JP2009101361A - 液体冷却捕捉器 - Google Patents

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Abstract

【課題】気相化学反応システムにおける凝縮可能な蒸気を、効果的にかつ効率良く収集するための液体冷却捕捉器を提供する。
【解決手段】ガス副生成物Gが入り口(32)から捕捉器(30)に入り、捕捉器(30)内を流れるガス副生成物Gに温度分布を発生させる。
【選択図】図9

Description

本発明は、広くは、ガスの流れから凝縮可能な蒸気を集めて除去する捕捉器に関し、より具体的には、化学蒸着(CVD)室およびエッチング室等の化学反応室の下流の流路から、塩化アンモニウム(NH4Cl)または他の凝縮可能なガスを集めて除去する2段階の液体冷却捕捉装置に関する。
半導体および他の製造工程においてガス副生成物が生成することはよくあることである。例えば、半導体製造工程における低圧化学蒸着(LPCVD)およびアンモニアエッチングでは、反応工程室で生成されそれから放出される廃ガス中に、塩化アンモニウムガス(NH4Cl)または塩化アルミニウム(AlCl3)ガス等の化学反応副生成物が生成する。そのような塩化アンモニウムや塩化アルミニウムのガスは、廃ガスを反応室から除去するために用いられる加熱されていないパイプの内側の表面をはじめ、真空ポンプの内部および他の器材の内部の冷たい表面に凝縮し、固化し、また付着して、固体の蓄積物を形成することがある。反応工程室よりも下流のパイプ、ポンプ、および他の器材内のそのような固体蓄積物は、部分的または完全にパイプを詰まらせ、ポンプや他の器材を損傷し、真空伝導性を低下させ、製造工程で用いられるパイプ、ポンプおよび他の器材の機能を損ない、あるいは動作不能にしてしまう。そのような固体蓄積物は剥離し、パイプ表面から落ちて移動し、反応工程室に戻って、製造工程の汚染源となることもある。例えば、半導体チップ形成に用いられる基板ウエハ上にマスクや保護層として窒化珪素の層を付着するための低圧化学蒸着(LPCVD)工程では、窒化珪素の付着を行う反応室内に多量の塩化アンモニウムガスが副生成物として発生し、反応器または反応室の下流の凝縮した塩化アンモニウムの固体蓄積物が重大な問題となる。塩化アンモニウムガスは、一般に、300ミリトールでは摂氏140度(140℃)以下の温度で昇華する。塩化アンモニウムが一旦反応室から出て冷えると、塩化アンモニウムの昇華で白い結晶性の物質が生じて、製造システムで使用されるパイプおよびポンプの内側等の加熱されていない全ての表面に堆積する。また、上述のように、そのような昇華した塩化アンモニウムが剥離し、割れ落ちて、反応室内に流れ戻ると、反応室内の半導体基板ウエハを汚染して、使用可能な半導体装置の歩どまりを無としあるいは低下させる。したがって、そのような汚染が起きると、結晶性物質をシステムから除去する間製造システムを閉鎖しなければならず、また、詰まったパイプおよびポンプを清掃しあるいは取り替えなければならない。このような停止および使用に適さなくなった基板ウエハや半導体チップは、経費の大きな増加と、高価な物質の損失と、半導体製造の生産性の低下の原因となりうるし、実際になっている。
塩化アンモニウムガスが製造システムを詰まらせあるいは汚染するのを防止するためには、それが凝縮し固化するのを防ぐか、製造工程で用いられている配管システムから除去するかしなければならない。一般のLPCVD半導体製造工程においては、化学反応室または化学蒸着室の排気口には、室圧を所望の反応圧にまで吸引して低下させるために、真空ポンプが配管によって接続される。反応ガスは取入口を通して反応室に導き入れられ、そこで真空中で化学的に反応して、室内の半導体基板に付着する窒化珪素等の物質を生成する。反応副生成物は、ポンプによって室外に吸い出される。反応室の排気口に連なるパイプ内のガス副生成物の昇華または凝縮を防止するために、通常、ヒータジャケットをそのパイプの回りに巻いてパイプを高温に保つようにしている。これにより、塩化アンモニウム等の副生成物ガスのパイプの内表面での凝縮や固化が防がれる。しかしながら、真空ポンプおよび他のパイプ部品内での副生成物の凝縮および蓄積を防止するのはそれほど容易ではない。そこで、ある製造システムでは、パイプラインの加熱される部位の直後に捕捉器を設けて、ガス流が真空ポンプに達する前にそれに含まれる凝縮可能な蒸気を捕捉して除去するようにしている。これにより、凝縮可能な蒸気は、パイプライン内ではなく、捕捉器内で凝縮されて集められる。その後捕捉器は、清掃および凝縮したガス副生成物の除去のために必要が生じた時あるいは都合のよい時にはいつでも、パイプラインからはずすことができる。
もし、捕捉器の清掃に必要な時間間隔が通常のシステム保守点検の時間間隔よりも長くなるほど捕捉器の容量が大きければ、捕捉器の存在および必要な捕捉器の清掃は全半導体製造工程にとって特別重大なものではなくなる。
パイプラインから凝縮可能な蒸気を除くために捕捉器を使用することは、この技術において既によく知られている。凝縮可能な蒸気を捕捉するための従来の捕捉器はしばしば、凝縮可能な蒸気の温度を捕捉器内で低下させると凝縮可能な蒸気は凝縮する、という原則に則って設計されている。パイプラインは高真空(非常に低い圧)の状態で動作しているため、気相での伝導、対流または放射によって移転される熱の量はきわめて小さいから、凝縮可能な蒸気の分子と捕捉器の内部の表面との間の熱移転は、通常効率がよくない。しかしながら、凝縮可能な蒸気の分子は、もしガス分子と捕捉器の内部表面との直接衝突が起きれば、効率よく冷却することができる。そこで、いくつかの捕捉器は、ガスの流れが凝縮可能な蒸気を捕捉器の内部表面に衝突させるように設計されている。例えば、ミヤギらは、気相反応装置のために、凝縮可能な蒸気が当たって凝縮しうる数可変の内部表面を有する捕捉装置を開示している(特許文献1)。しかしながら、ミヤギらの発明は組み立てられて積層される複数の板状部材を必要としており、それらの製造と組立は困難で時間を要するものである。しかも、部品数が多いため、捕捉器を修理しまたは分解するのも困難で時間を要する。板状部材と取り入れ開口が近接しているため、捕捉器が一杯になる前に詰まってしまい、捕捉器の容積のかなりの部分が無駄になることもある。
カリフォルニア、ユーレカのノル−カル社は、半導体加工装置のために、捕捉器の入口と捕捉器の出口が同軸の構成や直交する構成の、いくつかの水冷捕捉器を開発し製造している。ノル−カル社のFTWAシリーズとFTWSシリーズの捕捉器では、隔壁がガスの流れの向きを、表面積を大きくするために円筒状に配設された冷却コイル管の間で変えさせて、捕捉器を通る凝縮可能な蒸気の流れを凝縮させる。捕捉器に入るガスの流れは、捕捉器の内部表面または捕捉器内に置かれた冷却コイル管に衝突することにより、向きを90度または180度変えられる。ノル−カル社の捕捉器は、従来の他の多くの捕捉器と同様に、捕捉器のへ入口近くで詰まってしまい、そのため低容量となり、頻繁に保守と清掃を行う必要がある。したがって、捕捉器技術はよく開発された状態にありながらも、いまだに、パイプラインに取り付けることが可能で、捕捉器が詰まって清掃が必要となる前に捕捉器の容積のより多くの部分を有効利用する、より効率のよい捕捉器が必要とされている。
米国特許5、422、081号
そこで、本発明は、半導体製造工程に使用されるパイプ区画を流れる凝縮可能な蒸気を除去するための捕捉器を提供することを広い目的とする。
本発明はまた、容量が大きくかつ効率のよい捕捉器を提供することを広い目的とする。
本発明はさらに、流れ伝導性を高いレベルで維持する捕捉器を提供することを広い目的とする。
本発明は、出口における流れ伝導性が捕捉器の入口における流れ伝導性に略等しい捕捉器を提供することを具体的な目的とする。
本発明はさらにまた、捕捉器が詰まった時に未使用の容積が最小量となる捕捉器を提供することを広い目的とする。
本発明は、捕捉器の入口が早期に詰まることのない捕捉器を提供することを臭体的な目的とする。
本発明はさらに、清掃が必要となったときには、固化した凝縮物で容積の大部分が埋まっている捕捉器を提供することを具体的な目的とする。
本発明の他の目的、効果および新規な特徴の一部は以下の説明に表され、また一部はこの技術の熟練者にとって、以下の説明を検討することで明瞭となるであろうし、発明を実施することで習得することができる。目的と効果は、付記した特許請求の範囲において特に指摘した手段を用い、また組み合わせることにより、実現され達成されよう。
本発明のガス流から凝縮可能な蒸気を除去する方法は、前記ガス流を、流れ断面積(CSA)を有する捕捉器(30)に通し、前記捕捉器(30)を通る前記ガス流の温度を制御して、入口(32)から出口(34)にいくにしたがって、前記1種類以上のガスの固化析出物の付着量を減少させるようにし、更に、前記入口(32)からの位置に対する固化析出物の付着分布(DP1、DP2,DP3,DP4)が、前記入口(32)から遠くなるのに伴って、固化析出物の付着量の減少率が途中までは大きくなり、その後は減少率が小さくなるように、捕捉器(30)内を流れる前記ガス流に温度分布(TPB)を発生させる。
また、前記入口(32)から前記出口(34)にいくにしたがって、前記ガス流の温度が低下するように、前記ガス流の温度を制御し、更に、前記入口(32)からの位置に対する温度の前記温度分布(TPB)が、前記入口(32)から遠くなるのに伴って温度の低下率が大きくなるようにする。
また、前記入口(32)からの距離の増加に応じて、前記入口(32)付近より衝突表面の面積を大きくし、前記入口(32)から前記出口(34)にいくにしたがって、前記ガス流の温度が低下するように、前記ガス流の温度を制御し、更に、前記入口(32)からの位置に対する温度の前記温度分布(TPB)が、前記入口(32)から遠くなるのに伴って温度の低下率が大きくなるようにする。
また、前記捕捉器(30)の前記入口(32)付近では流れ断面積(CSA)を大きくし、前記入口(32)からの距離が増加するに従って小さくする。
また、捕捉器(30)の入口(32)からの距離に応じた流れ断面積(CSA)を有する捕捉器(30)に前記ガス流を通し、前記捕捉器内の前記凝縮可能な蒸気に対して付着分布(DP1、DP2、DP3、DP4)になるように、前記捕捉器(30)を流れる前記ガス流の前記温度分布(TPB)を制御し、前記付着分布(DP1、DP2、DP3、DP4)と前記流れ断面積(CSA)は、前記捕捉器(30)の未使用の容積が最小量となるように互いに構成される。
また、前記ガス流の前記温度分布(TPB)の制御は、前記ガス流の温度を前記捕捉器の第1の段で第1の温度差だけ降下させ、前記捕捉器の第2の段で第2の温度差だけ降下させる。
また、前記第2の温度差は前記第1の温度差より大きい。
また、前記断面積(CSA)は、前記第1の段のほうが前記第2の段よりも大きい。
また、前記第1の段の容積(V1)は前記第2の段の容積(V2)より大きい。
また、前記ガス流の温度を前記第1の温度差だけ降下させることは、前記ガス流を第1の衝突表面(92)に導くことによって行われる。
また、前記ガス流の温度を前記第2の温度差だけ降下させることは、前記ガス流を第2の衝突表面(146、154)に導くことによって行われる。
また、前記捕捉器(30)の流れ伝導性が所定のレベルまで減少する場合、前記捕捉器が清掃されることを含む。
内部を流れるガス流から凝縮可能な蒸気を除去する捕捉器(30)は、前記捕捉器(30)に前記ガス流を流すための流れ断面積(CSA)を有するフロー手段と、前記捕捉器(30)を通る前記ガス流の温度を制御する手段とを備え、入口(32)から出口(34)にいくにしたがって、前記1種類以上のガスの固化析出物の付着量を減少させるようにし、更に、前記入口(32)からの位置に対する固化析出物の付着分布(DP1、DP2,DP3,DP4)が、前記入口(32)から遠くなるのに伴って、固化析出物の付着量の減少率が途中までは大きくなり、その後は減少率が小さくなるように、捕捉器(30)内を流れる前記ガス流に温度分布(TPB)を発生させる。
また、前記入口(32)から前記出口(34)にいくにしたがって、前記ガス流の温度が低下するように、前記ガス流の温度を制御し、更に、前記入口(32)からの位置に対する温度の前記温度分布(TPB)が、前記入口(32)から遠くなるのに伴って温度の低下率が大きくなるようにする。
また、前記入口(32)からの距離の増加に応じて、前記入口(32)付近より多く設けられる衝突表面(146、154)を含み、前記入口(32)から前記出口(34)にいくにしたがって、前記ガス流の温度が低下するように、前記ガス流の温度を制御し、更に、前記入口(32)からの位置に対する温度の前記温度分布(TPB)が、前記入口(32)から遠くなるのに伴って温度の低下率が大きくなるようにする。
また、前記流れ断面積(CSA)は、前記捕捉器(30)の前記入口(32)付近で大きく、前記入口(32)からの距離の増加に従って小さくなる。
また、前記入口(32)と出口(34)を有して、前記流れ断面積(CSA)が前記入口(32)からの距離に応じて変わり、前記付着分布(DP1、DP2、DP3、DP4)になるように前記温度分布(TPB)を制御するように構成された熱交換器を有し、前記付着分布(DP1、DP2、DP3、DP4)と前記流れ断面積(CSA)は、前記捕捉器(30)の未使用の容積が最小量となるように互いに構成される。
また、前記捕捉器(30)は、第1の段と第2の段とで構成され、前記熱交換器は、前記第1の段で前記ガス流の温度を第1の温度差だけ降下させ、前記第2の段で第2の温度差だけ降下させる。
また、前記第2の温度差は前記第1の温度差より大きい。
また、前記断面積(CSA)は、前記第1の段のほうが前記第2の段よりも大きい。
また、前記第1の段の容積(V1)は前記第2の段の容積(V2)より大きい。
また、前記第1の段を囲い込む第1の円筒ハウジング(60)と、前記第2の段を囲い込む第2の円筒ハウジング(94)と、を更に備える。
また、前記第1の円筒ハウジング(60)は第1の径と第1の縦軸(100)を有し、前記第2の円筒ハウジング(94)は第2の径と第2の縦軸(98)を有し、前記第2の径は前記第1の径よりも小さく、前記第2の円筒ハウジング(94)は、径方向において前記入口と反対側に位置するように、前記第1の円筒ハウジング(60)に対して偏心した位置に配置される。
また、前記入口(32)は、前記ガス流を、前記第1の縦軸(100)に垂直な入口の軸方向に沿って前記第1の段に導く。
また、前記第2の段は、前記第1の段内に設けられた取入口と、放出口と、前記取入口から放出口に延びる前記第2の縦軸に平行な第2の軸流方向とを有する。
また、前記熱交換器は、前記第1の段に設けられた第1の衝突表面(92)と、前記第2の段に設けられた第2の衝突表面(146、154)とから構成される。
また、前記熱交換器は、前記第2の衝突表面(146、154)に接続された冷却手段(120)から成る。
本発明では、捕捉器が流れ伝導性を高いレベルで維持し、捕捉器の入口が早期に詰まることのなく、気相化学反応システムにおける凝縮可能な蒸気を、効果的にかつ効率良く収集することができる。
本発明の捕捉器の等大図である。 典型的な半導体製造システムの代表的なブロック図であり、反応炉、弁、図1の捕捉器、真空ポンプ、反応炉の出口を弁に、弁を捕捉器に、捕捉器を真空ポンプに接続するパイプの断面、および反応炉を弁に接続し、弁を捕捉器に接続するパイプ上のヒータの断面を示す。 変化する温度分布特性を有する仮想の捕捉器の付着分布特性を示す。 変化する物理的形状寸法を有する仮想の捕捉器の付着分布特性を示す。 複数段を有する仮想の捕捉器の付着分布特性を示す。 図1の捕捉器の右側立面図である。 塩化アンモニウム(NH4Cl)の蒸気圧曲線のグラフである。 図1の捕捉器の上平面図であり、本発明の好ましい実施例の冷却コイル管、円錐および中央導管を示す。 図1の捕捉器の図8の線9−9での断面図である。 図1の捕捉器の図5の線10−10での断面図であり、主ハウジングの第1段の内部領域を示す。 図1の捕捉器の図8の線11−11での断面図であり、主ハウジングの第2段の内部領域を示す。 図1の捕捉器の図6の線12−12での断面図である。 図12と同様の断面図であるが、図1の捕捉器の第2の実施例を示しており、捕捉器の第2段において円錐に代えてフィンを用いている。 図11と同様の断面図であるが、捕捉器の主ハウジングの内部領域に代替フィンを用いた図10の実施例を示す。 図12と同様の断面図であるが、捕捉器の第3の実施例を示しており、捕捉器の主ハウジングはその内面から内側に向かって放射状に伸びるフィンを有している。 図11と同様の断面図であるが、図14の第3の実施例のものと同様のフィンを含み、冷却コイル管と円筒状スリーブの形状寸法が異なる、捕捉器の第4の実施例を示す。
図1に、半導体製造工程における塩化アンモニウム等の凝縮可能な副生成物ガスの凝縮と捕捉に用いられる、本発明による液体冷却捕捉器30を図示する。捕捉器30は、流れるガスを捕捉器30に導き入れるパイプライン区画すなわちパイプ46(図2に示す)に、捕捉器30を接続するための入口すなわち取入口32と、入口32を通って捕捉器30に入った流れるガスを、以下に詳述するように流れるガスから凝縮可能な蒸気を除いた後に、捕捉器30から出す別のパイプライン区画すなわちパイプ54(図2に示す)に、捕捉器を接続するための出口すなわち放出口34とを有する。
半導体製造工程の一部の代表的なブロック図を図2に示す。半導体製造の典型例では、誘電性膜またはエッチング工程のためのレジストとして、シリコンチップウエハWに窒化珪素(Si34)を付着させることがしばしば望まれる。その際、被膜されるウエハWは反応室すなわち反応炉40内に置かれ、SiCl22(二塩化シラン)およびNH3(アンモニア)等の反応ガスが、ポンプによって取入口41および43を通って反応炉40に吸い込まれる。
反応ガスSiCl22およびNH3は反応室40内で互いに反応して、ウエハWに付着するSi34と、副生成物NH4Cl(塩化アンモニウム)およびH2(水素)を生成する。これらNH4ClおよびH2のガス副生成物(図2においてはまとめてGで示している)は、放出口45を通って反応炉40から出て、第1のライン区画すなわちパイプ42に流れ込む。本製造工程例の反応室40で起きる化学反応は次のように表される:
10NH3+3SiCl22→Si34+6NH4Cl+6H2 (1)
ガス副生成物G(NH4ClおよびH2)は、上述のように反応炉40から出てパイプライン区画42を通り、ガス流量を制御するために設けられることがある弁44を流れ通り、次いでパイプライン区画すなわちパイプ46を通って捕捉器40の取入口32に達する。
ガス副生成物Gは反応炉40を出た後温度が下がり始め、そしてその結果、ガス副生成物G中の塩化アンモニウム(NH4Cl)が昇華し、固化し、パイプライン区画すなわちパイプ42、46のそれぞれの内面47、49に沿って付着することになる。もし、パイプ42、46内でのNH4Clの付着を邪魔することなく継続させたならば、パイプライン区画すなわちパイプ42、46が詰まって真空伝導性が低下し、パイプライン区画42、46が損傷し、おそらく真空ポンプ48も損傷するであろう。ガス副生成物G中の塩化アンモニウム(NH4Cl)がパイプライン区画42、46を詰まらせることを防止するために、通常、断熱材またはヒータ50、52がそれぞれパイプライン区画42、46の回りに取り付けられる。これにより、パイプライン区画42、46の温度が高いままに保たれて、ガス副生成物Gが捕捉器30に達するまで、塩化アンモニウム(NH4Cl)が冷却し、凝縮し、固化し、蓄積するのが防がれる。このような凝縮と固化は弁44内でも他のパイプ部品内でも起こりうるものであり、そこで、それらを同様に高温に保つこともよく行われる。ヒータ52の使用により捕捉器30の入口32から捕捉器30に入る際のガス副生成物Gの温度を制御することが可能になり、また、ヒータ52は捕捉器30の入口32に当接するから、ヒータ52を捕捉器30の入口32の温度の制御のために利用することもできる。同様に、出口34を通って捕捉器30から出るガス副生成物Gの温度を制御するために、パイプライン区画54にヒータ(不図示)を備えることも可能であり、もし、そのようなヒータ(不図示)が捕捉器30の出口34に当接すれば、そのヒータ(不図示)を捕捉器30の出口34の温度の制御のために利用することもできよう。捕捉器30の出口34の温度を制御することは、例えば、捕捉器30の出口34にガス副生成物G中の凝縮した物質が僅かでも蓄積するのを防ぎたいときに、有用である。
真空ポンプ48内の固体の塩化アンモニウム(NH4Cl)は、真空ポンプ48を詰まらせ、摩耗させて、真空ポンプ48に重大で費用のかかる害をもたらすおそれがある。したがって、捕捉器30を反応炉40と真空ポンプ48の間に配置して、反応炉40で生成したガス副生成物Gを冷却し、気体状態のNH4Clまたは凝縮し固化した塩化アンモニウム(NH4Cl)の粒子のいずれかが真空ポンプ48に到達しうる前に、塩化アンモニウム(NH4Cl)を凝縮させ、固化させ、収集するのが望ましい。上記の例のNH4Cl等のガス副生成物G中の凝縮可能なガスを捕捉器30内で冷却して収集するときは、捕捉器30から真空ポンプ48に至るパイプライン区画54の回りに断熱材やヒータを備える必要はない。
本発明の捕捉器30がもたらす重要な効果は、主として、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の捕捉器30内での付着分布特性が、大部分、捕捉器30全体にわたっての温度分布特性と捕捉器30自体の物理的な形状寸法とによって定まる、ということの認識によるものである。すなわち、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の捕捉器30内での冷却および収集の量および場所は、捕捉器30の内部の温度(捕捉器30内で著しい違いが生じることがあり、これにより捕捉器30の温度分布特性が生じる)と、捕捉器30の大きさと形(物理的形状寸法)によって大きく左右される。実際に、捕捉器30の付着分布特性は、捕捉器30の温度分布特性と捕捉器30の物理的形状寸法のいずれかまたは両方を変化させることで、変化させることができる。これについてさらに詳しく述べる。
ガス副生成物中の凝縮可能な蒸気を捕捉器30内で凝縮させるためには、以下により詳しく述べるように、捕捉器30はガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の温度を低下させなければならない。そこで、捕捉器30は、熱をガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気から捕捉器30に移転させる熱交換器として働くことになる。ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の温度を低下させると、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の冷却と収集は増大する。それ故、捕捉器30の温度分布特性したがって捕捉器30の内部を流れるガス副生成物Gの温度の制御は、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の冷却と収集に重大な影響を与える。例として、図3のグラフ(A)を参照する。仮想の捕捉器の温度がその入口でTEMP1であり、捕捉器の温度がその出口でTEMP2であり、温度分布特性TPAで示したように、温度が捕捉器内でTEMP1からTEMP2に直線的に降下するものとすると、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の捕捉器内での冷却と収集は、時刻t1で付着分布特性DP1を与える。TEMP1は、例えば、摂氏100度(100℃)とし、TEMP2は、例えば、摂氏40度(40℃)とする。ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の冷却と収集をしばらく継続すると、時刻t2において付着分布特性DP2、時刻t3において付着分布特性DP3、時刻t4において付着分布特性DP4が得られる。捕捉器の温度分布特性がTPAのとき、捕捉器内での最初の温度降下は捕捉器の入口で起きるため、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の付着物の大部分は捕捉器の入口で冷却し集まる。しかしながら、捕捉器の温度分布特性を変えると、時刻t1、t2、t3、およびt4のそれぞれの付着曲線DP1、DP2、DP3、およびDP4は、図3のグラフ(B)ないし(D)に示したようになる。図3のグラフ(D)におけるTEMP3は、例えば、摂氏150度(150℃)という値とする。したがって、捕捉器の温度分布特性を制御することにより、その捕捉器に最適のまたは最適に近い付着分布特性を作り出すことができる。
捕捉器内での付着分布特性と付着量の制御のために、捕捉器の温度分布特性を制御することに加えて、捕捉器の物理的形状寸法を制御することも可能である。
例として、図4のグラフ(A)を参照する。仮想の捕捉器の断面積を線CSAで示す。この例では、捕捉器の断面積CSAは捕捉器の入口から捕捉器の出口までのあらゆる点で一定である。捕捉器の温度分布特性が図3のグラフ(A)のTPAに等しいとすると、凝縮し蓄積したガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気が入口の断面全体が覆われる点に達する時刻t3で、捕捉器の入口は詰まることになる。たとえ、捕捉器の断面積が捕捉器の入口から捕捉器の出口の間で増大する図4のグラフ(B)に示した断面積CSAを捕捉器が有していたとしても、捕捉器は時刻t3で詰まってしまう。しかしながら、もし、捕捉器の入口と出口の間の断面積CSAが図4のグラフ(C)に対応するものであれば、捕捉器の断面積がその入口付近で増大しているため、捕捉器は時刻t4までは詰まらなくなる。捕捉器内部における凝縮した蒸気の付着は、捕捉器が図3のグラフ(B)に対応する温度分布特性TPBを有していれば、図4のグラフ(D)に示したように、さらに改善される。この例の仮想の捕捉器は、それでも時刻t4で詰まることになるが、捕捉器が詰まる前に捕捉器の使用可能な容積のより多くが満たされて、これにより捕捉器の容量は、図4のグラフ(A)ないし(C)に関連して説明した捕捉器と比較して、増大する。しかしながら、図4のグラフ(A)ないし(D)で表された捕捉器のかなり部分は使用されないまま浪費されることになり、そのため捕捉器の容量が低下しているのは明かである。詰まりが生じるまで捕捉器を動作させるのが常に望ましいとは限らないことに留意することが 重要である。なぜならば、捕捉器を通るガス副生成物Gの流れおよび捕捉器の流れ伝導性は、捕捉器が詰まる前に必ず大きく低下するからである。換言すれば、凝縮物の蓄積によって捕捉器の流れ伝導性が所定レベルにまで低下した時に、捕捉器を清掃するのが望ましいといってもよい。捕捉器の流れ伝導性が所定レベルまで低下することは、必ずかつ常に捕捉器が詰まる前に生じる。流れ伝導性は時間あたりの体積で測定され、例えば、秒あたりのリットルで測定することができる。
充分な時間があれば、捕捉器がどれほど大きくてもすなわち捕捉器の外寸がどれほど大きくても、全ての捕捉器は最終的には詰まるが、捕捉器の温度分布特性を捕捉器の形状寸法とともに制御することによって捕捉器内に最適のまたは最適に近い付着分布特性を作り出すことができるということを認識しておけば、捕捉器の外寸がどのように定められようともその外寸に合うように、使用可能な容積が最大となる捕捉器を設計をすること、したがって、捕捉器の容量を最大にすることができるようになる。すなわち、捕捉器の温度分布特性を捕捉器の具体的形状寸法と関連づけて制御することで、捕捉器の使用可能な容積と容量を最大にし捕捉器の使用されない部分を最小にしながら、高い流れ伝導性を維持しうる捕捉器を構築することができる。例えば、仮に、図3のグラフ(B)の温度分布特性TPBに略等しい温度分布特性とする場合は、図5のグラフ(A)に示したような特性を有する捕捉器が得られる。図5のグラフ(A)に示した特性を有する捕捉器は、図4のグラフ(D)に示した特性を有する捕捉器と似てはいるが、本質的に、捕捉器の出口における断面積が捕捉器の入口における断面積よりも著しく小くなった2段の捕捉器となる。凝縮可能な蒸気の付着は捕捉器の入口に比べて捕捉器の出口に向かうほど大きく減少していくから、この捕捉器はやはり時刻t4までは詰まることがない。しかしながら、捕捉器の無駄になる使用可能な容積が著しく小さくなって捕捉器の容量が増大し、その一方で、捕捉器に必要な材料を少なくすることが可能になり、また捕捉器の外寸が小さくなって、捕捉器のコストと重量を大幅に低減することができる。図5のグラフ(A)に示した特性を有する捕捉器は、それでも無駄になる使用可能な容積と容量を含んでいるが、これらは、図5のグラフ(B)に示すように、第1段と第2段の間に第3段すなわち過渡領域を創ることでさらに減少させることができる。図5のグラフ(B)に示した特性を有する捕捉器は、捕捉器内の付着分布特性に近似するように構成されており、それ故、捕捉器が詰まった時あるいは流れ伝導性が所定レベルにまで低下した時には、捕捉器内の使用可能な容積のうち比較的少しだけが使用されずに残ることになる。また、捕捉器の断面積CSAは、時間が経過した後の上昇した付着曲線によく近似する。さらに、図5のグラフ(B)に示した特性を有する捕捉器が詰まる時には、その詰まりは捕捉器の入口の近傍、過渡領域、および捕捉器の第2段において略同時に起きる。
これらの例が示すように、捕捉器の断面積が捕捉器内のどの点においても最適となるように、捕捉器がその内部の全ての点で同時に詰まるように、また、捕捉器が詰まった時あるいは捕捉器の流れ伝導性が所定レベルにまで低下した時に使用可能な容積のどこも未使用とならないように、多くの(おそらく無限の)段または過渡領域を有する捕捉器を設計することが理論的には可能である。特定の捕捉器の中で1つの段または領域が何処で終わり、別の段または領域がどこで始まるかを決定するのが、きわめて難しいこともあることに留意すべきである。しかしながら、捕捉器全体を通して高い流れ伝導性を維持し、捕捉器の容量を最大にし、捕捉器の無駄になる容積を最小にする、所定の物理的形状寸法と所定の温度分布特性を有する捕捉器を設計するという概念が、一定数の段または領域を設けることに基づくものではないことを認識しておくことは大切である。実際、本発明の捕捉器30を、断面積と温度分布特性が捕捉器30の入口32と捕捉器30の出口34の間で変化する単一の段または領域で構成して、上述の所望の効果を得るようにしたと考えることも可能であろう。したがって、本発明の範囲は、固定の容易に識別される数の段または領域を有する捕捉器に限定されるべきものではない。また、本発明の範囲には、高い流れ伝導性、高い効率、高い容量、最小の不使用容積という利益を達成するために、捕捉器の温度および/または物理的形状寸法がそれぞれ具体的に変更され設計された捕捉器や、捕捉器30の出口34における流れ伝導性が入口32における流れ伝導性に略等しい捕捉器が含まれるとすべきである。より具体的には、本発明の捕捉器30は、捕捉器30の出口34における流れ伝導性が、捕捉器30の入口32における流れ伝導性と少なくとも同程度になるようにするのが好ましい。
本発明の捕捉器30の重要な特徴は、捕捉器30の物理的形状寸法とともに捕捉器30の温度分布特性を用いることにより、捕捉器30の使用可能な容積を最大にし、かつ捕捉器30の使用されない容積を最小としながらも、捕捉器30が高い流れ伝導性を維持しうるようにしたことにある。しかも、捕捉器30の入口32と出口34の間で僅かな圧力降下しかないため、入口32における捕捉器30の流れ伝導性は出口34における流れ伝導性に略等しい。本発明の好ましい実施例では、凝縮とその結果生じる固体付着物が蓄積して捕捉器30の入口32を詰まらせ、捕捉器30の容量と使用可能な容積を減少させるのを防止するために、捕捉器30の入口32の領域は、効率が非常に低い熱交換器となるよう意図的に設計されている。捕捉器30の容量を最大にするために、この領域の後には、熱交換器としての効率が順次向上していき、捕捉器30の流路に沿う表面領域のより多くに凝縮と付着を広がらせる連続した段が設けられており、入口32から入ったガス副生成物Gはこれらを通る。捕捉器30の最終段は、ガス副生成物G中の凝縮可能ではない部分、上述の例では無害の気体水素(H2)が、出口34を通って捕捉器30から出てパイプライン区画54に入る前に、ガスG中に残存する少量の凝縮可能なガスを一掃して除去するための、非常に効率の良い熱交換器となっている。ガス副生成物G中の凝縮可能でない部分は、パイプライン区画54を流れて真空ポンプ48に至り、排気口55を通って排出される。ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の分子と捕捉器30との熱交換の量は、捕捉器30の内部表面への分子の物理的衝突に大きく依存するため、流れるガス副生成物Gが直接衝突しうる捕捉器30の第1段の内部表面の数は、特に、流れるガス副生成物Gが直接衝突しうる捕捉器30の第2段の内部表面の数に比べて、制限されている。これについて、以下により詳しく説明する。
一般に、本発明の捕捉器30は、より多くの段または段間の過渡領域を用いることも可能ではあるが、少なくとも2つの段で構成するのが好ましい。ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の大部分(およそ95パーセント(95%))が、捕捉器30の第1段すなわち主除去段で収集され捕捉される。第1段には、大きな捕捉容積が入口32から離して設けられている。ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の残り(およそ5パーセント(5%))は、捕捉器30の第2段すなわち洗浄段で収集され捕捉される。第2段には、熱交換を最大にしてガス副生成物Gの凝縮可能な成分の冷却と凝縮を最大にするために、捕捉器30との分子の接触を最大にする高効率の冷却機構が設けられている。これについて、以下により詳しく説明する。ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気は捕捉器30内の「冷たい」地点に遭遇すると凝縮するから、捕捉器30の第1段におけるガス副生成物Gの冷却を最小にして、捕捉器30が入口32の中または近傍で詰まることがないようにし、また捕捉器30の入口32近傍の捕捉容積が最大となるようにする。これらの利点は、捕捉器30の第1段の容積V1を捕捉器30の第2段の容積V2よりもはるかに大きくすることにより、および捕捉器30の2つの段を中心がずれるように配置することで達成される。以下、これについてより詳しく説明する。例えば、V1とV2の関係を
Figure 2009101361
そして、好ましくは
Figure 2009101361
とする。以下により詳しく説明するように、捕捉器30の容量は主として捕捉器30の第1段に依存し、一方、捕捉器30の流れ伝導性は主として捕捉器30の第2段に依存する。
図1および6を参照する。本発明の捕捉器30は、概ね円筒状で密閉された主ハンジング60を有する。円筒形状の入口延長部62が、主ハウジング60の外側の表面から外側に向かって半径方向に延び出して、入口フランジ66で終わっている。入口フランジ66は捕捉器30の入口32を、図2に示したパイプライン区画すなわちパイプ46等の、パイプライン区画に接続するために用いられる。円筒形状の出口延長部64が、主ハウジング60の上表面65から上方に向かって軸方向に延び出して、出口フランジ68で終わっている。出口フランジ口68は捕捉器30の出口34を、図2に示したパイプライン区画すなわちパイプ54等の、パイプライン区画に接続するために用いられる。捕捉器30を真空密閉のパイプライン区画に接続するためにフランジ66、68を使用することは、この技術における通常の技量を有する者にとって周知であり、本発明の捕捉器30の構造や働きの説明のために、これ以上詳しく述べる必要はない。前述したように、ヒータ52はガス副生成物Gが捕捉器30の入口32に入る際のガス副生成物Gの温度を制御することができ、ヒータ52は捕捉器30の入口32に当接するから、捕捉器30の入口32の温度の制御にもヒータ52を利用することができる。同様に、出口34を通って捕捉器30から出るガス副生成物Gの温度を制御するために、パイプライン区画54にヒータ(不図示)を配置することも可能であり、そのようなヒータ(不図示)が捕捉器30の出口34に当接すれば、そのヒータを捕捉器30の出口34の温度の制御に利用することもできよう。入口延長部62、出口延長部64、フランジ66またはフランジ68を囲んで覆う他の随意のヒータ(不図示)も、捕捉器30に入るガス副生成物Gの温度、および入口32、出口34、入口延長部62、出口延長部64、フランジ66、またはフランジ68における捕捉器30の温度の制御のために利用することが可能であり、これらにより捕捉器30の全体にわたって所望の温度分布特性を得ることができる。
主ハウジング60の基部は、主ハンジング60よりも大径のフランジ70を有しており、捕捉器30の使用時に、ボルト73または他の適当な固定具で取り外し可能な基板74を主ハウジング60に取り付けて密着させることができるように、また捕捉器30の内部の清掃および修理のために、基板74を主ハウジング60から取り外すことができるように、ねじ溝のあるまたはない穴72を備えている。これについて、以下により詳しく説明する。基部フランジ70と基板74の間にはOリング75が配置され、これにより、基部板74が基部フランジ70に取り付けられたときに、確実な密閉がなされる。捕捉器30の底から基部フランジ70および基板74を通って下方に延びる円筒状の管76、78は、冷却水等の流れる液体を捕捉器30の内部を通して循環させるための導管であり、以下、これについてより詳しく説明する。
本発明の捕捉器30の構造と働きの説明のために、決して限定のためにではなく、述べれば、主ハウジング60は、略6インチの外径、1インチの略85/1000の壁厚、および略7ないし8インチの内高61(図9参照)をもつものとすることができる。入口延長部62および出口延長部64は共に、略4インチの外径、略3.87インチの内径、および1インチの略65/1000の壁厚をもつものとすることができる。
既に述べたように、捕捉器30に入るガス副生成物Gが、捕捉器30内で、入口32または入口延長部62を早期に詰まらせるような仕方で凝縮し、固化し、または蓄積しないことが大切である。したがって、清掃が必要となる前または捕捉器30が詰まる前に、捕捉器30の容積の最大量が埋まるように、捕捉器30内部での物質の凝縮を分布させることが大切である。換言すれば、捕捉器30が入口32または入口延長部62において早期に詰まることがないように、捕捉器30内の付着分布特性を設定することが大切である。
捕捉器30における凝縮可能なガス副生成物Gの凝縮過程は、相転移過程である。凝縮可能なガス副生成物Gは、ガス副生成物Gが捕捉器30内を流れ進むにつれて、蒸気すなわち気相から固相へと変化する。ガス流中の凝縮可能な蒸気すなわちガスは、その気相における分圧が平衡蒸気圧よりも大きくなったときに凝縮する。より具体的には、ガスの分圧はガス混合物中の各成分の圧力である。したがって、塩化アンモニウム(NH4Cl)および水素(H2)から成るガス副生成物Gのようなガスについては、2つの成分、塩化アンモニウム(NH4Cl)および水素(H2)、それぞれが自身の分圧を有する。2成分、塩化アンモニウム(NH4Cl)および水素(H2)、の混合物から成るガスの全圧は、2成分、塩化アンモニウム(NH4Cl)および水素(H2)の、分圧の和に等しい。塩化アンモニウム(NH4Cl)の平衡蒸気圧は、塩化アンモニウム(NH4Cl)が蒸気から固体になる凝縮の速度が、塩化アンモニウム(NH4Cl)が固体から蒸気になる気化すなわち蒸発の速度に等しくなる圧である。
凝縮可能な蒸気の蒸気圧は凝縮可能な蒸気の温度に関係し、次のアントイン式で表すことができる。
Figure 2009101361
ここで、A、BおよびCは定数であり、pはトールで測定した蒸気圧であり、Tは摂氏の度で測定した温度である。塩化アンモニウム(NH4Cl)については、Aは23.4に略等しく、Bは10、613に略等しく、Cは292.3に略等しい。塩化アンモニウム(NH4Cl)の蒸気圧曲線80を図7に示す。
式(1)に関しての上述の例の説明を続けると、捕捉器30に入るガス副生成物Gの温度が130℃で、塩化アンモニウム(NH4Cl)の分圧が100ミリトールであるとすれば、略摂氏20度(20℃)の初期の温度降下により、捕捉器30を流れるガス副生成物G中の塩化アンモニウム(NH4Cl)の略50パーセント(50%)が凝縮することになる。初期の温度降下が略摂氏44度(44℃)になると、捕捉器30を流れるガス副生成物G中の塩化アンモニウム(NH4Cl)の略90パーセント(90%)が凝縮することになる。略摂氏50度(50℃)の第2の温度降下により、捕捉器30を流れるガス副生成物G中の残りの10パーセント(10%)の塩化アンモニウム(NH4Cl)のうち、略90パーセント(90%)が凝縮することになる。したがって、既に上で述べたように、捕捉器30の全体にわたっての温度分布特性の制御によって、捕捉器30の付着分布特性が大きく左右される。
そこで、手ごろな物理的大きさで高い捕捉容量を有し、捕捉器の利用可能な容積のほとんどを使用し、入口32または入口延長部62において早期に詰まることのない捕捉器30を得るためには、入口32を通って捕捉器30に入るガス副生成物Gの冷却を、これらの場所においてのガス副生成物Gの凝縮が最小になるように制限すべきである。換言すれば、捕捉器30の温度分布特性を、捕捉器30が入口32において早期に詰まることがないようなものにすべきである。したがって、入口32、入口延長部62、および主ハウジング60の第1段容積82(図8および9参照)から成る捕捉器30の第1段は、捕捉器30の早期の詰まりを防止するために、効率の低い熱交換器として機能する。これについて、以下により詳しく述べる。第1段容積82は、捕捉器30の主ハウジング60の内部容積のうち、中空の円筒状スリーブ94の内部に含まれる容積の部分を除く全てを含む。捕捉器30の第1段は相対的に大きな第1段容積82を有しており、捕捉器30の必要な清掃と清掃の間の時間は長くなっている。以下、これについてより詳しく説明する。
前述したように、伝導、対流および放射によって移転する熱の量は、分子密度が非常に低い真空中ではかなり少ないから、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の分子と捕捉器30の内部表面との熱交換は、通常効率が良くない。しかしながら、塩化アンモニウム(NH4Cl)等の凝縮可能な蒸気のガス分子は、ガス分子と捕捉器30の内部表面との間に直接衝突が生じれば、衝突はエネルギーを熱の形でガス分子から捕捉器30に移転させるから、効率よく冷却することができる。本発明では凝縮可能なガス副生成物が最初に大量に入口領域に付着するのを避けるために、捕捉器30の第1段を良好な熱交換器として機能させないことが好ましく、そのために、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気のガス分子と捕捉器30の第1段の内部表面との直接衝突を制限することによって、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気と捕捉器30との熱交換の量を制限することが必要となる。そこで、流れるガス副生成物Gが直接衝突しうる捕捉器30の第1段の内部表面の数を、特に、流れるガス副生成物Gが直接衝突しうる捕捉器30の第2段の内部表面の数と比べて制限する。これについて、以下により詳しく述べる。
図8ないし図10を参照して、捕捉器30の第1段をより詳しく説明する。流れ矢印95で示したように、ガス副生成物Gは、入口32を通って捕捉器30に入り、入口32または入口延長部62の内部表面90にはあまり衝突しない。そのかわり、ガス副生成物Gは、第1段容積82に流れ込み、また通常、円筒状スリーブ94の外部表面92の回りを流れる。滑らかで丸い表面92の回りのこうした流れは通常遮られることがなく、乱れのほとんどない層流となり、表面への分子の衝突は最小になる。それでも、円筒状スリーブ94によって引き起こされる第1段容積82での流れの方向の変化のために、入口32から入るガスGの流れに面する円筒状スリーブ94の外部表面92の部位で、分子衝突と、したがって熱交換と付着が、過剰にならない範囲で相当生じる。ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の円筒状スリーブ94の外部表面92への衝突は、円筒状スリーブ94の外部表面92で凝縮可能な蒸気を凝縮させ、固化させ、そして蓄積させる。
円筒状スリーブ94が曲がっていることが、ガス副生成物Gのいくらかを主ハウジング60の後ろの内部表面96に向けて流れさせて、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の凝縮のいくらかを捕捉器30の第1段全体にわたって分布させる。
主ハウジング60の後ろの内部表面96に向けて流れるガス副生成物Gの量は、円筒状スリーブ94の外部表面92に直接衝突するガス副生成物Gの量よりも少ないから、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の凝縮と付着のほとんどは、円筒状スリーブ94と入口延長部62との間で起こる。以下により詳しく述べるように、円筒状スリーブ94は、第1段容積82内のガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気が捕捉器30の第2段内の冷却表面、特に冷却コイル管120の表面に衝突するのも防止する。凝縮可能な蒸気の冷却コイル管120の表面への衝突は、主たる第1段容積82の入口領域での熱交換したがって付着を、許容しえないレベルにまで加速して、早期に入口を詰まらせることになるであろう。また、外部表面92と入口32近傍の内部表面106への付着が増すにつれて、分子からそのような付着した蓄積物への熱の移転は効率が低下する。これは、付着物質自体は、金属であることが好ましいスリーブ94や本体60の壁ほど熱を伝えないからである。よって、入口32に近い表面92および106上に蓄積物が存在すると、付着のいくらかは、当然、入口32からより離れている表面92、106または96の部位に分布することになる。この分布は、上述のように、滑らかに曲がっている表面92および106によって高められる。
円筒状スリーブ94が円筒状の主ハウジング60に対して離心し、円筒状スリーブ94の外部表面92と入口延長部62の内側端部102との距離が最大になる ように、円筒状スリーブ94の縦軸98は円筒状の主ハウジング60の縦軸100からずれているのが好ましい。円筒状スリーブ94まわりの主ハウジング60のこの離心配置により、捕捉器30の第1段容積82は最大になり、これにより、捕捉器30が詰まって清掃が必要となる前、または清掃が必要になるほど捕捉器30を通じての捕捉器の流れ伝導性が低下する前に、円筒状スリーブ94と入口延長部62の間で起こるガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の付着蓄積の量が最大になる。円筒状スリーブ94の縦中心軸98は円筒状の主ハウジング60の縦中心軸100と同心となるように一直線に配置することも可能であるが、そのような同心の一直線の配置は、主ハウジング60の内径を大きくしない限り、円筒状スリーブ94の外部表面92と入口延長部62の内側端部102との距離を短くしてしまうであろう。主ハウジング構造60全体のそのような大型化は、第1段容積82を増大させるための1つの選択枝であることは勿論であるが、本発明に従って利用可能な付着容積を最大にし、必ずしも全体の寸法を増すことなく捕捉器30内の付着分布特性を最適化する方が、より経済的である。主ハウジング60の内径を大きくすると、主ハウジングに必要な材料の量が増大して捕捉器30の大きさ、重量とともに費用も上昇し、その結果、捕捉器30を作製し、組み立て、輸送し、取り付け、清掃するのがより困難または高価になる。主ハウジング60内で円筒状スリーブ94をずらして、円筒状スリーブ94の縦中心軸98を円筒状の主ハウジング60の縦中心軸100に対して離心させることで、主ハウジング60の内径がどのように定められても、それに応じて捕捉器30の容量および使用可能な容積を増大させることができる。よって、主ハウジング60内で円筒状スリーブ94をずらすことは、捕捉器30内の凝縮物の付着分布特性を最適化するのにも役立つ。
本発明の捕捉器30の構造と働きの説明のために、決して限定のためにではなく、述べれば、円筒状スリーブ94は、略4インチの外径、1インチの略65/1000の壁厚、および略8インチ半の長さ103をもつものとすることができる。このとき、長さ103のうち略6インチ半が主ハウジング60の内部容積82に入ることになる。円筒状スリーブ94の縦中心軸98は、主ハウジング60の縦中心軸100から1インチの略4分の3ずらすことができる。
特に図9を参照するとわかるように、円筒状スリーブ94は出口延長部64を含んでいる。出口延長部64は円筒状スリーブ94の一部であってもよく、あるいは、図9に示したように、ハウジング60の天板63の開口101を取り巻くカラー105に固定された別のスリーブであってもよい。これらの配置は、主ハウジング60の一部である入口延長部62と著しく相違する。円筒状スリーブ94は、主ハウジング60の天板63の開口すなわち穴101から下向きに、主ハウジング60の中に入り、主ハウジング60の下端に装着された基板74の内側表面104に向かって、途中まで延びている。円筒状スリーブ94は溶接によって主ハウジング60に強固に取り付けられており、主ハウジング60と円筒状スリーブ94の間は開口101において密閉されている。
円筒状スリーブ94は、主ハウジング60の側部の内側表面106には接触せず、また、主ハウジング60の基板74の内側表面104には達していない。円筒状スリーブ94の端部110と主ハウジング60の基板74の内側表面104との間には距離108の間隙が残っており、スリーブ94の外部表面92またはハウジング60の内部表面106もしくは96に付着しなかったガス副生成物Gが、円筒状スリーブ94の内部112に流れ込みうるようになっている。これについては、次により詳しく述べる。間隙距離108は、例えば、略1インチとすることができる。
円筒状スリーブ94の内部容積は、捕捉器30の第2すなわち洗浄段を成す。捕捉器30を流れるガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の大部分は捕捉器30の第1すなわち主たる段で凝縮するが、ガス副生成物G中には、ガス副生成物の残りが出口34を通って捕捉器30から出る前に第2すなわち洗浄段で除去すべき凝縮可能な蒸気のかなりの量、おそらく5パーセント(5%)程度、が残存している。しかしながら、ガス副生成物G中に残っている凝縮可能な蒸気を凝縮させるためには、より高効率で徹底的な熱交換が必要になる。例えば、冷たい表面との分子衝突を最大にするために、捕捉器30の第1段では必要でなく好ましくもなかった、大きな温度降下とより大きな表面をもたらす構成が、捕捉器30の第2段では必要となる。したがって、捕捉器30の第2段では、ガス副生成物Gが捕捉器30の第1段を通過した後のガス副生成物Gに残存する凝縮可能な蒸気を凝縮させることによって、捕捉器30の効率を高めるために、捕捉器30の第1段と違って、ガス副生成物Gの温度は大きく下げられる。捕捉器30の第2段は、また、捕捉器30とガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の間で熱移転を行わせるために、捕捉器30の第1段と違って、非常に効率の良い熱交換器として機能する。しかしながら、前述のように、捕捉器30は通常高真空(非常に低い圧)の状態で動作しているため、凝縮可能な蒸気の分子と捕捉器30の第2段の冷却表面の間の熱移転は、主としてガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の分子と捕捉器30の冷却表面との物理的衝突によって起こり、一方、蒸気すなわち気相での伝導、対流および放射による熱移転は無視しうる。ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の分子と捕捉器30の内部表面との衝突は、それら分子から捕捉器30に熱(エネルギー)を移転させる。しかも、次により詳しく述べるように、捕捉器30全体にわたって高い流れ伝導性を維持することがきわめて望ましい。したがって、捕捉器30の第2段は、捕捉器30の流れ伝導性を大きく低下させるものであってはならない。さらに、捕捉器30の出口34における流れ伝導性が捕捉器30の入口32における流れ伝導性に略等しくなるように、捕捉器30の入口32と捕捉器30の出口34の間での圧力降下を非常に小さくすることが望ましい。捕捉器30を通じての容積流速は非常に高く、捕捉器30を通じての質量流速は非常に低いから、捕捉器の第2段は、凝縮可能な蒸気の分子が衝突しうる大きな表面積だけでなく、捕捉器30の高い流れ伝導性を維持するために大きな断面積も備えなければならない。前述のように、流れるガス副生成物Gが直接衝突しうる捕捉器30の第2段の内部面積の量は、特に、流れるガス副生成物Gが直接衝突しうる捕捉器30の第1段の内部表面の制限された量と比べて、かなり大きいのが好ましい。
円筒状スリーブ94の中には、円筒を形成するように巻かれた中空の冷却管120が同心に配置されている。冷却管120の円筒は、上記の典型的な実施例では、例えば3.35インチの内径121を有するものとすることができる。冷却コイル管120は、内径123が例えば1インチの16分の3の、ステンレス鋼管等の中空の管状の材料で作製することができる。冷却コイル管120は、主ハウジング60の基板74を通って延びる曲部122内の一端で終わっている。冷却コイル管120を外部の冷却流体供給源(不図示)に接続するために用いられる中空の円筒状パイプすなわち供給管76が、図9に示したように、コイル管120の終端部122に対して一直線の配置で流体を流すように、基板74に装着されている。冷却コイル管120は、冷却コイル管120を中空の円筒状中央管128に接続する曲部126内の他端で終わっている。中央管128は、円筒状スリーブ94の縦軸98と同心に配置されており、上部の出口延長部64の近傍からスリーブ94の底110よりも低い基板74へと延びている。中央管128は、典型的な実施例の捕捉器30では、例えば0.60インチの内径と、例えば1インチの4分の3(0.75インチ)の外径を有するものとすることができる。中央管128の下端は主ハウジング60の基板74に達している。中空の円筒状放出パイプすなわち管78が、中央パイプすなわち管128に対して一直線の配置で流体を流すように、取り外し可能な板74に装着されている。冷却コイル管120、曲部122、126、中空の中央管128、および円筒状パイプすなわち管76、78の組み合わせにより、冷却水等の液体または冷却ガスを捕捉器30の第2段を通して流すための、連続した流体流路が形成されている。冷却コイル管120と中央管128を流れる冷却流体は、円筒状パイプ76を通って捕捉器30に入り、円筒状パイプ78を通って捕捉器30から出るようにすることができるし、あるいは逆に、冷却コイル管120と中央管128を流れる冷却流体は、円筒状パイプ78を通って捕捉器30に入り、円筒状パイプ76を通って捕捉器30から出るようにすることもできる。どちらの状態においても、流れる冷却流体は捕捉器30の温度分布特性を決定するのに役立ち、捕捉器30内での凝縮可能な蒸気の付着分布特性が最適となるように、流れの方向を選択するのが好ましい。
前述のように、円筒状スリーブ94は、ガス副生成物Gが入口32を通って捕捉器30に最初に入った時に、捕捉器30の第1段のガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気が、冷却コイル管120や中空の中央管128等の、第2段の冷却表面に接触するのを防ぐ。ガス副生成物Gは、円筒状スリーブ94の内部容積112に流れ込むことによってガス副生成物Gが捕捉器30の第2段に入った後に初めて、冷却コイル管120および中空の中央管128に衝突しうる。これにより、捕捉器30の効率が向上する。ガス副生成物Gが捕捉器30の第2段の冷却コイル管128および中央管128に衝突するのを防止することで、冷却コイル管120および中央管128と捕捉器30の第1段のガス副生成物Gとの熱移転が低下する。冷却コイル管120と円筒状スリーブ94の内表面134との間には間隙132が存在し、これにより、円筒状スリーブ94内での冷却コイル管120の組み立てが容易になる。間隙132は、例えば0.020インチの幅を有するものとすることができる。
次に、図9および11を参照する。本発明の捕捉器30の好ましい実施例の第2段は、中空の中央管128の外部表面に取り付けられ、それから外向きかつ下向きに延びる複数の穿孔円錐146を有する。円錐146は頸部148で中央管128に、溶接または他の適当な方法で、固定するのが好ましい。円錐146の下部の外部表面150も、冷却コイル管120に物理的に直接接触するのが好ましい。円錐が冷却コイル管120と中央管128の両方に物理的に接触すると、冷却コイル管120と中央管128の間に良好な熱路ができて、冷却コイル管120と中央管128を流れる冷却流体によって、円錐146が効率よく冷却される。円錐146は、また、中央管128または冷却コイル管120のどちらか一方には接続されなくてもよい。これらの変更はいずれも、捕捉器30の温度分布特性を変え、その結果、捕捉器30の付着分布特性を変えるからである。円錐146は捕捉器30の第2段を通るガス副生成物Gの流れ、したがって捕捉器30の第2段の流れ伝導性を、大きく妨げ低下させうる。その点で、円錐146は捕捉器30の第2段において弁または障害物の効果を有する。図9および11には3つの円錐146のみが示されているが、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の分子が衝突し、凝縮し、蓄積し得る充分な表面積を捕捉器30の第2段が提供する限り、また、捕捉器30を通るガス副生成物Gの流れを捕捉器30の第2段が大きく妨げない限り、より多くのあるいはより少ない円錐146を用いることもできる。円錐146は、別のあるいはそれぞれ異なる大きさや形状を有するものとしてもよい。
図8、9および11を参照する。円錐146の各々には、第2段を通るガス副生成物Gを流すために複数の孔152を穿っておくのがよい。一方、円錐146の穿孔されていない部分は、ガス副生成物G中の凝縮可能な分子のための衝突表面となる。穿たれた孔152の直径は、大きな抵抗や圧力降下を伴うことなくガスが円錐を流れ抜けるに足る大きさである限り、特に重要ではない。上記の典型的な実施例では、1インチの略5/32の直径を有するような孔を、円錐146の表面積の略63パーセント(63%)の孔密度で設ければ充分である。望むなら、円錐152の孔152の直径を、円錐146の表面部位ごとに変化させるようにすることもできる。円錐146の孔152はいくつかの重要な機能を司る。第1に、ガス副生成物Gが円錐146を流れ通るようにして、捕捉器30の流れ伝導性が円錐146によって大きく低下することがないように、換言すれば、捕捉器30の第2段を通るガス副生成物Gの流れが大きく妨げられ低下することがないようにする。第2に、孔152は、ガス副生成物中の凝縮可能な蒸気の分子が衝突しうる縁の数を増加させて、凝縮可能な蒸気の分子から円錐146への熱移転を増す。これにより、凝縮可能な蒸気の分子が捕捉器30の第2段の円錐146上に凝縮して蓄積し、捕捉器30の洗浄効率が高まる。第3に、円錐146に衝突せずに孔152を流れ通るガス副生成物Gは、穿孔円錐によって外方向に向けられて冷却コイル管120に向かい、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の分子が冷却コイル管120に一層衝突し易くなる。これにより、凝縮可能な蒸気の分子から冷却コイル管120への熱移転が増して、凝縮可能な蒸気の分子が捕捉器30の第2段の冷却コイル管120上に凝縮して蓄積し、捕捉器30の洗浄効率が高まる。捕捉器30の第2段の円錐146には円形の孔を用いるのが好ましいが、三角形、正方形、長方形あるいは他の形状の孔を用いることもできる。
捕捉器30の第2段の円錐146は好ましいものであるが、ガス流を大きく妨げずに第2段に充分な衝突表面積を提供しうる表面形状は、他にも数多くある。例えば、図13および14に示したように、円錐146に代えてフィン154を使用することができる。フィン154は各々、溶接、スポット溶接または他の適当な方法によって、フィン154の基部156で中空の中央管128の外部表面155に取り付けられている。フィン154を冷却コイル管120に物理的に直接接触させて、フィン154が冷却コイル管120と中央管128を流れる冷却流体によって冷却されるようにすることもできる。フィン154は、中央管128の外部表面を上がっていく一連の平行な螺旋をフィン154が形成するように、中央管128に接続されている。さらに、フィン154の各々が中空の中央管128に対して角αの傾きをもって取り付けられるように、フィン154は中空の中央管128に接続されている。角αは、例えば、10度(10°)と45度(45°)の間とするのが好ましく、15度(15°)と30度(30°)の間とするのが最良である。
上述の円錐146と同様に、フィン154は、捕捉器30の第2段を流れるガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の分子に様々な方法で影響を及ぼして、捕捉器30の流れ伝導性を大きく低下させることなく、それらの分子を表面に衝突させる。第1に、フィン154の各々は、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の分子が衝突しうる下縁158(フィン154の厚さによっては面)と側表面160を有しており、凝縮可能な蒸気の分子からフィン154への熱移転を増大させる。これにより、凝縮可能な蒸気の分子が捕捉器30の第2段のフィン154に凝縮して蓄積し、捕捉器30の洗浄効率が高まる。第2に、フィン154に衝突する ことなく螺旋状フィン154を流れ通るガス副生成物Gは、外方向に向けられて冷却コイル管120に向かい、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の分子が冷却コイル管120に一層衝突し易くなる。これにより、凝縮可能な蒸気の分子から冷却コイル管120への熱移転が増して、凝縮可能な蒸気の分子が捕捉器30の第2段の冷却コイル管120上に凝縮して蓄積し、捕捉器30の洗浄効率が高まる。
図9および10に示すように、円筒状スリーブ94は、溶接または他の適当な方法によって、その円周162の回りで主ハウジング60の天板63に強固に取り付けられ密閉されている。したがって、捕捉器30に入ったガス副生成物Gは、円筒状スリーブ94の中空の内部すなわち第2段112を流れ通らなければ、捕捉器30から出られない。捕捉器30の基部フランジ70と取り外し可能な基板74の間のOリング75もガス副生成物Gが捕捉器30から抜け出るのを防止する。Oリング75を除き、主ハウジング60、フランジ66、68、円筒状パイプ76、78、冷却コイル管120、曲部122、126、中空の中央管128、円筒状スリーブ94、および円錐146を含む捕捉器30の全ての部品は、ステンレス鋼材料、または、ガス副生成物Gの熱に耐え、ガス副生成物Gから冷却コイル管120と中空の中央管128を流れる冷却流体に容易に熱を伝えることができるという望ましい性質を有する他の適当な材料で、形成することができる。Oリング75は、ビトン、ゴム、ネオプレン、または、密閉構造を現出し維持しうる他の適当な材料で形成することができる。
前述のように、捕捉器30を通るガス副生成物Gの流れをほとんど妨げず比較的一定に維持して、捕捉器30の入口32と捕捉器30の出口34の間の圧力降下をごく僅か、好ましくは無視しうる程度に維持するようにし、捕捉器30の出口34における流れ伝導性が捕捉器30の入口32における流れ伝導性に略等しくなるようにすることが、大切である。しかしながら、捕捉器30の流れ伝導性は、捕捉器30の清掃と清掃の間で、塩化アンモニウム(NH4Cl)等の凝縮可能な蒸気の捕捉器30内での蓄積により、時間が経過するにつれて連続的に低下していく。流れ伝導性は、捕捉器30内のシステム圧が低い(例えば、10ミリトール未満)ときには特に、ガス副生成物Gの速度に依存するから、捕捉器30の流れ伝導性は、捕捉器30の中の異なる場所では異なりうることに留意すべきである。ガス副生成物Gの速度は、ガス副生成物Gの温度変化と捕捉器30内の質量流速の変化のため、捕捉器30の中の異なる場所では異なりうる。ガス副生成物Gの温度変化は、ガス副生成物Gと捕捉器30の間での熱すなわちエネルギーの移転の結果である。捕捉器内の質量流速の変化は、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の捕捉器30内での連続した昇華または凝縮の結果である。
捕捉器30において比較的高い流れ伝導性を維持するためには、捕捉器30内の最低の流れ伝導性が存在する場所における捕捉器30の流れ伝導性を、捕捉器30の入口32に接続され加熱されたパイプライン区画46の流れ伝導性に等しくするか、またはそれよりも僅かに高くすべきである。捕捉器30の第1段の断面積は捕捉器30の第2段の断面積A2よりもはるかに大きくするのが好ましいから、捕捉器30に凝縮可能な物質の蓄積が起こっていなければ、捕捉器30の第1段では捕捉器30の第2段よりも高い伝導性となると考えられる。つまり、捕捉器30の第2段が、捕捉器30の内の最低の流れ伝導性を有する場所となる。そこで、捕捉器30において比較的高い流れ伝導性を維持するためには、パイプライン区画46の断面積(A0)と第2段の断面積(A2)の間に、次の関係を維持すればよい。
Figure 2009101361
ここで、A0はパイプライン区画46の断面積であり、T2はパイプライン区画46内を流れ入口32を通って捕捉器30に入るガス副生成物Gのケルビン度で表した温度T0であり、A2は捕捉器30の第2段の断面積であり、T2は捕捉器30の第2段内を流れるガス副生成物Gの温度である。式(5)は、捕捉器30内の凝縮した物質の量を、換言すれば、定モル流速を必要とする条件を考慮することなく得られる。ここで、1モルはガス副生成物Gのアボガドロ数(6.230×1023)個の分子に等しい。しかしながら、捕捉器30を流れる凝縮可能なガスについてはモル流速は変化するから、式(5)は、窒素等の不活性で凝縮可能でないガスのみが捕捉器30を流れるときの状況に利用し得る。
捕捉器30を流れる凝縮可能な蒸気のモル流速の変化を考慮に入れると、次の関係が得られる。
Figure 2009101361
ここで、A0はパイプライン区画46の断面積であり、T0はパイプライン区画46内を流れ入口32を通って捕捉器30に入るガス副生成物Gのケルビン度で表した温度であり、A2は捕捉器30の第2段の断面積であり、T2は捕捉器30の第2段内を流れるガス副生成物Gのケルビン度で表した温度である。値n0はパイプライン区画46を流れるガス副生成物Gのモル流速であり、値n2は捕捉器30の第2段を流れるガス副生成物Gのモル流速である。なお、式(5)は、n0がn2に等しいときに、式(6)を簡略化したものである。図2に関連して述べた典型的な半導体製造工程または他の昇華もしくは凝縮の工程においては、凝縮可能な蒸気以外のものがパイプラインを流れていない限り、n2は常にn0よりも小さく、それ故、n2/n0は常に1よりも小さくなる。凝縮可能な蒸気以外のものがパイプラインを流れることは、例えば、反応炉40から窒素等のガスを除去するパージ工程が実行されている時に起きる。したがって、式(6)に代えて式(5)を用いて捕捉器30の第2段の断面積(A2)を求めると、捕捉器30の第2段の流れ伝導性は僅かに高い値になる。
図2に関連して述べた半導体製造工程の例の部分では、塩化アンモニウム(NH4Cl)がガス副生成物Gから除去される凝縮可能な蒸気であり、パイプライン区画42、46の内径は略3.87インチとされ、ガス流中のNH4のモル濃度は50パーセント(50%)である。したがって、パイプライン区画42、46の断面積A0は略11.76平方インチとなる。もし、パイプライン区画46を流れるガス副生成物Gの温度T0が摂氏150度(150℃)に相当する略423ケルビン度(423°K)であり、捕捉器30の第2段の入口におけるガス副生成物Gの温度T2が略353ケルビン度(353°K)すなわち摂氏80度(80℃)であると仮定すると、そして、捕捉器30の第1段の捕捉効率が略95パーセント(95%)、n0が1に等しく、n2が0.525に等しいと仮定すると、捕捉器30の第2段の断面積A2には、最小でも略5.15平方インチが必要になる。前述のように、主ハウジング60には略6インチの外径と、略5.83インチの内径をもたせることができ、冷却コイル管120には略3.35インチの内径121と、したがって略3.85インチの外径をもたせることができるから、冷却コイル管120を勘定に入れると、捕捉器30の第2段の断面積A2は略8.81平方インチとなる。したがって、捕捉器30の第2段は捕捉器30の流れ伝導性に大きな低下をもたらさず、しかも捕捉器30の第1段を流れるガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の捕捉のために利用できるかなりの空間を有する。
式(5)および(6)は、捕捉器30の第2段の断面積A2を決定するのに適用することができる。これは、捕捉器30の第2段での凝縮可能な蒸気の付着量が、捕捉器30の第1段での凝縮可能な蒸気の付着量よりもかなり小さいからである。例えば、捕捉器30の第1段での付着量を捕捉器30の第2段での付着量の20倍にすることも可能である。捕捉器30の第2段での付着が比較的僅かであるため、捕捉器30の第2段での凝縮可能な物質の蓄積が比較的僅かになって、図3および4に示したように、第2段の断面積A2は時間が経過しても大きく変化しないことになる。実際には、前述のように、捕捉器30の出口34で凝縮可能な蒸気の蓄積がないように、ヒータまたは冷却コイルによって捕捉器30の出口34の温度を制御することが可能である。
しかしながら、式(5)および(6)を、捕捉器30内の他の全ての場所の所望の断面積を決定するために用いることはできない。捕捉器30内のある場所Xにおける付着し蓄積した凝縮物質の断面積AdepXは、凝縮物質の場所Xでの蓄積によって、時間とともに変化するからである。ここで、Xは捕捉器30内の指定した場所と捕捉器30の入口との距離である。したがって、捕捉器内の様々な場所Xにおける捕捉器30の所望の断面積AXを決定するためには、式(6)よりもさらに一般的な、次のような式を用いる必要がある。
Figure 2009101361
ここで、AXは捕捉器30の場所Xにおける捕捉器30の所望の断面積であり、nXは捕捉器30を流れるガス副生成物Gの場所Xにおけるモル流速であり、TXは捕捉器30を流れるガス副生成物Gの場所Xにおける温度であり、AdepXは捕捉器30内の凝縮可能な物質の場所Xにおける付着し蓄積した断面積であり、他の全ての変数は上述の式(5)および(6)のものと同じである。式(7)は、図5のグラフ(C)にグラフとして表されており、捕捉器30内の付着分布特性AdepX、捕捉器30内の温度分布特性、および捕捉器30の物理的形状寸法の関係を規定する。図3および4に関連して前述したように、捕捉器30内の付着分布特性AdepXは時間の経過とともに大きくなり、曲線AdepXは曲線AXに近づいていく。付着した凝縮可能な蒸気の蓄積が捕捉器30の動作中時間の経過とともに大きくなっても、曲線AdepXが所望の形状寸法曲線AX上の一点に達するほど捕捉器30内の付着分布が大きくなるまでは、ガス副生成物Gが捕捉器30を通って流れ続けることは可能であり、捕捉器30の流れ伝導性も零より大きいままである。しかしながら、前述のように、捕捉器30の流れ伝導性は曲線AdepXが曲線AX近づくにつれて大きく低下していき、捕捉器30の流れ伝導性は、曲線AdepXのどこかの点が曲線AXに達した時点(これが捕捉器30が詰まった状態である)で、本質的に零になる。
捕捉器30の流れ伝導性の大きな低下は大抵の場合望ましくないから、捕捉器30の流れ伝導性が所定レベルにまで低下した時に、換言すれば、図5のグラフ(C)の曲線AdepXと曲線AXの間隙が捕捉器30の場所Xにおいて所定の最低値まで低下した時に、捕捉器30の動作を止めて捕捉器30を清掃するのが好ましい。例えば、次の時点で捕捉器30の動作を止めて捕捉器30を清掃し、曲線AXとAdepXの間の間隙が常に捕捉器30の第2段の断面積に等しいかそれよりも大きくなるようにするのが望ましいといえる。
X−AdepX=A2 (8)
式(7)で示されるように、また、図3ないし5に関連して前述したように、捕捉器30の早期の詰まりは、捕捉器30に対して流れ伝導性の所定の最低レベル(曲線AXとAdepXの間の最小の許容可能な間隙で例示される)を一旦決定した後は、捕捉器30のあらゆる場所Xが式(7)を満たす断面積AXと温度TXをもつように保証することで防ぐことができる。あらゆる場所Xが式(7)を満たすことは、不可能ではないとしても事実上困難で、ありそうにないから、捕捉器30には、捕捉器30内の他の場所/点よりも先に、曲線AXとAdepXの間の最小の許容可能な間隙に達するある一定の場所/点が存在することになる。捕捉器30の形状寸法が複雑であることを考えると、捕捉器30内のどの場所/点であっても、そこでの捕捉器30の断面積、あるいは捕捉器30内のその場所/点で付着した凝縮物質の断面積を確かめることも、事実上困難になるかも知れないということに留意するのが大切である。
前述のように、AdepXは、捕捉器30を動作させ使用している間に捕捉器30内で蓄積する付着凝縮物質の、場所Xにおける断面積である。捕捉器30の容量は断面積AdepXと密接な関係にあり、次のように計算することができる。
Figure 2009101361
ここで、ρはガス副生成物G中の凝縮した凝縮可能な蒸気の密度である。式(8)は、捕捉器30の容量が、図3に示したように、捕捉器30の温度分布特性の影響を受ける付着分布特性曲線AdepXと、密接な関係にあることを示している。
ガス副生成物Gが捕捉器30の第2段に入ると、ガス副生成物Gから冷却コイル管120、中空の中央管128および円錐146への熱移転のために、ガス副生成物Gの速度は大きく低下する。このため、第2段では第1段よりも容積流速が低くなると考えられる。容積流速は、捕捉器30内での凝縮可能な蒸気の収集と蓄積によっても低下する。さらに、ガスの温度は既に低下しており、理想気体の法則、P=ρRTが示すように、捕捉器30内の圧力は略一定であるから、ガス副生成物Gの速度は捕捉器30の第2段で大きく上昇する。ここで、Pはガス副生成物Gの圧力であり、ρはガス副生成物Gの密度であり、Rは8.314J/(molK)に略等しい気体定数であり、Tはケルビン度で測定したガス副生成物Gの温度である。捕捉器30の第2段の容積は、式(2)および(3)が示すように、捕捉器の第1段の容積よりもかなり小さいから、捕捉器30の第2段を通るガス副生成物Gの流れは大きな抵抗を受けることがなく、捕捉器30の出口34における流れ伝導性は捕捉器30の入口32における流れ伝導性に略等しくなる。円錐146の弁または障害物としての効果のため、円錐146は、捕捉器30の第2段の流れ伝導性と捕捉器30の第2段を通るガス副生成物Gの流れを、低下させる傾向にある。しかしながら、円錐146中の孔152が、捕捉器30の第2段を通るガス副生成物Gの流れに対する円錐146のこの効果を大きく減少させる。
捕捉器3を動作させ使用している間、ガス副生成物Gは、図2に示したパイプライン区画46等のパイプライン区画から、入口32を通って捕捉器30に入る。ガス副生成物Gは、円筒状スリーブ94内に含まれる主ハウジング60の容積を除いた、主ハウジング60の中空の内部全体より成る第1段容積82に流れ込む。捕捉器30の入口32でのガス副生成物Gの温度は、例えば、摂氏150度(150℃)とすることができる。捕捉器30に入るガス副生成物Gの多少の乱流のため、捕捉器30の内部でのガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の全ての分子の正確な流れを予言することは、不可能ではないとしても困難である。ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の分子のかなりの部分は円筒状スリーブ94の外部表面92に衝突し、これによって分子と円筒状スリーブ94の外部表面92の間で熱移転が生じてガス副生成物Gの温度は低下し、その結果、円筒状スリーブ94の外部表面92上で分子が凝縮する。凝縮物質が積み重なって円筒状スリーブ94の外部表面92上に層を形成し始めると、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の他の分子は凝縮物質の層に衝突し、これにより、円筒状スリーブ94の外部 表面92上の凝縮物質の層の蓄積が増大し継続する。
ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の分子のあるものは、円筒状スリーブ94の外部表面92または円筒状スリーブ94の外部表面92上の凝縮物質の蓄積層に衝突しない。そのかわり、これらの分子は円筒状スリーブ94の回りを流れて、主ハウジング60の内表面106に衝突して凝縮するか、または、基板74に向かって下方に、もしくは主ハウジング60の上部の内表面164に向かって上方に流れる。主ハウジングは環境の空気によって冷却されるから、また、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気はしばしば環境温度よりも高い温度で固化するから、主ハウジング60も第1段の冷却に大きく寄与することに留意すべきである。
捕捉器30に流れ込み主ハウジング60の上部内表面164に向かって流れるガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の分子の一部は、主ハウジング60の上部内表 面164に衝突し、凝縮し、蓄積する。他の分子は、主ハウジングの上部内表面164と入口延長部62の内側端部102との間の、主ハウジング60の内表面106の部位166に向けられ、主ハウジング60の内表面106の部位166に衝突し、凝縮し、蓄積する。
捕捉器30に流れ込むガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の分子の一部(略5パーセント(5%)またはさらに少ない)は、捕捉器30の第1段80では凝縮せず、基板74に向かって流れる。流れるガス副生成物Gが捕捉器30の第2段112に入る前に、これらのガス副生成物94は流れの方向を突然変える。例えば、入口32および入口延長部62を通って捕捉器30に流れ込むガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気のこれらの分子は、まず流れの方向を90度(90°)変えて、ガス副生成物G分子のいくらかが捕捉器30の基板74に向かって下向きに流れる。ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気のこれらの分子は、次いで、方向を180度(180°)変えて、円筒状スリーブ94の中空の内部に流れ込みそこを通る。ガス流方向の突然の変化は、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気のこれらの分子の多くを基板74に衝突させ、または基板74上の凝縮物質の蓄積層に衝突させる。その結果、捕捉器30の基板74と凝縮可能な蒸気の分子の間に非常に効率の良い熱移転が生じて、捕捉器30の第1段の効率が向上するとともに、捕捉器30の第2段の負荷が軽減される。基板74は円筒状パイプ76、78の両方に物理的に接触しているから、基板は円筒状パイプ76、78を流れる液体によって冷却される。
捕捉器30の第2段に入るガス副生成物Gは、例えば、摂氏60度(60℃)と摂氏100度(100℃)の間の温度をもつものとすることができ、円筒状スリーブ94の中空の内部に流れ込んで、捕捉器30の出口34に向かって上方に、冷却コイル管120の両側を進む。具体的には、ガス副生成物Gは、円錐146を流れ抜けることもできるし、冷却コイル管120と円筒状スリーブ34の間の間隙108を流れ通ることもできる。ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の分子は、円筒状スリーブ94、冷却コイル管120、中央管128、および円錐146に衝突し、これにより衝突した表面での凝縮と蓄積が起こり、捕捉器30の効率が向上する。
前述のように、捕捉器30の第2段が非常に効率の良い熱交換器として働くこで、捕捉器30の第2段の洗浄効率、すなわち、第1段で除去されずにガス副生成 物Gに残存している捕捉対象の凝縮可能なガスを実質的に全て収集する第2段の能力が高められ、これにより、捕捉器30全体の総合の捕捉効率が高くなる。したがって、例えば、略摂氏5度(5℃)から摂氏25度(25℃)の範囲内の温度の水等の冷却流体が、1分あたり略500立方センチメートル(500cm3/min)の割合で、円筒状パイプ76に、あるいは円筒状パイプ78に、ポンプで送り込まれる。冷却流体は円筒状パイプ76、78、冷却コイル管120、曲部122、126、および中空の中央管128を流れて、捕捉器30の第2段を冷却する。円錐146は冷却コイル管120および中空の中央管128に接続されているため、円錐146は捕捉器30の第2段を流れる冷却流体によって冷却される。冷却流体が円筒状パイプ76を通って捕捉器30に流れ込むならば、冷却流体は捕捉器30から円筒状パイプ78を通って流れ出ることになる。同様に、冷却流体が円筒状パイプ78を通って捕捉器30に流れ込むならば、冷却流体は捕捉器30から円筒状パイプ76を通って流れ出ることになる。
捕捉器30の第2段を流れるガス副生成物Gは、出口34を通って捕捉器30から出て、図2に示したパイプライン区画すなわちパイプ54等のパイプライン区画に入る。前述のように、本発明の捕捉器30は、捕捉器30を流れるガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の99パーセント(99%)以上を除去することができる。捕捉器30の入口32と捕捉器30の出口34の間の圧力降下は、捕捉器30内の平均圧力が190ミリトールで、ガス副生成物Gの質量流速Qが1分あたり略120標準立方センチメートル(120sccm)のとき、略2.7ミリトールである。捕捉器30から出るガス副生成物Gの温度は、例えば、摂氏25度(25℃)と摂氏30度(30℃)の間とすることができる。最終的には、捕捉器30内で凝縮した物質の蓄積は捕捉器30を詰まらせ、捕捉器30を清掃しなければならないレベルにまで捕捉器の流れ伝導性を低下させる。もし、捕捉器30を断続的に使用するのであれば、その断続的な使用は、捕捉器30内の凝縮した物質を捕捉器30内で再蒸発させ、再分布させ、再凝縮させて、凝縮した物質の捕捉器30内での分布はより均一になり、これにより、必要な捕捉器30の清掃の時間間隔は長くなる。
捕捉器30の清掃に際しては、必須ではないが、捕捉器30を図2に示したパイプライン区画46、54から取り外すのが好ましい。基板74は捕捉器の主ハウジング60から取り外すことができるため、清掃処理は容易である。捕捉器30の清掃には、捕捉器30から除去する凝縮可能な物質の種類に応じて、様々な方法がある。上述の塩化アンモニウム(NH4Cl)の例では、捕捉器30内の塩化アンモニウム(NH4Cl)を除去する普通のかつ能率的な方法は、塩化アンモニウム(NH4Cl)は水に可溶であるから、捕捉器30を水浴に沈めることである。塩化アンモニウム(NH4Cl)の水への溶解度は水温によって変わるから、水温が高いほど清掃時間は短くなる。しかしながら、塩化アンモニウム(NH4C1)が水に溶解する間に塩化水素が発生するから、捕捉器30に付着した塩化アンモニウム(NH4Cl)を溶かすためには、熱水ではなく単に生温い水を使用すべきである。捕捉器30を水で洗った後は、捕捉器30をオーブン(不図示)に入れて、捕捉器30またはOリング75に吸着された水を除去することができる。しかしながら、オーブン温度は高すぎないようにすべきである。さもないと、オーブンに捕捉器30を入れている間に、Oリング75が壊れまたは損傷するおそれがある。
本発明の捕捉器30の他の実施例を図15に示す。本実施例では、捕捉器30の主ハウジングは、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の分子が衝突する衝突表面の数を増すために、フィン174(図13にも示す)を有している。分子がフィン174に衝突することにより、分子から捕捉器30への熱移転が起こり、その結果捕捉器30内で分子が凝縮し、これにより、捕捉器30の効率が向上する。フィン174は、主ハウジング60の内表面から放射状に内側に、主ハウジング60の縦軸100に向かって途中まで延びている。フィン174の各々は、下向きに傾斜した上縁176を有する。フィン174は各々、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の分子が衝突し、凝縮し、蓄積しうるさらなる衝突表面178、180を捕捉器30の第1段に提供し、これにより、捕捉器30の第1段の効率が向上し、捕捉器30の使用可能な容積が増大し、捕捉器30の第2段の負荷が低下し、また、捕捉器30内の凝縮可能な蒸気の付着分布特性を最適化するのが容易になる。各フィン174の上縁176が下向きに傾斜していることは、捕捉器30の早期の詰まりを招くおそれのある、捕捉器30の入口62に近すぎる部位での凝縮物質の蓄積を防止するのに役立つ。
第1段の衝突表面の数をさらに増し、捕捉器30内の凝縮可能な蒸気の付着分布特性の最適化に役立たせるために、フィン(不図示)を追加して、主ハウジング60の内表面から内側に、垂直方向、水平方向、または斜め方向に向かわせるようにすることもできる。追加のフィンは、ガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の分子が衝突し、凝縮し、蓄積しうるさらなる衝突表面を、捕捉器30内に提供することになる。また、フィン174は、捕捉器30の第1段内の表面積を増大させるために、表面176、178から外側に向かって延びる、より小さなフィン(不図示)を有するものとすることもできる。さらにまた、主ハウジング60の内表面106から延びて円筒状スリーブ94に連なるフィン(不図示)を備えることも可能であり、そのフィン(不図示)を捕捉器30の主ハウジング60の後ろの内部表面96の近傍に位置させれば、それによって、捕捉器30の第1段の使用可能な容積を減少させることなく、衝突表面の面積を大きく増大させることができる。主ハウジング60の後部内表面96での凝縮物質の蓄積によって、入口延長部62が詰まる可能性はほとんど無いから、そのようなフィン(不図示)は、主ハウジング60の基板74から主ハウジングの上部内表面164まで連続するものとすることができる。
本発明の捕捉器30の他の実施例を図16に示す。本実施例では、円筒状スリーブ94は冷却コイル管120の大部分を覆うものではない。しかも、冷却コイル管120は、円筒状スリーブ94の内部では中空の円筒となり、主ハウジング60の内部で円筒状スリーブ94の外側に出た部分では、中空の円錐台となるように配設されている。円錐192は、冷却コイル管120または冷却コイル管120の露出部分190に必ずしも物理的に接触しないように(接触させることもできるが)、中央管128に取り付けられている。本実施例では、冷却コイル管120の露出部分190が、捕捉器30の第1段におけるガス副生成物G中の凝縮可能な蒸気の分子と捕捉器30の間の熱移転を増大させ、これにより、捕捉器30の第1段の効率が向上するとともに、捕捉器30の第2段の負荷が軽減される。露出部分190は、図5のグラフ(B)に関連して述べた捕捉器とほとんど同様に、捕捉器30の第3段または第1段と第2段の間の過渡領域と見ることもできる。捕捉器30の効率と容量と共に捕捉器30内の付着分布特性を最適にするために、冷却コイル管120を他の配置とすることも可能である。さらに、捕捉器30の効率と容量と共に捕捉器30内の付着分布特性を最適にするために、下方の円錐192を円錐146とは異なる形状および/または寸法とすることも可能である。
以上の説明は、例を用いて本発明の原理を示したものと考える。また、この技術における熟練者は多くの修飾や変更を容易に思いつくであろうから、本発明がこれまでに示し説明したそのままの構成や工程に限定されることは望まない。例えば、捕捉器内の段および/または過渡領域間の厳密な境界分け、したがって、捕捉器30の段および過渡領域の厳密な数は、解釈次第である。例えば、入口延長部62を主ハウジング内の容積82とは別の段と考えることが可能である。また、出口延長部64を円筒状スリーブ94の内部に含まれる容積とは別の段と考えることも可能である。別の例を示せば、図15や16に関連して説明した捕捉器30の実施例は、2つの段を有するものと考えることができる。一方、フィン174や露出した円錐192を有する捕捉器30のその領域は、第3段または第1段と第2段の間の過渡領域と考えることもできる。
本発明の捕捉器30をどのように使用することができるかについて他の例を示す。捕捉器30は、捕捉器30を流れるガス副生成物Gからの粒子や凝縮可能な物質の除去を、所望の効率で行う計画的な洗浄器として使用することができる。換言すれば、捕捉器30は高い効率をもつように設計されており、捕捉器30を流れるガス副生成物G中の凝縮可能な物質の非常に高い割合を捕捉し、収集し、蓄積するが、例えば、円錐(および円錐内の穿孔の数と大きさ)、フィン、および捕捉器内の他の衝突表面を制御することにより、および/または、ヒータ、断熱材、および追加の冷却コイルの使用により、例えば、冷却コイル管120を流れる流体の温度、入口32、出口34、入口延長部62、出口延長部64、フランジ66、フランジ68における捕捉器30の温度、あるいは捕捉器30全体の温度を制御して、ガス副生成物Gの温度降下を制御することにより、例えば50パーセント(50%)の効率の捕捉器30とすることも可能である。
捕捉器30における段または領域の厳密な数および隣接する段または領域間の厳密な境界分けは、主に捕捉器の構成と動作の説明に有用であるが、捕捉器30内の凝縮物質の付着分布特性、捕捉器30の温度分布特性、および捕捉器30の物理的形状寸法間の関係を考慮した、本発明の捕捉器30の背景にある概念の範囲を制限するためにそれらを用いるべきではない。よって、適切な修飾物や等価物は全て、以下の特許請求の範囲によって定義される発明の範囲内に入りうる。

Claims (27)

  1. ガス流から凝縮可能な蒸気を除去する方法であって、
    前記ガス流を、流れ断面積(CSA)を有する捕捉器(30)に通し、
    前記捕捉器(30)を通る前記ガス流の温度を制御することにより、入口(32)から出口(34)にいくにしたがって、前記1種類以上のガスの固化析出物の付着量を減少させるようにし、更に、前記入口(32)からの位置に対する固化析出物の付着分布(DP1、DP2,DP3,DP4)が、前記入口(32)から遠くなるのに伴って、固化析出物の付着量の減少率が途中までは大きくなり、その後は減少率が小さくなるように、捕捉器(30)内を流れる前記ガス流に温度分布(TPB)を発生させる。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    前記入口(32)から前記出口(34)にいくにしたがって、前記ガス流の温度が低下するように、前記ガス流の温度を制御し、
    更に、前記入口(32)からの位置に対する温度の前記温度分布(TPB)が、前記入口(32)から遠くなるのに伴って温度の低下率が大きくなるようにする。
  3. 請求項1または請求項2に記載の方法であって、
    前記入口(32)からの距離の増加に応じて、前記入口(32)付近より衝突表面の面積を大きくし、
    前記入口(32)から前記出口(34)にいくにしたがって、前記ガス流の温度が低下するように、前記ガス流の温度を制御し、
    更に、前記入口(32)からの位置に対する温度の前記温度分布(TPB)が、前記入口(32)から遠くなるのに伴って温度の低下率が大きくなるようにする。
  4. 請求項3に記載の方法であって、
    前記捕捉器(30)の前記入口(32)付近では流れ断面積(CSA)を大きくし、前記入口(32)からの距離が増加するに従って小さくする。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の方法であって、
    捕捉器(30)の入口(32)からの距離に応じた流れ断面積(CSA)を有する捕捉器(30)に前記ガス流を通し、
    前記捕捉器内の前記凝縮可能な蒸気に対して付着分布(DP1、DP2、DP3、DP4)になるように、前記捕捉器(30)を流れる前記ガス流の前記温度分布(TPB)を制御し、
    前記付着分布(DP1、DP2、DP3、DP4)と前記流れ断面積(CSA)は、前記捕捉器(30)の未使用の容積が最小量となるように互いに構成される。
  6. 請求項5に記載の方法であって、
    前記ガス流の前記温度分布(TPB)の制御は、前記ガス流の温度を前記捕捉器の第1の段で第1の温度差だけ降下させ、前記捕捉器の第2の段で第2の温度差だけ降下させる。
  7. 請求項6に記載の方法であって、
    前記第2の温度差は前記第1の温度差より大きい。
  8. 請求項6または請求項7に記載の方法であって、
    前記断面積(CSA)は、前記第1の段のほうが前記第2の段よりも大きい。
  9. 請求項6乃至8のいずれかに記載の方法であって、
    前記第1の段の容積(V1)は前記第2の段の容積(V2)より大きい。
  10. 請求項6乃至9のいずれかに記載の方法であって、
    前記ガス流の温度を前記第1の温度差だけ降下させることは、前記ガス流を第1の衝突表面(92)に導くことによって行われる。
  11. 請求項6乃至10のいずれかに記載の方法であって、
    前記ガス流の温度を前記第2の温度差だけ降下させることは、前記ガス流を第2の衝突表面(146、154)に導くことによって行われる。
  12. 請求項6乃至11のいずれかに記載の方法であって、
    前記捕捉器(30)の流れ伝導性が所定のレベルまで減少する場合、前記捕捉器が清掃されることを含む。
  13. 内部を流れるガス流から凝縮可能な蒸気を除去する捕捉器(30)であって、
    前記捕捉器(30)に前記ガス流を流すための流れ断面積(CSA)を有するフロー手段と、
    前記捕捉器(30)を通る前記ガス流の温度を制御する手段と
    を備え、
    入口(32)から出口(34)にいくにしたがって、前記1種類以上のガスの固化析出物の付着量を減少させるようにし、更に、前記入口(32)からの位置に対する固化析出物の付着分布(DP1、DP2,DP3,DP4)が、前記入口(32)から遠くなるのに伴って、固化析出物の付着量の減少率が途中までは大きくなり、その後は減少率が小さくなるように、捕捉器(30)内を流れる前記ガス流に温度分布(TPB)を発生させる。
  14. 請求項13に記載の捕捉器であって、
    前記入口(32)から前記出口(34)にいくにしたがって、前記ガス流の温度が低下するように、前記ガス流の温度を制御し、
    更に、前記入口(32)からの位置に対する温度の前記温度分布(TPB)が、前記入口(32)から遠くなるのに伴って温度の低下率が大きくなるようにする。
  15. 請求項13または請求項14に記載の捕捉器であって、
    前記入口(32)からの距離の増加に応じて、前記入口(32)付近より多く設けられる衝突表面(146、154)を含み、
    前記入口(32)から前記出口(34)にいくにしたがって、前記ガス流の温度が低下するように、前記ガス流の温度を制御し、
    更に、前記入口(32)からの位置に対する温度の前記温度分布(TPB)が、前記入口(32)から遠くなるのに伴って温度の低下率が大きくなるようにする。
  16. 請求項15に記載の捕捉器であって、
    前記流れ断面積(CSA)は、前記捕捉器(30)の前記入口(32)付近で大きく、前記入口(32)からの距離の増加に従って小さくなる。
  17. 請求項13に記載の捕捉器であって、
    前記入口(32)と出口(34)を有して、前記流れ断面積(CSA)が前記入口(32)からの距離に応じて変わり、
    前記付着分布(DP1、DP2、DP3、DP4)になるように前記温度分布(TPB)を制御するように構成された熱交換器を有し、
    前記付着分布(DP1、DP2、DP3、DP4)と前記流れ断面積(CSA)は、前記捕捉器(30)の未使用の容積が最小量となるように互いに構成される。
  18. 請求項17に記載の捕捉器であって、
    前記捕捉器(30)は、第1の段と第2の段とで構成され、
    前記熱交換器は、前記第1の段で前記ガス流の温度を第1の温度差だけ降下させ、前記第2の段で第2の温度差だけ降下させる。
  19. 請求項18に記載の捕捉器であって、
    前記第2の温度差は前記第1の温度差より大きい。
  20. 請求項18または請求項19に記載の捕捉器であって、
    前記断面積(CSA)は、前記第1の段のほうが前記第2の段よりも大きい。
  21. 請求項18乃至20のいずれかに記載の捕捉器であって、
    前記第1の段の容積(V1)は前記第2の段の容積(V2)より大きい。
  22. 請求項18乃至21のいずれかに記載の捕捉器であって、
    前記第1の段を囲い込む第1の円筒ハウジング(60)と、
    前記第2の段を囲い込む第2の円筒ハウジング(94)と、を更に備える。
  23. 請求項22に記載の捕捉器であって、
    前記第1の円筒ハウジング(60)は第1の径と第1の縦軸(100)を有し、
    前記第2の円筒ハウジング(94)は第2の径と第2の縦軸(98)を有し、
    前記第2の径は前記第1の径よりも小さく、
    前記第2の円筒ハウジング(94)は、径方向において前記入口と反対側に位置するように、前記第1の円筒ハウジング(60)に対して偏心した位置に配置される。
  24. 請求項23に記載の捕捉器であって、
    前記入口(32)は、前記ガス流を、前記第1の縦軸(100)に垂直な入口の軸方向に沿って前記第1の段に導く。
  25. 請求項23または請求項24に記載の捕捉器であって、
    前記第2の段は、前記第1の段内に設けられた取入口と、放出口と、前記取入口から放出口に延びる前記第2の縦軸に平行な第2の軸流方向とを有する。
  26. 請求項22乃至25のいずれかに記載の捕捉器であって、
    前記熱交換器は、前記第1の段に設けられた第1の衝突表面(92)と、前記第2の段に設けられた第2の衝突表面(146、154)とから構成される。
  27. 請求項18に記載の捕捉器であって、
    前記熱交換器は、前記第2の衝突表面(146、154)に接続された冷却手段(120)から成る。
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