JP2006342609A - 建築用板 - Google Patents
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Abstract
【課題】建築用板における強度のばらつきを小さくすると共に、防水層や軽量セメント層の干割れや剥離を防止する。
【解決手段】基板2上に、防水層3を介して、軽量セメント層6が順次に積層されてなる建築用板1、あるいは、基板2上に、防水層3を介して、表面に凹凸が形成された凹凸層及び軽量セメント層6が順次に積層されてなる建築用板1において、曲げヤング係数が2500〜5500N/mm2である繊維板が基板として用いられる。繊維板の厚さは4〜12mmであることが好ましく、また、ドライプロセスによって製造されるミディアムデンシティファイバーボード(MDF)を用いることが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】基板2上に、防水層3を介して、軽量セメント層6が順次に積層されてなる建築用板1、あるいは、基板2上に、防水層3を介して、表面に凹凸が形成された凹凸層及び軽量セメント層6が順次に積層されてなる建築用板1において、曲げヤング係数が2500〜5500N/mm2である繊維板が基板として用いられる。繊維板の厚さは4〜12mmであることが好ましく、また、ドライプロセスによって製造されるミディアムデンシティファイバーボード(MDF)を用いることが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、表面に軽量セメント層を有することにより優れた防火性能を発揮する建築用板に関する。
この種の従来の建築用板としては、たとえば、基板と、基板上に形成される防水層と、この防水層の上に設けられる軽量セメント層とからなるものや、下記特許文献1,2に知られるように、上記防水層と軽量セメント層との間にセメント系の凹凸層を設けたものがある。これら従来の建築用板の基板としては、一般に合板が使用されている。
特開2000−313088号公報
特開2002−1866号公報
ところが、合板を基板とする建築用板については、木材資源の枯渇傾向に伴い良質の合板用単板を入手することが困難になりつつあるという問題を抱えている。良質の単板は単板間の比重のばらつき、同一単板内の場所による比重のばらつきが小さいが、このような良質の単板が入手しにくくなってきていることから、比重のばらつきの大きい単板から製造された合板を利用せざるを得ない。
また、合板の吸水長さ膨張率は、表面単板の繊維方向と平行方向の膨張率に対して垂直方向の膨張率が約2倍と大きく相違する。特に建物の外装用に用いられる建築用板は、高乾燥や高温多湿など様々な劣悪環境下に置かれることが多いため、このような合板を基板とすると、合板の異方性の大きい伸縮によって防水層や軽量セメント層に干割れや剥離が発生する恐れがあった。
上記特許文献には、建築用板の基板として繊維板を使用することについても記載されているが、運搬や施工などの取扱い時の撓みにより防水層や凹凸層に割れ・剥離が生じやすいこと、さらには経済的理由(コスト増)などの理由により、繊維板を基板とするこの種の建築用板は未だに製品化されていないのが実情である。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、木材資源枯渇化に対する抜本的解決手段を提供すると共に、建築用板における強度のばらつきを小さくし、且つ、防水層や軽量セメント層の干割れや剥離を防止することにある。
上記の課題を達成するため、請求項1に係る本発明は、基板上に、防水層を介して、軽量セメント層が順次に積層されてなる建築用板において、曲げヤング係数が2500〜5500N/mm2である繊維板を基板に用いることを特徴とする。
請求項2に係る本発明は、基板上に、防水層を介して、表面に凹凸が形成された凹凸層及び軽量セメント層が順次に積層されてなる建築用板において、曲げヤング係数が2500〜5500N/mm2である繊維板を基板に用いることを特徴とする。
建築用板の基板として繊維板を用いることにより、前述の資源枯渇の問題が緩和されると共に、基板の方向の違いや伸縮の違いがなくなって等方性となり、防水層や軽量セメント層の干割れや剥離を防止することができる。
さらに、曲げヤング係数が2500〜5500N/mm2である繊維板を基板に用いることにより、運搬時や施工時の持ち運びの際に反りが少なく取扱いが容易となる。また、この建築用板を釘打ちやネジ止めにより構造躯体に固定した後にモルタルをコテなどで塗布する際にも変形が少ないので、規定のモルタル厚や平坦度を維持したモルタル塗布を行うことが容易である。さらに、塗布したモルタルの乾燥時の収縮力にも十分に対抗するものとなり、柱間の壁面反り変形量を4mm以下に抑制することができる。
繊維板の曲げヤング係数が2500N/mm2未満であると、繊維板自体の構造材としての強度と剛性が不足する。一方、繊維板の曲げヤング係数が5500N/mm2を超えると、繊維板自体が硬くなりすぎて脆くなり、また、繊維板を製造する際の熱圧条件が厳しくなってコスト高となり、重量増により施工時の取扱い性も悪くなる。なお、曲げヤング係数の定義及び試験方法は、JIS Z2101による。
さらに、建築用板の基板として用いる繊維板は、厚さが4〜12mmであることが好ましい。
繊維板の厚さが4mm未満であると、薄すぎて構造材としての絶対的な強度が不足する。繊維板の厚さが12mmを超えると、構造材としての強度は大きなものとなるが、反面軽量性が損なわれて取扱いや施工が困難になる。また、このような厚い繊維板を基板に用いた建築用板は、固定用の釘やネジとして長く太いものを用いなければならず、釘打ち性またはねじ込み性が悪くなる。
繊維板には、JIS A5905に規定される、ドライプロセスによって製造され比重が0.35以上であるミディアムデンシティファイバーボード(MDF)、ウェットプロセスによって製造され比重が0.80以上であるハードファイバーボード(HB)などの中から上記曲げヤング係数範囲(及び好ましくは厚さ範囲)の要件を満たすものを選択して本発明の建築用板の基板として用いる。
本発明で使用する繊維板は、平均比重が0.6〜1.0であることが好ましい。これが0.6未満であると、繊維板自体の硬さが不十分で構造材としての強度及び剛性が不足する。平均比重が1.0を越えるものとなると、繊維板自体が硬くなりすぎて、建築用板として要求される釘打ち性またはねじ込み性が悪くなり、また、繊維板を製造する際の熱圧条件が厳しくなってコスト高となる。
また、繊維板の厚さ方向において、中心層と、この中心層より比重及び非透水性が高い表面側及び裏面側の硬質層とが設けられており、且つ、高比重の表裏硬質層が繊維板の表裏面に露出している。
硬質層の比重は、非透水性を与えると共に表面硬度を大きくして耐傷性を向上させるために0.7以上であり、且つ、過度に比重が高くなると釘打ち性やねじ込み性も悪くなることから1.2以下であることが好ましい。また、中心層と表裏硬質層の比重差が0.1〜0.5のものを使用することができる。好ましくは比重差が0.2〜0.5のものを使用する。比重差をこの範囲とすることにより、軽量で曲げヤング係数の優れた基板とすることができる。比重差が0.1より小さくなると表裏硬質層の厚さ割合を大きくしないと十分な曲げ強度を発揮することができず、結果として重量増を招き、一方、比重差が0.5より大きいと中心層と表裏硬質層との間で層間剥離が生じやすくなる。
また、基板としての繊維板には、予め、一般的に行われている防虫・防蟻・防カビ・防腐などの処理を施しておくことが好ましい。
本発明の建築用板を建物の外壁を形成するための外装板として、またはその上にセメントモルタル、しっくいなどの化粧塗材を塗布して外装仕上げするための下地材として使用する場合は、繊維板の中でも特にMDFを基板に用いることが好ましい。この理由は下記の通りである。
建物の壁の屋外側と室内側の温度差に起因して壁内に生ずる結露水、屋外から侵入する雨水、外壁面への太陽光の照射などにより、外壁に用いられる建築用板の基板の含水率は大きく変動し、しかもこの変動が長期に亘って繰り返されることになる。MDFは、その製造工程において木質繊維に対して接着剤が添加され、木質繊維同士の接点を接着剤により三次元的に固定して成形されるのに対し、ハードボードは接着剤をほとんど使用せず、木質繊維同士が単に絡み合った状態で成形される。このため、長期に亘って含水率が変化した場合、MDFは収縮膨張の動きが小さく初期状態を維持する性能に優れているが、ハードボードは収縮膨張の動きが大きいため、その表面に設けられた防水層及び凹凸層の干割れや剥離あるいはハードボード基板自体の膨れ及び反りなどの問題が生じやすい。これらの理由により、特に外壁用の建築用板として用いる場合の基板としては、繊維板の中でもMDFを用いることが好ましい。
なお、MDFを成形する際には、フェノール系、ウレタン系、メラミン系、ユリア・メラミン系、アクリル系などの合成樹脂系接着剤、タンニン系などの天然系接着剤を単独または任意複合して使用し、必要に応じパラフィン、ワックス、ロジン、クマロンなどの耐水性サイジング剤を添加して、前述の各要件を満たしたMDFを得る。
基板の木口には、表面に対して30〜60度の角度で面取りされた面取り部を形成することができる。面取り部を形成した場合、防水層はこの面取り部にかけて形成され、凹凸層を形成する場合は該凹凸層も面取り部の上側にかかるように設けられる。
防水層は、基板の表面に、合成樹脂エマルジョンと合成ゴムラテックスの混合物を、ロールコーターやフローコーターなどの塗布装置にて均一に塗布し、任意手段で乾燥させることにより形成される。塗布量はたとえば120〜300g/m2であり、乾燥条件はたとえば80度で5〜10分間である。
合成樹脂エマルジョンとしては、アクリル樹脂や塩化ビニル樹脂など、合成ゴムラテックスとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、メチルメタクリレートブタジエンゴム(MBR)、クロロプレンゴム(CR)などを使用することができる。
また、防水層にはタール、アスファルトなどの瀝青質物質、クレー、タルク、炭酸カルシウム、パーライト、金属粉などの増量剤や分散剤などの助剤を添加混合しても良い。防水層は基板の少なくとも表面に形成されるものであり、さらに木口面及び/または裏面にも防水層を形成することができる。
以上により、基板上に防水層が形成された板が得られる。
あるいは、基板上に上記防水層を介して凹凸層を形成することによって板を得ることができる。この凹凸層は、防水層の表面に、ポルトランドセメント、白色セメントなどのセメントと、合成樹脂、ラテックスまたは瀝青質物質と、炭酸カルシウム、珪砂などの骨材と、メチルセルロース、界面活性剤、消泡剤などの成形助剤と、水の混合物をロールコーターなどの塗布装置にて層状に塗布し、任意手段で乾燥させることにより形成される。凹凸層を形成する混合物の組成は、たとえば、セメント150部(重量部、以下同じ)、骨材150部、ラテックス40部、エマルジョン40部、メチルセルロース0.3部、界面活性剤1部である。
凹凸層における合成樹脂、ラテックスまたは瀝青質物質は、防水層に用いたものと同系のものを用いることが好ましく、これにより防水層中の物質と凹凸層中の物質との間で分子間引力が働き、それらの密着強度を増大させることができる。また、凹凸層におけるセメント、骨材及び成形助剤については、後述する軽量セメント層を形成するために用いられるものと同様のものであって良い。
凹凸の形成は、たとえば、形成しようとする凹凸層の凹凸に対応する目切りロールや該凹凸に対応する網を巻いた網巻きロールなどを、防水層の表面に塗布直後の未硬化状態の混合物塗布面に転動させることによって形成することができる。凹凸層の高さは最大2.5mm程度である。このように凹凸層の表面が凹凸状に形成されることにより、後述する軽量セメント層(軽量セメント成形板)との結合強度(剥離強度)が増大するだけでなく、ロールプレスによって一体化して本発明の建築用板を製造する際に軽量セメント成形板が板(基板+防水層+凹凸層)の搬送方向と逆方向(ロールプレスより上流側)に逃げようとする動きを抑制することができる。
軽量セメント層は、基板上に防水層が形成されてなる板、または基板上に防水層を介して凹凸層が形成されてなる板の上に設けられ、セメント、合成樹脂発泡粒、骨材、補強繊維、成形助剤及び混練水を主体とする軽量セメント混合物により形成される。軽量セメント層の硬化後の比重は0.2〜1.2、好ましくは0.6〜0.7である。
セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメントなどのポルトランドセメント、天然セメント、アルミナセメント、超速硬セメントなどの任意のセメント用いることができる。セメント硬化時の収縮を抑制して建築用板に反りが生ずることを防止するため、セメントの配合量は上記軽量セメント混合物から水を除いた全体重量の35重量%以下とすることが好ましい。また、同全体重量の20重量%以上のセメント配合量としないと硬化が不十分となり、必要な強度を得ることができない。
合成樹脂発泡粒としては、ポリスチレンなどのスチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合体、スチレン・エチレン共重合体などの共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩化ビニル樹脂などの合成樹脂を発泡させて球形または略球形のビーズ状に形成したもの、あるいはこれら合成樹脂発泡粒を粉砕したものを用いることができる。中でもポリスチレン発泡粒は強度が大きく安価であることから、好ましい選択である。合成樹脂発泡粒の平均粒径は0.1〜10.0mm、平均比重は0.03〜0.2、発泡倍率は10〜60倍であることが好ましく、このような合成樹脂発泡粒をセメント重量に対して6〜21重量%混合することが好ましい。合成樹脂発泡粒に代えてパーライトなどの無機軽量骨材を混入しても良い。
骨材としては、ケイ石粉、フライアッシュ、スラグ、再生粉などを用いることができ、セメント重量に対して75〜250重量%を混合させる。このように軽量セメント層における骨材の配合割合を高めることにより、軽量セメント層の硬化時の収縮を減少させて反りを防止することができる。
補強繊維としては、ワラストナイト、セピオライト、セラミック繊維、ガラス繊維などの無機繊維、パルプ、ポリプロピレン繊維などの有機繊維を単独または併用して用いることができる。軽量セメント層中に補強繊維を混合することにより該繊維同士の結合力を介して強度を増大することができるが、反面、補強繊維の混入量が多くなりすぎるとセメント硬化時の収縮力が過大となって建築用板として製造したときに反りを生じやすくなることから、補強繊維はセメント重量に対して0.2〜9重量%混合することが好ましい。
成形助剤としては、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体を用いることができ、セメント、合成樹脂発泡粒、骨材及び補強繊維の合計重量に対して0.1〜10重量%添加する。
その他、軽量セメント混合物中に合成樹脂やラテックスを固形分重量で20%以下の添加量で混入して、セメントの結合力を向上させることができる。
上記の材料にさらに混練水を加えて十分に混練して軽量セメント混合物を得る。混練水量は、セメント重量に対して60〜210重量%とすることが好ましい。
この軽量セメント混合物を、基板上に防水層が形成されてなる板、または基板上に防水層を介して凹凸層が形成されてなる板の表面に塗布し、硬化させることによって、本発明の建築用板が製造される。より詳しくは、得られた得られた軽量セメント混合物を、ロールコーター、連続リシンガン、ナイフコーターなどを用いて、前記板の表面に、硬化後の厚さが2〜20mm程度になるように塗布する。塗布後に、任意手段で乾燥処理を行っても良い。乾燥処理は、たとえば60〜80度の熱風で10〜30分間行う。
または、得られた軽量セメント混合物を押し出し成形機に投入して、前記板と略同一の平面寸法を有する軽量セメント成形板とした後、この直後に該成形板を前記板の上に載置し、ロールプレスなどによりその表面を加圧し、ドライヤーにより加熱乾燥硬化させることによって軽量セメント層を形成して、本発明の建築用板を製造することができる。
上記いずれの場合においても、軽量セメント混合物が塗布された板の数十枚を平積み堆積、養生用棚への堆積などの堆積方法で、常温養生または加熱養生する。平積み堆積する場合は、そのまま堆積しても良いが、軽量セメント混合物が塗布された板同士の間に合成樹脂フィルム・シートを介在させた状態で堆積すると、軽量セメント混合物の水分で繊維板基板が裏面側から吸湿することを防止することができると共に、軽量セメント混合物からの溶出アルカリ分によって繊維板基板の裏面が変色・変質することを防止することができるので、好ましい方法である。養生は、水打ち後、3日間堆積養生硬化した後、さらに1週間養生硬化する。
なお、このようにして製造した建築用板に面取り部を形成したり、正寸にカットする場合は、養生後に軽量セメント層が硬化した後に、切削や研削加工を行う。
本発明の建築用板は、予め工場で大量生産され、外壁施工に際して、柱や間柱などの構造材に釘打ちなどで固定してそのまま外装板として使用することができる。必要に応じてその表面に塗装を施して外壁を仕上げる。
本発明の建築用板を外装用下地板として使用する場合は、上記と同様にして柱や間柱などの構造材に釘打ちなどで固定した後、その表面にモルタルを塗布してモルタル層を形成する。モルタルは、たとえば、セメント、砂、ラテックス及び水を混練して得られるセメントモルタルである。セメントモルタルの厚さは、外壁の壁構造として要求される防火性能に応じて4mm程度から15mmの範囲となるように塗布される。
建築用板の基板として繊維板を用いることにより、資源枯渇の問題を緩和することができる。
しかも、繊維板は、その製造工程において熱圧盤に直接接触する表裏面の近傍箇所(表裏硬質層)の比重が高くなるので、自然環境下におかれた繊維板の含水率変化は比較的小さく、合板より小さい。また、繊維板は伸縮の方向性が等方であるため、防水層への伸縮力が等方的に伝わる。したがって、防水層や軽量セメント層に与えるひずみは比較的小さく、防水層や軽量セメント層に干割れや剥離が生じることを抑制することができる。
また、繊維板を基板として用いることにより、複数の建築用板同士の間の比重のばらつきや、同一建築用板内での局所的な比重のばらつきが小さくなり、強度のばらつきが小さく品質の安定した建築用板を提供することができる。
さらに、曲げヤング係数が2500〜5500N/mm2である繊維板を基板に用いることにより、運搬時や施工時の持ち運びの際に反りが少なく取扱いが容易となる。製造工程において軽量セメント層のセメントが硬化する前の運搬の間に軽量セメント層の重量によって基板に反りが発生したり、軽量セメント層が割れたりする問題も防止することができる。また、この建築用板を釘打ちやネジ止めにより構造躯体に固定した後にモルタルをコテなどで塗布する際にも変形が少ないので、規定のモルタル厚や平坦度を維持したモルタル塗布を行うことが容易である。さらに、塗布したモルタルの乾燥時の収縮力にも十分に対抗するものとなるので、反りを抑制することができる。
さらに、厚さが4〜12mmである繊維板を基板に用いることにより、構造材としての絶対的強度を確保しつつ、軽量性や取扱い性、釘打ち性やねじ込み性を良好に保持し、しかも製造コストを抑えることができる。
さらに、繊維板の中でもMDFを基板に用いることにより、長期に亘って含水率が変化した場合であっても、その表面に設けられた防水層や軽量セメント層の干割れや剥離あるいはハードボード基板自体の膨れなどの問題を生ずることがなく、特に外壁を形成するための外装板または外装用下地板としての用途に好適である。
図1に示す本発明の一実施形態による建築用板1は、MDFを基板2とし、その表面に防水層3が形成され、さらに防水層3の上に軽量セメント層6が形成されてなる。基板2に用いたMDFは、厚さ9mm、平均比重0.8、曲げヤング係数が3800N/mm2である。
この建築用板1を工場で大量生産し、柱や間柱などの構造材に釘打ち固定した後、その上にセメントモルタルを塗布したところ、運搬や施工時の取扱い性が良好であり、また、長期間に亘っても防水層3や軽量セメント層6、セメントモルタルに割れや剥離が生じることがなかった。
図2に示す本発明の他の実施形態による建築用板1’は、MDFを基板2とし、その表面に防水層3を介して凹凸層4が形成され、さらに凹凸層4の上に軽量セメント層6が形成されてなる。基板2に用いたMDFは、厚さ9mm、平均比重0.8、曲げヤング係数が3800N/mm2である。凹凸層4の高さhは約2mmであって不規則な凹凸模様を有している。
このような建築用板1’を工場で大量生産し、柱や間柱などの構造材に釘打ち固定して建物の外壁として施工したところ、運搬や施工時の取扱い性が良好であり、また、長期間に亘っても防水層3、凹凸層4、軽量セメント層6に割れや剥離が生じることがなかった。また、この建築用板1’を外装用下地板として用い、柱や間柱などの構造材に釘打ち固定した後、その上にセメントモルタルを塗布したところ、長期間に亘ってもセメントモルタルに割れや剥離が生じることがなく、意匠性に優れると共に所要の防火性能を備えた外壁として仕上げることができた。
1、1’ 建築用板
2 基板としての繊維板(MDF)
3 防水層
4 凹凸層
5,5’ 下地板
6 軽量セメント層
2 基板としての繊維板(MDF)
3 防水層
4 凹凸層
5,5’ 下地板
6 軽量セメント層
Claims (4)
- 基板上に、防水層を介して、軽量セメント層が順次に積層されてなる建築用板において、曲げヤング係数が2500〜5500N/mm2である繊維板を基板に用いることを特徴とする建築用板。
- 基板上に、防水層を介して、表面に凹凸が形成された凹凸層及び軽量セメント層が順次に積層されてなる建築用板において、曲げヤング係数が2500〜5500N/mm2である繊維板を基板に用いることを特徴とする建築用板。
- 繊維板の厚さが4〜12mmであることを特徴とする、請求項1または2記載の建築用板。
- 繊維板がドライプロセスによって製造されるミディアムデンシティファイバーボード(MDF)であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか記載の建築用板。
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