JP7264608B2 - 電磁波吸収フィルム、電磁波吸収シート - Google Patents

電磁波吸収フィルム、電磁波吸収シート Download PDF

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Description

本発明は、電磁波吸収フィルム、電磁波吸収シートに関する。
所定の周波数の電磁波を選択的に吸収する電磁波吸収体が知られている(例えば、特許文献1等)。特許文献1には第1の周波数選択遮蔽層と第2の周波数選択遮蔽層とを備える電磁波吸収体が記載されている。特許文献1に記載の電磁波吸収体においては、第1及び第2の周波数選択遮蔽層が有する透明基材の片面に導電性薄膜のFSS(Frequency Selective Surface)素子の細線パターンが形成されている。
電磁波吸収体には産業上の種々の用途への適用が期待される。フィルム状の電磁波吸収フィルムは、種々の三次元構造の物品に適用しやすいという利点がある。
例えば、自動車等の産業分野においてはミリ波領域の電磁波を利用するミリ波レーダー等の装置が普及している。しかし、ミリ波領域の電磁波の干渉は、種々の電気機器の誤作動の原因となる。そこで、特定のミリ波領域の電磁波を選択的に吸収する電磁波吸収フィルムが求められている。
特許第5162424号公報
FSS素子を使用する従来技術によって、ミリ波領域の電磁波を吸収しようとする場合、ミリ波領域の電磁波より長波長の電磁波を吸収する場合と比較してFSS素子の構造をミリ波の波長に合わせて微細化する必要がある。加えて、電磁波の吸収性能の向上を目的とする場合、FSS素子の構造を複雑化する必要がある。しかしながら、FSS素子の構造を微細化かつ複雑化することは、製造の難易度が高く、さらに設計上困難である。このように、ミリ波領域の電磁波の吸収性能の改良には、FSS素子の製造上及び設計上の理由から技術的な限界がある。
本発明は、ミリ波領域の電磁波の吸収性能を容易に調整でき、製造が容易な電磁波吸収フィルムを提供する。
本発明は下記の態様を有する。
[1] 電磁波吸収層を2つ以上有し、前記電磁波吸収層のそれぞれは、平板状である樹脂層と、前記樹脂層の一方の面に形成された電磁波吸収パターンとを有し、2つ以上の前記電磁波吸収層のうちの少なくとも1つは、ミリ波領域の電磁波を吸収しない、電磁波吸収フィルム。
[2] 2つ以上の前記電磁波吸収層は、互いに異なる電磁波吸収パターンを有する、[1]の電磁波吸収フィルム。
[3] [1]又は[2]の電磁波吸収フィルムと、前記電磁波吸収フィルムの一方の面に設けられ、前記電磁波を反射する反射フィルムと、を有する、電磁波吸収シート。
[4] 前記反射フィルムが、透明かつ平板状である基材層と、前記基材層の一方の面に配置され、同じ方向に延びる2本以上の導電性線状体とを有し、前記2本以上の導電性線状体は、各導電性線状体が延びる方向と交わる方向に間隔をもって並び、かつ、互いに交差しない、[3]の電磁波吸収シート。
[5] 前記樹脂層が透明である、[3]又は[4]の電磁波吸収シート。
本発明によれば、ミリ波領域の電磁波の吸収性能を容易に調整でき、製造が容易な電磁波吸収フィルムが提供される。
第1実施形態に係る電磁波吸収フィルムの平面図である。 図1の電磁波吸収フィルムをy軸方向から見たときの側面図である。 図1の電磁波吸収フィルムが有する第1の電磁波吸収層の平面図である。 図1の電磁波吸収フィルムが有する第2の電磁波吸収層の平面図である。 図1の電磁波吸収フィルムが有する第3の電磁波吸収層の平面図である。 第2実施形態に係る電磁波吸収フィルムの平面図である。 一実施形態に係る電磁波吸収シートの断面図である。 図7の電磁波吸収シートが有する反射フィルムの平面図である。 実施例1及び比較例1~3の電磁波吸収フィルムの電磁波吸収特性を示す図である。
本明細書において「ミリ波領域の電磁波」とは、波長が1~10mmの電磁波を意味する。「ミリ波領域の電磁波」とは、周波数が30~300GHzである電磁波ともいえる。
本明細書において「ミリ波領域の電磁波を吸収しない」とは、波長が3~8mmの領域において、電磁波の吸収率が55%以下であることを意味する。電磁波の吸収率は例えば、フリースペース型Sパラメータ法により測定される。
本明細書において「電磁波吸収パターン」とは、幾何学的な図形である単位の集合体であり、ある周波数の電磁波を選択的に透過又は反射する物体を意味する。なお、本明細書においては「電磁波吸収パターン」を単に「吸収パターン」と記載することがある。
本明細書において「導電性線状体」とは導電性を具備し、かつ形状が線状である物体を意味する。
<電磁波吸収フィルム>
本発明の電磁波吸収フィルムは、電磁波吸収層を2つ以上有する。そして、電磁波吸収層の少なくとも1つはミリ波領域の電磁波を吸収しない。
以下、本発明を適用した一実施形態例について説明する。以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じ値であるとは限らない。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る電磁波吸収フィルム1の平面図である。図2は、電磁波吸収フィルム1を図1に示すy軸方向から見たときの側面図である。図1に示すように、電磁波吸収フィルム1は、x軸方向を長手方向とする平面状の長方形である。
図2に示すように、電磁波吸収フィルム1は第1の電磁波吸収層2と第2の電磁波吸収層3と第3の電磁波吸収層4とを有する。電磁波吸収フィルム1においては、第1の電磁波吸収層2と第2の電磁波吸収層3と第3の電磁波吸収層4がz軸方向に沿ってこの順で積層されている。
図3は第1の電磁波吸収層2の平面図である。
図3に示すように第1の電磁波吸収層2は、第1の樹脂層5と、第1の樹脂層5の一方の面に形成された第1の電磁波吸収パターン6とを有する。
第1の電磁波吸収パターン6は、x軸方向に2列に配置された直線状の5つの図形単位uとy軸方向に5行に配置された直線状の2つの図形単位uとで構成されている。すなわち、第1の電磁波吸収パターン6は、5行×2列に配列された合計10個の図形単位uで構成される電磁波吸収パターンである。図形単位uは、x軸方向に延びる直性状の図形である。
第1の電磁波吸収パターン6において、Lは各図形単位uのx軸方向の長さであり、Aは図形単位u同士のy軸方向の間隔であり、Bは図形単位u同士のx軸方向の間隔である。
長さL、間隔A及び間隔Bは、吸収対象となる電磁波の波長に合わせてそれぞれ適宜変更可能である。そのため、長さL、間隔A及び間隔Bは特に限定されない。長さLは、例えば、13~20mmでもよい。間隔Aは、例えば、0.2~0.5mmでもよい。間隔Bは、例えば、3~10mmでもよい。
各図形単位uのy軸方向の太さRは、吸収対象となる電磁波の波長に合わせてそれぞれ適宜変更可能である。太さRは、例えば、5~1000μmでもよく、8~500μmでもよく、10~200μmでもよい。太さRが細いほど、電磁波吸収フィルム1の透明性及び曲面追従性を高くすることができる。
図4は第2の電磁波吸収層3の平面図である。
図4に示すように第2の電磁波吸収層3は、第2の樹脂層7と、第2の樹脂層7の一方の面に形成された第2の電磁波吸収パターン8とを有する。
第2の電磁波吸収パターン8は、x軸方向に3列に配置された直線状の5つの図形単位uとy軸方向に5行に配置された3つの直線状の図形単位uとで構成されている。すなわち、第2の電磁波吸収パターン8は、5行×3列に配列された合計15個の図形単位uで構成される電磁波吸収パターンである。図形単位uは、x軸方向に延びる直性状の図形である。
第2の電磁波吸収パターン8において、Lは各図形単位uのx軸方向の長さであり、Aは図形単位u同士のy軸方向の間隔であり、Bは図形単位u同士のx軸方向の間隔である。
長さL、間隔A及び間隔Bは、吸収対象となる電磁波の波長に合わせてそれぞれ適宜変更可能である。そのため、長さL、間隔A及び間隔Bは特に限定されない。長さLは、例えば、8~13mmでもよい。間隔Aは、例えば、0.2~0.5mmでもよい。間隔Bは、例えば、3~10mmでもよい。
各図形単位uのy軸方向の太さRは、吸収対象となる電磁波の波長に合わせてそれぞれ適宜変更可能である。太さRは、例えば、例えば、5~1000μmでもよく、8~500μmでもよく、10~200μmでもよい。太さRが細いほど、電磁波吸収フィルム1の透明性及び曲面追従性を高くすることができる。
図5は第3の電磁波吸収層4の平面図である。
図5に示すように第3の電磁波吸収層4は、第3の樹脂層9と、第3の樹脂層9の一方の面に形成された第3の電磁波吸収パターン10とを有する。
第3の電磁波吸収パターン10は、x軸方向に4列に配置された直線状の5つの図形単位uとy軸方向に5行に配置された4つの直線状の図形単位uとで構成されている。すなわち、第3の電磁波吸収パターン10は、5行×4列に配列された合計20個の図形単位uで構成される電磁波吸収パターンである。図形単位uは、x軸方向に延びる直性状の図形である。
第3の電磁波吸収パターン10において、Lは各図形単位uのx軸方向の長さであり、Aは図形単位u同士のy軸方向の間隔であり、Bは図形単位u同士のx軸方向の間隔である。
長さL、間隔A及び間隔Bは、吸収対象となる電磁波の波長に合わせてそれぞれ適宜変更可能である。そのため、長さL、間隔A及び間隔Bは特に限定されない。長さLは、例えば、1~8mmでもよい。間隔Aは、例えば、0.2~0.5mmでもよい。間隔Bは、例えば、3~10mmでもよい。
各図形単位uのy軸方向の太さRは、吸収対象となる電磁波の波長に合わせてそれぞれ適宜変更可能である。太さRは、例えば、5~1000μmでもよく、8~500μmでもよく、10~200μmでもよい。太さRが細いほど、電磁波吸収フィルム1の透明性及び曲面追従性を高くすることができる。
長さL,L,L、間隔A,A,A及び間隔B,B,Bのそれぞれが前記数値範囲の下限値以上であると、電磁波吸収フィルム1の電磁波吸収性がさらに向上する。長さL,L,L、間隔A,A,A及び間隔B,B,Bのそれぞれが前記数値範囲の上限値以下であると、電磁波吸収フィルム1の曲面追従性がさらに向上する。
長さL,L,L、間隔A,A,A及び間隔B,B,Bのそれぞれは、所望する電磁波の吸収特性に応じて適宜変更可能である。
第1の電磁波吸収層2、第2の電磁波吸収層3、第3の電磁波吸収層4のうちの少なくとも1つは、ミリ波領域の電磁波を吸収しない。電磁波吸収フィルム1において、ミリ波領域の電磁波を吸収しない層は、第1の電磁波吸収層2でも、第2の電磁波吸収層3でも、第3の電磁波吸収層4でもよい。
このように、複数の電磁波吸収層のうち、少なくとも一つをミリ波領域の電磁波を吸収しない電磁波吸収層とすることで、電磁波吸収フィルム1がミリ波領域の電磁波を吸収できることは全く意外な効果である。
なお、第1の電磁波吸収層2、第2の電磁波吸収層3、第3の電磁波吸収層4のうち、ミリ波領域の電磁波を吸収しない層は、少なくとも2つが好ましく、3つすべてがより好ましい。
本実施形態では、電磁波吸収パターンを構成する図形単位は、直線状であるが、図形単位の形状は、電磁波を吸収する電磁波吸収パターンを構成できる形態であれば、特に限定されない。他の実施形態においては、図形単位の形状は、例えば、円形状でもよく、環状でもよく、方形状でもよく、十字状でもよく、H字状でもよく、Y字状でも、V字状でもよい。ただし、図形単位の形状の具体例はこれらに限定されない。図形単位が円形状、方形状等の環状である場合、外周辺の長さは吸収対象である電磁波の波長と同程度とされることが一般的である。
本実施形態では、第1~第3の電磁波吸収パターン6,8,10は、それぞれ同一の形状の図形単位で構成されているが、各電磁波吸収パターンを構成する図形単位の形状は互いに異なってもよい。
本実施形態では、第1~第3の電磁波吸収層2~4にはすべて同一の形状の図形単位で構成される電磁波吸収パターンが形成されているが、各電磁波吸収層に形成される図形単位の形状は互いに異なってもよい。
すなわち、電磁波吸収フィルム1においては、形状、寸法が異なる2種類以上の図形単位を各電磁波吸収層において任意に組み合わせてもよい。この場合、2種類以上の周波数の電磁波を選択して吸収できる。
電磁波吸収パターンを構成する電磁波吸収材の図形単位の材質は、電磁波を吸収する電磁波吸収パターンを構成できる形態であれば、特に限定されない。各図形単位の材質としては、例えば、金属の細線、導電性薄膜、導電性ペーストの定着物が挙げられる。
金属の材質としては、銅、アルミニウム、タングステン、鉄、モリブデン、ニッケル、チタン、銀、金又はこれらの金属を2種以上含む合金(例えば、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼鉄、真鍮、りん青銅、ジルコニウム銅合金、ベリリウム銅、鉄ニッケル、ニクロム、ニッケルチタン、カンタル、ハステロイ、レニウムタングステン等)が挙げられる。
導電性薄膜の材質としては、金属粒子、カーボンナノ粒子、カーボンファイバー等が挙げられる。
第1の樹脂層5、第2の樹脂層7、第3の樹脂層9の各樹脂層は、それぞれの一方の面(5a,7a,9a)に各電磁波吸収パターンを形成できる形態であれば、特に限定されない。
第1の樹脂層5、第2の樹脂層7、第3の樹脂層9を構成する樹脂は、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。ただし、電磁波吸収フィルム1の三次元成形性を考慮する場合、各樹脂層は熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂の具体例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
熱硬化性樹脂として、例えば、エポキシ樹脂組成物、ウレタン反応により硬化する樹脂組成物、ラジカル重合反応により硬化する樹脂組成物を用いることができる。
これらは1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂組成物はエポキシ樹脂と硬化剤とを含む組成物である。
エポキシ樹脂の具体例としては、多官能系エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
硬化剤の具体例としては、アミン化合物、フェノール系硬化剤等が挙げられる。
ウレタン反応により硬化する樹脂組成物としては、例えば、(メタ)アクリルポリオールとポリイソシアネート化合物とを含む樹脂組成物が挙げられる。
ラジカル重合反応により硬化する樹脂組成物としては、例えば、側鎖にラジカル重合性基を有する(メタ)アクリル樹脂、不飽和ポリエステル等が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂としては、反応性基を有するビニル単量体の重合体と、ビニル単量体由来の反応性基と反応し得る基を有しかつラジカル重合性基を有する単量体とを反応させて得られる樹脂;エポキシ樹脂の末端に(メタ)アクリル酸等を反応させた(メタ)アクリル基を有するエポキシアクリレートが挙げられる。
反応性基を有するビニル単量体の具体例としては、例えば、ヒドロキシ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等のアクリル系単量体が挙げられる。
ビニル単量体由来の反応性基と反応し得る基を有しかつラジカル重合性基を有する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、イソシアナート基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
不飽和ポリエステルとしては、不飽和基を有するカルボン酸(フマル酸等)をジオールと縮合した不飽和ポリエステルが挙げられる。
各樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で、樹脂以外の任意成分を含んでもよい。任意成分の例としては、例えば、無機充填材、着色剤、硬化剤、老化防止剤、光安定剤、難燃剤、導電剤、帯電防止剤、可塑剤等が挙げられる。
各樹脂層における無機充填材としては、金属粒子、金属酸化物粒子、金属水酸化物粒子、金属窒化物系粒子等が挙げられる。より具体的には、銀粒子、銅粒子、アルミニウム粒子、ニッケル粒子、酸化亜鉛粒子、酸化アルミニウム粒子、窒化アルミニウム粒子、酸化ケイ素粒子、酸化マグネシウム粒子、窒化アルミニウム粒子、チタン粒子、窒化ホウ素粒子、窒化ケイ素粒子、炭化ケイ素粒子、ダイヤモンド粒子、グラファイト粒子、カーボンナノチューブ粒子、金属ケイ素粒子、カーボンファイバー粒子、フラーレン粒子、ガラス粒子等が挙げられる。
着色剤の具体例としては、無機顔料、有機顔料、染料等が挙げられる。
これらは1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
各樹脂層と各電磁波吸収パターンとの間(例えば、第1の樹脂層5と第1の電磁波吸収パターン6との間)は接着層を介して接着されてもよい。接着層は、接着剤を含む層である。
接着剤としては、熱により接着するヒートシールタイプの接着剤;湿潤させて貼付性を発現させる接着剤;圧力により接着する感圧性接着剤(粘着剤)等が挙げられる。これらの中でも、簡便さの観点から、粘着剤(感圧性接着剤)が好ましい。
粘着剤の具体例としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。
電磁波吸収フィルムのミリ波領域の電磁波の吸収性能のさらなる改良を考慮して、各樹脂層の厚さ、誘電率、電気伝導率、透磁率は適宜設定可能である。
吸収対象となる電磁波の電気的特性を考慮する場合、第1~第3の樹脂層5,7,9は高誘電率の層であってもよい。各樹脂層が高誘電率の層であると、電磁波吸収フィルムの厚さを相対的に薄くできる。
第1~第3の樹脂層5,7,9の各樹脂層の厚さの合計(図2中、DとDとDとの合計)は、吸収対象となる電磁波の波長に合わせて適宜変更される。このように、第1~第3の樹脂層5,7,9をz軸方向に配置することで、第1~第3の樹脂層5,7,9の各樹脂層の厚さの合計を一体的に設計してもよい。例えば、第1~第3の樹脂層5,7,9の各樹脂層の厚さの合計が吸収対象となる電磁波の各樹脂層による波長短縮効果も考慮し、波長の4分の1になるように設計してもよい。そのため、第1~第3の樹脂層5,7,9の各樹脂層の厚さは特に限定されない。
第1~第3の樹脂層5,7,9の各樹脂層の厚さD,D,Dは、例えば、5~500μmでもよく、15~200μmでもよく、25~100μmでもよい。
第1~第3の電磁波吸収パターン6,8,10の高さH,H,Hは特に限定されず、所望する特性に応じて任意に変更可能である。第1~第3の電磁波吸収パターン6,8,10の各電磁波吸収パターンの高さH,H,Hは、例えば、1~100μmでもよく、5~50μmでもよく、10~30μmでもよい。高さH,H,Hが厚いほど、電磁波吸収性がよくなる一方、製造コストが高くなる。この点を考慮して、高さH,H,Hを設定してもよい。
図1に示すように、電磁波吸収フィルム1においては、y軸方向に互いに異なる位置に第1~第3の電磁波吸収パターン6,8,10がy軸方向にずらして配置されるように、各電磁波吸収層が積層されている。すなわち、各電磁波吸収パターンを構成する図形単位u~uが互いにz軸方向の同一直線状に存在しないように配置されている。
そして、第1の電磁波吸収層2、第2の電磁波吸収層3、第3の電磁波吸収層4は、互いに異なる第1~第3の電磁波吸収パターン6,8,10を有する。
そのため、各電磁波吸収層を積層することで、図2に示すように、z軸方向で立体的な三次元形状の吸収パターンが形成される。その結果、各電磁波吸収層間で電気的な相互作用が生じ、各吸収パターンの相互インダクタンス、静電容量等の電気的な性質が影響を受ける。その結果、電磁波吸収フィルム1全体として、全く異なる吸収パターンが形成され、ミリ波領域の電磁波を吸収できるという吸収特性を発現する。
(電磁波吸収フィルムの製造方法)
電磁波吸収フィルム1は、例えば、下記の記載に従って製造できる。
まず、第1~第3の樹脂層5,7,9を準備する。次いで、各樹脂層のそれぞれの一方の面に電磁波吸収パターンを形成する。電磁波吸収パターンを形成する際には、2つ以上の電磁波吸収層のうちの少なくとも1つが、ミリ波領域の電磁波を吸収しないように形成する。
電磁波吸収パターンの形成方法は特に限定されない。電磁波吸収パターンの形成方法の例としては、例えば、下記の方法がある。
・導電性ペーストを用いて各樹脂層のそれぞれの一方の面に電磁波吸収パターンを印刷する方法。
・各樹脂層のそれぞれの一方の面に電磁波吸収パターンを現像する方法。
・スパッタ法、真空蒸着又は金属箔の積層によって各樹脂層のそれぞれの一方の面に金属薄膜を設け、フォトリソグラフィによって金属薄膜のパターンを各樹脂層のそれぞれの一方の面に形成する方法。
・金属ワイヤーを各樹脂層のそれぞれの一方の面に配置する方法。
印刷方法では、各樹脂層のそれぞれの一方の面に電磁波吸収パターンを印刷して図形単位を形成する。印刷方法は特に限定されない。例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット方式等の方法が挙げられる。
印刷に使用する導電性ペーストとしては、例えば、金属粒子、カーボンナノ粒子及びカーボンファイバーからなる群より選ばれる少なくとも1種以上とバインダーである樹脂成分とを含むペースト状の組成物が挙げられる。金属粒子としては、銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の金属の粒子が挙げられる。バインダーである樹脂成分としては、例えば、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。ただし、金属粒子及び樹脂成分はこれらの例示に限定されない。
導電性ペーストは、さらにカーボンブラック等の黒色顔料を含んでもよい。導電性ペーストが黒色顔料をさらに含むと、印刷された電磁波吸収パターンを構成する金属粉末の金属光沢を抑え、外光の反射を抑制できる。
現像方法では、各樹脂層のそれぞれの一方の面に電磁波吸収パターンを現像して図形単位u~uを形成する。
現像方法としては、露光マスクに覆われず、露光された部分に現像物が発現するネガ型の現像方法と露光マスクに覆われ、未露光の部分には現像物が発現するポジ型の現像方法がある。すなわち、ネガ型の現像方法では、露光マスクと反対の形に現像物として図形単位が形成される。一方、ポジ型の現像方法では、露光マスクと同じ形に現像物として図形単位が形成される。現像物に用いる金属としては通常、銀が使用される。
フォトリソグラフィによる電磁波吸収パターンの形成方法の一例としては、例えば、下記の方法がある。
まず、各樹脂層のそれぞれの表面にレジストを塗布し、熱処理した後、レジストから溶媒を除去する。次に、レジストに所望のパターンを露光し、レジストパターンを現像してレジストパターンからなる層を形成する。次に、基材とレジストパターンからなる層の上に、全面に渡って蒸着膜を形成し、レジスト剥離剤を用いてレジストパターンからなる層とその上に乗っている蒸着膜とを同時に除去する。その他、各樹脂層上に金属薄膜を設け、金属薄膜上にレジストを塗布し、熱処理する。次に、エッチング処理によりレジストが塗布されていない部分の金属薄膜を除去する。その次に、必要に応じレジストを除去し、電磁波吸収パターンを形成する。
電磁波吸収パターンを形成する図形単位の表面には、図示略の金属メッキ層をさらに設けてもよい。
金属ワイヤーの詳細及び好ましい態様については<電磁波吸収シート>の項で後述する。
(作用効果)
以上説明した本実施形態の電磁波吸収フィルムでは、各電磁波吸収層に形成された各吸収パターン間のz軸方向の立体的な位置関係が重要である。各電磁波吸収層における各吸収パターンの集合体として、電磁波吸収フィルム全体では立体的な吸収パターンが形成される。その結果、電磁波吸収フィルムがミリ波領域の電磁波を吸収できるようになる。そのため、各樹脂層に形成された各吸収パターンの微細化及び複雑化をせずとも、例えば、各樹脂層及び各吸収パターンの電気特性を考慮する等して、ミリ波領域の電磁波の吸収性能を容易に調整できる。このように本実施形態の電磁波吸収フィルムでは、電磁波の吸収性能の改良が容易である。そして、各吸収パターンを微細化及び複雑化する必要がなくなるため、本実施形態の電磁波吸収フィルムは、製造が容易である。
従来技術においては、FSS素子の特性の制御のために、同一平面上で複雑な吸収パターンを形成する必要がある。しかし、実際の使用環境では面積及び形状等の設計上の制限がある。そのため、電磁波の吸収性能の改良のために理想的な吸収パターンを同一平面上に形成できない場合があった。
これに対し、本実施形態の電磁波吸収フィルムによれば、電磁波吸収フィルムの厚さ方向(図2のz軸方向)に各吸収パターンを分散して形成することで、吸収パターンの電気的特性を決定する電気定数(インピーダンス、静電容量、相互インダクタンス等)を制御できる。その結果、各電磁波吸収層に形成される吸収パターンのそれぞれを単純化でき、電磁波吸収フィルムの必要面積も相対的に少なくでき、小型化が可能となる。
[第2実施形態]
以下、第2実施形態に係る電磁波吸収フィルムについて説明する。以下の説明において、電磁波吸収フィルム1について説明した構成と同一又は類似の機能を有する構成には同一の符号を付し、同一の符号の構成について、説明を省略する。
図6は、第2実施形態に係る電磁波吸収フィルム11の平面図である。電磁波吸収フィルム11においては、第1~第3の電磁波吸収パターン6,8,10がz軸方向で同一直線状に配置されるように、各電磁波吸収層が積層されている。そのため、図6に示すように、電磁波吸収フィルム11を平面視すると、y軸方向に一致して第1~第3の電磁波吸収パターン6,8,10が配置されていることが視認される。
<電磁波吸収シート>
以下、本発明の電磁波吸収シートについて説明する。本発明の電磁波吸収シートは、本発明の電磁波吸収フィルムと反射フィルムとを有する。
図7は、本実施形態の電磁波吸収シート50を示す断面図である。図7に示すように、電磁波吸収シート50は電磁波吸収フィルム1と反射フィルム21とをこの順で有する。
電磁波吸収シート50においては、電磁波吸収フィルム1の代わりに、電磁波吸収フィルム11を適用してもよい。
電磁波吸収シート50の透明性を考慮する場合、電磁波吸収フィルム1(11)における第1~第3の樹脂層5,7,9の各樹脂層は透明であることが好ましい。
なお、反射フィルムは、吸収対象となる電磁波を反射できる形態であれば、特に限定されない。
反射フィルム21は基材層22と導電性線状体23とを有する。
反射フィルム21は電磁波吸収シート50の吸収対象となる電磁波を反射する。反射フィルム21は電磁波吸収フィルム1の一方の面1aに設けられている。
基材層22は、透明かつ平板状の基材である。基材層22は2つの面22a,22bを有する。そして、基材層22の一方の面には2本以上の導電性線状体23が設けられる。
基材層22は透明であり、導電性線状体23が配置される少なくとも2つの面を有する形態であれば、特に限定されない。透明性が優れ、三次元成形性が向上することから、基材層22の表面は好ましくは平滑である。
導電性線状体23は基材層22の一方の面22bに配置されている。
図8は、反射フィルム21の平面図である。図8に示すように、2本以上の導電性線状体23は、基材層22の一方の面に設けられ、かつ、同じ方向(図8中x軸方向)に延びている。そして、2本以上の導電性線状体23は各導電性線状体が延びる方向と交わる方向(x軸方向)に間隔Gをもって並び、かつ、互いに交差しない。
図8に示すように、反射フィルム21を平面視すると、導電性線状体23が周期的に正弦波の波形状に湾曲している。ただし、他の実施形態において、導電性線状体23は不規則に湾曲又は屈曲していてもよい。導電性線状体23を平面視した際の形状は、例えば、矩形波、三角波、のこぎり波等の波形状でもよい。
図8中、λは正弦波の波形1周期分のx軸方向の長さである。波長λは、導電性線状体23が形成する波形において、隣あう山同士又は隣り合う谷同士の間のx軸方向の長さである。
図8中、Kは正弦波の波形の振幅であり、正弦波の波形0.5周期分のy軸方向の変異幅である。振幅Kは、波形一個分の山から谷までのy軸方向の長さである。
図8中、Gは、2本以上の導電性線状体23の各導電性線状体の間隔である。間隔Gは、隣り合う2本の導電性線状体23の近接する山同士又は近接する谷同士の頂点間の距離である。
本実施形態では、反射フィルム21を平面視した際に導電性線状体23が波形状である。電磁波吸収シートを三次元成形して物品の曲面を被覆するとき、反射フィルム21も物品の曲面に追随してx軸方向に伸長する場合がある。反射フィルム21がx軸方向に伸長すると、導電性線状体23が形成する1周期分の波形の波長λは、x軸方向に伸長する。反射フィルム21の伸長に伴い、導電性線状体23において、1周期分の波形の波長λが長くなることを、導電性線状体23がx軸方向に直線化するという。
波形状である導電性線状体23にあっては、x軸方向における直線化が容易である。そのため、反射フィルム21がx軸方向に容易に伸長可能である。よって、反射フィルム21のx軸方向の両端を互いに近づけるように反射フィルム21が曲げられると、導電性線状体23が形成する波形の波長λが長くなるように導電性線状体23がx軸方向に伸長する。したがって、反射フィルム21の曲げが導電性線状体23の剛性に制限されにくくなり、反射フィルム21が容易に伸長できる。
一方、反射フィルム21のy軸方向の両端を互いに近づけるように反射フィルム21が曲げられると、導電性線状体23同士が互いに交差していないため、導電性線状体23の存在に制限されにくくなり、反射フィルム21を容易に伸長できる。
このように、反射フィルム21を平面視した際に、導電線が波形状であると、電磁波吸収シートを曲面に適用した場合でも、反射フィルム21が容易に伸長でき、曲面追従性がさらに向上する。
反射フィルム21の伸長不良、導電性線状体23の破損を抑制する観点から、波形状の導電性線状体23の波長λは、0.3~100mmが好ましく、0.5~80mmがより好ましい。
反射フィルム21の伸長不良、導電性線状体23の破損を抑制する観点から、波形状の導電性線状体23の振幅Kは、0.3~200mmが好ましく、0.5~160mmがより好ましい。
波長λ及び振幅Kは、デジタル顕微鏡を用いて観察することで測定できる。波長λ及び振幅Kについて、任意に選択される10か所でデータを測定し、10か所の波長λ、振幅Kの測定値の平均値を採用してもよい。
2本以上の導電性線状体23の各導電性線状体の間隔Gは、互いにすべて同一でも互いに異なってもよい。各間隔Gが互いに異なる場合、すべての隣り合う導電性線状体23同士の間隔Gの平均値を算出してもよい。ただし、間隔Gの数値の制御及び光線透過性、曲面追従性等の機能の均一性を考慮して、隣り合う2本の導電性線状体23は、略等間隔に並んでいることが好ましい。略等間隔に並んでいる場合、各導電性線状体の間隔Gは、0.2~5mmが好ましい。各導電性線状体の間隔Gが0.2mm以上であると、反射フィルム21の電磁波吸収性がさらに向上する。各導電性線状体の間隔Gが5mm以下であると、反射フィルム21の曲面追従性及び透明性がさらに向上する。
導電性線状体としては、金属ワイヤーを含む線状体、導電性糸を含む線状体、金属ワイヤー及び導電性糸を含む線状体、金属ワイヤーと導電性糸を撚った線状体、導電性薄膜からなる線状体が挙げられる。導電性薄膜からなる線状体は、(電磁波吸収フィルムの製造方法)の項で前述した印刷方法、スパッタ法又は真空蒸着、フォトリソグラフィによって形成できる。
金属ワイヤーを含む線状体は、1本の金属ワイヤーからなる線状体でもよく、複数本の金属ワイヤーを撚った線状体でもよい。
金属ワイヤーを構成する金属としては、銅、アルミニウム、タングステン、鉄、モリブデン、ニッケル、チタン、銀、金又はこれらの金属を2種以上含む合金(例えば、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼鉄、真鍮、りん青銅、ジルコニウム銅合金、ベリリウム銅、鉄ニッケル、ニクロム、ニッケルチタン、カンタル、ハステロイ、レニウムタングステン等)が挙げられる。
金属ワイヤーは錫、亜鉛、銀、ニッケル、クロム、ニッケルクロム合金、はんだ等でめっきされてもよく、炭素材料、ポリマー等により表面が被覆されていてもよい。この場合、炭素材料としては、カーボンブラック、活性炭、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソポーラスカーボン、カーボンファイバー等の非晶質炭素;グラファイト;フラーレン;グラフェン;カーボンナノチューブ等が挙げられる。
導電性糸を含む線状体は、1本の導電性糸からなる線状体でもよく、複数本の導電性糸を撚った線状体でもよい。
導電性糸としては、導電性繊維(金属繊維(ただし、金属ワイヤーを除く。)、炭素繊維、イオン導電性ポリマーの繊維等)を含む糸、表面に金属(銅、銀、ニッケル等)をめっき又は蒸着した糸、金属酸化物を含浸させた糸等が挙げられる。
導電性糸を含む線状体は、カーボンナノチューブを利用した糸を含むカーボンナノチューブ線状体でもよい。
カーボンナノチューブ線状体は、例えば、国際公開第2018/097321号に記載の製造方法で製造できる。他にも、カーボンナノチューブの分散液から紡糸して、カーボンナノチューブ線状体を得てもよい。紡糸によるカーボンナノチューブ線状体の製造方法は、例えば、米国公開公報US 2013/0251619(日本国特開2011-253140号公報)に開示されている。
カーボンナノチューブ線状体は、カーボンナノチューブと金属とを含む複合線状体でもよい。複合線状体としては、例えば、下記の(1)~(3)が挙げられる。
(1)カーボンナノチューブフォレストの端部から、カーボンナノチューブをシート状に引出し、引き出したカーボンナノチューブシートを束ねた後、カーボンナノチューブの束を撚るカーボンナノチューブ線状体を得る過程において、カーボンナノチューブのフォレスト、シートもしくは束又は撚った線状体の表面に、金属単体又は金属合金を蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、湿式めっき等により担持させた複合線状体。
(2)金属単体の線状体もしくは金属合金の線状体又は複合線状体とともに、カーボンナノチューブの束を撚った複合線状体。
(3)金属単体の線状体もしくは金属合金の線状体又は複合線状体と、カーボンナノチューブ線状体又は複合線状体とを編んだ複合線状体。
複合線状体の金属としては、例えば、金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛等の金属単体、これら金属単体の少なくとも一種を含む合金(銅-ニッケル-リン合金、銅-鉄-リン-亜鉛合金等)が挙げられる。
導電性線状体23の線幅は、5~100μmが好ましく、8~30μmがより好ましく、10~20μmがさらに好ましい。導電性線状体23の線幅が8μm以上であると、反射フィルム21の電磁波吸収性がさらに向上する。導電性線状体23の線幅が30μm以下であると、反射フィルム21の曲面追従性及び透明性がさらに向上する。
導電性線状体23が1本の金属ワイヤーからなる線状体、すなわち金属ワイヤーである場合、導電性線状体23の線幅は、金属ワイヤーの直径である。金属ワイヤーの直径(線幅)は、例えば、デジタル顕微鏡を用いて金属ワイヤーを観察し、無作為に選ばれる5本の金属ワイヤーの直径の測定値の平均値を採用できる。
金属ワイヤーの断面の形状が多角形状である場合、多角形の外接円の直径が金属ワイヤーの直径である。
導電性線状体23が金属ワイヤーである場合、特に、金属ワイヤーの直径が5~75μmであると、金属ワイヤーが波形状であっても、電磁波吸収シートが三次元成形されたときの波形状の導電性線状体23の直線化が、隣接する層(後述の接着層14等)によって妨げられにくくなる。その結果、電磁波吸収シートが表面に三次元成形されている物品の表面を指で触れた際に、金属ワイヤーに起因した基材層22の盛り上がりが感得されにくくなる。
導電性線状体23の表面を保護する機能を考慮する場合、基材層22は熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。熱硬化性樹脂の具体例としては、上述の<電磁波吸収フィルム>の項で各樹脂層について説明した熱硬化性樹脂と同様の樹脂が挙げられる。
反射フィルム21は、導電性線状体23を基材層22に接着するための接着層をさらに有してもよい。基材層22の一方の面(22b)に接着層を設けることによって反射フィルム21を電磁波吸収フィルム1の表面に貼り付けやすくなる。
(電磁波吸収シートの製造方法)
本実施形態の電磁波吸収シート50は、例えば、電磁波吸収フィルム1と反射フィルム21とを積層することで製造できる。
反射フィルム21は例えば、下記の記載に従って製造できる。
まず、樹脂基体を準備する。次いで、樹脂基体の一方の面に導電性線状体を配置する。この際、2本以上の導電性線状体が同じ方向に延び、各導電性線状体が延びる方向と直交する方向に間隔Gをもって並び、かつ、互いに交差しないように配置する。
(作用効果)
以上説明した本実施形態の電磁波吸収シートは、本実施形態の電磁波吸収フィルムを有するため、電磁波の吸収性能を容易に調整でき、製造が容易である。
さらに、電磁波吸収シート50は反射フィルム21を有する。反射フィルム21にあっては、基材層が透明であり、各導電性線状体が延びる方向と直交する方向に間隔をもって並ぶ。そのため、反射フィルム21によれば、各樹脂層5,7,9が透明である場合において、電磁波吸収シート50の透明性がよくなる。さらに、反射フィルム21にあっては、各導電性線状体23が互いに交差しないため、電磁波吸収シート50の曲面追従性がよくなる。
反射フィルム21においては、導電性線状体23が形成する波形は、反射フィルム21の全体にわたって振幅K及び波長λが一定である。しかし、他の実施形態では、導電性線状体が波形の振幅K及び波長λのいずれか一方又は両方が互いに異なる部位を複数形成してもよい。この場合、導電性線状体が形成する1周期分の波形の波長がx軸方向に長くなる長さ、すなわち導電性線状体がx軸方向に直線化する長さが互いに異なる複数の部位が反射フィルムに形成される。その結果、反射フィルムの伸長度合に応じて、導電性線状体の各部位が異なる度合で直線化する。そのため、三次元成形後の直線化した導電性線状体の各部位における直線化の度合いを調整することができる。
この場合、より複雑な立体形状である物品に適用する際でも、反射フィルムの各部位における導電性線状体の密度が均一となり、透明度のばらつき及び電磁波の吸収性能のばらつきを抑制できる。
反射フィルム21においては、平面視した際に導電性線状体23が波形状であるが、導電性線状体23はx軸方向に直線状に延びていてもよい。つまり、2本以上の導電性線状体23は、平面視した際に互いに平行に並んでいてもよい。この場合、各導電性線状体の間隔は、等間隔でも不等間隔でもよい。複数の導電性線状体23が等間隔に並んでいる場合には、各間隔は0.2~12.0mmが好ましく、0.3~5mmが好ましく、0.5~2mmがより好ましい。間隔が0.2mm以上であると、反射フィルム21の透明性がさらに向上する。間隔が12.0mm以下であると、反射フィルムの電磁波吸収性がさらに向上する。かかる間隔は、デジタル顕微鏡を用いて隣り合う2つの導電性線状体の間隔を観察することで測定できる。
(用途)
本実施形態の電磁波吸収フィルムは、ミリ波領域の電磁波の干渉に起因する種々の電気機器の誤作動を抑制する用途に好適に適用できる。
本実施形態の電磁波吸収フィルムは、例えば、自動車用部品、道路周辺部材、建築外壁関連材、窓、通信機器、電波望遠鏡等に用いることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
<実施例1>
厚さ50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを準備した。このPETフィルム上に、図3に示すような第1の電磁波吸収パターン6を形成し、第1の電磁吸収層E1を製造した。このとき、長さL:14mm、間隔A:0.35mm、間隔B:20mmとした。
新たに準備したPETフィルム上に、図4に示すような第2の電磁波吸収パターン8を形成し、第2の電磁吸収層E2を製造した。このとき、長さL:10mm、間隔A:0.35mm、間隔B:20mmとした。
次いで、新たに準備したPETフィルム上に、図5に示すような第3の電磁波吸収パターン10を形成し、第3の電磁吸収層E3を製造した。このとき、長さL:5mm、間隔A:0.35mm、間隔B:20mmとした。
次いで、下から順に、各吸収パターンを形成する図形単位がz軸方向に同一直線状に一致して存在するように、第1の電磁吸収層E1と第2の電磁波吸収層E2と第3の電磁波吸収層E3とを積層し、実施例1の電磁波吸収フィルムを製造した。
<比較例1>
第1の電磁波吸収層E1をそのまま比較例1の電磁波吸収フィルムとした。
<比較例2>
第2の電磁波吸収層E2をそのまま比較例2の電磁波吸収フィルムとした。
<比較例3>
第3の電磁波吸収層E3をそのまま比較例3の電磁波吸収フィルムとした。
<電磁波吸収特性の評価方法>
下記の各例で作製した電磁波吸収フィルムについて、フリースペース型Sパラメータ法を用いて、40~60GHzの帯域で電磁波の反射特性(S11)及び透過特性(S21)を測定し、次式(1)により吸収量を算出し、電磁波吸収特性を求めた。
吸収量=入力信号-反射特性(S11)-透過特性(S21) ・・・(1)
図9は実施例1及び比較例1~3の電磁波吸収フィルムの電磁波吸収特性を示す図である。
実施例1の電磁波吸収フィルムは、40~60GHzの周波数帯において、45~50GHzの周波数のミリ波を吸収する吸収特性を具備することが判った。
比較例1~3の電磁波吸収フィルムは、40~60GHzの周波数帯において、電磁波の吸収率が50%未満であり、ミリ波を吸収する吸収特性を具備しなかった。
したがって、いずれもミリ波領域の電磁波を吸収しない電磁波吸収層(各比較例の電磁波吸収フィルム)を3層備えた実施例1の電磁波吸収フィルムが、ミリ波を吸収するという特異な性能を具備することがわかった。
1 電磁波吸収フィルム
2 第1の電磁波吸収層
3 第2の電磁波吸収層
4 第3の電磁波吸収層
5 第1の樹脂層
6 第1の電磁波吸収パターン
7 第2の樹脂層
8 第2の電磁波吸収パターン
9 第3の樹脂層
10 第3の電磁波吸収パターン
21 反射フィルム
50 電磁波吸収シート

Claims (5)

  1. 電磁波吸収層を3つ有し、
    前記電磁波吸収層のそれぞれは、平板状である樹脂層と、前記樹脂層の一方の面に形成された幾何学的な図形である単位の集合体である電磁波吸収パターンとを有し、
    3つの前記電磁波吸収層のすべては、ミリ波領域の電磁波を吸収しない、ミリ波領域の電磁波吸収フィルム。
  2. 2つ以上の前記電磁波吸収層は、互いに異なる電磁波吸収パターンを有する、請求項1に記載の電磁波吸収フィルム。
  3. 請求項1又は2に記載の電磁波吸収フィルムと、
    前記電磁波吸収フィルムの一方の面に設けられ、前記電磁波を反射する反射フィルムと、
    を有する、電磁波吸収シート。
  4. 前記反射フィルムが、透明かつ平板状である基材層と、前記基材層の一方の面に配置され、同じ方向に延びる2本以上の導電性線状体とを有し、
    前記2本以上の導電性線状体は、各導電性線状体が延びる方向と交わる方向に間隔をもって並び、かつ、互いに交差しない、請求項3に記載の電磁波吸収シート。
  5. 前記樹脂層が透明である、請求項3又は4に記載の電磁波吸収シート。
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