JP2010010420A - 電波吸収体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】反射膜1とスペーサ層3と抵抗膜2を厚み一方向N0 に順次積層すると共に、この抵抗膜2よりも外方に、多数の導電性パッチ5を規則的に配設したパターン層4を積層した。
【選択図】図1
Description
しかしながら、この1/4波長型電波吸収体33の厚さは、吸収すべき電波の波長(周波数)により、一義的に決定されてしまい、薄くも厚くもできず、設計に融通が利かない。ところが、近年、電波吸収体が適用される場所は多岐にわたり、その厚さを減少し(薄くし)、かつ、軽量化することが、強く要望されている。
従来、金属パッチを抵抗被膜と導体箔(反射膜)との間に配置した電波吸収体がられている(例えば、特許文献1参照)。
そこで、本発明は、1/4波長型電波吸収体に於て、吸収すべき電波の周波数(波長)によって決定される厚さよりも十分に薄くして、同等の反射減衰量を得ることが可能な電波吸収体を提供することを目的とする。
また、反射膜とスペーサ層と抵抗膜を厚み一方向に順次備えた電波吸収体に於て、多数の導電性パッチを規則的に配設して成るパターン層を、上記抵抗膜よりも上記厚み一方向の外方に積層して構成した。
また、反射膜とスペーサ層を厚み一方向に備えた電波吸収体に於て、多数の導電性パッチを規則的に配設して成るパターン層を、上記厚み一方向の内方に配設し、かつ、抵抗膜を上記厚み一方向の外方に、配設したものである。
〔数1〕 S×δ≦0.06
また、上記パターン層が複数積層されると共に、パッチ最大寸法aを吸収する周波数の波長λで除した値をδとし、パッチ占有率をSとしたとき、各パターン層の積(S×δ)の総和Σ(S×δ)について下記の数式2を満たすように設定した。
〔数2〕 Σ(S×δ)≦0.06
従来の1/4波長型電波吸収体では、吸収すべき電波の周波数(波長)によって、厚さ寸法が一義的に決定していたが、(この常識を打破って)厚さ寸法を著しく減少する(薄くする)ことができる。即ち、薄肉化・軽量化を図り得る。
図1に示す第1の実施の形態に於て、1は反射膜であり、厚さが10μm〜50μmの銅箔やアルミニウム箔等の導体箔、金属線格子、あるいは透明なプラスチック又は板ガラスの表面に、例えば、真空蒸着、無電解メッキ、スパッタリング、イオンプレーティング法等によって形成したアルミニウム、ニッケル、銀、金、パラジウム等からなる導電性金属膜を被覆した透明性のある金属膜等から成る。3はスペーサ層であり、このスペーサ層3は誘電損失零(本発明に於ては、誘電損失零とは、ε″≦0.01を言うものとする。)の材質から成り、例えば、板状の発泡スチロール及び炭酸カルシウム発泡体など、又は、透明性のあるガラス、アクリル、ポリカーボネート及びPMMA(ポリメタクリル酸メチル)などから構成される。さらには、難燃性を有する材料を使用しても良い。なお、以下の実施例、比較例、及び、従来例については、スペーサ層3に発泡スチロールを使用した。
2は抵抗膜であり、電波を減衰させる吸収膜ということができる。この抵抗膜2は、炭素粉等を混入したプラスチックフィルム又はITO層から成る。この抵抗膜2の面抵抗は、約 377Ωとする。この抵抗膜2の外面側に、PETフィルム7を積層する。
このようなパターン層4(パッチ5)は、銅やアルミ等の金属箔をもって、又は、銅やアルミ等の金属粉を含有する導電性塗料等をもって、又は、銅やアルミ等の金属微細線からなるメッシュをもって、構成する。図2に於ては、PETフィルム8の一面に、幾何学形状の金属箔を直接に、接着又は貼着にて付着し、又は、導電性塗料を直接付着させて、基本シート20を構成している。詳しくは、パターン層4(パッチ5)は、PETフィルム8の一面に、例えば、蒸着,メッキ,金属箔の貼着,それらのエッチング処理又はスクリーン印刷など公知な技術によって形成される。
要するに、図1に断面図にて示すように、反射膜1とスペーサ層3と抵抗膜2とPETフィルム7を、厚み一方向N0 に順次具備し、さらに、多数の導電性パッチ5を規則的(周期的)に配設して成るパターン層4を、抵抗膜2よりも、上記厚み一方向N0 の外方(外面側)に、積層して一体構造とされる。
具体的には、厚み一方向N0 へ、反射膜1,スペーサ層3,抵抗膜2,PETフィルム7,PETフィルム8,パターン層4を、順次積層している構造である。なお、図示省略するが、抵抗膜2とPETフィルム7とを、図1の上下逆に、置き換えるも、自由である。
パターン層4が、上述の図1,図3に示した如く一層のみである場合、上記パッチ最大寸法aを吸収する周波数の波長λで除した値をδとし、パッチ占有率(全面積に対してパッチ5の合計面積の占める割合)をSとしたとき、下記の数式1を満たすように、パッチ最大寸法a及びパッチ占有率Sを設定する。
〔数1〕 S×δ≦0.06
なお、図10に示す格子状配置を、千鳥状配置とすることも自由である。なお、上記数式1に於て、S×δの下限値は、0.0038とする。
図12では、パッチ5が正三角形であって、左右に交互に上下逆となるように配置している。この正三角形のパッチ5の最大寸法aとは、一辺長さである。このときも、上記数式1を満たすように、一辺長さを設定し、かつ、パッチ占有率Sを設定する。なお、図示省略したが、二等辺三角形又は不等辺三角形とすることも自由であり(図示省略)、そのときには、三角形の三辺の内の最も長いものの寸法が、上記パッチ最大寸法aということになる。
次に、図4は第3の実施の形態を示し、図2で説明した基本シート20であってパッチ5の大きさと形状及び配置ピッチの内の少なくとも一つが相違する2枚を、矢印M1 ,M2 に示すように、反射膜1,スペーサ層3,抵抗膜2,PETフィルム7が厚み一方向N0 へ積層された上に、順次重ね合わせて積層一体化する構造である。言い換えれば、図1に示した実施形態の上に、さらに、基本シート20をPETフィルム8側から接着又は貼着等によって、(矢印M2 で示したように)追加積層した構成である。
矢印M1 ,M2 に示すように、反射膜1,スペーサ層3,抵抗膜2,PETフィルム7が厚み一方向N0 へ積層された上に、順次、基本シート20, 20を重ね合わせて積層一体化する。言い換えれば、図3に示す実施形態の上に、さらに、(異なる)基本シート20をパターン層4側から接着又は貼着等にて、追加積層した構成である。
以上述べた図4〜図7のように、異なったパターン層4,4が2層重ね合わされた構成であって、各パターン層4の幾何学模様が(既述の)図10,図11, 図12又は図13等であり、パッチ最大寸法aを吸収する周波数の波長λで除した値をδとし、パッチ占有率をSとしたとき、各々のパターン層4の積(乗積)(S×δ)の(2個の)総和Σ(S×δ)について、下記の数式2を満たすように設定する。
〔数2〕 Σ(S×δ)≦0.06
なお、上記数式2に於て、下限値は、0.0038とする。また、2層の場合は、上限値を0.05とするのが一層好ましい。
なお、図8,図9に於て、PETフィルム7と抵抗膜2を内外置き換えて配設するも、自由である(図示省略)。
〔数2〕 Σ(S×δ)≦0.06
なお、数式2に於て、下限値は、0.0038とする。また、本発明に於て、図1〜図3に示したようにパターン層4が一層のみである場合に、上記数式2をもって表示することもある(後述の図26及び表4等参照)。そのときは、数式2は数式1と一致している。
そして、図1〜図13、及び、図27〜図28を、まとめて述べると、反射膜1とスペーサ層3を厚み一方向N0 に備え、該スペーサ層3よりも厚み一方向N0 の外方に、多数の導電性パッチ5を規則的に配設して成るパターン層4、及び、抵抗膜2を、一方を内方に、他方を外方として、配設した構成であるということができる。
表2中の試料No. 35〜48の内で、試料No. 36, 38, 39, 41, 42, 44, 46は、図5に示した断面構造であって、図10, 図11,図13に示した正方形,円形,六角形のいずれかのパッチ形状を有する2層のパターン層4,4を備える。従来例としての試料No. 35は図31(A)の構造である。
このように、図14〜図25では、最小を示すピークが、できるだけ下方にあって、かつ、左方向へある程、望ましい。
(1)導電性パッチ5を(図1〜図9のように)抵抗膜2よりも厚み一方向N0 の外方に 積層すると、吸収される電波の周波数を低周波数側へ移動させることができる。
(2)言い換えると、同一周波数に於て、電波吸収体の厚さ(寸法)を、従来よりも薄く できる(図31に於て、AとBとを比較参照)。
(3)Σ(S×δ)の値を、 0.1→0.09→………→0.06→0.05→0.04→………→0.0038と しだいに小さくすると、大きく減衰できる周波数───整合周波数───は、しだい に低周波側へ移動する。即ち、Σ(S×δ)をしだいに減少させてゆけば、同一整合 周波数に於ける電波吸収体の厚さ(寸法)を、薄くできる。
2 抵抗膜
3 スペーサ層
4 パターン層
5 パッチ(幾何学模様片)
8 PETフィルム
20, 20A 基本シート
a パッチ最大寸法
N0 厚み一方向
S パッチ占有率
δ パッチ最大寸法を波長で除した値
λ 波長
Claims (5)
- 反射膜(1)とスペーサ層(3)を厚み一方向(N0 )に備え、該スペーサ層(3)よりも厚み一方向(N0 )の外方に、多数の導電性パッチ(5)を規則的に配設して成るパターン層(4)、及び、抵抗膜(2)を、一方を内方に、他方を外方として、配設したことを特徴とする電波吸収体。
- 反射膜(1)とスペーサ層(3)と抵抗膜(2)を厚み一方向(N0 )に順次備えた電波吸収体に於て、多数の導電性パッチ(5)を規則的に配設して成るパターン層(4)を、上記抵抗膜(2)よりも上記厚み一方向(N0 )の外方に積層して構成したことを特徴とする電波吸収体。
- 反射膜(1)とスペーサ層(3)を厚み一方向(N0 )に備えた電波吸収体に於て、多数の導電性パッチ(5)を規則的に配設して成るパターン層(4)を、上記厚み一方向(N0 )の内方に配設し、かつ、抵抗膜(2)を上記厚み一方向(N0 )の外方に、配設したことを特徴とする電波吸収体。
- 上記パターン層(4)が一層のみ積層されると共に、パッチ最大寸法(a)を吸収する周波数の波長(λ)で除した値を(δ)とし、パッチ占有率を(S)としたとき、下記の数式1を満たすように上記パッチ最大寸法(a)及び上記パッチ占有率(S)を設定した請求項1,2又は3記載の電波吸収体。
〔数1〕 S×δ≦0.06 - 上記パターン層 (4)(4) が複数積層されると共に、パッチ最大寸法(a)を吸収する周波数の波長(λ)で除した値を(δ)とし、パッチ占有率を(S)としたとき、各パターン層(4)の積(S×δ)の総和Σ(S×δ)について下記の数式2を満たすように設定した請求項1,2又は3記載の電波吸収体。
〔数2〕 Σ(S×δ)≦0.06
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