JP2005181545A - 反射防止フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】透明樹脂フィルムを劣化させることなく、短時間で透明樹脂フィルムに屈折率の低い低屈折率層を成膜することができ、連続生産が可能で、耐擦傷性、耐薬品性等にも優れた塗工型反射防止フィルムを提供する。
【解決手段】透明基材フィルム1上に、易接着層2、ハードコート層3、高屈折率層4及び低屈折率層5をこの順で積層してなる反射防止フィルム、或いは、透明基材フィルム上に、高屈折率ハードコート層及び低屈折率層をこの順で積層してなる反射防止フィルム。該低屈折率層5は中空のシリカ微粒子と、多官能(メタ)アクリル系化合物と、光重合開始剤とを含む塗膜に、酸素濃度が0〜10000ppmの雰囲気下で紫外線を照射することにより硬化させてなる。
【選択図】図1
【解決手段】透明基材フィルム1上に、易接着層2、ハードコート層3、高屈折率層4及び低屈折率層5をこの順で積層してなる反射防止フィルム、或いは、透明基材フィルム上に、高屈折率ハードコート層及び低屈折率層をこの順で積層してなる反射防止フィルム。該低屈折率層5は中空のシリカ微粒子と、多官能(メタ)アクリル系化合物と、光重合開始剤とを含む塗膜に、酸素濃度が0〜10000ppmの雰囲気下で紫外線を照射することにより硬化させてなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、ワープロ、コンピュータ、CRT、プラズマテレビ、液晶ディスプレイ、有機ELなどの各種ディスプレイ、及び自動車、建築物、電車の窓ガラスや絵画の額ガラス等に好適な塗工型反射防止フィルムに関する。
ワープロ、コンピュータ、CRT、プラズマテレビ、液晶ディスプレイ、有機ELなどの各種ディスプレイ、及び自動車、建築物、電車の窓ガラスや絵画の額ガラス等には、光の反射を防止して高い光透過性を確保するために反射防止フィルムが適用されている。
従来、この種の用途に用いられる反射防止フィルムとして、透明な基材フィルムの表面に高屈折率層と低屈折率層とを設けてなるものが提供されている。この反射防止フィルムでは、高屈折率層と低屈折率層との屈折率差を利用して反射防止機能を得ている。
従来の反射防止フィルムには、SiO2、MgF2等の低屈折率層と、TiO2、ITO等の高屈折率層を蒸着やスパッタにより積層させた乾式成膜法によるものが数多く提供されているが、乾式法では成膜に非常に時間がかかるためコストが非常に高くなる。
一方、マイクログラビア塗工法等の湿式法による成膜法であれば、反射防止フィルムを低コストで製造することができる。塗工型反射防止フィルムとしては、図1に示す如く、合成樹脂よりなる透明な基材フィルム1の表面上に、下層側からハードコート層3、高屈折率層4、及び低屈折率層5を順次積層したものが主として用いられている。また、高屈折率層とハードコート層とを兼ねた導電性高屈折率ハードコート層を基材フィルム上に形成し、その上に低屈折率層を形成したものもある。
しかし、湿式法では、低屈折率成分の低屈折率化及び、高屈折率成分の高屈折率化が難しく、良好な反射防止性能を得ることが困難である。特に、低屈折率層の低屈折率化が非常に難しく、従来より、低屈折率層の低屈折率化について種々検討がなされている。
通常、塗工型反射防止フィルムの低屈折率層材料としては、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたフッ素樹脂が多く使用されている(例えば、特開平9−203801号公報)。
フッ素樹脂を用いた低屈折率層の屈折率は低いが、屈折率を低くするためには、フッ素樹脂のフッ素置換されたアルキル鎖を長くしなければならず、一方でアルキル鎖を長くすると形成される低屈折率層の膜強度が低下するという問題がある。例えば、従来のフッ素樹脂よりなる低屈折率層をプラスチック消しゴムでこすると、非常に簡単に膜剥離を生じる。特開平9−203801号公報に開示されるフッ素樹脂を用いた低屈折率層でも、本発明者らの実験によれば、耐擦傷性規格(4.9×104N/m2)の加圧でプラスチック消しゴムで擦ると、10回程度で膜が破壊された。
塗工型低屈折率層としては、粒子径1〜100nmの屈折率(n)の低い微粒子をバインダーで固める方法も提案されている。このうち、シリカ微粒子(n=1.47)をアクリル系バインダーで固めたものは、膜強度は高いものの、シリカ微粒子の屈折率が1.47程度と比較的高いため、通常のバインダーでは、形成される低屈折率層の屈折率を1.49以下にすることは不可能である。
また、MgF2微粒子(n=1.38)をアクリル系バインダーで固めたものでは、低屈折率層の屈折率はある程度下がる(n=1.46)ものの、MgF2とアクリル系バインダーとの相性が悪く、膜強度が非常に劣るものとなる。
そこで、バインダーとの相性が良く、低屈折率の微粒子として、中空のシリカ微粒子(ポーラスシリカ)を用いると共に、バインダーとしてフッ素置換アルキル基含有シリコーン成分を用いて膜強度の改良と低屈折率化を図ることが提案された(特開2003−202406号公報、特開2003−202960号公報)。
しかし、反射防止フィルムにおいて、通常用いられる基材フィルムはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム又はトリアセチルセルロース(TAC)フィルムであり、PETフィルムでは耐熱性の点から、130℃以上の加熱を行うことはできない。湿式法による成膜法において、加熱による焼付け処理等が行えないシリコーン成分をバインダーとすると、耐薬品性や、耐擦傷性が非常に劣るものとなる。特に、アルカリ水溶液(3重量%NaOH)に30分程度浸漬した場合、シリコーン成分がアルカリ加水分解を起こし、簡単に膜が溶解してしまう傾向が見られた。従って、シリコーン成分を含むバインダーを用いて、ポーラスシリカと混合した系では、反射防止フィルムの最表層となる低屈折率層をアルカリ洗剤等で強く拭いた場合、低屈折率層の溶解により、反射防止機能が無くなることとなる。
一方、バインダーとして2官能以上の多官能アクリル樹脂を用い、多孔質シリカ微粒子を配合した低屈折率層を湿式法で成膜することも提案されている(特開2003−261797号公報、特開2003−262703号公報、特開2003−266602号公報)。
しかし、本発明者らの研究によれば、2官能以上のアクリル樹脂を多孔質シリカ微粒子と混合して成膜した膜は膜強度が非常に劣り、単に2官能以上のアクリル樹脂を多孔質シリカ微粒子に混ぜても、耐擦傷性のある低屈折率層を形成することはできなかった。また、これらの公報では、基材表面に直接低屈折率層を形成しているが、このように基材に直接低屈折率層を形成したものでは、最小反射率等の反射防止フィルムに不可欠な反射防止性能に優れたものは得られない。しかもこれらの公報では、ポーラスシリカではなく多孔質シリカ微粒子を用いているが、多孔質シリカではシリカの屈折率を十分に下げることができず、このため、低屈折率層の屈折率も十分に低い値とはならない。
特開平9−203801号公報
特開2003−202406号公報
特開2003−202960号公報
特開2003−261797号公報
特開2003−262703号公報
特開2003−266602号公報
反射防止フィルムの最上層となる低屈折率層には、その低屈折率性のみならず、耐擦傷性及び耐薬品性等の耐久性が非常に重要であるが、上述の如く、従来においては、耐擦傷性、耐薬品性等の膜性能に優れ、しかも低屈折率の低屈折率層を備える塗工型反射防止フィルムは提供されていなかった。
本発明は上記従来の実状に鑑みてなされたものであって、透明基材フィルムを劣化させることなく、屈折率の低い低屈折率層を容易に成膜することができ、連続生産が可能で、耐擦傷性、耐薬品性等にも優れた塗工型反射防止フィルムを提供することを目的とする。
本発明の反射防止フィルムは、透明基材フィルム上に、易接着層、ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層をこの順で積層してなる反射防止フィルム、或いは、透明基材フィルム上に、易接着層、高屈折率ハードコート層及び低屈折率層をこの順で積層してなる反射防止フィルムにおいて、該低屈折率層が、中空のシリカ微粒子(以下「ポーラスシリカ」と称す。)と、多官能(メタ)アクリル系化合物、即ち、(メタ)アクリロイル基を2以上有する(メタ)アクリル系化合物と、光重合開始剤とを含む塗膜に、酸素濃度が0〜10000ppmの雰囲気下で紫外線を照射することにより硬化させてなることを特徴とする。
本発明で用いるポーラスシリカは、屈折率が低く、低屈折率層の材料として有効である。また、バインダー成分としての多官能(メタ)アクリル系化合物を選択することにより、耐擦傷性、耐薬品性、防汚性を付与することができ、良好な低屈折率層を形成することができる。しかも、本発明に係る低屈折率層は、特定の低酸素条件下において、紫外線の照射により硬化させるため、熱を加えることなく、従って、透明樹脂フィルムを劣化させることなく、連続生産にて屈折率が非常に低く、耐擦傷性、耐薬品性に優れた低屈折率層を形成することができる。
即ち、本発明者らは、前述の従来技術について追跡実験を行い、2官能以上のアクリル樹脂を多孔質シリカ微粒子と混合して低屈折率層を形成した場合、膜強度が非常に低く、ただ単に2官能以上のアクリル樹脂を多孔質シリカ微粒子に混合しても耐擦傷性は全く良くならないことを知見した。また、基材表面に直接低屈折率層を形成しても、最小反射率等の反射防止フィルムに欠かせない反射防止性能が不十分であることを知見した。
また、多孔質シリカ微粒子では、シリカの屈折率は十分に低くすることはできず、より一層の低屈折率化のためには、ポーラスシリカを用いる必要があることを知見した。
それらの知見を踏まえて、本発明者らは、まず、膜構成については、透明基材フィルム/易接着層/ハードコート層、高屈折率層/低屈折率層、或いは、透明基材フィルム/易接着層/導電性高屈折率ハードコート層/低屈折率層とすることにより、反射防止性能を上げた。そして、酸素濃度の非常に低い条件で紫外線を当ててバインダーを硬化させることにより、低屈折率層の耐擦傷性が大幅に上がること、中でも特殊なアクリル樹脂をバインダーとして用いたときにのみ非常に強い耐擦傷性と耐薬品性を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
特に、本発明において、易接着層を設けることは重要であり、とりわけハードコート層の屈折率が1.48〜1.55の範囲であり、易接着層の屈折率をna、該透明基材フィルムの屈折率をnb、該ハードコート層の屈折率をnHCとすると、
(nb+nHC)/2 −0.03≦na≦(nb+nHC)/2 +0.03
であり、該易接着層の膜厚Tが
(550/4)×(1/na) −10nm≦T≦(550/4)×(1/na) +10nm
の範囲である易接着層を設けた場合には、著しく優れた反射防止性能が得られる。
(nb+nHC)/2 −0.03≦na≦(nb+nHC)/2 +0.03
であり、該易接着層の膜厚Tが
(550/4)×(1/na) −10nm≦T≦(550/4)×(1/na) +10nm
の範囲である易接着層を設けた場合には、著しく優れた反射防止性能が得られる。
これは、波長550nmの光に対しては、実質、基材フィルムの屈折率がハードコート層の屈折率と等しくなる効果があり、ハードコート層/基材フィルム間の反射が無くなることによる。本発明において、この易接着層は、該透明基材フィルムの成形時に透明基材フィルム上に形成されたものであることが好ましい。
本発明において、この易接着層は、該透明基材フィルムの成形時に透明基材フィルム上に形成されたものであることが好ましい。
本発明において、高屈折率層の屈折率は1.68以上であり、高屈折率層は、SnO2及びITOよりなる導電性高屈折率微粒子と、TiO2、ZrO2及びCeO2よりなる超高屈折率微粒子とからなる微粒子群より選ばれる少なくとも1種の高屈折率微粒子と、下記一般式(VI)で表される6官能(メタ)アクリル系化合物を主成分とするバインダー成分とを含むことが好ましい。なお、ここで、主成分とするとは、全バインダー成分の50重量%以上を含むことを指す。
この高屈折率層の高屈折率微粒子は平均一次粒子径10〜150nmであることが好ましく、特に高屈折率微粒子は平均一次粒子径が30〜40nmであり、この平均一次径を中心として粒子径は幅広く分布し、全微粒子中の、一次粒子径が30nm以下の微粒子の累積個数が20%以上、一次粒子径が45nm以上の微粒子の累積個数が20%以上であるものが好ましい。
即ち、高屈折率層には、高屈折率微粒子をなるべく多く含有させることが重要であるが、このように、異なる粒子径の高屈折率微粒子を併用することにより、高屈折率層への高屈折率微粒子充填量を上げ、高密度充填で屈折率の非常に高い高屈折率層を形成することができる。
高屈折率層の高屈折率微粒子としては、また、好ましくは下記(i)又は(ii)が挙げられる。
(i) アナターゼ型二酸化チタン微粒子にITO微粒子を被覆したものであり、二酸化チタン微粒子の平均一次粒子径が5〜80nmで、ITO微粒子による被覆層厚さが5nm以上であるもの。
(ii) ルチル型二酸化チタン微粒子にITO微粒子を被覆したものであり、二酸化チタン微粒子のアスペクト比が3〜10で、ITO微粒子による被覆層厚さが5nm以上であるもの。
(i) アナターゼ型二酸化チタン微粒子にITO微粒子を被覆したものであり、二酸化チタン微粒子の平均一次粒子径が5〜80nmで、ITO微粒子による被覆層厚さが5nm以上であるもの。
(ii) ルチル型二酸化チタン微粒子にITO微粒子を被覆したものであり、二酸化チタン微粒子のアスペクト比が3〜10で、ITO微粒子による被覆層厚さが5nm以上であるもの。
本発明において、バインダー成分としての多官能(メタ)アクリル系化合物は、下記一般式(I)で表される6官能(メタ)アクリル系化合物及び/又は下記一般式(II)で表される4官能(メタ)アクリル系化合物を主成分とすることが好ましい。なお、ここで、主成分とするとは、全バインダー成分の50重量%以上を含むことを指す。
n,m,o,p,q,rは各々独立に、0〜2の整数を表し、
R1〜R6は各々独立に、炭素数1〜3のアルキレン基、或いは、水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された炭素数1〜3のフルオロアルキレン基を表す。)
s,t,u,vは各々独立に、0〜2の整数を表し、
R11〜R14は各々独立に、炭素数1〜3のアルキレン基、或いは、水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された炭素数1〜3のフルオロアルキレン基を表す。)
また、本発明に係るバインダー成分としての多官能(メタ)アクリル系化合物は、更に下記一般式(III)で表されるフッ素含有2官能(メタ)アクリル系化合物を含み、全多官能(メタ)アクリル系化合物中に5重量%以上含むことが好ましく、これにより低屈折率層の耐擦傷性及び防汚性が向上し、また、低屈折率化を図ることもできる。
Aa−O−(CH2)xa−Rf−(CH2)xb−O−Ab ……(III)
(上記一般式(III)中、Aa,Abは各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、α−フルオロアクリロイル基、又はトリフルオロメタクリロイル基を表し、Rfはパーフルオロアルキレン基を表し、xa,xbは各々独立に、0〜3の整数を表す。)
Aa−O−(CH2)xa−Rf−(CH2)xb−O−Ab ……(III)
(上記一般式(III)中、Aa,Abは各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、α−フルオロアクリロイル基、又はトリフルオロメタクリロイル基を表し、Rfはパーフルオロアルキレン基を表し、xa,xbは各々独立に、0〜3の整数を表す。)
また、本発明に係るバインダー成分としての多官能(メタ)アクリル系化合物は、更に、1分子中にフッ素原子を6個以上有し、分子量が1000以下の3〜6官能の(メタ)アクリル系化合物、及び、1分子量にフッ素原子を10個以上有し、分子量が1000〜5000の6〜15官能の(メタ)アクリル系化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上のフッ素含有多官能(メタ)アクリル系化合物を全多官能(メタ)アクリル系化合物中の5重量%以上含むことが好ましく、これにより、低屈折率層の低屈折率化及び防汚性の向上を図ることができる。
また、ポーラスシリカは下記一般式(IV)で表される末端(メタ)アクリルシランカップリング剤と、好ましくは100〜150℃の水熱反応により、或いはマイクロ波照射下での反応により、表面が末端(メタ)アクリル変性された(メタ)アクリル変性ポーラスシリカであることが好ましく、これにより低屈折率層の耐擦傷性を向上させることができる。
R22は炭素数1〜8のアルキレン基、又は、水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を表し、
R23〜R25は各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
また、ポーラスシリカは下記一般式(V)で表される末端フルオロアルキルシランカップリング剤と、好ましくは100〜150℃の水熱反応により、或いはマイクロ波照射下での反応により、表面が末端フルオロアルキル変性されたフルオロアルキル変性ポーラスシリカであることが好ましく、これにより低屈折率層の防汚性を向上させることができる。
本発明によれば、透明樹脂フィルムを劣化させることなく、短時間で透明樹脂フィルムに屈折率の低い低屈折率層を成膜することができ、連続生産が可能で、耐擦傷性、耐薬品性等にも優れた塗工型反射防止フィルムが提供される。
以下に本発明の反射防止フィルムの実施の形態を説明する。
本発明の反射防止フィルムは、図1に示す如く、透明基材フィルム1上に、易接着層2、ハードコート層3、高屈折率層4及び低屈折率層5をこの順で積層してなるものである。或いは、図1において、ハードコート層と高屈折率層の代りに、高屈折率ハードコート層を設けたものである。
本発明において、基材フィルム1としては、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、アクリル、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、セルローストリアセテート(TAC)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、セロファン等、好ましくはPET、PC、PMMAの透明フィルムが挙げられる。
基材フィルム1の厚さは得られる反射防止フィルムの用途による要求特性(例えば、強度、薄膜性)等によって適宜決定されるが、通常の場合、1μm〜10mmの範囲とされる。
易接着層2は、基材フィルム1へのハードコート層3の密着性を良くするためのものであり、通常、共重合ポリエステル樹脂とポリウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂に、SiO2、ZrO2、TiO2、Al2O3等の金属酸化物微粒子、好ましくは平均粒径1〜100nm程度の金属酸化物微粒子を配合して、屈折率を調整したものが用いられる。なお、樹脂だけで屈折率を1.58にすることも可能である。
ハードコート層3としては、合成樹脂系のものが好ましく、特に、紫外線硬化型合成樹脂、とりわけ多官能アクリル樹脂が好適である。このハードコート層3の厚みは2〜20μmが好ましい。
本発明において、このハードコート層3の屈折率は1.48〜1.55の範囲であることが好ましく、この場合において、易接着層2の屈折率をna、透明基材フィルム1の屈折率をnb、ハードコート層3の屈折率をnHCとした場合、
(nb+nHC)/2 −0.03≦na≦(nb+nHC)/2 +0.03
とりわけ (nb+nHC)/2 −0.01≦na≦(nb+nHC)/2 +0.01
であり、易接着層2の膜厚Tが
(550/4)×(1/na) −10nm≦T≦(550/4)×(1/na) +10nm
とりわけ
(550/4)×(1/na) −5nm≦T≦(550/4)×(1/na) +5nm
の範囲であるときに著しく優れた反射防止性能が得られるため、好ましい。
(nb+nHC)/2 −0.03≦na≦(nb+nHC)/2 +0.03
とりわけ (nb+nHC)/2 −0.01≦na≦(nb+nHC)/2 +0.01
であり、易接着層2の膜厚Tが
(550/4)×(1/na) −10nm≦T≦(550/4)×(1/na) +10nm
とりわけ
(550/4)×(1/na) −5nm≦T≦(550/4)×(1/na) +5nm
の範囲であるときに著しく優れた反射防止性能が得られるため、好ましい。
高屈折率層4は、SnO2及びITOよりなる導電性高屈折率微粒子と、TiO2、ZrO2及びCeO2よりなる超高屈折率微粒子とからなる微粒子群より選ばれる少なくとも1種の高屈折率微粒子と、下記一般式(VI)で表される6官能(メタ)アクリル系化合物を主成分とするバインダー成分とを含むことが好ましい。
この高屈折率層の高屈折率微粒子は平均一次粒子径10〜150nmであることが好ましく、特に高屈折率微粒子は平均一次粒子径が30〜40nmであり、この平均一次径を中心として、粒子径は幅広く分布し、全微粒子中の、一次粒子径が30nm以下の微粒子の累積個数が20%以上例えば20〜30%で、一次粒子径が45nm以上の微粒子の累積個数が20%以上例えば20〜60%であるものが、高屈折率微粒子の高密度充填が可能となり、屈折率の高い高屈折率層を形成することができる点で好ましい。
なお、高屈折率微粒子としては、導電性高屈折率微粒子と超高屈折率微粒子とを併用することが、屈折率の向上と高屈折率層の帯電防止性の維持の面で好ましく、特に、導電性高屈折率微粒子:超高屈折率微粒子=80:20〜50:50(体積比)、とりわけ27:18(体積比)とすることが好ましい。この範囲よりも導電性高屈折率微粒子が多いと高屈折率層の屈折率が低下し、超高屈折率微粒子が多いと帯電防止効果が得られなくなる。
また、高屈折率層4の高屈折率微粒子としては、下記(i)又は(ii)も好ましい。
(i) アナターゼ型二酸化チタン微粒子にITO微粒子を被覆したものであり、二酸化チタン微粒子の平均一次粒子径が5〜80nmで、ITO微粒子による被覆層厚さが5nm以上例えば5〜20nmであるもの。
(ii) ルチル型二酸化チタン微粒子にITO微粒子を被覆したものであり、二酸化チタン微粒子のアスペクト比が3〜10で、ITO微粒子による被覆層厚さが5nm以上例えば5〜20nmであるもの。
(i) アナターゼ型二酸化チタン微粒子にITO微粒子を被覆したものであり、二酸化チタン微粒子の平均一次粒子径が5〜80nmで、ITO微粒子による被覆層厚さが5nm以上例えば5〜20nmであるもの。
(ii) ルチル型二酸化チタン微粒子にITO微粒子を被覆したものであり、二酸化チタン微粒子のアスペクト比が3〜10で、ITO微粒子による被覆層厚さが5nm以上例えば5〜20nmであるもの。
上記(i)又は(ii)の高屈折率微粒子、特に(ii)の高屈折率微粒子であれば、アスペクト比が高く、導電ネットワークが有効に形成されるという効果が奏される。上記(i)の高屈折率微粒子と上記(ii)の高屈折率微粒子を併用しても良い。
高屈折率層4のバインダー成分である前記一般式(VI)で表される6官能(メタ)アクリル系化合物としては、具体的には、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートやそのエチレンオキサイド付加物が挙げられ、これらは一種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
高屈折率層4における、前記高屈折率微粒子と上記バインダー成分との割合は、高屈折率微粒子が過度に多くバインダー成分が不足すると高屈折率層の膜強度が低下し、逆に高屈折率微粒子が少ないと屈折率を十分に高めることができないことから、高屈折率微粒子とバインダー成分との合計に対する高屈折率微粒子の割合が10〜60体積%、特に20〜50体積%とするのが好ましい。
このような高屈折率層4の厚みは80〜100nm程度が好ましい。また、この高屈折率層4は屈折率1.65以上、特に1.66〜1.85であることが好ましく、この場合において、低屈折率層5の屈折率を1.39〜1.47とすることで、表面反射率の最小反射率1%以下の反射防止性能に優れた反射防止フィルムとすることができる。特に、低屈折率層5の屈折率を1.45以下とした場合には、更に反射防止性能を高め、表面反射率の最小反射率0.5%以下の反射防止フィルムとすることも可能である。
本発明において、低屈折率層5は、ポーラスシリカと多官能(メタ)アクリル系化合物よりなるバインダー成分と光重合開始剤とを含む塗膜に、酸素濃度が0〜10000ppmの雰囲気下で紫外線を照射することにより硬化させてなるものである。
ポーラスシリカは、中空殻状のシリカ微粒子であり、その平均粒径は10〜200nm、好ましくは10〜150nmであることが好ましい。このポーラスシリカの平均粒径が10nm未満では、ポーラスシリカの屈折率を下げることが困難であり、200nmを超えると光を乱反射し、また形成される低屈折率層の表面粗さが大きくなるなどの問題が出る。
ポーラスシリカは、中空内部に屈折率の低い空気(屈折率=1.0)を有しているため、その屈折率は、通常のシリカ(屈折率=1.46)と比較して著しく低い。ポーラスシリカの屈折率は、その中空部の体積割合により決定されるが、通常1.20〜1.40程度であることが好ましい。
なお、ポーラスシリカの屈折率:n(ポーラスシリカ)は、中空微粒子の殻部を構成するシリカの屈折率:n(シリカ)、内部の空気の屈折率:n(空気)から、次のようにして求められる。
n(ポーラスシリカ)=n(シリカ)×シリカの体積分率
前述の如く、n(シリカ)は約1.47であり、n(空気)は1.0と非常に低いため、このようなポーラスシリカの屈折率は非常に低いものとなる。
n(ポーラスシリカ)=n(シリカ)×シリカの体積分率
前述の如く、n(シリカ)は約1.47であり、n(空気)は1.0と非常に低いため、このようなポーラスシリカの屈折率は非常に低いものとなる。
また、このようなポーラスシリカを用いた本発明に係る低屈折率層の屈折率:n(低屈折率層)は、ポーラスシリカの屈折率:n(ポーラスシリカ)とバインダー成分の屈折率:n(バインダー)とから、次のようにして求められる。
n(低屈折率層)=
n(ポーラスシリカ)×低屈折率層中のポーラスシリカの体積割合+n(バインダー)×低屈折率層中のバインダーの体積割合
n(低屈折率層)=
n(ポーラスシリカ)×低屈折率層中のポーラスシリカの体積割合+n(バインダー)×低屈折率層中のバインダーの体積割合
ここで、バインダーの屈折率は特殊なフッ素含有アクリル系バインダー以外では、おおむね1.50〜1.55程度であるため、低屈折率層中のポーラスシリカの体積分率を増やすことが、低屈折率層の屈折率の低減に重要な要件となる。
本発明において、低屈折率層中のポーラスシリカの含有量は、多い程、低屈折率の低屈折率層を形成することができ、反射防止性能に優れた反射防止フィルムを得ることができるが、相対的にバインダー成分の含有量が減ることにより、低屈折率層の膜強度が低下し、耐擦傷性、耐久性が低下する。しかし、ポーラスシリカの配合量を増やすことによる膜強度の低下は、ポーラスシリカの表面処理で補うことが可能であり、また、配合するバインダー成分の種類を選択することによっても膜強度を補うことができる。
本発明においては、ポーラスシリカの表面処理やバインダー成分の選択により、低屈折率層中のポーラスシリカ含有量を20〜55重量%、特に30〜50重量%として、低屈折率層の低屈折率化を図り、屈折率1.39〜1.45程度とすると共に、耐擦傷性を確保することが好ましい。
次に、本発明の低屈折率層のバインダー成分である多官能(メタ)アクリル系化合物について説明する。
この多官能(メタ)アクリル系化合物は、下記一般式(I)で表される6官能(メタ)アクリル系化合物及び/又は下記一般式(II)で表される4官能(メタ)アクリル系化合物を主成分として、全バインダー成分中に50重量%以上、特に90重量%以上含むことが好ましい。
n,m,o,p,q,rは各々独立に、0〜2の整数を表し、
R1〜R6は各々独立に、炭素数1〜3のアルキレン基、或いは、水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された炭素数1〜3のフルオロアルキレン基を表す。)
s,t,u,vは各々独立に、0〜2の整数を表し、
R11〜R14は各々独立に、炭素数1〜3のアルキレン基、或いは、水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された炭素数1〜3のフルオロアルキレン基を表す。)
前記一般式(I)で表される6官能(メタ)アクリル系化合物としては、例えばジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリストールヘキサアクリレートのエチレンオキサイド付加物、もしくはエチレンオキサイドのHをフッ素置換したものが挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
また、前記一般式(II)で表される4官能(メタ)アクリル系化合物としては、例えばペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレートのエチレンオキサイド付加物(1〜8)、もしくは、エチレンオキサイドのHをフッ素置換したもの等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
バインダー成分としては、前記一般式(I)で表される6官能(メタ)アクリル系化合物の1種又は2種以上と前記一般式(II)で表される4官能(メタ)アクリル系化合物の1種又は2種以上を併用しても良い。
前記一般式(I),(II)で表される多官能(メタ)アクリル系化合物、特に前記一般式(I)で表される6官能(メタ)アクリル系化合物は高硬度で耐擦傷性に優れ、耐擦傷性の高い低屈折率層の形成に有効である。
また、本発明においては、バインダー成分として、前記一般式(I)で表される6官能(メタ)アクリル系化合物及び/又は前記一般式(II)で表される4官能(メタ)アクリル系化合物と共に、下記一般式(III)で表されるフッ素含有2官能(メタ)アクリル系化合物、或いは、特定のフッ素含有多官能(メタ)アクリル系化合物を併用することが好ましく、これらのバインダー成分を用いることにより、低屈折率層に耐擦傷性や防汚性を付与することが可能となる。また、これらのバインダー成分は、前記一般式(I)で表される6官能(メタ)アクリル系化合物や前記一般式(II)で表される4官能(メタ)アクリル系化合物よりも屈折率が低いため、ポーラスシリカの配合量を低減しても屈折率の低い低屈折率層を形成することができる。
Aa−O−(CH2)xa−Rf−(CH2)xb−O−Ab ……(III)
(上記一般式(III)中、Aa,Abは各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、α−フルオロアクリロイル基、又はトリフルオロメタクリロイル基を表し、Rfはパーフルオロアルキレン基を表し、xa,xbは各々独立に、0〜3の整数を表す。)
Aa−O−(CH2)xa−Rf−(CH2)xb−O−Ab ……(III)
(上記一般式(III)中、Aa,Abは各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、α−フルオロアクリロイル基、又はトリフルオロメタクリロイル基を表し、Rfはパーフルオロアルキレン基を表し、xa,xbは各々独立に、0〜3の整数を表す。)
上記一般式(III)で表されるフッ素含有2官能(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタングリコール・ジアクリレート等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
また、上記特定の多官能(メタ)アクリル系化合物、即ち、1分子中にフッ素原子を6個以上有し、分子量が1000以下の3〜6官能の(メタ)アクリル系化合物、1分子量にフッ素原子を10個以上有し、分子量が1000〜5000の6〜15官能の(メタ)アクリル系化合物についても、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
上記フッ素含有2官能(メタ)アクリル系化合物の1種又は2種以上とフッ素含有多官能(メタ)アクリル系化合物の1種又は2種以上とを併用しても良い。
上記フッ素含有2官能(メタ)アクリル系化合物を用いることにより、低屈折率層の低屈折率化、防汚性の向上を図ることができるが、その配合量が過度に多いと耐擦傷性が低下する。従って、フッ素含有2官能(メタ)アクリル系化合物は全バインダー成分中に5重量%以上、特に5〜10重量%配合することが好ましい。
また、上記フッ素含有多官能(メタ)アクリル系化合物を用いることによっても低屈折率層の低屈折率化、防汚性の向上を図ることができるが、その配合量が過度に多いと耐擦傷性が低下する。従って、多官能(メタ)アクリル系化合物は全バインダー成分中に5重量%以上、特に5〜10重量%配合することが好ましい。
なお、フッ素含有2官能(メタ)アクリル系化合物とフッ素含有多官能(メタ)アクリル系化合物とを併用する場合、フッ素含有2官能(メタ)アクリル系化合物とフッ素含有多官能(メタ)アクリル系化合物との合計で全バインダー成分中に5重量%以上、特に5〜10重量%配合することが好ましい。
本発明で用いるポーラスシリカは、従来の低屈折率層に配合される一般的なシリカ微粒子(粒径5〜20nm程度)に比べて粒径が大きいため、同一のバインダー成分を用いた場合でも、シリカ微粒子を配合する場合に比べて、形成される低屈折率層の膜強度が弱くなる傾向があるが、このポーラスシリカに適当な表面処理を施すことにより、バインダー成分との結合力を高め、形成される低屈折率層の膜強度を高めて耐擦傷性を向上させることができる。
このポーラスシリカの表面処理としては、下記一般式(IV)で表される末端(メタ)アクリルシランカップリング剤を用いて、ポーラスシリカの表面を末端(メタ)アクリル変性することが好ましい。
R22は炭素数1〜8のアルキレン基、又は、水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を表し、
R23〜R25は各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
このような末端(メタ)アクリルシランカップリング剤としては、例えばCH2=CH−COO−(CH2)3−Si−(OCH3)3、CH2=C(CH3)−COO−(CH2)3−Si−(OCH3)3等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
このような末端(メタ)アクリルシランカップリング剤によりポーラスシリカの表面を末端(メタ)アクリル変性するには、ポーラスシリカと末端(メタ)アクリルシランカップリング剤との混合液を100〜150℃で水熱反応させるか、或いは、この混合液にマイクロ波を照射して反応させることが好ましい。即ち、末端(メタ)アクリルシランカップリング剤とポーラスシリカとを単に混合したのみでは、末端(メタ)アクリルシランカップリング剤による表面化学修飾を行うことはできず、目的とする表面改質効果を得ることができない。水熱反応による場合も、反応温度が低いと十分な末端(メタ)アクリル変性を行えない。ただし、この反応温度が高過ぎると逆に反応性が低下することから、水熱反応温度は100〜150℃であることが好ましい。なお、水熱反応時間は、反応温度にもよるが、通常0.1〜10時間程度である。一方、マイクロ波による場合にも設定温度が低過ぎると十分な末端(メタ)アクリル変性を行えないため、上記と同様の理由から、設定温度は90〜150℃とすることが好ましい。このマイクロ波としては振動数2.5GHzのものを好適に用いることができ、マイクロ波照射であれば、通常10〜60分程度の短時間で末端(メタ)アクリル変性を行うことができる。なお、この反応に供する混合液としては、例えばポーラスシリカ3.8重量%、アルコール溶媒(イソプロピルアルコールとイソブチルアルコールの1:4(重量比)混合溶媒)96重量%、酢酸3重量%、水1重量%、シランカップリング剤0.04重量%で調製した反応溶液が挙げられる。
このような末端(メタ)アクリルシランカップリング剤によりポーラスシリカの表面を化学修飾することにより、ポーラスシリカとバインダー成分とを強固に結合させて、ポーラスシリカの配合量が多い場合であっても、耐擦傷性に優れた低屈折率層を形成することができ、ポーラスシリカの配合量を高めて低屈折率層の低屈折率化を図ることができる。
また、ポーラスシリカは、下記一般式(V)で表される末端フルオロアルキルシランカップリング剤により、表面が末端フルオロアルキル変性されたものであっても良く、この場合において、末端フルオロアルキルシランカップリング剤による末端フルオロアルキル変性は、前述の末端(メタ)アクリルシランカップリング剤による末端(メタ)アクリル変性と同様な条件で水熱法又はマイクロ波照射により行うことが好ましい。
なお、上記末端フルオロアルキルシランカップリング剤としては例えばC8F17−(CH2)2−Si−(OCH3)3、C6F13−(CH2)2−Si−(OCH3)3等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
このような末端フルオロアルキルシランカップリング剤を用いてポーラスシリカの表面を化学修飾することにより、形成される低屈折率層の防汚性を高めることができる。
本発明の低屈折率層は、前述のバインダー成分を光重合開始剤の存在下に紫外線照射して硬化させて形成されるものであるが、この光重合開始剤としては、例えば、チバスぺシャリティ・ケミカルズ社製のイルガキュア184,819,651,1173,907等の1種又は2種以上を用いることができ、その配合量は、バインダー成分に対して3〜10phrとすることが好ましい。光重合開始剤の配合量がこの範囲よりも少ないと十分な架橋硬化を行えず、多いと低屈折率層の膜強度が低下する。
本発明に係る低屈折率層は、ポーラスシリカ、バインダー成分としての多官能(メタ)アクリル系化合物及び光重合開始剤を所定の割合で混合してなる組成物を高屈折率層又は導電性高屈折率ハードコート層上に塗工し、酸素濃度が0〜10000ppmの雰囲気下で紫外線を照射することにより硬化させることにより形成されるが、ここで、紫外線照射雰囲気中の酸素濃度が1000ppmを超えると耐擦傷性が大幅に低下することから、1000ppm以下、好ましくは200ppm以下とする。
このような低屈折率層の厚みは、85〜110nmであることが好ましい。
本発明においては、易接着層2が形成された基材フィルム1上にハードコート層3、高屈折率層4及び低屈折率層5、或いは、導電性高屈折率ハードコート層及び低屈折率層を形成するには、未硬化の樹脂組成物(必要に応じ上記の微粒子を配合したもの)を塗工し、次いで紫外線を照射するのが好ましい。この場合、各層を1層ずつ塗工して硬化させても良く、また、3層又は2層を塗工した後、まとめて硬化させてもよい。
塗工の具体的な方法としては、バインダー成分等をトルエン等の溶媒で溶液化した塗布液をグラビアコータ等によりコーティングし、その後乾燥し、次いで紫外線によりキュアする方法が例示される。この湿式塗工法であれば、高速で均一に且つ安価に成膜できるという利点がある。この塗工後に紫外線を照射してキュアすることにより密着性の向上、膜の硬度の上昇という効果が奏され、加熱を必要とすることなく、反射防止フィルムの連続生産が可能となる。
このような本発明の反射防止フィルムは、OA機器のPDPや液晶板の前面フィルタ、或いは、車輌や特殊建築物の窓材に適用することで、良好な光透過性と耐久性を確保することができる。
以下に実施例、比較例及び実験例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
実施例1
表面に、膜厚約80nmの易接着層が形成された厚さ50μmのPETフィルムの上に、ハードコート(JSR製「Z7503」)を塗工した後、乾燥、硬化させて、厚さ5μm、鉛筆硬度3H以上のハードコート層を形成した。硬化条件は紫外線積算照射量300mJ/cm2、硬化時の酸素濃度150ppmとした。
表面に、膜厚約80nmの易接着層が形成された厚さ50μmのPETフィルムの上に、ハードコート(JSR製「Z7503」)を塗工した後、乾燥、硬化させて、厚さ5μm、鉛筆硬度3H以上のハードコート層を形成した。硬化条件は紫外線積算照射量300mJ/cm2、硬化時の酸素濃度150ppmとした。
用いたフィルムの易接着層の屈折率naは1.58であり、PETフィルムの屈折率nbは1.65であり、形成されたハードコート層の屈折率nHCは1.495であり、(nb+nHC)/2=1.57であり、naとほぼ等しい。また、易接着層の膜厚は80nmであり、(550/4)×(1/na)=87nmにほぼ等しい。
次いで、ITO微粒子と多官能アクリル化合物と光重合開始剤とを含む高屈折率層成膜用組成物(大日本塗料(株)製「Ei−3」)を塗工し、乾燥、硬化させて、厚さ約90nmで、屈折率1.67〜1.68の高屈折率層を形成した。硬化条件は紫外線積算照射量300mJ/cm2、硬化時の酸素濃度は150ppmとした。
次いで、低屈折率層成膜用組成物を高屈折率層上に塗工し、乾燥、硬化させて厚さ約95nmの低屈折率層を形成した。硬化条件は紫外線積算照射量800mJ/cm2、硬化時の酸素濃度は150ppmとした。
低屈折率層成膜用組成物としては、バインダー成分としてのジペンタエリストールヘキサアクリレートに光重合開始剤「イルガキュア−184」を5phr加え、光重合開始剤及びバインダー成分の合計:ポーラスシリカ=62.5:37.5(重量%)となるようにポーラスシリカ(平均粒子径60nm,屈折率n=約1.30)を加えたものを用いた。
このようにして製造された反射防止フィルムについて、下記の方法で耐擦傷性、最小反射率及び耐薬品性を調べ、結果を表1に示した。
<耐擦傷性>
反射防止フィルム(反射色:紫色)の表面(低屈折率層表面)をプラスチック消しゴムで約4.9×104N/m2の加重圧力で往復させて擦った。低屈折率層の膜が壊れると反射色が紫色→赤→黄色と徐々に色が変わっていくため、この色が最初に変わるまでの往復回数を耐消しゴム回数とし、この耐消しゴム回数が100回以上で耐擦傷性良好(○)とし、100回未満を不良(×)とした。
反射防止フィルム(反射色:紫色)の表面(低屈折率層表面)をプラスチック消しゴムで約4.9×104N/m2の加重圧力で往復させて擦った。低屈折率層の膜が壊れると反射色が紫色→赤→黄色と徐々に色が変わっていくため、この色が最初に変わるまでの往復回数を耐消しゴム回数とし、この耐消しゴム回数が100回以上で耐擦傷性良好(○)とし、100回未満を不良(×)とした。
<最小反射率>
裏面側(成膜面と反対側)に黒いテープを貼り5゜正反射で反射スペクトルを測定し、このときの最も低い反射率を最小反射率とした。
裏面側(成膜面と反対側)に黒いテープを貼り5゜正反射で反射スペクトルを測定し、このときの最も低い反射率を最小反射率とした。
<耐薬品性>
反射防止フィルムの成膜面側に、ガーゼを載せ、3重量%NaOH水溶液を数滴垂らし、NaOH水溶液の水の蒸発を防ぐため上からディスポカップを被せ、25℃で30分放置した。その後、ガーゼを取り、純水で洗浄し、反射防止フィルムの反射色が変わっているかどうか目視で判定し、反射色が変わらないものを耐薬品性良好(○)、反射色が変わっているものを耐薬品性不良(×)とした。
反射防止フィルムの成膜面側に、ガーゼを載せ、3重量%NaOH水溶液を数滴垂らし、NaOH水溶液の水の蒸発を防ぐため上からディスポカップを被せ、25℃で30分放置した。その後、ガーゼを取り、純水で洗浄し、反射防止フィルムの反射色が変わっているかどうか目視で判定し、反射色が変わらないものを耐薬品性良好(○)、反射色が変わっているものを耐薬品性不良(×)とした。
また、低屈折率層の屈折率を下記方法により測定し、結果を表1に示した。
<屈折率の測定>
易接着層のついてないPETフィルム(「東レルミラー」、膜厚50μm)に低屈折率層成膜用組成物を550nmの光波長に対し約1/4λの厚さに塗工して硬化させた。硬化条件は紫外線積算照射量300mJ/cm2、硬化時の酸素濃度150ppmとした。その後、塗工してない面に黒いビニールテープを張り、反射率を測定し、この反射スペクトルの最小反射率から、屈折率を計算により求めた。
易接着層のついてないPETフィルム(「東レルミラー」、膜厚50μm)に低屈折率層成膜用組成物を550nmの光波長に対し約1/4λの厚さに塗工して硬化させた。硬化条件は紫外線積算照射量300mJ/cm2、硬化時の酸素濃度150ppmとした。その後、塗工してない面に黒いビニールテープを張り、反射率を測定し、この反射スペクトルの最小反射率から、屈折率を計算により求めた。
比較例1
実施例1において、易接着層のない基材フィルムを用いたこと以外は同様にして反射防止フィルムを作製し、同様に耐擦傷性、最小反射率、及び耐薬品性を調べると共に低屈折率層の屈折率を調べ、結果を表1に示した。
実施例1において、易接着層のない基材フィルムを用いたこと以外は同様にして反射防止フィルムを作製し、同様に耐擦傷性、最小反射率、及び耐薬品性を調べると共に低屈折率層の屈折率を調べ、結果を表1に示した。
実験例1
高屈折率層の高屈折率微粒子の充填率による高屈折率層の屈折率を調べるために、高屈折率層の高屈折率微粒子として、表2に示す組み合わせのものを用い、また、バインダー成分として、前記一般式(VI)において、A41〜A46がいずれもアクリル基のものを用い、表2に示す高屈折率微粒子配合で、高屈折率層成膜用組成物を調製した。
高屈折率層の高屈折率微粒子の充填率による高屈折率層の屈折率を調べるために、高屈折率層の高屈折率微粒子として、表2に示す組み合わせのものを用い、また、バインダー成分として、前記一般式(VI)において、A41〜A46がいずれもアクリル基のものを用い、表2に示す高屈折率微粒子配合で、高屈折率層成膜用組成物を調製した。
なお、本実験例で用いた高屈折率微粒子は以下の通りであり、いずれも、高屈折率層成膜用組成物には、導電性高屈折率微粒子:超高屈折率微粒子=27:18(体積分率)となるように配合した。
[導電性高屈折率微粒子]
A−1:大日本塗料社製 ITO分散液
(ITOの平均粒子径:60nm)
A−2:御国色素社製 ITO分散液
(ITOの平均粒子径:35nm)
A−3:触媒化成社製 ITO「ELCOMP特殊A」
(ITOの平均粒子径:50nm)
A−4:触媒化成社製 ITO「ELCOMP特殊B」
(ITOの平均粒子径:65nm)
A−5:中国塗料社製 ITO分散液
(ITOの平均粒子径:40nm)
A−1:大日本塗料社製 ITO分散液
(ITOの平均粒子径:60nm)
A−2:御国色素社製 ITO分散液
(ITOの平均粒子径:35nm)
A−3:触媒化成社製 ITO「ELCOMP特殊A」
(ITOの平均粒子径:50nm)
A−4:触媒化成社製 ITO「ELCOMP特殊B」
(ITOの平均粒子径:65nm)
A−5:中国塗料社製 ITO分散液
(ITOの平均粒子径:40nm)
[超高屈折率微粒子]
B−1:大日本塗料社製 TiO2分散液
(TiO2の平均粒子径:100nm)
B−2:触媒化成社製 TiO2(アナターゼ)「ELCOMP特殊D」
(TiO2の平均粒子径:40nm)
B−3:中国塗料社製 TiO2(ルチル)
(TiO2の平均粒子径:40nm)
B−4:中国塗料社製 TiO2(アナターゼ)
(TiO2の平均粒子径:8nm)
B−5:中国塗料社製 TiO2(アナターゼ)
(TiO2の平均粒子径:20nm)
B−1:大日本塗料社製 TiO2分散液
(TiO2の平均粒子径:100nm)
B−2:触媒化成社製 TiO2(アナターゼ)「ELCOMP特殊D」
(TiO2の平均粒子径:40nm)
B−3:中国塗料社製 TiO2(ルチル)
(TiO2の平均粒子径:40nm)
B−4:中国塗料社製 TiO2(アナターゼ)
(TiO2の平均粒子径:8nm)
B−5:中国塗料社製 TiO2(アナターゼ)
(TiO2の平均粒子径:20nm)
この高屈折率層成膜用組成物について、組成物中の一次粒子径の分布を透過電子顕微鏡で調べたところ、表2に示す通りであった。
この高屈折率層成膜用組成物を易接着層のついてないPETフィルム(「東レルミラー」、膜厚50μm)に550nmの光波長に対し約1/4λの厚さに塗工して硬化させた。硬化条件は紫外線積算照射量300mJ/cm2、硬化時の酸素濃度150ppmとした。その後、フィルムの塗工してない面に黒いビニールテープを張り、反射率を測定し、この反射スペクトルの最小反射率から、屈折率を計算により求め、結果を表2に示した。
表2より、一次粒子径が30nm以下の高屈折率微粒子と40nm以上の高屈折率微粒子とを適度に用いることにより、高屈折率微粒子の充填量を上げて、屈折率が著しく高い高屈折率層を形成することができることが分かる。
実験例2
次に易接着層の膜厚と屈折率を規定する前述の
(nb+nHC)/2 −0.03≦na≦(nb+nHC)/2 +0.03
及び
(550/4)×(1/na) −10nm≦T≦(550/4)×(1/na) +10nm
の根拠を示す実験例を挙げる。
次に易接着層の膜厚と屈折率を規定する前述の
(nb+nHC)/2 −0.03≦na≦(nb+nHC)/2 +0.03
及び
(550/4)×(1/na) −10nm≦T≦(550/4)×(1/na) +10nm
の根拠を示す実験例を挙げる。
反射防止フィルムは、ハードコート層が無いと、耐擦傷性、鉛筆高度が落ち、フィルムが傷付きやすくなるため、ハードコート層を形成するのが一般的である。その構成としては、PETフィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層とするのが、最も一般的である。
ハードコート層は、硬度を高めるため、通常多官能アクリルモノマーないしオリゴマーの混合物に、更にアクリル変性されたシリカ微粒子を配合して形成され、ハードコート層のアクリルモノマーやオリゴマーの一般的な屈折率は1.49〜1.55程度、シリカ微粒子の屈折率は1.47程度であるため、ハードコート層の屈折率は1.49〜1.55程度である。一方、PETフィルムの屈折率は1.65程度で、ハードコート層との屈折率差は大きい。
このように、非常に屈折率差がある基材フィルムにハードコート層を形成すると、特有のスペクトルが生じ、反射防止フィルムを作成する際、最小反射率が高くなる。
これを解消し、最小反射率を低く抑える方法が、易接着層の膜厚と屈折率を操作する方法である。
まず、ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層を以下の構成として反射防止層を形成する。
この反射防止層を塗工する際、易接着層の膜厚及び屈折率で、反射防止層の最小反射率がどの程度変わるのかを、以下の実験結果に示す。
以下において、本発明に好適な実験例を「実験例a」で示し、比較例に相当する実験例を「実験例b」で示す。
なお、基材フィルムの屈折率nbは1.65で、ハードコート層の屈折率nHCは1.50であるので、(nb+nHC)/2≒1.58である。
各実験例の反射スペクトルは、図5〜19に示し、また最小反射率を表3に示す。
PETフィルムに易接着層がない実験例b−1と、通常の易接着層(屈折率1.55、膜厚20nm)を設けた実験例b−2はともに、反射率は0.35〜0.45%と高めに出た。
実験例b−3〜b−5及び実験例a−1〜a−3は、易接着層の光学膜厚を550nmの光に対して、正確に1/4λ(0.25λ)とし、易接着層の屈折率を変化させたものである。光学膜厚が0.25λということは、易接着層の膜厚は、(550/4)×(1/na)を正確に満たしているということになる。
易接着の屈折率を1.54、1.56、1.58、1.60、1.62と変化させた。各実験例の反射スペクトルと、そのときの最小反射率から、易接着層の屈折率が、(nb+nHC)/2に近づくと最小反射率が落ち、特に、(nb+nHC)/2±0.02の時は非常に高い反射防止効果が見られた。しかし、易接着層の屈折率が(nb+nHC)/2から離れていくと最小反射率も上がってしまう傾向が見られた。
実験例b−3・・・n=1.54d=(550/4)×(1/na)
実験例a−1・・・n=1.56d=(550/4)×(1/na)
実験例a−2・・・n=1.58d=(550/4)×(1/na)
実験例a−3・・・n=1.60d=(550/4)×(1/na)
実験例b−4・・・n=1.62d=(550/4)×(1/na)
実験例b−5・・・n=1.64d=(550/4)×(1/na)
実験例a−1・・・n=1.56d=(550/4)×(1/na)
実験例a−2・・・n=1.58d=(550/4)×(1/na)
実験例a−3・・・n=1.60d=(550/4)×(1/na)
実験例b−4・・・n=1.62d=(550/4)×(1/na)
実験例b−5・・・n=1.64d=(550/4)×(1/na)
実験例b−6〜b−9及び実施例a−5,a−6は、易接着層の膜厚の影響、即ち、易接着層の膜厚が(550/4)×(1/na)を外れた場合を示すものである。
易接着層の屈折率を(nb+nHC)/2、即ち正確に1.58として、易接着層の膜厚を変化させた各実験例の反射スペクトルと、そのときの最小反射率から、易接着層の屈折率が、
(nb+nHC)/2 −0.03≦na≦(nb+nHC)/2 +0.03
の範囲で、さらに膜厚が
(550/4)×(1/na) −10nm≦T≦(550/4)×(1/na) +10nm
の範囲で非常に最小反射率が下がることが明らかである。
(nb+nHC)/2 −0.03≦na≦(nb+nHC)/2 +0.03
の範囲で、さらに膜厚が
(550/4)×(1/na) −10nm≦T≦(550/4)×(1/na) +10nm
の範囲で非常に最小反射率が下がることが明らかである。
実験例b−6・・n=1.58d=(550/4)×(1/na)−30[nm](57nm)
実験例b−7・・n=1.58d=(550/4)×(1/na)−20[nm](67nm)
実験例a−4・・n=1.58d=(550/4)×(1/na)−10[nm](77nm)
実験例a−5・・n=1.58d=(550/4)×(1/na) [nm](87nm)
実験例b−7・・n=1.58d=(550/4)×(1/na)+10[nm](97nm)
実験例b−8・・n=1.58d=(550/4)×(1/na)+20[nm](107nm)
実験例b−9・・n=1.58d=(550/4)×(1/na)+30[nm](117nm)
実験例b−7・・n=1.58d=(550/4)×(1/na)−20[nm](67nm)
実験例a−4・・n=1.58d=(550/4)×(1/na)−10[nm](77nm)
実験例a−5・・n=1.58d=(550/4)×(1/na) [nm](87nm)
実験例b−7・・n=1.58d=(550/4)×(1/na)+10[nm](97nm)
実験例b−8・・n=1.58d=(550/4)×(1/na)+20[nm](107nm)
実験例b−9・・n=1.58d=(550/4)×(1/na)+30[nm](117nm)
これらの結果から、一般的なハードコート層(n=1.50)を用いた場合、易接着層の屈折率は約1.58で、膜厚は77〜97nmの範囲で非常に良好な反射防止特性が得られることが分かる。また、このようにすることにより、ハードコート層と基材フィルムとの屈折率差によるまだら模様のような反射色ムラも同時に解消することができることが確認された。
反射防止性能と耐擦傷性、耐薬品性等に優れ、耐久性に優れると共に、低コストで連続生産可能な本発明の反射防止フィルムは、ワープロ、コンピュータ、CRT、プラズマテレビ、液晶ディスプレイ、有機ELなどの各種ディスプレイ、及び自動車、建築物、電車の窓ガラスや絵画の額ガラス等に有用である。
1 基材フィルム
2 易接着層
3 ハードコート層
4 高屈折率層
5 低屈折率層
2 易接着層
3 ハードコート層
4 高屈折率層
5 低屈折率層
Claims (16)
- 透明基材フィルム上に、易接着層、ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層をこの順で積層してなる反射防止フィルムにおいて、
該低屈折率層が、
中空のシリカ微粒子(以下「ポーラスシリカ」と称す。)と、
多官能(メタ)アクリル系化合物と、
光重合開始剤と
を含む塗膜に、酸素濃度が0〜10000ppmの雰囲気下で紫外線を照射することにより硬化させてなることを特徴とする反射防止フィルム。 - 透明基材フィルム上に、易接着層、高屈折率ハードコート層及び低屈折率層をこの順で積層してなる反射防止フィルムにおいて、
該低屈折率層が、
中空のシリカ微粒子(以下「ポーラスシリカ」と称す。)と、
多官能(メタ)アクリル系化合物と、
光重合開始剤と
を含む塗膜に、酸素濃度が0〜10000ppmの雰囲気下で紫外線を照射することにより硬化させてなることを特徴とする反射防止フィルム。 - 請求項1又は2において、該ハードコート層の屈折率が1.48〜1.55であり、
該易接着層の屈折率をna、該透明基材フィルムの屈折率をnb、該ハードコート層の屈折率をnHCとすると、
(nb+nHC)/2 −0.03≦na≦(nb+nHC)/2 +0.03
であり、該易接着層の膜厚Tが
(550/4)×(1/na) −10nm≦T≦(550/4)×(1/na) +10nm
の範囲であることを特徴とする反射防止フィルム。 - 請求項1ないし3のいずか1項において、該易接着層は、該透明基材フィルムの成形時に該透明基材フィルム上に形成されたものであることを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項5において、前記高屈折率微粒子の平均一次粒子径が10〜150nmであることを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項5において、前記高屈折率微粒子の平均一次粒子径が30〜40nmであり、全微粒子中の、一次粒子径が30nm以下の微粒子の累積個数が20%以上、一次粒子径が45nm以上の微粒子の累積個数が20%以上であることを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項5において、前記高屈折率微粒子は、アナターゼ型二酸化チタン微粒子にITO微粒子を被覆したものであり、二酸化チタン微粒子の平均一次粒子径が5〜80nmで、ITO微粒子による被覆層厚さが5nm以上であることを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項5において、前記高屈折率微粒子は、ルチル型二酸化チタン微粒子にITO微粒子を被覆したものであり、二酸化チタン微粒子のアスペクト比が2〜10で、ITO微粒子による被覆層厚さが5nm以上であることを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項1ないし9のいずれか1項において、該多官能(メタ)アクリル系化合物が、下記一般式(I)で表される6官能(メタ)アクリル系化合物及び/又は下記一般式(II)で表される4官能(メタ)アクリル系化合物を主成分とすることを特徴とする反射防止フィルム。
n,m,o,p,q,rは各々独立に、0〜2の整数を表し、
R1〜R6は各々独立に、炭素数1〜3のアルキレン基、或いは、水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された炭素数1〜3のフルオロアルキレン基を表す。)
s,t,u,vは各々独立に、0〜2の整数を表し、
R11〜R14は各々独立に、炭素数1〜3のアルキレン基、或いは、水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された炭素数1〜3のフルオロアルキレン基を表す。) - 請求項10において、該多官能(メタ)アクリル系化合物は、更に下記一般式(III)で表されるフッ素含有2官能(メタ)アクリル系化合物を含み、全多官能(メタ)アクリル系化合物中の該フッ素含有2官能(メタ)アクリル系化合物の割合が5重量%以上であることを特徴とする反射防止フィルム。
Aa−O−(CH2)xa−Rf−(CH2)xb−O−Ab ……(III)
(上記一般式(III)中、Aa,Abは各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、α−フルオロアクリロイル基、又はトリフルオロメタクリロイル基を表し、Rfはパーフルオロアルキレン基を表し、xa,xbは各々独立に、0〜3の整数を表す。) - 請求項10又は11において、該多官能(メタ)アクリル系化合物は、更に、1分子中にフッ素原子を6個以上有し、分子量が1000以下の3〜6官能の(メタ)アクリル系化合物、及び、1分子量にフッ素原子を10個以上有し、分子量が1000〜5000の6〜15官能の(メタ)アクリル系化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上のフッ素含有多官能(メタ)アクリル系化合物を含み、全多官能(メタ)アクリル系化合物中の該フッ素含有多官能(メタ)アクリル系化合物の割合が5重量%以上であることを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項13において、前記ポーラスシリカは前記末端(メタ)アクリルシランカップリング剤と、100〜150℃における水熱反応により、或いはマイクロ波照射下での反応により、表面が末端(メタ)アクリル変性された(メタ)アクリル変性ポーラスシリカであることを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項15において、前記ポーラスシリカは前記末端フルオロアルキルシランカップリング剤と、100〜150℃における水熱反応により、或いは、マイクロ波照射下での反応により表面が末端フルオロアルキル変性されたフルオロアルキル変性ポーラスシリカであることを特徴とする反射防止フィルム。
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---|---|---|---|---|
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