JP2006276208A - ディスプレイ用光学フィルター - Google Patents

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淳史 鈴木
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Abstract

【課題】 外部光の反射や映り込みによる影響を抑制し、特に白黒のコントラストに優れた鮮明な画像を得ることのできるディスプレイ用光学フィルターを提供する。
【解決手段】 ディスプレイの前面Pに設けられるディスプレイ用光学フィルター10において、該フィルターの構成層中に、電磁波シールド層15と、黒色顔料からなる光吸収材が透明樹脂層および/または粘着剤層中に分散されてなる光吸収材分散層13とを積層する。これにより、電磁波シールド性とともに外部光を吸収する性能を発現し、白黒のコントラストに優れた鮮明な画像を得ることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、CRT、PDP(プラズマディスプレイ)などの各種ディスプレイに使用される光学フィルターに関するものであり、特に白黒のコントラストに優れた鮮明な画像を得ることのできる光学フィルターに関する。
近年、CRT、PDP(プラズマディスプレイ)などのディスプレイにおいては、ディスプレイ前面から発生する電磁波が人体に悪影響を与えたり、周囲の電子機器を誤動作させることが問題とされるようになり、ディスプレイの画像の鮮明さと共に、ディスプレイが周囲へ与える影響への対策が益々重要視されつつある。
特に、大型の薄型ディスプレイとして需要の増大しているPDPにおいては、電磁波のシールドフィルム以外に、近赤外線の波長領域を使用している各種のリモコンスイッチの誤作動を防ぐための近赤外線吸収フィルム、その近赤外線吸収フィルムに使用されている近赤外線吸収剤の経時劣化を防ぐための紫外線吸収フィルム、さらには可視光領域の色調調整のためのネオン光カットフィルム、光学フィルターの表面に外光が映り込むのを防ぐための反射防止フィルム等が、必要とされる機能に応じて組み合わせて構成されている。これらのフィルムをディスプレイ用光学フィルターとして用いることにより画像の映り具合の改善を図ると共に、周囲へ与える影響を低減する対策が採られている。
例えば、特許文献1には、色補正のためのネオン光カット層(吸収波長580〜620nm)と、外部光の反射を防止する反射防止フィルムと、外部光によるネオン光カット色素の劣化を防ぐための紫外線吸収剤を含有する粘着剤層と、電磁波遮蔽能を有するスパッタガラスとを有するプラズマディスプレイ用フィルターが開示されている。
特許文献2には、金属薄膜層と高屈折率透明薄膜層とを交互に積層した構造の透明導電膜により、電磁波シールド性と近赤外線カット性とを有する光学フィルターが開示されている。
特許文献3には、電磁波遮蔽性を有する金属メッシュと、赤外線吸収能を有する赤外線吸収剤含有接着層と、反射防止層と、ネオン光吸収層とを積層したプラズマディスプレイ用光学フィルターが開示されている。
特開2004−325532号公報 特開平10−217380号公報 特開2004−333743号公報
各種ディスプレイ、なかんずく、PDPにおいては、ディスプレイに取り付ける光学フィルターとして、外部光(屋外光や室内照明光)による映り込みが生じることを防ぐために反射防止フィルム(ARフィルム)を最外層に採用している。しかしながら、ディスプレイの画像を改良する対策として、色補正についてはネオン光吸収剤を用いることのみが開示されているに留まっている。
近年、各種ディスプレイ、特にPDPにおいては、暗い室内だけでなく、部屋を照明等で明るくしたままの状態で画像を見たいという要望が高まっている。しかし、部屋を明るくすると、外部光の反射や映り込みにより画像が白色化し、更には白黒のコントラストが低下して画像がぼやけるという現象が起きる。このため、PDPにおいては、白黒のコントラストを更に改良する技術が必要とされている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、外部光の反射や映り込みによる影響を抑制し、特に白黒のコントラストに優れた鮮明な画像を得ることのできるディスプレイ用光学フィルターを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、ディスプレイの前面に設けられるディスプレイ用光学フィルターにおいて、該フィルターの構成層中に、電磁波シールド層と、黒色顔料からなる光吸収材が透明樹脂層および/または粘着剤層中に分散されてなる光吸収材分散層とを有することを特徴とするディスプレイ用光学フィルターを提供する。
前記光学フィルターは、さらに、近赤外線吸収層、紫外線吸収層、ネオン光吸収層、反射防止層のうち、1つ以上の層を有することが好ましい。
前記光吸収材は、カーボンブラック、黒鉛、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラック、黒色酸化鉄、酸化クロム、酸化マンガンからなる群より選択される一種又は二種以上の黒色顔料からなることが好ましい。
前記光吸収材分散層は、ディスプレイ用光学フィルターの視覚側の最外層と電磁波シールド層との間に積層されていることが好ましい。
前記電磁波シールド層は、透明導電膜層または導電性の金属メッシュからなることが好ましい。
前記電磁波シールド層は、0.5〜15μmの厚みおよび10〜50μmの線幅を有し、細線の間隔が100〜900μmの金属メッシュであることが好ましい。
前記電磁波シールド層は、物理現像された金属銀を触媒核として金属を無電解メッキおよび/または電解メッキすることにより細線パターンを形成した導電性の金属メッシュであることが好ましい。
前記ディスプレイは、プラズマディスプレイであることが好ましい。
本発明のディスプレイ用光学フィルターによれば、電磁波シールド層と、光吸収材(黒色顔料)分散層を設けたことにより、電磁波シールド性とともに、外部光(屋外光や屋内照明光)を吸収する性能を発現する。該光学フィルターに外部光が入射した場合、光吸収材分散層で吸収されて放射される光量が弱められる。さらに光学フィルターの内部またはディスプレイの前面パネル上で反射または散乱して視覚側へ戻るとしても、もう一度光吸収材分散層を通過しなければならないので、さらに光量が弱められる。これに対して、ディスプレイの出力光は、光吸収材分散層を一度通過するだけで視覚側に到達することができる。よって、光学フィルターに入射した外部光が、視覚側へ戻る光量を極めて小さく減衰させると共に、外部光が光学フィルターを構成する透明基材(フィルム)や粘着剤層などの界面で反射を生じる現象、いわゆる迷光となってディスプレイの画像と干渉することを抑制し、白黒のコントラストに優れた鮮明な画像を得ることができる。
特に、前記光吸収材分散層がディスプレイ用光学フィルターの視覚側の最外層と電磁波シールド層との間に積層されている場合、電磁波シールド層による外部光の反射や散乱を防止することができ、白黒のコントラストが一層優れた鮮明な画像を得ることができる。
以下、最良の形態に基づいて本発明のディスプレイ用光学フィルター(以下、単に「光学フィルター」という場合がある。)について詳しく説明する。
図1は、本発明の光学フィルターの層構成の一例を示す模式的断面図である。また、図2は、本発明の光学フィルターの層構成の他の例を示す模式的断面図である。また、図3は、本発明の光学フィルターの層構成のさらに他の例を示す模式的断面図である。これらの光学フィルターは、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイの前面パネルPに直貼りで取り付けて使用することができる。なお、図1〜図3において目Eは視覚側を表す。
図1に示す光学フィルター10は、視覚側から順に、反射防止層11、透明基材12、黒色顔料が分散された粘着剤層13、透明基材14、電磁波シールド層15、紫外線吸収剤が添加された粘着剤層16、透明基材17、近赤外線吸収剤が添加された粘着剤層18が積層されてなるものである。
図2に示す光学フィルター20は、視覚側から順に、反射防止層21、透明基材22、黒色顔料が分散された透明樹脂層29、粘着剤層23、透明基材24、電磁波シールド層25、紫外線吸収剤が添加された粘着剤層26、透明基材27、近赤外線吸収剤が添加された粘着剤層28が積層されてなるものである。
図3に示す光学フィルター20Aは、視覚側から順に、反射防止層21、黒色顔料が分散された透明樹脂層29、透明基材22、粘着剤層23、透明基材24、電磁波シールド層25、紫外線吸収剤が添加された粘着剤層26、透明基材27、近赤外線吸収剤が添加された粘着剤層28が積層されてなるものである。
図1に示す光学フィルター10の場合、黒色顔料が分散された粘着剤層13が光吸収材分散層として機能する。また、図2および図3に示す光学フィルター20,20Aの場合、黒色顔料が分散された透明樹脂層29が光吸収材分散層として機能する。
なお、図1〜図3においては、電磁波シールド層15に接する粘着剤層16,26に紫外線吸収剤を添加して紫外線吸収層となし、前面パネルPに接する粘着剤層18,28に近赤外線吸収剤を添加して近赤外線吸収層となした例を示すが、近赤外線吸収層、紫外線吸収層、ネオン光吸収層、反射防止層のうち光学フィルターに採用する層の組み合わせは、特にこれに限定されるものではない。ネオン光吸収層(図示せず)は、例えばネオン光吸収剤を添加した粘着剤層によって実現することができる。
(反射防止層)
ここで、反射防止層11,21は、光学フィルター10,20,20Aの外側からの可視光線の反射を防ぐためのものであって、単層の場合は、透明基材12,22に比べて屈折率の低い物質、例えばポリシロキサン構造を有するフッ素含有有機化合物等の薄膜を形成する。また多層からなる場合は、透明基材12,22に比べて高屈折率の物質、例えば酸化チタンの蒸着薄膜と、透明基材に比べて低屈折率の物質、例えば酸化ケイ素の薄膜を交互に積層する。このような金属酸化物薄膜の形成方法は特に限定されず、スパッタリング法、真空蒸着法、湿式塗布法により、酸化ジルコニウム、ITO、酸化ケイ素等の薄膜を形成することができる。
しかしながら、ディスプレイ用の光学フィルターの場合、複数のフィルムを積層していることから、その積層しているフィルム界面で反射が発生してしまう。そのため、光学フィルター全体では反射率が上昇してしまうことから、最外層の反射防止層11,21のみでは、外部光の反射による画像の白色化および白黒のコントラストの低下を防止して画像を鮮明にするという課題を十分に解決することができていないのが現状である。
(黒色顔料からなる光吸収材分散層)
そこで、本発明では、反射防止層11,21を通過してきた外部光を吸収する光吸収材を粘着剤層13または透明樹脂層29中に分散し、光学フィルター10,20,20A内部への外部光の入射と、光学フィルター10,20,20A内部に入射した外部光に由来する散乱光が再度フィルターの外側に出射したり、迷光となってディスプレイの画像と干渉して画像が白化することを低減する。外部光の入射と迷光により、ディスプレイの画像が白色化するのを防ぎ、白黒のコントラストを高めることができる。なお、迷光による白化を抑える観点からは、光吸収材分散層はなるべく外側(視覚側)に位置することが好ましい。
本発明に使用する光吸収材としては、カーボンブラック、黒鉛、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラック、黒色酸化鉄、酸化クロム、酸化マンガンなどの黒色顔料の粒子を使用することができる。これらの黒色顔料は、1種類、または2種類以上複合して用いることができる。前記黒色顔料のうち、特に、カーボンブラックが好適に使用される。前記黒色顔料(光吸収材)の好ましい粒子径の分布範囲は0.01〜0.5μmの範囲であり、より好ましくは0.05〜0.3μmの範囲である。なお、光学フィルター全体としての色調を、無彩色もしくは好ましい色調に調整するために、必要に応じて複数種の他の色材を使用しても良い。
白黒のコントラストを高めるために黒色顔料(光吸収材)の添加量を増やせば全光線透過率が低下して画像が暗くなるという現象が起こるので、黒色顔料(光吸収材)の添加量を無制限に増やすことはできないが、許容される全光線透過率に応じて黒色顔料(光吸収材)の添加条件を調整することにより充分に満足の得られる白黒コントラストが達成される。
(透明基材)
各透明基材12,14,17,22,24,27を構成する透明材料としては、可視領域で透明であり、またフレキシブル性を有し、好ましくは耐熱性の良好な樹脂からなるプラスチックフィルムである。そのようなフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等からなる厚さが10〜600μmの単層または複合フィルムが挙げられる。それぞれの透明基材は、反射防止層、電磁波シールド層、近赤外線吸収層、紫外線吸収層、ネオン光吸収層などの機能層が塗布され、そのまま積層されるためにフィルターの構成中に存在する。全光線透過率の低下を抑える観点からは、極力、兼用して透明基材層の数を少なくすることが好ましい。そのような兼用の方法としては、1枚の透明基材の上に複数の機能層を順次形成したり、剥離紙の上に形成した機能層を転写する方法を挙げることができる。
(黒色顔料の分散した透明樹脂層)
本発明における光吸収材分散層は、図2,図3に示すように、透明樹脂に黒色顔料を混入、分散して形成することができる。黒色顔料は透明基材に直接混入されても良いが、任意の量を均一に分散できることから、次のような方法で混入することが好ましい。すなわち、光吸収材(黒色顔料)が分散された透明樹脂層29は、上記の透明基材22の片面に、上述の光吸収材(黒色顔料)を分散させた透明で溶剤に可溶な樹脂、例えば、バインダーなどを塗布して形成される。透明樹脂に黒色顔料を分散して形成される光吸収材分散層29の塗布厚みは、2〜50μmであるのが好ましい。光吸収材分散層を形成する透明樹脂に制限はないが、透明基材の上に塗布して光吸収材分散層を形成する場合は、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂などの硬化型樹脂が好適に用いられる。これらの硬化型樹脂のうち、樹脂硬化のための設備が簡易で作業性に優れることから、紫外線硬化型樹脂が好ましい。
また、透明基材の中に黒色顔料を直接混入させる場合には、熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
透明基材の上に塗布して光吸収材分散層を形成する場合においては、使用される紫外線硬化型樹脂としては、光重合性を有するプレポリマーおよび/またはモノマーに、必要に応じて他の単官能または多官能性モノマー、各種ポリマー、光重合剤開始剤(アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール類、チオキサントン類など)、増感剤(アミン類、ジエチルアミノエチルメタクリレートなど)を配合したものである。ここで、光重合性プレポリマーとしては、ポリエステルアクリレート、ポリエステルウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリオールアクリレートなどが例示される。光重合性モノマーとしては、単官能アクリレート、2官能アクリレート、3官能以上のアクリレートなどが例示される。光重合性を有するプレポリマーまたはモノマーとしては、上記の他にホスファゼン系樹脂も好適に用いられる。
熱硬化型樹脂および電子線硬化型樹脂は、上記の紫外線硬化型樹脂と同様なものが用いられる。ただし、電子線硬化型樹脂は重合開始剤を添加する必要が無い。
適切に選定された透明樹脂に、上記の黒色顔料を均一に混合、分散させて光吸収材分散層組成物を調製し、得られた光吸収材分散層組成物を、透明基材の上に、バーコーティング方法、ロールコーティング方法、グラビアリバースコーティング方法等の公知の塗布方法で塗布して光吸収材分散層を形成することができる。前記光吸収材分散層組成物には、塗工性を向上させるため、必要に応じて前記透明樹脂(バインダー等)を溶解する溶剤を添加し、塗布後に前記溶剤を乾燥により除去することが好ましい。前記溶剤は、特に限定されるものではなく、公知慣用の溶剤を用いることができる。
透明基材の中に黒色顔料を直接混入、分散させる場合においては、使用される熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等が好適に用いられる。熱可塑性樹脂を用いて透明樹脂に黒色顔料の分散した光吸収材分散層を形成するには、次のようにして行う。まず、主体となる適切に選定された熱可塑性の透明樹脂と、前記透明樹脂に相溶性のある樹脂に黒色顔料を混練したマスターバッチとを、最終的に黒色顔料が規定の濃度となるように配合し、公知のTダイやIダイを使用したキャスト成形法などにより、溶融樹脂をフィルム状に押し出して、基材を兼ねた光吸収材分散層を作製することができる。
図2および図3において、光吸収材分散層29を形成する透明樹脂に黒色顔料を分散させることにより、光学フィルター20,20A内部に入射した外部光に由来する散乱光が再度フィルターの外側に出射したり、迷光となってディスプレイの画像と干渉することを低減する。これにより、ディスプレイの画像が白色化するのを防ぎ、白黒のコントラストを高めることができる。黒色顔料が分散した透明樹脂層は一層に限られることなく、複数層あっても良い。
(粘着剤層)
各粘着剤層13,16,18,23,26,28を構成する粘着剤としては、可視領域で透明であれば(すなわち、十分な透過率を有すれば)特に限定されず、上記の黒色顔料の分散した透明樹脂と同様な硬化型樹脂でも良いし、熱可塑性樹脂でも良い。透明性の観点からは、アクリル系樹脂が好適に用いられる。
(黒色顔料の分散した粘着剤層)
本発明における光吸収材分散層は、図1に示す例のように、粘着剤に黒色顔料を分散させて形成してもよい。粘着剤に黒色顔料を分散して形成される光吸収材分散層の塗布厚みは、2〜50μmであるのが好ましい。本発明における、粘着剤に黒色顔料を分散させて形成する光吸収材分散層に使用される粘着剤(透明樹脂)は、透明であれば、上記の黒色顔料の分散した透明樹脂と同様な硬化型樹脂でも良いし、熱可塑性樹脂でも良い。透明性の観点からは、アクリル系樹脂が好適に用いられる。
適切に選定された透明樹脂に、上記の黒色顔料を均一に混合、分散させて光吸収材分散層組成物を調製し、得られた光吸収材分散層組成物を、透明基材の上に、バーコーティング方法、ロールコーティング方法、グラビアリバースコーティング方法等の公知の塗布方法で塗布して光吸収材分散層を形成することができる。
図1において、光吸収材(黒色顔料)が分散された粘着剤層13は、透明を有する粘着剤(透明粘着剤)中に、上述の光吸収材(黒色顔料)を分散させることにより、光学フィルター10内部に入射した外部光に由来する散乱光が再度フィルターの外部目視側に出射したり、迷光となってディスプレイの画像と干渉することを低減する。これにより、ディスプレイの画像が白色化するのを防ぎ、白黒のコントラストを高めることができる。
粘着剤層13に光吸収材を配合すると、前述した透明樹脂層29に光吸収材を分散させた場合に比べて、透明樹脂層を一層減らすことができるので、全光線透過率の低下を抑えることができる。なお、ひとつの粘着剤層に多量の光吸収材を配合すると粘着剤の機能が低下して好ましくない場合は、複数の粘着剤層に分散して配合しても良い。また、粘着剤層と透明樹脂層の両方に光吸収材を配合しても良い。
(近赤外線吸収層)
近赤外線吸収層は、必要に応じて光学フィルターの適切な位置に一層または複数層設けることができる。近赤外線吸収層を形成する方法としては、透明基材や透明樹脂層、粘着剤層の中に近赤外線吸収剤を混入させる方法、近赤外線吸収剤を含有する塗工液を透明基材上に直接または他の層を介して塗布する方法などが挙げられる。近赤外線吸収剤としては、波長領域800〜1100nmの近赤外線透過率が15%以下、好ましくは10%以下であることが望ましい。具体例としては、イモニウム塩系化合物、ジイモニウム塩系化合物、アミニウム塩系化合物、ニトロソ化合物及びその金属錯塩、シアニン系化合物、スクワリリウム系化合物、チオールニッケル錯塩系化合物、アミノチオールニッケル錯塩系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、トリアリールメタン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アミノ化合物、カーボンブラック、酸化アンチモン、酸化インジウムをドープした酸化錫、周期表の4、5または6族に属する金属の酸化物若しくは炭化物若しくはホウ化物等が挙げられる。これらの近赤外線吸収剤は、1種類、または2種類以上複合して用いることができる。近赤外線吸収層を設けることにより、ディスプレイが発する近赤外線を吸収することができる。
(紫外線吸収層)
紫外線吸収層は、必要に応じて光学フィルターの適切な位置に一層または複数層設けることができる。紫外線吸収層を形成する方法としては、透明基材や透明樹脂層、粘着剤層の中に紫外線吸収剤を混入させる方法、紫外線吸収剤を含有する塗工液を透明基材上に直接または他の層を介して塗布する方法などが挙げられる。紫外線吸収層は、外部光による近赤外線吸収層の劣化を防ぐため、近赤外線吸収層よりも視覚側に設けられる。紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤のいずれも使用可能であるが、50%透過率での波長が350〜420nmが好ましく、より好ましくは360nm〜400nmであり、350nmより低波長では、紫外線遮断能が弱く、420nmより高波長では着色が強くなり好ましくない。
有機系紫外線吸収剤としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、フェニルサリチレート、4−t−ブチルフェニルサリチレート、2,5−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸n−ヘキサデシルエステル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンゾエート等のヒドロキシベンゾエート系化合物等が挙げられる。無機系紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種類、または2種類以上複合して用いることができる。
(ネオン光吸収層)
ネオン光吸収層は、必要に応じて光学フィルターの適切な位置に一層または複数層設けることができる。ネオン光吸収層は、PDPの発光するネオン光(吸収波長580〜620nm)を、ネオン光吸収剤を用いて除去することにより画像の赤色をより鮮明にするためのものである。ネオン光吸収層を形成する方法としては、透明基材や透明樹脂層、粘着剤層の中にネオン光吸収剤を混入させる方法、ネオン光吸収剤を含有する塗工液を透明基材上に直接または他の層を介して塗布する方法などが挙げられる。前記ネオン光吸収剤としては、例えば、シアニン系、スクアリリウム系、アゾメチン系、キサンテン系、オキソノール系、アゾ系等の色素のうち、波長580〜620nmの範囲に極大吸収波長を有する適当な色素が挙げられる。これらのネオン光吸収剤は、1種類、または2種類以上複合して用いることができる。
(電磁波シールド層)
従来、ディスプレイから発生する電磁波が外部に漏洩して人体への悪影響を防ぐという要求に対して、種々の透明導電性フィルムおよび電磁波シールドフィルムが開発されている。公知の電磁波シールド層は、大きくは、透明導電膜による電磁波シールド層と、導電性の金属メッシュによる電磁波シールド層の2つに区分される。透明導電膜による電磁波シールド層は金属メッシュによる電磁波シールド層に比べて、透明性に優れる反面、表面抵抗率が大きく、電磁波シールド性能に劣る。プラズマディスプレイは強い電磁波を発生させるので、金属メッシュによる電磁波シールド層が好ましい。
さらに、導電性の金属メッシュの作製方法としては、下記の(1)〜(3)に示す方法が挙げられる。
(1)透明基材に金属箔を貼り合わせ、または透明基材に金属の薄膜を蒸着した後、フォトリソグラフ法により導電性金属パターンを形成するエッチング方法。
(2)透明基材の上に導電性の金属ペーストをメッシュパターンに印刷した後にメッキして導電性金属パターンを形成する印刷−メッキ法。
(3)細線パターンを露光現像された金属銀で形成した後、この金属銀を物理現像および/またはメッキすることにより導電性金属パターンを形成する露光現像法。
そして、露光現像法には、特開2004−221564号公報に記載された方法、すなわち、支持体上に設けられた銀塩を含有する銀塩含有層を露光し、現像処理することにより金属銀部と光透過性部とを形成し、さらに前記金属銀部を物理現像及び/又はメッキ処理することにより前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させた導電性金属部を形成する方法と、WO2004/007810に記載された方法(ここでは、DTR−メッキ法と称する)とがある。
本発明に適用できる電磁波シールド層の構成および作製方法は特に限定されないが、導電性の金属メッシュにより作製する方法が好適である。特に、(3)露光現像法、なかんずく、DTR−メッキ法は、高い電磁波シールド効果と高い透明性(高い全光線透過率)とを両立させ得る点で優れており、他の方法による電磁波シールド層と比べて、より高い透明性(高い全光線透過率)が得られるので、黒色顔料(光吸収材)の添加濃度をより高濃度とすることが可能となり、白黒コントラストをより高めることができる。
(DTR−メッキ法)
以下、上述のDTR−メッキ法による電磁波シールド層の作製方法について説明する。
電磁波シールド層15,25が形成される透明基材(図1〜図3では透明基材14,24)には、予め物理現像核層が設けられていることが好ましい。物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物等が挙げられる。これらの物理現像核の微粒子層は、真空蒸着法、カソードスパッタリング法、コーティング法等によって透明基材上に設けることができる。生産効率の面からコーティング法が好ましく用いられる。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で1平方メートル当たり0.1〜10mg程度が適当である。
透明基材は、塩化ビニリデンやポリウレタン等のポリマーラテックス層の接着層を設けることができ、また接着層と物理現像核層との間にはゼラチン等の親水性バインダーからなる中間層を設けることもできる。
物理現像核層には、親水性バインダーを含有するのが好ましい。親水性バインダー量は物理現像核に対して10〜300質量%程度が好ましい。親水性バインダーとしては、ゼラチン、アラビアゴム、セルロース、アルブミン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、各種デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体等を用いることができる。物理現像核層には親水性バインダーの架橋剤を含有することもできる。
物理現像核層や前記中間層等の塗布には、例えばディップコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどの塗布方式で塗布することができる。本発明において物理現像核層は、上記したコーティング法によって、通常連続した均一な層として設けることが好ましい。
物理現像核層に金属銀を析出させるためのハロゲン化銀の供給は、透明基材上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に一体的に設ける方法、あるいは別の紙やプラスチック樹脂フィルム等の基材上に設けられたハロゲン化銀乳剤層から可溶性銀錯塩を供給する方法がある。コスト及び生産効率の面からは前者の物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を一体的に設けるのが好ましい。
前記ハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン化銀写真感光材料の一般的なハロゲン化銀乳剤の製造方法に従って製造することができる。ハロゲン化銀乳剤は、通常、硝酸銀水溶液、塩化ナトリウムや臭化ナトリウムのハロゲン水溶液をゼラチンの存在下で混合熟成することによって作られる。
前記ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀組成は、塩化銀を80モル%以上含有するのが好ましく、特に90モル%以上が塩化銀であることが好ましい。塩化銀含有率を高くすることによって形成された物理現像銀の導電性が向上する。
前記ハロゲン化銀乳剤層は、各種の光源に対して感光性を有している。電磁波シールド材を作製するための1つの方法として、例えば網目状などの細線パターンの物理現像銀の形成が挙げられる。この場合、ハロゲン化銀乳剤層は細線パターン状に露光されるが、露光方法として、細線パターンの透過原稿とハロゲン化銀乳剤層を密着して紫外光で露光する方法、あるいは各種レーザー光を用いて走査露光する方法等がある。前者の紫外光を用いた密着露光は、ハロゲン化銀の感光性は比較的低くても可能であるが、レーザー光を用いた走査露光の場合は比較的高い感光性が要求される。従って、後者の露光方法を用いる場合は、ハロゲン化銀の感光性を高めるために、ハロゲン化銀は化学増感あるいは増感色素による分光増感を施してもよい。化学増感としては、金化合物や銀化合物を用いた金属増感、硫黄化合物を用いた硫黄増感、あるいはこれらの併用が挙げられる。好ましくは、金化合物と硫黄化合物を併用した金−硫黄増感である。上記したレーザー光で露光する方法においては、450nm以下の発振波長の持つレーザー光、例えば400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザー(バイオレットレーザーダイオードとも云う)を用いることによって、明室下(明るいイエロー蛍光灯下)でも取り扱いが可能となる。
物理現像核層が設けられる透明基材上の任意の位置、たとえば接着層、中間層、物理現像核層あるいはハロゲン化銀乳剤層、または支持体を挟んで設けられる裏塗り層にハレーションないしイラジエーション防止用の染料もしくは顔料を含有させてもよい。
物理現像核層の上に直接にあるいは中間層を介してハロゲン化銀乳剤層が塗設された感光材料を用いて電磁波シールド材を作製する場合は、網目状パターンのような任意の細線パターンの透過原稿と上記感光材料を密着して露光、あるいは、任意の細線パターンのデジタル画像を各種レーザー光の出力機で上記感光材料に走査露光した後、可溶性銀錯塩形成剤と還元剤の存在下でアルカリ液中で処理することにより銀錯塩拡散転写現像(DTR現像)が起こり、未露光部のハロゲン化銀が溶解されて銀錯塩となり、物理現像核上で還元されて金属銀が析出して細線パターンの物理現像銀薄膜を得ることができる。露光された部分はハロゲン化銀乳剤層中で化学現像されて黒化銀となる。現像後、ハロゲン化銀乳剤層及び中間層、あるいは必要に応じて設けられた保護層は水洗除去されて、細線パターンの物理現像銀薄膜が表面に露出する。
DTR現像後、物理現像核層の上に設けられたハロゲン化銀乳剤層等の除去方法は、水洗除去あるいは剥離紙等に転写剥離する方法がある。水洗除去は、スクラビングローラ等を用いて温水シャワーを噴射しながら除去する方法や温水をノズル等でジェット噴射しながら水の勢いで除去する方法がある。
一方、物理現像核層が塗布された透明基材とは別の基材上に設けたハロゲン化銀乳剤層から可溶性銀錯塩を供給する場合、前述と同様にハロゲン化銀乳剤層に露光を与えた後、物理現像核層が塗布された透明基材と、ハロゲン化銀乳剤層が塗布された別の感光材料とを、可溶性銀錯塩形成剤と還元剤の存在下でアルカリ液中で重ね合わせて密着し、アルカリ液中から取り出した後、数十秒〜数分間経過した後に、両者を剥がすことによって、物理現像核上に析出した細線パターンの物理現像銀薄膜が得られる。
次に、銀錯塩拡散転写現像のために必要な可溶性銀錯塩形成剤、還元剤、及びアルカリ液について説明する。可溶性銀錯塩形成剤は、ハロゲン化銀を溶解し可溶性の銀錯塩を形成させる化合物であり、還元剤はこの可溶性銀錯塩を還元して物理現像核上に金属銀を析出させるための化合物であり、これらの作用はアルカリ液中で行われる。
本発明に用いられる可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、アルカノールアミン、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、T.H.ジェームス編のザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス4版の474〜475項(1977年)に記載されている化合物等が挙げられる。
前記還元剤としては、写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。
上記した可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤は、物理現像核層と一緒に透明基材に塗布してもよいし、ハロゲン化銀乳剤層中に添加してもよいし、またはアルカリ液中に含有させてもよく、更に複数の位置に含有してもよいが、少なくともアルカリ液中に含有させるのが好ましい。
アルカリ液中への可溶性銀錯塩形成剤の含有量は、現像液1リットル当たり、0.1〜5モルの範囲で用いるのが適当であり、還元剤は現像液1リットル当たり0.05〜1モルの範囲で用いるのが適当である。
アルカリ液のpHは10以上が好ましく、更に11〜14の範囲が好ましい。銀錯塩拡散転写現像を行うためのアルカリ液の適用は、浸漬方式であっても塗布方式であってもよい。浸漬方式は、例えば、タンクに大量に貯流されたアルカリ液中に、物理現像核層及びハロゲン化銀乳剤層が設けられた透明基材を浸漬しながら搬送するものであり、塗布方式は、例えばハロゲン化銀乳剤層上にアルカリ液を1平方メートル当たり40〜120ml程度塗布するものである。
前述したように、細線パターンとしては、たとえば線幅10〜100μm程度の細線を縦横に格子状に設けられたものがあるが、細線幅を小さくして格子の間隔を大きくすると透光性は上がるが導電性は低下し、逆に細線幅を大きくして格子の間隔を小さくすると透光性は低下して導電性は高くなる。本発明にかかる透明基材上に形成された任意の細線パターンの物理現像銀は、全光線透過率50%以上の透光性と表面抵抗率10オーム/□以下の導電性とを同時に満足させることは困難である。具体的にはこの物理現像銀は、表面抵抗率50オーム/□以下、好ましくは20オーム/□以下の導電性を有しているが、細線幅50μm以下、たとえば細線幅20μmのパターンで、全光線透過率50%以上とした場合には、表面抵抗率は数百オーム/□〜千オーム/□以上にもなってしまう。しかしながら、この物理現像銀自身は、しっかりした銀画像が形成されて通電性を有しているため、銅やニッケルなどの金属による鍍金(メッキ)、特に電解メッキを施すことにより、細線パターンが0.5〜15μmの厚み及び10〜50μmの線幅であるとき、全光線透過率50%以上、好ましくは60%以上の透光性の細線パターンであっても、表面抵抗率10オーム/□以下、好ましくは7オーム/□以下の導電性を保持することができる。
金属メッシュの全光線透過率を向上させるためには、細線が設けられた領域の面積に対して、細線間の光透過部の面積を十分に広くする必要がある。このため、細線の間隔は、100〜900μmであることが好ましく、より好ましくは150〜700μmである。
金属メッキした細線パターンの厚みは所望とする特性により任意に変えることができるが、0.5〜15μm、好ましくは2〜12μmの範囲である。また上述の方法によって作製された電磁波シールド材は、30MHz〜1,000MHzのような広い周波数帯に亘って30dB以上のシールド効果を得ることができる。
細線パターンの物理現像銀のメッキは、無電解メッキ法、電解メッキ法あるいは両者を組み合わせたメッキ法のいずれでも可能であるが、透明基材上に電磁波シールド層を作製するにあたり、透明基材上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を設けたロール状の長尺ウェブに、少なくとも細線パターンの露光、現像処理およびメッキ処理という一連の処理を施すことができる観点からも、電解メッキあるいはそれに無電解メッキを組み合わせた方法が好ましい。
本発明において、金属メッキ法は公知の方法で行うことが出来るが、たとえば電解メッキ法は、銅、ニッケル、銀、金、半田、あるいは銅/ニッケルの多層あるいは複合系などの従来公知の方法を使用でき、これらについては、「表面処理技術総覧;(株)技術資料センター、1987年12月21日初版、281〜422頁」等の文献を参照することができる。
メッキが容易で、かつ導電性に優れ、さらに厚膜にメッキでき、低コスト等の理由により、銅および/またはニッケルを用いることが好ましい。電解メッキの一例を挙げると、硫酸銅、硫酸等を主成分とする浴中に前述した物理現像銀が形成された透明基材を浸漬し、10〜40℃で、電流密度1〜20アンペア/dmで通電することによりメッキすることができる。
上記方法によって得られる電磁波シールド層は、細線パターンが0.5〜15μmの厚み及び10〜50μmの線幅であるとき、全光線透過率50%以上、かつ表面抵抗率が10オーム/□以下という優れた透光性能と導電性能を持ち、30MHz〜1,000MHzのような広い周波数帯に亘って30dB以上のシールド効果を発揮することができる。
なお、上述のDTR−メッキ法の場合、透明基材の全面に物理現像核が残存することになる。これにより、DTR−メッキ法は透明性や導電性の点で不充分との説もあるが、現像後に残存する物理現像核はわずかであって電磁波シールド層の透明性に与える影響はごく少なく、それよりも触媒核に対して効率よく導電性の高い金属銀を物理現像することができるので、その金属銀に良好な無電解メッキおよび/または電解メッキを実施することが可能であり、充分な透明性と導電性を得ることができるのである。
(光学フィルターの製造方法)
図1〜図3に示す光学フィルター10,20,20Aの製造方法は特に限定されないが、例えば、以下に示す方法を用いることができる。なお、製造工程中または工程後、粘着剤層を保護するため、任意に剥離紙を積層してもよい。
(1)図1に示す光学フィルター10の場合、
第1の積層体Aは、第1の透明基材12の片面に反射防止層11を設けることにより作製する。
第2の積層体(電磁波シールドフィルム)Bは、第2の透明基材14の片面に電磁波シールド層15をDTR−メッキ法などにより形成し、さらに、電磁波シールド層15上に紫外線吸収剤が添加された粘着剤層16を形成するとともに、第2の透明基材14の電磁波シールド層15とは反対側の面に黒色顔料が分散された粘着剤層13を形成することにより作製する。
第3の積層体Cは、第3の透明基材17の片面に近赤外線吸収剤が添加された粘着剤層18を設けて作製する。
第1の積層体Aと第2の積層体Bと第3の積層体Cを任意の順序で(もしくは同時に)
粘着剤層13、16を介して積層して光学フィルター10を得る。すなわち、積層体A、B、Cをこの順序で、粘着剤層13、16を介して積層する。
(2)図2に示す光学フィルター20の場合、
第1の積層体Aは、第1の透明基材22の片面に反射防止層21を設けるとともに、反対側の面に黒色顔料が分散された透明樹脂層29を塗布することにより作製する。
第2の積層体(電磁波シールドフィルム)Bは、第2の透明基材24の片面に電磁波シールド層25をDTR−メッキ法などにより形成し、さらに、電磁波シールド層25上に紫外線吸収剤が添加された粘着剤層26を形成するとともに、第2の透明基材24の電磁波シールド層25とは反対側の面に粘着剤層23を形成することにより作製する。
第3の積層体Cは、第3の透明基材27の片面に近赤外線吸収剤が添加された粘着剤層28を設けて作製する。
第1の積層体Aと第2の積層体Bと第3の積層体Cを任意の順序で(もしくは同時に)粘着剤層23、26を介して積層して光学フィルター20を得る。すなわち、積層体A、B、Cをこの順序で、粘着剤層23、26を介して積層する。
(3)図3に示す光学フィルター20Aの場合、
第1の積層体Aは、第1の透明基材22の片面に黒色顔料が分散された透明樹脂層29を塗布し、さらにその上に反射防止層21を設けることにより作製する。
第2の積層体(電磁波シールドフィルム)Bは、第2の透明基材24の片面に電磁波シールド層25をDTR−メッキ法などにより形成し、さらに、電磁波シールド層25上に紫外線吸収剤が添加された粘着剤層26を形成するとともに、第2の透明基材24の電磁波シールド層25とは反対側の面に粘着剤層23を形成して作製する。
第3の積層体Cは、第3の透明基材27の片面に近赤外線吸収剤が添加された粘着剤層28を設けて作製する。
第1の積層体Aと第2の積層体Bと第3の積層体Cを任意の順序で(もしくは同時に)粘着剤層23、26を介して積層して光学フィルター20Aを得る。すなわち、積層体A、B、Cをこの順序で、粘着剤層23、26を介して積層する。
本形態例の光学フィルター10,20,20Aは、最も内側に設けられた粘着剤層18,28によってディスプレイの前面パネルP等に貼着して用いることができる。
本形態例のディスプレイ用光学フィルターによれば、電磁波シールド層と、光吸収材(黒色顔料)分散層を設けたことにより、電磁波シールド性とともに、外部光(屋外光や屋内照明光)を吸収する性能を発現する。これにより、光学フィルターに入射した外部光が、視覚側へ戻る光量を極めて小さく減衰させると共に、外部光が光学フィルターを構成する透明基材(フィルム)の界面で反射を生じる現象、いわゆる迷光となってディスプレイの画像と干渉することを抑制し、ディスプレイの画像が白色化するのを防ぎ、白黒のコントラストに優れた鮮明な画像を得ることができる。
また、前記光吸収材分散層がディスプレイ用光学フィルターの視覚側の最外層と電磁波シールド層との間に積層されているので、電磁波シールド層による外部光の反射や散乱を防止することができ、白黒のコントラストが一層優れた鮮明な画像を得ることができる。
本発明は、CRT、PDP(プラズマディスプレイ)などの各種ディスプレイに使用される光学フィルターに利用することができる。
本発明の光学フィルターの層構成の一例を示す模式的断面図である。 本発明の光学フィルターの層構成の他の例を示す模式的断面図である。 本発明の光学フィルターの層構成のさらに他の例を示す模式的断面図である。
符号の説明
P…ディスプレイの前面パネル、10,20,20A…ディスプレイ用光学フィルター、11,21…反射防止層、13…黒色顔料が分散された粘着剤層(光吸収材分散層)、15,25…電磁波シールド層、16,26…紫外線吸収層、18,28…近赤外線吸収層、29…黒色顔料が分散された透明樹脂層(光吸収材分散層)。

Claims (8)

  1. ディスプレイの前面に設けられるディスプレイ用光学フィルターにおいて、
    該フィルターの構成層中に、電磁波シールド層と、黒色顔料からなる光吸収材が透明樹脂層および/または粘着剤層中に分散されてなる光吸収材分散層とを有することを特徴とするディスプレイ用光学フィルター。
  2. さらに前記光学フィルターが、近赤外線吸収層、紫外線吸収層、ネオン光吸収層、反射防止層のうち、1つ以上の層を有することを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用光学フィルター。
  3. 前記光吸収材は、カーボンブラック、黒鉛、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラック、黒色酸化鉄、酸化クロム、酸化マンガンからなる群より選択される一種又は二種以上の黒色顔料からなることを特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイ用光学フィルター。
  4. 前記光吸収材分散層は、ディスプレイ用光学フィルターの視覚側の最外層と電磁波シールド層との間に積層されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のディスプレイ用光学フィルター。
  5. 前記電磁波シールド層は、透明導電膜層または導電性の金属メッシュからなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のディスプレイ用光学フィルター。
  6. 前記電磁波シールド層は、0.5〜15μmの厚みおよび10〜50μmの線幅を有し、細線の間隔が100〜900μmの金属メッシュであることを特徴とする請求項5に記載のディスプレイ用光学フィルター。
  7. 前記電磁波シールド層は、物理現像された金属銀を触媒核として金属を無電解メッキおよび/または電解メッキすることにより細線パターンを形成した導電性の金属メッシュであることを特徴とする請求項5または6に記載のディスプレイ用光学フィルター。
  8. 前記ディスプレイは、プラズマディスプレイであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のディスプレイ用光学フィルター。
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