JP2004356325A - 電磁波吸収体 - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の複数周波数において電磁波吸収する薄形電磁波吸収体を実現する。
【解決手段】電波入射側から、第1導電性パターンを有する外パターン層6と、電磁波吸収層5と、第2導電性パターンを有する中間パターン層4と、誘電体層3と、導電性反射層2の順序で積層して構成される。電磁波吸収層5は、カーボンと、フェライトと、合成樹脂とを含む。外パターン層6および中間パターン層4のパターン形状13,19の相関関係および上記構成要素のパターン形状13,19、材料特性を電子計算機の設計支援により最適化される。このことによって電磁波吸収層5を薄くし、2以上の整合周波数に対して、飛躍的な吸収特性を達成する。
【選択図】 図1
【解決手段】電波入射側から、第1導電性パターンを有する外パターン層6と、電磁波吸収層5と、第2導電性パターンを有する中間パターン層4と、誘電体層3と、導電性反射層2の順序で積層して構成される。電磁波吸収層5は、カーボンと、フェライトと、合成樹脂とを含む。外パターン層6および中間パターン層4のパターン形状13,19の相関関係および上記構成要素のパターン形状13,19、材料特性を電子計算機の設計支援により最適化される。このことによって電磁波吸収層5を薄くし、2以上の整合周波数に対して、飛躍的な吸収特性を達成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえばオフィスなどの空間の電磁波環境を改善する電磁波吸収体に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、コンピューターネットワークのLAN(Local Area Network)構築においてマイクロ波を利用した無線LANなどが利用され、よりフレキシブルでモバイル性の高い通信システムが発達している。また、WPAN(Wireless Personal Area Network)の代表とされるBluetoothと呼ばれる近距離無線技術が有線ケーブルの代替品として利用されている。これらの技術を相互に多数使用する環境では、同じ帯域の電波を使用する結果生じる電磁波干渉の問題、および反射波などによる伝送の誤りの問題(マルチパスの問題)が生じる。具体的には、上記の無線技術を搭載した機器間の伝送速度の低下、BER(Bit Error Rate)の劣化であり、最悪の事態では、機器の誤動作が生じるおそれがある。
【0003】
これらの問題を解決するために、従来から、電磁波吸収材料としてフェライトに代表される磁性損失材料やカーボンブラックに代表される誘電損失材料等が用いられてきた。これらの電磁波吸収材料を供するために所定の複素誘電率、複素透磁率を有している電磁波吸収体が開発されている。この先行技術では、たとえば無線LAN等の2.45GHz帯において、フェライトを構成材料として電磁波吸収体を実現する場合、スネークの限界による制約を受け、通常4mm以下の薄さに電磁波吸収材料の厚みを薄くできないという問題がある。
【0004】
他の先行技術として、特許文献1および特許文献2には、パターン層を含む多層型電磁波吸収体、特許文献3および特許文献4には、導電性ループ構造によるパターン層を有する電磁波吸収体が開示されている。さらに、特許文献5には複数の共振型周波数選択性電磁波遮断性面状体に関する記載がある。
【0005】
特許文献1,2では、吸収周波数域としては、広帯域を示すものもあるが、基本的に単一周波数であって、技術的には1つのパターン層で、2つ以上の吸収周波数を各別に制御するものではない。この場合、吸収周波数を特定選択し、ある周波数域は使用せずに透過させるといった特定周波数の選択吸収性を付与することはできないことになる。さらにパターン層の作用効果は、波動干渉または波動エネルギの打ち消し合いによる薄型化および軽量化を実現するとしており、後述する本発明の原理とは根本的に異なっている。
【0006】
特許文献3,4では、これらの吸収する周波数帯域は、単一周波数である。したがって、無線LANのように複数の周波数帯域を持つ環境下では(たとえば、2.45GHzと5.2GHz)、一方の周波数においては吸収効果を発揮できない。
【0007】
特許文献5では、異なる周波数の複数の電磁波を同時に遮断するとしたものである。ここではパターンのみでインダクタおよび容量を調整したものであり、これ以外にはスペーサ(誘電体)の厚さによる調整機構がある。構成として、1つの共振周波数選択性電磁波遮断性面状体が1つの共振周波数を有する結果、対象共振周波数の数に対応して、その面状体数が増加することになる。つまり1つのパターン層で複数の吸収周波数を制御するものではない。さらにここで用いる電磁波吸収体には、磁性成分が用いられていないので、パターンによる整合が取りにくく、薄型化の効果が充分発現しないといえる。また吸収範囲も狭くなり、狭帯域の電磁波吸収体になる。さらにスペーサ間隔に依存するため、電磁波の入射角度によりスペーサの厚さが変わってしまうと、斜入射特性に劣ることになる。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−244583
【特許文献2】
特開平6−252582
【特許文献3】
特開平9−148782
【特許文献4】
特開平10−224075
【特許文献5】
特開平11−204984
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、2以上の周波数の電磁波吸収特性を付与し、斜入射特性にも優れた薄型化を実現することができる電磁波吸収体、電磁波吸収方法および電磁波吸収体の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電波入射側から、第1導電性パターンを有する外パターン層6と、電磁波吸収層5と、第2導電性パターンを有する中間パターン層4と、誘電体層3と、導電性反射層2とが、この順序で積層して構成され、
外パターン層6の第1導電性パターンおよび中間パターン層4の第2導電性パターンの相関関係を最適化することによって電磁波吸収層5を薄くし、2以上の周波数に対して整合することを特徴とする電磁波吸収体1である。
【0011】
また本発明は、電波入射側から、第1導電性パターンを有する外パターン層6と、電磁波吸収層5と、第2導電性パターンを有する中間パターン層4と、誘電体層3の順序で積層して構成される電磁波吸収体1であって、
この電磁波吸収体1は、誘電体層3の電波入射側とは反対側で、電磁波遮蔽性能を有する面上に設置され、
外パターン層6の第1導電性パターンおよび中間パターン層4の第2導電性パターンの相関関係を最適化することによって電磁波吸収層5を薄くし、2以上の周波数に対して整合することを特徴とする電磁波吸収体1である。
【0012】
従来のゴムフェライト系電磁波吸収層と導電性反射層からなる電磁波吸収体においては、電磁波吸収層を薄くすると前述のスネークの限界による制約を受け、通常4mm以下の厚さでは充分な電磁波吸収ができないという問題がある。ここでいう、入射電波に対して整合を制御するとは、電波入射側から見込む電磁波吸収体の入力アドミッタンスを、スミスチャートの中心部(整合領域)に移動させることである。たとえば、スミスチャート上では、電磁波吸収体を電波入射側から見込んだ入力アドミッタンスは、スミスチャート上の中心から程遠く、誘導性領域にあり非整合状態にある。
【0013】
2mm厚のフェライトゴムを用いた本発明の実施の一形態を示す後述の図1の電磁波吸収体1の全体構成において、外パターン層6の第1導電性パターンの形状寸法を増加させるか、あるいはその第1導電性パターンを構成するたとえば行列状に配置された複数の各形状の相互の隣接間隔を減少させれば、入力アドミッタンスのサセプタンス値が増加し、スミスチャート上の中心部、つまり整合領域に近づく傾向を示す。つまり電磁波吸収層5に外パターン層6を付与するだけでも、薄形化の効果は発現する。
【0014】
入力アドミッタンス値をさらに1に近づけ、充分な整合特性を得るには、コンダクタンスの調節が必要となる。このために、形状寸法を最適化した第2導電性パターンを有する中間パターン層4を電磁波吸収層5の背面に設ける手段で、コンダクタンス値を調節している。
【0015】
このように外パターン層6の第1導電性パターンで入力アドミッタンスのサセプタンス部を、また中間パターン層4の第2導電性パターンの寸法や形状を調整して、コンダクタンス部を制御する第1の重要な手段が、本発明の「外パターン層の第1導電性パターンおよび中間パターン層の第2導電性パターンの相関関係を最適化する」という記述の意味するところである。この結果、電磁波吸収性能を維持したまま、電磁波吸収層5のより薄層化が達成される。この調整のためには中間パターン層4は、絶縁層、たとえば接着層を介することにより、複数積層したものであってもよいし、電磁波吸収層5と中間パターン層4とから成る組合せ層を繰り返し単位として厚み方向に複数、重ねて存在してもよい。
【0016】
このとき、外パターン層6の第1導電性パターンの形状、寸法と中間パターン層4の第2導電性パターンの形状、寸法とは、必然的に相関性を有し、相互の組合せに関しては、何であってもよいというものではない。たとえば、図1〜図6の本発明の実施の形態のように外パターン層6として+字状の複数のパターン形状から成る第1導電性パターンを用い、中間パターン層4に正方形状の複数のパターン形状から成る第2導電性パターンを用い、第1および第2の各導電性パターンのパターン形状が異なっている場合、各パターン形状のそれぞれの外形寸法が同一となることが良好な整合特性を得るための必要条件である。第1および第2導電性パターンを構成するパターン形状の外形寸法が同一である、というのは、第1および第2導電性パターンのいずれか一方のパターン形状、たとえば+字状パターン形状を、厚み方向に投影した投影形状は、いずれか他方のパターン形状、たとえば正方形パターン形状の領域以内に存在することをいう。上述のように、本電磁波吸収体1の整合特性を制御する中心的な手段が本発明の意味するところである。
【0017】
電磁波吸収体1の電磁波入射側には、化粧版、防水コート層等のため表面材が表面誘電体層7として敷設されてもよい。当該表面材も、樹脂又は繊維等より成ってもよく、固有の複素誘電率を有しているため、図1の電波入射側の表面誘電体層7となる。このため本発明の電磁波吸収体では、構成要素2〜6を有する電磁波吸収体の吸収周波数の整合に加え、さらに電波入射側の表面誘電体層7の複素誘電率、あるいはその厚さの制御で、電磁波吸収体1の整合特性を低周波領域に変更させることができ、このことによって、より薄い電磁波吸収層5を用いた電磁波吸収特性を実現することができる。
【0018】
また本発明は、外パターン層6の電波入射側に、もう1つの表面誘電体層7を積層することを特徴とする。
【0019】
整合特性は、さらに電波入射側に表面誘電体層7が存在すれば、その複素誘電率およびその厚さ、外パターン層6、中間パターン層4のそれぞれの形状および位置関係の効果、誘電体層3の複素誘電率とその厚さ、各層2〜6間を接着する場合の接着剤層の複素誘電率とその厚さに加え、電磁波吸収層5の材料定数とその厚さによって変化する。これらが電磁波吸収体1の設計における第2の重要な手段としての制御要素であるが、これら材料定数、寸法のうち、一旦選択した各材料定数をできるだけ変更することなく、外パターン層6と中間パターン層4の第1および第2パターンの寸法形状の調節と各部の厚さ、つまり各構成寸法の調節だけで、薄層化および所望の整合特性を得ることが、本発明の大きな特徴である。
【0020】
各構成材料の材料定数をコンピュータ解析で定めたとしても、実際にこれらの材料定数を実現することは極めて困難である。このため上述のように外パターン層6と中間パターン層4の第1および第2導電性パターンの相互の寸法を主として制御して整合をとり、特性を実現するという第1の手段が、本発明の外パターン層6および中間パターン層4の相関関係を最適化するという意味である。したがって、外パターン層6、中間パターン層4の寸法を同時にパラメータにとって、マクスウェル方程式に基づいた電磁波解析により所望の整合周波数に対する整合特性の最適値を算出している。
【0021】
また、中間パターン層4と積層される誘電体層3の複素誘電率を大きくすること、あるいはそれらを厚くすることによって、低周波側への整合特性の制御を行い、電磁波吸収層5の薄型化および全体としての軽量化を促進している。
【0022】
外パターン層6と中間パターン層4は、相互で相乗的な効果を発現するものであるが、本電磁波吸収体の全構成材料および整合周波数によっては、中間パターン層4の第2導電性パターンが必ずしも必要でない場合が起こり得る。このため、用途およびコスト等に合わせて変動可能なパラメータである。本発明の実施のさらに他の形態では、中間パターン層4は、省略されてもよい。
【0023】
以上のように、本発明の電磁波吸収体1は、入射電磁波に対する入力アドミッタンスを中心手段である外パターン層6と中間パターン層4の相関関係を調整するという第1の手段で制御して、整合を取ることで、薄型、軽量の電磁波吸収体1を設計するものである。つまり、物理的には、所望の整合周波数域における低周波数域では、外パターン層6の第1導電性パターンが主として容量的(キャパシタンス)に振る舞い、高周波数域ではこの導電性パターンが主として誘導的(インダクタンス)に振る舞うことによって、共振周波数が変化し、双峰整合特性あるいは多峰特性が得られている。
【0024】
以上の原理に基づき、電磁波吸収体1の各制御要素を考慮した数値計算の結果、第1および第2パターンの形状を選択し、外パターン層6と中間パターン層4の相関関係を最適化することで、実験的にも2つの整合周波数を持つ電磁波吸収特性が得られ、本発明の優れた効果が本件発明者によって確認された。
【0025】
また本発明は、第1および第2導電性パターンは、
単一種類の幾何学模様のパターン形状から成り、
複数種類の幾何学模様のパターン形状の組合せから成り、または
単一種類もしくは複数種類の幾何学模様の各パターン形状を複数枚重ねることで形成されることを特徴とする。
【0026】
また本発明は、第1および第2導電性パターンは、複数のパターン形状が行列状にかつ相互に間隔をあけて、隣接して配置され、
第1導電性パターンのパターン形状と第2導電性パターンのパターン形状とは、相互に異なっており、
第1および第2導電性パターンのいずれか一方のパターン形状を、厚み方向に投影した投影形状は、いずれか他方のパターン形状の領域以内に存在することを特徴とする。
【0027】
本発明は、電磁波吸収層5をサンドイッチする外パターン層6および中間パターン層4は、×字状(図9)または+字状(図2、図3)または閉ループ状(図7、図8)、または面状(図4、図5)等の幾何学模様が、1種類または複数の形状を組合せ、あるいは複数枚重ねることで形成されることを特徴とする。これらの形状に限定される訳ではないが、外パターン層6の第1導電性パターンとして図2、図3の+字状が、中間パターン層4の第2導電性パターンとしては図4、図5の正方形などの4角形状が、より有効である。
【0028】
ここで中間パターン層4を複数層で構成してもよいことは、先に述べたとおりである。この場合、外パターン層6と複数の各中間パターン層4とが相俟って相乗的な効果を発現することになる。
【0029】
また本発明は、電磁波吸収層5は、カーボンまたはグラファイトと、フェライトと、合成樹脂またはゴムとを含むことを特徴とする。
【0030】
本発明の構成材料のうち、電磁波吸収層5に充填される誘電損失材料としては、たとえばファーネスブラックやチャンネルブラックなどのカーボンブラック、ステンレス鋼や銅やアルミニウム等の導電粒子、グラファイト、カーボン繊維、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム等を用いている。本発明で好ましく使用する誘電損失材料は、カーボンブラックであり、特に窒素吸着比表面積(ASTM(American Society for Testing and Materials) D3037‐93)が100〜1000m2/g、DBP吸油量(ASTM D2414‐96)が100〜400ml/100gであるカーボンブラックが好適である。
DBP吸油量というのは、可塑剤の一種であるDBP(dibutyl phthalateの略)の吸収量(単位cm3/100g)である。たとえば昭和キャボット社製の商品名IP1000およびライオン・アクゾ社製商品名ケッチェンブラックECなどを使用している。窒素吸着比表面積が100m2/g以下の場合は充分な複素誘電率が得られず、1000m2/g以上の場合は誘電損失材料の分散性が著しく悪くなる。DBP吸油量が100cm3/100g以下の場合は充分な複素誘電率が得られず、400cm3/100g以上の場合は加工性が著しく悪くなる。
【0031】
電磁波吸収層5に充填される磁性損失材料としては、たとえばフェライト、鉄合金、純鉄などの強磁性材料の粒子が挙げられる。本発明で好ましく用いるフェライトとしては、低コストで複素透磁率の高いソフトフェライト系材料であるMn−Znフェライト(比重=5)である。フェライトの寸法としては、0.1〜100μmの平均粒径のものが好適であり、より好ましくは1〜10μmである。平均粒径が0.1μm未満であるものは分散性に劣り、100μmを超すと加工性が悪くなる。
【0032】
本発明においては、上述の磁性損失材料を用いたが、これに限定されることはなく、他の種類および形状の磁性損失材料を用いることも、または併用することも可能である。
【0033】
本発明の電磁波吸収層5に複素透磁率を付与するために、磁性損失材料を用いることを条件としているが、磁性損失材料は重く、多量に配合すると電磁波吸収体の重量を著しく増加することになる。そこで本発明の実施の他の形態では、外パターン層6および中間パターン層4の第1および第2導電性パターンにより吸収に対する整合調整するという手段を用いることから、磁性損失材料の添加量を最小限とし、整合に必要な適宜の量の誘電損失材料を併用するという配合を用いてもよい。具体的には、本発明ではカーボンブラックとMn−Znフェライトの併用、そしてグラファイトとMn−Znフェライトの併用を用いている。
【0034】
電磁波吸収層5に使用されるポリマー材料(ビヒクル)としては、合成樹脂、ゴム、および熱可塑性エラストマーを使用している。たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、およびこれらの共重合体、ポリブタジエンおよびこれらの共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、などの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂やビチュメン等が挙げられる。
【0035】
前記ゴムとしては、たとえば天然ゴムのほか、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、塩素化ポリエチレンゴム、水素添加ニトリルゴム、シリコンゴムなどの各種合成ゴム単独、もしくはこれらのゴムを各種変性処理にて改質したものが使用できる。
【0036】
熱可塑性エラストマーとしては、たとえば塩素化ポリエチレン、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系などの各種熱可塑性エラストマーを用いることができる。
【0037】
これらのポリマーは単独で使用するほか、複数をブレンドして用いることができる。樹脂および熱可塑性エラストマー材料には、必要に応じて可塑剤、さらには、安定剤、補強用充填剤、流動性改良剤、難燃剤などを適宜添加した樹脂組成物として使用することができる。ゴム材料には、加硫剤のほか、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、着色剤、難燃剤などを配合することができる。
【0038】
電磁波吸収層5は、前記ポリマー以外の、石膏材、セメント材等から成ってもよく、充填材を配合することが可能な材料を適宜選択することもできる。
【0039】
磁性損失材料および誘電損失材料のポリマー材料への配合量は、パターン層を付与した構成で、所望の特定周波数帯域において高い吸収性能が得られるように決定すればよい。すなわち、磁性損失材料および誘電損失材料の配合量が適正量よりも少ない場合は、材料の複素誘電率および複素透磁率が実部、虚部共に低くなりすぎて、各パターン層6,4によっても、対象とする電磁波の周波数に整合できなくなり、逆に、磁性損失材料および誘電損失材料の配合量が適正量よりも多い場合は、材料の複素誘電率および複素透磁率が実部、虚部ともに高くなりすぎて、対象とする電磁波の周波数に整合できなくなる。これらの配合量を調節して、広帯域にわたり電磁波を吸収できる電磁波吸収体1を実現することによって、要求される高い厚み精度の問題を回避し、より容易に電磁波吸収体1を製造することができる。
【0040】
導電性反射層2は、金、白金、銀、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、亜鉛、鉛、タングステン、鉄などの金属であってもよく、樹脂に上記金属の粉末、導電性カーボンブラックの混入された樹脂混合物、あるいは導電性樹脂のフィルム等であってもよい。上記金属等が、板、シート、フィルム、不織布等に加工されたものであってもよい。あるいはまた合成樹脂性フィルム上に、膜厚たとえば600Åの金属層が形成された構成を有してもよい。また、導電インク(たとえば体積固有抵抗値10Ωcm以下0.5Ωcm以上)を基板上に塗布した構成であってもよい。
【0041】
上述の導電反射層2の構成材料を用いて、外パターン層6および中間パターン層4の第1および第2導電性パターンを形成することができる。第1および第2導電性パターンは、フィルム上にアルミニウムなどの蒸着、エッチング処理もしくはスクリーン印刷等の方法で形成されてもよい。しかしこれらに限定されることはなく、たとえば第1および第2導電性パターンの各模様のみを電磁波吸収層5もしくは誘電体層3に直接転写させ、基材となるフィルムを用いずに、利用することも可能である。
【0042】
本発明は、誘電体層3は、複素誘電率の実部が、1.05〜5.0の誘電性材料から成ることを特徴としている。この誘電体層3は、電波入射側である電磁波吸収層5のもつ複素誘電率よりも低い材料であることが望ましい。
【0043】
誘電体層3の材料として、たとえば発泡ゴム、発泡ウレタン、またはポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂シート(非発泡体)などであってもよい。また上述の材料に限定されることなく、そのほかの合成樹脂、ゴムなどの材料であってもよい。厚みについては、0.1〜10mmの範囲が好ましい。電磁波吸収体1全体の薄層化のために、より好ましいのは0.1〜4mmである。0.1mm未満では、誘電体層3を用いる効果が乏しく、10mm超の厚さでは、電磁波吸収体1の薄層化の意味がなくなってしまう。
【0044】
また本発明は、前述の電磁波吸収体1を用いることによる電磁波吸収方法である。
【0045】
また本発明は、電波入射側から、第1導電性パターンを有する外パターン層6と、電磁波吸収層5と、第2導電性パターンを有する中間パターン層4と、誘電体層3と、導電性反射層2の順序で積層し、
外パターン層6の第1導電性パターンおよび中間パターン層4の第2導電性パターンの相関関係を最適化することによって、2以上の整合周波数に対して電磁波吸収特性を得ることを特徴とする電磁波吸収体1の製造方法である。
【0046】
本発明の電磁波吸収体1の具体的な用途としては、オフィスなどの電磁波環境空間の形成する床材、壁材、天井材として、あるいは家具や事務機器の金属面の被覆材として、あるいは衝立等として、本発明に従う電磁波吸収体1を配置することにより、電磁波環境の改善を行う。具体的には、空間中に存在する電子機器の誤動作防止、無線LAN等の伝送遅延対策である。また電磁波環境については、オフィスだけではなく、家庭内、病院、コンサートホール、工場、研究施設、駅舎、展示場、道路側壁等の屋外施設等でも利用できる。それぞれ想定できる環境での壁、床、天井等において、必要とされる箇所ごとに利用できる。
【0047】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態の電磁波吸収体1の断面図である。この電磁波吸収体1は、図1の上方である電波入射側から、外パターン層6と、電磁波吸収層5と、中間パターン層4と、誘電体層3と、導電性反射層2とが、この順序で積層した構成される。外パターン層6は、第1導電性パターンを有する。中間パターン層4は、第2導電性パターンを有する。第1および第2導電性パターンの相間関係を最適化することによって、電磁波吸収層5を薄くし、2以上の周波数に対して整合することができる。外パターン層6の電波入射側(図1の上方)には、前述のようにさらに表面誘電体層7が形成されてもよい。
【0048】
本発明の実施の他の形態では、電磁波吸収体は、図1の実施の形態における導電性反射層2を含まず、このような導電性反射層2を含まない電磁波吸収体1が、誘電体層3の電波入射側(図1の上方)とは反対側(図1の下方)で、電磁波遮蔽性能を有する面上に設置されるように構成されてもよい。電磁波遮蔽性能を有する面は、たとえば導電性反射層2と同様な構成を有してもよく、たとえば金属板などによって実現されてもよい。
【0049】
図2は、図1に示される本発明の実施の一形態の電磁波吸収体1を構成する外パターン層6を示す斜視図である。図3は、図1および図2に示される実施の形態における外パターン層6の一部の拡大して示す斜視図である。この外パターン層6は、板状基材11の電波入射側の表面上に、第1導電性パターン12が形成される。第1導電性パターン12は、たとえばこの実施の形態では単一種類の幾何学模様の+字状のパターン形状が、直交座標系のx方向およびy方向に間隔c1,c2をあけて行列状に規則正しく配置されたパターンであってもよい。+字状のパターン形状13は、x方向に細長く延びる長方形の形状部分14と、y方向に細長く延びる長方形の形状部分15とが、それらの各形状部分14,15の図心を重ねて、交差部分16で直角に交差して形成される。各形状部分14,15は、交差部分16において垂直な軸線まわりに90度ずれており、同一形状を有する。各形状部分14,15は、後述のようにたとえば幅a2=b1=2.5mm、長さa1=b2=17mm、パターン形状13のx方向およびy方向の相互の間隔c1=c2=1mmであってもよい。
【0050】
図4は、図1〜図3に示される実施の形態における電磁波吸収体1を構成する中間パターン層4の正面図である。図5は、図4に示される中間パターン層4の一部を拡大して示す斜視図である。中間パターン層4は、板状基材17の電波入射側の表面に第2導電性パターン18が形成されて、構成される。第2導電性パターン18は、単一種類の幾何学模様のパターン形状19が、x方向およびy方向に間隔c3,c4をあけて行列状に規則正しく配置されて構成される。各形状19のx方向の長さa3とy方向の長さb3とは等しく、たとえばa3=b3=17mmであり、x方向およびy方向に隣接する各形状19の相互の間隔c3=c4=1mmであってもよい。特にこの実施の形態では、前述の第1パターン12のパターン形状13のx方向の最大長さa1は、第2導電性パターン18のx方向の最大長さa3と等しく(a1=a3)、第1導電性パターン12のy方向の最大長さb2と第2導電性パターン18のy方向の最大長さb3とは等しい(b2=b3)。
【0051】
図6は、図1〜図5に示される電磁波吸収体1における図3の外パターン層6と図5の中間パターン層4が重ねられた構成を簡略化して示す正面図である。第1導電性パターン12と第2導電性パターン18のうち、厚み方向(図6の紙面に垂直方向)に投影した第1導電性パターン12の+字状のパターン形状13は、第2導電性パターン18のパターン形状19の領域以内に存在する。
【0052】
本発明の実施の他の形態では、外パターン層6は、図4および図5に示される構成を有し、中間パターン層4は図2および図3に示される構成を有してもよい。
【0053】
図7は本発明の実施の他の形態の中間パターン層4aの正面図であり、図8は図7に示される実施の形態における中間パターン層4aの一部を拡大して示す斜視図である。図7および図8に示される実施の形態は、前述の実施の形態に類似する。板状基材21の電波入射側の表面には、第2導電性パターン22を構成する複数の各パターン形状23がx方向およびy方向に行列状に規則正しく配置されて構成される。第2導電性パターン22の各パターン形状23は、閉ループ状であり、x方向に延びる図8の上下に一対の形状部分24と、y方向に延びる図8の左右に一対の形状部分25とを、有する。各形状部分24,25は長方形であって、4角形の各辺を構成する。形状部分24のx方向の長さa5と、形状部分25のy方向の長さb6とは等しく、たとえばa5=b6=17mmであり、形状部分24のy方向の幅b5と形状部分25のx方向の幅a6とは等しく、たとえばb5=a6=3mmであってもよい。各パターン形状23のx方向に隣接する間隔c5およびy方向に隣接する間隔c6は、たとえばc5=c6=1mmであってもよい。
【0054】
図7および図8に示される中間パターン層4aは、前述の図2〜図6に示される各導電性パターン12,18を有する外パターン層と組合されて、前述の実施の形態と同様に電磁波吸収体を構成してもよい。たとえば図7および図8に示される中間パターン層4aと図2および図3に示される外パターン層6とが組合される電磁波吸収体では、外パターン層6のパターン形状13の厚み方向に投影した投影形状は、図8のパターン形状23の領域以内に存在するように、パターン形状13のx方向の最大長さa1と形状23のx方向の最大長さa5とが等しく(a1=a5)、またy方向の最大長さb2,b6が等しくなるように(b2=b6)、形状寸法が選ばれる。
【0055】
本発明の実施の他の形態では、図7および図8に示される中間パターン層4aを、外パターン層6として用いるようにしてもよい。
【0056】
図9は、本発明の実施の他の形態の外パターン層6aを示す正面図である。板状基材27の電波入射側の表面に第1導電性パターン28が形成される。この図9に示される実施の形態は、前述の実施の各形態に類似するが、特に図9の実施の形態では、第1導電性パターン28はx方向およびy方向に行列状に規則正しく配置されたパターン形状29は、×字状である。このパターン形状29は、前述の実施の形態における図3の外パターン層6を、その図3の紙面に垂直な軸線まわりに45度角変位した構成を有する。そのほかの構成は、前述の実施の形態と同様である。このような図9に示される外パターン層6aが、たとえば図4、図5;図7、図8に示される中間パターン層4,4aと組合されて電磁波吸収体が構成されてもよい。
【0057】
以下に本件発明者の実験結果を述べる。
実施例1
図1〜図6に示される電磁波吸収体1において、導電性反射層2はアルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである。誘電体層3は、PET樹脂を使用し、その複素誘電率(実部)=3.1、厚みは3mmである。電磁波吸収層5は、クロロプレンゴム100重量部と、誘電損失材料としてケッチェンブラックEC(ライオン・アクゾ製商品名)8重量部、磁性損失材料としてフェライト(戸田工業製商品名KNS−415)粉末100重量部とを混練し、シート状(2mm厚)に加硫成型して用いる。
【0058】
この時点で、加硫ゴムシートの複素誘電率および複素透磁率を同軸管法(Sパラメータ法)により測定した。その結果と電磁波吸収体1の積層条件を考慮し、マクスウェル方程式に基づいた電磁波解析により整合をとるための最適値条件を求めた。この計算結果に基づいて外パターン層6および中間パターン層4のパターン形状13,19を決定し、それらのパターン層6,4を作成した。
【0059】
外パターン層6は、膜厚12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材11上に厚み600Åのアルミニウムで構成され、第1パターンである外パターン12としては各導線部の長さが等しい十字状で、サイズは幅b1=a2=2.5mm、長さa1=b2=17mm、間隔c1=c2=1mmである。また、中間パターン層4は、正方形の第2パターンである中間パターン18で構成され、サイズは一辺a3=b3=17mm、各パターンの間隔c3=c4=1mmとしている。積層の際、外パターン12と中間パターン13の外形寸法が図6のように一致するように、パターン12,18の各パターン形状13,19の軸線、すなわち図心を一致させている。
【0060】
さらに外パターン層6、電磁波吸収層5、中間パターン層4、誘電体層3(PET)、導電性反射層2の順に積層して電磁波吸収体1を、図1のように構成した。電磁波吸収体1の総厚みは約5mmである。
【0061】
図12にフリースペース法による電磁波吸収特性を示す。この結果より、理論解析で計測したように、電磁波吸収層5の薄層化が達成でき、しかも十分な吸収量が得られていることが判る。また比較例1との比較より、中間パターン層4を用いて、かつ外パターン12と中間パターン13の位置の相関関係を制御することで、2つの吸収周波数が出現し、さらに吸収周波数を制御することができる。さらに比較例2との比較から、中間パターン層4を用いることで、2つの吸収周波数が出現していることが判る。
【0062】
【表1】
【0063】
比較例1
実施例1における外パターン12と中間パターン18の位置関係を図10に示すようにx,y方向にそれぞれずらして比較例1を構成し、外パターン12および中間パターン18の位置関係の影響を測定した。フリースペース法での測定結果を図12に示す。高周波数側の吸収ピークが消失した。
【0064】
比較例2
電磁波吸収体1aは、図11の構成として、外パターン層6の第1パターン12として図7および図8と同様な閉ループ構造を用いた。その閉ループ(正方形)のサイズは、外周部の一辺a5=b6=10mm、閉ループの導体部である形状部分24,25の線幅b5=a6=1mm、各ループの間隔c5=c6=12mmである。さらに電磁波吸収層5の厚みを3mm、誘電体層3として発泡ポリエチレンの厚み1.5mmを用い、中間パターン層4を用いないことを以外は、実施例1と同じである。フリースペース法での測定結果を図13に示す。単一ピークのみが観測された。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、外パターン層6のほかに中間パターン層4を設け、磁性損失材料を含んでもよい電磁波吸収層5と、誘電体層3と、導電性反射層2を設け、かつこれらのパターン形状の相関関係を最適化することによって、各構成材料の定数を厳密に制御しなくても電磁波吸収をする周波数の選択制御を制御することができ、構成手数を簡単化できるという大きな効果がある。その結果として2以上の吸収周波数を有する電磁波吸収体1を提供することができる。
【0066】
本件電磁波吸収体1は、既存の電磁波吸収体よりも薄く、かつ軽くなっているため、その構成上、室内建材と組み合わせることができるという効果がある。たとえば表面層の表面誘電体層7を、ビニールクロスや合板材などの木材に置き換えることも可能であり、これによって容易に室内壁面材や床材など電磁波吸収可能な機能的な建材を構成でき、かつ複数の周波数に対して選択的な電磁波吸収性を付与できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の電磁波吸収体1の断面図である。
【図2】図1に示される本発明の実施の一形態の電磁波吸収体1を構成する外パターン層6を示す斜視図である。
【図3】図1および図2に示される実施の形態における外パターン層6の一部の拡大した斜視図である。
【図4】図1〜図3に示される実施の形態における電磁波吸収体1を構成する中間パターン層4の正面図である。
【図5】図4に示される中間パターン層4の一部を拡大して示す斜視図である。
【図6】図1〜図5に示される電磁波吸収体1における図3の外パターン層6と図5の中間パターン層4が重ねられた構成を簡略化して示す正面図である。
【図7】本発明の実施の他の形態の中間パターン層4aの正面図である。
【図8】図7に示される実施の形態における中間パターン層4aの一部を拡大して示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の他の形態の外パターン層6aを示す正面図である。
【図10】本件発明者の実験による実施例1の構成を示す図6に対応する図である。
【図11】本件発明者の実験による比較例2を示す断面図である。
【図12】本件発明者の実験による実施例1および比較例1の電磁波吸収の周波数特性を示す図である。
【図13】本件発明者の実験による比較例2の電磁波吸収の周波数特性を示す図である。
【符号の説明】
1,1a 電磁波吸収体
2 導電性反射層
3 誘電体層
4,4a 中間パターン層
5 電磁波吸収層
6,6a 外パターン層
7 表面誘電体層
11,17 基材
12 第1導電性パターン
13 パターン形状
14,15 形状部分
18 第2導電性パターン
19 パターン形状
23 パターン形状
24,25 形状部分
27 基材
28 第1導電性パターン
29 パターン形状
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえばオフィスなどの空間の電磁波環境を改善する電磁波吸収体に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、コンピューターネットワークのLAN(Local Area Network)構築においてマイクロ波を利用した無線LANなどが利用され、よりフレキシブルでモバイル性の高い通信システムが発達している。また、WPAN(Wireless Personal Area Network)の代表とされるBluetoothと呼ばれる近距離無線技術が有線ケーブルの代替品として利用されている。これらの技術を相互に多数使用する環境では、同じ帯域の電波を使用する結果生じる電磁波干渉の問題、および反射波などによる伝送の誤りの問題(マルチパスの問題)が生じる。具体的には、上記の無線技術を搭載した機器間の伝送速度の低下、BER(Bit Error Rate)の劣化であり、最悪の事態では、機器の誤動作が生じるおそれがある。
【0003】
これらの問題を解決するために、従来から、電磁波吸収材料としてフェライトに代表される磁性損失材料やカーボンブラックに代表される誘電損失材料等が用いられてきた。これらの電磁波吸収材料を供するために所定の複素誘電率、複素透磁率を有している電磁波吸収体が開発されている。この先行技術では、たとえば無線LAN等の2.45GHz帯において、フェライトを構成材料として電磁波吸収体を実現する場合、スネークの限界による制約を受け、通常4mm以下の薄さに電磁波吸収材料の厚みを薄くできないという問題がある。
【0004】
他の先行技術として、特許文献1および特許文献2には、パターン層を含む多層型電磁波吸収体、特許文献3および特許文献4には、導電性ループ構造によるパターン層を有する電磁波吸収体が開示されている。さらに、特許文献5には複数の共振型周波数選択性電磁波遮断性面状体に関する記載がある。
【0005】
特許文献1,2では、吸収周波数域としては、広帯域を示すものもあるが、基本的に単一周波数であって、技術的には1つのパターン層で、2つ以上の吸収周波数を各別に制御するものではない。この場合、吸収周波数を特定選択し、ある周波数域は使用せずに透過させるといった特定周波数の選択吸収性を付与することはできないことになる。さらにパターン層の作用効果は、波動干渉または波動エネルギの打ち消し合いによる薄型化および軽量化を実現するとしており、後述する本発明の原理とは根本的に異なっている。
【0006】
特許文献3,4では、これらの吸収する周波数帯域は、単一周波数である。したがって、無線LANのように複数の周波数帯域を持つ環境下では(たとえば、2.45GHzと5.2GHz)、一方の周波数においては吸収効果を発揮できない。
【0007】
特許文献5では、異なる周波数の複数の電磁波を同時に遮断するとしたものである。ここではパターンのみでインダクタおよび容量を調整したものであり、これ以外にはスペーサ(誘電体)の厚さによる調整機構がある。構成として、1つの共振周波数選択性電磁波遮断性面状体が1つの共振周波数を有する結果、対象共振周波数の数に対応して、その面状体数が増加することになる。つまり1つのパターン層で複数の吸収周波数を制御するものではない。さらにここで用いる電磁波吸収体には、磁性成分が用いられていないので、パターンによる整合が取りにくく、薄型化の効果が充分発現しないといえる。また吸収範囲も狭くなり、狭帯域の電磁波吸収体になる。さらにスペーサ間隔に依存するため、電磁波の入射角度によりスペーサの厚さが変わってしまうと、斜入射特性に劣ることになる。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−244583
【特許文献2】
特開平6−252582
【特許文献3】
特開平9−148782
【特許文献4】
特開平10−224075
【特許文献5】
特開平11−204984
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、2以上の周波数の電磁波吸収特性を付与し、斜入射特性にも優れた薄型化を実現することができる電磁波吸収体、電磁波吸収方法および電磁波吸収体の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電波入射側から、第1導電性パターンを有する外パターン層6と、電磁波吸収層5と、第2導電性パターンを有する中間パターン層4と、誘電体層3と、導電性反射層2とが、この順序で積層して構成され、
外パターン層6の第1導電性パターンおよび中間パターン層4の第2導電性パターンの相関関係を最適化することによって電磁波吸収層5を薄くし、2以上の周波数に対して整合することを特徴とする電磁波吸収体1である。
【0011】
また本発明は、電波入射側から、第1導電性パターンを有する外パターン層6と、電磁波吸収層5と、第2導電性パターンを有する中間パターン層4と、誘電体層3の順序で積層して構成される電磁波吸収体1であって、
この電磁波吸収体1は、誘電体層3の電波入射側とは反対側で、電磁波遮蔽性能を有する面上に設置され、
外パターン層6の第1導電性パターンおよび中間パターン層4の第2導電性パターンの相関関係を最適化することによって電磁波吸収層5を薄くし、2以上の周波数に対して整合することを特徴とする電磁波吸収体1である。
【0012】
従来のゴムフェライト系電磁波吸収層と導電性反射層からなる電磁波吸収体においては、電磁波吸収層を薄くすると前述のスネークの限界による制約を受け、通常4mm以下の厚さでは充分な電磁波吸収ができないという問題がある。ここでいう、入射電波に対して整合を制御するとは、電波入射側から見込む電磁波吸収体の入力アドミッタンスを、スミスチャートの中心部(整合領域)に移動させることである。たとえば、スミスチャート上では、電磁波吸収体を電波入射側から見込んだ入力アドミッタンスは、スミスチャート上の中心から程遠く、誘導性領域にあり非整合状態にある。
【0013】
2mm厚のフェライトゴムを用いた本発明の実施の一形態を示す後述の図1の電磁波吸収体1の全体構成において、外パターン層6の第1導電性パターンの形状寸法を増加させるか、あるいはその第1導電性パターンを構成するたとえば行列状に配置された複数の各形状の相互の隣接間隔を減少させれば、入力アドミッタンスのサセプタンス値が増加し、スミスチャート上の中心部、つまり整合領域に近づく傾向を示す。つまり電磁波吸収層5に外パターン層6を付与するだけでも、薄形化の効果は発現する。
【0014】
入力アドミッタンス値をさらに1に近づけ、充分な整合特性を得るには、コンダクタンスの調節が必要となる。このために、形状寸法を最適化した第2導電性パターンを有する中間パターン層4を電磁波吸収層5の背面に設ける手段で、コンダクタンス値を調節している。
【0015】
このように外パターン層6の第1導電性パターンで入力アドミッタンスのサセプタンス部を、また中間パターン層4の第2導電性パターンの寸法や形状を調整して、コンダクタンス部を制御する第1の重要な手段が、本発明の「外パターン層の第1導電性パターンおよび中間パターン層の第2導電性パターンの相関関係を最適化する」という記述の意味するところである。この結果、電磁波吸収性能を維持したまま、電磁波吸収層5のより薄層化が達成される。この調整のためには中間パターン層4は、絶縁層、たとえば接着層を介することにより、複数積層したものであってもよいし、電磁波吸収層5と中間パターン層4とから成る組合せ層を繰り返し単位として厚み方向に複数、重ねて存在してもよい。
【0016】
このとき、外パターン層6の第1導電性パターンの形状、寸法と中間パターン層4の第2導電性パターンの形状、寸法とは、必然的に相関性を有し、相互の組合せに関しては、何であってもよいというものではない。たとえば、図1〜図6の本発明の実施の形態のように外パターン層6として+字状の複数のパターン形状から成る第1導電性パターンを用い、中間パターン層4に正方形状の複数のパターン形状から成る第2導電性パターンを用い、第1および第2の各導電性パターンのパターン形状が異なっている場合、各パターン形状のそれぞれの外形寸法が同一となることが良好な整合特性を得るための必要条件である。第1および第2導電性パターンを構成するパターン形状の外形寸法が同一である、というのは、第1および第2導電性パターンのいずれか一方のパターン形状、たとえば+字状パターン形状を、厚み方向に投影した投影形状は、いずれか他方のパターン形状、たとえば正方形パターン形状の領域以内に存在することをいう。上述のように、本電磁波吸収体1の整合特性を制御する中心的な手段が本発明の意味するところである。
【0017】
電磁波吸収体1の電磁波入射側には、化粧版、防水コート層等のため表面材が表面誘電体層7として敷設されてもよい。当該表面材も、樹脂又は繊維等より成ってもよく、固有の複素誘電率を有しているため、図1の電波入射側の表面誘電体層7となる。このため本発明の電磁波吸収体では、構成要素2〜6を有する電磁波吸収体の吸収周波数の整合に加え、さらに電波入射側の表面誘電体層7の複素誘電率、あるいはその厚さの制御で、電磁波吸収体1の整合特性を低周波領域に変更させることができ、このことによって、より薄い電磁波吸収層5を用いた電磁波吸収特性を実現することができる。
【0018】
また本発明は、外パターン層6の電波入射側に、もう1つの表面誘電体層7を積層することを特徴とする。
【0019】
整合特性は、さらに電波入射側に表面誘電体層7が存在すれば、その複素誘電率およびその厚さ、外パターン層6、中間パターン層4のそれぞれの形状および位置関係の効果、誘電体層3の複素誘電率とその厚さ、各層2〜6間を接着する場合の接着剤層の複素誘電率とその厚さに加え、電磁波吸収層5の材料定数とその厚さによって変化する。これらが電磁波吸収体1の設計における第2の重要な手段としての制御要素であるが、これら材料定数、寸法のうち、一旦選択した各材料定数をできるだけ変更することなく、外パターン層6と中間パターン層4の第1および第2パターンの寸法形状の調節と各部の厚さ、つまり各構成寸法の調節だけで、薄層化および所望の整合特性を得ることが、本発明の大きな特徴である。
【0020】
各構成材料の材料定数をコンピュータ解析で定めたとしても、実際にこれらの材料定数を実現することは極めて困難である。このため上述のように外パターン層6と中間パターン層4の第1および第2導電性パターンの相互の寸法を主として制御して整合をとり、特性を実現するという第1の手段が、本発明の外パターン層6および中間パターン層4の相関関係を最適化するという意味である。したがって、外パターン層6、中間パターン層4の寸法を同時にパラメータにとって、マクスウェル方程式に基づいた電磁波解析により所望の整合周波数に対する整合特性の最適値を算出している。
【0021】
また、中間パターン層4と積層される誘電体層3の複素誘電率を大きくすること、あるいはそれらを厚くすることによって、低周波側への整合特性の制御を行い、電磁波吸収層5の薄型化および全体としての軽量化を促進している。
【0022】
外パターン層6と中間パターン層4は、相互で相乗的な効果を発現するものであるが、本電磁波吸収体の全構成材料および整合周波数によっては、中間パターン層4の第2導電性パターンが必ずしも必要でない場合が起こり得る。このため、用途およびコスト等に合わせて変動可能なパラメータである。本発明の実施のさらに他の形態では、中間パターン層4は、省略されてもよい。
【0023】
以上のように、本発明の電磁波吸収体1は、入射電磁波に対する入力アドミッタンスを中心手段である外パターン層6と中間パターン層4の相関関係を調整するという第1の手段で制御して、整合を取ることで、薄型、軽量の電磁波吸収体1を設計するものである。つまり、物理的には、所望の整合周波数域における低周波数域では、外パターン層6の第1導電性パターンが主として容量的(キャパシタンス)に振る舞い、高周波数域ではこの導電性パターンが主として誘導的(インダクタンス)に振る舞うことによって、共振周波数が変化し、双峰整合特性あるいは多峰特性が得られている。
【0024】
以上の原理に基づき、電磁波吸収体1の各制御要素を考慮した数値計算の結果、第1および第2パターンの形状を選択し、外パターン層6と中間パターン層4の相関関係を最適化することで、実験的にも2つの整合周波数を持つ電磁波吸収特性が得られ、本発明の優れた効果が本件発明者によって確認された。
【0025】
また本発明は、第1および第2導電性パターンは、
単一種類の幾何学模様のパターン形状から成り、
複数種類の幾何学模様のパターン形状の組合せから成り、または
単一種類もしくは複数種類の幾何学模様の各パターン形状を複数枚重ねることで形成されることを特徴とする。
【0026】
また本発明は、第1および第2導電性パターンは、複数のパターン形状が行列状にかつ相互に間隔をあけて、隣接して配置され、
第1導電性パターンのパターン形状と第2導電性パターンのパターン形状とは、相互に異なっており、
第1および第2導電性パターンのいずれか一方のパターン形状を、厚み方向に投影した投影形状は、いずれか他方のパターン形状の領域以内に存在することを特徴とする。
【0027】
本発明は、電磁波吸収層5をサンドイッチする外パターン層6および中間パターン層4は、×字状(図9)または+字状(図2、図3)または閉ループ状(図7、図8)、または面状(図4、図5)等の幾何学模様が、1種類または複数の形状を組合せ、あるいは複数枚重ねることで形成されることを特徴とする。これらの形状に限定される訳ではないが、外パターン層6の第1導電性パターンとして図2、図3の+字状が、中間パターン層4の第2導電性パターンとしては図4、図5の正方形などの4角形状が、より有効である。
【0028】
ここで中間パターン層4を複数層で構成してもよいことは、先に述べたとおりである。この場合、外パターン層6と複数の各中間パターン層4とが相俟って相乗的な効果を発現することになる。
【0029】
また本発明は、電磁波吸収層5は、カーボンまたはグラファイトと、フェライトと、合成樹脂またはゴムとを含むことを特徴とする。
【0030】
本発明の構成材料のうち、電磁波吸収層5に充填される誘電損失材料としては、たとえばファーネスブラックやチャンネルブラックなどのカーボンブラック、ステンレス鋼や銅やアルミニウム等の導電粒子、グラファイト、カーボン繊維、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム等を用いている。本発明で好ましく使用する誘電損失材料は、カーボンブラックであり、特に窒素吸着比表面積(ASTM(American Society for Testing and Materials) D3037‐93)が100〜1000m2/g、DBP吸油量(ASTM D2414‐96)が100〜400ml/100gであるカーボンブラックが好適である。
DBP吸油量というのは、可塑剤の一種であるDBP(dibutyl phthalateの略)の吸収量(単位cm3/100g)である。たとえば昭和キャボット社製の商品名IP1000およびライオン・アクゾ社製商品名ケッチェンブラックECなどを使用している。窒素吸着比表面積が100m2/g以下の場合は充分な複素誘電率が得られず、1000m2/g以上の場合は誘電損失材料の分散性が著しく悪くなる。DBP吸油量が100cm3/100g以下の場合は充分な複素誘電率が得られず、400cm3/100g以上の場合は加工性が著しく悪くなる。
【0031】
電磁波吸収層5に充填される磁性損失材料としては、たとえばフェライト、鉄合金、純鉄などの強磁性材料の粒子が挙げられる。本発明で好ましく用いるフェライトとしては、低コストで複素透磁率の高いソフトフェライト系材料であるMn−Znフェライト(比重=5)である。フェライトの寸法としては、0.1〜100μmの平均粒径のものが好適であり、より好ましくは1〜10μmである。平均粒径が0.1μm未満であるものは分散性に劣り、100μmを超すと加工性が悪くなる。
【0032】
本発明においては、上述の磁性損失材料を用いたが、これに限定されることはなく、他の種類および形状の磁性損失材料を用いることも、または併用することも可能である。
【0033】
本発明の電磁波吸収層5に複素透磁率を付与するために、磁性損失材料を用いることを条件としているが、磁性損失材料は重く、多量に配合すると電磁波吸収体の重量を著しく増加することになる。そこで本発明の実施の他の形態では、外パターン層6および中間パターン層4の第1および第2導電性パターンにより吸収に対する整合調整するという手段を用いることから、磁性損失材料の添加量を最小限とし、整合に必要な適宜の量の誘電損失材料を併用するという配合を用いてもよい。具体的には、本発明ではカーボンブラックとMn−Znフェライトの併用、そしてグラファイトとMn−Znフェライトの併用を用いている。
【0034】
電磁波吸収層5に使用されるポリマー材料(ビヒクル)としては、合成樹脂、ゴム、および熱可塑性エラストマーを使用している。たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、およびこれらの共重合体、ポリブタジエンおよびこれらの共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、などの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂やビチュメン等が挙げられる。
【0035】
前記ゴムとしては、たとえば天然ゴムのほか、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、塩素化ポリエチレンゴム、水素添加ニトリルゴム、シリコンゴムなどの各種合成ゴム単独、もしくはこれらのゴムを各種変性処理にて改質したものが使用できる。
【0036】
熱可塑性エラストマーとしては、たとえば塩素化ポリエチレン、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系などの各種熱可塑性エラストマーを用いることができる。
【0037】
これらのポリマーは単独で使用するほか、複数をブレンドして用いることができる。樹脂および熱可塑性エラストマー材料には、必要に応じて可塑剤、さらには、安定剤、補強用充填剤、流動性改良剤、難燃剤などを適宜添加した樹脂組成物として使用することができる。ゴム材料には、加硫剤のほか、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、着色剤、難燃剤などを配合することができる。
【0038】
電磁波吸収層5は、前記ポリマー以外の、石膏材、セメント材等から成ってもよく、充填材を配合することが可能な材料を適宜選択することもできる。
【0039】
磁性損失材料および誘電損失材料のポリマー材料への配合量は、パターン層を付与した構成で、所望の特定周波数帯域において高い吸収性能が得られるように決定すればよい。すなわち、磁性損失材料および誘電損失材料の配合量が適正量よりも少ない場合は、材料の複素誘電率および複素透磁率が実部、虚部共に低くなりすぎて、各パターン層6,4によっても、対象とする電磁波の周波数に整合できなくなり、逆に、磁性損失材料および誘電損失材料の配合量が適正量よりも多い場合は、材料の複素誘電率および複素透磁率が実部、虚部ともに高くなりすぎて、対象とする電磁波の周波数に整合できなくなる。これらの配合量を調節して、広帯域にわたり電磁波を吸収できる電磁波吸収体1を実現することによって、要求される高い厚み精度の問題を回避し、より容易に電磁波吸収体1を製造することができる。
【0040】
導電性反射層2は、金、白金、銀、ニッケル、クロム、アルミニウム、銅、亜鉛、鉛、タングステン、鉄などの金属であってもよく、樹脂に上記金属の粉末、導電性カーボンブラックの混入された樹脂混合物、あるいは導電性樹脂のフィルム等であってもよい。上記金属等が、板、シート、フィルム、不織布等に加工されたものであってもよい。あるいはまた合成樹脂性フィルム上に、膜厚たとえば600Åの金属層が形成された構成を有してもよい。また、導電インク(たとえば体積固有抵抗値10Ωcm以下0.5Ωcm以上)を基板上に塗布した構成であってもよい。
【0041】
上述の導電反射層2の構成材料を用いて、外パターン層6および中間パターン層4の第1および第2導電性パターンを形成することができる。第1および第2導電性パターンは、フィルム上にアルミニウムなどの蒸着、エッチング処理もしくはスクリーン印刷等の方法で形成されてもよい。しかしこれらに限定されることはなく、たとえば第1および第2導電性パターンの各模様のみを電磁波吸収層5もしくは誘電体層3に直接転写させ、基材となるフィルムを用いずに、利用することも可能である。
【0042】
本発明は、誘電体層3は、複素誘電率の実部が、1.05〜5.0の誘電性材料から成ることを特徴としている。この誘電体層3は、電波入射側である電磁波吸収層5のもつ複素誘電率よりも低い材料であることが望ましい。
【0043】
誘電体層3の材料として、たとえば発泡ゴム、発泡ウレタン、またはポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂シート(非発泡体)などであってもよい。また上述の材料に限定されることなく、そのほかの合成樹脂、ゴムなどの材料であってもよい。厚みについては、0.1〜10mmの範囲が好ましい。電磁波吸収体1全体の薄層化のために、より好ましいのは0.1〜4mmである。0.1mm未満では、誘電体層3を用いる効果が乏しく、10mm超の厚さでは、電磁波吸収体1の薄層化の意味がなくなってしまう。
【0044】
また本発明は、前述の電磁波吸収体1を用いることによる電磁波吸収方法である。
【0045】
また本発明は、電波入射側から、第1導電性パターンを有する外パターン層6と、電磁波吸収層5と、第2導電性パターンを有する中間パターン層4と、誘電体層3と、導電性反射層2の順序で積層し、
外パターン層6の第1導電性パターンおよび中間パターン層4の第2導電性パターンの相関関係を最適化することによって、2以上の整合周波数に対して電磁波吸収特性を得ることを特徴とする電磁波吸収体1の製造方法である。
【0046】
本発明の電磁波吸収体1の具体的な用途としては、オフィスなどの電磁波環境空間の形成する床材、壁材、天井材として、あるいは家具や事務機器の金属面の被覆材として、あるいは衝立等として、本発明に従う電磁波吸収体1を配置することにより、電磁波環境の改善を行う。具体的には、空間中に存在する電子機器の誤動作防止、無線LAN等の伝送遅延対策である。また電磁波環境については、オフィスだけではなく、家庭内、病院、コンサートホール、工場、研究施設、駅舎、展示場、道路側壁等の屋外施設等でも利用できる。それぞれ想定できる環境での壁、床、天井等において、必要とされる箇所ごとに利用できる。
【0047】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態の電磁波吸収体1の断面図である。この電磁波吸収体1は、図1の上方である電波入射側から、外パターン層6と、電磁波吸収層5と、中間パターン層4と、誘電体層3と、導電性反射層2とが、この順序で積層した構成される。外パターン層6は、第1導電性パターンを有する。中間パターン層4は、第2導電性パターンを有する。第1および第2導電性パターンの相間関係を最適化することによって、電磁波吸収層5を薄くし、2以上の周波数に対して整合することができる。外パターン層6の電波入射側(図1の上方)には、前述のようにさらに表面誘電体層7が形成されてもよい。
【0048】
本発明の実施の他の形態では、電磁波吸収体は、図1の実施の形態における導電性反射層2を含まず、このような導電性反射層2を含まない電磁波吸収体1が、誘電体層3の電波入射側(図1の上方)とは反対側(図1の下方)で、電磁波遮蔽性能を有する面上に設置されるように構成されてもよい。電磁波遮蔽性能を有する面は、たとえば導電性反射層2と同様な構成を有してもよく、たとえば金属板などによって実現されてもよい。
【0049】
図2は、図1に示される本発明の実施の一形態の電磁波吸収体1を構成する外パターン層6を示す斜視図である。図3は、図1および図2に示される実施の形態における外パターン層6の一部の拡大して示す斜視図である。この外パターン層6は、板状基材11の電波入射側の表面上に、第1導電性パターン12が形成される。第1導電性パターン12は、たとえばこの実施の形態では単一種類の幾何学模様の+字状のパターン形状が、直交座標系のx方向およびy方向に間隔c1,c2をあけて行列状に規則正しく配置されたパターンであってもよい。+字状のパターン形状13は、x方向に細長く延びる長方形の形状部分14と、y方向に細長く延びる長方形の形状部分15とが、それらの各形状部分14,15の図心を重ねて、交差部分16で直角に交差して形成される。各形状部分14,15は、交差部分16において垂直な軸線まわりに90度ずれており、同一形状を有する。各形状部分14,15は、後述のようにたとえば幅a2=b1=2.5mm、長さa1=b2=17mm、パターン形状13のx方向およびy方向の相互の間隔c1=c2=1mmであってもよい。
【0050】
図4は、図1〜図3に示される実施の形態における電磁波吸収体1を構成する中間パターン層4の正面図である。図5は、図4に示される中間パターン層4の一部を拡大して示す斜視図である。中間パターン層4は、板状基材17の電波入射側の表面に第2導電性パターン18が形成されて、構成される。第2導電性パターン18は、単一種類の幾何学模様のパターン形状19が、x方向およびy方向に間隔c3,c4をあけて行列状に規則正しく配置されて構成される。各形状19のx方向の長さa3とy方向の長さb3とは等しく、たとえばa3=b3=17mmであり、x方向およびy方向に隣接する各形状19の相互の間隔c3=c4=1mmであってもよい。特にこの実施の形態では、前述の第1パターン12のパターン形状13のx方向の最大長さa1は、第2導電性パターン18のx方向の最大長さa3と等しく(a1=a3)、第1導電性パターン12のy方向の最大長さb2と第2導電性パターン18のy方向の最大長さb3とは等しい(b2=b3)。
【0051】
図6は、図1〜図5に示される電磁波吸収体1における図3の外パターン層6と図5の中間パターン層4が重ねられた構成を簡略化して示す正面図である。第1導電性パターン12と第2導電性パターン18のうち、厚み方向(図6の紙面に垂直方向)に投影した第1導電性パターン12の+字状のパターン形状13は、第2導電性パターン18のパターン形状19の領域以内に存在する。
【0052】
本発明の実施の他の形態では、外パターン層6は、図4および図5に示される構成を有し、中間パターン層4は図2および図3に示される構成を有してもよい。
【0053】
図7は本発明の実施の他の形態の中間パターン層4aの正面図であり、図8は図7に示される実施の形態における中間パターン層4aの一部を拡大して示す斜視図である。図7および図8に示される実施の形態は、前述の実施の形態に類似する。板状基材21の電波入射側の表面には、第2導電性パターン22を構成する複数の各パターン形状23がx方向およびy方向に行列状に規則正しく配置されて構成される。第2導電性パターン22の各パターン形状23は、閉ループ状であり、x方向に延びる図8の上下に一対の形状部分24と、y方向に延びる図8の左右に一対の形状部分25とを、有する。各形状部分24,25は長方形であって、4角形の各辺を構成する。形状部分24のx方向の長さa5と、形状部分25のy方向の長さb6とは等しく、たとえばa5=b6=17mmであり、形状部分24のy方向の幅b5と形状部分25のx方向の幅a6とは等しく、たとえばb5=a6=3mmであってもよい。各パターン形状23のx方向に隣接する間隔c5およびy方向に隣接する間隔c6は、たとえばc5=c6=1mmであってもよい。
【0054】
図7および図8に示される中間パターン層4aは、前述の図2〜図6に示される各導電性パターン12,18を有する外パターン層と組合されて、前述の実施の形態と同様に電磁波吸収体を構成してもよい。たとえば図7および図8に示される中間パターン層4aと図2および図3に示される外パターン層6とが組合される電磁波吸収体では、外パターン層6のパターン形状13の厚み方向に投影した投影形状は、図8のパターン形状23の領域以内に存在するように、パターン形状13のx方向の最大長さa1と形状23のx方向の最大長さa5とが等しく(a1=a5)、またy方向の最大長さb2,b6が等しくなるように(b2=b6)、形状寸法が選ばれる。
【0055】
本発明の実施の他の形態では、図7および図8に示される中間パターン層4aを、外パターン層6として用いるようにしてもよい。
【0056】
図9は、本発明の実施の他の形態の外パターン層6aを示す正面図である。板状基材27の電波入射側の表面に第1導電性パターン28が形成される。この図9に示される実施の形態は、前述の実施の各形態に類似するが、特に図9の実施の形態では、第1導電性パターン28はx方向およびy方向に行列状に規則正しく配置されたパターン形状29は、×字状である。このパターン形状29は、前述の実施の形態における図3の外パターン層6を、その図3の紙面に垂直な軸線まわりに45度角変位した構成を有する。そのほかの構成は、前述の実施の形態と同様である。このような図9に示される外パターン層6aが、たとえば図4、図5;図7、図8に示される中間パターン層4,4aと組合されて電磁波吸収体が構成されてもよい。
【0057】
以下に本件発明者の実験結果を述べる。
実施例1
図1〜図6に示される電磁波吸収体1において、導電性反射層2はアルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである。誘電体層3は、PET樹脂を使用し、その複素誘電率(実部)=3.1、厚みは3mmである。電磁波吸収層5は、クロロプレンゴム100重量部と、誘電損失材料としてケッチェンブラックEC(ライオン・アクゾ製商品名)8重量部、磁性損失材料としてフェライト(戸田工業製商品名KNS−415)粉末100重量部とを混練し、シート状(2mm厚)に加硫成型して用いる。
【0058】
この時点で、加硫ゴムシートの複素誘電率および複素透磁率を同軸管法(Sパラメータ法)により測定した。その結果と電磁波吸収体1の積層条件を考慮し、マクスウェル方程式に基づいた電磁波解析により整合をとるための最適値条件を求めた。この計算結果に基づいて外パターン層6および中間パターン層4のパターン形状13,19を決定し、それらのパターン層6,4を作成した。
【0059】
外パターン層6は、膜厚12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材11上に厚み600Åのアルミニウムで構成され、第1パターンである外パターン12としては各導線部の長さが等しい十字状で、サイズは幅b1=a2=2.5mm、長さa1=b2=17mm、間隔c1=c2=1mmである。また、中間パターン層4は、正方形の第2パターンである中間パターン18で構成され、サイズは一辺a3=b3=17mm、各パターンの間隔c3=c4=1mmとしている。積層の際、外パターン12と中間パターン13の外形寸法が図6のように一致するように、パターン12,18の各パターン形状13,19の軸線、すなわち図心を一致させている。
【0060】
さらに外パターン層6、電磁波吸収層5、中間パターン層4、誘電体層3(PET)、導電性反射層2の順に積層して電磁波吸収体1を、図1のように構成した。電磁波吸収体1の総厚みは約5mmである。
【0061】
図12にフリースペース法による電磁波吸収特性を示す。この結果より、理論解析で計測したように、電磁波吸収層5の薄層化が達成でき、しかも十分な吸収量が得られていることが判る。また比較例1との比較より、中間パターン層4を用いて、かつ外パターン12と中間パターン13の位置の相関関係を制御することで、2つの吸収周波数が出現し、さらに吸収周波数を制御することができる。さらに比較例2との比較から、中間パターン層4を用いることで、2つの吸収周波数が出現していることが判る。
【0062】
【表1】
【0063】
比較例1
実施例1における外パターン12と中間パターン18の位置関係を図10に示すようにx,y方向にそれぞれずらして比較例1を構成し、外パターン12および中間パターン18の位置関係の影響を測定した。フリースペース法での測定結果を図12に示す。高周波数側の吸収ピークが消失した。
【0064】
比較例2
電磁波吸収体1aは、図11の構成として、外パターン層6の第1パターン12として図7および図8と同様な閉ループ構造を用いた。その閉ループ(正方形)のサイズは、外周部の一辺a5=b6=10mm、閉ループの導体部である形状部分24,25の線幅b5=a6=1mm、各ループの間隔c5=c6=12mmである。さらに電磁波吸収層5の厚みを3mm、誘電体層3として発泡ポリエチレンの厚み1.5mmを用い、中間パターン層4を用いないことを以外は、実施例1と同じである。フリースペース法での測定結果を図13に示す。単一ピークのみが観測された。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、外パターン層6のほかに中間パターン層4を設け、磁性損失材料を含んでもよい電磁波吸収層5と、誘電体層3と、導電性反射層2を設け、かつこれらのパターン形状の相関関係を最適化することによって、各構成材料の定数を厳密に制御しなくても電磁波吸収をする周波数の選択制御を制御することができ、構成手数を簡単化できるという大きな効果がある。その結果として2以上の吸収周波数を有する電磁波吸収体1を提供することができる。
【0066】
本件電磁波吸収体1は、既存の電磁波吸収体よりも薄く、かつ軽くなっているため、その構成上、室内建材と組み合わせることができるという効果がある。たとえば表面層の表面誘電体層7を、ビニールクロスや合板材などの木材に置き換えることも可能であり、これによって容易に室内壁面材や床材など電磁波吸収可能な機能的な建材を構成でき、かつ複数の周波数に対して選択的な電磁波吸収性を付与できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の電磁波吸収体1の断面図である。
【図2】図1に示される本発明の実施の一形態の電磁波吸収体1を構成する外パターン層6を示す斜視図である。
【図3】図1および図2に示される実施の形態における外パターン層6の一部の拡大した斜視図である。
【図4】図1〜図3に示される実施の形態における電磁波吸収体1を構成する中間パターン層4の正面図である。
【図5】図4に示される中間パターン層4の一部を拡大して示す斜視図である。
【図6】図1〜図5に示される電磁波吸収体1における図3の外パターン層6と図5の中間パターン層4が重ねられた構成を簡略化して示す正面図である。
【図7】本発明の実施の他の形態の中間パターン層4aの正面図である。
【図8】図7に示される実施の形態における中間パターン層4aの一部を拡大して示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の他の形態の外パターン層6aを示す正面図である。
【図10】本件発明者の実験による実施例1の構成を示す図6に対応する図である。
【図11】本件発明者の実験による比較例2を示す断面図である。
【図12】本件発明者の実験による実施例1および比較例1の電磁波吸収の周波数特性を示す図である。
【図13】本件発明者の実験による比較例2の電磁波吸収の周波数特性を示す図である。
【符号の説明】
1,1a 電磁波吸収体
2 導電性反射層
3 誘電体層
4,4a 中間パターン層
5 電磁波吸収層
6,6a 外パターン層
7 表面誘電体層
11,17 基材
12 第1導電性パターン
13 パターン形状
14,15 形状部分
18 第2導電性パターン
19 パターン形状
23 パターン形状
24,25 形状部分
27 基材
28 第1導電性パターン
29 パターン形状
Claims (10)
- 電波入射側から、第1導電性パターンを有する外パターン層と、電磁波吸収層と、第2導電性パターンを有する中間パターン層と、誘電体層と、導電性反射層とが、この順序で積層して構成され、
外パターン層の第1導電性パターンおよび中間パターン層の第2導電性パターンの相関関係を最適化することによって電磁波吸収層を薄くし、2以上の周波数に対して整合することを特徴とする電磁波吸収体。 - 電波入射側から、第1導電性パターンを有する外パターン層と、電磁波吸収層と、第2導電性パターンを有する中間パターン層と、誘電体層の順序で積層して構成される電磁波吸収体であって、
この電磁波吸収体は、誘電体層の電波入射側とは反対側で、電磁波遮蔽性能を有する面上に設置され、
外パターン層の第1導電性パターンおよび中間パターン層の第2導電性パターンの相関関係を最適化することによって電磁波吸収層を薄くし、2以上の周波数に対して整合することを特徴とする電磁波吸収体。 - 第1および第2導電性パターンは、
単一種類の幾何学模様のパターン形状から成り、
複数種類の幾何学模様のパターン形状の組合せから成り、または
単一種類もしくは複数種類の幾何学模様の各パターン形状を複数枚重ねることで形成されることを特徴とする請求項1または2記載の電磁波吸収体。 - 第1および第2導電性パターンは、複数のパターン形状が行列状にかつ相互に間隔をあけて、隣接して配置され、
第1導電性パターンのパターン形状と第2導電性パターンのパターン形状とは、相互に異なっており、
第1および第2導電性パターンのいずれか一方のパターン形状を、厚み方向に投影した投影形状は、いずれか他方のパターン形状の領域以内に存在することを特徴とする請求項1〜3のうちの1つに記載の電磁波吸収体。 - 電磁波吸収層は、カーボンまたはグラファイトと、フェライトと、合成樹脂またはゴムとを含むことを特徴とする請求項1〜4のうちの1つに記載の電磁波吸収体。
- 誘電体層は、複素誘電率(実部)が、1.05〜5.0の誘電性材料から成ることを特徴とする請求項1または2記載の電磁波吸収体。
- 外パターン層の電波入射側に、もう1つの誘電体層を積層することを特徴とする請求項1〜6のうちの1つに記載の電磁波吸収体。
- 請求項1〜7のうちの電磁波吸収体を用いることによる電磁波吸収方法。
- 電波入射側から、第1導電性パターンを有する外パターン層と、電磁波吸収層と、第2導電性パターンを有する中間パターン層と、誘電体層と、導電性反射層の順序で積層し、
外パターン層の第1導電性パターンおよび中間パターン層の第2導電性パターンの相関関係を最適化することによって、2以上の整合周波数に対して電磁波吸収特性を得ることを特徴とする電磁波吸収体の製造方法。 - 電波入射側から、第1導電性パターンを有する外パターン層と、電磁波吸収層と、第2導電性パターンを有する中間パターン層と、誘電体層の順序で積層し、
誘電体層の電波入射側とは反対側で、電磁波遮蔽性能を有する面上に誘電体層が臨んで設置され、
外パターン層の第1導電性パターンおよび中間パターン層の第2導電性パターンの相関関係を最適化することによって、2以上の整合周波数に対して電磁波吸収特性を得ることを特徴とする電磁波吸収体の製造方法。
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