JP2009045082A - リクライニング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】同一の外歯歯車と内歯歯車を一つのシートの左右に用いながら、異なる最大傾動角度を設定することができるリクライニング装置を得る。
【解決手段】4個の外方ストッパ突起32X、32Yは、外歯歯車31の内歯歯車32に対する固定位相を90゜異ならせたとき、該4個の外方ストッパ突起のうちの異なる2つが一対の内方ストッパ突起31Xの一方または双方に当接してシートバックの回動範囲を異なる2範囲に規制するように位置設定されている。そして、内歯歯車32の外方ストッパ突起32X、32Yは、外歯歯車31の内方ストッパ突起31Xと当接する面(a)においては内方ストッパ突起31Xaに当接する面、同(b)においては内方ストッパ突起31Xbに当接する面が精度を要する面であり、他方の面は精度を要しない。このため、内歯歯車32のプレス成形が容易である。
【選択図】図11

Description

本発明は、車両等において用いられるリクライニング装置に関し、更に詳しくは、シートバックの傾斜角を無段階に調整するタウメル式リクライニング装置に関する。
いわゆるタウメル式のリクライニング装置は、シートクッションに固定されるロアアームとシートバックに固定されるアッパアームの枢軸部分の一方と他方に、外歯歯車と、この外歯歯車の外歯よりも歯数の多い内歯を有する内歯歯車を固定し、この外歯歯車または内歯歯車に同軸に回転自在に嵌合させた回転シャフトによって、該外歯歯車と内歯歯車のいずれか一方を他方の歯車軸を中心に公転させることで、シートバックの無段階の角度調整を可能としている。
特開2002-112848号公報
このリクライニング装置では、シートクッション(ロアアーム)に対するシートバック(アッパアーム)の最大傾動角度を規制するためのストッパを外歯歯車と内歯歯車に設けている。この最大傾動角度は、車種(シート)によって異なる設定がなされることが多いが、従来品は、同一の外歯歯車と内歯歯車を一つのシートの左右に用いながら、異なる最大傾動角度を設定することができなかった。つまり、最大傾動角度の異なるリクライニング装置は、少なくとも外歯歯車と内歯歯車のいずれか一方を個別に設計しなければならなかった。
従って本発明は、同一の外歯歯車と内歯歯車を一つのシートの左右に用いながら、異なる最大傾動角度を設定することができるリクライニング装置を得ることを目的とする。
本発明は、シートクッションとシートバックのいずれか一方に、該シートバックの傾動中心部に位置させて固定される外歯歯車と、該外歯歯車の外歯に噛み合う該外歯よりも歯数が多い内歯が形成され、シートクッションとシートバックの他方に固定される内歯歯車と、外歯歯車に同軸に回転自在に嵌合し、回転運動により該外歯歯車と内歯歯車のいずれか一方を他方の歯車軸を中心に公転させる回転シャフトと、を有し、外歯歯車と内歯歯車は、表裏を逆にしてシートクッションとシートバックの左右に、それぞれ設けられていて、左右の上記回転シャフトが連結軸を介して結合されているリクライニング装置において、その第1の態様では、
外歯歯車の歯数が4の倍数に設定されていること、
該外歯歯車には、直径方向の2箇所に位置させて内方ストッパ突起が形成されていて、この一対の内方ストッパ突起を含む外歯歯車は、該一対の内方ストッパ突起を結ぶ中心線に関し左右対称でかつ上下対称形状をなしていること、
内歯歯車には、この外歯歯車の一対の内方ストッパ突起を結ぶ中心線の左右にそれぞれ、各2つが位置する合計4個の外方ストッパ突起が形成されていること、
この4個の外方ストッパ突起を有する内歯歯車は、該歯車の中心を通る中心線に関して左右対称形状で上下非対称な形状をなしていること、及び
この4個の外方ストッパ突起は、上記外歯歯車の内歯歯車に対する固定位相を90゜異ならせたとき、該4個の外方ストッパ突起のうちの異なる2つが上記一対の内方ストッパ突起の一方または双方に当接してシートバックの回動範囲を異なる2範囲に規制するように位置設定されていること、
を特徴としている。
また、本発明のリクライニング装置は、その第2の態様によると、
内歯歯車の歯数が4の倍数に設定されていること、
該内歯歯車には、直径方向の2箇所に位置させて外方ストッパ突起が形成されていて、この一対の外方ストッパ突起を含む内歯歯車は、該一対の外方ストッパ突起を結ぶ中心線に関し左右対称でかつ上下対称形状をなしていること、
外歯歯車には、上記内歯歯車の一対の外方ストッパ突起を結ぶ中心線の左右にそれぞれ、各2つが位置する合計4個の内方ストッパ突起が形成されていること、
この4個の内方ストッパ突起を有する外歯歯車は、該歯車の中心を通る中心線に関して左右対称形状で上下非対称な形状をなしていること、及び
この4個の内方ストッパ突起は、上記内歯歯車の外歯歯車に対する固定位相を90゜異ならせたとき、該4個の内方ストッパ突起のうちの異なる2つが上記外方ストッパ突起の一方又は双方に当接してシートバックの回動範囲を異なる2範囲に規制するように位置設定されていること、
を特徴としている。
本発明のリクライニング装置においては、外歯歯車と内歯歯車のいずれか一方と他方にはそれぞれ、その軸心を中心とする外円筒部と内円筒部を形成し、この外円筒部と内円筒部の間の空間に、互いの間隔を広げる方向に移動付勢された一対の楔状部材を挿入し、この一対の楔状部材には、内円筒部との対向面と外円筒部との対向面の少なくとも一方に、該内円筒部と該外円筒部に対応する基準円筒面よりも、該楔状部材を幅狭としたオイル溜まりを形成することが望ましい。
このオイル溜まりに着目した本発明の第3の態様では、シートクッションとシートバックのいずれか一方に、該シートバックの傾動中心部に位置させて固定される外歯歯車と、該外歯歯車の外歯に噛み合う該外歯よりも歯数が多い内歯が形成され、シートクッションとシートバックの他方の傾動中心部に固定される内歯歯車と、外歯歯車に同軸に回転自在に嵌合し、回転運動により該外歯歯車と内歯歯車のいずれか一方を他方の歯車軸を中心に公転させる回転シャフトと、を有するリクライニング装置において、外歯歯車と内歯歯車のいずれか一方と他方にはそれぞれ、その軸心を中心とする外円筒部と内円筒部が形成されていて、この外円筒部と内円筒部の間の空間に、互いの間隔を広げる方向に移動付勢された一対の楔状部材が挿入されており、この一対の楔状部材には、上記内円筒部との対向面と外円筒部との対向面の少なくとも一方に、該内円筒部と該外円筒部に対応する基準円筒面よりも、該楔状部材を幅狭としたオイル溜まりが形成されていることを特徴としている。
本発明のリクライニング装置によれば、同一の外歯歯車と内歯歯車を一つのシートの左右に用いながら、異なる最大傾動角度を設定することができ、部品点数を削減することができる。
最初に、図1から図10について、本発明の対象とするタウメル式両リクライニング装置の一般的構成を、最大傾動角度の規制機構を除いて、説明する。このリクライニング装置の基本構成は、特開2002-112848号公報で本出願人が提案したものである。第1アームとしてのロアアーム10は、シートクッションのフレーム(図示せず)にボルト等により固定される。特に図5に示すように、このロアアーム10における、シートバックの傾動中心位置(シートバックの傾動中心軸と交差する部位)の周囲には、複数(6個)の嵌合穴11が同一円周上に位置するよう穿設されている。
第2アームとしてのアッパアーム20は、シートバックのフレーム(図示せず)にボルト等により固定される。特に図5に示すように、このアッパアーム20における、シートバックの傾動中心位置(シートバックの傾動中心軸と交差する部位)の周囲には、複数(6個)の嵌合穴21が同一円周上に位置するように穿設されている。
歯車機構30は、特に図1に示すように、ロアアーム10とアッパアーム20との間に装着され、アッパアーム20の傾斜角を調整するもので、この歯車機構30内の外歯歯車31と内歯歯車32に、ロアアーム10の嵌合穴11とアッパアーム20の嵌合穴21とに嵌合する複数の円柱状突起(ダボ)31a、32aが設けられている。
外歯歯車31は、図6に示すように略円板状をしており、外周面には外歯31bが形成され、中央には、円筒部31fが形成されている。円筒部31fの周囲には環状の凹部31cが形成されている。この外歯歯車31は、側面に形成された複数(6個)の突起31aをロアアーム10の嵌合穴11に嵌入することで位置決めがなされ、この位置決め後、ロアアーム10に溶接される。
内歯歯車32も、図7に示すように略円板状をしている。内歯歯車32には、外歯歯車31の外歯31bよりも歯数が少なくとも一つ多く形成された、外歯31bと内接する内歯32bが刻設されている。又、内歯歯車32の中央には、円形の貫通穴32fが穿設されている。内歯歯車32は、側面の複数(6個)の円柱状突起32aをアッパアーム20の嵌合穴21に嵌入することで位置決めがなされ、この位置決め後、アッパアーム20に溶接される。
外歯歯車31の円筒部31fには、図8に示すようなフランジ付きの円筒形回転シャフト33の円筒部33aが回転自在に嵌入されている。この回転シャフト33のフランジ部33bには、円弧状の切り欠き部33cが形成されている。円筒部33aの内筒面には、連結用のセレーション33sが切られている。
又、内歯歯車32の貫通穴32fには、耐摩耗性に優れた円筒形のブッシュ(内円筒部)34が嵌め込まれ、固定されている。更に、ブッシュ34の内筒面と外歯歯車31の円筒部(外円筒部)31fの外筒面との間には、両者に接触するように、一対の楔状部材35、36が挿入されている。
楔状部材35、36は面対称の形状を有するもので、楔状部材35の形状を図9に示した。楔状部材35の内筒面35aは、外歯歯車31の円筒部31fの外径と略同一の内径を有し、楔状部材35の外筒面35bは、ブッシュ34の内径と略同一の外径を有している。楔状部材35の内筒面35aと外筒面35bは、その中心軸が一致していないことにより、肉厚が楔状に変化している。
楔状部材35の薄肉側エリアの端面には段差状の凹み35cが形成されており、この空間内に、回転シャフト33のフランジ部33bが張り出している。このため、回転シャフト33が図2において反時計方向に回転すると、回転シャフト33の切り欠き部33cの側壁33gが、楔状部材35の凹み35cの側壁35gに当接し、逆に、回転シャフト33が図2において時計方向に回転すると、回転シャフト33の切り欠き部33cの側壁33hが、反対側の楔状部材36の側壁36gに当接する。
楔状部材35、36は、厚肉側が対向するように、ブッシュ34の内筒面と外歯歯車31の円筒部31fの外筒面との間に配置され、外歯歯車31に対して内歯歯車32を偏心させ、外歯31bに内歯32bを噛合させるものである。この楔状部材35、36により、回転シャフト33は、後述のように、内歯32bと外歯31bを噛み合わせ、外歯歯車31及び内歯歯車32の何れか一方を他方の歯車軸を中心に公転させることができる。楔状部材35、36は、図10に示すような弾性部材としてのスプリング37から互い離反する方向の付勢力を受けている。
このスプリング37は、1ターンの環状部分37aと、この環状部分37aから立ち上がった端部37b、37cからなり、環状部分37aは、外歯歯車31の凹部31cの内側に連設された環状の空間内に収納されている。又、端部37bは、楔状部材35の厚肉側の側端面に形成された溝部35dに係止され、端部37cは、楔状部材36の厚肉側の側端面に形成された溝部36dに係止されている。
円筒状の押さえ部材38は、内歯歯車32の外周面に嵌合しており、且つ、その両端部は中心軸側に突出され、外歯歯車31と内歯歯車32を挟んでいる。これにより、外歯歯車31と内歯歯車32とが軸方向に離れることを規制できる。尚、回転シャフト33の先端部には、環状溝33dが切られ、ここに抜け止め用のリング39が係止されている。
以上のリクライニング装置は、各シートの両側に対称形に一対が配置され、その左右の回転シャフト33は、筒状部33aのセレーション部33sの間に挿入固定した連結軸13(図1)を介して連結されている。連結軸13(回転シャフト33)は、シートバックの傾斜角の調整時に回転駆動される。
以上のリクライニング装置は、連結軸13(回転シャフト33)に外部から回転操作力を加えない状態では、スプリング37は、楔状部材35、36を離反する方向に付勢し、両楔状部材35、36に楔を打ち込む方向の力を与えている。このため、内歯歯車32と回転シャフト33との相対運動は禁止され、歯車機構30はロック状態にあり、シートバックはその位置にロックされている。
このロック状態において、回転シャフト33を例えば図2における反時計方向に回すと、回転シャフト33の側壁33gから楔状部材35の側壁35gに楔状部材35を隙間から引き抜く方向の力が働き、回転シャフト33及び楔状部材35は、内歯歯車32に対して反時計方向に回転する。この結果、楔状部材35と周辺部材との間に隙間が発生し、内歯歯車32が移動可能になる。すると、スプリング37の付勢力を受けている楔状部材36がこの隙間を埋めるべく、反時計方向に回転する。
この連動動作により、楔状部材35、36は回転シャフト33と共に反時計方向に回転することになる。時計方向の回転についても同様である。よって、内歯歯車32は、内歯32bが外歯31bに噛み合う偏心位置で回転シャフト33に支持されることになり、外歯歯車31、内歯歯車32及び回転シャフト33は、歯車機構を構成していることになる。このように、回転シャフト33を回転させることにより、外歯歯車31を内歯歯車32の軸を中心に公転させ、アッパアーム20をロアアーム10に対して傾動させ、シートバックの傾斜角を調整することができる。
本実施形態は、例えば以上のように構成されるリクライニング装置の最大傾動角を規制するために、外歯歯車31と内歯歯車32に、特定のストッパ突起を設けた点を特徴としている。本発明の実施形態を図11及び図12について説明する。
図11は、外歯歯車31側に直径方向の対向位置に2つの内方ストッパ突起31Xを形成し、内歯歯車32側に4つの外方ストッパ突起(2つの外方ストッパ突起32Xと2つの外方ストッパ突起32Y)を形成した実施形態である。本実施形態は、同一の外歯歯車31と内歯歯車32を用い、その一方のロアアーム10またはアッパアーム20に対する取付位相を90゜異ならせることで、異なる最大傾動角度を得るものである。図11(a)と(b)では、内歯歯車32のアッパアーム20に対する取付位置は一定とし(変化させず)、外歯歯車31のロアアーム10に対する取付位相を(a)と(b)とで90゜異ならせている。また、この実施形態では、図11(a)では最大傾動角度が52゜、同(b)では同82゜である。なお、外歯歯車31と内歯歯車32の取付位相は、ロアアーム10に形成する嵌合穴11と、アッパアーム20に形成する嵌合穴21の位相を互いに90゜異ならせることで、設定される。なお、ストッパ突起31Xと円柱状突起(ダボ)31aは相互に干渉することがないように位置設定され、ストッパ突起32X、32Yと円柱状突起(ダボ)32aは相互に干渉することがないように位置設定されている。
一対の内方ストッパ突起31Xを含む外歯歯車31は、該一対の内方ストッパ突起31Xを結ぶ中心線XXに関し左右対称でかつ上下対称形状をしている。つまり、外歯歯車31は上下を反転させても、全く同一の位置に同一形状の内方ストッパ突起31Xが位置する。この上下左右対称形状は、外歯歯車31の外歯31bの歯数が4の倍数でないと成立しない(図11では、内歯歯車32の歯数は「40」である)。逆に言えば、外歯31bの歯数を4の倍数とすることで、このような上下左右対称形状が可能となる。外歯歯車31の中心線XXは、各歯の中心または各歯間の中心を通る。
これに対し、内歯歯車32の内歯32bの歯数は、図11では、外歯31bより1つ多い「41」である。そして、この内歯歯車32側の2つの外方ストッパ突起32Xと2つの外方ストッパ突起32Yは、図11の状態では、中心線XX(図11(a))に関し、左右対称をなしており、上下は非対称である。この対称、非対称は、外歯歯車31の内方ストッパ突起31Xとの間で、次のようなストッパ作用が得られるように定められている。
まず、外歯歯車31の内方ストッパ突起31Xが上下に位置するとき(図11(a))、左右に位置するとき(図11(b))のいずれの状態でも、外歯歯車31の一対の内方ストッパ突起31Xを結ぶ中心線XXの左右にそれぞれ、各2つの外方ストッパ突起が位置する。すなわち、図11(a)では、一対の内方ストッパ突起31Xを結ぶ中心線XXの左右にそれぞれ、1つずつの外方ストッパ突起32Xと外方ストッパ突起32Y(各2つのストッパ突起)が位置し、図11(b)では、一対の内方ストッパ突起31Xを結ぶ中心線XXの左右にそれぞれ、2つの外方ストッパ突起32Xと、2つの外方ストッパ突起32Yが位置している。
そして、図11(a)の状態では、外歯歯車31と内歯歯車32に相対回転が発生すると、上下一対の内方ストッパ突起31Xのうちの上方の内方ストッパ突起31Xの両側の面31Xaに、一対の外方ストッパ突起32Xがそれぞれ当接して、最大傾動範囲が規制される(図示例の場合52゜)。内方ストッパ突起31Xの両側の面31Xaに外方ストッパ突起32Xが当接するとき、下方の内方ストッパ突起31Xに対して下方の外方ストッパ突起32Yは当接しない。これに対し、図11(b)の状態では、同様に、外歯歯車31と内歯歯車32に相対回転が発生すると、左右の内方ストッパ突起31Xのそれぞれの下方の面31Xbに、左右の外方ストッパ突起32Yが当接して、最大傾動範囲が規制される(図示例の場合82゜)。内方ストッパ突起31Xの下方の面31Xbに左右の外方ストッパ突起32Yが当接するとき、上方の外方ストッパ突起32Xは内方ストッパ突起31Xに当接しない。
すなわち、図11の実施形態では、4個の外方ストッパ突起32X、32Yは、外歯歯車31の内歯歯車32に対する固定位相を90゜異ならせたとき、該4個の外方ストッパ突起のうちの異なる2つが一対の内方ストッパ突起31Xの一方または双方に当接してシートバックの回動範囲を異なる2範囲に規制するように位置設定されている。そして、内歯歯車32の外方ストッパ突起32X、32Yは、外歯歯車31の内方ストッパ突起31Xと当接する面(図11(a)においては内方ストッパ突起31Xaに当接する面、同(b)においては内方ストッパ突起31Xbに当接する面)が精度を要する面であり、他方の面は精度を要しない。このため、内歯歯車32のプレス成形が容易である。また、外歯歯車31は、直径方向の対称位置に内方ストッパ突起31Xを有するため、外歯歯車31をプレス成形する際のバランスがよい。
図12は、本発明の別の実施形態を示している。この実施形態は2つのストッパ突起を有する歯車を内歯歯車32として、該内歯歯車32の内歯32bの歯数を4の倍数(図示例では「40」)とし、4個のストッパ突起を有する歯車を外歯歯車31とした実施例である。外歯歯車31の外歯31bの歯数は、内歯32bの歯数より1つ少ない「39」である。
すなわち、図12の実施形態では、内歯歯車32に直径方向の対向位置に位置させて、2つの外方ストッパ突起32Pを形成し、外歯歯車31側に4つの内方ストッパ突起(2つの内方ストッパ突起31Pと2つの内方ストッパ突起31Q)を形成した実施形態である。図12(a)と(b)では、外歯歯車31のロアアーム10に対する取付位置は一定とし(変化させず)、内歯歯車32のアッパアーム20に対する取付位相を(a)と(b)とで90゜異ならせている。この実施形態では、図12(a)では最大傾動角度が56゜、同(b)では同78゜である。外歯歯車31と内歯歯車32の取付位相は、ロアアーム10に形成する嵌合穴11と、アッパアーム20に形成する嵌合穴21の位相を互いに90゜異ならせることで、設定される。なお、ストッパ突起31P、31Qと円柱状突起(ダボ)31aは相互に干渉することがないように位置設定され、ストッパ突起32Pと円柱状突起(ダボ)32aは相互に干渉することがないように位置設定されている。
一対の外方ストッパ突起32Pを含む内歯歯車32は、該一対の外方ストッパ突起32Pを結ぶ中心線XXに関し左右対称でかつ上下対称形状をしている。つまり、内歯歯車32は上下を反転させても、全く同一の位置に同一形状の外方ストッパ突起32Pが位置する。この上下左右対称形状は、内歯歯車32の内歯32bの歯数が4の倍数でないと成立しない。内歯32bの歯数を4の倍数とすることで、このような上下左右対称形状が可能となる。内歯歯車32の中心線XXは、各歯の中心または各歯間の中心を通る。
これに対し、外歯歯車31側の2つの内方ストッパ突起31Pと2つの内方ストッパ突起31Qは、図12の状態では、上下軸に関し、左右対称をなしており、上下は非対称である。この対称、非対称は、内歯歯車32の外方ストッパ突起32Pとの間で、次のようなストッパ作用が得られるように定められている。
まず、内歯歯車32の外方ストッパ突起32Pが上下方向に位置するとき(図12(a))、左右方向に位置するとき(図12(b))のいずれの状態でも、内歯歯車32の一対の外方ストッパ突起32Pを結ぶ中心線XXの左右にそれぞれ、各2つの内方ストッパ突起が位置する。すなわち、図12(a)では、一対の外方ストッパ突起32Pを結ぶ中心線XXの左右にそれぞれ、1つずつの内方ストッパ突起31Pと内方ストッパ突起31Q(各2つのストッパ突起)が位置し、図12(b)では、一対の外方ストッパ突起32Pを結ぶ中心線XXの左右にそれぞれ、2つの内方ストッパ突起31Pと、2つの内方ストッパ突起31Qが位置している。
そして、図12(a)の状態では、外歯歯車31と内歯歯車32に相対回転が発生すると、上下一対の外方ストッパ突起32Pのうちの上方の外方ストッパ突起32Pの両側の面32Paに、一対の内方ストッパ突起31Pがそれぞれ当接して、最大傾動範囲が規制される(図示例の場合56゜)。外方ストッパ突起32Pの両側の面32Paに内方ストッパ突起31Pが当接するとき、下方の外方ストッパ突起32Pに対して下方の内方ストッパ突起31Qは当接しない。これに対し、図12(b)の状態では、同様に、外歯歯車31と内歯歯車32に相対回転が発生すると、左右の外方ストッパ突起32Pのそれぞれの下方の面32Pbに、左右の内方ストッパ突起31Qが当接して、最大傾動範囲が規制される(図示例の場合78゜)。外方ストッパ突起32Pの下方の面32Pbに左右の内方ストッパ突起31Qが当接するとき、上方の内方ストッパ突起31Pは外方ストッパ突起32Pに当接しない。
すなわち、図12の実施形態では、4個の内方ストッパ突起31P、31Qは、外歯歯車31の内歯歯車32に対する固定位相を90゜異ならせたとき、該4個の内方ストッパ突起のうちの異なる2つが一対の外方ストッパ突起32Pの一方または双方に当接してシートバックの回動範囲を異なる2範囲に規制するように位置設定されている。
なお、外歯歯車31と内歯歯車32が相対運動するとき、ストッパ突起はトロコイド軌跡を描き、ストッパ突起の位置によっては、外歯31bと内歯32bとの間にストッパ作用に悪影響を与える滑りが発生する。本発明のリクライニング装置のストッパ突起の位置の決定に当たっては、トロコイド軌跡も同時に考慮し、ストッパ作用に対する悪影響が少ない位置を決定する。
図13(a)、(b)は、楔状部材35(36)の別の実施形態を示している。楔状部材35(36)は、図9について説明したように、外歯歯車31の円筒部(外円筒部)31fの外径と略同一の内径を有する内筒面35a(36a)と、ブッシュ(内円筒部)34の内径と略同一の外径を有する外筒面35b(36b)を有しており、その中心軸が一致していないことにより、肉厚が楔状に変化している。
図13(a)、(b)の実施形態では、この楔状部材35(36)の外筒面35b(36b)に、内円筒部34の基準円筒面34Rよりも内側に位置する切欠部35X(36X)を形成することにより、ブッシュ34との間にオイル溜まり35Y(36Y)を形成している。内筒面35a(36a)に、外円筒部31fの基準円筒面よりも外側に位置する切欠部を同様に設けてもオイル溜まりを形成してもよい。いずれにしても、これらの切欠部は、楔状部材35(36)の肉厚を部分的に幅狭とする(薄くする)ことで、オイル溜まり35Y(36Y)を形成したものである。このようなオイル溜まりを形成することで、オイル切れをなくし、円滑なシートバックの傾動動作及び異音の発生を防止することができる。
本発明の対象とするタウメル式リクライニング装置の一例を示す縦断面図である。 図1の装置の左側面図(アッパアーム及びロアアームは削除)である。 図1の装置の右側面図(アッパアーム及びロアアームは削除)である。 図1の装置の主要部の分解斜視図である。 歯車機構部とアッパアーム及びロアアームとの結合を説明するための図である。 外歯歯車を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のA-A断面図である。 内歯歯車を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のB-B断面図である。 回転シャフトを示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のC-C断面図である。 楔状部材を示す図で、(a)は正面図、(b)は平面図である。 スプリングを示す図で、(a)は正面図、(b)は平面図である。 本発明によるリクライニング装置の一実施形態を示す正面図で、(a)、(b)はそれぞれ、異なる傾動角度を設定した状態を示している。 本発明によるリクライニング装置の別の実施形態を示す正面図で、(a)、(b)はそれぞれ、異なる傾動角度を設定した状態を示している。 (a)、(b)はそれぞれ、本発明によるリクライニング装置の楔状部材の別の実施形態を示す正面図である。
符号の説明
10 ロアアーム
11 嵌合穴
13 連結軸
20 アッパアーム
21 嵌合穴
30 歯車機構
31 外歯歯車
31a 突起
31b 外歯
31c 凹部
31f 円筒部(外円筒部)
31X 内方ストッパ突起
31P 31Q 内方ストッパ突起
32 内歯歯車
32a 突起
32b 内歯
32X 32Y 外方ストッパ突起
32P 内方ストッパ突起
33 回転シャフト
34 ブッシュ(内円筒部)
35 36楔状部材
35a 36a 内筒面
35b 36b 外筒面
35X 36X 切欠部
35Y 36Y オイル溜まり
37 スプリング
38 押さえ部材

Claims (3)

  1. シートクッションとシートバックのいずれか一方に、該シートバックの傾動中心部に位置させて固定される外歯歯車と、
    該外歯歯車の外歯に噛み合う該外歯よりも歯数が多い内歯が形成され、シートクッションとシートバックの他方に固定される内歯歯車と、
    上記外歯歯車に同軸に回転自在に嵌合し、回転運動により該外歯歯車と内歯歯車のいずれか一方を他方の歯車軸を中心に公転させる回転シャフトと、
    を有し、
    上記外歯歯車と内歯歯車は、表裏を逆にしてシートクッションとシートバックの左右に、それぞれ設けられていて、左右の上記回転シャフトが連結軸を介して結合されているリクライニング装置において、
    上記外歯歯車の歯数が4の倍数に設定されていること、
    該外歯歯車には、直径方向の2箇所に位置させて内方ストッパ突起が形成されていて、この一対の内方ストッパ突起を含む外歯歯車は、該一対の内方ストッパ突起を結ぶ中心線に関し左右対称でかつ上下対称形状をなしていること、
    上記内歯歯車には、この外歯歯車の一対の内方ストッパ突起を結ぶ中心線の左右にそれぞれ、各2つが位置する合計4個の外方ストッパ突起が形成されていること、
    この4個の外方ストッパ突起を有する内歯歯車は、該歯車の中心を通る中心線に関して左右対称形状で上下非対称な形状をなしていること、及び
    この4個の外方ストッパ突起は、上記外歯歯車の内歯歯車に対する固定位相を90゜異ならせたとき、該4個の外方ストッパ突起のうちの異なる2つが上記一対の内方ストッパ突起の一方または双方に当接してシートバックの回動範囲を異なる2範囲に規制するように位置設定されていること、
    を特徴とするリクライニング装置。
  2. シートクッションとシートバックのいずれか一方に、該シートバックの傾動中心部に位置させて固定される外歯歯車と、
    該外歯歯車の外歯に噛み合う該外歯よりも歯数が多い内歯が形成され、シートクッションとシートバックの他方に固定される内歯歯車と、
    上記外歯歯車に同軸に回転自在に嵌合し、回転運動により該外歯歯車と内歯歯車のいずれか一方を他方の歯車軸を中心に公転させる回転シャフトと、
    を有し、
    上記外歯歯車と内歯歯車は、表裏を逆にしてシートクッションとシートバックの左右に、それぞれ設けられていて、左右の上記回転シャフトが連結軸を介して結合されているリクライニング装置において、
    上記内歯歯車の歯数が4の倍数に設定されていること、
    該内歯歯車には、直径方向の2箇所に位置させて外方ストッパ突起が形成されていて、この一対の外方ストッパ突起を含む内歯歯車は、該一対の外方ストッパ突起を結ぶ中心線に関し左右対称でかつ上下対称形状をなしていること、
    上記外歯歯車には、上記内歯歯車の一対の外方ストッパ突起を結ぶ中心線の左右にそれぞれ、各2つが位置する合計4個の内方ストッパ突起が形成されていること、
    この4個の内方ストッパ突起を有する外歯歯車は、該歯車の中心を通る中心線に関して左右対称形状で上下非対称な形状をなしていること、及び
    この4個の内方ストッパ突起は、上記内歯歯車の外歯歯車に対する固定位相を90゜異ならせたとき、該4個の内方ストッパ突起のうちの異なる2つが上記外方ストッパ突起の一方又は双方に当接してシートバックの回動範囲を異なる2範囲に規制するように位置設定されていること、
    を特徴とするリクライニング装置。
  3. 請求項1または2記載のリクライニング装置において、外歯歯車と内歯歯車のいずれか一方と他方にはそれぞれ、その軸心を中心とする外円筒部と内円筒部が形成されていて、この外円筒部と内円筒部の間の空間に、互いの間隔を広げる方向に移動付勢された一対の楔状部材が挿入されており、この一対の楔状部材には、上記内円筒部との対向面と外円筒部との対向面の少なくとも一方に、該内円筒部と該外円筒部に対応する基準円筒面よりも、該楔状部材を幅狭としたオイル溜まりが形成されているリクライニング装置。
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