JP2019071463A - 電磁波吸収体及び電磁波吸収体付成形品 - Google Patents

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Hironobu Machinaga
広宣 待永
請井 博一
Hiroichi Ukei
博一 請井
宇井 丈裕
Takehiro Ui
丈裕 宇井
一斗 山形
Kazuto Yamagata
一斗 山形
雄希 武田
Yuki Takeda
雄希 武田
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Abstract

【課題】平坦ではない面にも取り付けやすく、かつ、高温高湿環境に長期間曝されても性能が低下しにくい電磁波吸収体を提供する。【解決手段】 電磁波吸収体(1a)は、誘電体層又は磁性体層である第一層(10a)と、第一層(10a)の少なくとも片側に設けられた導電層(20a)と、を備えている。電磁波吸収体(1a)を温度85℃及び相対湿度85%の環境に1000時間曝した後に導電層(20a)が100Ω/□以下のシート抵抗を有する。電磁波吸収体(1a)は7000MPa・mm4以下の曲げ剛性を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波吸収体及び電磁波吸収体付成形品に関する。
近年、1〜10mm程度の波長及び30〜300GHzの周波数を有するミリ波や準ミリ波の領域の電磁波が情報通信媒体として利用されている。このような電磁波は衝突予防システムへの利用が検討されている。衝突予防システムは、例えば、車両において障害物を検知して自動でブレーキをかけ、又は、周辺車両の速度や車間距離を測定して自車の速度や車間距離を調節するシステムである。衝突予防システムが正常に動作するには、誤認防止のため、不要な電磁波をできるだけ受信しないようにすることが重要である。従って、衝突予防システムに不要な電磁波を吸収する電磁波吸収体を利用することが考えられる。
電磁波吸収体には、電磁波吸収の原理により様々なタイプがある。例えば、電磁波反射層と、λ/4(λは吸収対象とする電磁波の波長)の厚みを有する誘電体層と、抵抗薄膜層とを設けた電磁波吸収体(「λ/4型電磁波吸収体」ということがある)は、材料が比較的安価であり、設計が容易であるので、低コストで作製できる。例えば、特許文献1には、λ/4型電磁波吸収体として、入射角度の広い領域にわたって機能するという優れた特性を発揮する電磁波吸収体が提案されている。また、特許文献2には、磁性体層を有する電磁波吸収材が記載されている。
特開2003−198179号公報 特開2012−94764号公報
特許文献1及び特許文献2において、電磁波吸収体が取付けられる物品の形状及び電磁波吸収体が使用されうる環境については具体的に検討されていない。
そこで、本発明は、平坦ではない面に取り付けるのに有利であり、かつ、高温高湿環境(例えば、温度80℃以上、相対湿度85%以上)で長期間(例えば、1000時間以上)にわたって性能低下を抑制できる電磁波吸収体を提供する。
本発明は、
誘電体層又は磁性体層である第一層と、
前記第一層の少なくとも片側に設けられた導電層と、を備え、
温度85℃及び相対湿度85%の環境に1000時間曝した後に前記導電層が100Ω/□以下のシート抵抗を有し、
7000MPa・mm4以下の曲げ剛性を有する、
電磁波吸収体を提供する。
また、本発明は、
成形品と、
前記成形品に取り付けられた上記の電磁波吸収体と、を備えた、
電磁波吸収体付成形品を提供する。
上記の電磁波吸収体は、平坦ではない面にも取り付けやすく、かつ、高温高湿環境に長期間曝されても性能が低下しにくい。
図1は、本発明の電磁波吸収体の一例を示す断面図である。 図2Aは、図1に示す電磁波吸収体の一部を示す断面図である。 図2Bは、図1に示す電磁波吸収体の変形例の一部を示す断面図である。 図3は、本発明の電磁波吸収体の別の一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、下記の説明は、本発明を例示的に説明するものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるわけではない。
電磁波吸収体を曲面等の平坦でない面に貼り付けることができれば、電磁波吸収体の用途が広がる。電磁波吸収体の用途の一例として、自動車に搭載されている衝突防止システムを挙げることができる。従来の衝突防止システムのミリ波レーダは、自動車の前方にミリ波を照射することが多く、電磁波吸収体は平坦な面に貼り付けられることが多い。しかし、自動車の斜め前方又は斜め後方にもミリ波を照射して障害物を検出できれば、自動車の走行の安全性をより高めることができる。そこで、ミリ波レーダを自動車のコーナー部に配置することが考えられる。この場合、電磁波障害を防止するためにバンパー等の自動車の部品の端部に電磁波吸収体を貼り付けることが望ましく、曲面等の平坦でない面に貼り付けやすい電磁波吸収体に対する需要が高まると予想される。なお、自動車における衝突防止システムは、電磁波吸収体の用途の一例にすぎない。
誘電体層又は磁性体層と、導電層とを有する電磁波吸収体において、各層の厚みを薄くすれば、電磁波吸収体を平坦でない面に取り付けやすくなると考えられる。しかし、誘電体層又は磁性体層の厚みは、吸収対象の電磁波の波長によって決定されるので、誘電体層又は磁性体層を薄くすることには限界がある。導電層を薄くすると、電磁波吸収体が高温高湿の環境に長期間曝された場合に、導電層に含まれる金属等の導電材料が腐食し、導電層のシート抵抗が高くなってしまう。このため、電磁波吸収体が所望の性能を発揮できなくなる可能性がある。また、特許文献1に記載の技術では、第1の誘電体層及び抵抗薄膜体を形成したフィルム、第2の誘電体層、電磁波反射層としてのアルミニウムシートを、両面粘着シートでこの順に積層しており、高温高湿の環境において、両面粘着シートに含まれる酸成分が電磁波反射層を腐食させてしまう可能性もある。このように、電磁波吸収体において、平坦でない面への取り付けやすさと、高温高湿の環境での長期間の性能の保持とを両立することは容易なことではない。
そこで、本発明者らは、日夜検討を重ね、特に導電層について様々な工夫を施すことによって、電磁波吸収体において、平坦でない面への取り付けやすさと、高温高湿の環境での長期間の性能の保持とを両立できることを見出した。このような新たな知見に基づいて、本発明者らは、本発明に係る電磁波吸収体を案出した。
図1に示す通り、電磁波吸収体1aは、第一層10aと、導電層20aとを備えている。第一層10aは、誘電体層又は磁性体層である。導電層20aは、第一層10aの少なくとも片側に設けられている。電磁波吸収体1aにおいて、温度85℃及び相対湿度85%の環境に1000時間曝した後に導電層20aが100Ω/□以下のシート抵抗を有する。加えて、電磁波吸収体1aは、7000MPa・mm4以下の曲げ剛性を有する。電磁波吸収体1aにおいて、導電層20aのシート抵抗は、例えば、渦電流法等の非接触式の抵抗測定法によって測定できる。電磁波吸収体1aの曲げ剛性EI[MPa・mm4]は、試験体の一端を固定して片持ちにし、試験体の他端におもりにより下向きの荷重を加えて試験体を曲げ変形させたときのたわみd[cm]を測定し、下記式(1)に基づいて算出できる。なお、下記式(1)において、W:試験体の坪量[g/m2]、L:試験体の長さ[cm]、b:試験体の幅[cm]、F:おもりの重量[g]、d:たわみ[cm]である。
EI={(WLb/8)×10‐4+(F/3)}×(L3/d)×(9.81/10) (式1)
電磁波吸収体1aは、7000MPa・mm4以下の曲げ剛性を有するので、曲面等の平坦でない面にも取り付けやすい。加えて、温度85℃及び相対湿度85%の環境に1000時間曝した後に導電層20aが100Ω/□以下のシート抵抗を有するので、電磁波吸収体1aが高温高湿環境に長期間曝されても、電磁波吸収体1aの性能が低下しにくい。このため、例えば、電磁波吸収体1aは、温度85℃及び相対湿度85%の環境に1000時間曝した後に、日本工業規格(JIS) R 1679に従って測定した76GHzのミリ波の透過減衰量が10dB以上という、良好な透過減衰性能を発揮できる。電磁波吸収体1aにおいて、76GHzのミリ波の透過減衰量が10dB以上である場合、ミリ波が導電層20aを透過せず、誘電体層又は磁性体層である第一層10aに向かって反射されるので、電磁波吸収体1aが所望の電磁波吸収性能を発揮できる。
電磁波吸収体1aにおいて、温度85℃及び相対湿度85%の環境に1000時間曝した後の76GHzのミリ波の透過減衰量は、好ましくは20dB以上であり、より好ましくは40dB以上である。この透過減衰量の上限は100dBであり、この値は測定限界である。なお、電磁波吸収性能に関し、電磁波吸収体1aにおいて、温度85℃及び相対湿度85%の環境に1000時間曝した後に、JIS R 1679に従って測定した76GHzのミリ波の反射吸収量は、例えば15dB以上であり、好ましくは20dB以上であり、より好ましくは30dB以上である。この反射吸収量の上限は100dBであり、この値は測定限界である。
電磁波吸収体1aは、望ましくは10〜5000MPa・mm4の曲げ剛性を有し、より望ましくは70〜3500MPa・mm4の曲げ剛性を有し、さらに望ましくは80〜3000MPa・mm4の曲げ剛性を有し、とりわけ望ましくは80〜900MPa・mm4の曲げ剛性を有し、極めて望ましくは80〜400MPa・mm4の曲げ剛性を有する。
導電層10aは、例えば、金属を含む。これにより、導電層10aが低いシート抵抗を有しやすい。なお、本明細書において、合金は、金属に含まれる。導電層10aに含まれる金属は、例えば、銅、ニッケル、亜鉛、又はこれらの合金、アルミニウム、金、又はステンレスである。
例えば、電磁波吸収体1aにおいて、導電体層20aのヤング率と導電体層20aの厚みとの積P1が、0.01〜34000MPa・mmである。この場合、電磁波吸収体1aがより確実に7000MPa・mm4以下の曲げ剛性を有する。積P1は望ましくは、0.01〜30000MPaであり、より望ましくは0.01〜7000MPaであり、さらに望ましくは0.01〜1500MPaである。これにより、電磁波吸収体1aの曲げ剛性をより低下させやすい。
例えば、電磁波吸収体1aにおいて、第一層10aのヤング率と第一層10aの厚みとの積P2が、0.1〜1200MPa・mmである。この場合、電磁波吸収体1aがより確実に7000MPa・mm4以下の曲げ剛性を有する。積P2は、場合によっては、0.1〜1000MPa・mmであり、0.1〜500MPa・mmであり、0.1〜100MPa・mmであり得る。
第一層10aは、望ましくは0.1〜2500MPaのヤング率を有し、より望ましくは0.5〜2000MPaのヤング率を有し、さらに望ましくは0.5〜1000MPaのヤング率を有する。これにより、電磁波吸収体1aがより低い曲げ剛性(例えば、4500MPa・mm4以下)を有しやすく、曲率半径が比較的小さい曲面にも電磁波吸収体1aを貼り付けやすい。
第一層10aは、例えば50〜2000μmの厚みを有し、望ましくは100〜1500μmの厚みを有し、さらに望ましくは200〜1000μmの厚みを有する。これにより、第一層10aの厚みの寸法精度が高く、かつ、第1層10aの原料コストを低減できる。
図2Aに示す通り、導電層20aは、例えば、表面処理された金属粒子22を含んでいる。この場合、電磁波吸収体1aが高温高湿環境に長期間曝されても、金属粒子22が腐食しにくい。このため、電磁波吸収体1aが高温高湿環境に長期間曝されても、電磁波吸収体1aの性能が低下しにくい。特に、電磁波吸収体1aの吸収対象の電磁波の透過減衰量が低下しにくい。
金属粒子22において表面処理される金属は、例えば、銅、ニッケル、亜鉛、又はこれらの合金である。金属粒子22において表面処理に供される材料は、銀、金、ニッケル、銅、又はコバルトである。中でも、良好な導電性を有する銀で表面処理することが望ましい。例えば、金属粒子22における表面処理剤の質量は金属粒子22の全体の質量の5〜30%であり、望ましくは5〜20%であり、より望ましくは10〜20%である。この場合、例えば、銀で表面処理する場合に、金属粒子22の表面が良好な導電性を有するとともに、金属粒子22の原料コストを抑制できる。
例えば、導電層20aにおいて金属粒子22同士が接触している。導電層20aが金属粒子22を含む場合、例えば、導電層20aはさらにバインダー21を含み、導電層20aにおいて金属粒子22の表面の少なくとも一部がバインダー21に接触して、金属粒子22が導電層20aに分散している。バインダー21は、例えば、アクリル樹脂、EVAエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ニトリルゴム、エチレン‐プロピレン‐ジエンゴム、シリコーンゴム、及びポリウレタンである。バインダー21は、柔軟性及び伸長性の観点から、望ましくはアクリル樹脂又はポリウレタンである。これにより、金属粒子22を含む導電層20aを作製できる。
金属粒子22は、例えば、1〜100μmの粒子径を有し、より好ましくは1〜50μmの粒子径を有し、さらに好ましくは1〜20μmの粒子径を有する。金属粒子22が1μm以上の粒子径を有することにより、金属粒子22の添加量を抑制しつつ金属粒子22同士を接触させやすい。加えて、金属粒子22が100μm以下の粒子径を有することにより、導電層20aの厚みを低減できるとともに電磁波吸収体1aが曲げられても金属粒子22同士が接触した状態が保たれやすい。金属粒子22の粒子径は、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により得られる体積基準の累積分布において50%に相当するメディアン径(D50)である。
図2Bに示す通り、導電層20aは、高分子シートである支持体25を含んでいてもよい。この場合、支持体25上に導電層20aの有効成分(例えば、金属粒子22)を含む組成物を成膜することによって導電層20aを容易に作製できる。また、第一層10aを所望の厚みに形成しやすい。支持体25として使用可能な高分子シートの材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリオレフィン、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリウレタン、ウレタンアクリル樹脂、無軸延伸ポリプロピレン(CPP)、又は塩化ビニリデン樹脂である。
図2Bに示す通り、導電層20aにおいて、導電層20aの有効成分を含む層が支持体25よりも第一層10aに近い位置に配置されている。この場合、電磁波吸収体1aが高温高湿環境に長期間曝されても、支持体25によって導電層20aの有効成分を保護できる。また、導電層20aにおいて、支持体25が導電層20aの有効成分を含む層よりも第一層10aに近い位置に配置されていてもよい。
導電層20aの支持体25は、例えば10〜150μmの厚みを有し、望ましくは20〜100μmの厚みを有し、より望ましくは30〜80μmの厚みを有する。これにより、導電層20aの曲げ剛性が低く、かつ、導電層20aの有効成分を含む層を形成する場合において皺の発生又は変形を抑制できる。
導電層20aは、例えば、1〜490μmの厚みを有する金属箔を含んでいてもよい。金属箔が1μm以上の厚みを有することにより、電磁波吸収体1aが高温高湿環境に長期間曝された場合に水分又は粘着剤に含まれる酸成分で金属箔が腐食されても、導電層20aのシート抵抗を100Ω/□以下に保つことができる。加えて、金属箔が490μm以下の厚みを有することにより、電磁波吸収体1aが確実に7000MPa・mm4以下の曲げ剛性を有する。
金属箔の厚みは、望ましくは1〜450μmであり、より望ましくは1〜200μmであり、さらに望ましくは1〜100μmである。これにより、電磁波吸収体1aの曲げ剛性をより低減しやすい。
金属箔は、例えば、アルミニウム箔、銅箔、金箔、チタン箔、ニッケル箔、マグネシウム箔、アルミニウム合金箔、銅合金箔、金合金箔、チタン合金箔、ニッケル合金箔、マグネシウム合金箔、又はステンレス箔である。なかでも、金属箔としてアルミニウム箔が望ましく使用される。なぜなら、アルミニウム箔は安価に入手でき、電磁波吸収体1aの製造コストを低減できるからである。
導電層20aは、導電層20aが金属箔を含む場合にも、上記の通り、高分子シートである支持体25を含んでいてもよい。特に、金属箔の厚みが10μm以下であると、金属箔の取り扱いが難しい可能性があるので、金属箔がPET等のポリエステルでできたシートに重ねられていることが望ましい。また、電磁波吸収体1aが高温高湿環境に長期間曝されても、支持体25によって導電層20aの腐食を抑制できる。金属箔の厚さと支持体の厚さとの比率(金属箔の厚さ:支持体の厚さ)は、好ましくは1:0.1〜1:10である。金属箔の厚さの比率が低いと電磁波吸収体1aにおいて柔軟性が良好であるが透過減衰性を高めにくい。金属箔の厚さの比率が高いと電磁波吸収体1aにおいて透過減衰性は良好であるが柔軟性を高めにくい。金属箔の厚さと支持体の厚さとの比率が上記の範囲であれば、電磁波吸収体1aにおいて良好な柔軟性と良好な透過減衰性とを両立しやすい。
例えば、電磁波吸収体1aが自動車に搭載されるミリ波レーダとともに使用される場合、電磁波吸収体1aをミリ波が透過してしまうと、ミリ波レーダから発射され自動車の金属部分で乱反射した電磁波がミリ波レーダに再度受信され、ミリ波レーダの誤検知を引き起こす可能性がある。このため、導電層20aのシート抵抗はできるだけ小さいことが望ましい。導電層20aは、例えば100Ω/□以下のシート抵抗を有し、望ましくは20Ω/□以下のシート抵抗を有する。
図1に示す通り、電磁波吸収体1aは、例えば、抵抗層30をさらに備えている。抵抗層30は、第一層10aの少なくとも片側に設けられている。また、第一層10aは、誘電体層であり、かつ、抵抗層30と導電層20aとの間に配置されている。この場合、電磁波吸収体1aは、典型的には、λ/4型電磁波吸収体である。
電磁波吸収体1aがλ/4型電磁波吸収体である場合、吸収対象とする波長(λO)の電磁波が入射すると、抵抗層30の表面での反射(表面反射)による電磁波と、導電層20aにおける反射(裏面反射)による電磁波とが干渉するように設計されている。そのため、導電層20aのシート抵抗が高い(例えば、100Ω/□より高い)と電磁波が導電層20aを透過してしまい、電磁波吸収体1aにおける電磁波の吸収量が低下する。なお、λ/4型の電磁波吸収体においては、下記の式(2)に示す通り、誘電体層である第一層10aの厚み(t)及び誘電体層の比誘電率(εr)によって吸収対象の電磁波の波長(λO)が決定される。すなわち、誘電体層である第一層10aの材料及び厚みを適宜調節することにより、吸収対象の波長の電磁波を設定できる。式(2)においてsqrt(εr)は、比誘電率(εr)の平方根を意味する。
λO=4t×sqrt(εr) 式(2)
上記の通り、抵抗層30は、吸収対象の波長の電磁波を電磁波吸収体1aの表面近傍で反射させるために配置される。抵抗層30は、例えば、200〜600Ω/□のシート抵抗を有し、望ましくは360〜500Ω/□のシート抵抗を有する。この場合、電磁波吸収体1aは、ミリ波レーダ又は準ミリ波レーダにおいて汎用される波長の電磁波を選択的に吸収しやすくなる。例えば、電磁波吸収体1aは、ミリ波レーダに用いられる20〜90GHz、特に60〜90GHzの周波数の電磁波を効果的に減衰させることができる。
抵抗層30は、例えば、インジウム、スズ、及び亜鉛からなる群から選ばれた少なくとも一つを主成分とする金属酸化物、導電性高分子、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤー、及びメタルメッシュのいずれかからなる層(以下、「機能層」という)を含む。なかでも、抵抗層30の機能層は、抵抗層30におけるシート抵抗の安定性及び抵抗層30の耐久性の観点から、望ましくは酸化インジウムスズ(ITO)からなる。この場合、抵抗層30の機能層を形成する材料は、望ましくは20〜40重量%のSnO2を含有するITOであり、より望ましくは25〜35重量%のSnO2を含有するITOである。このような範囲でSnO2を含有するITOは、非晶質構造が極めて安定であり、高温多湿の環境においても抵抗層30のシート抵抗の変動を抑えることができる。抵抗層30のシート抵抗は、例えば機能層によって定められた面に対して測定された値を意味する。本明細書において、「主成分」とは、その材料の特性に影響を与える成分の意味であり、その成分の含有量は、通常、材料全体の50重量%以上である。
抵抗層30の機能層は、例えば10〜100nmの厚みを有し、望ましくは25〜50nmの厚みを有する。これにより、電磁波吸収体1aが経時的変化又は環境的変化を受けても抵抗層30のシート抵抗が安定しやすい。
抵抗層30は、例えば、機能層を支持する支持体をさらに含んでいてもよい。この場合、抵抗層30は、例えば、支持体上にスパッタリング又はコーティング(例えば、バーコーティング)等の成膜方法により機能層を形成することによって作製できる。この場合、支持体は、機能層の厚みを高精度に調節できる補助材としての役割も果たす。この場合、抵抗層30の支持体の材料は、例えば、導電層10aの支持体の材料として例示した材料である。抵抗層30の支持体の材料は、導電層10aの支持体の材料と同一の材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。なかでも、良好な耐熱性と、寸法安定性と、コストとのバランスの観点から、抵抗層30の支持体の材料は望ましくはPETである。必要に応じて、抵抗層30において支持体は省略可能である。
抵抗層30が支持体を含む場合、抵抗層30において、機能層が支持体よりも第一層10aに近い位置に配置されていてもよいし、支持体が機能層よりも第一層10aに近い位置に配置されていてもよい。
抵抗層30の支持体の厚みは、導電層10aの支持体25の厚みと同一であってもよいし、異なっていてもよい。抵抗層30の支持体は、例えば10〜150μmの厚みを有し、望ましくは20〜100μmの厚みを有し、より望ましくは30〜80μmの厚みを有する。これにより、抵抗層30の曲げ剛性が低く、かつ、抵抗層30の機能層を形成する場合において皺の発生又は変形を抑制できる。
電磁波吸収体1aがλ/4型電磁波吸収体である場合、誘電体層10aは、例えば、1〜20の比誘電率を有する高分子シートによって形成されている。誘電体層10aは、より望ましくは、2〜20の比誘電率を有する高分子シートによって形成されている。これにより、電磁波吸収体1aが所望の電磁波吸収特性を発揮しやすい。誘電体層10aの比誘電率は、例えば、自由空間法によって測定できる。
誘電体層10aの高分子シートの材料は、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、及びエポキシ樹脂等の合成樹脂、又は、ポリイソプレンゴム、ポリスチレン・ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、及びシリコーンゴム等の合成ゴムである。これらは単独で又は2種以上を組み合せて誘電体層10aの高分子シートの材料として使用できる。誘電体層10aの厚みを低減し、電磁波吸収体1aの厚みを低減する観点から、誘電体層10aの高分子シートの材料として、ポリウレタン、アクリル樹脂、又はアクリルウレタン樹脂が望ましく使用される。また、成型性及び比誘電率の観点から、誘電体層10aの高分子シートの材料として、EVAも望ましく使用できる。
誘電体層10aは、単一の層であってもよいし、複数の層の積層体であってもよい。誘電体層10aが複数の層の積層体である場合、誘電体層10aの比誘電率は、各層の比誘電率を測定し、得られた各層の比誘電率に誘電体層10a全体の厚みに対する各層の厚みの割合を乗じ、これらを加算することにより算出できる。
電磁波吸収体1aがλ/4型電磁波吸収体であり、抵抗層30の外側に誘電体層が配置される場合、その誘電体層は2以上の比誘電率を有する非多孔質な層のみが配置される。なお、電磁波吸収体の表面に多孔質体が設置された場合、高湿環境で長期間放置されると吸湿により電磁波吸収体の電磁波吸収性が低下する可能性がある。
電磁波吸収体1aを用いて、例えば、電磁波吸収体付成形品を製造できる。電磁波吸収体付成形品は、成形品と、成形品に取り付けられた電磁波吸収体1aとを備えている。成形品は、例えば、バンパーなどの自動車部品である。
電磁波吸収体1aの製造方法の一例を説明する。シート状に成形された支持体の上に蒸着、スパッタリング、及びコーティング(例えば、バーコーティング)等の成膜方法により機能層を形成し、抵抗層30を作製する。なかでも、抵抗層30のシート抵抗及び抵抗層30の機能層の厚みを厳密に調節する観点から、抵抗層30の機能層は、望ましくはスパッタリングにより形成される。別のシート状に成形された支持体25の上に、金属粒子22を含むコーティング液を塗布して塗膜を硬化させ、又は、金属箔を載せて、導電層20aを作製する。
次に、導電層20aの一方の主面に、所定の厚みにプレス成型された第一層10aを形成する樹脂組成物を載せる。その後、第一層10aを形成する樹脂組成物に、抵抗層30の一方の主面を重ねる。必要に応じて、樹脂組成物を硬化させる。これにより、電磁波吸収体1aを製造できる。この方法によれば、誘電体層30の厚みの制御が容易であるので、吸収対象とする波長の電磁波を効果的に吸収できるように電磁波吸収体1aを製造できる。また、抵抗層30および導電層20bを別々に形成するので、電磁波吸収体1aの製造にかかる時間が短く、電磁波吸収体1aの製造コストが低い。
<変形例>
電磁波吸収体1aは、様々な観点から変更可能である。例えば、電磁波吸収体1aは、粘着層をさらに備えるように変更されてもよい。この場合、粘着層は、導電層20aの外側に配置されている。これにより、電磁波吸収体1aを成形品等の物品に容易に取り付けることができる。
電磁波吸収体1aは、図3に示す電磁波吸収体1bのように変更されてもよい。電磁波吸収体1bは、特に説明する場合を除き、電磁波吸収体1aと同様に構成されている。電磁波吸収体1aに関する説明は、技術的に矛盾しない限り、電磁波吸収体1bにもあてはまる。
図3に示す通り、電磁波吸収体1bは、第一層10bと、導電層20bとを備えている。第一層10bは特に説明する場合を除き第一層10aと同様に構成されている。第一層10aに関する説明は、技術的に矛盾しない限り、第一層10bにもあてはまる。導電層20bは、特に説明する場合を除き、導電層20aと同様に構成されている。導電層20aに関する説明は、技術的に矛盾しない限り、導電層20bにもあてはまる。
図3に示す通り、電磁波吸収体1bは抵抗層30を備えていない。第一層10bは、誘電体層又は磁性体層である。第一層10bが誘電体層である場合、電磁波吸収体1bは、分子の分極に起因する誘電損失を利用して電磁波を吸収する、誘電損失型の電磁波吸収体である。誘電損失型の電磁波吸収体において、電場の変化に分子の分極が追従できずに電磁波が有するエネルギーが熱として損失する。この場合、第一層10bにおいて、例えば、誘電体層である第一層10aの高分子シートの材料として挙げた上記の合成樹脂又は合成ゴムにカーボン粒子等が分散している。導電層20bは、導電層20aと同様に、吸収対象の電磁波が電磁波吸収体1bを透過することを防止する。
第一層10bが磁性体層である場合、電磁波吸収体1bは、磁性材料の磁気損失によって電磁波を吸収する、磁性損失型の電磁波吸収体である。誘電損失型の電磁波吸収体において、磁界の変化に磁性モーメントが追従できず電磁波が有するエネルギーが熱として損失する。この場合、第一層10bにおいて、例えば、誘電体層である第一層10aの高分子シートの材料として挙げた上記の合成樹脂又は合成ゴムにフェライト、鉄、又はニッケル等の磁性材料の粒子が分散している。導電層20bは、導電層20aと同様に、吸収対象の電磁波が電磁波吸収体1bを透過することを防止する。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
<実施例1>
ポリエステルからなるフィルム状の支持体(三菱化学ポリエステル社製、三菱ダイアホイル、厚み:38μm厚)に、シート抵抗が380Ω/□になるように30重量%のSnO2を含有するITOを用いて機能層を形成し、実施例1に係る抵抗層を作製した。ポリウレタンからなるフィルム状の支持体(クラボウ社製、クランジール、厚み:50μm)の上に、シート抵抗が10Ω/□以下になるようにバーコーターで銀コート銅粉末含有アクリルゴム(プラスコート株式会社製、銀コート銅SCF104)を塗布し、塗膜を120℃で1分間加熱して溶剤を除去し、実施例1に係る導電層を作製した。導電層の銀コート銅粉末含有アクリルゴムで形成された主面に誘電体層である560μmの厚みにプレス成型したアクリル樹脂(クラレ社製、クラリティLA2330)を載せ、アクリル樹脂(誘電体層)の上に、抵抗層の支持体によって形成された主面をアクリル樹脂に向けた状態で抵抗層を重ねた。このようにして、実施例1に係る電磁波吸収体を得た。実施例1に係る電磁波吸収体における誘電体層の比誘電率は2.55であった。
<実施例2>
銀コート銅SCF104に代わりに、銀コート銅SCF104よりも銀コート量が少ない銀コート銅粉末含有アクリルゴム(プラスコート株式会社製、銀コート銅SCF105)を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2に係る電磁波吸収体を作製した。
<実施例3>
600重量部の銀コート銅(東洋アルミニウム社製、TMF-C05F、銀含有率:20質量%)を、100重量部のアクリル樹脂(クラレ社製、クラリティLA2330)に混ぜ合わせ、混ぜ合わせたものを100μmの厚みでシート状に成形し、実施例3に係る導電層を作製した。実施例1に係る導電層の代わりに、実施例3に係る導電層を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例3に係る電磁波吸収体を作製した。
<実施例4>
ポリエステルからなるフィルム状の支持体(三菱化学ポリエステル社製、三菱ダイアホイル、厚み:38μm厚)に、シート抵抗が380Ω/□になるように、中京油脂社製のPEDOT/PSS分散液をバーコーターで塗布して機能層を形成し、実施例4に係る抵抗層を作製した。実施例1に係る抵抗層の代わりに、実施例4に係る抵抗層を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例4に係る電磁波吸収体を作製した。PEDOT/PSS分散液は、下記の原料を下記の添加量で混合して調製した。
導電性コーティング剤(導電コート R‐801の2質量%メタノール溶液):5.0g
メタノール:5.0g
硬化剤P‐795の1.0質量%メタノール希釈液:0.5g
硬化剤Q‐113の1.0質量%メタノール希釈液:2.0g
レベリング剤R−438の1.0質量%メタノール希釈液0.1g
<実施例5>
ポリエステルからなるフィルム状の支持体(三菱化学ポリエステル社製、三菱ダイアホイル、厚み:38μm厚)に、シート抵抗が380Ω/□になるように、カーボンナノチューブ分散液(KH社製、WaterSolution Gen2.3)をバーコーターで塗布した。塗膜を130℃で3分間乾燥させて水洗いしその後90℃で3分間さらに乾燥させて機能層を形成し、実施例5に係る抵抗層を作製した。実施例1に係る抵抗層の代わりに、実施例5に係る抵抗層を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例5に係る電磁波吸収体を作製した。
<実施例6>
実施例1に係る導電層の代わりに、25μmの厚みを有するPETの層、7μmのアルミニウムの層、及び9μmの厚みを有するPETの層がこの順で積層されているUACJ社製のアルミニウム箔付きPETフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例6に係る電磁波吸収体を作製した。
<実施例7>
実施例1に係る導電層の代わりに、アルミニウム箔(日本製箔社製、厚み:12μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例7に係る電磁波吸収体を作製した。
<実施例8>
100重量部のEVA樹脂(三井デュポン社製、エバフレックスEV250)に、ニューメタルスエンドケミカルス社製のカルボニル鉄粉YW1を300重量部添加し、ミキシングロールで混練した後120℃でプレス成型して1200μmの厚みを有するシート状の誘電体層(実施例8に係る誘電体層)を作製した。実施例8に係る誘電体層の比誘電率は6.6であった。実施例8に係る誘電体層の一方の主面に実施例6で使用したアルミニウム箔付きPETフィルムを貼り合せ、実施例8に係る電磁波吸収体を作製した。
<実施例9>
実施例1に係る導電層の代わりに、12μmの厚みの銅箔と50μmのPETフィルムが積層されたパナック社製の銅箔付PETフィルムを使用した以外は、実施例1と同様にして実施例9に係る電磁波吸収体を作製した。
<実施例10>
実施例1に係る導電層の代わりに、100μmの厚みを有するアルミニウム箔を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例10に係る電磁波吸収体を作製した。
<実施例11>
ポリエステルからなるフィルム状の支持体(三菱化学ポリエステル社製、三菱ダイアホイル、厚み:38μm厚)に、シート抵抗が100Ω/□になるように10重量%のSnO2を含有するITOを用いてITO層を形成し、実施例11に係る導電層を作製した。実施例1に係る導電層の代わりに、実施例11に係る導電層を使用した以外は実施例1と同様にして、実施例11に係る電磁波吸収体を作製した。
<実施例12>
誘電体層として、500μmの厚みを有するポリカーボネートのシートの両面に0.05mm厚みのアクリル粘着シート(日東電工社製、CS9862UA)を貼り合せたものを用いた以外は実施例6と同様にして実施例12に係る電磁波吸収体を作製した。
<比較例1>
ポリエステルからなるフィルム状の支持体(三菱化学ポリエステル社製、三菱ダイアホイル、厚み:38μm)の上に、シート抵抗が380Ω/□になるよう30重量%のSnO2を含有するITOを用いて比較例1に係る抵抗層を形成した。アルミニウム蒸着ポリアミドフィルム(東洋紡株式会社製、バーデンN7476、ポリアミドフィルムの厚み:15μm)を比較例1に係る導電層として準備した。比較例1に係る導電層のアルミウムが蒸着された面に、誘電体層である560μmの厚みにプレス成型したアクリル樹脂(クラレ社製、クラリティLA2330)を載せ、アクリル樹脂(誘電体層)の上に、抵抗層の支持体によって形成された主面をアクリル樹脂に向けた状態で抵抗層を重ねた。このようにして、比較例1に係る電磁波吸収体を作製した。
<比較例2>
比較例1に係る導電層の代わりに、アルミニウム蒸着CPPフィルム(三井化学東セロ社製、CP WS20、CPPフィルムの厚み20μm)を使用した以外は比較例1と同様にして、比較例2に係る電磁波吸収体を作製した。
<比較例3>
比較例1に係る導電層の代わりに、メイワパックス社製のMERを使用した以外は比較例1と同様にして比較例3に係る電磁波吸収体を作製した。メイワパックス社製のMERは、30μmのCPPフィルムにアルミニウム蒸着がなされ、アルミニウムの蒸着面に表面処理がなされていた。
<比較例4>
100重量部のアクリル樹脂(クラレ社製、クラリティLA2330)に、福田金属箔粉工業社製のカーボニルNi123を400重量部添加し、プレス機にて120μmの厚みに成型したシートを作製し、比較例4に係る導電層を得た。比較例1に係る導電層の代わりに、比較例4に係る導電層を用いた以外は比較例1と同様にして、比較例4に係る電磁波吸収体を作製した。
<比較例5>
比較例1に係る導電層の代わりに、500μmの厚みのアルミニウム板を使用した以外は比較例1と同様にして、比較例5に係る電磁波吸収体を作製した。
<比較例6>
誘電体層として500μmの厚みのポリカーボネートシートの両面に0.05mm厚みのアクリル粘着シート(日東電工社製、CS9862UA)を貼り合せたものを用いた以外は比較例5と同様にして、比較例6に係る電磁波吸収体を作製した。
各実施例及び各比較例に係る電磁波吸収体について、曲げ剛性、曲面への貼り付け性、及び高温高湿環境における耐久性を下記の指標に従って評価した。結果を表1に示す。
[曲げ剛性]
実施例又は比較例に係る電磁波吸収体の一端を固定して片持ちの状態にし、電磁波吸収体の他端におもりによって下向きの荷重を加えて曲げ変形させたときのたわみd[cm]を測定した。下記式(1)に基づいて曲げ剛性EI[MPa・mm4]を算出した。なお、下記式(1)において、W:試験体の坪量[g/m2]、L:試験体の長さ[cm]、b:試験体の幅[cm]、F:おもりの重量[g]、およびd:たわみ[cm]である。
EI={(WLb/8)×10‐4+(F/3)}×(L3/d)×(9.81/10) (式1)
[曲面への貼り付け性]
R150(曲率半径:150mm)に曲げた鋼板に、0.05mmの厚みの透明粘着シート(日東電工社製、CS9862UA)を用いて実施例又は比較例に係る電磁波吸収体を貼り付けた場合の状態を観察し、下記の指標に従って各実施例及び各比較例を評価した。
a:電磁波吸収体が鋼板の曲面に沿って変形し、鋼板に貼り付けた後に浮きがない。
b:電磁波吸収体が鋼板の曲面に沿って変形するものの、電磁波吸収体に折れシワが発生する。
x:電磁波吸収体が鋼板の曲面に沿って変形できず貼り付けることが困難
[高温高湿環境における耐久性]
各実施例及び各比較例に係る電磁波吸収体を温度80℃及び相対湿度85%の環境に1000時間置いた後、JIS R 1679(電波吸収体のミリ波帯における電波吸収特性測定方法)に準拠して、76GHzのミリ波に対する透過減衰量(dB)を測定した。この測定は各実施例及び各比較例について3回ずつ行い、その平均値を各実施例及び各比較例についての透過減衰量と決定した。加えて、非接触式(渦電流法)のシート抵抗装置を用いて各実施例及び各比較例の電磁波吸収体の導電層のシート抵抗を測定した。
a:透過減衰量が41dB〜100dB
b:透過減衰量が10dB〜40dB
x:透過減衰量が10dB未満
Figure 2019071463
1a、1b 電磁波吸収体
10a、10b 第一層(誘電体層又は磁性体層)
20a、20b 導電層
22 金属粒子
30 抵抗層

Claims (14)

  1. 誘電体層又は磁性体層である第一層と、
    前記第一層の少なくとも片側に設けられた導電層と、を備え、
    温度85℃及び相対湿度85%の環境に1000時間曝した後に前記導電層が100Ω/□以下のシート抵抗を有し、
    7000MPa・mm4以下の曲げ剛性を有する、
    電磁波吸収体。
  2. 前記導電層は、金属を含む、請求項1に記載の電磁波吸収体。
  3. 前記導電体層のヤング率と前記導電体層の厚みとの積が、0.01〜34000MPa・mmである、請求項1又は2に記載の電磁波吸収体。
  4. 前記第一層のヤング率と前記第一層の厚みとの積が、0.1〜1200MPa・mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
  5. 前記第一層は、0.1〜2500MPaのヤング率を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
  6. 前記導電層は、表面処理された金属粒子を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
  7. 前記導電層は、1〜490μmの厚みを有する金属箔を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
  8. 前記導電層は、高分子シートである支持体を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
  9. 前記第一層の少なくとも片側に設けられた抵抗層をさらに備え、
    前記第一層は、前記誘電体層であり、かつ、前記抵抗層と前記導電層との間に配置されている、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
  10. 前記抵抗層は、200〜600Ω/□のシート抵抗を有する、請求項9に記載の電磁波吸収体。
  11. 前記誘電体層は、1〜20の比誘電率を有する高分子シートによって形成されている、請求項9又は10に記載の電磁波吸収体。
  12. 温度85℃及び相対湿度85%の環境に1000時間曝した後に、日本工業規格(JIS) R 1679に従って測定した76GHzのミリ波の透過減衰量が10dB以上である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
  13. 前記導電層の外側に配置された粘着層をさらに備えた、請求項1〜12のいずれか1項に記載の電磁波吸収体。
  14. 成形品と、
    前記成形品に取り付けられた請求項1〜13のいずれか1項に記載の電磁波吸収体と、を備えた、
    電磁波吸収体付成形品。
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