JP2008224242A - 光検出素子及びそれを用いた発光素子試験装置 - Google Patents

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義磨郎 藤井
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坂本  明
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Abstract

【課題】 レーザ光の幅広い波長領域に渡って、発光素子の評価試験を精度よく行なうことができるとともに、装置の小型化と低コスト化に資することのできる光検出素子と、それを用いた発光素子試験装置を提供する。
【解決手段】 第1導電型の半導体基板101と、半導体基板の上面の一部に形成された第2導電型の不純物半導体領域104と、第2導電型の不純物半導体領域の上面側の受光面に、多数の開口を有する積層体を備え、積層体は、下層を形成する光反射性金属膜106、及び上層を形成して表面の多数の凹凸により光反射を低減する光無反射性のメッキ黒色膜107から成ることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、光検出素子及びそれを用いた発光素子試験装置に関する。
半導体レーザの特性評価試験、信頼性評価試験を行う際には、発光素子である複数のレーザダイオードをエージング装置といわれる装置内に配置し、各レーザダイオードに通電すると共に、各レーザダイオード毎に、出力をモニタ用ホトダイオードで受光している。ところで、近年、レーザダイオードは高出力化(〜1W)されているが、ホトダイオード側では測定対象となるレーザダイオードからの入射光強度が強いと、ある入射光強度において信号出力が飽和してしまい、正確なレーザダイオード光強度の検出ができないという問題がある。そこで、例えば、特許文献1では、ホトダイオード側での検出出力の飽和を防止し、入射光強度との間のリニアリティを十分確保して正確なモニタリングを行うために、ホトダイオードの前方に減光のための光学フィルタであるNDフィルタを介在させて、モニタ光を検出している。
しかしながら、NDフィルタをレーザダイオードの光軸に対して垂直な面に配置すると、NDフィルタ表面でレーザダイオード光が反射して、その反射光がレーザダイオードに戻ってレーザダイオードの動作が不安定になり、評価試験を精度よく行うことができないという問題が生じる。そのため、NDフィルタの表面に対する法線を、レーザダイオードのレーザ光出射面から出射されるレーザ光の光軸に対して所定角度傾けて配置することで、NDフィルタの表面で反射されたモニタ光が、戻り光としてレーザ光出射面に入射するのを防止することができる。ところが、このような構成では、NDフィルタを斜めにして配置させる為の空間がレーザダイオードとホトダイオード間に必要であり、装置が大型化し、また、アセンブリが複雑になるとともにコストが高くなるという欠点も有していた。さらに、複数のレーザダイオードを並列配置して同時に試験を行うため、NDフィルタが所定角度で傾斜していると、フィルタ表面での反射された反射光が隣接するチャンネルのレーザダイオードに戻ってしまうという事態も生じる。
そこで、本発明者らは、レーザダイオードの評価試験を精度よく行なえるとともに、小型化と低コスト化が可能な光検出素子及びそれを備えた発光素子検出装置として、特許文献2及び3の技術を開発してきた。特許文献2においては、ホトダイオードの受光面の上面側に、多数の微細開口を備えた黒色樹脂から成る光吸収膜を形成し、特許文献3では、多数の微細開口を備えたAl−Si−Cu層とTiNi層の積層体から成る光吸収膜を形成するものである。
その一例として、特許文献2におけるホトダイオードをその断面図である図10によって説明する。ホトダイオード10’は、第1導電型のシリコンからなる半導体基板101’と、その上面の一部分に形成された第2導電型の不純物半導体領域104’と、その上面側に形成された絶縁膜105’とを有している。第2導電型の不純物半導体領域104’の周囲には、高濃度の第1導電型の不純物半導体領域102’が形成されており、基板101’の下面には高濃度の第1導電型の不純物半導体層103’が形成されている。第1導電型の不純物半導体領域102’と第2導電型の不純物半導体領域104’のそれぞれに電極パッド10E’が設けられている。そして、第2導電型の不純物半導体領域104’の上面側の受光面には、絶縁膜105’を介して、黒色樹脂から成る光吸収膜110’が形成されている。この光吸収膜110’には、モニター光Lの一部を透過させるための多数の孔状の微細開口110a’が形成されている。
レーザダイオードから出射されるモニタ光Lは、ほとんどが黒色樹脂層からなる光吸収膜110’に吸収されてしまい、一部のみ微細開口110a’を介して光入射面に到達し、ホトダイオード10’内部で光電流に変換される。受光面全体に対する微細開口110a’の面積の総和の比率である開口率を設定することで、ホトダイオード10’の受光感度と飽和特性を調節できる。このため、許容の受光強度を超えた入射光強度に対して受光出力が飽和することはなく、レーザダイオードの出力の正確なモニタが可能となる。例えば、開口率を10%とした場合、従来の開口率100%の通常のホトダイオードに対し、光電流が10分の1となり、飽和点を上げてリニアリティを10倍に向上できた。しかも、光吸収膜110’の表面での反射光は少なく、半導体レーザダイオードの光出射端面への戻り光を抑制することができた。さらに、光検出素子の受光部に減光のための微細開口を備えた光吸収膜を形成する構成であるために、NDフィルタ等を設ける必要がなく、装置の小型化とコスト削減も達成できている。
特開平10−19663号公報 特開2006−170729号公報 特開2007−27206号公報
ところが、特許文献2に記載の黒色樹脂の光吸収膜を備えた光検出素子においては、入射光の波長が900nm以上の長波長では、黒色樹脂膜の部分でのレーザ光の透過率が1%を超えてしまい、また、波長が400nm以下の短波長を照射し続けると黒色樹脂膜が損傷することもあり、レーザ光における幅広い波長領域には対応することができないという問題が新たに生じた。さらに、樹脂膜であることから、高温時の耐性も問題となる。また、特許文献3に記載の光吸収膜を備えた光検出素子においては、Al−Si−Cu層とTiNi層の積層体の部分でのレーザ光透過率は、ほぼ0%にできるものの、波長が400nm近辺でのレーザ光の反射率が約20%、850nm近辺での反射率が約50%と大きな値となり、やはり、レーザ光における幅広い波長領域には対応することができないという問題が新たに生じた。
そのため、本発明者らは、特許文献2及び3の発明において達成することのできた特長を備えた上で、新たに生じた問題点を解決するために、鋭意開発を重ねた結果、光検出素子の受光部に配する多数の微細開口を備えた積層体を、下層を光反射性の金属膜として光の透過をほぼ完全に防止するとともに、上層を光無反射性のメッキ黒色膜とすることで、上記の問題点を解決できるとの知見を得て、本願発明をなし得たものである。
すなわち、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、レーザ光の幅広い波長領域に渡って、発光素子の評価試験を精度よく行なうことができるとともに、装置の小型化と低コスト化に資することのできる光検出素子と、それを用いた発光素子試験装置を提供することを目的とする。
本発明に係る光検出素子は、第1導電型の半導体基板と、半導体基板の上面の一部に形成された第2導電型の不純物半導体領域と、第2導電型の不純物半導体領域の上面側の受光面に、多数の開口を有する積層体を備え、積層体は、下層を形成する光反射性金属膜、及び上層を形成して表面の多数の凹凸により光反射を低減する光無反射性のメッキ黒色膜から成ることを特徴とする。
本発明の光検出素子によれば、第1導電型の半導体基板と、半導体基板の上面の一部に形成された第2導電型の不純物半導体領域とを備える光検出素子において、受光部には、多数の開口を有する積層体が配置されており、その積層体は、下層を形成する光反射性金属膜、及び上層を形成して表面の多数の凹凸により光反射を低減する光無反射性のメッキ黒色膜から構成されている。そのため、レーザ光は、積層体の部分においては、上層の光無反射性のメッキ黒色膜の表面の多数の凹凸によって反射を顕著に低減されて、発光素子の方に対して反射され、発光素子に入射されることを十分に防止できる。また、この膜はメッキ黒色膜で形成されていることから、広い範囲の波長や高温に対して、十分な耐性を備えている。また、下層には、光反射性の金属膜が配置されていることから、レーザ光の透過を防止することができる。そして、モニタすべきレーザ光は、積層体に形成された多数の開口を通過したものにほぼ限ることができ、レーザ光の強度が大きくとも、その強度に対応した開口率として、発光素子の評価を精度よく行なうことができる。
また、本発明の光検出素子において、光無反射性のメッキ黒色膜の表面の多数の凹凸は、粒状体により形成されており、その平均粒径が0.1〜5μmであることとする場合、このような微細な粒状の凹凸によって、レーザ光の反射を顕著に低減させることができる。また、光無反射性のメッキ黒色膜が微細な粒状体から成ることによって、光無反射性のメッキ黒色膜に入射したレーザ光は、膜内部で反射を繰返すうちに吸収されて、反射を顕著に低減されることになる。
ここで、光無反射性のメッキ黒色膜における粒状体とは、平面視での径が測定可能で平均粒径を求めることができるようなものであればよく、針状体や樹枝状体のものであってもよい。
また、本発明の光検出素子において、光反射性金属膜の金属はAlであり、光反射性金属膜は第2導電型の不純物半導体領域と接続されて、その一部が電極とされている場合、光反射性金属膜は遮光膜であるとともに、電極部材も兼ねることができ、構成部材、製造工程の一部を削減してコスト低減をさらに向上できる。
また、本発明の光検出素子において、光無反射性のメッキ黒色膜を、無電解黒ニッケルメッキによる黒色膜であることとした場合、レーザ光の幅広い波長領域や高温において耐性を有するとともに、レーザ光の反射を効果的に防止するのに適した膜構造体を容易に得ることができる。
また、本発明の光検出素子において、光反射性金属膜の開口よりも光無反射性のメッキ黒色膜の開口が、大であることとした場合、モニタ光を透過するための開口部は、光無反射性の膜で被覆されることなく、光反射性の金属膜から形成されることから、精度よく所定の開口率に合致した開口面積とすることができる。
また、本発明の発光素子試験装置は、前記光検出素子を備えることを特徴とするものであり、広い範囲の波長や高温に対して、十分な耐性を備えるとともに、発光素子からのレーザ光の反射を十分に防止し、開口以外でのレーザ光の透過も防止して、レーザ光の強度が大きくとも、発光素子の評価を精度よく行なうことができる。
本発明によれば、レーザ光の幅広い波長領域に渡って、発光素子の評価試験を精度よく行なうことができるとともに、装置の小型化と低コスト化が可能となる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る発光素子試験装置の構成を示す図である。発光素子試験装置1は、温度制御装置4による内部温度制御が可能な恒温槽2を備えている。恒温槽2内の温度は比較的高め(50〜100℃)に設定することができ、寿命測定試験などに利用することができる。恒温槽2内には、複数枚の半導体レーザ基板14が設けられている。各半導体レーザ基板14には、複数の半導体レーザダイオード(発光素子)6が装着可能となっている。なお、恒温槽2内を比較的高温にするのは劣化を早めて試験の期間を短縮するためである。ACC(Automatic Current Control)試験、APC(Automatic Power Control)試験のいずれの場合でも半導体レーザダイオード6の光出力をモニタし、1%以下の光出力変化を正確にモニタできるホトダイオードが必要である。
恒温槽2内には、半導体レーザ基板14の他に、複数のホトダイオード基板16が設けられている。ホトダイオード基板16には、複数のホトダイオード(光検出素子)10が装着されている。本例のホトダイオード10は、シリコンからなり、半導体レーザ基板14に装着された各半導体レーザダイオード6と対向するように配置されている。半導体レーザダイオード6の光出射端面と、ホトダイオード10の光入射面は対向して配置されている。
発光素子試験装置1の半導体レーザ制御部8は、各半導体レーザダイオード6へ供給される駆動電流が一定となるよう制御することができる。半導体レーザ基板14に装着された各半導体レーザダイオード6は、半導体レーザ制御部8から駆動電流が供給されると、モニタ光を出射する。各半導体レーザダイオード6から出射されたモニタ光はそれぞれに対向配置された光検出素子としての各ホトダイオード10によって検出される。ホトダイオード制御部12は、駆動電流を一定とした場合における各ホトダイオード10の光電流の変化を測定し、モニタすることができる(ACC試験)。また、ホトダイオード制御部12は、ホトダイオード10から出力される光電流が一定となるように駆動電流を制御した場合における駆動電流の変化を測定し、モニタすることができる(APC試験)。
例えば、ある条件下で、ACC試験を行う場合、光電流がA%低下するまでの時間を寿命として計測し、APC試験を行う場合、駆動電流がB%増加するまでの時間を寿命として計測する。かかる試験を正確に実行するためには、ホトダイオード10への入射光量と光電流(出力電流)とが線形の関係を有していることが必要であり、入射光量の増加に対して光電流が飽和した場合には、駆動電流を変化させても光電流は変化せず、また、光電流を一定とするように駆動電流は複数の値をとり得ることとなり、正確な試験を行うことができない。本装置では、受光面における開口率を微細開口によって制限することにより、入射光量に対する出力電流の線形性(リニアリティ)をより大きな入射光量まで維持することができる。
図2は、本実施形態のホトダイオード10の断面図である。ホトダイオード10においては、第1導電型のシリコンからなる厚さ約0.3mmの半導体基板101と、基板101の上面の一部分に形成された厚さ約0.5μmの高濃度の第2導電型の不純物半導体領域104と、第2導電型の不純物半導体領域104の周囲及び基板101の下面に形成された厚さ約1.5μmの高濃度の第1導電型の不純物半導体領域102,103を有している。第2導電型の不純物半導体領域104及び第1導電型の不純物半導体領域102の上面には、SiOによる絶縁膜105が形成されている。なお、本例では、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型とするが、この逆も可能である。基板101と不純物半導体領域104との界面は、PN接合を構成し、PN接合は光検出領域を構成し、この領域の上に位置する半導体表面をモニタ光Lの光入射面(受光面)とする。
本実施形態においては、受光面には、絶縁膜105を介して、光反射性金属膜106、及び光無反射性のメッキ黒色膜107から成る積層体が形成されている。積層体の下層となる光反射性膜106は、厚さ約1μmのAl膜から形成されている。このAl膜においては、発光素子試験装置のための光検出素子が通常対応を求められる波長200nm〜1μmのレーザ光について、透過率をほぼ0とすることができる。Alから成る光反射性金属膜106には、直径d1が約8μmの多数の開口106aが形成されており、受光面における開口率が約10%とされている。また、光反射性金属膜106は第2導電型の不純物半導体領域104と接続されており、Al膜106の一部は、ワイヤボンディングのための電極パッド106Eとされている。これによって、別途電極パッドを設けることを省くことができている。
積層体の上層となる光無反射性のメッキ黒色膜107は、表面が凹凸構造の厚さ1.0〜1.5μmの無電解黒ニッケルメッキによる層で形成されている。膜107には、膜106に形成された開口106aと同心状に開口107aが形成されている。この開口107aの直径d2は約14μmとされており、下層の膜106の開口106aよりも大であることから、開口106aの孔壁及び周縁には、表面が凹凸の不規則な形状の膜107が被覆されることなく、正確な開口率を設定することができる。
図3は、このような受光面の一部を上面側から撮影した拡大写真である。全体は、光無反射性のメッキ黒色膜107で覆われている。そして、直径d2が約14μmの多数の開口107aが形成されている。開口107aの部分に撮影されているのは、その下層の光反射性金属膜106としてのAl膜である。そのAl膜には、直径d1が約8μmの開口106aが同心状に形成されている。この開口106aの部分に撮影されているのは、その下層の絶縁膜(SiO)105であり、この部分をモニタ光Lが透過する。
図4は、図3における厚さ約1.25μmの無電解黒ニッケルメッキによる黒色膜107の拡大写真である。これから分かるように、黒色膜107は多数の粒状体(場合によっては針状体とも表現される。)から形成されており、このような表面の凹凸によって光を吸収し反射を防止している。
ここで、無電解黒ニッケルメッキは、無電解ニッケルメッキと化成処理を組み合わせたものであり、無電解ニッケルメッキにより下地メッキとしての無電解メッキをつけて、その無電解ニッケルの表面を薬品で溶解し、表面を黒い酸化物の細かい粒状結晶とするものである。この黒い表面は、ニッケルのリン酸塩皮膜が生成されており、Ni−P−Oの酸化皮膜層であるから、化学的に安定しており、さらに、下地メッキが無電解ニッケルなので、皮膜の寸法精度と耐食性に優れている。また、下地をつんだ後に化成処理を行うだけでなく、メッキを生成しながら化成処理を行うことも可能である。
また、無電解黒ニッケルメッキは、リン(P)を成分として含んでおり、リンの含有率は3〜13%が好ましい。リンの含有率が低いと膜が結晶性のものとなり(粒状結晶とならず)、光沢を帯びた反射性のものとなり、リンの含有率が多いと結晶性が悪く膜としての強度が十分でなくなる。リンの含有率が3〜13%の時には、微結晶性の膜が生成され、表面は粒状の凹凸となり、膜に入射した光が膜内部で反射を繰り返すうちに吸収されることにより無反射性が得られる。
このように、無電解黒ニッケルメッキによる黒色膜107が微細な粒状体から成ることによって、黒色膜107に入射したレーザー光は、膜内部で反射を繰返すうちに吸収されて、反射を顕著に低減されることになる。この粒状体の平均粒径は、効果的に光を吸収し反射を防止するためには0.1〜5μmが望ましい。さらに望ましくは、平均粒径が0.5μm〜2μmが望ましい。さらに、粒径範囲が0.1〜5μmであると、より効果的であるとともに、反射防止機能がより均一的になされる。
光無反射性のメッキ黒色膜107における粒状体は、図4のような無電解黒ニッケルメッキによる粒状だけでなく、平面視での径が測定可能で平均粒径を求めることができるようなものであればよく、例えば、針状体や樹枝状体のものであってもよい。さらに、メッキ黒色膜107の表面の凹凸は、粒状体に限るものでなく、例えば、ポーラス状等であってもよい。
光反射性金属膜106としては、Al以外にも、例えばZnでもよく、レーザ光を遮蔽できる金属膜であればよい。また、光無反射性のメッキ黒色膜107としては、無電解黒ニッケルメッキによる黒色膜以外にも、メッキ法によるほぼ黒色の膜であって、表面が微細な凹凸構造をなし、対象とする波長200nm〜1μm程度の範囲のレーザ光を十分に吸収し反射を防止するとともに、同レーザ光や高温度に対して耐性を備えるメッキ黒色膜であればよく、例えば、電気メッキによる酸化クロム膜、同じく電気メッキによる酸化ルテニウム膜等でもよい。なお、前記のとおりの、膜106がAlで膜107が無電解黒ニッケルメッキによる黒色膜が好ましいが、他に例示したものにおいては、膜106がAlで膜107が酸化クロム、膜106がZnで膜107が酸化ルテニウムの組合せも好ましい。
次に、ホトダイオード10の製造方法について、図5〜7によって説明する。まず、図5(a)に示すように、第1導電型のシリコンからなる5mm×5mmの矩形の半導体基板101を用意する。ここでは、第1導電型をn型とし、基板101の厚みを0.3mmとする。なお、実際には、半導体基板101は半導体ウェハであり、半導体ウェハの表面上に5mm×5mmの矩形状形成領域が設定される。
次に、半導体基板101の表面の周辺領域(平面矩形環状)が開口するように、中央領域上にマスクを形成し、マスク上からn型不純物(本例では燐)を半導体基板101の周辺領域(平面矩形環状)内に添加し、不純物半導体領域102を形成する。また、半導体基板101の下面の全面にもn型不純物(本例では燐)を半導体基板101内に添加し、不純物半導体層103を形成する。そして、図(b)に示すように、基板101の表面及び裏面上には絶縁膜105、10xをそれぞれ形成する。本例では、シリコンを熱酸化することにより、SiOからなる絶縁膜とする。不純物半導体領域102及び不純物半導体層103は、それぞれ表面抵抗率ρ=12Ω/sq、深さ1.5μmとする。
次に、図(c)に示すように、半導体基板101の表面中央領域に第2導電型の不純物を添加し、平面矩形状に不純物半導体領域104を形成する。ここでは、第2導電型はp型であり、添加物をボロンとし、表面抵抗率ρ=44Ω/sq、深さ0.5μmに設定する。p型不純物は、絶縁膜105を介してイオン注入法で添加することができる。
次に、図(d)に示すように、表面側の絶縁層105に複数のコンタクトホール105aを形成し、また、必要に応じて絶縁層105の周辺を取り除く。そのためには、これらの箇所以外をホトレジスト等のマスクで被覆し、このマスクの開口内の絶縁膜105をフッ酸水溶液等でエッチングすることにより行う。なお、裏面側の絶縁膜10xは除去する。
次に、図6(e)に示すように、絶縁膜105の上面の全面に、Alの蒸着を施す。これによって、光反射性金属膜としてのAl膜106が形成される。また、その際、Al膜は、前図(d)のコンタクトホール105aにも充填されて、第2導電型不純物半導体領域104との電気的な接続がなされる。次に、図(f)に示すように、直径約8μmの多数の開口10yaをパターニングしたホトレジスト10yをAl膜106上に形成する。次に、エッチングによって、Al膜106に開口106aを形成するとともに、周辺部も除去している。ここで、開口106aの寸法精度を良くするために、エッチングは、ドライエッチングとすることが望ましい。その後、ホトレジスト10yを除去して、図(g)のとおりの多数の開口106aがパターニングされたAl膜106を得る。
次に、Al膜の上に光無反射性のメッキ黒色膜107を無電解黒ニッケルメッキによって形成する。その際、メッキはネガレジストに対して耐性を有することを利用する。図7(h)に示すように、Al膜106の表面を残そうとする部分に厚さ約1μmのネガレジスト10Zを形成する。具体的には、Al膜106の開口106a内とその周縁で直径約14μmの部分10Z1と、ワイヤボンディングのための電極パッドとする部分10Z2にネガレジスト10Zを形成する。その上から、無電解黒ニッケルメッキを施し、厚さ約1.25μmの黒色膜107を形成する。メッキを行なった後、ネガレジスト10Zを有機溶剤によって除去することで、図(i)のとおりの黒色膜107を得ることができる。黒色膜107には、Al膜106の各開口106aと同心状に開口107aが形成されており、また、Al膜106の一部であって電極パッド106Eの部分が露出している。ここで、精度の良い所定の開口率とするためには、Al膜106の開口106aの周縁を黒色膜107が覆うことを防止する必要があり、黒色膜107の開口107aをAl膜106の開口106aよりも大きく設定している。
次に、図(j)に示すように、第1導電型不純物半導体領域103の裏面に電極108を形成する。この裏面電極108は、Ti/Pt/Au構造とする。本実施形態のホトダイオード10をダイボンドする際に、樹脂を使用したダイボンドによると、樹脂硬化のために紫外線UVを照射したときに、アウトガスが発生して、素子のUV感度が劣化することから、裏面電極をTi/Pt/Au構造としておき、金属の共晶によってダイボンドすることが好ましい。
本実施形態におけるホトダイオード10では、開口率を10%に設定した場合、本発明者らが既に開発した前記特許文献2の素子と同様に、開口率100%の素子に対して、入射光量に対する出力電流の線形性が保たれる範囲で表す飽和特性を約10倍に向上することができる。本実施形態においては、このような特性を保持した上で、図8に示すとおり、波長200nmから800nm以上に渡って、ホトダイオード10全体の反射率は、5〜8%という低い値となっている。なお、図8では、メッキ黒色膜107としての無電解黒ニッケルメッキ層の厚みは1.25μmであり、レーザ光の入射角度を、10,20,30度とした場合を示している。また、下層がAl膜106、上層が無電解黒ニッケルメッキによる黒色膜107で形成される積層体のみの部分での、反射率は、図9に示すとおり、1000nm(1μm)に至るまで、わずか零点数パーセントのほぼ0に近い値である。この場合も、無電解黒ニッケルメッキ層の厚みは1.25μmであり、レーザ光の入射角度を、8,21,30,45度とした場合を示している。
これらの図からわかるように、開口率の設定によって、ホトダイオード10全体の反射率も変化し、開口率を10%よりも下げると、反射率もさらに低下する。
また、本実施形態においては、Al膜106の開口106aの直径d1を8μm、黒色膜107の開口107aの直径d2を14μmに設定したが、このような値に限るものではなく、この差を小さくすれば、黒色膜がAl開口にかかる可能性は生じるものの、ホトダイオード全体の反射率はさらに低下させることができる。
また、本実施形態においては、ネガレジスト10ZでAl膜106の所定部分をマスクして、黒色膜107を形成したが、ネガレジストを用いずに、Al膜106の全面にメッキ黒色膜107を形成した後、Al膜106の開口106aの内壁面内及び電極パッド部のメッキ黒色膜をエッチングによって除去するようにしてもよい。また、本実施形態においては、光反射性金属膜106の一部が電極パッドとなるようにしたが、これとは別途に電極パッドを設けてもよい。また、本実施形態においては、絶縁膜105を備えているが、必ずしもこれを必須とするものではない。
本発明の実施形態の発光素子試験装置1の構成を示す概念図である。 本発明の実施形態における光検出素子であるホトダイオード10の断面図である。 本発明の実施形態におけるホトダイオード10の一部を上方から撮影した写真である。 本発明の実施形態における光無反射性のメッキ黒色膜を上方から撮影した拡大写真である。 本発明の実施形態におけるホトダイオード10の製造工程を示す説明図である。 本発明の実施形態におけるホトダイオード10の製造工程を示す説明図である。 本発明の実施形態におけるホトダイオード10の製造工程を示す説明図である。 本発明の実施形態におけるホトダイオード10の表面の反射率を示す図である。 本発明の実施形態における光無反射性のメッキ黒色膜の反射率を示す図である。 従来のホトダイオードの構成を示す断面図である。
符号の説明
1‥発光素子試験装置、2‥恒温槽、6‥半導体レーザダイオード、10‥ホトダイオード、101‥半導体基板、102、103‥第1導電型不純物半導体領域、104‥第2導電型不純物半導体領域、105‥絶縁膜、105a‥コンタクトホール、106‥光反射性金属膜、106a‥開口、107‥光無反射性のメッキ黒色膜、107a‥開口、108‥裏面電極

Claims (6)

  1. 第1導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板の上面の一部に形成された第2導電型の不純物半導体領域と、
    前記第2導電型の不純物半導体領域の上面側の受光面に、多数の開口を有する積層体を備え、
    前記積層体は、下層を形成する光反射性金属膜、及び上層を形成して表面の多数の凹凸により光反射を低減する光無反射性のメッキ黒色膜から成ることを特徴とする光検出素子。
  2. 前記光無反射性のメッキ黒色膜の表面の多数の凹凸は、粒状体により形成されており、その平均粒径が0.1〜5μmであることを特徴とする請求項1に記載の光検出素子。
  3. 前記光反射性金属膜の金属はAlであり、前記光反射性金属膜は前記第2導電型の不純物半導体領域と接続されて、その一部が電極とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光検出素子。
  4. 前記光無反射性のメッキ黒色膜は、無電解黒ニッケルメッキによる黒色膜であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の光検出素子。
  5. 前記光反射性金属膜の開口よりも前記光無反射性のメッキ黒色膜の開口が、大であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光検出素子。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の光検出素子を備えることを特徴とする発光素子試験装置。
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