JP2004333746A - 光学フィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、製造が容易であり、かつ電磁波および赤外線を安定して遮蔽する光学フィルタを提供することを主目的とするものである。
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、透明基材と、前記透明基材上に形成された接着層と、前記接着層上に形成された金属メッシュとを有する電磁波遮蔽用基板、および前記電磁波遮蔽用基板上に形成され、かつ水酸基価が10以下である透明樹脂に赤外線を吸収する赤外線吸収剤が含有された赤外線吸収剤含有層を有することを特徴とする光学フィルタを提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、透明基材と、前記透明基材上に形成された接着層と、前記接着層上に形成された金属メッシュとを有する電磁波遮蔽用基板、および前記電磁波遮蔽用基板上に形成され、かつ水酸基価が10以下である透明樹脂に赤外線を吸収する赤外線吸収剤が含有された赤外線吸収剤含有層を有することを特徴とする光学フィルタを提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイ等に用いることが可能な電磁波および赤外線を遮蔽する光学フィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、直接人が接近して利用する電磁波を発生する電子装置、例えばプラズマディスプレイ等のディスプレイ用電子管は、人体への影響を考慮して、電磁波放出の強さを規格内に抑えることが要求されている。これらの要求に対応するため、一般には、電磁波を発生する電子装置等の外部へ流出する電磁波を除去ないし減衰させるために、電磁波シールド等が用いられており、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPともいう。)等のディスプレイ用パネルでは、良好な透視性の光学フィルタを前面に設けるのが普通である。
【0003】
これらの電磁波を遮蔽する方法としては、銀等の金属をスパッタリングにより積層する方法や、金属薄膜からなるメッシュを透明基材上に積層して用いる方法(例えば特許文献1)等が知られている。
【0004】
また、光学フィルタには、他の機器の誤動作の防止やリモートコントロールの操作性のため、ディスプレイ内部から発生する近赤外線をカットまたは吸収する機能が求められており、一般的には赤外線吸収フィルム等を積層する方法が用いられている。ここで、上記金属薄膜からなるメッシュと、赤外線吸収フィルム等を積層した場合には、上記メッシュの凹凸によって貼りあわせの際に、気泡を噛みこんでしまうこと等によって、透明性が劣ることから、オートクレーブ中の減圧環境下にて、一定時間放置する等の脱泡処理等を行う必要があり、製造効率やコストの面で問題があった。
【0005】
このような問題を解決するために、上記メッシュの凹凸を平坦化するために設けられる平坦化層や、上記金属メッシュと透明基材とを接着する接着層等に、赤外線吸収機能を有する赤外線吸収剤を添加する方法等が報告されている(特許文献1および特許文献2)。しかしながら、上記平坦化層や上記接着層等に上記赤外線吸収剤を含有させた場合には、その層を構成する樹脂の種類等によっては、上記赤外線吸収剤が反応してしまう等の問題があり、赤外線吸収の機能を十分に発揮できない場合がある等の問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−311843号公報
【特許文献2】
特開2000−59083号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、製造が容易であり、かつ電磁波および赤外線を安定して遮蔽する光学フィルタの提供が望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、透明基材と、上記透明基材上に形成された接着層と、上記接着層上に形成された金属メッシュとを有する電磁波遮蔽用基板、および上記電磁波遮蔽用基板上に形成され、かつ水酸基価が10以下である透明樹脂に赤外線を吸収する赤外線吸収剤が含有された赤外線吸収剤含有層を有することを特徴とする光学フィルタを提供する。
【0009】
本発明によれば、電磁波遮蔽性を有する電磁波遮蔽用基板上に形成された、赤外線吸収剤含有層中に赤外線吸収剤が含有されることから、別途赤外線吸収用フィルム等を貼りあわせる工程が必要なく、電磁波遮蔽性および赤外線吸収性を有する、製造効率やコストの面からも好ましい光学フィルタとすることができるのである。また、上記赤外線吸収剤含有層に用いられる透明樹脂の水酸基価が、上記範囲内であることにより、その透明樹脂に含有される赤外線吸収剤と、透明樹脂が有する水酸基とが反応等することを防ぐことができ、安定に赤外線吸収の機能を発揮することが可能な光学フィルタとすることができる。
【0010】
さらに本発明においては、上記透明樹脂の酸価が10以下であることが好ましい。これにより、上記透明樹脂中に含有される赤外線吸収剤が、透明樹脂中の酸と反応することを防ぐことも可能となり、より安定に赤外線吸収の機能を発揮することが可能な光学フィルタとすることができるからである。
【0011】
また、本発明においては、上記透明樹脂の、ガラス転移温度(Tg)が−80℃〜−10℃の範囲内であり、上記赤外線吸収剤含有層が粘着性を有する赤外線吸収剤含有粘着層であってもよい。これにより、赤外線吸収剤含有層を、本発明の光学フィルタと、例えばプラズマディスプレイパネル等の他の部材と接着する層として用いることが可能となるからである。
【0012】
また、上記発明においては、上記赤外線吸収剤含有層上に透明粘着層を有するものであってもよい。これにより、本発明の光学フィルタを、他の部材と貼りあわせることが可能となるからである。また上記赤外線吸収剤含有層が粘着性を有する場合であっても、例えば金属を含有するガラスからなるプラズマディスプレイパネル等の他の部材と貼りあわせる場合、上記赤外線吸収剤含有層中に含有される赤外線吸収剤が、そのガラスに含まれる金属と反応等してしまう場合があることから、上記透明粘着層を形成することにより、赤外線吸収剤と他の部材とが接触しないようにすることが可能となるからである。
【0013】
また、本発明においては、上記電磁波遮蔽用基板が、上記金属メッシュ上に形成された平坦化層を有していてもよい。これにより、上記電磁波遮蔽用基板において、上記金属メッシュの凹凸を平坦化することができ、高品質な光学フィルタとすることができるからである。
【0014】
本発明においては、上記電磁波遮蔽用基板が、上記金属メッシュの断面に形成されたメッシュ断面被覆層を有していてもよい。これにより、金属メッシュ断面の乱反射を防ぐことができ、さらに例えば金属メッシュ上に接着層等を設けた際、メッシュ空隙部分の底部の隅に気泡が入ることを防ぐことができるからである。
【0015】
さらに、本発明においては、上記金属メッシュの空隙部分が、上記接着層により充填されているものであってもよい。これにより、平坦化層等を用いることなく上記金属メッシュの凹凸を平坦化することができ、高品質な光学フィルタとすることができるからである。
【0016】
また、本発明の光学フィルタは、補強材を有していてもよい。これにより、強度を有する光学フィルタとすることができるからである。
【0017】
さらに、本発明の光学フィルタは、反射防止層を有していてもよい。これにより、上記電磁波遮蔽および赤外線吸収の機能だけでなく、可視光等の反射防止の機能も有する光学フィルタとすることができるからである。
【0018】
また、本発明の光学フィルタは、ネオン光吸収層を有していてもよい。これにより、例えばプラズマディスプレイパネル等の色調を調整することが可能な光学フィルタとすることができるからである。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、製造が容易であり、かつ電磁波および赤外線を安定して遮蔽する光学フィルタに関するものである。以下、本発明の光学フィルタについて説明する。
【0020】
本発明の光学フィルタは、透明基材と、上記透明基材上に形成された接着層と、上記接着層上に形成された金属メッシュとを有する電磁波遮蔽用基板、および上記電磁波遮蔽用基板上に形成され、かつ水酸基価が10以下である透明樹脂に赤外線を吸収する赤外線吸収剤が含有された赤外線吸収剤含有層を有することを特徴とするものである。
【0021】
本発明の光学フィルタは、例えば図1に示すように、透明基材1と、その透明基材1上に形成された接着層2と、その接着層2上に形成された金属メッシュ3とを有する電磁波遮蔽用基板4と、その電磁波遮蔽用基板4上に形成された赤外線吸収剤含有層5とを有するものである。
【0022】
本発明によれば、電磁波遮蔽の機能を有する電磁波遮蔽用基板上に、上記赤外線吸収剤を含有する赤外線吸収剤含有層が形成されることから、別途赤外線吸収フィルムを貼りあわせる必要がなく、電磁波遮蔽の機能および赤外線吸収の機能を有する、製造効率やコストの面から好ましい光学フィルタとすることができる。
【0023】
また通常、透明樹脂の中に赤外線吸収剤を含有する場合において、その透明樹脂が水酸基を有する場合には、その水酸基により例えば対イオンを有する赤外線吸収剤が反応等する場合がある。本発明においては、上記赤外線吸収剤含有層に用いられる透明樹脂の水酸基価が上記範囲内であることから、その透明樹脂中に含有される赤外線吸収剤が透明樹脂中の水酸基と反応等することを防止することができ、安定に赤外線吸収の機能を発揮することが可能な光学フィルタとすることができるのである。
【0024】
ここで、本発明の光学フィルタには、2つの実施態様があり、第1実施態様としては、上記赤外線吸収剤含有層が粘着性を有する赤外線吸収剤含有粘着層である場合であり、第2実施態様としては、上記赤外線吸収剤含有層が粘着性を有しない赤外線吸収剤含有コーティング層である場合である。
【0025】
以下、本発明の光学フィルタの各実施態様ごとにわけて説明する。
【0026】
A.第1実施態様
まず、本発明の光学フィルタにおける第1実施態様について説明する。本発明の光学フィルタにおける第1実施態様は、透明基材と、上記透明基材上に形成された接着層と、上記接着層上に形成された金属メッシュとを有する電磁波遮蔽用基板、および上記電磁波遮蔽用基板上に形成され、かつ水酸基価が10以下である透明樹脂に赤外線を吸収する赤外線吸収剤が含有された赤外線吸収剤含有層を有するものであり、かつ上記赤外線吸収剤含有層は、用いられる透明樹脂のガラス転移温度(Tg)が所定の範囲内であり、粘着性を有する赤外線吸収剤含有粘着層であることを特徴とするものである。
【0027】
本実施態様によれば、上記赤外線吸収剤含有層が粘着性を有する赤外線吸収剤含有粘着層であることから、本実施態様の光学フィルタと、例えばプラズマディスプレイパネル等の他の部材とを赤外線吸収剤含有粘着層によって接着することが可能となるのである。
【0028】
以下、本実施態様における光学フィルタの各構成について説明する。
【0029】
1.赤外線吸収剤含有粘着層
まず、本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有粘着層について説明する。本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有粘着層は、後述する電磁波遮蔽用基板上に形成される層であって、水酸基価が10以下である透明樹脂に赤外線を吸収する赤外線吸収剤が含有された層であり、さらに上記透明樹脂が、ガラス転移温度(Tg)が所定の値以下であって粘着性を有する層である。本実施態様の光学フィルタにおいて、この赤外線吸収剤含有粘着層は、例えばプラズマディスプレイ等から発せられた赤外線を吸収する機能を果たすものである。また例えばプラズマディスプレイパネルや補強剤等の他の部材と、本実施態様の光学フィルタとを接着する層としての機能を果たすものである。以下、このような赤外線吸収剤含有粘着層の各構成について説明する。
【0030】
(透明樹脂)
まず、本実施態様の赤外線吸収剤含有粘着層に用いられる透明樹脂について説明する。本実施態様の赤外線吸収剤含有粘着層に用いられる透明樹脂としては、可視光に対して透過率の高い樹脂であり、かつ水酸基価およびガラス転移点温度(Tg)が所定の値以下のものであって粘着性を有するものである。
【0031】
本実施態様において、このような透明樹脂の水酸基価は、10以下、中でも5以下、特に、0であることが好ましい。これにより、透明樹脂中に含有される、例えば対イオンを有する赤外線吸収剤が、透明樹脂に含まれる水酸基により反応すること等を防ぐことができ、安定に赤外線吸収の機能を有する光学フィルタとすることが可能となる。また赤外線吸収剤の選択の幅を広げることも可能となる。ここで、水酸基価とは、試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg量をいうものである。
【0032】
また、本実施態様において、透明樹脂のガラス転移点温度は、−80℃〜−10℃の範囲内、中でも−60℃〜−20℃の範囲内であることが好ましい。これにより、本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有粘着層に粘着性を付与することが可能となり、本発明の光学フィルタを、例えばプラズマディスプレイ用パネル等の他の部材に接着することが可能となるからである。
【0033】
また、本実施態様においては、上記透明樹脂の酸価が、10以下、中でも5以下、特に、0であることが好ましい。これにより、透明樹脂中に含有される酸により、赤外線吸収剤が反応すること等を防ぐことができ、さらに安定に赤外線吸収の機能を発揮する光学フィルタとすることができるからである。ここで、酸価とは、試料1gを中和するのに要する水酸化カリウムのmg量をいう。
【0034】
本実施態様に用いられる、上述したような性質を有する材料として、具体的には、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタンエステル系樹脂、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエ−テルとの共重合体からなるペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンコポリマ−(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエ−テルとヘキサフルオロプロピレンコポリマ−(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレンまたはプロピレンとのコポリマ−(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマ−(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等のフッ素系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂等を挙げることができ、中でもアクリル系樹脂、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂であることが好ましい。
【0035】
また、上記樹脂の平均分子量は、500〜120万の範囲内、中でも20万〜100万であることが好ましい。これにより、上記のような性質を有する透明樹脂とすることができるからである。
【0036】
本実施態様においては、上述した材料の中でも、アクリル系樹脂であることが好ましく、中でも2−エチルヘキシル(2HA)、ブチルアクリレート(BA)を主成分として用いることが好ましい。
【0037】
(赤外線吸収剤)
次に、赤外線吸収剤含有粘着層に用いられる赤外線吸収剤について説明する。本実施態様に用いられる赤外線吸収剤は、赤外領域の光を吸収する材料であれば、その種類等は特に限定されるものではない。一般に赤外領域とは800〜1200nmの領域を示し、本実施態様に用いられる赤外線吸収剤においては、上記領域内での光の透過率が20%以下、中でも10%以下であることが好ましい。上記透過率は、分光光度計 UV−3100PC 島津製作所製にてJIS Z8722「色の測定方法−反射及び透過物体色」に記載される方法にて測定を行った値である。
【0038】
本実施態様において、赤外線吸収剤として、具体的には、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化鉛、酸化ビスマス等の無機赤外線吸収剤、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アルミニウム系化合物、ピリリウム系化合物、セリリウム系化合物、スクワリリウム系化合物、ジイモニウム類、銅錯体類、ニッケル錯体類、ジチオール系錯体類等の有機赤外線吸収剤を1種類、または2種類以上混合して用いることができる。
【0039】
また、上記の有機赤外線吸収剤として具体的には、(以下、日本化薬社製:商品名)IRG−002、IRG−003、IRG−022、IRG−023、IRG−040、(以下、日本触媒社製:商品名)IR−1、IR−10、IR−12、IR−14、TX−EX−906B、TX−EX−910B、(以下、三井化学ファイン社製:商品名)SIR−128、SIR−130、SIR−132、SIR−159、(以下、みどり化学社製:商品名)MIR−101、MIR−111、MIR−121、MIR−102、MIR−1011、MIR−1021等が挙げられる。
【0040】
通常、対イオン構造の赤外線吸収剤を用いた場合には、その赤外線吸収剤が含有される透明樹脂が水酸基やカルボキシル基、重合開始剤等を有する場合には、その水酸基やカルボキシル基、重合開始剤等により対イオンの均衡状態が崩れ、赤外線吸収の機能を果たすことが困難となる場合がある。
【0041】
本実施態様においては、上述した透明樹脂を用いることから、対イオン構造の赤外線吸収剤であっても、反応等することがなく、本実施態様の効果をより発揮することができるという面から、上記の中でも対イオン構造を有するジイモニウム類、ニッケル錯体類、ジチオール系錯体類、アルミニウム系化合物、シアニン系化合物、ピリリウム系化合物であることが好ましい。
【0042】
また、本実施態様によれば、上記透明樹脂中に上記赤外線吸収剤を含有させる方法としては、上記透明樹脂を溶融させた中に、上記赤外線吸収剤を加え、溶融混練等を行う方法であってもよく、また上記赤外線吸収剤を溶剤等に溶解させて、上記透明樹脂中に混合する方法であってもよい。本実施態様によれば、上述した透明樹脂を用いることから、どちらの方法においても上記赤外線吸収剤を安定に分散させることが可能となるのである。
【0043】
ここで、本実施態様において、上記のうち無機赤外線吸収剤は、微粒子であることが好ましく、平均粒径は0.01μm〜1μmの範囲内であることが好ましく、中でも0.05μm〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。また、上記赤外線吸収剤の粒径は、可視光線透過率を良好なものとするために、1μm以下の分布であることが好ましい。
【0044】
(赤外線吸収剤含有粘着層)
次に、本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有粘着層について説明する。本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有粘着層は、上記透明樹脂中に、上記赤外線吸収剤が含有されたものであり、この赤外線吸収剤含有粘着層の膜厚が0.5μm〜50μmの範囲内、中でも5μm〜40μmであることが好ましい。これにより、後述する電磁波吸収用基板および、例えばプラズマディスプレイパネル等の他の部材とを強固に接着することができ、また赤外線吸収の機能を果たすことができるからである。
【0045】
このような赤外線吸収剤含有粘着層の形成方法としては、上述した赤外線吸収剤が含有された上述した透明樹脂を、溶剤等により溶解させ、後述する電磁波遮蔽用基板上にメイヤーバー、グラビアコート、グラビアリバースコート、キスリバースコート、3本ロールリバースコート、スリットリバースダイコート、コンマコート、ナイフコート等の各種コーティング法により塗布し、溶剤を揮発させて乾燥させる方法等が挙げられる。また、離型フィルム等の上に上記方法により塗布し、その後電磁波遮蔽用基板に貼りあわせる方法等であってもよい。
【0046】
ここで、上記透明樹脂を塗布する際に用いられる溶剤としては、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン、イソプロピルアルコール(IPA)、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、トリフルオロプロパノール等が挙げられる。
【0047】
上述したような赤外線吸収剤含有粘着層は、ドライラミネーション法、またはウェットラミネーション法等により後述する電磁波遮蔽用基板と、例えばプラズマディスプレイ等の他の部材とを接着することができるのである。
【0048】
ここで、本実施態様においては赤外線の透過率が、20%以下、中でも10%以下であることが好ましい。これにより、例えばプラズマディスプレイ等から発生する赤外線をカットまたは吸収することが可能となり、他の機器の誤動作の防止等をすることができるからである。ここで、上記透過率は、上述した測定法により測定した値である。
【0049】
なお、本実施態様の赤外線吸収剤含有粘着層は、必要に応じて粘着付与剤、充填剤、軟化材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、架橋剤等を含有するものであってもよい。
【0050】
2.電磁波遮蔽用基板
次に、本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板について説明する。本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板は、透明基材と、その透明基材上に形成された接着層と、その接着層上に形成された金属メッシュとを有するものであり、例えばプラズマディスプレイ等から発せられる電磁波を遮蔽することが可能な基板であれば、特に限定されるものではなく、例えばその金属メッシュが平坦化されたもの等であってもよい。
【0051】
以下、本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板の各構成について説明する。
【0052】
(金属メッシュ)
まず、本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板の金属メッシュについて説明する。本実施態様に用いられる金属メッシュは、プラズマディスプレイ等から発生した電磁波を遮蔽する機能を有するものである。このような金属メッシュは、後述する透明基材上に、後述する接着層により金属箔が貼りあわせられ、その金属箔がメッシュ状にエッチングされることにより形成される。
【0053】
本実施態様においては、この金属メッシュは、電磁波遮蔽性を有するものであれば、その金属の種類等は特に限定されるものではなく、例えば銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、金、銀、ステンレス、タングステン、クロム、チタン等を用いることができる。
【0054】
本実施態様においては、上記の中でも銅が、電磁波のシールド性、エッチング処理適性や取扱い性の面から好ましい。また用いられる銅箔の種類としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられるが、特に電解銅箔であることが好ましい。これにより、厚さが10μm以下の均一性のよいものとすることができ、また黒化処理された際に、酸化クロム等との密着性を良好なものとすることができるからである。
【0055】
ここで、本実施態様においては、上記金属箔の一方の面または両面に黒化処理されていることが好ましい。黒化処理とは、酸化クロム等により金属メッシュの表面を黒化する処理であり、光学フィルタにおいて、この黒化処理面は、観察者側の面となるように配置される。この黒化処理により金属メッシュ表面に形成された酸化クロム等により、光学フィルタ表面の外光が吸収されることから、光学フィルタ表面で光が散乱することを防止することができ、良好な視認性を得ることが可能な光学フィルタとすることができるのである。このような黒化処理は、上記金属箔に黒化処理液を塗布することにより行うことができる。黒化処理の方法としては、CrO2水溶液や、無水クロム酸水溶液に酒石酸、マロン酸、クエン酸、乳酸等の異なるオキシカルボン酸化合物を添加して、6価クロムの一部を3価クロムに還元した溶液等を、ロールコート法、エアーカーテン法、静電霧化法、スクイズロールコート法、浸漬法等により塗布し、乾燥させることにより行なうことができる。なお、この黒化処理は、後述する透明基材上に、後述する接着層によって金属箔が貼りあわせられ、メッシュ状にエッチングされた後に行われるものであってもよい。
【0056】
本実施態様においては、上記黒化処理された金属箔の表面の黒濃度が0.6以上であることが好ましい。これにより、より視認性を良好なものとすることができるからである。ここで、黒濃度は、COLOR CONTROL SYSTEMのGRETAG SPM100−11((株)KIMOTO製)を用いて、観測視野角10°、観測光源D50、照明タイプとして濃度標準ANSI Tに設定し、白色キャリブレイション後に測定した値である。
【0057】
また、本実施態様においては、上記金属箔の膜厚は、1μm〜100μmの範囲内、中でも5μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲より膜厚が厚いと、エッチングによりパターン線幅を細かく高精細化することが困難となり、また上記範囲より薄い場合には、十分な電磁波シールド性が得られないからである。
【0058】
さらに、本実施態様においては、上記金属箔は、JIS B0601に準拠する十点平均粗さが0.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲より小さい場合には、上記黒化処理をした場合であっても、光学フィルタ表面の外光が鏡面反射することから、視認性が劣化し、また上記範囲より大きい場合には、接着層やレジスト等を塗布することが困難となるからである。
【0059】
ここで、金属箔のエッチングは、後述する透明基材上に、後述する接着層を用いて貼りあわせられた後に行われるものである。本実施態様において、このエッチングは、通常のフォトリソグラフィー法により行うことができ、例えば金属箔の表面にレジストを塗布し、乾燥した後レジストをパターン版で密着露光し、現像処理を行うことにより得ることができる。
【0060】
本実施態様に用いられる上述したような金属メッシュは、表面抵抗が10−8Ω/□〜5Ω/□の範囲内、中でも10−4Ω/□〜3Ω/□の範囲内であることが好ましい。一般的に、電磁波遮蔽性は、表面抵抗により測定することができ、この表面抵抗が低いほど、電磁波遮蔽性が良好なものということができる。ここで、上記表面抵抗の値は、表面抵抗測定装置 ロレスタ−GP (株)ダイヤインスツルメンツ製にてJIS K 7194「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に記載される方法にて測定された値である。
【0061】
本実施態様においては、このエッチング処理された後の金属メッシュは、50μm□〜500μm□の範囲内、中でも100μm□〜400μm□の範囲内、特に200μm□〜300μm□の範囲内であることが好ましく、またメッシュ線幅が5μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。メッシュ線幅が上記範囲より細い場合には、断線が起こる場合等があり、電磁波遮蔽性の面から好ましくなく、またメッシュ線幅が上記範囲より太い場合には、可視光の透過率が低く、例えばプラズマディスプレイの輝度が低くなる等という面から好ましくないからである。
【0062】
(透明基材)
次に、本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板における透明基材について説明する。本実施態様に用いられる透明基材は、可視光に対して透明性を有し、かつ後述する接着層と、その接着層上に上記金属メッシュとが積層されるものである。
【0063】
本実施態様においては、この透明基材は透明性を有し、かつ接着層が形成可能であれば、その種類等は特に限定されるものではなく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、アクリル(PMMA)、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン等を用いることができ、中でもコストや取扱い性の面等から、PETであることが好ましい。
【0064】
また、本実施態様においては、この透明基材の膜厚が12μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。
【0065】
(接着層)
次に、本実施態様に用いられる電磁波遮蔽板における接着層について説明する。本実施態様に用いられる接着層は、上述した金属メッシュおよび透明基材とを接着することが可能な層であれば、その種類等は特に限定されるものではないが、本実施態様においては、上記金属メッシュを構成する金属箔および透明基材を接着層により貼りあわせた後、金属箔をエッチングによりメッシュ状とすることから、接着層も耐エッチング性を有することが好ましい。
【0066】
本実施態様においては、このような接着層の材料として、具体的には、アクリル系、エステル系、ウレタン系、フッ素系、ポリイミド系、エポキシ系、ポリウレタンエステル系等が挙げられる。
【0067】
また、本実施態様に用いられる接着層は、紫外線硬化型であってもよく、また熱硬化型であってもよい。本実施態様においては、これらの接着層を用いてドライラミネーション法、ウェットラミネーション法等により上記透明基材および上記金属箔とを接着することができる。
【0068】
本実施態様においては、この接着層の膜厚が0.5μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。これにより、上記透明基材および上記金属メッシュとを強固に接着することができ、また、金属メッシュを形成するエッチングの際に透明基材がエッチング液の影響を受けること等を防ぐことができるからである。
【0069】
(電磁波遮蔽用基板)
次に、本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板について説明する。本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板は、上記透明基材上に上記接着層が形成され、その接着層上に上記金属メッシュが形成されたものであれば、特に限定されるものではなく、必要に応じて上記金属メッシュ、透明基材、および接着層の他に、上記金属メッシュの表面を平坦化する層等を有するものであってもよい。本実施態様においては、上記金属メッシュの表面が平坦化されているものであることが光学フィルタの透明性や汎用性等の面から好ましい。
【0070】
ここで、上記金属メッシュを平坦化する方法としては、以下の3つの態様が挙げられる。まず、第1の態様としては、上記金属メッシュの表面を平坦化する平坦化層を形成する方法であり、第2の態様としては、上記上記金属メッシュの断面にメッシュ断面被覆層を形成し、メッシュ表面を平坦化する方法である。また第3の態様としては、上記金属メッシュの空隙部分を、上記接着層により充填することによって、金属メッシュ表面を平坦化する方法である。以下、これらの平坦化の方法について各態様ごとに説明する。
【0071】
(1)第1の態様
まず、本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板における上記金属メッシュ表面の平坦化方法の第1の態様について説明する。
【0072】
本実施態様の金属メッシュの平坦化における第1の態様は、上述した金属メッシュ表面を平坦化する平坦化層を形成することにより、金属メッシュの表面を平坦化する方法である。本態様における電磁波遮蔽用基板は、例えば図2に示すように、透明基材1と、その透明基材1上に形成された接着層2と、その接着層2上に形成された金属メッシュ3と、その金属メッシュ3上に形成された平坦化層6とを有するものとなる。本態様よれば、上記金属メッシュ上に平坦化層を形成することによって、上記金属メッシュの凹凸を平坦化することができ、他の部材と貼りあわせた際等に、金属メッシュによる凹凸によって光学フィルタの透明性が低下することを防ぐことができるのである。また、上述した金属メッシュ形成の際に行われるエッチングによって、上記接着層表面が劣化し、透明性が低下した場合であっても、その接着層上に平坦化層が形成されることから、透明性を改良することができ、さらに、平坦化層により金属メッシュの断面が覆われることから、金属メッシュを斜めから見た際にも乱反射を防止することができるのである。
【0073】
このような平坦化層の材料としては、可視光に対して透明性を有する樹脂であることが好ましく、具体的には、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
【0074】
また、上記平坦化層の形成方法は、上述した材料を溶剤等に溶解させて金属メッシュ上に塗布後、溶剤を揮発させて乾燥する。その後、表面に金属メッシュの凹凸により形成された透明樹脂の凹凸を、透明樹脂基材のTg以上の温度で例えばミラーロール等を用いて圧力をかけることにより平坦化することにより形成することができる。
【0075】
このことから、上記の樹脂は、ガラス転移点温度(Tg)が30℃〜150℃の範囲内、中でも40℃〜120℃の範囲内であることが好ましい。
【0076】
また、この平坦化層を平坦化する工程における温度および圧力は、その透明樹脂の種類により適宜選択されるものであるが、通常50℃〜170℃の範囲内であり、また圧力は線圧0.1kg/cm2〜10kg/cm2の範囲内であることが好ましい。
【0077】
本態様において、このような平坦化層の膜厚は、金属メッシュが形成されていない部分、例えば図2に示すaの膜厚が、10μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。これにより、上記金属メッシュの凹凸を平坦化することが可能となるからである。
【0078】
(2)第2の態様
次に、本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板における上記金属メッシュ表面の平坦化方法の第2の態様について説明する。
【0079】
本実施態様の金属メッシュの平坦化における第2の態様は、金属メッシュの断面にメッシュ断面被覆層を形成することにより金属メッシュの表面を平坦化する方法である。本態様における電磁波遮蔽用基板は、例えば図3に示すように、透明基材1と、その透明基材1上に形成された接着層2と、その接着層2上に形成された金属メッシュ3と、その金属メッシュ3の断面および金属メッシュ3の空隙部分の底部を被覆するメッシュ断面被覆層7層とを有するものとなる。
【0080】
通常、金属メッシュを光学フィルタに用いる場合、金属メッシュを斜めから見た際に断面が乱反射し、視野角が減少することから、金属メッシュ以上の厚みを持つ透明粘着層を貼りあわせて透明化処理を行うことが必要である。この透明粘着層を貼りあわせる際、メッシュ空隙部分の底部の隅における気泡が抜け難く、例えばオートクレーブ中等に一定時間放置し、脱泡処理を行わなければならない。本態様によれば、上記メッシュ断面被覆層を形成することにより、上記気泡が残ることがないことから、脱泡処理等が必要なく、またメッシュの断面を覆うことから、斜めから見た際のメッシュ断面の乱反射も防止することができる。さらに、上記メッシュ断面被覆層によりメッシュ空隙部が充填されていることから、このメッシュ断面被覆層が形成された金属メッシュ上に透明粘着層等を用いて他の層と貼りあわせた際に、気泡等を噛みこむことなく平坦な層を形成することができるのである。
【0081】
上記メッシュ断面被覆層を形成する材料は、可視光に対して透明な樹脂である層であれば、特に限定されるものではなく具体的には、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、等が挙げられる。
【0082】
上記メッシュ断面被覆層の形成方法としては、上記樹脂を溶剤等に希釈し、上記金属メッシュ上に印刷用スキージ等を用いて、金属メッシュ上に樹脂が残らないように塗布することにより得ることができる。
【0083】
また、この際、溶剤に希釈された上記樹脂の粘度は100Pa・s〜10000Pa・sの範囲内であることが好ましい。これにより、上記金属メッシュ空隙部分に気泡等が残ることなく、メッシュ断面被覆層を形成することができるからである。
【0084】
(3)第3の態様
次に、本実施態様の金属メッシュの平坦化における第3の態様について説明する。本実施態様の金属メッシュの平坦化における第3の態様は、金属メッシュの空隙部分を、上記接着層により充填することにより金属メッシュ表面を平坦化する方法である。本態様における電磁波遮蔽用基板は、例えば図4に示すように、上記透明基材1と、その透明基材1上に形成された接着層2と、その接着層2上に形成された金属メッシュ3とを有するものであって、その金属メッシュ3の空隙部分が上記接着層2により充填されているものとなる。
【0085】
本態様によれば、上記接着層によって、上記金属メッシュの空隙部が充填されていることにより、上記金属メッシュの凹凸が平坦化される。さらに、上記金属メッシュの断面を接着層が覆うことから、メッシュ断面の乱反射を抑えることができるのである。
【0086】
上記接着層を、上記金属メッシュの空隙部に充填する方法としては、まず、上述したように上記透明基材上に形成された上記接着層上に金属箔を貼りあわせ、その金属箔をエッチングすることにより金属メッシュを形成する。その後、例えば離型フィルムの離型処理面等を上記金属メッシュの表面に設置した後、上記接着層のガラス転移点温度以上の熱をかけて、例えばミラーロール等により加圧することにより、上記金属メッシュが上記接着層中に押し込まれ、上記金属メッシュの空隙部に上記接着層が充填されるのである。
【0087】
なお、本態様により平坦化が行われる場合には、上述した接着層の材料の中でも、ガラス転移点温度(Tg)が−60℃〜180℃の範囲内、中でも40℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。これにより、上記工程によって容易に上記金属メッシュを押し込むことが可能となるからである。
【0088】
また、この工程における温度および圧力は、その接着層の種類により適宜選択されるものであるが、通常50℃〜170℃の範囲内であり、また圧力は線圧0.1kg/cm2〜10kg/cm2の範囲内であることが好ましい。
【0089】
3.光学フィルタ
次に、本実施態様の光学フィルタについて説明する。本実施態様の光学フィルタは、上述した電磁波遮蔽用基板上に、上述した赤外線吸収剤含有粘着層が形成されているものであり、必要に応じて他の層が積層されているもの等であってもよい。
【0090】
ここで、本実施態様における光学フィルタは、視感透過率が40%以上、中でも50%以上であることが好ましい。これにより、光学フィルタを例えばプラズマディスプレイ等に用いる際に、視認性がよいものとすることができるからである。ここで、可視光とは、380nm〜780nmの範囲内の光のことをいうこととし、上記視感透過率は分光光度計 UV−3100(島津製作所)を用いてJIS Z8701 色の表現方法 XYZ表色系及びX10Y10Z10表示系 に記載される測定方法に従って測定し、JIS Z 8722 色の測定方法−反射及び透過物体色 にて算出された、380nm〜780nmの範囲内透過率を測定した値である。
【0091】
また、通常光学フィルタが用いられる際には、金属メッシュ等の電磁波遮蔽板により遮蔽された電磁波の電気を逃がすためにアースが設置される。本実施態様の光学フィルタにおいては、上記金属メッシュが観察者側に配置される場合には、通常の方法によりアースをとることが可能であるが、例えばプラズマディスプレイ用パネル側に上記金属メッシュが配置される場合には、導電粘着テープを上記金属メッシュの外周4辺に貼りあわせたり、リベット等を用いて光学フィルタの表面側にアースをとるための接点を形成すること等により、アースをとることを可能とすることができる。
【0092】
また、本実施態様の光学フィルタは、例えば図1に示すように、上記赤外線吸収剤含有粘着層5が、上記電磁波遮蔽用基板4における透明基材1側に形成されるものであってもよく、また例えば図5に示すように、上記赤外線吸収剤含有粘着層5が、上記電磁波遮蔽用基板4における金属メッシュ3側に形成されるものであってもよい。
【0093】
また、例えば図6に示すように、電磁波遮蔽用基板4と、その電磁波遮蔽用基板4上に形成された赤外線吸収剤含有粘着層5と、その赤外線吸収剤含有粘着層5上に透明粘着層8とを有するものであってもよい。上記赤外線吸収剤含有粘着層と貼りあわせられる部材に例えば青板ガラス等の金属を含有する材料が用いられる場合、上記赤外線吸収剤含有粘着層に含有される赤外線吸収剤と、その金属とが反応等してしまう可能性があり、上記透明粘着層を形成することにより、上記赤外線吸収剤と上記部材とが接触することを防ぐことが可能となるからである。また、この透明粘着層は、上述した赤外線吸収剤含有粘着層と上述した電磁波遮蔽用基板との間に形成されていてもよい。上述した赤外線吸収剤含有粘着層中の赤外線吸収剤と、電磁波遮蔽用基板における金属メッシュとが接触する場合には、これらが反応等する場合があり、この透明粘着層を形成することによって、この反応等を防止することが可能となり、より高品質な光学フィルタとすることができるからである。
【0094】
また、本実施態様においては、例えば図7に示すように、上記電磁波遮蔽用基板4上に形成された赤外線吸収剤含有粘着層5上に、補強材9を有するものであってもよい。これにより、本実施態様の光学フィルタに強度を付与することができるからである。
【0095】
さらに、本実施態様においては、例えば図8に示すように、上記電磁波遮蔽用基板4と赤外線吸収剤含有粘着層5と、その電磁波遮蔽用遮蔽用基板4側に形成されたネオン光吸収層10を有するものであってもよい。このネオン光吸収層によって、例えばプラズマディスプレイパネル等の色調を調整することが可能となり、高品質な光学フィルタとすることができるからである。
【0096】
また例えば図9に示すように、上記ネオン光吸収層10上に上記補強材9が形成され、さらにその補強材9上に反射防止層11等が形成されたもの等であってもよい。これにより、上記電磁波遮蔽および赤外線吸収の機能だけでなく、可視光等の反射防止の機能も有する光学フィルタとすることができるからである。
【0097】
なお、これらの層が積層される場合、上述したように、上記電磁波遮蔽用基板において上記金属メッシュが平坦化されていることが好ましい。これにより、上記電磁波遮蔽用基板上に層が形成される際、気泡等が噛みこまれることにより透明性が低下する等の問題が起きることがなく、製造効率よく高品質な光学フィルタとすることができるのである。また、上記のどの場合においても、上記電磁波遮蔽用基板における金属メッシュの黒化処理面は、光学フィルタとして用いられた際に、観察者側となるように形成される。
【0098】
ここで、本実施態様に用いられる、上記透明粘着層、上記補強材、反射防止層、およびネオン光吸収層について詳しく説明する。
【0099】
(透明粘着層)
まず、本実施態様に用いられる透明粘着層について説明する。本実施態様に用いられる透明粘着層は、可視光に対して透明性を有し、かつ粘着性を有する層であって、上述した赤外線吸収剤含有粘着層と本実施態様の光学フィルタを貼りあわせる部材との間や、赤外線吸収剤含有粘着層と電磁波遮蔽用基板との間等に形成されるものである。本実施態様の光学フィルタを貼りあわせる部材が、金属等を含有する例えば青板ガラス等である場合がある。本実施態様に用いられる上記赤外線吸収剤含有粘着層中に含有された赤外線吸収剤が、例えば対イオン構造等を有するものである場合等には、金属等と接触することにより反応する場合があることから、上記透明粘着層が形成されることにより、上記部材に含有される金属等と上記赤外線吸収剤とが接触せず、より安定に赤外線吸収の機能を発揮させることが可能となる。
【0100】
本実施態様においては、この透明粘着層の膜厚は0.5μm〜50μm、中でも5μm〜40μmの範囲内で形成されることが好ましい。これにより、上記赤外線吸収剤含有粘着層に含有される赤外線吸収剤と金属とが接触することがなく、より安定に赤外線吸収の機能を発揮することが可能な光学フィルタとすることができるからである。
【0101】
このような透明粘着層に用いられる材料としては、上記赤外線吸収剤含有粘着層と接触して形成されることから、水酸基価や酸価が低いものであることが好ましく、このような透明粘着層として、具体的には、上述した赤外線吸収剤含有粘着層における透明樹脂の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明を省略する。
【0102】
(補強材)
次に、本実施態様に用いられる補強材について説明する。本実施態様に用いられる補強材は、光学フィルタに強度を付与すること、及び衝撃を吸収することが可能なものであれば、特に限定されるものではなく、上記赤外線吸収剤含有粘着層上に形成されるものであってもよく、また上記電磁波遮蔽用基板側に透明粘着層等を用いて接着されるものであってもよい。
【0103】
このような補強材として、可視光に対して透明性を有しており、強度を有するものであれば、光学フィルタの用途に応じて、その補強材の材料等は適宜選択されるものであり、具体的には、ガラスや高分子樹脂基板等を用いることができる。
【0104】
また、可撓性を有するものであってもよく、可撓性を有しないものであってもよい。このような補強材の厚さは、通常50μm〜500μmとすることができる。
【0105】
(反射防止層)
次に、本実施態様に用いられる反射防止層について説明する。反射防止層は光学フィルタの外側からの可視光線の反射を防止するためのもので、その構成としては、単層、多層の各種知られており、多層のものとしては高屈折率層、低屈折率層を交互に積層した構造のものが一般的である。反射防止層の材質は特に限定されるものではなく、その光学フィルタの用途等により適宜選択されるものである。これらの反射防止層は、スパッタリングや蒸着等の乾式法により、あるいは、湿式法により形成することができ、高屈折率層としては、酸化ニオブ、Ti酸化物、酸化ジルコニウム、ITO等が挙げられる。また低屈折率層としては、硅素酸化物が一般的である。
【0106】
(ネオン光吸収層)
次に、ネオン光吸収層について説明する。ネオン光吸収層とは、例えば光学フィルタをプラズマディスプレイに用いた際に、ネオン光を吸収する層である。このような材料としては、そのプラズマディスプレイ等の種類により、適宜選択されるものであり、例えばプラズマディスプレイにおけるネオン光の590nm近傍の発光を抑えるために用いられる、570〜600nmに吸収極大波長を有するシアニン系色素、サブフタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素等を挙げることができる。これにより色純度、色再現性等を向上させることが可能となるのである。また、本実施態様に用いられるネオン光吸収層は、例えば上述した平坦化層とガラス基板等を接着させるための接着層としての機能を果たすことも可能であり、この場合、上述した透明粘着層中に上記の色調を調整するための顔料を含有させたもの等を用いることができる。
【0107】
B.第2実施態様
次に、本発明の光学フィルタの第2実施態様について説明する。本発明の光学フィルタの第2実施態様は、透明基材と、上記透明基材上に形成された接着層と、上記接着層上に形成された金属メッシュとを有する電磁波遮蔽用基板、および上記電磁波遮蔽用基板上に形成され、かつ水酸基価が10以下である透明樹脂に赤外線を吸収する赤外線吸収剤が含有された赤外線吸収剤含有層を有するものであって、上記赤外線吸収剤含有層は、用いられる透明樹脂が、粘着性を有しないものである赤外線吸収剤含有コーティング層であることを特徴とするものである。
【0108】
本実施態様によれば、上記赤外線吸収剤を含有する赤外線吸収剤含有コーティング層を一般的に用いられる塗布法等によって形成することが可能であり、製造効率やコスト等の面から好ましい光学フィルタとすることができるのである。
【0109】
以下、本実施態様の光学フィルタの各構成ごとに説明する。なお、本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板については、上述した第1実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0110】
1.赤外線吸収剤含有コーティング層
まず、本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有コーティング層について説明する。本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有コーティング層は、上記電磁波遮蔽用基板上に形成される層であって、水酸基価が10以下である透明樹脂に赤外線を吸収する赤外線吸収剤が含有された層であり、上記透明樹脂が粘着性を有しない層である。本実施態様の光学フィルタにおいて、この赤外線吸収剤含有コーティング層は、例えばプラズマディスプレイ等から発せられた赤外線を吸収する機能を果たすものである。以下、このような赤外線吸収剤含有コーティング層の各構成について説明する。
【0111】
(透明樹脂)
まず、本実施態様の赤外線吸収剤含有コーティング層に用いられる透明樹脂について説明する。本実施態様の赤外線吸収剤含有コーティング層に用いられる透明樹脂としては、可視光に対して透過率の高い樹脂であって、粘着性を有しないものである。
【0112】
本実施態様において、このような透明樹脂の水酸基価は、10以下、中でも5以下、特に、0であることが好ましい。これにより、透明樹脂中に含有される、例えば対イオンを有する赤外線吸収剤が、透明樹脂に含まれる水酸基により反応すること等を防ぐことができ、安定に赤外線吸収の機能を有する光学フィルタとすることができ、また赤外線吸収剤の選択の幅を広げることが可能となるからである。ここで、水酸基価とは、試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg量をいうものである。
【0113】
また、本実施態様において、透明樹脂のガラス転移点温度は、50℃〜150℃の範囲内、中でも80℃〜140℃の範囲内であることが好ましい。これにより、本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有コーティング層が粘着性を有しないものとすることが可能となるからである。
【0114】
また、本実施態様においては、上記透明樹脂の酸価が、10以下、中でも5以下、特に、0であることが好ましい。これにより、透明樹脂中に含有される酸により、赤外線吸収剤が反応すること等を防ぐことができ、さらに安定に赤外線吸収の機能を発揮する光学フィルタとすることができるからである。ここで、酸価とは、試料1gを中和するのに要する水酸化カリウムのmg量をいう。
【0115】
本実施態様に用いられる、上述したような性質を有する材料として具体的には、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタンエステル系樹脂、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエ−テルとの共重合体からなるペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンコポリマ−(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエ−テルとヘキサフルオロプロピレンコポリマ−(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレンまたはプロピレンとのコポリマ−(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマ−(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等のフッ素系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂等を挙げることができ、中でもアクリル系樹脂、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂であることが好ましい。
【0116】
また、上記樹脂の平均分子量は、500〜60万の範囲内、中でも1万〜50万であることが好ましい。これにより、上記のような性質を有する透明樹脂とすることができるからである。
【0117】
本実施態様においては、上述した中でもアクリル系樹脂であることが好ましく、中でもポリメタクリル酸メチル(PMMA),メタクリル酸メチル(MMA)、エチルメタクリル酸(EMA)等のガラス転移温度が高いものが使用される。
【0118】
(赤外線吸収剤)
次に、赤外線吸収剤含有コーティング層に用いられる赤外線吸収剤について説明する。本実施態様に用いられる赤外線吸収剤は、赤外領域の光を吸収する材料であれば、その種類等は特に限定されるものではなく、上述した第1実施態様における、赤外線吸収剤含有コーティング層の赤外線吸収剤の項で説明したものと同様のものを用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
【0119】
(赤外線吸収剤含有コーティング層)
次に、本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有コーティング層について説明する。本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有コーティング層は、上記透明樹脂中に、上記赤外線吸収剤が含有されたものであり、この赤外線吸収剤含有コーティング層の膜厚が0.5μm〜50μmの範囲内、中でも5μm〜40μmであることが好ましい。これにより、赤外線吸収の機能を果たすことができるからである。
【0120】
このような赤外線吸収剤含有コーティング層の形成方法としては、上述した赤外線吸収剤が含有された上述した透明樹脂を、溶剤等により溶解させ、上記電磁波遮蔽用基板上にスプレーコート、ビードコート、メイヤーバー、グラビアコート、グラビアリバースコート、キスリバースコート、3本ロールリバースコート、スリットリバースダイコート、コンマコート、ナイフコート等の各種コーティング法により塗布し、溶剤を揮発させて乾燥させる方法等が挙げられる。
【0121】
ここで、上記透明樹脂を塗布する際に用いられる溶剤としては、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン、イソプロピルアルコール(IPA)、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、トリフルオロプロパノール等が挙げられる。
【0122】
また、本実施態様においては赤外線の透過率が、20%以下、中でも10%以下であることが好ましい。これにより、例えばプラズマディスプレイ等から発生する赤外線をカットまたは吸収することが可能となり、他の機器の誤動作の防止等をすることができるからである。ここで、上記透過率は、上述した測定法により測定した値である。
【0123】
なお、本実施態様の赤外線吸収剤含有コーティング層は、必要に応じて充填剤、軟化材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、架橋剤等を含有するものであってもよい。
【0124】
2.光学フィルタ
次に、本実施態様の光学フィルタについて説明する。本実施態様の光学フィルタは、上述した電磁波遮蔽用基板上に、上述した赤外線吸収剤含有コーティング層が形成されているものであれば、特に限定されるものではなく、必要に応じて他の層が積層されているもの等であってもよい。
【0125】
ここで、本実施態様における光学フィルタは、上述した第1実施態様の光学フィルタと同様に、視感透過率が40%以上、中でも50%以上であることが好ましい。これにより、光学フィルタを例えばプラズマディスプレイ等に用いる際に、視認性がよいものとすることができるからである。この視感透過率の測定方法は、上述した方法と同様である。
【0126】
ここで、本実施態様の光学フィルタは、例えば図1に示すように、上記赤外線吸収剤含有コーティング層5が、上記電磁波遮蔽用基板4における透明基材1側に形成されるものであってもよく、また上記赤外線吸収剤含有コーティング層が、上記平坦化層が形成された電磁波遮蔽用基板における平坦化層側に形成されるものであってもよい。
【0127】
また、例えば図6に示すように、電磁波遮蔽用基板4と、その電磁波遮蔽用基板4上に形成された赤外線吸収剤含有コーティング層5と、その赤外線吸収剤含有コーティング層5上に透明粘着層8とを有するものであってもよい。これにより、本実施態様の光学フィルタを、例えばプラズマディスプレイ用パネル等の、他の部材と接着することが可能なものとすることができるからである。また、この透明粘着層は、上述した赤外線吸収剤含有コーティング層と上述した電磁波遮蔽用基板との間に形成されてもよい。上述した赤外線吸収剤含有コーティング層中の赤外線吸収剤と、電磁波遮蔽用基板における金属メッシュとが接触する場合には、この赤外線吸収剤と金属とが反応等する場合があり、この透明粘着層を形成することによって、この反応等を防止することが可能となるからである。
【0128】
また、本実施態様の光学フィルタにおいては、上記赤外線吸収剤含有コーティング層は、粘着性を有しないことから、上記透明粘着層により他の部材と積層されていてもよく、例えば図10に示すように、電磁波遮蔽用基板4と、その電磁波遮蔽用基板4上に形成された赤外線吸収層5と、その赤外線吸収層5上に形成された透明粘着層8と、その透明粘着層(又は、透明接着層)8上に形成された補強材9とを有するもの等であってもよい。これにより、本実施態様の光学フィルタに強度を付与することができるからである。
【0129】
また、例えばネオン光吸収層と積層されたものであってもよく、またさらに反射防止層と積層されたもの等であってもよい。
【0130】
ここで、本実施態様に用いられる、上記透明粘着層、上記補強材、反射防止層、およびネオン光吸収層については、上述した第1実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0131】
なお、これらの層が積層される場合、上述したように、上記電磁波遮蔽用基板において上記金属メッシュが平坦化されていることが好ましい。これにより、上記電磁波遮蔽用基板上に層が形成される際、気泡等が噛みこまれることにより透明性が低下する等の問題が起きることがなく、製造効率よく高品質な光学フィルタとすることができるからである。また、上記のどの場合においても、上記電磁波遮蔽用基板における金属メッシュの黒化処理面は、光学フィルタとして用いられた際に、観察者側となるように形成される。さらに、上述した第1実施態様と同様に、アースをとることを可能とすることが好ましい。
【0132】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0133】
【実施例】
以下、本発明について、実施例および比較例を通じてさらに詳述する。
【0134】
(実施例1)
<電磁波遮蔽用基板の作製>
片面がクロメート処理により黒化処理されている、銅箔(古川サーキットフォイール製、EXP−WS、厚さ9μm)と、ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績製 A4300 厚み100μm)とを、ウレタン系接着剤(Tg20℃、平均分子量3万、酸価1、水酸基価9)にてドライラミネーション加工し貼り合わせた後、上記銅箔上にレジストを塗布後、露光、現像、エッチング、レジスト除去を行うことにより300μm□、線幅10μmの金属メッシュを形成した。なお、この際黒化処理面はPDPパネルが製造された場合、見る側(人間側)になるように設置するため、非貼り合せ面側とした。
【0135】
<平坦化層の作製>
次に、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg100℃、平均分子量25万、酸価0、水酸基価0)の樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚20μm(非メッシュ部膜厚)となるように、上記にて作製した電磁波遮蔽用基板上に塗布し、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し塗膜作製した。塗布乾燥後、上記樹脂バインダのTgより高温の表面凹凸が少ないミラーロールにて温度120℃、線厚1kg/cm2の圧力を掛けて平坦化層コート面より押しつけ、平坦化層表面の凹凸を消す事により平坦化層の作製を行った。
【0136】
<赤外線吸収剤含有粘着層の作製>
次に、離型フィルム上に、透明粘着層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg−40℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)をアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるようにコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し透明粘着層を形成した。
【0137】
次に、上記透明粘着層上に、赤外線吸収剤含有粘着層として、アクリル系バインダ(Tg−40℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)の中に、日本化薬製 IRG−022(ジイモニウム系色素)0.3g/m2および日本触媒製IR−1(フタロシアニン系)0.2g/m2の2種の赤外線吸収色素を合計0.5g/m2混ぜ込みを行った。この赤線吸収色素を混ぜた樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるようにコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し赤外線吸収剤含有粘着層を形成した。
【0138】
<赤外線吸収剤含有粘着層の貼付>
次に、赤外線吸収剤含有粘着層をハンドロールにて、上記電磁波遮蔽用基板のPET側に密着させることにより、本発明の光学フィルタを作製した。その後、離型フィルムを剥離し、透明粘着層をPDP前面パネルに積層した。
【0139】
(実施例2)
赤外線吸収剤含有粘着層を、電磁波遮蔽用基板における平坦化層側に貼付し、その赤外線吸収剤含有粘着層上に形成された透明粘着層によりPDP前面パネルに積層した以外は、実施例1と同様に行った。
【0140】
(実施例3)
ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績製 A4300 厚み100μm)上に、赤外線吸収剤含有接着層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂ポリエステル系バインダ(Tg60℃、平均分子量25万、酸価0、水酸基価0)をアプリケーターにて、乾燥膜厚20μmとなるように、上記PET上にコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し接着層を形成した。
【0141】
その接着層と、片面がクロメート処理により黒化処理されている、銅箔(古川サーキットフォイール製、EXP−WS、厚さ9μm)とを、ドライラミネーション加工にて貼りあわせを行った。この際、ラミロール温度は、接着層のTg以上である80℃に設定し、線圧1kg/cm2とした。続いて、上記銅箔上にレジストを塗布後、露光、現像、エッチング、レジスト除去を行うことにより300μm□、線幅10μmの金属メッシュを形成した。なお、この際黒化処理面はPDPパネルが製造された場合、見る側(人間側)になるように設置するため、貼り合せ面側とした。
【0142】
<平坦化工程>
次に、上記エッチングにより形成された金属メッシュ表面に、離型フィルムの離型処理面を設置し、ミラーロールにて、温度130℃、線圧25kg/cm2で加圧し、上記金属メッシュを上記接着層中に埋め込み、平坦化を行った。
【0143】
<赤外線吸収剤含有粘着層の作製>
次に、離型フィルム上に、透明粘着層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg−40℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)をアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるようにコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し透明粘着層を形成した。
【0144】
次に、上記透明粘着層上に、赤外線吸収剤含有粘着層として、アクリル系バインダ(Tg−40℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)の中に、日本化薬製 IRG−022(ジイモニウム系色素)0.3g/m2および日本触媒製IR−1(フタロシアニン系)0.2g/m2の2種の赤外線吸収色素を合計0.5g/m2混ぜ込みを行った。この赤線吸収色素を混ぜた樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるようにコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し赤外線吸収剤含有粘着層を形成した。
【0145】
<赤外線吸収剤含有粘着層の貼付>
次に、赤外線吸収剤含有粘着層を温度23℃、線圧1kg/cm2のラミネートロールにて、上記電磁波遮蔽用基板のPET側に密着させることにより、本発明の光学フィルタを作製した。その後、離型フィルムを剥離し、透明粘着層をPDP前面パネルに積層した。
【0146】
(実施例4)
赤外線吸収剤含有粘着層を、電磁波遮蔽用基板における金属メッシュ側に貼付し、その赤外線吸収剤含有粘着層上に形成された透明粘着層によりPDP前面パネルに積層した以外は、実施例3と同様に行った。
【0147】
(実施例5)
<電磁波遮蔽用基板の作製>
片面がクロメート処理により黒化処理されている、銅箔(古川サーキットフォイール製、EXP−WS、厚さ9μm)と、ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績製 A4300 厚み100μm)とを、ウレタン系接着剤(Tg20℃、平均分子量3万、酸価1、水酸基価9)にてドライラミネーション加工し貼り合わせた後、上記銅箔上にレジストを塗布後、露光、現像、エッチング、レジスト除去を行うことにより300μm□、線幅10μmの金属メッシュを形成した。なお、この際黒化処理面はPDPパネルが製造された場合、見る側(人間側)になるように設置するため、非貼り合せ面側とした。
【0148】
<メッシュ断面被覆層の作製>
次に、固形分40wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg100℃、平均分子量24万、酸価0、水酸基価0)の樹脂バインダをスキージにて、上記金属メッシュ側に塗布し、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥しメッシュ断面被覆層を作製した。この際、金属メッシュ上には、上記樹脂バインダが残らないように形成した。メッシュ断面被覆層が形成される前のメッシュ断面はメッシュを斜め方向から見た場合に生じる銅の乱反射が確認されたが、メッシュ断面被覆層を形成した後は乱反射は確認されなかった。
【0149】
<赤外線吸収剤含有粘着層の作製>
次に、離型フィルム上に、透明粘着層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg−40℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)をアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるようにコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し透明粘着層を形成した。
【0150】
次に、上記透明粘着層上に、赤外線吸収剤含有粘着層として、アクリル系バインダ(Tg−40℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)の中に、日本化薬製 IRG−022(ジイモニウム系色素)0.3g/m2および日本触媒製IR−1(フタロシアニン系)0.2g/m2の2種の赤外線吸収色素を合計0.5g/m2混ぜ込みを行った。この赤線吸収色素を混ぜた樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるようにコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し赤外線吸収剤含有粘着層を形成した。
【0151】
<赤外線吸収剤含有粘着層の貼付>
次に、赤外線吸収剤含有粘着層を温度23℃、線圧1kg/cm2のラミネートロールにて、上記電磁波遮蔽用基板のPET側に密着させることにより、本発明の光学フィルタを作製した。その後、離型フィルムを剥離し、透明粘着層をPDP前面パネルに積層した。
【0152】
(実施例6)
赤外線吸収剤含有粘着層を、電磁波遮蔽用基板における金属メッシュ側に貼付し、その赤外線吸収剤含有粘着層上に形成された透明粘着層によりPDP前面パネルに積層した以外は、実施例5と同様に行った。
【0153】
(実施例7)
<電磁波遮蔽用基板の作製>
片面がクロメート処理により黒化処理されている、銅箔(古川サーキットフォイール製、EXP−WS、厚さ9μm)と、ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績製 A4300 厚み100μm)とを、ポリエステル系接着剤(Tg60℃、平均分子量25万、酸価0、水酸基価0)にてドライラミネーション加工し貼り合わせた後、上記銅箔上にレジストを塗布後、露光、現像、エッチング、レジスト除去を行うことにより、300μm□、線幅10μmの金属メッシュを形成した。なお、この際黒化処理面はPDPパネルが製造された場合、見る側(人間側)になるように設置するため、非貼り合せ面側とした。
【0154】
<平坦化層の作製>
次に、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg100℃、平均分子量25万、酸価0、水酸基価0)の樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚20μm(非メッシュ部膜厚)となるように、上記にて作製した電磁波遮蔽用基板上に塗布し、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し塗膜作製した。塗布乾燥後、上記樹脂バインダのTgより高温の表面凹凸が少ないミラーロールにて温度120℃、線厚1kg/cm2の圧力を掛けて平坦化層コート面より押しつけ、平坦化層表面の凹凸を消す事により平坦化層の作製を行った。
【0155】
<赤外線吸収剤含有コーティング層の作製>
次に、赤外線吸収剤含有コーティング層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg100℃、平均分子量24万、酸価0、水酸基価0)の中に、日本化薬製 IRG−022(ジイモニウム系色素)0.3g/m2および日本触媒製 IR−1(フタロシアニン系)0.2g/m2の2種の赤外線吸収色素を合計0.5g/m2混ぜ込みを行った。この赤線吸収色素を混ぜた樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるように、上記電磁波遮蔽用基板における平坦化層上にコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し赤外線吸収剤含有コーティング層を形成した。
【0156】
<透明粘着層の作製>
離型フィルム面上に、固形分20wt%に溶剤希釈されたアクリル系の粘着剤(Tg−45℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)を乾燥膜厚25μmとなるように塗布し、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥させ、粘着層を作製した。粘着層を温度23℃,線圧:1kg/cm2のラミネートロールにて、電磁波遮蔽用基板の透明基材(PET)側に透明粘着層を密着させた。その後、離型フィルムを剥離し、粘着層面側をPDP前面パネルに積層した。
【0157】
(実施例8)
赤外線吸収剤含有コーティング層を、電磁波遮蔽用基板におけるPET側に形成し、透明粘着層を電磁波遮蔽用基板の平坦化層側に密着させて、PDPパネルに積層した以外は、上記実施例7と同様に行った。
【0158】
(実施例9)
ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績製 A4300 厚み100μm)上に、赤外線吸収剤含有接着層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂ウレタン系バインダ(Tg20℃、平均分子量3万、酸価1、水酸基価9)をアプリケーターにて、乾燥膜厚20μmとなるように、上記PET上にコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し接着層を形成した。
【0159】
その接着層と、片面がクロメート処理により黒化処理されている、銅箔(古川サーキットフォイール製、EXP−WS、厚さ9μm)とを、ドライラミネーション加工にて貼りあわせを行った。この際、ラミロール温度は、接着層のTg以上である80℃に設定し、線圧1kg/cm2とした。続いて、上記銅箔上にレジストを塗布後、露光、現像、エッチング、レジスト除去を行うことにより、300μm□、線幅10μmの金属メッシュを形成した。なお、この際黒化処理面はPDPパネルが製造された場合、見る側(人間側)になるように設置するため、貼り合せ面側とした。
【0160】
<平坦化工程>
次に、上記エッチングにより形成された金属メッシュ表面に、離型フィルムの離型処理面を設置し、ミラーロールにて、温度130℃、線圧25kg/cm2で加圧し、上記金属メッシュを上記接着層中に埋め込み、平坦化を行った。
【0161】
<赤外線吸収剤含有コーティング層の作製>
次に、赤外線吸収剤含有コーティング層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg100℃、平均分子量25万、酸価0、水酸基価0)の中に、日本化薬製 IRG−022(ジイモニウム系色素)0.3g/m2および日本触媒製 IR−1(フタロシアニン系)0.2g/m2の2種の赤外線吸収色素を合計0.5g/m2混ぜ込みを行った。この赤線吸収色素を混ぜた樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるように、上記電磁波遮蔽用基板における金属メッシュ上にコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し赤外線吸収剤含有コーティング層を形成した。
【0162】
<透明粘着層の作製>
離型フィルム面上に、固形分20wt%に溶剤希釈されたアクリル系の粘着剤(Tg−40℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)を乾燥膜厚25μmとなるように塗布し、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥させ、粘着層を作製した。粘着層を温度23℃,線圧:1kg/cm2のラミネートロールにて、電磁波遮蔽用基板の透明基材(PET)側に透明粘着層を密着させた。その後、離型フィルムを剥離し、粘着層面側をPDP前面パネルに積層した。
【0163】
(実施例10)
赤外線吸収剤含有コーティング層を、電磁波遮蔽用基板におけるPET側に形成し、透明粘着層を電磁波遮蔽用基板の金属メッシュ側に密着させて、PDPパネルに積層した以外は、上記実施例9と同様に行った。
【0164】
(実施例11)
<電磁波遮蔽用基板の作製>
片面がクロメート処理により黒化処理されている、銅箔(古川サーキットフォイール製、EXP−WS、厚さ9μm)と、ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績製 A4300 厚み100μm)とを、ウレタン系接着剤(Tg20℃、平均分子量3万、酸価1、水酸基価9)にてドライラミネーション加工し貼り合わせた後、上記銅箔上にレジストを塗布後、露光、現像、エッチング、レジスト除去を行うことにより、300μm□、線幅10μmの金属メッシュを形成した。なお、この際黒化処理面はPDPパネルが製造された場合、見る側(人間側)になるように設置するため、非貼り合せ面側とした。
【0165】
<メッシュ断面被覆層の作製>
次に、固形分40wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg100℃、平均分子量24万、酸価0、水酸基価0)の樹脂バインダをスキージにて、上記金属メッシュ側に塗布し、メッシュ断面被覆層を作製した。この際、金属メッシュ上には、上記樹脂バインダが残らないように形成した。メッシュ断面被覆層が形成される前のメッシュ断面はメッシュを斜め方向から見た場合に生じる銅の乱反射が確認されたが、メッシュ断面被覆層を形成した後は乱反射は確認されなかった。
【0166】
<赤外線吸収剤含有コーティング層の作製>
次に、赤外線吸収剤含有コーティング層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg100℃、平均分子量25万、酸価0、水酸基価0)の中に、日本化薬製 IRG−022(ジイモニウム系色素)0.3g/m2および日本触媒製 IR−1(フタロシアニン系)0.2g/m2の2種の赤外線吸収色素を合計0.5g/m2混ぜ込みを行った。この赤線吸収色素を混ぜた樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるように、上記電磁波遮蔽用基板における金属メッシュ上にコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し赤外線吸収剤含有コーティング層を形成した。
【0167】
<透明粘着層の作製>
離型フィルム面上に、固形分20wt%に溶剤希釈されたアクリル系の粘着剤(Tg−40℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)を乾燥膜厚25μmとなるように塗布し、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥させ、粘着層を作製した。粘着層を温度23℃,線圧:1kg/cm2のラミネートロールにて、電磁波遮蔽用基板の透明基材(PET)側に透明粘着層を密着させた。その後、離型フィルムを剥離し、粘着層面側をPDP前面パネルに積層した。
【0168】
(実施例12)
赤外線吸収剤含有コーティング層を、電磁波遮蔽用基板におけるPET側に形成し、透明粘着層を電磁波遮蔽用基板の金属メッシュ側に密着させて、PDPパネルに積層した以外は、上記実施例11と同様に行った。
【0169】
(実施例13)
透明粘着層を積相せず、赤外線吸収材含有粘着層により、電磁波遮蔽用基板におけるPETと、PDPパネルとを積層した以外は、実施例1と同様に行った。
【0170】
(実施例14)
透明粘着層を積相せず、赤外線吸収材含有粘着層により、電磁波遮蔽用基板における平坦化層と、PDPパネルとを積層した以外は、実施例2と同様に行った。
(実施例15)
透明粘着層を積相せず、赤外線吸収材含有粘着層により、電磁波遮蔽用基板におけるPETと、PDPパネルとを積層した以外は、実施例3と同様に行った。
【0171】
(実施例16)
透明粘着層を積相せず、赤外線吸収材含有粘着層により、電磁波遮蔽用基板における金属メッシュと、PDPパネルとを積層した以外は、実施例4と同様に行った。
【0172】
(実施例17)
透明粘着層を積相せず、赤外線吸収材含有粘着層により、電磁波遮蔽用基板におけるPETと、PDPパネルとを積層した以外は、実施例5と同様に行った。
【0173】
(実施例18)
透明粘着層を積相せず、赤外線吸収材含有粘着層により、電磁波遮蔽用基板における金属メッシュと、PDPパネルとを積層した以外は、実施例6と同様に行った。
【0174】
(比較例1)
赤外線吸収材含有粘着層および透明粘着層を、下記のものとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0175】
<赤外線吸収剤含有粘着層の作製>
離型フィルム上に、透明粘着層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg−40℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)をアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるようにコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し透明粘着層を形成した。
【0176】
次に、上記透明粘着層上に、赤外線吸収剤含有粘着層として、ウレタン系バインダ(Tg−40℃、平均分子量10万、酸価20、水酸基価15)の中に、日本化薬製 IRG−022(ジイモニウム系色素)0.3g/m2および日本触媒製 IR−1(フタロシアニン系)0.2g/m2の2種の赤外線吸収色素を合計0.5g/m2混ぜ込みを行った。この赤線吸収色素を混ぜた樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるようにコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し赤外線吸収剤含有粘着層を形成した。
【0177】
(比較例2)
赤外線吸収材含有コーティング層および透明粘着層を、下記のものとした以外は、実施例7と同様に行った。
【0178】
<赤外線吸収剤含有コーティング層の作製>
次に、赤外線吸収剤含有コーティング層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂ウレタン系バインダ(Tg70℃、平均分子量3万、酸価20、水酸基価15)の中に、日本化薬製 IRG−022(ジイモニウム系色素)0.3g/m2および日本触媒製 IR−1(フタロシアニン系)0.2g/m2の2種の赤外線吸収色素を合計0.5g/m2混ぜ込みを行った。この赤線吸収色素を混ぜた樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるように、上記電磁波遮蔽用基板における平坦化層上にコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し赤外線吸収剤含有コーティング層を形成した。
【0179】
<透明粘着層の作製>
離型フィルム面上に、固形分20wt%に溶剤希釈されたウレタン系の粘着剤(Tg−40℃、平均分子量10万、酸価20、水酸基価15)を乾燥膜厚25μmとなるように塗布し、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥させ、粘着層を作製した。粘着層を温度23℃,線圧:1kg/cm2のラミネートロールにて、電磁波遮蔽用基板の透明基材(PET)側に透明粘着層を密着させた。その後、離型フィルムを剥離し、粘着層面側をPDP前面パネルに積層した。
【0180】
<評価>
上記実施例1から実施例18、比較例1、および比較例2で得られた電磁波シールドと平坦化層とが積層された光学フィルムの開口率、視認性、透明性、製造直後の視感透過率および赤外線透過率、60℃90%1000時間後の視感透過率および赤外線透過率について測定した結果を表1および表2に示す。
【0181】
【表1】
【0182】
【表2】
【0183】
上記の測定は、以下の各測定条件で行った。
【0184】
開口率:光学顕微鏡を用いて電磁波シールドメッシュ表面の写真を撮影し、その写真の銅メッシュ部と空隙部分の面積を測定し、その面積比率より開口率を算出した。
【0185】
視認性:目視により確認を行った。
【0186】
透明性:カラーコンピューター SM−C スガ試験機製にてJIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」に記載される方法にてヘイズ(濁度)の測定を行った。
【0187】
視感透過率:分光光度計 UV−3100(島津製作所)を用いてJIS Z8701 色の表現方法 XYZ表色系及びX10Y10Z10表示系 に記載される測定方法に従って測定し、JIS Z 8722 色の測定方法−反射及び透過物体色
にて算出された、380nm〜780nmの範囲内透過率の測定を行った。
【0188】
赤外線透過率:分光光度計 UV−3100PC 島津製作所製にてJIS Z 8722「色の測定方法−反射及び透過物体色」に記載される方法にて測定を行った。
【0189】
上記で得られた、本発明の実施例1から実施例18における光学フィルムは、耐湿熱試験60℃90%1000時間を行った後であっても、赤外線吸収性能には、初期状態が維持されて、良好な状態であった。
【0190】
また、本発明の実施例1から実施例18において、電磁波シールドが平坦化された光学フィルムをプラズマディスプレイの表面に直接積層した場合、金属メッシュの平坦化の効果により、電磁波シールドメッシュのエッチングされた断面が乱反射する事もなくプラズマディスプレイの死角に近い斜め方向から見てもギラツキ無く画像を認識する事ができる透視性と良好な電磁波遮蔽性を有していた。
【0191】
さらに、通常は赤外線吸収層、粘着層等を積層する透明樹脂基材を有する赤外線吸収フィルタを有するが、本発明ではディスプレイに上にコーティングされたできるだけ少ない層構成で、ディスプレイ内部から発生する近赤外線(光)をカット又は吸収し、また、ディスプレイ用パネルから発光する光と、入射してくる外光の内、特に可視光の特定の波長を吸収することができた。これにより、他の機器の誤動作が無く、また、ディスプレイ画面の画像等のコントラストを向上させることにより、良好な視認性が得られた。また、電磁波遮蔽について、銅薄膜からなるメッシュを用いることで、特にエッチング加工に適している上に、電磁波遮蔽効果も高いものとすることができた。さらに、金属薄膜からなるメッシュを黒化処理することによって、外光を吸収する性能が特に高まり、より視認性を高める事ができるものとなった。
【0192】
【発明の効果】
本発明によれば、電磁波遮蔽性を有する電磁波遮蔽用基板上に形成された、赤外線吸収剤含有層中に赤外線吸収剤が含有されることから、別途赤外線吸収用フィルム等を貼りあわせる工程が必要なく、電磁波遮蔽性および赤外線吸収性を有する、製造効率やコストの面からも好ましい光学フィルタとすることができるのである。また、上記赤外線吸収剤含有層に用いられる透明樹脂の水酸基価が、上記範囲内であることにより、その透明樹脂に含有される赤外線吸収剤と、透明樹脂が有する水酸基とが反応等することを防ぐことができ、安定に赤外線吸収の機能を発揮することが可能な光学フィルタとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学フィルタの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明に用いられる電磁波遮蔽用基板の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明に用いられる電磁波遮蔽用基板の他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明に用いられる電磁波遮蔽用基板の他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の光学フィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の光学フィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の光学フィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図8】本発明の光学フィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図9】本発明の光学フィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図10】本発明の光学フィルタの他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 … 透明基材
2 … 接着層
3 … 金属メッシュ
4 … 電磁波遮蔽用基板
5 … 赤外線吸収剤含有層
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイ等に用いることが可能な電磁波および赤外線を遮蔽する光学フィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、直接人が接近して利用する電磁波を発生する電子装置、例えばプラズマディスプレイ等のディスプレイ用電子管は、人体への影響を考慮して、電磁波放出の強さを規格内に抑えることが要求されている。これらの要求に対応するため、一般には、電磁波を発生する電子装置等の外部へ流出する電磁波を除去ないし減衰させるために、電磁波シールド等が用いられており、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPともいう。)等のディスプレイ用パネルでは、良好な透視性の光学フィルタを前面に設けるのが普通である。
【0003】
これらの電磁波を遮蔽する方法としては、銀等の金属をスパッタリングにより積層する方法や、金属薄膜からなるメッシュを透明基材上に積層して用いる方法(例えば特許文献1)等が知られている。
【0004】
また、光学フィルタには、他の機器の誤動作の防止やリモートコントロールの操作性のため、ディスプレイ内部から発生する近赤外線をカットまたは吸収する機能が求められており、一般的には赤外線吸収フィルム等を積層する方法が用いられている。ここで、上記金属薄膜からなるメッシュと、赤外線吸収フィルム等を積層した場合には、上記メッシュの凹凸によって貼りあわせの際に、気泡を噛みこんでしまうこと等によって、透明性が劣ることから、オートクレーブ中の減圧環境下にて、一定時間放置する等の脱泡処理等を行う必要があり、製造効率やコストの面で問題があった。
【0005】
このような問題を解決するために、上記メッシュの凹凸を平坦化するために設けられる平坦化層や、上記金属メッシュと透明基材とを接着する接着層等に、赤外線吸収機能を有する赤外線吸収剤を添加する方法等が報告されている(特許文献1および特許文献2)。しかしながら、上記平坦化層や上記接着層等に上記赤外線吸収剤を含有させた場合には、その層を構成する樹脂の種類等によっては、上記赤外線吸収剤が反応してしまう等の問題があり、赤外線吸収の機能を十分に発揮できない場合がある等の問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−311843号公報
【特許文献2】
特開2000−59083号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、製造が容易であり、かつ電磁波および赤外線を安定して遮蔽する光学フィルタの提供が望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、透明基材と、上記透明基材上に形成された接着層と、上記接着層上に形成された金属メッシュとを有する電磁波遮蔽用基板、および上記電磁波遮蔽用基板上に形成され、かつ水酸基価が10以下である透明樹脂に赤外線を吸収する赤外線吸収剤が含有された赤外線吸収剤含有層を有することを特徴とする光学フィルタを提供する。
【0009】
本発明によれば、電磁波遮蔽性を有する電磁波遮蔽用基板上に形成された、赤外線吸収剤含有層中に赤外線吸収剤が含有されることから、別途赤外線吸収用フィルム等を貼りあわせる工程が必要なく、電磁波遮蔽性および赤外線吸収性を有する、製造効率やコストの面からも好ましい光学フィルタとすることができるのである。また、上記赤外線吸収剤含有層に用いられる透明樹脂の水酸基価が、上記範囲内であることにより、その透明樹脂に含有される赤外線吸収剤と、透明樹脂が有する水酸基とが反応等することを防ぐことができ、安定に赤外線吸収の機能を発揮することが可能な光学フィルタとすることができる。
【0010】
さらに本発明においては、上記透明樹脂の酸価が10以下であることが好ましい。これにより、上記透明樹脂中に含有される赤外線吸収剤が、透明樹脂中の酸と反応することを防ぐことも可能となり、より安定に赤外線吸収の機能を発揮することが可能な光学フィルタとすることができるからである。
【0011】
また、本発明においては、上記透明樹脂の、ガラス転移温度(Tg)が−80℃〜−10℃の範囲内であり、上記赤外線吸収剤含有層が粘着性を有する赤外線吸収剤含有粘着層であってもよい。これにより、赤外線吸収剤含有層を、本発明の光学フィルタと、例えばプラズマディスプレイパネル等の他の部材と接着する層として用いることが可能となるからである。
【0012】
また、上記発明においては、上記赤外線吸収剤含有層上に透明粘着層を有するものであってもよい。これにより、本発明の光学フィルタを、他の部材と貼りあわせることが可能となるからである。また上記赤外線吸収剤含有層が粘着性を有する場合であっても、例えば金属を含有するガラスからなるプラズマディスプレイパネル等の他の部材と貼りあわせる場合、上記赤外線吸収剤含有層中に含有される赤外線吸収剤が、そのガラスに含まれる金属と反応等してしまう場合があることから、上記透明粘着層を形成することにより、赤外線吸収剤と他の部材とが接触しないようにすることが可能となるからである。
【0013】
また、本発明においては、上記電磁波遮蔽用基板が、上記金属メッシュ上に形成された平坦化層を有していてもよい。これにより、上記電磁波遮蔽用基板において、上記金属メッシュの凹凸を平坦化することができ、高品質な光学フィルタとすることができるからである。
【0014】
本発明においては、上記電磁波遮蔽用基板が、上記金属メッシュの断面に形成されたメッシュ断面被覆層を有していてもよい。これにより、金属メッシュ断面の乱反射を防ぐことができ、さらに例えば金属メッシュ上に接着層等を設けた際、メッシュ空隙部分の底部の隅に気泡が入ることを防ぐことができるからである。
【0015】
さらに、本発明においては、上記金属メッシュの空隙部分が、上記接着層により充填されているものであってもよい。これにより、平坦化層等を用いることなく上記金属メッシュの凹凸を平坦化することができ、高品質な光学フィルタとすることができるからである。
【0016】
また、本発明の光学フィルタは、補強材を有していてもよい。これにより、強度を有する光学フィルタとすることができるからである。
【0017】
さらに、本発明の光学フィルタは、反射防止層を有していてもよい。これにより、上記電磁波遮蔽および赤外線吸収の機能だけでなく、可視光等の反射防止の機能も有する光学フィルタとすることができるからである。
【0018】
また、本発明の光学フィルタは、ネオン光吸収層を有していてもよい。これにより、例えばプラズマディスプレイパネル等の色調を調整することが可能な光学フィルタとすることができるからである。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、製造が容易であり、かつ電磁波および赤外線を安定して遮蔽する光学フィルタに関するものである。以下、本発明の光学フィルタについて説明する。
【0020】
本発明の光学フィルタは、透明基材と、上記透明基材上に形成された接着層と、上記接着層上に形成された金属メッシュとを有する電磁波遮蔽用基板、および上記電磁波遮蔽用基板上に形成され、かつ水酸基価が10以下である透明樹脂に赤外線を吸収する赤外線吸収剤が含有された赤外線吸収剤含有層を有することを特徴とするものである。
【0021】
本発明の光学フィルタは、例えば図1に示すように、透明基材1と、その透明基材1上に形成された接着層2と、その接着層2上に形成された金属メッシュ3とを有する電磁波遮蔽用基板4と、その電磁波遮蔽用基板4上に形成された赤外線吸収剤含有層5とを有するものである。
【0022】
本発明によれば、電磁波遮蔽の機能を有する電磁波遮蔽用基板上に、上記赤外線吸収剤を含有する赤外線吸収剤含有層が形成されることから、別途赤外線吸収フィルムを貼りあわせる必要がなく、電磁波遮蔽の機能および赤外線吸収の機能を有する、製造効率やコストの面から好ましい光学フィルタとすることができる。
【0023】
また通常、透明樹脂の中に赤外線吸収剤を含有する場合において、その透明樹脂が水酸基を有する場合には、その水酸基により例えば対イオンを有する赤外線吸収剤が反応等する場合がある。本発明においては、上記赤外線吸収剤含有層に用いられる透明樹脂の水酸基価が上記範囲内であることから、その透明樹脂中に含有される赤外線吸収剤が透明樹脂中の水酸基と反応等することを防止することができ、安定に赤外線吸収の機能を発揮することが可能な光学フィルタとすることができるのである。
【0024】
ここで、本発明の光学フィルタには、2つの実施態様があり、第1実施態様としては、上記赤外線吸収剤含有層が粘着性を有する赤外線吸収剤含有粘着層である場合であり、第2実施態様としては、上記赤外線吸収剤含有層が粘着性を有しない赤外線吸収剤含有コーティング層である場合である。
【0025】
以下、本発明の光学フィルタの各実施態様ごとにわけて説明する。
【0026】
A.第1実施態様
まず、本発明の光学フィルタにおける第1実施態様について説明する。本発明の光学フィルタにおける第1実施態様は、透明基材と、上記透明基材上に形成された接着層と、上記接着層上に形成された金属メッシュとを有する電磁波遮蔽用基板、および上記電磁波遮蔽用基板上に形成され、かつ水酸基価が10以下である透明樹脂に赤外線を吸収する赤外線吸収剤が含有された赤外線吸収剤含有層を有するものであり、かつ上記赤外線吸収剤含有層は、用いられる透明樹脂のガラス転移温度(Tg)が所定の範囲内であり、粘着性を有する赤外線吸収剤含有粘着層であることを特徴とするものである。
【0027】
本実施態様によれば、上記赤外線吸収剤含有層が粘着性を有する赤外線吸収剤含有粘着層であることから、本実施態様の光学フィルタと、例えばプラズマディスプレイパネル等の他の部材とを赤外線吸収剤含有粘着層によって接着することが可能となるのである。
【0028】
以下、本実施態様における光学フィルタの各構成について説明する。
【0029】
1.赤外線吸収剤含有粘着層
まず、本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有粘着層について説明する。本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有粘着層は、後述する電磁波遮蔽用基板上に形成される層であって、水酸基価が10以下である透明樹脂に赤外線を吸収する赤外線吸収剤が含有された層であり、さらに上記透明樹脂が、ガラス転移温度(Tg)が所定の値以下であって粘着性を有する層である。本実施態様の光学フィルタにおいて、この赤外線吸収剤含有粘着層は、例えばプラズマディスプレイ等から発せられた赤外線を吸収する機能を果たすものである。また例えばプラズマディスプレイパネルや補強剤等の他の部材と、本実施態様の光学フィルタとを接着する層としての機能を果たすものである。以下、このような赤外線吸収剤含有粘着層の各構成について説明する。
【0030】
(透明樹脂)
まず、本実施態様の赤外線吸収剤含有粘着層に用いられる透明樹脂について説明する。本実施態様の赤外線吸収剤含有粘着層に用いられる透明樹脂としては、可視光に対して透過率の高い樹脂であり、かつ水酸基価およびガラス転移点温度(Tg)が所定の値以下のものであって粘着性を有するものである。
【0031】
本実施態様において、このような透明樹脂の水酸基価は、10以下、中でも5以下、特に、0であることが好ましい。これにより、透明樹脂中に含有される、例えば対イオンを有する赤外線吸収剤が、透明樹脂に含まれる水酸基により反応すること等を防ぐことができ、安定に赤外線吸収の機能を有する光学フィルタとすることが可能となる。また赤外線吸収剤の選択の幅を広げることも可能となる。ここで、水酸基価とは、試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg量をいうものである。
【0032】
また、本実施態様において、透明樹脂のガラス転移点温度は、−80℃〜−10℃の範囲内、中でも−60℃〜−20℃の範囲内であることが好ましい。これにより、本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有粘着層に粘着性を付与することが可能となり、本発明の光学フィルタを、例えばプラズマディスプレイ用パネル等の他の部材に接着することが可能となるからである。
【0033】
また、本実施態様においては、上記透明樹脂の酸価が、10以下、中でも5以下、特に、0であることが好ましい。これにより、透明樹脂中に含有される酸により、赤外線吸収剤が反応すること等を防ぐことができ、さらに安定に赤外線吸収の機能を発揮する光学フィルタとすることができるからである。ここで、酸価とは、試料1gを中和するのに要する水酸化カリウムのmg量をいう。
【0034】
本実施態様に用いられる、上述したような性質を有する材料として、具体的には、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタンエステル系樹脂、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエ−テルとの共重合体からなるペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンコポリマ−(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエ−テルとヘキサフルオロプロピレンコポリマ−(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレンまたはプロピレンとのコポリマ−(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマ−(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等のフッ素系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂等を挙げることができ、中でもアクリル系樹脂、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂であることが好ましい。
【0035】
また、上記樹脂の平均分子量は、500〜120万の範囲内、中でも20万〜100万であることが好ましい。これにより、上記のような性質を有する透明樹脂とすることができるからである。
【0036】
本実施態様においては、上述した材料の中でも、アクリル系樹脂であることが好ましく、中でも2−エチルヘキシル(2HA)、ブチルアクリレート(BA)を主成分として用いることが好ましい。
【0037】
(赤外線吸収剤)
次に、赤外線吸収剤含有粘着層に用いられる赤外線吸収剤について説明する。本実施態様に用いられる赤外線吸収剤は、赤外領域の光を吸収する材料であれば、その種類等は特に限定されるものではない。一般に赤外領域とは800〜1200nmの領域を示し、本実施態様に用いられる赤外線吸収剤においては、上記領域内での光の透過率が20%以下、中でも10%以下であることが好ましい。上記透過率は、分光光度計 UV−3100PC 島津製作所製にてJIS Z8722「色の測定方法−反射及び透過物体色」に記載される方法にて測定を行った値である。
【0038】
本実施態様において、赤外線吸収剤として、具体的には、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化鉛、酸化ビスマス等の無機赤外線吸収剤、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アルミニウム系化合物、ピリリウム系化合物、セリリウム系化合物、スクワリリウム系化合物、ジイモニウム類、銅錯体類、ニッケル錯体類、ジチオール系錯体類等の有機赤外線吸収剤を1種類、または2種類以上混合して用いることができる。
【0039】
また、上記の有機赤外線吸収剤として具体的には、(以下、日本化薬社製:商品名)IRG−002、IRG−003、IRG−022、IRG−023、IRG−040、(以下、日本触媒社製:商品名)IR−1、IR−10、IR−12、IR−14、TX−EX−906B、TX−EX−910B、(以下、三井化学ファイン社製:商品名)SIR−128、SIR−130、SIR−132、SIR−159、(以下、みどり化学社製:商品名)MIR−101、MIR−111、MIR−121、MIR−102、MIR−1011、MIR−1021等が挙げられる。
【0040】
通常、対イオン構造の赤外線吸収剤を用いた場合には、その赤外線吸収剤が含有される透明樹脂が水酸基やカルボキシル基、重合開始剤等を有する場合には、その水酸基やカルボキシル基、重合開始剤等により対イオンの均衡状態が崩れ、赤外線吸収の機能を果たすことが困難となる場合がある。
【0041】
本実施態様においては、上述した透明樹脂を用いることから、対イオン構造の赤外線吸収剤であっても、反応等することがなく、本実施態様の効果をより発揮することができるという面から、上記の中でも対イオン構造を有するジイモニウム類、ニッケル錯体類、ジチオール系錯体類、アルミニウム系化合物、シアニン系化合物、ピリリウム系化合物であることが好ましい。
【0042】
また、本実施態様によれば、上記透明樹脂中に上記赤外線吸収剤を含有させる方法としては、上記透明樹脂を溶融させた中に、上記赤外線吸収剤を加え、溶融混練等を行う方法であってもよく、また上記赤外線吸収剤を溶剤等に溶解させて、上記透明樹脂中に混合する方法であってもよい。本実施態様によれば、上述した透明樹脂を用いることから、どちらの方法においても上記赤外線吸収剤を安定に分散させることが可能となるのである。
【0043】
ここで、本実施態様において、上記のうち無機赤外線吸収剤は、微粒子であることが好ましく、平均粒径は0.01μm〜1μmの範囲内であることが好ましく、中でも0.05μm〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。また、上記赤外線吸収剤の粒径は、可視光線透過率を良好なものとするために、1μm以下の分布であることが好ましい。
【0044】
(赤外線吸収剤含有粘着層)
次に、本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有粘着層について説明する。本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有粘着層は、上記透明樹脂中に、上記赤外線吸収剤が含有されたものであり、この赤外線吸収剤含有粘着層の膜厚が0.5μm〜50μmの範囲内、中でも5μm〜40μmであることが好ましい。これにより、後述する電磁波吸収用基板および、例えばプラズマディスプレイパネル等の他の部材とを強固に接着することができ、また赤外線吸収の機能を果たすことができるからである。
【0045】
このような赤外線吸収剤含有粘着層の形成方法としては、上述した赤外線吸収剤が含有された上述した透明樹脂を、溶剤等により溶解させ、後述する電磁波遮蔽用基板上にメイヤーバー、グラビアコート、グラビアリバースコート、キスリバースコート、3本ロールリバースコート、スリットリバースダイコート、コンマコート、ナイフコート等の各種コーティング法により塗布し、溶剤を揮発させて乾燥させる方法等が挙げられる。また、離型フィルム等の上に上記方法により塗布し、その後電磁波遮蔽用基板に貼りあわせる方法等であってもよい。
【0046】
ここで、上記透明樹脂を塗布する際に用いられる溶剤としては、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン、イソプロピルアルコール(IPA)、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、トリフルオロプロパノール等が挙げられる。
【0047】
上述したような赤外線吸収剤含有粘着層は、ドライラミネーション法、またはウェットラミネーション法等により後述する電磁波遮蔽用基板と、例えばプラズマディスプレイ等の他の部材とを接着することができるのである。
【0048】
ここで、本実施態様においては赤外線の透過率が、20%以下、中でも10%以下であることが好ましい。これにより、例えばプラズマディスプレイ等から発生する赤外線をカットまたは吸収することが可能となり、他の機器の誤動作の防止等をすることができるからである。ここで、上記透過率は、上述した測定法により測定した値である。
【0049】
なお、本実施態様の赤外線吸収剤含有粘着層は、必要に応じて粘着付与剤、充填剤、軟化材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、架橋剤等を含有するものであってもよい。
【0050】
2.電磁波遮蔽用基板
次に、本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板について説明する。本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板は、透明基材と、その透明基材上に形成された接着層と、その接着層上に形成された金属メッシュとを有するものであり、例えばプラズマディスプレイ等から発せられる電磁波を遮蔽することが可能な基板であれば、特に限定されるものではなく、例えばその金属メッシュが平坦化されたもの等であってもよい。
【0051】
以下、本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板の各構成について説明する。
【0052】
(金属メッシュ)
まず、本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板の金属メッシュについて説明する。本実施態様に用いられる金属メッシュは、プラズマディスプレイ等から発生した電磁波を遮蔽する機能を有するものである。このような金属メッシュは、後述する透明基材上に、後述する接着層により金属箔が貼りあわせられ、その金属箔がメッシュ状にエッチングされることにより形成される。
【0053】
本実施態様においては、この金属メッシュは、電磁波遮蔽性を有するものであれば、その金属の種類等は特に限定されるものではなく、例えば銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、金、銀、ステンレス、タングステン、クロム、チタン等を用いることができる。
【0054】
本実施態様においては、上記の中でも銅が、電磁波のシールド性、エッチング処理適性や取扱い性の面から好ましい。また用いられる銅箔の種類としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられるが、特に電解銅箔であることが好ましい。これにより、厚さが10μm以下の均一性のよいものとすることができ、また黒化処理された際に、酸化クロム等との密着性を良好なものとすることができるからである。
【0055】
ここで、本実施態様においては、上記金属箔の一方の面または両面に黒化処理されていることが好ましい。黒化処理とは、酸化クロム等により金属メッシュの表面を黒化する処理であり、光学フィルタにおいて、この黒化処理面は、観察者側の面となるように配置される。この黒化処理により金属メッシュ表面に形成された酸化クロム等により、光学フィルタ表面の外光が吸収されることから、光学フィルタ表面で光が散乱することを防止することができ、良好な視認性を得ることが可能な光学フィルタとすることができるのである。このような黒化処理は、上記金属箔に黒化処理液を塗布することにより行うことができる。黒化処理の方法としては、CrO2水溶液や、無水クロム酸水溶液に酒石酸、マロン酸、クエン酸、乳酸等の異なるオキシカルボン酸化合物を添加して、6価クロムの一部を3価クロムに還元した溶液等を、ロールコート法、エアーカーテン法、静電霧化法、スクイズロールコート法、浸漬法等により塗布し、乾燥させることにより行なうことができる。なお、この黒化処理は、後述する透明基材上に、後述する接着層によって金属箔が貼りあわせられ、メッシュ状にエッチングされた後に行われるものであってもよい。
【0056】
本実施態様においては、上記黒化処理された金属箔の表面の黒濃度が0.6以上であることが好ましい。これにより、より視認性を良好なものとすることができるからである。ここで、黒濃度は、COLOR CONTROL SYSTEMのGRETAG SPM100−11((株)KIMOTO製)を用いて、観測視野角10°、観測光源D50、照明タイプとして濃度標準ANSI Tに設定し、白色キャリブレイション後に測定した値である。
【0057】
また、本実施態様においては、上記金属箔の膜厚は、1μm〜100μmの範囲内、中でも5μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲より膜厚が厚いと、エッチングによりパターン線幅を細かく高精細化することが困難となり、また上記範囲より薄い場合には、十分な電磁波シールド性が得られないからである。
【0058】
さらに、本実施態様においては、上記金属箔は、JIS B0601に準拠する十点平均粗さが0.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲より小さい場合には、上記黒化処理をした場合であっても、光学フィルタ表面の外光が鏡面反射することから、視認性が劣化し、また上記範囲より大きい場合には、接着層やレジスト等を塗布することが困難となるからである。
【0059】
ここで、金属箔のエッチングは、後述する透明基材上に、後述する接着層を用いて貼りあわせられた後に行われるものである。本実施態様において、このエッチングは、通常のフォトリソグラフィー法により行うことができ、例えば金属箔の表面にレジストを塗布し、乾燥した後レジストをパターン版で密着露光し、現像処理を行うことにより得ることができる。
【0060】
本実施態様に用いられる上述したような金属メッシュは、表面抵抗が10−8Ω/□〜5Ω/□の範囲内、中でも10−4Ω/□〜3Ω/□の範囲内であることが好ましい。一般的に、電磁波遮蔽性は、表面抵抗により測定することができ、この表面抵抗が低いほど、電磁波遮蔽性が良好なものということができる。ここで、上記表面抵抗の値は、表面抵抗測定装置 ロレスタ−GP (株)ダイヤインスツルメンツ製にてJIS K 7194「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に記載される方法にて測定された値である。
【0061】
本実施態様においては、このエッチング処理された後の金属メッシュは、50μm□〜500μm□の範囲内、中でも100μm□〜400μm□の範囲内、特に200μm□〜300μm□の範囲内であることが好ましく、またメッシュ線幅が5μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。メッシュ線幅が上記範囲より細い場合には、断線が起こる場合等があり、電磁波遮蔽性の面から好ましくなく、またメッシュ線幅が上記範囲より太い場合には、可視光の透過率が低く、例えばプラズマディスプレイの輝度が低くなる等という面から好ましくないからである。
【0062】
(透明基材)
次に、本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板における透明基材について説明する。本実施態様に用いられる透明基材は、可視光に対して透明性を有し、かつ後述する接着層と、その接着層上に上記金属メッシュとが積層されるものである。
【0063】
本実施態様においては、この透明基材は透明性を有し、かつ接着層が形成可能であれば、その種類等は特に限定されるものではなく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、アクリル(PMMA)、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン等を用いることができ、中でもコストや取扱い性の面等から、PETであることが好ましい。
【0064】
また、本実施態様においては、この透明基材の膜厚が12μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。
【0065】
(接着層)
次に、本実施態様に用いられる電磁波遮蔽板における接着層について説明する。本実施態様に用いられる接着層は、上述した金属メッシュおよび透明基材とを接着することが可能な層であれば、その種類等は特に限定されるものではないが、本実施態様においては、上記金属メッシュを構成する金属箔および透明基材を接着層により貼りあわせた後、金属箔をエッチングによりメッシュ状とすることから、接着層も耐エッチング性を有することが好ましい。
【0066】
本実施態様においては、このような接着層の材料として、具体的には、アクリル系、エステル系、ウレタン系、フッ素系、ポリイミド系、エポキシ系、ポリウレタンエステル系等が挙げられる。
【0067】
また、本実施態様に用いられる接着層は、紫外線硬化型であってもよく、また熱硬化型であってもよい。本実施態様においては、これらの接着層を用いてドライラミネーション法、ウェットラミネーション法等により上記透明基材および上記金属箔とを接着することができる。
【0068】
本実施態様においては、この接着層の膜厚が0.5μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。これにより、上記透明基材および上記金属メッシュとを強固に接着することができ、また、金属メッシュを形成するエッチングの際に透明基材がエッチング液の影響を受けること等を防ぐことができるからである。
【0069】
(電磁波遮蔽用基板)
次に、本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板について説明する。本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板は、上記透明基材上に上記接着層が形成され、その接着層上に上記金属メッシュが形成されたものであれば、特に限定されるものではなく、必要に応じて上記金属メッシュ、透明基材、および接着層の他に、上記金属メッシュの表面を平坦化する層等を有するものであってもよい。本実施態様においては、上記金属メッシュの表面が平坦化されているものであることが光学フィルタの透明性や汎用性等の面から好ましい。
【0070】
ここで、上記金属メッシュを平坦化する方法としては、以下の3つの態様が挙げられる。まず、第1の態様としては、上記金属メッシュの表面を平坦化する平坦化層を形成する方法であり、第2の態様としては、上記上記金属メッシュの断面にメッシュ断面被覆層を形成し、メッシュ表面を平坦化する方法である。また第3の態様としては、上記金属メッシュの空隙部分を、上記接着層により充填することによって、金属メッシュ表面を平坦化する方法である。以下、これらの平坦化の方法について各態様ごとに説明する。
【0071】
(1)第1の態様
まず、本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板における上記金属メッシュ表面の平坦化方法の第1の態様について説明する。
【0072】
本実施態様の金属メッシュの平坦化における第1の態様は、上述した金属メッシュ表面を平坦化する平坦化層を形成することにより、金属メッシュの表面を平坦化する方法である。本態様における電磁波遮蔽用基板は、例えば図2に示すように、透明基材1と、その透明基材1上に形成された接着層2と、その接着層2上に形成された金属メッシュ3と、その金属メッシュ3上に形成された平坦化層6とを有するものとなる。本態様よれば、上記金属メッシュ上に平坦化層を形成することによって、上記金属メッシュの凹凸を平坦化することができ、他の部材と貼りあわせた際等に、金属メッシュによる凹凸によって光学フィルタの透明性が低下することを防ぐことができるのである。また、上述した金属メッシュ形成の際に行われるエッチングによって、上記接着層表面が劣化し、透明性が低下した場合であっても、その接着層上に平坦化層が形成されることから、透明性を改良することができ、さらに、平坦化層により金属メッシュの断面が覆われることから、金属メッシュを斜めから見た際にも乱反射を防止することができるのである。
【0073】
このような平坦化層の材料としては、可視光に対して透明性を有する樹脂であることが好ましく、具体的には、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
【0074】
また、上記平坦化層の形成方法は、上述した材料を溶剤等に溶解させて金属メッシュ上に塗布後、溶剤を揮発させて乾燥する。その後、表面に金属メッシュの凹凸により形成された透明樹脂の凹凸を、透明樹脂基材のTg以上の温度で例えばミラーロール等を用いて圧力をかけることにより平坦化することにより形成することができる。
【0075】
このことから、上記の樹脂は、ガラス転移点温度(Tg)が30℃〜150℃の範囲内、中でも40℃〜120℃の範囲内であることが好ましい。
【0076】
また、この平坦化層を平坦化する工程における温度および圧力は、その透明樹脂の種類により適宜選択されるものであるが、通常50℃〜170℃の範囲内であり、また圧力は線圧0.1kg/cm2〜10kg/cm2の範囲内であることが好ましい。
【0077】
本態様において、このような平坦化層の膜厚は、金属メッシュが形成されていない部分、例えば図2に示すaの膜厚が、10μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。これにより、上記金属メッシュの凹凸を平坦化することが可能となるからである。
【0078】
(2)第2の態様
次に、本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板における上記金属メッシュ表面の平坦化方法の第2の態様について説明する。
【0079】
本実施態様の金属メッシュの平坦化における第2の態様は、金属メッシュの断面にメッシュ断面被覆層を形成することにより金属メッシュの表面を平坦化する方法である。本態様における電磁波遮蔽用基板は、例えば図3に示すように、透明基材1と、その透明基材1上に形成された接着層2と、その接着層2上に形成された金属メッシュ3と、その金属メッシュ3の断面および金属メッシュ3の空隙部分の底部を被覆するメッシュ断面被覆層7層とを有するものとなる。
【0080】
通常、金属メッシュを光学フィルタに用いる場合、金属メッシュを斜めから見た際に断面が乱反射し、視野角が減少することから、金属メッシュ以上の厚みを持つ透明粘着層を貼りあわせて透明化処理を行うことが必要である。この透明粘着層を貼りあわせる際、メッシュ空隙部分の底部の隅における気泡が抜け難く、例えばオートクレーブ中等に一定時間放置し、脱泡処理を行わなければならない。本態様によれば、上記メッシュ断面被覆層を形成することにより、上記気泡が残ることがないことから、脱泡処理等が必要なく、またメッシュの断面を覆うことから、斜めから見た際のメッシュ断面の乱反射も防止することができる。さらに、上記メッシュ断面被覆層によりメッシュ空隙部が充填されていることから、このメッシュ断面被覆層が形成された金属メッシュ上に透明粘着層等を用いて他の層と貼りあわせた際に、気泡等を噛みこむことなく平坦な層を形成することができるのである。
【0081】
上記メッシュ断面被覆層を形成する材料は、可視光に対して透明な樹脂である層であれば、特に限定されるものではなく具体的には、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、等が挙げられる。
【0082】
上記メッシュ断面被覆層の形成方法としては、上記樹脂を溶剤等に希釈し、上記金属メッシュ上に印刷用スキージ等を用いて、金属メッシュ上に樹脂が残らないように塗布することにより得ることができる。
【0083】
また、この際、溶剤に希釈された上記樹脂の粘度は100Pa・s〜10000Pa・sの範囲内であることが好ましい。これにより、上記金属メッシュ空隙部分に気泡等が残ることなく、メッシュ断面被覆層を形成することができるからである。
【0084】
(3)第3の態様
次に、本実施態様の金属メッシュの平坦化における第3の態様について説明する。本実施態様の金属メッシュの平坦化における第3の態様は、金属メッシュの空隙部分を、上記接着層により充填することにより金属メッシュ表面を平坦化する方法である。本態様における電磁波遮蔽用基板は、例えば図4に示すように、上記透明基材1と、その透明基材1上に形成された接着層2と、その接着層2上に形成された金属メッシュ3とを有するものであって、その金属メッシュ3の空隙部分が上記接着層2により充填されているものとなる。
【0085】
本態様によれば、上記接着層によって、上記金属メッシュの空隙部が充填されていることにより、上記金属メッシュの凹凸が平坦化される。さらに、上記金属メッシュの断面を接着層が覆うことから、メッシュ断面の乱反射を抑えることができるのである。
【0086】
上記接着層を、上記金属メッシュの空隙部に充填する方法としては、まず、上述したように上記透明基材上に形成された上記接着層上に金属箔を貼りあわせ、その金属箔をエッチングすることにより金属メッシュを形成する。その後、例えば離型フィルムの離型処理面等を上記金属メッシュの表面に設置した後、上記接着層のガラス転移点温度以上の熱をかけて、例えばミラーロール等により加圧することにより、上記金属メッシュが上記接着層中に押し込まれ、上記金属メッシュの空隙部に上記接着層が充填されるのである。
【0087】
なお、本態様により平坦化が行われる場合には、上述した接着層の材料の中でも、ガラス転移点温度(Tg)が−60℃〜180℃の範囲内、中でも40℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。これにより、上記工程によって容易に上記金属メッシュを押し込むことが可能となるからである。
【0088】
また、この工程における温度および圧力は、その接着層の種類により適宜選択されるものであるが、通常50℃〜170℃の範囲内であり、また圧力は線圧0.1kg/cm2〜10kg/cm2の範囲内であることが好ましい。
【0089】
3.光学フィルタ
次に、本実施態様の光学フィルタについて説明する。本実施態様の光学フィルタは、上述した電磁波遮蔽用基板上に、上述した赤外線吸収剤含有粘着層が形成されているものであり、必要に応じて他の層が積層されているもの等であってもよい。
【0090】
ここで、本実施態様における光学フィルタは、視感透過率が40%以上、中でも50%以上であることが好ましい。これにより、光学フィルタを例えばプラズマディスプレイ等に用いる際に、視認性がよいものとすることができるからである。ここで、可視光とは、380nm〜780nmの範囲内の光のことをいうこととし、上記視感透過率は分光光度計 UV−3100(島津製作所)を用いてJIS Z8701 色の表現方法 XYZ表色系及びX10Y10Z10表示系 に記載される測定方法に従って測定し、JIS Z 8722 色の測定方法−反射及び透過物体色 にて算出された、380nm〜780nmの範囲内透過率を測定した値である。
【0091】
また、通常光学フィルタが用いられる際には、金属メッシュ等の電磁波遮蔽板により遮蔽された電磁波の電気を逃がすためにアースが設置される。本実施態様の光学フィルタにおいては、上記金属メッシュが観察者側に配置される場合には、通常の方法によりアースをとることが可能であるが、例えばプラズマディスプレイ用パネル側に上記金属メッシュが配置される場合には、導電粘着テープを上記金属メッシュの外周4辺に貼りあわせたり、リベット等を用いて光学フィルタの表面側にアースをとるための接点を形成すること等により、アースをとることを可能とすることができる。
【0092】
また、本実施態様の光学フィルタは、例えば図1に示すように、上記赤外線吸収剤含有粘着層5が、上記電磁波遮蔽用基板4における透明基材1側に形成されるものであってもよく、また例えば図5に示すように、上記赤外線吸収剤含有粘着層5が、上記電磁波遮蔽用基板4における金属メッシュ3側に形成されるものであってもよい。
【0093】
また、例えば図6に示すように、電磁波遮蔽用基板4と、その電磁波遮蔽用基板4上に形成された赤外線吸収剤含有粘着層5と、その赤外線吸収剤含有粘着層5上に透明粘着層8とを有するものであってもよい。上記赤外線吸収剤含有粘着層と貼りあわせられる部材に例えば青板ガラス等の金属を含有する材料が用いられる場合、上記赤外線吸収剤含有粘着層に含有される赤外線吸収剤と、その金属とが反応等してしまう可能性があり、上記透明粘着層を形成することにより、上記赤外線吸収剤と上記部材とが接触することを防ぐことが可能となるからである。また、この透明粘着層は、上述した赤外線吸収剤含有粘着層と上述した電磁波遮蔽用基板との間に形成されていてもよい。上述した赤外線吸収剤含有粘着層中の赤外線吸収剤と、電磁波遮蔽用基板における金属メッシュとが接触する場合には、これらが反応等する場合があり、この透明粘着層を形成することによって、この反応等を防止することが可能となり、より高品質な光学フィルタとすることができるからである。
【0094】
また、本実施態様においては、例えば図7に示すように、上記電磁波遮蔽用基板4上に形成された赤外線吸収剤含有粘着層5上に、補強材9を有するものであってもよい。これにより、本実施態様の光学フィルタに強度を付与することができるからである。
【0095】
さらに、本実施態様においては、例えば図8に示すように、上記電磁波遮蔽用基板4と赤外線吸収剤含有粘着層5と、その電磁波遮蔽用遮蔽用基板4側に形成されたネオン光吸収層10を有するものであってもよい。このネオン光吸収層によって、例えばプラズマディスプレイパネル等の色調を調整することが可能となり、高品質な光学フィルタとすることができるからである。
【0096】
また例えば図9に示すように、上記ネオン光吸収層10上に上記補強材9が形成され、さらにその補強材9上に反射防止層11等が形成されたもの等であってもよい。これにより、上記電磁波遮蔽および赤外線吸収の機能だけでなく、可視光等の反射防止の機能も有する光学フィルタとすることができるからである。
【0097】
なお、これらの層が積層される場合、上述したように、上記電磁波遮蔽用基板において上記金属メッシュが平坦化されていることが好ましい。これにより、上記電磁波遮蔽用基板上に層が形成される際、気泡等が噛みこまれることにより透明性が低下する等の問題が起きることがなく、製造効率よく高品質な光学フィルタとすることができるのである。また、上記のどの場合においても、上記電磁波遮蔽用基板における金属メッシュの黒化処理面は、光学フィルタとして用いられた際に、観察者側となるように形成される。
【0098】
ここで、本実施態様に用いられる、上記透明粘着層、上記補強材、反射防止層、およびネオン光吸収層について詳しく説明する。
【0099】
(透明粘着層)
まず、本実施態様に用いられる透明粘着層について説明する。本実施態様に用いられる透明粘着層は、可視光に対して透明性を有し、かつ粘着性を有する層であって、上述した赤外線吸収剤含有粘着層と本実施態様の光学フィルタを貼りあわせる部材との間や、赤外線吸収剤含有粘着層と電磁波遮蔽用基板との間等に形成されるものである。本実施態様の光学フィルタを貼りあわせる部材が、金属等を含有する例えば青板ガラス等である場合がある。本実施態様に用いられる上記赤外線吸収剤含有粘着層中に含有された赤外線吸収剤が、例えば対イオン構造等を有するものである場合等には、金属等と接触することにより反応する場合があることから、上記透明粘着層が形成されることにより、上記部材に含有される金属等と上記赤外線吸収剤とが接触せず、より安定に赤外線吸収の機能を発揮させることが可能となる。
【0100】
本実施態様においては、この透明粘着層の膜厚は0.5μm〜50μm、中でも5μm〜40μmの範囲内で形成されることが好ましい。これにより、上記赤外線吸収剤含有粘着層に含有される赤外線吸収剤と金属とが接触することがなく、より安定に赤外線吸収の機能を発揮することが可能な光学フィルタとすることができるからである。
【0101】
このような透明粘着層に用いられる材料としては、上記赤外線吸収剤含有粘着層と接触して形成されることから、水酸基価や酸価が低いものであることが好ましく、このような透明粘着層として、具体的には、上述した赤外線吸収剤含有粘着層における透明樹脂の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明を省略する。
【0102】
(補強材)
次に、本実施態様に用いられる補強材について説明する。本実施態様に用いられる補強材は、光学フィルタに強度を付与すること、及び衝撃を吸収することが可能なものであれば、特に限定されるものではなく、上記赤外線吸収剤含有粘着層上に形成されるものであってもよく、また上記電磁波遮蔽用基板側に透明粘着層等を用いて接着されるものであってもよい。
【0103】
このような補強材として、可視光に対して透明性を有しており、強度を有するものであれば、光学フィルタの用途に応じて、その補強材の材料等は適宜選択されるものであり、具体的には、ガラスや高分子樹脂基板等を用いることができる。
【0104】
また、可撓性を有するものであってもよく、可撓性を有しないものであってもよい。このような補強材の厚さは、通常50μm〜500μmとすることができる。
【0105】
(反射防止層)
次に、本実施態様に用いられる反射防止層について説明する。反射防止層は光学フィルタの外側からの可視光線の反射を防止するためのもので、その構成としては、単層、多層の各種知られており、多層のものとしては高屈折率層、低屈折率層を交互に積層した構造のものが一般的である。反射防止層の材質は特に限定されるものではなく、その光学フィルタの用途等により適宜選択されるものである。これらの反射防止層は、スパッタリングや蒸着等の乾式法により、あるいは、湿式法により形成することができ、高屈折率層としては、酸化ニオブ、Ti酸化物、酸化ジルコニウム、ITO等が挙げられる。また低屈折率層としては、硅素酸化物が一般的である。
【0106】
(ネオン光吸収層)
次に、ネオン光吸収層について説明する。ネオン光吸収層とは、例えば光学フィルタをプラズマディスプレイに用いた際に、ネオン光を吸収する層である。このような材料としては、そのプラズマディスプレイ等の種類により、適宜選択されるものであり、例えばプラズマディスプレイにおけるネオン光の590nm近傍の発光を抑えるために用いられる、570〜600nmに吸収極大波長を有するシアニン系色素、サブフタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素等を挙げることができる。これにより色純度、色再現性等を向上させることが可能となるのである。また、本実施態様に用いられるネオン光吸収層は、例えば上述した平坦化層とガラス基板等を接着させるための接着層としての機能を果たすことも可能であり、この場合、上述した透明粘着層中に上記の色調を調整するための顔料を含有させたもの等を用いることができる。
【0107】
B.第2実施態様
次に、本発明の光学フィルタの第2実施態様について説明する。本発明の光学フィルタの第2実施態様は、透明基材と、上記透明基材上に形成された接着層と、上記接着層上に形成された金属メッシュとを有する電磁波遮蔽用基板、および上記電磁波遮蔽用基板上に形成され、かつ水酸基価が10以下である透明樹脂に赤外線を吸収する赤外線吸収剤が含有された赤外線吸収剤含有層を有するものであって、上記赤外線吸収剤含有層は、用いられる透明樹脂が、粘着性を有しないものである赤外線吸収剤含有コーティング層であることを特徴とするものである。
【0108】
本実施態様によれば、上記赤外線吸収剤を含有する赤外線吸収剤含有コーティング層を一般的に用いられる塗布法等によって形成することが可能であり、製造効率やコスト等の面から好ましい光学フィルタとすることができるのである。
【0109】
以下、本実施態様の光学フィルタの各構成ごとに説明する。なお、本実施態様に用いられる電磁波遮蔽用基板については、上述した第1実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0110】
1.赤外線吸収剤含有コーティング層
まず、本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有コーティング層について説明する。本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有コーティング層は、上記電磁波遮蔽用基板上に形成される層であって、水酸基価が10以下である透明樹脂に赤外線を吸収する赤外線吸収剤が含有された層であり、上記透明樹脂が粘着性を有しない層である。本実施態様の光学フィルタにおいて、この赤外線吸収剤含有コーティング層は、例えばプラズマディスプレイ等から発せられた赤外線を吸収する機能を果たすものである。以下、このような赤外線吸収剤含有コーティング層の各構成について説明する。
【0111】
(透明樹脂)
まず、本実施態様の赤外線吸収剤含有コーティング層に用いられる透明樹脂について説明する。本実施態様の赤外線吸収剤含有コーティング層に用いられる透明樹脂としては、可視光に対して透過率の高い樹脂であって、粘着性を有しないものである。
【0112】
本実施態様において、このような透明樹脂の水酸基価は、10以下、中でも5以下、特に、0であることが好ましい。これにより、透明樹脂中に含有される、例えば対イオンを有する赤外線吸収剤が、透明樹脂に含まれる水酸基により反応すること等を防ぐことができ、安定に赤外線吸収の機能を有する光学フィルタとすることができ、また赤外線吸収剤の選択の幅を広げることが可能となるからである。ここで、水酸基価とは、試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg量をいうものである。
【0113】
また、本実施態様において、透明樹脂のガラス転移点温度は、50℃〜150℃の範囲内、中でも80℃〜140℃の範囲内であることが好ましい。これにより、本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有コーティング層が粘着性を有しないものとすることが可能となるからである。
【0114】
また、本実施態様においては、上記透明樹脂の酸価が、10以下、中でも5以下、特に、0であることが好ましい。これにより、透明樹脂中に含有される酸により、赤外線吸収剤が反応すること等を防ぐことができ、さらに安定に赤外線吸収の機能を発揮する光学フィルタとすることができるからである。ここで、酸価とは、試料1gを中和するのに要する水酸化カリウムのmg量をいう。
【0115】
本実施態様に用いられる、上述したような性質を有する材料として具体的には、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタンエステル系樹脂、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエ−テルとの共重合体からなるペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンコポリマ−(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエ−テルとヘキサフルオロプロピレンコポリマ−(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレンまたはプロピレンとのコポリマ−(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマ−(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等のフッ素系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂等を挙げることができ、中でもアクリル系樹脂、エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂であることが好ましい。
【0116】
また、上記樹脂の平均分子量は、500〜60万の範囲内、中でも1万〜50万であることが好ましい。これにより、上記のような性質を有する透明樹脂とすることができるからである。
【0117】
本実施態様においては、上述した中でもアクリル系樹脂であることが好ましく、中でもポリメタクリル酸メチル(PMMA),メタクリル酸メチル(MMA)、エチルメタクリル酸(EMA)等のガラス転移温度が高いものが使用される。
【0118】
(赤外線吸収剤)
次に、赤外線吸収剤含有コーティング層に用いられる赤外線吸収剤について説明する。本実施態様に用いられる赤外線吸収剤は、赤外領域の光を吸収する材料であれば、その種類等は特に限定されるものではなく、上述した第1実施態様における、赤外線吸収剤含有コーティング層の赤外線吸収剤の項で説明したものと同様のものを用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
【0119】
(赤外線吸収剤含有コーティング層)
次に、本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有コーティング層について説明する。本実施態様に用いられる赤外線吸収剤含有コーティング層は、上記透明樹脂中に、上記赤外線吸収剤が含有されたものであり、この赤外線吸収剤含有コーティング層の膜厚が0.5μm〜50μmの範囲内、中でも5μm〜40μmであることが好ましい。これにより、赤外線吸収の機能を果たすことができるからである。
【0120】
このような赤外線吸収剤含有コーティング層の形成方法としては、上述した赤外線吸収剤が含有された上述した透明樹脂を、溶剤等により溶解させ、上記電磁波遮蔽用基板上にスプレーコート、ビードコート、メイヤーバー、グラビアコート、グラビアリバースコート、キスリバースコート、3本ロールリバースコート、スリットリバースダイコート、コンマコート、ナイフコート等の各種コーティング法により塗布し、溶剤を揮発させて乾燥させる方法等が挙げられる。
【0121】
ここで、上記透明樹脂を塗布する際に用いられる溶剤としては、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン、イソプロピルアルコール(IPA)、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、トリフルオロプロパノール等が挙げられる。
【0122】
また、本実施態様においては赤外線の透過率が、20%以下、中でも10%以下であることが好ましい。これにより、例えばプラズマディスプレイ等から発生する赤外線をカットまたは吸収することが可能となり、他の機器の誤動作の防止等をすることができるからである。ここで、上記透過率は、上述した測定法により測定した値である。
【0123】
なお、本実施態様の赤外線吸収剤含有コーティング層は、必要に応じて充填剤、軟化材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、架橋剤等を含有するものであってもよい。
【0124】
2.光学フィルタ
次に、本実施態様の光学フィルタについて説明する。本実施態様の光学フィルタは、上述した電磁波遮蔽用基板上に、上述した赤外線吸収剤含有コーティング層が形成されているものであれば、特に限定されるものではなく、必要に応じて他の層が積層されているもの等であってもよい。
【0125】
ここで、本実施態様における光学フィルタは、上述した第1実施態様の光学フィルタと同様に、視感透過率が40%以上、中でも50%以上であることが好ましい。これにより、光学フィルタを例えばプラズマディスプレイ等に用いる際に、視認性がよいものとすることができるからである。この視感透過率の測定方法は、上述した方法と同様である。
【0126】
ここで、本実施態様の光学フィルタは、例えば図1に示すように、上記赤外線吸収剤含有コーティング層5が、上記電磁波遮蔽用基板4における透明基材1側に形成されるものであってもよく、また上記赤外線吸収剤含有コーティング層が、上記平坦化層が形成された電磁波遮蔽用基板における平坦化層側に形成されるものであってもよい。
【0127】
また、例えば図6に示すように、電磁波遮蔽用基板4と、その電磁波遮蔽用基板4上に形成された赤外線吸収剤含有コーティング層5と、その赤外線吸収剤含有コーティング層5上に透明粘着層8とを有するものであってもよい。これにより、本実施態様の光学フィルタを、例えばプラズマディスプレイ用パネル等の、他の部材と接着することが可能なものとすることができるからである。また、この透明粘着層は、上述した赤外線吸収剤含有コーティング層と上述した電磁波遮蔽用基板との間に形成されてもよい。上述した赤外線吸収剤含有コーティング層中の赤外線吸収剤と、電磁波遮蔽用基板における金属メッシュとが接触する場合には、この赤外線吸収剤と金属とが反応等する場合があり、この透明粘着層を形成することによって、この反応等を防止することが可能となるからである。
【0128】
また、本実施態様の光学フィルタにおいては、上記赤外線吸収剤含有コーティング層は、粘着性を有しないことから、上記透明粘着層により他の部材と積層されていてもよく、例えば図10に示すように、電磁波遮蔽用基板4と、その電磁波遮蔽用基板4上に形成された赤外線吸収層5と、その赤外線吸収層5上に形成された透明粘着層8と、その透明粘着層(又は、透明接着層)8上に形成された補強材9とを有するもの等であってもよい。これにより、本実施態様の光学フィルタに強度を付与することができるからである。
【0129】
また、例えばネオン光吸収層と積層されたものであってもよく、またさらに反射防止層と積層されたもの等であってもよい。
【0130】
ここで、本実施態様に用いられる、上記透明粘着層、上記補強材、反射防止層、およびネオン光吸収層については、上述した第1実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0131】
なお、これらの層が積層される場合、上述したように、上記電磁波遮蔽用基板において上記金属メッシュが平坦化されていることが好ましい。これにより、上記電磁波遮蔽用基板上に層が形成される際、気泡等が噛みこまれることにより透明性が低下する等の問題が起きることがなく、製造効率よく高品質な光学フィルタとすることができるからである。また、上記のどの場合においても、上記電磁波遮蔽用基板における金属メッシュの黒化処理面は、光学フィルタとして用いられた際に、観察者側となるように形成される。さらに、上述した第1実施態様と同様に、アースをとることを可能とすることが好ましい。
【0132】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0133】
【実施例】
以下、本発明について、実施例および比較例を通じてさらに詳述する。
【0134】
(実施例1)
<電磁波遮蔽用基板の作製>
片面がクロメート処理により黒化処理されている、銅箔(古川サーキットフォイール製、EXP−WS、厚さ9μm)と、ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績製 A4300 厚み100μm)とを、ウレタン系接着剤(Tg20℃、平均分子量3万、酸価1、水酸基価9)にてドライラミネーション加工し貼り合わせた後、上記銅箔上にレジストを塗布後、露光、現像、エッチング、レジスト除去を行うことにより300μm□、線幅10μmの金属メッシュを形成した。なお、この際黒化処理面はPDPパネルが製造された場合、見る側(人間側)になるように設置するため、非貼り合せ面側とした。
【0135】
<平坦化層の作製>
次に、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg100℃、平均分子量25万、酸価0、水酸基価0)の樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚20μm(非メッシュ部膜厚)となるように、上記にて作製した電磁波遮蔽用基板上に塗布し、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し塗膜作製した。塗布乾燥後、上記樹脂バインダのTgより高温の表面凹凸が少ないミラーロールにて温度120℃、線厚1kg/cm2の圧力を掛けて平坦化層コート面より押しつけ、平坦化層表面の凹凸を消す事により平坦化層の作製を行った。
【0136】
<赤外線吸収剤含有粘着層の作製>
次に、離型フィルム上に、透明粘着層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg−40℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)をアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるようにコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し透明粘着層を形成した。
【0137】
次に、上記透明粘着層上に、赤外線吸収剤含有粘着層として、アクリル系バインダ(Tg−40℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)の中に、日本化薬製 IRG−022(ジイモニウム系色素)0.3g/m2および日本触媒製IR−1(フタロシアニン系)0.2g/m2の2種の赤外線吸収色素を合計0.5g/m2混ぜ込みを行った。この赤線吸収色素を混ぜた樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるようにコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し赤外線吸収剤含有粘着層を形成した。
【0138】
<赤外線吸収剤含有粘着層の貼付>
次に、赤外線吸収剤含有粘着層をハンドロールにて、上記電磁波遮蔽用基板のPET側に密着させることにより、本発明の光学フィルタを作製した。その後、離型フィルムを剥離し、透明粘着層をPDP前面パネルに積層した。
【0139】
(実施例2)
赤外線吸収剤含有粘着層を、電磁波遮蔽用基板における平坦化層側に貼付し、その赤外線吸収剤含有粘着層上に形成された透明粘着層によりPDP前面パネルに積層した以外は、実施例1と同様に行った。
【0140】
(実施例3)
ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績製 A4300 厚み100μm)上に、赤外線吸収剤含有接着層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂ポリエステル系バインダ(Tg60℃、平均分子量25万、酸価0、水酸基価0)をアプリケーターにて、乾燥膜厚20μmとなるように、上記PET上にコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し接着層を形成した。
【0141】
その接着層と、片面がクロメート処理により黒化処理されている、銅箔(古川サーキットフォイール製、EXP−WS、厚さ9μm)とを、ドライラミネーション加工にて貼りあわせを行った。この際、ラミロール温度は、接着層のTg以上である80℃に設定し、線圧1kg/cm2とした。続いて、上記銅箔上にレジストを塗布後、露光、現像、エッチング、レジスト除去を行うことにより300μm□、線幅10μmの金属メッシュを形成した。なお、この際黒化処理面はPDPパネルが製造された場合、見る側(人間側)になるように設置するため、貼り合せ面側とした。
【0142】
<平坦化工程>
次に、上記エッチングにより形成された金属メッシュ表面に、離型フィルムの離型処理面を設置し、ミラーロールにて、温度130℃、線圧25kg/cm2で加圧し、上記金属メッシュを上記接着層中に埋め込み、平坦化を行った。
【0143】
<赤外線吸収剤含有粘着層の作製>
次に、離型フィルム上に、透明粘着層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg−40℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)をアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるようにコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し透明粘着層を形成した。
【0144】
次に、上記透明粘着層上に、赤外線吸収剤含有粘着層として、アクリル系バインダ(Tg−40℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)の中に、日本化薬製 IRG−022(ジイモニウム系色素)0.3g/m2および日本触媒製IR−1(フタロシアニン系)0.2g/m2の2種の赤外線吸収色素を合計0.5g/m2混ぜ込みを行った。この赤線吸収色素を混ぜた樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるようにコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し赤外線吸収剤含有粘着層を形成した。
【0145】
<赤外線吸収剤含有粘着層の貼付>
次に、赤外線吸収剤含有粘着層を温度23℃、線圧1kg/cm2のラミネートロールにて、上記電磁波遮蔽用基板のPET側に密着させることにより、本発明の光学フィルタを作製した。その後、離型フィルムを剥離し、透明粘着層をPDP前面パネルに積層した。
【0146】
(実施例4)
赤外線吸収剤含有粘着層を、電磁波遮蔽用基板における金属メッシュ側に貼付し、その赤外線吸収剤含有粘着層上に形成された透明粘着層によりPDP前面パネルに積層した以外は、実施例3と同様に行った。
【0147】
(実施例5)
<電磁波遮蔽用基板の作製>
片面がクロメート処理により黒化処理されている、銅箔(古川サーキットフォイール製、EXP−WS、厚さ9μm)と、ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績製 A4300 厚み100μm)とを、ウレタン系接着剤(Tg20℃、平均分子量3万、酸価1、水酸基価9)にてドライラミネーション加工し貼り合わせた後、上記銅箔上にレジストを塗布後、露光、現像、エッチング、レジスト除去を行うことにより300μm□、線幅10μmの金属メッシュを形成した。なお、この際黒化処理面はPDPパネルが製造された場合、見る側(人間側)になるように設置するため、非貼り合せ面側とした。
【0148】
<メッシュ断面被覆層の作製>
次に、固形分40wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg100℃、平均分子量24万、酸価0、水酸基価0)の樹脂バインダをスキージにて、上記金属メッシュ側に塗布し、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥しメッシュ断面被覆層を作製した。この際、金属メッシュ上には、上記樹脂バインダが残らないように形成した。メッシュ断面被覆層が形成される前のメッシュ断面はメッシュを斜め方向から見た場合に生じる銅の乱反射が確認されたが、メッシュ断面被覆層を形成した後は乱反射は確認されなかった。
【0149】
<赤外線吸収剤含有粘着層の作製>
次に、離型フィルム上に、透明粘着層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg−40℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)をアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるようにコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し透明粘着層を形成した。
【0150】
次に、上記透明粘着層上に、赤外線吸収剤含有粘着層として、アクリル系バインダ(Tg−40℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)の中に、日本化薬製 IRG−022(ジイモニウム系色素)0.3g/m2および日本触媒製IR−1(フタロシアニン系)0.2g/m2の2種の赤外線吸収色素を合計0.5g/m2混ぜ込みを行った。この赤線吸収色素を混ぜた樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるようにコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し赤外線吸収剤含有粘着層を形成した。
【0151】
<赤外線吸収剤含有粘着層の貼付>
次に、赤外線吸収剤含有粘着層を温度23℃、線圧1kg/cm2のラミネートロールにて、上記電磁波遮蔽用基板のPET側に密着させることにより、本発明の光学フィルタを作製した。その後、離型フィルムを剥離し、透明粘着層をPDP前面パネルに積層した。
【0152】
(実施例6)
赤外線吸収剤含有粘着層を、電磁波遮蔽用基板における金属メッシュ側に貼付し、その赤外線吸収剤含有粘着層上に形成された透明粘着層によりPDP前面パネルに積層した以外は、実施例5と同様に行った。
【0153】
(実施例7)
<電磁波遮蔽用基板の作製>
片面がクロメート処理により黒化処理されている、銅箔(古川サーキットフォイール製、EXP−WS、厚さ9μm)と、ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績製 A4300 厚み100μm)とを、ポリエステル系接着剤(Tg60℃、平均分子量25万、酸価0、水酸基価0)にてドライラミネーション加工し貼り合わせた後、上記銅箔上にレジストを塗布後、露光、現像、エッチング、レジスト除去を行うことにより、300μm□、線幅10μmの金属メッシュを形成した。なお、この際黒化処理面はPDPパネルが製造された場合、見る側(人間側)になるように設置するため、非貼り合せ面側とした。
【0154】
<平坦化層の作製>
次に、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg100℃、平均分子量25万、酸価0、水酸基価0)の樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚20μm(非メッシュ部膜厚)となるように、上記にて作製した電磁波遮蔽用基板上に塗布し、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し塗膜作製した。塗布乾燥後、上記樹脂バインダのTgより高温の表面凹凸が少ないミラーロールにて温度120℃、線厚1kg/cm2の圧力を掛けて平坦化層コート面より押しつけ、平坦化層表面の凹凸を消す事により平坦化層の作製を行った。
【0155】
<赤外線吸収剤含有コーティング層の作製>
次に、赤外線吸収剤含有コーティング層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg100℃、平均分子量24万、酸価0、水酸基価0)の中に、日本化薬製 IRG−022(ジイモニウム系色素)0.3g/m2および日本触媒製 IR−1(フタロシアニン系)0.2g/m2の2種の赤外線吸収色素を合計0.5g/m2混ぜ込みを行った。この赤線吸収色素を混ぜた樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるように、上記電磁波遮蔽用基板における平坦化層上にコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し赤外線吸収剤含有コーティング層を形成した。
【0156】
<透明粘着層の作製>
離型フィルム面上に、固形分20wt%に溶剤希釈されたアクリル系の粘着剤(Tg−45℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)を乾燥膜厚25μmとなるように塗布し、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥させ、粘着層を作製した。粘着層を温度23℃,線圧:1kg/cm2のラミネートロールにて、電磁波遮蔽用基板の透明基材(PET)側に透明粘着層を密着させた。その後、離型フィルムを剥離し、粘着層面側をPDP前面パネルに積層した。
【0157】
(実施例8)
赤外線吸収剤含有コーティング層を、電磁波遮蔽用基板におけるPET側に形成し、透明粘着層を電磁波遮蔽用基板の平坦化層側に密着させて、PDPパネルに積層した以外は、上記実施例7と同様に行った。
【0158】
(実施例9)
ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績製 A4300 厚み100μm)上に、赤外線吸収剤含有接着層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂ウレタン系バインダ(Tg20℃、平均分子量3万、酸価1、水酸基価9)をアプリケーターにて、乾燥膜厚20μmとなるように、上記PET上にコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し接着層を形成した。
【0159】
その接着層と、片面がクロメート処理により黒化処理されている、銅箔(古川サーキットフォイール製、EXP−WS、厚さ9μm)とを、ドライラミネーション加工にて貼りあわせを行った。この際、ラミロール温度は、接着層のTg以上である80℃に設定し、線圧1kg/cm2とした。続いて、上記銅箔上にレジストを塗布後、露光、現像、エッチング、レジスト除去を行うことにより、300μm□、線幅10μmの金属メッシュを形成した。なお、この際黒化処理面はPDPパネルが製造された場合、見る側(人間側)になるように設置するため、貼り合せ面側とした。
【0160】
<平坦化工程>
次に、上記エッチングにより形成された金属メッシュ表面に、離型フィルムの離型処理面を設置し、ミラーロールにて、温度130℃、線圧25kg/cm2で加圧し、上記金属メッシュを上記接着層中に埋め込み、平坦化を行った。
【0161】
<赤外線吸収剤含有コーティング層の作製>
次に、赤外線吸収剤含有コーティング層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg100℃、平均分子量25万、酸価0、水酸基価0)の中に、日本化薬製 IRG−022(ジイモニウム系色素)0.3g/m2および日本触媒製 IR−1(フタロシアニン系)0.2g/m2の2種の赤外線吸収色素を合計0.5g/m2混ぜ込みを行った。この赤線吸収色素を混ぜた樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるように、上記電磁波遮蔽用基板における金属メッシュ上にコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し赤外線吸収剤含有コーティング層を形成した。
【0162】
<透明粘着層の作製>
離型フィルム面上に、固形分20wt%に溶剤希釈されたアクリル系の粘着剤(Tg−40℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)を乾燥膜厚25μmとなるように塗布し、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥させ、粘着層を作製した。粘着層を温度23℃,線圧:1kg/cm2のラミネートロールにて、電磁波遮蔽用基板の透明基材(PET)側に透明粘着層を密着させた。その後、離型フィルムを剥離し、粘着層面側をPDP前面パネルに積層した。
【0163】
(実施例10)
赤外線吸収剤含有コーティング層を、電磁波遮蔽用基板におけるPET側に形成し、透明粘着層を電磁波遮蔽用基板の金属メッシュ側に密着させて、PDPパネルに積層した以外は、上記実施例9と同様に行った。
【0164】
(実施例11)
<電磁波遮蔽用基板の作製>
片面がクロメート処理により黒化処理されている、銅箔(古川サーキットフォイール製、EXP−WS、厚さ9μm)と、ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績製 A4300 厚み100μm)とを、ウレタン系接着剤(Tg20℃、平均分子量3万、酸価1、水酸基価9)にてドライラミネーション加工し貼り合わせた後、上記銅箔上にレジストを塗布後、露光、現像、エッチング、レジスト除去を行うことにより、300μm□、線幅10μmの金属メッシュを形成した。なお、この際黒化処理面はPDPパネルが製造された場合、見る側(人間側)になるように設置するため、非貼り合せ面側とした。
【0165】
<メッシュ断面被覆層の作製>
次に、固形分40wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg100℃、平均分子量24万、酸価0、水酸基価0)の樹脂バインダをスキージにて、上記金属メッシュ側に塗布し、メッシュ断面被覆層を作製した。この際、金属メッシュ上には、上記樹脂バインダが残らないように形成した。メッシュ断面被覆層が形成される前のメッシュ断面はメッシュを斜め方向から見た場合に生じる銅の乱反射が確認されたが、メッシュ断面被覆層を形成した後は乱反射は確認されなかった。
【0166】
<赤外線吸収剤含有コーティング層の作製>
次に、赤外線吸収剤含有コーティング層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg100℃、平均分子量25万、酸価0、水酸基価0)の中に、日本化薬製 IRG−022(ジイモニウム系色素)0.3g/m2および日本触媒製 IR−1(フタロシアニン系)0.2g/m2の2種の赤外線吸収色素を合計0.5g/m2混ぜ込みを行った。この赤線吸収色素を混ぜた樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるように、上記電磁波遮蔽用基板における金属メッシュ上にコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し赤外線吸収剤含有コーティング層を形成した。
【0167】
<透明粘着層の作製>
離型フィルム面上に、固形分20wt%に溶剤希釈されたアクリル系の粘着剤(Tg−40℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)を乾燥膜厚25μmとなるように塗布し、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥させ、粘着層を作製した。粘着層を温度23℃,線圧:1kg/cm2のラミネートロールにて、電磁波遮蔽用基板の透明基材(PET)側に透明粘着層を密着させた。その後、離型フィルムを剥離し、粘着層面側をPDP前面パネルに積層した。
【0168】
(実施例12)
赤外線吸収剤含有コーティング層を、電磁波遮蔽用基板におけるPET側に形成し、透明粘着層を電磁波遮蔽用基板の金属メッシュ側に密着させて、PDPパネルに積層した以外は、上記実施例11と同様に行った。
【0169】
(実施例13)
透明粘着層を積相せず、赤外線吸収材含有粘着層により、電磁波遮蔽用基板におけるPETと、PDPパネルとを積層した以外は、実施例1と同様に行った。
【0170】
(実施例14)
透明粘着層を積相せず、赤外線吸収材含有粘着層により、電磁波遮蔽用基板における平坦化層と、PDPパネルとを積層した以外は、実施例2と同様に行った。
(実施例15)
透明粘着層を積相せず、赤外線吸収材含有粘着層により、電磁波遮蔽用基板におけるPETと、PDPパネルとを積層した以外は、実施例3と同様に行った。
【0171】
(実施例16)
透明粘着層を積相せず、赤外線吸収材含有粘着層により、電磁波遮蔽用基板における金属メッシュと、PDPパネルとを積層した以外は、実施例4と同様に行った。
【0172】
(実施例17)
透明粘着層を積相せず、赤外線吸収材含有粘着層により、電磁波遮蔽用基板におけるPETと、PDPパネルとを積層した以外は、実施例5と同様に行った。
【0173】
(実施例18)
透明粘着層を積相せず、赤外線吸収材含有粘着層により、電磁波遮蔽用基板における金属メッシュと、PDPパネルとを積層した以外は、実施例6と同様に行った。
【0174】
(比較例1)
赤外線吸収材含有粘着層および透明粘着層を、下記のものとした以外は、実施例1と同様に行った。
【0175】
<赤外線吸収剤含有粘着層の作製>
離型フィルム上に、透明粘着層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂アクリル系バインダ(Tg−40℃、平均分子量65万、酸価7、水酸基価0)をアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるようにコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し透明粘着層を形成した。
【0176】
次に、上記透明粘着層上に、赤外線吸収剤含有粘着層として、ウレタン系バインダ(Tg−40℃、平均分子量10万、酸価20、水酸基価15)の中に、日本化薬製 IRG−022(ジイモニウム系色素)0.3g/m2および日本触媒製 IR−1(フタロシアニン系)0.2g/m2の2種の赤外線吸収色素を合計0.5g/m2混ぜ込みを行った。この赤線吸収色素を混ぜた樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるようにコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し赤外線吸収剤含有粘着層を形成した。
【0177】
(比較例2)
赤外線吸収材含有コーティング層および透明粘着層を、下記のものとした以外は、実施例7と同様に行った。
【0178】
<赤外線吸収剤含有コーティング層の作製>
次に、赤外線吸収剤含有コーティング層として、固形分20wt%に溶剤希釈された透明樹脂ウレタン系バインダ(Tg70℃、平均分子量3万、酸価20、水酸基価15)の中に、日本化薬製 IRG−022(ジイモニウム系色素)0.3g/m2および日本触媒製 IR−1(フタロシアニン系)0.2g/m2の2種の赤外線吸収色素を合計0.5g/m2混ぜ込みを行った。この赤線吸収色素を混ぜた樹脂バインダをアプリケーターにて、乾燥膜厚10μmとなるように、上記電磁波遮蔽用基板における平坦化層上にコーティングし、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥し赤外線吸収剤含有コーティング層を形成した。
【0179】
<透明粘着層の作製>
離型フィルム面上に、固形分20wt%に溶剤希釈されたウレタン系の粘着剤(Tg−40℃、平均分子量10万、酸価20、水酸基価15)を乾燥膜厚25μmとなるように塗布し、風速5〜20m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥させ、粘着層を作製した。粘着層を温度23℃,線圧:1kg/cm2のラミネートロールにて、電磁波遮蔽用基板の透明基材(PET)側に透明粘着層を密着させた。その後、離型フィルムを剥離し、粘着層面側をPDP前面パネルに積層した。
【0180】
<評価>
上記実施例1から実施例18、比較例1、および比較例2で得られた電磁波シールドと平坦化層とが積層された光学フィルムの開口率、視認性、透明性、製造直後の視感透過率および赤外線透過率、60℃90%1000時間後の視感透過率および赤外線透過率について測定した結果を表1および表2に示す。
【0181】
【表1】
【0182】
【表2】
【0183】
上記の測定は、以下の各測定条件で行った。
【0184】
開口率:光学顕微鏡を用いて電磁波シールドメッシュ表面の写真を撮影し、その写真の銅メッシュ部と空隙部分の面積を測定し、その面積比率より開口率を算出した。
【0185】
視認性:目視により確認を行った。
【0186】
透明性:カラーコンピューター SM−C スガ試験機製にてJIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」に記載される方法にてヘイズ(濁度)の測定を行った。
【0187】
視感透過率:分光光度計 UV−3100(島津製作所)を用いてJIS Z8701 色の表現方法 XYZ表色系及びX10Y10Z10表示系 に記載される測定方法に従って測定し、JIS Z 8722 色の測定方法−反射及び透過物体色
にて算出された、380nm〜780nmの範囲内透過率の測定を行った。
【0188】
赤外線透過率:分光光度計 UV−3100PC 島津製作所製にてJIS Z 8722「色の測定方法−反射及び透過物体色」に記載される方法にて測定を行った。
【0189】
上記で得られた、本発明の実施例1から実施例18における光学フィルムは、耐湿熱試験60℃90%1000時間を行った後であっても、赤外線吸収性能には、初期状態が維持されて、良好な状態であった。
【0190】
また、本発明の実施例1から実施例18において、電磁波シールドが平坦化された光学フィルムをプラズマディスプレイの表面に直接積層した場合、金属メッシュの平坦化の効果により、電磁波シールドメッシュのエッチングされた断面が乱反射する事もなくプラズマディスプレイの死角に近い斜め方向から見てもギラツキ無く画像を認識する事ができる透視性と良好な電磁波遮蔽性を有していた。
【0191】
さらに、通常は赤外線吸収層、粘着層等を積層する透明樹脂基材を有する赤外線吸収フィルタを有するが、本発明ではディスプレイに上にコーティングされたできるだけ少ない層構成で、ディスプレイ内部から発生する近赤外線(光)をカット又は吸収し、また、ディスプレイ用パネルから発光する光と、入射してくる外光の内、特に可視光の特定の波長を吸収することができた。これにより、他の機器の誤動作が無く、また、ディスプレイ画面の画像等のコントラストを向上させることにより、良好な視認性が得られた。また、電磁波遮蔽について、銅薄膜からなるメッシュを用いることで、特にエッチング加工に適している上に、電磁波遮蔽効果も高いものとすることができた。さらに、金属薄膜からなるメッシュを黒化処理することによって、外光を吸収する性能が特に高まり、より視認性を高める事ができるものとなった。
【0192】
【発明の効果】
本発明によれば、電磁波遮蔽性を有する電磁波遮蔽用基板上に形成された、赤外線吸収剤含有層中に赤外線吸収剤が含有されることから、別途赤外線吸収用フィルム等を貼りあわせる工程が必要なく、電磁波遮蔽性および赤外線吸収性を有する、製造効率やコストの面からも好ましい光学フィルタとすることができるのである。また、上記赤外線吸収剤含有層に用いられる透明樹脂の水酸基価が、上記範囲内であることにより、その透明樹脂に含有される赤外線吸収剤と、透明樹脂が有する水酸基とが反応等することを防ぐことができ、安定に赤外線吸収の機能を発揮することが可能な光学フィルタとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学フィルタの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明に用いられる電磁波遮蔽用基板の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明に用いられる電磁波遮蔽用基板の他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明に用いられる電磁波遮蔽用基板の他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の光学フィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の光学フィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の光学フィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図8】本発明の光学フィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図9】本発明の光学フィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図10】本発明の光学フィルタの他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 … 透明基材
2 … 接着層
3 … 金属メッシュ
4 … 電磁波遮蔽用基板
5 … 赤外線吸収剤含有層
Claims (10)
- 透明基材と、前記透明基材上に形成された接着層と、前記接着層上に形成された金属メッシュとを有する電磁波遮蔽用基板、および前記電磁波遮蔽用基板上に形成され、かつ水酸基価が10以下である透明樹脂に赤外線を吸収する赤外線吸収剤が含有された赤外線吸収剤含有層を有することを特徴とする光学フィルタ。
- 前記透明樹脂の酸価が10以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ。
- 前記透明樹脂の、ガラス転移温度(Tg)が−80℃〜−10℃の範囲内であり、前記赤外線吸収剤含有層が粘着性を有する赤外線吸収剤含有粘着層であることを特徴とする光学フィルタ。
- 前記赤外線吸収剤含有層上に透明粘着層を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の光学フィルタ。
- 前記電磁波遮蔽用基板が、前記金属メッシュ上に形成された平坦化層を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の光学フィルタ。
- 前記電磁波遮蔽用基板が、前記金属メッシュの断面に形成されたメッシュ断面被覆層を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の光学フィルタ。
- 前記金属メッシュの空隙部分が、前記接着層により充填されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の光学フィルタ。
- 補強材を有することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の光学フィルタ。
- 反射防止層を有することを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の光学フィルタ。
- ネオン光吸収層を有することを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の光学フィルタ。
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