JP2008249882A - ディスプレイ用複合フィルタの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁波シールドフィルタと機能層を積層したディスプレイ用複合フィルタの製造方法であって、表面平坦性が高く、且つ厚みが薄い複合フィルタを得ることが可能な、生産性が高い複合フィルタの製造方法を提供する。
【解決手段】光学機能層と、電磁波シールドフィルタとを有するディスプレイ用複合フィルタの製造方法であって、支持基材と該支持基材上に剥離可能に形成されている光学機能層とを少なくとも有する転写体と、ポリエチレンテレフタレートに対する25℃での密着強度が5N/25mm以上である平坦化層を最表面に有する電磁波シールドフィルタからなる被転写体とを用いて、前記転写体の前記光学機能層側と、前記被転写体の前記平坦化層側とを重ね合わせ、前記転写体から少なくとも前記光学機能層を前記被転写体の平坦化層上に転写する工程を有することを特徴とするディスプレイ複合フィルタの製造方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、ディスプレイ用複合フィルタの製造方法に関し、更に詳細には、本発明は、厚みが薄く、生産性が高いディスプレイ用複合フィルタの製造方法に関するものである。
近年、電気電子機器の機能高度化と利用増加に伴い、電磁気的なノイズ妨害(Electro Magnetic Interference;EMI)が増えた。陰極線管(CRTという)、プラズマディスプレイパネル(PDPという)などの画像表示装置(ディスプレイ)でも電磁波が発生する。プラズマディスプレイパネルは、データ電極と蛍光層を有するガラスと透明電極を有するガラスとの組合体であり、作動すると電磁波、近赤外線、及び熱が大量に発生する。
通常、電磁波を遮蔽するためにプラズマディスプレイパネルの前面に、電磁波シールドフィルタが設けられる。ディスプレイ前面から発生する電磁波のシールド性は、30MHz〜1GHzにおいて30dB以上の機能が必要である。
このような用途に用いる電磁波シールドフィルタは、電磁波シールド性能と共に光透過性も要求される。従って、電磁波シールドフィルタとしては、樹脂フィルムからなる透明基材上に接着剤で貼り合わせた金属箔をエッチングしてメッシュ状とした金属メッシュ層やメッキ法により形成した金属メッシュ層を積層した構成(以下、金属メッシュ層/透明基材のように表す場合がある。「/」の左右の層は積層一体化されていることを意味する。)等が知られている。
また、画像表示面の前面には、電磁波遮蔽機能以外に通常、様々な機能を有する光学機能層やハードコート層などの防擦傷機能を有する機能層を設けることが求められる。例えば、外部光源から照射された光線による反射を少なくし、その視認性を高めるために、透明基材に反射防止層を形成させた光学機能層を利用することが一般になされている。この他、上記光学機能層としては、例えば、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、紫外線吸収機能等の様々な機能を有する層が設けられている。このような光学機能層は、通常、電磁波シールドフィルタに積層することにより得られる複合フィルタの形態でディスプレイの前面に設置される。
当該機能層を金属メッシュ面に積層する際には、予め平坦化樹脂と称呼される透明樹脂でメッシュの開口部を充填して、金属メッシュ状領域の表面を平坦化した後、該平坦化層上に接着剤層を介して該機能層等を積層することが一般的である。これは、金属メッシュ層は開口部が凹んで凹凸面をなす為、機能層を接着剤によって直接積層すると、金属メッシュの開口部内に気泡が残留してしまい、該気泡の光散乱により、複合フィルタの曇値(ヘイズ)が上昇するという不具合を生じるからである。
従って、平坦化層は、通常、完成された複合フィルタをディスプレイ前面に装着した際に該ディスプレイの画像表示領域に対峙する部分に、限定的に設けられる。
電磁波シールドフィルタに機能層を積層する方法としては、例えば、電磁波シールドフィルタの平坦化層上に機能層/透明基材を積層する方法がある。
しかし、この方法では機能層/透明基材を平坦化層の大きさに合わせて枚葉化したり、枚葉化したものを位置合わせしたりして積層しなければならないため、生産効率に問題があった。更に、機能層の形成の為に用いられる透明基材が複合フィルタの層構成に含まれる分、複合フィルタの厚みが増すという問題がある。
また、機能層の透明基材が複合フィルタの層構成に含まれないような複合フィルタを製造する方法として、例えば特許文献1には、透明基材の片方の面上に設けられた電磁波を遮蔽するための金属パターン層(金属メッシュ層)上面に平坦化剤を塗布し、更に塗布した平坦化剤の上面に反射防止剤を塗布する方法が開示されている。
このように平坦化層の上に直接、機能層用塗工組成物を塗工することにより複合フィルタを得る方法の場合塗工ムラが生じやすく、機能層表面の平滑性が問題となる。表面を平滑にするためには、通常レベリング剤が用いられるが、当該表面にレベリング剤が付着した状態では表面ムラになり、また、剥離の原因になる場合があるため、レベリング剤の選定は困難なものであった。
また、平坦化層が部分的に設けられている場合には、平坦化層との位置合わせを行いながら機能層の材料を部分的に塗工しなければならないため、生産効率に問題がある。
一方、特許文献2には、印刷製版工程で使用される原版、広告、看板等の各種表示板、或いは、看板印刷物、写真等の保護を目的として、支持体上に、マット化された離型層が形成され、その上に表面保護層と接着層が形成されていることを特徴とする表面保護層付与シート、及び当該表面保護層付与シートを転写することにより、各種フィルム、シート或いはプレート等の表面に保護層を付与する方法が開示されている。
特開平11−337702号公報 実公平5−45474号公報
本発明は、電磁波シールドフィルタに機能層を積層したディスプレイ用複合フィルタの製造方法であって、表面平坦性が高く、且つ厚みが薄い複合フィルタを得ることが可能な、生産性が高いディスプレイ用複合フィルタの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るディスプレイ複合フィルタの製造方法は、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色調調整機能、紫外線吸収機能、反射防止機能、防擦傷機能のいずれか1種又は2種以上の機能を有する機能層と、電磁波シールドフィルタとを有するディスプレイ用複合フィルタの製造方法であって、支持基材と該支持基材上に剥離可能に形成されている機能層とを少なくとも有する転写体と、ポリエチレンテレフタレートに対する25℃での密着強度が5N/25mm以上である平坦化層を最表面に有する電磁波シールドフィルタからなる被転写体とを用いて、前記転写体の前記機能層側と、前記被転写体の前記平坦化層側とを重ね合わせ、前記転写体から少なくとも前記機能層を前記被転写体の平坦化層上に転写する工程を有することを特徴とする。
本発明に係るディスプレイ複合フィルタの製造方法においては、被転写体として、所定の密着強度を有する平坦化層を最表面に有する電磁波シールドフィルタと、転写体として、支持基材上に剥離可能に形成されている機能層とを組み合わせることにより、転写工程を含む製造方法が可能となるため、電磁波シールドフィルタ上に機能層の原料である塗工液を直接塗工、乾燥する工程を含む製造方法に比べて生産性が高く、得られる複合フィルタの表面の平坦性が高くなる。また、得られる複合フィルタは機能層に透明基材を含まない構成とすることができるため、複合フィルタの厚みを薄くすることができる。
また、本発明に係るディスプレイ用複合フィルタの製造方法は、前記被転写体において、前記平坦化層は前記電磁波シールドフィルタ表面の一部に設けられたものであり、前記転写体の前記機能層側と、前記被転写体の前記平坦化層側とを重ね合わせた後、該転写体から支持基材を剥離する際に、前記機能層が、平坦化層形成領域の外端部において、破断することにより、前記平坦化層表面上には機能層が転写され、前記平坦化層を有しない電磁波シールドフィルタ表面には機能層が転写されない工程を有することが好ましい。
このような工程を有する場合には、転写体を枚葉化して、平坦化層との位置合わせをしながら積層する必要がないため、上記工程を有する複合フィルタの製造方法は生産効率が特に向上する。また、被転写体の平坦化層表面上には機能層が転写され、被転写体の平坦化層を有しない電磁波シールドフィルタ表面には機能層が転写されないため、当該平坦化層を有しない電磁波シールドフィルタ表面は接地用領域として使用することができる。
本発明に係るディスプレイ用複合フィルタの製造方法の一実施形態として、前記転写体が、前記支持基材上に剥離可能に形成されている反射防止層及び/又は防擦傷層を少なくとも有することが好ましい。
また、本発明に係るディスプレイ用複合フィルタの製造方法においては、更に、前記平坦化層を光及び/又は熱により硬化させる工程を有することが好ましい。これにより、平坦化層と機能層との密着性、及び平坦化層の硬度を向上させることができる。
本発明によれば、電磁波シールドフィルタに機能層を積層したディスプレイ用複合フィルタの製造方法であって、表面平坦性が高く、且つ厚みが薄い複合フィルタを得ることが可能な、生産性が高い複合フィルタの製造方法を提供することができる。
本発明に係るディスプレイ複合フィルタの製造方法は、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色調調整機能、紫外線吸収機能、反射防止機能、防擦傷機能のいずれか1種又は2種以上の機能を有する機能層と、電磁波シールドフィルタとを有するディスプレイ用複合フィルタの製造方法であって、支持基材と該支持基材上に剥離可能に形成されている機能層とを少なくとも有する転写体と、ポリエチレンテレフタレートに対する25℃での密着強度が5N/25mm以上である平坦化層を最表面に有する電磁波シールドフィルタからなる被転写体とを用いて、前記転写体の前記機能層側と、前記被転写体の前記平坦化層側とを重ね合わせ、前記転写体から少なくとも前記機能層を前記被転写体の平坦化層上に転写する工程を有することを特徴とする。
本発明に係るディスプレイ複合フィルタの製造方法においては、被転写体として、所定の密着強度を有する平坦化層を最表面に有する電磁波シールドフィルタと、転写体として、支持基材上に剥離可能に形成されている機能層とを組み合わせることにより、転写工程を含む製造方法が可能となるため、電磁波シールドフィルタ上に機能層の原料である塗工液を直接塗工、乾燥する工程を含む製造方法に比べて生産性が高く、得られる複合フィルタの表面の平坦性が高くなる。また、得られる複合フィルタは機能層に透明基材を含まない構成とすることができるため、複合フィルタの厚みを薄くすることができる。
以下、図を用いながら本発明の複合フィルタの製造方法の一例を説明する。
図1(A)のように、支持基材16上に機能層19を剥離可能に形成して、転写体1を得る。次に図1(B)のように、透明基材11を準備し、その上に金属メッシュ層14、更に平坦化層15を順に積層することにより電磁波シールドフィルタからなる被転写体2を得る。
次に、図1(C)〜(E)のような転写工程を経て複合フィルタ3を得る。すなわち、上記転写体1の機能層19側と被転写体2の平坦化層15側とを重ね合わせ、図1(D)のような積層体を得て、更に図1(E)のように転写体1から支持基材16を剥離し、図1(F)のように複合フィルタ3を得る。
上記工程において、転写体及び被転写体の形状は特に限定されないが、例えば、図2のように接地用の額縁部20を有する金属メッシュ層14の実質的に金属メッシュ領域21のみに平坦化層15を積層し、更に、平坦化層15と同程度の面積を有する機能層19を位置合わせしながら転写する態様が挙げられる。
また、好ましい実施態様として、図3のように、被転写体2において、金属メッシュ層が接地用の額縁部20を有する場合であって、平坦化層15は電磁波シールドフィルタ表面の一部、すなわち、実質的に金属メッシュ領域21のみに設けられたものであり、転写体1の機能層19側と、被転写体2の平坦化層15側とを重ね合わせた後、転写体1から支持基材16を剥離する際に、機能層19が平坦化層15と積層する領域22(平坦化層形成領域22)と積層しない領域23との境界24で破断することにより、前記平坦化層15表面上には機能層19が転写され、前記平坦化層を有しない電磁波シールドフィルタ表面(接地用の額縁部)20には機能層が転写されない工程を有するディスプレイ用複合フィルタの製造方法が挙げられる。
この工程においては、平坦化層15は、ポリエチレンテレフタレートに対する25℃での密着強度が5N/25mm以上という高密着性を有するため、平坦化層15表面上にのみ、機能層19が接着されて支持基材16から剥離する。一方、平坦化層を有しない表面には機能層が接着されないため、支持基材16から剥離せず、平坦化層15の有無の境界で機能層19が破断する。このような工程を有する場合には、平坦化層15の有無の境界24で破断することにより、平坦化層15表面上のみに機能層19を積層することができるので、平坦化層15表面上のみに積層するために機能層19を枚葉化する工程や枚葉化した機能層19を位置合わせした上で貼りつける工程が不要となるので、従来に比べて極めて生産効率が向上する。また、前記平坦化層を有しない電磁波シールドフィルタ表面には機能層が転写されないため、当該平坦化層を有しない電磁波シールドフィルタ表面は接地用領域として使用することができる。
なお、上記平坦化層が設けられている電磁波シールドフィルタ表面の部分には、通常、完成された複合フィルタをディスプレイ前面に装着した際に該ディスプレイの画像表示領域に対峙する領域全体が含まれる。
この機能層を破断して転写する方法では、機能層の破断部分が必ずしも直線状にならない場合もあるが、通常、完成された複合フィルタをディスプレイ前面に装着した際に該ディスプレイの画像表示領域に対峙する領域全体よりも大きな範囲で平坦化層を積層していることから、平坦化層の有無の境界(平坦化層形成領域の外端部)で破断した機能層の破断部分が当該表示領域にかかることは通常ない。
上記平坦化層の有無の境界で破断して転写する態様の場合には、上記機能層の厚みは5μm以下であることが、上記画像表示領域に対峙する領域の機能層を破損することなく、上記平坦化層の有無の境界で破断しやすくなる点から、好ましい。また、上記平坦化層の有無の境界で破断して転写する態様の場合には、支持基材には離型性に優れるものが用いられるので、上記転写される機能層は支持基材を含まない。
本発明において、転写する方法は常温で感圧転写によるものが、生産性の点から好ましい。
感圧転写とは、上記転写工程において、転写体と被転写体を積層する際に、両シートの接着面の反対側の面から圧力をかけることにより一体化させる方法のことである。この転写方法を用いる場合は、上記平坦化層の材料として粘着剤(感圧性接着剤)を用いる必要がある。
被転写体の平坦化層に転写体の機能層側を転写し、複合フィルタを製造する具体的な方法としては、特に限定されないが、例えば加圧ロール等の加圧部分を備えるラミネーターを用いて、両シートの接着面の反対側の面から加圧することにより重ね合わせ、更に支持基材を剥離して複合フィルタを得る方法が挙げられる。
ラミネーターは、ロール式、平板式等、電磁波シールドフィルタ及び粘着性光学フィルタに対して加圧することができるものであればかまわないが、ロールツーロール方式に対応すること及び連続生産が可能な点からロール式ラミネーターを用いることが好ましい。
積層時の加圧は特に限定されないが、例えばロール式ラミネーターを用いる場合、線圧で1〜20kgf/cmが好ましい。積層時の加圧部分の温度も特に限定されないが、平坦化層の材料により適宜選択することが好ましい。また、熱による光学フィルタの劣化防止、光熱費及び設備投資の節減、作業時の安全性確保等の観点から、低温であるほうが好ましく、25〜80℃程度が好ましい。
また、本発明に係る製造方法においては、更に、平坦化層を光及び/又は熱により硬化させる工程を有していてもよい。この場合は、平坦化層と機能層との密着性、及び平坦化層の硬度を向上させることができるというメリットがある。例えば、上記転写工程により得られる複合フィルタ3は、図4に示されるように、転写工程後に平坦化層を光及び/又は熱により硬化させる工程を有していてもよい。また、転写工程中の転写体と被転写体を積層した積層体に対して光及び/又は熱により硬化させて、その後転写体の支持基材を剥離しても良い。
本発明において、光硬化するために用いられる照射光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
例えば、平坦化層に紫外線硬化性樹脂を含有する場合、照射工程の紫外線の照度としては40mW/cm以上1200mW/cm以下が好ましく、特に400mW/cm以上600mW/cm以下であることがより好ましい。また照射工程の照射時間は、0.1〜20秒間が好ましく、0.1〜5秒間であることがより好ましい。このような照射工程は、通常、機能層19の面側から行なうことが好ましい。更に機能層19の面側から照射するだけでなく、透明基材11の面側から合わせて照射しても良い。
また、上記転写工程中の転写体と被転写体を積層した積層体に対して光硬化工程を行う場合には、転写体の支持基材16が上記照射光に対して透過性を有する基材を用いるようにする。
平坦化層に熱により架橋を行う架橋剤を含有している場合には、上記照射工程後に、更に用いられた架橋剤に合わせて適宜加熱工程を有することが好ましい。
以下、本発明の複合フィルタの製造方法に係る各構成について説明する。
1.転写体
転写体は、支持基材と当該支持基材上に剥離可能に形成されている機能層とを少なくとも有する。
[支持基材]
支持基材には、機能層を形成するために必要なシート状のフィルムを用いる。支持基材の材料は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などのスチレン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、イミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂等を用いることができる。無色な基材に限らず、着色した基材であっても良い。
尚、機能層を剥離可能とするためには、支持基材上に離型層を設けてもよい。離型層は、転写するときには支持基材上に残り、剥離を安定化するものであるが、同時に転写面の表面形状や物理的特性である光沢を設定することができるものである。離型層の材料は、一般的には、支持基材と接着するとともに、離型性をよくするもので、電離放射線硬化型樹脂を含むアクリルウレタン樹脂、アミノアルキッド等よりなるワニスに、離型性を持たせるシリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ワックス、界面活性剤等を加えたものを、通常の工程で塗布して形成することができる。また、転写した表面の光沢を調整する目的で、無機あるいは有機の微粒子をマット化剤として加えることもある。
[機能層]
本発明の複合フィルタを構成する機能層は特に限定されないが、近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、色調調整層、紫外線吸収層、反射防止層、更に防擦傷層(以下、ハードコート層と称する)等が挙げられる。機能層は1層でも2層以上でもよく、各層が複数の異なる機能を兼ね備えていても良い。
また、各機能層間に、それぞれ粘着剤層が設けられていても良い。
機能層は、少なくとも反射防止層を有することが好ましく、反射防止層及びハードコート層を有することが好ましい。
例えば、電磁波シールドフィルタ/平坦化層/ハードコート層/近赤外吸収層/反射防止層と積層したい場合には、転写体としては、支持基材上に剥離可能に反射防止層/近赤外吸収層/ハードコート層の順で積層して形成する。
以下、各機能層について説明する。
(反射防止層)
画像表示装置表面での外来光の鏡面反射による背景の映り込み、画像の白化、及び画像コントラスト低下を低減する為の手段として、本発明の複合フィルタの最上層には、所謂防眩層及び/又は所謂反射防止層を形成することが好ましい。前者の防眩層としては、磨りガラスのように光を散乱もしくは拡散させて外来光による背景像をボカス手法である。
すなわち、前者の手法において光を散乱もしくは拡散させるためには、光の入射面を粗面化することが基本であり、この粗面化処理には、サンドブラスト法やエンボス法等により基体表面を直接粗面化する方法、基体表面に放射線、熱の何れかもしくは組み合わせにより硬化する樹脂中にシリカなどの無機フィラーや、樹脂粒子などの有機フィラーを含有させた粗面化層を設ける方法、及び基体表面に海島構造による多孔質膜を形成する方法を挙げることができる。
また、後者の反射防止層としては、屈折率の高い材料と低い材料を交互に積層し、最表面が低屈折率層となる様に多層化(マルチコート)し、各層界面での反射光を干渉によって相殺することで、表面の反射を抑え、良好な反射防止効果を得る手法であり、所謂狭義の反射防止層である。
この反射防止層は、通常、MgF、SiOに代表される低屈折率材料と、TiO、ZrO等の高屈折率材料とを交互に蒸着等により成膜する気相法等によって形成される。
反射防止効果を向上させるためには、反射防止層の最表面側に配置される低屈折率層の屈折率は、1.49以下であることが好ましい。これらの特徴を有する材料としては、例えばLiF(屈折率n=1.4)、MgF(屈折率n=1.4)、3NaF・AlF(屈折率n=1.4)、AlF(屈折率n=1.4)、NaAlF(屈折率n=1.33)、SiO(屈折率n=1.45)等の無機材料を微粒子化し、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂等に含有させた無機系低反射材料、フッ素系・シリコーン系の有機化合物、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、放射線硬化型樹脂等の有機低反射材料を挙げることができる。
さらに、5〜30nmのシリカ超微粒子を水もしくは有機溶剤に分散したゾルとフッ素系の皮膜形成剤を混合した材料を使用することもできる。該5〜30nmのシリカ超微粒子を水もしくは有機溶剤に分散したゾルは、ケイ酸アルカリ塩中のアルカリ金属イオンをイオン交換等で脱アルカリする方法や、ケイ酸アルカリ塩を鉱酸で中和する方法等で知られた活性ケイ酸を縮合して得られる公知のシリカゾル、アルコキシシランを有機溶媒中で塩基性触媒の存在下に加水分解と縮合することにより得られる公知のシリカゾル、さらには上記の水性シリカゾル中の水を蒸留法等により有機溶剤に置換することにより得られる有機溶剤系のシリカゾル(オルガノシリカゾル)が用いられる。これらのシリカゾルは水系及び有機溶剤系のどちらでも使用することができる。有機溶剤系シリカゾルの製造に際し、完全に水を有機溶剤に置換する必要はない。前記シリカゾルはSiO2として0.5〜50重量%濃度の固形分を含有する。シリカゾル中のシリカ超微粒子の構造は球状、針状、板状等様々なものが使用可能である。また、皮膜形成剤としては、アルコキシシラン、金属アルコキシドや金属塩の加水分解物や、ポリシロキサンをフッ素変性したものなどを用いることができる。
低屈折率層は、上記で述べた材料を例えば溶剤に希釈し、スピンコーティング、ロールコーティングや印刷等によるウェットコーティング法や、真空蒸着、スパッタリング、プラズマCVD、イオンプレーティング等による気相法で、後述の高屈折率層上に設けて乾燥後、熱や放射線(紫外線の場合は光重合開始剤を使用する)等により硬化させることによって得ることができる。
高屈折率層の形成は、屈折率を高くするために高屈折率のバインダ樹脂を使用するか、高い屈折率を有する超微粒子をバインダ樹脂に添加することによって行なうか、あるいはこれらを併用することによって行なう。高屈折率層の屈折率は1.55〜2.70の範囲にあることが好ましい。
高屈折率層に用いる樹脂については、透明なものであれば任意の樹脂が使用可能であり、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、放射線(紫外線を含む)硬化型樹脂などを用いることができる。熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を用いることができ、これらの樹脂に、必要に応じて架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を加えることができる。
高い屈折率を有する超微粒子としては、例えば、紫外線遮蔽の効果をも得ることができる、ZnO(屈折率n=1.9)、TiO2(屈折率n=2.3〜2.7)、CeO2(屈折率n=1.95)の微粒子、また、帯電防止効果が付与されて埃の付着を防止することもできる、アンチモンがドープされたSnO2(屈折率n=1.95)又はITO(屈折率n=1.95)の微粒子が挙げられる。その他の微粒子としては、Al23(屈折率n=1.63)、La23(屈折率n=1.95)、ZrO2(屈折率n=2.05)、Y23(屈折率n=1.87)等を挙げることができる。これらの微粒子は単独又は混合して使用され、有機溶剤又は水に分散したコロイド状になったものが分散性の点において良好であり、その粒径としては、1〜100nm、塗膜の透明性から好ましくは、5〜20nmであることが望ましい。
高屈折率層を設けるには、上記で述べた材料を例えば溶剤に希釈し、スピンコーティング、ロールコーティング、印刷等の方法で低屈折率層が設けられた支持基材の低屈折率層上に設けて乾燥後、熱や放射線(紫外線の場合は光重合開始剤を使用する)等により硬化させればよい。
また反射防止層中に、後述の近赤外線吸収色素、及び/又は、ネオン光吸収色素を1種以上含有させてもよい。その場合、800nm〜1100nmの波長域における光線透過率が20%以下、中でも15%以下、560〜630nmの波長域における光線透過率が30%以下、中でも25%以下であることが好ましい。さらに樹脂が水酸基価及び酸価が所定の値以下でなければならない。これにより、上記樹脂に含まれる水酸基及び酸価により近赤外線吸収色素、及び/又は、ネオン光吸収色素が反応すること等を防ぐことができ、安定に近赤外線吸収能、及び/又は、ネオン光吸収機能を発揮することが可能なものとなる。また、反射防止層に紫外線遮蔽機能をもたらす点から、反射防止層中に紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。
(近赤外線吸収層)
近赤外線吸収層は、基本的には、透明バインダ樹脂中に、近赤外線を吸収する近赤外線吸収色素を有するものである。
近赤外線吸収色素としては、複合フィルタの代表的な用途であるプラズマディスプレイパネルの前面に適用される場合、プラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際に生じる近赤外線領域、即ち、800nm〜1100nmの波長域を吸収するもの、該帯域の近赤外線の透過率が20%以下、更に15%以下であることが好ましい。同時に近赤外線吸収層は、可視光領域、即ち、380nm〜780nmの波長域で、十分な光線透過率を有することが望ましい。
近赤外線吸収色素としては、具体的には、ポリメチン系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、アミニウム系化合物、ピリリウム系化合物、セリリウム系化合物、スクワリリウム系化合物、銅錯体類、ニッケル錯体類、ジチオール系金属錯体類の有機系近赤外線吸収色素、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンモン、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化ランタン、酸化タングステン等の無機系近赤外線吸収色素、を1種、又は2種以上を併用することができる。
また、酸化タングステン等の他に、複合タングステン酸化物(タングステン酸化物に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、I、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選抜される1種以上の元素を複合したもの)を用いることもできる。
種類や添加量は、近赤外線吸収色素の吸収波長や吸収係数や、色調及びディスプレイ用前面板に要求される透過率などによって適宜選択すればよい。例えば、近赤外線吸収剤の添加量は、層中に0.1〜15重量%程度添加し、それらの近赤外線吸収剤を紫外線から保護するために、層中にベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤を含ませてもよく、紫外線吸収剤の添加量は、層中に0.1〜10重量%程度である。
上記透明バインダ樹脂としては熱可塑性樹脂が好ましく、さらに好ましくは、極性の高い官能基を持たない合成樹脂や、また極性の高い官能基を持っている官能基数の少ない合成樹脂である。好ましい熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ウレタン系樹脂、又はポリエステル樹脂である。該熱可塑性樹脂は色素の溶解性や安定維持性、及び着色剤の機能耐久性の点で良好である。さらに樹脂の水酸基価、及び/又は、酸価が各々10以下でなければならない。これにより、上記樹脂に含まれる水酸基及び酸基により近赤外線吸収色素等が反応すること等を防ぐことができ、安定に近赤外線吸収機能等を発揮することが可能なものとすることができる。
近赤外線吸収層の製造方法は、PETフィルム等の離型フィルム上に近赤外線吸収色素含有インクをグラビアリバース法等により塗工(例えば10g/m2)することにより、離型フィルム/近赤外線吸収色素/離型フィルムからなる積層シートを得た後、適宜、反射防止層上等に積層する。
(ネオン光吸収層)
ネオン光吸収層は、機能層がプラズマディスプレイ用として用いられる際に、プラズマディスプレイパネルから放射されるネオン光、即ちネオン原子の発光スペクトルを吸収するべく設置される。ネオン光吸収層の光線透過率は波長560〜630nmにおいて30%以下、中でも25%以下になるように設計することが好ましい。ネオン光吸収層は、少なくとも570〜610nmの波長領域内に吸収極大を有する色素として従来から利用されてきた色素を近赤外線吸収層のところに挙げたようなバインダ樹脂に分散させて形成することができる。該色素の具体例としては、シアニン系、オキソノール系、メチン系、サブフタロシアニン系もしくはテトラアザポルフィリンなどのポルフィリン系等を挙げることができる。
(色調調整層)
色調調整層は、パネルからの発光の色純度や色再現範囲、電源OFF時のディスプレイ色などの改善の為にディスプレイ用フィルタの色を調整するため設置される。可視領域である380〜570nm若しくは610〜780nmに最大吸収波長を有する公知の色素から、目的に応じて任意に色素を組み合わせて使用することができる。色調調整色素として用いることのできる公知の色素としては、特開2000−275432号公報、特開2001−188121号公報、特開2001−350013号公報、特開2002−131530号公報等に記載の色素が好適に使用できる。更にこのほかにも、黄色光、赤色光、青色光等の可視光を吸収するアントラキノン系、ナフタレン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の色素を使用することができる。
(紫外線吸収層)
また、紫外線吸収層としては、例えば、紫外線吸収剤をバインダ樹脂に分散させて形成することができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等の有機系化合物、微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム等からなる無機系化合物からなるものが挙げられる。当該バインダ樹脂としては、上記近赤外線吸収層のところに挙げたような樹脂を用いることができる。
(防擦傷層)
防擦傷層(ハードコート層)としては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートプレポリマー、或いは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーを単独で或いはこれらの中から2種以上選択して組み合わせて配合した電離放射線硬化性樹脂を用いた塗膜として形成するとことができる。なおここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する複合的表記である。
2.電磁波シールドフィルタ
電磁波シールドフィルタは、プラズマディスプレイ等から発生した電磁波を遮蔽する機能を有するものであり、通常、透明基材、接着剤層又は粘着剤層(図示していない)、金属メッシュ層がこの順に積層された積層構造を有するものである。本発明においては、当該積層構造を有する電磁波シールドフィルタを中心として説明するが、電磁波シールドフィルタであれば層構成は特に限定されるものではない。また、本発明においては、特に、ポリエチレンテレフタレートに対する25℃での密着強度が5N/25mm以上である平坦化層を最表面に有する。
[透明基材]
透明基材は電磁波シールドフィルタを構成する一部の層であり、接着剤層又は粘着剤層を介して金属メッシュ層を積層するための基材となる層である。本発明に用いられる透明基材は透明性を有し、かつ接着剤層又は粘着剤層が形成可能であれば、その種類等は特に限定されるものではなく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、環状ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルケトンからなるフィルムで可視領域の光線透過率が80%以上のフィルムが挙げられる。
これらのフィルムは本発明の目的を妨げない程度であれば着色していてもよく、さらに単層で使うこともできるが、2層以上組み合わせた多層フィルムとして使ってもよい。中でも透明性、耐熱性、コストや取扱い性の面等から、PETが最も好ましい。可視領域の光線透過率はできる限り高いことが望ましいが、これは最終製品としては50%以上の光線透過率が必要なことから最低2枚を積層する場合でも透明基材としては80%を有すれば目的に適うからである。透過率が高ければ高いほど透明基材を複数枚積層できるため、光線透過率は好ましくは85%以上、最も好ましくは90%以上であり、このために厚さを薄化するのも有効な手段である。この透明基材の厚さは、透明性さえ満足すれば特に制限されるものではないが、加工性上からは12μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。厚さ12μm未満の場合はフィルムが柔軟過ぎ、導電層である金属メッシュ層の成膜や加工する際の張力により伸張やシワが発生しやすく、そのため金属メッシュ層の亀裂や剥離が生じやすく適さない。300μmを超えるとフィルムの可撓性が減少し、各工程での連続巻き取りが困難で適さない。さらに複数枚を積層する際は加工性が大幅に劣るといった問題もある。
[接着剤層又は粘着剤層]
接着剤層又は粘着剤層(図示していない)は、透明基材と金属メッシュ層とを接着するのに用いられる層である。接着剤層又は粘着剤層は、金属メッシュ層と透明基材とを接着することが可能な層であれば、その種類等は特に限定されるものではないが、本発明においては、上記金属メッシュ層を構成する金属箔及び透明基材を接着剤層又は粘着剤層を介して貼り合わせた後、金属箔をエッチングによりメッシュ状とすることから、接着剤層又は粘着剤層も耐エッチング性を有することが好ましい。具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール単独もしくはその部分ケン化品、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンエステル樹脂等が挙げられる。また、本発明に用いられる接着剤層又は粘着剤層は、紫外線硬化型であってもよく、また熱硬化型であってもよい。特に、透明基材との密着性や、近赤外線吸収色素、及び/又は、ネオン光吸収色素との相溶性、分散性などの観点からアクリル樹脂もしくはポリエステル樹脂が好ましい。
また、接着剤層又は粘着剤層中に、近赤外線吸収色素、及び/又は、ネオン光吸収色素を1種以上含有させてもよい。その場合、800nm〜1100nmの波長域における光線透過率が20%以下、中でも15%以下、560〜630nmの波長域における光線透過率が30%以下、中でも25%以下、であることが好ましい。さらに樹脂の水酸基価及び酸価が各々10以下でなければならない。これにより、上記樹脂に含まれる水酸基及び酸により近赤外線吸収色素、及び/又は、ネオン光吸収色素が樹脂中の反応基と反応すること等を防ぐことができ、安定に近赤外線吸収、及び/又は、ネオン光吸収機能を発揮することが可能なものとすることができる。
接着剤層又は粘着剤層を介してドライラミネーション法等により透明基材と金属メッシュ層を形成するための金属箔とを接着することができる。また、この接着剤層又は粘着剤層の膜厚が0.5μm〜50μmの範囲内、中でも1μm〜20μmであることが好ましい。これにより、透明基材及び金属メッシュ層とを強固に接着することができ、また、金属メッシュ層を形成するエッチングの際に透明基材が酸化鉄等のエッチング液の影響を受けること等を防ぐことができるからである。
[金属メッシュ層]
金属メッシュ層は、積層構造の電磁波シールドフィルタを構成する一部の層である。電磁波シールドフィルタを構成する各層のうち、金属メッシュ層は、特に、プラズマディスプレイ等から発生した電磁波を遮蔽する機能を有する。このような金属メッシュ層は、上述の透明基材上に、接着剤層又は粘着剤層により金属箔が貼り合わせられ、その金属箔がメッシュ状にエッチングされることにより形成される。本発明においては、この金属メッシュ層は、電磁波遮蔽性を有するものであれば、その金属の種類等は特に限定されるものではなく、例えば銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、金、銀、ステンレス、タングステン、チタン等を用いることができる。本発明においては、上記の中でも銅が、電磁波のシールド性、エッチング処理適性や取扱い性の面から好ましい。また用いられる銅箔の種類としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられるが、特に、電解銅箔であることが好ましい。これにより、厚さが10μm以下の均一性のよい金属メッシュ層とすることができ、また、金属メッシュ層の表面に黒化処理が施された際に、酸化クロム等との密着性を良好なものとすることができるからである。
ここで、本発明においては、上記金属箔の一方の面又は両面に黒化処理されていることが好ましい。黒化処理とは、酸化クロム等により金属メッシュ層の表面を黒化する処理であり、機能層において、この酸化処理面は、観察者側の面、或いは観察者側とは反対の面となるように配置される。この黒化処理により金属メッシュ層表面に形成された酸化クロム等により、機能層表面の外光が吸収されることから、機能層表面で光が散乱することを防止することができ、良好な透過性を得ることが可能な機能層とすることができるのである。光の散乱を防止する観点からは、酸化処理面は、観察者側の面にある方が好ましい。このような黒化処理は、上記金属箔に黒化処理液を塗布することにより行なうことができる。
黒化処理の方法としては、CrO2水溶液や、無水クロム酸水溶液に酒石酸、マロン酸、クエン酸、乳酸等の異なるオキシカルボン酸化合物を添加して、6価クロムの一部を3価クロムに還元した溶液等を、ロールコート法、エアーカーテン法、静電霧化法、スクイズロールコート法、浸漬法等により塗布し、乾燥させることにより行なうことができる。なお、この黒化処理は、透明基材上に、接着剤層又は粘着剤層により金属箔が貼り合わせられ、メッシュ状にエッチングされた後に行なわれるものであってもよい。
この黒化処理された金属箔の表面の黒濃度が0.6以上であることが好ましい。これにより、より非視認性を良好なものとすることができるからである。ここで、黒濃度は、COLOR CONTROL SYSTEMのGRETAG SPM100−11((株)KIMOTO製)を用いて、観測視野角10°、観測光源D50、照明タイプとして濃度標準ANSI Tに設定し、白色キャリブレイション後に測定した値である。
また、上記金属箔の膜厚は、1μm〜100μmの範囲内、中でも5μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲より膜厚が厚いと、エッチングによりパターン線幅を細かく高精細化することが困難となり、また上記範囲より膜厚が薄い場合には、十分な電磁波シールド性が得られないからである。
さらに、上記金属箔は、JIS B0601に準拠する十点平均粗さが0.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲より小さい場合には、上記黒化処理をした場合であっても、機能層表面の外光が鏡面反射することから、視認性が劣化し、また上記範囲より大きい場合には、接着剤やレジスト等を塗布することが困難となるからである。
ここで、金属箔のエッチングは、後述する透明基材上に、接着剤層又は粘着剤層を介して金属箔が貼り合わせられた後に行なわれるものである。このエッチングは、通常のフォトリソグラフィー法により行なうことができ、例えば金属箔の表面にレジストを塗布し、乾燥した後、レジストをパターン版で密着露光し、現像処理を行なうことにより得ることができる。
本発明に用いられる上述したような金属メッシュ層は、表面抵抗が10−6Ω/□〜5Ω/□の範囲内、中でも10−4Ω/□〜3Ω/□の範囲内であることが好ましい。一般的に、電磁波遮蔽性は、表面抵抗により測定することができ、この表面抵抗が低いほど、電磁波遮蔽性が良好なものということができる。ここで、上記表面抵抗の値は、表面抵抗測定装置ロレスターGP、(株)ダイヤインスツルメンツ製にてJIS K7194「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験法」に記載される方法にて測定された値である。
このエッチング処理された後の金属メッシュ層は、50μm〜500μmの範囲内、中でも100μm〜400μmの範囲内、特に200μm〜300μmの範囲内であることが好ましく、またメッシュ線幅が5μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。メッシュ線幅が上記範囲より細かい場合には、断線が起こる場合があり、電磁波遮蔽性の面から好ましくなく、またメッシュ線幅が上記範囲より太い場合には、可視光の透過率が低く、例えばプラズマディスプレイの輝度が低くなる等という面から好ましくないからである。
[平坦化層]
上記金属メッシュ層の開口部と非開口部とが凹凸をなしているので、平坦化層は、これらを平坦化することを目的として金属メッシュ層上に、樹脂を金属メッシュ層の厚み以上の厚みに表面が平坦となるように積層して形成されるものである。
本発明に係る平坦化層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)に対する25℃での密着強度が5N/25mm以上であり、好ましくは10N/25mm以上である。上記密着強度を付与するために、平坦化層は1層からなることが好ましいが、下層が主として平坦化機能を担い、上層が密着強度を担うような2層以上からなるものであってもよい。
本発明における密着強度とは、以下の180°剥離試験を行い測定した値である。PETフィルム(東洋紡績(株)製、型番:A−4300 100μm)に対し、平坦化層を接着及び積層することにより得られる積層体について、これを幅25mmに切り、JIS Z 0237−00の試験に基づき、速度300mm/minで180°で剥離させて測定した値のことである。180°剥離試験は、例えばテンシロン万能試験機(エー・アンド・デイ社製、商品名「RTF−2350」)を用いて、行うことができる。
このような平坦化層を最表面に有する電磁波シールドフィルタを用いることにより、後に平坦化層上に機能層を重ねあわせることにより(適宜、加熱しながら)、機能層が平坦化層上に接着して、機能層を好適に転写することができる。
また、金属メッシュ層上に平坦化層を形成することによって、金属メッシュ層の凹凸を平坦化することができ、他の部材と貼りあわせた際等に、金属メッシュ層による凹凸によって機能層の透明性が低下することを防ぐことができる。また、上述した金属メッシュ層形成の際に行われるエッチングによって、上記接着剤層表面が劣化し、透明性が低下した場合であっても、その接着剤層上に平坦化層が形成されることから、透明性を改良することができ、さらに、平坦化層により金属メッシュ層の断面が覆われることから、金属メッシュを斜めから見た際にも乱反射を防止することができる。
このような平坦化層の材料(平坦化剤)は、上記密着強度を有するものであれば特に限定されないが、可視光に対して透明性を有することが好ましく、公知の粘着剤(感圧性接着剤)の中から適宜選択することができる。これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。転写工程において、加熱することなく常温で積層することができる点から25℃で上記密着強度を有する材料から選択して用いる。
また、更に光硬化性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂を混合して用いても良い。中でも、熱による機能層の劣化を防ぐ点から、光硬化性樹脂を用いることが好ましい。尚、この場合の密着強度とは、熱硬化前及び/又は光硬化前に上記180°剥離試験を行い、得られた値である。この場合、転写工程中、或いはその後、複合フィルタに光照射することにより、平坦化層と機能層との界面の接着力を向上させることができる。
本発明の転写工程において、感圧転写を行う場合、平坦化層としては接着の際には単に適度な、通常、軽く手で押圧する程度の加圧のみにより、表面の粘着性のみで接着可能な粘着剤を用いることが好ましい。このような粘着剤としては、特に制限は無く、公知の粘着剤として慣用されているものの中から、上記特定の密着強度(粘着性)、透明性、及び塗工適性を有し、本発明に係る複合フィルタの透過スペクトルを実質的に変化させることの無いものを適宜選択する。
粘着剤(感圧性接着剤)としては、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系共重合体、エチレン−カルボン酸エステル共重合体、水溶性ポリビニルアセタール樹脂、ブチラール樹脂、ホルマール樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリオレフィン、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、等を単独或いは混合して使用することができる。中でも、アクリル系樹脂が好ましい。
光硬化性樹脂としては、重合体、光重合性単量体、光開始剤等からなる光硬化性樹脂原料に光を照射して硬化された透明樹脂が挙げられる。それらのなかでもアクリル酸エステル系の樹脂が好ましい。重合体としては、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート等の重合体が挙げられ、中でもエポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレートが好ましい。
光重合性単量体としては、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレート、その他、2価以上のアルコールと相当するアクリル酸とのエステルである多官能アクリレートが挙げられ、中でも2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレートが好ましい。
光開始剤とは、紫外線を吸収して、重合反応を開始させるものであって、アセトフェノン類、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、テトラメチルウラムモノサルファイド、チオキサントン類が挙げられ、中でもアセトフェノン、ベンゾフェノンが好ましい。
また、上記例示した以外のものでも、PETに対する平坦化層の25℃での密着強度が5N/25mm以上となるものを適宜用いることができる。
また、平坦化層には、酸化防止剤を配合してもよい。この場合には、得られる複合フィルタの粘着剤層と金属メッシュ層との界面で、接着剤に含まれる酸成分によって金属メッシュ層が酸化され、色変化が起きるのを防ぐことができる。
更に、平坦化層には、所望に応じて、粘着付与剤、シランカップリング剤、充填剤等を配合することができる。
また、平坦化層には近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色調調整機能、紫外線吸収機能等の光学機能を付与するため、上述の機能層に添加する材料を1種以上含有させてもよい。このようにすることにより、複数の層の機能を1層で兼務し、且つこれを平坦化層とも統合することができるため、複合フィルタの総厚み、工程数、原価を低減することが可能となり、好ましい。その場合、近赤外線吸収機能を付与する為には、800nm〜1100nmの波長域における光線透過率が20%以下、中でも10%以下、ネオン光吸収機能を付与する為には、560〜630nmの波長域における光線透過率が30%以下、中でも25%以下となるようにすることが好ましい。又、紫外線吸収機能を付与する為には、380nm以下の波長域における光線透過率が10%以下とすることが好ましい。
本発明において、このような平坦化層の膜厚は、5〜40μmの範囲内であることが好ましい。この範囲にすることにより、特に、電磁波シールドフィルタと機能層とを積層する際に電磁波シールドフィルタにおける金属メッシュの凹凸を良好に平坦化することが可能となるからである。更に好ましくは、10〜30μmである。
本発明の複合フィルタの製造方法の具体例を更に示せば、連続帯状の機能層転写用シート機能層側と、連続帯状の電磁波シールドフィルタの平坦化層側を、ロール式ラミネーターを用いてロールツーロール方式で積層し、更に支持基材を剥離する方法が挙げられる。
図5は、ロール式ラミネーターを用いたロールツーロール方式の電磁波シールドフィルタと機能層転写用シートの接着転写工程の一例である。ラミネーターの第1給紙部31に離型フィルム/平坦化層/金属メッシュ層/透明基材からなる電磁波シールドフィルタを巻き取ったものを配置し、且つ第2給紙部32に支持基材/機能層/保護フィルムからなる機能層転写用シートを巻き取ったものを配置する。次いで第1給紙部31から、電磁波シールドフィルタを繰り出すと同時に離型フィルムを巻き取りロール33に巻き取り、一方、第2給紙部32から機能層転写用シートを繰り出すと同時に保護フィルムを巻取りロール34に巻取り、電磁波シールドフィルタと機能層転写用シートを第1ラミネートユニット35で、1対の加圧ローラ間に挟んで線圧約10kgf/cmのラミネート圧でラミネートし、次いで、第2ラミネートユニット36で約10kgf/cmのラミネート圧でラミネートすると同時に接着された機能層と支持基材の界面で剥離する。第2ラミネートユニット36から送りだされる複合フィルタは第3給紙部39から離型シートを積層しながら巻取りロール37に巻き取り、得ることができる。一方、支持基材は巻き取りロール38に巻き取られる。
ロールツーロール方式を用いる積層方法は生産効率が良く、低コストであるため好ましいが、電磁波シールドフィルタ及び機能層転写シートのいずれか一方、又は両方を枚葉形状として、各種ラミネーターを用いて積層しても良い。
なお、本発明のディスプレイ用複合フィルタの製造方法は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、実施例中、部は特に特定しない限り重量部を表す。なお、実施例において行った評価方法は以下のとおりである。
(1)平坦化層の密着強度
PETフィルム(東洋紡績(株)製、A−4300 厚み100μm)に対し、平坦化層を25℃で接着及び積層することにより得られる積層体について、これを幅25mmに切り、JIS Z 0237−00の試験に基づき、速度300mm/minで180°で剥離させて測定した。
(2)転写された機能層の破断の有無
転写の際に機能層が破断するか否かを目視にて確認した。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績(株)製、A−4300 厚み100μm)に対し、平坦化剤(荒川化学工業(株)社製、商品名「ビームセット 502H」)をマイヤーバー(番手:30番)を用いて塗工し、別のPETフィルム(東洋紡績(株)製、A−4300 厚み100μm)を、25℃で積層し、更に照度80W/cm(「Hバルブ」、フュージョン社製)の紫外線を4秒間照射して平坦化剤を硬化させて、PETフィルム/平坦化層/PETフィルムの積層体を得た。
得られた積層体について、上記の方法で平坦化層の密着強度を測定した。密着強度は18N/25mmだった。
(実施例2)
平坦化剤(荒川化学工業(株)製、商品名「ビームセット 505A−6」)をマイヤーバー(番手:30番)を用いてPETフィルム上に塗工し、更に、別のPETフィルム(東洋紡績(株)製、A−4300 厚み100μm)を、25℃で積層することにより積層体を得たこと以外は、実施例1と同様に積層体を得た。
得られた積層体について、上記の方法で平坦化層の密着強度を測定した。密着強度は14N/25mmだった。
(実施例3)
平坦化剤(荒川化学工業(株)製、商品名「ビームセット 550B」)をマイヤーバー(番手:30番)を用いてPETフィルム上に塗工し、更に、別のPETフィルム(東洋紡績(株)製、A−4300 厚み100μm)を、25℃で積層することにより積層体を得た。
得られた積層体について、上記の方法で平坦化層の密着強度を測定した。密着強度は9N/25mmだった。
実施例1乃至実施例3の結果から、平坦化層とPETフィルムとの間の密着強度は、何れも本発明で規定する5N/25mm以上であり接着性に優れることが分かった。
(実施例4)
1.被転写体の作製
まず、片面がクロメート処理により黒化処理されている、銅箔(古川サーキットフォイール製、EXP−WS:商品名、厚み9μm)と、PETフィルム(東洋紡績(株)製、商品名「A−4300」、厚み100μm)とを、ウレタン系接着剤(Tg20℃、平均分子量3万、酸価1、水酸基価9)にてロールツーロール方式でドライラミネーション加工し貼り合わせた後、上記銅箔上にレジストを塗布後、露光、現像、エッチング、レジスト除去をロールツーロール方式で行なうことにより開口部の縦・横の長さがそれぞれ300μm、線幅10μmの金属メッシュを形成することにより電磁磁波シールドフィルタ(平坦化層未形成)を得た。なお、この際黒化処理面はプラズマディスプレイパネルが製造される場合、見る側(人間側)になるように設置するものである。
2.転写体(反射防止層/支持基材)の作製
支持基材として、藤森工業(株)製、商品名「DG2.5」を準備した。当該支持基材の離型処理面に、AlF(屈折率n=1.4)を微粒子化し、アクリル系樹脂塗工液(下記参照)に含有させた無機系低反射材料をロールツーロール方式のダイコーターを用いて、塗工幅1000(mm)で連続塗工し、更に照度80W/cm(「Hバルブ」、フュージョン社製)の紫外線を4秒間照射して光硬化して、平均厚み3μmの反射防止層を機能層として設けた転写体を得た。
アクリル系樹脂塗工液
ペンタエリスリトールトリアクリレート 100重量部
イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)) 4重量部
プロピオン酸セルロース 1.25重量部
シリコーン(レベリング剤) 0.1重量部
3.転写工程
前述した電磁波シールドフィルタ(平坦化層未形成)の黒化処理面側に、実施例1で用いた平坦化剤(荒川化学工業(株)社製、商品名「ビームセット 502H」)をロールツーロール方式のダイコーターを用いて、塗工幅600mmで間欠塗工し、前述した転写体を25℃のニップロール(押圧ロール)で貼り合わせて、平坦化剤が硬化する前に、続けて照度80W/cm(「Hバルブ」、フュージョン社製)の紫外線を4秒間照射して、電磁波シールドフィルタ上に平坦化層が形成された被転写体と、転写体との積層体を得た。
得られた積層体の被転写体から転写体をはがす際、転写体の反射防止層は平坦化層の有無の境界で破断され、被転写体の平坦化層表面上のみに反射防止層が積層された。
(実施例5)
実施例2で用いた平坦化剤(荒川化学工業(株)社製、商品名「ビームセット 505A−6」)を用いて間欠塗工し、更に、ロール温度25℃のニップロールで貼り合わせた以外は、実施例4と同様にして積層体を得た。
得られた積層体の被転写体から転写体をはがす際、転写体の反射防止層は平坦化層の有無の境界で破断され、平坦化層表面上のみに反射防止層が積層された。
(実施例6)
溶剤希釈された平坦化層用塗工組成物(下記参照)を用いて紫外線は照射せず、代わりに乾燥を90℃、2分間行った。更に、ロール温度25℃のニップロールで被転写体の平坦化層側に転写体の反射防止層を積層したこと以外は、実施例4と同様にして積層体を得た。
得られた積層体の被転写体から転写体をはがす際、転写体の反射防止層は平坦化層の有無の境界で破断され、平坦化層表面上のみに反射防止層が積層された。
平坦化層用塗工組成物
アクリル酸エステル共重合樹脂溶液「綜研化学(株)社製;SKダイン 206H」
100重量部(樹脂固形分14%)
架橋剤;エポキシ系硬化剤「綜研化学(株)社製;L−45」
0.15重量部(固形分45%)
エポキシ系硬化剤「綜研化学(株)社製;E−5XM」
0.03重量部(固形分5%)
溶剤;トルエン 15重量部
MEK(メチルエチルケトン) 15重量部
(実施例7)
実施例6で用いた平坦化層用塗工組成物を用いて間欠塗工し、更に、ロール温度25℃のニップロールで貼り合わせた以外は、実施例4と同様にして積層体を得た。
得られた積層体の被転写体から転写体をはがす際、転写体の反射防止層は平坦化層の有無の境界で破断され、平坦化層表面上のみに反射防止層が積層された。
実施例4乃至実施例7において、得られた積層体の被転写体から転写体をはがす際、転写体の反射防止層のみが、平坦化層の有無の境界で破断されて平坦化層表面上のみに反射防止層が積層されたのは、実施例1乃至実施例3の結果から平坦化層とPETとの密着強度を25℃で5N/25mm以上と規定したからであると考えられる。この様に本発明において、被転写体が備える平坦化層のPETに対する密着強度を規定することは極めて重要であり、図3に示した態様が容易に得られる。
(比較例1)
PETフィルム(A−4300)に平坦化剤(ビームセット 505A−6)を塗工後、別のPETフィルムを貼り合わせる前に紫外線を80W/cmで4秒間照射して平坦化剤を光硬化させた。その後に別のPETフィルム(A−4300)を貼り合わせた以外は実施例2と同じ条件で実験を行った。そして、実施例1と同様に平坦化層の密着強度を測定したところ、密着強度は0.8N/25mmだった。
(比較例2)
PETフィルム(A−4300)に平坦化剤(「ビームセット 550B」)を塗工後、何もラミネートせずに紫外線を80W/cmで4秒間照射して平坦化剤を光硬化させた。硬化が確認された後に実施例4で作製した転写体を25℃のニップロールで貼り合わせたこと以外は、実施例5と同じ条件で実験を行い積層体を得た。得られた積層体は、平坦化層上において反射防止層の破断が目視で確認された。
本発明に係る複合フィルタの製造方法の一例を示す図である。 本発明に係る複合フィルタの製造方法の一実施形態を示す図である。 本発明に係る複合フィルタの製造方法の一実施形態を示す図である。 本発明に係る複合フィルタの製造方法において、転写後に平坦化層を光及び/又は熱により硬化させる工程を示す図である。 本発明に係る電磁波シールドフィルタの製造方法の具体例を示す図である。
符号の説明
1 転写体
2 被転写体
3 ディスプレイ用複合フィルタ
11 透明基材
14 金属メッシュ層
15 平坦化層
16 支持基材層
19 機能層
20 接地用額縁部
21 金属メッシュ領域
22 機能層19が平坦化層15と積層する領域
23 機能層19が平坦化層15と積層しない領域
24 平坦化層15の有無の境界
31 第1給紙部
32 第2給紙部
34 離型フィルム巻取りロール
35 第1ラミネートユニット
36 第2ラミネートユニット
37 複合フィルタ巻取りロール
38 支持基材巻取りロール
39 第3給紙部

Claims (4)

  1. 近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色調調整機能、紫外線吸収機能、反射防止機能、防擦傷機能のいずれか1種又は2種以上の機能を有する機能層と、電磁波シールドフィルタとを有するディスプレイ用複合フィルタの製造方法であって、
    支持基材と該支持基材上に剥離可能に形成されている機能層とを少なくとも有する転写体と、ポリエチレンテレフタレートに対する25℃での密着強度が5N/25mm以上である平坦化層を最表面に有する電磁波シールドフィルタからなる被転写体とを用いて、前記転写体の前記機能層側と、前記被転写体の前記平坦化層側とを重ね合わせ、前記転写体から少なくとも前記機能層を前記被転写体の平坦化層上に転写する工程を有することを特徴とする、ディスプレイ用複合フィルタの製造方法。
  2. 前記被転写体において、前記平坦化層は前記電磁波シールドフィルタ表面の一部に設けられたものであり、
    前記転写体の前記機能層側と、前記被転写体の前記平坦化層側とを重ね合わせた後、該転写体から支持基材を剥離する際に、前記機能層が、平坦化層形成領域の外端部において、破断することにより、前記平坦化層表面上には機能層が転写され、前記平坦化層を有しない電磁波シールドフィルタ表面には機能層が転写されない工程を有する、請求項1に記載のディスプレイ用複合フィルタの製造方法。
  3. 前記転写体が、前記支持基材上に剥離可能に形成されている反射防止層及び/又は防擦傷層を少なくとも有する、請求項1又は2に記載のディスプレイ用複合フィルタの製造方法。
  4. 更に、前記平坦化層を光及び/又は熱により硬化させる工程を有する、請求項1乃至3のいずれかに記載のディスプレイ用複合フィルタの製造方法。
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