JP2001262732A - 電波吸収建材及びその製造方法 - Google Patents

電波吸収建材及びその製造方法

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JP2001262732A JP2000072104A JP2000072104A JP2001262732A JP 2001262732 A JP2001262732 A JP 2001262732A JP 2000072104 A JP2000072104 A JP 2000072104A JP 2000072104 A JP2000072104 A JP 2000072104A JP 2001262732 A JP2001262732 A JP 2001262732A
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誠 石倉
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昌彦 山本
Takenao Kato
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 たとえ大きな寸法形状のものであっても、均
一な電波吸収性能を有することのできる電波吸収建材を
提供すること 【解決手段】 誘電体層たる無機質窯業系建材層1の表
面に抵抗膜層2を形成し、裏面に電波反射材層3を形成
する。抵抗膜層は、抵抗膜層を形成するための原料を含
有してなる塗料を、前記誘電体層の一方の表面上に成膜
する。これにより、電波吸収は、全体に均一にできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電波吸収建材及び
その製造方法に関するもので、より具体的には、均一な
電波吸収性能を有した内外壁,床,天井等に使用する板
状の建材と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】テレビゴースト等の電波障害や電波によ
る誤動作等の問題を解決するため、従来、例えば、特公
昭55−13600号公報や、特公昭55−49798
号公報に示されるように、コンクリート等の建築物(高
層ビル)の外壁面に、VHF帯やUHF帯の電波吸収特
性の良好なフェライト焼結体からなるタイルを多数貼着
することが一般的に行われている。
【0003】しかしながら、上記した従来のフェライト
焼結体のタイルを用いたものでは、フェライト焼結体自
体が非常に重いため、係るフェライト焼結体からなるタ
イルを貼着する施工性並びに安全性に問題を生じる。ま
た、係るタイルは、その平面形状が100mm四方程度
に過ぎず非常に小さいため、上記貼着作業が非常に煩雑
となる。
【0004】さらに、フェライト焼結体からなるタイル
が重いため、それを保持するための強度を有するととも
に耐火機能を発揮させる必要から、コンクリートの厚さ
も厚くなり、それにともないコンクリート側の重量も増
す。一例を示すと、標準サイズの4m×3.2mのもの
を軽量コンクリート(比重1.2)を用いて作成して
も、コンクリートの重さだけで300kgもある。
【0005】その結果、ビル全体では大変な重量とな
り、このビルの重量を支えるだけの基礎工事,鉄骨工事
を行わなければならず、処理が煩雑で工事の長期化を招
くとともにコスト高となる。
【0006】また、電波吸収特性は、タイルを構成する
フェライトの組成や、寸法などにより微妙に変わる。そ
こで、タイルの寸法出しは高精度にする必要があるが、
焼結の際に収縮することも相俟って、正確な寸法出しを
するのは困難である。また、製造後に割れや欠けが生じ
るおそれもあり、係る事態が生じたタイルは不良品とな
る。したがって、上記寸法出しの困難さと上記割れ等に
より、所望の特性を有するタイルを製造する際の歩留ま
りが悪く、さらなるコスト高を招く。さらに、実際には
所望の特性を有する寸法形状の決定も試行錯誤を繰り返
し行うとともに、収縮率が変動することなどから煩雑な
処理となる。
【0007】そこで、最近では、上記した問題を解決す
るため、薄型,軽量化を図るため抵抗膜型電波吸収体が
開発されている。係る電波吸収体の基本構造は、誘電体
層の一方の表面に抵抗膜層を設けるとともに、誘電体層
の裏面側に電波反射材層を設けるようになっている。
【0008】抵抗膜型電波吸収体をそのまま建材として
用いるためには、それ単体である程度の強度を有すると
ともに、火災時の耐火性を有する必要がある。従って、
誘電体層は、コンクリートやセメントモルタルや石膏,
ケイ酸カルシウムなどの無機質誘電体を用いるのが好ま
しい(特開平9−260886号公報,特開平9−28
3972号公報,特開平10−215097号公報等参
照)。
【0009】係る公報に開示された抵抗膜型電波吸収体
の場合には、抵抗膜層は、誘電体層の表面に炭素繊維束
を平行に設置したり(特開平9−260886号公報,
特開平9−283972号公報)していた。その設置方
法としては、接着剤を用いて貼り付けたり、抵抗膜層を
構成する材料を型枠底面内に配置した状態でコンクリー
トなどを打設することにより一体成型するなどの方法を
とっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の電波吸収体では、以下に示す問題を有する。す
なわち、所望の電波吸収特性を得るために、誘電体層や
抵抗膜層の材質や寸法形状をどのようにすれば良いかの
改良は盛んに行われてきたが、設定した電波吸収特性
を、電波吸収体の全体に渡って均一に発揮させるための
研究は、余り行われてこなかった。すなわち、誘電体層
並びに抵抗膜層の材質,厚さなどを、設計値どおりに精
度良く、しかも全体に均一に形成すれば良いことはわか
るものの、実際にどのようにすれば均一になるかについ
ての開発がなされていなかった。
【0011】さらに、その精度の要求度は、建材に要求
される寸法公差に比べて非常に高精度が要求されるもの
の、従来は、係る精度に着目した改良は行われていなか
った。ましてや、建材のように比較的大板(標準的な寸
法:910mm×1820mm)に対して、均一な電波
吸収性能を得るための具体的な技術は何等開示されてい
なかった。
【0012】そこで、本発明者らが研究したところ、従
来の炭素繊維束を用いた抵抗膜層では、電波吸収体(建
材)の全体にわたって均一な厚さにすることは困難であ
ることがわかった。さらに、誘電体層と抵抗膜層は、密
着させる必要があるが、従来の接着や一体成型による製
造方法では、完全に密着することができず、長期間の耐
久性等に問題が有った。そして、一部に密着不良部分が
あると、両者間に空気層などが介在することになり、そ
の部分で誘電率が変化し、誘電率を考慮した全体の厚さ
も他の部分と異なり、そのことが特性のばらつきの要因
となる。
【0013】また、誘電体層が樹脂などの有機材料の場
合には、スパッタリング等より抵抗膜層を均一に成膜す
ることが可能であるが、コンクリートなどの表面にスパ
ッタすることは困難である。しかも、対象物が建材のよ
うに大きな寸法形状のものであることも、スパッタリン
グ等で成膜することが困難な一因となる。
【0014】本発明は、上記した背景に鑑みてなされた
もので、その目的とするところは、上記した問題を解決
し、たとえ大きな寸法形状のものであっても、均一な電
波吸収性能を有することのできる電波吸収建材及びその
製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため、本発明に係る電波吸収建材では、抵抗膜層,誘電
体層並びに電波反射材層が、この順で積層されてなる電
波吸収建材であって、前記誘電体層は無機質窯業系建材
からなり、前記抵抗膜層は、抵抗膜層を形成するための
原料を含有してなる塗料を、前記誘電体層の一方の表面
上に成膜されてなるように構成した(請求項1)。
【0016】均一な電波吸収性能を得るためには、抵抗
膜層の材質及び厚さが均一であること、及び誘電体層が
一定の誘電率を有することが必要である。そこで、本発
明では、特に抵抗膜層に着目し、その抵抗膜層を塗料を
用いて形成することにより、寸法形状が大きくても全体
に膜厚を所望の厚さで均一にすることができる。また、
塗料を用いて抵抗膜層を形成させることにより、たとえ
誘電体層に無機質窯業系建材を用いても、確実に密着さ
せることができる。
【0017】また、本発明では、電波反射材層の両側に
誘電体層を設け、それぞれの前記誘電体層の表面に抵抗
膜層を設けた電波吸収建材であって、前記誘電体層は無
機質窯業系建材からなり、前記抵抗膜層は、抵抗膜層を
形成するための原料を含有してなる塗料を、前記誘電体
層の表面上に成膜するように構成してもよい(請求項
2)。このようにすると、請求項1に記載の作用効果に
加え、建材の両側から入射する電波に対して吸収するこ
とができる。
【0018】上記した各発明に係る電波吸収建材を製造
するための好適な製造方法としては、少なくとも抵抗膜
層,無機質窯業系建材からなる誘電体層並びに電波反射
材層が、この順で積層されてなる電波吸収建材の製造方
法を前提とし、前記誘電体層の表面に、前記抵抗膜層を
形成するための原料を含有した塗料を塗布し、その後、
前記塗料を硬化する抵抗膜層製造工程を含むことである
(請求項6)。
【0019】そして好ましくは、前記誘電体層の少なく
とも前記抵抗膜層と接する面に、目止め処理用塗料を塗
布することである(請求項3)。このようにすると、抵
抗膜層を構成する塗料が誘電体層内に含浸することを抑
制でき、所望の膜厚を簡単かつ確実に得ることができ
る。
【0020】さらに好ましくは、前記抵抗膜製造工程を
実施する前に、前記誘電体層の少なくとも前記抵抗膜層
と接する面に、目止め処理用塗料を塗布する工程を実施
することである(請求項7)。
【0021】さらに好ましくは、前記目止め処理用塗料
を塗布後、その上にサンディングシーラーを塗布する工
程、塗布した前記目止め処理用塗料及び前記サンディン
グシーラーを硬化させた後、研磨して表面処理をする工
程を実施し、その表面処理を施した面に前記抵抗膜層を
形成するための原料を含有した塗料を塗布する工程を実
施するようにすることである(請求項8)。さらに本発
明では、前記抵抗膜層上に不導体からなる化粧層を設け
てもよい(請求項4)。
【0022】さらにまた、抵抗膜層の膜厚は、10μm
以上200μm以下になるように構成すると、より好ま
しい(請求項5)。すなわち、抵抗膜層の表面抵抗値を
400オーム付近(300〜500Ω)になるように設
定した場合、10μm未満の膜厚では、無機質窯業系建
材の全面にわたって均一に塗装することが困難であり、
抵抗膜層の表面抵抗値のバラツキが大きくなるため好ま
しくない。また、厚さが200μmを越えると、樹脂並
びにカーボン粉(ともに可燃物)の総充填量が大きくな
り、建材としての不燃性能が低下することから好ましく
ない。従って、上記した範囲内にするのが好ましい。も
ちろん、要求される仕様や、表面抵抗値が変わると、上
記した膜厚の範囲外でも良くなることがある。
【0023】
【発明の実施の形態】図1(a)は、本発明に係る電波
吸収建材の好適な一実施の形態を示している。同図に示
すように、誘電体層となる無機質窯業系建材層1の表面
(電波入射面)に、抵抗膜層2を設け、無機質窯業系建
材層1の裏面側に電波反射材層3を設けた3層構造とし
ている。係る基本構造は、従来と同様である。
【0024】ここで、無機質窯業系建材層1は、無機質
窯業系建材から構成され、より具体的には、ケイ酸カル
シウム板,繊維補強セメント板,石膏ボード,スラグ石
膏ボード,軽量コンクリート板,プレキャストコンクリ
ート板等の不燃建材を用いると良い。また、準不燃の石
膏ボードや木片セメント板等の準不燃建材も使用可能で
あるが、準不燃の無機質窯業系建材を誘電体層として使
用した場合は、当然のことながら得られた電波吸収建材
は不燃とはならない。
【0025】さらに、本形態に用いた無機質窯業系建材
は、軽量化のために多孔質である。また、必要に応じて
フェライト粉,金属粉,カーボン繊維等の導電性物質を
混入するようにしても良い。
【0026】無機質窯業系建材層1の厚さは、到来する
電波に対し、層内で1/4波長になるように設定する
と、その背後に電波反射材層3が存在するので、その波
長にとって表面の入力インピーダンスは無限大となる。
さらに、抵抗膜層2の表面の入力インピーダンスを空間
のインピーダンスと同じに設定する(詳細は後述す
る)。すると、無反射状態となり、上記波長の電波を吸
収することになる(大きな電波吸収が得られる)。
【0027】つまり、吸収対象となる到来電波の波長を
λ、無機質窯業系建材層1(誘電体)の誘電率をεrと
した場合、無機質窯業系建材層1の厚さはλ/4(ε
r) /2になるように設定する。ここで、波長λは光
の速度を2.998×1011mm/秒、周波数f(G
Hz)とした場合、λ(mm)=2.998×1011
/f×10となる。従って、吸収する電波の周波数f
(GHz)と無機質窯業系建材層1の厚さt(mm)の
関係は、 f=299.8/(4t(εr)1/2) となる。
【0028】一方、抵抗膜層2の体積抵抗率は0.3Ω
・cm以上、10.0Ω・cm以下に設定している。
【0029】抵抗膜型電波吸収体の電波吸収特性を引き
出すためには、抵抗膜の表面抵抗値は理論的には空間の
インピーダンスである377Ωにすることである。しか
し、実際の建材等の誘電体を用いた場合若干の誘電損を
有しているので、その誘電損を考慮すると、これにより
抵抗膜層2の表面抵抗値は400Ωとなるように設定す
ると、最も特性が良好となる。そして、表面抵抗値が4
00オームよりも大きくなっても、或いは小さくなって
も電波吸収特性は低下する。このことを実証するため、
表面抵抗値を変えたときの周波数に対する電波吸収特性
を調べたところ、図2に示すような結果が得られた。
【0030】また、実用上要求される電波吸収特性は、
例えば構内無線LANの通信障害を抑制するためには、
最低10dB以上あればよい。そして、誘電体層の厚さ
や誘電率の変動を考慮すると、理想状態で15dB以上
の電波吸収特性を得られるとよい。従って、図2に示す
実験結果から、表面抵抗値の許容範囲は、300〜50
0Ωの範囲に設定することになる。表面抵抗は抵抗膜層
2の膜厚と体積抵抗率とで決まり、抵抗膜層2の膜厚の
範囲は、10μmから200μmの範囲である必要があ
る。
【0031】体積抵抗率は下記の式により定義される。 体積抵抗率(Ω・cm)=表面抵抗(Ω)×厚さ(c
m) よって、表面抵抗が300から500Ωとなるために
は、膜厚範囲を考慮すると抵抗膜層の体積抵抗率は0.
3Ω・cm以上、10.0Ω・cm以下になるように設
定するのがよい。
【0032】また、電波反射材層3は、例えば、金属
板,金属箔のように、全面を覆うことができる(開口部
無し)ような構成のものでもよいし、穴あき金属板,金
属メッシュ,金属被覆したメッシュ等(開口部有り)を
用いることもできる。但し、これら開口部を有する材料
を電波反射材として使用する場合には、その開口部の大
きさは、電波の波長に対して60分の1以下であること
が必要である。
【0033】無機質窯業系建材層1と電波反射材3との
接合は、接着剤により行う。もちろん、無機質窯業系建
材層1の製造時に、一体に成形することもできる。すな
わち、無機質窯業系建材の製造方法は、一般に、原料物
質と水とを混合し、抄造法、押出成形法、モールド法、
真空脱水プレス法等の公知の技術により成形し、成形後
養生・硬化させる方法が用いられるが、例えば成形方法
として抄造法を用いた場合、得られた未硬化の成形物と
電波反射材とを積層して加圧することにより一体化し、
その後養生・硬化させればよい。
【0034】また、成形方法として、モールド法、ある
いは真空脱水プレス法を用いる場合には、モールド中に
水と混合した無機質窯業系原料を投入する際、所望の位
置に電波反射材を挿入して成形すれば良い。これらの方
法のように、無機質窯業系建材を製造する際に一体成形
により電波反射材3も設ける場合には、穴あき金属板,
金属メッシュなどの開口部を有するものを用いると良
い。
【0035】ここで本発明では、抵抗膜層2を塗料を用
いて形成した。すなわち、抵抗膜を構成するための原料
を塗料化し、この塗料を無機質窯業系建材層1の表面に
均一に塗布することにより、抵抗膜層2を成膜してい
る。このように、塗料を用いたため、たとえ塗布面積が
大きくても、膜厚は塗布面全面に渡って精度良く均一に
塗ることができる。しかも、塗料であるので、無機質窯
業系建材層1との密着性も良好で、その全面に渡って確
実に密着一体化させることができる。よって、電波吸収
性能を、全体に均一にすることができる。
【0036】次に、上記した電波吸収体の製造方法につ
いて説明する。例えば、プレキャストコンクリート板の
ように、所定の寸法形状の建材を製造するための型枠内
に、電波反射材層を構成する金属板等を設置する。この
状態で、型枠内にコンクリート等の無機質窯業系建材層
を構成する材料を打設後、養生することにより電波反射
材層3付きの無機質窯業系建材層1を製造する。なお、
電波反射材層3は、別途接着剤等を用いて貼り付けても
良い。その場合には、以下に示す抵抗膜層2の製造後に
貼り付けても良い。
【0037】抵抗膜層2を形成するための塗料は、抵抗
膜用原料とバインダーとを混練し、必要に応じて希釈用
溶剤や添加剤も混入することにより形成される。そし
て、まず、抵抗膜用原料は、上記した所望の表面抵抗を
得ることができれば何でも良く、特に限定されるもので
はない。
【0038】好ましい組み合わせとしては、バインダー
に不導体の樹脂を用い、その中に、抵抗膜用原料として
黒鉛粉、カーボン粉,金属粉等の導電性を有する物質を
分散させたものがよい。その中でも、特に、導電性物質
としてカーボン粉をバインダー中に分散させたものが好
適である。なお、その場合の樹脂とカーボン粉との混合
質量比率、及びカーボン粉の粉末度(粒度)であるが、
形成する抵抗膜層に対して必要とされる抵抗膜層の厚さ
と表面抵抗値によって適宜設定することになる。
【0039】また、不導性のバインダーは、塗料化に適
し、塗布した後の硬化方法が容易で、且つ硬化過程にお
ける収縮(硬化収縮)の度合い及び形成される抵抗膜の
塗膜性能(硬度、ヤング率等)を考慮すれば、ウレタン
樹脂,アクリル樹脂,アクリルウレタン樹脂、エポキシ
樹脂,ポリエステル樹脂,及び不飽和ポリエステル系樹
脂,エポキシアクリレート系樹脂,ウレタンアクリレー
ト系樹脂,ポリエステルアクリレート系樹脂等が好適で
ある。
【0040】さらにまた、希釈用の溶剤としては、アル
コール系溶剤、多価アルコール誘導体系溶剤、ケトン系
溶剤、エーテル系溶剤及び芳香族炭化水素系溶剤等を樹
脂の種類に応じて選択する。また、塗料に添加でき得る
添加剤としては、カーボンを樹脂中に均一に分散せしめ
るための分散剤,塗布した際に平滑な塗面を得るための
レべリング剤,塗料中の泡を消すための消泡剤,及び樹
脂の硬化反応を促進する硬化促進剤等が必要に応じて添
加できる。また、上記添加剤は一種類の添加であって
も、二種類以上の添加剤を組合せても良い。
【0041】上記した材料を用いて調合された塗料を、
スプレー法,ロールコーター法,フローコーター法,転
写法、グラビアオフセット印刷等の通常の塗装において
使用される公知の塗布方法を用いて無機質窯業系建材の
表面に塗布する。そして、フローコーター法を用いる
と、効率的に均一な塗膜を形成することができるので、
本発明との関係において特に好ましい。
【0042】上記した方法により無機質窯業系建材の表
面に塗料を塗布する際の条件としては、以下のようにす
ることである。まず、抵抗膜の膜厚は、10μm以上2
00μm以下になるように調整する。もちろん、この範
囲内の所定の厚さを保つようにして建材の表面全面に塗
布する。すなわち、10μm未満の膜厚で所望する表面
抵抗値を有する抵抗膜を形成した場合、無機質窯業系建
材の全面にわたって均一に塗装することが困難であり、
抵抗膜層2の表面抵抗値のバラツキが大きくなるため、
好ましくない。また、抵抗膜層2を構成する主たる抵抗
膜用原料である樹脂とカーボン粉は、ともに可燃物であ
るため、抵抗膜層2の厚さが200μmを越えると、建
材としての不燃性能が低下することから好ましくない。
【0043】なお、建材の場合には、抵抗膜層2の表面
に更に化粧層を形成することが有る。このとき、不導体
からなる化粧層を設ける場合であって、この化粧層が樹
脂系塗料などの可燃物から構成されるときは、建材とし
ての不燃性を考慮すれば、抵抗膜層の厚さと化粧層の厚
さを合計した厚さが200μmを超えないことが好まし
い。
【0044】また、抵抗膜用塗料の粘度は、10sec
以上90sec以下(測定方法:NK‐2カップ法)と
するのが好ましい。特に塗装方法として好ましいフロー
コーター法を使用する場合の塗料の粘度は、15sec
以上60sec以下が好適である。塗料の粘度が前記範
囲外であると、単に塗装しにくいだけでなく、形成され
た抵抗膜層の表面抵抗値のバラツキが大きくなるため、
好ましくない。すなわち、フローコーターにおいては、
粘度が低いと、形成される塗料のカーテン(塗料の膜)
が不安定となり、カーテン切れ等の不具合を生じるた
め、塗装自体が困難となるばかりか、塗料中の固形分割
合が少なくなるため、有効な厚みの抵抗膜が得られな
い。また、逆に粘度が高いと、塗料中における抵抗膜原
料を含む固形分の分散が悪くなるとともに、塗装した塗
料がレベリングしにくくなるため、膜厚のばらつきを生
じる原因となる。
【0045】上記のようにして、建材(無機質窯業系建
材層)の表面に所定膜厚の導電性塗料を塗布したなら
ば、次に、塗布した塗料を硬化する処理を行う。このよ
うに硬化させることにより、無機質窯業系建材層1の表
面と強固に密着した抵抗膜層2を形成するのである。
【0046】そして、具体的な硬化方法は、バインダー
として使用する樹脂の種類により異なるが、熱硬化又は
電子線硬化が好適である。電子線硬化型塗料は、カーボ
ンの様な隠蔽性が高い顔料が添加された塗料であって
も、電子線の照射によって十分、かつ均一に架橋・重合
させることができる。また、この方法で硬化された塗料
(樹脂)は、紫外線硬化型塗料と異なり、紫外線による
変色劣化が少なく、屋外にも使用できるという利点を有
する。
【0047】上記した実施の形態では、抵抗膜層を構成
する塗料を塗布するに際し、無機質窯業系建材層1の表
面に直接塗布するようにしたが、好ましくは、図1
(b)に示すように、無機質窯業系建材層1の表面(塗
布面)に対して目止め処理と呼ばれる下地処理を行い、
その後、下地処理して得られた目止め処理層5の表面
に、抵抗膜層2を構成するための塗料を塗布するとよ
い。
【0048】すなわち、この下地処理は、無機質窯業系
建材の塗装面を平滑にするとともに、塗料との接着性を
高めるために行われるものである。本発明においても、
誘電体層である無機質窯業系建材の塗装面の平滑性及び
建材表面と塗料との付着性は重要な要件であり、さら
に、電波吸収建材としてはこれだけでは不十分であり、
塗料を塗布した際の塗装ムラや無機質窯業系建材の塗料
の吸い込みムラを生じないようにすることにより、形成
された抵抗膜層の表面抵抗値にバラツキを生じないよう
にする必要が有る。
【0049】そこで、目止め処理用の塗料を無機質窯業
系建材の表面に塗布するようにした。ここで目止め処理
用の塗料は、顔料を含有した高粘度物質であり、無機質
窯業系建材を製造した際に発生し、除去しきれなかった
ピンホール(穴)、凹み、及び被塗物の製造において最
終工程である表面研磨等で発生した繊細な凹凸等を平滑
なまでに充填する役割を担うものを指す。また、不導体
からなるものが好ましい。具体的には、顔料、光重合性
プレポリマー、光重合性のオリゴマー、光重合性のモノ
マー、光重合開始剤、添加剤、改質用樹脂等の成分から
構成される紫外線硬化型塗料、及び顔料、バインダー、
添加剤、溶剤等の成分から構成される熱硬化型塗料等を
用いることができる。また、目止め処理用塗料は、高粘
性であるため、無機質窯業系建材表面の凹み、ピンホー
ル(穴)等を効果的に充填するための塗装方法として
は、リバースロールコーター、及びナチュラルロールコ
ーターとリバースロールコーターとの併用が好適であ
る。ナチュラルロールコーターとは、無機質窯業系建材
を搬送する送りロールと塗料を塗布する塗布ロールの回
転が正方向である機構を有するもの、また、リバースロ
ールコーターとは、送りロールと塗布ロールの回転が逆
方向である機構を有するものである。
【0050】さらに、この目止め処理用塗料の塗布量
は、10g/m以上、50g/m以下の範囲内にし
ている。すなわち、塗布量が10g/m未満である
と、必要とする性能(穴埋め性、表面平滑性、付着性)
を得ることが十分にできない(もちろん、何もしないよ
りは良いが)。塗布量を増やすほど性能は向上するが、
塗布量が50g/mを超えてもコストが高くなるだけ
で性能改善を伴なわないので上限は50g/m程度と
するのが実用的である。尚、本明細書中に記載している
塗布量とは、無機質窯業系建材に塗装した直後(硬化時
ではない)の単位面積当たりの塗料の重量を意味する。
【0051】また、本形態では、下地処理をより確実に
行うために、上記目止め処理用の塗料を塗布した上に、
サンディングシーラーを塗布するようにした。そして、
それら塗布した目止め処理用塗料及びサンディングシー
ラーを硬化させ、研磨を行うことにより、塗布面の平坦
度合いをさらに高めるようにした。
【0052】また、サンディングシーラーとは、目止め
処理塗料の上に塗装するものであり、被塗物表面上に研
磨処理層を形成するためのものであり、不導体からなる
ものが好ましい。具体的には、顔料、光重合性プレポリ
マー、光重合性のオリゴマー、光重合性のモノマー、光
重合開始剤、添加剤、改質用樹脂等の成分から構成され
る紫外線硬化型塗料、及び顔料、バインダー、添加剤、
溶剤等の成分から構成される熱硬化型塗料等を用いるこ
とができる。
【0053】また、サンディングシーラーの塗布量は、
30g/m以上で、より好ましくは50g/m以上
100g/m以下にするのがよい。すなわち、塗布量
が30g/m未満であると、得られるサンディングシ
ーラー層の膜厚が薄く、研磨条件によっては、サンディ
ングシーラー層の膜厚が著しく薄くなるおそれがあり、
必要とする性能(表面平滑性、付着性、吸い込みムラ防
止)を得ることができないばかりか、その上に塗装して
形成した抵抗膜の表面抵抗値のバラツキが大きくなるか
らである。一方、目止め処理用塗料と同様に、塗布量が
100g/mを超えてもコストが高くなるだけで、性
能改善を伴わないので、上限は100g/m程度とす
るのが実用的である。
【0054】さらに、サンディングシーラーを塗装し、
硬化した後に研磨工程によって、得られた研磨しろ層を
塗面が平滑(カットオフ値0.8mmで測定した中心線平
均粗さRaで5.0μm以下)で、且つ吸い込みムラを
生じない状態にまで研磨する。なお、上記した目止め処
理用塗料及びサンディングシーラーは、表面処理を行う
際の生産効率の面から紫外線硬化型が好ましい。この処
理により、建材表面の表面平滑性、及び塗料との付着性
が得られるとともに、形成された抵抗膜層の表面抵抗値
のバラツキを防止することができる。もちろん、紫外線
照射に限ることは無く、加熱その他の硬化方法を用いて
もよい。
【0055】次いで、サンディングシーラーを硬化させ
た後、無機質窯業系建材の表面を研磨する。研磨紙によ
って研磨を行う場合、研磨紙の番手は均一に研磨が可能
で有れば特に限定するものではないが、好ましくは#8
0以上#400以下、更に好ましくは#180以上#2
40以下が望ましい。#80未満であると硬化したサン
ディングシーラー表面を研磨する際に研磨が粗くなり、
研磨目、或いは研磨筋が残存し、表面平滑性を損なうた
め好適でなく、また#400を超えると研磨効率が著し
く低いため好適でない。また、研磨工程で使用する研磨
機は1ヘッドのものであっても良く、複数ヘッドで徐々
に研磨紙の番手を高めた構造のものであっても良い。な
お、一般の塗料における下地処理の従来技術としては、
例えば特公昭55−18680号公報等がある。
【0056】ところで、無機質窯業系建材は多孔質であ
り、空気中の湿度が変化したり直接水がかかったりする
と含水率が変化し、誘電率も変化するため電波吸収性能
が不安定になる。そのため、含水率が変化しないような
処理をすることが好ましい。そして、本形態では、抵抗
膜層2が誘電体層である無機質窯業系建材層1の表面全
面を覆うので、防水層としての役割もはたす。また電波
反射材層3が、金属板、金属箔などの開口部を有さない
もので構成した場合には、無機質窯業系建材層1のもう
一方の面に対する防水層の役割をはたす。つまり、本形
態では、含水率が変化しないような特別な処理をするこ
となく防水機能が発揮されるという効果も奏する。さら
に、電波反射材層として、穴あき金属板,金属メッシ
ュ,金属被覆したメッシュ等の開口部を有する材料を使
用する場合は、電波反射材層3の表面、或いは、無機質
窯業系建材層1と電波反射材層3の間に所定の防水層を
設けるとよい。さらにまた、無機質窯業系建材層の小口
部をシールする(防水層を設ける)となお良い。
【0057】また、電波吸収性能を安定化させるため、
無機質窯業系建材の含水率は、平衡含水率に調整してお
くことも有効である。なお、平衡含水率とは、通風のよ
い室内に無機質窯業系建材を長時間放置して含水率を安
定化させた時の、含水率のことを言う。例えば、20℃
におけるかさ比重0.8のケイ酸カルシウム板の平衡含
水率の実測値は3.2%〜6.2%,かさ比重0.5の
ケイ酸カルシウム板の平衡含水率の実測値は4.9%〜
7.2%,かさ比重l.6の繊維補強セメント板の平衡
含水率の実測値は4.1%〜6.6%であった。
【0058】図3は、本発明の別の実施の形態を示して
いる。この実施の形態では、図1に示す実施の形態を基
本とし、抵抗膜層2の表面に不導体からなる化粧層4を
形成している。ここで言う不導体からなる化粧層とは、
導電性を有する物質を含有していない塗料からなる化粧
層であれば特に限定されるものではなく、アクリル樹
脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ樹
脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エ
ポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、
ポリエステルアクリレート樹脂等からなる塗料を例示す
ることが出来る。この化粧層4は、塗料を塗布すること
により形成しても良いし、別途用意した化粧パネルを装
着するようにしても良い。
【0059】化粧層4も一体的に形成すると、現場で別
途化粧パネル等を設置する必要が無く、施工が容易とな
る。さらに、化粧層4を構成する材質が電波吸収性能に
影響を与えるようなものの場合には、係る化粧層4を取
り込むことにより、その化粧層4も考慮して各種設計が
行えるので好ましい。
【0060】図4は、本発明のさらに別の実施の形態を
示している。本実施の形態では、電波反射材層3の両側
に誘電体層たる無機質窯業系建材層1を設け、それぞれ
の無機質窯業系建材層1の表面(電波反射材層3との被
接合面)に抵抗膜層2を設けるように構成する。これに
より、両側から入射する電波を吸収することができ、利
便性が向上する。また、係る構成の電波吸収建材を製造
するには、例えば、2枚の未硬化の成形物(無機質窯業
系建材)の間に電波反射材を挿入して一体化し、その
後、表面に所定の塗料を塗布することにより形成でき
る。もちろん、電波反射材と一方或いは両方の無機質窯
業系建材層1との接合を接着剤による後工程(無機質窯
業系建材層の製造とは別)で行うようにしてもよい。 **実験結果 本発明の効果を実証するため、製造条件を異ならせた抵
抗膜型電波吸収建材を製造し、その特性を求めた。
【0061】*実施例1 無機質窯業系建材は、JIS−A−5430に規定され
たタイプ2で0.8FKのケイ酸カルシウム板(株式会
社アスク製セルストンF、幅910mm,長さ1820
mm,厚さ8mm)を使用した。尚、ケイ酸カルシウム
板としては表面の補強を目的として含浸シーラー(日本
ペイント株式会社製U−60)を70g/m予め塗装
してあるものを使用した。このケイ酸カルシウム板の表
面に、目止め処理用塗料として日本ペイント株式会社製
ユービコート60サンディングシーラー目止めを40g
/m塗布し、その上にサンディングシーラーとして日
本ペイント株式会社製U−60サンディングシーラーを
80g/m塗布(いずれの塗布もロールコータにて行
う)し、紫外線を80W高圧水銀ランプ2灯、ライン速
度6m/min(積算UV照射量:350mJ/c
)の条件にて照射して硬化させた後、ワイドベルト
サンダー(研磨紙:#240使用)で研磨する表面処理
(下地処理)を行った。
【0062】また、抵抗膜層を形成する塗料は、ウレタ
ン樹脂を5質量%としたバインダーの中に、平均粒径
0.5μmに調整したカーボン粉15質量%を均一分散
させた。なお、溶剤としてトルエンを使用し、塗料の固
形分原料と溶剤との比率は、質量比で20:80とし
た。さらに、カーボン粉をウレタン樹脂に均一分散させ
るために、添加剤として分散剤を使用した。そして、製
造された塗料の粘度は83sec(NK−2カップで測
定)であった。そこで、その塗料をトルエンで塗料粘度
40secになるまで希釈したものを塗装に使用した。
【0063】この塗装は、無機質窯業系建材(無機質窯
業系建材層)の表面処理された面上に、フローコーター
を使用して、希釈した前記塗料を90g/m塗布し
た。その後、100℃で20分間加熱硬化させて抵抗膜
層を形成した。
【0064】さらに、電波反射材としては、厚さ0.0
5mmのアルミ箔を使用し、接着剤を介して、ケイ酸カ
ルシウム板の抵抗膜層を形成した面と反対側の面上に接
合した。接合を行った際のケイ酸カルシウム板の含水率
は5.2%であった。
【0065】形成された抵抗膜層に対し、28ヶ所につ
いて厚さ及び表面抵抗値を測定した。厚さは56±4μ
m、表面抵抗値は約400±30Ω(具体的には、37
2〜430Ω)であり、表面抵抗値のバラツキは極めて
小さいことが確認できた。
【0066】また、電波吸収性能は、5.2GHz帯の
電波を吸収対象としたものである。この電波吸収建材の
6ヶ所について電波吸収性能の測定を行った。測定はホ
ーンアンテナ法により行った。すると、吸収ピークの最
低値は25dBで、15dB以上の吸収域は1.5±
0.1GHzであり、実用上十分な電波吸収性能を有し
ていた。さらに、2ヶ月間室内放置した後、同一の測定
を行ったところ、製造直後のものと電波吸収性能に差は
認められなかった。 *実施例2 実施例1のものを基本とし、下地処理をせずに製造し
た。すなわち、同一のケイ酸カルシウム板の表面に、直
接抵抗膜層を形成するための塗料をフローコーターを使
用して、90g/m塗布し、その後、100℃で20
分間加熱硬化させて抵抗膜層を形成した。さらに、アル
ミ箔を接着剤でケイ酸カルシウム板の裏面に接着して電
波反射材層を形成した。
【0067】表面抵抗値は、下地処理をしない分だけば
らつきが大きくなり、280〜548Ωとなり、5.2
GHzにおける電波吸収特性の電波吸収値は16dBと
なり、実用上問題のない(15dB以上)値が得られ
た。 *比較例1 使用する材料や、製造プロセスは基本的に実施例1と同
様(下地処理もする)にし、抵抗膜層を構成する塗料の
膜厚を薄くした(9μm)。その結果、表面抵抗値は、
204〜720Ωとなり大きくばらついた。さらに、
5.2GHzにおける電波吸収特性の電波吸収値は10
dBとなり、十分な電波吸収特性が得られなかった。
【0068】*実施例3 実施例1を基本とし、電波反射材を金属メッシュで構成
し、しかも、ケイ酸カルシウム板の形成時にその金属メ
ッシュを一体に形成するようにした。その他の構成は、
実施例1と同様である。係る構成をとっても、抵抗膜層
側への影響は無いので、膜厚並びに表面抵抗値のばらつ
きは実施例1と同様のものとなり、電波吸収特性も同様
の結果が得られた。
【0069】*実施例4 無機質窯業系建材として、繊維補強セメント板(株式会
社アスク製セルフレックス、幅910mm,長さ182
0mm,厚さ6mm)を用い、その他の構成並びに製造
プロセスは実施例1と同様にした。係る構成をとって
も、抗膜膜層の膜厚並びに表面抵抗値のばらつきは実施
例1と同様のものとなり、電波吸収特性も同様の結果が
得られた。
【0070】ケイ酸カルシウム板は、主として内装用と
して使用される建材である。つまり、構内無線LANな
どを構築した場合の通信障害を抑制するために好ましく
用いられるものである。これに対し、繊維補強セメント
板は、主として外装用に用いられる。従って、本発明は
内装用としても外装用としても使用することが可能とな
り、本実施例のように外装用とした場合には、例えばテ
レビゴースト対策用に用いることができる。
【0071】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る電波吸収建
材及びその製造方法では、抵抗膜層を塗料で形成したた
め、電波吸収建材の寸法形状が大きくても、その全面に
渡って抵抗膜層の膜厚を均一にすることができる。しか
も、誘電体層に無機質窯業系建材を用いたとしても、塗
料すなわち抵抗膜層を確実に密着させることができる。
よって、たとえ大きな寸法形状のものであっても、均一
な電波吸収性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電波吸収建材の好適な一実施の形
態を示す図である。
【図2】電波吸収特性を示す図である。
【図3】本発明に係る電波吸収建材の好適な他の実施の
形態を示す図である。
【図4】本発明に係る電波吸収建材の好適な他の実施の
形態を示す図である。
【符号の説明】
1 誘電体層(無機質窯業系建材層) 2 抵抗膜層 3 電波反射材層 4 化粧層 5 目止め処理層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中山 恵次 東京都港区新橋5丁目36番11号 富士電気 化学株式会社内 (72)発明者 石倉 誠 東京都港区新橋5丁目36番11号 富士電気 化学株式会社内 (72)発明者 磯村 誠 東京都港区新橋5丁目36番11号 富士電気 化学株式会社内 (72)発明者 山本 昌彦 茨城県石岡市大字柏原6番1号 株式会社 建材テクノ研究所内 (72)発明者 加藤 丈尚 茨城県石岡市大字柏原6番1号 株式会社 建材テクノ研究所内 (72)発明者 秋山 宣人 横浜市鶴見区鶴見中央二丁目5番5号 株 式会社アスク内 Fターム(参考) 2E001 DH01 FA04 FA06 FA11 FA14 GA06 GA18 GA22 GA32 GA42 GA85 HA01 HA03 HA04 HA07 HA20 HA21 HB01 HD11 JA29 JB01 LA04 4F100 AA37 AB10 AB33 AD00B AE00B AE09 AK51 AR00A AR00B AR00C BA03 BA07 BA10A BA10C BA10D CC00A EJ08 EJ54 EJ82 GB07 HB00D JD08 JG04A JG04D JG05B JG10C YY00A 5E321 AA11 AA23 AA41 AA44 BB21 BB23 BB25 BB57 GG05 GG11

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抵抗膜層,誘電体層並びに電波反射材層
    が、この順で積層されてなる電波吸収建材であって、 前記誘電体層は無機質窯業系建材からなり、 前記抵抗膜層は、抵抗膜層を形成するための原料を含有
    してなる塗料を、前記誘電体層の一方の表面上に成膜さ
    れてなることを特徴とする電波吸収建材。
  2. 【請求項2】 電波反射材層の両側に誘電体層を設け、
    それぞれの前記誘電体層の表面に抵抗膜層を設けた電波
    吸収建材であって、 前記誘電体層は無機質窯業系建材からなり、 前記抵抗膜層は、抵抗膜層を形成するための原料を含有
    してなる塗料を、前記誘電体層の表面上に成膜されてな
    ることを特徴とする電波吸収建材。
  3. 【請求項3】 前記誘電体層の少なくとも前記抵抗膜層
    と接する面に、目止め処理用塗料を塗布したことを特徴
    とする請求項1または2に記載の電波吸収建材。
  4. 【請求項4】 前記抵抗膜層上に不導体からなる化粧層
    を設けたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1
    項に記載の電波吸収建材。
  5. 【請求項5】 抵抗膜層の膜厚が、10μm以上200
    μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の電波吸収建材。
  6. 【請求項6】 少なくとも抵抗膜層,無機質窯業系建材
    からなる誘電体層並びに電波反射材層が、この順で積層
    されてなる電波吸収建材の製造方法であって、 前記誘電体層の表面に、前記抵抗膜層を形成するための
    原料を含有した塗料を塗布し、その後、前記塗料を硬化
    する抵抗膜層製造工程を含むことを特徴とする電波吸収
    建材の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記抵抗膜製造工程を実施する前に、前
    記誘電体層の少なくとも前記抵抗膜層と接する面に、目
    止め処理用塗料を塗布する工程を実施することを特徴と
    する請求項6に記載の電波吸収建材の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記目止め処理用塗料を塗布後、その上
    にサンディングシーラーを塗布する工程、 塗布した前記目止め処理用塗料及び前記サンディングシ
    ーラーを硬化させた後、研磨して表面処理をする工程を
    実施し、 その表面処理を施した面に前記抵抗膜層を形成するため
    の原料を含有した塗料を塗布する工程を実施するように
    したことを特徴とする請求項7に記載の電波吸収建材の
    製造方法。
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