JP2006201253A - 光学フィルタおよびその製造方法 - Google Patents

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淳朗 續木
Yuji Nakatsugawa
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Abstract

【課題】 本発明は、製造が容易であり、かつ透明性および電磁波遮蔽性に優れた光学フィルタおよびその製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】 上記目的を達成するために、本発明は、透明基材と、前記透明基材上に形成された接着層と、前記接着層上に形成された金属メッシュと、前記金属メッシュ上に形成された膜厚が0.1μm〜50μmの範囲内であり、かつ表面粗さが0.1μm〜20μmの範囲内である透明樹脂層と、前記透明樹脂層上に形成された透明粘着層と、前記透明粘着層上に形成された透明基体とを有することを特徴とする光学フィルタを提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイ等に用いることが可能な電磁波を遮蔽する光学フィルタおよびその製造方法に関するものである。
従来より、直接人が接近して利用する電磁波を発生する電子装置、例えばプラズマディスプレイ等のディスプレイ用電子管は、人体への影響を考慮して、電磁波放出の強さを規格内に抑えることが要求されている。これらの要求に対応するため、一般には、電磁波を発生する電子装置等の外部へ流出する電磁波を除去ないし減衰させるために、電磁波シールド等が用いられており、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPともいう。)等のディスプレイ用パネルでは、良好な透視性の光学フィルタを前面に設けるのが普通である。
これらの電磁波を遮蔽する方法としては、銀等の金属をスパッタリングにより積層する方法や、金属薄膜からなるメッシュを透明基材上に積層して用いる方法(例えば特許文献1)等が知られているが、電磁波遮蔽性能としては後者の金属薄膜からなるメッシュが優れる。しかしながら、上記金属薄膜からなるメッシュを積層して用いた場合、メッシュ上に、例えば反射防止層や赤外線吸収層等の他の層を貼り合わせた場合、上記メッシュの凹凸によって貼り合わせの際、気泡をかみこんでしまい、透明性が劣る等の問題があった。そのため、オートクレーブ等の減圧もしくは加圧環境下で一定時間放置し、場合によっては加熱しながら脱泡処理等を行う必要があるが(例えば特許文献2)、製造効率やコスト等の面で問題があった。
特開2000−59083号公報 特開2002−323861号公報
そこで、製造が容易であり、かつ透明性および電磁波遮蔽性に優れた光学フィルタおよびその製造方法の提供が望まれている。
本発明は、透明基材と、上記透明基材上に形成された接着層と、上記接着層上に形成された金属メッシュと、上記金属メッシュ上に形成された膜厚が0.1μm〜50μmの範囲内であり、かつ表面粗さが0.1μm〜20μmの範囲内である透明樹脂層と、上記透明樹脂層上に形成された透明粘着層と、上記透明粘着層上に形成された透明基体とを有することを特徴とする光学フィルタを提供する。
本発明によれば、上記金属メッシュ上に上記膜厚の透明樹脂層が形成されていることによって、金属メッシュによる凹凸の影響を、上記表面粗さの範囲内に低減することができる。これにより、その透明樹脂層上に形成された透明粘着層を貼り合わせる際に、気泡を噛みこむことがなく、オートクレーブ等による脱泡処理を行うことなく形成することが可能となる。また、上記金属メッシュの凹凸によって上記透明樹脂層が上記範囲内の表面粗さを有していても、上記透明粘着層によって平坦化することができることから、透明性の高い光学フィルタとすることができるのである。
本発明においては、上記透明粘着層に用いられる樹脂の粘度が0.01Pa・s〜100Pa・sの範囲内、ガラス転移点温度が−80℃〜−10℃の範囲内、かつ膜厚が5〜100μmの範囲内であることであることが好ましい。これにより、上記透明粘着層の流動性が高く、上記透明樹脂層の凹凸を容易に平坦化することが可能となり、透明性の高い光学フィルタとすることができるからである。
また、本発明においては、上記透明樹脂層中に赤外線吸収剤が含有されていてもよく、上記透明粘着層中に赤外線吸収剤が含有されていてもよい。これにより、別途赤外線吸収フィルム等を貼り合わせることなく、赤外線も吸収することが可能な光学フィルタとすることが可能となるからである。
本発明はまた、透明基材と、上記透明基材上に形成された接着層と、上記接着層上に形成された金属メッシュとを有する電磁波遮蔽用基板における上記金属メッシュ上に、膜厚が0.1μm〜50μmの範囲内である透明樹脂層を形成する透明樹脂層形成工程と、透明基体および上記透明基体上に形成された透明粘着層を有する支持用基板における上記透明粘着層と上記透明樹脂層とを貼り合わせる支持用基板貼り合わせ工程とを有することを特徴とする光学フィルタの製造方法を提供する。
本発明によれば、上記透明樹脂層形成工程において、上記電磁波遮蔽用基板上に、上記膜厚の透明樹脂層を形成することによって、電磁波遮蔽用基板における金属メッシュの凹凸の影響を低減させることが可能となる。これにより、上記支持用基板貼り合わせ工程において、透明粘着層と透明樹脂層とを貼り合わせる際に、気泡が噛みこまれることがなく、オートクレーブ中での処理等が必要ない。また、金属メッシュの凹凸によって、上記透明樹脂層表面に凹凸が形成されていても、透明粘着層によって透明樹脂層の凹凸を平坦化することができることから、平坦化工程等を行う必要がない。したがって、透明性の高い光学フィルタを効率よく製造することが可能となるのである。
本発明によれば、上記金属メッシュ上に上記膜厚の透明樹脂層が形成されていることによって、金属メッシュによる凹凸の影響を、上記表面粗さの範囲内に低減することができる。これにより、その透明樹脂層上に形成された透明粘着層を貼り合わせる際に、気泡を噛みこむことがなく、オートクレーブ等による脱泡処理を行うことなく形成することが可能となる。また、上記金属メッシュの凹凸によって上記透明樹脂層が上記範囲内の表面粗さを有していても、上記透明粘着層によって平坦化することができることから、透明性の高い光学フィルタとすることができるのである。
本発明は、製造が容易であり、かつ透明性および電磁波遮蔽性に優れた光学フィルタおよびその製造方法に関するものである。以下、それぞれについて詳しく説明する。
A.光学フィルタ
まず、本発明の光学フィルタについて説明する。
本発明の光学フィルタは、透明基材と、上記透明基材上に形成された接着層と、上記接着層上に形成された金属メッシュと、上記金属メッシュ上に形成された膜厚および表面粗さが所定の範囲内である透明樹脂層と、上記透明樹脂層上に形成された透明粘着層と、上記透明粘着層上に形成された透明基体とを有するものである。
本発明の光学フィルタは、例えば図1に示すように、透明基材1と、その透明基材1上に形成された接着層2と、その接着層2上に形成された電磁波を遮蔽する金属メッシュ3と、その金属メッシュ3上に形成された、所定の膜厚および表面粗さを有する透明樹脂層4と、その透明樹脂層4上に形成された透明粘着層5と、その透明粘着層5上に形成された透明基体6とを有するものである。
本発明によれば、上記金属メッシュ上に形成される透明樹脂層の膜厚を所定の範囲内とすることによって、透明樹脂層の表面に、金属メッシュの凹凸によって、大きな凹凸が形成されることを防止することができ、透明樹脂層の表面粗さを所定の範囲内とすることができる。これにより、上記透明樹脂層上に形成される透明粘着層を貼り合わせる際に、気泡を噛みこむことがなく、オートクレーブ等によって脱泡処理をする必要等のない、製造効率よく製造された光学フィルタとすることができるのである。また、上記透明樹脂層が金属メッシュの凹凸によって、上記範囲内の表面粗さの凹凸を有していても、上記透明粘着層によって平坦化されることから、ヘイズ感等のない、透明性の高い光学フィルタとすることができるのである。
以下、本発明の光学フィルタの各構成について説明する。
1.透明樹脂層
まず、本発明に用いられる透明樹脂層について説明する。本発明に用いられる透明樹脂層は、後述する金属メッシュ上に形成される可視光に対して透明性を有する層であり、膜厚および表面粗さが所定の範囲内である層である。
本発明に用いられる透明樹脂層の膜厚として、具体的には0.1μm〜50μmの範囲内、中でも0.5μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。これにより、透明樹脂層表面に、金属メッシュの凹凸によって、大きな凹凸が形成されることを防止することができ、透明樹脂層表面の表面粗さを所定の範囲内とすることが可能となるからである。ここで、透明樹脂層の膜厚とは、例えば図1のaで示される厚さ、すなわち金属メッシュが形成されていない金属メッシュの空隙部分の底部から、透明樹脂層と透明粘着層との境界部分までの厚さをいうこととする。なお、上記膜厚を50μm以上とした場合、透明樹脂層に紫外線硬化樹脂が用いられている場合には紫外線による硬化に時間がかる場合があり、また透明樹脂層に熱硬化型樹脂または熱可塑型の樹脂が用いられている場合には、溶剤の乾燥に時間がかかる場合があることから、生産効率の面で好ましくない。
また、透明樹脂層の表面粗さとしては、0.1μm〜20μmの範囲内、中でも1μm〜10μmの範囲内、特に2μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。これにより、後述する透明粘着層を、透明樹脂層上に形成した際に、気泡が噛みこまれることがなく、脱泡処理等が不要となるからである。ここで、上記表面粗さは、JIS B0601−1984 製品の幾何特性仕様 (GPS) −表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ に従い表面粗さ計 KASEKA Laboratory社製 SE−3AKにて測定された値である。
本発明に用いられる透明樹脂層に用いられる透明樹脂としては、可視光に対して透明性が高く、上記のような膜厚および表面粗さとすることが可能であれば、特にその種類等は限定されるものではないが、中でも高い耐久性を有するという面から、水酸基価が10以下、中でも5以下、特に、0であることが好ましい。ここで、水酸基価とは、試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg量をいうものである。またさらに、本発明においては、透明樹脂の酸価が、10以下、中でも5以下、特に、0であることが好ましい。これにより、さらに透明樹脂層の耐久性を高いものとすることができるからである。ここで酸価とは、試料1gを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を指す。
本発明に用いられる透明樹脂は、紫外線硬化型であってもよく、また熱硬化型や熱可塑型であってもよい。熱硬化型や熱可塑型の樹脂にはアクリル系樹脂、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレンとアクリルとの共重合体樹脂、ウレタン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエ−テルとの共重合体からなるペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンコポリマ−(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエ−テルとヘキサフルオロプロピレンコポリマ−(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレンまたはプロピレンとのコポリマ−(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマ−(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等のフッ素系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂等を挙げることができ、中でもアクリル系樹脂、エステル系樹脂、スチレンとアクリルとの共重合体樹脂であることが好ましい。紫外線硬化型樹脂には単官能アクリレート系樹脂、二官能以上の多官能アクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、グリシジルエーテル系樹脂、脂環式エポキシ樹脂等を溶剤又はモノマーで希釈したものが挙げられる。
また、上記透明樹脂の平均分子量は、500〜120万の範囲内、中でも1万〜80万であることが好ましい。これにより、上記のような性質を有する透明樹脂層とすることができるからである。
ここで、上記透明樹脂層は、無溶剤でも使用可能であるが、上記透明樹脂を溶剤等に分散または溶解させて、後述する金属メッシュ上に塗布することにより形成することもできる。ここで、上記透明樹脂を塗布する際に用いられる溶剤としては、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン、イソプロピルアルコール(IPA)、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、トリフルオロプロパノール等が挙げられる。また、塗布方法としては、メイヤーバー、グラビアコート、グラビアリバースコート、キスリバースコート、3本ロールリバースコート、スリットリバースダイコート、コンマコート、ナイフコート等の各種コーティング方法等が挙げられる。
ここで、本発明においては、透明樹脂層中に後述する赤外線吸収剤、またはネオン光吸収剤等を含有していてもよい。これにより、別途赤外線吸収フィルム等を貼り合わせることなく、赤外線やネオン光等も吸収することが可能な光学フィルタとすることが可能となるからである。この際、上記透明樹脂中に赤外線吸収剤が含有される場合には、特に水酸基価および酸価が上記範囲内であることが好ましい。これにより、透明樹脂中に含有された、例えば対イオンを有する赤外線吸収剤が、透明樹脂に含まれる水酸基や酸によって反応すること等を防ぐことができ、安定に赤外線吸収の機能を発揮する光学フィルタとすることができ、また赤外線吸収剤の選択の幅を広げることが可能となるからである。
2.透明粘着層
次に、本発明に用いられる透明粘着層について説明する。本発明に用いられる透明粘着層は、上記透明樹脂層上に形成され、後述する透明基体と、上記透明樹脂層とを貼り合わせる層である。本発明においては、この透明粘着層によって、上述した透明樹脂層の凹凸を平坦化することができ、透明性の高い光学フィルタとすることができるのである。
本発明においては、このような透明粘着層の材料として、上記透明樹脂層と、上記透明基体とを貼り合わせることが可能であり、かつ可視光に対して透明性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、本発明においては、高い耐久性を有するという面から、水酸基価が20以下、中でも5以下、特に、0であることが好ましい。またさらに、本発明においては、透明樹脂の酸価が、20以下、中でも5以下、特に、0であることが好ましい。これにより、さらに透明粘着層の耐久性を高いものとすることができるからである。
ここで、本発明に用いられる透明粘着層には、上記透明樹脂層と同様、後述する赤外線吸収剤や、ネオン光吸収剤等が含有されているものであってもよい。これにより、別途ネオン光吸収層や赤外線吸収フィルム等を形成することなく、赤外線等を吸収可能な光学フィルタとすることができるからである。透明粘着層中に赤外線吸収剤が含有される場合には、特に水酸基価および酸価がそれぞれ10以下、中でも5以下、特に0であることが好ましい。これにより、透明粘着層中に含有された、例えば対イオンを有する赤外線吸収剤が、透明粘着層中に含まれる水酸基や酸によって反応すること等を防ぐことができ、安定に赤外線吸収の機能を発揮する光学フィルタとすることができ、また赤外線吸収剤の選択の幅を広げることが可能となるからである。
上記透明粘着層を形成する際に用いられる樹脂として、具体的には、アクリル系、エステル系、ウレタン系、フッ素系、ポリイミド系、エポキシ系、ポリウレタンエステル系等が挙げられる。また、本発明に用いられる透明粘着層は、紫外線硬化型であってもよく、また熱硬化型であってもよい。本発明においては、これらの透明樹脂を溶剤等に分散または溶解させて、透明粘着層形成用塗工液とし、ドライラミネーション法、ウェットラミネーション法等により上記透明樹脂層および上記透明基体とを接着することができる。また、上記透明樹脂層および上記透明基体を貼り合わせる際には、上記透明粘着層の温度を加熱して行うことが好ましい。これにより、上記透明粘着層を形成する樹脂の流動性を高めることが可能となり、より効率よく光学フィルタを形成することが可能となるからである。
上記透明粘着層に用いられる樹脂の粘度としては、0.01Pa・s〜100Pa・sの範囲内、中でも0.1Pa・s〜5Pa・sの範囲内であることが好ましい。これにより、上記透明樹脂層上に貼り合わせる際、上記透明粘着層の流動性を高いものとすることができ、上記透明樹脂層と貼り合わせる際、気泡を噛みこむことのないものとすることができる。また、上記透明樹脂層表面の凹凸に透明粘着層が入り込み、容易に上記透明樹脂層表面の凹凸を平坦化することが可能となり、透明性の高い光学フィルタとすることが可能となる。上記粘度は、室温で、回転粘度計(日本真空機器株式会社(株)製、品番:レオメーターR180)により測定された値である。
また、上記透明粘着層を形成する際に用いられる樹脂のガラス転移点温度は−80℃〜−10℃の範囲内、中でも−60℃〜−20℃の範囲内であることが好ましい。これにより、上述したような透明粘着層を形成することができるからである。
また本発明においては、この透明粘着層の膜厚が5μm〜100μmの範囲内、中でも10μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記透明粘着層の膜厚が上記範囲内であることによって、上記透明樹脂層の凹凸を平坦化し、透明性の高い光学フィルタとすることができ、またさらに、上記透明樹脂層および上記透明基体とを強固に接着することができるからである。
3.金属メッシュ
次に、本発明に用いられる金属メッシュについて説明する。本発明に用いられる金属メッシュは、プラズマディスプレイ等から発生した電磁波を遮蔽する機能を有するものである。このような金属メッシュは、後述する透明基材上に、後述する接着層によって金属箔が貼りあわせられ、その金属箔がメッシュ状にエッチングされることにより形成される。
本発明においては、この金属メッシュは、電磁波遮蔽性を有するものであれば、その金属の種類等は特に限定されるものではなく、例えば銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、金、銀、ステンレス、タングステン、クロム、チタン等を用いることができる。
本発明においては、上記の中でも銅が、電磁波のシールド性、エッチング処理適性や取扱い性の面から好ましい。また用いられる銅箔の種類としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられるが、特に電解銅箔であることが好ましい。これにより、厚さが10μm以下の均一性のよいものとすることができ、また黒化処理された際に、酸化クロム等との密着性を良好なものとすることができるからである。
ここで、本発明においては、上記金属箔の一方の面または両面に黒化処理されていることが好ましいが、上記金属箔がエッチングされメッシュ状になった後に黒化処理されてもよい。黒化処理とは、酸化クロム等により金属メッシュの表面を黒化する処理であり、光学フィルタにおいて、この黒化処理面は、観察者側の面となるように配置される。この黒化処理により金属メッシュ表面に形成された酸化クロム等により、光学フィルタ表面の外光が吸収されることから、光学フィルタ表面で光が散乱することを防止することができ、良好な視認性を得ることが可能な光学フィルタとすることができるのである。このような黒化処理は、上記金属箔に黒化処理液を塗布することにより行うことができる。黒化処理の方法としては、CrO水溶液や、無水クロム酸水溶液に酒石酸、マロン酸、クエン酸、乳酸等の異なるオキシカルボン酸化合物を添加して、6価クロムの一部を3価クロムに還元した溶液等を、ロールコート法、エアーカーテン法、静電霧化法、スクイズロールコート法、浸漬法等により塗布し、乾燥させることにより行なうことができる。なお、この黒化処理は、後述する透明基材上に、後述する接着層により金属箔が貼りあわせられ、メッシュ状にエッチングされた後に行われるものであってもよい。
また、この黒化処理された金属箔の表面の黒濃度が0.6以上であることが好ましい。これにより、より視認性を良好なものとすることができるからである。ここで、黒濃度は、COLOR CONTROL SYSTEMのGRETAG SPM100−11((株)KIMOTO製)を用いて、観測視野角10°、観測光源D50、照明タイプとして濃度標準ANSI Tに設定し、白色キャリブレイション後に測定した値である。
また、本発明においては、上記金属箔の膜厚は、1μm〜100μmの範囲内、中でも5μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲より膜厚が厚いと、エッチングによりパターン線幅を細かく高精細化することが困難となり、また上記範囲より薄い場合には、十分な電磁波シールド性が得られないからである。
さらに、本発明においては、上記金属箔は、JIS B0601に準拠する十点平均粗さが0.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲より小さい場合には、上記黒化処理をした場合であっても、光学フィルタ表面の外光が鏡面反射することから、視認性が劣化し、また上記範囲より大きい場合には、接着層やレジスト等を塗布することが困難となるからである。
ここで、金属箔のエッチングは、後述する透明基材上に、後述する接着層を用いて貼りあわせられた後に行われるものである。本発明において、このエッチングは、通常のフォトリソグラフィー法により行うことができ、例えば金属箔の表面にレジストを塗布し、乾燥した後レジストをパターン版で密着露光し、現像処理を行うことにより得ることができる。
本発明に用いられる上述したような金属メッシュは、表面抵抗が10−6Ω/□〜5Ω/□の範囲内、中でも10−4Ω/□〜3Ω/□の範囲内であることが好ましい。一般的に、電磁波遮蔽性は、表面抵抗により測定することができ、この表面抵抗が低いほど、電磁波遮蔽性が良好なものということができる。ここで、上記表面抵抗の値は、表面抵抗測定装置 ロレスタ−GP (株)ダイヤインスツルメンツ製にてJIS K 7194「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に記載される方法にて測定を行われた値である。
本発明においては、このエッチング処理された後の金属メッシュは、50μm□〜500μm□の範囲内、中でも100μm□〜400μm□の範囲内、特に200μm□〜300μm□の範囲内であることが好ましく、またメッシュ線幅が5μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。メッシュ線幅が上記範囲より細い場合には、断線が起こる場合等があり、電磁波遮蔽性の面から好ましくなく、またメッシュ線幅が上記範囲より太い場合には、可視光の透過率が低く、例えばプラズマディスプレイの輝度が低くなる等という面から好ましくないからである。
4.接着層
次に、本発明に用いられる接着層について説明する。本発明に用いられる接着層は、上述した金属メッシュおよび透明基材を接着することが可能な層であれば、その種類等は特に限定されるものではないが、本発明においては、上記金属メッシュを構成する金属箔および透明基材を接着層により貼りあわせた後、金属箔をエッチングによりメッシュ状とすることから、接着層も耐エッチング性を有することが好ましい。
本発明においては、このような接着層の材料として、具体的には、アクリル系、エステル系、ウレタン系、フッ素系、ポリイミド系、エポキシ系、ポリウレタンエステル系等が挙げられる。
また、本発明に用いられる接着層は、紫外線硬化型であってもよく、また熱硬化型であってもよい。本発明においては、これらの接着層を用いてドライラミネーション法、ウェットラミネーション法等により上記透明基材および上記金属箔を接着することができる。
本発明においては、この接着層の膜厚が0.5μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。これにより、上記透明基材および上記金属メッシュを強固に接着することができ、また、金属メッシュを形成するエッチングの際に後述する透明基材が酸化鉄等のエッチング液の影響を受けること等を防ぐことができるからである。
また、本発明に用いられる接着層には、後述する赤外線吸収剤や、ネオン光吸収剤等が含有されているものであってもよい。これにより、別途ネオン光吸収層や赤外線吸収フィルム等を形成することなく、赤外線等を吸収可能な光学フィルタとすることができるからである。
5.透明基材
次に、本発明に用いられる透明基材について説明する。本発明に用いられる透明基材は、可視光に対して透明性を有し、かつ上記接着層と、その接着層上に上記金属メッシュとが積層されるものである。
本発明においては、この透明基材は透明性を有し、かつ接着層が形成可能であれば、その種類等は特に限定されるものではなく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、アクリル(PMMA)、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン等を用いることができ、中でもコストや取扱い性の面等から、PETであることが好ましい。
また、本発明においては、この透明基材の膜厚が12μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。上記膜厚が12μm未満の場合は透明基材が柔軟過ぎて、加工する際の張力により伸張やシワが発生しやすい。また、上記膜厚が300μmを超えるとフィルムの可撓性が減少し、各工程での連続巻き取りが困難になるなどの問題がある。
6.透明基体
次に、本発明に用いられる透明基体について説明する。本発明に用いられる透明基体は、上記透明粘着層上に積層されるものであり、可視光に対して透明性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、上記透明基材と同様の材料を用いることができる。
本発明においては、この透明基体が光学機能層、例えば反射防止層を有するものであってもよい。上記光学機能層が反射防止層の場合、光学フィルタの外側からの可視光線の反射を防止することができ、より高品質な光学フィルタとすることができるからである。このような反射防止層としては通常光学フィルタに用いられている単層や多層のものを用いることができ、多層のものとしては高屈折率層、低屈折率層を交互に積層した構造のものが一般的である。反射防止層の材質は特に限定されるものではなく、その光学フィルタの用途等により適宜選択されるものである。これらの反射防止層は、スパッタリングや蒸着等の乾式法により、あるいは、湿式法により形成することができ、高屈折率層としては、酸化ニオブ、Ti酸化物、酸化ジルコニウム、ITO等が挙げられる。また低屈折率層としては、硅素酸化物が一般的である。
7.光学フィルタ
次に、本発明の光学フィルタについて説明する。本発明の光学フィルタは、上述した透明基材と、その透明基材上に形成された接着層と、その接着層上に形成された金属メッシュと、その金属メッシュ上に形成された透明樹脂層と、その透明樹脂層上に形成された透明粘着層と、その透明粘着層上に形成された透明基体とを有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えばそれらの層の間もしくは最表層に、必要に応じて他の層等が形成されているものであってもよい。また、例えばプラズマディスプレイパネルに貼り合わせるための粘着層等が最表面に形成されているものであってもよい。
ここで、本発明の光学フィルタは、視感透過率が30%以上、中でも35%以上であることが好ましい。これにより、光学フィルタを例えばプラズマディスプレイ等に用いる際に、視認性がよいものとすることができるからである。ここで、可視光とは、380nm〜780nmの範囲内の光のことをいうこととする。上記視感透過率は分光光度計 UV−3100(島津製作所)を用いてJIS Z8701 色の表現方法 XYZ表色系及びX10Y10Z10表示系 に記載される測定方法に従って測定し、JIS Z 8722 色の測定方法−反射及び透過物体色 にて算出された光源C、視野2度のY値である。
また、本発明においては、上述したように、上記透明樹脂層、透明粘着層、および接着層に、必要に応じて適宜ネオン光吸収剤や赤外線吸収剤等が含有されていてもよく、本発明においては、赤外線吸収剤およびネオン吸収剤が上記いずれかの層に含有されていることが好ましい。これにより、少ない層構成で、電磁波、赤外線、およびネオン光を遮蔽または吸収することが可能な光学フィルタとすることができるからである。このような本発明に用いられる赤外線吸収剤およびネオン光吸収剤について以下説明する。
(赤外線吸収剤)
まず、本発明に用いられる赤外線吸収剤について説明する。本発明に用いられる赤外線吸収剤は、赤外領域の光を吸収する材料であれば、その種類等は特に限定されるものではない。本発明では赤外領域とは800〜1200nmの領域を示し、本発明に用いられる赤外線吸収剤においては、上記領域内での光の透過率が20%以下、中でも10%以下であることが好ましい。上記透過率は、分光光度計 UV−3100(島津製作所)を用いてJIS Z8701 色の表現方法 XYZ表色系及びX10Y10Z10表示系 に記載される測定方法に従って測定した値である。
本発明において、赤外線吸収剤として、具体的には、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ランタン、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化鉛、酸化ビスマス等の無機赤外線吸収剤、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アルミニウム系化合物、ピリリウム系化合物、セリリウム系化合物、スクワリリウム系化合物、ジイモニウム類、銅錯体類、ニッケル錯体類、ジチオール系錯体類等の有機赤外線吸収剤を1種類、または2種類以上混合して用いることができる。
また、上記の有機赤外線吸収剤として具体的には、(以下、日本化薬社製:商品名)IRG−002、IRG−003、IRG−022、IRG−023、IRG−040、(以下、日本触媒社製:商品名)IR−1、IR−10、IR−12、IR−14、TX−EX−906B、TX−EX−910B、(以下、三井化学ファイン社製:商品名)SIR−128、SIR−130、SIR−132、SIR−159、(以下、みどり化学社製:商品名)MIR−101、MIR−111、MIR−121、MIR−102、MIR−1011、MIR−1021等が挙げられる。
通常、対イオン構造の赤外線吸収剤を用いた場合には、その赤外線吸収剤が含有される透明樹脂等が水酸基や酸基、重合開始剤等を有する場合には、その水酸基や酸基、重合開始剤等により対イオンの均衡状態が崩れ、赤外線吸収の機能を果たすことが困難となる場合がある。したがって、本発明においては、赤外線吸収剤が含有される層に用いられる樹脂等の酸価や水酸基価が10以下、中でも5以下、特に、0であることが好ましい。これにより、対イオン構造の赤外線吸収剤であっても、赤外線吸収剤が反応等することがないものとすることができるからである。
また、本発明によれば、上記透明樹脂等の中に上記赤外線吸収剤を含有させる方法としては、上記透明樹脂等を溶融させた中に、上記赤外線吸収剤を加え、溶融混練等を行う方法であってもよく、また上記赤外線吸収剤を溶剤等に溶解させて、上記透明樹脂等の中に混合する方法であってもよい。
本発明においては、上記のうち無機赤外線吸収剤は、微粒子であることが好ましく、平均粒径は0.01μm〜1μmの範囲内であることが好ましく、中でも0.05μm〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。また、上記赤外線吸収剤の粒径は、可視光線透過率を良好なものとするために、1μm以下の分布であることが好ましい。
(ネオン光吸収剤)
次に、ネオン光吸収剤について説明する。ネオン光吸収剤とは、例えばプラズマディスプレイパネルから発せられるネオン光を吸収するものである。このようなネオン光を吸収する材料は、そのプラズマディスプレイパネルの種類により、適宜選択されるものであるが、例えば570〜600nmに吸収極大波長を有するシアニン系色素、サブフタロシアニン系色素、ポルフィリン、テトラアザポルフィリン系色素等を挙げることができる。このようなネオン光吸収剤を、上記いずれかの層に含有させることによって、色純度、色再現性等を向上させることが可能となるのである。
B.光学フィルタの製造方法
次に、本発明の光学フィルタの製造方法について説明する。本発明の光学フィルタの製造方法は、透明基材と、上記透明基材上に形成された接着層と、上記接着層上に形成された金属メッシュとを有する電磁波遮蔽用基板における上記金属メッシュ上に、膜厚が所定の範囲内である透明樹脂層を形成する透明樹脂層形成工程と、透明基体および上記透明基体上に形成された透明粘着層を有する支持用基板における上記透明粘着層と上記透明樹脂層とを貼り合わせる支持用基板貼り合わせ工程とを有する方法である。
本発明の光学フィルタの製造方法は、例えば図2に示すように、まず、透明基材1と、その透明基材1上に形成された接着層2と、その接着層2上に形成された金属メッシュ3とを有する電磁波遮蔽用基板を準備する(図2(a))。次に、この電磁波遮蔽用基板7の金属メッシュ3上に、所定の膜厚となるように、透明樹脂層4を形成する透明樹脂層形成工程を行う(図2(b))。続いて、透明基体6と透明粘着層5とが積層された支持用基板8を準備し、この支持用基板8の透明粘着層5を、上記透明樹脂層4に貼り合わせる支持用基板貼り合わせ工程(図2(c))を行うことによって、光学フィルタを製造するものである。
本発明においては、上記透明樹脂層形成工程により、透明樹脂層の膜厚を所定の厚さとなるように透明樹脂層を形成することによって、上記透明樹脂層表面に、金属メッシュの凹凸によって、大きな凹凸が形成されることを防止することができる。これにより、支持用基板貼り合わせ工程によって、上記透明粘着層と透明樹脂層とを貼り合わせる際、気泡が噛みこまれること等がなく、オートクレーブによる脱泡処理等を行う必要がないものとすることができる。また、上記透明樹脂層形成工程後、上記透明樹脂層が表面に多少の凹凸を有するものであっても、貼り合わせられる透明粘着層によって、その凹凸が平坦化されることから、上記透明樹脂層を平坦化する工程を行う必要もない。これにより、透明性の良好な光学フィルタを、効率よく製造することができるのである。
以下、本発明の光学フィルタの製造方法の各工程について説明する。
1.透明樹脂層形成工程
まず、本発明の透明樹脂層形成工程について説明する。本発明の透明樹脂層形成工程は、透明基材と、上記透明基材上に形成された接着層と、上記接着層上に形成された金属メッシュとを有する電磁波遮蔽用基板における上記金属メッシュ上に、膜厚が所定の範囲となるように、透明樹脂層を形成する工程である。
本工程により形成される透明樹脂層の膜厚として、具体的には0.1μm〜50μmの範囲内、中でも0.5μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。これにより、透明樹脂層表面に、金属メッシュの凹凸によって、大きな凹凸が形成されることを防止することができ、後述する支持用基板貼り合わせ工程において、透明粘着層と透明樹脂層との間に、気泡が入り込むこと等を防止することが可能となるからである。ここで、透明樹脂層の膜厚とは、金属メッシュが形成されていない金属メッシュの空隙部分における透明樹脂層の膜厚をいうこととする。
ここで、上記透明樹脂層を形成する工程は、まず、透明基材と、上記透明基材上に形成された接着層と、上記接着層上に形成された金属メッシュとを有する電磁波遮蔽用基板を準備し、その後、電磁波遮蔽用基板の金属メッシュ上に、透明樹脂層を形成する材料を、溶剤等に溶解、または分散させて塗布し、溶剤を揮発させて乾燥させること等によって行うことができる。
透明樹脂層を形成する材料を塗布する方法としては、所定の膜厚に、材料を塗布することが可能な方法であれば、特に限定されるものではなく、一般的に樹脂の塗布に用いられる方法を用いることができる。具体的には、メイヤーバー、グラビアコート、グラビアリバースコート、キスリバースコート、3本ロールリバースコート、スリットリバースダイコート、コンマコート、ナイフコート等の各種コーティング法が挙げられる。
なお、本工程に用いられる電磁波遮蔽用基板の透明基材、接着層、および金属メッシュや、透明樹脂層の材料、塗布の際に用いられる溶剤等については、上述した「A.光学フィルタ」で説明したものと同様のものを用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
2.支持用基板貼り合わせ工程
上記透明樹脂層形成工程終了後、支持用基板貼り合わせ工程が行われる。本発明の光学フィルタの製造方法における支持用基板貼り合わせ工程は、透明基体および上記透明基体上に形成された透明粘着層を有する支持用基板における上記透明粘着層と上記透明樹脂層とを貼り合わせる工程である。
本工程は、まず透明基体と、その透明基体上に形成された透明粘着層とを有する支持用基板を準備し、その後、支持用基板の透明粘着層と上記透明樹脂層とを貼り合わせることによって行うことができる。この際、上記透明粘着層は、上記透明樹脂層の表面に存在する凹凸に入り込むことが可能な程度の流動性を有していることが好ましい。これにより、上記透明樹脂層および上記透明粘着層の間に気泡が噛みこまれず、また、上記透明樹脂層上の凹凸を平坦化することができる。したがって、オートクレーブによる脱泡処理や、上記透明樹脂層を平坦化する平坦化工程等が必要なく、効率よく光学フィルタを製造することが可能となるからである。
ここで、本工程においては、上記透明樹脂層と、上記透明粘着層とを気泡等を噛みこむことなく、密着させて貼り合わせることが可能であれば、その方法等は特に限定されるものではなく、ラミネートロール等によって貼り合わせることが可能である。本発明においては、特に透明粘着層を室温以上に加熱しながら、貼り合わせる方法であることが好ましい。これにより、上記透明粘着層に上記流動性を付与することが可能となり、容易に上記透明粘着層と上記透明樹脂層とを貼り合わせることが可能となるからである。
上記透明粘着層の加熱時の温度としては、透明粘着層の種類や特性により適宜選択されるものであるが、通常30℃〜120℃の範囲内、中でも40℃〜100℃の範囲内、好ましくは50℃〜80℃とされる。
ここで、本工程に用いられる支持用基板の透明基体および透明粘着層等については、上述した「A.光学フィルタ」の項で説明したものと同様の物を用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について、実施例を通じてさらに詳述する。
(実施例1)
<電磁波遮蔽用基板の作製>
片面がクロメート処理により黒化処理されている、銅箔(古川サーキットフォイール製、EXP−WS、厚さ9μm)と、ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績製 A4300 厚み100μm)とを、ウレタン系接着剤(三井武田ケミカル製 A310)にてドライラミネーション加工し貼り合わせた後、上記銅箔上にレジストを塗布後、露光、現像、エッチング、レジスト除去を行うことにより300μm□、線幅10μmの金属メッシュを形成した。なお、この際黒化処理面はPDPパネルが製造された場合、見る側(人間側)になるように設置するため、非貼り合せ面側とした。
<透明樹脂層の作製>
次に、固形分20wt%に溶剤希釈されたメチルメタクリレート樹脂である三菱レーヨン社製のBR−98に、日本化薬製 IRG−022(ジイモニウム系色素)0.3g/mおよび日本触媒製 IR−1(フタロシアニン系)0.2g/mの2種の赤外線吸収色素を合計0.5g/m混ぜ込みを行った。この赤線吸収色素を混ぜた樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚20μmとなるようにコーティングし、風速5m/secのドライエアーが当たるオーブンにて80℃で5分間乾燥し透明樹脂層を形成した。この際、透明樹脂層の表面粗さは2.5μmであった。
<支持用基板の作製>
固形分20wt%に溶剤希釈されたアクリル系の粘着剤(ガラス転位温度:−40℃、粘度:4Pa・S)に、ネオン光吸収色素(山田化学製 TAP14)を0.05g/m混ぜ込み、そのアクリル系粘着剤を乾燥膜厚25μmとなるようにPETフィルム上に塗布し、風速10m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で5分間乾燥させ、透明粘着層を作製した。
<支持用基板の貼り合わせ>
透明粘着層側を上記電磁波遮蔽用基板上に形成された透明樹脂層に対し、温度50℃、線圧:1kg/cmのラミネートロールにて貼り合わせ、光学フィルタを作製した。
(実施例2)
透明樹脂層の乾燥条件を風速20m/secのドライエアーが当たるオーブンを使用した以外は、実施例1と同様に光学フィルタを形成した。なお、透明樹脂層の表面粗さは16.4μmであった。
(実施例3)
透明樹脂層に赤外線吸収剤を含有させず、透明粘着層に日本化薬製 IRG−022(ジイモニウム系色素)0.3g/mおよび日本触媒製 IR−1(フタロシアニン系)0.2g/mの2種の赤外線吸収色素を合計0.5g/m、およびネオン光吸収色素(山田化学製 TAP14)を0.05g/mを含有させた以外は、実施例1と同様に光学フィルタを形成した。なお、透明樹脂層の表面粗さは2.3μmであった。
(実施例4)
透明樹脂層の樹脂バインダとして、スチレンとアクリルの共重合体樹脂(旭化成ケミカル製 AS767)を用いた以外は、実施例1と同様に光学フィルタを形成した。なお、透明樹脂層の表面粗さは2.0μmであった。
(実施例5)
赤外線吸収剤を透明樹脂層および透明粘着層何れにも含有させず、透明粘着層にネオン光吸収色素(山田化学製 TAP14)0.05g/mのみを含有させ、そのときの透明樹脂層の樹脂バインダとして、大日本インキ社製の紫外線硬化型透明樹脂であるRC−17−236をその固形分量が70wt%となるように溶剤(RC−17−236で用いられている溶剤と同じ組成の溶剤)で希釈したものを用い、かつ、この紫外線硬化型透明樹脂の塗工、乾燥後に紫外線ランプを用いて照射強度400mJ/cmの条件の下に紫外線を照射して透明樹脂層を作製した以外は、実施例1と同様に光学フィルタを形成した。なお、透明樹脂層の表面粗さは2.1μmであった。
(比較例1)
透明樹脂層を形成しなかった以外は、実施例3と同様に光学フィルタを形成した。
(比較例2)
透明樹脂層の乾燥条件を風速100m/secのドライエアーが当たるオーブンにて150℃1分の急激な乾燥条件とした以外は、実施例1と同様に光学フィルタを形成した。なお、透明樹脂層の表面粗さは25.3μmであった。
<評価>
実施例および比較例について、透明性および視認性の評価結果を表1に示す。
Figure 2006201253
上記の測定は、以下の各測定条件で行った。
視認性:光学フィルタをプラズマディスプレイパネル前面に設置し、画像が鮮明に見えるか、目視により確認を行った。
透明性:カラーコンピューター SM−C スガ試験機製にてJIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」に記載される方法にてヘイズ(濁度)の測定を行った。
比較例1および2から示されるように、上記電磁波遮蔽用基板上に透明粘着層を形成しただけ、もしくは規定範囲外の表面粗さを有する透明樹脂層を形成し、そのうえに透明粘着層を形成しただけでは、電磁波遮蔽用基板の金属メッシュの凹凸形状によって、気泡が入り込み、視認性が悪かった。一方、実施例1から実施例5に示されるように、規定範囲内の表面粗さを有する上記透明樹脂層を形成することにより透明樹脂層と透明粘着層との間に、気泡等が噛みこまれることなく、オートクレーブ等の処理を行うことなく、良好な視認性を得ることができた。
また、金属メッシュの平坦化の効果により、電磁波遮蔽用基板のエッチングされた断面が乱反射する事もなくプラズマディスプレイの死角に近い斜め方向から見てもギラツキ無く画像を認識する事ができる透視性と良好な電磁波遮蔽性を有していた。
またさらに、電磁波遮蔽について、銅薄膜からなるメッシュを用いることで、特にエッチング加工に適している上に、電磁波遮蔽効果も高いものとすることができた。さらに、金属薄膜からなるメッシュを黒化処理することによって、外光を吸収する性能が特に高まり、より視認性を高める事ができるものとなった。
本発明の光学フィルタの一例を示す概略断面図である。 本発明の光学フィルタの製造方法の一例を示す工程図である。
符号の説明
1…透明基材
2…接着層
3…金属メッシュ
4…透明樹脂層
5…透明粘着層
6…透明基体

Claims (5)

  1. 透明基材と、前記透明基材上に形成された接着層と、前記接着層上に形成された金属メッシュと、前記金属メッシュ上に形成された膜厚が0.1μm〜50μmの範囲内であり、かつ表面粗さが0.1μm〜20μmの範囲内である透明樹脂層と、前記透明樹脂層上に形成された透明粘着層と、前記透明粘着層上に形成された透明基体とを有することを特徴とする光学フィルタ。
  2. 前記透明粘着層に用いられる樹脂の粘度が0.01Pa・s〜100Pa・sの範囲内、ガラス転移点温度が−80℃〜−10℃の範囲内、かつ膜厚が5μm〜100μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ。
  3. 前記透明樹脂層中に赤外線吸収剤が含有されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学フィルタ。
  4. 前記透明粘着層中に赤外線吸収剤が含有されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学フィルタ。
  5. 透明基材と、前記透明基材上に形成された接着層と、前記接着層上に形成された金属メッシュとを有する電磁波遮蔽用基板における前記金属メッシュ上に、膜厚が0.1μm〜50μmの範囲内である透明樹脂層を形成する透明樹脂層形成工程と、透明基体および前記透明基体上に形成された透明粘着層を有する支持用基板における前記透明粘着層と前記透明樹脂層とを、貼り合わせる支持用基板貼り合わせ工程とを有することを特徴とする光学フィルタの製造方法。
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CN107409446A (zh) * 2015-03-31 2017-11-28 株式会社神户制钢所 金属基板

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