JP2009157233A - 反射防止フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 干渉縞が目立たず、透明性と帯電防止性のバランスに優れ、製造時にスモッグ(白化)の発生しない反射防止フィルムを提供する。
【解決手段】 二軸延伸PET上にハードコート層を有し、その上に低屈折率層を有し、ハードコート層が、厚さ0.5〜5μmであり、電離放射線硬化型樹脂100質量部に、ガリウムドープ酸化亜鉛およびアンチモン酸亜鉛からなる混合物(ただし、前者:後者=9:1〜1:9(質量比))を200〜600質量部を配合し、硬化して形成され、低屈折率層が、フッ素原子含有有機ジシラン化合物を主成分とするマトリックス成分及びシランカップリング剤で処理された中空シリカ粒子を含有する低屈折率層形成用組成物から形成され、該組成物が、マトリックス成分100質量部に対し、前記中空シリカ粒子20〜160質量部を配合してなる反射防止フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、反射防止フィルムに関するものであり、詳しくは、とくに干渉縞が目立たず、最低反射率が低く、透明性、耐スチールウール性、帯電防止性、カール性に優れた反射防止フィルムに関するものである。
パーソナルコンピュータ、テレビジョン、カーナビゲータ、携帯電話などのディスプレイは、人間が画像を見て情報を読み取るものであり、見やすさが重要な機能として求められる。しかし、現実には背景の映りこみによるコントラストが低下し、画面が見づらくなるという状況が多々発生する。これを防ぐために、視認性低下の原因になっている画面の表面反射の抑制する工夫がなされ、ディスプレイの表面には防眩処理又は反射防止処理が施される。
防眩処理は、ディスプレイの表面に微細な凹凸を形成し、光の散乱により反射像を散らして輪郭をぼかせる処理である。基板がプラスチックの場合には、シリカなどの無機微粒子や、ポリスチレンなどの有機微粒子などが表面にコーティングされるが、画像の解像度が低下する。反射防止処理は、表面に光の波長程度の厚さからなる薄膜を形成し、光の干渉効果により反射率を低減するものである。入射媒質の屈折率をn1、膜の屈折率をn2、反射率をRとすると、
R=〔(n2−n1)/(n2+n1)〕2
であり、膜厚をd、光の波長をλとすると
d=λ/(4n2
のとき、光の干渉効果は最大になる。
薄膜の形成方法として、乾式法、湿式法がある。乾式法においては、二酸化チタンなどの高屈折率層と、フッ化マグネシウムやシリカなどの低屈折率層を、真空蒸着やスパッタリングなどにより形成するが、基材の大きさに制限があり、処理に時間を要し、連続化が困難である。
湿式法については、例えば、透明基材フィルム上に、直接又は他の層を介して高屈折率ハードコート層及び低屈折率層を積層してなる反射防止フィルムにおいて、上記低屈折率層がRnSi(OR´)n(R及びR´は炭素数1〜10のアルキル基を表し、m+nは4であり、m及びnはそれぞれ整数である)で表される珪素アルキシドを加水分解して調整したSiO2ゾル液から形成されたSiO2ゲル層からなることを特徴とする反射防止フィルムが開示されている(特許文献1)。しかし、上記反射防止フィルムは、最低反射率が大きいために十分な反射防止効果が得られず、耐アルカリ性、紫外線カット性に劣り、また干渉縞についても十分満足するものではないという問題がある。
また、シリコンアルコキシドと、非水溶媒と、平均粒子径が0.3〜100nmかつ屈折率が1.2〜1.4である多孔質シリカ微粉末とを分散含有してなることを特徴とする低屈折率膜形成用塗料が開示されている(特許文献2)。しかし、上記低屈折率膜形成用塗料を用いて形成された低屈折率を備えた反射防止フィルムは、反射防止効果は改良されているが、透明性、耐アルカリ性、紫外線カット性に劣り、また上記処方は、製造時にスモッグ(白化)が発生するという問題がある。
特開平10−726号公報 特許第3272111号公報
したがって本発明の目的は、干渉縞が目立たず、最低反射率が低く、透明性、耐スチールウール性、帯電防止性、カール性に優れた性質を有するとともに、透明性と帯電防止性のバランスに優れ、耐アルカリ性を改善し、さらに製造時にスモッグ(白化)の発生しない反射防止フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム上に、特定の厚さおよび材料構成を有するハードコート層と、特定の材料構成を有する低屈折率層とを順次設けることにより、上記課題が解決され得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
1.二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム上にハードコート層を有し、さらに前記ハードコート層上に低屈折率層を有する反射防止フィルムであって、
前記ハードコート層の厚さが0.5〜5μmであり、
前記ハードコート層が、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に、ガリウムドープ酸化亜鉛およびアンチモン酸亜鉛からなる混合物(ただし、ガリウムドープ酸化亜鉛:アンチモン酸亜鉛=9:1〜1:9(質量比)である)を200〜600質量部を配合して、これを硬化して形成されたものであり、
前記低屈折率層が、フッ素原子を1個以上含有する2価の有機基を有するジシラン化合物又はその(部分)加水分解物を主成分とするマトリックス成分、及びシランカップリング剤で処理された中空シリカ粒子を含有する低屈折率層形成用組成物から形成され、
前記低屈折率層形成用組成物が、前記マトリックス成分100質量部に対し、前記シランカップリング剤で処理された中空シリカ粒子20〜160質量部を配合してなることを特徴とする反射防止フィルム。
2.前記電離放射線硬化型樹脂100質量部に、さらに末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体5〜20質量部を配合することを特徴とする前記1に記載の反射防止フィルム。
3.前記電離放射線硬化型樹脂100質量部に、さらに紫外線吸収剤0.5〜20質量部を配合することを特徴とする前記1に記載の反射防止フィルム。
4.前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系であることを特徴とする前記3に記載の反射防止フィルム。
5.前記分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが、ジペンタエリスルトールヘキサアクリレートであることを特徴とする前記1に記載の反射防止フィルム。
6.前記ガリウムドープ酸化亜鉛の一次粒子径が5〜100nmであることを特徴とする前記1に記載の反射防止フィルム。
7.前記ジシラン化合物が、下記式(1)
m1 3-mSi−Y−SiR1 3-mm (1)
(式中、R1は、炭素数1〜6の1価炭化水素基、Yはフッ素原子を1個以上含有する2価有機基、Xは加水分解性基、mは1、2又は3である。)
で示されることを特徴とする前記1に記載の反射防止フィルム。
8.前記シランカップリング剤で処理された中空シリカ粒子の平均粒子径が、5〜100nmであることを特徴とする前記1に記載の反射防止フィルム。
9.前記シランカップリング剤が、ビニルシラン系のカップリング剤であることを特徴とする前記1に記載の反射防止フィルム。
本発明によれば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム上に、特定の厚さおよび材料構成を有するハードコート層と、特定の材料構成を有する低屈折率層とを順次設けたことにより、干渉縞が目立たず、最低反射率が低く、透明性、耐スチールウール性、帯電防止性、カール性に優れた性質を有するとともに、透明性と帯電防止性のバランスに優れ、耐アルカリ性を改善し、さらに製造時にスモッグ(白化)の発生しない反射防止フィルムを提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(基材フィルム)
本発明に用いる基材フィルムは、透明性を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる。二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、機械的強度と寸法安定性が良好なので好適に用いられる。
基材フィルムの屈折率は、通常1.64〜1.66である。なお、本発明でいう屈折率とは、JIS K 7142に準じ、アッベ屈折計を用いて測定した値である。また基材フィルムの厚さは、例えば20〜250μmである。
(ハードコート層)
本発明におけるハードコート層は、以下の(1)および(2)の要件を満たす必要がある。
(1)厚さが0.5〜5μmである。
厚さが0.5μm未満では、鉛筆硬度が低下し、耐スチールウール性も低下する。厚さが5μmを超えると、干渉縞の防止効果が発揮されない。好ましい厚さは、0.8〜4.0μmであり、さらに好ましい厚さは、1.2〜3.0μmである。
(2)分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に、ガリウムドープ酸化亜鉛およびアンチモン酸亜鉛からなる混合物(ただし、ガリウムドープ酸化亜鉛:アンチモン酸亜鉛=9:1〜1:9(質量比)である)を200〜600質量部を配合し、所望により末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体5〜20質量部を配合し、これを硬化して形成される。
分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート等を挙げることができる。好ましい具体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートが挙げられ、中でもジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートがとくに好ましい。これらの多官能(メタ)アクリレートは単独で用いても又は2種以上混合して用いてもよい。
前記混合物は、ガリウムドープ酸化亜鉛およびアンチモン酸亜鉛からなる。ただし、これら無機化合物粒子の配合比は、ガリウムドープ酸化亜鉛:アンチモン酸亜鉛=9:1〜1:9(質量比)である。
ガリウムドープ酸化亜鉛は、商業的に入手可能であり、例えばハクスイテック社製、商品名パゼットGK−40、GK-1、シーアイ化成(株)製、商品名ナノテックGZO分散液等が挙げられる。ガリウムのドープ率は、通常数質量%程度、具体的には1〜6質量%である。
アンチモン酸亜鉛は、商業的に入手可能であり、例えば日産化学社製、商品名セルナックスCX−Z610M−F2、CX−Z−603M−F2、CX−Z−201IP−F2等が挙げられる。
ガリウムドープ酸化亜鉛の平均一次粒子径は、5〜100nmが好ましい。この範囲内であれば、透明性を高めることができる。
アンチモン酸亜鉛の平均一次粒子径は、例えば5〜100nm、好ましくは5〜50nmである。この範囲内であれば、透明性が高く好ましい。
前述のように、ガリウムドープ酸化亜鉛とアンチモン酸亜鉛との割合は、9:1〜1:9(質量比)であるが、好ましくは、前者:後者として7:3〜3:7、さらに好ましくは、6:4〜4:6である。
本発明によれば、ガリウムドープ酸化亜鉛とアンチモン酸亜鉛との併用により、透明性を落とさず、十分な導電性を得ることができる。
末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体としては、末端メタクリレートポリメチルメタクリレート、末端スチリルポリメタクリレート、末端メタクリレートポリスチレン、末端メタクリレートポリエチレングリコール、末端メタクリレートアクリロニトリル−スチレン共重合体、末端メタクリレートスチレン−メチルメタクリレート共重合体等を挙げることができ、その質量平均分子量は5000〜10000が好ましい。末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体の市販品としては、マクロモノマーAA−6、AS−6S、AN−6S、AW−6S(東亞合成(株)製)等を挙げることができる。
本発明におけるハードコート層は、上記の2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に、前記混合物200〜600質量部、所望により末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体5〜20質量部を配合した組成物を用いて形成される。前記混合物の配合割合が200質量部未満では、干渉縞の防止効果および最低反射率の低減効果が発揮されない。また帯電防止効果も発現しない。前記混合物の配合割合が600質量部を超えると、干渉縞の防止効果が発揮されない。また耐スチールウール性も悪化する。末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体が5質量未満では、カール性にやや劣る結果となり、20質量部を超えるとヘーズが上昇し透明性が低下することとなり好ましくない。
さらに好ましい配合割合は、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、前記混合物250〜500質量部および末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体5〜15質量部である。
ハードコート層は、基材フィルム上に上記組成物を塗料として塗布、乾燥し、電離放射線照射により硬化させることにより形成することができる。電離放射線に特に制限はなく、例えば、電子線、放射線、紫外線などを挙げることができる。電離放射線の中で、紫外線は装置が簡単であり、取り扱いか容易であることから、特に好適に用いることができる。電離放射線を照射して架橋させることにより、JIS K 5400において定義される鉛筆硬度H以上の塗膜を形成することができる。
電離放射線が紫外線の場合、光重合開始剤が通常添加される。光重合開始剤としては特に制限はなく、例えばイルガキュアー184,907,651,1700,1800,819,369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ダロキュアー1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、エザキュアーKIP150、TZT(日本シイベルヘグナー社製)、ルシリンTPO(BASF社製)、カヤキュアBMS(日本化薬製)等が挙げられる。
また上記組成物は、必要に応じて各種添加剤を併用できることは勿論である。例えば、紫外線吸収剤を併用することができる。紫外線吸収剤を以下に例示する。ベンゾトリアゾール系としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−ドデシル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−フェノール〕等が挙げられる。ベンゾフェノン系としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等が挙げられる。アクリレート系としては、エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。サリシレート系としては、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート等が挙げられる。オキザニリド系としては、2−エトキシ−2′−エチルオキザリックアシドビスアニリド、2−エトキシン−5−t−ブチル−2′−エチルオキザリックアシドビスアニリド等が挙げられる。紫外線吸収剤の添加量は、前記電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、0.5〜20質量部、好ましくは1〜15質量部である。また、本発明では、紫外線吸収効果から、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤がとくに好ましい。
得られたハードコート層は、屈折率が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルムの屈折率と同一か、あるいは極めて近似していることが好ましい。このように両者の屈折率を設定することにより、干渉縞の防止効果が一層向上する。ここでいう極めて近似とは、両者の屈折率差の絶対値が0.02以下であることを意味する。
また、本発明の反射防止フィルムにおいては、ハードコート層に高屈折率層のもつ役割を兼ねさせ、その上に低屈折率層を設けた簡易な構成とすることができる。
(易接着剤層)
本発明の反射防止フィルムは、基材フィルムとハードコート層との間に、両者の密着性を向上させるとともに干渉縞の防止効果を向上させる目的で易接着剤層を設けてもよい。
本発明における易接着剤層は、屈折率が1.56〜1.62であることが好ましい。屈折率のこの範囲内であると、干渉縞の防止効果がさらに高まる。さらに好ましい屈折率は、1.58〜1.61である。
易接着剤層の材質は、上記屈折率の範囲を満たし、透明であって、基材フィルムとハードコート層の密着性を向上させるものが挙げられ、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂およびそれらの共重合体等が挙げられる。易接着剤層の厚さは特に限定されないが、例えば50nm〜100nmである。易接着剤層は、基材フィルム上に公知のコーティング技術により設けることができる。
(低屈折率層)
本発明における低屈折率層は、フッ素原子を1個以上含有する2価の有機基を有するジシラン化合物又はその(部分)加水分解物を主成分とするマトリックス成分、及びシランカップリング剤で処理された中空シリカ粒子を含有する低屈折率層形成用組成物から形成される。
なお本発明において、(部分)加水分解物とは、部分加水分解物であっても、完全加水分解物であってもよいことを示す。またマトリックス成分における主成分とは、溶剤を除く有効成分中50質量%以上、特に70質量%以上の割合で含まれていることを意味する。
マトリックス成分は、フッ素原子を1個以上含有する2価の有機基を有するジシラン化合物又はその(部分)加水分解物を主成分とする。
上記ジシラン化合物は、下記式(1)
m1 3-mSi−Y−SiR1 3-mm (1)
(式中、R1は炭素数1〜6の1価炭化水素基、Yはフッ素原子を1個以上含有する2価有機基、Xは加水分解性基、mは1、2又は3である。)
で示されるジシラン化合物又はその(部分)加水分解物(以下(i)成分ともいう)であるのが好ましい。
ここで、Yは、フッ素原子を1個以上、好ましくは4〜50個、特に好ましくは8〜24個含有する2価有機基を示し、具体的には下記のものを例示することができるが、これに限定されるものではない。
−C24−(CF2n−C24
−C24−CF(CF3)−(CF2n−CF(CF3)−C24
−C24−CF(C25)−(CF2n−CF(C25)−C24
−C24−CF(CF3)CF2−O(CF2nO−CF2CF(CF3)−C24
(但し、nは2〜20である。)
−C24−C610−C24
−C24−C64−C24
反射防止性に加え、防汚性、撥水性等の諸機能を良好な基準で発現させるためには、フッ素原子を多量に含有していることが好ましい。また、パーフルオロアルキレン基は剛直なため、高硬度で耐擦傷性に富む被膜を得る目的のためは、フッ素原子をできるだけ多量に含有していることが好ましい。フッ素原子を多量に含有していれば、耐アルカリ性もよくなる。従って、Yとしては下記の構造
−CH2CH2(CF2nCH2CH2
−C24−CF(CF3)−(CF2n−CF(CF3)−C24
(但し、nは2〜20である。)
が好ましく、特に
−CH2CH2(CF2nCH2CH2−(n=2〜20)
が好ましい。
nとしては2〜20の値を満たす必要があるが、より好ましくは4〜12、特に好ましくは4〜10の範囲を満たすのがよい。これより少ないと、反射防止性、耐アルカリ性、耐汚染性、撥水性等の諸機能を十分に得ることができない場合があり、多すぎると、架橋密度が低下するため十分な耐擦傷性が得られない場合が生ずる。
1は、炭素数1〜6の1価炭化水素基を表す。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等を例示することができる。良好な耐擦傷性を得るには、メチル基が好ましい。
mとしては1、2又は3、好ましくは2又は3であり、特に高硬度な被膜にするには、m=3とするのがよい。
Xは、加水分解性基を表す。具体例としては、Clなどのハロゲン原子、OR2(R2は炭素数1〜6の1価炭化水素基)で示されるオルガノオキシ基、特にメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、イソプロペノキシ基などのアルケノキシ基、アセトキシ基等のアシルオキシ基、メチルエチルケトキシム基等のケトオキシム基、メトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基などを挙げることができる。これらの中でアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基のシラン化合物が取り扱い易く、加水分解時の反応の制御もし易いため、好ましい。
以上を満たすジシラン化合物の具体例としては、下記のものが例示される。
(CH3O)3Si−C24−(CF24−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−(CF26−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−(CF28−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−(CF210−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−(CF216−C24−Si(OCH33
(C25O)3Si−C24−(CF24−C24−Si(OC253
(C25O)3Si−C24−(CF26−C24−Si(OC253
(CH3O)2(CH3)Si−C24−(CF24−C24−Si(CH3)(OCH32
(CH3O)2(CH3)Si−C24−(CF26−C24−Si(CH3)(OCH32
(CH3O)(CH32Si−C24−(CF24−C24−Si(CH32(OCH3
(C25O)(CH32Si−C24−(CF26−C24−Si(CH32(OC25
(CH3O)3Si−C24−CF(CF3)−(CF24−CF(CF3)−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−CF(CF3)−(CF28−CF(CF3)−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−CF(CF3)−(CF212−CF(CF3)−C24−Si(OCH33
これらの中でも、好ましくは、
(CH3O)3Si−C24−(CF24−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−(CF26−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−(CF28−C24−Si(OCH33
(C25O)3Si−C24−(CF24−C24−Si(OC253
(C25O)3Si−C24−(CF26−C24−Si(OC253
の各ジシラン化合物を使用するのがよい。
前記の式(1)のジシラン化合物は、下記式(2)で示されるフッ素原子置換有機基を含有する有機珪素化合物又はその(部分)加水分解物((ii)成分)と併用することができる。
Rf−SiX3 (2)
(式中、Rfはフッ素原子を1個以上含有する1価有機基、Xは加水分解性基である。)
ここで、Rfはフッ素原子を1個以上、好ましくは3〜25個、特に好ましくは3〜17個含有する1価有機基を示し、具体的には下記のものを例示することができる。
CF324
CF3(CF2324
CF3(CF2524
CF3(CF2724
CF3(CF2924
CF3(CF21124
CF3(CF27CONHC36
CF3(CF27CONHC24NHC36
CF3(CF2724OCOC24SC36
CF3(CF2724OCONHC36
CF3(CF27SO2NHC36
37O(CF(CF3)CF2O)pCF(CF3)CONHC36
(但し、pはp≧1、特に1〜3である。)
これらの中でも、
CF324
CF3(CF2324
CF3(CF2724
が極性部分を含んでいないため好ましい。Xは、前述の通りである。
以上を満たすフッ素原子置換有機基を含有する有機珪素化合物の具体例としては、下記のものが例示される。
CF324−Si(OCH33
CF324−Si(OC253
CF3(CF2324−Si(OCH33
CF3(CF2324−Si(OC253
CF3(CF2524−Si(OCH33
CF3(CF2724−Si(OCH33
CF3(CF2724−Si(OC253
CF3(CF2924−Si(OCH33
CF3(CF21124−Si(OCH33
CF3(CF27CONHC36−Si(OCH33
CF3(CF27CONHC24NHC36−Si(OCH33
CF3(CF2724OCOC24SC36−Si(OCH33
CF3(CF2724OCONHC36−Si(OCH33
CF3(CF27SO2NHC36−Si(OCH33
37O(CF(CF3)CF2O)pCF(CF3)CONHC36−Si(OCH33
(但し、pはp≧1である。)
これらの中でも、下記のものが好ましい。
CF324−Si(OCH33
CF3(CF2324−Si(OCH33
CF3(CF2724−Si(OCH33
本発明においては、(i)成分を(ii)成分と併用せず、単独で用いることができるが、(i)成分と(ii)成分とを混合して使用する場合、(i)成分の含有率を60質量%以上100質量%未満とすることが必要である。(i)成分の含有率が60質量%未満であると、架橋密度が低下し、良好な耐擦傷性が得られないため、保護被膜としての機能が不十分となり、好ましくない。より好ましくは(i)成分の含有率が95質量%以上であるのがよい。また、(ii)成分の添加効果の点から、(i)成分の含有率は、99.5質量%以下であることが好ましい。
また、本発明においては、上記(i)成分と(ii)成分との混合物を共加水分解したものを使用してもよい。
本発明における低屈折率層形成用組成物は、(i)成分単独又は(i)成分と(ii)成分との混合物もしくはその共加水分解物を主成分とするが、求める諸特性に影響を与えない範囲で、下記有機珪素化合物又はその(部分)加水分解物を使用することができる。
(i)、(ii)成分と併用することが可能な有機珪素化合物としては、テトラエトキシシラン等のシリケート類、メチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等のアルキルシラン類、フェニルトリメトキシシラン等のフェニルシラン類、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤類等の各種化合物を挙げることができる。特に、テトラアルコキシシランは、架橋密度を上げる効果があるため、耐擦傷性を向上させる目的で併用する場合には有効であるが、被膜を親水性化する傾向があり、耐アルカリ性、耐汚染性、撥水性等の諸機能を低下させることがあるため、多量に使用するのは避けた方がよく、(i)成分又は(i)、(ii)成分の合計量100質量部に対して5質量部以下、特に2質量部以下、とりわけ1質量部以下であることが好ましい。
上述した式(1)、(2)の化合物、或いは上記(i)、(ii)成分と併用可能な有機珪素化合物は、このままで使用してもよいし、(部分)加水分解した形、或いは下記溶剤中で加水分解した形で使用してもよい。コーティング後の硬化速度を高める観点からは、(部分)加水分解した形で使用する方が好ましい。加水分解に使用する水の量は、(H2O/Si−X)のモル比が0.1〜10の量比で使用するのがよい。
加水分解は、従来公知の方法を適用することができ、この加水分解用触媒或いは加水分解・縮合硬化用触媒として、塩酸、酢酸、マレイン酸等の酸類、水酸化ナトリウム(NaOH)、アンモニア、トリエチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン等のアミン化合物、及びアミン化合物の塩類、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの第四級アンモニウム塩等の塩基類、フッ化カリウム、フッ化ナトリウムのようなフッ化塩、固体酸性触媒或いは固体塩基性触媒(例えばイオン交換樹脂触媒など)、鉄−2−エチルヘキソエート、チタンナフテート、亜鉛ステアレート、ジブチル錫ジアセテートなどの有機カルボン酸の金属塩、テトラブトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、ジブトキシ−(ビス−2,4−ペンタンジオネート)チタン、ジ−i−プロポキシ(ビス−2,4−ペンタンジオネート)チタンなどの有機チタンエステル、テトラブトキシジルコニウム、テトラ−i−プロポキシジルコニウム、ジブトキシ−(ビス−2,4−ペンタンジオネート)ジルコニウム、ジ−i−プロポキシ(ビス−2,4−ペンタンジオネート)ジルコニウムなどの有機ジルコニウムエステル、アルミニウムトリイソプロポキシド等のアルコキシアルミニウム化合物、アルミニウムアセチルアセトナート錯体等のアルミニウムキレート化合物等の有機金属化合物、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノアルキル置換アルコキシシランが例示され、これらを単独で又は混合して使用してもよい。
この触媒の添加量は、(部分)加水分解されるべき化合物100質量部に対し、0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜1質量部である。この量が0.01質量部よりも少ないと、反応完結までに時間がかかりすぎたり、反応が進行しない場合がある。また、10質量部を超えると、コスト的に不利であり、得られる組成物或いは硬化物が着色してしまったり、副反応が多くなる場合がある。
中空シリカ粒子は、シリカを主成分とする外殻層を有し、内部が多孔質または空洞となっている粒子である。中空シリカ粒子の平均粒子径は5〜100nmが好ましく、10〜80nmがさらに好ましい。なお、上記平均粒子径は動的光散乱法によって求めた。
本発明における中空シリカ粒子は、シランカップリング剤で処理されていることを特徴とする。シランカップリング剤としては、例えばシラノール基を含有する、または加水分解することによりシラノール基を生成する物質があげられる。さらにはシラノール基以外の重合性官能基を併せ持ったシランカップリング剤が好ましい。これらの物質のシラノール基は、中空シリカ粒子表面の水酸基と脱水縮合反応することができ、中空シリカ粒子表面にシランカップリング剤が結合されて有機成分中に分散しやすくなる。シラノール基以外の重合性官能基の例としては、例えばアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、アクリルアミド基、水酸基、グリシジル基などをあげることができる。
このようなシラノール基以外の重合性官能基を持った物質としては例えば、TSL−8311、TSL−8350、TSL−8337、TSL−8370、TSL−8375(以上、GE東芝シリコーン社製)、A−9530(新中村化学製)、KBM−5103(信越化学工業社製)等が挙げられる。
中空シリカ粒子をシランカップリング剤で処理することにより、低屈折率層を形成する際に発生していたスモッグ(白化。塗布ムラで白く雲状に見える現象)を抑制することができる。その理由は明らかではないが、中空シリカ粒子の乾燥時の偏在を抑制したことによると考えられる。
中でも本発明では、スモッグの改良効果の点でビニルシラン系のカップリング剤であることが好ましい。ビニルシラン系のカップリング剤は、例えばR3Si−CH2=CH2(式中、Rはアルコシキ基等の加水分解可能な基を表す)で表すことができる。
シランカップリング剤の処理量は中空シリカ粒子に対して、例えば0.5〜4質量%、好ましくは、1〜2質量%である。
前述のように、本発明における低屈折率層形成用組成物は、前記マトリックス成分100質量部に対し、前記シランカップリング剤で処理された中空シリカ粒子を20〜160質量部を配合してなる。さらに好ましい配合割合は、マトリックス成分100質量部に対し、中空シリカ粒子30〜120質量部である。中空シリカ粒子が20質量部未満では、最低反射率が大きくなり、160質量部を超えると耐薬品性が悪くなり好ましくない。
また本発明では、低屈折率層形成用組成物に、ラジカル重合性単量体を用いて形成された繰り返し単位を幹とし、シリコーンを枝とするグラフト共重合体を添加するのも好ましい形態である。該グラフト共重合体は、好ましくは、繰り返し単位からなる幹部分がアクリル系ポリマーである櫛形のアクリル系グラフト共重合体である。当該グラフト共重合体としては、下記式(3)で示されるシリコーンと下記式(4)で示されるアクリルシラン化合物とを縮合させてなる生成物をあげることができる。
Figure 2009157233
(式中R6およびR7は炭素数1〜10の一価の脂肪族炭化水素基、フェニル基または一価のハロゲン化炭化水素基を表す。qは1以上の正数である。)
Figure 2009157233
(式中R8は水素原子またはメチル基を表す。R9はメチル基、エチル基、またはフェニル基を表し、2つのR9は互いに同一もしくは異なっていてもよい。Zは塩素原子、メトキシ基またはエトキシ基を表す。)
ここで用いられる前記式(3)で示されるシリコーンは市販品として入手でき、目的にあったものを使用することができる。前記式(3)におけるR6およびR7は炭素数1〜10の一価の脂肪族炭化水素基、フェニル基または一価のハロゲン化炭化水素であり、炭素数1〜10の一価の脂肪族炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、アシル基等が挙げられ、一価のハロゲン化炭化水素としては、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル基、4,4,4−トリフルオロ−3,3−ジフルオロブチル基、2−クロロエチル基等が挙げられる。R8およびR9として特に好ましいのはメチル基である。
前記式(3)でqは1以上の正数であるが、一般にqの数が100以上という高分子量のシリコーンを用いた場合、得られるグラフト共重合体はオイル状のものであることが多い。qの数が100以下という低分子量シリコーンを用いた場合、得られるグラフト共重合体は、モノマーの種類によりオイル状、ゼリー状、固体状等各種のものを得ることができる。
次に前記式(4)で示されるアクリルシラン化合物としては、例えばγ−メタクリルオキシプロピルジメチルクロロシラン、γ−メタクリルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルジフェニルクロロシラン、γ−アクリルオキシプロピルジメチルクロロシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。これらのアクリルシラン化合物は、特公昭33−9969号公報に記載の方法等に従い、ケイ素化合物と脂肪族性多重結合を有する化合物とを塩化白金酸の存在下で反応させることにより容易に得られる。
また、グラフト共重合体の作製におけるラジカル共重合は、従来公知の方法を使用でき、放射線照射法、ラジカル重合開始剤を用いる方法を使用できる。さらに紫外線照射法により共重合させる場合は、ラジカル重合開始剤として公知の増感剤を使用し、電子線照射により共重合させる場合はラジカル重合開始剤を使用する必要はない。このようにして得られたラジカル共重合体は、ラジカル重合性単量体を用いて形成された繰り返し単位を幹とし、シリコーンを枝とする櫛形グラフト共重合体である。なお、ラジカル重合性モノマーとして、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのような水酸基を含有するモノマーを併用してもよい。
また本発明におけるグラフト共重合体は、市販品を利用することもでき、例えば、サイマックUS−150、US−270、US−350、US−450、レゼダGP−700(以上、東亞合成(株)製)等を挙げることができる。
グラフト共重合体は、前記マトリックス成分100質量部に対し、5〜40質量部の割合で配合するのが好ましい。グラフト共重合体の配合量が5質量部以上であることにより、耐アルカリ性がさらに改善される。また40質量部以下であることにより、低屈折率層の塗工時に塗工ムラが抑制される。さらに好ましい配合割合は、マトリックス成分100質量部に対し、グラフト共重合体10〜30質量部である。
更に、本発明における低屈折率層形成用組成物には、被膜の硬度、耐擦傷性、導電性等の物性を調整することを目的として各種添加剤を配合することもできる。
低屈折率層を形成するための塗料に用いるに好適な有機溶剤としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテルなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等のβ−ジケトン、β−ケトエステルを挙げることができる。
本発明における低屈折率層形成用組成物をハードコート層表面にコーティングする方法としては、ディッピング法、スピンコート法、フローコート法、ロールコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法等が挙げられ、特に限定されるものではないが、膜厚の制御を容易に行うことができることから、ディッピング法、スプレーコート法及びロールコート法で所定の膜厚になるように行うのが好ましい。塗布後は、加熱による硬化等により硬化被膜を形成することができる。
低屈折率層の屈折率は、1.28〜1.50が好ましく、1.30〜1.45がさらに好ましい。また低屈折率層の厚さは、40〜300nmであることが好ましく、60〜150nmであることがより好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、全光線透過率が90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましい。全光線透過率は、JIS K 7361−1にしたがって測定することができる。全光線透過率が90%未満であると、透明性がやや劣り、ディスプレイの反射防止フィルムなどとして使用したとき、画像の鮮映性が低下するおそれがある。
また、本発明の反射防止フィルムは表面抵抗率が1.0×1012Ω/sq.以下であることが好ましく、1.0×1010Ω/sq.以下であることがさらに好ましい。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(屈折率1.65)上に、易接着剤層として水分散性ポリエステル系樹脂を厚さ80nmで塗布し(屈折率1.58)、これを二軸PET(1)とし、その上に下記組成のハードコート層形成用塗料を乾燥膜厚2.5μmとなるように塗布し、乾燥した。続いて、高圧水銀灯により紫外線を照射して塗料を硬化させ、ハードコート層を形成した(屈折率1.64)。
次に、ハードコート層上に、下記組成の低屈折率層形成用塗料Aを乾燥膜厚70nmとなるように塗布し(低屈折率層の屈折率1.39)、乾燥し、本発明の反射防止フィルムを作製した。
(ハードコート層形成用塗料)
・電離放射線硬化型樹脂 100質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)
(日本化薬社製6官能アクリル系紫外線硬化型樹脂、固形分100%、屈折率1.48)
・ガリウムドープ酸化亜鉛(1) 1000質量部
(固形分200質量部)
(ハクスイテック社製、パゼットGK−40、固形分20%、一次粒子径20〜40nm)
・アンチモン酸亜鉛 333質量部
(固形分200質量部)
(日産化学社製、セルナックスCX−Z610M−F2、固形分60%、屈折率1.7)
・末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体 20質量部
(固形分9質量部)
(東亜合成社製マクロモノマーAA−6、末端メタクリレートポリメチルメタクリレート、分子量6000、固形分45%、トルエン希釈)
・光重合開始剤 7質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア(IR)184)
・光重合開始剤 1質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア(IR)907)
・紫外線吸収剤(1) 化合物名 ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 8質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名 TINUVIN284−2)
・溶剤 120質量部
(メチルエチルケトン(MEK)/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM))
(低屈折率層形成用塗料Aの組成)
・下記マトリックス成分A 3333質量部 (固形分100質量部)
・下記シランカップリング剤Aで処理した中空シリカ分散液ゾル 278質量部
(固形分50質量部)
・グラフト共重合体 67質量部
(固形分20質量部)
(東亞合成(株)製、サイマックUS−270、固形分30%、幹部分がアクリル系ポリマーであり、枝部分がシリコーンで構成された櫛型グラフトポリマー)
・溶剤 4850質量部
(メチルイソブチルケトン(MIBK))
(シランカップリング剤Aで処理した中空シリカ分散液ゾルの調整)
中空シリカ分散液ゾル(触媒化成工業社製、ELCOM RK−1018SIV、固形分20%、溶剤はメチルイソブチルケトン(MIBK)、中空シリカの平均粒子径は、40nm)100質量部に、シランカップリング剤A(TSL−8311、GE東芝シリコン製、ビニルトリエトキシシラン、固形分2%、溶剤はメタノ−ル)10質量部を添加して、よく攪拌し、シランカップリング処理した分散液ゾル。(固形分18%)
(マトリックス成分Aの調製)
攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた1リットルフラスコに、下記のジシラン化合物(1)29.9g(0.05モル)、及びt−ブタノール125gを仕込み、25℃で攪拌しているところに、0.1N酢酸水10gを10分かけて滴下。更に25℃で20時間攪拌し、加水分解を終了し、ここに縮合触媒としてアルミニウムアセチルアセトナート2g、レベリング剤としてポリエーテル変性シリコーン1gを加え、更に30分間攪拌し、得た溶液に、エタノール670g、プロピレングリコールモノメチルエーテル40g、ジアセトンアルコール40gを加えて希釈し調整した塗料。(固形分3%)
(CH3O)3Si−C24−C612−C24−Si(OCH33 (1)
得られた反射防止フィルムについて、下記の評価を行った。
(1)最低反射率
分光光度計[(株)島津製作所製、Solid Spec3700]を用いて、波長380〜780nmの反射率を測定し、その最低値を記録する。波形が波打つ場合には、スムージング処理を行い最低値を求める。
(2)全光線透過率
JIS K 7136にしたがい、濁度計〔日本電色工業(株) NDH2000〕を用いて測定した。
(3)ヘーズ
JIS K 7136にしたがい、濁度計〔日本電色工業(株) NDH2000〕を用いて測定した。
(4)鉛筆硬度
JIS K 5400 8.4.2にしたがい、鉛筆[三菱鉛筆(株)、ユニ]を用いて塗膜のすり傷で評価する。
(5)耐スチールウール性
スチールウール[日本スチールウール(株)、#0000]を丸めて200gの荷重をかけて10往復させて擦り、傷の状態を観察し、下記の基準により耐擦傷性を判定する。
○:傷がまったくつかない。
△:傷が1〜9本認められる。
×:傷が10本以上認められる。
(6)表面抵抗率
抵抗率計〔三菱化学(株)、ハイレスターMCP−HT450〕を用いて測定した。
(7)カール性
10cm×10cmのサイズにサンプルを作成し、サンプルを水平面に置いた際の4隅のカール高さを測定し、下記の基準により判定する。
○:カール高さが20mm未満
△:カール高さが20mm以上50mm未満
×:カール高さが50mm以上
(8)耐アルカリ性
2%NaOH水溶液をフィルム表面に滴下し、20分放置後に拭取り、汚染状況を目視にて、下記の基準により判定する。
○:汚染が見られない。
△:僅かに汚染される。
×:著しく汚染される。
(9)紫外線カット性
分光光度計[(株)島津製作所製、Solid Spec3700]を用いて、380nmの透過率を測定し、下記の基準により判定する。
○:380nmの透過率が、5%未満
△:380nmの透過率が、5%以上50%未満
×:380nmの透過率が、50%以上
(10)スモッグ(白化)
得られたフィルムを白熱灯下で目視で反射検査し、下記の基準により判定する。
○:白い雲状の塗布ムラ(白化)が、全く認められない。
△:白い雲状の塗布ムラ(白化)が、若干認められる。
×:白い雲状の塗布ムラ(白化)が、大きい。
(11)干渉縞
反射防止フィルムを黒い紙の上に置き、三波長形蛍光ランプ[松下電器産業(株)、パルック、20W、昼白色]で照らして蛍光ランプの像の周りの干渉縞を観察し、下記の基準により干渉縞を判定する。
◎:干渉縞がまったく認められない。
○:干渉縞がほとんど認められない。
△:干渉縞がかすかに認められる。
×:干渉縞が明瞭に認められる。
結果を下記表1に示す。
実施例2
実施例1において、ガリウムドープ酸化亜鉛(1)を625質量部(固形分125質量部)、アンチモン酸亜鉛を208質量部(固形分125質量部)使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、DPHAの使用量を50質量部に変更し、さらに、ペタリスリトールトリアクリレートPETA(東亞合成社製、3官能アクリル系紫外線硬化型樹脂、固形分100%、屈折率1.49)を50質量部添加し、さらに、ガリウムドープ酸化亜鉛(1)を1375質量部(固形分275質量部)、アンチモン酸亜鉛を550質量部(固形分275質量部)使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表1に示す。
実施例4
実施例1において、ガリウムドープ酸化亜鉛(1)を1200質量部(固形分240質量部)、アンチモン酸亜鉛を267質量部(固形分160質量部)使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表1に示す。
実施例5
実施例1において、ガリウムドープ酸化亜鉛(1)を800質量部(固形分160質量部)、アンチモン酸亜鉛を400質量部(固形分240質量部)使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表1に示す。
実施例6
実施例1において、ガリウムドープ酸化亜鉛(1)を1600質量部(固形分320質量部)、アンチモン酸亜鉛を133質量部(固形分80質量部)使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表2に示す。
実施例7
実施例1において、ガリウムドープ酸化亜鉛(1)を400質量部(固形分80質量部)、アンチモン酸亜鉛を533質量部(固形分320質量部)使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表2に示す。
実施例8
実施例1において、ハードコート層の厚さを4.0μmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表2に示す。
実施例9
実施例1において、ガリウムドープ酸化亜鉛(1)を625質量部(固形分125質量部)、アンチモン酸亜鉛を208質量部(固形分125質量部)使用し、ハードコート層の厚さを1.5μmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表2に示す。
実施例10
実施例1において、ハードコート層形成用塗料中の末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体(東亜合成社製マクロモノマーAA−6)を使用しなかったこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表2に示す。
実施例11
実施例1において、ガリウムドープ酸化亜鉛(1)を下記のガリウムドープ酸化亜鉛(2)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表3に示す。
ガリウムドープ酸化亜鉛(2):ハクスイテック(株)製、パゼットGK−1、ガリウムをドープした酸化亜鉛、固形分20%、一次粒子径0.25〜2μm。
実施例12
実施例1において、紫外線吸収剤(1)を下記の紫外線吸収剤(2)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表3に示す。
紫外線吸収剤(2): 化合物名 ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、(チバ・ジャパン社製、商品名 CHIMASSORB81)
実施例13
実施例1において、低屈折率層形成用塗料Aを下記低屈折率層形成用塗料Bに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表3に示す。
低屈折率層形成用塗料B:低屈折率層形成用塗料Aの組成において、シランカップリング剤Bで処理した中空シリカ分散液ゾルを使用した。
シランカップリング剤B:KBM−5103、信越シリコーン(株)製、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、固形分2%、溶剤はメタノール
実施例14
実施例1において、低屈折率層形成用塗料Aを下記低屈折率層形成用塗料Cに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表3に示す。
低屈折率層形成用塗料C:低屈折率層形成用塗料Aの組成において、シランカップリング剤Aで処理した中空シリカ分散液ゾルの添加量を555質量部(固形分100質量部)に変更したこと以外は、同様の処方である。
実施例15
実施例1において、低屈折率層形成用塗料Aを下記低屈折率層形成用塗料Dに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表3に示す。
低屈折率層形成用塗料D:低屈折率層形成用塗料Aの組成において、シランカップリング剤Aで処理した中空シリカ分散液ゾルの添加量を833質量部(固形分150質量部)に変更したこと以外は、同様の処方である。
比較例1
実施例1において、ガリウムドープ酸化亜鉛(1)を375質量部(固形分75質量部)、アンチモン酸亜鉛を125質量部(固形分75質量部)使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表4に示す。
比較例2
実施例1において、ガリウムドープ酸化亜鉛(1)を1750質量部(固形分350質量部)、アンチモン酸亜鉛を583質量部(固形分350質量部)使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表4に示す。
比較例3
実施例1において、ガリウムドープ酸化亜鉛(1)を1900質量部(固形分380質量部)、アンチモン酸亜鉛を33質量部(固形分20質量部)使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表4に示す。
比較例4
実施例1において、ガリウムドープ酸化亜鉛(1)を100質量部(固形分20質量部)、アンチモン酸亜鉛を633質量部(固形分380質量部)使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表4に示す。
比較例5
実施例1において、ガリウムドープ酸化亜鉛(1)を2000質量部(固形分400質量部)使用し、アンチモン酸亜鉛を使用しなかったこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表4に示す。
比較例6
実施例1において、ガリウムドープ酸化亜鉛(1)を使用せず、アンチモン酸亜鉛を667質量部(固形分400質量部)使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表5に示す。
比較例7
実施例1において、ハードコート層の厚さを0.2μmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表5に示す。
比較例8
実施例1において、ハードコート層の厚さを6.0μmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表5に示す。
比較例9
実施例1において、低屈折率層形成用塗料Aを下記低屈折率層形成用塗料Eに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表6に示す。
低屈折率層形成用塗料E:低屈折率層形成用塗料Aの組成において、シランカップリング剤Aで処理した中空シリカ分散液ゾルを除いた処方。
比較例10
実施例1において、低屈折率層形成用塗料Aを下記低屈折率層形成用塗料Fに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表6に示す。
低屈折率層形成用塗料F:低屈折率層形成用塗料Aの組成において、シランカップリング剤Aで処理した中空シリカ分散ゾルを、シランカップリング剤で処理していない中空シリカ分散液ゾルに変更し、これを250質量部(固形分50質量部)添加した処方。
比較例11
実施例1において、低屈折率層形成用塗料Aを下記低屈折率層形成用塗料Gに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表6に示す。
低屈折率層形成用塗料G:低屈折率層形成用塗料Aの組成において、シランカップリング剤Aで処理した中空シリカ分散ゾルを、シランカップリング剤で処理していない中空シリカ分散液ゾルに変更し、これを750質量部(固形分150質量部)添加した処方。
Figure 2009157233
Figure 2009157233
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Figure 2009157233
Figure 2009157233
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上記表から次の各事項が導き出される。
・実施例1は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム上に、特定の厚さおよび材料構成を有するハードコート層と、特定の材料構成を有する低屈折率層とを順次設けたことにより、干渉縞が目立たず、最低反射率が低く、透明性、耐スチールウール性、帯電防止性、カール性に優れた性質を有するとともに、透明性と帯電防止性のバランスに優れ、耐アルカリ性を改善し、紫外線カット性に優れ、さらに製造時にスモッグ(白化)の発生しない反射防止フィルムを提供することができた。
・実施例2は、ガリウムドープ酸化亜鉛125質量部、アンチモン酸亜鉛125質量部を添加した例で、干渉縞は、○評価になった。最低反射率もやや悪化した。それ以外の性能は良好であった。
・実施例3は、ガリウムドープ酸化亜鉛275質量部、アンチモン酸亜鉛275質量部を添加した例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例4は、ガリウムドープ酸化亜鉛240質量部、アンチモン酸亜鉛160質量部を添加した例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例5は、ガリウムドープ酸化亜鉛160質量部、アンチモン酸亜鉛240質量部を添加した例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例6は、ガリウムドープ酸化亜鉛320質量部、アンチモン酸亜鉛80質量部を添加した例で、表面抵抗率がやや悪化した。それ以外の性能は良好であった。
・実施例7は、ガリウムドープ酸化亜鉛80質量部、アンチモン酸亜鉛320質量部を添加した例で、ヘーズがやや悪化した。それ以外の性能は良好であった。
・実施例8は、ハードコート層の厚さを4.0μmにした例で、干渉縞が○評価になった。それ以外の性能は良好であった。
・実施例9は、ガリウムドープ酸化亜鉛125質量部、アンチモン酸亜鉛125質量部を添加し、ハードコート層の厚さを1.5μmにした例で、最低反射率がやや悪化した。それ以外の性能は良好であった。
・実施例10は、マクロモノマーを添加しなかった例で、カール性がやや悪化した。それ以外の性能は良好であった。
・実施例11は、ガリウムドープ酸化亜鉛(2)を使用した例で、へーズがやや悪化した。それ以外の性能は良好であった。
・実施例12は、紫外線吸収剤(2)を使用した例で、紫外線カット性が、やや悪化した。それ以外の性能は良好であった。
・実施例13は、低屈折率層形成用塗料Bを使用した例で、スモッグ(白化)がやや悪化した。それ以外の性能は良好であった。
・実施例14は、低屈折率層形成用塗料Cを使用した例で、最低反射率が良好な値になったが、耐アルカリ性がやや悪化した。それ以外の性能は良好であった。
・実施例15は、低屈折率層形成用塗料Dを使用した例で、最低反射率が良好な値になったが、耐アルカリ性がやや悪化した。それ以外の性能は良好であった。
・比較例1は、ガリウムドープ酸化亜鉛75質量部、アンチモン酸亜鉛75質量部を添加した例で、本発明の範囲外であるため、干渉縞が×評価であった。また、最低反射率もやや悪化した。
・比較例2は、ガリウムドープ酸化亜鉛350質量部、アンチモン酸亜鉛350質量部を添加した例で、本発明の範囲外であるため、干渉縞が×評価であった。また、耐スチールウール性もやや悪化した。
・比較例3は、ガリウムドープ酸化亜鉛380質量部、アンチモン酸亜鉛20質量部を添加した例で、本発明の範囲外であるため、表面抵抗率が悪化した。
・比較例4は、ガリウムドープ酸化亜鉛20質量部、アンチモン酸亜鉛380質量部を添加した例で、本発明の範囲外であるため、ヘーズが悪化した。
・比較例5は、ガリウムドープ酸化亜鉛400質量部を添加し、アンチモン酸亜鉛を添加しなかった例で、本発明の範囲外であるため、表面抵抗率が悪化した。
・比較例6は、アンチモン酸亜鉛400質量部を添加し、ガリウムドープ酸化亜鉛を添加しなかった例で、本発明の範囲外であるため、ヘーズが悪化した。
・比較例7は、ハードコート層の厚さを0.2μmにした例で、本発明の範囲外であるため、干渉縞、耐スチールウール性が×評価であった。
・比較例8は、ハードコート層の厚さを6.0μmにした例で、本発明の範囲外であるため、干渉縞が×評価であった。
・比較例9は、低屈折率層形成用塗料E使用した例で、本発明の範囲外であるため、最低反射率が悪化した。
・比較例10は、低屈折率層形成用塗料F使用した例で、本発明の範囲外であるため、スモッグ(白化)が×評価であった。
・比較例11は、低屈折率層形成用塗料G使用した例で、本発明の範囲外であるため、スモッグ(白化)、耐アルカリ性が×評価であった。
本発明の反射防止フィルムは、干渉縞が目立たず、最低反射率が低く、透明性、耐スチールウール性、帯電防止性、カール性に優れた性質を有するとともに、透明性と帯電防止性のバランスに優れ、優れた耐アルカリ性および紫外線カット性を有し、さらに製造時にスモッグ(白化)が発生しないので、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、パソコン、テレビ、タッチパネル等のディスプレイ表面の反射防止に有用である。

Claims (9)

  1. 二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム上にハードコート層を有し、さらに前記ハードコート層上に低屈折率層を有する反射防止フィルムであって、
    前記ハードコート層の厚さが0.5〜5μmであり、
    前記ハードコート層が、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に、ガリウムドープ酸化亜鉛およびアンチモン酸亜鉛からなる混合物(ただし、ガリウムドープ酸化亜鉛:アンチモン酸亜鉛=9:1〜1:9(質量比)である)を200〜600質量部を配合して、これを硬化して形成されたものであり、
    前記低屈折率層が、フッ素原子を1個以上含有する2価の有機基を有するジシラン化合物又はその(部分)加水分解物を主成分とするマトリックス成分、及びシランカップリング剤で処理された中空シリカ粒子を含有する低屈折率層形成用組成物から形成され、
    前記低屈折率層形成用組成物が、前記マトリックス成分100質量部に対し、前記シランカップリング剤で処理された中空シリカ粒子20〜160質量部を配合してなることを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 前記電離放射線硬化型樹脂100質量部に、さらに末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体5〜20質量部を配合することを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 前記電離放射線硬化型樹脂100質量部に、さらに紫外線吸収剤0.5〜20質量部を配合することを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系であることを特徴とする請求項3に記載の反射防止フィルム。
  5. 前記分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが、ジペンタエリスルトールヘキサアクリレートであることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  6. 前記ガリウムドープ酸化亜鉛の一次粒子径が5〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  7. 前記ジシラン化合物が、下記式(1)
    m1 3-mSi−Y−SiR1 3-mm (1)
    (式中、R1は、炭素数1〜6の1価炭化水素基、Yはフッ素原子を1個以上含有する2価有機基、Xは加水分解性基、mは1、2又は3である。)
    で示されることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  8. 前記シランカップリング剤で処理された中空シリカ粒子の平均粒子径が、5〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  9. 前記シランカップリング剤が、ビニルシラン系のカップリング剤であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
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