JP2004087904A - 電磁波シールド板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷法によって基材表面に幾何学パターンを形成し、導電性を付与して電磁波シールド板を製造するにあたり、パターンに対するメッキ性が良好で、安定した電磁波シールド性を付与できる方法を提供する。
【解決手段】透明基材1上に印刷用凹版を用いて印刷インキを適用し、導電性の幾何学パターン2を形成して電磁波シールド板を製造するに際し、印刷用凹版として、インキが充填される溝の幅が11μm 以上20μm 以下のものを用い、印刷インキとして、平均粒径1μm 以上の金属粒子を含む無機物及びバインダー樹脂を含有し、その金属粒子の含有量がインキ中の全無機物量を基準に40重量%以上85重量%以下の樹脂組成物を用い、印刷後のパターンが線幅11μm 以上20μm 以下となるように印刷する。こうして印刷された幾何学パターン上には、選択的にメッキ処理を施して、その表面に導電層を形成することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】透明基材1上に印刷用凹版を用いて印刷インキを適用し、導電性の幾何学パターン2を形成して電磁波シールド板を製造するに際し、印刷用凹版として、インキが充填される溝の幅が11μm 以上20μm 以下のものを用い、印刷インキとして、平均粒径1μm 以上の金属粒子を含む無機物及びバインダー樹脂を含有し、その金属粒子の含有量がインキ中の全無機物量を基準に40重量%以上85重量%以下の樹脂組成物を用い、印刷後のパターンが線幅11μm 以上20μm 以下となるように印刷する。こうして印刷された幾何学パターン上には、選択的にメッキ処理を施して、その表面に導電層を形成することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波シールド板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電磁波シールド板は、例えば、ディスプレイの前面側から漏洩する電磁波を遮蔽する目的で、ディスプレイの前面に装着される保護板として広く用いられている。前面保護板として用いられる電磁波シールド板には、電磁波を遮蔽する機能の他に、ディスプレイの表示画面の視認性を低下させないことが求められる。
【0003】
かかる電磁波シールド板として、図1及び図2に示すような、透明基材1の表面に格子状の幾何学パターン2を設けたものが知られている。図1は一般的な格子状パターンを有する電磁波シールド板の平面模式図であり、図2は同側面模式図である。
【0004】
これらの図に示す幾何学パターン2を透明基材1上に形成する方法として、例えば特開平 10−241578号公報に記載されるような、導電性メッシュを透明基材1に貼り付ける方法が知られている。導電性メッシュは、導電性繊維が格子状に編まれたものであり、導電性繊維としては、例えば、ポリエステル繊維などの表面に金属薄膜が形成されたものが使用されている。しかし、このような導電性メッシュを使用した電磁波シールド板は、その製造工程において、編み物である導電性メッシュを使用する必要があり、これが伸び縮みしやすいため、その取扱いが容易でないという問題があった。また、電磁波シールド板を前面保護板として使用する場合、その可視光の透過率を高くする必要があるが、そのためには、導電性メッシュの格子間隔を大きくするとともに繊維径を小さくしなければならず、したがってより伸び縮みしやすくて取扱いが困難な導電性メッシュを使用する必要があった。さらに、このような伸び縮みしやすい導電性メッシュは、透明基材に貼合する際に、格子間隔のずれや格子パターンの歪みを伴いやすいという問題もあった。
【0005】
かかる問題を解決するものとして、例えば特開 2000−137442号公報に記載されるような、金属箔が格子状にエッチングされたエッチングシートを透明基材1の表面に貼合する方法も知られている。しかしながら、プラズマディスプレイや大型陰極線管(CRT)のような画面サイズの大きいディスプレイに適用される前面板を、エッチングシートを用いて製造するには、画面サイズに応じた大面積の金属箔を格子状にエッチングする必要があり、そのためには大型のフォトリソグラフィ工程が必要となることから、簡便に製造し得る方法とは言えなかった。
【0006】
一方、特開昭 62−57297 号公報や特開平 2−52499号公報には、導電性塗料を格子状又は縞状に印刷してなる電磁波シールド板が提案されている。これらの公報に記載される電磁波シールド板は、格子間隔が1,000μm程度、線幅が100μm 程度であり、電磁波遮蔽性が必ずしも十分でなく、また格子線が目に付きやすいことから、視認性も不十分であった。
【0007】
そこで、例えば、特開 2000−13088 号公報や、特開 2000−196285号公報、特開2001−177290号公報、特開 2001−196784号公報、特開 2001−358496号公報、特開2002−133944号公報などには、印刷法により電磁波シールド板を製造するにあたっての各種改良が提案されている。例えば、特開 2001−196784号公報は、印刷方法を選択することで、フォトリソグラフィに匹敵する高精細な格子パターンを形成しようとするものであり、また特開 2001−358496号公報は、印刷法で形成した格子パターン上にメッキ法により選択的に金属皮膜を形成することで、シールド性能に優れた電磁波シールド板とするものである。これらの公報にも記載されるように、電磁波遮蔽性及び視認性を上げるためには、幾何学パターンの線幅を小さくするのが好ましい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特に近年では、ディスプレイの視認性や外観に対する要求から、20μm 以下の線幅、とりわけ20μm 未満の線幅が望まれることが多くなってきている。ところが、同じ組成のインキを用いても、印刷版における線幅の変化によって、その後のメッキ性も変化すること、さらには、このような微細な線幅の場合は、同じ組成のインキと同じ凹版を用いても、印刷条件によって得られる印刷パターンの線幅が変化する場合があり、それに伴ってその後のメッキ性も変化することが明らかになってきた。そこで、さらに研究を進めた結果、印刷用凹版を用いて印刷法により透明基材上に樹脂組成物からなる幾何学パターンを設ける際のインキ組成と凹版の仕様を最適化することで、より好ましい線幅の電磁波シールド材が安定して製造できるようになることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
したがって本発明の目的は、印刷法によって基材表面に幾何学パターンを形成し、導電性を付与して視認性に優れた電磁波シールド板を製造するにあたり、パターンに対するメッキ性が良好で、安定した電磁波シールド性を付与することができる方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明による電磁波シールド板の製造方法は、透明基材上に印刷用凹版を用いて印刷インキを適用し、導電性の幾何学パターンを形成して電磁波シールド板を製造する方法であって、上記の印刷用凹版は、インキが充填される溝の幅が11μm 以上20μm 以下であり、また印刷インキは、平均粒径1μm 以上の金属粒子を含む無機物及びバインダー樹脂を含有し、かつその金属粒子の含有量がインキ中の全無機物量を基準に40重量%以上85重量%以下の樹脂組成物であり、そして印刷後のパターンが線幅11μm 以上20μm 以下となるように印刷することを特徴とする。こうして印刷された幾何学パターン上には、選択的にメッキ処理を施し、その表面に導電層を形成することができる。メッキは、無電解メッキ及び/又は電解メッキによって行うことができる。
【0011】
上記の方法によれば、フォトリソグラフィ法に匹敵する高精細なパターンと優れた電磁波シールド性能を有するディスプレイ用の電磁波シールド板を安定して製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に従って製造される電磁波シールド板は、図1及び図2に示すものと同様、透明基材1上に導電性の幾何学パターン2を設けたものである。透明基材1は、ディスプレイの前面に配置され得る透明なものであればよく、例えば、ガラス基板や、合成樹脂のフィルム又はシートなどを用いることができる。基材となる合成樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂板、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン系樹脂、ポリエーテルサルフォンなどが挙げられる。
【0013】
電磁波シールド板は通常、プラズマディスプレイパネルなどの平面ディスプレイの前面に装着して使用される。本発明により製造される電磁波シールド板も、このようにして使用され、透明基材1が比較的厚みのあるシートであれば、その上に幾何学パターン2を形成させたうえで、それをそのまま前面板とすることができる。その場合の透明基材1の厚みは、通常0.5〜20mm 程度、好ましくは1〜10mm程度の範囲である。また別の使用形態として、透明基材1を比較的薄いものとし、その上に幾何学パターン2を形成させたうえで、それをディスプレイの前面ガラスに粘着剤などで直接貼り合わせて使用するか、又はそれを別の透明基材の表面に貼り合わせて前面板とすることもできる。このように他の部材に貼り合わせて使用する場合、透明基材1は、可撓性のあるものが好ましく、その厚みは、通常0.04〜2mm 程度である。幾何学パターン2が設けられた透明基材1をディスプレイの前面ガラスに貼り合わせて使用する場合、透明基材1の厚みは、通常0.04〜2mm 程度、好ましくは0.1〜1mm 程度である。一方、幾何学パターン2が設けられた透明基材1を他の透明基材の表面に貼り合わせて前面板とする場合、幾何学パターン2を設ける透明基材1は、0.04〜0.3mm程度の厚みを有するフィルム状であるのが好ましい。
【0014】
本発明に用いる透明基材は、染料や顔料などの着色剤により着色されていてもよい。着色は多くの場合、ディスプレイの見やすさを高める目的で行われる。透明基材は、その他の添加剤を含有していてもよく、例えば、この電磁波シールド板がプラズマディスプレイパネルの前面板として使用される場合には、パネルの前面から発生する近赤外線を吸収するための近赤外線吸収剤を含有していてもよい。また、透明基材として合成樹脂板を用いる場合には、その表面にハードコート層が設けられていてもよい。かかる透明基材は、一層である単板であってもよいし、2以上の同一又は相異なる層からなる積層板であってもよい。
【0015】
このような透明基材の表面に、樹脂組成物からなるインキを用いて幾何学パターンを形成する。こうして設ける幾何学パターンが、それ自身で導電性を有する場合は、それをそのまま導電性の幾何学パターンとすることができるが、通常はその表面にメッキ法により導電層を形成するのが好ましい。
【0016】
透明基材上に幾何学パターンを印刷するにあたっては、印刷版として凹版を用いる印刷法を採用する。このような印刷法として、具体的には、凹版オフセット印刷法、凹版印刷法などが挙げられる。いわゆるグラビアオフセット印刷法やグラビア印刷法なども、そこに用いる印刷版は凹版であるので、本発明でいう凹版を用いる印刷法に包含される。印刷用凹版としては、平板上に凹版を設けたものや、円筒の表面に凹版を設けたものなどを用いることができる。平板状の凹版としては、ガラス板や、樹脂板、金属板などに所定のパターンの凹部を形成したものが例示される。円筒状の凹版としては、金属円筒に所定のパターンの凹部を形成したもの、いわゆるグラビア版が例示される。これらの凹版は、化学的腐食法や機械的彫刻法など公知の方法で作製することができる。
【0017】
本発明では、印刷用凹版として、溝の幅が11μm以上20μm以下であるものを用いる。この溝の幅は、好ましくは20μm未満、さらに好ましくは17μm以下である。凹版のパターンが不連続な場合、例えば、点状である場合などには、その凹部の平均的な径をもって溝の幅とする。凹版の溝の幅が11μm を下回る場合には、インキ中に含まれる金属粒子が凹版の溝に充填されにくくなり、得られる印刷物のパターン中の金属分が減少する結果、パターンの導電性が低下し、電磁波シールド性能の低下や、後工程でメッキする場合にはメッキ皮膜の形成が阻害されることがある。一方、凹版の溝の幅が20μm を超える場合には、印刷パターンの線幅が増大し、得られる電磁波シールド板を装着するディスプレイの仕様によっては、視認性に悪影響を生じることがある。特に近年では、ディスプレイの外観に対する要求が厳しくなっており、装着される電磁波シールド材についても、20μm 以下、とりわけ20μm 未満の細線を要求される場合が多くなってきている。
【0018】
印刷用インキに用いる樹脂組成物は、無機物粒子がバインダー樹脂に分散されたものであり、そして本発明では、この無機物粒子として、平均粒径が1μm 以上の金属粒子を含有するものを用いる。全無機物に対する平均粒径1μm 以上の金属粒子の割合は、40重量%以上85重量%以下とする。平均粒径1μm 以上の金属粒子の割合は、好ましくは、全無機物に対して40重量%以上70重量%以下である。
【0019】
平均粒径1μm 以上の金属粒子の含有量が全無機物に対して40重量%を下回る場合には、溝幅が20μm 以下の凹版にインキを充填する際に、当該金属粒子が溝に充填されにくくなり、結果として得られる印刷パターン中に含まれる金属粒子の割合が少なくなる。このため、パターンの導電性が低下し、十分な電磁波シールド性能が得られなかったり、また後工程でメッキする場合においては、メッキ皮膜が形成されにくくなったりする。一方、平均粒径1μm 以上の金属粒子の含有量が全無機物に対して85重量%を超えると、得られる印刷パターンの線のエッジが乱れるなど、印刷品位の低下をきたすことがある。特に生産性を考慮すると、印刷時にいちいち印刷版を清掃することなく、連続して品位の良い印刷物が得られることが望まれるところ、平均粒径1μm 以上の金属粒子の含有量が全無機物に対して85重量%を超えた場合、上述の連続印刷性が悪化することが懸念される。印刷物の品位があまり低下すると、ディスプレイ装着時の視認性に対する要求が厳しい場合に対応できないことも考えられる。
【0020】
平均粒径1μm 以上の金属粒子として、例えば、銀、銀を含む合金、金、銅、ニッケル、アルミニウムなどの粒子を用いることができる。この粒子の形状は、球状のほか、リン片状であってもよい。通常、平均粒子径が1〜3μm 程度である銀粒子や、平均粒子径が1〜20μm 程度であるリン片状の銀が好ましく用いられる。金属粒子として銀や銅などを使用すると、それ自体が無電解銅メッキの触媒となり得るので、無電解銅メッキ処理が必要な場合、無電解銅メッキ用の触媒付与工程が不要になる場合もあり、工程の短縮が可能となる。また、平均粒径が1μm 以上の金属を2種類以上併用してもよい。
【0021】
本発明では、インキを構成する樹脂組成物において、平均粒径1μm 以上の金属粒子の量が、全無機物に対して40重量%以上85重量%以下となるようにするので、この樹脂組成物中には他の無機物も必須に含有される。かかる他の無機物としては、金属酸化物などの非金属粒子や平均粒径1μm 未満の金属粒子を、目的に応じて適宜選択して使用することができる。
【0022】
この樹脂組成物はまた、バインダー樹脂を含有する。ここで用いるバインダー樹脂として、例えば、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂などを挙げることができる。このバインダー樹脂は、無着色であってもよいし、着色されていてもよい。
【0023】
金属粒子として、銀粒子やニッケル粒子のような可視光を反射しやすい粒子を用いた場合には、幾何学パターンが設けられた面をディスプレイ側にし、その反対面を視聴者側にすると、周囲の景色が幾何学パターンの裏面に映り込むことがあり、また、幾何学パターンが設けられた面を視聴者側にし、その反対面をディスプレイ側にすると、ディスプレイに表示される画面が幾何学パターンの裏面において反射し、ディスプレイに映り込むことがある。そこで、バインダーを黒色とすれば、幾何学パターンによる可視光の反射を抑制することが可能になる。バインダーを黒色とするには、バインダーに、黒色の染料や顔料などの着色剤を混合すればよい。黒色の顔料としては、例えば、カーボン、酸化鉄、チタンブラックなどを用いることができる。
【0024】
インキを構成する樹脂組成物において、無機物とバインダー樹脂との使用割合は、目的とする幾何学パターンの導電抵抗、透明基材との接着力などに応じて、適宜選択されるが、得られるパターン中の金属粒子の含有量を無電解メッキ皮膜の形成に十分な量とするために、無機物の含有量をインキ全体の固形分量を基準に70重量%以上とすることが好ましく、さらに好ましくは80重量%以上である。無機物の含有量がインキ全体の固形分に対して70重量%を下回ると、得られる幾何学パターン中の金属粒子の含有量が少なくなりすぎ、パターンの導電性が低下する結果、十分な電磁波シールド性能が得られなかったり、また後工程でメッキを行う場合にはメッキ皮膜が形成されにくくなったりすることがある。さらに、メッキ皮膜の形成が可能であっても、パターンとメッキ皮膜との接着点が少なくなるため、メッキ皮膜とパターンとの密着性が低下することがある。ただし、印刷インキとして、無機物の含有量が上記の好ましい範囲より少ない組成物を用いた場合でも、得られた印刷パターンを樹脂成分が分解する程度の温度で焼成することで、結果としてパターン中の無機物含有量を増大させ、パターンの導電性を向上させたり、又はメッキ皮膜を形成可能にしたりすることができる。
【0025】
この樹脂組成物は、通常の樹脂組成物と同様に、他の添加剤を含有していてもよい。通常、樹脂組成物は溶剤と混合し、粘度調整して用いられる。
【0026】
透明基材上に形成される幾何学パターンは、図1に示した正方形のほか、正三角形、二等辺三角形、直角三角形などを包含する三角形、長方形、平行四辺形、菱形、台形などを包含する四角形、六角形、八角形、十二角形などを包含する他のn角形(nは5以上の整数)、円、楕円、三つ葉状、花びら状、星型などであることができ、これらのいずれか単独からなるパターンの繰り返し、あるいはこれらの2種以上を組み合わせて構成することができる。このような導電性の幾何学パターンは、基材の両面に設けられてもよいが、通常は片面に設けられる。なお、幾何学パターンが正方形や長方形の場合、その各辺が図1に示すように透明基材1の長辺又は短辺に対して平行となるようにしてもよいが、パターンの各辺が透明基材1の長辺又は短辺に対して所定の角度をなすようにしてもよい。パターンの一辺が透明基材1の長辺に対してなす角度をバイアス角度という。図1に示した例は、バイアス角度が0°の場合である。
【0027】
いずれの形状であっても、本発明においては、そのパターンを形成する印刷用凹版は、インキが充填される溝の幅を11μm 以上20μm 以下とする。印刷用凹版における溝の幅は、その凹版上で測定するのが最も確実であるが、溝の幅自体が不規則なこともありうるので、ある凹版を用いた印刷によって得られるパターン付き基材について、印刷前後の全光線透過率Tt を測定することにより、凹版の平均溝幅を決定することもできる。すなわち、透明基材自体について、幾何学パターンを形成しない状態での全光線透過率を測定し、また幾何学パターンを形成した後の基材についても、同じく全光線透過率を測定する。そして、透明体を透過する光の量は、その透明体の面積に比例すると考えられるので、図3に示すように、幾何学パターンの理論的な線幅をX、その理論的な線間隔をYとすると、次式の関係が成立する。
【0028】
【0029】
線間隔Yは比較的大きな数字となり、また設計値からずれることはないので、それを凹版上で予め測定しておくか又は設計値を採用し、それと、パターン形成前の透明基材の全光線透過率及びパターンが形成された透明基材の全光線透過率とから、上記の式により求めた線幅Xを、当該透明基材の印刷部分に対応する凹版の溝幅と定義することができる。
【0030】
ただし、先にも述べたように、本発明で規定するほどの微細な溝幅又は線幅になると、印刷条件によっては、凹版の溝幅がそのまま印刷パターンの線幅に転写されないこともあるので、注意を要する。例えば、ドクターブレードによる凹版へのインキの押し込み圧力や掻き取り速さ、基材にインキを転写する際の圧力や速さ、また凹版オフセット印刷であれば凹版からブランケット胴へインキを転写する際の圧力や速さなどによっても、印刷後のパターンの線幅が変わりうる。そして、これらの条件は一概には決められないので、いくつかの条件を振って簡単な予備実験を行い、上記の方法で得られる線幅Xが凹版の設計値に最も近くなる場合をもって、凹版の溝幅と定義すればよい。本発明により印刷パターンを設けるに際しても、凹版の溝幅ができるだけ忠実に印刷パターンへ転写されるような条件を採用し、印刷後のパターンの線幅が11μm 以上20μm 以下となるようにする。
【0031】
以上説明したような方法で得られる印刷パターン付き基材において、電磁波を有効に遮蔽する能力を高めるために、幾何学パターンの表面には金属からなる導電層を設けるのが好ましい。金属層は単層であってもよいし、2層、3層又はそれ以上の層からなる多層であってもよい。例えば、図4に拡大断面模式図を示すように、透明基材1上に設けられた樹脂組成物からなる幾何学パターン21の表面に、二層にわたって導電層22,23を設けるのも有効である。導電層22,23を構成する金属としては、例えば、銅、ニッケルなどが挙げられる。最上層23は、黒色の層であることが、可視光の反射を抑え、視認性を高めるうえで好ましい。金属層の厚みは、通常20μm 以下、好ましくは5μm 以下であり、また通常は0.1μm以上である。
【0032】
幾何学パターンの表面に選択的に金属皮膜を形成する方法として、湿式メッキ法が例示される。湿式メッキ法としては、無電解メッキ法や電解メッキ法など、公知の方法を採用することができる。幾何学パターンに十分な導電性がある場合は、電解メッキ法でパターン上に直接金属皮膜を形成することができる。また、幾何学パターン自体に十分な導電性がない場合や、幾何学パターンが不連続であって、パターン全体に導通が取れない場合などには、無電解メッキ法を用いてもよい。さらに、幾何学パターンの導電性の有無に関わらず、最初に無電解メッキ法で均一な金属皮膜を形成した後、電解メッキ法で所定の金属皮膜を形成することにより、大面積の基材であっても、均一な膜厚を有する金属皮膜を生産性よく形成することができる。無電解メッキ及び電解メッキの条件は、用いた樹脂組成物の物性及び得られる電磁波シールド板の目標性能に応じて適宜選択される。
【0033】
幾何学パターンの最表面は黒色の層としておくのが、可視光の反射を抑え、視認性を向上させるうえで好ましい。最表面を黒色とするには、黒色金属層又は黒色電着層で被覆する方法や、酸化又は硫化処理による方法などが採用できる。黒色金属層で被覆するには、例えば、黒色ニッケルメッキ処理やクロメートメッキ処理、スズ、ニッケル及び銅を用いる黒色三元合金メッキ処理、スズ、ニッケル及びモリブデンを用いる黒色三元合金メッキ処理などを施せばよい。また黒色電着層は、電着により設けられる黒色の層であって、例えば、黒色顔料が電着樹脂に分散された黒色塗料を用いて電着塗装することにより、設けることができる。黒色顔料としては、例えば、カーボンブラックなどが挙げられ、導電性を有する黒色顔料が好ましい。電着樹脂は、アニオン系樹脂であってもよいし、カチオン系樹脂であってもよく、具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられ、これらの電着樹脂は、それぞれ単独で又は2種以上混合して用いることができる。さらに、金属表面の酸化処理や硫化処理によって黒色化することもできる。酸化処理や硫化処理は、公知の方法で行うことができる。
【0034】
こうして得られる電磁波シールド板において、導電性格子パターンを構成する線の間隔は、通常約100〜500μm 程度である。また線幅は、印刷に用いる凹版の溝幅に応じて、通常約11〜20μm となる。好ましくは、線の間隔が約125〜500μm で、線の幅が約11〜17μm である。メッキ法で導電層を設ける場合は、導電層が設けられた状態で、上記の線間隔及び線幅を満たすことが好ましい。線の間隔が500μm より大きいと、幾何学パターンが目に付きやすくなってディスプレイ画面の視認性が低下する傾向にあり、一方、100μm より小さいと、幾何学パターンが細かくなって可視光線の透過率が低下し、ディスプレイ画面が暗くなる傾向にある。また、線幅が約20μm を越えると、ディスプレイ装着時の視認性が非常に重要視される用途においては、視認性に悪影響を及ぼすと判断されることがある。線幅が約11μm より小さい導電性幾何学パターンの場合は、通常、溝幅が11μm 未満の凹版を用いて印刷を行う必要があるが、このような溝幅の細い凹版を用いた場合、平均粒径1μm 以上の金属粒子が凹版の溝に押し込まれにくくなるため、本発明で規定する組成の印刷インキを用いても、パターンに含まれる平均粒径1μm 以上の金属粒子の含有量が少なくなりすぎる傾向があり、結果として、得られる幾何学パターンの導電性や被メッキ性の低下につながりやすい。線の厚みは約1μm 以上であるのが好ましく、通常は約30μm 以下である。厚みが約1μm より小さいと、電磁波の遮蔽が不十分となる傾向にある。線間隔を調整して明るさ(光線透過率)を同じようにする場合、印刷は難しくなるが、線幅をより小さくし、線間隔を狭くするほうが、電磁波遮蔽能が大きくなるので好ましい。なお、正方形以外のパターンの場合、その線間隔は正方形に換算した値であり、これは線幅及び光線透過率の測定値から求められる。
【0035】
本発明により得られる電磁波シールド板は、その表面に機能性フィルムが積層されていてもよい。機能性フィルムとしては、例えば、フィルム表面の光反射を防止する反射防止層が設けられた反射防止フィルム、着色剤や添加剤によって着色された着色フィルム、近赤外線を吸収又は反射する近赤外線遮蔽フィルム、指紋など汚染物質が表面に付着することを防止する防汚性フィルムなどが挙げられる。
【0036】
かくして得られる電磁波シールド板は、電磁波遮蔽性及び視認性に優れ、また幾何学パターンの寸法精度にも優れたものとなる。したがってこの電磁波シールド板は、陰極線管(CRT)やプラズマディスプレイパネルのような表示画面の大きいディスプレイの前面板として、特に有用である。
【0037】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり重量基準である。また、例中の平均粒径は、50%平均粒径で示した値である。
【0038】
参考例1:樹脂組成物Aの製造
平均粒径3μm のリン片状銀粒子600部、平均粒径0.5μmの球状ニッケル粒子360部、ポリエステル樹脂(無水トリメリット酸とネオペンチルグリコールとのエステル、重量平均分子量約20,000 )80部、メラミン樹脂(住友化学工業(株)製の“スミマール M−100C ”)20部、及びp−トルエンスルホン酸1部を、ロール分散機にて混合・分散して、樹脂組成物Aを作製した。この組成において、全無機物(銀粒子+ニッケル粒子)に対する銀の割合は63%である。この組成物を以下の例で印刷に用いる際には、粘度調整のために酢酸ブチルカルビトールを適当量混合した。
【0039】
参考例2:樹脂組成物Bの製造
平均粒径3μm のリン片状銀粒子800部、平均粒径0.5μmの球状酸化鉄粒子90部、参考例1で用いたのと同じポリエステル樹脂80部、参考例1で用いたのと同じメラミン樹脂20部、及びp−トルエンスルホン酸1部を、ロール分散機にて混合・分散して、樹脂組成物Bを作製した。この組成において、全無機物(銀粒子+酸化鉄粒子)に対する銀の割合は90%である。この組成物を以下の例で印刷に用いる際には、粘度調整のために酢酸ブチルカルビトールを適当量混合した。
【0040】
実施例1
(a)基材上への格子状パターンの印刷
印刷用凹版として、ガラス板上に線間隔250μm でバイアス角度30°の溝が格子状に形成され、パターン部のサイズが1,010mm×660mm のものを用いた。この凹版の溝幅は、約11〜15μm の範囲にあった。このガラス凹版を用いた凹版オフセット印刷法により、厚み100μmで1,020mm×670mmサイズのポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に樹脂組成物Aを適用して、格子間隔250μm 、バイアス角度30°の格子状パターンを形成した。ここでバイアス角度とは、ガラス凹版又は印刷フィルムの長辺に対して、格子状パターンの線がなす角度をいう。途中で凹版を洗浄することなく、上記の方法で5枚の印刷を繰り返して、洗浄直後の清浄な凹版を用いた1枚目の印刷品の品位と、5枚目の印刷品の品位とを比較して、連続印刷性を評価した。その結果、印刷の繰返しに伴う印刷品位の劣化は認められなかった。
【0041】
(b)平均線幅の決定
上記の(a)で得られた印刷パターン付きポリエステルフィルムの一部をサンプリングし、その全光線透過率を(株)村上色彩技術研究所製のヘーズメーター“HR100 ”で測定し、以下の換算式に基づいて平均線幅Xを求めた。
【0042】
【0043】
ここで、Xは格子状パターンの平均線幅を、Yは格子状パターンの平均線間隔をそれぞれ表し、両者の関係は図3に示すとおりである。なお、ここで用いたポリエステルフィルムのパターンがない場合の全光線透過率(上式の分母に相当)は、87.6% であった。こうして求めた平均線幅Xは、12.8μmであった。この平均線幅Xは、当該フィルムの印刷部分に対応する凹版の溝幅に概ね相当する。
【0044】
(c)印刷パターン中の無機物に対する金属含有割合の決定
上記の(a)で得られた印刷パターン付きポリエステルフィルムの一部をサンプリングし、それを燃焼させて、後に残った灰分中の銀及びニッケルをそれぞれ原子吸光分析法により定量し、その結果から、印刷パターン中の無機物に占める銀の割合を求めた。その結果、無機物に対する銀の割合は46%であった。
【0045】
(d)印刷パターン上へのメッキ
上記(a)で得られたパターン付きポリエステルフィルムに対し、以下の方法でメッキ処理を施した。すなわち、45℃に保持した脱脂液(硫酸50g/L溶液)に上記フィルムを4分間浸漬して脱脂処理した後、100cc/Lの硫酸水溶液に室温で約30秒間浸漬し、次いでこれを無電解銅メッキ液“OPC 750 ”〔奥野製薬工業(株)製、100ml/L濃度〕に室温で10分間浸漬して、パターン表面に銅皮膜を形成させた。さらに、100cc/Lの硫酸水溶液に室温で約30秒間浸漬した後、硫酸銅5水和物70g、硫酸200g及びイオン交換水を混合して1リットルとした銅メッキ液に室温で浸漬し、2A/dm2 で5分間の電解銅メッキ処理を行った。その結果、ムラのないメッキパターンを有する電磁波シールドフィルムが得られた。この電磁波シールドフィルムをプラズマディスプレイパネルに装着したところ、画面の視認性への悪影響は認められなかった。
【0046】
実施例2
印刷用凹版として、ガラス板上に線間隔200μm でバイアス角度24°の溝が格子状に形成され、パターン部のサイズが1,010mm×660mm のものを用いた。この凹版の溝幅は、約11〜13μm の範囲にあった。このガラス凹版を用いた凹版オフセット印刷法により、実施例1で用いたのと同じポリエステルフィルム上に樹脂組成物Aを適用して、格子間隔200μm 、バイアス角度24°の格子状パターンを形成した。連続印刷性は実施例1と同様で、特に問題はなかった。得られたパターン付きポリエステルフィルムについて、実施例1と同じ方法でパターンの平均線幅及びパターン中の無機物に対する銀の割合を求めたところ、平均線幅は12.8μm、無機物に対する銀の割合は53%であった。また、このパターン付きフィルムに対し、実施例1と同じ方法でメッキ処理を施したところ、ムラのないメッキパターンを有する電磁波シールドフィルムが得られた。この電磁波シールドフィルムをプラズマディスプレイパネルに装着したところ、画面の視認性への悪影響は認められなかった。
【0047】
実施例3
印刷用凹版として、ガラス板上に線間隔230μm でバイアス角度32°の溝が格子状に形成され、パターン部のサイズが1,010mm×660mm のものを用いた。この凹版の溝幅は、約13〜15μm の範囲にあった。このガラス凹版を用いた凹版オフセット印刷法により、実施例1で用いたのと同じポリエステルフィルム上に樹脂組成物Aを適用して、格子間隔230μm 、バイアス角度32°の格子状パターンを形成した。連続印刷性は実施例1と同様で、特に問題はなかった。得られたパターン付きポリエステルフィルムについて、実施例1と同じ方法でパターンの平均線幅及びパターン中の無機物に対する銀の割合を求めたところ、平均線幅は14.6μm、無機物に対する銀の割合は43%であった。また、このパターン付きフィルムに対し、実施例1と同じ方法でメッキ処理を施したところ、ムラのないメッキパターンを有する電磁波シールドフィルムが得られた。この電磁波シールドフィルムをプラズマディスプレイパネルに装着したところ、画面の視認性への悪影響は認められなかった。
【0048】
比較例1
実施例1と同じ凹版を用い、凹版オフセット印刷法により、実施例1と同じポリエステルフィルム上に樹脂組成物Aを適用して、格子間隔250μm 、バイアス角度30°の格子状パターンを形成した。ただし、印刷の細かい条件は実施例1と異なっている。この場合も、連続印刷性は実施例1と同様で、印刷の繰返しに伴う印刷品位の劣化は認められなかった。得られたパターン付きポリエステルフィルムにつき、実施例1と同じ方法でパターンの平均線幅及びパターン中の無機物に対する銀の割合を求めたところ、平均線幅は10.8μm、無機物に対する銀の割合は38%であった。また、このパターン付きフィルムに対し、実施例1と同じ方法でメッキ処理を施したところ、電解銅メッキのムラが認められ、これをプラズマディスプレイパネルに装着したところ、画面の視認性が悪化した。
【0049】
比較例2
印刷用凹版として、ガラス板上に線間隔250μm でバイアス角度0°の溝が格子状に形成され、パターン部のサイズが280mm×380mmのものを用いた。この凹版は、溝幅の設計値27μm で作製されたものである。このガラス凹版を用いた凹版オフセット印刷法により、厚み100μm で300mm×400mmサイズのポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に樹脂組成物Aを適用して、格子間隔250μm 、バイアス角度0°の格子パターンを設けた。得られたパターン付きポリエステルフィルムについて、実施例1と同じ方法でパターンの平均線幅及びパターン中の無機物に対する銀の割合を求めたところ、平均線幅は27μm 、無機物に対する銀の割合は58%であった。また、このパターン付きフィルムに対し、実施例1と同じ方法でメッキ処理を施したところ、ムラのないメッキパターンを有する電磁波シールドフィルムが得られた。ただし、この電磁波シールドフィルムをプラズマディスプレイパネルに装着したところ、格子の線が目立ち、画面の視認性が悪化した。
【0050】
比較例3
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Bを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリエステルフィルム上に格子状パターンを形成した。連続印刷性を確認したところ、1枚目に比べて、5枚目の印刷品は格子線のエッジの乱れを生じており、品位の悪いものとなっていた。
【0051】
以上の実施例及び比較例における主な条件と結果を表1にまとめた。
【0052】
【表1】
【0053】
これらの結果からわかるように、印刷パターンの平均線幅が11μm を下回る比較例1では、インキを構成する樹脂組成物中の平均粒径1μm 以上の金属粒子である銀が印刷パターン中に導入されにくく、メッキ不良につながっている。また、印刷パターンの平均線幅が20μm を超える比較例2では、インキを構成する樹脂組成物中の銀は高い割合で印刷パターン中に導入されており、したがってメッキ性は良好であるものの、パターンの線幅が大きいために、視認性が十分とはいえない。一方、インキを構成する樹脂組成物中の全無機物に対する平均粒径1μm 以上の金属粒子である銀の割合を90%とした比較例3では、凹版を洗浄することなく連続印刷した場合に、印刷不良を生じやすくなっている。
【0054】
これに対し、印刷パターンの平均線幅及びインキを構成する樹脂組成物中の平均粒径1μm 以上の金属粒子である銀の割合を本発明で規定する範囲とした実施例1〜3では、インキを構成する樹脂組成物中の銀が高い割合で印刷パターン中に導入されており、メッキ性を損なうことなく、視認性も良好となっている。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、線幅が11〜20μm 程度の精細なパターンを、印刷法によって精度よく形成することができ、メッキ性も良好で、安定した電磁波シールド性を示す電磁波シールド板を製造することができる。そして得られる電磁波シールド板は、視認性にも優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】格子状パターンを有する電磁波シールド板の例を示す平面模式図である。
【図2】格子状パターンを有する電磁波シールド板の例を示す側面模式図である。
【図3】格子状パターンの線幅Xと線間隔Yを説明するための拡大平面模式図である。
【図4】印刷パターン上に第一の導電層及び第二の導電層を設けた電磁波シールド板の例を示す拡大断面模式図である。
【符号の説明】
1……透明基材、
2……格子状パターン、
21…樹脂組成物から形成された幾何学パターン、
22…第一の導電層、
23…第二の導電層。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波シールド板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電磁波シールド板は、例えば、ディスプレイの前面側から漏洩する電磁波を遮蔽する目的で、ディスプレイの前面に装着される保護板として広く用いられている。前面保護板として用いられる電磁波シールド板には、電磁波を遮蔽する機能の他に、ディスプレイの表示画面の視認性を低下させないことが求められる。
【0003】
かかる電磁波シールド板として、図1及び図2に示すような、透明基材1の表面に格子状の幾何学パターン2を設けたものが知られている。図1は一般的な格子状パターンを有する電磁波シールド板の平面模式図であり、図2は同側面模式図である。
【0004】
これらの図に示す幾何学パターン2を透明基材1上に形成する方法として、例えば特開平 10−241578号公報に記載されるような、導電性メッシュを透明基材1に貼り付ける方法が知られている。導電性メッシュは、導電性繊維が格子状に編まれたものであり、導電性繊維としては、例えば、ポリエステル繊維などの表面に金属薄膜が形成されたものが使用されている。しかし、このような導電性メッシュを使用した電磁波シールド板は、その製造工程において、編み物である導電性メッシュを使用する必要があり、これが伸び縮みしやすいため、その取扱いが容易でないという問題があった。また、電磁波シールド板を前面保護板として使用する場合、その可視光の透過率を高くする必要があるが、そのためには、導電性メッシュの格子間隔を大きくするとともに繊維径を小さくしなければならず、したがってより伸び縮みしやすくて取扱いが困難な導電性メッシュを使用する必要があった。さらに、このような伸び縮みしやすい導電性メッシュは、透明基材に貼合する際に、格子間隔のずれや格子パターンの歪みを伴いやすいという問題もあった。
【0005】
かかる問題を解決するものとして、例えば特開 2000−137442号公報に記載されるような、金属箔が格子状にエッチングされたエッチングシートを透明基材1の表面に貼合する方法も知られている。しかしながら、プラズマディスプレイや大型陰極線管(CRT)のような画面サイズの大きいディスプレイに適用される前面板を、エッチングシートを用いて製造するには、画面サイズに応じた大面積の金属箔を格子状にエッチングする必要があり、そのためには大型のフォトリソグラフィ工程が必要となることから、簡便に製造し得る方法とは言えなかった。
【0006】
一方、特開昭 62−57297 号公報や特開平 2−52499号公報には、導電性塗料を格子状又は縞状に印刷してなる電磁波シールド板が提案されている。これらの公報に記載される電磁波シールド板は、格子間隔が1,000μm程度、線幅が100μm 程度であり、電磁波遮蔽性が必ずしも十分でなく、また格子線が目に付きやすいことから、視認性も不十分であった。
【0007】
そこで、例えば、特開 2000−13088 号公報や、特開 2000−196285号公報、特開2001−177290号公報、特開 2001−196784号公報、特開 2001−358496号公報、特開2002−133944号公報などには、印刷法により電磁波シールド板を製造するにあたっての各種改良が提案されている。例えば、特開 2001−196784号公報は、印刷方法を選択することで、フォトリソグラフィに匹敵する高精細な格子パターンを形成しようとするものであり、また特開 2001−358496号公報は、印刷法で形成した格子パターン上にメッキ法により選択的に金属皮膜を形成することで、シールド性能に優れた電磁波シールド板とするものである。これらの公報にも記載されるように、電磁波遮蔽性及び視認性を上げるためには、幾何学パターンの線幅を小さくするのが好ましい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特に近年では、ディスプレイの視認性や外観に対する要求から、20μm 以下の線幅、とりわけ20μm 未満の線幅が望まれることが多くなってきている。ところが、同じ組成のインキを用いても、印刷版における線幅の変化によって、その後のメッキ性も変化すること、さらには、このような微細な線幅の場合は、同じ組成のインキと同じ凹版を用いても、印刷条件によって得られる印刷パターンの線幅が変化する場合があり、それに伴ってその後のメッキ性も変化することが明らかになってきた。そこで、さらに研究を進めた結果、印刷用凹版を用いて印刷法により透明基材上に樹脂組成物からなる幾何学パターンを設ける際のインキ組成と凹版の仕様を最適化することで、より好ましい線幅の電磁波シールド材が安定して製造できるようになることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
したがって本発明の目的は、印刷法によって基材表面に幾何学パターンを形成し、導電性を付与して視認性に優れた電磁波シールド板を製造するにあたり、パターンに対するメッキ性が良好で、安定した電磁波シールド性を付与することができる方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明による電磁波シールド板の製造方法は、透明基材上に印刷用凹版を用いて印刷インキを適用し、導電性の幾何学パターンを形成して電磁波シールド板を製造する方法であって、上記の印刷用凹版は、インキが充填される溝の幅が11μm 以上20μm 以下であり、また印刷インキは、平均粒径1μm 以上の金属粒子を含む無機物及びバインダー樹脂を含有し、かつその金属粒子の含有量がインキ中の全無機物量を基準に40重量%以上85重量%以下の樹脂組成物であり、そして印刷後のパターンが線幅11μm 以上20μm 以下となるように印刷することを特徴とする。こうして印刷された幾何学パターン上には、選択的にメッキ処理を施し、その表面に導電層を形成することができる。メッキは、無電解メッキ及び/又は電解メッキによって行うことができる。
【0011】
上記の方法によれば、フォトリソグラフィ法に匹敵する高精細なパターンと優れた電磁波シールド性能を有するディスプレイ用の電磁波シールド板を安定して製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に従って製造される電磁波シールド板は、図1及び図2に示すものと同様、透明基材1上に導電性の幾何学パターン2を設けたものである。透明基材1は、ディスプレイの前面に配置され得る透明なものであればよく、例えば、ガラス基板や、合成樹脂のフィルム又はシートなどを用いることができる。基材となる合成樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂板、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン系樹脂、ポリエーテルサルフォンなどが挙げられる。
【0013】
電磁波シールド板は通常、プラズマディスプレイパネルなどの平面ディスプレイの前面に装着して使用される。本発明により製造される電磁波シールド板も、このようにして使用され、透明基材1が比較的厚みのあるシートであれば、その上に幾何学パターン2を形成させたうえで、それをそのまま前面板とすることができる。その場合の透明基材1の厚みは、通常0.5〜20mm 程度、好ましくは1〜10mm程度の範囲である。また別の使用形態として、透明基材1を比較的薄いものとし、その上に幾何学パターン2を形成させたうえで、それをディスプレイの前面ガラスに粘着剤などで直接貼り合わせて使用するか、又はそれを別の透明基材の表面に貼り合わせて前面板とすることもできる。このように他の部材に貼り合わせて使用する場合、透明基材1は、可撓性のあるものが好ましく、その厚みは、通常0.04〜2mm 程度である。幾何学パターン2が設けられた透明基材1をディスプレイの前面ガラスに貼り合わせて使用する場合、透明基材1の厚みは、通常0.04〜2mm 程度、好ましくは0.1〜1mm 程度である。一方、幾何学パターン2が設けられた透明基材1を他の透明基材の表面に貼り合わせて前面板とする場合、幾何学パターン2を設ける透明基材1は、0.04〜0.3mm程度の厚みを有するフィルム状であるのが好ましい。
【0014】
本発明に用いる透明基材は、染料や顔料などの着色剤により着色されていてもよい。着色は多くの場合、ディスプレイの見やすさを高める目的で行われる。透明基材は、その他の添加剤を含有していてもよく、例えば、この電磁波シールド板がプラズマディスプレイパネルの前面板として使用される場合には、パネルの前面から発生する近赤外線を吸収するための近赤外線吸収剤を含有していてもよい。また、透明基材として合成樹脂板を用いる場合には、その表面にハードコート層が設けられていてもよい。かかる透明基材は、一層である単板であってもよいし、2以上の同一又は相異なる層からなる積層板であってもよい。
【0015】
このような透明基材の表面に、樹脂組成物からなるインキを用いて幾何学パターンを形成する。こうして設ける幾何学パターンが、それ自身で導電性を有する場合は、それをそのまま導電性の幾何学パターンとすることができるが、通常はその表面にメッキ法により導電層を形成するのが好ましい。
【0016】
透明基材上に幾何学パターンを印刷するにあたっては、印刷版として凹版を用いる印刷法を採用する。このような印刷法として、具体的には、凹版オフセット印刷法、凹版印刷法などが挙げられる。いわゆるグラビアオフセット印刷法やグラビア印刷法なども、そこに用いる印刷版は凹版であるので、本発明でいう凹版を用いる印刷法に包含される。印刷用凹版としては、平板上に凹版を設けたものや、円筒の表面に凹版を設けたものなどを用いることができる。平板状の凹版としては、ガラス板や、樹脂板、金属板などに所定のパターンの凹部を形成したものが例示される。円筒状の凹版としては、金属円筒に所定のパターンの凹部を形成したもの、いわゆるグラビア版が例示される。これらの凹版は、化学的腐食法や機械的彫刻法など公知の方法で作製することができる。
【0017】
本発明では、印刷用凹版として、溝の幅が11μm以上20μm以下であるものを用いる。この溝の幅は、好ましくは20μm未満、さらに好ましくは17μm以下である。凹版のパターンが不連続な場合、例えば、点状である場合などには、その凹部の平均的な径をもって溝の幅とする。凹版の溝の幅が11μm を下回る場合には、インキ中に含まれる金属粒子が凹版の溝に充填されにくくなり、得られる印刷物のパターン中の金属分が減少する結果、パターンの導電性が低下し、電磁波シールド性能の低下や、後工程でメッキする場合にはメッキ皮膜の形成が阻害されることがある。一方、凹版の溝の幅が20μm を超える場合には、印刷パターンの線幅が増大し、得られる電磁波シールド板を装着するディスプレイの仕様によっては、視認性に悪影響を生じることがある。特に近年では、ディスプレイの外観に対する要求が厳しくなっており、装着される電磁波シールド材についても、20μm 以下、とりわけ20μm 未満の細線を要求される場合が多くなってきている。
【0018】
印刷用インキに用いる樹脂組成物は、無機物粒子がバインダー樹脂に分散されたものであり、そして本発明では、この無機物粒子として、平均粒径が1μm 以上の金属粒子を含有するものを用いる。全無機物に対する平均粒径1μm 以上の金属粒子の割合は、40重量%以上85重量%以下とする。平均粒径1μm 以上の金属粒子の割合は、好ましくは、全無機物に対して40重量%以上70重量%以下である。
【0019】
平均粒径1μm 以上の金属粒子の含有量が全無機物に対して40重量%を下回る場合には、溝幅が20μm 以下の凹版にインキを充填する際に、当該金属粒子が溝に充填されにくくなり、結果として得られる印刷パターン中に含まれる金属粒子の割合が少なくなる。このため、パターンの導電性が低下し、十分な電磁波シールド性能が得られなかったり、また後工程でメッキする場合においては、メッキ皮膜が形成されにくくなったりする。一方、平均粒径1μm 以上の金属粒子の含有量が全無機物に対して85重量%を超えると、得られる印刷パターンの線のエッジが乱れるなど、印刷品位の低下をきたすことがある。特に生産性を考慮すると、印刷時にいちいち印刷版を清掃することなく、連続して品位の良い印刷物が得られることが望まれるところ、平均粒径1μm 以上の金属粒子の含有量が全無機物に対して85重量%を超えた場合、上述の連続印刷性が悪化することが懸念される。印刷物の品位があまり低下すると、ディスプレイ装着時の視認性に対する要求が厳しい場合に対応できないことも考えられる。
【0020】
平均粒径1μm 以上の金属粒子として、例えば、銀、銀を含む合金、金、銅、ニッケル、アルミニウムなどの粒子を用いることができる。この粒子の形状は、球状のほか、リン片状であってもよい。通常、平均粒子径が1〜3μm 程度である銀粒子や、平均粒子径が1〜20μm 程度であるリン片状の銀が好ましく用いられる。金属粒子として銀や銅などを使用すると、それ自体が無電解銅メッキの触媒となり得るので、無電解銅メッキ処理が必要な場合、無電解銅メッキ用の触媒付与工程が不要になる場合もあり、工程の短縮が可能となる。また、平均粒径が1μm 以上の金属を2種類以上併用してもよい。
【0021】
本発明では、インキを構成する樹脂組成物において、平均粒径1μm 以上の金属粒子の量が、全無機物に対して40重量%以上85重量%以下となるようにするので、この樹脂組成物中には他の無機物も必須に含有される。かかる他の無機物としては、金属酸化物などの非金属粒子や平均粒径1μm 未満の金属粒子を、目的に応じて適宜選択して使用することができる。
【0022】
この樹脂組成物はまた、バインダー樹脂を含有する。ここで用いるバインダー樹脂として、例えば、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂などを挙げることができる。このバインダー樹脂は、無着色であってもよいし、着色されていてもよい。
【0023】
金属粒子として、銀粒子やニッケル粒子のような可視光を反射しやすい粒子を用いた場合には、幾何学パターンが設けられた面をディスプレイ側にし、その反対面を視聴者側にすると、周囲の景色が幾何学パターンの裏面に映り込むことがあり、また、幾何学パターンが設けられた面を視聴者側にし、その反対面をディスプレイ側にすると、ディスプレイに表示される画面が幾何学パターンの裏面において反射し、ディスプレイに映り込むことがある。そこで、バインダーを黒色とすれば、幾何学パターンによる可視光の反射を抑制することが可能になる。バインダーを黒色とするには、バインダーに、黒色の染料や顔料などの着色剤を混合すればよい。黒色の顔料としては、例えば、カーボン、酸化鉄、チタンブラックなどを用いることができる。
【0024】
インキを構成する樹脂組成物において、無機物とバインダー樹脂との使用割合は、目的とする幾何学パターンの導電抵抗、透明基材との接着力などに応じて、適宜選択されるが、得られるパターン中の金属粒子の含有量を無電解メッキ皮膜の形成に十分な量とするために、無機物の含有量をインキ全体の固形分量を基準に70重量%以上とすることが好ましく、さらに好ましくは80重量%以上である。無機物の含有量がインキ全体の固形分に対して70重量%を下回ると、得られる幾何学パターン中の金属粒子の含有量が少なくなりすぎ、パターンの導電性が低下する結果、十分な電磁波シールド性能が得られなかったり、また後工程でメッキを行う場合にはメッキ皮膜が形成されにくくなったりすることがある。さらに、メッキ皮膜の形成が可能であっても、パターンとメッキ皮膜との接着点が少なくなるため、メッキ皮膜とパターンとの密着性が低下することがある。ただし、印刷インキとして、無機物の含有量が上記の好ましい範囲より少ない組成物を用いた場合でも、得られた印刷パターンを樹脂成分が分解する程度の温度で焼成することで、結果としてパターン中の無機物含有量を増大させ、パターンの導電性を向上させたり、又はメッキ皮膜を形成可能にしたりすることができる。
【0025】
この樹脂組成物は、通常の樹脂組成物と同様に、他の添加剤を含有していてもよい。通常、樹脂組成物は溶剤と混合し、粘度調整して用いられる。
【0026】
透明基材上に形成される幾何学パターンは、図1に示した正方形のほか、正三角形、二等辺三角形、直角三角形などを包含する三角形、長方形、平行四辺形、菱形、台形などを包含する四角形、六角形、八角形、十二角形などを包含する他のn角形(nは5以上の整数)、円、楕円、三つ葉状、花びら状、星型などであることができ、これらのいずれか単独からなるパターンの繰り返し、あるいはこれらの2種以上を組み合わせて構成することができる。このような導電性の幾何学パターンは、基材の両面に設けられてもよいが、通常は片面に設けられる。なお、幾何学パターンが正方形や長方形の場合、その各辺が図1に示すように透明基材1の長辺又は短辺に対して平行となるようにしてもよいが、パターンの各辺が透明基材1の長辺又は短辺に対して所定の角度をなすようにしてもよい。パターンの一辺が透明基材1の長辺に対してなす角度をバイアス角度という。図1に示した例は、バイアス角度が0°の場合である。
【0027】
いずれの形状であっても、本発明においては、そのパターンを形成する印刷用凹版は、インキが充填される溝の幅を11μm 以上20μm 以下とする。印刷用凹版における溝の幅は、その凹版上で測定するのが最も確実であるが、溝の幅自体が不規則なこともありうるので、ある凹版を用いた印刷によって得られるパターン付き基材について、印刷前後の全光線透過率Tt を測定することにより、凹版の平均溝幅を決定することもできる。すなわち、透明基材自体について、幾何学パターンを形成しない状態での全光線透過率を測定し、また幾何学パターンを形成した後の基材についても、同じく全光線透過率を測定する。そして、透明体を透過する光の量は、その透明体の面積に比例すると考えられるので、図3に示すように、幾何学パターンの理論的な線幅をX、その理論的な線間隔をYとすると、次式の関係が成立する。
【0028】
【0029】
線間隔Yは比較的大きな数字となり、また設計値からずれることはないので、それを凹版上で予め測定しておくか又は設計値を採用し、それと、パターン形成前の透明基材の全光線透過率及びパターンが形成された透明基材の全光線透過率とから、上記の式により求めた線幅Xを、当該透明基材の印刷部分に対応する凹版の溝幅と定義することができる。
【0030】
ただし、先にも述べたように、本発明で規定するほどの微細な溝幅又は線幅になると、印刷条件によっては、凹版の溝幅がそのまま印刷パターンの線幅に転写されないこともあるので、注意を要する。例えば、ドクターブレードによる凹版へのインキの押し込み圧力や掻き取り速さ、基材にインキを転写する際の圧力や速さ、また凹版オフセット印刷であれば凹版からブランケット胴へインキを転写する際の圧力や速さなどによっても、印刷後のパターンの線幅が変わりうる。そして、これらの条件は一概には決められないので、いくつかの条件を振って簡単な予備実験を行い、上記の方法で得られる線幅Xが凹版の設計値に最も近くなる場合をもって、凹版の溝幅と定義すればよい。本発明により印刷パターンを設けるに際しても、凹版の溝幅ができるだけ忠実に印刷パターンへ転写されるような条件を採用し、印刷後のパターンの線幅が11μm 以上20μm 以下となるようにする。
【0031】
以上説明したような方法で得られる印刷パターン付き基材において、電磁波を有効に遮蔽する能力を高めるために、幾何学パターンの表面には金属からなる導電層を設けるのが好ましい。金属層は単層であってもよいし、2層、3層又はそれ以上の層からなる多層であってもよい。例えば、図4に拡大断面模式図を示すように、透明基材1上に設けられた樹脂組成物からなる幾何学パターン21の表面に、二層にわたって導電層22,23を設けるのも有効である。導電層22,23を構成する金属としては、例えば、銅、ニッケルなどが挙げられる。最上層23は、黒色の層であることが、可視光の反射を抑え、視認性を高めるうえで好ましい。金属層の厚みは、通常20μm 以下、好ましくは5μm 以下であり、また通常は0.1μm以上である。
【0032】
幾何学パターンの表面に選択的に金属皮膜を形成する方法として、湿式メッキ法が例示される。湿式メッキ法としては、無電解メッキ法や電解メッキ法など、公知の方法を採用することができる。幾何学パターンに十分な導電性がある場合は、電解メッキ法でパターン上に直接金属皮膜を形成することができる。また、幾何学パターン自体に十分な導電性がない場合や、幾何学パターンが不連続であって、パターン全体に導通が取れない場合などには、無電解メッキ法を用いてもよい。さらに、幾何学パターンの導電性の有無に関わらず、最初に無電解メッキ法で均一な金属皮膜を形成した後、電解メッキ法で所定の金属皮膜を形成することにより、大面積の基材であっても、均一な膜厚を有する金属皮膜を生産性よく形成することができる。無電解メッキ及び電解メッキの条件は、用いた樹脂組成物の物性及び得られる電磁波シールド板の目標性能に応じて適宜選択される。
【0033】
幾何学パターンの最表面は黒色の層としておくのが、可視光の反射を抑え、視認性を向上させるうえで好ましい。最表面を黒色とするには、黒色金属層又は黒色電着層で被覆する方法や、酸化又は硫化処理による方法などが採用できる。黒色金属層で被覆するには、例えば、黒色ニッケルメッキ処理やクロメートメッキ処理、スズ、ニッケル及び銅を用いる黒色三元合金メッキ処理、スズ、ニッケル及びモリブデンを用いる黒色三元合金メッキ処理などを施せばよい。また黒色電着層は、電着により設けられる黒色の層であって、例えば、黒色顔料が電着樹脂に分散された黒色塗料を用いて電着塗装することにより、設けることができる。黒色顔料としては、例えば、カーボンブラックなどが挙げられ、導電性を有する黒色顔料が好ましい。電着樹脂は、アニオン系樹脂であってもよいし、カチオン系樹脂であってもよく、具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられ、これらの電着樹脂は、それぞれ単独で又は2種以上混合して用いることができる。さらに、金属表面の酸化処理や硫化処理によって黒色化することもできる。酸化処理や硫化処理は、公知の方法で行うことができる。
【0034】
こうして得られる電磁波シールド板において、導電性格子パターンを構成する線の間隔は、通常約100〜500μm 程度である。また線幅は、印刷に用いる凹版の溝幅に応じて、通常約11〜20μm となる。好ましくは、線の間隔が約125〜500μm で、線の幅が約11〜17μm である。メッキ法で導電層を設ける場合は、導電層が設けられた状態で、上記の線間隔及び線幅を満たすことが好ましい。線の間隔が500μm より大きいと、幾何学パターンが目に付きやすくなってディスプレイ画面の視認性が低下する傾向にあり、一方、100μm より小さいと、幾何学パターンが細かくなって可視光線の透過率が低下し、ディスプレイ画面が暗くなる傾向にある。また、線幅が約20μm を越えると、ディスプレイ装着時の視認性が非常に重要視される用途においては、視認性に悪影響を及ぼすと判断されることがある。線幅が約11μm より小さい導電性幾何学パターンの場合は、通常、溝幅が11μm 未満の凹版を用いて印刷を行う必要があるが、このような溝幅の細い凹版を用いた場合、平均粒径1μm 以上の金属粒子が凹版の溝に押し込まれにくくなるため、本発明で規定する組成の印刷インキを用いても、パターンに含まれる平均粒径1μm 以上の金属粒子の含有量が少なくなりすぎる傾向があり、結果として、得られる幾何学パターンの導電性や被メッキ性の低下につながりやすい。線の厚みは約1μm 以上であるのが好ましく、通常は約30μm 以下である。厚みが約1μm より小さいと、電磁波の遮蔽が不十分となる傾向にある。線間隔を調整して明るさ(光線透過率)を同じようにする場合、印刷は難しくなるが、線幅をより小さくし、線間隔を狭くするほうが、電磁波遮蔽能が大きくなるので好ましい。なお、正方形以外のパターンの場合、その線間隔は正方形に換算した値であり、これは線幅及び光線透過率の測定値から求められる。
【0035】
本発明により得られる電磁波シールド板は、その表面に機能性フィルムが積層されていてもよい。機能性フィルムとしては、例えば、フィルム表面の光反射を防止する反射防止層が設けられた反射防止フィルム、着色剤や添加剤によって着色された着色フィルム、近赤外線を吸収又は反射する近赤外線遮蔽フィルム、指紋など汚染物質が表面に付着することを防止する防汚性フィルムなどが挙げられる。
【0036】
かくして得られる電磁波シールド板は、電磁波遮蔽性及び視認性に優れ、また幾何学パターンの寸法精度にも優れたものとなる。したがってこの電磁波シールド板は、陰極線管(CRT)やプラズマディスプレイパネルのような表示画面の大きいディスプレイの前面板として、特に有用である。
【0037】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり重量基準である。また、例中の平均粒径は、50%平均粒径で示した値である。
【0038】
参考例1:樹脂組成物Aの製造
平均粒径3μm のリン片状銀粒子600部、平均粒径0.5μmの球状ニッケル粒子360部、ポリエステル樹脂(無水トリメリット酸とネオペンチルグリコールとのエステル、重量平均分子量約20,000 )80部、メラミン樹脂(住友化学工業(株)製の“スミマール M−100C ”)20部、及びp−トルエンスルホン酸1部を、ロール分散機にて混合・分散して、樹脂組成物Aを作製した。この組成において、全無機物(銀粒子+ニッケル粒子)に対する銀の割合は63%である。この組成物を以下の例で印刷に用いる際には、粘度調整のために酢酸ブチルカルビトールを適当量混合した。
【0039】
参考例2:樹脂組成物Bの製造
平均粒径3μm のリン片状銀粒子800部、平均粒径0.5μmの球状酸化鉄粒子90部、参考例1で用いたのと同じポリエステル樹脂80部、参考例1で用いたのと同じメラミン樹脂20部、及びp−トルエンスルホン酸1部を、ロール分散機にて混合・分散して、樹脂組成物Bを作製した。この組成において、全無機物(銀粒子+酸化鉄粒子)に対する銀の割合は90%である。この組成物を以下の例で印刷に用いる際には、粘度調整のために酢酸ブチルカルビトールを適当量混合した。
【0040】
実施例1
(a)基材上への格子状パターンの印刷
印刷用凹版として、ガラス板上に線間隔250μm でバイアス角度30°の溝が格子状に形成され、パターン部のサイズが1,010mm×660mm のものを用いた。この凹版の溝幅は、約11〜15μm の範囲にあった。このガラス凹版を用いた凹版オフセット印刷法により、厚み100μmで1,020mm×670mmサイズのポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に樹脂組成物Aを適用して、格子間隔250μm 、バイアス角度30°の格子状パターンを形成した。ここでバイアス角度とは、ガラス凹版又は印刷フィルムの長辺に対して、格子状パターンの線がなす角度をいう。途中で凹版を洗浄することなく、上記の方法で5枚の印刷を繰り返して、洗浄直後の清浄な凹版を用いた1枚目の印刷品の品位と、5枚目の印刷品の品位とを比較して、連続印刷性を評価した。その結果、印刷の繰返しに伴う印刷品位の劣化は認められなかった。
【0041】
(b)平均線幅の決定
上記の(a)で得られた印刷パターン付きポリエステルフィルムの一部をサンプリングし、その全光線透過率を(株)村上色彩技術研究所製のヘーズメーター“HR100 ”で測定し、以下の換算式に基づいて平均線幅Xを求めた。
【0042】
【0043】
ここで、Xは格子状パターンの平均線幅を、Yは格子状パターンの平均線間隔をそれぞれ表し、両者の関係は図3に示すとおりである。なお、ここで用いたポリエステルフィルムのパターンがない場合の全光線透過率(上式の分母に相当)は、87.6% であった。こうして求めた平均線幅Xは、12.8μmであった。この平均線幅Xは、当該フィルムの印刷部分に対応する凹版の溝幅に概ね相当する。
【0044】
(c)印刷パターン中の無機物に対する金属含有割合の決定
上記の(a)で得られた印刷パターン付きポリエステルフィルムの一部をサンプリングし、それを燃焼させて、後に残った灰分中の銀及びニッケルをそれぞれ原子吸光分析法により定量し、その結果から、印刷パターン中の無機物に占める銀の割合を求めた。その結果、無機物に対する銀の割合は46%であった。
【0045】
(d)印刷パターン上へのメッキ
上記(a)で得られたパターン付きポリエステルフィルムに対し、以下の方法でメッキ処理を施した。すなわち、45℃に保持した脱脂液(硫酸50g/L溶液)に上記フィルムを4分間浸漬して脱脂処理した後、100cc/Lの硫酸水溶液に室温で約30秒間浸漬し、次いでこれを無電解銅メッキ液“OPC 750 ”〔奥野製薬工業(株)製、100ml/L濃度〕に室温で10分間浸漬して、パターン表面に銅皮膜を形成させた。さらに、100cc/Lの硫酸水溶液に室温で約30秒間浸漬した後、硫酸銅5水和物70g、硫酸200g及びイオン交換水を混合して1リットルとした銅メッキ液に室温で浸漬し、2A/dm2 で5分間の電解銅メッキ処理を行った。その結果、ムラのないメッキパターンを有する電磁波シールドフィルムが得られた。この電磁波シールドフィルムをプラズマディスプレイパネルに装着したところ、画面の視認性への悪影響は認められなかった。
【0046】
実施例2
印刷用凹版として、ガラス板上に線間隔200μm でバイアス角度24°の溝が格子状に形成され、パターン部のサイズが1,010mm×660mm のものを用いた。この凹版の溝幅は、約11〜13μm の範囲にあった。このガラス凹版を用いた凹版オフセット印刷法により、実施例1で用いたのと同じポリエステルフィルム上に樹脂組成物Aを適用して、格子間隔200μm 、バイアス角度24°の格子状パターンを形成した。連続印刷性は実施例1と同様で、特に問題はなかった。得られたパターン付きポリエステルフィルムについて、実施例1と同じ方法でパターンの平均線幅及びパターン中の無機物に対する銀の割合を求めたところ、平均線幅は12.8μm、無機物に対する銀の割合は53%であった。また、このパターン付きフィルムに対し、実施例1と同じ方法でメッキ処理を施したところ、ムラのないメッキパターンを有する電磁波シールドフィルムが得られた。この電磁波シールドフィルムをプラズマディスプレイパネルに装着したところ、画面の視認性への悪影響は認められなかった。
【0047】
実施例3
印刷用凹版として、ガラス板上に線間隔230μm でバイアス角度32°の溝が格子状に形成され、パターン部のサイズが1,010mm×660mm のものを用いた。この凹版の溝幅は、約13〜15μm の範囲にあった。このガラス凹版を用いた凹版オフセット印刷法により、実施例1で用いたのと同じポリエステルフィルム上に樹脂組成物Aを適用して、格子間隔230μm 、バイアス角度32°の格子状パターンを形成した。連続印刷性は実施例1と同様で、特に問題はなかった。得られたパターン付きポリエステルフィルムについて、実施例1と同じ方法でパターンの平均線幅及びパターン中の無機物に対する銀の割合を求めたところ、平均線幅は14.6μm、無機物に対する銀の割合は43%であった。また、このパターン付きフィルムに対し、実施例1と同じ方法でメッキ処理を施したところ、ムラのないメッキパターンを有する電磁波シールドフィルムが得られた。この電磁波シールドフィルムをプラズマディスプレイパネルに装着したところ、画面の視認性への悪影響は認められなかった。
【0048】
比較例1
実施例1と同じ凹版を用い、凹版オフセット印刷法により、実施例1と同じポリエステルフィルム上に樹脂組成物Aを適用して、格子間隔250μm 、バイアス角度30°の格子状パターンを形成した。ただし、印刷の細かい条件は実施例1と異なっている。この場合も、連続印刷性は実施例1と同様で、印刷の繰返しに伴う印刷品位の劣化は認められなかった。得られたパターン付きポリエステルフィルムにつき、実施例1と同じ方法でパターンの平均線幅及びパターン中の無機物に対する銀の割合を求めたところ、平均線幅は10.8μm、無機物に対する銀の割合は38%であった。また、このパターン付きフィルムに対し、実施例1と同じ方法でメッキ処理を施したところ、電解銅メッキのムラが認められ、これをプラズマディスプレイパネルに装着したところ、画面の視認性が悪化した。
【0049】
比較例2
印刷用凹版として、ガラス板上に線間隔250μm でバイアス角度0°の溝が格子状に形成され、パターン部のサイズが280mm×380mmのものを用いた。この凹版は、溝幅の設計値27μm で作製されたものである。このガラス凹版を用いた凹版オフセット印刷法により、厚み100μm で300mm×400mmサイズのポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に樹脂組成物Aを適用して、格子間隔250μm 、バイアス角度0°の格子パターンを設けた。得られたパターン付きポリエステルフィルムについて、実施例1と同じ方法でパターンの平均線幅及びパターン中の無機物に対する銀の割合を求めたところ、平均線幅は27μm 、無機物に対する銀の割合は58%であった。また、このパターン付きフィルムに対し、実施例1と同じ方法でメッキ処理を施したところ、ムラのないメッキパターンを有する電磁波シールドフィルムが得られた。ただし、この電磁波シールドフィルムをプラズマディスプレイパネルに装着したところ、格子の線が目立ち、画面の視認性が悪化した。
【0050】
比較例3
樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Bを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリエステルフィルム上に格子状パターンを形成した。連続印刷性を確認したところ、1枚目に比べて、5枚目の印刷品は格子線のエッジの乱れを生じており、品位の悪いものとなっていた。
【0051】
以上の実施例及び比較例における主な条件と結果を表1にまとめた。
【0052】
【表1】
【0053】
これらの結果からわかるように、印刷パターンの平均線幅が11μm を下回る比較例1では、インキを構成する樹脂組成物中の平均粒径1μm 以上の金属粒子である銀が印刷パターン中に導入されにくく、メッキ不良につながっている。また、印刷パターンの平均線幅が20μm を超える比較例2では、インキを構成する樹脂組成物中の銀は高い割合で印刷パターン中に導入されており、したがってメッキ性は良好であるものの、パターンの線幅が大きいために、視認性が十分とはいえない。一方、インキを構成する樹脂組成物中の全無機物に対する平均粒径1μm 以上の金属粒子である銀の割合を90%とした比較例3では、凹版を洗浄することなく連続印刷した場合に、印刷不良を生じやすくなっている。
【0054】
これに対し、印刷パターンの平均線幅及びインキを構成する樹脂組成物中の平均粒径1μm 以上の金属粒子である銀の割合を本発明で規定する範囲とした実施例1〜3では、インキを構成する樹脂組成物中の銀が高い割合で印刷パターン中に導入されており、メッキ性を損なうことなく、視認性も良好となっている。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、線幅が11〜20μm 程度の精細なパターンを、印刷法によって精度よく形成することができ、メッキ性も良好で、安定した電磁波シールド性を示す電磁波シールド板を製造することができる。そして得られる電磁波シールド板は、視認性にも優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】格子状パターンを有する電磁波シールド板の例を示す平面模式図である。
【図2】格子状パターンを有する電磁波シールド板の例を示す側面模式図である。
【図3】格子状パターンの線幅Xと線間隔Yを説明するための拡大平面模式図である。
【図4】印刷パターン上に第一の導電層及び第二の導電層を設けた電磁波シールド板の例を示す拡大断面模式図である。
【符号の説明】
1……透明基材、
2……格子状パターン、
21…樹脂組成物から形成された幾何学パターン、
22…第一の導電層、
23…第二の導電層。
Claims (5)
- 透明基材上に印刷用凹版を用いて印刷インキを適用し、導電性の幾何学パターンを形成して電磁波シールド板を製造する方法であって、該印刷用凹版は、インキが充填される溝の幅が11μm 以上20μm 以下であり、該印刷インキは、平均粒径1μm 以上の金属粒子を含む無機物及びバインダー樹脂を含有し、かつ該金属粒子の含有量が該インキ中の全無機物量を基準に40重量%以上85重量%以下の樹脂組成物であり、そして印刷後のパターンが線幅11μm 以上20μm 以下となるように印刷することを特徴とする、電磁波シールド板の製造方法。
- 平均粒径1μm 以上の金属粒子がリン片状である請求項1記載の方法。
- 印刷インキは、その固形分量を基準に無機物を70重量%以上含有する請求項1又は2記載の方法。
- インキが充填される溝の幅が11μm 以上20μm 以下である印刷用凹版を用い、平均粒径1μm 以上の金属粒子を含む無機物及びバインダー樹脂を含有し、かつ該金属粒子の含有量が該インキ中の全無機物量を基準に40重量%以上85重量%以下である樹脂組成物からなる印刷インキを透明基材上に適用して、線幅11μm 以上20μm 以下の幾何学パターンを設け、次いでメッキ処理を施して該幾何学パターンの表面に導電層を形成することを特徴とする、電磁波シールド板の製造方法。
- 樹脂組成物からなる印刷インキにより設けられた幾何学パターンの表面に、無電解メッキ処理を施して第一の導電層を形成し、次いで電解メッキ処理を施して該第一の導電層の表面に第二の導電層を形成する請求項4記載の方法。
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