JP5618075B2 - スリット帯板の蛇行防止装置 - Google Patents
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Description
本発明は、特に、張力が低下する帯板の先端や尾端で効果を発揮する。張力が低下するような場合の例としては、鋼帯の熱間圧延ラインにおいて、仕上圧延機から巻取機までの搬送テーブルローラ上で、鋼帯の先端が巻取機に到達する前や、鋼帯の尾端が仕上圧延機を通過した後などの場合や、鋼帯の冷間圧延ラインや連続処理ラインにおいて、コイルの巻取り終了直前で鋼帯をシヤー切断する場合などが挙げられる。本発明が適用される帯板としては、鋼帯等の金属帯や、シート状のプラスチックフィルムが該当する。
(1)セパレータディスクによるもの(特許文献1)
これは、送給される帯板Sを、サイドトリマで板幅端部を切り揃え、スリッタで板幅中央部を切断して2条のスリット材S1,S2に分割し、セパレータディスクでスリット隙間を確保しつつ、スリット材S1,S2を、デフレクタロールを介して1台の巻取機で巻き取る装置である。
(2)ガイド手段によるもの
熱延ラインでは、仕上圧延機から巻取機までの搬送テーブルローラ上で、鋼帯の尾端が仕上圧延機を通過した後、張力が無くなることで鋼帯の尾端が波打ったり、板幅方向に蛇行したりといった通板不安定現象がみられるので、これを抑制するために、サイドガイド等のガイド手段が使用されている。同様に、一般の通板ラインでも、ライン中心位置に帯板の尾端を保持するために、サイドガイド等のガイド手段で強制的に拘束する方法が採られる。
(3)EPC(エッジポジションコントロール;Edge Position Control)装置によるもの(特許文献1)
これは、2条のスリット材S1,S2を2台の巻取機で個別に巻き取ることとし、巻取り直前のスリット材S1,S2の板幅端部(エッジ部)の位置をエッジセンサによりそれぞれ検出し、エッジ部の移動量によって各々の巻取機の巻取り軸をそれぞれ板幅方向に移動してスリット隙間を調整することにより、ラインの高速化を可能とするものである。
(4)傾斜ロールによるもの(特許文献1)
これは、巻取機を1台とし、スリット隙間検出器の検出値が所望値となるように、2条のスリット材S1,S2にそれぞれ当接させた左右の傾斜ロールのスキュー角を左右同一角度としながら変更することにより、スリット隙間を調整・保持し、エッジが揃った良好な巻き姿を得ようとするものである。
(5)片圧下調整可能なピンチロールによるもの(特許文献2)
これは、スリッタとテンションリール(巻取機)の間に、複数条のスリット材の個々について片圧下調整可能なピンチロールを設置し、その片圧下調整によりスリット材をライン中心から離す方向に矯正するものである。これによれば、各スリット材のライン中央側を片圧下するとスリット隙間が広がる方向に回転モーメントが作用する。尚、片圧下とは、板幅方向に不均等に加える圧下(部分圧下や偏圧下など)を指す(以下同じ)。
・上流から下流に至る間での時間差に起因して、制御目標と実際との幅方向の位置ズレが生じる。
・制御が必要な分だけシステムが複雑になる。
・定常時の巻取りは安定したとしても、巻取り後はコイル最外周部になる、シヤー切断後のスリット材尾端においては、スリット材の張力が無くなって挙動が不安定になるため、既存のEPC装置や傾斜ロールが使えない場合がある。
・切断後の尾端にかかるような低張力の場合、上流の板エッジを検出してEPCを行っても、テンションリール軸の板幅方向シフトにより、スリット材の尾端自体も一緒に同じ板幅方向へシフトしてしまうことがあるので、板エッジを次々追いかける形になってリールの幅方向移動限界まで発散して巻取りが不安定になる。
・前記片圧下によるスリット隙間制御も、ピンチロールの持つ不安定要素が作用するので、容易な制御とはなり難い。
[1] 搬送ライン内で1条の全幅の帯板を2条にスリットしてなるスリット帯板をピンチロールにて通板させる際に該スリット帯板の蛇行を防止するための蛇行防止装置であって、
前記ピンチロールを、前記スリット帯板の下面を支える下ロールと、前記スリット帯板の上面に当接して外側片圧下または内向きスキュー角により前記スリット帯板をライン中央側へ寄せるための上ロールとで構成すると共に、
前記ピンチロールの上流側もしくは下流側に前記ピンチロールから0mm超5000mm以下の間隔をあけて、前記スリット帯板のライン中央側エッジ部の端面をガイドするためのセンターガイドと、該センターガイドの両側で前記スリット帯板のライン中央側エッジ部を挟持して拘束する上下一対のロールとを有するセンターガイド装置を設けた
ことを特徴とするスリット帯板の蛇行防止装置。
本発明では、スリット材(スリット帯板、略して板)の蛇行はフィードバック制御せず、図1(b)ないし(c)に示すようにスリット材S1,S2を機構的(機械的)にライン中央側に寄せるようにする。スリット材を各々ライン中央側に寄せる機構的(機械的)方法は、図1(b)のようにピンチロール10の上ロール11を板幅方向に分割し、該分割した各上ロール11を外側(ライン幅端側)圧下力が内側(ライン幅中央側)圧下力よりも大きくなる段付きロールとすること(すなわち外側片圧下)による方法とするか、ライン幅方向に位置設定可能な2分割ロールとし、外側圧下力が内側圧下力より大きくなる様調整可能とした方法、あるいは、前記分割した各ロールを板との接点におけるロール周速度vの方向が帯板搬送方向から搬送ラインの内側へと回転するように、傾斜させること(すなわち内向きスキュー角を設けること)による方法(図3参照)とする。
一方、ライン中央側に寄せられたスリット材は、ライン中央部で位置を安定させ、重なりを防止する必要があるため、図1(a)に示すように、スリット帯板のライン中央側エッジのガイド用としてセンターガイド1を設けることが不可欠であることを発明者らは見出した。センターガイド1は従来のサイドガイド(図6参照)とは違ってスリット切断端面側をガイドするので板幅に合わせた位置制御等も不要である。尚、センターガイド1は、図1(a)の例ではピンチロール10の上流側に設けているが、これに限らず下流側に設けてもよい(例えば図3参照)。但し、センターガイド1と上ピンチロール11との間隔L(図1(a)及び図3参照)は、ピンチロール10との干渉を避け、ピンチロール10に近づけることが好ましい。一方、ピンチロール10の外側片圧下あるいは内向きスキュー角によるライン中央側へのスリット材寄せ効果が十分に及ぶ範囲内とする観点から、センターガイド1と上ピンチロール11との間隔Lは、5000mm以下とする。好ましくはピンチロール10に近づける。
なお、本発明に用いるピンチロール10としては、2条のスリット帯板が前記センターガイドの両側にそれぞれ通板される形態に限定されるものではなく、2条のスリット帯板のいずれか1条のみが前記センターガイドの両側のうちのいずれか片側のみに通板される形態であってもよい。これは例えば図1において、例えばスリット材S1のみを通板し、スリット材S2は通板しないとするような形態であり、かかる形態のピンチロールであっても、本発明においては用いることができる。
なお、第1デフレクタピンチロール21への本発明適用のみでも十分な蛇行防止効果が得られるが、実施例1のように第2デフレクタピンチロール22へも本発明を適用すると、その効果はさらに大きくなる。
5 搬送ロール
10 ピンチロール
11 ピンチロールのうちの分割された上ロール
11A ピンチロールのうちの分割されていない上ロール
12 ピンチロールのうちの下ロール
15 センターガイド装置
16 センターガイド装置の上下1対のロールのうちの上ロール
17 センターガイド装置の上下1対のロールのうちの下ロール
17U ガイド受溝部
20 シヤー
21 第1デフレクタピンチロール
22 第2デフレクタピンチロール
31 第1テンションリール
32 第2テンションリール
S 帯板(全幅の帯板または通常材(スリットしない帯板))
S1,S2 スリット帯板(スリット材)
SG サイドガイド
Claims (2)
- 搬送ライン内で1条の全幅の帯板を2条にスリットしてなるスリット帯板をピンチロールにて通板させる際に該スリット帯板の蛇行を防止するための蛇行防止装置であって、
前記ピンチロールを、前記スリット帯板の下面を支える下ロールと、前記スリット帯板の上面に当接して外側片圧下または内向きスキュー角により前記スリット帯板をライン中央側へ寄せるための上ロールとで構成すると共に、
前記ピンチロールの上流側もしくは下流側に前記ピンチロールから0mm超5000mm以下の間隔をあけて、前記スリット帯板のライン中央側エッジ部の端面をガイドするためのセンターガイドと、該センターガイドの両側で前記スリット帯板のライン中央側エッジ部を挟持して拘束する上下一対のロールとを有するセンターガイド装置を設けた
ことを特徴とするスリット帯板の蛇行防止装置。 - 請求項1において、前記センターガイド装置のセンターガイドは上下方向に進退可能とされ、前記スリット帯板を通板させる時にはスリット隙間内に進出して前記スリット帯板のライン中央側エッジ端面をガイドし、前記全幅の帯板をスリットせずに通板させる時には前記全幅の帯板から離れた位置へ退避することを特徴とするスリット帯板の蛇行防止装置。
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