JP2008042025A - 光透過性電磁波シールド性窓材の製造方法 - Google Patents

光透過性電磁波シールド性窓材の製造方法 Download PDF

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秀史 小坪
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Abstract

【課題】可溶性ドット形成法を使用したメッシュ状の金属導電層を有し、該金属層の基板側に防眩層を設けることができる製造方法を提供する。
【解決手段】透明基材上にメッシュ状パターンのネガパターンの印刷層を形成する工程、透明基材上に防眩用インクを塗布し塗布層を形成する工程、防眩用インク塗布層を乾燥し、メッシュ状パターンの防眩層を形成する工程、防眩層が形成された透明基材上に、金属導電層を形成する工程、金属導電層が形成された透明基材の表面のネガパターン印刷層を溶解可能な溶媒を用いて洗浄し、印刷層及びその上の金属導電層を除去し、メッシュ状の金属導電層を形成する工程、を含み、且つ、前記防眩用インクが、次式:θ > 85°(但し、θはネガパターン印刷層の表面に対する防眩用インクの接触角である)の関係を満たすことを特徴とする製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)その他のディスプレイの前面フィルタ等に有用な光透過性電磁波シールド性窓材の製造方法、該方法により製造された光透過性電磁波シールド性窓材、及びその製造装置に関する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)には通常必ず前面フィルタが使用される。この前面フィルタは、近赤外線カット、色再現性向上(発光色純度向上)、電磁波シールド、明所コントラスト向上(反射防止)、発光パネルの保護、発光パネルからの熱遮断等を目的としている。
PDPの発光パネルの発する近赤外線は、家庭用テレビやビデオ等に使用されるリモコンに誤作動を与えることを避けるために、これを低減することが必要である。またPDPの発光パネルの発する電磁波は、人体や精密機器への悪影響を避けるためにこれを低減することも必要である。さらにPDPの発光パネルからの発光を、人間の視覚にとって自然な色に感じられるように、フィルタでの補正によって色再現性向上(発光色純度向上)の工夫も求められている。またディスプレイの表示は、明るい室内等の明所においても外部からの光の反射等によって妨げられることなく、十分なコントラストで視認されることが望ましい。さらにはディスプレイ製品に直接に手で触れたような場合でも、使用者がその高温に驚かされるような事態を避けるために、PDPの発光パネルの発する熱が遮断されることが求められている。また製品が容易に破損することを避けるために、発光パネルは保護され、万一破損したような場合であってもその破片が飛散しないことが望ましい。
上記の目的に沿った典型的なPDP用前面フィルタの構造としては、例えば、透明基板に、反射防止層、電磁波シールド層、色調補正フィルタ層、近赤外線カット層が積層されたものがあり、これが発光パネルの前面にフィルタとして設置される。この積層の順序は目的に応じて変更される。
このPDP用前面フィルタでは、光透過性電磁波シールド層は、光透過性と電磁波シールド性を両立することが必要である。そのために、例えば、微細なメッシュ構造を有する導電性の層が使用される。この導電性のメッシュの部分によって電磁波がシールドされ、同時に光の透過は前記の開口部分によって確保されることになる。
光透過性電磁波シールド層は、種々の方法により製造される。
例えば、導電性繊維を織って金網のような導電性メッシュを作成し、これを透明基板の間に介在させて一体化した構成とする方法がある。一般に、メッシュを構成する導電性繊維の線径が太いものは目が粗くなるため、目が細かいメッシュを得るには線径を細くすることになる。このため、良好な光透過性と視認性を得るためには、導電性繊維の細線化が必要となるが、これには非常に困難を伴う。
また、透明な金属膜を透明基板の全面に形成して透明導電性フィルムを形成する方法がある。このようにして光透過性と電磁波シールド性とを両立したものは電磁波シールド性をあまり高めることができず、また電磁波シールド層と筐体との導通を確保することが容易ではないという不都合がある。
このような方法に対して、特許文献1(特開2001−332889号公報)は、フィルム面に、溶剤に対して可溶な物質によってドットを形成し、該フィルム面に該溶剤に対して不溶な導電材料よりなる導電材料層を形成し、該フィルム面を該溶剤と接触させて該ドット及び該ドット上の導電材料層を除去することにより、メッシュ状の導電性パターンを有する電磁波シールド性光透過窓材を製造する方法を開示している。この方法によれば、上述の方法に比較して細線化が可能であり、比較的高い電磁波シールド性を得ることができる。
特開2001−332889号公報
本発明者等は、上述の特許文献1(特開2001−332889号公報)に記載の方法(可溶性ドット形成法)は、透明基板側に防眩層を設けることが容易ではないという問題点があることを見いだした。
すなわち、金属性の電磁波シールド層は、そのままでは金属光沢を有するために、窓材に使用する場合、特にディスプレイ用フィルタ等として使用する場合に、何の処理もしなければ金属光沢は利用者に見えてしまう。その結果、利用者に眩しさ等の不快感を与え、ディスプレイであればその表示品質を低下させることにつながる。そのため通常、金属性の電磁波シールド層では、金属光沢を隠すために防眩層の形成処理が行われる。一般的には、暗色系、特に黒色の層が防眩層として金属層の上に形成される。例えば、黒色インク等の防眩用インクの塗布処理や金属の酸化処理又は硫化処理等の黒化処理がこのために行われる。このような金属層の防眩処理は、金属層の両面に行うことが、特にディスプレイ用フィルタ等における表示品質向上のために好ましい。
しかし、電磁波シールドのための金属層を基板(基材)上に気相成膜法により形成する場合には、上記の黒化処理を、金属層の開放面側に行うことは比較的容易であるものの、金属層の基材側に行うことが非常に困難である。防眩用インクの塗布処理についても、金属層に塗布しようとする限りは同様に困難である。
そこで本発明者等は、金属層を形成する基材上にあらかじめ防眩用インクの塗布処理を行うことを試みてきた。しかし、特許文献1(特開2001−332889号公報)に記載の方法において開口部を確保するためには、溶剤可溶な物質によるドット形成後に、ドットの上から防眩用インクの塗布処理を行うことになる。結果として、ドットは防眩用インクの塗布層によって保護されて溶剤の浸透が不十分になってしまい、ドットとドット上の金属層とが除去されずに残存してしまう場合があることがわかった。本来除去されるべきドット上の金属層のこのような残存は、メッシュ状パターンの形成を不完全にしてしまい、光透過性電磁波シールド性窓材の光透過性、表示画面の均質性、視認性等のあらゆる性能に悪影響を及ぼす。また、このような金属層の残存は、製品の生産効率を低下させ、生産費用の増大につながる。
したがって、本発明の目的は、上述の可溶性ドット形成法を使用したメッシュ状の金属導電層を有する光透過性電磁波シールド性窓材を製造する方法であって、除去されるべき金属層の残存をもたらすことなく、金属層の基板側に防眩層を設けることができる製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上述の目的が、
メッシュ状の金属導電層を有する光透過性電磁波シールド性窓材を製造する方法であって、
透明基材上にネガパターン印刷用インクでメッシュ状パターンのネガパターンを印刷し、ネガパターン印刷層を形成する工程、
前記透明基材上に防眩用インクを塗布し、防眩用インク塗布層を形成する工程、
前記防眩用インク塗布層を乾燥し、メッシュ状パターンの防眩層を形成する工程、
前記防眩層が形成された透明基材上に、金属導電層を形成する工程、
前記金属導電層が形成された透明基材の表面を、ネガパターン印刷層を溶解可能な溶媒を用いて洗浄し、印刷層及びその上の金属導電層を除去し、メッシュ状の金属導電層を形成する工程、
を含み、且つ、
前記防眩用インクが、次式:
θ > 85°
(但し、θはネガパターン印刷層の表面に対する防眩用インクの接触角である)
の関係を満たすことを特徴とする製造方法によって達成されることを見いだした。
本発明者等の検討によれば、上記製造方法において、上記接触角の関係を満たす防眩用インクは、印刷されたドット(ネガパターン印刷層)上にいったんは塗布されてもそこからはじかれ、結果としてドット印刷されていない透明基材上にのみ集まって液層をなす。その結果、この液層は、金属導電層が気相成膜されるべきポジパターンを形成し、溶媒の乾燥後には金属導電層の成膜に適した防眩層となる。このようにして形成されたポジパターン状の防眩層と印刷ドット(ネガパターン印刷層)とを表面に備えた透明基材に対して気相成膜法により金属導電層を形成した後に、金属導電層が形成された透明基材の表面をネガパターン印刷層を溶解可能な溶媒を用いて洗浄すれば、ネガパターン印刷層及びその上の金属導電層は容易に除去されて、除去されるべき金属層が残存することはない。
また、本発明者等は、上述の目的が、
メッシュ状の金属導電層を有する光透過性電磁波シールド性窓材を製造する方法であって、
透明基材上にネガパターン印刷用インクでメッシュ状パターンのネガパターンを印刷し、ネガパターン印刷層を形成する工程、
前記透明基材上でネガパターン印刷層がない部分とその近傍に防眩用インクを印刷し、防眩用インク印刷層を形成する工程、
前記防眩用インク印刷層を乾燥し、メッシュ状パターンの防眩層を形成する工程、
前記防眩層が形成された透明基材上に、金属導電層を形成する工程、
前記金属導電層が形成された透明基材の表面を、ネガパターン印刷層を溶解可能な溶媒を用いて洗浄し、印刷層及びその上の金属導電層を除去し、メッシュ状の金属導電層を形成する工程、
を含み、且つ、
前記防眩用インクが、次式:
θ > 85°
(但し、θはネガパターン印刷層の表面に対する防眩用インクの接触角である)
の関係を満たすことを特徴とする製造方法によっても達成されることを見いだした。
本発明では、上記接触角は、JIS−R−3257−01(1999年)に従い測定される。上記接触角θは、130> θ > 85°を満足することが好ましい。
防眩用インクの塗布に代えて、格子状パターンにあわせた印刷を行うことにより、防眩用インクとして粘度の高い液体を使用する場合にも、本発明の優位性を発揮した実施が可能となる。
上記ネガパターン印刷用インクとして、水溶性樹脂を含むものが好ましい。水溶性樹脂としては、例えばポリビニルアルコール、水溶性アクリル樹脂が好ましく、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂が、ネガパターン印刷用インクの溶液全体に対して10〜30質量%の範囲にある濃度で含まれていることが好ましい。これにより、水、又は水とアルコールとの混合溶媒での洗浄除去が容易となる。
上記防眩用インクが、透明基材及び金属の両方に対して密着性良好な層(樹脂の層)を形成する成分を含むことが好ましい。密着性良好な樹脂層を形成する成分としては、例えばポリエステル樹脂2液硬化型である。
上記防眩用インクが、接触角を上昇させるために、すなわち表面張力を低下させるために、界面活性剤やシリコーン樹脂等を含むことができる。界面活性剤としては、例えばフッ素系界面活性剤が好ましい。
上記防眩用インクが、黒色顔料を分散して含むものは好ましく、黒色顔料としては、例えばカーボンブラック又は酸化鉄が好ましい。
上記防眩用インクが、溶媒として、芳香族系有機化合物、及び短鎖アルキル基を有するケトンを含むことが好ましく、例えば、芳香族系有機化合物がトルエンであり、短鎖アルキル基を有するケトンが2−ブタノンであることが好ましい。
上記金属導電層が、導電性の金属又は金属化合物を含むことが好ましく、導電性の金属としては、例えば銅が好ましい。金属導電層が、導電性の金属又は金属化合物の気相成膜法により形成されることが好ましく、気相成膜法として、例えば真空蒸着法が好ましい。 ネガパターン印刷層の剥離のために使用される前記溶媒が、水、又は水・アルコールの混合溶媒であることが好ましい。このような溶媒を用いることにより、蒸着による金属導電層を溶解することなく、ネガパターン印刷層の剥離を容易に行うことができる。
上記透明基材が、可とう性の透明樹脂として例えばPETフィルム又はPENフィルムであることが好ましい。また、上記透明基材が、自立性の透明基材として板ガラスであることが好ましい。
上記透明基材上に防眩用インクを塗布し、防眩用インク塗布層を形成する工程は、ダイレクトグラビアコートまたはマイクログラビアコートによって行うことができる。
上記透明基材上に防眩用インクを印刷し、防眩用インク塗布層を形成する工程は、グラビア印刷によって行うことができる。
上記メッシュ状の金属導電層をさらに電気メッキ処理して、メッシュ状の金属メッキ層を形成する工程、を含むことが本発明の製造方法において好ましい。
上記メッシュ状パターンの導電性インク層が、5〜40μmの線幅のメッシュを有し、透明基材面上の開口率が75〜95%であることが好ましい。
さらに本発明は、上記方法により製造された光透過性電磁波シールド性窓材にもある。
また本発明は、上記製造された光透過性電磁波シールド性窓材を含むディスプレイ用フィルタにもある。
本発明の製造方法によれば、可溶性ドット形成法を使用したメッシュ状の金属導電層を有する光透過性電磁波シールド性窓材を製造する方法において、除去されるべき金属層の残存をもたらすことなく、金属層の基板側(透明基材側)に防眩層を設けることができる。
本発明の製造方法によれば、除去されるべきドット上の金属層の残存がないために、メッシュ状パターンが乱れることなく、それにより光透過性電磁波シールド性窓材の光透過性、外観の均質性、視認性等の性能に悪影響が及ぼされることもない。したがって、本発明の製造方法によれば、金属層の透明基材側に防眩層を設けて、優れた防眩性とそれによる高い視認性を備えた窓材を、その他の品質を損なうことなく、製品の生産効率を低下させることなく、簡易な方法で得ることができる。
本発明の光透過性電磁波シールド性窓材の製造方法、該方法により製造された光透過性電磁波シールド性窓材について、以下に詳細に説明する。
本発明の製造方法によれば、透明基材側に防眩層が設けられ、パターンの乱れのないメッシュ状の金属導電層を容易に得ることができる。したがって得られる光透過性電磁波シールド性窓材は上述したような優れた防眩性(光の低反射性)、光透過性、視認性、電磁波シールド性を同時に備えたものである。
本発明の製造方法の説明に先立って、特許文献1(特開2001−332889号公報)に記載の方法(可溶性ドット形成法)について、図を用いて説明する。
図3は、可溶性ドット形成法による製造の流れの一例を光透過性電磁波シールド性窓材の断面を示しつつ説明した説明図である。透明フィルム31上に、水溶性インキで印刷してメッシュのネガパターンである印刷ドット32を形成する(図3中の矢印で示された工程3a)。これに金属(例えば銅)を薄く蒸着して、金属薄膜33を形成する(工程3b)。さらに水溶性インクによる印刷ドット32を洗浄除去することで、同時にドット状の金属薄膜を除去してメッシュのポジパターンの金属薄膜(メッシュ状の金属導電層)34を得る(工程3c)方法である。
本発明の製造方法は、上述の可溶性ドット形成法において、製造方法の簡易さとメッシュ状パターンの金属導電層の精緻さを損なうことなく、金属導電層の透明基材側に防眩層を設けることを可能にした方法である。本発明の製造方法は、例えば以下のように行うことができる。以下に本発明の製造方法の一例を図を用いて説明する。
図1は、本発明の製造方法による製造の流れの一例を、光透過性電磁波シールド性窓材の断面を示しつつ説明した説明図である。透明基材として透明フィルム11上に、水溶性インキ(ネガパターン印刷用インク)で印刷して、メッシュのネガパターンである印刷ドット12を形成する(図1中の矢印で示された工程1a)。印刷ドット12が形成された側の表面上に、グラビアコーターで防眩用インクを塗布して、防眩用インク塗布層13aを形成する(工程1b)。防眩用インク塗布層13aは、防眩用インクが印刷ドット12の表面ではじかれることにより透明基材の表面が露出していた部分に自然に集まり(工程1c)、これを乾燥させると収縮して透明基材の表面上で印刷ドットがない部分に、メッシュ状パターンの防眩層13cが形成される(工程1d)。次に、この防眩層13cが形成された透明基材上に、金属(例えば銅)を薄く蒸着して、金属導電層14を形成する(工程1e)。次に、水溶性インクによる印刷ドット12を、水等の溶媒で洗浄して除去することで、同時に印刷ドット12の直上部分の金属導電層14をドット状に除去して、メッシュのポジパターンの金属薄膜(メッシュ状の金属導電層)15を得る(工程1f)。この製造方法により、メッシュ状パターンの金属導電層の精緻さを損なうことなく、防眩層を設けることができる。
本発明の製造方法においては、図1を用いて説明したように、塗布した防眩用インクが印刷ドット(ネガパターン印刷層)にはじかれて、印刷ドットに覆われていない透明基材表面上の露出部分に自然に集まってくることにより、その後にただ乾燥させるだけで、正確なメッシュ状パターンの防眩層を形成することができる。そのために、印刷ドットが防眩用インクに被覆されて後の洗浄用溶媒の浸透を妨げることがない。この優れた特徴は、防眩用インクが、次式:
θ > 85°
(但し、θはネガパターン印刷層の表面に対する防眩用インクの接触角である)
を満たすことによりもたらされたものである。
しかし、本発明者等の検討によると、防眩用インクとして、粘度が高いものや乾燥の早いものを使用することを所望する場合には、上記の条件を満たしていてもなお、防眩用インクをただ塗布したのみでは印刷ドット上からはじかれにくい場合があることがわかった。このような場合の対処として、本発明の製造方法の優れた特徴を生かしつつ、防眩層を形成するためには、既に述べたように、大まかな位置あわせをしつつ防眩用インクを印刷する方法が好適であることを、本発明者等はさらに見いだした。以下に、防眩用インクの塗布に代えて印刷を行うことによる、本発明の製造方法の別な一例について、図を用いて説明する。
図2は、本発明の製造方法による製造の流れの別な一例を、光透過性電磁波シールド性窓材の断面図及び正面図を示しつつ説明した説明図である。図2の左側の図は光透過性電磁波シールド性窓材の断面図によって製造の流れを説明している。図2の左側の各図に対応させて、それぞれを上方から見た図(正面図)を図2の右側に示している。
図2の左側の図の流れに基づいて以下に説明をする。透明基材として透明フィルム21上に、水溶性インキ(ネガパターン印刷用インク)で印刷して、メッシュのネガパターンである印刷ドット22を形成する(図2中の矢印で示された工程2a)。印刷ドット22が形成された側の表面上に、グラビア印刷機で検討合わせをしつつ、防眩用インクを印刷して、防眩用インク印刷層23aを形成する(工程2b)。この印刷は、防眩用インクを透明基材上でネガパターン印刷層(印刷ドット)がない部分とその近傍を覆うように印刷する。この場合に印刷部分の端が印刷ドットの上面の端を少し覆っていたとしても問題はない。すなわち、大まかな位置合わせによって印刷をすることができる。このように印刷して形成された防眩用インク印刷層23aは、粘性が高くてもなお、印刷ドット22からはじかれるような挙動を示すために、これを乾燥すると収縮して、透明基材の表面上で印刷ドットがない部分に、メッシュ状パターンの防眩層23bが形成される(工程1c)。ただし、この場合にも印刷ドット22の表面上の端には、防眩用インク残渣物23dがごくわずかに残る場合がある。この防眩層23bと防眩用インク残渣物23dが形成された透明基材上に、金属(例えば銅)を薄く蒸着して、金属導電層24を形成する(工程2d)。次に、水溶性インクによる印刷ドット22を、水等の溶媒で洗浄して除去することで、同時に印刷ドット22の直上部分の金属導電層24をドット状に除去して、メッシュのポジパターンの金属薄膜(メッシュ状の金属導電層)25を得る(工程2e)。防眩用インク残渣物23dは、印刷ドットの端にあるのみであり、この洗浄除去の処理では障害とはならない。この製造方法により、防眩用インクとして、粘度が高いものを使用する場合にも、メッシュ状パターンの金属導電層の精緻さを損なうことなく、防眩層を設けることができる。
上記の透明基板の材質としては、透明(「可視光に対して透明」を意味する)であれば特に制限はないが、例えば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、トリアセテート樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等が挙げられる。これらの中でも、加工時の負荷(熱、溶剤、折り曲げ等)に対する耐性が高く、透明性が特に高い等の点で、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が好ましい。また、自立性の基材を使用する場合には、板ガラスを好適に使用できる。
透明基板の厚みとしては、電磁波シールド性光透過窓材の用途等によっても異なるが、一般的には1μm〜5mm程度が好ましい。
上記のネガパターン印刷用インクには、溶媒に可溶な印刷ドットを形成するように、溶剤に可溶な物質を選択して使用する。従って、ネガパターン印刷用インクは、一般に、後の除去に用いる溶媒との関係で相対的に選択する。例えば、溶媒として水系溶媒を用いる場合には水溶性のインクが用いられ、溶媒として油系溶媒を用いる場合には油溶性のインクが用いられる。溶媒としては、公知の有機溶媒等も挙げられるが、安価で、環境への影響を考慮し、また本発明における防眩用インクとの組み合わせを考慮すると、水が特に好ましい。水としては、通常の水(水道水、蒸留水、イオン交換水等)のほか、酸、アルカリ、界面活性剤等を含んだ水溶液であってもよい。
上記の溶媒が水である場合、水溶性のインクに使う物質としては、水溶性樹脂等が好ましく、特に、良好な水溶性を有する点で、ポリビニルアルコール、水溶性アクリル樹脂が好ましい。ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂は、ネガパターン印刷用インクの溶液全体に対して10〜30質量%の範囲、好ましくは15〜25質量%の範囲にある濃度で含まれることが好ましい。ネガパターン印刷用インクには、所望により、仕上がり状況を確認し易くするために顔料や染料等を混合してもよい。
ネガパターン印刷用インクによるネガパターンの形成法としては、印刷以外の方法によっても、ネガパターン印刷層と同様の層を形成することができる方法であれば、使用することができるが、線幅が小さくかつ開口率の高い導電層等を形成可能な点で、印刷が好ましい。該印刷手法としては、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、静電印刷等が挙げられ、これらの中でも、より導電層等の細線化が可能な点で、グラビア印刷が特に好ましい。各印刷手法に適した印刷機を使用することができる。尚、「開口率」とは、格子状の防眩層及び導電層における格子の線幅、及び、1インチ幅に存在する格子(線)の数から、計算により求めた値である。
ネガパターンの形状としては、特に制限はなく、円、楕円、角形(四角形など)等のドット状のほか、ライン状等が挙げられる。このうち、格子状の導電層が好適に形成され、開口率がより高く格子の線幅がより均一となる点で、四角形のドット状ものが好ましく、正方形のドット状が特に好ましい。該ドットが四角形の場合、その一辺の長さとしては、100〜500μmの範囲、特に150〜400μmの範囲にあるものが好ましく、ドット間の間隙としては、5〜40μmの範囲、特に10〜30μmの範囲のものが好ましい。より線幅の小さい格子状の導電層等を形成し得る点では、ドット間の間隙は狭いほうが好ましい。形成されたネガパターン(ドット)の厚みとしては、透明基材を金属薄膜の形成から保護し、且つ後に洗浄除去可能な厚みであれば特に制限はないが、0.1〜5μmの範囲にある厚みが好ましい。
ネガパターン印刷用インクには、導電性微粒子等を分散させる必要がないため、該パターンの形成に用いる材質は低粘度である。従って、前述のようにパターン間の間隙を極めて小さくしたパターンが形成される。パターン間の領域は、防眩層及び導電層が形成される領域となるため、本発明においては、線幅が小さく、微細で精密で、開口率の高いメッシュ状パターンが好適に形成される。
防眩用インクは、次式:
θ > 85°
(但し、θはネガパターン印刷層の表面に対する防眩用インクの接触角である)
を満たし、ネガパターン印刷層(印刷ドット)の洗浄除去に使用する溶媒に不溶であって、透明基材及び金属導電層との密着性良好な防眩層を形成するものであれば、使用することができる。
防眩用インクは、暗色又は黒色、特に黒色の防眩層を形成するものが好ましく、このために防眩用インクは、暗色又は黒色の顔料、染料及び/又は色素等を分散させて含むことが好ましい。好適な顔料、染料又は色素等は、ネガパターン印刷層(印刷ドット)の洗浄除去に使用する溶媒によっても異なるが、該洗浄除去用溶媒に水、又は水・アルコールの混合溶媒を使用する場合には、防眩用インクには、特に、黒色顔料、例えばカーボンブラック、アニリンブラック、酸化鉄、黒鉛、硫化ニッケル、硫化銅、硫化銀、硫化鉛等を含むことが好ましく、特に、遮光性の点から、カーボンブラック、酸化鉄、中でもカーボンブラックを含むことが好ましい。電磁波シールド性の向上のために、防眩層に導電性の物質を分散させることもできる。
防眩用インクは、乾燥後の安定性と、透明基材及び金属導電層との密着性を確保するために、バインダ樹脂を含むことが好ましい。バインダ樹脂として、例えば熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等を使用することができる。バインダ樹脂としては、Tgが−20〜+50℃の範囲にあるものを好適に使用することができ、特にポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂など1種又は2種以上を主原料とし、イソシアネート基を2個以上有する多官能イソシアネート化合物により架橋してなる2液硬化型材料を使用することが好ましい。特に好ましいのは、2液硬化型ポリエステル樹脂材料である。
防眩用インクには、ネガパターン印刷層(印刷ドット)を溶解させないような適切な溶媒を使用することができる。ネガパターン印刷層(印刷ドット)が水溶性のインクにより印刷された場合には、防眩用インクの溶媒としては例えば、トルエン、MEK、酢酸エチル等を使用することができる。この中でも、芳香族系有機化合物、及び短鎖アルキル基を有するケトンを含むことが好ましく、例えば、芳香族系有機化合物としてトルエン、短鎖アルキル基を有するケトンとして2−ブタノンが好ましい。また、特に溶解性の点から特にトルエンおよびMEKが防眩用インクの溶媒として好ましい。
防眩用インクは、上述した接触角条件を満たすように選択されるが、使用されるネガパターン印刷層の表面に対する接触角を増大させるために、界面活性剤やシリコーン樹脂等を添加することができる。
防眩用インクは、形成する防眩層の厚みによってその塗布又は印刷の厚みを変えることができる。形成される防眩層の厚みは、防眩性の発揮に十分な厚みであって透明基材とメッシュ状の金属導電層との密着性を確保できる厚みであれば使用することができ、一般に100〜10000Åの範囲にあることが好ましく、300〜10000Åの範囲にあることがより好ましい。前記厚みが、100Å未満であると、光の反射防止効果が充分でないことがある一方、10000Åを超えると、斜視した際の見かけ上の開口率が低下することがある。
防眩用インクを塗布処理する場合には、一般的な塗布方法を使用することができ、例えばグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、マイクログラビアコート、ダイコート、リップコート、ロールリバースコート、ワイヤーバーコート、キスコート等を使用することができる。工程速度の点から、ダイレクトグラビアコートまたはマイクログラビアコートを使用することが好ましい。各コート方法に適したコーターを使用することができる。
上記金属導電層としては、ネガパターン印刷層(印刷ドット)の洗浄除去用溶剤に不溶であれば特に制限はないが、例えば、アルミニウム、ニッケル、インジウム、クロム、金、バナジウム、スズ、カドミウム、銀、プラチナ、銅、チタン、コバルト、鉛等の金属、合金、或いはITO等の導電性酸化物等を含んでいるものが好ましい。
金属導電層の厚みとしては、0.5〜100μm程度が好ましい。前記厚みが、0.5μm未満であると、電磁波シールド性能が充分でないことがある一方、100μmを超えると、得られる電磁波シールド性光透過窓材の厚みに影響を及ぼすと共に、視野角を狭くしてしまうことがある。
金属導電層の形成方法としては、特に制限はないが、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、化学蒸着等の気相メッキ法(気相成膜法)や、液相メッキ(液相成膜法)(例えば、電解メッキ、無電解メッキ等)、印刷、塗布等が挙げられるが、気相メッキ(例えば、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、化学蒸着等)が好ましい。特に、真空蒸着法は、形成速度の点から好適に使用可能である。金属導電層の形成の後、所望により、金属導電層上に防眩層を更に形成することにより、導電層の両側に防眩層が形成された電磁波シールド性光透過窓材を製造してもよい。
ネガパターン印刷用インク(印刷ドット)の洗浄除去においては、ネガパターン印刷層を溶解可能な溶媒を用いて、ネガパターン印刷層と、ネガパターン印刷層上に形成された金属導電層、及び場合により残存している防眩用インク残渣物とを好適に取り除くことができる方法を使用すれば特に制限はない。該洗浄の際には、所望により、超音波照射ブラシ、スポンジ等の溶解促進手段等を併用してもよい。前記除去により、溶媒に可溶な物質で形成されたドットパターンが溶解し、更に、該ドットパターン上に形成された金属導電層と場合により残存している防眩用インク残渣物がパターンの溶解に伴い剥離し、パターン間の領域に形成された金属導電層及び防眩層のみが剥離せずに残存し、所望により仕上げ洗浄(リンス)し、乾燥させることにより、格子状の防眩層及び金属導電層が透明基材上に形成された電磁波シールド性光透過窓材が得られる。
上記のメッシュ状の金属導電層は、所望によりさらに増厚することもできる。増厚により、さらに優れた電磁波シールド性を得ることができる。金属導電層を増厚する処理は、メッキ処理、特に電気メッキ処理で行うことが好ましい。電気メッキされる金属としては、一般に銅、銅合金、ニッケル、アルミ、銀、金、亜鉛又はスズ等を使用することが可能であり、好ましくは銅、銅合金、銀、又はニッケルであり、特に経済性、導電性の点から、銅又は銅合金を使用することが好ましい。増厚は、金属導電層全体として適切な電磁波シールド性を達成する厚みを形成するためになされるので、メッシュ状の金属導電層の厚みによって、適切な増厚の厚みは変化するが、一般に1〜10μmの範囲であり、2〜8μmの範囲が好ましい。特に銅による処理の場合には、3〜6μmの範囲とすることが好ましい。金属導電層の厚さが1μm未満では電磁波シールド性が不十分であり、メッキ厚が10μmを超えるとメッキ層が幅方向に広がりやすくなり、線幅が太くなるために開口率を低下させる傾向にある。
本発明の製造方法により得られた光透過性電磁波シールド性窓材を電磁波シールド層として使用することにより、光透過性、電磁波シールド性及び視認性、さらに生産性に優れたディスプレイ用フィルタを製造することができる。例えば、PDP用フィルタは、通常の製造方法により、透明基板上に、反射防止層、本発明により得られる光透過性電磁波シールド性窓材(電磁波シールド層)、色調補正フィルター層、近赤外線カット層を積層して得ることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
透明基材として、PETフィルム(厚み250μm、帝人株式会社製、Sグレード)を用意した。ネガパターン印刷インクとして、ポリビニルアルコールの20%水溶液を用意した。フィルム上に、スクリーン印刷によりこのネガパターン印刷インクをドット状に印刷した。ドット1個の大きさは、1辺が234μmの正方形状で、ドット同士の間隔は20μmであった。ドットは格子状になるように規則的に配列させて印刷した。印刷ドット(ネガパターン印刷層)は、乾燥後に約2μmの厚みであった。
防眩用インクとして、次の組成の黒色インクを用意した。
ポリエステル樹脂系2液硬化型アンカーコート剤 (AD335A/CAT−10L、東洋モートン製) 100質量部
カーボンブラック 30質量部
トルエン 200質量部
2−ブタノン 200質量部
この黒色インクを、上述のドット印刷後の透明基材上に、グラビアコーターを使用して塗布した。塗布された黒色インクは、ドット印刷部分の上からははじかれて、その結果、黒色インクは、ドット印刷されずに残っていた透明基材の露出していた部分にのみ集まって残ることが観察された。塗布された黒色インクは、乾燥後に約300Åの厚みとなり、メッシュ状パターン(ポジパターン)の防眩層を形成した。
上記ネガパターン印刷層の表面に対する防眩用インクの接触角は105度であった(JIS−R−3257−01(1999年)に従い測定)。
上述のように得られたネガパターン印刷層(印刷ドット)と防眩層を備えた透明フィルム上に、銅を平均膜厚1000Åとなるように真空蒸着した。次いで、全体を常温の水に浸漬して、スポンジで擦ることにより印刷ドットとその上の銅層とを除去した。数回水洗した後に、乾燥して、光透過性電磁波シールド性窓材を得た。得られた窓材のフィルム上の銅層のパターンは、印刷ドットに対応したポジパターンであるメッシュ状パターンであり、線幅は約20μm、開口率は77%であった。このメッシュ状パターンは、上述の防眩層のパターンに正確に重なって一致するものであった。
[実施例2]
実施例1と同様に、ネガパターン印刷インクをドット状に印刷したPETフィルムを得た。
防眩用インクとして、次の組成の黒色インクを用意した。
ポリエステル樹脂系2液硬化型アンカーコート剤 (AD335A/CAT−10L、東洋モートン製) 100質量部
カーボンブラック 50質量部
トルエン 100質量部
2−ブタノン 100質量部
この黒色インクを、上述のドット印刷後の透明フィルム上に、グラビア印刷機で見当合わせを行いながら格子状(メッシュ状)に印刷した。格子状の印刷は、透明フィルム上でドット印刷されずに残った透明フィルムの露出部分がなしている格子と重なるように、線幅約50μm、線間隔約204μmの格子を印刷することにより行った。印刷された黒色インクは、ドット印刷部分の上からははじかれて、その結果、ほとんどの黒色インクは、ドット印刷されずに残っていた透明基材の露出していた部分に集まって残ること、ただし、黒色インクの一部は、ドット印刷部分の外縁にわずかな幅で付着していることが観察された。塗布された黒色インクは、乾燥後に約200Åの厚みとなり、メッシュ状パターン(ポジパターン)の防眩層を形成した。なお、ドット印刷部分の外縁にわずかな幅で付着した黒色インクは、乾燥後にもその位置に残っていた。
上記ネガパターン印刷層の表面に対する防眩用インクの接触角は105度であった(JIS−R−3257−01(1999年)に従い測定)。
上述のように得られたネガパターン印刷層(印刷ドット)と防眩層を備えた透明フィルム上に、銅を平均膜厚1000Åとなるように真空蒸着した。次いで、全体を常温の水に浸漬して、スポンジで擦ることにより印刷ドットとその上の銅層とを除去した。ドット印刷部分の外縁にわずかな幅で付着した黒色インクも、印刷ドットと共にこの時に完全に除去することができた。数回水洗した後に、乾燥して、光透過性電磁波シールド性窓材を得た。得られた窓材のフィルム上の銅層のパターンは、印刷ドットに対応したポジパターンであるメッシュ状パターンであり、線幅は約20μm、開口率は77%であった。
[比較例1]
実施例1と同様に、ネガパターン印刷インクをドット状に印刷したPETフィルムを得た。次に、このフィルムに対して黒色インクの印刷をすることなく、すぐに銅の真空蒸着を実施例1と同様に行った。そして、実施例1と同様に水洗除去処理をした後に、乾燥して、光透過性電磁波シールド性窓材を得た。
得られた窓材のフィルム上の銅層のパターンは、印刷ドットに対応したポジパターンであるメッシュ状パターンであり、線幅は約20μm、開口率は77%であった。
[結果]
上記実施例1、実施例2及び比較例1によって得られた光透過性電磁波シールド性窓材の透明基材側からの可視光反射率を以下のように測定した。結果を表1に示す。日立分光光度計(U−4000;「日立製作所社製」)を用い、波長550nmの光の5°正反射測定を行い、鏡面ミラーの反射率を100%としてサンプルの可視光反射率を求めた。
Figure 2008042025
実施例1及び実施例2の光透過性電磁波シールド性窓材は、比較例1の三分の一程度にまで反射率の低減されたものとなっていた。また、本発明の製造方法で使用する防眩用インクではない黒色インクを使用して、印刷ドット上にも一様に黒色インクを印刷した上で同様に光透過性電磁波シールド性窓材を形成しようとしたが、金属導電層の剥離が不十分であったり、または密着が不十分であったために、十分に均質なメッシュ状の金属導電層を得ることができなかった。
図1は、本発明の製造方法の流れの一例の説明図である。 図2は、本発明の製造方法の流れの別な一例の説明図である。 図3は、従来の可溶性ドット形成法による製造の流れの一例の説明図である。
符号の説明
11 透明フィルム
12 メッシュのネガパターンである印刷ドット
13a 防眩用インク塗布層
13c メッシュ状パターンの防眩層
14 金属導電層
15 メッシュのポジパターンの金属薄膜(メッシュ状の金属導電層)
21 透明フィルム
22 印刷ドット
23a 防眩用インク印刷層
23b メッシュ状パターンの防眩層
23d 防眩用インク残渣物
24 金属導電層
25 メッシュのポジパターンの金属薄膜(メッシュ状の金属導電層)
31 透明フィルム
32 印刷ドット
33 金属薄膜
34 メッシュのポジパターンの金属薄膜(メッシュ状の金属導電層)

Claims (26)

  1. メッシュ状の金属導電層を有する光透過性電磁波シールド性窓材を製造する方法であって、
    透明基材上にネガパターン印刷用インクでメッシュ状パターンのネガパターンを印刷し、ネガパターン印刷層を形成する工程、
    前記透明基材上に防眩用インクを塗布し、防眩用インク塗布層を形成する工程、
    前記防眩用インク塗布層を乾燥し、メッシュ状パターンの防眩層を形成する工程、
    前記防眩層が形成された透明基材上に、金属導電層を形成する工程、
    前記金属導電層が形成された透明基材の表面を、ネガパターン印刷層を溶解可能な溶媒を用いて洗浄し、印刷層及びその上の金属導電層を除去し、メッシュ状の金属導電層を形成する工程、
    を含み、且つ、
    前記防眩用インクが、次式:
    θ > 85°
    (但し、θはネガパターン印刷層の表面に対する防眩用インクの接触角である)
    の関係を満たすことを特徴とする製造方法。
  2. メッシュ状の金属導電層を有する光透過性電磁波シールド性窓材を製造する方法であって、
    透明基材上にネガパターン印刷用インクでメッシュ状パターンのネガパターンを印刷し、ネガパターン印刷層を形成する工程、
    前記透明基材上でネガパターン印刷層がない部分とその近傍に防眩用インクを印刷し、防眩用インク印刷層を形成する工程、
    前記防眩用インク印刷層を乾燥し、メッシュ状パターンの防眩層を形成する工程、
    前記防眩層が形成された透明基材上に、金属導電層を形成する工程、
    前記金属導電層が形成された透明基材の表面を、ネガパターン印刷層を溶解可能な溶媒を用いて洗浄し、印刷層及びその上の金属導電層を除去し、メッシュ状の金属導電層を形成する工程、
    を含み、且つ、
    前記防眩用インクが、次式:
    θ > 85°
    (但し、θはネガパターン印刷層の表面に対する防眩用インクの接触角である)
    の関係を満たすことを特徴とする製造方法。
  3. 前記ネガパターン印刷用インクが、水溶性樹脂を含む、請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコールである、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記水溶性樹脂が、水溶性アクリル樹脂である、請求項3に記載の製造方法。
  6. 前記水溶性樹脂が、ネガパターン印刷用インクの溶液全体に対して10〜30質量%の範囲にある濃度で含まれている、請求項3〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記防眩用インクが、透明基材及び金属の両方に対して密着性良好な層を形成する成分を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記密着性良好な層を形成する成分が、ポリエステル樹脂2液硬化型である、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記防眩用インクが、接触角を上昇させるために界面活性剤を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記防眩用インクが、黒色顔料を分散して含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記黒色顔料が、カーボンブラック又は酸化鉄である、請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記防眩用インクが、溶媒として、芳香族系有機化合物、及び短鎖アルキル基を有するケトンを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 前記芳香族系有機化合物がトルエンであり、短鎖アルキル基を有するケトンが2−ブタノンである、請求項12に記載の製造方法。
  14. 前記金属導電層が、導電性の金属又は金属化合物を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
  15. 前記導電性の金属が、銅である、請求項14に記載の製造方法。
  16. 前記金属導電層が、導電性の金属又は金属化合物の気相成膜法により形成される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の製造方法。
  17. 前記気相成膜法が、真空蒸着法である、請求項16に記載の製造方法。
  18. ネガパターン印刷層の剥離のために使用される前記溶媒が、水、又は水・アルコール混合溶媒である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の製造方法。
  19. 前記透明基材が、PETフィルム又はPENフィルムである、請求項1〜18のいずれか1項に記載の製造方法。
  20. 前記透明基材が、板ガラスである、請求項1〜19のいずれか1項に記載の製造方法。
  21. 前記透明基材上に防眩用インクを塗布し、防眩用インク塗布層を形成する工程が、ダイレクトグラビアコートまたはマイクログラビアコートによって行われる、請求項1、又は請求項3〜20のいずれか1項に記載の製造方法。
  22. 前記透明基材上でネガパターン印刷層がない部分とその近傍に防眩用インクを印刷し、防眩用インク印刷層を形成する工程が、グラビア印刷によって行われる、請求項2〜21のいずれか1項に記載の製造方法。
  23. 前記メッシュ状の金属導電層をさらに無電解メッキまたは電気メッキ処理して、メッシュ状の金属メッキ層を形成する工程、を含む請求項1〜22のいずれか1項に記載の製造方法。
  24. 前記メッシュ状パターンの導電性インク層が、5〜40μmの線幅のメッシュを有し、透明基材面上の開口率が75〜95%である請求項1〜23のいずれか1項に記載の製造方法。
  25. 請求項1〜24のいずれか1項に記載の製造方法により製造された光透過性電磁波シールド性窓材。
  26. 請求項25に記載の光透過性電磁波シールド性窓材を含むディスプレイ用フィルタ。
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