JP2009152077A - リチウム電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】硫化物固体電解質を用いながらも、容量が高いリチウム電池を提供する。
【解決手段】正極層と、負極層と、これら両層の間でリチウムイオンの伝導を媒介する硫化物固体電解質層とを備えるリチウム電池である。このリチウム電池に備わる正極層は、リチウムイオン伝導性の硫化物粒子の表面にリチウムイオン伝導性酸化物からなる被覆を形成した電解質粒子を含有する。この構成により、硫化物粒子と正極活物質との界面における空乏層の形成を抑制することができ、もって、正極層と固体電解質層との界面近傍における空乏層の形成をも抑制することができる。また、この構成であれば、正極活物質の電子伝導性が減少しないので、容量が高いリチウム電池になる。
【選択図】なし

Description

本発明は、固体電解質層を備えるリチウム電池に関するものである。特に、本発明は、固体電解質層として硫化物電解質を使用した場合でも容量が高いリチウム電池に関する。
携帯機器といった比較的小型の電気機器の電源に、リチウム電池(一次電池および二次電池を含む)が利用されている。リチウム電池は、正極層と負極層と、これら両層の間でリチウムイオンの伝導を媒介する電解質層とを備える。
近年、このリチウム電池として、正・負極間のリチウムの伝導に有機電解液を用いない全固体型リチウム電池が提案されている。全固体型リチウム電池は、電解質層として固体電解質層を使用しており、有機溶媒系の電解液を用いることに伴う不都合、例えば、電解液の漏れによる安全性の問題、高温時に有機電解液がその沸点を超えて揮発することによる耐熱性の問題などを解消することができる。この固体電解質層には、リチウムイオン伝導性が高く、絶縁性に優れる硫化物系の物質が広く利用されている。
上述した利点を有する一方で、硫化物の固体電解質層を用いた全固体型リチウム電池は、有機電解液を使用したリチウム電池と比較して、容量が低い(即ち、出力特性が悪い)という問題を有していた。このような問題点の原因は、リチウムイオンが、固体電解質層の硫化物イオンよりも正極層の酸化物イオンに引き寄せられ易いため、硫化物で構成される固体電解質層の正極層側領域に、リチウムイオンが欠乏した層(空乏層)が形成されるためである(非特許文献1を参照)。この空乏層は、リチウムイオンが欠乏しているために電気抵抗値が高く、電池の容量を低下させる。
このような問題点を解決する技術として、非特許文献1では、正極活物質粒子の表面にリチウムイオン伝導性の酸化物を被覆している。この被覆により、硫化物固体電解質層において、リチウムイオンの偏りが緩和され、空乏層の形成が抑制されるので、その結果、リチウム電池の出力特性の向上を実現している。
Advanced Materials 2006.18,2226-2229
しかし、上記非特許文献1では、静電噴霧法により正極活物質粒子の表面に被覆を形成しているが、この技術は非常に難しい。しかも、この文献で製造されるリチウム電池は、被覆厚さの調節に細心の注意をはらわなければ、逆に電池の性能を低下させることになる。これは、被覆が厚すぎると、正極活物質同士の電子伝導性を確保できなくなるため、正極層において実質的に電池反応に寄与する活物質の量が限定されてしまうためである。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、電解質として硫化物を用いた固体電解質層を備えながらも、容量が高いリチウム電池を提供することにある。
本発明は、正極層と、負極層と、これら両層の間でリチウムイオンの伝導を媒介する硫化物固体電解質層とを備えるリチウム電池である。そして、このリチウム電池に備わる正極層は、リチウムイオン伝導性の硫化物粒子の表面にリチウムイオン伝導性酸化物からなる被覆を形成した電解質粒子を含有することを特徴とする。
本発明のリチウム電池は、正極層中の硫化物粒子の表面に形成されるリチウムイオン伝導性酸化物の被覆により、硫化物の電解質粒子と正極活物質粒子との界面におけるリチウムイオンの偏りを緩衝し、当該界面における空乏層の形成を抑制することができる。さらに、正極層中でのリチウムイオンの偏りを緩衝することで、正極層と固体電解質層との界面における空乏層の形成をも抑制することができる。そのため、本発明の構成とすることにより、有機電解液を使用した従来のリチウム電池に匹敵する容量を備えるリチウム電池とすることができる。
また、本発明のリチウム電池は、正極活物質ではなく、正極層中に含有させた硫化物粒子に空乏層の形成を抑制するための構成(硫化物粒子の表面の被覆)を設けているため、正極層における正極活物質同士の電子伝導性を減らすことなく空乏層の形成を抑制することができる。
硫化物粒子は、リチウムイオン伝導性が高く(約10-4S/cm以上)、電子伝導性が低い(約10-7S/cm以下)ことを条件とする種々の硫化物系の化合物を利用することができる。例えば、Li-P-S-OやLi-P-Sなどを好適に利用可能である。また、硫化物粒子は、次々段に述べる被覆の厚さや成型性、分散性の観点から平均粒径で約0.1〜20μmとすることが好ましい。
硫化物粒子に被覆するリチウムイオン伝導性酸化物としては、リチウムイオン伝導性が約10-9S/cm以上のものが好適に利用可能である。具体的な組成としては、例えば、LiNbO3やLiTaO3、Li4Ti5O12などを挙げることができる。上記酸化物のうち、特に、LiNbO3は、リチウムイオン伝導性が高く(約10-7S/cm)、好ましい。なお、これらの化合物は、単独あるいは組み合わせて利用することができる。
上記リチウムイオン伝導性酸化物からなる被覆の厚さは、5nm以上100nm以下とすることが好ましい。被覆厚さが、5nm未満の場合、リチウムイオンの偏りを抑制する効果が小さくなるので、空乏層を抑制する効果が低い。また、被覆層にリチウムイオン導電性があるとはいえ、リチウムイオンの輸送に特化した硫化物粒子に比べて被覆層のリチウムイオン伝導度は低い。そのため、被覆層の厚さが100nm超の場合、この被覆層によりリチウムイオンの移動が阻害されるので、好ましくない。より好ましい被覆厚さは、5nm以上30nm以下である。
なお、正極層に電解質粒子を含有させる場合、正極層に占める活物質の割合が減少するので、電池の容量は低下することになる。従って、正極層に電解質粒子を含有させることによる容量の低下とサイクル特性の向上とのバランスを考慮して、正極層に含有させる電解質粒子の量を決定すると良い。正極層に占める電解質粒子は、質量%でおおよそ10〜50%とすることが好ましい。
一方、リチウム電池における正極層の活物質としては、種々の化合物を利用することができるが、特にコバルト酸リチウム(LiCoO2)とすることが好ましい。正極活物質をコバルト酸リチウムとしてリチウム電池を作製した場合、活物質自身の電子伝導性が比較的大きいため、正極層に導電助剤を含まなくても優れた電池特性を得やすいという利点がある。
本発明リチウム電池は、硫化物固体電解質層を備えるリチウム電池において、正極層に硫化物粒子を含有させると共に、正極層に混合する硫化物粒子の表面にリチウムイオン伝導性酸化物を被覆することにより、正極層と固体電解質層の界面における空乏層の形成を抑制することができる。その結果、本発明リチウム電池は、従来の全固体型電池よりも容量が高く、有機電解液を使用した従来の電池に匹敵する容量の電池とすることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
≪リチウム電池の全体構成≫
本実施の形態におけるリチウム電池は、集電機能を有する正極集電体層と負極集電体層、活物質を含有する正極層と負極層、および、正・負極間のリチウムイオンの移動を媒介する硫化物固体電解質層(SE層)とを備えることを基本構成とする。このうち、正極層と負極層は、電池を平面視した場合に、互いに重複する箇所がある積層構造の場合でもよいし、重複する箇所がない構造でもよい。前者の場合、電池の面積を小さくしやすい。この電池の代表例は、ほぼ同じ大きさの正極層と負極層を重ね合わせたボタン型電池である。一方、電池を平面視した場合に両電極層に重複する箇所のない後者の場合、SE層の厚さ方向にピンホールが生じていても、両電極層間の短絡を抑制しやすい。このような電極の構成としては、正極層と負極層とを各々櫛歯状に形成して、互いに櫛歯が嵌め合わされるように並列することが挙げられる。
≪各構成部材≫
(正極集電体層)
正極集電体としては、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、これらの合金、ステンレスから選択される1種が好適に利用できる。正極集電体は、絶縁体上に金属膜として形成し、電池の各構成を支持する基板とすると良い。金属膜からなる集電体は、例えば、PVD法やCVD法により形成することができる。特に、所定のパターンに金属膜(集電体)を形成する場合、適宜なマスクを用いることで、絶縁体上に、容易に所定のパターンの集電体を形成することができる。なお、正極集電体自体が基板の役割を兼ねていても良い。
(正極層)
正極層は、リチウムイオンの吸蔵及び放出を行う活物質を含む層である。活物質としては、酸化物、例えばコバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、オリビン型鉄リン酸リチウム(LiFePO4)またはLiNi0.5Mn0.5O2、LiNi0.5Co0.5O2、若しくはこれらの混合物を好適に使用することができる。これら正極活物質のうち、コバルト酸リチウムは、比較的電子伝導性に優れるので、本発明の構成を備えるリチウム電池の正極活物質として好適である。その他、ニッケル酸リチウムも、正極活物質として好適に利用可能である。
上記正極層は、導電助剤を含んでいても良い。導電助剤としては、例えば、アセチレンブラックといったカーボンブラック、天然黒鉛、熱膨張黒鉛、炭素繊維、酸化ルテニウム、酸化チタン、アルミニウムやニッケルなどの金属繊維からなるものが利用できる。特に、カーボンブラックは、少量で高い導電性を確保できて好ましい。
さらに、前記正極層は、硫化物粒子の表面にリチウムイオン伝導性の酸化物を被覆した電解質粒子を含有している。但し、正極層に電解質粒子を含有させる場合、正極層に占める正極活物質の割合が減少するので、容量の低下とサイクル特性の向上のバランスを考慮して、正極層に含有させる電解質粒子の量を決定すると良い。具体的には、正極層に占める電解質粒子は、質量%でおおよそ10〜50%とすることが好ましい。
電解質粒子を構成する硫化物粒子は、硫化物であって、リチウムイオン伝導度(20℃)が10-5S/cm以上あり、かつリチウムイオン輸率が0.999以上であることが好ましい。特に、リチウムイオン伝導度が10-4S/cm以上あり、かつLiイオン輸率が0.9999以上であれば良い。また、硫化物粒子は、電子伝導度が10-8S/cm以下であることが好ましい。この硫化物粒子としては、例えば、Li、P、S、OからなるLi-P-S-Oや、Li2SとP2S5とからなるLi-P-Sのアモルファス粒子あるいは多結晶粒子などで構成することが好ましい。
一方、硫化物粒子の表面に形成されるリチウムイオン伝導性酸化物は、正極活物質との界面近傍でのリチウムイオンの偏りを緩衝して、当該箇所での空乏層の形成を抑制する。リチウムイオン伝導性酸化物は、電極内に含有される関係上、リチウムイオン伝導度が高く、電子伝導度が低いものを使用すると良い。リチウムイオン伝導性酸化物としては、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)やタンタル酸リチウム(LiTaO3)などを好適に利用することができる。特に、ニオブ酸リチウムは、リチウムイオン伝導度が10-8S/cm以上であるので、SE粒子の機能を大きく損なうことがない。この被覆の形成方法は、例えば、スパッタリング法や静電噴霧法などを利用することができる。
また、硫化物粒子の表面に形成される被覆の厚さは、5nm以上100nm以下であることが好ましい。被覆が厚すぎると、リチウム電池の高抵抗化の要因になる。空乏層の形成を抑制するには、5nm以上あれば十分であるので、この値を下限値とする。
上述した正極層の形成方法としては、湿式法、例えば、塗布法やスクリーン印刷法などを使用することができる。また、正極層に結着剤を含有させて、活物質同士、あるいは、活物質と活物質以外の物質(電解質粒子や導電助剤)などを結着するようにしても良い。このような結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)などを使用することができる。
(SE層)
SE層は、正・負極層間のリチウムイオンの伝導を媒介する層であり、正極層に含有される電解質粒子を構成する硫化物粒子と同様のものを使用することができる。SE層は、硫化物であれば良く、正極層に含有される電解質粒子の硫化物粒子と同じものでも異なるものでも良い。例えば、SE層をLi2SとP2S5とからなるLi-P-Sとすると、SE層と負活物質層との間の界面抵抗値を低下させることができ、その結果、電池の性能を向上させることができる。この硫化物粒子の形成方法としては、固相法、例えば、メカニカルミリング法を使用できる。
(負極集電体層)
負極集電体層は、負極層の上に形成される金属膜である。負極集電体層としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、及びこれらの合金から選択される1種が好適に利用できる。なお、負極集電体層は、正極集電体層の場合と同様に、PVD法やCVD法で形成することができるし、箔状の金属や合金を圧着することで形成することもできる。
(負極層)
負極層は、リチウムイオンの吸蔵及び放出を行う活物質を含む層で構成する。例えば、負極層として、Li金属及びLi金属と合金を形成することのできる金属よりなる群より選ばれる1つ、若しくはこれらの混合物又は合金が好適に使用できる。Liと合金を形成することのできる金属としては、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、及びインジウム(In)よりなる群より選ばれる少なくとも一つ(以下、合金化材料という)が良い。このような元素を含有した負極層は、負極層自体に集電体としての機能を持たせることができ、かつリチウムイオンの吸蔵・放出能力が高く好ましい。
また、負極層としてリチウム(Li)金属との合金相を用いることで、Li金属と合金化した合金化材料とLiイオン伝導性の固体電解質層との界面でのLiイオンの移動抵抗が低減される効果があり、第1サイクル目の充電初期における合金化材料の高抵抗化が緩和される。
さらに、合金化材料の金属単体を負極層とした場合には、第1サイクル目の充放電サイクルにおいて、充電容量に対して放電容量が大幅に小さくなる問題があるが、予めLi金属と合金化材料とを合金化した負極層材料を用いることにより、この不可逆容量は殆どなくなる。このことにより、正極活物質量を不可逆容量分だけ余分に充填する必要がなくなり、リチウム電池の容量密度を向上させることができる。
上述した負極層の形成方法は、気相堆積法が好ましい。その他、金属箔をSE層の上に重ねて、プレスあるいは電気化学的手法によりSE層上に密着させ、負極層を形成しても良い。
以下、実施形態において説明した構成のリチウム電池を実際に作製し、電池の放電容量を測定することで、電池の性能を評価した。
<実施例1>
実施例1として、正極集電体、正極層、SE層、負極層の順に積層したコインセル型リチウム電池を作製した。この電池では、正極層に電解質粒子を含有する。電解質粒子には、SE層を構成する電解質である硫化物粒子に、さらに酸化物の表面被覆を施したものを使用した。また、正極集電体が基材の役割を兼ね、負極層が負極集電体の役割を兼ねるようにした。以下、電池の製造方法を具体的に説明する。
≪電解質粒子の準備≫
まず、本発明の特徴である正極層に含有される電解質粒子について説明する。電解質粒子は、硫化物粒子(Li2S−P2S5)にニオブ酸リチウム(LiNbO3)を被覆したものを使用した。硫化物粒子は、硫化リチウム(Li2S)及び五硫化リン(P2S5)を原料とし、メカニカルミリング法で作製し、その平均粒径は1μm、リチウムイオン伝導度は5×10-4S/cmであった。また、被覆は、ニオブ酸リチウムをターゲットとして、基板に配置した硫化物粒子にニオブ酸リチウムの被覆を形成するスパッタリング法で形成し、その厚さは10nm、リチウムイオン伝導度は2.1×10-7S/cmであった。スパッタリング条件は以下の通りである。
[スパッタリング条件]
圧力…1×10-3torr(約0.133Pa)
電力…200W
ターゲットと基板との距離…70mm
≪その他の準備≫
正極集電体として、厚さ500μmのSUS304からなる薄板を用意した。この薄板は、電池の各層を支持する基材の役割も兼ねる。
正極層の活物質として、平均粒径10μmのLiCoO2の粉末を用意した。そして、このLiCoO2粉末と電解質粒子を70:30(質量比)の比率で乳鉢にて混合し、正極材料を作製した。
負極層として、インジウム箔を用意した。インジウム箔の厚さは100μmであった。
≪電池の作製≫
内径10mmの金型の底に金型の内径に一致する外径を有する正極集電体を配置し、その上に20mgの正極材料、50mgの硫化物粒子、インジウム箔の順に積層し、プレスすることで全固体型のリチウム電池を作製した。プレスの際の圧力はおよそ500MPaとした。
<比較例1>
本発明の比較として、メカニカルミリング法で作製した硫化物粒子をそのまま電解質粒子としてリチウム電池を作製した。この比較例1の電池は、正極層に含まれる電解質として表面に酸化物の被覆を有さない硫化物粒子を使用している以外は、実施例1と同様の材料と方法で作製した。
<比較例2>
本発明の比較として、上記非特許文献1と同様の構成を有するリチウム電池を作製した。具体的には、空乏層の形成を抑制するLiNbO3の被覆を正極活物質の表面に形成した。また、SE層と正極層に含まれる電解質として表面に酸化物の被覆を有さない硫化物粒子を使用した。これらの構成以外は、実施例1と同様である。
上述した実施例と比較例のリチウム電池の放電容量を測定することで、電池の性能を評価した。電池容量の測定は、充電上限電圧3.7V、充電下限電圧2.0V、充放電電流0.05mAの条件で充放電を行うことで実施した。測定結果を表1に示す。
Figure 2009152077
表1の結果から明らかなように、硫化物粒子の表面にリチウムイオン伝導性酸化物を被覆した電解質粒子を正極層中に含有する実施例1のリチウム電池は、高い放電容量を確保することができた。これに対して、正極層に含有される電解質である硫化物粒子に被覆を施さなかった従来の比較例1のリチウム電池は、実施例1の電池よりも大幅に放電容量が低くかった。これは、正極層中の活物質と硫化物粒子との界面における空乏層の形成を抑制できなかったためと推察される。また、正極層に含有される硫化物粒子には被覆を施さず、正極活物質の表面に被覆を施した比較例1のリチウム電池(非特許文献1のリチウム電池)は、比較例1のリチウム電池よりも放電容量が高かったものの、実施例1のリチウム電池の放電容量には及ばなかった。これは、正極活物質の表面に被覆を形成することにより、SE層における空乏層の形成を抑制できたものの、被覆により正極活物質の電子伝導性が低下し、正極活物質の利用率が低下したためと推察される。
なお、本発明の実施形態は、上述した構成に限定されるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
本発明リチウム電池は、携帯機器などの電源として好適に利用することができる。

Claims (4)

  1. 正極層と、負極層と、これら両層の間でリチウムイオンの伝導を媒介する硫化物固体電解質層とを備えるリチウム電池であって、
    前記正極層は、リチウムイオン伝導性の硫化物粒子の表面にリチウムイオン伝導性酸化物からなる被覆を形成した電解質粒子を含有することを特徴とするリチウム電池。
  2. 前記リチウムイオン伝導性酸化物は、Nb(ニオブ)を含有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム電池。
  3. 前記被覆の厚さは、5nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウム電池。
  4. 前記正極層は、コバルト酸リチウムを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウム電池。
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