JP2008116597A - 反射防止フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 干渉縞が目立たず、最低反射率が低く、透明性、耐スチールウール性、帯電防止性、カール性に優れた反射防止フィルムの提供。
【解決手段】 二軸延伸PET上にハードコート層を有し、さらにその上に高屈折率層および低屈折率層をこの順で有する反射防止フィルムであって、前記ハードコート層の厚さが0.5〜5μmであり、前記ハードコート層が、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に、末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体5〜20質量部を配合し、これを硬化して形成されたものであり、前記ハードコート層の屈折率が1.47〜1.51であり、前記PETとハードコート層との間には、易接着剤層が設けられ、かつ前記易接着剤層の屈折率が1.56〜1.59である反射防止フィルム。
【選択図】 図1

Description

本発明は、反射防止フィルムに関するものであり、詳しくは、とくに干渉縞が目立たず、最低反射率が低く、透明性、耐スチールウール性、帯電防止性、カール性に優れた反射防止フィルムに関するものである。
現在、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、パソコン、テレビ、タッチパネル等のディスプレイの表面には、傷つき防止性能および反射防止性能をともに有する反射防止フィルムが取り付けられることが多い。このような反射防止フィルムは、基材フィルム上にハードコート層、高屈折率層および低屈折率層を順次設けた構造を有する。
しかし、従来の反射防止フィルムは、干渉縞が目立つという課題がある。
干渉縞は、透明な薄膜に白色光があたると、薄膜の表面から反射する光といったん薄膜に入ってその後ろの面から反射する光が干渉を起こして、部分的な虹彩状色彩が見られる現象である。これは見る方向により強めあう波長が変わるためである。この現象は使用者にとって見づらいばかりか不快な印象を与える場合があり、改善を求められている。
この課題を解決するために、例えば特許文献1には、透明基材フィルム上に、屈折率が1.5〜1.7の中屈折率層、屈折率が1.6〜1.8の高屈折率層、さらに高屈折率層より低い屈折率材料からなる低屈折率層が、この順に透明基材フィルム側から積層されており、かつ屈折率1.5〜1.8の微粒子であって、高屈折率層の屈折率との差が±0.1以内の微粒子が高屈折率層中に分散含有され、高屈折率層表面が微細凹凸構造を形成している反射防止ハードコートシートが提案されている。しかし、コート層中に微粒子を分散させ、表面に凹凸構造を形成させると、画像の鮮鋭性が低下する。
また特許文献2には、高いハードコート性及び透視解像性を維持しながら、透明ハードコート膜の厚みムラに起因する干渉縞が目立たない透明ハードコートフィルムとして、透明高分子フィルムと、該透明高分子フィルムの少なくとも一方の面に設けられた透明ハードコート膜とを有し、L***表色系におけるb*値が0.5以下である透明ハードコートフィルムが提案されている。しかし、ハードコートフィルムは、それぞれの用途に応じて色調が選ばれるものであり、b*値を0.5以下に限るとその用途も限られてしまう。
さらに特許文献3には、良好な分散性を有する金属酸化物超微粒子を含有する電離放射線硬化型樹脂を用いてハードコート層を形成し、干渉縞の発生を防止したハードコート層を有する光学材料用プラスチックフィルムの製造方法として、酸化ケイ素皮膜を形成し、さらにカップリング剤で表面処理した金属酸化物超微粒子を電離放射線硬化型樹脂に分散させ、該樹脂を基材プラスチックフィルムに塗工する方法が提案されている。しかし、粒径数十nmの金属酸化物超微粒子に酸化ケイ素皮膜を形成し、カップリング剤で表面処理して、樹脂中に分散させる工程は煩雑であり、コスト高にならざるを得ない。
なお干渉縞の課題は、上記従来技術ではいずれも完全に解消されていない。
また現在のところ、干渉縞の課題が解消され、しかも最低反射率が低く、耐スチールウール性、帯電防止性、カール性に優れたものは知られていない。
特開2003−75605号公報 特開2003−334891号公報 特許3383039号公報
本発明の目的は、干渉縞が目立たず、最低反射率が低く、透明性、耐スチールウール性、帯電防止性、カール性に優れた反射防止フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム上に、特定屈折率を有する易接着剤層と、特定の厚さ、材料構成および特定屈折率を有するハードコート層とを設け、さらに該ハードコート層上に高屈折率層および低屈折率層を順次設けることにより、上記課題が解決され得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム上にハードコート層を有し、さらに前記ハードコート層上に高屈折率層および低屈折率層をこの順で有する反射防止フィルムであって、
前記ハードコート層の厚さが0.5〜5μmであり、
前記ハードコート層が、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に、末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体5〜20質量部を配合し、これを硬化して形成されたものであり、
前記ハードコート層の屈折率が1.47〜1.51であり、
前記基材フィルムとハードコート層との間には、易接着剤層が設けられ、かつ
前記易接着剤層の屈折率が1.56〜1.59であることを特徴とする反射防止フィルム。
(2)前記分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであることを特徴とする前記(1)に記載の反射防止フィルム。
(3)前記高屈折率層が、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に、アンチモン酸亜鉛を100〜600質量部を配合し、これを硬化して形成されたものであることを特徴とする前記(1)に記載の反射防止フィルム。
(4)前記低屈折率層が、シリコーン骨格を有するマトリックス成分100質量部に中空シリカ粒子を20〜100質量部を含むことを特徴とする前記(1)に記載の反射防止フィルム。
(5)前記中空シリカ粒子の平均粒子径が、5〜100nmであることを特徴とする前記(4)に記載の反射防止フィルム。
本発明の反射防止フィルムは、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム上に、特定屈折率を有する易接着剤層と、特定の厚さ、材料構成および特定屈折率を有するハードコート層とを設け、さらに該ハードコート層上に低屈折率層および高屈折率層を順次設けた構成を有するので、とくに干渉縞が目立たず、最低反射率が低く、透明性、耐スチールウール性、帯電防止性、カール性に優れた反射防止フィルムを提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(基材フィルム)
本発明に用いる基材フィルムは、透明性を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる。二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、機械的強度と寸法安定性が良好なので好適に用いられる。
基材フィルムの屈折率は、通常1.64〜1.66である。なお、本発明でいう屈折率とは、JIS K 7142に準じ、アッベ屈折計を用いて測定した値である。また基材フィルムの厚さは、例えば20〜250μmである。
(ハードコート層)
本発明におけるハードコート層は、以下の(1)、(2)および(3)の要件を満たす必要がある。
(1)厚さが0.5〜5μmである。
厚さが0.5μm未満では、鉛筆硬度が低下し、耐スチールウール性も低下する。厚さが5μmを超えると、干渉縞の防止効果が発揮されない。好ましい厚さは、0.8〜4.0μmであり、さらに好ましい厚さは、1.2〜3.0μmである。
(2)分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に、末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体5〜20質量部を配合し、これを硬化して形成される。
(3)屈折率が1.47〜1.51である。
分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート等を挙げることができる。好ましい具体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートが挙げられ、中でもジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートがとくに好ましい。これらの多官能(メタ)アクリレ−トは単独で用いても又は2種以上混合して用いてもよい。
末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体としては、末端メタクリレートポリメチルメタクリレート、末端スチリルポリメタクリレート、末端メタクリレートポリスチレン、末端メタクリレートポリエチレングリコール、末端メタクリレートアクリロニトリル−スチレン共重合体、末端メタクリレートスチレン−メチルメタクリレート共重合体等を挙げることができ、その質量平均分子量は5000〜10000が好ましい。末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体の市販品としては、マクロモノマーAA−6、AS−6S、AN−6S、AW−6S(東亞合成(株)製)等を挙げることができる。
本発明におけるハードコート層は、上記の2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に、末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体5〜20質量部を配合した組成物を用いて形成される。末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体が5質量未満では、干渉縞の防止効果が発揮されず、また、カール性に劣る結果となり、20質量部を超えると干渉縞の防止効果が発揮されず、また、ヘーズが上昇し透明性が低下する。
さらに好ましい配合割合は、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体5〜15質量部である。
ハードコート層は、基材フィルム上に上記組成物を塗料として塗布、乾燥し、電離放射線照射により硬化させることにより形成することができる。電離放射線に特に制限はなく、例えば、電子線、放射線、紫外線などを挙げることができる。電離放射線の中で、紫外線は装置が簡単であり、取り扱いか容易であることから、特に好適に用いることができる。電離放射線を照射して架橋させることにより、JIS K 5400において定義される鉛筆硬度H以上の塗膜を形成することができる。
電離放射線が紫外線の場合、光重合開始剤が通常添加される。光重合開始剤としては特に制限はなく、例えばイルガキュアー184,907,651,1700,1800,819,369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ダロキュアー1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、エザキュアーKIP150、TZT(日本シイベルヘグナー社製)、ルシリンTPO(BASF社製)、カヤキュアBMS(日本化薬製)等が挙げられる。
また上記組成物は、必要に応じて各種添加剤を併用できることは勿論である。
得られたハードコート層は、屈折率が、1.47〜1.51である。この屈折率の範囲外であると干渉縞の防止効果が発現しない。さらに好ましい屈折率は、1.48〜1.50である。
(易接着剤層)
本発明の反射防止フィルムは、基材フィルムとハードコート層との間に、両者の密着性を向上させるとともに干渉縞の防止効果を向上させる目的で易接着剤層が設けられる。
本発明における易接着剤層は、屈折率が1.56〜1.59であることが必要である。屈折率のこの範囲を外れると、干渉縞の防止効果が発現しない。さらに好ましい屈折率は、1.57〜1.58である。
易接着剤層の材質は、上記屈折率の範囲を満たし、透明であって、基材フィルムとハードコート層の密着性を向上させるものであれば、とくに制限されないが、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂およびそれらの共重合体等が挙げられる。易接着剤層の厚さは特に限定されないが、0.03〜0.30μmが好ましく、0.05〜0.20μmがさらに好ましい。易接着剤層は、基材フィルム上に公知のコーティング技術により設けることができる。
(高屈折率層)
本発明の反射防止フィルムは、前記ハードコート層上に高屈折率層を設けてなる。本発明における高屈折率層は、とくに制限されず、公知の高屈折率層を適宜採用することができる。例えば、本発明において高屈折率層は、例えば高屈折率層を形成しうるマトリックス成分に、高屈折率材料である酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、さらにこれらの金属酸化物微粒子にアンチモン、錫等の異種元素をドープした微粒子を高屈折率層形成用マトリックスに分散させ、塗料とし、これを塗布等により形成した層であることができる。
本発明では、高屈折率層形成用のマトリックスとして、ハードコート層との密着性や塗工性等の条件に適合する樹脂等から選択して用いることができ、具体的には前記ハードコート層を形成するために用いられる電離放射線硬化型樹脂、あるいは、熱硬化型樹脂等が挙げられる。中でも本発明では、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂が好ましい。該電離放射線硬化型樹脂は、ハードコート層に用いられるものと同様の成分が好ましい。
本発明において、高屈折率層としてとくに好ましい形態は、高屈折率層が、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に、アンチモン酸亜鉛を100〜600質量部を配合し、これを硬化して形成されたものである。
アンチモン酸亜鉛は公知であり、例えば特開平6−219743号公報、特開平9−211221号公報等に開示されている。該公報には、ZnO/Sb2 5 のモル比が0.8〜1.2であって、5〜200nmの1次粒子径を有する導電性無水アンチモン酸亜鉛の粉末が開示され、本発明に使用することができる。また、上記アンチモン酸亜鉛は、ZnO/Sb2 5 のモル比が0.8〜1.2となる割合で、焼成により酸化亜鉛を生成する亜鉛化合物と、焼成により酸化アンチモンを生成するアンチモン化合物との混合物を焼成することにより、製造することができる。焼成温度は、例えば500〜680℃である。
またアンチモン酸亜鉛は、その一次粒子径が0.5ミクロン以下の無水アンチモン酸亜鉛ゾルとして入手することができる。例えば、メタノール(セルナックスCX−Z400、セルナックスCX−Z603M−F2、日産化学(株)製)あるいはメタノール/イソプロパノール(セルナックス CX−Z300IM、日産化学(株)製)のオルガノゾルとして入手できる。
上記無水アンチモン酸亜鉛ゾルは、メタノール中では安定で凝集して粒子径が大きくなるようなことはないが、電離放射線硬化型樹脂中で不安定で凝集して粒子径が大きくなったり、分散が破壊されて分離、沈降してしまう。したがって、高屈折率層のマトリックスとして電離放射線硬化型樹脂を使用する場合、分散剤を使用してアンチモン酸亜鉛をマトリックス中に均一に分散することが好ましい。この場合の分散剤としては、カチオン系、弱カチオン系、ノニオン系あるいは両性界面活性剤が有効であり、特にアルキルアミンEO・PO付加体(例えばソルスパース20000、日本ルーブリゾール社製)、アルキルアミンEO付加体(例えばTAMNO−15、TAMNS−10及びTAMNO−5、日光ケミカル(株)製)及びエチレンジアミンPO−EO縮合物(例えばプルロニックTR−701、TR−702及びTR−704、旭電化工業(株)製)などが好ましい。その添加量はアンチモン酸亜鉛100質量部に対し、0.1〜5質量部が有効である。なお、アルキルアミンのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、ラウリル基、ステアリル基等をあげることができる。また、EO(エチレンオキサイド)やPO(プロピレンオキサイド)の付加モル数としては、アミン1モルに対し数モル〜100モルぐらいまでが適当しているが、これに限定されるものではない。
前述のように、アンチモン酸亜鉛は、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、100〜600質量部を配合するのが好ましく、200〜500質量部を配合するのがさらに好ましい。
高屈折率層の屈折率は、1.60以上が好ましい。さらに好ましい屈折率は、1.70〜1.80である。また、高屈折率の厚さは、30〜500nmが好ましく、50〜250nmがさらに好ましい。
(低屈折率層)
本発明における低屈折率層は、とくに制限されず、公知の低屈折率層を適宜採用することができる。例えば、低屈折率層を形成しうるマトリックス成分に、低屈折率材料であるポリシロキサン、中空シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素樹脂などの微粒子を分散させ、塗料とし、これを塗布等により形成した層であることができる。
本発明では、マトリックス成分としてシリコーン骨格を有する材料を使用するのが好ましく、さらに好ましくは、当該マトリックス成分100質量部に中空シリカ粒子を20〜100質量部を含む低屈折率層が好ましい。このような低屈折率層によれば、最低反射率を落とさずに優れた耐アルカリ性を示す反射防止フィルムを提供できる。
シリコーン骨格を有するマトリックス成分として、加水分解性有機珪素化合物を用いることができる。具体的には、たとえば、アルコキシシランとアルコールの混合物に、水および触媒として酸またはアルカリを加えることにより、アルコキシシランの部分加水分解物が好適に使用される。
加水分解性有機珪素化合物としては、一般式RnSi(OR')4-n〔R、R':アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基、等の炭化水素基、n=0、1、2または3〕で表されるアルコキシシランを用いることができる。特にテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシランなどのテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。アルコキシシランの加水分解・部分縮合物が加熱により縮合硬化していく過程を経て、主骨格がシロキサン結合で構成される硬化被膜を形成する。
さらに、シリコーン骨格を有するマトリックス成分としては、下記の式(1)の構造を有するジシラン化合物またはその(部分)加水分解物が好ましい。
m1 3-mSi−Y−SiR1 3-mm (1)
(式中、R1は炭素数1〜6の1価炭化水素基、Yはフッ素原子を1個以上含有する2価有機基、Xは加水分解性基、mは1、2又は3である。)
Yとしては、下記構造が例示される。
−C24−(CF2n−C24
−C24−CF(CF3)−(CF2n−CF(CF3)−C24
−C24−CF(C25)−(CF2n−CF(C25)−C24
−C24−CF(CF3)CF2−O(CF2nO−CF2CF(CF3)−C24
(但し、nは2〜20である。)
−C24−C610−C24
−C24−C64−C24
加水分解性基Xの具体例としては、Clなどのハロゲン原子、OR2(R2は炭素数1〜6の1価炭化水素基)で示されるオルガノオキシ基が挙げられ、特にメトキシ基、エトキシ基のシラン化合物が取り扱い易く、加水分解時の反応の制御もし易いため、好ましい。
好ましいジシラン化合物としては、
(CH3O)3Si−C24−(CF24−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−(CF26−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−(CF28−C24−Si(OCH33
(C25O)3Si−C24−(CF24−C24−Si(OC253
(C25O)3Si−C24−(CF26−C24−Si(OC253
等が挙げられる。
また、下記式(2)で示されるフッ素原子置換有機基を含有する有機珪素化合物又はその(部分)加水分解物を式(1)のジシラン化合物と併用してもよい。
Rf−SiX3 (2)
(式中、Rfはフッ素原子を1個以上含有する1価有機基、Xは加水分解性基である。)
Rfはフッ素原子を1個以上、好ましくは3〜25個、特に好ましくは3〜17個含有するのが好ましい。さらに好ましいRfは下記のものを例示することができる。
CF324
CF3(CF2324
CF3(CF2724
Xは、前述の通りである。
式(1)の構造を有するジシラン化合物と、式(2)で示される有機珪素化合物とを混合して使用する場合、ジシラン化合物の含有率は、60質量%以上100質量%未満とすることが望ましい。また、本発明においては、ジシラン化合物と有機珪素化合物との混合物を共加水分解したものを使用してもよい。
中空シリカ粒子は、シリカを主成分とする外殻層を有し、内部が多孔質または空洞となっている粒子である。中空シリカ粒子の平均粒子径は5〜100nmが好ましく、10〜80nmがさらに好ましい。
前述のように、本発明におけるシリコーン骨格を有するマトリックス成分100質量部に対し、中空シリカ粒子を20〜100質量部を含むことが好ましく、さらに好ましくは、シリコーン骨格を有するマトリックス成分100質量部に対し、中空シリカ粒子が30〜80質量部である。当該組成物は、市販されているものを利用することができ、例えば、触媒化成工業(株)製、ELCOM P−5012が利用できる。
低屈折率層の屈折率は、1.28〜1.50が好ましく、1.30〜1.45がさらに好ましい。また低屈折率層の厚さは、40〜300nmであることが好ましく、60〜150nmであることがより好ましい。
更に、本発明における高屈折率層および/または低屈折率層には、被膜の硬度、耐擦傷性、導電性等の物性を調整することを目的として各種添加剤を配合することもできる。
高屈折率層および低屈折率層を形成するための塗料に用いるに好適な有機溶剤としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテルなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等のβ−ジケトン、β−ケトエステルを挙げることができる。
本発明の反射防止フィルムは、全光線透過率が90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましい。全光線透過率は、JIS K 7361−1にしたがって測定することができる。全光線透過率が90%未満であると、透明性がやや劣り、ディスプレイの反射防止フィルムなどとして使用したとき、画像の鮮鋭性が低下するおそれがある。
また、本発明の反射防止フィルムは表面抵抗率が1.0×1012Ω/sq.以下であることが好ましく、1.0×1010Ω/sq.以下であることがさらに好ましい。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(屈折率1.65)上に、易接着剤層として水分散性ポリエステル系樹脂を厚さ0.1μmで塗布し(屈折率1.57)、その上に下記組成のハードコート層形成用塗料を乾燥膜厚2.5μmとなるように塗布し、乾燥した。続いて、高圧水銀灯により紫外線を照射して塗料を硬化させ、ハードコート層を形成した(屈折率1.49)。
次に、ハードコート層上に、下記組成の高屈折率層形成用塗料B−1を乾燥膜厚80nmとなるように塗布し(高屈折率層の屈折率1.70)、乾燥し、さらに高屈折率層上に下記組成の低屈折率層形成用塗料A−1を乾燥膜厚70nmとなるように塗布し(低屈折率層の屈折率1.39)、乾燥し、本発明の反射防止フィルムを作製した。
(ハードコート層形成用塗料)
・電離放射線硬化型樹脂 100質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(日本化薬社製6官能アクリル系紫外線硬化型樹脂、固形分100%)
・末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体 20質量部
(固形分9質量部)
(東亜合成社製マクロモノマーAA−6、
末端メタクリレートポリメチルメタクリレート、分子量6000、
固形分45%、トルエン希釈)
・光重合開始剤 7質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア(IR)184)
・光重合開始剤 1質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア(IR)907)
・溶剤 120質量部
(メチルエチルケトン(MEK)/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM))
(高屈折率層形成用塗料B−1)
・マトリックス成分 100質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(日本化薬社製6官能アクリル系紫外線硬化型樹脂、固形分100%)
・アンチモン酸亜鉛 400質量部
(固形分240質量部)
(日産化学製、セルナックスCX−Z603M−F2、固形分60%、
屈折率1.7)
・光重合開始剤 20質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア(IR)184)
・分散剤 4質量部
(固形分0.8質量部)
(日本ルーブリゾール社製、ソルスパース20000、
アルキルアミンEO・PO付加体、固形分20%)
(低屈折率層形成用塗料A−1)
・下記マトリックス成分 100質量部
・中空シリカ粒子 7質量部
(触媒化成工業社製、ELCOM RK−1018SIV、中空シリカ分散ゾル、
固形分20%、溶剤はメチルイソブチルケトン(MIBK))
・溶剤 42質量部
(メチルイソブチルケトン(MIBK))
(マトリックス成分)
攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた1リットルフラスコに、下記のジシラン化合物(1)29.9g(0.05モル)、及びt−ブタノール125gを仕込み、25℃で攪拌しているところに、0.1N酢酸水10gを10分かけて滴下。更に25℃で20時間攪拌し、加水分解を終了し、ここに縮合触媒としてアルミニウムアセチルアセトナート2g、レベリング剤としてポリエーテル変性シリコーン1gを加え、更に30分間攪拌し、得た溶液に、エタノール670g、プロピレングリコールモノメチルエーテル40g、ジアセトンアルコール40gを加えて希釈し調整した塗料。(固形分3%)
(CH3O)3Si−C24−C612−C24−Si(OCH33 (1))
得られた反射防止フィルムについて、下記の評価を行った。ただし、(9)反射率のうねり振幅(545nm)の評価については,、基材フィルム上にハードコート層のみを塗工したフィルムサンプルで、試験を行なった。
(1)最低反射率
分光光度計[日本分光(株)、U−best V−570]を用いて、波長380〜780nmの反射率を測定し、その最低値を記録する。波形が波打つ場合には、スムージング処理を行い最低値を求める。
(2)全光線透過率
JIS K 7361−1にしたがい、ヘーズコンピューター[スガ試験機(株)、HZ−1]を用いて測定する。
(3)ヘーズ
JIS K 7136にしたがい、ヘーズコンピューター[スガ試験機(株)、HZ−1]を用いて測定する。
(4)鉛筆硬度
JIS K 5400 8.4.2にしたがい、鉛筆[三菱鉛筆(株)、ユニ]を用いて塗膜のすり傷で評価する。
(5)耐スチールウール性
スチールウール[日本スチールウール(株)、#0000]を丸めて200gの荷重をかけて10往復させて擦り、傷の状態を観察し、下記の基準により耐擦傷性を判定する。
○:傷がまったくつかない。
△:傷が1〜9本認められる。
×:傷が10本以上認められる。
(6)表面抵抗率
抵抗率計〔三菱化学(株)、ハイレスターMCP−HT450〕を用いて測定した。
(7)カール性
10cm×10cmのサイズにサンプルを作成し、サンプルを水平面に置いた際の4隅のカール高さを測定し、下記の基準により判定する。
○:カール高さが20mm未満
△:カール高さが20mm以上50mm未満
×:カール高さが50mm以上
(8)耐アルカリ性
1%NaOH水溶液をフィルム表面に滴下し、30分放置後に拭取り、汚染状況を目視にて、下記の基準により判定する。
によって測定した。
○:汚染が見られない。
△:僅かに汚染される。
×:著しく汚染される。
(9)反射率のうねり振幅(545nm)
紫外可視赤外分光光度計〔日本分光(株)、V−570〕を用いて、可視光線領域の試料(基材フィルム上にハードコート層のみを塗工したフィルムサンプル)の反射スペクトルを得た。その反射スペクトルは、虹彩の程度に伴ってスペクトル曲線のうねりが増幅する。波長545nmの反射スペクトルのうねりにおいて、該波長にかかる前後のうねり振幅(極大値−極小値)を求め、下記の基準により判定する。三波長蛍光灯(F10光源)では、反射スペクトルにおいて特定の波長が強く、435nm、545nm、610nm付近に3つの強いピークが見られる。干渉縞に関しては、特に545nmピーク周辺の影響が大きいため、波長545nmにおける反射スペクトルのうねり振幅を測定する。さらに詳しい反射率のうねり振幅(545nm)の測定方法としては、図1に示すように、まず、545nmにおける反射率R%を基準点として、その短波長側又は長波長側の直近の極大値と短波長側又は長波長側の直近の極小値を定め、その極大値−極小値の反射率R%の差を反射率のうねり振幅(545nm)とする。
◎:反射率のうねり振幅が、0.40%未満
○:反射率のうねり振幅が、0.40%以上、0.6%未満
△:反射率のうねり振幅が、0.60%以上、0.80%未満
×:反射率のうねり振幅が、0.80%以上
(10)干渉縞
反射防止フィルムを黒い紙の上に置き、三波長形蛍光ランプ[松下電器産業(株)、パルック、20W、昼白色]で照らして蛍光ランプの像の周りの干渉縞を観察し、下記の基準により干渉縞を判定する。
◎:干渉縞がまったく認められない。
○:干渉縞がほとんど認められない。
△:干渉縞がかすかに認められる。
×:干渉縞が明瞭に認められる。
結果を下記表1に示す。
実施例2
実施例1において、ハードコート層の厚さを1.5μmとしたこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表1に示す。
実施例3
実施例1において、ハードコート層の厚さを4.0μmとしたこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表1に示す。
実施例4
実施例1において、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)の替わりに、PETA(ペンタエリスリトールトリアクリレート、3官能アクリル系紫外線硬化型樹脂、固形分100%)を用いたこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表1に示す。
実施例5
実施例1において、末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体(マクロモノマーAA−6)の添加量を30質量部(固形分13.5質量部)に変更するとともに、易接着剤層の屈折率を1.58に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表1に示す。
実施例6
実施例1において、易接着剤層の屈折率を1.56に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表2に示す。
実施例7
実施例1において、易接着剤層の屈折率を1.59に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表2に示す。
実施例8
実施例1において、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)の替わりに、三菱レイヨン社製、ダイヤビームUK−4153(EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、固形分100%)を用いたこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表2に示す。なお、ハードコート層の屈折率は1.47である。
実施例9
実施例1において、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)100質量部の替わりに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)60質量部、日本化薬社製、カヤラッドEX−2320(臭素化ビスフェノールAエポキシアクリレートモノマー、固形分100%)40質量部を用いたこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表2に示す。なお、ハードコート層の屈折率は1.51である。
Figure 2008116597
Figure 2008116597
実施例10〜11
実施例1において、低屈折率層形成用塗料を下記のように変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表3に示す。
(実施例10の低屈折率層形成用塗料A−2)
・触媒化成工業社製、ELCOM P−5012、シリカマトリックス、フッ素シリコーン系マトリックスに中空シリカ粒子(粒子径40〜60nm)を添加、固形分2質量%、主溶剤イソプロピルアルコール。該塗料により形成された低屈折率層の屈折率は1.40。
(実施例11の低屈折率層形成用塗料A−3)
・攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた1リットルフラスコに、下記のジシラン化合物(1)29.9g(0.05モル)、及びt−ブタノール125gを仕込み、25℃で攪拌しているところに、0.1N酢酸水10gを10分かけて滴下。更に25℃で20時間攪拌し、加水分解を終了し、ここに縮合触媒としてアルミニウムアセチルアセトナート2g、レベリング剤としてポリエーテル変性シリコーン1gを加え、更に30分間攪拌し、得た溶液に、エタノール670g、プロピレングリコールモノメチルエーテル40g、ジアセトンアルコール40gを加えて希釈し調整した塗料。
(CH3O)3Si−C24−C612−C24−Si(OCH33 (1)
固形分3%、該塗料により形成された低屈折率層の屈折率は1.41。
Figure 2008116597
比較例1
実施例1において、易接着剤層として水分散性ウレタン系樹脂を厚さ0.1μmで塗布した(屈折率1.55)こと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表4に示す。
比較例2
実施例1において、易接着剤層の屈折率を1.60に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表4に示す。
比較例3
実施例1において、ハードコート層の厚さを0.2μmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表4に示す。
比較例4
実施例1において、ハードコート層の厚さを6μmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表4に示す。
比較例5
実施例1において、マクロモノマーAA−6を添加しなかったこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表4に示す。
比較例6
実施例1において、マクロモノマーAA−6の添加量を49質量部(固形分22質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表5に示す。
比較例7
実施例1において、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)の替わりに、東亞合成社製、アロニックスM−310(PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、固形分100%)を用いたこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表5に示す。なお、ハードコート層の屈折率は1.46である。
比較例8
実施例1において、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)100質量部の替わりに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)40質量部、日本化薬社製、カヤラッドEX−2320(臭素化ビスフェノールAエポキシアクリレートモノマー、固形分100%)60質量部を用いたこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表5に示す。なお、ハードコート層の屈折率は1.52である。
比較例9
実施例1において、ハードコート層をJSR社製、商品名デソライト7528に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表5に示す。なお、デソライト7528の屈折率は1.52である。
Figure 2008116597
Figure 2008116597
本発明の反射防止フィルムの形態である実施例1〜11は、干渉縞の防止効果が発現し、最低反射率が低く、全光線透過率が高く、ヘーズが低く、鉛筆硬度が高く、耐スチールウール性が良好であり、表面抵抗率が低く、カール性、耐アルカリ性がともに優れ、反射防止フィルムとして良好な特性を有している。なお、実施例3は、ハードコート層の厚さが4μmとやや厚めであるため、干渉縞は○評価であった。実施例6は、易接着剤層の屈折率が1.56とやや低めであるため干渉縞は△評価であった。実施例7は、易接着剤層の屈折率が1.59とやや高めであるため干渉縞は△評価であった。実施例8は、ハードコート層の屈折率が1.47とやや低めであるため干渉縞は△評価であった。実施例9は、ハードコート層の屈折率が1.51とやや高めであるため干渉縞は△評価であった。実施例11は、低屈折率層に中空シリカ粒子を使用していないため、最低反射率が、0.93%とやや高い値となった。実施例1〜11の基材フィルム上にハードコート層のみを塗布したフィルムの反射率のうねり振幅(545nm)の値は、0.36〜0.71%で、◎〜△評価である。実施例1〜11の反射防止フィルムの干渉縞の評価も◎〜△評価で、表の結果からもわかるように、上記の反射率のうねり振幅(545nm)の値と対応した結果となっている。
これに対し、比較例1は、易接着剤層の屈折率が1.55であり、本発明の範囲外であるので、干渉縞が×評価となっている。比較例2は、易接着剤層の屈折率が1.60であり、本発明の範囲外であるので、干渉縞が×評価となっている。比較例3は、ハードコート層の厚さが0.2μmであり、本発明の範囲外であるので、鉛筆硬度がHBと低下し、耐スチールウール性も劣る結果となっている。さらに干渉縞も×評価である。比較例4は、ハードコート層の厚さが6μmであり、本発明の範囲外であるので、干渉縞が×評価となった。比較例5は、末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体(マクロモノマーAA−6)をハードコート層に添加していないので、カール性が×評価である。さらに干渉縞も×評価となった。比較例6は、末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体(マクロモノマーAA−6)添加量が、49質量部(固形分22質量部)であり、本発明の範囲外であるので、干渉縞が×評価となった。比較例7は、ハードコート層の屈折率が1.46であり、本発明の範囲外であるので、干渉縞が×評価となった。比較例8は、ハードコート層の屈折率が1.52であり、本発明の範囲外であるので、干渉縞が×評価となった。比較例9は、ハードコート層の屈折率が1.52であり、本発明の範囲外であるので、干渉縞が×評価となった。
比較例1〜9の基材フィルム上にハードコート層のみを塗布したフィルムの反射率のうねり振幅(545nm)の値は、0.85〜1.05%で、いずれも×評価である。比較例1〜9の反射防止フィルムの干渉縞の評価もいずれも×評価で、上記の反射率のうねり振幅(545nm)の値と対応した結果となっている。
本発明の反射防止フィルムは、干渉縞が目立たず、最低反射率が低く、透明性、耐スチールウール性、帯電防止性、カール性に優れているので、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、パソコン、テレビ、タッチパネル等のディスプレイ表面の反射防止に有用である。
実施例1の基材フィルム上にハードコート層のみを塗布したフィルムサンプルの反射スペクトル曲線である。波長545nmの反射スペクトルのうねりにおいて、該波長にかかる前後のうねり振幅(極大値−極小値)の求め方を示す。 比較例1の基材フィルム上にハードコート層のみを塗布したフィルムサンプルの反射スペクトル曲線である。波長545nmの反射スペクトルのうねりにおいて、該波長にかかる前後のうねり振幅(極大値−極小値)の求め方を示す。

Claims (5)

  1. 二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム上にハードコート層を有し、さらに前記ハードコート層上に高屈折率層および低屈折率層をこの順で有する反射防止フィルムであって、
    前記ハードコート層の厚さが0.5〜5μmであり、
    前記ハードコート層が、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に、末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体5〜20質量部を配合し、これを硬化して形成されたものであり、
    前記ハードコート層の屈折率が1.47〜1.51であり、
    前記基材フィルムとハードコート層との間には、易接着剤層が設けられ、かつ
    前記易接着剤層の屈折率が1.56〜1.59であることを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 前記分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 前記高屈折率層が、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に、アンチモン酸亜鉛を100〜600質量部を配合し、これを硬化して形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記低屈折率層が、シリコーン骨格を有するマトリックス成分100質量部に中空シリカ粒子を20〜100質量部を含むことを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  5. 前記中空シリカ粒子の平均粒子径が、5〜100nmであることを特徴とする請求項4に記載の反射防止フィルム。
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