JP2005311330A - 電波吸収体 - Google Patents

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Tomonori Takada
知憲 高田
Hidemi Ito
秀己 伊藤
Takashi Takayama
隆司 高山
Hitoshi Masago
均 真砂
Junichi Nakanishi
純一 中西
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Abstract

【課題】 耐候性、曲げ加工性、生産性等の良好な電波吸収体を提供する。
【解決手段】 極細導電繊維を含んだ透明な抵抗膜3と、光を透過する電波反射体2との間に、透明な誘電体層1を備えた構成の透明な電波吸収体とする。極細導電繊維は凝集することなく分散して互いに接触し、具体的には抵抗膜の極細導電繊維が一本ずつ分離した状態で、もしくは、複数本集まって束になったものが一束ずつ分離した状態で分散して互いに接触している。極細導電繊維を含んだ抵抗膜は透明性が良好であり、耐候性が良いため短期間のうち劣化して透明な電波吸収体の性能低下を招く心配がなく、後から透明な電波吸収体を二次曲げ加工しても極細導電繊維相互の接触が維持されて表面抵抗率の上昇を招くことが殆どない。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば高速道路のETC料金所などのITS分野において電波障害や誤動作をなくすために利用が見込まれる電波吸収体、特に透明な電波吸収体に関する。
電波障害や誤動作をなくす透明な電波吸収体としては、透明なアクリル樹脂等からなる誘電体の片面に、ITO等の金属酸化物を蒸着して抵抗薄膜を形成した透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等を積層し、誘電体の反対面に光を透過する金属線格子、金属薄膜等の電波反射体を設けたものが知られている(特許文献1)。
この電波吸収体は、ITO等の金属酸化物を蒸着して抵抗薄膜を形成しているため、良好な透明性を有している。けれども、ITO等で形成した抵抗薄膜は耐候性が悪く、ITO等を蒸着するPETフィルムも耐候性が悪いため、上記の電波吸収体を屋外で使用すると、短期間の内に抵抗薄膜やPETフィルムが劣化して、透明性が著しく悪化し、黄みを帯びるようになり、透明でなくなるという問題があった。かかる問題は、耐候性の良いフィルムを使用すると多少は改善されることになるが、耐候性の良いアクリル等のフィルムはITOの蒸着が難しいため、蒸着の容易なPETフィルムを使用せざるを得ないのが実情である。
また、PETフィルムを利用せず、ガラスやプラスチック板の上にITO等の金属酸化物を蒸着して抵抗薄膜を形成する場合は、蒸着をバッチ式で行わざるを得ないため、連続生産が困難で生産性が悪いという問題があった。また、後から曲げ加工を施すと、抵抗薄膜に亀裂が入って表面抵抗率が大幅に上昇するため、満足な電波吸収性能を発揮できないという問題もあった。
特開平5−335832号公報
本発明は上記の問題に対処すべくなされたもので、耐候性、曲げ加工性、生産性等の良好な電波吸収体を提供することを解決課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る電波吸収体は、極細導電繊維を含んだ抵抗膜と電波反射体との間に誘電体層を備えていることを特徴とするものである。
本発明の電波吸収体においては、抵抗膜が電波反射体の両側に存在し、一方の抵抗膜と電波反射体との間および他方の抵抗膜と電波反射体との間に誘電体層を備えた構成としてもよい。そして、この極細導電繊維は凝集することなく分散して互いに接触していることが望ましく、具体的には抵抗膜の極細導電繊維が一本ずつ分離した状態で、もしくは、複数本集まって束になったものが一束ずつ分離した状態で分散して互いに接触していることが望ましい。極細導電繊維はカーボンナノチューブを用いることが好ましく、特に、極細導電繊維が多層カーボンナノチューブであって一本ずつ分離した状態で分散していること、或いは、単層カーボンナノチューブであって複数本集まって束になったものが一束ずつ分離した状態で分散していることが望ましい。なお、本発明において「凝集することなく」とは、抵抗膜を電子顕微鏡あるいは光学顕微鏡で観察し、平均径が0.5μm以上の凝集塊がないことを意味する。また、「接触」とは、カーボンナノチューブなどの極細導電繊維が現実に接触している場合と、極細導電繊維が導通可能な微小間隙をあけて近接している場合の双方を意味する。
更に、本発明の電波吸収体においては、抵抗膜の外側に保護層を一層もしくは二層備えていること、保護層が耐候性を有すること、抵抗膜と保護層との間もしくは保護層と保護層との間に空気層を備えていること、抵抗膜と誘電体層との間もしくは誘電体層と電波反射体との間に空気層を備えていること、抵抗膜が複数の膜よりなることが望ましい。更に、抵抗膜、誘電体層、保護層のいずれもが透明であると共に電波反射体が光を透過して、透明な電波吸収体となしてあることも望ましい。なお、本発明において「透明」とは、全光線透過率が30%以上、ヘーズが10%以下であり、透視が可能な状態を意味する。
本発明の電波吸収体のように極細導電繊維を含む抵抗膜が形成されていると、極細導電繊維の抵抗膜はITO抵抗膜に比較して耐候性が極めて良好である。このような極細導電繊維を含んだ抵抗膜は短期間のうち劣化して電波吸収体の性能低下を招く心配がない。また、極細導電繊維を含む抵抗膜を備えた電波吸収体は、後から二次曲げ加工しても、抵抗膜の極細導電繊維相互の接触が維持されて表面抵抗率の上昇を招くことが余りないため、二次曲げ加工を行うことができる。さらに、極細導電繊維を含む抵抗膜は、極細導電繊維含有塗料を調製して塗布、乾燥することにより連続して形成できるため、本発明の電波吸収体は、バッチ式で断続的にITO等を蒸着する従来の電波吸収体に比べると生産性が遥かに良好である。
また、極細導電繊維を含む抵抗膜は、極細導電繊維が極めて細いものであるため、ITOの抵抗膜と遜色のない良好な透明性を有している。このため、本発明の電波吸収体は、光線透過率の高い誘電体層と透過光量の多い電波反射体を選択して上記の抵抗膜と組合わせることにより、既述したように全光線透過率が30%以上、ヘーズが10%以下とすることができ、透視の十分可能な電波吸収体とすることができる。特に、抵抗膜の極細導電繊維が凝集することなく分散して互いに接触している電波吸収体は、凝集しないで接触、導通に寄与する極細導電繊維の本数が相対的に増えることになるため、その分だけ極細導電繊維の含有量を少なくしても所定の表面抵抗率を確保することが可能となり、極細導電繊維を減らせる分だけ透明性を更に向上させることができる。同様に、抵抗膜の極細導電繊維が一本ずつ分離した状態で、もしくは、複数本集まって束になったものが一束ずつ分離した状態で分散して互いに接触している電波吸収体も、極細導電繊維の相互の接触頻度が高いので、その含有量を少なくしても所定の表面抵抗率を確保することが可能となり、極細導電繊維の減少分だけ透明性を更に向上させることができる。
抵抗膜が電波反射体の両側に存在し、一方の抵抗膜と電波反射体との間および他方の抵抗膜と電波反射体との間に誘電体層を備えた電波吸収体は、両側から伝播してくる電波を中央の電波反射体で反射して吸収することができ、電波反射体を共用できるので、安価な電波吸収体とすることができる。
抵抗膜の外側に保護層を一層もしくは二層備えた電波吸収体は、抵抗膜が保護層で覆われて損傷しないように保護されるため、耐久性が向上する。特に、保護層が耐候性を有するものであると、電波吸収体を屋外で使用しても、抵抗膜や誘電体層が紫外線等から保護されるので、耐候性が向上するようになる。また、保護層が誘電体層と同様の誘電体で形成される場合は、後述するように、保護層の厚みを変えることによって、吸収される電波のピーク周波数を変化させることができるので、保護層と誘電体層との厚みを調製することによって所望の周波数の電波を吸収する電波吸収体とすることができる。
更に、抵抗膜と保護層との間もしくは保護層と保護層との間に空気層を備えた電波吸収体は、該空気層が入射する電波の進行方向を変化させ、斜入射電波吸収性能を有利に導き、あるいは、若干ではあるが誘電体変化により、波長を変化させ電波吸収性能そのものを高めることができる。そして、この空気層の間隔を変えると、電波吸収性能(リターンロス)のピーク周波数を調節することもできる。また、抵抗膜と誘電体層もしくは誘電体層と電波反射体との間に空気層を備えた電波吸収体は、空気層の厚さ分だけ誘電体層を薄くできるので材料費を節約することができる。
更に、抵抗膜を複数設けた電波吸収体は、電波吸収性能(リターンロス)のピーク周波数の周波数帯域を広げることが出来、斜入射電波吸収性能も向上させることが出来る。また、長期使用により表面抵抗率が変化した場合において、或は製造時の表面抵抗率の変化に対しても、電波吸収性能を維持することができる。
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
図1は本発明に係る電波吸収体の最も基本的な実施形態を示す概略断面図であり、図2(a)(b)は電波吸収体の抵抗膜を説明する拡大部分断面図である。
この電波吸収体は、極細導電繊維としてカーボンナノチューブを含んだ透明な抵抗膜3と、光を透過する電波反射体2との間に、透明な誘電体層1を備えた三層構造の透明な電波吸収体である。
誘電体層1は高誘電率の透明な合成樹脂やガラスなどからなるものであって、この誘電体層1の厚さは、用途や実用強度を考慮して0.5〜15mmの範囲内で、λ/4電波吸収体理論(λ:誘電体層1内での電波の波長)に基づいて設計されている。二次曲げ加工性を付与する観点からは、ガラスよりも透明な熱可塑性合成樹脂で誘電体層1を形成することが望ましく、更に、屋外で使用する際の耐熱性や透明性を考慮すると、融点や光線透過率の低いビニル系樹脂よりも、融点や光線透過率が高いアクリル系樹脂(メチルメタクリレート等)、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー等)、ポリエステル系樹脂(ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等)などで誘電体層1を形成することが望ましい。これらの中で、ポリカーボネート樹脂は機械的強度に優れているので、屋外で使用する電波吸収体の誘電体層1としては特に好ましく用いられる。なお、ポリカーボネートはメチルメタクリレート樹脂に比べ多少耐候性に劣るが、紫外線吸収剤等を添加したり、後述する保護層として耐候性に優れた樹脂を使用することによって、実用に十分な耐候性を付与できる。
電波反射体2は光を透過する導電材からなるものであって、例えば4〜250メッシュ程度の目を備えた導電メッシュ材や金属メッシュ材、或いは、金属金網や金属格子、或いは、開口率の大きいパンチングメタル、或いは、表面抵抗率が10Ω/□以下の透明な導電膜を形成した透明フィルムなどが好ましく使用される。
抵抗膜3は極細導電繊維としてカーボンナノチューブを用いた透明な薄膜であって、周波数帯域1〜18GHzの電波吸収に適するよう、カーボンナノチューブの含有量、塗膜厚み、分散状態などを変えて、抵抗膜3の表面抵抗率が自由空間の電波特性インピーダンスに合致する377Ω/□の目標値となるように形成されており、実際には377±30Ω/□の表面抵抗率を備えるように、上記の条件を変更する。例えば、カーボンナノチューブの目付け量を30〜450mg/mとなるように塗布することで377±30Ω/□の表面抵抗率を得ることができる。カーボンナノチューブを含む抵抗膜3は、カーボンナノチューブの含有量(濃度)等に対応して抵抗膜の表面抵抗率がほぼ定まり、表面抵抗率の大きいバラツキが生じにくい。上記の目付け量は、抵抗膜3を電子顕微鏡で観察し、その平面面積に占めるカーボンナノチューブの面積割合を測定し、これに電子顕微鏡で観察した厚みとカーボンナノチューブの比重(グラファイトの文献値2.1〜2.3の平均値2.2を採用)を乗算して算出した量である。
極細導電繊維としては、この実施形態に用いているカーボンナノチューブが最も好ましく用いられるが、その他の繊維を用いて表面抵抗率を377±30Ω/□にすることができるものであれば特に限定されるものではない。例えば、カーボンナノホーン、カーボンナノワイヤー、カーボンナノファイバー、グラファイトフィブリルなどの極細長炭素繊維、白金、金、銀、ニッケル、シリコンなどの金属ナノチューブ、ナノワイヤーなどの極細長金属繊維、酸化亜鉛などの金属酸化物ナノチューブ、ナノワイヤーなどの極細長金属酸化物繊維などの、直径が0.3〜100nmで長さが0.1〜20μm、好ましくは0.1〜10μmのものが用いられる。
抵抗膜3のカーボンナノチューブは凝集することなく分散して互いに接触しており、具体的にはカーボンナノチューブが一本ずつ分離した状態で、もしくは、複数本集まって束になったものが一束ずつ分離した状態で分散して互いに接触している。そして、抵抗膜3がカーボンナノチューブと透明なバインダーとで形成されていると、図2(a)に示すように、カーボンナノチューブ3aはバインダー3bの内部に上記の分散状態で分散して互いに接触しているか、或いは、図2(b)に示すように、カーボンナノチューブ3aの一部がバインダー3b中に入り込み他の部分がバインダー3bの表面から突出ないし露出して上記の分散状態で分散して互いに接触しているか、或いは、一部のカーボンナノチューブ3aが図2(a)のようにバインダー3bの内部に、他のカーボンナノチューブ3aが図2(b)のようにバインダー3bの表面から突出ないし露出して上記分散状態で分散して互いに接触している。
これらのカーボンナノチューブ3aの正面から見た分散状態を図15に模式的に示す。この図14から理解できるように、カーボンナノチューブ3aは多少曲がっているが、1本ずつ或いは一束ずつ分離し、互いに複雑に絡み合うことなく、即ち凝集することなく、単純に交差した状態で抵抗膜3の内部或いは表面に分散し、それぞれの交点で接触している。尚、カーボンナノチューブ3aは完全に一本ずつ或いは一束ずつ分離して分散している必要はなく、一部に絡み合った小さな凝集塊があってもよいが、既述したように「凝集することなく」とは長径と短径の平均値が0.5μm以上の凝集塊がないことを意味するものであるから、存在する凝集塊の平均径は0.5μm未満であることが必要である。
このように、極細導電繊維であるカーボンナノチューブ3aが抵抗膜3内で多少曲がって1本ずつ或は1束ずつ分離して、互いに複雑に絡み合うことなく分散していると、抵抗膜3を曲げてもカーボンナノチューブ3aが伸びるので切断されることが殆どない。或は、カーボンナノチューブがお互いに接触してすれるため、導通が保たれる。そのため、誘電体層1を透明性の熱可塑性樹脂や空気層にて形成すると、電波吸収体を曲げても表面抵抗率を低下させることがなくて、電波吸収性能を維持することができる。
カーボンナノチューブ3aは直径が0.3〜80nmと極めて細いため、これを前記の目付け量に相当する量だけ含んだ抵抗膜3は透明性が良好であるが、特に上記のような分散状態でカーボンナノチューブ3aが分散していると、凝集しないで接触、導通に寄与するカーボンナノチューブ3aの本数が相対的に増え、チューブ相互の接触頻度が高くなるため、その分だけカーボンナノチューブ3aの含有量を少なくしても前記の表面抵抗率(377±30Ω/□)を確保できるようになり、このカーボンナノチューブ3aを少なくできる分だけ透明性を更に向上させることが可能となる。従って、この抵抗膜3は、透明性の良いITOの抵抗膜と同等の透明性を有する。ちなみに、前記の目付け量に相当する量のカーボンナノチューブを含んだ377±30Ω/□の表面抵抗率を有する抵抗膜3の光線透過率(分光光度計による550nmの光の透過率)は、87%前後であり、それゆえ透明性の良い誘電体層1と透光量の多い電波反射体2を選択して電波吸収体を作製すれば、既述したように全光線透過率が30%以上、ヘーズが10%以下、好ましくは全光線透過率が50%以上の透明な電波吸収体を確実に得ることができる。
上記のカーボンナノチューブ3aには、中心軸線の周りに直径が異なる複数の円筒状に閉じたカーボン壁を同心的に備えた多層カーボンナノチューブや、中心軸線の周りに単独の円筒状に閉じたカーボン壁を備えた単層カーボンナノチューブがある。前者の多層カーボンナノチューブは、中心軸線の周りに多層になって構成されものと、渦巻き状に多層に形成されているものとがある。その中でも、好ましい多層カーボンナノチューブは、2〜30層、より好ましくは2〜15層重なったものが用いられる。そのような多層カーボンナノチューブを前記の分散状態で分散させると、既述したように光線透過率の良い抵抗膜3が形成される。多層カーボンナノチューブは一本ずつ分離した状態で分散しているものが殆どであるが、2層ないし3層カーボンナノチューブは、束になって分散している場合もある。
一方後者の単層カーボンナノチューブは、上記のように中心軸線の周りに円筒状に閉じた単層のチューブである。このような単層カーボンナノチューブは一本ずつ分離した状態では分散されにくく、二本以上集まって束になり、それが一束ずつ分離して、束同士が複雑に絡み合うことなく凝集せずに単純に交差した状態で抵抗膜3の内部もしくは表面に分散され、それぞれの交点で接触している。単層カーボンナノチューブは、10〜50本が集まって束になったものが好ましい。なお、単層カーボンナノチューブが単独で1本ずつ分散した状態を除外するものではない。
カーボンナノチューブの分散性を高めるためには、抵抗膜3中に分散剤を含有させることが望ましい。分散剤としては、酸性ポリマーのアルキルアンモニウム塩溶液、3級アミン修飾アクリル共重合物、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合物などの高分子系分散剤やカップリング剤などが好ましく使用される。
抵抗膜3に用いるバインダーとしては、透明な熱可塑性樹脂、例えばポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、フッ化ビニリデンなどが使用され、また、熱や紫外線や電子線や放射線で硬化する透明な硬化性樹脂、例えばメラミンアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル変性シリケートなどのシリコーン樹脂なども使用される。しかし、二次曲げ加工性を付与するためには、前者の透明な熱可塑性樹脂からなるバインダーを用いる必要がある。なお、このバインダーにはコロイダルシリカのような無機材を添加してもよく、その場合は表面硬度や耐摩耗性に優れた抵抗膜3が形成される。
上記のような透明な電波吸収体は、例えば次の方法によって効率良く製造することができる。まず、カーボンナノチューブと、前記のバインダーと、必要に応じて前記の分散剤とを十分に混合して塗液を調製し、この塗液を前記の透明な誘電体層1の片面に塗布して、表面抵抗率が377±30Ω/□の透明な抵抗膜3を形成する一方、前記の電波反射体2を誘電体層1の反対面に取付けることによって、透明な電波吸収体を製造する。電波反射体2の取付けは、接着や熱融着等の手段で行ってもよいが、ビスやボルト・ナットなどの止具で固定する方が簡単であり、また、重ね合わせた誘電体層1と電波反射体2の周囲を枠材で囲んで分離しないように固定してもよい。
なお、ボルト、ナット、ワッシャー等は金属成分であるとアンテナ効果により、電波吸収性能を阻害する要因となるため、高強度のプラスチック(ポリカーボネート等)製のボルト、ナット、ワッシャー等を使用するのが好ましい。
以上の透明な電波吸収体は、全光線透過率が30%以上、ヘーズが10%以下、好ましくは全光線透過率が50%以上の良好な透明性を備えており、しかも、カーボンナノチューブ3aを含んだ抵抗膜3の耐候性が良いため短期間で劣化して電波吸収体の性能低下を招くことがない。従って、この透明な電波吸収体は、長期にわたって良好な電波吸収性能と透明性を持続し、抵抗体3を通って入射する1〜18GHzの電波を電波反射体2で反射して吸収することにより、ITS分野における電波障害や誤動作を防止することができる。また、この透明な電波吸収体は、どのような誘電体層1に対してもカーボンナノチューブ含有塗液を塗布して抵抗膜3を簡単かつ精度良く連続形成できるため生産性が良く、曲げ加工しても抵抗膜3の表面抵抗率が実質的に変化しないので電波吸収性能の低下を招くことがない。
なお、この実施形態の電波吸収体において、透明性を必要としない場合は、誘電体層1を形成する合成樹脂などに顔料などを添加して不透明にすることもできるし、或は、表面に細かな凹凸を付与してシボを形成することにより半透明として非透視性とすることもできる。さらに、電波反射体2に不透明な反射体、例えば金属板などを使用することによっても不透明な電波吸収体とすることができる。
図3は本発明に係る電波吸収体の他の実施形態を示す概略断面図である。
この電波吸収体は、前述した透明な電波吸収体の抵抗膜3の外面に透明な保護層4を備えた透明な(透視性を有する)ものである。この保護層4は、電波吸収体を屋外等で使用した場合に、抵抗膜3や誘電体層1を直射日光による紫外線劣化などから保護する目的で設けられるものであり、耐候性に優れたアクリル系樹脂フィルムや、紫外線吸収剤を含有させて耐候性を高めた各種合成樹脂フィルムが好ましく使用される。このような透明な電波吸収体は、保護層4となる透明フィルムの片面に前述の極細導電繊維含有塗液を塗布、乾燥することによって抵抗膜3を形成し、この抵抗膜形成フィルムを抵抗膜3が誘電体層1側となるように誘電体層1の片面にラミネート(押出ラミネート)すると共に、誘電体層1の反対面に電波反射体をビスやボルト等の止具(不図示)で取付けることにより、効率良く製造することができる。
この透明な電波吸収体の誘電体層1、電波反射体2、抵抗膜3は、前述した図1の透明な電波吸収体のそれらと同じものであるから、説明を省略する。
上記の透明な電波吸収体は、図1の透明な電波吸収体と同様の作用効果に加えて、保護層4により抵抗膜3や誘電体層1が紫外線劣化から保護されるため、耐久性が更に向上するといった利点を有する。しかし、保護層4を有するために透明性に若干劣り、好ましい全光線透過率が40%以上の範囲となる。
図4は本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。
この電波吸収体は、中間の電波反射体2の両側に抵抗膜形成フィルム5,5(保護層4となる透明フィルムの片面に極細導電繊維を含んだ抵抗膜3を形成したもの)を配置し、一方の抵抗膜形成フィルム5の抵抗膜3と電波反射体2との間、および、他方の抵抗膜形成フィルム5の抵抗膜3と電波反射体2との間に誘電体層1,1を設けた透明な(透視性を有する)ものである。抵抗膜形成フィルム5は誘電体層1にラミネートされており、電波反射体2と両側の抵抗膜形成フィルム5,5がラミネートされた誘電体層1,1は、一方の抵抗膜形成フィルム5から他方の抵抗膜形成フィルム5までボルト、ワッシャー(不図示)を通してナット(不図示)で締付けることにより、分離しないように接合されている。
この透明な電波吸収体の誘電体層1、電波反射体2、抵抗膜3、保護層4、抵抗膜形成フィルム5は、前述した図1、図3の透明な電波吸収体のそれらと同じものであるから、説明を省略する。
上記のような透明な電波吸収体は、図3の透明な電波吸収体と同様の作用効果に加えて、両側から抵抗膜3,3を通って入射する1〜18GHzの電波を中央の電波反射体2で反射して吸収することができ、また、電波反射体2を共用できるので安価な透明電波吸収体とすることができる。しかし、誘電体層1と保護層4とを両面に有するために透明性に若干劣り、好ましい全光線透過率が30%以上の範囲となる。
図5は本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。
この電波吸収体は、前述した図3の透明な電波吸収体の保護層4の外面と電波反射体2の外面とに、もう一つの保護層6,6を更に設けた透明な(透視性を有する)ものである。この保護層6は、屋外で使用した場合の飛来物等による抵抗膜3の損傷や電波反射体2の損傷を防止することを目的として設けられるものである。加えて、透明な電波吸収体の耐候性を高めることも目的としている。従って、保護層6としては、紫外線吸収剤を含有させて耐候性を高めた高強度の透明合成樹脂プレート、例えば、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤をポリカーボネート等の透明樹脂に添加した耐候性と機械的強度に優れる透明プレートなどが好ましく使用される。また、保護層6の表面側(外側)に、例えば、防汚機能等他の機能を付加することもやぶさかではない。
この透明な電波吸収体も、一方の保護膜6から他方の保護膜6までボルト、ワッシャー(不図示)を通してナット(不図示)で締付けることにより、一方の保護膜6と、抵抗膜形成フィルム5をラミネートした誘電体層1と、電波反射体2と、他方の保護膜6が分離しないように接合することが望ましい
尚、この透明な電波吸収体の誘電体層1、電波反射体2、抵抗膜3、保護層4、抵抗膜形成フィルム5は、前述した図1、図3の透明な電波吸収体のそれらと同じものであるから、説明を省略する。
上記のような透明な電波吸収体は、図3の透明な電波吸収体と同様の作用効果に加えて、保護層6,6により紫外線劣化や破損を防止し、耐久性を向上させることができる。また、抵抗膜形成フィルム5の外面に設けた保護層6の厚みを変えると、吸収される電波のピーク周波数を変化させることが可能であり、後述の実験データに示すように、ポリカーボネートプレートを保護層6として使用すると、その1mmの厚みにつき0.5GHzほど低周波数側にピーク周波数がシフトすることを確認した。従って、誘電体層1の厚みをλ/4吸収体理論に基づいて調節、設定すると共に、保護層6の厚みを調節すれば、所望の周波数の電波を吸収する透明な電波吸収体とすることができる。そして、保護層4を両面に有するが、全光線透過率もヘーズも悪くなることがなくて、全光線透過率は30%以上、ヘーズは10%以下、好ましくは全光線透過率が40%以上の範囲となる。
図6は本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。
この電波吸収体は、前述した図4の透明な電波吸収体の抵抗膜形成フィルム5,5の外側に保護層6,6を設けた透明な(透視性を有する)ものであって、一方の保護層6から他方の保護層6までボルト、ワッシャー(不図示)を通してナット(不図示)で締付けることにより、中央の電波反射体2と、その両側の抵抗膜形成フィルム5をラミネートした誘電体層1,1と、その両外側の保護膜6,6を分離しないように接合したものである。
この透明な電波吸収体の誘電体層1、電波反射体2、抵抗膜3、保護層4、抵抗膜形成フィルム5、保護層6は、前述した図1、図3、図5の透明な電波吸収体のそれらと同じものであるから、説明を省略する。
このような透明な電波吸収体は、図5の透明な電波吸収体と同様の作用効果に加えて、両側から抵抗膜3,3を通って入射する電波を吸収することができる。しかし、誘電体層1、抵抗膜3を両面に有するために透明性に若干劣り、好ましい全光線透過率が30%以上の範囲となる。
図7は本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。
この電波吸収体は、前述した図3の透明な電波吸収体の抵抗膜形成フィルム5の外側にスペーサ7を介して保護層6を設け、この保護層6と抵抗膜形成フィルム5(保護層4)との間に空気層8を設けた透明な(透視性を有する)ものである。そして、保護層6から電波反射体2までボルト、ワッシャー(不図示)を通してナット(不図示)で締付けることにより、保護層6と、抵抗膜形成フィルム5をラミネートした誘電体層1と、電波反射体2とを分離しないように接合している。
この透明な電波吸収体の誘電体層1、電波反射体2、抵抗膜3、保護層4、抵抗膜形成フィルム5、保護層6は、前述した図1、図3、図5の透明な電波吸収体のそれらと同じものであるから、説明を省略する。
この透明な電波吸収体のように、抵抗膜形成フィルム5と保護層6との間に空気層8が存在すると、この空気層8が入射する電波の進行方向を変化させ、斜入射電波吸収特性を有利に導き、あるいは、若干ではあるが誘電体変化により、波長を変化させ電波吸収性そのものを高めることができる。そして、この空気層8の間隔を変えると、電波吸収性能(リターンロス)のピーク周波数を調節することもできる。そして、この透明な電波吸収体の全光線透過率は図1のものより若干劣るが、図3、図5のものとは同等で、40%以上の範囲となる。
図8は本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態に係る概略断面図である。
この電波吸収体は、前述した図4の透明な電波吸収体の抵抗膜形成フィルム5,5の両外側に、スペーサ7を介して保護層6,6を設け、この保護層6,6と抵抗膜形成フィルム5,5(保護層4,4)との間に空気層8,8を設けた透明な(透視性を有する)ものである。そして、一方の保護層6から他方の保護層6までボルト、ワッシャー(不図示)を通してナット(不図示)で締付けることにより、電波反射体2と、その両側の抵抗膜形成フィルム5,5をラミネートした誘電体層1,1と、その外側の保護層6,6とを分離しないように接合している。
この透明な電波吸収体の誘電体層1、電波反射体2、抵抗膜3、保護層4、抵抗膜形成フィルム5、保護層6は、前述した図1、図3、図5の透明な電波吸収体のそれらと同じものであるから、説明を省略する。
このような透明な電波吸収体は、前述した図7の透明な電波吸収体の作用効果に加えて、両側から入射する電波を吸収することができる。しかし、抵抗膜形成フィルム5を両面に有するために透明性に若干劣り、好ましい全光線透過率が30%以上の範囲となる。
図9は本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。
この電波吸収体は、前述した図5の透明な電波吸収体の誘電体層1の厚みを薄くすると共に、この誘電体層1と電波反射体2との間にスペーサ7を介在させて空気層8を設けた透明な(透視性を有する)ものであって、一方の保護層6から他方の保護層6までボルト、ワッシャー(不図示)を通してナット(不図示)で締付けることにより、一方の保護層6と、抵抗膜形成フィルム5をラミネートした誘電体層1と、電波反射体2と、他方の保護層6とを分離しないように接合したものである。
この透明な電波吸収体の誘電体層1、電波反射体2、抵抗膜3、保護層4、抵抗膜形成フィルム5、保護層6は、前述した図1、図3、図5の透明な電波吸収体のそれらと同じものであるから、説明を省略する。
このような透明な電波吸収体は、前述した図5の透明な電波吸収体の作用効果に加えて、空気層8の厚み分だけ誘電体層1を薄くできるので、コストを抑えることができる。
なお、本実施形態においては、誘電体層1と電波反射体2との間に空気層8を設けたが、誘電体層1と抵抗膜3との間に空気層8を設けてもよく、この構成の透明な電波吸収体であっても同様の作用効果を奏することができる。
図10は本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。
この電波吸収体は、前述した図6の透明な電波吸収体の中央の電波反射体2とその両側の誘電体層1,1との間にスペーサ7を介在させて空気層8,8を設け、誘電体層1,1の厚みを薄くした透明な(透視性を有する)ものであって、一方の保護層6から他方の保護層6までボルト、ワッシャー(不図示)を通してナット(不図示)で締付けることにより、中央の電波反射体2と、その両側の抵抗膜形成フィルム5,5をラミネートした誘電体層1,1と、その外側の保護層6,6とを分離しないように接合したものである。
この透明な電波吸収体の誘電体層1、電波反射体2、抵抗膜3、保護層4、抵抗膜形成フィルム5、保護層6は、前述した図1、図3、図5の透明な電波吸収体のそれらと同じものであるから、説明を省略する。
このような透明な電波吸収体は、前述した図9の透明な電波吸収体と同様の作用効果に加えて、両側から入射する電波を吸収することができる。しかし、抵抗膜3を両面に有するために透明性に若干劣り、好ましい全光線透過率が30%以上の範囲となる。
図11は本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。
この電波吸収体は、前述した図9の透明な電波吸収体の抵抗膜形成フィルム5(保護層4)とその外側の保護層6との間にスペーサ7を介在させて空気層8を設けた透明な(透視性を有する)ものであって、一方の保護層6から他方の保護層6までボルト、ワッシャー(不図示)を通してナット(不図示)で締付けることにより、一方の保護層6と、抵抗膜形成フィルム5をラミネートした誘電体層1と、電波反射体2と、他方の保護層6とを分離しないように接合したものである。
この透明な電波吸収体の誘電体層1、電波反射体2、抵抗膜3、保護層4、抵抗膜形成フィルム5、保護層6は、前述した図1、図3、図5の透明な電波吸収体のそれらと同じものであるから、説明を省略する。
このような透明な電波吸収体は、抵抗膜形成フィルム5(保護層4)と外側の保護層6との間に存在する空気層8と、誘電体層1と電波反射体2との間に存在する空気層8とによって、前述した図7の透明な電波吸収体の作用効果と、前述した図9の透明な電波吸収体の作用効果を合わせて発揮することができる。
図12は本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。
この電波吸収体は、前述した図10の透明な電波吸収体の両側の抵抗膜形成フィルム5,5(保護層4,4)とその両外側の保護層6,6との間にスペーサ7を介在させて空気層8を設けた透明な(透視性を有する)ものであって、一方の保護層6から他方の保護層6までボルト(不図示)、ワッシャー(不図示)を通してナット(不図示)で締付けることにより、中央の電波反射体2と、その両側の抵抗膜形成フィルム5,5をラミネートした誘電体層1,1と、その両外側の保護層6,6とを分離しないように接合したものである。
この透明な電波吸収体の誘電体層1、電波反射体2、抵抗膜3、保護層4、抵抗膜形成フィルム5、保護層6は、前述した図1、図3、図5の透明な電波吸収体のそれらと同じものであるから、説明を省略する。
このような透明な電波吸収体は、両側の抵抗膜形成フィルム5,5(保護層4,4)とその外側の保護層6,6との間に存在する空気層8,8と、中央の電波反射体2とその両側の誘電体層1,1との間に存在する空気層8,8とによって、前述した図7の透明な電波吸収体の作用効果と、前述した図9の透明な電波吸収体の作用効果を合わせて発揮できることに加え、両側から入射する電波を吸収することができる。しかし、抵抗膜3を両面に有するために透明性に若干劣り、好ましい全光線透過率が30%以上の範囲となる。
以上の各実施形態において、抵抗膜3は一層のみとしたが、各実施形態における抵抗膜3を複数の層とすることもできる。図13は抵抗膜を2層とした場合の本発明に係る電波吸収体の実施形態を示す概略断面図である。
この電波吸収体は、透明な保護層6と抵抗膜3と誘電体層9と抵抗膜3と誘電体層1と電波反射体2とを備えた6層構造の透明な電波吸収体である。抵抗膜3、3のそれぞれは前述の各実施形態のものと同じであり説明を省略するが、本実施形態では抵抗膜3は誘電体層9を介して2層構成となされている。該誘電体層9は誘電体層1と同様の樹脂或はガラスよりなり、その厚みが0.5〜5mm程度のものを使用する。この透明電波吸収体は、保護層6から電波反射体2までボルト、ワッシャー(不図示)を通してナット(不図示)で締付けることにより、保護層6と、両面に抵抗膜3、3を形成した誘電体層9と、誘電体層1と電波反射体2とを分離しないように接合したものである。
この透明な電波吸収体は、図3又は図5の透明な電波吸収体の作用効果に加えて、2層の抵抗膜に3、3により、長期使用中に一方の抵抗膜3に万一不都合が生じて表面抵抗率が377±30Ω/□の範囲を超えたとしても、他方の抵抗膜3により表面抵抗率を上記範囲内に維持できるので、電波吸収体の電波吸収性能の低下を招くことをなくすことができる。
さらに、2層の抵抗膜3、3により電波吸収性能(リターンロス)の周波数帯域を広げることもできる。そして、抵抗膜3を2層としたために透明性が若干劣り、好ましい全光線透過率が30%以上の範囲となる。
上記の図13では、抵抗膜3を2層としたが、さらに多数の抵抗膜を設けても良い。好ましい層数は2〜3層である.
また、他の実施形態である図1、図3〜図12の各抵抗膜3を複数にすることもできることはいうまでもない。このことで、本実施形態と同様に長期における電波吸収性能の安定性と電波吸収性能(リターンロス)の周波数帯域を広げる作用効果を奏することができる。
図14は本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。
この電波吸収体は、前述した図1の透明な電波吸収体の抵抗膜3と電波反射体2とのそれぞれの外面に、保護層6,6を更に設けた透明な(透視性を有する)ものであって、例えば、一方の保護層6から他方の保護層6までボルト、ワッシャー(不図示)を通してナット(不図示)で締付けることにより、保護層5と抵抗膜3と誘電体層1と電波反射体2と保護層6とを分離しないように接合したものである。
尚、この透明な電波吸収体の誘電体層1、電波反射体2、抵抗膜3、保護層6は、前述した図5の透明な電波吸収体のそれらと同じものであるから、説明を省略する。
上記のような透明な電波吸収体は、図5の透明な電波吸収体と同様の作用効果に加えて、抵抗膜3を保護層6または誘電体層1に直接形成することができるので、製造工程を少なくすることができる。
以上のいずれの実施形態の電波吸収体においても、極細導電繊維3aが凝集することなく分散した表面抵抗率377±30Ω/□の抵抗膜3の全光線透過率は、既述したように87%前後と良好であるから、透明性の良い誘電体層1、透光量の多い電波反射体2、透明性の良い保護層6を選択することによって、既述したように全光線透過率が30%以上、ヘーズが10%以下の透明な電波吸収体とすることができる。
なお、各実施形態の電波吸収体において、図1に示す実施形態の電波吸収体のように、誘電体層1や保護層4、6に顔料などを添加した不透明乃至半透明にしたり、或は、表面に細かな凹凸のシボを付与して半透明(非透視性)にしたりすることができる。さらに、電波反射体2に不透明な反射体、例えば金属板などを使用することによっても不透明な電波吸収体とすることができる。
次に、本発明の更に具体的な実施例と比較例を説明する。
[実施例1]
溶媒としてのメチルアルコール/水混合物(混合比3:1)中に、極細導電繊維としての単層カーボンナノチューブ(文献Chemical Physics Letters,323(2000)P580−585に基づき合成した物、直径1.3〜1.8nm)と分散剤としてのポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合物を加えて均一に混合、分散させ、単層カーボンナノチューブを0.003質量%、分散剤を0.05質量%含む塗液を調整した。
この塗液を、市販の厚さ50μmのポリメチルメタクリレートフィルム(全光線透過率94.5%、ヘーズ0.8%)の表面に塗布して乾燥後、熱硬化性のウレタンアクリレート溶液を塗布して乾燥することにより、導電性透明ポリメチルメタクリレートフィルム(抵抗膜形成フィルム5)を得た。この導電性透明ポリメチルメタクリレートフィルム(抵抗膜形成フィルム5、以下CNTフィルムという)は、単層カーボンナノチューブの目付け量が94mg/mとなるように塗布して、表面抵抗率が385Ω/□の透明な抵抗膜3を片面に形成したものである。
次いで、誘電体層1となる厚さ7mmのタキロン(株)製のポリカーボネート板(全光線透過率:89.1%、ヘーズ:0.6%)の片面に、上記のCNTフィルム(抵抗膜形成フィルム5)をその抵抗膜3がポリカーボネート板側となるように重ねて押出ラミネートの手法で強固に接着し、更に、ポリカーボネート板の反対面に電波反射体2として金属メッシュ材(材質:ステンレス、4メッシュ)をボルト止めして、図3に示す構造の透明な電波吸収体を製造した。
得られた透明な電波吸収体について、入射角が10°、30°、45°のTE波(1〜18GHz)のリターンロス(dB)を測定して電波吸収性能を調べた結果を図16のTE波リターンロスグラフに示す。また、入射角が10°、30°、45°のTM波(1〜18GHz)のリターンロス(dB)を測定して電波吸収性能を調べた結果を図17のTM波リターンロスグラフに示す。尚、これらのリターンロスの測定は、電磁波吸収測定システム(施工:リケンエレテック、計測装置:ネットワークアナライザー、HEWLETT PACKADO 8722D)を用いて行ったものである。
また、上記のCNTフィルムと透明な電波吸収体について全光線透過率とヘーズを測定したところ、CNTフィルムの全光線透過率は86.2%、ヘーズは1.9%、透明な電波吸収体の全光線透過率は61.5%、ヘーズは5.5%であり、透明な電波吸収体は透明性の目標値30%を上回って良好な透視性を有していた。尚、全光線透過率とヘーズは、ASTM D1003に準拠して、スガ試験機社製の直読ヘーズコンピューターHGM−2DPで測定したものである。
更に、メタルウエザオメーター(大日本プラスチック社製のダイプラメタルウェザー)を用いて上記CNTフィルムの96時間曝射後、及び、192時間曝射後の全光線透過率、ヘーズ、黄変度を測定することにより、CNTフィルムの耐候性を調べた。その結果を下記の表1に示す。尚、黄変度は日本電色工業(株)製の色差計 ZE−2000を用いてYIを測定した。
また、CNTフィルムを曲げたときの表面抵抗率の変化を調べるため、該フィルムを半径がそれぞれ10mm、5mm、3mm、1mmの線材に半分以上沿わせて1分間保持した後、沿わせた部分を含んだ両側の表面抵抗率をそれぞれ測定した。曲げる前の表面抵抗率を1(100%)としたときの表面抵抗率の増大率を表2に示す。
比較のために、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にITO蒸着膜(表面抵抗率は375Ω/□)を形成したITOフィルムを作製し、このITOフィルムの耐候性を上記と同様にして調べた。その結果を下記の表1に併記する。また、このITOフィルムを曲げたときの表面抵抗率の変化を上記と同様にして調べ、その結果を表2に併記する。
Figure 2005311330
Figure 2005311330
この表1を見ると、曝射前のITOフィルムは、曝射前のCNTフィルムに比べて、全光線透過率が若干高くヘーズが僅かに低くなっており、CNTフィルムよりも若干透明性に優れている。しかしながら、96時間曝射後および192時間曝射後は、ITOフィルムの全光線透過率が大幅に低下すると共に、ヘーズが上昇し、黄変度が急増するのに対し、CNTフィルムは、96時間曝射後および192時間曝射後の全光線透過率の低下やヘーズの上昇が少なく、黄変度も増加しない状態を維持しており、このことから、CNTフィルムはITOフィルムよりも遥かに優れた耐候性を有することがわかる。従って、CNTフィルムを用いた透明な電波吸収体は、屋外で使用しても短期間で劣化することがなく、良好な透明性、透視性を維持できることが予測できる。
また、表2を見ると、CNTフィルムは沿わせる線材の半径が3mm、さらには1mmの場合であっても、試験後の表面抵抗率は試験前の1.1倍以下しか増加していない。このことより、CNTフィルムは曲率半径が1〜10mmであるような曲げ加工を行っても表面抵抗の増大はなく、十分電波吸収に適した377±30Ω/□の表面抵抗を維持することがわかる。しかし、ITOフィルムは沿わせる線材の半径が5mmまでであれば、表面抵抗率の増加は1.1倍以下であるが、半径が3mmになると3.1倍に、半径が1mmになると2700倍に増大し、377±30Ω/□の表面抵抗率を維持できず、電波を吸収できないことがわかる。
[実施例2]
実施例1で調製した単層カーボンナノチューブ含有塗液を用いて、実施例1で用いた誘電体層1となる厚さ7mmの透明なポリカーボネート板の片面に、該単層カーボンナノチューブの目付け量が94mg/mとなるように塗布、乾燥して、表面抵抗率が380Ω/□の透明な抵抗膜3を形成した。更に、このポリカーボネート板の反対面に、実施例1で用いた金属メッシュ材を電波反射体2としてボルト止めして、図1に示す構造の透明な電波吸収体を製造した。
得られた透明な電波吸収体について、実施例1と同様にして、入射角が10°、30°、45°のTM波(1〜18GHz)のリターンロス(dB)を測定して電波吸収性能を調べた。その結果を図18のTM波リターンロスグラフに示す。また、得られた透明な電波吸収体について、実施例1と同様にして全光線透過率とヘーズを測定したところ、全光線透過率は62.3%、ヘーズは5.2%であった。
[実施例3]
実施例2で製造した透明な電波吸収体の抵抗膜3の外面に、保護層6となる厚さ2mmのタキロン(株)製の高耐候性ポリカーボネート板を重ねてボルト止めすることにより、透明な電波吸収体を製造した。
得られた透明な電波吸収体について、実施例1と同様にして、入射角が10°、30°、45°のTM波(1〜18GHz)のリターンロス(dB)を測定して電波吸収性能を調べた。その結果を図19のTM波リターンロスグラフに示す。また、得られた透明な電波吸収体について、実施例1と同様にして全光線透過率とヘーズを測定したところ、全光線透過率は58.3%、ヘーズは6.2%であった。
図19に示すTM波リターンロスグラフと図18に示すTM波リターンロスグラフを対比すると、保護層となる厚さ2mmの高耐候性ポリカーボネート板を抵抗膜の外面に設けた実施例3の透明な電波吸収体は、保護層となる高耐候性ポリカーボネート板を抵抗膜の外面に設けていない実施例2の透明な電波吸収体に比べて、吸収されるTM波のピーク周波数がほぼ1GHzほど低周波数側にシフトしている。このことから、保護層となる高耐候性ポリカーボネート板の1mmの厚みにつき0.5GHzほど低周波数側にピーク周波数がシフトしていることがわかる。従って、誘電体層1となるポリカーボネート板の厚みをλ/4吸収体理論に基づいて調節、設定すると共に、保護層6となる高耐候性ポリカーボネート板の厚みを上記に基づいて調節すれば、所望のピーク周波数の電波を吸収する透明電波吸収体となし得ることがわかる。
[実施例4]
図7に示す構造の透明な電波吸収体を、以下の方法で製造した。即ち、実施例1で用いた誘電体層1となる厚さ7mmの透明なポリカーボネート板の片面に、抵抗膜形成フィルム5として実施例1で作製したCNTフィルムを押出ラミネートの方法で接着した。そして、このポリカーボネート板よりなる誘電体層1の反対面に金属反射体2として実施例1で使用した金属メッシュを重ねると共に、CNTフィルムの外側に保護層6として実施例3で使用した高耐候性ポリカーボネート板を配置し、この高耐候性ポリカーボネート板の保護層6とCNTフィルムとの間にスペーサ7を挟んで、高耐候性ポリカーボネート板の保護層6から金属メッシュの電波反射体2までボルトを通してナットで締付けることにより、高耐候性ポリカーボネート板の保護層6とCNTフィルム5との間に厚さ30mmの空気層8を設けた図7に示す構造の透明な電波吸収体Aを製造した。
この透明な電波吸収体Aについて、実施例1と同様にTE-波のリターンロス(dB)を測定した。その結果を図20のTE波リターンロスグラフに示す。また、この透明電波吸収体Aについて、実施例1と同様にして全光線透過率とヘーズを測定したところ、全光線透過率は52.5%、ヘーズは6.8%であった。
一方、上記の透明な電波吸収体Aにおいて高耐候性ポリカーボネート板の保護層6と空気層8を省略した構造の透明な電波吸収体Bを製造し、この透明な電波吸収体Bについて実施例1と同様にTE波のリターンロス(dB)を測定した結果を図20のTE波リターンロスグラフに併せて示す。
図20のTE波リターンロスグラフを見ると、高耐候性ポリカーボネート板の保護層6とCNTフィルム5との間に空気層8を設けた透明な電波吸収体Aは、保護層6とCNTフィルム5のない透明な電波吸収体Bに比べて、波長が変化して電波吸収特性そのものが向上していることがわかる。これは、空気層8が入射する電波の進行方向を変化させ、斜入射電波吸収特性を有利に導き、若干の誘電体変化により、波長を変化させ電波吸収性そのものを高めているものと推測される。
[実施例5]
図13に示す構造の透明な電波吸収体を、以下の方法で製造した。即ち、実施例3で使用した厚さ2mmのタキロン(株)製の高耐候性ポリカーボネート板の両面に、抵抗膜形成フィルム5として実施例1で作製したCNTフィルムを抵抗膜がポリカーボネート板側となるようにラミネートして接着した。次に、実施例1で用いた誘電体層1となる厚さ7mmの透明なポリカーボネート板の片面に、前記CNTフィルム付きポリカーボネート板を重ねると共に、他面に金属反射体2として実施例1で使用した金属メッシュを重ね、CNT付きポリカーボネート板から金属メッシュの電波反射体2までボルトを通してナットで締付けることにより、抵抗膜が2層内在する透明な電波吸収体Cを製造した。
この透明な電波吸収体Cについて、実施例1と同様にTE波のリターンロス(dB)を測定した。その結果を図21のTE波リターンロスグラフに示す。また、この透明な電波吸収体Cについて、実施例1と同様にして全光線透過率とヘーズを測定したところ、全光線透過率は52.9%、ヘーズは6.8%であった。
一方、上記の透明な電波吸収体Cにおいて高耐候性ポリカーボネート板の外側の片面のみにCNTフィルムを接着し、実施例5と同様にして、厚さ7mmの透明なポリカーボネート板の片面に、CNTフィルムが最外側となるように前記CNTフィルム付きポリカーボネート板を重ねると共に、他面に金属メッシュを重ねてボルト・ナットで締付けることにより、抵抗膜が1層内在する透明な電波吸収体Dを製造した。
この透明な電波吸収体Dについて、実施例1と同様にTE波のリターンロス(dB)を測定した結果を図22のTE波リターンロスグラフに併せて示す。
図21と図22を対比すると、抵抗膜を2層とした透明な電波吸収体Cは、1層の透明な電波吸収体Dに比べて、リターンロスが10dB程度向上していることがわかる。そして、その吸収する周波数帯域も広くなっており表面抵抗率の若干の変化によるリターンロスの低下を抑制することができることもわかる。さらに、45度斜入射電波吸収性能は20dBも向上し良好な吸収性能を発揮することがわかる。
本発明に係る電波吸収体の最も基本的な実施形態を示す概略断面図である。 (a)(b)は電波吸収体の抵抗膜を説明する拡大部分断面図である。 本発明に係る電波吸収体の他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係る電波吸収体の更に他の実施形態を示す概略断面図である。 抵抗膜のカーボンナノチューブ3aを正面から見た分散状態を示す模式図である。 実施例1で作製した電波吸収体のTE波リターンロスグラフである。 実施例1で作製した電波吸収体のTM波リターンロスグラフである。 実施例2で作製した電波吸収体のTM波リターンロスグラフである。 実施例3で作製した電波吸収体のTM波リターンロスグラフである。 実施例4で作製した二種類の電波吸収体A,BのTE波リターンロスグラフである。 実施例5で作製した電波吸収体CのTM波リターンロスグラフである。 実施例5で作製した電波吸収体DのTM波リターンロスグラフである。
符号の説明
1、9 誘電体層
2 電波反射体
3 抵抗膜
3a カーボンナノチューブ
4 保護層
5 抵抗膜形成フィルム(CNTフィルム)
6 保護層
7 スペーサー
8 空気層

Claims (14)

  1. 極細導電繊維を含んだ抵抗膜と電波反射体との間に誘電体層を備えていることを特徴とする電波吸収体。
  2. 抵抗膜が電波反射体の両側に存在し、一方の抵抗膜と電波反射体との間および他方の抵抗膜と電波反射体との間に誘電体層を備えている請求項1に記載の電波吸収体。
  3. 極細導電繊維が凝集することなく分散して互いに接触している請求項1または請求項2に記載の電波吸収体。
  4. 極細導電繊維が一本ずつ分離した状態で、もしくは、複数本集まって束になったものが一束ずつ分離した状態で分散して互いに接触している請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電波吸収体。
  5. 極細導電繊維がカーボンナノチューブである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電波吸収体。
  6. 極細導電繊維が多層カーボンナノチューブであり、一本ずつ分離した状態で分散している請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電波吸収体。
  7. 極細導電繊維が単層カーボンナノチューブであり、複数本集まって束になったものが一束ずつ分離した状態で分散している請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電波吸収体。
  8. 抵抗膜の外側に保護層を一層もしくは二層備えている請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の電波吸収体。
  9. 抵抗膜と保護層との間もしくは保護層と保護層との間に空気層を備えている請求項8に記載の電波吸収体。
  10. 保護層が耐候性を有している請求項8又は請求項9に記載の電波吸収体。
  11. 抵抗膜と誘電体層との間もしくは誘電体層と電波反射体との間に空気層を備えている請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の電波吸収体。
  12. 誘電体層が熱可塑性合成樹脂で形成された電波吸収体であって、抵抗膜を曲率半径3mmで曲げた後の表面抵抗率の増加が1.3倍以下である請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の電波吸収体。
  13. 抵抗膜が複数の膜よりなることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の電波吸収体。
  14. 抵抗膜、誘電体層、保護層のいずれもが透明であると共に電波反射体が光を透過して、透明な電波吸収体となしてある請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の電波吸収体。
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