JP6375403B2 - 電磁波吸収体および電磁波吸収体付成形品 - Google Patents
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EI={(WLb/8)×10‐4+(F/3)}×(L3/d)×(9.81/10) (式1)
λO=4t×sqrt(εr) 式(2)
抵抗層Aは、吸収対象の波長の電磁波を電磁波吸収体の表面近傍で反射させるために配置される。この抵抗層Aは、例えば、層a1と、この層a1を支持する抵抗層支持体である層a2とを有している。
層a1は、抵抗層Aのシート抵抗が220〜600Ω/□の範囲であることを担保するものであり、例えば、インジウム、スズ、および亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一つを主成分とする金属酸化物、導電性高分子、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤー、およびメタルメッシュのいずれかからなっている。層a1は、好ましくは、インジウム(In)、スズ(Sn)、および亜鉛(Zn)からなる群から選ばれた少なくとも一つを主成分とする金属酸化物からなっている。層a1は、より好ましくは、シート抵抗の安定性、耐久性の観点から、酸化インジウムスズ(ITO)からなっている。なかでも、好ましくは5〜45重量%の酸化スズ(SnO2)を含有するITOが用いられ、より好ましくは20〜40重量%のSnO2を含有するITOが用いられ、さらに好ましくは25〜35重量%のSnO2を含有するITOが用いられる。SnO2の量がこのような範囲内であるITOは、非晶質構造が極めて安定であり、高温多湿の環境下においても抵抗層Aのシート抵抗の変動を抑えることができる。
層a2は、典型的には、層a1をスパッタリングおよびコーティング等の成膜方法により形成する際の支持体であり、誘電体層Bを形成する際に、その厚みを厳密に調節するための補助材として用いることができる。このような層a2は、層a1の形成に用いる蒸着、スパッタリング、およびコーティング等の成膜方法における高温に耐えうることが好ましい。なかでも、層a2は、ヤング率が5〜4500MPaの高分子シートであることが好ましく、より好ましくは500MPa以下、さらに好ましくは400MPa以下のヤング率を有する高分子シートである。ヤング率が高すぎると、曲面に沿うように電磁波吸収体を取り付ける際に、電磁波吸収体が折れ曲がったり、皺が寄ったりする傾向がみられ、電磁波吸収特性が低下するとともに、外観が劣るおそれがある。層a2である高分子シートの材料には、例えば、ポリウレタン、ウレタンアクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリプロピレン、無軸延伸ポリプロピレン(CPP)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、又は塩化ビニリデン樹脂が好ましく用いられる。層a2である高分子シートの材料には、とりわけポリウレタンが好ましく用いられる。また、層a2である高分子シートには、全光線透過率が70%以上である高分子シートが好ましく用いられる。抵抗層Aのヤング率は、抵抗層支持体(層a2)のヤング率の影響が大きいので、抵抗層支持体(層a2)のヤング率と等しいとみなして差し支えない。
誘電体層Bは、吸収対象の電磁波の波長(λO)を決定するのに重要な役割を有する。誘電体層Bは、例えば、1〜20の比誘電率(εr)を有する高分子シートである。誘電体層Bは、例えば、吸収対象の電磁波の波長(λO)に合わせ、1〜20の比誘電率(εr)を有する樹脂組成物を、硬化後に所定の厚み(t)となるように形成し、硬化させた層である。誘電体層Bに用いる樹脂組成物としては、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォンおよびエポキシ樹脂等の合成樹脂、又は、ポリイソプレンゴム、ポリスチレン・ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン・プロピレンゴム、およびシリコーンゴム等の合成ゴム材料を樹脂成分として用いる組成物が挙げられる。誘電体層Bは、ヤング率を低くすることや、誘電率を高くしてその厚みを薄くすることにより、柔軟性をより高めることができる。ヤング率が低く、誘電率の高い樹脂としては、EVA、ポリウレタン、アクリル樹脂が挙げられ、成型性と比誘電率の点から、とりわけEVAを用いることが好ましい。上記の成分は単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。また、より一層厚みを薄くするため、比誘電率の高い無機物を樹脂組成物に混合した誘電率の高い高分子シートを、誘電体層Bとして用いてもよい。
導電層Cは、吸収対象の波長の電磁波を電磁波吸収体の裏面近傍で反射させるために配置され、そのシート抵抗は、抵抗層Aのシート抵抗より充分に低く設定されている。この導電層Cは、例えば、層c1と、この層c1を支持する導電層支持体である層c2とからなる。
層c1としては、例えば、(i)インジウム、スズ、および亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一つを主成分とする金属酸化物(例えば、ITO)、(ii)アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、又はこれらの金属の合金、(iii)導電性高分子、(iv)カーボンナノチューブ、(v)金属ナノワイヤー、および(vi)メタルメッシュのいずれかからなる。なかでも、層c1にITOを用いると、電磁波吸収体が60%以上の全光線透過率を有しやすく、透明な電磁波吸収体を供することができる。また、透明性が必要とされる部位への電磁波吸収体の適用が可能となるだけでなく、電磁波吸収体の施工性の改善を図ることができる。なお、充分な透明性を担保する点から、とりわけ5〜15重量%のSnO2を含有するITOが好ましく用いられる。また、層c1の厚みは、好ましくは20〜200nmであり、より好ましくは50〜150nmである。層c1の厚みが厚すぎると応力により導電層Cにクラックが入り易くなり、層c1が薄すぎると所望の低い抵抗値が得られ難くなる。
層c2は、典型的には、層c1をスパッタリング又はコーティング等の成膜方法により形成する際の支持体となる導電層支持体である。層c2は、誘電体層Bを形成する際に、その厚みを厳密に調節するための補助材として用いることができる。このような層c2の材料としては、層c1の形成を蒸着又はスパッタリング等で行う場合には、高温に耐えうるものであることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリウレタン、ウレタンアクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、CPP、塩化ビニリデン樹脂等があげられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。導電層Cは抵抗層Aよりも低抵抗であることから、層c1をスパッタリングにより形成する際に必要な時間が長く、支持体である層c2が高温に晒される時間が長くなる。このため、層c2の材料として、耐熱性が高い材料が好ましく、とりわけ寸法安定性とコストとのバランスがよいことからPETが好ましく用いられる。層c1の形成を蒸着やスパッタ等で行わない場合には、高熱に耐えうるものであることにこだわる必要がなく、例えば、ポリウレタンを用いてもよい。
料からなっていてもよい。好ましくは、層a2がポリウレタンであり、層c2がPET又はポリウレタンである。そして、層a2および層c2のそれぞれの厚みは、10〜125μmであることが好ましく、20〜80μmであることがより好ましい。薄すぎると、層a1または層c1を形成する際に皺や変形が起こりやすいためであり、厚すぎると、電磁波吸収体としての屈曲性が低下するためである。また、層a2と層c2の厚みは、同じであってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。より好ましくは、層a2の厚みが30〜50μmであり、層c2の厚みが20〜50μmである。
ポリウレタンからなるシート状の層a2(クラボウ社製、製品名:クランジール、厚み:50μm)の上に、シート抵抗410Ω/□となるよう30重量%のSnO2を含有するITOを用いて層a1を形成し、抵抗層Aを作製した。また、シート状の層c2(三菱化学ポリエステル社製、製品名:三菱ダイアホイル、厚み:38μm)の上に、シート抵抗20Ω/□となるよう10重量%のSnO2を含有するITOを用いて層c1を形成し、導電層Cを作製した。この導電層Cの層c2の層c1が形成された面と反対の面に、580μmの厚みにプレス成型された樹脂組成物(EVA組成物)を載せ、樹脂組成物の上に、抵抗層Aの層a2の層a1が形成された面と反対の面を重ね、上記樹脂組成物を150℃で10分間加熱して架橋させ誘電体層Bを得た。このようにして、実施例1に係る電磁波吸収体を得た。実施例1に係る電磁波吸収体の誘電体層Bの比誘電率は2.45であった。
実施例1における層a2(抵抗層支持体)を、それぞれ以下のシート状の層a2に変更して抵抗層Aを作製した以外は、実施例1と同様にして実施例2、実施例3、および比較例1に係る電磁波吸収体を得た。
実施例2:ポリウレタン製シート(大倉工業社製、シンクロンNY97-CLB)
実施例3:CPP製シート(東洋紡社製、パイレンCT P1153)
比較例1:PET製シート(東レ社製、ルミラーS10)
ポリウレタンからなるシート状の層a2(大倉工業社製、シンクロンNY97-CLB、厚み:80μm)の上に、シート抵抗が410Ω/□となるように、中京油脂社製のPEDOT/PSS分散液をバーコーターで塗布して層a1を形成し、抵抗層Aを作製した。また、PETからなるシート状の層c2(三菱化学ポリエステル社製、三菱ダイアホイル、厚み:38μm)の上に、シート抵抗20がΩ/□となるよう10重量%のSnO2を含有するITOを用いて層c1を形成し、導電層Cを作製した。この導電層Cの層c2によって定められた面に、580μmの厚みにプレス成型した樹脂組成物(EVA組成物)を載せ、樹脂組成物の上に、抵抗層Aの層a2によって定められた面を重ね、上記樹脂組成物を硬化させて誘電体層Bを得た。このようにして実施例4に係る電磁波吸収体を得た。誘電体層Bの比誘電率は2.45であった。PEDOT/PSS分散液は、下記の原料を下記の添加量で混合して調製した。
導電性コーティング剤(導電コート R‐801の2質量%メタノール溶液):5.0g
メタノール:5.0g
硬化剤P‐795の1.0質量%メタノール希釈液:0.5g
硬化剤Q‐113の1.0質量%メタノール希釈液:2.0g
レベリング剤R−438の1.0質量%メタノール希釈液0.1g
ポリウレタンからなるシート状の層a2(大倉工業社製 シンクロンNY97-CLB:厚み80μm)の上に、下塗り材としてアクリル樹脂(三井化学社製、RA3055BA)をバーコーターで塗布し、この塗膜を100℃で1分間乾燥させた後、引き続き高圧水銀を用いたUV硬化装置にて、600mJ/cm2の条件で硬化させた。アクリル樹脂の膜の上にシート抵抗410がΩ/□となるように、カーボンナノチューブ分散液(KH社製、製品名:Water Solution Gen2.3)を♯14のバーコーターで塗布し、この塗膜を130℃で3分間乾燥させた後、水洗いし、さらに90℃で3分間乾燥させ、抵抗層Aを作製した。また、PETからなるシート状の層c2(三菱化学ポリエステル社製、三菱ダイアホイル、厚み:38μm)の上に、シート抵抗が20Ω/□となるよう10重量%のSnO2を含有するITOを用いて層c1を形成し、導電層Cを作製した。この導電層Cの層c2面に、580μmの厚みにプレス成型した樹脂組成物(EVA組成物)を載せ、樹脂組成物の上に、抵抗層Aの層a2によって定められた面を重ね、樹脂組成物を硬化させて誘電体層Bを得た。このようにして、実施例5に係る電磁波吸収体を得た。実施例5に係る電磁波吸収体において誘電体層Bの比誘電率は2.45であった。
ポリウレタンからなるシート状の層a2(大倉工業社製 シンクロンNY97-CLB:厚み80μm)の上に、シート抵抗が410Ω/□となるよう30重量%のSnO2を含有するITOを用いて層a1を形成し、抵抗層Aを作製した。PETからなるシート状の層c2(三菱化学ポリエステル社製、三菱ダイアホイル、厚み:38μm)の上に、シート抵抗が20Ω/□となるように♯34のバーコーターで銀ナノワイヤー溶液(C3 Nano Inc.製、製品名:C3 Nano Ink)を塗布し、この塗膜を130℃のオーブンの中で乾燥させた。引き続き、銀ナノワイヤーの膜の上にオーバーコート剤(C3nano top coat)を♯8のバーコーターで塗布し、この塗膜を130℃のオーブンで乾燥した後、引き続き高圧水銀を用いたUV硬化装置にて、600mJ/cm2の条件でオーバーコート剤を硬化させ、導電層Cを作製した。導電層Cの層c2によって定められた面に、580μmの厚みにプレス成型した樹脂組成物(EVA組成物)を載せ、樹脂組成物の上に抵抗層Aの層a2によって定められた面を重ね、樹脂組成物を硬化させて誘電体層Bを得た。このようにして、実施例6に係る電磁波吸収体を得た。実施例6に係る電磁波吸収体における誘電体層Bの比誘電率は2.45であった。
ポリウレタンからなるシート状の層a2(大倉工業社製、シンクロンNY97-CLB:厚み80μm)の上に、シート抵抗が410Ω/□となるように、30重量%のSnO2を含有するITOを用いて層a1を形成し、抵抗層Aを作製した。東レKPフィルム社製の銅メッシュフィルム(層c2:厚み100μmのPETフィルム、シート抵抗:0.2Ω/□、銅線ピッチ:310μm、銅線サイズ:1.5μmの厚みおよび22μmの幅)を導電層Cとして使用した。導電層Cの層c2によって定められた面に、580μmの厚みにプレス成型した樹脂組成物(EVA組成物)を載せ、樹脂組成物の上に、抵抗層Aの層a2によって定められた面を重ね、樹脂組成物を硬化させて誘電体層Bを得た。このようにして、実施例7に係る電磁波吸収体を得た。実施例7に係る電磁波吸収体における誘電体層Bの比誘電率は2.45であった。
PETからなるシート状の層c2(三菱化学ポリエステル社製、三菱ダイアホイル、厚み:38μm)の上に、シート抵抗が20Ω/□となるよう10重量%のSnO2を含有するITOを用いて層c1を形成し、導電層Cを作製した。この導電層Cの層c2によって定められた面に、580μmの厚みにプレス成型した樹脂組成物(EVA組成物)を載せ、樹脂組成物を硬化させて誘電体層Bを得た。このときの誘電体層Bの比誘電率は2.45であった。引き続き誘電層Bの導電層Cと反対側の表面に、実施例4における中京油脂社製のPEDOT/PSS分散液を、シート抵抗が410Ω/□となるようにバーコーターで塗布し、抵抗層Aを作製した。このようにして、実施例8に係る電磁波吸収体を得た。
アクリル樹脂(クラレ社製、クラリティ LA2330)を150℃でプレス機によってプレスし、厚み120μmのシート状の層a2を得た。層a2の上に、シート抵抗が410Ω/□となるように、実施例4における中京油脂社製PEDOT/PSS分散液をバーコーターで塗布し、抵抗層Aを作製した。また、PETからなるシート状の層c2(三菱化学ポリエステル社製、三菱ダイアホイル、厚み:38μm)の上に、シート抵抗が20Ω/□となるよう10重量%のSnO2を含有するITOを用いて層c1を形成し、導電層Cを作製した。この導電層Cの層c2によって定められた面に、580μmの厚みにプレス成型した樹脂組成物(EVA組成物)を載せ、樹脂組成物の上に、抵抗層Aの層a2によって定められた面を重ね、樹脂組成物を硬化させて、誘電体層Bを得た。このようにして、実施例9に係る電磁波吸収体を得た。実施例9に係る電磁波吸収体における誘電体層Bの比誘電率は2.45であった。
ポリウレタンからなるシート状の層a2(大倉工業社製、シンクロンNY97-CLB、厚み:80μm)の上に、シート抵抗が410Ω/□となるように、実施例4における中京油脂社製PEDOT/PSS分散液をバーコーターで塗布し、抵抗層Aを作製した。また、PETからなるシート状の層c2(三菱化学ポリエステル社製、三菱ダイアホイル、厚み:38μm)の上に、シート抵抗が20Ω/□となるよう10重量%のSnO2を含有するITOを用いて層c1を形成し、導電層Cを作製した。この導電層Cの層c2によって定められた面に、150℃のプレス機にて560μmにプレス成型したアクリル樹脂(クラレ社製、クラリティ LA2330)を貼り合せ、アクリル樹脂の上に抵抗層Aの層a2によって定められた面を重ね、実施例10に係る電磁波吸収体を得た。実施例10に係る電磁波吸収体における誘電体層Bの比誘電率は2.55であった。
ポリウレタンからなるシート状の層a2(大倉工業社製、シンクロンNY97-CLB、厚み:80μm)の上に、下塗り材としてアクリル樹脂(三井化学社製、RA3055BA)をバーコーターで塗布し、この塗膜を100℃で1分間乾燥させた後、引き続き高圧水銀を用いたUV硬化装置にて、600mJ/cm2の条件で硬化させた。アクリル樹脂の上にシート抵抗が410Ω/□となるように、カーボンナノチューブ分散液(KH社製、WaterSolution Gen2.3)を♯14のバーコーターで塗布し、この塗膜を130℃で3分間乾燥させた後、水洗いし、さらに90℃で3分間乾燥させ、抵抗層Aを作製した。また、PETからなるシート状の層c2(三菱化学ポリエステル社製、三菱ダイアホイル、厚み:38μm)の上に、シート抵抗が20Ω/□となるように、10重量%のSnO2を含有するITOを用いて層c1を形成し、導電層Cを作製した。この導電層Cの層c2によって定められた面に、150℃のプレス機にて560μmにプレス成型したアクリル樹脂(クラレ社製、クラリティLA2330)を貼り合せ、アクリル樹脂の上に、抵抗層Aの層a2によって定められた面を重ね、実施例11に係る電磁波吸収体を得た。実施例11に係る電磁波吸収体における誘電体層Bの比誘電率は2.55であった。
ポリウレタンからなるシート状の層a2(大倉工業社製、シンクロンNY97-CLB、厚み:80μm)の上に、シート抵抗が410Ω/□となるように、実施例4における中京油脂社製PEDOT/PSS分散液をバーコーターで塗布し、抵抗層Aを作製した。580μmにプレス成型した樹脂組成物(EVA組成物)の上に、抵抗層Aの層a2によって定められた面を重ね、樹脂組成物を硬化させて誘電体層Bを得た。このときの誘電体層Bの比誘電率は2.45であった。引き続き、誘電層Bの抵抗層Aと反対側の表面にシート抵抗が20Ω/□となるように、実施例6と同様に、銀ナノワイヤー溶液(C3 Nano Inc.製、製品名:C3 Nano Ink)を塗布し、この塗膜を130℃のオーブンの中で乾燥させた。引き続き、オーバーコート剤(C3nano top coat)を銀ナノワイヤーの膜の上に♯8のバーコーターで塗布し、この塗膜を130℃のオーブンの中で乾燥した後、引き続き高圧水銀を用いたUV硬化装置にて、600mJ/cm2の条件でオーバーコート剤を硬化させ、導電層Cを作製した。このようにして、実施例12に係る電磁波吸収体を得た。
PETからなるシート状の層a2(三菱化学ポリエステル社製、三菱ダイアホイル、厚み:38μm)の上にシート抵抗が410Ω/□となるよう30重量%のSnO2を含有するITOを用いて、抵抗層Aを作製した。シート状の樹脂層c2(大倉工業社製、シンクロンNY97-CLB、厚み:80μm)の上に銀ナノワイヤー溶液(C3 Nano Inc.製、C3Nano Ink)を塗布し、この塗膜を130℃のオーブンの中で乾燥させた。引き続き、オーバーコート剤(C3nano top coat)を♯8のバーコーターで塗布し、この塗膜を130℃のオーブンの中で乾燥した後、引き続き高圧水銀を用いたUV硬化装置にて、600mJ/cm2の条件でオーバーコート剤を硬化させ、導電層Cを作製した。この導電層Cの層c2によって定められた面に、150℃のプレス機にて560μmにプレス成型したアクリル樹脂(クラレ社製、クラリティLA2330)を貼り合せ、アクリル樹脂の上に、抵抗層Aの層a2によって定められた面を重ね、実施例13に係る電磁波吸収体を得た。実施例13に係る電磁波吸収体における誘電体層Bの比誘電率は2.55であった。
PETからなるシート状の層a2(三菱化学ポリエステル社製、三菱ダイアホイル、厚み:38μm)にシート抵抗が380Ω/□となるよう30重量%のSnO2を含有するITOの層(層a1)を形成して、抵抗層Aを作製した。また、25μmの厚みを有するPETの層、7μmのアルミニウムの層、及び9μmの厚みを有するPETの層がこの順で積層されているアルミニウム箔付きPETフィルム(UACJ社製)を導電層Cとして準備した。アルミニウム箔付きPETフィルムの一方の主面に500μmの厚みを有するポリカーボネート(PC)の両面に0.05mm厚みのアクリル粘着シート(日東電工社製、CS9862UA)を貼り合せたものを重ねた。さらに、PCのシートに層a2を向けて抵抗層Aを重ね、比較例2に係る電磁波吸収体を得た。
実施例又は比較例に係る電磁波吸収体の一端を固定して片持ちの状態にし、電磁波吸収体の他端におもりによって下向きの荷重を加えて曲げ変形させたときのたわみd[cm]を測定した。下記式(1)に基づいて曲げ剛性EI[MPa・mm4]を算出した。なお、下記式(1)において、W:試験体の坪量[g/m2]、L:試験体の長さ[cm]、b:試験体の幅[cm]、F:おもりの重量[g]、およびd:たわみ[cm]である。
EI={(WLb/8)×10‐4+(F/3)}×(L3/d)×(9.81/10) (式1)
R100(曲率半径:100mm)に曲げた鋼板に、0.05mmの厚みの透明粘着シート(日東電工社製、CS9862UA)を用いて取り付けた際の電磁波吸収体の外観を観察し、下記の指標にしたがって評価した。
a:電磁波吸収体が鋼板に密着しており、電磁波吸収体の外観に変化がみられない。
x:電磁波吸収体が鋼板から脱落するか、電磁波吸収体の外観に折れ、皺がみられる。
120℃の温度に設定した乾燥器で168分間保管した後の電磁波吸収体の外観を観察し、下記の指標にしたがって評価した。
a:電磁波吸収体の外観に変化がみられない。
b:電磁波吸収体の外観に若干のカールがみられる。
x:電磁波吸収体の外観に大きなカールおよびよれ等の変化がみられる。
村上色彩研究所社製のヘーズ・透過率・反射計(商品名:HR−100)を用いて、25℃において全光線透過率(%)を測定した。なお、全光線透過率の測定は各実施例および比較例に係る電磁波吸収体について5回ずつ行い、その平均値を各実施例又は比較例に係る電磁波吸収体に関する全光線透過率の測定値と決定した。
JIS R 1679(電波吸収体のミリ波帯における電波吸収特性測定方法)に準拠して、76GHzのミリ波に対する反射減衰量(dB)を測定し、下記の指標にしたがって評価した。なお、この測定は各実施例および比較例に係る電磁波吸収体について5回ずつ行い、その平均値を下記の指標に当てはめ、評価した。
a:反射減衰量が30dB以上
b:反射減衰量が20dB以上30dB未満
×:反射減衰量が20dB未満
B 誘電体層
C 導電層
a2 抵抗層支持体
c2 導電層支持体
Claims (10)
- 酸化インジウムスズを含む抵抗層と、誘電体層と、導電層とを備えた電磁波吸収体であって、前記抵抗層のシート抵抗が220〜600Ω/□の範囲に設定され、前記導電層が前記抵抗層より低いシート抵抗を有し、前記抵抗層および前記導電層の少なくとも一方が支持体を有しており、当該電磁波吸収体の曲げ剛性が300MPa・mm4以下に設定されている、電磁波吸収体。
- 前記抵抗層および前記導電層の少なくとも一方は、5〜4500MPaのヤング率を有する、請求項1に記載の電磁波吸収体。
- 前記抵抗層は、10nm〜500μmの厚みを有する、請求項1又は2に記載の電磁波吸収体。
- 前記抵抗層は、5〜4500MPaのヤング率を有するとともに1〜500μmの厚みを有する、又は、4500MPaより高いヤング率を有するとともに38μm以下の厚みを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
- 前記導電層は、5〜4500MPaのヤング率を有するとともに1〜500μmの厚みを有する、又は、4500MPaより高いヤング率を有するとともに38μm以下の厚みを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
- 前記誘電体層は、0.1〜1000MPaのヤング率を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
- 60%以上の全光線透過率をさらに有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
- 透明粘着剤層をさらに備えた、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
- 前記誘電体層は、1〜20の比誘電率を有する高分子シートである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の電磁波吸収体を備えた電磁波吸収体付成形品。
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