッキされた金属メッシュパターン5および透明樹脂層6が設けられたものを用いることもできる。図10に電磁波シールド層1の上に透明樹脂層6が設けられた積層フィルム28の例を示す。
このような積層フィルム28によれば、透明樹脂層6に電磁波シールド層1を埋設して電磁波シールド層1を保護することができる。図1の前面板22に用いる場合、透明樹脂層6は、透明基材2上に設けたメッシュパターン3,5による凹凸を平坦化するために設けられた透明な樹脂層であり、粘着性のない樹脂層でよい。
(積層フィルムの製造方法)
図11は、本発明のディスプレイ用前面板に使用される積層フィルム20の製造工程を示す概念図である。
透明樹脂基材のロール体34から巻き戻された長尺の透明樹脂基材19は、移送ロール32により左方向から右方向に移送される。一方、反射防止フィルムのロール体35から巻き戻されて、剥離フィルム11が剥がされた長尺の反射防止フィルム12は、圧着ロール33にて透明樹脂基材19の片面に粘着剤層10を介して貼り合わされる。
また、光吸収用の両面粘着フィルムのロール体36から巻き戻されて供給される長尺の光吸収用の両面粘着フィルム18から片方の剥離フィルム17が剥がされて粘着剤層15を介して透明樹脂基材19の他方の面に貼り合わされ、さらにもう一方の剥離フィルム17が剥がされてその上に、電磁波シールド材フィルムのロール体37から巻き戻されて供給される長尺の電磁波シールド材フィルム7が粘着剤層15を介して貼り合わされ、長尺の積層フィルム20が作製される。長尺の積層フィルム20は、ロール状に巻いて積層フィルムのロール体31が作製される。
本製造工程において、長尺の電磁波シールド材フィルム7は、長尺の第2の透明基材の片面に、切れ目の無い連続したメッシュパターンからなる電磁波シールド層が形成され、所定のバイアス角度を持たせるために所定間隔を隔てて印刷による画面枠が形成された長尺の電磁波シールド材フィルムであることが好ましい。
電磁波シールド層を構成するメッシュパターンは、上述した導電性薄膜の細線メッシュパターン、または導電性薄膜の細線メッシュパターンの上にメッキ層を積層した金属メッシュパターンが好ましい。
バイアス角度とは、電磁波シールド層を構成するメッシュパターンに対する画面枠のバイアス角度を意味する。ディスプレイのブラックマトリックスパターンとディスプレイ用前面板の電磁波シールド層のメッシュパターンとの干渉により発生するモアレが最小になるように、所定のバイアス角度が調節される。
なお、長尺の積層フィルム20は、ロール状に巻かないで、そのままディスプレイの画面枠のサイズに裁断して、シート状で供給してもよい。
本発明において、「長尺」とは、ロール体31,34,35,36,37を形成して、ロールtoロールの加工が可能な長さを意味する。例えば、長さが1〜10000mである。
(枠体付きのディスプレイ用前面板)
図1に示すように、積層フィルム20を枠体21内に固定するときには、積層フィルム20にシワや弛みが生じないよう、一定の張力を持たせて固定する。接着などでもよいし、積層フィルム20に張力を印加する機構を枠体21に組み込んでもよい。
(粘着剤層付きのディスプレイ用前面板)
本発明においては、図10に示すように、電磁波シールド材フィルム7の電磁波シールド層1を透明樹脂層6に埋設した積層フィルム28において、透明樹脂層6を粘着剤層6とすることができる。この場合、積層フィルム28をディスプレイの前面に粘着剤層6を介して貼合し、ディスプレイ用前面板28として使用することができる。粘着剤層6を有するディスプレイ用前面板28を図11の製造工程で製造するときには、電磁波シールド材フィルム7の粘着剤層6に剥離フィルム(図示せず)を貼り合わせたロール体37を用いることにより、粘着剤層6が剥離フィルムで保護された積層フィルムのロール体31として巻き取ることができる。
本発明は、CRT、PDP(プラズマディスプレイ)、液晶パネル、有機ELパネルなどの各種ディスプレイに使用されるディスプレイ全面板として利用することができる。
本発明のディスプレイ用前面板の一例を示す模式的断面図である。 本発明に使用される導電性薄膜からなる細線メッシュパターンが形成された電磁波シールド材フィルムの部分断面図である。 本発明に使用される導電性薄膜の上にメッキされた金属メッシュパターンが形成された電磁波シールド材フィルムの部分断面図である。 本発明に使用される反射防止フィルムの一例を示す模式的断面図である。 本発明に使用される光吸収用の両面粘着フィルムの一例を示す模式的断面図である。 本発明のディスプレイ用前面板に使用される積層フィルムの一例を示す模式的断面図である。 本発明のディスプレイ用前面板に使用される積層フィルムの別の例を示す模式的断面図である。 本発明に使用される導電性薄膜からなる細線メッシュパターンが形成され、透明樹脂層または粘着剤層を有する電磁波シールド材フィルムの部分断面図である。 本発明に使用される導電性薄膜の上にメッキされた金属メッシュパターンが形成され、透明樹脂層または粘着剤層を有する電磁波シールド材フィルムの部分断面図である。 本発明のディスプレイ用前面板の別の例を示す模式的断面図である。 本発明のディスプレイ用前面板に使用される積層フィルムの製造工程を示す概略の概念図である。
符号の説明
P…ディスプレイの前面パネル、1…電磁波シールド層、2…第2の透明基材、3…導電性薄膜の細線メッシュパターン、4…メッキ層、5…導電性薄膜にメッキが積層された金属メッシュパターン、6…透明樹脂層または粘着剤層、7…電磁波シールド材フィルム、8…第1の透明基材、9…反射防止層、10…粘着剤層、11…剥離フィルム、12…反射防止フィルム、13…剥離フィルム付きの反射防止フィルム、14…光吸収層、15…粘着剤層、16…光吸収用の両面粘着フィルム、17…剥離フィルム、18…剥離フィルム付き光吸収用の両面粘着フィルム、19…透明樹脂基材、20,27…積層フィルム、21…ディスプレイ用前面板の枠体、22,28…ディスプレイ用前面板、23…透明樹脂基材、24,26…透明樹脂層、25…粘着剤層、31…積層フィルムのロール体、32…移送ロール、33…圧着ロール、34…透明樹脂基材のロール体、35…反射防止フィルムのロール体、36…光吸収用の両面粘着フィルムのロール体、37…電磁波シールド材フィルムのロール体。

Claims (5)

  1. ディスプレイの前面に空気層を隔てて設けられる光学フィルター機能を有する前面板であって、枠体と、前記枠体内に収納された積層フィルムとからなり、前記積層フィルムは、1層の厚みが100μm以上である透明樹脂層の単層または複数層を有し全体でも可撓性を有する透明樹脂基材と、複数の光学機能層と、電磁波シールド層とが積層されてなり、前記光学機能層は、近赤外線吸収層、紫外線吸収層、ネオン光吸収層、可視光波長選択吸収層、反射防止層の群から選択された1つ以上の層を有しており、前記透明樹脂基材に含まれる前記透明樹脂層の厚みの合計が150μm〜500μmであり、さらに、前記積層フィルムは、第1の透明基材の片面に反射防止層が形成され、他方の面に紫外線吸収剤を含有する粘着剤層を有する反射防止フィルムと、第2の透明基材の片面に電磁波シールド層が形成された電磁波シールド材フィルムと、バインダー樹脂の中に近赤外線吸収剤を含有した近赤外線吸収層、バインダー樹脂の中にネオン光吸収剤を含有したネオン光吸収層、バインダー樹脂の中に可視光波長選択吸収剤を含有した可視光波長選択吸収層の中から選択された1つ以上の光吸収層が積層され両面に粘着剤層を積層してなる光吸収用の両面粘着フィルムとを備え、前記反射防止フィルムは、前記紫外線吸収剤を含有する粘着剤層を用いて、前記透明樹脂基材の視認側の面に貼り合わされており、前記電磁波シールド材フィルムは、前記光吸収用の両面粘着フィルムを用いて、前記透明樹脂基材のディスプレイ側の面に貼り合せてなり、前記積層フィルムが前記枠体内に固定されてなることを特徴とするディスプレイ用前面板。
  2. ディスプレイの前面に粘着剤層を介して貼合される光学フィルター機能を有する前面板であって、1層の厚みが100μm以上である透明樹脂層の単層または複数層を有し全体でも可撓性を有する透明樹脂基材と、複数の光学機能層と、電磁波シールド層とが積層された積層フィルムからなり、前記光学機能層は、近赤外線吸収層、紫外線吸収層、ネオン光吸収層、可視光波長選択吸収層、反射防止層の群から選択された1つ以上の層を有しており、前記透明樹脂基材に含まれる前記透明樹脂層の厚みの合計が150μm〜500μmであり、さらに、前記積層フィルムは、第1の透明基材の片面に反射防止層が形成され、他方の面に紫外線吸収剤を含有する粘着剤層を有する反射防止フィルムと、第2の透明基材の片面に電磁波シールド層が形成された電磁波シールド材フィルムと、バインダー樹脂の中に近赤外線吸収剤を含有した近赤外線吸収層、バインダー樹脂の中にネオン光吸収剤を含有したネオン光吸収層、バインダー樹脂の中に可視光波長選択吸収剤を含有した可視光波長選択吸収層の中から選択された1つ以上の光吸収層が積層され両面に粘着剤層を積層してなる光吸収用の両面粘着フィルムとを備え、前記反射防止フィルムは、前記紫外線吸収剤を含有する粘着剤層を用いて、前記透明樹脂基材の視認側の面に貼り合わされており、前記電磁波シールド材フィルムは、前記光吸収用の両面粘着フィルムを用いて、前記透明樹脂基材のディスプレイ側の面に貼り合せてなることを特徴とするディスプレイ用前面板。
  3. 前記電磁波シールド層は、導電性薄膜の細線メッシュパターン、または導電性薄膜の細線メッシュパターンの上にメッキ層を積層した金属メッシュパターンからなり、前記導電性薄膜は、写真製法により生成された現像銀層からなる金属薄膜、金属粒子、カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上を含有する導電性ペーストを印刷して形成した導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイ用前面板。
  4. 前記導電性薄膜の細線メッシュパターン、または前記金属メッシュパターンは、0.5〜15μmの厚みおよび10〜80μmの線幅を有し、細線の間隔が200〜350μmであることを特徴とする請求項に記載のディスプレイ用前面板。
  5. 光学フィルター機能を有するディスプレイの前面板に用いられる積層フィルムの製造方法であって、少なくとも、
    (1)長尺の第1の透明基材の片面に反射防止層が形成され、他方の面に紫外線吸収剤を含有する粘着剤層を有する長尺の反射防止フィルムを準備する工程と、
    (2)前記粘着剤層を用いて、前記長尺の反射防止フィルムを、1層の厚みが100μm以上である透明樹脂層の単層または複数層を有し、前記透明樹脂層の厚みの合計が150μm〜500μmで、全体でも可撓性を有する長尺の透明樹脂基材の視認側の面に貼り合わせる工程と、
    (3)長尺の第2の透明基材の片面に、切れ目の無い連続したメッシュパターンからなる電磁波シールド層が形成され、所定のバイアス角度を持たせるために所定間隔を隔てて印刷による画面枠が形成された長尺の電磁波シールド材フィルムを準備する工程と、
    (4)バインダー樹脂の中に近赤外線吸収剤を含有した近赤外線吸収層、バインダー樹脂の中にネオン光吸収剤を含有したネオン光吸収層、バインダー樹脂の中に可視光波長選択吸収剤を含有した可視光波長選択吸収層の中から選択された1つ以上の光吸収層が積層され両面に粘着剤層を積層してなる、長尺の光吸収用の両面粘着フィルムを準備する工程と、
    (5)前記電磁波シールド材フィルムを、前記光吸収用の両面粘着フィルムを介して、前記透明樹脂基材に貼り合わせて、長尺の積層フィルムを作製する工程と、
    (6)前記長尺の積層フィルムを、ディスプレイの画面枠のサイズに合わせて裁断する工程を含むことを特徴とする、前面板用の積層フィルムの製造方法。
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