JP2009082987A - 金属帯の巻取設備および巻取方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コイラーの入側にピンチロールを備えた金属帯の巻取設備において、ピンチロールの上流側位置に、通板する金属帯に接触し、金属帯をパスライン面内またはパスライン面よりも下方位置に保持する回転可能な押さえロールXを設け、この押さえロールXは、(i)金属帯を上下で挟んで拘束する非駆動型の上ロール1aと非駆動型または駆動型の下ロール1b、または、(ii)金属帯の上面に当接する非駆動型のロール1c、からなる。押さえロールXが金属帯の面外変形(横座屈)を抑制することにより、ピンチロール起因の金属帯の蛇行を防止することができる。
【選択図】図2
Description
図52および図53は、従来の一般的な鋼帯巻取設備を示しており、図52は平面図、図53は側面図である。この設備は、鋼帯を搬送する搬送ロール50、鋼帯をパスラインセンターに誘導(センタリング)するためのサイドガイド41、鋼帯のパスラインを斜め下方に導くとともに、鋼帯に巻取張力(バックテンション)を付与するピンチロール42、鋼帯を巻き取るコイラー43などから構成されている。
前記コイラー43は、巻取軸であるマンドレル430や鋼帯を押さえるラッパーロール431による摩擦力で、鋼帯をコイル状に巻き取る。前記搬送ロール50(搬送ロール装置)は、熱延設備ではホットランテーブルやランアウトテーブルなどと呼ばれているものであり、図ではその最下流の搬送ロール群を示している。前記サイドガイド41は、板幅目標に対する位置制御の誤差、圧延での板幅誤差、衝突による磨耗損傷などを考慮して、鋼帯板幅に対し数ミリ〜数十ミリのクリアランスを設けている。
熱延鋼帯の場合、仕上圧延中は圧延機でコイラー43に巻き取り張力を加えているため、一般にピンチロール42による鋼帯の保持力は低く設定される。そして、鋼帯尾端が仕上圧延機を抜ける少し前から、徐々にピンチロール42に張力配分を移行してき、鋼帯尾端が仕上圧延機を抜けた後は、ピンチロール42で巻取張力(バックテンション)を付与する。
図54は、鋼帯尾端を巻き取る際に、ピンチロール起因で蛇行が発生した状況を示した模式図であり、このようにピンチロール42で鋼帯が蛇行すると、コイラー43で巻きずれが発生してしまう。
ピンチロール42の軸心に対する鋼帯の入射角が真に直角であれば、ピンチロール42のバックテンションによる蛇行は発生しない。しかし、サイドガイド41と鋼帯にはクリアランスがあるため、鋼帯はピンチロール42の軸直角に対して微小な入射角度誤差を持ち得る。また、鋼帯がパスラインのセンターに対して平行であったとしても、ピンチロール42の軸心がラインセンターの直角方向に対して微小な角度誤差を持つ場合もある。機械である以上、微小な角度誤差は避けられない。そして、鋼帯とピンチロール42の僅かな入射角のずれにより、バックテンションである摩擦力のうち、ロール軸方向(スラスト方向)の摩擦分力による横滑り力が発生し、ピンチロール42が起因となって蛇行が発生する。ピンチロール42で発生した蛇行量は、鋼帯の通板によりコイラー43まで到達して同等の巻きずれ量となる。
サイドガイド41によって鋼帯のエッジ部を強固に拘束すると鋼帯に擦り疵を生じるため、このような擦り疵を生じさせることなく、サイドガイド41で鋼帯のエッジを拘束するには、板幅に応じた正確な位置制御が必要である。しかし、鋼帯尾端では、圧延段階で生じた幅広部(フレアなどと呼ばれる)があるため、正確な板幅追従制御は難しい。
また、鋼帯エッジ部に対しサイドガイド41を押し付ける、いわゆる圧力制御を行う場合、鋼帯が薄くなるほど高精度な押付圧一定制御が必要である。しかし、このような押付圧一定制御では、サイドガイド全長に渡って1枚のガイド板に加わる合力をフィードバックするので、鋼帯長手方向で板幅が均一でない場合などでは、部分的な押付圧過多或いは押付圧過少が生じることは避けられない。
特許文献1〜3では、コイラー入側のピンチロール(#1ピンチロール)のさらに上流側に、バックテンションを分担するピンチロール(#0ピンチロール)を設置した、所謂ダブルピンチロール方式の設備が示されている。
このような特許文献1〜3の設備において、#1ピンチロールから#0ピンチロールまでの間の鋼帯は、#0ピンチロールによるバックテンションがあるため、良好なバックテンションであれば、鋼帯の蛇行を防ぐことができる。
特許文献1〜3のように#0ピンチロールを設置してダブルピンチロールとした場合、#0ピンチロール自体に軸ずれや差荷重などがあると、#0ピンチロールが蛇行要因を発生させてしまう。しかも、バックテンションで鋼帯の蛇行を防ぐには、#0ピンチロールも相応の圧下荷重が必要となる場合が多い。
#0ピンチロールの入側では、一般的なシングルピンチロール方式と同様に鋼帯尾端が無張力となるため、#0ピンチロール起因の蛇行は防げない。また、鋼帯尾端が#0ピンチロールを抜けた後は、シングルピンチロール方式と同様の蛇行要因が生じる。さらに、#0ピンチロールの増設は設備コスト、設置スペースなどの面でも問題を生じる。
なお、鋼帯の中でも厚物と呼ばれる厚鋼帯(例えば、板厚5mm以上)の巻取設備では、ピンチロールだけで鋼帯を曲げてコイラーに誘導することが難しいために、ベンディングロールと呼ばれるロールを付設し、このロールで鋼帯に曲げを加える場合があるが、このようなロールは、鋼帯を巻き取り方向に曲げ加工するだけであり、鋼帯の蛇行を修正できるようなものではない。
しかし、さきに述べたように、サイドガイドで鋼帯のエッジ部を強く拘束すると、鋼帯に擦り疵を生じさせる問題がある。また、鋼帯幅は長手方向で変化するため、この幅変化に対応して、サイドガイドにより鋼帯を幅方向で一定の押付圧で拘束することは、非常に難しい。
まず、ピンチロール起因で蛇行が発生しているときに、ピンチロール入側の鋼帯の変形を強調すると、図56〜図58に示すように、鋼帯が面外変形していることが判った。ここで、図56は従来の鋼帯巻取設備においてピンチロール起因の蛇行が発生しているときのピンチロール入側での鋼帯の面外変形を模式的に示す平面図、図57は同じく正面図、図58は同じく側面図である。この面外変形は、鋼帯が鉛直方向に隆起(浮きシワ)するような変形であるが、ループのような板幅方向で一様な変形ではなく、片側のエッジ部(図56〜図58の場合は進行方向右側のエッジ部)が多く変形するような捻りを含んだ面外変形であり、薄板の横座屈現象であると考えられる。これは、ピンチロール42による摩擦力のロール軸方向分力(スラスト力)、すなわち横滑り力と、鋼帯がサイドガイド端で接触したことによる反力の方向が、板幅方向で逆に作用するために鋼帯に発生した横座屈であると考えられる。
ここで対象としている変形は、板幅方向で一様な変形であるループ、波打ち、アコーディオン、蛇腹などと呼ばれるものとは異なる。上記ループのような変形は、鋼帯尾端が仕上圧延機を抜けたことにより張力が弛緩し、ピンチロールでの通板速度よりも、鋼帯尾端の通板速度の方が速くなり、ピンチロール入側でループとなったものであり、ピンチロールによる横滑り力で発生した横座屈ではない。
[1]コイラーの入側にピンチロールを備えた金属帯の巻取設備において、
前記ピンチロールの上流側位置に、通板する金属帯に接触し、該金属帯をパスライン面内またはパスライン面よりも下方位置に保持する回転可能な押さえロール(X)を設け、該押さえロール(X)は、下記(i)または(ii)からなることを特徴とする金属帯の巻取設備。
(i)金属帯を上下で挟んで拘束する非駆動型の上ロール(1a)と非駆動型または駆動型の下ロール(1b)
(ii)金属帯の上面に当接する非駆動型のロール(1c)
[2]上記[1]の巻取設備において、ライン上流側からサイドガイド、ピンチロールおよびコイラーをこの順で備えた巻取設備であって、前記サイドガイドとピンチロール間または前記サイドガイドの内側に押さえロール(X)を設けたことを特徴とする金属帯の巻取設備。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの巻取設備において、押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)は、単一の支持圧下手段で支持されることを特徴とする金属帯の巻取設備。
[5]上記[4]の巻取設備において、支持圧下手段は、押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)を回転自在に支持する単一のロール支持体と、下端部が該ロール支持体の長手方向中央部に枢着され、該ロール支持体を前記枢着部を支点として上下方向揺動可能に保持する支持圧下アームを有することを特徴とする金属帯の巻取設備。
[6]上記[1]〜[3]のいずれかの巻取設備において、押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)は、支持圧下手段で支持されることなく、自重で金属帯に接触することを特徴とする金属帯の巻取設備。
[8]上記[6]の巻取設備において、押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)をサイドガイドの内側に配置するとともに、サイドガイドの両側位置に1対の昇降ガイドを設け、前記上ロール(1a)またはロール(1c)の両端のロール軸をサイドガイドに形成されたスリットまたは透孔を通じてサイドガイドの両外側に突出させ、該ロール軸または該ロール軸を支持するロール軸受を前記1対の昇降ガイドに各々上下方向スライド自在に保持させたことを特徴とする金属帯の巻取設備。
[9]上記[6]の巻取設備において、押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)を、上下方向回動自在な支持アームに回転自在に支持させたことを特徴とする金属帯の巻取設備。
[11]上記[9]の巻取設備において、押さえロール(X)を構成する左右1対の上ロール(1a)またはロール(1c)をサイドガイドの内側に配置するとともに、1対の支持アームを両サイドガイドに上下方向回動自在に枢支させ、該1対の支持アームに1つのロール支持軸を長手方向スライド自在に支持させ、該ロール支持軸の両端部をサイドガイドに形成されたスリットまたは透孔を通じてサイドガイドの両外側に突出させるとともに、該ロール支持軸に前記1対の上ロール(1a)またはロール(1c)を回転自在且つ長手方向スライド自在に支持させたことを特徴とする金属帯の巻取設備。
[13]上記[9]の巻取設備において、押さえロール(X)を構成する左右1対の上ロール(1a)またはロール(1c)をサイドガイドの内側に配置するとともに、両サイドガイドに駆動モータの本体を固定して、その各回転駆動軸に支持アームを固定し、該1対の支持アームが有するスライドガイドに1つのロール支持軸を上下方向スライド自在且つ長手方向スライド自在に保持させ、該ロール支持軸の両端部をサイドガイドに形成されたスリットまたは透孔を通じてサイドガイドの両外側に突出させるとともに、該ロール支持軸に前記1対の上ロール(1a)またはロール(1c)を回転自在且つ長手方向スライド自在に支持させたことを特徴とする金属帯の巻取設備。
R>r
R−r<t
但し t:通板する金属帯の最小板厚
[15]上記[1]〜[13]のいずれかの巻取設備において、押さえロール(X)が上ロール(1a)と駆動型の下ロール(1b)とからなり、前記上ロール(1a)が上下昇降可能であり、前記上下ロール(1a),(1b)の各両端の同軸上に、上補助ロールと下補助ロールが各々付設され、前記上補助ロールの半径RUと、上ロール(1a)の半径rUと、下補助ロールの半径RLと、下ロール(1b)の半径rLが下記条件を満足することを特徴とする金属帯の巻取設備。
RU<RL
RU<rU
RL>rL
(RU−rU)+(RL−rL)<t
但し t:通板する金属帯の最小板厚
[17]上記[1]〜[13]のいずれかの巻取設備において、押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)が上下昇降可能であるとともに、上昇位置にある上ロール(1a)またはロール(1c)と接触する駆動型の予回転用ロールを有することを特徴とする金属帯の巻取設備。
[18]上記[14]または[15]に記載の巻取設備において金属帯を巻き取る際に、
金属帯が押さえロール位置を通板する前に、前記上ロール(1a)または該上ロール(1a)の同軸上に付設された補助ロールを前記下ロール(1b)または該下ロール(1b)の同軸上に付設された補助ロールに接触させることで前記上ロール(1a)に回転を与えておき、金属帯が押さえロール位置を通板する際に、回転中の前記上ロール(1a)を金属帯に接触させることを特徴とする金属帯の巻取方法。
金属帯の尾端部が押さえロール位置を通板する前に、押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)を上昇させ、中間ロールを介してピンチロールの上ロールと接触させることで回転を与えておき、金属帯の尾端部が押さえロール位置を通板する際に、回転中の前記上ロール(1a)またはロール(1c)を下降させて金属帯に接触させることを特徴とする金属帯の巻取方法。
[20]上記[17]に記載の巻取設備において金属帯を巻き取る際に、
金属帯の尾端部が押さえロール位置を通板する前に、押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)を上昇させ、回転駆動する予回転用ロールと接触させることで回転を与えておき、金属帯の尾端部が押さえロール位置を通板する際に、回転中の前記上ロール(1a)またはロール(1c)を下降させて金属帯に接触させることを特徴とする金属帯の巻取方法。
ここで、本発明において、コイラー入側のピンチロールとは、金属帯を拘束する上下ロール(上下ロールとも駆動型ロール)からなり、金属帯のパスラインを斜め下方に導くとともに、金属帯に巻取張力(バックテンション)を付与するためのロールを指す。
本発明が巻き取りの対象とする金属帯は、代表的には熱延鋼帯などの鋼帯であるが、これに限定されるものではなく、任意の金属帯を対象とすることができる。また、対象が鋼帯の場合、板厚3mm以下の鋼帯、特に薄物と呼ばれる板厚2mm以下の薄鋼帯が尾端部の蛇行を生じやすいので、本発明は、このような板厚の小さい鋼帯の巻取設備および巻取方法として特に有用である。
ここで、サイドガイドとしては、例えば、(1)金属帯のエッジ部が接触するガイド部がサイドガイド自体の壁面であるもの、(2)サイドガイド長手方向で間隔をおいて複数のディスクロールまたはガイドロールが回転自在に設けられ、金属帯のエッジ部が接触するガイド部が、これらディスクロールまたはガイドロールで構成されるもの、などがあるが、いずれの構造を有するものでもよい。
押さえロールXは、下記(i)または(ii)からなるものであり、金属帯の上面側を拘束するロール(上ロール1a、ロール1c)が非駆動型ロールであることが、ピンチロールとは異なる大きな特徴である。金属帯の上面側を拘束するロールが駆動型ロールであると、ロール軸に接続された電動モータ等の重量が板幅方向でアンバランスとなって差荷重を生じ、ピンチロールと同様にそれ自体が蛇行要因を生じるおそれがある。
(i)金属帯を上下で挟んで拘束する非駆動型の上ロール1aと非駆動型または駆動型の下ロール1b
(ii)金属帯の上面に当接する非駆動型のロール1c
なお、押さえロールXとしては、上記(ii)のような金属帯の上面側にだけに当接する単一ロールからなるものであってもよいが、金属帯をより安定的に保持するという観点からは、上記(i)のような上下ロールで金属帯を拘束する押さえロールの方が好ましい。
上記(i)、(ii)の押さえロールXによる金属帯の拘束形態は、(イ)金属帯をパスライン面内に保持するもの、(ロ)金属帯をパスライン面よりも下方位置に保持するもの、のいずれであってもよい。
押さえロールXのロール形状としては、通常のフラットロールの他に、クラウンロールであってもよい。特に、上ロール1aまたはロール1cが凸クラウンロール(中央部の直径が大きいクラウンロール)であれば、ロール中央部による圧下が主体となるため差荷重が発生しにくくなる。また、上ロール1aを凸クラウンロール、下ロール1bを凹クラウンロールにすれば、クラウンロールで圧下することによる金属帯面の圧痕も少なくできる。通常、クラウンの凹凸高さは数mm程度が適当である。
図1〜図3は、本発明の巻取設備の一実施形態を示すものであり、図1は平面図、図2はピンチロールおよび押さえロールXを示す側面図、図3は同じく正面図である。
図において、6はマンドレル60を備えたコイラー、2は上下ロール200a、200bからなり、前記コイラー6の入側に設けられるピンチロール、3はこのピンチロール2の上流側に設けられる搬送ロール装置であり、多数の搬送ロール300からなる。4はこの搬送ロール装置3の上に設けられるサイドガイド、5は最下流側の搬送ロール300とピンチロール2間におけるパスライン下方に設けられるエプロンガイドである。これらの設備構成は、図52および図53に示した従来の巻取設備と同様である。
前記押さえロールXを構成する下ロール1bは、エプロンガイド5に形成された空間内に配置され、回転自在に支持されている。この下ロール1bの上端は、搬送ロール300と同様にパスラインを構成する。この下ロール1bは非駆動型ロール、駆動型ロールのいずれで構成してもよい。
前記押さえロールXを構成する上ロール1a(非駆動型ロール)は、支持圧下手段(昇降装置)に回転自在且つ昇降可能に支持されている。この上ロール1aは、下ロール1bよりも大径である。
また、金属帯Sはピンチロール2の圧下中心ではパスライン面内に保持されており、ピンチロール2からライン上流に行くほど金属帯は徐々に板剛性が低下していくため、板厚や板幅などの板剛性の条件に応じた適切な位置で金属帯の面外変形を抑えることができるようにするため、押さえロールXをライン方向で位置調整可能にしておくこともできる。
押さえロールXは、面外変形開始の初期段階の僅かな隆起を押さえ込むだけでよいので軽圧下荷重でよい。そして、このように軽圧下荷重とすることにより、押さえロールX自体により蛇行要因を発生させることが少なく、この点も従来技術のダブルピンチロール方式と異なる点である。
(1)上ロール1aまたはロール1cが、単一の支持圧下手段で支持される。
(2)上ロール1aまたはロール1cが、支持圧下手段で支持されることなく、自重で金属帯に接触する。
また、上記(1)の形態の場合、支持圧下手段は、押さえロールXを構成する上ロール1aまたはロール1cを回転自在に支持する単一のロール支持体と、下端部が該ロール支持体の長手方向中央部に枢着され、該ロール支持体を前記枢着部を支点として上下方向揺動可能に保持する支持圧下アームを有するものであることが好ましい。このような支持圧下手段では、ロール支持体が上下方向揺動可能であるため、上ロール1aまたはロール1cが上下方向で自由に傾くことができ、金属帯Sに図33に示すようなウェッジがあったとしても、これに沿って傾くことができるので、金属帯幅方向での差荷重が特に生じにくい。
この支持圧下手段10は、両端にロール軸受部12を有し、この両ロール軸受部12により上ロール1aの両端(ロール軸100)を回転自在に軸支するロール支持体11と、下端部がこのロール支持体11の長手方向中央に枢着された支持圧下アーム13とで構成され、ロール支持体11は支持圧下アーム13に前記枢着部を支点として金属帯幅方向で上下方向揺動可能に保持されている。ロール支持体11の長手方向中央に支持圧下アーム13を枢着させるため、ロール支持体11の長手方向中央の両側には支持軸14が設けられ、この両支持軸14に、支持圧下アーム13の下端のブラケット15を回転自在に枢支させている。前記支持圧下アーム13は、シリンダ装置などの圧下機構16を備えている。
以上のように押さえロールXを構成する上ロール1aを1つの支持圧下手段10で左右対称に支持すること、より具体的には、ロール支持体11とこのロール支持体11を保持する支持圧下アーム13とを備えた支持圧下手段10で支持することにより、金属帯Sを幅方向で均一に圧下することができるので、金属帯幅方向での圧下荷重のずれ(差荷重)によるモーメントが生じることが防止できる。また、さきに述べたように、ロール支持体11が支持軸14(枢着部)を支点として上下方向揺動可能であり、上ロール1aが上下方向で自由に傾くことができるので、金属帯幅方向での差荷重が特に生じにくい。
なお、本実施形態では、上ロール1aの両端のロール軸100を両ロール軸受部12に回転自在に軸支させた構造となっているが、ロール軸100(ロール保持軸)をロール支持体11に固定し、このロール軸100に対して、ロール本体を回転自在に保持させた構造としてもよい。
この実施形態は、ロール支持体11に対する支持圧下アーム13の枢着位置(支持軸14)の中心が、上ロール1aのロール軸心よりも上方に位置した構造を有している。
このような構造では、上下方向において、上ロール1aのロール軸心と支持圧下アーム13の枢着位置(支持軸14)の中心が一致していないため、支持圧下アーム13による圧下荷重が圧下方向以外の分力を生じさせる可能性があるので、上ロール1aのロール軸心と支持圧下アーム13の枢着位置(支持軸14)の中心との上下方向距離kはできるだけ小さい方が好ましく、具体的には、上ロール1aのロール径に相当する距離以下とすることが好ましい。
なお、その他の構成は、図4〜図6の実施形態と同様である。
この支持圧下手段10は、ロール支持体11が、中央の本体部110とその両側に設けられた1対のロール保持軸部111x,111yで構成され、この1対のロール保持軸部111x,111yにそれぞれ回転自在に保持されたロール50x,50yにより、上ロール1aが構成されている。
また、この実施形態でも、上ロール1aが金属帯幅方向をなるべく均等に圧下できるようにするため、上下方向において、上ロール1aのロール軸心と支持圧下アーム13の枢着位置(支持軸14)の中心を一致させ、支持圧下アーム13による圧下荷重が圧下方向以外の分力を生じさせないようにしている。
この実施形態は、設備上の制約から、通板する金属帯Sの真上に図4〜図6のような単一の支持圧下アーム13を配置できない場合に、有効な構造である。
この支持圧下手段10は、ロール支持体11とこれを保持する支持圧下アーム13とからなり、このうち、ロール支持体11とこれによる上ロール1aの支持構造は、図4〜図6の実施形態と同様である。
以上説明した図7、図8および図9、図10および図11の各支持圧下手段10は、図4〜図6の支持圧下手段10と基本的に同様の機能を有する。
この実施形態は、サイドガイド4の内側位置に、パスライン上を通板する金属帯Sに接触して金属帯Sをパスライン面内またはパスライン面よりも下方位置に保持する押さえロールXを設け、且つこの押さえロールXを、金属帯Sを上下で挟み込む上下ロール1a,1bで構成したものである。
前記押さえロールXを構成する上ロール1aは、例えば、図4〜図6に示すような支持圧下手段10(昇降装置)に回転自在かつ昇降可能に支持されるか、或いは、後述する実施形態に示されるように、昇降ガイドに案内されまたは支持アームに保持されることにより、その自重で金属帯に接触する。一方、本実施形態では、搬送ロール300の1つ(最下流側の搬送ロール300)を押さえロールXを構成する下ロール1bと兼用させている。
ここで、上下ロール1a,1bの軸心は、本実施形態のようにライン方向で偏心(オフセット)していてもよいし、同一鉛直面上にあるようにしてもよい。本実施形態では、上下ロール1a,1bの軸心がライン方向で偏心(オフセット)しているため、金属帯はパスライン面よりも少しだけ下方の位置に保持されるが、上下ロール1a,1bの軸心を同一鉛直面上に位置させた場合には、金属帯はパスライン面内に保持されることになる。
その他の構成は、図1〜図3に示す実施形態と同様である。
また、押さえロールXを金属帯に接触させる場合、押さえロールXの周速を金属帯の通板速度に近づけ、金属帯に疵をつけないようにすることが好ましい。この場合の押さえロールXの周速は、搬送ロール300と同程度の周速(金属帯尾端の場合、通板速度より数〜十数%遅い周速)でよい。ここで、押さえロールXを構成する下ロール1bが駆動型ロールの場合には、そのような周速で駆動させればよい。一方、押さえロールXを構成するロールがフリー回転する非駆動型ロールの場合には、金属帯Sとの摩擦力により金属帯Sの通板速度とほぼ同じ周速で回転するため、金属帯を疵付けることが少ない。
なお、上方で待機中の上ロール1aの回転を金属帯尾端の通板時まで十分に維持できない場合は、上ロール1aを金属帯中央部の通板時から金属帯に接触させても、軽荷重であるため問題はない。
図17〜図20は、そのような補助ロールを備えた巻取設備の一実施形態を示すものであり、図17は金属帯通板前におけるピンチロールおよび押さえロールXを示す側面図、図18は同じく正面図、図19は金属帯通板中のピンチロールおよび押さえロールXを示す側面図、図20は同じく正面図である。この実施形態では、図12および図13の実施形態と同様に、最下流側の搬送ロール300(駆動ロール)が押さえロールXを構成する下ロール1bを兼ねている。
前記補助ロール7の半径Rと上ロール1a半径rUは、以下の条件を満足させるものとする。ここで、tは通板する金属帯Sの最小板厚である。
R>rU
R−rU<t
このように補助ロール7を介して上ロール1aに回転を付与した後、上ロール1aを上昇させて上方で待機させ、金属帯S(特に金属帯尾端)が押さえロール位置を通板する際に、再び上ロール1aを下降させる。ここで、前記クリアランスcは金属帯Sの最小板厚tよりも小さいため、図19および図20に示すように、上ロール1aは金属帯Sに当接し、下ロール1bとの間で金属帯Sを挟持する。当然、このときには補助ロール7は、下ロール1bから離れている。
なお、本実施形態でも、上下ロール1a,1bの軸心がライン方向で偏心(オフセット)しているため、金属帯はパスライン面よりも少しだけ下方の位置に保持されるが、上下ロール1a,1bの軸心を同一鉛直面上に位置させた場合には、金属帯はパスライン面内に保持されることになる。
図21および図22は、そのような補助ロールを備えた巻取設備の一実施形態を示すものであり、図21は金属板通板前におけるピンチロールおよび押さえロールXを示す側面図、図22は同じく正面図である。この実施形態でも、図12および図13の実施形態と同様に、最下流側の搬送ロール300が押さえロールXを構成する下ロール1bを兼ねている。
押さえロールXを構成する下ロール1bの両端のロール軸100には、下ロール1bよりも大径の1対の補助ロール7が取り付け固定され、下ロール1bと同軸上で一体回転するようになっている。
前記補助ロール7の半径Rと下ロール1bの半径rLは、以下の条件を満足させるものとする。ここで、tは通板する金属帯Sの最小板厚である。
R>rL
R−rL<t
このように補助ロール7を介して上ロール1aに回転を付与した後、上ロール1aを上昇させて上方で待機させ、金属帯S(特に金属帯尾端)が押さえロール位置を通板する際に、再び上ロール1aを下降させる。ここで、前記クリアランスcは金属帯Sの最小板厚tよりも小さいため、上ロール1aは金属帯Sに当接し、下ロール1aとの間で金属帯Sを挟持する。当然、このときには補助ロール7は、上ロール1aから離れている。
なお、本実施形態でも、上下ロール1a,1bの軸心がライン方向で偏心(オフセット)しているため、金属帯はパスライン面よりも少しだけ下方の位置に保持されるが、上下ロール1a,1bの軸心を同一鉛直面上に位置させた場合には、金属帯はパスライン面内に保持されることになる。
図23〜図26は、そのような構造を備えた巻取設備の一実施形態を示すものであり、図23は金属帯通板前におけるピンチロールおよび押さえロールXを示す側面図、図24は同じく正面図、図25は金属帯通板中のピンチロールおよび押さえロールXを示す側面図、図26は同じく正面図である。この実施形態でも、図12および図13の実施形態と同様に、最下流側の搬送ロール300が押さえロール6を構成する下ロール1bを兼ねている。
前記上補助ロール8の半径RUと、上ロール1aの半径rUと、下補助ロール9の半径RLと、下ロール1bの半径rLは、以下の条件を満足させるものとする。ここで、tは通板する金属帯Sの最小板厚である。
RU<RL
RU<rU
RL>rL
(RU−rU)+(RL−rL)<t
V=V0×(RL/rL)×(rU/RU)
よって、下ロール1b(搬送ロール300)の周速V0よりも上ロール1aの周速を大きくすることができる。また、このとき、上ロール1aと下ロール1bとの間には、金属帯Sの最小板厚tよりも小さいクリアランスc(=(RU−rU)+(RL−rL)<t)が形成される。
なお、上記のようにして金属帯通板前に予め回転させておく上ロール1aの周速は、金属帯(特に金属帯尾端)通板時までの減速量を計算し、通板速度に近い速度で金属帯Sに当接できるような適切な周速に設定することが好ましい。このために上補助ロール8と下補助ロール9の半径を適宜選択する。
また、本実施形態でも、上下ロール1a,1bの軸心がライン方向で偏心(オフセット)しているため、金属帯はパスライン面よりも少しだけ下方の位置に保持されるが、上下ロール1a,1bの軸心を同一鉛直面上に位置させた場合には、金属帯はパスライン面内に保持されることになる。
図27は、予回転用の駆動ロールとしてピンチロールを利用する巻取設備の一実施形態を示すものであり、サイドガイド、ピンチロールおよび押さえロールXなどを示す側面図である。この実施形態では、図12および図13の実施形態と同様に、最下流側の搬送ロール300(駆動ロール)が押さえロールXを構成する下ロール1bを兼ねている。
なお、中間ロール52を並列的に複数個(奇数個)設け、順次回転を伝えるようにしてもよい。
以上のような巻取設備では、金属帯Sの尾端部が押さえロール位置を通板する前に、上ロール1a(または上ロール1aと中間ロール52)を上昇させ、中間ロール52を介してピンチロールの上ロール200aと接触させることで回転を与えておき、金属帯Sの尾端部が押さえロール位置を通板する際に、回転中の上ロール1aを下降させて金属帯Sに接触させる。
このような巻取設備では、金属帯Sの尾端部が押さえロール位置を通板する前に、上ロール1aを上昇させ、回転駆動する予回転用ロール53と接触させることで回転を与えておき、金属帯Sの尾端部が押さえロール位置を通板する際に、回転中の上ロール1aを下降させて金属帯Sに接触させる。
図30の実施形態は、搬送ロール300を下ロール1bと兼用させたものである。本実施形態でも、上下ロール1a,1bの軸心がライン方向で偏心(オフセット)しているため、金属帯はパスライン面よりも少しだけ下方の位置に保持されるが、上下ロール1a,1bの軸心を同一鉛直面上に位置させた場合には、金属帯はパスライン面内に保持されることになる。
また、図31の実施形態は、各押さえロールXを金属帯の上面側にだけに当接する非駆動型のロール1cで構成したものであり(すなわち、さきに挙げた(ii)の形態)、このロール1cを隣接する搬送ロール300の中間に配置し、このロール1cだけで金属帯を下方に押し込み、金属帯をパスライン面よりも下方位置に保持するようにしたものである。
(I)パスラインの両側位置に1対の昇降ガイドを設け、押さえロールXを構成する上ロール1aまたはロール1cの両端のロール軸またはこのロール軸を支持するロール軸受を、前記1対の昇降ガイドに各々上下方向スライド自在に保持させるもの。
(II)押さえロールXを構成する上ロール1aまたはロール1cを、上下方向回動自在な支持アームに回転自在に支持させるもの。
また、このような作用効果をより適切に得るためには、上ロール1aまたはロール1cが上下方向でなるべく自由に傾動できるような構造とすることが好ましい。この意味で、上記(I)の形態では、昇降ガイドとこれに案内されるロール側の部材との間に適度な遊びを設けることが好ましい。同じく、上記(II)の形態では、(1)上ロール1aまたはロール1cの両端側を独立した1対の支持アーム(1対の支持アームどうしが剛体で連結されていないもの)で支持する、(2)支持アームによる上ロール1aまたはロール1cの支持部に、上ロール1aまたはロール1cの上下方向での傾動範囲を拡げるための遊びを設ける、(3)支持アームの基端部に、上ロール1aまたはロール1cの上下方向での傾動範囲を拡げるための遊びを設ける、などのうちの1つ以上の構造を採用することが好ましい。
この実施形態では、パスラインの両側位置(金属帯幅方向の両側)に溝状の1対の昇降ガイド17を設けるとともに、この昇降ガイド17内にそれぞれロール軸受18を上下方向スライド自在に配置し、この両ロール軸受18に、押さえロールXを構成する上ロール1aの両ロール軸100を回転自在に軸支させている。すなわち、上ロール1aのロール軸100を支持するロール軸受18が、1対の昇降ガイド17に上下方向スライド自在に保持されている。
押さえロールXを構成する下ロール1bは、エプロンガイド5に形成された空間内に配置され、回転自在に支持されている。この下ロール1bの上端は、搬送ロール300と同様にパスラインを構成する。
押さえロールXの不使用時に上ロール1aを昇降ガイド17の上方位置に退避(待機)させておくために、昇降アーム20を有するリフトアップ装置が付設されており、図34に示すように、この昇降アーム20で両ロール軸受18または両ロール軸100を支持して上ロール1aをリフトアップできるようにしている。
なお、図12および図13の実施形態と同様に、最下流側の搬送ロール300が押さえロールXの下ロール1bを兼ねるようにしてもよい。
このような実施形態の巻取設備では、押さえロールXを構成する上ロール1aは、圧下支持手段で支持されることなく、その両端を支持するロール軸受18が昇降ガイド17に上下方向スライド自在に保持されているだけであり、したがって、上ロール1aはロール軸受18(さらに、必要に応じて付加されるウエイト)を含めた自重により、金属帯Sに当接(接触)する。このため、上ロール1aとロール軸受18などの金属帯幅方向でのウェイトバランスを均等にすれば、金属帯Sに幅方向で均一な圧下荷重をかけることができ、金属帯Sに図33に示すようなウェッジがあったとしても、上ロール1aはこれに沿って傾くだけであるため、金属帯Sには差荷重が発生しない。
この実施形態では、支持アーム70を、その基端部をエントリガイド19に枢支700させることで上下方向回動自在に設け、この支持アーム70の先端に上ロール1aを回転自在に支持させたものである。支持アーム70は、その枢支部700を支点として上下方向に回動(スイング)する。また、この実施形態では、図12および図13の実施形態と同様に、最下流側の搬送ロール300(駆動ロール)が押さえロールXを構成する下ロール1bを兼ねている。
支持アーム70を取り付ける部材は任意であり、例えば、サイドガイドや周辺の構造部であってもよい。
また、本実施形態のように支持アーム70で上ロール1aを支持する場合には、さきに述べたように、上ロール1aが上下方向でなるべく自由に傾動できるような配慮をすることが好ましい。例えば、上ロール1aの両端側を独立した1対の支持アーム70(1対の支持アーム70どうしが剛体で連結されていないもの)で支持する、(2)支持アーム70による上ロール1aの支持部に、上ロール1aの上下方向での傾動範囲を拡げるための遊びを設ける、(3)支持アーム70の基端部に、上ロール1aの上下方向での傾動範囲を拡げるための遊びを設ける、などのうちの1つ以上の構造を採用することが好ましい。
サイドガイド4は金属帯幅に応じて幅方向で移動(位置調整)するため、押さえロールXを構成する上ロール1aをサイドガイド4の内側に配置する構造では、サイドガイド4の移動に拘わりなく上ロール1aが機能を発揮できるような構造とする必要がある。
図38および図39は、押さえロールXを構成する上ロールをサイドガイドの内側に配置する巻取設備の第一の実施形態を示すものであり、図38は平面図、図39はピンチロールおよび押さえロールXを示す側面図である。
なお、昇降ガイド22は上ロール1aのロール軸100そのものを上下方向スライド自在にガイドしてもよい。
なお、ロール軸受18などには、金属帯Sを押さえつけるための荷重を確保するために、必要に応じてウエイトを付加することができる。
本実施形態では、ロール長が比較的短い上ロール1aを用い、金属帯幅方向の中央部を拘束するものであり、このような実施形態でも金属帯Sをパスライン面内またはパスライン面よりも下方位置に保持できるので問題はない。ここで、上ロール1aのロール長は任意であり、また、好ましいロール長(下限)はロールによる圧下荷重や金属帯の板厚、板幅などにより異なるため一律に規定することはできないが、一般には金属帯板幅の30%以上を拘束できるロール長を有することが好ましい。
押さえロールXの不使用時に上ロール1aを昇降ガイド22の上方位置に退避(待機)させておくために、図32〜図34の実施形態と同様のリフトアップ装置(図示せず)が付設され、このリフトアップ装置の昇降アームで両ロール軸受18(または両ロール軸100)を支持して上ロール1aをリフトアップできるようにしている。
また、サイドガイド4は上ロール1aやそのロール軸100などと干渉することなく金属帯幅方向で位置調整できるため、上ロール1aは、サイドガイド4の金属帯幅方向での位置と無関係に金属帯Sに当接(接触)し、その機能を発揮することができる。
本実施形態では、上ロール1aをサイドガイド4の内側に配置するとともに、両サイドガイド4にそれぞれ支持アーム23を上下方向回動自在に取り付け、この両支持アーム23に、上ロール1aを回転自在に支持させたものである。
上ロール1aにはロール軸がなく、その代わりに両端にロール支持軸24を取り付けるための軸孔25を有している。この上ロール1aは、その両端の軸孔25に各支持アーム23のロール支持軸24を回転自在且つ長手方向スライド自在に挿入させることにより、支持アーム23に支持される。
この実施形態では、図12および図13の実施形態と同様に、搬送ロール300の1つが押さえロールXを構成する下ロール1bを兼ねている。
また、サイドガイド4が金属帯幅方向で移動すると、図示するようにロール支持軸24が上ロール1aの軸孔25内で長手方向でスライドして長さ調整がなされる。このようにサイドガイド4は、上ロール1aなどと干渉することなく金属帯幅方向で位置調整できるため、上ロール1aは、サイドガイド4の金属帯幅方向での位置と無関係に金属帯Sに当接(接触)し、その機能を発揮することができる。
本実施形態では、押さえロールXを構成する左右1対の上ロール1a1,1a2をサイドガイド4の内側に配置するとともに、両サイドガイド4にそれぞれ支持アーム26を上下方向回動自在に取り付け、この両支持アーム26に1つのロール支持軸27を介して左右1対の上ロール1a1,1a2を回転自在に支持させたものである。
各支持アーム26はサイドガイド4の内側に配置され、その基端部がサイドガイド4に枢支260され、この枢支部260を支点として上下方向に回動(スイング)する。この1対の支持アーム26の先端には、挿通孔261が形成されている。
上ロール1a1,1a2にはロール軸がなく、その代わりに前記ロール支持軸27を挿通させるための軸孔37を有している。そして、この上ロール1a1,1a2の軸孔37にロール支持軸27が挿通することで、左右1対の上ロール1a1,1a2がロール支持軸27に対して回転自在且つ長手方向スライド自在に支持されている。
本実施形態では、ロール長が短い左右1対の上ロール1a1,1a2を用い、金属帯Sの両エッジ部を拘束するものであり、このような実施形態でも金属帯Sをパスライン面内に保持できるので問題はない。
ここで、上ロール1a1,1a2のロール長は任意であり、また、好ましいロール長(下限)はロールによる圧下荷重や金属帯の板厚などにより異なるため一律に規定することはできないが、一般には両ロールの合計で金属帯板幅の30%以上を拘束できるロール長を有することが好ましい。
この実施形態では、図12および図13の実施形態と同様に、搬送ロール300の1つが押さえロールXを構成する下ロール1bを兼ねている。
本実施形態では、押さえロールXを構成する左右1対の上ロール1a1,1a2をサイドガイド4の内側に配置するとともに、両サイドガイド4にそれぞれ支持アーム29を上下方向回動自在に取り付け、この両支持アーム29に上ロール1a1,1a2を回転自在に支持させたものである。
この実施形態では、図12および図13の実施形態と同様に、搬送ロール300の1つが押さえロールXを構成する下ロール1bを兼ねている。
本実施形態でもロール長が短い左右1対の上ロール1a1,1a2により金属帯Sの両エッジ部を拘束するものであり、上ロール1a1,1a2の好ましいロール長などは図42〜図45の実施形態と同様である。
また、サイドガイド4が金属帯幅方向で移動しても、上ロール1a1,1a2とこれを支持する支持アーム29は、サイドガイド4とともに移動するので、上ロール1a1,1a2はサイドガイド4の金属帯幅方向での位置と無関係に金属帯Sの両エッジ部近傍に当接(接触)し、その機能を発揮することができる。
本実施形態では、押さえロールXを構成する左右1対の上ロール1a1,1a2をサイドガイド4の内側に配置するとともに、両サイドガイド4に駆動モータ31(揺動モータ)の本体を固定し、その各回転駆動軸310に支持アーム32を固定している。そして、この支持アーム32が有するスライドガイドに上下方向スライド自在にロール支持軸33を保持させ、このロール支持軸33を介して左右1対の上ロール1a1,1a2を回転自在に支持させたものである。
各支持アーム32はサイドガイド4の内側に配置され、その基端部が駆動モータ31の回転駆動軸310に固定され、この回転駆動軸310の回転により上下方向に回動(スイング)する。この1対の支持アーム32の先端には、ロール支持軸33を上下方向スライド自在にガイドする長孔状のガイド孔34(スライドガイド)が形成されている。
上ロール1a1,1a2にはロール軸がなく、その代わりにロール支持軸33を挿通させるための軸孔39を有している。そして、この上ロール1a1,1a2の軸孔39にロール支持軸33が挿通する(本実施形態では、後述するスリーブ40を介して軸孔39にロール支持軸33が挿通する)ことで、左右1対の上ロール1a1,1a2がロール支持軸33に対して回転自在且つ長手方向スライド自在に支持されている。
本実施形態でもロール長が短い左右1対の上ロール1a1,1a2により金属帯Sの両エッジ部を拘束するものであり、上ロール1a1,1a2の好ましいロール長などは図42〜図45の実施形態と同様である。
なお、本実施形態では、ロール支持軸33や支持アーム32などに金属帯先端が衝突するのを避けるため、押さえロールXの入側にエントリガイド35を設けてある。
このように、サイドガイド4は、上ロール1a1,1a2やロール支持軸33などと干渉することなく位置調整できるため、上ロール1a1,1a2は、サイドガイド4の金属帯幅方向での位置と無関係に金属帯Sの両エッジ部近傍に当接(接触)し、その機能を発揮することができる。
なお、以上述べた図4〜図6、図7〜図11、図14〜図16、図27〜図29、図35〜図37、図32〜図34、図38〜図50の実施形態は、押さえロールXが金属帯を上下で挟んで拘束する非駆動型の上ロール1aと非駆動型または駆動型の下ロール1bで構成されたもの(すなわち、さきに挙げた(i)の形態)であるが、これら実施形態の上ロール1aおよびその支持構造は、押さえロールXが金属帯の上面に当接する非駆動型のロール1cからなる場合(すなわち、さきに挙げた(ii)の形態)にも適用できる。
図38および図39に示す構造の押さえロールXを備えた本発明例の巻取設備(試験装置)を用い、金属帯の代わりにプラスチック製の薄板をコイラーに巻き取る試験を行った。試験装置の押さえロールXは、サイドガイド4内の幅方向中央に配置される回転自在な上ロール1aと、その下方の下ロール1b(搬送ロール300)で構成した。上ロール1aは、その自重により薄板を下ロール1bとの間で拘束し、パスライン面内に保持することができる。また、比較例として、押さえロールXが無い従来の試験装置を用い、同様の巻取試験を行った。
以上の巻取試験において、ピンチロール出側の蛇行計で薄板の蛇行量を測定した結果を図51に示す。これによれば、押さえロールが無い比較例の試験装置では、蛇行量が時間と共に発散していくが、押さえロールXを備えた本発明例の試験装置では、蛇行量は低いレベルに安定して抑えられている。本発明例の試験装置の板尾端の蛇行量は、比較例の試験装置の約1/7であった。
1b 下ロール
1c ロール
2 ピンチロール
3 搬送ロール装置
4 サイドガイド
5 エプロンガイド
6 コイラー
7 補助ロール
8 上補助ロール
9 下補助ロール
10 支持圧下手段
11 ロール支持体
12 ロール軸受部
13 支持圧下アーム
14 支持軸
15 ブラケット
16 圧下機構
17 昇降ガイド
18 ロール軸受
19 エントリガイド
20 昇降アーム
21 スリット
22 昇降ガイド
23 支持アーム
24 ロール支持軸
25 軸孔
26 支持アーム
27 ロール支持軸
28 スリーブ
29 支持アーム
30 ロール支持軸
31 駆動モータ
32 支持アーム
33 ロール支持軸
34 ガイド孔
35 エントリガイド
36 スリット
37 軸孔
38 スリット
39 軸孔
40 スリーブ
50x,50y ロール
51 ガイドロール
52 中間ロール
53 予回転用ロール
54 ロール支持体
60 マンドレル
70 支持アーム
100 ロール軸
110 本体部
111x,111y ロール保持軸部
130x,130y アーム
131 支持部材
200a 上ロール
200b 下ロール
230 枢支部
260 枢支部
261 挿通孔
280 中心貫通孔
290 枢支部
300 搬送ロール
310 回転駆動軸
410 中心貫通孔
420 環状フランジ部
540 本体部
541x,541y ロール保持軸部
542 軸受
700 枢支部
X 押さえロール
Claims (20)
- コイラーの入側にピンチロールを備えた金属帯の巻取設備において、
前記ピンチロールの上流側位置に、通板する金属帯に接触し、該金属帯をパスライン面内またはパスライン面よりも下方位置に保持する回転可能な押さえロール(X)を設け、該押さえロール(X)は、下記(i)または(ii)からなることを特徴とする金属帯の巻取設備。
(i)金属帯を上下で挟んで拘束する非駆動型の上ロール(1a)と非駆動型または駆動型の下ロール(1b)
(ii)金属帯の上面に当接する非駆動型のロール(1c) - ライン上流側からサイドガイド、ピンチロールおよびコイラーをこの順で備えた巻取設備であって、前記サイドガイドとピンチロール間または前記サイドガイドの内側に押さえロール(X)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の金属帯の巻取設備。
- 押さえロール(X)が上ロール(1a)と駆動型の下ロール(1b)とからなり、金属帯の搬送ロールの少なくとも1つが前記下ロール(1b)を兼ねていることを特徴とする請求項1または2に記載の金属帯の巻取設備。
- 押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)は、単一の支持圧下手段で支持されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属帯の巻取設備。
- 支持圧下手段は、押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)を回転自在に支持する単一のロール支持体と、下端部が該ロール支持体の長手方向中央部に枢着され、該ロール支持体を前記枢着部を支点として上下方向揺動可能に保持する支持圧下アームを有することを特徴とする請求項4に記載の金属帯の巻取設備。
- 押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)は、支持圧下手段で支持されることなく、自重で金属帯に接触することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属帯の巻取設備。
- パスラインの両側位置に1対の昇降ガイドを設け、押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)の両端のロール軸または該ロール軸を支持するロール軸受を、前記1対の昇降ガイドに各々上下方向スライド自在に保持させたことを特徴とする請求項6に記載の金属帯の巻取設備。
- 押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)をサイドガイドの内側に配置するとともに、サイドガイドの両側位置に1対の昇降ガイドを設け、前記上ロール(1a)またはロール(1c)の両端のロール軸をサイドガイドに形成されたスリットまたは透孔を通じてサイドガイドの両外側に突出させ、該ロール軸または該ロール軸を支持するロール軸受を前記1対の昇降ガイドに各々上下方向スライド自在に保持させたことを特徴とする請求項6に記載の金属帯の巻取設備。
- 押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)を、上下方向回動自在な支持アームに回転自在に支持させたことを特徴とする請求項6に記載の金属帯の巻取設備。
- 押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)をサイドガイドの内側に配置するとともに、ロール支持軸を備えた1対の支持アームを両サイドガイドに上下方向回動自在に枢支させ、前記上ロール(1a)またはロール(1c)の両端に形成された軸孔に、前記各支持アームのロール支持軸を長手方向スライド自在且つ回転自在に挿入することで、1対の支持アームに上ロール(1a)またはロール(1c)を回転自在に支持させたことを特徴とする請求項9に記載の金属帯の巻取設備。
- 押さえロール(X)を構成する左右1対の上ロール(1a)またはロール(1c)をサイドガイドの内側に配置するとともに、1対の支持アームを両サイドガイドに上下方向回動自在に枢支させ、該1対の支持アームに1つのロール支持軸を長手方向スライド自在に支持させ、該ロール支持軸の両端部をサイドガイドに形成されたスリットまたは透孔を通じてサイドガイドの両外側に突出させるとともに、該ロール支持軸に前記1対の上ロール(1a)またはロール(1c)を回転自在且つ長手方向スライド自在に支持させたことを特徴とする請求項9に記載の金属帯の巻取設備。
- 押さえロール(X)を構成する左右1対の上ロール(1a)またはロール(1c)をサイドガイドの内側に配置するとともに、ロール支持軸を備えた1対の支持アームを両サイドガイドに上下方向回動自在に枢支させ、該1対の支持アームのロール支持軸に前記上ロール(1a)またはロール(1c)を各々回転自在に支持させたことを特徴とする請求項9に記載の金属帯の巻取設備。
- 押さえロール(X)を構成する左右1対の上ロール(1a)またはロール(1c)をサイドガイドの内側に配置するとともに、両サイドガイドに駆動モータの本体を固定して、その各回転駆動軸に支持アームを固定し、該1対の支持アームが有するスライドガイドに1つのロール支持軸を上下方向スライド自在且つ長手方向スライド自在に保持させ、該ロール支持軸の両端部をサイドガイドに形成されたスリットまたは透孔を通じてサイドガイドの両外側に突出させるとともに、該ロール支持軸に前記1対の上ロール(1a)またはロール(1c)を回転自在且つ長手方向スライド自在に支持させたことを特徴とする請求項9に記載の金属帯の巻取設備。
- 押さえロール(X)が上ロール(1a)と駆動型の下ロール(1b)とからなり、前記上ロール(1a)が上下昇降可能であり、前記上下ロール(1a),(1b)のうちのいずれか一方のロールの両端の同軸上に、他方のロールと対向するように補助ロールが付設され、該補助ロールの半径Rと、該補助ロールが同軸上に付設されたロールの半径rが下記条件を満足することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の金属帯の巻取設備。
R>r
R−r<t
但し t:通板する金属帯の最小板厚 - 押さえロール(X)が上ロール(1a)と駆動型の下ロール(1b)とからなり、前記上ロール(1a)が上下昇降可能であり、前記上下ロール(1a),(1b)の各両端の同軸上に、上補助ロールと下補助ロールが各々付設され、前記上補助ロールの半径RUと、上ロール(1a)の半径rUと、下補助ロールの半径RLと、下ロール(1b)の半径rLが下記条件を満足することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の金属帯の巻取設備。
RU<RL
RU<rU
RL>rL
(RU−rU)+(RL−rL)<t
但し t:通板する金属帯の最小板厚 - 押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)が上下昇降可能であるとともに、上昇位置にある上ロール(1a)またはロール(1c)とピンチロールの上ロールの両方に接触する回転自在な中間ロールを有し、該中間ロールを介して、ピンチロールの上ロールの回転を上ロール(1a)またはロール(1c)に伝えるようにしたことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の金属帯の巻取設備。
- 押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)が上下昇降可能であるとともに、上昇位置にある上ロール(1a)またはロール(1c)と接触する駆動型の予回転用ロールを有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の金属帯の巻取設備。
- 請求項14または15に記載の巻取設備において金属帯を巻き取る際に、
金属帯が押さえロール位置を通板する前に、前記上ロール(1a)または該上ロール(1a)の同軸上に付設された補助ロールを前記下ロール(1b)または該下ロール(1b)の同軸上に付設された補助ロールに接触させることで前記上ロール(1a)に回転を与えておき、金属帯が押さえロール位置を通板する際に、回転中の前記上ロール(1a)を金属帯に接触させることを特徴とする金属帯の巻取方法。 - 請求項16に記載の巻取設備において金属帯を巻き取る際に、
金属帯の尾端部が押さえロール位置を通板する前に、押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)を上昇させ、中間ロールを介してピンチロールの上ロールと接触させることで回転を与えておき、金属帯の尾端部が押さえロール位置を通板する際に、回転中の前記上ロール(1a)またはロール(1c)を下降させて金属帯に接触させることを特徴とする金属帯の巻取方法。 - 請求項17に記載の巻取設備において金属帯を巻き取る際に、
金属帯の尾端部が押さえロール位置を通板する前に、押さえロール(X)を構成する上ロール(1a)またはロール(1c)を上昇させ、回転駆動する予回転用ロールと接触させることで回転を与えておき、金属帯の尾端部が押さえロール位置を通板する際に、回転中の前記上ロール(1a)またはロール(1c)を下降させて金属帯に接触させることを特徴とする金属帯の巻取方法。
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