JP2008227352A - 電磁波遮蔽シート、その製造方法、及びプラズマディスプレイパネル用フィルター - Google Patents

電磁波遮蔽シート、その製造方法、及びプラズマディスプレイパネル用フィルター Download PDF

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Abstract

【課題】黒色度が高く、且つ導電体層の密着性の高い黒化層を備えている電磁波遮蔽シートを提供する。
【解決手段】電磁波遮蔽シート1は、透明基材11の一方の面に、少なくとも、複数の開口部18とこれを囲繞し区画するライン部10A、10Bを有するメッシュ状の導電体層4を設けてなる電磁波遮蔽シートであって、該導電体層4は金属層14と、該金属層の該透明基材側又はその反対側のうち少なくとも一方に設けられた黒化層12とを含む積層構造を有し、該黒化層は、ニッケルと銅と酸素を含む合金からなる黒化層(Ni−Cu−O黒化層)であることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、CRT(陰極線管)、PDP(プラズマディスプレイパネル)などのディスプレイから発生する電磁波を遮蔽(シールド)する電磁波遮蔽シート、その製造方法、及びその電磁波遮蔽シートを備えるプラズマディスプレイパネル用フィルターに関する。
近年、電気電子機器の機能高度化と利用増加に伴い、電磁気的なノイズ妨害(Electro・Magnetic・Interference;EMI)が増えた。陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイパネル(Plasma・Display・Panel;以下、PDPと称する)などのディスプレイでも電磁波が発生する。PDPは、データ電極と蛍光層を有するガラスと透明電極を有するガラスとの組合体であり、作動すると電磁波、近赤外線、及び熱が大量に発生する。通常、電磁波を遮蔽するためPDPの前面に、電磁波遮蔽シートを含む前面板を設ける。ディスプレイ前面から発生する電磁波の遮蔽性は、30MHz〜1GHzにおいて30dB以上の機能が必要である。なお、本発明において単に電磁波と言った場合は、周波数が上記範囲を中心とするkHz〜GHz帯の電磁波のことを言い、赤外線、可視光線、紫外線、X線等は含まないものとする(例えば、赤外線帯域の周波数の電磁波は赤外線と呼称する)。
電磁波遮蔽シートは、電磁波シールド性能と共に光透過性も要求され、通常は金属をメッシュ状に形成した導電体層を透明基材上に備える。電磁波遮蔽シートとしては、樹脂フィルムからなる透明基材に接着剤で貼り合わせた銅箔等の金属箔をエッチングしてメッシュ状としたもの(例えば、特許文献1参照。)が知られている。しかしながら、銅箔を接着剤で貼り合わせると接着剤に起因する色ムラが生じたり、銅箔を除去した開口部が粗面となって光の乱反射が生じたりする問題がある。
また、導電体層に含まれる金属層をメッキ法により形成してメッシュ状とすることも知られている。例えば、(1)透明基材の上に導電インキをパターン状に印刷し、パターン状導電インキ層の上へ金属メッキする方法(例えば、特許文献2参照。)が挙げられる。また、(2)透明基材の上に導電インキ又は化学メッキ触媒含有感光性塗布液を全面に塗布し、該塗布層をフォトリソグラフィー法でメッシュ状とした後に、該メッシュの上へ金属メッキする方法(例えば、非特許文献1参照。)も挙げられる。さらに、(3)透明基材の上に導電処理層を施し、その上に電解メッキにより金属メッキ層を形成した後、金属メッキ層及び導電処理層をフォトリソグラフィー法でメッシュ状とする方法(例えば、特許文献3参照。)などが知られている。
PDPを使用する場合において、電磁波遮蔽シートへの外光を吸収させて外光反射(ぎらつき感)を抑えて、ディスプレイの画像の視認性を向上するために、導電体層の観察者側に黒色の層を形成することが行われている。この黒色の層は、黒化層と呼ばれ、通常は金属メッキ層上に形成される。黒化層としては、例えば金属や金属酸化物のメッキなどを用いることが知られている。金属酸化物は黒色性があり、その酸素含有量が多いほど黒色度は高くなるが、金属メッキ層との密着性が悪くなると言う問題が生じている。
透明基材と金属メッキ層との密着性が良好なことも電磁波遮蔽シートの耐久性を高めるために重要である。図7(A)は、上記(3)の形態に於いて、従来の電磁波遮蔽シートの導電体層の構成の一例を模式的に示した断面図であり、図7(B)は、該電磁波遮蔽シートの使用法の一例を模式的に示した図である。従来は、図7(A)に示すように透明基材11上に導電体層60の密着性を高め、且つメッキの際に必要な導電性を有する下地層61である合金スパッタ層を形成している。そして、電磁波遮蔽効果に優れる高導電性金属、例えば銅をスパッタ法で積層させて、金属スパッタ層62を形成している。その後に、積層速度が速い電解メッキ法により金属メッキ層63を形成して、高導電性金属層の厚みを厚くする。このような場合に下地層61は主に灰色に見えるが、これのみでは外光を吸収し、外光反射(ぎらつき感)を抑えるほど黒味を有しておらず、黒化層64が、金属メッキ層63上に設けられる。例えば、金属メッキ層63の上にメッキ処理によって黒化層64を形成する。
図7(B)では、その黒化層64を観察者65側に向けて電磁波遮蔽シート66をPDP67の前面に用いる使用形態を図示している。透明基材11上にメッシュ状導電体層60を形成した電磁波遮蔽シート66は、黒化層64を観察者65側に向け、透明基材11側をPDP67の前面板68の観察者65側に貼り付けて用いられる。
このような、電磁波遮蔽効果を有する高導電性金属は、そのままでは透明基材11との密着性が悪い。そこで、透明基材11上に銅を積層するためだけの機能を有する下地層61が必要となっており層構成が多層化すると言う問題も生じている。
尚、PDPの設計如何によっては、図7(B)とは逆に、透明基材11側が観察者65側を向く仕様も有る。此の場合は、黒化層64を透明基材上に形成する必要が生じる。此の場合には、下地層61として、更に、黒色の導電性金属薄膜をスパッタ形成する必要が生じる。
此の様な目的に応える為に、透明基体上に濃い灰色系の導電性金属薄膜と銅薄膜とを積層させた電磁波シールド用透明部材が開発されている(例えば、特許文献4参照。)。この電磁波シールド用透明部材では、上記灰色系の導電性金属薄膜で透明性と電磁波シールド性能とを高めている。なお、導電性金属薄膜はスパッタ法で形成され、銅薄膜はスパッタ法でも形成されるが主にはメッキ法で形成される。更に、銅薄膜の保護及び灰色をより濃くするために、銅薄膜上に更に第2の灰色系導電性金属薄膜をスパッタ法で形成している形態も示されている。しかしながら、導電性金属薄膜は灰色なので黒色性が不充分であり、しかも金属光沢が残っているので、反射防止効果が不十分であり外光反射を充分に抑えられないと言う問題が残っている。
特開昭61−134189号公報 特開2000−13088号公報 特開2004−241761号公報 特開平10−335833号公報 住友大阪セメント株式会社新材料事業部新規材料研究所新材料研究グループ、"光解像性化学メッキ触媒"、[online]、掲載年月日記載なし、住友大阪セメント株式会社、[平成15年1月7日検索]、インターネット〈URL:http://www.socnb.com/product/hproduct/display.html〉
本発明は上記実状に鑑みて成し遂げられたものであり、その第1の目的は、黒色度が高く、且つ導電体層と密着性の高い黒化層を備えている電磁波遮蔽シート、及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、透明基材と銅メッキ層との間に介在させる下地層としての機能も有する黒化層を備えている電磁波遮蔽シート、及びその製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の第3の目的は、上記した黒色度に優れる黒化層を備える電磁波遮蔽シートを用いたプラズマディスプレイパネル用フィルターを提供することにある。
本発明に係る電磁波遮蔽シートは、透明基材の一方の面に、少なくとも、複数の開口部とこれを囲繞し区画するライン部を有するメッシュ状の導電体層を設けてなる電磁波遮蔽シートであって、該導電体層は金属層と、該金属層の該透明基材側又はその反対側のうち少なくとも一方に設けられた黒化層とを含む積層構造を有し、該黒化層は、ニッケルと銅と酸素を含む合金からなる黒化層(Ni−Cu−O黒化層)であることを特徴とする。
前記導電体層は、前記透明基材と前記金属層の間に設けられた、気相成膜により形成された金属薄膜の層を更に有することが好ましい。該金属薄膜の層によって、前記透明基材と前記金属層の間の密着性を向上できる。
本発明の一実施形態として、前記導電体層は、前記透明基材に近い側から、前記Ni−Cu−O黒化層、前記気相成膜により形成された金属薄膜の層、及び前記金属層がこの順序で積層された積層構造を有するものとすることができる。
また、別の実施形態として、前記導電体層は、前記透明基材に近い側から、前記気相成膜により形成された金属薄膜の層、前記金属層、及び前記Ni−Cu−O黒化層がこの順序で積層された積層構造を有するものとすることができる。
前記Ni−Cu−O黒化層は、気相成膜により形成された薄膜の層であることが好ましい。前記Ni−Cu−O黒化層の厚みが、80Å以上300Å以下であることが好ましい。前記金属層が銅メッキ層であることが、優れた電磁波遮蔽性が得られる観点から好ましい。
本発明の一実施形態として、前記銅メッキ層は、該銅メッキ層の表面に対して平行な結晶面の存在比をX線回折測定により特定された結晶面の面指数ピーク比で表したときに、(111)面強度に対する(200)面強度の比が50%以上であるものとすることができる。
また、別の実施形態として、前記銅メッキ層は、該銅メッキ層の表面に対して平行な結晶面の存在比をX線回折測定により特定された結晶面の面指数ピーク比で表したときに、(111)面強度に対する(220)面強度の比が50%以上であるものとすることができる。
さらに、別の実施形態として、前記銅メッキ層は、該銅メッキ層の表面に対して平行な結晶面の存在比をX線回折測定により特定された結晶面の面指数ピーク比で表したときに、(111)面強度に対する(200)面と(220)面の合計強度の比が70%以上であるものとすることができる。
本発明に係る電磁波遮蔽シートの製造方法は、透明基材の一方の面に、少なくとも、複数の開口部とこれを囲繞し区画するライン部を有するメッシュ状の導電体層が設けられており、該導電体層は金属層と、該金属層の該透明基材側又はその反対側のうち少なくとも一方に設けられた黒化層とを含む積層構造を有し、該黒化層は、ニッケルと銅と酸素を含む合金からなる黒化層(Ni−Cu−O黒化層)である電磁波遮蔽シートの製造方法であって、前記透明基材の一方の面に、該金属層としての金属メッキ層を形成する工程、酸素ガス存在下でNi−Cu合金をターゲットとするスパッタによってニッケルと銅と酸素を含む合金からなる黒化層(Ni−Cu−O黒化層)を形成する工程、及び、該導電体層に含まれるべき他の層を形成する工程を所定の順序で行なって、金属メッキ層とNi−Cu−O黒化層とを含む積層構造を有する非メッシュ状の導電体層を形成した後、該導電体層を前記所定のメッシュ形状にエッチングすることを特徴とする。
前記黒化層は、Ni−Cu合金をターゲットとし、酸素ガスを供給するスパッタ法(反応性スパッタリング)で好適に形成することができる。
本発明に係るプラズマディスプレイパネル用フィルターは、前記本発明の電磁波遮蔽シートを用いていることを特徴とする。
本発明によれば、電磁波遮蔽作用を発揮する導電体層を透明基材上に形成する際に、接着剤を用いて金属箔を積層する方法ではなく、導電性材料を堆積させる方法で導電体層を形成するので、接着剤の湿熱(特に夏場)環境下での変色に起因するフィルターの色ムラ発生や、金属箔を除去した開口部が粗面となって光の乱反射が生じたりすると言う問題が生じない。
また、Ni−Cu−Oの合金組成を含む黒化層は、透明基材と金属層の両方に対する密着性に優れていると共に、外光吸収を行なうのに十分な黒色度を有している。
従って本発明によれば、黒色度に優れ、且つ透明基材と導電体層との密着性が高く、且つ、外光反射の少ない黒化層を備えた電磁波遮蔽シート、及びその製造方法が提供される。
また、本発明の一実施形態において、透明基板上に黒化層を介して、或いは黒化層と気相成膜による金属薄膜の層を介して金属メッキ層を堆積させる場合には、該黒化層は、透明基材、金属メッキ層及び気相成膜による金属薄膜の層のいずれに対しても密着性に優れているため、該黒化層が下地層としても機能し、電磁波遮蔽シートを構成する層の数も減少し、生産効率、生産コスト等の生産性に優れるものである。
さらに、本発明によれば、上記した本発明に係る電磁波遮蔽シートを用いることによって、画面の外光反射(ぎらつき感)が少ないプラズマディスプレイパネル用フィルターが得られる。
本発明に係る電磁波遮蔽シートは、透明基材の一方の面に、少なくとも、複数の開口部とこれを囲繞し区画するライン部を有するメッシュ状の導電体層を設けてなる電磁波遮蔽シートであって、該導電体層は金属層と、該金属層の該透明基材側又はその反対側のうち少なくとも一方に設けられた黒化層とを含む積層構造を有し、該黒化層は、ニッケルと銅と酸素を含む合金からなる黒化層(Ni−Cu−O黒化層)であることを特徴とする。
本発明に係る電磁波遮蔽シートの製造方法は、透明基材の一方の面に、少なくとも、複数の開口部とこれを囲繞し区画するライン部を有するメッシュ状の導電体層が設けられており、該導電体層は金属層と、該金属層の該透明基材側又はその反対側のうち少なくとも一方に設けられた黒化層とを含む積層構造を有し、該黒化層は、ニッケルと銅と酸素を含む合金からなる黒化層(Ni−Cu−O黒化層)である電磁波遮蔽シートの製造方法であって、前記透明基材の一方の面に、該金属層としての金属メッキ層を形成する工程、酸素ガス存在下でNi−Cu合金をターゲットとするスパッタによってニッケルと銅と酸素を含む合金からなる黒化層(Ni−Cu−O黒化層)を形成する工程、及び、該導電体層に含まれるべき他の層を形成する工程を所定の順序で行なって、金属メッキ層とNi−Cu−O黒化層とを含む積層構造を有する非メッシュ状の導電体層を形成した後、該導電体層を前記所定のメッシュ形状にエッチングすることを特徴とする。
図1(A)は、本発明に係る電磁波遮蔽シートの一例を模式的に示した正面図であり、図1(B)は、同じ例を模式的に示した断面図であり、図2は、同じ例を模式的に示した斜視図である。但し、図1(B)に於いては、図示と見易さの都合上、厚み方向の縮尺を面内方向の縮尺よりも大きくし、且つライン部の幅を開口部の幅よりも大きな縮尺に誇張して図示してある。
この例の電磁波遮蔽シート1は、図1(A)及び図1(B)に示すように、平面方向においては、適用されるディスプレイの画像表示領域を全て覆うことが可能なメッシュ状領域2と、該メッシュ状領域2の周囲の少なくとも一部に接地用領域3を有する導電体層4が形成されている。その断面方向を見ると、透明基材11の一面側に導電体層4が設けられており、導電体層4は、透明基材11に近い側から、黒化層12、気相成膜により形成された金属薄膜の層としての銅スパッタ層13、及び、金属層としての銅メッキ層14が、この順序で積層した層構成を有している。
気相成膜により形成された金属薄膜の層は、金属層(尚、本発明の主要な実施形態に於いては、金属層をメッキにて形成する為、以降、金属層を代表する語彙として、金属メッキ層の語を適宜用いる)の透明基材側の接合界面の密着性を向上させるために、必要に応じて設けられる層である。金属薄膜の層を形成するための気相成膜とは、金属をガス化し、被着面に堆積させて膜を形成する技術であり、例えば、スパッタ法や蒸着法などを挙げることが出来る。気相成膜による金属薄膜の材質は、単体金属、合金、金属酸化物など特に限定されず、上記密着性向上の観点から、金属メッキ層や透明基材の材質との関係を考慮して適宜選択すればよい。
かかる金属薄膜の層13は、透明基材と金属メッキ層の間に介在する唯一の層であっても良いし、図1(B)に示すように、透明基材11上に黒化層12のような他の層が形成されている場合において、そのような他の層と金属メッキ層14との間に介在して、金属メッキ層の透明基材側の接合界面の密着性を向上させるものであってもよい。また、気相成膜により形成された金属薄膜の層は2層以上も受けられていても良い。例えば、後述する例のように、透明基材上に、気相成膜により形成された第一の金属薄膜の層として合金スパッタ層を設け、該合金スパッタ層の上に、気相成膜により形成された第二の金属薄膜の層として銅スパッタ層を儲け、さらにその上に金属メッキ層としての銅メッキ層を設ける層構成とすることができる。
金属メッキ層14は、導電性に優れた材質で形成され、導電体層4のなかで電磁波遮蔽機能が発現する主たる部位であるが、導電体層4は前述した層以外の他の層を含んでいても良い。金属メッキ層の上側又は下側に積層された他の層も導電性があり、優れた導電体として一体化している場合には、それらの他の層を含めて電磁波遮蔽機能が発現する主たる部位が構成される。例えば、図1(B)に示す例では、Ni−Cu−O系合金からなる黒化層12、気相成膜により形成された金属薄膜の層としての銅スパッタ層13は、導電性を有しているため、金属メッキ層14と共に電磁波遮蔽機能が発現する主たる部位を構成する。
金属メッキ層を形成するためのメッキ法としては、電解メッキ又は無電解メッキのいずれを行なってもよいが、生産性の観点からは、膜の成長速度が早い電解メッキを行なうことが好ましい。
[電磁波遮蔽シートの層構成]
以下において、図1(A)、図1(B)及び図2に示した電磁波遮蔽シートを例に挙げて、本発明に係る電磁波遮蔽シートを更に詳しく説明する。
これらの図に示した電磁波遮蔽シート1において、導電体層4のメッシュ状領域2は、適用されるディスプレイの画像表示領域5を全て覆うことが可能な寸法及び形状を有し、適用されるディスプレイの画像表示領域5に対峙する部分が必ず含まれる。該ディスプレイの画像表示領域5に対峙する部分の外の領域となる外縁部6は、メッシュ状領域2が含まれても良いし、接地用領域3のみからなっても良い。接地用領域3は、通常、メッシュ状領域2と同じ層構成を有しながら開口部18(図1(B)参照)を形成しないものであり、ディスプレイへ設置した場合にアースをとり易いために設けられる。なお、接地用領域3は、開口部18が形成されたメッシュ状であっても良い。接地用領域3は、通常四角形のディスプレイの画像表示領域5に対峙する部分の外の領域となる外縁部6である画像表示に影響しない部分に、四辺周囲の額縁状に設けられることが多いが、メッシュ状領域の全周囲でなくても、周囲の一部に設ける形態でもよく、三辺、二辺、或いは一辺のみに設ける形態でも良い。
電磁波遮蔽用シート1は、導電体層4の表裏面上に、導電性を有しない層が更に積層されて形成されていても良い。該導電性を有しない層としては、例えば、防錆層などが挙げられる。導電体層4の表裏面上に更に積層された導電性を有しない層は、導電体層4と一体となって、メッシュ状領域2や接地用領域3を形成する。なお、メッシュ状領域2においてはメッシュ導電体層4A間に開口部18が形成されている。
図2は、図1に示した本発明に係る電磁波遮蔽シート1の層構成の一例を模式的に示した概略斜視図である。メッシュ状領域2の導電体層4は、開口部18が密に配列したメッシュ状であり、メッシュ状領域2は開口部18と各開口部間18を区画する枠をなしている第1ライン部10Aと第2ライン部10Bとから構成されている。
本発明において導電体層4は、主たる層として黒化層12と銅メッキ層14とを含み、更に銅スパッタ層13や、場合により、銅メッキ層14上に更に第2の黒化層30(図3A参照。以下、第2黒化層と称する)、公知材料からなる他の黒化層31(図3B参照。以下、公知の黒化層と称する)や防錆層をさら形成しても良い。
メッシュの形状は、任意で特に限定されないが、開口部の形状としては正方形が代表的である。開口部の形状は、例えば、正三角形等の三角形、正方形、長方形、菱形、台形等の四角形、六角形、等の多角形、或いは、円形、楕円形などが挙げられる。
メッシュ状領域2は、これら形状からなる複数の開口部18を有し、開口部18間は通常、幅均一で、互いに交差する、ライン状の第1ライン部10Aと第2ライン部10Bとからなる。通常は、開口部18及び第1ライン部10Aと第2ライン部10Bとは全面で同一形状同一サイズである。具体的サイズを例示すれば、開口率及びメッシュの非視認性の点で、図2に示すように開口部18間の第1ライン部10Aの幅W1は、25μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以下である。また、電磁波遮蔽効果の発現、破断防止のためには、少なくとも5μm以上のライン幅W1を確保することが好ましい。また、第2ライン部10Bの幅W2は、25μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以下である。また、電磁波遮蔽効果の発現、破断防止のためには、少なくとも5μm以上のライン幅W1,W2を確保することが好ましい。
また、開口部18の第1間口幅は(ラインピッチP1)−(ライン幅W1)で表され、本発明においては150μm以上が好ましく、200μm以上とするのが、光透過性、及び後述する光学フィルターとの積層時に開口部内に気泡が残留し難い点から好ましい。但し、MHz〜GHz帯の電磁波遮蔽性発現のためには、最大3000μm以下とする。さらに、開口部18の第2間口幅も(ラインピッチP2)−(ライン幅W2)で表され、第1開口幅と同様の理由で150μm以上が好ましく、より好ましくは200μm以上とすることであり、最大3000μm以下とする。
また、本発明においては、最終的に得られるメッシュ状領域2におけるライン部10A、10Bの総厚みHは、10μm以下とすることが好ましく、5μm以下とすることがさらに好ましく、3μm以下とすることが特に好ましい。
なお、メッシュ状領域2のライン部10A、10Bの高さHは、ライン部を形成する層の厚みを全て含む総厚みをいう。例えば、図2に示しているようにライン部10A、10Bが黒化層12と銅スパッタ層13と銅メッキ層14とからなる場合は、それら3層の厚みの合計値となる。また、図示しないが、銅メッキ層の上に防錆層や第2黒化層を形成した場合には、防錆層や第2黒化層を含めた厚みが、総厚みとなる。
ライン部10A、10Bの総厚みが大きすぎると、メッシュに加工した際にライン部10A、10Bと開口部18の段差が大きくなり、接着剤層を積層する際に気泡が残留し易くなる。また、ライン部10A、10Bの厚みが更に厚くなるとエッチング加工時のサイドエッチング等により所望する高精細なメッシュの形状が得られ難くなる。
これに対して、銅メッキ層14を含むライン部10A、10Bの総厚みHを10μm以下とすることで、銅使用量の節約及びメッシュ面の平坦化が可能となる。特に、ライン部10A、10Bの総厚みを3μm以下とする場合には、平坦化の効果が大きい。このような場合には、光学フィルターとの積層前に予めメッシュ面への平坦化工程を省略した場合であっても、電磁波遮蔽シートと光学フィルターの積層及び接着時に導電体層4の開口部18内に接着剤層が均一に入り易く、開口部内に気泡が残留し難いからである。この場合には、該気泡の光散乱による複合フィルターの曇価(ヘイズ)が上昇するという不都合を回避でき、透明性の高い複合フィルターを生産効率良く得ることができる。
一方、ライン部10A、10Bの総厚みHが小さ過ぎると、導電体層4の厚みも小さくなりすぎる為、金属の電気抵抗値が増え電磁波遮蔽効果が損なわれやすくなる。電磁波遮蔽機能の点を考慮すると、銅メッキ層14を含む導電体層4の厚みは前記のライン幅及びラインピッチの場合に於いて、1μm以上であることが好ましく、更に2μm以上であることが好ましい。故に、メッシュ状領域のライン部の高さHは、1μm以上とすることが好ましく、2μm以上となるようにすることが更に好ましい。また、メッシュ状領域2のバイアス角度(メッシュのライン部と電磁波遮蔽シート1の外周辺とのなす角度)は、ディスプレイの画素ピッチや発光特性を考慮して、モアレ(干渉縞)が出難い角度に適宜設定すれば良い。
[電磁波遮蔽シートの層構成の変形例]
図3A乃至図3Cは、本発明に係る導電体層の層構成の他の例を模式的に示した断面図である。
図3Aには、透明基材11上に本発明に係る黒化層12、銅スパッタ層13、銅メッキ層14、本発明に係る第2黒化層30の順で積層されているメッシュ状の導電体層4Bが図示されている。なお、第2黒化層30については、後述する。
図3Bには、透明基材11上に本発明に係る黒化層12、銅スパッタ層13、銅メッキ層14、公知の黒化層31の順で積層されているメッシュ状の導電体層4Cが図示されている。なお、公知の黒化層31については、後述する。
図3Cには、透明基材11上に下地層(通常は、Ni−Cr合金層)50、銅スパッタ層13、銅メッキ層14、本発明に係る黒化層51の順で積層されているメッシュ状の導電体層4Dが図示されている。
本発明において、銅スパッタ層13を省略できる。また、図示は省略するが、透明基材上に、少なくともNi−Cr合金の下地層、銅スパッタ層、本発明に係る黒化層、銅メッキ層の各層がこの順で積層している導電体層であっても良い。さらに、前記各導電体層上には、防錆層などの他の層が形成されていても良い。
黒化層の導電体層内での位置は、上述したように特に限定されないが、通常は、図1(B)、図3A及び図3Bに示すように、導電体層4B又は4Cの透明基材11が接する側に黒化層12が設けられるか(これを正転仕様と称する場合がある)、図3Cに示すように、導電体層4Dの透明基材11が接する側とは反対側に黒化層51が設けられる(これを反転仕様と称する場合がある)。
正転仕様または反転仕様のどちらにしても、電磁波遮蔽シートの使用状態においては、黒化層による外光吸収の機能を発揮させるために、電磁波遮蔽シートの黒化層が設けられた側が観察者を向くように配置される。
以後図示している電磁波遮蔽シートは、いずれも枚葉化されたものであるが、本発明において電磁波遮蔽シートは、枚葉シート2枚分以上の区画を含む連続帯状シートの状態であってもよい。
[電磁波遮蔽シートの構成材料]
本発明において透明基材11は、機械的強度が弱いメッシュ状導電体層を補強するための支持体である。従って、機械的強度と共に光透過性を有すれば、その他、耐熱性、絶縁性なども適宜勘案した上で、用途に応じたものを選択使用すれば良い。透明基材の具体例としては、例えば、樹脂、ガラスなどの透明な材料から成る板、シート、又はフィルムが用いられている。
樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂が挙げられる。また、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂も挙げられる。さらに、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などのスチレン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、イミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂なども挙げられる。
なお、これら樹脂は、樹脂材料的には、単独、又は複数種類の混合樹脂(ポリマーアロイを含む)として用いられ、また層的には、単層、又は2層以上の積層体である透明基材として用いられる。また、樹脂シートの場合、1軸延伸や2軸延伸した延伸シートが機械的強度の点でより好ましい。また、これら樹脂中には、必要に応じて適宜、紫外線吸収剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。
また、ガラスとしては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラスなどがあり、より好ましくは熱膨脹率が小さく寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラス等が挙げられ、ディスプレイの前面基板などとする電極基板と兼用することもできる。
なお、透明基材は、ディスプレイ本体の一構成要素である前面基板と兼用しても良いが、前面基板の前に配置する前面フィルターとして、電磁波シールド以外の機能を付加した電磁波シールドフィルターを用いる形態では、薄さ、軽さの点で、板よりもシートが優れており、また割れない等の点でも、ガラス板よりも樹脂シートが優れている。
また、電磁波シールドフィルターを連続的に製造し生産性を向上できる点では、透明基材は、メッシュ状に形成する前の少なくとも製造初期の段階に於いては、連続帯状のシートの形態で取り扱うのが好ましい。
この様な点で、透明基材としては樹脂シートが好ましい材料である。なお、ガラス板等の剛直な透明基材を用いる場合と比べて、可撓性の樹脂シートを透明基材として用いる場合には、中間製品を加工する際に銅メッキ層の破損する危険性が大きい。
樹脂の素材としては、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂シートが、透明性、耐熱性、コスト等の点で好ましく、より好ましくは2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシートが最適である。なお、透明基材の透明性は高いほどよいが、好ましくは可視光線透過率で80%以上となる光透過性が好ましい。なお、樹脂シート等の透明基材は、適宜その表面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの公知の易接着処理を行ってもよい。
透明基材の厚みは、用途に応じたものとすれば良く特に制限は無く、樹脂から成る場合は、通常12μm〜1000μmであるが、好ましくは50μm〜500μmである。一方、透明基材がガラスからなる場合には、通常1mm〜5mm程度が好適である。いずれの材料を用いても、上記未満の厚みとなると機械的強度が不足して反りや弛み、破断などが起こり、上記を超える厚みとなると過剰性能でコスト高となる上、電磁波遮蔽シートの薄型化が難しくなる。
本発明において黒化層12としては、Ni−Cu−Oの3元素からなる化合物(以下、(Ni−Cu−O)化合物と称する)を用いる。電磁波遮蔽用シート1への外光を吸収させて、ディスプレイの画像の視認性を向上するために、図3Aや図3Bのように直接又は図3Cのように他の層を介して透明基材11上に黒化層12を形成する。黒化層12の形成方法は特に限定されないが、スパッタ法、真空蒸着法などの気相成膜によって好適に形成することができる。堆積速度が速く密着性にすぐれることから特にスパッタ法が好ましい。
スパッタ法では、Ni−Cu(ニッケル−銅合金)をターゲットとし、所望量の酸素ガスを供給しながら高電圧をかけてイオン化したアルゴンをぶつけて、ターゲットをイオン化して弾き飛ばして透明基材11上に堆積させて黒化層12を形成する。この黒化層12は、透明基材11及び後述する銅スパッタ層13、銅メッキ層14との密着性に優れ下地層としての機能を有することから下地層を形成する工程を省略することもできる。本発明に係る黒化層12は黒色度が高いため、外光を吸収して外光反射(ぎらつき感)を抑えることができる。
黒化層12の厚みは特に限定されるものではないが、80〜1000Å程度の範囲が適用可能であるが、実用上の諸条件(生産性、性能等)を勘案すると、80Å(=8nm)以上300Å(=30nm)以下が好ましく、より好ましくは120Å以上160Å以下である。80Å未満であると光透過性が高く、銅スパッタ層13の金属色が顕著であり十分な黒化度を得るのが困難であり、1000Åを超えると厚みによる光の干渉があると思われ、厚ければ良い訳でない。また、従来の下地層の膜厚0.001μm〜1μmと同程度又はより薄い膜であっても、黒化層としての機能を発現するための黒色度を有することが本発明の特徴である。なお、本発明に係る黒化層の厚みは、蛍光X線測定装置を用いて測定される数値を基に検量線で換算した換算値である。
黒化層の黒濃度は0.6以上であることが好ましい。なお、黒濃度の測定方法は、COLOR CONTROL SYSTEMのGRETAG・SPM100−11(キモト社製、商品名)を用いて、観察視野角10度、観察光源D50、照明タイプとして濃度標準ANSITに設定し、白色キャリブレイション後に、試験片を測定する。また、黒化層の光線反射率(単に反射率とも称される)としては20%以下が好ましい。光線反射率は、JIS−K7105に準拠して、ヘイズメーターHM150(村上色彩社製、商品名)を用いて測定する。また、反射率の測定に換えて、色差計により反射のY値で表わしてもよく、この際にはY値として20以下が好ましい。
本発明において気相成膜により形成された金属薄膜の層としては、導電性が高く、黒化層及び金属層との密着性に優れたもの(但し、図3Cの如き層構成の形態の場合は、透明基材11及び下地層50との密着性に優れたもの)を用いることが好ましい。具体的には銅を用いることが好ましく、密着性の点からスパッタ法で銅の薄膜を形成することが好ましい。本発明において、銅からスパッタ法で形成される膜を銅スパッタ層13と称している。銅スパッタ層13のターゲットとしては、純度が99.99重量%以上の銅を用いることが好ましい。なお、銅スパッタ層13は、気相成膜により形成された金属薄膜の層の一例である。銅スパッタ層13の厚みは特に限定されるものではないが、0.05μm以上2μm以下が好ましく、より好ましくは0.05μm以上0.2μm以下である。
本発明において金属層の好適な形態は金属メッキ層であるが、該金属メッキ層を形成する金属としては、高導電性金属であり電磁波遮蔽性に優れる銅を用いることが好ましく、得られるメッキ層を銅メッキ層14と称している。また、本発明において銅メッキ層14としては、銅スパッタ層13の表面上又は他の層を形成した後に電解メッキ法により形成することが好ましい。電解メッキ法によって銅メッキ層14を形成することにより、銅箔を貼り合わせるための接着剤が不要となる。特に、極薄い銅層(例えば5μm以下)を形成したい場合には、銅箔を貼合わせる工程での銅箔の取り扱いが非常に面倒であり、破損を生じやすいが、メッキ法による場合には極薄い銅メッキ層を容易に形成することができる。本発明において銅メッキ層14としては、典型的には銅単体から構成されるが、銅が主体であり且つ後述する結晶配向性さえ備えているのであれば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロムのような他の金属を含んでいても良い。銅メッキ層14が、銅と他の金属との混合物また銅合金である場合には、銅の含有量が全金属成分の90重量%以上であることが好ましく、95重量%以上であることがさらに好ましい。
銅メッキ層14の厚みは、充分な遮蔽性能と加工プロセス中に破損しない物性を有し得る範囲内で可能な限り薄くすることが好ましいが、銅メッキ層14を含む導電体層全体の厚みの範囲内で他の層の厚みを考慮のうえ決定される。かかる観点から、導電体層4に含まれる銅メッキ層14の厚みは、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがさらに好ましく、3μm以下であることが特に好ましい。また、該銅メッキ層14の厚みは、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがさらに好ましい。なお、発明に係る黒化層12は、前述したが特に銅との密着性に優れている。
本発明において、銅メッキ層14又は黒化層12上に防錆層を設けることもできる。防錆層は、防錆機能と黒化層の脱落や変形を防止することができる。防錆層としては、ニッケル、亜鉛、及び/又は銅の酸化物、又はクロメート処理層が適用できる。ニッケル、亜鉛、及び/又は銅の酸化物の形成は、公知のメッキ法でよく、厚みとしては、0.001〜1μm程度、好ましくは0.001〜0.1μmである。
[電磁波遮蔽シートの製造方法]
図4は、本発明に係る電磁波遮蔽シート1の製造方法の一例を示したフローシートである。PETフィルムなどの透明基材11上に黒化層を形成する黒化層形成工程20を行い、その後スパッタ法により銅を堆積させる銅スパッタ層形成工程21を行う。その後に銅メッキ層形成工程22を行う。この銅メッキ層形成工程22の際に、銅結晶の結晶配向性を調節することにより、銅層の硬度と伸び率が上昇するために、銅層の薄膜化を図ることができる。さらに、PDPパネル光の乱反射、裏面反射を抑制して画像のコントラストをより向上させる目的で、銅メッキ層上に更に第2黒化層30を形成する第2黒化層形成工程25を行っても良いが、省略しても良い。また、銅スパッタ層形成工程21も省略できる。最後に、パターニング工程23で所望の形状の開口部を形成することで、電磁波遮蔽シート1が得られる。
黒化層形成工程20では、透明基材11をスパッタリング装置のチャンバ内に設置して、ターゲットであるNi−Cu合金をチャンバ内にセットする。そして、真空引きを開始して、1×10−4Pa以下となったらチャンバ内にアルゴン−酸素混合ガス(例えば、純度99.8%以上が好ましい)を供給する。アルゴン:酸素の比率は、95%:5%〜30%:70%であることが好ましく、より好ましくは90%:10%〜70%:30%である(いずれもモル比である。)。なお、混合ガス供給量は、チャンバのサイズ、真空装置の性能及び必要とする酸素雰囲気などを検討して決定される。
スパッタ時のチャンバ内の圧力は、黒化層12の均一性、積層速度及び(Ni−Cu−O)化合物の含有酸素量にも大きく影響する。本発明においては、0.05Pa以上0.5Pa以下であることが好ましい。前記実験条件を選定することで、黒化層12としての黒色度を十分に有し外光を吸収して外光反射(ぎらつき感)を抑えることができる化合物が形成される。さらに、透明基材11と銅スパッタ層13との密着性に優れ、エッチング性も良い(Ni−Cu−O)化合物が得られる。また、本発明に係る黒化層12は、透明基材11と銅スパッタ層13との何れとも密着性が高いが、特に銅スパッタ層13との密着性が高いのが電磁波遮蔽の作用が有効に発現する点から有利である。
ターゲットであるNi−Cu合金の組成比は特に限定されるものではない。しかしながら、Ni:Cu=80重量%:20重量%〜65重量%:35重量%を用いることが好ましく、純度は99.99重量%以上が好ましい。また、ターゲットであるNi−Cu合金の組成比を適宜選択することで、(Ni−Cu−O)化合物中のNiとCuとの組成比を決めることができる。また、酸素ガスの供給量を調整することで(NI−Cu−O)化合物中の酸素の含有量を調整できる。
なお、ターゲットはNi−Cu合金に限定されず、Ni−Cu−Xであり、Xは任意の1種又は2種以上の元素である、例えば、3元系合金、4元系合金など、NiとCuとを含む多元系物質を用いても良い。
本発明に係る黒化層12を形成する際に、チャンバ内の酸素供給量を増加させることで、黒化層12を形成する(Ni−Cu−O)化合物の酸素の含有率が向上する。通常の化合物であると、酸素含有率が向上すると反射率が低下して黒色度が高まるが、透明基材又は金属メッキ層との密着性が悪くなり、更に別の問題として導電性が悪化するために電磁波遮蔽性も悪化する傾向がある。しかしながら、本発明に係る黒化層12を形成する(Ni−Cu−O)化合物は、黒色度が十分に高まる量の酸素を含有させた場合でも隣接する層との密着性が充分得られ、且つ導電性の低下が生じ難い。
本発明に係る黒化層12の成分である(Ni−Cu−O)化合物は、パターニング工程23におけるフォトリソグラフィー法を行う場合、エッチング性に優れると言う長所も有する。エッチングの際には、メッシュパターンとして残って欲しい箇所はレジスト材料が塗布されて腐蝕液から保護し、除去したい箇所のみが該腐蝕液に溶解することが必要である。本発明に係る(Ni−Cu−O)化合物は、塩化第二鉄、硝酸アンモニウムセリウムなどの腐蝕液に溶解しやすいためにエッチング性に優れる。なお、本発明に係る電磁波遮蔽シート1の製造方法においては、フォトリソグラフィーのプロセスにおいてアルカリ性溶液に製造中間物を浸漬する場合が有る。そのために、該製造中間物は、レジストを除去する際にアルカリ溶液を使用する場合が有る。其の為、場合によっては耐アルカリ性を有することが必要であるが、本発明に係る黒化層12を形成する(Ni−Cu−O)化合物は、耐アルカリ性にも優れている。
黒化層12の上面に、銅スパッタ層13を形成する銅スパッタ層形成工程21を行うが、この銅スパッタ工程21は省略することもできる。銅スパッタ層13は、ターゲットに銅を用いて、アルゴン−酸素ガスに高電圧(例えば、0.3kV以上0.6kV以下;2kW以上10kW以下)を与えてアルゴンをイオン化する。このイオン化アルゴンをターゲットである銅にあてることで、ターゲットから銅イオンが透明基材11上に向けて飛び出して、透明基材11上の黒化層12の表面に銅の層(銅スパッタ層)13を形成する。
銅メッキ層14を積層させるためには、電解メッキ法、無電解メッキ法などが挙げられるが、生産スピードの点から電解メッキ法で行うことが好ましい。透明基材11上に形成された銅メッキ層14は、下地面から上方に向かって銅結晶が成長することによって堆積していくと考えられる。
銅結晶は面心立方格子であり、その結晶面を面指数で表したときに、少なくとも3つの結晶、すなわち面心立方格子の結晶軸に対して面指数(111)で表される結晶面を有する結晶、面指数(200)で表される結晶面を有する結晶、及び面指数(220)で表される結晶面を有する結晶が存在し得る。
ここで、結晶面の面指数とは、結晶軸に対する結晶面の方向を表す手段である。結晶面が結晶軸を切り取る長さを格子定数の単位として表し、表された長さの逆数を求める。この逆数の比を、同じ比をなす3個の整数(通常は最小の整数の組み合わせ)に簡約する。その簡約した整数を括弧でくくって結晶面の面指数として決定する。
従って、銅メッキ層14中には、(111)面が上方を向いて(メッキ層の表面と平行になった状態で)成長した結晶、(200)面が上方を向いて(メッキ層の表面と平行になった状態で)成長した結晶、及び、(220)面が上方を向いて(メッキ層の表面と平行になった状態で)成長した結晶が存在し得る。
そして、銅メッキ層14の表面に対して平行な結晶面の存在数比は、同じ結晶面がメッキの堆積方向を向く結晶の単位格子の数の比であり、別の言い方をすれば、結晶軸との関係で結晶の成長方向が同じである結晶の単位格子の数の比でもあり、銅メッキ層14を構成している銅結晶の配向状態を示す手段となる。
本発明においては、透明基材11上に形成された銅メッキ層14が電磁波遮蔽シート1の加工プロセス中に破損しないように、銅メッキ層14を構成する銅の結晶配向性を調節して、銅メッキ層14の硬度及び伸び率を向上させる。具体的には、銅メッキ層14の表面に対して平行な結晶面の存在数比を、銅メッキ層14の表面にX線を照射するXRD測定により特定された結晶面の面指数ピーク比で表したときに、(111)面強度に対する(200)面または(220)面強度の比が50%以上となるように銅の結晶配向性を調節する。または、(111)面強度に対する(200)面及び(220)面の合計強度の比が70%以上となるように銅の結晶配向性を調節する。
ここで、XRD測定とは、X線回折(X−Ray Diffraction)測定による結晶の解析法のことを云う。X線を被測定結晶に入射し、結晶中の(111)面等の各結晶面でのブラッグ(Bragg)反射の強度を測定する。これより、該結晶中に存在する結晶面の種類、及び其の強度比から各結晶面の存在比率を求めるものである。具体的な測定法としては、既に結晶格子解析の分野で確立された公知の手法、装置を用いれば良い。
そのようなXRD測定により特定される結晶面のピーク比は、多結晶系において、特定の方向を向いている結晶面の存在数比または結晶軸との関係で特定の結晶成長方向を有する結晶格子の存在数比を表す。
このようにして、面方向にある程度の広がりを持つ領域に存在する、特定の配向性を持つ結晶面の存在数比、即ち、多結晶体を構成する各単結晶粒子の結晶配向の比率(分布)を測定することができる。
粉末X線回折のための標準データであるJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction standards)によれば、銅結晶の標準的なXRDピーク比(ランダム配向のピーク比)は、(111)面:(200)面:(220)面=100:46:20である。この場合、最もピークが大きいのは(111)面である。この状態を(111)配向と呼ぶ。 (111)面強度100%に対して(200)面強度は46%であり、50%に達していないため後述する第1のメッキ方法で50%以上となるように銅の結晶配向性を調節する。
(111)面強度と(220)面強度の関係では、(111)面強度100%に対して(220)面強度はわずか20%であり、50%に達していないため後述する第2のメッキ方法で50%以上となるように銅の結晶配向性を調節する。
(111)面強度と、(200)面及び(220)面の合計強度の関係では、(111)面強度100%に対して(200)面と(220)面の合計強度の比は、46%+20%=66%であり、70%に達していないため後述する第3のメッキ方法で70%以上となるように銅の結晶配向性を調節する。
電解メッキ法による銅メッキ液としては、硫酸銅浴、青化銅浴、硼弗化銅浴、ピロ燐酸銅浴等公知のメッキ浴が使用できるが、代表的なメッキ浴としては硫酸銅浴が用いられる。硫酸銅浴の組成としては、例えば、硫酸銅、及び硫酸を含む水溶液をベースとして、銅結晶の配向性を調節するためのメッキ添加剤を加えたものを用いる。硫酸濃度は、150〜220g/L(リットル)程度、硫酸銅濃度は、5水和物で50〜85g/L程度である。以下に銅メッキ層14の結晶配向性を調節するための好ましい方法として、第1乃至第3のメッキ方法を特に説明する。
第1乃至第3のメッキ方法では、メッキ添加剤に含まれる配向性調節成分としては、例えば炭化水素系高分子化合物、含硫黄炭化水素化合物、蛋白質、膠(にかわ)、アミン、アルカロイド、メルカプタン、スルフィド、或いは各種染料系化合物等公知のものが挙げられる。このような配向性調節成分を1種又は2種以上、適宜選択して用いる。添加量は1〜100g/L程度である。又、必要に応じて、銅メッキ層14の表面を粗面化する為に、塩酸を塩素濃度40〜80mg/L程度添加しても良い。メッキ条件は一般的な設定でよく、例えば、浴温を20〜30℃、電流密度を1〜3A/dm、メッキ時間を30分から2時間とし、メッキ浴を攪拌する。メッキ層の堆積後、結晶配向を安定化するために必要に応じてアニール処理を行うことが好ましい。アニール処理の条件としては、例えば、100〜200℃、30分から2時間とする。
銅結晶(200)面、(220)面の銅メッキ層表面への平行配列性は、添加剤の構成成分の配合比に依存することが知られている。銅メッキ層表面に平行な結晶面が(200)面、(220)面であるものの比率を高めるためには、メッキ添加剤の構成成分の配合比を加減すると良い。
第1のメッキ方法では、銅メッキ層14の表面に平行な結晶面が(200)面であるものの比率を高め、特に50%以上とする為に好ましい添加剤の例としては、例えば、炭化水素系高分子化合物を主成分とし、必要に応じて含硫黄炭化水素化合物等他の添加剤を混合した配合等が挙げられ、銅結晶の(200)面強度が前記標準的な強度値(46%)よりも大きい状態、すなわち(200)面に優先的に配向している状態となる。そして、その優先的配向の程度を、(111)面強度に対する(200)面強度の比が50%以上となるように調節される。
第2のメッキ方法では、銅メッキ層14の表面に平行な結晶面が(220)面であるものの比率を高め、特に50%以上とする為に好ましい添加剤の例としては、炭化水素系高分子化合物を主成分とし、含硫黄炭化水素化合物を含まない配合が挙げられる。特に、炭化水素系高分子化合物のみからなる配合物が特に好ましく、これにより銅結晶の(220)面強度が前記標準的な強度値(20%)よりも大きい状態、すなわち(220)面に優先的に配向している状態となる。そして、その優先的配向の程度を、(111)面強度に対する(220)面強度の比が50%以上となるように調節される。
第1又は第2のメッキ方法では、銅メッキ層14中の銅結晶の(200)面強度又は(220)面強度が(111)面強度に対して50%以上となるように優先的に配向してさえいれば、(200)面配向(強度が最も大きい配向面が(200)面である状態)又は(220)面配向(強度が最も大きい配向面が(220)面である状態)でなくとも効果が得られるが、(200)面配向又は(220)面配向であると、銅メッキ層14がより高い硬度または伸び率を得ることができるので更に好ましい。
第3のメッキ方法では、銅メッキ層14の表面に平行な結晶面が(200)面又は(220)面であるものの比率を高め、特に、これらの合計強度を70%以上とする為に好ましい添加剤の例としては、炭化水素系高分子化合物を主成分とし、含硫黄炭化水素化合物を含まない配合が挙げられる。特に、炭化水素系高分子化合物のみからなる配合物が特に好ましく、これにより銅結晶の(200)面と(220)面の合計強度が、前記標準的な強度値(66%)よりも大きい状態、具体的には該合計強度が70%以上となるように調節される。
そして、銅メッキ層14中の銅結晶の(200)面と(220)面の合計強度が、(111)面強度に対して70%以上に達していれば銅メッキ層14の硬度と伸び率を向上させる効果が得られるが、より優れた効果を得る観点から、(200)面と(220)面の合計強度が、(111)面強度に対して100%以上であることが好ましい。また、(200)面又は(220)面のうち、どちらかが標準的な強度((200)面については46%、(220)面については20%)よりも大きくなった結果、これら2つの結晶面の合計強度が70%以上に達していれば充分に効果が得られるが、より優れた効果を得る観点から、少なくとも(200)面強度が46%よりも大きいことが好ましい。さらに、(200)面強度が46%よりも大きく、且つ、(220)面強度が20%よりも大きいことが、特に好ましい。
銅メッキ層14の硬度と伸び率を向上させる方法として、第1乃至第3のメッキ方法について説明したが、本発明はこれら方法に限定されるものではない。銅メッキ層14の硬度が向上することによって、特に加工プロセス中のこすれに強くなり、耐傷性が向上する。また、銅メッキ層14の伸び率が向上することによって、特に加工プロセス中の引っ張りに強くなり、耐亀裂性が向上する。そして、銅メッキ層14の耐傷性と耐亀裂性とが共に向上することで、電磁波遮蔽シートの製造プロセス中に銅メッキ層14が破損しにくくなる。
前述した銅メッキ層14の硬度の向上及び伸び率については、下記のビッカース硬度と伸び率の測定方法により知ることができる。
ビッカース硬度は、一般的なビッカース硬度測定装置(例えば、AKASHI Co., LTD製、機種名MVK−G2)を用いて、圧子荷重を10g、保持時間を15秒として測定することができる。
また、伸び率は、JIS Z−2241(1980)「金属材料引張試験法」に従って行うことができ、一般的な引張試験装置(例えば、SHIMADZU Co., LTD製)を用いて、試験片寸法を厚み18μm×幅10mm×長さ50mm、引張り速度を10mm/minとして測定することができる。
銅メッキ層14上に電磁波遮蔽シート1の黒色度を更に出すために、更に第2黒化層30を形成しても良い(図3A参照)。第2黒化層30を形成する際には、銅メッキ層形成工程22の後に第2黒化層形成工程25を行い、その第2黒化層形成工程25の後にパターニング工程23を行う。なお、素材、形成方法などは前述した黒化層12のものを適用できる。第2黒化層30も前記黒化層12と同様のスパッタ法により、Ni−Cu−O系の化合物を用いて行う。実験条件は先の黒化層12とほぼ同一であるが、銅メッキ層14の銅結晶の結晶配向性(111)面、(200)面、(220)面の関係を崩さない点に注意を払う必要がある。
銅メッキ層14が形成されている透明基板11をスパッタリング装置のチャンバ内に設置して、ターゲットであるNi−Cu合金をチャンバ内にセットする。そして、真空引きを開始して、1×10−4Pa以下となったらチャンバ内にアルゴン−酸素混合ガスを供給する。なお、アルゴン:酸素の比率やチャンバサイズ、混合ガス供給量などの各実験条件は前述した黒化層12の形成方法と同じ条件である。第2黒化層30の厚みは特に限定されるものではないが、80Å(=8nm)以上300Å(=30nm)以下が好ましく、より好ましくは120Å以上160Å以下である。第2黒化層30の黒濃度は0.6以上が好ましく、第2黒化層30の光線反射率としては20%以下が好ましく、反射のY値は20以下が好ましい。これらの測定は、前記黒化層12の形成の際に記載したものが適用できる。
本発明において、銅メッキ層14の上面又は第2黒化層30の上面など、導電体層4の最上面に公知の黒化層31を形成して、その公知の黒化層31を含めた導電体層とすることもできる。
図3Bに示した公知の黒化層31の形成は、銅メッキ層14面を粗化するか、全可視光スペクトルに亘って光吸収性材料を付与する(黒化)か、或いは両者を併用するかの何れかにより行なうことが出来る。銅メッキ層14を粗化して黒化層31を形成する場合には、銅を硫酸、硫酸銅及び硫酸コバルトなどからなる電解液中で、陰極電解処理を行って、カチオン性粒子を付着させるカソーディック電着が挙げられる。カチオン性粒子を設けることでより粗化し、同時に黒色が得られる。カチオン性粒子としては、銅粒子、銅と他の金属との合金粒子が適用できるが、好ましくは銅−コバルト合金の粒子である。該カチオン性粒子の粒径は、黒濃度の点から、平均粒径0.1μm〜1μm程度が好ましい。その他、黒化層形成法として、ニッケル−亜鉛合金、硫化ニッケル、或いはこれらの複合体からなる黒化ニッケルメッキ、並びに酸化銅も好適に使用できる。
上述する各工程を経て黒化層を含む導電体層が形成される。導電体層は、導電体層を構成する全ての層を順次形成した後でパターニングしても良いし、導電体層の一部を形成した段階又は形成している途中でパターニングしても良い。
パターニング工程23の一方法としては、例えば、次の3つの方法が挙げられる。
(1)透明基材へ導電インキをパターン状に印刷し、導電インキ層の上へ銅メッキする方法(例えば、特開2000−13088号公報参照)。
(2)透明基材へ、導電インキ又は化学メッキ触媒含有感光性塗布液を全面に塗布して塗布層を形成し、塗布層をフォトリソグラフィー法でメッシュ状とした後に、該メッシュの上へ銅メッキする方法(例えば、住友大阪セメント株式会社新材料事業部新規材料研究所新材料研究グループ、“光解像性化学メッキ触媒”、[online]、掲載年月日記載なし、住友大阪セメント株式会社、[平成15年1月7日検索]、インターネット〈URL:http://www.socnb.com/product/hproduct/display.html〉)。
(3)透明基材の一方の面へ、金属薄膜をスパッタなどにより形成して導電処理層などを形成し、その上に電解メッキにより銅メッキ層を形成し、さらに、その上に第2黒化層や公知の他の黒化層を形成して、導電体層の全ての層の形成を完了させた透明基材を準備し、該透明基材上の導電体層を、フォトリソグラフィー法でメッシュ状とする(例えば、特許第3502979号公報、特開2004−241761号公報参照)。
中でも、本発明においては特に、開口部への黒化層付着防止の為の工程が不要なこと、透明性及びメッシュ精度に優れるのでディスプレイ画像を良好に視認性でき、さらに、既存の設備を使用でき、製造工程においてその多くを連続的に行え、反りや気泡の混入などが少なく、短い工程(生産効率が高い)で歩留りがよく安価で、且つ品質がよく製品を生産できる点から、上記(3)の方法を用いることが特に好ましい。上記(3)の方法によりメッシュ状導電体層を形成する方法を詳細に説明する。
上述のように設けられた透明基材11上の導電体層4をフォトリソグラフィー法でメッシュ状とするパターニング工程23について説明する。上記のように準備した透明基材11上の導電体層4の表面へ、レジスト層を設け、メッシュパターン化し、レジスト層で覆われていない部分の導電体層4をエッチングにより除去した後に、レジスト層を除去して、メッシュ状の導電体層4とする。
透明基材11の導電体層4側の面をフォトリソグラフィー法でメッシュ状とし、メッシュ状領域2を形成する。このパターニング工程23も、帯状で連続して巻き取られたロール状の積層体(透明基材11と導電体層4。なお、以下の説明において透明基材上に少なくとも一層が形成されているものを積層体と称する)を加工して行く(巻取り加工、ロールツーロール加工という)ことが好ましい。該積層体を連続的又は間歇的に搬送しながら、緩みなく伸張した状態で、マスキング、エッチング、レジスト剥離する。透明基材としてガラスを用いる場合には、1枚毎に加工する(枚葉加工、枚葉工程という)。
次に、マスキングは、例えば、メッシュ状領域を形成する導電体層上へ感光性レジストを塗布し、乾燥した後に、所定のパターンを有するフォトマスクにて密着露光し、水現像し、硬膜処理などを施し、ベーキングする。なお、感光性レジストのネガ型、ポジ型の何れも使用可である。感光性レジストがネガ型の場合は、フォトマスクのメッシュパターンは第1ライン部及び第2ライン部(導電体層)が透明なものとする。又感光性レジストがポジ型の場合は、フォトマスクのメッシュパターンは開口部が透明なものとする。また、露光パターンとしては、電磁波遮蔽用シートとして所望のパターンであり、最低限メッシュ状領域のパターンから構成される。更に必要に応じて、メッシュ状領域の外周に接地用領域のパターンを追加する。
レジストの塗布は、巻取り加工では、帯状の積層体を連続又は間歇で搬送させながら、メッシュ状領域を形成する導電体層面へ、カゼイン、PVA、ゼラチンなどのレジストをディッピング(浸漬)、カーテンコート、掛け流しなどの方法で行う。また、レジストは塗布ではなく、ドライフィルムレジストを用いてもよく、作業性が向上できる。ベーキングはカゼインレジスト(乳タンパク質の一種)の場合、200〜300℃で行うが、該透明基材の反りを防止するために、できるだけ低温度が好ましい。
マスキングと露光の後にエッチングを行う。エッチングに用いるエッチング液としては、エッチングを連続して行う本発明においては、循環使用が容易にできる塩化第二鉄、塩化第二銅の水溶液が好ましい。また、エッチングは、帯状で連続する鋼材、特に厚み20μm以上80μm以下の薄板をエッチングするカラーTVのブラウン管用のシャドウマスクを製造する設備と、基本的に同様の工程である。即ち、シャドウマスクの既存の製造設備を流用でき、マスキングからエッチングまでが一貫して連続生産できて、極めて効率が良い。エッチング後は、水洗、アルカリ液によるレジスト剥離、洗浄を行ってから乾燥すればよい。このようにして形成された、メッシュ開口部の表面は透明基材が露出しているので、メッシュ開口部の透明性がよい。以上のメッシュ加工により、導電体層4がメッシュ状となり、電磁波遮蔽シート1が得られる。
本発明に係る電磁波遮蔽シート1は、そのメッシュ状導電体層4を有する側に、さらに光学フィルターを積層、接着してもよい。光学フィルターとしては、光学フィルターの透明基材上に、様々な機能発現層、例えば近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、紫外線吸収層、反射防止層、ハードコート層、防眩層、防汚層などのなかから1つまたは2つ以上を積層したものが用いられる。
本発明に係る電磁波遮蔽シート1上に光学フィルターを積層する場合には、通常、メッシュ状導電体層4の上に平坦化層を被覆し、平坦化層の上に接着剤を用いて光学フィルターを貼り合せる。平坦化層は透明性が高く、メッシュ状導電体層4との接着性が良く、次工程の接着剤との接着性がよいものであればよい。該平坦化層に用いる樹脂としては、特に限定されず各種の天然又は合成樹脂が適用できるが、樹脂の耐久性、塗布性、平坦化しやすさ、平面性などから、アクリル系の紫外線硬化樹脂が好適である。
本発明においては、上述したように、電磁波遮蔽シート1に極薄いメッシュ状導電体層を設けることができる。メッシュ状導電体層が極薄い場合には、平坦化層も薄く設ければよく、また、平坦化層を介さずに光学フィルターを積層することもできる。かかる観点から、メッシュ状導電体層4を含むライン部10A、10Bの総厚みHは、5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることが更に好ましい(図2参照)。
[電磁波遮蔽シートの製造方法の変形例]
図5は、本発明に係る電磁波遮蔽シートの製造方法の他の例を示したフローシートであり、図3Cは、上記図5に示したフローシートに従って形成したメッシュ状導電体層の層構成の例を模式的に示した断面図である。図3Cのメッシュ状導電体層4Dは、下地層(通常は、Ni−Cr合金層)50、銅スパッタ層13、銅メッキ層14、本発明に係る黒化層51の順で透明基材11上に積層しており、特に説明しない点は図1及び図2に示した導電体層4と同様である。
PETフィルムなどの透明基材11上に必要に応じて下地層形成工程40で下地層50を形成した後に、スパッタ法により銅を堆積させる銅スパッタ層形成工程41を行って、銅スパッタ層13を形成した後に銅メッキ層形成工程42を行う。銅メッキ層形成工程42の際に、銅結晶の結晶配向性((110)面、(200)面、(220)面)を調節することにより、銅層の硬度と伸び率が上昇するために、銅層の薄膜化を図ることができることは前記導電体層4と同じである。そして、銅メッキ層14の上に黒化層51を形成する黒化層形成工程43を行う。最後に、パターニング工程44で所望の形状の開口部を形成することで、電磁波遮蔽シート45が得られる。
スパッタ法や金属電解メッキ法に先立ち導電処理を行い、図3Cに示す下地層50を形成する下地層形成工程40を行う。
下地層50の形成方法としては、公知の導電性を持つ材料の薄膜を形成すればよい。導電性を持つ材料としては、例えば金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロムなどの金属、或いはこれらの金属の合金(例えば、ニッケル−クロム合金)から成る。また、酸化スズ、ITO、ATOなどの透明な金属酸化物でもよい。導電処理は単層あるいは多層(例えば、ニッケル−クロッム合金と銅層との積層)であってもよく、これらの材料を公知の真空蒸着法、スパッタリング法、無電解メッキ法などの方法で形成し下地層とする。下地層の厚みは、メッキ時に必要な導電性が得られればよいので、0.001〜1μm程度の極薄い層であることが好ましい。
そして、銅スパッタ層形成工程41で銅スパッタ層13を形成する。なお、銅スパッタ層13の形成を省略して、下地層50の上に直接銅メッキ層14を電解メッキ法で形成しても良い。銅スパッタ層13は、前記第1の形態で示した条件(銅スパッタ層形成工程21参照)で行うことができる。銅メッキ層14を積層させるために電解メッキ法で銅メッキ層形成工程42を行うことも、前記第1の形態(銅メッキ層形成工程22参照)と同様であり、電解メッキ法などの銅メッキを行い、銅メッキ層14を形成する。銅メッキ層14は、前記第1の形態で示した条件で行うことができる。なお銅結晶の配向度(111)面、(200)面、(220)面の関係を調整することも前記導電体層4と同様である。
黒化層51の形成は、導電体層4B(図3A参照)における第2黒化層30とほぼ同じ条件の黒化層形成工程43で行う(第2黒化層形成工程25参照)。銅メッキ層14が形成されている透明基板11をスパッタリング装置のチャンバ内に設置して、ターゲットであるNi−Cu合金をチャンバ内にセットする。そして、真空引きを開始して、1×10−4Pa以下となったらチャンバ内にアルゴン−酸素混合ガスを供給する。なお、アルゴン:酸素の比率やチャンバサイズ、混合ガス供給量などの各実験条件は前述した第2黒化層30の形成方法と同じ条件である。
これにより、図3Cに示すように導電体層4Dの最上面に黒化層51が形成される。黒化層51の厚みは特に限定されるものではないが、80Å(=8nm)以上1000Å(=100nm)以下が適用可能であるが、100Å以上300Å以下が好ましく、より好ましくは120Å以上160Å以下である。黒化層51の黒濃度は0.6以上が好ましく、黒化層51の光線反射率としては20%以下が好ましく、反射のY値は20以下が好ましい。これらの測定は、第2黒化層30の形成の際に記載したものが適用できる。
最後に、パターニング工程44を行い、開口部を形成する。パターニングは、前述したフォトリソグラフィー法(パターニング工程23参照)により行うことが好ましい。腐蝕液(エッチング液)には、(Ni−Cu−O)化合物を容易に溶解する塩化第二鉄、塩化第二銅の水溶液が好ましい。
[PDP用フィルター]
図6は、本発明に係る電磁波遮蔽シート1を用いたPDP用フィルター7の一例を模式的に示した概略図である。本発明に係る電磁波遮蔽シート1を前面板55に貼付することで、代表的には硝子製の基板(前面板とも云う)に貼合わせて、PDP用フィルター7として用いることができる。図6に示すように導電体層4AをPDP33側に向けて配置することができる。そして、その前面板55の観察者32側面には、さらに光学機能性層を積層したり、接着したりしてもよい。光学機能性層としては、例えば近赤外線吸収層(NIR層)、ネオン光吸収層、紫外線吸収層、反射防止層(AR層)、ハードコート層(HC層)、防眩層(AG層)、防汚層などのなかから1つまたは2つ以上を積層したものが用いられる。
尚、PDP用フィルター7の形態としては、図6に図示した様な形態には限定されず、各種形態のものが可能で有る。たとえば、図6の様な層構成であっても、アクリル等の樹脂の前面板を用いた形態、前面板55を使用せず、本発明に係わる電磁波遮蔽シートを粘着剤等の接着剤を介して、PDP表面に貼合わせる形態等も可能である。
本発明においては、銅メッキ層の結晶配向性を調節することによって、銅メッキ層の硬度及び延び率を向上させたので、電磁波遮蔽シートの製造プロセス中に銅メッキ層が破損しにくくなり、スループットを向上させることが期待できる。従って、本発明は、透明基材としては樹脂シートを用いる電磁波遮蔽シートに対して特に好適に適用される。
特に、柔軟な樹脂シートの上に極薄い銅メッキ層を形成した場合でも、銅メッキ層が擦られて傷ついたり、引っ張られて亀裂を生じたりするなどの破損を生じる危険が少ない。
従って、銅メッキ層を薄く形成して、銅の使用量を節約したり、メッシュパターンの凹凸段差を小さくしたりして表面平坦化を容易にすることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
<実施例1>
まず、透明基材11として厚みが100μmで、725mm×10mの無着色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績(株)社製)を用意した。この透明基材上に、スパッタ法で、厚みが約120Å(=約12nm)の(Ni−Cu−O)化合物からなる黒化層12を形成した。
ターゲット;Ni−Cu合金(80重量%:20重量%)
(Arガス+Oガス(90%:10%)。
更に厚みが0.1μmの銅スパッタ層13を積層した。ターゲットに銅を用いて、アルゴンガスに高電圧を与えてイオン化してスパッタを行い、銅スパッタ層13を形成した。
メッキ液としては、溶媒として水(3000L)を用い、硫酸銅5水和物(75g/L)と、硫酸(180g/L)、塩酸(60mg/L)、配向性調節成分として炭化水素系高分子系メッキ添加剤(40mL/L)を混合してメッキ液を調製した。このメッキ液を用いて銅スパッタ層13が形成されている透明基材11をメッキした。メッキ条件は、浴量(500mL)、攪拌(エアー攪拌)、浴温(25℃)、電流密度(2A/dm)、メッキ時間(5min)で行って、粗い膜厚は2.0μmであった。メッキ処理により堆積した被膜を120℃、60分間アニール処理して、銅メッキ層14を得た。
次いで、銅メッキ層まで形成されているPET基板をフォトリソグラフィー法によるエッチングにより、開口部18及びライン部10A、10Bとからなるメッシュ状領域2を形成した。銅メッキ層面全面に感光性のエッチングレジストを塗布した後に、所望のメッシュパターンを密着露光した。そして、現像、硬膜処理、ベーキングして、メッシュのライン部に相当する領域上にはレジスト層が残留し、開口部に相当する領域上にはレジスト層が無い様なパターンにレジスト層を加工した。最後に塩化第二鉄水溶液で、黒化層、銅スパッタ層、銅メッキ層を、エッチング除去してメッシュ状の開口部を形成した。その後に、水洗、レジスト剥離、洗浄、乾燥を順次行った。
メッシュ状領域2の形状は、その開口部18の形状は正方形であった。非開口部となる第1ラインL1のライン幅W1及び第2ラインL2のライン幅W2いずれも10μm、そのライン間隔(ラインピッチ)P1、ラインピッチP2はいずれも300μmであった。ラインL1、L2の高さ(=導電体層の高さ)Hは共に、2.0μmであった。透明基材11の長辺に対する劣角として定義されるバイアス角度は45度であった。なお、得られたメッシュ状導電体層の層構成は、図1(b)に示したものであった。
<比較例1>
比較例1は、黒化層を形成する際に、チャンバに供給するガスをアルゴンガスのみとした以外は、実施例1の実験条件と同じ条件で行った。
[黒化層の物性測定]
黒化層を作製した導電体層のエッチング性、反射率、初期密着性、メッキ後の密着性及びメッキ後アルカリ液に浸漬した後の密着性について下記の方法で測定して実験結果を得た。なお、結果は表1にまとめて示す。
(エッチング性)
銅メッキ層まで形成したPET基板を塩化第二鉄水溶液(比重48ボーメ)中に40秒間浸漬させて、完全にPET基板の表面が露出した場合には良品(○)とし、溶け残りが有る場合には不良品(×)とした。
(反射率)
透明基材11であるPET基板に黒化層12である(Ni−Cu−O)化合物を積層した後に、分光計測器を用いる分光測定法で測定した。なお、本発明においては、20%以下であれば、十分な黒色度を有すると判断した。
(密着性)
初期密着性は、銅スパッタ層まで形成したPET基板をJIS K5600−5−6で指定されているクロスカット法により密着性を試験した。該PET基板上に碁盤の100枡の切れ込みを入れて、上からニチバンセロテープ(登録商標);CT405AP−24(商品名;型番)で貼り、斜め45度で一気に剥がした。剥離が無い場合は良品(○)、一つでも剥離した場合には不良品(×)と判断した。また、銅メッキ層まで形成したPET基板に対しても、メッキ後の密着性として同様の試験を行い、良否の判断を行った。
(メッキ後のアルカリ溶液に浸漬した後の密着性(耐アルカリ性とも称される))
耐アルカリ性試験は、以下の方法で行った。銅メッキ層まで形成したPET基板をフォトリソグラフィー法の工程で用いられるアルカリ溶液(1.0mol/L)に40秒間浸漬した。その後に、純水で洗浄して乾燥させた後に前記密着性で示したJIS K5600−5−6に従って試験を行い、良否の判断を行った。
Figure 2008227352
表1の結果から、本発明に係る黒化層12は、反射率の結果から黒色度に優れ、エッチング性、初期密着性、メッキ後の密着性及びメッキ後アルカリ液に浸漬した後の密着性(耐アルカリ性)も、酸素を導入しても劣ることなく優れていることが分かる。
(XRD測定による面指数ピーク比)
X線回折装置(装置名XRD−6100、(株)島津製作所製)を用い、X線源はCuKα(λ=1.54オングストローム(Å))で、銅メッキ層の面指数ピーク比を測定したところ、実施例1及び比較例1共に、(111)面強度100%に対して(200)面強度は50%、(220)面強度は20%であり、標準的なXRDピーク比と比べて(200)面が優先的に配向していた。
図1(A)は、本発明に係る電磁波遮蔽シートの一例を模式的に示した正面図であり、図1(B)は、本発明に係る電磁波遮蔽シートの一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る第1の形態の電磁波遮蔽シートの層構成の一例を模式的に示した概略斜視図である。 本発明に係る導電体層の層構成の例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る導電体層の層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る導電体層の層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る電磁波遮蔽シートの製造方法の一例を示したフローシートである。 本発明に係る電磁波遮蔽シートの製造方法の他の一例を示したフローシートである。 本発明に係る電磁波遮蔽シートを用いたPDP用フィルターの一例を模式的に示した概略図である。 従来の電磁波遮蔽シートの層構成の一例を模式的に示し、その使用方法を概説するための概略図である。
符号の説明
1、45 電磁波遮蔽シート
4 導電体層
10A、10B ライン部
12、30、51 黒化層

Claims (12)

  1. 透明基材の一方の面に、少なくとも、複数の開口部とこれを囲繞し区画するライン部を有するメッシュ状の導電体層を設けてなる電磁波遮蔽シートであって、
    該導電体層は金属層と、該金属層の該透明基材側又はその反対側のうち少なくとも一方に設けられた黒化層とを含む積層構造を有し、該黒化層は、ニッケルと銅と酸素を含む合金からなる黒化層(Ni−Cu−O黒化層)であることを特徴とする、電磁波遮蔽シート。
  2. 前記導電体層は、前記透明基材と前記金属層の間に設けられた、気相成膜により形成された金属薄膜の層を更に有することを特徴とする、請求項1に記載の電磁波遮蔽シート。
  3. 前記導電体層は、前記透明基材に近い側から、前記Ni−Cu−O黒化層、前記気相成膜により形成された金属薄膜の層、及び前記金属層がこの順序で積層された積層構造を有することを特徴とする、請求項2に記載の電磁波遮蔽シート。
  4. 前記導電体層は、前記透明基材に近い側から、前記気相成膜により形成された金属薄膜の層、前記金属層、及び前記Ni−Cu−O黒化層がこの順序で積層された積層構造を有することを特徴とする、請求項2に記載の電磁波遮蔽シート。
  5. 前記Ni−Cu−O黒化層は、気相成膜により形成された薄膜の層であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の電磁波遮蔽シート。
  6. 前記Ni−Cu−O黒化層の厚みが、80Å以上300Å以下であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の電磁波遮蔽シート。
  7. 前記金属層が銅メッキ層であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の電磁波遮蔽シート。
  8. 前記銅メッキ層は、該銅メッキ層の表面に対して平行な結晶面の存在比をX線回折測定により特定された結晶面の面指数ピーク比で表したときに、(111)面強度に対する(200)面強度の比が50%以上であることを特徴とする、請求項7に記載の電磁波遮蔽シート。
  9. 前記銅メッキ層は、該銅メッキ層の表面に対して平行な結晶面の存在比をX線回折測定により特定された結晶面の面指数ピーク比で表したときに、(111)面強度に対する(220)面強度の比が50%以上であることを特徴とする、請求項7に記載の電磁波遮蔽シート。
  10. 前記銅メッキ層は、該銅メッキ層の表面に対して平行な結晶面の存在比をX線回折測定により特定された結晶面の面指数ピーク比で表したときに、(111)面強度に対する(200)面と(220)面の合計強度の比が70%以上であることを特徴とする、請求項7に記載の電磁波遮蔽シート。
  11. 透明基材の一方の面に、少なくとも、複数の開口部とこれを囲繞し区画するライン部を有するメッシュ状の導電体層が設けられており、該導電体層は金属層と、該金属層の該透明基材側又はその反対側のうち少なくとも一方に設けられた黒化層とを含む積層構造を有し、該黒化層は、ニッケルと銅と酸素を含む合金からなる黒化層(Ni−Cu−O黒化層)である電磁波遮蔽シートの製造方法であって、
    前記透明基材の一方の面に、該金属層としての金属メッキ層を形成する工程、酸素ガス存在下でNi−Cu合金をターゲットとするスパッタによってニッケルと銅と酸素を含む合金からなる黒化層(Ni−Cu−O黒化層)を形成する工程、及び、該導電体層に含まれるべき他の層を形成する工程を所定の順序で行なって、金属メッキ層とNi−Cu−O黒化層とを含む積層構造を有する非メッシュ状の導電体層を形成した後、
    該導電体層を前記所定のメッシュ形状にエッチングすることを特徴とする電磁波遮蔽シートの製造方法。
  12. 請求項1乃至10のいずれかに記載の電磁波遮蔽シートを用いていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用フィルター。
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