JP6200843B2 - 巻取制御方法 - Google Patents
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Description
(1)の定位置制御では帯状材の通板中におけるサイドガイドの位置を定位置とする。コイル内での板幅のばらつきを考慮し、板幅に対して広めに開度を設定する。よって鋼板との隙間が広く蛇行の矯正力は小さいので、巻き取りが帯状材の幅方向にずれたテレスコープが発生しやすい。
特許文献1には、サイドガイドの一方を位置制御し、もう一方を押力制御し最適な接触面圧に保つという方法が開示されている。
この方法は巻形状の改善と耳疵の防止を目的としている。
この方法は、帯状材エッジの耳疵の発生を防止することを目的としている。
この方法は、テレスコープの抑制を目的としている。
また、特許文献2に記載の発明では、帯状材の蛇行が発生した場合にサイドガイドの開度を大きくするためテレスコープが発生しやすいという問題がある。
このように、耳疵を抑制するという課題と良好な巻き形状を得るという課題は相反関係にある。
よって、サイドガイドを押圧する押圧力がそれ以上は上昇し難いので、帯状材への耳疵の発生を抑制でき、しかもスラスト力によって良好な巻き形状を得ることができる。つまり、ピンチロールからのスラスト力は、帯状材に対してサイドガイドによる他方側へ案内する力と同じ方向にはたらいているが、これは圧延摩擦力に伴うものであるので、サイドガイドが帯状材に側面からのみ接触するよりも耳疵が付き難い。
そして、その後押圧力が閾値未満になると、一方側の圧下装置を介して一方側のピンチロールのロール間距離の縮小を停止させるので、ピンチロールからの不要な外力を取り除くことができ、巻き形状が安定するとともに帯状材に疵がより付き難い。
また、サイドガイドへの帯状材の強接触を回避することにより、サイドガイドを構成する部材、例えばライナー、竪ローラー等の摩耗が低減されるので、それらの交換周期を延長することが可能となる。
また、レベリング制御を帯状材の後端がサイドガイド間を通過するまで行うので、次の帯状材を巻き取る際に一つ前の実績である開度差を引き継ぐことができ、次の帯状材では最初から好ましい条件で帯状材を巻き取ることができる。
この巻取制御方法は、サイドガイド3と、ピンチロール4と、圧下装置5と、マンドレル6と、制御装置7を備える巻き取りラインにより、帯状材1(鋼板)の蛇行を抑制しつつ帯状材1を巻き取るために行われる。
まず、この巻き取りラインの構成について説明する。
ここでいう左右とは帯状材1の幅方向であり、図1における紙面に垂直な方向である。
また、左右のサイドガイド3にはそれぞれ油圧シリンダ(図示しない)が接続され、左右方向に移動可能である。
そして、油圧シリンダでは、帯状材1がサイドガイド3に接触して押圧する押圧力の検出も可能となっている。
また、サイドガイド3には竪ローラー(図示しない)が取付けられており、その竪ローラーを回転させることにより、サイドガイド3に接触する帯状材1との相対速度を小さくして、帯状材1が接触したときの耳疵の発生を抑制している。この竪ローラーにも油圧シリンダが取付けられている。
そして、ピンチ圧力の制御や帯状材1の張力制御を行うことで、マンドレル6による鋼板の円滑な巻き取りを可能にしている。
ここで、上側のロールは下側のロールに比べて大きい。また、ピンチロール4を通過した帯状材1を下方にあるマンドレル6まで導くために、上側のロールは下側のロールよりも若干下流側に配置されている。
このピンチロール4の左右両端には、それぞれ独立して作動しピンチロール4のロール間距離を調整可能な二つの圧下装置5が配置されている。
つまり、圧下装置5はピンチロール4の上側のロールの左右両端の上方に配置されて、圧下装置5が上側のロールを圧下することで、ロール間距離を調整できる。ロール間距離が全て等しい状態で一方の圧下装置5のみを作動させると、上下のロールは平行ではなくなる。
この制御装置7は、サイドガイド3(サイドガイド3の油圧シリンダ)から、帯状材1がサイドガイド3に接触した際の押圧力の情報を受け取り、その情報に基づいて圧下装置5を制御する。
図2(a)と図2(b)の時間軸(横軸)は両者一致している。この図では、帯状材1の強接触が生じた一方側のサイドガイド3に関して実線で、強接触が生じていない(帯状材1が接触していない)他方側のサイドガイド3に関して破線で示している。
そして、制御装置7がサイドガイド3について押圧力制御等に切り替えると同時に、制御装置7は、帯状材1が蛇行しサイドガイド3に接触してサイドガイド3を押圧する押圧力が閾値を上回った場合にピンチロール4の制御方法を押圧力制御からレベリング制御に切り替える。
つまり、図2(a)の時刻αで押圧力が閾値以上になり、それが所定時間t継続して時刻βとなって以降、制御装置7は、帯状材1が接触した左右いずれか一方側に位置する圧下装置5を介して一方側のピンチロール4のロール間距離を徐々に縮小してロール間距離につき左右で開度差を設ける。これと同時に帯状材1が接触していない他方側に位置する圧下装置5を介して他方側のピンチロール4のロール間距離を徐々に拡大する。
また、帯状材1の尾端が巻取りピンチロール4を抜けるとき、サイドガイド3で帯状材1尾端の幅広がり部を挟み込まないようショートオープンしガイドの開度を大きくし、定位置制御する。本制御の適用は帯状材1の後端がサイドガイド3間を通過しサイドガイド3がショートオープンするまでとする。
このグラフは耳疵が発生しやすいSUSのフェライト単層の板厚3.50mm、幅1100mm〜1299mmにおいて、横軸にサイドガイド3押圧力をとり、縦軸に耳疵の発生率をとったグラフである。なお、サイドガイド3押圧力は駆動側、非駆動側の最大値をとしている。
図3よりサイドガイド3押圧力の閾値が15kN以上になると耳疵の発生率が急増していることが分かる。よって10kN以上15kN未満にサイドガイド3押力の閾値を設定すれば、耳疵の大幅な低減が期待できる。
よって、サイドガイド3を押圧する押圧力がそれ以上は上昇し難いので、帯状材1への耳疵の発生を抑制でき、しかもスラスト力によって良好な巻き形状を得ることができる。つまり、ピンチロール4からのスラスト力は、帯状材1に対してサイドガイド3による他方側へ案内する力と同じ方向にはたらいているが、これは圧延摩擦力に伴うものであるので、サイドガイド3が帯状材1に側面からのみ接触するよりも耳疵が付き難い。
そして、その後押圧力が閾値未満になると、一方側の圧下装置5を介して一方側のピンチロール4のロール間距離の縮小を停止させるので、ピンチロール4からの不要な外力を取り除くことができ、巻き形状が安定するとともに帯状材1に疵がより付き難い。
また、サイドガイド3への帯状材1の強接触を回避することにより、サイドガイド3を構成する部材、例えばライナー、竪ローラー等の摩耗が低減されるので、それらの交換周期を延長することが可能となる。
また、閾値を10kN以上15kN未満としたので、確実に耳疵の発生を低減することができる。
また、押圧力を、サイドガイド3を動作させる油圧シリンダの圧力、又はサイドガイド3の竪ローラーを動作させる油圧シリンダの圧力により検出するので、本制御のために余分な装置を用意しなくてもよい。
また、レベリング制御を帯状材1の後端がサイドガイド3間を通過するまで行うので、次の帯状材1を巻き取る際に一つ前の実績である開度差を引き継ぐことができ、次の帯状材1では最初から好ましい条件で帯状材1を巻き取ることができる。
また、帯状材1が接触した一方側のピンチロール4のロール間距離を縮小するとともに、他方側のピンチロール4のロール間距離を拡大して開度差を大きくしたが、これに限られるものではなく、接触した一方側のピンチロール4のロール間距離を縮小するのみでもよい。
加えて、開度差が限度開度差になったときに、それ以上前記開度差が大きくならないように前記レベリング制御を停止するようにしてもよい。こうすることで、開度差が大き過ぎることによって生じる他の不具合を事前に防止することができる。
また、押圧力の検出は、他の検出器を用いてもよい。
また、レベリング制御を、帯状材1の先端がマンドレル6に巻き付いた後、かつ帯状材1の後端がサイドガイド3間を通過するまで行うのが好ましいが、制御の切り替えのタイミングはこれに限られるものではない。
また、レベリング制御開始のための所定時間tと、レベリング制御停止のための所定時間tは、同じ長さであっても異なった長さであってもよい。
2 仕上圧延機
3 サイドガイド
4 ピンチロール
5 圧下装置
6 マンドレル
7 制御装置
Claims (8)
- 左右両側に配置され上流から流れてくる帯状材を案内し、竪ローラーが取付けられたサイドガイドと、
前記サイドガイドの下流に上下二本のロールが配置されてなり前記帯状材を前記上下二本のロール間に通すピンチロールと、
前記ピンチロールの下流に配置され前記帯状材をコイル状に巻き取るマンドレルを備え、前記帯状材の蛇行を抑制しつつ前記帯状材を巻き取る巻取制御方法であって、
前記ピンチロールの左右両端に、それぞれ独立して作動し前記ピンチロールのロール間距離を調整可能な二つの圧下装置をさらに備え、
前記帯状材が蛇行し前記サイドガイドに接触して前記サイドガイドを押圧する押圧力が閾値以上になると、前記帯状材が接触した左右いずれか一方側に位置する前記圧下装置を介して前記一方側の前記ピンチロールのロール間距離を徐々に縮小して前記ロール間距離につき左右で開度差を設けるレベリング制御を行い、
その後前記押圧力が前記閾値未満になると、前記一方側の圧下装置を介して前記一方側の前記ピンチロールのロール間距離の縮小を停止させることを特徴とする巻取制御方法。 - 前記帯状材が前記サイドガイドに接触して前記サイドガイドを押圧する前記押圧力が所定時間継続して前記閾値以上となった場合にのみ、前記レベリング制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の巻取制御方法。
- 前記レベリング制御において、前記一方側の前記ピンチロールのロール間距離を縮小するとともに、他方側の前記ピンチロールのロール間距離を拡大して前記開度差を大きくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の巻取制御方法。
- 前記レベリング制御において、前記開度差の増加量を前記押圧力と前記閾値との差に比例させることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の巻取制御方法。
- 前記開度差が限度開度差になったときに、それ以上前記開度差が大きくならないように前記レベリング制御を停止することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載の巻取制御方法。
- 前記閾値を10kN以上15kN未満としたことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一つに記載の巻取制御方法。
- 前記押圧力を、前記サイドガイドを動作させる油圧シリンダの圧力、又はサイドガイドの竪ローラーを動作させる油圧シリンダの圧力により検出することを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一つに記載の巻取制御方法。
- 前記レベリング制御を、前記帯状材の先端が前記マンドレルに巻き付いた後、かつ前記帯状材の後端が前記サイドガイド間を通過するまで行うことを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一つに記載の巻取制御方法。
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