JP2006210573A - 電磁波遮蔽部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光透過性及び像鮮明度がそれぞれ高いものを製造コストを抑えつつ得ることが容易な電磁波遮蔽部材を提供する。
【解決手段】 第1透明基材1上にメッシュ状金属層10が形成されて多数の光透過部12が画定されている電磁波遮蔽部材30を作製するにあたり、前記メッシュ状金属層及び前記多数の光透過部を透明樹脂の硬化塗膜15によって被覆すると共に硬化塗膜上に接合材層20を介して第2透明基材25を接合し、更に、前記光透過部を平面視上画定しているメッシュ状金属層の細線部10a上での硬化塗膜の平均傾斜角度を0.01〜15.0°の範囲内にし、細線部上での第2透明基材の頂部と光透過部の平面視上の中央部での第2透明基材の上面との高低差の平均値を5.0μm以下にすることにより、解決した。
【選択図】 図1

Description

本発明は電磁波遮蔽部材に関し、更に詳しくは、光透過性の高い電磁波遮蔽部材に関する。
今日では、種々の電子機器が必需品となっている。これらの電子機器の動作時には、程度の差こそあれ必ず電磁波が放射され、その強度が強い場合には周辺の電子機器が誤作動を起こしたり、人体に弊害を及ぼしたりする。このため、電子機器から放射された電磁波が周囲に及ばないようにするために、あるいは、電磁波から電子機器又は人体を保護するために、種々の電磁波遮蔽材料ないし電磁波遮蔽部材が開発されている。
電磁波は導電性材料により遮蔽することが可能である。電磁波遮蔽材料や電磁波遮蔽部材が光透過性を有しているか否かは電磁波の遮蔽と無関係であるが、例えばプラズマディスプレイパネルのような表示装置では、表示面から放射される電磁波が周囲に及ばないように遮蔽することが望まれるので、このような用途の電磁波遮蔽部材については、電磁波遮蔽性能に加えて、高い光透過性が要求される。
高い光透過性を有する電磁波遮蔽部材としては、例えば特許文献1に記載された電磁波遮蔽部材が知られている。この電磁波遮蔽部材では、メッシュ状に成形された金属薄膜(以下、「メッシュ状金属層」という。)が接着剤又は粘着剤を介して透明なフィルム基材上に積層されている。
上記のメッシュ状金属層は、例えば、透明なフィルム基材上に接着剤又は粘着剤を介して金属箔を積層し、その後、この金属箔をメッシュ状にパターニングすることによって形成される。金属箔は比較的厚いので、メッシュ状に成形しても充分な導電性を確保し易く、結果として、電磁波遮蔽性能の高い電磁波遮蔽部材を得易い。また、金属箔がメッシュ状に成形されているので、メッシュの目に相当する領域が光透過部として機能し、高い光透過性を得易い。
ただし、金属箔の表面が比較的粗いことから、金属箔の接合に用いた接着剤又は粘着剤のうちでその後に金属箔がパターニングにより除去されて光透過部となった領域は、金属箔の表面形状が表面に転写された粗面領域として残り、光透過性を低下させる一因となる。また、メッシュ状金属層の側面での光の乱反射は、電磁波遮蔽部材の光透過性を低下させる要因となる。このため、必要に応じて、メッシュ状金属層及び各光透過部を被覆するようにして透明樹脂からなる平坦化層が形成される。また、平坦化層の表面の平坦性が低いと、この電磁波遮蔽部材を表示装置上に配置したときにモワレ、干渉ムラ等が生じることから、表面の平坦性が高い平坦化層を形成するために、透明樹脂を硬化させる前にその上に平面性に優れた基材等をラミネートし、透明樹脂の硬化後(平坦化層の形成後)に前記平面性に優れた基材等が剥離される。
特開2002−311843号公報(特許請求の範囲、第0030段、及び第0060段参照)
しかしながら、特許文献1に記載された電磁波遮蔽部材では、材料として用いる金属箔が前述のように比較的厚いので、メッシュ状金属層及び各光透過部を被覆するようにして平坦化層形成用の透明樹脂を塗工すると、得られる平坦化層の表面に大きな凹凸が生じ易い。電磁波遮蔽部材の表面に大きな凹凸があると、光透過性や、電磁波遮蔽部材を通して視認される像の鮮明度(以下、単に「像鮮明度」という。)が高い電磁波遮蔽部材を得ることが困難になる。
また、透明樹脂の硬化前にその上に平面性に優れた基材等をラミネートし、透明樹脂の硬化後(平坦化層の形成後)に前記平面性に優れた基材等を剥離するという手法は、表面の平坦性が高い平坦化層を得るうえで有用なものではあるが、上記の基材は最終的に電磁波遮蔽部材の構成部材とならないものであるので、この手法には電磁波遮蔽部材の製造コストが上昇するという問題がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、光透過性及び像鮮明度がそれぞれ高いものを製造コストを抑えつつ得ることが容易な電磁波遮蔽部材を提供することにある。
上記の目的を達成する本発明の電磁波遮蔽部材は、第1透明基材と、前記第1透明基材上に形成されて多数の光透過部を平面視上画定するメッシュ状金属層と、透明樹脂により形成されて前記メッシュ状金属層及び前記光透過部を被覆する硬化塗膜と、接合材層を介して前記硬化塗膜に接合されて該硬化塗膜を覆う第2透明基材とを有し、前記メッシュ状金属層の細線部上での前記硬化塗膜の平均傾斜角度が0.01〜15.0°の範囲内にあり、前記細線部上での前記第2透明基材の頂部と前記光透過部の平面視上の中央部での前記第2透明基材の上面との高低差の平均値が5.0μm以下であることを特徴とする(以下、この電磁波遮蔽部材を「電磁波遮蔽部材I」ということがある。)。
本発明の電磁波遮蔽部材Iでは、メッシュ状金属層が上記の硬化塗膜により被覆されているので、第1透明基材を基準としたときのメッシュ状金属層の上面及び側面それぞれでの光の乱反射を抑制することができる。また、メッシュ状金属層の細線部上での硬化塗膜の平均傾斜角度が上記の範囲内にあるので、この硬化塗膜上に接合材層を介して第2透明基材を接合する際に接合材層を比較的薄くしても、硬化塗膜の表面の凹凸を当該接合材層により吸収して前記の凹凸が第2透明基材の表面に反映されるのを抑制することができる。そして、第2透明基材での上記高低差の平均値が5.0μm以下であるので、この第2透明基材表面での光の乱射反射が抑えられる。更に、第2透明基材としては、保護層として機能するものを用いる他に、反射防止膜、赤外線吸収層、ネオン光吸収層等として機能するものを利用することが可能である。これらの結果として、本発明の電磁波遮蔽部材によれば、光透過性及び像鮮明度がそれぞれ高いものを製造コストを抑えつつ得ることが容易になる。
なお、本発明でいう「メッシュ状金属層の細線部」とは、メッシュ状金属層のうちで、他の方向に分岐することなく一方向に延びている領域を意味する。
本発明の電磁波遮蔽部材Iにおいては、(1)前記メッシュ状金属層が、前記第1透明基材上に接合剤により接合されている(以下、この電磁波遮蔽部材を「電磁波遮蔽部材II」ということがある。)こと、が好ましい。
本発明の電磁波遮蔽部材IIによれば、メッシュ状金属層の材料として比較的厚肉の金属箔を用いることができるので、電磁波遮蔽性能が高い電磁波遮蔽部材を得ることが容易になる。また、接合剤の表面のうちで金属箔がパターニングにより除去された領域は、金属箔の表面形状が表面に転写された粗面領域として残るが、この粗面領域は前述した硬化塗膜により被覆されるので、当該粗面領域の表面での光の乱反射が抑えられ、結果として、高い光透過性及び高い像鮮明度を得ることが容易になる。
本発明の電磁波遮蔽部材I〜IIのいずれにおいても、(2)前記透明樹脂が鎖状構造を有している(以下、この電磁波遮蔽部材を「電磁波遮蔽部材III」 ということがある。)こと、又は、(3)前記透明樹脂が架橋構造を有している(以下、この電磁波遮蔽部材を「電磁波遮蔽部材IV」ということがある。)こと、とすることができる。
本発明の電磁波遮蔽部材I〜IVのいずれにおいても、(4)前記透明樹脂のガラス転移点が30〜150℃の範囲内である(以下、この電磁波遮蔽部材を「電磁波遮蔽部材V」ということがある。)こと、(5)前記硬化塗膜の表面の十点平均粗さ(Rz)が0.01〜10μmの範囲内である(以下、この電磁波遮蔽部材を「電磁波遮蔽部材VI」ということがある。)こと、又は、(6)前記平均傾斜角度が10°以下である(以下、この電磁波遮蔽部材を「電磁波遮蔽部材VII」 ということがある。)こと、が好ましい。
本発明の電磁波遮蔽部材Vによれば、硬化塗膜の形状保持能が実用上充分に高くなるので、耐久性のよい電磁波遮蔽部材を提供し易くなる。
本発明の電磁波遮蔽部材VIによれば、硬化塗膜の表面粗さが小さいので、硬化塗膜の表面での光の乱反射が抑制され、結果として、高い光透過性及び高い像鮮明度を得ることが更に容易になる。また、接合材層を形成する際に、硬化塗膜と接合材層との界面に気泡が残りにくくなるので、高い光透過性及び高い像鮮明度を得ることが更に容易になる。なお、本発明でいう「十点平均粗さ(Rz)」とは、JIS B0601−2001 に準拠する粗さ曲線での十点平均粗さを意味する。
本発明の電磁波遮蔽部材VII によれば、メッシュ状金属層の細線部上での硬化塗膜の平均傾斜角度が10°以下に抑えられているので、硬化塗膜の表面での光の乱反射、及び電磁波遮蔽部材での光芒(いわゆる虹ムラ)の発生が抑えられ、かつ、硬化塗膜上に第2透明基材を接合したときに両者の界面に気泡が残ることが抑制されるので、高い光透過性及び高い像鮮明度を得ることが更に容易になる。
本発明の電磁波遮蔽部材I〜VII のいずれにおいても、(7)前記第2透明基材が透明樹脂フィルムである(以下、この電磁波遮蔽部材を「電磁波遮蔽部材VIII」 ということがある。)こと、又は、(8)前記接合材層が感圧型粘着剤により形成されている(以下、この電磁波遮蔽部材を「電磁波遮蔽部材IX」ということがある。)こと、とすることができる。
本発明の電磁波遮蔽部材I〜IXのいずれにおいても、(9)前記硬化塗膜に赤外線吸収剤が含有されている(以下、この電磁波遮蔽部材を「電磁波遮蔽部材X」ということがある。)こと、が好ましい。
本発明の電磁波遮蔽部材Xによれば、赤外線を吸収することができるので、電磁波の遮蔽と共に赤外線の吸収が望まれるプラズマディスプレイパネル用の電磁波遮蔽部材、特に表示面上に配置される電磁波遮蔽部材として好適なものを得ることができる。
本発明の電磁波遮蔽部材によれば、製造コストを抑えつつ光透過性及び像鮮明度が高い電磁波遮蔽部材を得ることが容易になるので、プラズマディスプレイパネルのような表示装置の表示面から放射される電磁波を、視認される映像の画質の低下を抑制しつつ遮蔽することが可能な電磁波遮蔽部材を安価に提供することが容易になる。
図1(a)は、本発明の電磁波遮蔽部材の一例を概略的に示す部分切欠き平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示したI−I線断面の概略図である。これらの図に示した電磁波遮蔽部材30は、第1透明基材1と、接合剤5により第1透明基材1上に接合されたメッシュ状金属層10と、透明樹脂により形成された硬化塗膜15と、接合材層20を介して硬化塗膜15に接合された第2透明基材25とを有している。以下、これらの部材毎に詳述し、その後、本発明の電磁波遮蔽部材の変形例について説明する。
(1)第1透明基材;
第1透明基材1は、メッシュ状金属層10を支持するためのものである。この第1透明基材1としては、ガラス基板や透明樹脂基板のように可撓性に乏しい透明なリジッド材を用いることも可能であるが、電磁波遮蔽部材30の設置場所の選択の自由度を高めるという観点から、あるいは、電磁波遮蔽部材30の生産性を高めるという観点からは、ガラスシート、透明樹脂シート、又は透明樹脂フィルムのように可撓性に富んだものを用いることが好ましい。
第1透明基材1の材質は、電磁波遮蔽部材30の用途や許容される生産コスト等に応じて適宜選択可能である。また、第1透明基材1の光透過率についても、電磁波遮蔽部材30の用途に応じて適宜選択可能である。例えば、電磁波遮蔽部材30が表示装置の表示面上に配置されるものである場合には、第1透明基材1として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース、ポリエーテルサルファイド、ポリエーテルケトン等により形成された膜厚12〜300μm程度、可視光透過率(全光線透過率)80%程度以上のフィルムないしシートを用いることが好ましい。
(2)接合剤;
接合剤5は、メッシュ状金属層10を金属箔のパターニングによって形成する際に、前記の金属箔をドライラミネーション法やウェットラミネーション法等によって第1透明基材1上に接合させるためのもの、あるいは、所望の金属箔をメッシュ状にパターニングした後にドライラミネーション法やウェットラミネーション法等によって第1透明基材1上に接合させるためのものである。この接合剤5は、図示のように、第1透明基材1上に層を形成しているので、以下、「接合剤層5」という。接合剤層5は、実用上充分な接合強度、耐エッチング特性、及び耐光性を有していることが好ましい。
この接合剤層5の具体例としては、アクリル系、エステル系、ウレタン系、フッ素系、ポリイミド系、エポキシ系、又はポリウレタンエステル系等の熱硬化型もしくは光硬化型の接着剤、あるいは、主成分としてメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、又は2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を含有したアクリル系粘着剤によって形成された層が挙げられる。なお、本明細書でいう「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタアクリレートの双方を意味する。
接合剤層5の膜厚は、使用する接合剤の種類に応じて、0.5〜50μm程度の範囲内で適宜選定可能である。接合剤層5によって第1透明基材1上に接合した金属箔をウェットエッチングによりパターニングしてメッシュ状金属層10とする場合には、接合剤層5がエッチングストッパとしても機能するように、その種類及び膜厚を選定することが好ましい。光透過性及び像鮮明度の高い電磁波遮蔽部材30を得るという観点からは、接合剤層5と第1透明基材1との屈折率差を小さくすることが好ましく、波長587.6nmの光を測定光としたときの屈折率差で0.2程度以下、更には0.1以下とすることが好ましい。この屈折率差が0(ゼロ)であれば、最も好ましい。
なお、メッシュ状金属層10は、その母材となる金属層を例えば蒸着法により第1透明基材1上に形成し、この金属層をパターニングすることによっても、あるいは、所定形状のマスクを介して所望の金属を第1透明基材1上に蒸着させることによっても、形成可能である。これらの場合には接合剤層5を省略することも可能である。
(3)メッシュ状金属層;
メッシュ状金属層10は、電磁波遮蔽部材30の光透過性を高く保ちつつ電磁波を遮蔽するための部材であり、平面視上、第1透明基材1に多数の光透過部12を画定している。個々の光透過部12の平面形状は、例えば三角形、四角形、六角形等、適宜選定可能である。本形態の電磁波遮蔽部材30での各光透過部12の平面形状は、四角形である。メッシュ状金属層10のうち、光透過部12の辺を平面視上画定する領域それぞれが細線部10aである。以下、4つの細線部10aそれぞれの基点となっている領域を「交差部10b」という。
このメッシュ状金属層10は、例えば銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、金、銀、ステンレス、タングステン、クロム、チタン等の金属により形成することができる。光透過性及び電磁波遮蔽性能が共に高い電磁波遮蔽部材30を低コストの下に得るという観点からは、銅のように安価で、表面反射率が低く、かつ導電性の高い金属によってメッシュ状金属層10を形成することが好ましい。電磁波遮蔽性能が高い電磁波遮蔽部材30を低コストの下に製造するという観点からは、所望の金属箔を上述した接合剤層5により第1透明基材1上に接合し、この金属箔をウェットエッチングによって所望形状にパターニングしてメッシュ状金属層10とするか、所望の金属箔をメッシュ状にパターニングした後に接合剤層5により第1透明基材1上に接合してメッシュ状金属層10とすることが好ましい。金属箔としては圧延箔や電解箔を用いることができるが、低コストであるという観点からは圧延箔が好ましい。
メッシュ状金属層10の開口率(メッシュ状金属層10の平面視上の面積と光透過部12の平面視上の総面積との和に占める光透過部12の平面視上の総面積の百分率を意味する。)を70%程度以上にすることにより、光透過性の高い電磁波遮蔽部材30を得易くなる。このとき、細線部10aの平面視上の平均線幅は20μm程度以下、特に15μm以下とすることが好ましい。
一方、電磁波遮蔽部材30の電磁波遮蔽性能を高めるという観点からは、メッシュ状金属層10の導電性を高めることが好ましいので、当該メッシュ状金属層10の材質にもよるが、その平均膜厚を5〜30μm程度、好ましくは5〜15μm程度とし、かつ、細線部10aでの平面視上の平均線幅を5μm以上とすることが望ましい。
電磁波遮蔽部材30が表示装置の表示面上に配置されるものである場合には、電磁波遮蔽部材30の光透過性を高めることの他に、電磁波遮蔽部材30の像鮮明度を高めることが望まれる。メッシュ状金属層10の表面の十点平均粗さ(Rz)が0.1μm程度以上、特に0.5μm程度以上であれば、電磁波遮蔽部材30の像鮮明度を高め易い。メッシュ状金属層10の表面が鏡面であると、メッシュ状金属層10の表面で反射した外光が視認され易くなる結果として、電磁波遮蔽部材30の像鮮明度が低下する。十点平均粗さ(Rz)の値が3μmを超えると、メッシュ状金属層10を第1透明基材1上に接合させる際に両者の界面に気泡が残り易くなり、適切な接合が困難になる。
電磁波遮蔽部材30の像鮮明度を高めるうえでは、メッシュ状金属層10の上下面のうちで、又はメッシュ状金属層10の母材の上下面のうちで、少なくとも電磁波遮蔽部材30を表示面上に配置したときに外側にくる面に、クロメート処理等の方法により黒化処理を施しておくことも有効である。
例えば、十点平均粗さ(Rz)が0.1〜3μm程度の銅箔をメッシュ状金属層10の母材として用い、かつ、各光透過部12の平面形状を四角形とする場合には、メッシュ状金属層10の平均膜厚を5〜15μm程度、細線部10aでの平面視上の平均線幅を5〜15μm程度とし、さらに、各光透過部12の平面視上の大きさを150〜400μm□程度とすることにより、電磁波遮蔽性能、光透過性、及び像鮮明度がそれぞれ高い電磁波遮蔽部材30を得ることが容易になる。
(4)硬化塗膜;
硬化塗膜15は、メッシュ状金属層10の上面と接合剤層5(接合剤層5を省略する場合には第1透明基材1)の上面との段差を緩和して、電磁波遮蔽部材30の光透過性及び像鮮明度を向上させるものであり、透明樹脂によって形成されてメッシュ状金属層10及び各光透過部12を被覆している。また、メッシュ状金属層10の細線部10a上での硬化塗膜15の平均傾斜角度は、0.01〜15.0°に抑えられている。
ここで、本発明でいう「細線部上での硬化塗膜の平均傾斜角度」とは、次のようにして求めた平均傾斜角度を意味する。まず、図2に示すように、電磁波遮蔽部材30について、細線部10aの長手方向と直交する方向の断面をとり、光透過部12の平面視上の中央部での硬化塗膜15の上面を基準にして、細線部10a上での硬化塗膜15の頂部Pの高さL1を測定する。また、頂部Pを通る垂線VL(ただし、第1透明基材1の表面に対する垂線を意味する。)を仮想的に引いて、この垂線VL上において頂部Pからの距離がL1の90%に相当する点Bを求める。図2においては、頂部Pと点Bとの距離をL2で表している。次いで、第1透明基材1の表面に水平で点Bを通る水平線HLを仮想的に引き、この水平線HLと硬化塗膜15の斜面との交点C1、C2を求めて、点Bと点C1との距離L3、及び点Bと点C2との距離L4を測定する。この後、tanθ1=L2/L3とし、tanθ2=L2/L4として求めたθ1とθ2との平均値Avを求める。同様にして、任意に抽出した複数の細線部10a上での硬化塗膜15について平均値Avを求める。これらの平均値Avの算術平均が、本発明でいう「細線部上での硬化塗膜の平均傾斜角度」である。なお、図2においては、便宜上、ハッチングを省略している。
硬化塗膜15は、鎖状構造を有する透明樹脂によって形成することもできるし、架橋構造を有する透明樹脂によって形成することもできる。具体的には、(i)溶剤を揮散させるだけで固化する溶剤希釈型透明樹脂組成物、(ii)加熱することによって重合反応ないし架橋反応が進行して硬化する熱硬化型透明樹脂組成物、又は、(iii) 電磁波の照射によって重合反応ないし架橋反応が進行して硬化する透明樹脂組成物(以下、本明細書においてはこの透明樹脂組成物を「光硬化型透明樹脂組成物」という。)を用いて形成することができる。本明細書においては、溶剤希釈型透明樹脂組成物の溶剤を揮散させることでこの溶剤希釈型透明樹脂組成物を固化させて得た塗膜も「硬化塗膜」に含まれるものとする。
上記の溶剤希釈型透明樹脂組成物の具体例としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂等を溶剤で希釈したものが挙げられる。
また、上記の熱硬化型透明樹脂組成物の具体例としては、重合又は架橋によりアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂になるもの等が挙げられる。
そして、上記の光硬化型透明樹脂組成物としては、モノマー成分とオリゴマー成分とを少なくとも含有しているものが好ましい。モノマー成分の具体例としては、(A)酢酸ビニル、スチレン、N−ビニルピロリドン等のビニルモノマー、(B)ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソボニルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の単官能アクリレート系モノマー、(C)1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAジエトキシジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシビバリ酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能アクリレート系モノマー、などが挙げられる。また、オリゴマー成分の具体例としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコンアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエン/チオール、ポリスチリルメタクリレート等が挙げられる。
なお、溶剤希釈型透明樹脂組成物及び熱硬化型樹脂組成物それぞれの具体例についての説明の中で挙げたフッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとヘキサフルオロプロピレンとの三元共重合体、テトラフルオロエチレンとエチレンもしくはプロピレンとの共重合体、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとの共重合体、ペルフルオロアルコキシ樹脂、フッ化ビニリデン系樹脂、フッ化ビニル系樹脂等を例示することができる。同様に、上記のポリイミド系樹脂としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等を例示することができる。
また、熱硬化型透明樹脂組成物及び光硬化型透明樹脂組成物には、それぞれ、重合開始剤及び増感剤の少なくとも一方を必要に応じて含有させることができる。例えば、光硬化型透明樹脂組成物に含有させる重合開始剤(光重合開始剤)の具体例としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、4,4−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−ジメトキシ−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、アゾビスイソブチルニトリル、2−クロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジメチルチオキサンソン、メチルベンゾイルフォーメート、3,3,4,4−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が挙げられ、増感剤の具体例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエチル−n−ブチルホスフィン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソブチル、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート等が挙げられる。
メッシュ状金属層10の細線部部10a上での平均傾斜角度が前述の範囲内にある硬化塗膜15は、材料として溶剤希釈型透明樹脂組成物、熱硬化型透明樹脂組成物、及び光硬化型透明樹脂組成物のいずれを用いる場合でも、その23℃での粘度を0.01〜2Pa・s程度の範囲内に調整し、この透明樹脂組成物をグラビアコート、グラビアリバースコート、キスリバースコート、コンマコート、ダイコート、3本リバースコート、スリットリバースコート等の方法により塗工して塗膜を形成した後に塗膜を硬化(固化)させることによって得ることができる。
透明樹脂組成物の粘度を上述の範囲内とすることにより、硬化塗膜15の形成時に、メッシュ状金属層10における第1透明基材1側の基部と接合剤層5(接合剤層5が省略されている場合には第1透明基材1)とが形成する角部に気泡が残ることも容易に抑制することができる。
形成される硬化塗膜15の膜厚が厚いと、硬化塗膜15による吸収光量が多くなり易いので、メッシュ状金属層10の細線部10a上における硬化塗膜15の最大膜厚の平均値は、メッシュ状金属層10の平均膜厚の10〜400%程度の範囲内とすることが好ましく、10〜200%程度の範囲内とすることが更に好ましい。そのためには、硬化塗膜15の材料として用いる透明樹脂組成物の塗工量(硬化後の塗工量を意味する。)を1〜25g/m 程度の範囲内で適宜選定することが好ましい。
硬化塗膜15の材料として溶剤希釈型透明樹脂組成物、熱硬化型透明樹脂組成物、及び光硬化型透明樹脂組成物のいずれを用いる場合でも、光透過性及び像鮮明度が高い電磁波遮蔽部材30を得るという観点からは、硬化塗膜15と接合剤層5(接合剤層5を省略する場合には第1透明基材1)との界面での反射を抑えるために、波長587.6nmの光を測定光としたときの屈折率差が0.2程度以下、更には0.1以下となるよう、その材料を選定することが好ましい。
硬化塗膜15の表面の十点平均粗さ(Rz)を0.01〜10μm程度とすることも、電磁波遮蔽部材30の光透過性及び像鮮明度を向上させるという観点から好ましい。この十点平均粗さ(Rz)が上記の範囲から外れると、後述する第2透明基材25を設けても硬化塗膜15の表面での反射光量が増大して、あるいは、硬化塗膜15の表面での乱反射が大きくなって、電磁波遮蔽部材30の像鮮明度が低くなることがある。硬化塗膜15の表面の十点平均粗さ(Rz)は、0.05〜7μm程度の範囲内とすることが更に好ましく、0.1〜5μm程度の範囲内とすることが特に好ましい。硬化塗膜15の表面の十点平均粗さ(Rz)が上述の範囲内であれば、後述する接合材層20を形成する際に硬化塗膜15との界面に気泡が残りにくくなるので、電磁波遮蔽部材30の光透過性及び像鮮明度を向上させることが容易になる。
硬化塗膜15の材料として溶剤希釈型透明樹脂組成物を用いる場合、十点平均粗さ(Rz)が上述の範囲内にある硬化塗膜15は、例えば、塗膜を温度50〜130℃、風速2〜20m/秒の熱風により1〜3分かけて乾燥することにより得ることができる。このとき、残留溶剤量をできるだけ少なくすることにより、良好な硬化塗膜15を得易くなる。硬化塗膜15での残留溶剤量を少なくするためには、熱風の温度及び風速を段階的に上げて、塗膜表面があまりにも早期に乾燥してしまうのを防止することが好ましい。例えば、初期には温度50〜70℃、風速2〜5m/秒の熱風により乾燥し、塗膜表面が乾燥した段階で温度100〜130℃、風速10〜20m/秒の熱風により更に乾燥すると、残留溶剤が無いか、又は少ない良好な硬化塗膜15を得ることができる。
また、硬化塗膜15の材料として熱硬化型透明樹脂組成物又は光硬化型透明樹脂組成物を用いる場合でも、これらの透明樹脂組成物に溶剤が含有されている場合には、上記の乾燥条件と同様の条件の下に溶剤を揮散させてから、加熱により、又は電磁波の照射により重合反応もしくは架橋反応を進行させることが好ましい。熱硬化型透明樹脂組成物を硬化させるにあたっては、温度40℃〜60℃の環境下で1〜7日間養生することが好ましい。また、光硬化型透明樹脂組成物を硬化させるにあたっては、当該光硬化型透明樹脂組成物を硬化させることができる電磁波の照射強度を50〜1000mJ/cm 程度の範囲内とすることが好ましい。なお、光硬化型透明樹脂組成物が紫外線硬化型透明樹脂組成物である場合には、紫外線の光源として、例えば高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、パルスキセノンランプ等を用いることができる。
硬化塗膜15の形状保持能を実用上充分なものとするためには、そのガラス転移点を30℃以上とし、数平均分子量を数千以上とすることが好ましい。硬化塗膜15の材料として溶剤希釈型透明樹脂組成物を用いた場合には、この透明樹脂組成物に含有されている透明樹脂のガラス転移点及び数平均分子量が、略そのまま、硬化塗膜15のガラス転移点及び数平均分子量となる。一方、硬化塗膜15の材料として熱硬化型透明樹脂組成物又は光硬化型透明樹脂組成物を用いた場合には、この透明樹脂組成物の硬化条件を適宜選定することにより、硬化塗膜15のガラス転移点及び数平均分子量を制御することができる。硬化塗膜15の数平均分子量の上限値は特に限定されないが、材料として溶剤希釈型透明樹脂組成物を用いる場合には30万程度以下、特に15万程度以下となるように当該透明樹脂組成物を選定することが好ましい。また、材料として熱硬化型透明樹脂組成物又は光硬化型透明樹脂組成物を用いる場合には、50万程度以下、特に30万程度以下とすることが好ましい。
ところで、細線部10a上での硬化塗膜15の最大膜厚の平均値を前述の範囲内とした場合、メッシュ状金属層10の交差部10b上における硬化塗膜15の最大膜厚の平均値は、通常、細線部10a上における硬化塗膜15の最大膜厚の平均値よりも大きくなる。その結果として、各交差部10b上の硬化塗膜15は微小な凸レンズとして機能する。このため、硬化塗膜15を透過した光の発散、収束の度合いは、メッシュ状金属層10の細線部10aの近傍、メッシュ状金属層10の交差部10bの近傍、及び光透過部12の平面視上の中央部とで互いに相違する。この相違が大きいと、後述する接合材層20及び第2透明基材25を設けても、電磁波遮蔽部材30に光芒(いわゆる虹ムラ)が生じて像鮮明度が低下することがある。
像鮮明度の高い電磁波遮蔽部材30を得るという観点からは、細線部10a上での硬化塗膜15の平均傾斜角度を10°程度以下にすることが好ましい。この平均傾斜角度が10°程度以下に抑えられていれば、電磁波遮蔽部材30を透過した光の発散、収束の度合いについての前述の相違が小さくなるので、電磁波遮蔽部材30での光芒の発生が抑えられる。また、硬化塗膜15の表面での光の乱反射も抑えられる。これらの結果として、像鮮明度がより高い電磁波遮蔽部材30が得られる。
このような硬化塗膜15は、その膜厚を厚くすれば比較的容易に形成することが可能であるが、硬化塗膜15の膜厚を厚くするに従って当該硬化塗膜15による吸収光量が増大し、電磁波遮蔽部材30の光透過性及び像鮮明度が低下する。また、硬化塗膜15の材料として溶剤を含有した透明樹脂組成物を用いた場合には、硬化塗膜15中の残留溶剤が増加して当該硬化塗膜15に浮きやクラックが生じ易くなる。さらに、1回の塗工で所望の硬化塗膜15を形成することが困難になる。
したがって、光透過性及び像鮮明度が高い電磁波遮蔽部材30を効率よく得るという観点からは、細線部10a上での硬化塗膜15の最大膜厚の平均値をメッシュ状金属層10の平均膜厚の10〜400%程度の範囲内、特に10〜200%程度の範囲内とすることが好ましい。この場合、上記の平均傾斜角度の下限値は1°程度になる。
溶剤希釈型透明樹脂組成物を用いて上記の平均傾斜角度が10°程度以下である硬化塗膜15を1回の塗工で効率よく形成しようとする場合には、その23℃での粘度を0.01〜10Pa・s程度の範囲内とし、その塗工量(ただし、硬化(固化)後の塗工量を意味する。)を1〜35g/m 程度の範囲内で適宜選定することが好ましい。上記の粘度は0.03〜1Pa・s程度の範囲内とすることが更に好ましく、上記の塗工量は15〜25g/m 程度の範囲内で適宜選定することが更に好ましい。
上記の粘度条件を満たす溶剤希釈型透明樹脂組成物は、例えば、数平均分子量が1千〜30万程度の透明樹脂を固形分量が15〜35wt%程度の範囲内となるように溶剤で希釈することによって、得ることができる。このとき、透明樹脂の数平均分子量は5千〜15万程度の範囲内であることが好ましく、固形分量は15〜30wt%程度の範囲内とすることが好ましい。
また、熱硬化型透明樹脂組成物を用いて前述の平均傾斜角度が10°程度以下である硬化塗膜15を1回の塗工で効率よく形成しようとする場合には、その23℃での粘度を0.01〜2Pa・s程度の範囲内とすることが好ましく、その塗工量(ただし、硬化後の塗工量を意味する。)を1〜50g/m 程度の範囲内で適宜選定することが好ましい。上記の粘度は0.05〜0.2Pa・s程度の範囲内とすることが更に好ましく、上記の塗工量は1〜25g/m 程度の範囲内で適宜選定することが更に好ましい。
そして、光硬化型透明樹脂組成物を用いて前述の平均傾斜角度が10°程度以下である硬化塗膜15を1回の塗工で効率よく形成しようとする場合には、その23℃での粘度を0.03〜5Pa・s程度の範囲内とすることが好ましく、その塗工量(ただし、硬化後の塗工量を意味する。)を1〜35g/m 程度の範囲内で適宜選定することが好ましい。上記の粘度は0.05〜1Pa・s程度の範囲内とすることが更に好ましく、上記の塗工量は15〜25g/m 程度の範囲内で適宜選定することが更に好ましい。
上記の粘度条件を満たす熱硬化型透明樹脂組成物及び光硬化型透明樹脂組成物は、それぞれ、例えばモノマー含量又は溶剤含量を適宜調整することによって得ることができる。
(5)第2透明基材;
第2透明基材25は、前述のように、接合材層20を介して硬化塗膜15に接合されており、メッシュ状金属層10の細線部10a上での第2透明基材25の頂部と光透過部12の平面視上の中央部での第2透明基材25の上面との高低差の平均値は5.0μm以下に抑えられている。この平均値は1.0μm以下であることが好ましい。
接合材層20を介して硬化塗膜15に第2透明基材25を接合させることにより、仮に硬化塗膜15の表面の凹凸が大きくても、硬化塗膜15の表面の凹凸を接合材層20により吸収して、この凹凸が第2透明基材25の表面に反映されるのを抑制することができる。結果として、第2透明基材25の表面における上記の高低差の平均値を所望の範囲内に納めることが可能になる。
接合材層20の膜厚を厚くすれば、第2透明基材25の表面における上記の高低差の平均値を所望の範囲内に納め易くなるが、接合材層20の膜厚が厚くなる程、当該接合材層20での光の吸収が大きくなり、結果として電磁波遮蔽部材30の光透過性が低下する。
したがって、接合材層20の膜厚は、硬化塗膜15の表面の凹凸の度合いに応じて、できるだけ薄くする方が好ましい。メッシュ状金属層10の細線部10a上での硬化塗膜15の平均傾斜角度が15°程度以下であれば、接合材層20の膜厚を15〜75μm程度の範囲内で適宜選定することにより、第2透明基材25の表面の前記高低差の平均値を5.0μm以下に抑えることが可能である。また、上記の平均傾斜角度が10°程度以下であれば、接合材層20の膜厚を20〜50μm程度の範囲内で適宜選定することにより、第2透明基材25の表面の前記高低差の平均値を1μm以下に抑えることが可能である。
このような接合材層20は、自重により、又は荷重をかけることにより平坦な表面(上面)を形成することができるものが好ましく、その材料としては、例えば感圧型粘着剤、熱硬化型接着剤、光硬化型接着剤等を用いることができる。また、キャリアタイプ又はノンキャリアタイプの粘着シートを利用すれば、所望の粘着材層20の形成が容易になる。
接合材層20の材料としては、その表裏に膜厚100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを積層した状態で180°剥離試験(試験幅25mm、剥離速度300mm/分)を行ったときの剥離強度が、3〜25N/25mm程度のものが好ましい。
光透過性及び像鮮明度の高い電磁波遮蔽部材30を得るという観点からは、接合材層20と硬化塗膜15との屈折率差、及び、接合材層20と第2透明基材25との屈折率差をそれぞれ小さくすることが好ましく、波長587.6nmの光を測定光として用いたときの屈折率差で0.2程度以下、更には0.1以下とすることが好ましい。
第2透明基材25としては、既に説明した第1透明基材1と同様に、ガラス基板のように可撓性に乏しい透明なリジッド材を用いることも可能であるが、ガラスシート、透明樹脂シート、又は透明樹脂フィルムのように可撓性に富んだものを用いることが好ましい。可撓性、光透過性、及び像鮮明度がそれぞれ高い電磁波遮蔽部材30を高い生産性の下に得るためには、厚さが12〜300μm程度の範囲内である透明樹脂フィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース、ポリエーテルサルファイド、ポリエーテルケトン等により形成された透明樹脂フィルムを用いることが好ましい。
第2透明基材25の表面の十点平均粗さ(Rz)は、1〜100nm程度の範囲内で適宜選定可能であるが、光透過性及び像鮮明度の高い電磁波遮蔽部材30を得るという観点からは、1〜20程度の範囲内で適宜選定することが好ましい。十点平均粗さ(Rz)が20nm程度以下の透明樹脂フィルの具体例としては、各種の光学用透明樹脂フィルムが挙げられる。
なお、反射防止膜、紫外線吸収層、ネオン光吸収層、衝撃吸収層、近赤外線吸収層等として機能するものを第2透明基材25として用いることも可能である。このような第2透明基材25を用いることにより、所望の機能が付加された電磁波遮蔽部材30の製造コストを抑えることが容易になる。
前述した接合材層20を介しての第2透明基材25と硬化塗膜15との接合は、例えば、接合材層20の材料となる粘着剤又は接着剤を硬化塗膜15及び第2透明基材25の少なくとも一方に塗工した後、又は塗工しつつ、塗工された粘着剤又は接着剤により第2透明基材25を硬化塗膜15上に貼付することによって行うことができる。また、接着剤層20の材料としてキャリアタイプ又はノンキャリアタイプの粘着シートを用いる場合には、この粘着シートの片面の離型フィルムのみを剥離して硬化塗膜15及び第2透明基材25のいずれか一方、好ましくは第2透明基材25に貼付し、その後に他の片面の離型フィルを剥離して、又は剥離しつつ、第2透明基材25を硬化塗膜15上に貼付することによって行うことができる。
接合材層20を介して硬化塗膜15に第2透明基材25を接合させるにあたっては、接合時に、又は接合後に、温度60〜70℃程度、線圧1kg/cm 程度の条件でラミネートロール等を用いて第2透明基材25に荷重をかけ、これにより第2透明基材25の表面の平坦化を図ることが好ましい。接合材層20の材料として熱硬化型接着剤や光硬化型接着剤を用いる場合には、第2透明基材25の表面の平坦化を図りながら、又は平坦化を図った後に、熱硬化型接着剤又は光硬化型接着剤を硬化させて接合材層20とすることが好ましい。
以上説明した構造を有する電磁波遮蔽部材30では、メッシュ状金属層10が硬化塗膜15により被覆されているので、第1透明基材1を基準としたときのメッシュ状金属層10の上面及び側面それぞれでの光の乱反射を抑制することができる。また、メッシュ状金属層10の細線部10a上での硬化塗膜15の平均傾斜角度が0.01〜15.0°の範囲内にあるので、この硬化塗膜15上に接合材層20を介して第2透明基材15を接合する際に接合材層20を比較的薄くしても、硬化塗膜15の表面の凹凸を接合材層20により吸収して前記の凹凸が第2透明基材15の表面に反映されるのを抑制することができる。そして、細線部10a上での第2透明基材25の頂部と光透過部12の平面視上の中央部での第2透明基材25の上面との高低差の平均値が5.0μm以下であるので、この第2透明基材25の表面での光の乱射反射が抑えられる。更に、第2透明基材25としては、保護層として機能するものを用いる他に、反射防止膜、赤外線吸収層、ネオン光吸収層等として機能するものを利用することが可能である。
これらの結果として、電磁波遮蔽部材30では、光透過性及び像鮮明度がそれぞれ高いものを製造コストを抑えつつ得ることが容易である。さらに、第2透明基材25の表面が比較的平坦であることから、この第2透明基材25上に他の部材を貼付する場合でも、第2透明基材25と他の部材との間に気泡が残ることが抑制されるので、脱泡処理等の工程を省略することが可能になる。
この電磁波遮蔽部材30は、プラズマディスプレイパネルのような表示装置の表示面から放射される電磁波を、視認される映像の画質の低下を抑制しつつ遮蔽するうえで好適である。
(5)変形例;
本発明の電磁波遮蔽部材は上述した形態のものに限定されるものではなく、種々の変形、改良、組み合わせ等が可能である。以下、幾つかの変形例について、図1(a)又は図1(b)で用いた参照符号を適宜引用しつつ、説明する。
例えばプラズマディスプレイパネルの表示面からは赤外線も放射され、この赤外線は、リモートコントローラ等の周辺機器を誤作動させる原因となることがある。したがって、本発明の電磁波遮蔽部材には、必要に応じて800〜1200nmの波長域の近赤外線を吸収する赤外線吸収能を付与することが好ましい。この赤外線吸収能は、例えば、接合剤層5、硬化塗膜15、及び接合材層20の少なくとも1つに赤外線吸収剤を含有させることにより、あるいは、第1透明基材1の外表面上、又は第2透明基材25の外表面上に赤外線吸収層を形成することにより、付与することができる。第1透明基材1の外表面上、又は第2透明基材25の外表面上に赤外線吸収フィルムを貼付するか、又は、第2透明基材25として赤外線吸収フィルム用いることによっても、付与することができる。
接合剤層5、硬化塗膜15、又は接合材層20に赤外線吸収剤を含有させる場合、この赤外線吸収剤としては、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化鉛、酸化ビスマス等の無機赤外線吸収剤や、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アルミニウム系化合物、ピリリウム系化合物、セリリウム系化合物、スクワリリウム系化合物、ジイモニウム類、銅錯体類、ニッケル錯体類、ジチオール系錯体類等の有機赤外線吸収剤を用いることができる。赤外線吸収剤は、1種のみを含有させてもよいし、2種以上を含有させてもよい。
接合剤層5、硬化塗膜15、又は接合材層20での赤外線吸収剤の含有量は、800〜1200nmの波長域の近赤外線の透過率(ただし、電磁波遮蔽部材全体としての透過率を意味する。)が20%程度以下、特に10%程度以下となるように、使用する赤外線吸収剤の種類に応じて適宜選定することが好ましい。なお、ここでいう「近赤外線の透過率」とは、(株)島津製作所製のUV−310OPC(商品名)を用いて測定した近赤外線の透過率を意味する。
接合剤層5、硬化塗膜15、又は接合材層20に赤外線吸収剤を含有させた場合には、第1透明基材1の外表面上、又は第2透明基材25の外表面上に赤外線吸収フィルムもしくは赤外線吸収層を設けた場合に比べて光学的な界面の数の増加がないので、赤外線吸収能を付与したことに伴う電磁波遮蔽部材の光透過性及び像鮮明度それぞれの低下が抑制される。
なお、接合剤層5、硬化塗膜15、又は接合材層20に赤外線吸収剤を含有させる場合には、赤外線吸収剤の劣化や分解等を抑制するという観点から、接合剤層5、硬化塗膜15、及び接合材層20のうちで赤外線吸収剤を含有させようとする層又は膜での水酸基価を10以下、更には5以下、特に0とすることが好ましい。同様の観点から、接合剤層5、硬化塗膜15、及び接合材層20のうちで赤外線吸収剤を含有させようとする層又は膜での酸価は10以下、更には5以下、特に0とすることが好ましい。ここで、本明細書でいう「水酸基価」とは、試料1mgから得られるアセチル化物に結合している酢酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数を意味する。また、本明細書でいう「酸価」とは、試料1g中の遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数を意味する。接合剤層5、硬化塗膜15、及び接合材層20それぞれでの水酸基価や酸価は、これらの層又は膜の材料を適宜選定することにより、制御することができる。
また、プラズマディスプレイパネルからは、放電ガスとして用いられる希ガスから発光が起こる。例えば、希ガスとしてネオン(Ne)ガスを用いた場合には、オレンジ色の発光が生じる。このような希ガスからの発光は、表示映像の画質を低下させる要因となる。したがって、本発明の電磁波遮蔽部材には、必要に応じて、放電ガスとして用いられる希ガスからの発光を吸収する光吸収能を付与することが好ましい。この光吸収能は、例えば、接合剤層5、硬化塗膜15、及び接合材層20の少なくとも1つに適当な光吸収色素を含有させることにより、あるいは第1透明基材1の外表面上、又は第2透明基材25の外表面上に適当な光吸収層を形成することにより、付与することができる。さらには、第2透明基材25として、所望の光吸収能を有するものを用いることにより、付与することができる。
例えば、ネオンガスからの発光を吸収するための光吸収色素としては、シアニン系色素、ポリメチン系色素、サブフタロシアンニン系色素、ポリフィリン系色素等を用いることができる。光吸収色素は、前述した赤外線吸収剤と混在させることも可能であるし、光吸収色素を含有させる層又は膜と、赤外線吸収剤を含有させる層又は膜とを互いに別個のものとすることも可能である。
上記の光吸収層は、例えば、上述した光吸収色素と、アクリレート系粘着剤、例えば2−エチルヘキシルアクリレート系を主成分とするものやブチルアクリレート系の粘着剤とを、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、イソプロピルアルコール等の溶媒に溶解させてコーティング溶液を調製し、このコーティング溶液を第1透明基材1の外表面上、又は第2透明基材25の外表面上に塗工して塗膜を形成した後に、この塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
その他、本発明の電磁波遮蔽部材では、第1透明基材1上又は第2透明基材25上に反射防止膜や衝撃吸収層等を積層することもできる。また、既に説明したように、反射防止機能や衝撃吸収機能を有するものを第2透明基材25として用いることも可能である。
<実施例1>
まず、第1透明基材として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製のA4300(商品名))を用意し、このフィルムの片面にウレタン系接着剤を用いて厚さ9μmの銅箔(古川サーキットフォイール社製のEXP−WS(商品名))をドライラミネーションした。上記の銅箔は、片面がクロメート処理により黒化されたものであり、ドライラミネーションにあたっては黒化処理面(クロメート処理面)が外表面となるように配置した。
上記のポリエチレンテレフタレートフィルムでの波長587.6nmの光の屈折率は1.57である。また、ドライラミネーションに用いたウレタン系接着剤は、ガラス転移点が20℃、数平均分子量が3万、酸価が1、水酸基価が9、波長587.6nmの光の屈折率が1.49のものであり、その膜厚は10μmである。
次に、銅箔上に所定形状のレジストパターンを形成し、このレジストパターンをエッチングマスクとして用いて銅箔をウェットエッチングした。このとき、エッチャントとしては塩化第二鉄溶液を用い、液温は50℃とした。ウェットエッチング後にレジストパターンを剥離し、純水でリンスした。これにより、個々の目の平面視上の大きさ及び形状が300μm□である格子状を呈し、細線部の平面視上の線幅が10μmであるメッシュ状金属層が得られた。このメッシュ状金属層は、前述したポリエチレンテレフタレートフィルムに、平面視上の大きさ及び形状が300μm□の光透過部を多数画定している。
これとは別に、市販の溶剤希釈型透明樹脂組成物(三菱レーヨン社製のBR−98(商品名))を用意した。この溶剤希釈型透明樹脂組成物は、ガラス転移点が65℃、数平均分子量が6万、酸価が1、水酸基価が0であるメチルメタクリレート系透明樹脂をトルエンとメチルエチルケトンとの1:1(重量比)混合液で希釈したものであり、メチルメタクリレート系透明樹脂は鎖状構造を有している。
また、接合材層の材料としてブチルアクリレート系粘着剤層が2枚の離型フィルムによって挟持された構造を有するノンキャリアタイプの粘着シート(日東電工社製のHj−9150W(商品名))を用意し、第2透明基材として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製のA4300(商品名))を用意した。上記のブチルアクリレート系粘着剤層における波長587.6nmの光の屈折率は1.46である。
次に、上記の溶剤希釈型透明樹脂組成物をベース組成物として用い、このベース組成物をトルエンとメチルエチルケトンとの1:1(重量比)混合液で5倍(重量比)に希釈して塗工液を調製し、この塗工液を前述したメッシュ状金属層上、及び多数の光透過部それぞれの上にアプリケーター用いて塗工した。塗工量は、硬化後の塗工量(乾燥重量)が20g/m になる量とした。
次いで、得られた塗膜を風速5m/秒、温度60℃の熱風で30秒間乾燥し、引き続き、風速20m/秒、温度100℃の熱風で60秒間を乾燥した。これにより、メッシュ状金属層及び多数の光透過部をそれぞれ被覆する硬化塗膜が透明樹脂により形成された。
この後、上記の粘着シートにおける一方の離型フィルムを剥離してアクリル系粘着剤層を露出させ、このアクリル系粘着剤層が第2透明基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)と接する向きで粘着シートと第2透明基材とをラミネートロールに通し、温度70℃、線圧1kg/cm の条件の下に両者を貼り合わせた。さらに、粘着シートにおける他方の離型フィルムを剥離してアクリル系粘着剤層を再び露出させ、硬化塗膜まで形成した第1透明基材と粘着シートが貼付された第2透明基材とをアクリル系粘着剤層が硬化塗膜と接する向きでラミネートロールに通し、線圧1kg/cm の条件の下に両者を貼り合わせた。これにより、第2透明基材がアクリル系粘着剤層を介して硬化塗膜に接合され、目的とする電磁波遮蔽部材が得られた。以下、同じ条件の下に複数の電磁波遮蔽部材を作製した。
本実施例1並びに後述する実施例2〜14及び比較例1〜3で電磁波遮蔽部材の作製に使用した塗工液(透明樹脂組成物)について、ベース組成物の商品名、種類、希釈倍率、重合開始剤の含有の有無、及び赤外線吸収剤(IR吸収剤)の含有の有無、並びに塗工液の塗工条件を一覧にして、後掲の表1に示す。
また、形成された硬化塗膜でのガラス転移点、数平均分子量、酸価、及び水酸基価、並びに複数の電磁波遮蔽部材の中から無作為に抽出した電磁波遮蔽部材における硬化塗膜の表面の十点平均粗さ(Rz)、光透過部での平均膜厚(光透過部の平面視上の中央部での膜厚の平均値)、図2に示した距離L2の平均値、図2に示した距離L3と距離L4との平均値、及びメッシュ状金属層の細線部上での硬化塗膜の平均傾斜角度を一覧にして、後掲の表2に示す。さらに、接合材層の材料及び厚さを表2に併記する。
なお、硬化塗膜の表面粗さ(十点平均粗さ(Rz))は、いずれの実施例及び比較例においても、東京精密社製の表面粗さ計(HANDYSURF E−35A(商品名))を用いてJIS B0601−2001 に従って測定した。
<実施例2〜9>
塗工液として実施例毎に後掲の表1に示す溶剤希釈型透明樹脂組成物を用い、かつ、接合材層の材料として後掲の表2に示すものを用いた以外は実施例1と同様の条件の下に、複数の電磁波遮蔽部材を実施例毎に作製した。なお、各溶剤希釈型透明樹脂組成物における透明樹脂は、いずれも、鎖状構造を有している。また、各実施例で作製した電磁波遮蔽部材における接合材層は、いずれも、波長587.6nmの光の屈折率が1.46のものである。
<実施例10>
塗工液として後掲の表1に示す熱硬化型透明樹脂組成物を用い、かつ、塗膜の乾燥後にこの塗膜を60℃で4日間加熱した以外は実施離1と同様の条件の下に、複数の電磁波遮蔽部材を作製した。乾燥後の塗膜を更に加熱したことにより、各電磁波遮蔽部材には、架橋した透明樹脂からなる硬化塗膜が形成された。なお、塗膜の乾燥は、実施例1での塗膜の乾燥と同じ条件の下に行った。
<実施例11>
塗工液として後掲の表1に示す光硬化型(紫外線硬化型)透明樹脂組成物を用い、その塗工量(ただし、硬化後の重量を意味する。)を17g/m にして塗膜を形成すると共に、塗膜の乾燥後に紫外線ランプを用いて照射強度400mJ/cm の条件の下に紫外線を照射した以外は実施離1と同様の条件の下に、複数の電磁波遮蔽部材を作製した。塗膜に紫外線を照射したことにより、各電磁波遮蔽部材には、架橋した透明樹脂からなる硬化塗膜が形成された。なお、塗膜の乾燥は、実施例1での塗膜の乾燥と同じ条件の下に行った。
<実施例12〜14>
後掲の表1に示すように、塗工液(透明樹脂組成物)に赤外線吸収剤を含有させ、かつ、この塗工液の塗工量(ただし、硬化後の重量を意味する。)を表1に示す量とし、他は実施例4、実施例6、又は実施例10と同様の条件の下に複数の電磁波遮蔽部材を実施例毎に作製した。
<比較例1>
硬化塗膜、接合材層、及び第2透明基材をそれぞれ設けなかった以外は実施例1と同じ条件の下に、複数の電磁波遮蔽部材を作製した。
<比較例2>
接合材層及び第2透明基材をそれぞれ設けず、かつ、塗工液(溶剤希釈型透明樹脂組成物)の塗工量(ただし、硬化後の重量を意味する。)を3g/m とした以外は実施例6と同じ条件の下に、複数の電磁波遮蔽部材を作製した。
<比較例3>
硬化塗膜を形成しなかった以外は実施例1と同じ条件の下に、複数の電磁波遮蔽部材を作製した。
Figure 2006210573
Figure 2006210573
[評価]
実施例1〜14及び比較例1〜3でそれぞれ作製した電磁波遮蔽部材について、ヘイズ、視感透過率、及び像鮮明度を下記の方法で測定した。また、透明樹脂組成物(硬化塗膜)に赤外線吸収剤を含有させた実施例12〜14の各電磁波遮蔽部材について、赤外線透過率を下記の方法で測定した。これらの結果を表3に示す。
(A)ヘイズ;
スガ試験機社製のカラーコンピューター SM−C(商品名)を用い、JIS K 7105−1981 「プラスチックの光学的特性試験方法」に従って、作製直後(初期)の値と、気温60℃、湿度95%の空気雰囲気中に1000時間放置して耐久性試験を行った後(試験後)での値とを測定した。
(B)視感透過率;
スガ試験機社製の写像性測定器 ICM−1(商品面)を用い、JIS K7105−1981 「プラスチックの光学的特性試験方法」に従って、作製直後(初期)の値と、気温60℃、湿度90%の空気雰囲気中に1000時間放置して耐久性試験を行った後(試験後)での値とを透過法により測定した。
(C)像鮮明度;
上記の写像性測定器を用い、JIS K 7105−1981 「プラスチックの光学的特性試験方法」に従って、作製直後(初期)の透過鮮明度と、気温60℃、湿度95%の空気雰囲気中に1000時間放置して耐久性試験を行った後(試験後)での透過鮮明度とを測定した。なお、光学くしとしては、暗部及び明部それぞれの幅が共に0.125mm、0.25mm、0.5mm、1mm、又は2mmである計5種類を使用した。
(D)赤外線透過率;
800〜1200nmの波長域の近赤外線の最大透過率について、作製直後(初期)の値と、気温60℃、湿度90%の空気雰囲気中に1000時間放置して耐久性試験を行った後(試験後)での値とを、(株)島津製作所製の分光光度計(UV−3100PC(品番))を用いて測定した。
Figure 2006210573
実施例1〜14で作製した各電磁波遮蔽部材でのヘイズと比較例1で作製した電磁波遮蔽部材でのヘイズとの対比から明らかなように、メッシュ状金属層及び多数の光透過部を被覆する硬化塗膜を透明樹脂により形成し、この硬化塗膜に接合材層を介して第2透明基材を接合させることにより、ヘイズが小さい電磁波遮蔽部材を得ることができる。
また、実施例1〜14で作製した各電磁波遮蔽部材での視感透過率及び像鮮明度それぞれの値と、比較例1〜3で作製した電磁波遮蔽部材での視感透過率及び像鮮明度それぞれの値との対比から明らかなように、硬化塗膜に接合材層を介して第2透明基材を接合させることにより、これら視感透過率及び像鮮明度がそれぞれ高い電磁波遮蔽部材を得ることができる。硬化塗膜を形成しなかった比較例3の電磁波遮蔽部材では、粘着材層の形成時に内部に多数の気泡が残り、結果として、ヘイズ、視感透過率、及び像鮮明度がそれぞれ悪化した。実施例1〜14で作製したいずれの電磁波遮蔽部材内にも、気泡は認められなかった。
実施例4、実施例5、実施例6、又は実施例10で作製した電磁波遮蔽部材と実施例12〜14で作製した電磁波遮蔽部材との対比から明らかなように、赤外線吸収剤を硬化塗膜に含有させた場合でも、ヘイズ、視感透過率、及び像鮮明度それぞれの値が赤外線吸収剤を含有させない場合と同程度の電磁波遮蔽部材を容易に得ることができる。
なお、実施例1〜14で作製したいずれの電磁波遮蔽部材においても、メッシュ状金属層の細線部上での第2透明基材の頂部と光透過部の平面視上の中央部での第2透明基材の上面との高低差の平均値は1μm以下であった。
図1(a)は、本発明の電磁波遮蔽部材の一例を概略的に示す部分切欠き平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示したI−I線断面の概略図である。 本発明でいう「細線部上での硬化塗膜の平均傾斜角度」の求め方を説明するための模式図である。
符号の説明
1 第1透明基材
5 接着剤層
10 メッシュ状金属層
10a 細線部
12 光透過部
15 硬化塗膜
20 接合材層
25 第2透明基材
30 電磁波遮蔽部材

Claims (10)

  1. 第1透明基材と、前記第1透明基材上に形成されて多数の光透過部を平面視上画定するメッシュ状金属層と、透明樹脂により形成されて前記メッシュ状金属層及び前記光透過部を被覆する硬化塗膜と、接合材層を介して前記硬化塗膜に接合されて該硬化塗膜を覆う第2透明基材とを有し、
    前記メッシュ状金属層の細線部上での前記硬化塗膜の平均傾斜角度が0.01〜15.0°の範囲内にあり、
    前記細線部上での前記第2透明基材の頂部と前記光透過部の平面視上の中央部での前記第2透明基材の上面との高低差の平均値が5.0μm以下であることを特徴とする電磁波遮蔽部材。
  2. 前記メッシュ状金属層が、前記第1透明基材上に接合剤により接合されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁波遮蔽部材。
  3. 前記透明樹脂が鎖状構造を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波遮蔽部材。
  4. 前記透明樹脂が架橋構造を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波遮蔽部材。
  5. 前記透明樹脂のガラス転移点が30〜150℃の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽部材。
  6. 前記硬化塗膜の表面の十点平均粗さ(Rz)が0.01〜10μmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽部材。
  7. 前記平均傾斜角度が10°以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽部材。
  8. 前記第2透明基材が透明樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽部材。
  9. 前記接合材層が感圧型粘着剤により形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽部材。
  10. 前記硬化塗膜に赤外線吸収剤が含有されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電磁波遮蔽部材。
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